説明

板状物品移送用台車

【課題】簡素な構成にすると共に移送時における光学フィルムへのダメージを防止できる板状物品移送用台車を提供する。
【解決手段】光学フィルムPを収容するための収容空間41を有するラック本体40と、支持フレーム51と車輪52を有する台車本体と、ラック本体40を台車本体50の支持フレーム51に懸架する機構とを備えた。好ましくは、収容空間41は、開閉可能な引き出しにより構成される。好ましくは、光学フィルムPは板状物品収容ケースに収容された状態で収容空間41に収容可能に構成され、この板状物品収容ケースは、光学フィルムPを載置する載置面を有する板状のケース本体と、このケース本体に設けられ、光学フィルムPの四隅を案内する案内用突起11とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方形板状物品を収容して運搬するための板状物品移送用台車及びこれを用いた光学表示装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
偏光板のような光学フィルム(方形板状物品に相当)は、製造工場から搬出されて次の加工工場へと移送するために移動手段が必要とされる。光学フィルムは、その大きさにより5〜30枚を一単位として専用の収容袋に収容し、これをダンボール箱や樹脂製の箱に梱包して製造工場からトラック等で搬送される(下記特許文献1)。次の加工工場に到着すると、ダンボール等に梱包された収容袋を取り出して台車に載せかえる。この台車に載せた状態で、次の加工工場内を移動させている。
【0003】
また、下記特許文献2,3に開示される板状物品収容ケースは、樹脂製のダンボール材あるいは衝撃吸収性を備えた樹脂材からなる複数の仕切り部を、所定の間隔を空けて並ぶ状態に一対の側壁にわたって架設して複数の板状物品収容空間を形成している。かかる収容空間に1個ずつ板状物品を収容するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−258424号公報
【特許文献2】特開2001−341746号公報
【特許文献3】特開2001−348086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学フィルムのような方形板状物品を移送する場合には、移送時において作用する揺れや振動により、方形板状物品に対してダメージを与えないようにする必要がある。特許文献2,3では、衝撃吸収性を備えた材料を使用して板状物品の収容空間を形成しているが、構造が複雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、簡素な構成にすると共に移送時における方形板状物品へのダメージを防止できる板状物品移送用台車及びこれを用いた光学表示装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係る板状物品移送用台車は、
方形板状物品を収容するための収容空間を有するラック本体と、
支持フレームと車輪を有する台車本体と、
ラック本体を台車本体の支持フレームに振動吸収機構を介して支持することを特徴とするものである。
【0008】
かかる構成による板状物品移送用台車の作用・効果を説明する。この台車は、ラック本体と台車本体を備えており、移送対象である方形板状物品は、ラック本体の収容空間に収容される。また、ラック本体を台車本体に振動吸収機構を介して支持する機構を備えており、移送時に振動や衝撃が生じたとしても、ラック本体にはそれらが伝達されにくくなるため、方形板状物品に対するダメージをなくすことができる。また、ラック本体を台車本体に振動吸収機構を介して支持するという簡素な構成により、安全に方形板状物品を移送させることができる。その結果、簡素な構成にすると共に移送時における方形板状物品へのダメージを防止できる板状物品移送用台車を提供することができる。
【0009】
本発明において、前記振動吸収機構は、ラック本体を支持フレームに懸架させる機構を含むことが好ましい。
【0010】
ラック本体を支持フレームに懸架するという簡素な構成により、移送時における方形板状物品へのダメージを防止することができる。
【0011】
本発明において、前記収容空間は、開閉可能な引き出しにより構成されることが好ましい。従って、方形板状物品を収容するときは、引き出しを開いて方形板状物品を載置すればよい。従って、引き出し構造を採用することで、方形板状物品の収容・取り出しの作業を簡単に行うことができ、一度に多くの方形板状物品を移送することができる。
【0012】
本発明において、方形板状物品は板状物品収容ケースに収容された状態で収容空間に収容可能に構成され、この板状物品収容ケースは、
方形板状物品を載置する載置面を有する板状のケース本体と、
このケース本体に設けられ、方形板状物品の四隅を案内する案内用突出部とを備えていることが好ましい。
【0013】
この板状物品収容ケースは、方形板状物品を載置する載置面を有する板状のケース本体を備えており、この載置面に方形板状物品を積み重ねた状態で載置することができる。また、ケース本体には方形板状物品の四隅を案内する案内用突出部を備えており、これを利用して方形板状物品をスムーズに載置させることができる。また、方形板状物品の四隅を案内するものであるから、方形板状物品の位置決め機能も備えることができる。かかる板状物品収容ケースを使用することで、方形板状物品の収容作業を行う際の利便性を高めることができる。
【0014】
本発明において、形板状物品は板状物品収容ケースに収容された状態で収容空間に収容可能に構成され、この板状物品収容ケースは、
方形板状物品を収容して運搬するための板状物品収容ケースであって、
方形板状物品を載置する第1載置面を有する板状の中間支持体と、
この中間支持体に設けられ、方形板状物品の四隅を案内する第1案内用突出部と、
中間支持体を載置する第2載置面を有する板状のケース本体と、
このケース本体に設けられ、中間支持体を案内する第2案内用突出部とを備えていることが好ましい。
【0015】
この板状物品収容ケースは、ケース本体に直接板状物品を載置するのではなく、板状の中間支持体を介して載置する。すなわち、一旦板状物品を中間支持体に積み重ねて載置し、更にこの中間支持体をケース本体の載置面に載置する。中間支持体には、方形板状物品の四隅を案内する第1案内用突出部が設けられているから、方形板状物品をスムーズに案内すると共に位置決めを行なうことができる。また、方形板状物品を載置した中間支持体は、更に、ケース本体に設けられた第2案内用突出部によりスムーズに案内されると共に位置決めが行なわれる。中間支持体を設けることにより、種々のサイズの方形板状物品に対応することができる。すなわち、中間支持体の第1案内用突出部の形成場所をサイズに応じて変えたものを複数用意しておくことで、方形板状物品のサイズに応じた中間支持体を使用することができ、多品種に容易に対応できる。
【0016】
上記課題を解決するため本発明に係る光学表示装置の製造方法は、
光学表示装置の部材である光学フィルムを有する帯状シート状製品が巻き取られたロールから帯状シート状製品を引き出して供給する供給工程と、
前記供給工程によって引き出された帯状シート状製品の欠陥を検出する検出工程と、
前記検出工程での検出結果に基づいて帯状シート状製品を切断し、個々の方形板状物品に加工する切断加工工程と、
前記切断加工工程で切断加工された方形板状物品を本発明に係る板状物品移送用台車により移送する移送工程と、
前記移送工程で移送されたシート状製品と前記光学表示装置の部材である光学表示ユニットを貼合わせる貼合わせ加工工程とを含むことを特徴とするものである。
【0017】
この構成による光学表示装置の製造方法の作用・効果を説明する。光学表示装置は、少なくとも光学フィルムと光学表示ユニットで構成されている。帯状シート状製品は、少なくとも光学フィルム層を有し、さらに、例えば保護フィルム層を有して構成されている。帯状シート状製品は、長尺状でありロールに巻き取られた形態である。このロールに巻き取られた形態の帯状シート状製品を引きだし、例えば、汚れ、傷、クラック等の欠陥があるか否かを検出手段によって検出する。
【0018】
この検出結果によって、帯状シート状製品を切断加工手段によって所定サイズに切断する。「所定サイズ」は、光学表示装置の製品サイズに依存するものである。切断加工手段は、検出結果で欠陥があると判断された場合に、例えば、その欠陥を避けるように所定サイズに切断するように制御される。次いで、切断加工された方形板状物品を貼合わせ加工を行うために移送手段によって移送する。この移送に際して、前述の板状物品移送用台車が使用される。従って、簡素な構成にすると共に移送時における方形板状物品へのダメージを防止できる。移送された方形板状物品と、光学表示ユニットを貼合わせ加工手段によって貼合わせる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る板状物品移送用台車及びこれと共に使用される板状物品収容ケースの好適な実施形態を図面を用いて説明する。方形板状物品の具体例としては、偏光板等の光学フィルムを例にあげて説明する。
【0020】
<板状物品収容ケースの第1実施形態>
図1は、第1実施形態にかかる板状物品収容ケースの構成を示す概念図である。この板状物品収容ケース1は、板状のカセット10(ケース本体に相当)と、このカセット10に設けられ、矩形の光学フィルムPの四隅を案内する案内用突起11が設けられている。案内用突起11は、平面視でL字形の突起として形成され、収容される光学フィルムPの高さに対応した突出量を有する。カセット10は、光学フィルムPを載置する載置面10aを有し、光学フィルムPは、数枚あるいは10数枚が直接積層された形で案内用突起11内に収容される。案内用突起11により、光学フィルムPを収容するときのガイドを行なうと共に、位置決めを行なうことができる。
【0021】
カセット10及び案内用突起11は、適宜の材質とすることができ、例えば、樹脂で両者を一体成型してもよいし、両者を別々に製作して結合してもよい。従って、カセット10及び案内用突起11は、ステンレス等の金属、合成樹脂などで形成することができる。また、案内用突起11の案内面には、フッ素樹脂等による表面処理を施すことで摩擦抵抗を下げることができる。これにより、光学フィルムPを収容するときに引っかかり等が生じないため、スムーズに入れることができる。光学フィルムPは1枚ずつ入れても良いし、予め積層させたものを収容するようにしてもよい。
【0022】
図1に示すように、光学フィルムPを収容した後に真空包装12を行なうことが好ましい。これにより、光学フィルムPに塵埃が付着することや光学フィルムPが空気中の水分を吸収することを防止することができる。真空包装12は公知の方法で行なうことができる。
【0023】
<板状物品収容ケースの第2実施形態>
図2は、第2実施形態にかかる板状物品収容ケースの構成を示す概念図である。この板状物品収容ケース1は、カセット10(ケース本体に相当)と治具20(中間支持体に相当)とから構成されている。第1実施形態とは異なり、治具20に光学フィルムPを収容するようにし、更に、この治具20がカセット10に収容される。治具20には、光学フィルムPを載置する載置面20aと、光学フィルムPの四隅を案内する案内用突起21(第1案内用突出部に相当)が設けられており、これにより、光学フィルムPのガイドと位置決めを行なう。
【0024】
カセット10には、治具20を載置する載置面10aと、治具20の四隅を案内する案内用突起11(第2案内用突出部に相当)が設けられる。従って、光学フィルムPを積層して収容した状態の治具20を更に、カセット10に収容させることができる。このように、治具20を介することで、種々のサイズの光学フィルムPに対応することができる。すなわち、光学フィルムPのサイズに応じて、多数の治具20を用意しておくことができる。
【0025】
カセット10及び治具20の材質に関しては、第1実施形態と同じとすることができる。また、案内用突起11,21についても、第1実施形態と同様に摩擦抵抗を下げるための表面処理を施すことができる。また、光学フィルムPを収容した後、真空包装を行うことが好ましい。
【0026】
<案内用突起>
図3は、案内用突起11(21)の別実施形態を示す図であり、隅部にぬすみ11a(12a)を設けている。これにより、収容する光学フィルムPの角が隅部に引っかかることなく、安定した状態で収容させることができる。
【0027】
<吸着テープ>
図4は、第1実施形態の板状物品収容ケース1において、カセット10の載置面10aに、吸着テープ13を貼付した構成例である。吸着テープ13を設けることで、移送時において振動を受けたとしても、光学フィルムPが動かないように保持できる。載置面10aにおいて、吸着テープ13を設ける位置や吸着テープ13のサイズ等については、適宜決めることができる。第2実施形態における載置面10a,20aについても同様に吸着テープ13を設けることができる。
【0028】
<光学フィルムの包装>
図5は、複数枚の光学フィルムPを積層した後、ビニール等の薄いフィルム14で包装する例を示している。図1や図2に示した板状物品収容ケース1に光学フィルムPを収容する場合に、図5に示すような包装を行った状態で収容することができる。この包装についても真空包装とすることが好ましい。フィルム14の中央には切欠14aが付与されており、内部の光学フィルムPを取り出すときには、切欠14aを引き裂いて2分割された包装袋を左右に引けばよい。これにより、移送時において、光学フィルムPの保護を行なうことができる。
【0029】
<板状物品移送用台車>
次に、図6により板状物品移送用台車の構成例を説明する。図6において、ラック本体40が台車本体50に懸架される状態で取り付けられている。ラック本体40は、ラック本体40には、図1や図2に示す板状物品収容ケース1を収容するための収容空間41が形成されている。この収容空間41に1つもしくは複数の板状物品収容ケース1を収容することができる。台車本体50は、支持フレーム51と底面部に車輪52を備えている。支持フレーム51の天井部には鍵型の懸架具53が設けられており、紐54でラック本体40の上部四隅を吊るしている。また、ラック本体40の下部四隅と支持フレーム51の底部も紐55で繋がれている。紐54,55については、適宜の材質のものを使用できる。また、紐ではなくチェーンやバネのようなものを使用してもよい。ラック本体40をかかる方法で懸架することにより、移送時において、振動や衝撃がラック本体40内の光学フィルムPに伝達しにくくなり、ダメージを防止することができる。従って、懸架具53と紐54,55は、振動吸収機構として機能するものである。
【0030】
図7は、振動吸収機構の別実施形態を示すものであり、ラック本体40と支持フレーム50の間にクッション56を充填させている。クッション56としては、例えば、発泡スチロールなどを用いることができる。そのほかに空気バネにより支持してもよい。
【0031】
<ラック本体の別実施形態>
次に、図8に示すような板状物品移送用台車において懸架されるラック本体の別実施形態を説明する。図8において、ラック本体30には、多数の引き出し31が開閉可能に配置されている。各引き出し31には、例えば、図1や図2で説明した板状物品収容ケース1を収容することができる。引き出し31に収容する板状物品収容ケース1の数については、任意に決めることができる。ラック本体30には、図8(b)に示すようにカバー32を被せることで防塵対策とすることができる。このラック本体30は図6に示す台車本体に懸架することができる。
【0032】
図9は、別実施形態のラック本体60を示す図である。ラック本体60には多数の載置棚61が設けられており、その上に光学フィルムPが搭載される。載置棚61は、ポール62を外すことで、ラック本体60から取り出すことができる。変形例として、載置棚61は取り外しできない構造とし、その上に直接光学フィルムPを載置したり、図1や図2等に示す板状物品収容ケースに収容した状態で載置することができる。ラック本体60には、防塵用のカバー63をすることができる。カバー63には、図6で説明したような紐を通すための穴が複数個所に開けられる。
【0033】
<板状物品収容ケースの更に別実施形態>
次に、板状物品収容ケースの更に別の実施形態について図10により説明する。図10(a)はケースの外観を示し、(b)は蓋を開いた状態を示す。この板状物品収容ケースは、本体部65と蓋66と、本体部65の側面に取っ手67を備えている。この板状物品収容ケースは、既に説明した板状物品移送用台車により移送することができる。本体部65の内部には収容空間が設けられ、トレーに載置した光学フィルムPが多数積層して収容される。このトレーの構成例を図11に示す。
【0034】
トレー70は板状の載置面を有し、その載置面に光学フィルムPが2つ並べて載置される。また、光学フィルムPが載置される領域の周囲には、突堤71が設けられており、光学フィルムPがトレー70の外に移動するのを防止する。トレー70は複数個を重ねることができ、一番上に防塵用の蓋72が被せられる。光学フィルムPを載置する際に、図4で説明した吸着シート13を使用してもよい。また、トレイ70の材質としては、ポリスチレン等の樹脂を使用することができる。
【0035】
図12は更に別実施形態の板状物品収容ケースを示す。このケースは、好ましくはポリスチレン製のケース本体75の内部に光学フィルムPを1枚もしくは複数枚積層して収容する。このケースも積み重ねて使用することができる。
【0036】
<光学表示装置の製造システムの構成>
図13は、本発明の光学表示装置の製造システムの構成を説明する図である。以下の説明上、帯状シート状製品を偏光板原反として説明する。
【0037】
搬送手段(供給手段に相当する)は、偏光板原反83が巻き取られたロール84を設置可能とし、このロール84から偏光板原反83を引き出せるように構成される。搬送手段は、搬送ローラ91等を有して構成されるが、上記機能を実現するものであれば特に制限されない。
【0038】
剥離手段(不図示)は、後述する検出手段92による欠陥の検出前または検出後に、離型フィルム(不図示)を偏光板原反83から剥離する。検出手段92による欠陥検出前に行うことが好ましい。また、洗浄手段は、離型フィルムを剥離した偏光板原反83を洗浄する。剥離手段94、洗浄手段95は、公知の技術が適用できる。
【0039】
検出手段92は、ロール84から引き出された偏光板原反83の片面または両面の欠陥を検出する。「欠陥」は、例えば、傷、汚れ、クラック等が例示される。検出手段92は、例えば、偏光板原反83の幅方向に沿って一列上に配置した複数のCCDカメラ、証明装置等で構成される(特開2005−62165号公報、13頁を参照)。
【0040】
例えば、偏光板原反83の表面欠陥を検出するために、第1カメラ列92aと第2カメラ列92bとが配置されている。第1カメラ列92aには、偏光板原反83の幅方向に沿って4台のCCDカメラが設けられ、第2カメラ列92bには、同じく幅方向に沿って4台のCCDカメラが設けられている。第2カメラ列92bは、第1カメラ列92aの下流側に配置されており、欠陥検出を確実に行うために2列配列としている。裏面用に第3カメラ列92c、第4カメラ列92dが同様に配置される。さらに、後述する切断加工処理の直前に、第5カメラ列92eを配置して、欠陥を検出するように構成し、搬送過程で生じる欠陥、あるいは第1〜第4カメラ列等での検出の漏れ等に対処できるようにすることは好ましい。
【0041】
これら第1〜第5カメラ列92a〜92eにより取得された画像は、画像処理部(不図示)に送られて、画像処理技術を用いて偏光板原反83の表面や内部に存在する欠陥の検出を行う。画像処理部は、画像処理プログラム等のソフトウェアにより構成することができる。もちろん、画像処理部をハードウェアにより構成しても良い。画像処理部により、欠陥であるか否かの判定を行うと共に、欠陥位置も求める。以上のように、第1〜第5カメラ列92a〜92e及び画像処理部は、偏光板原反83の欠陥を検出する検出手段92として機能する。また、画像処理プログラムにより行う場合の、欠陥判定アルゴリズムは公知のものを採用することができる。
【0042】
切断加工手段93は、検出手段92の検出結果に基づいて偏光板原反83を、所定サイズに切断し、個々の方形板状物品(偏光板83a)に加工する。「切断」は、例えば、ギロチン方式、打ち抜き方式の切断が可能である。偏光板原反83は、吸着手段94によって負圧吸着され、所定サイズ分搬送され、切断加工手段93によって切断される。
【0043】
この切断加工において、所定サイズで切断が行われるが、サイズは、予めメモリに格納されていても良いし、適宜、装置のオペレータによってサイズ値の入力或いは選択できるように構成できる。
【0044】
欠陥が検出されている場合の切断加工について以下に説明する。欠陥の検出処理後の偏光板原反83が搬送ローラ91、吸着手段94等の供給手段により、順次、搬送されてくる。切断加工手段93は欠陥部分が含まれる偏光板原反83を切断する場合に、例えば、欠陥が直前の切断端面から20cm長の位置に存在している場合、偏光板原反83が、切断断面から21cm長の位置で切断されるように搬送され切断される。このように切断された偏光板83aは、不良品と判断され不良品の搬送手段(不図示)に沿って搬送され除去される。所定のサイズが切断断面から50cm長であれば、このように切断加工することで、偏光板83aの歩留まりを大幅に改善できる。上記搬送手段は、例えば、ベルトコンベアで実現され不良品を搬送することができる。
【0045】
なお、切断加工手段93として打ち抜き方法を採用する場合に、打ち抜き型を変えることで、種々の大きさの偏光板83aを打ち抜くことができる。つまり、同じ偏光板原反83からいろいろな大きさの偏光板83aを得ることができる。
【0046】
欠陥がない場合には、所定のサイズに切断された偏光板83aが、例えば、カセット10に積層された状態で板状物品移送用台車に搭載されて、貼合わせ加工工程に移送される。カセット10は、例えば、移送用トラックに搭載されて移送される。図13には、図1に示すカセット10が図示されているが、他のカセットや台車を使用してもよい。
【0047】
貼り合わせ加工工程においては、図14に示すように、液晶セル基板85(光学表示ユニット)を予めセットしておき、偏光板83aを液晶セル基板85の上に載せる。この際に、ローラ部材(貼合わせ加工手段に相当する)が転がりながら偏光板83aを押し当てるように液晶セル基板85に載せて貼り合わせる。これによって、気泡の混入を抑制でき、後述する脱泡処理工程を削除又は短時間で行える。なお、ローラ部材による貼り合わせ方法に限定されず、他の方法で貼り合わせ処理を行ってもよい。
【0048】
次いで、吸着手段99は、偏光板83aを液晶セル基板85に貼合わせた液晶表示装置(光学表示装置に相当する)を、次の工程に移送する。吸着手段99は、上記の吸着手段94と同様の機能を有する。
【0049】
次いで、第2検出手段98は、移送されてきた液晶表示装置上の欠陥を検出する。検出方法は、上記検出手段92と同様の手段を用いることができる。欠陥が検出された場合、リワーク処理が行われる。欠陥が検出されなければ、脱泡処理がなされる。そして、偏光板83aが貼り合わせられていない他の面に対しても同様に偏光板83aを貼合わせることができるように反転させて、貼合わせ処理に戻すように構成できる。なお、脱泡処理は、第2検出手段98による欠陥検出前に実施されても良い。
【0050】
<製造方法のフローチャート>
以下に、本発明の光学表示装置の製造方法について図15のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
まず、帯状シート状製品(例えば、偏光板原反)を製造システムにセットする(S1)。帯状シート状製品は、ロール状で光学フィルム製造メーカーから送られ、組み立て加工メーカーは、梱包解体し、ロール表面を洗浄し、製造システムにセットする。
【0052】
次に、離型フィルムを剥離処理し(S2)、剥離後の帯状シート状製品の洗浄を行う(S3)。洗浄は、粘着性の弱い粘着剤を用いたもので行うことが好ましい。
【0053】
次に、欠陥の検出処理が行われ(S4)、この検査結果に基づいて、良品として所定サイズに切断、或いは欠陥部分を含む不良品として切断が行われる(S5)。切断されたものが欠陥部分の存在している不良品であれば(S6)、不良品として除去される(S7)。良品であれば(S6)、カセット10等を収容した板状物品移送用台車により移送され(S8)、貼合わせ処理がなされる(S9)。なお、検出処理は、数段階に分けて行ってもよい。
【0054】
次いで、光学表示装置としての欠陥の検出が行われる(S10)。検出結果で不良品と判断されれば(S11)、リワーク処理が行われる(S12)。良品と判断されれば(S11)、次の処理工程に進む(S13)。次の処理としては、脱泡処理が例示される。また、シート状製品が貼り合わされていない他の面に対してもシート状製品を貼り合わせできるように反転させて、貼り合わせ処理に移行できるように構成する処理が例示される。
【0055】
<別実施形態>
本発明において、移送対象となる光学フィルムについては、特定のフィルムに限定されるものではない。例えば、偏光子の片面または両面に粘着剤層を介して透明保護フィルムを積層した偏光板があげられる。また、光学フィルム以外の方形板状物品に対しても適用することができる。
【0056】
本実施形態で説明した板状物品収容ケース1は、上下方向に積み重ねることができる。この場合、カセット10の裏面側に案内用突起11が係合可能な係合部(例えば、L字形の凹部)を設けることで、安定した状態で板状物品収容ケース1を積み重ねることができる。
【0057】
本発明は、偏光板のみを光学表示ユニットに貼り合わせる製造システム及び製造方法に限定するものではなく、位相差板を光学表示ユニットに、又は、偏光板及び位相差板を光学表示ユニットに一体に貼り付けることにも適用できる。また、光学表示ユニットは、液晶セル基板に制限されない。
【0058】
種々の実施形態について説明してきたが、これらの実施形態は適宜組み合わせて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1実施形態にかかる板状物品収容ケースの構成を示す概念図
【図2】第2実施形態にかかる板状物品収容ケースの構成を示す概念図
【図3】案内用突起の別実施形態を示す図
【図4】吸着テープを使用した構成例を示す図
【図5】積層した光学フィルムを包装する場合の構成例を示す図
【図6】板状物品移送用台車の構成を示す図
【図7】板状物品移送用台車の別実施形態を示す図
【図8】ラック本体の別実施形態を示す図
【図9】ラック本体の別実施形態を示す図
【図10】板状物品収容ケースの別実施形態を示す図
【図11】トレーの構成例を示す図
【図12】板状物品収容ケースの別実施形態を示す図
【図13】製造システムの全体構成の概略を示す図
【図14】貼合わせ手段の一例を示す図
【図15】製造方法のフローチャート
【符号の説明】
【0060】
1 板状物品収容ケース
10 カセット
10a 載置面
11 案内用突起
12 真空包装
13 吸着テープ
20 治具
20a 載置面
21 案内用突起
30 ラック本体
31 引き出し
40 ラック本体
41 収容空間
50 台車本体
51 支持フレーム
52 車輪
53 懸架具
54,55 紐
60 ラック本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形板状物品を収容するための収容空間を有するラック本体と、
支持フレームと車輪を有する台車本体と、
ラック本体を台車本体の支持フレームに振動吸収機構を介して支持することを特徴とする板状物品移送用台車。
【請求項2】
前記振動吸収機構は、ラック本体を支持フレームに懸架させる機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の板状物品移送用台車。
【請求項3】
前記収容空間は、開閉可能な引き出しにより構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の板状物品移送用台車。
【請求項4】
方形板状物品は板状物品収容ケースに収容された状態で収容空間に収容可能に構成され、この板状物品収容ケースは、
方形板状物品を載置する載置面を有する板状のケース本体と、
このケース本体に設けられ、方形板状物品の四隅を案内する案内用突出部とを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の板状物品移送用台車。
【請求項5】
方形板状物品は板状物品収容ケースに収容された状態で収容空間に収容可能に構成され、この板状物品収容ケースは、
方形板状物品を収容して運搬するための板状物品収容ケースであって、
方形板状物品を載置する第1載置面を有する板状の中間支持体と、
この中間支持体に設けられ、方形板状物品の四隅を案内する第1案内用突出部と、
中間支持体を載置する第2載置面を有する板状のケース本体と、
このケース本体に設けられ、中間支持体を案内する第2案内用突出部とを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の板状物品移送用台車。
【請求項6】
光学表示装置の部材である光学フィルムを有する帯状シート状製品が巻き取られたロールから帯状シート状製品を引き出して供給する供給工程と、
前記供給工程によって引き出された帯状シート状製品の欠陥を検出する検出工程と、
前記検出工程での検出結果に基づいて帯状シート状製品を切断し、個々の方形板状物品に加工する切断加工工程と、
前記切断加工工程で切断加工された方形板状物品を請求項1〜5のいずれか1項に記載の板状物品移送用台車により移送する移送工程と、
前記移送工程で移送されたシート状製品と前記光学表示装置の部材である光学表示ユニットを貼合わせる貼合わせ加工工程とを含む光学表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−153355(P2007−153355A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347972(P2005−347972)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】