説明

枕型マッサージ器

【課題】 使用者への押圧刺激の強さを調節することができる枕型マッサージ器を提供する。
【解決手段】 使用者の頭部を支持する枕本体12と、該枕本体12の略中央に上向きに開口するよう凹設された施療子収容部14と、該施療子収容部14に収容される左右一対の施療子30,30と、該施療子30,30を互いに接近離間可能に揺動させるマッサージ機構20と、を具える枕型マッサージ器において、施療子30,30は、マッサージ機構20に連繋されるアーム部32と、該アーム部32の先端内面に配備されたエアバック40と、を具え、施療子30,30の各エアバック40は、エア給排気装置60に連繋されて膨張、収縮するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が仰向けに寝転んだ状態で首部を左右から挟み込むようにマッサージすることのできる枕型マッサージ器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
枕型形状のマッサージ器であって、使用者が仰向けに寝転んで、首部を枕に当てた状態で首部のマッサージを受けることのできるマッサージ器がある。
この種マッサージ器として、枕内部に左右一対の施療子を具え、該施療子をモータの駆動による機械的な動作によって接近、離間させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。施療子で首部を挟み込むように押圧刺激することによって使用者の首部にマッサージが施される。
【0003】
【特許文献1】特開2003−235919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記枕型マッサージ器では、施療子の移動する範囲、即ち、施療子のストローク量を調節する機能を有していないので、施療子どうしの最接近間隔を変えたり、使用者が受ける押圧刺激の強さを調整することはできなかった。そこで、施療子の接近、離間の時間間隔を変えることによって、強さ調節に置き換えていた。
即ち、使用者は、施療子による押圧刺激の強さを自ら設定することができず、所望する強さのマッサージを受けることができなかった。
【0005】
また、一般に、これらマッサージ器では、施療子が人体よりも硬い材料で構成されているため、マッサージ器として使用しない場合に枕として使用すると、施療子が首部に当たって、不快感を感じることがあった。
【0006】
本発明の目的は、使用者への押圧刺激の強さを調節することができる枕型マッサージ器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の枕型マッサージ器は、
使用者の頭部を支持する枕本体と、該枕本体の略中央に上向きに開口するよう凹設された施療子収容部と、該施療子収容部に収容される左右一対の施療子と、該施療子を互いに接近離間可能に揺動させるマッサージ機構と、を具える枕型マッサージ器において、
施療子は、マッサージ機構に連繋されるアーム部と、該アーム部の先端内面に配備されたエアバックと、を具え、
施療子の各エアバックは、エア給排気装置に連繋されて膨張、収縮するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の枕型マッサージ器によれば、エアバックのエア封入量を調節することによって、エアバックを任意の硬さに調節することができる。例えば、マッサージ中に、エアバックのエア封入量を多くすると、首部に強めの刺激を加えることができ、エアバックのエア封入量を少なくすると、刺激の弱いマッサージを受けることができる。
また、エアバックのエア封入量を変えることによって、アーム部からのエアバックの突出量が変わるので、使用者が好みに応じて、刺激の強度を調節することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の枕型マッサージ器(10)の使用状態を示す側面図である。図1では、枕型マッサージ器(10)は、使用者が仰向けに寝転んだ状態で使用者の首部(90)から頭部(92)を支持する枕本体(12)と、エア給排気装置(60)が示されている。
【0010】
枕本体(12)は、ウレタンなどのクッション材によって形成され、通常の枕と同様の形状とすることができる。例えば、図1に示すように、使用者の首部(90)が当たる部分を少し高く盛り上げたような形状としてもよい。なお、枕本体(12)の外周は、布カバー等で包囲して使用される。
【0011】
枕本体(12)は、図2に示すように、中央に上向き及び前方(使用者の胴体側)に開口する施療子収容部(14)が凹設されている。施療子収容部(14)には、施療子(30)(30)と施療子(30)(30)を駆動するマッサージ機構(20)が収容される。
【0012】
マッサージ機構(20)は、施療子(30)(30)を互いに接近、離間させる機構であって、図4及び図5に示すように、駆動用モータ(22)を駆動源とする。駆動用モータ(22)には、減速機構(図示せず)を介して回転軸(24)が連繋されている。回転軸(24)は、枕本体(12)の左右方向に平行に支持されている。
回転軸(24)には、一対の回転カム(26)(26)が取り付けられている。回転カム(26)(26)は、使用者の首部(90)の幅とほぼ同じ間隔だけ離して配置され、左右対称となるように回転軸(24)に対して傾斜している。回転軸(24)を回転させると、回転カム(26)(26)は、互いに対称な揺動動作を繰り返す。
【0013】
回転軸(24)には、回転軸(24)の回転角度を検知する位置検知手段(28)が配備されている。位置検知手段(28)として、ホール素子を用いたものや、光センサを利用したものを例示できる。位置検知手段(28)は、後述する制御回路(70)に電気的に接続されている。
なお、位置検知手段(28)は、後述するとおり、施療子(30)(30)の最接近と最離間を検知できれば、検知場所や検知方法は問わない。
【0014】
施療子(30)(30)は、図2乃至図4に示すように、施療子収容部(14)の左右に配備される。施療子(30)(30)は、マッサージ機構(20)に連繋されるアーム部(32)と、該アーム部(32)の先端に配備されたエアバック(40)を具える。
アーム部(32)は、マッサージ機構(20)に支持される基端部にボス(34)を有しており、該ボス(34)は、ボールベアリング(35)を介して、回転軸(24)の回転カム(26)に回転自由に嵌まっている。上記のように、回転カム(26)(26)は、回転軸(24)に対して左右対称となるように傾斜して配置されているから、回転カム(26)(26)に嵌まるアーム部(32)(32)も、回転カム(26)(26)の傾斜に追従して、左右対称に傾斜している。
【0015】
アーム部(32)は、先端が少し上向きに傾いた状態で、施療子収容部(14)に支持されるように、ボス(34)の下側に、アーム部(32)の揺動を規制する突起(36)が設けられており、該突起(36)は、施療子収容部(14)の底面(15)に設けられた条溝(16)と係合している。
回転軸(24)を回転すると、回転カム(26)(26)の揺動に追従してアーム部(32)(32)は揺動動作を繰り返すが、アーム部(32)は回転カム(26)に対して回転自由に嵌まっており、アーム部(32)の追従回転は、突起(36)と条溝(16)との係合により阻止されるから、アーム部(32)(32)は、回転軸(24)とは一体に回転せずに、先端が互いに接近離間する動作を行なう。
【0016】
アーム部(32)は、図2に示すように、マッサージ機構(20)に連繋される基端側から先端側に向けて幅広に構成されており、エアバック(40)が取り付けられる先端の取付部(33)の下部は内向きに屈曲している。
エアバック取付部(33)の内面側には、図2乃至図4に示すように、エアバック(40)が取り付けられている。エアバック(40)は、夫々配管(42)及びバルブ(43)を介して、エア給排気装置(60)と接続される。
エアバック(40)(40)のエア封入量は、封入量検知手段(62)によって検知される。封入量検知手段(62)にて検知されたエアバックのエア封入量は、後述する制御回路(70)に送信される。
【0017】
エアバック(40)(40)のエア封入量を調節することによって、エアバック(40)(40)を任意の硬さに調節することができる。
例えば、マッサージ中に、エアバック(40)(40)のエア封入量を多くすると、首部(90)に強めの刺激を加えることができ、エアバック(40)(40)のエア封入量を少なくすると、刺激の弱いマッサージを受けることができる。
また、エアバック(40)(40)のエア封入量を変えることによって、アーム部(32)(32)からのエアバック(40)(40)の突出量が変わるので、使用者が好みに応じて、刺激の強度を調節することができる。
なお、マッサージ終了後は、エアバック(40)(40)から排気して、枕として使用する際に邪魔にならないようにすることができる。
【0018】
枕型マッサージ器(10)をマッサージ器として使用しないときに、枕本体(12)を枕として使用できることが望ましい。しかしながら、このままでは施療子収容部(14)の凹みに違和感を感じたり、施療子(30)(30)が当たって不快感を感じる。
そこで、本発明では、施療子収容部(14)の前側(使用者の胴体側)とマッサージ機構(20)の上側(使用者の頭部側)に支持用エアバック(50)(50)を配置し、図2に示すように、マッサージ中は支持用エアバック(50)(50)を収縮させて、施療子(30)(30)の動作の邪魔にならないようにしておき、マッサージ終了後、図3に示すように、支持用エアバック(50)(50)を膨張させて、施療子(30)(30)が首部(90)に直接当たらないようにしている。
支持用エアバック(50)(50)も配管(52)及びバルブ(53)を介してエア給排気装置(60)に接続されている。支持用エアバック(50)(50)のエア封入量も、封入量検知手段(62)によって検知され、制御回路(70)に送信される。
【0019】
エアバック(40)(40)(50)へ圧縮空気を供給、排気するエア給排気装置(60)は、枕本体(12)の内部に設けることもできるが、図1に示すように、枕本体(12)の外部に設けることが望ましい。枕本体(12)の外部にエア給排気装置(60)を配置することにより、使用者が頭部を載せる枕本体(12)とエア給排気装置(60)との間を離すことにより、エア給排気装置(60)の作動音が、枕本体(12)から直接使用者に伝わらないようにするためである。
【0020】
図5は、本発明の枕型マッサージ器(10)のブロック図である。図に示すように、回転軸(24)を回転させる駆動用モータ(22)、及びエアバック(40)(40)(50)を膨張、収縮させるエア給排気装置(60)の制御は、枕本体(12)の内部適所に配置された制御回路(70)によって行なわれる。制御回路(70)には、使用者が操作命令を入力する操作手段(72)が電気的に接続されている。
【0021】
上記構成の枕型マッサージ器(10)は、駆動用モータ(22)の駆動による施療子(30)(30)の接近、離間動作と、エア給排気装置(60)の駆動及びバルブ(43)の開閉によるエアバック(40)(40)の膨張、収縮動作との組み合わせにより、種々のマッサージを使用者の首部(90)に施すことができる。
例えば、駆動用モータ(22)を駆動し、アーム部(32)(32)を接近、離間させるマッサージにおいて、エアバック(40)(40)のエア封入量を多くすると、刺激の強いマッサージを施すことができ、エアバック(40)(40)のエア封入量を少なくすると、刺激の弱いマッサージを施すことができる。
さらに、アーム部(32)(32)を使用者の所望する間隔で止めて、エアバック(40)(40)の膨張、収縮を繰り返すことにより、首部(90)を押圧マッサージすることもできる。
【0022】
図6及び図7は、本発明の枕型マッサージ器(10)のマッサージ動作の一例を示すフローチャート図である。
図6に示すように、使用者が枕型マッサージ器(10)の電源をオンにし(ステップ1)、マッサージ開始の指示を操作手段(72)から入力すると(ステップ2)、支持用エアバック(50)(50)から排気を行なう(ステップ3)。支持用エアバック(50)(50)の排気が終了すると(ステップ4)、駆動用モータ(22)を駆動して、施療子(30)を最接近位置で停止する(ステップ5)。施療子(30)(30)の間隔は、回転軸(24)の位置検知手段(28)から検知することができる。
施療子(30)(30)が最接近している状態で、エア給排気装置(60)からエアバック(40)(40)に圧縮空気の供給を行ない(ステップ6)、使用者の所望する強さにエアバック(40)(40)が調整されると(ステップ7)、駆動モータ(22)を回転し、施療子(30)(30)の接近、離間の繰り返しによって、使用者の首部(90)にマッサージが行なわれる(ステップ8)。
【0023】
マッサージ中は、フローチャート図7に示すように、操作手段(72)により運転停止が指示されるか(ステップ1)、タイマー制御によりマッサージ開始から所定時間経過するまで(ステップ2)、マッサージが続けられる。
マッサージ終了時には、使用者が首部(90)を抜きやすいように、位置検知手段(28)によって、駆動モータ(22)を施療子(30)(30)が最も離れた位置で停止させ(ステップ3)、エアバック(40)(40)からの排気を行なう(ステップ4)。
その後、通常の枕としても使用できるように、支持用エアバック(50)(50)に圧縮空気を供給し、支持用エアバック(50)(50)を膨張させる(ステップ5)。
【0024】
上記のように、本発明の枕型マッサージ器(10)によれば、エアバック(40)(40)のエア封入量の調節により、刺激の強さを変えたマッサージを施すことができ、また、支持用エアバック(50)(50)によって、マッサージ器として使用しない場合には、通常の枕として違和感なく使用できる利点がある。
【0025】
なお、上記実施例では、支持用エアバック(50)(50)を必須構成としているが、支持用エアバック(50)(50)は一方だけでもよいし、支持用エアバック(50)(50)を具えない構成としてもよい。この場合、フローチャート図6のステップ3及び4、図7のステップ5は不要である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、エアバックを利用し、施療強さを変えることができる枕型マッサージ器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の枕型マッサージ器の使用状態を示す図である。
【図2】本発明の枕型マッサージ器の断面図であって、エアバックを膨張させた状態を示している。
【図3】本発明の枕型マッサージ器の断面図であって、支持用エアバックを膨張させた状態を示している。
【図4】本発明の枕型マッサージ器の平面図である。
【図5】本発明の枕型マッサージ器のブロック図である。
【図6】枕型マッサージ器の動作を示すフローチャート図である。
【図7】枕型マッサージ器の動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0028】
(10) 枕型マッサージ器
(20) マッサージ機構
(22) 駆動用モータ
(24) 回転軸
(30) 施療子
(32) アーム部
(40) エアバック
(50) 支持用エアバック
(60) エア給排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部を支持する枕本体(12)と、該枕本体(12)の略中央に上向きに開口するよう凹設された施療子収容部(14)と、該施療子収容部(14)に収容される左右一対の施療子(30)(30)と、該施療子(30)(30)を互いに接近離間可能に揺動させるマッサージ機構(20)と、を具える枕型マッサージ器において、
施療子(30)(30)は、マッサージ機構(20)に連繋されるアーム部(32)と、該アーム部(32)の先端内面に配備されたエアバック(40)と、を具え、
施療子(30)(30)の各エアバック(40)は、エア給排気装置(60)に連繋されて膨張、収縮するようにしたことを特徴とする枕型マッサージ器。
【請求項2】
アーム部(32)は、先端が上下方向に幅広に構成されたエアバック取付部(33)を有しており、該エアバック取付部(33)にエアバック(40)が取り付けられている請求項1に記載の枕型マッサージ器。
【請求項3】
エアバック取付部(33)は、下部が内側に向けて屈曲している請求項2に記載の枕型マッサージ器。
【請求項4】
収容部(14)には、エア給排気装置(60)に連繋されて膨張、収縮し、膨張した状態で、使用者の首部を支持する支持用エアバック(50)を具え、
支持用エアバック(50)は、施療子(30)(30)によるマッサージを行なわない場合に膨張させて、施療子(30)(30)が使用者の首部に当たらないようにしている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の枕型マッサージ器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−141499(P2006−141499A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332760(P2004−332760)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】