説明

枚葉ワークの除塵装置

【課題】枚葉ワークがエアーの噴出口に吸着することを防止して、スムーズに枚葉ワークに送りを与えることができる枚葉ワークの除塵装置を提供する。
【解決手段】枚葉ワークMに付着した塵Rを取り除くために枚葉ワークMの下面M1 に対応して下除塵ヘッド1を設ける。下除塵ヘッド1が、エアー・塵Rを吸入する上流側吸入口3と下流側吸入口4と、上流側吸入口3と下流側吸入口4との間に設けられると共にエアーを噴出する吐出スリット5を有する下噴出ノズル6と、を備える。吐出スリット5の前後各近傍に、上記枚葉ワークMが下除塵ヘッド本体9の上面9aに接触するのを防ぐための枚葉ワーク接触防止回転体7を空転自在に付設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枚葉ワークの除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枚葉ワークの除塵装置として、枚葉ワークにエアーを噴出・吸入して塵を除去するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来の枚葉ワークは厚さ寸法が 0.5mm〜 2.8mmだったところ、近年の枚葉ワークは0.2mm 〜0.3mm と薄肉化しており、枚葉ワークがたわみやすいという欠点があった。さらに、図5(A)に示すように、エアーの噴出口Eから流速が大きいエアーが噴出されると、上述の薄肉の枚葉ワークXがベルヌーイの原理にもとづいて図5(B)から(A)のように下方のエアーの噴出口Eの近傍に吸着して送りが止まるという欠点があった。図5(B)は、枚葉ワークXが吸着する直前のエアーの流れを示し、このとき、ベルヌーイの原理によって、枚葉ワークXに吸着力Fがはたらく。
【特許文献1】特許第3975205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、枚葉ワークがたわむ点である。また、枚葉ワークがエアーの噴出口の近傍に吸着して送りが止まる点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明に係る枚葉ワークの除塵装置は、枚葉ワークに付着した塵を取り除くために該枚葉ワークの下面に対応して下除塵ヘッドを設け、該下除塵ヘッドが、エアー・塵を吸入する上流側吸入口と下流側吸入口と、該上流側吸入口と下流側吸入口との間に設けられると共にエアーを噴出する吐出スリットを有する下噴出ノズルと、を備え、上記吐出スリットの前後各近傍に、上記枚葉ワークが下除塵ヘッド本体の上面に接触するのを防ぐための枚葉ワーク接触防止回転体を空転自在に付設したものである。
また、上記枚葉ワーク接触防止回転体の直径寸法Dを 2.0mm≦D≦ 4.0mmに設定するとともに、上記吐出スリットと上記枚葉ワーク接触防止回転体の軸心との距離寸法Wを 2.1mm≦W≦ 3.0mmに設定したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の枚葉ワークの除塵装置によれば、特に薄肉の枚葉ワーク(例えば、 0.2〜 0.3mm程度のガラス)がたわむことを防止することができ、枚葉ワークがエアーの噴出口の近傍に吸着することを防止して、スムーズに枚葉ワークに送りを与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜図4は、本発明の実施の一形態を示し、この枚葉ワークの除塵装置は、(例えばガラスから成る)枚葉ワークMの両面に(下除塵ヘッド1及び上除塵ヘッド2から)エアーを吹き付けたのち吸入して、枚葉ワークMに付着した塵Rを両面同時に除去するように構成されている。すなわち、枚葉ワークMに付着した塵Rを取り除くために枚葉ワークMの下面M1 に対応して下除塵ヘッド1が設けられるとともに、枚葉ワークMの上面M2 に対応して上除塵ヘッド2が設けられる。
【0008】
下除塵ヘッド1が、エアー・塵Rを吸入する上流側吸入口3と下流側吸入口4と、上流側吸入口3と下流側吸入口4との間に設けられると共にエアーを噴出する吐出スリット5を有する下噴出ノズル6と、を備える。
【0009】
吐出スリット5の前後各近傍に、枚葉ワークMが下除塵ヘッド本体9の上面9aに接触するのを防ぐための枚葉ワーク接触防止回転体7が空転自在に付設されている。枚葉ワーク接触防止回転体7は、図4(A)に示すようなミニチュアベアリングに樹脂コーティングしたもの、ミニチュアベアリングにセラミックコーティングしたもの、又は、セラミック等から成る。あるいは、図4(B)のように各枚葉ワーク接触防止回転体7が、孔付の複数の短筒体7aとこれを串挿状に挿通した枢支軸7bから構成する。
【0010】
枚葉ワーク接触防止回転体7の直径寸法Dが 2.0mm≦D≦ 4.0mmに設定されている。直径寸法DがD< 2.0mmの場合、突出高さHが小さくなり、枚葉ワークMが吐出スリット5に吸着される虞れがある。直径寸法Dが 4.0mm<Dの場合、吐出スリット5と枚葉ワーク接触防止回転体7の軸心8との距離寸法Wが大きくなり、枚葉ワークMが吐出スリット5に吸着される虞れがある。
【0011】
吐出スリット5と枚葉ワーク接触防止回転体7の軸心8との距離寸法Wが 2.1mm≦W≦ 3.0mmに設定されている。距離寸法WがW< 2.1mmの場合、下噴出ノズル6の形成部6aが強度不足になる虞れがある。距離寸法Wが 3.0mm<Wの場合、枚葉ワークMが吐出スリット5に吸着される虞れがある。
【0012】
枚葉ワーク接触防止回転体7の下除塵ヘッド本体9からの突出高さHが 1.0mm≦H≦ 2.1mmに設定されている。突出高さHが 1.0mm<Hの場合、枚葉ワークMが吐出スリット5に吸着される虞れがある。突出高さHが 2.1mm<Hの場合、枚葉ワーク接触防止回転体7を下除塵ヘッド本体9に付設するのが困難になる。
【0013】
ところで、図1〜図3に於て、他の構成を説明すると、10は超音波発生用溝部を示す。枚葉ワークMは、図1・図2の矢印Y方向に流れる。そして、受けローラ13、受けローラ11、受けローラ12、受けローラ14に支持される。上流側吸入口3は、内側吸入口31及び外側吸入口32から成る。下流側吸入口4は、内側吸入口41及び外側吸入口42から成る。
【0014】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、上除塵ヘッド2を省略するも良い。
【0015】
以上のように、本発明は、枚葉ワークMに付着した塵Rを取り除くために枚葉ワークMの下面M1 に対応して下除塵ヘッド1を設け、下除塵ヘッド1が、エアー・塵Rを吸入する上流側吸入口3と下流側吸入口4と、上流側吸入口3と下流側吸入口4との間に設けられると共にエアーを噴出する吐出スリット5を有する下噴出ノズル6と、を備え、吐出スリット5の前後各近傍に、枚葉ワークMが下除塵ヘッド本体9の上面9aに接触するのを防ぐための枚葉ワーク接触防止回転体7を空転自在に付設したので、枚葉ワークMがたわむことを防止することができる。また、枚葉ワークMがエアーの噴出口(下噴出ノズル6)の近傍に吸着することを防止して、スムーズに枚葉ワークMに送りを与えることができる。
また、枚葉ワーク接触防止回転体7の直径寸法Dを 2.0mm≦D≦ 4.0mmに設定するとともに、吐出スリット5と枚葉ワーク接触防止回転体7の軸心8との距離寸法Wを 2.1mm≦W≦ 3.0mmに設定したので、枚葉ワークMがエアーの噴出口(下噴出ノズル6)に吸着することを確実に防止して、スムーズに枚葉ワークMに送りを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の一形態の使用状態を示す平面図である。
【図2】要部拡大正面図である。
【図3】さらなる要部拡大正面図である。
【図4】枚葉ワーク接触防止回転体の実施例を示す斜視図である。
【図5】従来例を示す要部断面正面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 下除塵ヘッド
3 上流側吸入口
4 下流側吸入口
5 吐出スリット
6 下噴出ノズル
7 枚葉ワーク接触防止回転体
8 軸心
9 下除塵ヘッド本体
9a 上面
D 直径寸法
M 枚葉ワーク
1 下面
R 塵
W 距離寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉ワーク(M)に付着した塵(R)を取り除くために該枚葉ワーク(M)の下面(M1 )に対応して下除塵ヘッド(1)を設け、該下除塵ヘッド(1)が、エアー・塵(R)を吸入する上流側吸入口(3)と下流側吸入口(4)と、該上流側吸入口(3)と下流側吸入口(4)との間に設けられると共にエアーを噴出する吐出スリット(5)を有する下噴出ノズル(6)と、を備え、上記吐出スリット(5)の前後各近傍に、上記枚葉ワーク(M)が下除塵ヘッド本体(9)の上面(9a)に接触するのを防ぐための枚葉ワーク接触防止回転体(7)を空転自在に付設したことを特徴とする枚葉ワークの除塵装置。
【請求項2】
上記枚葉ワーク接触防止回転体(7)の直径寸法(D)を 2.0mm≦D≦ 4.0mmに設定するとともに、上記吐出スリット(5)と上記枚葉ワーク接触防止回転体(7)の軸心(8)との距離寸法(W)を 2.1mm≦W≦ 3.0mmに設定した請求項1記載の枚葉ワークの除塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−58032(P2010−58032A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225516(P2008−225516)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(500469109)有限会社タクショー (4)
【Fターム(参考)】