説明

枚葉基板の移載装置並びにそれに用いる収納装置及びハンド

【課題】大形のガラス基板等の枚葉基板をその自重による撓み量が小さくなるようにし、曲げ応力に起因する枚葉基板の変形や破損を防止することができる枚葉基板の移載装置を提供すること。
【解決手段】収納装置1の両側から対向方向にそれぞれ支持部を延設する一方、収納装置1に挿入した移載機のハンド4を前記支持部の間で昇降させることにより枚葉基板の出し入れを行う枚葉基板5の移載装置において、前記支持部を、対向する支持部間に間隙を設けて形成した複数の並列する支持部材3a、3bで構成するとともに、前記ハンド4を、ハンド4の昇降位置で、前記並列する支持部材3a、3bの間に位置する複数の幅方向の横ハンド支持部41と、前記対向する支持部材3a、3bの間に位置し、前記横ハンド支持部41を連結する長さ方向の縦ハンド支持部42とにより構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枚葉基板の移載装置に関し、特に、大形のガラス基板等の枚葉基板をその自重による撓み量が小さくなるようにし、曲げ応力に起因する枚葉基板の変形や破損を防止することができる枚葉基板の移載装置及びそれに用いる収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶等のガラス基板は、互いに接触しないように分離して収容するために、専用のガラス基板収納用カセット等の収納装置に収納される。
このガラス基板収納用カセットは、例えば、大形の液晶ガラス基板の製造ラインにおいて、製造装置間で液晶ガラス基板を搬送したり、一時貯留する場合に使用される。
【0003】
ガラス基板収納用カセットは、図9に示すように、箱形のカセット本体1の両側壁2a、2bから対向方向にそれぞれ複数の並列する支持部3a’、3b’を延設するとともに、カセット本体1に挿入した移載機のハンド4’を支持部3a’、3b’の間で昇降させることによりガラス基板5の出し入れを行うようにしている。
カセット本体1は、二股フォーク状のハンド4’の昇降を許容するために、カセット本体1の幅方向中央部に広い空間を必要とし、これにより、支持部3a’、3b’は左右の側壁2a、2bから比較的短く突出するように形成されている。
【0004】
この場合、カセット本体1の中に収納されたガラス基板5は、カセット本体1の左右の側壁2a、2bからそれぞれ延設された支持部3a’、3b’に支持され、収納されたガラス基板5の自重による撓みを小さくするように配慮されている。
【0005】
また、カセット本体1へのガラス基板5の出し入れに使用される移載機のハンド4’は、このハンド4’によりガラス基板5を持ち上げた状態でガラス基板2の撓みが大きくならないように、ハンド4’の幅方向寸法Lが決められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、近年、ガラス基板の大形化、薄形化が進むことにより、剛性の大きいガラス基板であってもその撓みが過大になるため、上記従来の支持部の長さが短く制約されるようなガラス基板収納用カセットや二股フォーク状のハンドでは、ガラス基板の自重による撓みが大きくなり、この撓みによりガラス基板自身が大きな曲げ応力を受ける結果、ガラス基板が変形したり、破損しやすくなるという問題があった。
すなわち、図10に示すように、ガラス基板5のサイズが図9の場合よりさらに大きくなると、カセット本体1に収納されたガラス基板5は、自重により大きな曲げを受けるが、この曲げを解消するために、支持部3a’、3b’をガラス基板5の幅方向中央部まで延ばそうとすると、ハンド4’の幅方向寸法Lを小さくしなければならない。
しかし、ハンド4’の幅方向寸法Lを小さくすると、ハンド4’に載せられているガラス基板5の撓みは、図10(c)に点線にて示す状態となり、ガラス基板5が大きな曲げを受け、変形したり、破損しやすくなる。
【0007】
本発明は、上記従来の枚葉基板の移載装置が有する問題点に鑑み、大形のガラス基板等の枚葉基板をその自重による撓み量が小さくなるようにし、曲げ応力に起因する枚葉基板の変形や破損を防止することができる枚葉基板の移載装置及びそれに用いる収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本第1発明の枚葉基板の移載装置は、収納装置の両側から対向方向にそれぞれ支持部を延設する一方、収納装置に挿入した移載機のハンドを前記支持部の間で昇降させることにより枚葉基板の出し入れを行う枚葉基板の移載装置において、前記支持部を、対向する支持部間に間隙を設けて形成した複数の並列する支持部材で構成するとともに、前記ハンドを、ハンドの昇降位置で、前記並列する支持部材の間に位置する複数の幅方向の横ハンド支持部と、前記対向する支持部材の間に位置し、前記横ハンド支持部を連結する長さ方向の縦ハンド支持部とにより構成したことを特徴とする。
【0009】
この場合において、前記ハンドを、ハンドの昇降位置で、前記並列する支持部の間隙を通過可能な複数の幅方向の横ハンド支持部と、該横ハンド支持部を各々連結する幅方向に間隙を設けて並設した1対の縦ハンド支持部とにより構成することができる。
【0010】
また、同じ目的を達成するため、本第2発明の枚葉基板の移載装置は、収納装置の両側から対向方向にそれぞれ支持部を延設する一方、収納装置に挿入した移載機のハンドを前記支持部の間で昇降させることにより枚葉基板の出し入れを行う枚葉基板の移載装置において、前記支持部の中間位置に補助支持部を並設するとともに、前記ハンドを、ハンドの昇降位置で、前記並列する支持部間に位置する複数の幅方向の横ハンド支持部と、該横ハンド支持部を各々連結する幅方向に間隙を設けて並設した1対の縦ハンド支持部とにより構成したことを特徴とする。
【0011】
また、同じ目的を達成するため、本第3発明の枚葉基板の移載装置は、収納装置の両側から対向方向にそれぞれ支持部を延設する一方、収納装置に挿入した移載機のハンドを前記支持部の間で昇降させることにより枚葉基板の出し入れを行う枚葉基板の移載装置において、前記支持部の中間位置に補助支持部を並設するとともに、前記ハンドを、幅方向に間隙を設けて並設した1対の幅広の縦ハンド支持部により構成したことを特徴とする。
【0012】
さらに、上記本第1発明の枚葉基板の移載装置に用いられる収納装置は、収納装置の両側から対向方向にそれぞれ支持部を延設する一方、収納装置に挿入した移載機のハンドを前記支持部の間で昇降させることにより枚葉基板の出し入れを行う収納装置において、前記支持部を、対向する支持部間に間隙を設けて形成した複数の並列する支持部材で構成するとともに、対向する支持部材間に、ハンドの昇降位置で前記並列する支持部材の間に位置する複数の幅方向の横ハンド支持部を連結する長さ方向の縦ハンド支持部が通過可能な間隙を設けて形成したことを特徴とする。
【0013】
この場合において、前記支持部を同形状に形成して、収納装置の内部に上下に複数、段状に形成することができる。
【0014】
そして、1対の幅広の縦ハンド支持部の間に補助縦ハンド支持部を並設するようにしたり、収納装置の両側から対向方向に延設した支持部の中間位置に補助支持部を並設することができる。
【0015】
また、支持部の上面に、枚葉基板を直接支持する緩衝部材を設けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の枚葉基板の移載装置及びそれに用いる収納装置によれば、収納装置の支持部又は移載機のハンド支持部による枚葉基板の支持を、枚葉基板の広い範囲に拡大することができ、大形の枚葉基板をその自重による撓み量が小さくなるようにし、曲げ応力に起因する枚葉基板の変形や破損を防止することができ、これにより、高品質の枚葉基板加工製品を得ることができる。
【0017】
そして、特に、移載機のハンドを、幅方向に間隙を設けて並設した1対の縦ハンド支持部により構成したことから、ハンドの厚さを薄く形成してもハンドの剛性を高めることが可能となり、ハンドの挿入スペースを低減して収納装置単位容量当たりの枚葉基板の収納枚数を増大することができる。
【0018】
また、前記支持部を同形状に形成して、収納装置の内部に上下に複数、段状に配設することにより、多数のガラス基板をカセットに収納することができる。
【0019】
また、補助縦ハンド支持部や補助支持部を並設することにより、より大形の枚葉基板の取り扱いが可能となる。
【0020】
さらに、支持部の上面に、枚葉基板を直接支持する緩衝部材を設けることにより、枚葉基板の受け渡しを円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の枚葉基板の移載装置及びそれに用いる収納装置の実施の形態を、図面に基づいて、ガラス基板を移載対象物とする例について説明する。
【0022】
図1〜図2に、本発明の枚葉基板の移載装置及びそれに用いる収納装置の第1実施例を示す。
この枚葉基板の移載装置は、別の移載装置と組み合わせて使用されるもので、収納装置としての箱形のカセット本体1の左右両側壁2a、2bから対向方向にそれぞれ複数の並列する支持部材3a、3bを延設するとともに、カセット本体1に挿入した移載機40のハンド4を、支持部材3a、3bの間で昇降させることによりガラス基板5の出し入れを行うように構成されている。
そして、本実施例では、かかる枚葉基板の移載装置において、前記ガラス基板5の支持部材3a、3bを、対向する支持部材3a、3b間に所定の間隙7を設けて形成するとともに、前記ハンド4を、ハンド4の昇降位置で、前記並列する支持部材3a又は支持部材3bの間に位置する複数の幅方向の横ハンド支持部41と、前記対向する支持部材3a、3bの間に位置し、前記横ハンド支持部41を連結する長さ方向の縦ハンド支持部42とにより構成している。
さらに、この枚葉基板の移載装置では、前記支持部材3a、3bを同形状に形成して、カセット本体1の内部に上下に複数、段状に配設している。
【0023】
支持部材3a、3bは、図1(a)に示すように、1枚のガラス基板5を水平に支持するために、同一平面上に設置されており、左右の側壁2a、2bの支持部材3a、3bが奥行き方向で同じ位置となるように、5本ずつの支持部材3a、3bが左右の側壁2a、2bにそれぞれ並列に配設されている。
そして、左右の側壁2a、2bの支持部材3a、3bは、それぞれカセット本体1の幅方向中央付近まで水平に延設されている。
また、図1(b)に示すように、支持部材3a、3bの上部には、ガラス基板5を直接支持する、例えば、合成ゴム等の弾性体等で形成した突起状(又は突条状)の緩衝部材6が設けられており、この実施例では左右1対の支持部材3a、3bにおいて、ガラス基板5を中央付近の2点と端部付近の2点の4点で支持するようにしているが、6点以上で支持することも可能である。
かくして、このカセット本体1の幅方向中央付近まで延長された支持部材3a、3bは、ガラス基板5の自重による撓み量を小さくすることができ、これにより、収納時の曲げ応力に起因するガラス基板5の破損を防止することができる。
【0024】
また、ハンド4の横ハンド支持部41と縦ハンド支持部42は、ガラス基板5を水平に移載するために、同一平面上に一体に形成されており、また、これらの横ハンド支持部41と縦ハンド支持部42は、ハンド4の昇降位置で支持部材3a、3bと干渉しない位置に形成されている。
横ハンド支持部41は、カセット本体1の幅方向中央部から左右の側壁2a、2b付近までそれぞれ延設された板状のものからなる。
縦ハンド支持部42は、カセット本体1の幅方向中央部で上記複数の横ハンド支持部41を連結する長尺の板状のものからなる。
ハンド4は、このような横ハンド支持部41と縦ハンド支持部42を備えることにより、大型のガラス基板5をその自重による撓み量が小さくなるように移載し、搬送時の曲げ応力に起因するガラス基板5の破損を防止することができる。
【0025】
そして、本実施例の枚葉基板の移載装置では、図1に示すように、ガラス基板5を支持する支持部材3a、3bを、対向する支持部材3a、3b間に所定の間隙7を設けて形成するとともに、前記ハンド4を、ハンド4の挿入位置で、並列する支持部材3a又は支持部材3bの間に配設される複数の横ハンド支持部41と、前記対向する支持部材3a、3bの間に配設され前記横ハンド支持部41を連結する縦ハンド支持部42とにより構成したことから、前記支持部材3a、3bをガラス基板5の中央部付近まで延設することができ、これにより、大型のガラス基板5をその自重による撓み量が小さくなるように収容し、収納時の曲げ応力に起因するガラス基板5の破損を防止することができる。
【0026】
さらに、移載機のハンド4を、ハンド4の挿入位置で、並列する支持部材3a又は支持部材3bの間に配設される複数の幅方向の横ハンド支持部41と、前記対向する支持部材3a、3bの間に配設され前記横ハンド支持部41を連結する縦ハンド支持部42とにより形成したことにより、ハンド4の幅方向寸法Lをガラス基板5の端部付近まで大きくすることができ、これにより、大型のガラス基板5をその自重による撓み量が小さくなるように移載し、搬送時の曲げ応力に起因するガラス基板5の破損を防止することができる。
【0027】
ちなみに、本実施例の枚葉基板の移載装置では、サイズが1200×1000ミリ程度、さらに必要に応じて、2000×1700ミリ以上の液晶ガラス基板5を有効に収納し且つ移載することができる。
【0028】
次に、図3を参照して、本発明の枚葉基板の移載装置及びそれに用いる収納装置の第2実施例を説明する。
この第2実施例の移載装置と組み合わされる枚葉基板の移載装置は、第1実施例と同様に、箱形のカセット本体1の左右両側壁2a、2bから対向方向にそれぞれ複数の並列する支持部材3a又は支持部材3bを延設するとともに、カセット本体1に挿入した移載機のハンド4を、支持部材3a、3bの間で昇降させることによりガラス基板5の出し入れを行うように構成されている。
そして、前記ガラス基板5の支持部材3a、3bを、対向する支持部材3a、3b間に所定の間隙7を設けて形成するとともに、前記ハンド4を、ハンド4の昇降位置で、前記並列する支持部材3a又は支持部材3bの間に位置する複数の幅方向の横ハンド支持部41と、前記対向する支持部材3a、3bの間に位置し、前記横ハンド支持部41を連結する長さ方向の縦ハンド支持部42とにより構成している。
さらに、前記支持部材3a、3bを同形状に形成して、カセット本体1の内部に上下に複数、段状に配設している。
【0029】
支持部材3a、3bは、図3(a)に示すように、ガラス基板5を水平に支持するために、同一平面上に設置されており、左右の側壁2a、2bの支持部材3a、3bが奥行き方向で同じ位置となるように、5本ずつの支持部材3a又は支持部材3bが並列に配設されている。
そして、左右の側壁2a、2bの支持部材3a、3bは、対向する支持部材3a、3b間に所定の間隙7を有するように形成されるが、この間隙7の位置がカセット本体1の開口部1aから奥行き方向に交互に左右にずれている。
すなわち、開口部1aから1番目、3番目及び5番目の支持部材3a、3bでは、左の側壁2aの支持部材3aが右の側壁2bの支持部材3bより長く形成されるとともに、2番目及び4番目の支持部材3a、3bでは、右の側壁2bの支持部材3bが左の側壁2aの支持部材3aより長く形成されている。
なお、図3(b)に示すように、支持部材3a、3bの上部には、第1実施例と同様に、ガラス基板5を直接支持する緩衝部材が設けられている。
この交互に延長された支持部材3a、3bは、支持部材3a、3b間の間隙7の位置を分散させることにより、さらにガラス基板5の自重による撓み量を小さくすることができ、これにより、収納時の曲げ応力に起因するガラス基板5の破損を防止することができる。
【0030】
一方、ハンド4の横ハンド支持部41と縦ハンド支持部42は、ガラス基板5を水平に移載するために、同一平面上に一体に形成されている。
横ハンド支持部41は、カセット本体1の幅方向中央部から左右の側壁2a、2b付近までそれぞれ延設された板状のものからなる。
縦ハンド支持部42は、支持部材3a、3b間の間隙7の位置で、上記複数の横ハンド支持部41をジグザグ状に連結する長さ方向の板状のものからなる。
ハンド4は、このような横ハンド支持部41と、位置を交互にずらせた縦ハンド支持部42を備えることにより、さらにガラス基板5の自重による撓み量を小さくすることができ、これにより、移載時の曲げ応力に起因するガラス基板5の破損を防止することができる。
【0031】
次に、図4〜図5に、本発明の枚葉基板の移載装置及びそれに用いる収納装置の第3実施例を示す。
この枚葉基板の移載装置は、ガラス基板を対象とし、別の移載装置と組み合わせて使用されるもので、収納装置としての箱形のカセット本体1の左右両側壁2a、2bから対向方向にそれぞれ複数の並列する支持部3a、3bを延設するとともに、カセット本体1に挿入した移載機(図示省略)のハンド4を支持部3a、3bの間で昇降させることによりガラス基板5の出し入れを行うように構成されている。
【0032】
そして、本実施例では、かかる枚葉基板の移載装置において、ガラス基板5の支持部3a、3bを、対向する支持部3a、3b間に所定寸法の間隙7を設けて形成するとともに、前記ハンド4を、ハンド4の昇降位置で、前記並列する支持部3a又は支持部3bの間隙を通過可能な複数の幅方向の横ハンド支持部41と、前記対向する支持部3a、3bの間に間隙をあけて並設され、左右の横ハンド支持部41を各々連結する幅方向に間隙を設けて並設した1対の縦ハンド支持部42とにより構成している。
また、この枚葉基板の移載装置では、前記支持部3a、3bを同形状に形成して、カセット本体1の内部に上下に複数、段状に配設している。
【0033】
支持部3a、3bは、図4(a)に示すように、1枚のガラス基板5を水平に支持するために、同一平面上に設置されており、左右の側壁2a、2bの支持部3a、3bが奥行き方向で同じ位置となるように、5本ずつの支持部3a、3bが左右の側壁2a、2bにそれぞれ並列に配設されている。
そして、左右の側壁2a、2bの支持部3a、3bは、それぞれカセット本体1の幅方向中央付近まで水平に延設されている。
【0034】
また、図4(b)に示すように、支持部3a、3bの上面には、ガラス基板5を直接支持する緩衝部材6が設けられており、この実施例では左右1対の支持部3a、3bにおいて、ガラス基板5を中央付近の2点と端部付近の2点の4点で支持するようにしているが、6点以上で支持することも可能である。
【0035】
かくして、このカセット本体1の幅方向中央付近まで延長された支持部3a、3bは、ガラス基板5の自重による撓み量を小さくすることができ、これにより、収納時の曲げ応力に起因するガラス基板5の変形や破損を防止することができるものとなる。
【0036】
また、ハンド4の横ハンド支持部41と縦ハンド支持部42は、ガラス基板5を水平に移載するために、同一平面上に一体に形成されており、また、これらの横ハンド支持部41と縦ハンド支持部42は、ハンド4の昇降位置で支持部3a、3bと干渉しない位置に形成されている。
【0037】
横ハンド支持部41は、カセット本体1の幅方向中央部から左右の側壁2a、2b付近までそれぞれ延設された板状のものからなる。
【0038】
縦ハンド支持部42は、幅方向に所定寸法の間隙を設けて並設された1対の長尺板からなり、各々の縦ハンド支持部42が、左右の横ハンド支持部41をそれぞれ連結している。
【0039】
ハンド4は、このような横ハンド支持部41と縦ハンド支持部42を備えることにより、大形のガラス基板5をその自重による撓み量が小さくなるように移載し、搬送時の曲げ応力に起因するガラス基板5の変形や破損を防止することができる。
【0040】
このように、本実施例の枚葉基板の移載装置では、図4に示すように、ガラス基板5を支持する支持部3a、3bを、対向する支持部3a、3b間に所定寸法の間隙7を設けて形成するとともに、前記ハンド4を、ハンド4の挿入位置で、並列する支持部3a又は3bの間に配設される複数の横ハンド支持部41と、前記対向する支持部3a、3bの間に配設され前記横ハンド支持部41を連結する縦ハンド支持部42とにより構成したことから、前記支持部3a、3bをガラス基板5の中央部付近まで延設することができ、これにより、大形のガラス基板5をその自重による撓み量が小さくなるように収容し、収納時の曲げ応力に起因するガラス基板5の変形や破損を防止することができる。
【0041】
そして、移載機のハンド4を、ハンド4の挿入位置で、並列する支持部3a又は支持部3bの間に配設される複数の幅方向の横ハンド支持部41と、前記対向する支持部3a、3bの間に配設され前記横ハンド支持部41を連結する縦ハンド支持部42とにより形成したことにより、ハンド4の幅方向寸法Lをガラス基板5の端部付近まで大きくすることができ、これにより、大形のガラス基板5をその自重による撓み量が小さくなるように移載し、搬送時の曲げ応力に起因するガラス基板5の変形や破損を防止することができる。
【0042】
ちなみに、本実施例の枚葉基板の移載装置では、サイズが1200×1000ミリ程度、さらに必要に応じて、2000×1700ミリ以上の液晶ガラス基板5を有効に収納し且つ移載することができる。
【0043】
また、ハンド4の縦ハンド支持部42を左右に分割するように形成したことにより、各縦ハンド支持部42の負荷を軽減して、ハンド4の剛性を高めるとともに、例えば、図5及び図6に示すような、収納装置として中央に縦に補助支持部81を備えるような台座8にも対応してガラス基板5の移載を行うことができる。
この台座8は、ガラス基板5を左右の支持部82と中央の補助支持部81とで支持するもので、図6は、幅方向に間隙を設けて並設した1対の幅広(ガラス基板5の幅寸法Lのそれぞれ20%以上の幅方向寸法Lを有する)の縦ハンド支持部43によるガラス基板5の台座8への移載状態を示しており、この実施例に示すように、縦ハンド支持部43を幅広に形成した場合には、横ハンド支持部41を省略することができる。
【0044】
このほか、図7及び図8に示すように、1対の幅広の縦ハンド支持部42の間に、1本又はそれ以上の補助縦ハンド支持部42aを並設するようにしたり、収納装置としてのカセット本体1や台座8の両側から対向方向に延設した支持部2a、2b、82の中間位置に、1本又はそれ以上の補助支持部2c、2d、81を並設することができる。
このように、補助縦ハンド支持部42aや補助支持部2c、2d、81を並設することにより、より大形のガラス基板5の取り扱いが可能となる。
【0045】
以上、本発明の枚葉基板の移載装置について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる(収納装置としてのカセット本体の構成を台座に適用したり、逆に、台座の構成をカセット本体に適用する等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができ、また、移載機との間で枚葉基板を受け渡しを行う装置もカセットや台座に限定されるものでない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の枚葉基板の移載装置及びそれに用いる収納装置は、大形のガラス基板等の枚葉基板をその自重による撓み量が小さくなるようにし、曲げ応力に起因する枚葉基板の変形や破損を防止することができることから、枚葉基板の移載装置及びそれに用いる収納装置に広く適用することができ、さらに、移載対象もガラス基板以外の枚葉基板に広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の枚葉基板の移載装置の第1実施例を示し、(a)は天板を省略した平面図、(b)は正面図である。
【図2】同実施例の枚葉基板の移載装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の枚葉基板の移載装置の第2実施例を示し、(a)は天板を省略した平面図、(b)は正面図である。
【図4】本発明の枚葉基板の移載装置の第3実施例の移載装置によるカセット本体への移載状態を示し、(a)は天板を省略した平面図、(b)は正面図、(c)はハンドの縦ハンド支持部の側面図である。
【図5】同移載装置による台座への移載状態を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図である。
【図6】本発明の枚葉基板の移載装置の第4実施例の移載装置による台座への移載状態を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図である。
【図7】本発明の枚葉基板の移載装置の第5実施例の移載装置によるカセット本体への移載状態を示す天板を省略した平面図である。
【図8】同移載装置による台座への移載状態を示す平面図である。
【図9】従来の枚葉基板の移載装置を示し、(a)は天板を省略した平面図、(b)は正面図、(c)はハンドの幅方向寸法とガラス基板の撓みとの関係を示す説明図である。
【図10】従来の大型枚葉基板の移載装置を示し、(a)は天板を省略した平面図、(b)は正面図、(c)はハンドの幅方向寸法とガラス基板の撓みとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 カセット本体(収納装置)
1a 開口部
2a 左の側壁
2b 右の側壁
2c 補助支持部
3a 左の支持部
3b 右の支持部
4 ハンド
40 移載機
41 横ハンド支持部
42 縦ハンド支持部
42a 補助縦ハンド支持部
43 縦ハンド支持部
5 ガラス基板(枚葉基板)
6 緩衝部材
7 間隙
8 台座(収納装置)
81 中央の補助支持部
82 左右の支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納装置の両側から対向方向にそれぞれ支持部を延設する一方、収納装置に挿入した移載機のハンドを前記支持部の間で昇降させることにより枚葉基板の出し入れを行う枚葉基板の移載装置において、前記支持部を、対向する支持部間に間隙を設けて形成した複数の並列する支持部材で構成するとともに、前記ハンドを、ハンドの昇降位置で、前記並列する支持部材の間に位置する複数の幅方向の横ハンド支持部と、前記対向する支持部材の間に位置し、前記横ハンド支持部を連結する長さ方向の縦ハンド支持部とにより構成したことを特徴とする枚葉基板の移載装置。
【請求項2】
前記ハンドを、ハンドの昇降位置で、前記並列する支持部の間隙を通過可能な複数の幅方向の横ハンド支持部と、該横ハンド支持部を各々連結する幅方向に間隙を設けて並設した1対の縦ハンド支持部とにより構成したことを特徴とする請求項1記載の枚葉基板の移載装置。
【請求項3】
収納装置の両側から対向方向にそれぞれ支持部を延設する一方、収納装置に挿入した移載機のハンドを前記支持部の間で昇降させることにより枚葉基板の出し入れを行う枚葉基板の移載装置において、前記支持部の中間位置に補助支持部を並設するとともに、前記ハンドを、ハンドの昇降位置で、前記並列する支持部間に位置する複数の幅方向の横ハンド支持部と、該横ハンド支持部を各々連結する幅方向に間隙を設けて並設した1対の縦ハンド支持部とにより構成したことを特徴とする枚葉基板の移載装置。
【請求項4】
収納装置の両側から対向方向にそれぞれ支持部を延設する一方、収納装置に挿入した移載機のハンドを前記支持部の間で昇降させることにより枚葉基板の出し入れを行う枚葉基板の移載装置において、前記支持部の中間位置に補助支持部を並設するとともに、前記ハンドを、幅方向に間隙を設けて並設した1対の幅広の縦ハンド支持部により構成したことを特徴とする枚葉基板の移載装置。
【請求項5】
1対の幅広の縦ハンド支持部の間に補助縦ハンド支持部を並設したことを特徴とする請求項2、3又は4記載の枚葉基板の移載装置。
【請求項6】
支持部の上面に、枚葉基板を直接支持する緩衝部材を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の枚葉基板の移載装置。
【請求項7】
収納装置の両側から対向方向にそれぞれ支持部を延設する一方、収納装置に挿入した移載機のハンドを前記支持部の間で昇降させることにより枚葉基板の出し入れを行う収納装置において、前記支持部を、対向する支持部間に間隙を設けて形成した複数の並列する支持部材で構成するとともに、対向する支持部材間に、ハンドの昇降位置で前記並列する支持部材の間に位置する複数の幅方向の横ハンド支持部を連結する長さ方向の縦ハンド支持部が通過可能な間隙を設けて形成したことを特徴とする収納装置。
【請求項8】
前記支持部を同形状に形成して、収納装置の内部に上下に複数、段状に形成したことを特徴とする請求項7記載の収納装置。
【請求項9】
収納装置の両側から対向方向に延設した支持部の中間位置に補助支持部を並設したことを特徴とする請求項7又は8記載の収納装置。
【請求項10】
支持部の上面に、枚葉基板を直接支持する緩衝部材を設けたことを特徴とする請求項7、8又は9記載の収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−244500(P2008−244500A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161455(P2008−161455)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【分割の表示】特願2002−157122(P2002−157122)の分割
【原出願日】平成14年5月30日(2002.5.30)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】