説明

果実包装用容器

【課題】柔軟な発泡樹脂シートからなる緩衝用容器と保形性のある発泡樹脂シートからなる支持容器とよりなる果実包装用容器として、収納凹部の弾力性を抑制しないようにして果実の保護を良好になすことができるようにする。
【解決手段】支持容器20には、緩衝用容器20の周縁部13を受ける側壁部23と、緩衝用容器10の収納凹部11の列間の部分を支持する突出支持部22とを設け、突出支持部22に非凹設部分12もしくはその近傍の一部個所を受ける頂部22aを設けるとともに、少なくとも一つの頂部22a−1を横長に形成し、頂部22aによる支持状態において前記緩衝用容器の前記収納凹部列に沿う方向の動きを規制できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として苺や枇杷、無花果等の果実を1個ずつ個装状態にして包装するための果実包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、苺等の果実、中でも進物用等に使用される比較的大粒の苺の包装用容器としては、苺の表面が比較的柔らかくて他物と当接した部分から傷みが生じ易いことから、弾力性を有する柔軟な発泡樹脂シートから成形された緩衝用の第1の容器と、該容器を受支できるように保形性のある合成樹脂シートから成形された支持用の第2の容器とを組み合わせた果実包装用容器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(実開昭61−144070号公報)及び特許文献2(実開昭62−3465号公報)には、苺等の果実を個装状態に収納できる複数の収納凹部が形成された柔軟な発泡樹脂シートからなる緩衝用の容器と、前記収納凹部を嵌合して支持する保持用凹部が形成された非発泡の合成樹脂製シートからなる支持用の容器とを組み合わせた衝撃吸収性容器が提案されている。特許文献2の場合、非発泡の合成樹脂シートからなる支持用の容器には果実の上部を覆う蓋体も一体に連設されている。
【0004】
前記提案のいずれの容器の場合も、柔軟な発泡樹脂シートよりなる緩衝用の容器の収納凹部を、支持用の容器の保持用凹部に嵌合して吊り下げ状態に支持するものであるが、前記支持用の容器が比較的硬質の非発泡の合成樹脂シートよりなるものであって、殆ど緩衝効果を期待できないものであり、そのため、前記緩衝用の容器の収納凹部が前記保持用凹部に嵌合して周側面が接した状態になると、柔軟な発泡樹脂シートの弾力性が抑えられることになり、該収納凹部に収納される苺等の果実の種類によっては、緩衝効果が損なわれる虞がある。また、前記緩衝用の容器の収納凹部と支持用の容器の保持用凹部とが全周にわたって嵌合することで、柔軟な発泡シートの収納凹部の弾力的な動きや膨らみ変形が規制されることになって、収納される果実の形状や大きさのバラつきに対応できない場合がある。
【0005】
さらに、前記支持用の容器は、前記緩衝用の容器における各収納凹部を、それぞれに対応する保持用凹部に嵌合して支持するものであるため、前記緩衝用の容器と支持用の容器は、一つの組み合わせでしか使用できないものであり、果実の詰め合わせの個数が変化すれば、その個数に応じた前記第1の容器と第2の容器とを共に準備する必要があり、この種の包装用容器のコスト高の一因となっている。
【特許文献1】実開昭61−144070号公報
【特許文献2】実開昭62−3465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者らは、果実を1個ずつ個装できる緩衝用容器とこれを受ける支持容器との組み合わせからなる果実包装用容器において、支持容器の構造を工夫し、緩衝用容器の収納凹部列間の非凹設部分の個所を受ける突出支持部を部分的に設けて、前記緩衝用容器の収納凹部の弾力的な膨らみ変形や弾力性を抑制しないようにして受支することとしたものであるが、この場合、前記突出支持部が部分的に設けられることで、両容器を組み合わせて緩衝用容器を支持容器の突出支持部により受支した状態においては、上側の緩衝用容器が前記収納凹部列に沿う方向に動き易く、特に収納凹部の深さが浅いものほど動き易く、位置ずれが生じて支持状態が不安定になり、ひいては収納した果実の保護効果を損なう虞がある。
【0007】
本発明は、前記の問題をも解決して、支持容器の上に組み合わされる緩衝用容器を、収納凹部列方向のずれ動きの虞のない安定性のよい支持状態を保持できる構造の果実包装用容器を提供するものであり、さらに、前記の支持構造を確保しながら、1種の支持容器に対して収納凹部の個数を異にする少なくとも2種の緩衝用容器を選択的に組み合わせ使用できるようにして、果実包装コストの低減にも寄与できる果実包装用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明は、弾力性を有する柔軟な発泡樹脂シートから成形され、果実を1つずつ収納できる収納凹部が複数列に形成されてなる緩衝用容器と、前記緩衝用容器に比して保形性のある合成樹脂シートから成形され、前記緩衝用容器を受支するトレー形状の支持容器とからなる果実包装用容器であって、前記支持容器は、前記緩衝用容器の周縁部を受ける側壁部を有するとともに、前記緩衝用容器の収納凹部列間に対応する内方部の個所に該収納凹部列間の部分を支持する突出支持部が形成されてなり、該突出支持部は、前記収納凹部列に沿う方向に間隔をおいて複数個所に、前記収納凹部列間における非凹設部分もしくはその近傍の一部個所を受ける頂部が形成されるとともに、該複数の頂部のうちの少なくとも一つの頂部が横長に形成されており、該頂部による支持状態において前記緩衝用容器の前記収納凹部列に沿う方向の動きを規制できるように設けられてなることを特徴とする。
【0009】
この果実包装用容器によれば、その使用において、果実を個装状態に収納する柔軟な発泡樹脂シートからなる緩衝用容器が、保形性のある合成樹脂シートからなる支持容器により支持される。すなわち、前記緩衝用容器は、その周縁部が前記支持容器の側壁部により受支されるとともに、内方部における収納凹部以外の非凹設部分もしくはその近傍の複数個所で前記支持容器に有する突出支持部の複数の頂部により支持される。
【0010】
かかる支持状態においては、前記突出支持部が前記緩衝用容器の収納凹部列間で該収納凹部の外側面に接触するだけであり、該突出支持部が前記収納凹部の弾力性を抑制することがなく、また素材の弾力性を利用した膨らみや変位、特に収納凹部列に沿う方向の弾力的な変位を規制することがなく、輸送中の振動や衝撃に対して良好な緩衝効果を発揮できる。また、収納される果実の大きさや形状のバラつきにも収納凹部の柔軟弾性により対応できる。
【0011】
しかも、前記支持容器の突出支持部に有する複数の頂部のうちの少なくとも一つの頂部が横長に形成されているため、この横長の頂部が前記緩衝用容器の非凹設部分の一部個所に当接して支持した状態において非凹設部分以外の個所に対して収納凹部列に沿う方向に係止した状態になって、前記緩衝用容器の収納凹部列に沿う方向の動きを規制でき、該緩衝用容器を安定性よく所定の位置に保持できる。
【0012】
前記の果実包装用容器において、前記支持容器の突出支持部が、前記緩衝用容器の収納凹部列間の部分に対応して該収納凹部列に沿う方向に連続して形成され、該突出支持部の長手方向に間隔おいて複数個所に前記収納凹部列間の非凹設部分もしくはその近傍の一部個所を受ける頂部が形成されてなるものとすることができる。これにより、前記緩衝用容器の前記突出支持部と交差する方向の動きを該突出支持部により規制でき、該緩衝用容器をさらに安定性よく支持できる。
【0013】
また、前記緩衝用容器は、収納凹部が複数個ずつ縦3列で、前記収納凹部列間に非凹設部分を有するとともに、該非凹設部分の一部個所が前記突出支持部の頂部に対応位置するように各収納凹部が配置形成されてなる容器であり、収納凹部の数を異にする少なくとも2種の容器が、前記支持容器に対して選択的に組み合わせ使用可能であるものとすることもできる。この場合、一種の前記支持容器を果実の詰め合わせの個数の違うものに共通に使用できるため、支持容器の成形上の種別が少なくて済み、該支持容器の成形コストを抑えることができ、緩衝用容器と支持容器とによる果実包装用容器のコスト低減に寄与できる。
【0014】
さらに、前記2種の緩衝用容器は、収納凹部が4個ずつの縦3列で配置形成された12個詰めの容器と、収納凹部が5個ずつの縦3列で配置形成された15個詰めの容器であり、前記支持容器には、前記各収納凹部列間に対応する2列の突出支持部が形成されるとともに、各突出支持部それぞれの長手方向に間隔をおいて複数個所に、前記収納凹部列間の非凹設部分もしくはその近傍の一部個所を受ける頂部が形成されてなるものとすることができる。これにより、1種の支持容器を、12個詰めの緩衝用容器及び15個詰めの緩衝用容器のいずれにも使用できる。
【発明の効果】
【0015】
上記したように、本発明の果実包装用容器は、果実を個装状態に収納する収納凹部を有する柔軟な発泡樹脂シート製の緩衝用容器と、保形性のある発泡樹脂シート性の支持容器とを組み合わせたものにおいて、柔軟な前記緩衝用容器を支持容器により収納凹部列に沿う方向の動きの虞なく安定性よく支持できる。しかも、果実を収納する収納凹部の弾力性を良好に保持き、かつ輸送中の振動に伴う弾力的な膨らみ変形も許容でき、収納される果実の保護を良好になすことができ、また、果実の大きさや形状のバラつきにも容易に対応できる。
【0016】
さらに、1種の支持容器に対して収納凹部の数を異にする少なくとも2種の緩衝用容器を選択的に組み合わせ使用できる構成とすることにより、支持容器の成形上の種別が少なくて済み、該支持容器の成形コストを抑えることができ、緩衝用容器と支持容器とによる果実包装用容器のコスト低減に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の果実包装用容器の実施例を示す緩衝用容器と支持容器とを分離した斜視図、図2は同上の12個詰めの緩衝用容器と支持容器の平面図、図3は12個詰めの緩衝用容器を支持容器に重ねた状態の一部を欠截した平面図、図4は図3のIV−IV線の断面図、図5は図3のV−V線の断面図、図6は図3のVI−VI線の断面図、図7は15個詰めの緩衝用容器の斜視図、図8は同緩衝用容器を支持容器に重ねた状態の一部を欠截した平面図、図9は図7のIX−IX線の断面図である。
【0019】
本発明の果実包装用容器Aは、弾力性を有する柔軟な発泡樹脂シートから真空成形等の成形手段により成形され、包装対象の果実Bを一つずつ個装状態に収納できる複数の収納凹部11が複数列に形成されてなる緩衝用容器10と、前記緩衝用容器10に比して保形性のある合成樹脂シートから真空成形等の成形手段により成形され、前記緩衝用容器10を外形を合わせて受支するトレー形状の支持容器20とからなる。図示する実施例は、包装対象の果実Bが比較的大粒の苺である場合を示している。
【0020】
前記緩衝用容器10の各収納凹部11は、収納される果実Bに対応した任意の形状、大きさ、深さに形成される。例えば、前記果実Bが苺の場合は、平面が苺の形態に対応した変形楕円形状で底部が丸みの有る凹部をなすように凹設されている。
【0021】
図1〜図6の実施例において、前記緩衝用容器10は、収納される果実Bの苺に対応した形状の収納凹部11が4個ずつの縦3列で形成された12個詰めの容器10Aであり、図のように、各列の変形楕円形状の収納凹部11が、縦方向に対して斜め方向をなして並列して凹設され、両側の収納凹部列a,aと中央の収納凹部列bとの各列間に、ある程度の面積を持った非凹設部分12を残すように形成されている。図の場合、各列二つずつの計4つの収納凹部11により囲まれた六つの非凹設部分12が縦横に間隔をおいて形成されている。前記非凹設部分12は、前記各収納凹部列a,b間の間隔によっては縦方向に連続して形成される場合もある。
【0022】
前記支持容器20は、外形が前記緩衝用容器10と対応した形状をなし、前記緩衝用容器10の周縁部13を受ける側壁部23を有するとともに、前記緩衝用容器10の収納凹部列a,b間に対応する内方部の個所に、該収納凹部列a,b間の部分を支持する突出支持部22が底面21から上方向きに突出して形成されている。この突出支持部22には、前記収納凹部列に沿う方向(縦方向)に間隔をおいて複数個所に、前記収納凹部列a,b間における前記非凹設部分12のもしくはその近傍の一部個所を受ける頂部22aが形成されている。これにより、前記緩衝用容器10を内方部の複数個所で受支できるとともに(図3)、この受支状態において前記収納凹部11を支持容器20の底面21から浮かせて支持でき、かつ前記収納凹部11の縦方向の弾力的な変位を許容できるようになっている(図4〜図6)。
【0023】
さらに、前記突出支持部22における複数の頂部22aのうちの少なくとも一つの頂部22a−1が横長に形成されており、前記緩衝用容器10の支持状態において、該頂部22a−1が前記収納凹部11の側部に対し係止状態になることで、該緩衝用容器10の収納凹部列に沿う縦方向の動きを規制できるように設けられている(図4〜図6)。他の長部22aは縦長に形成されて収納凹部列a,b間に嵌り込み易くなっている。
【0024】
前記突出支持部22の各頂部22aは円弧状の丸みがつけられており、前記緩衝用容器10が柔軟な発泡樹脂シート製であることもあって、前記頂部22aが前記比凹設部分12に対してずれた位置において問題なく受支できるようになっている。
【0025】
図の場合、前記緩衝用容器10における各収納凹部列a,b間の各三つの非凹設部分12の配置に合わせて、支持容器20に緩衝用容器10を組み合わせた状態において、前記三つの各非凹設部分12の一部個所と対応する位置の3個所に、前記突出支持部22の頂部22aが設けられており、各頂部22aにより前記非凹設部分12の一部個所を受けるように形成されている。
【0026】
前記突出支持部22は、緩衝用容器10の収納凹部11の個数や列数によっても異なるが、必ずしも図のように各収納凹部列間に設ける必要はなく、また、前記各頂部22a,22a1についても、必ずしも図のように各収納凹部列間の非凹設部分12の各個所に対応して設ける必要がなく、前記緩衝用容器10の内方部を支持できるものであれば、1個所、好ましくは2個所以上の突出支持部22の個所に頂部22aを設けて、該頂部22aの少なくとも一つを図のように横長に形成して実施することができる。
【0027】
また、前記突出支持部22としては、各頂部22a毎に独立して形成しておくことも可能であるが、該突出支持部22にリブ的補強効果を持たせるために、図のように、少なくとも縦横の1方向(図は縦方向)に連続させて形成しておくのが好ましい。特に、相対向する側壁部23に連なって形成されることで前記リブ的補強効果が大きくなる。
【0028】
本発明の果実包装用容器Aは、前記支持容器20の突出支持部22及び頂部22aを利用して、緩衝用容器10が15個詰めの容器10Bである場合にも、前記と同じ支持容器20と組み合わせ使用できるように設けられている。
【0029】
例えば、図7〜図9における緩衝用容器10は、外形が前記12個詰めの容器10Aと同形で、かつ前記12個詰めの容器10Aの収納凹部11よりやや小さい収納凹部11が、5個ずつの縦3列で縦方向に対して平面形状を斜めにして並列するように形成された15個詰めの容器10Bであり、両側の収納凹部列a,aと中央の収納凹部列bとの各列間に、それぞれ4つずつの非凹設部分12が間隔をおいて形成されている。そして、前記収納凹部列a,bの間隔は、前記12個詰めの容器10Aの場合と同間隔とされ、12個詰めの容器10Aの場合と同じ前記支持容器20を用いることにより、前記緩衝用容器10の収納凹部列a,b間を前記突出支持部22により支持でき、かつ該突出支持部22に有する頂部22aにより前記非凹設部分12もしくはその近傍の一部個所を受けることができるように形成されている。
【0030】
特に、前記12個詰めの容器10Aと前記15個詰めの容器10Bとは、収納凹部11の数及び大きさが異なることで、前記非凹設部分12の位置がずれて形成されることになり、例えば、縦方向両端に近い非凹設部分12が一部重なる位置にあっても、内方位置の非凹設部分12の位置がずれることになるので、これを考慮して、前記突出支持部22 の頂部22aは、端部に丸みを付けたり、あるいは横長の頂部22a−1以外の頂部22aの高さを若干低くして、前記非凹設部分12の近傍の個所でも受支できるように形成しておく。
【0031】
これにより、前記15個詰めの容器10Bについても、該突出支持部22の頂部22aにより前記非凹設部分12もしくは祖の近傍の一部個所を受支できる(図8、図9)。すなわち、前記支持容器20は、前記12個詰めと15個詰めの2種の容器10A,10Bに使用できるようになっている。言い換えれば、前記12個詰めと15個詰めの2種の容器10A,10Bは、それぞれ同一形状をなす前記支持容器20に対して選択的に組み合わせ使用できるようになっている。
【0032】
なお、前記12個詰めと15個詰めの2種の容器10A,10B以外の収納凹部11の数を異にする緩衝用容器についても、前記同様に、複数列の収納凹部列間に形成される非凹設部分もしくはその近傍の少なくとも一部個所を、前記支持容器20の突出支持部22の頂部22aにより受けることできるものであれば、前記同様に同一の支持容器20と組み合わせ使用できることになる。
【0033】
上記の緩衝用容器10に使用する柔軟な発泡樹脂シートとしては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びオレフィンを主体とする共重合体等のポリオレフィン系樹脂その他の軟質の合成樹脂の発泡シートが用いられる。中でも、柔軟性があって靱性もあるポリエチレン系樹脂の発泡シートが好適に用いられる。ポリエチレン系樹脂の発泡シートの場合、包装対象の果実の種類や収納する個数によっても異なるが、通常、発泡倍率15〜50倍、厚み0.5〜5mmのものが用いられる。
【0034】
また、前記支持容器20に使用する保形性のよい合成樹脂シートとしては、ポリスチレン及びスチレンを主体とする共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の硬質の合成樹脂シート、あるいは適度に弾力性があって緩衝性が期待できる前記樹脂の発泡シートが用いられる。中でも、成形性がよくて保形性もよいポリスチレン系樹脂の発泡シートが好適に用いられる。ポリスチレン系樹脂の発泡シートの場合、通常、発泡倍率5〜25倍、厚み0.5〜5mmのものが用いられる。
【0035】
上記した実施例の果実包装用容器Aによれば、比較的大粒の苺等の果実Bを包装するのに使用するもので、この使用において、収納凹部11を有する柔軟な発泡樹脂シートからなる緩衝用容器10は、例えば12個詰めの容器10Aと15個詰めの容器10Bのいずれかの容器を、果実Bの詰め合わせ個数に応じて選択して、保形性のある合成樹脂シートからなる支持容器20と組み合わせ使用する。
【0036】
この使用において、前記緩衝用容器10は、12個詰めの容器10A及び15個詰めの容器10Bのいずれの場合にも、その周縁部13が前記支持容器20の側壁部23により受支されるとともに、内方部における収納凹部列a,b間の部分が突出支持部22により支持される。すなわち、収納凹部11以外の非凹設部分12もしくはその近傍の複数個所で前記支持容器20に有する突出支持部22の複数の頂部22aにより支持され、前記収納凹部11が支持容器20の底面21から浮いた状態に保持される(図3〜6、及び図8,9)。
【0037】
この支持状態においては、前記突出支持部22が前記緩衝用容器10の収納凹部列a,b間で収納凹部11の外側面に接触するだけであり、前記突出支持部22が柔軟な前記緩衝用容器10の収納凹部11の弾力性を抑制したり、素材の弾力性を利用した収納凹部11の膨らみや変位を規制することがない。そのため、輸送中の振動や衝撃に対して良好な緩衝効果を発揮できる。また、収納される果実の大きさや形状のバラつきにも容易に対応できる。
【0038】
しかも、前記支持容器20の突出支持部22に有する複数の頂部22aのうちの少なくとも一つの頂部22a−1が横長に形成されているため、この横長の頂部22a−1が前記の支持状態において非凹設部分12以外の個所に対して収納凹部列a,bに沿う方向に係止した状態になって、輸送中の振動等に伴う前記緩衝用容器10の収納凹部列に沿う方向の動きを規制でき、該緩衝用容器10を所定の位置に位置決めして安定性よく保持できる。
【0039】
すなわち、前記支持容器20における突出支持部22が図のように縦方向に連続して形成され、該突出支持部22の長手方向に間隔をおいて形成される頂部が通常の縦長のものであると、これにより支持した緩衝用容器10が輸送中の振動等によって縦方向にずれ動く虞があるが、本発明の場合、前記のように突出支持部22における少なくとも一つの頂部22a−1を横長にして、非凹設部分12以外の個所に係止する構造としたことにより、前記のようにずれ動きの虞なく安定性よく保持できる。
【0040】
また、一種の支持容器20に対して、緩衝用容器10として、例えば12個詰めの容器10A及び15個詰めの容器10B等の2種以上の容器の一種を選択的に使用できて、一種の前記支持容器20を詰め合わせの個数の違うものに共通に使用できるため、詰め合わせ個数毎に戸別に成形された支持容器を準備する必要がなく、支持容器の種別を少なくでき、製造上において支持容器10の成形金型の種別も少なくて済み、成形コストを抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の果実包装用容器は、苺や枇杷、無花果等の果実を1個ずつ個装状態にして包装するための果実包装用容器に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の果実包装用容器の実施例を示す緩衝用容器と支持容器とを分離した斜視図である。
【図2】同上の12個詰めの緩衝用容器と支持容器の平面図である。
【図3】12個詰めの緩衝用容器を支持容器に重ねた状態の一部を欠截した平面図である。
【図4】図3のIV−IV線の断面図である。
【図5】図3のV−V線の断面図である。
【図6】図3のVI−VI線の断面図である。
【図7】15個詰めの緩衝用容器の斜視図である。
【図8】同緩衝用容器を支持容器に重ねた状態の一部を欠截した平面図である。
【図9】図7のIX−IX線の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
A…果実包装用容器、B…果実、a,b…収納凹部の列、10…緩衝用容器、10A…12個詰めの容器、10B…15個詰めの容器、11…収納凹部、12…非凹設部分、13…周縁部、20…支持容器、21…底面、22…突出支持部、22a…頂部、23…側壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾力性を有する柔軟な発泡樹脂シートから成形され、果実を1つずつ収納できる収納凹部が複数列に形成されてなる緩衝用容器と、前記緩衝用容器に比して保形性のある合成樹脂シートから成形され、前記緩衝用容器を受支するトレー形状の支持容器とからなる果実包装用容器であって、
前記支持容器は、前記緩衝用容器の周縁部を受ける側壁部を有するとともに、前記緩衝用容器の収納凹部列間に対応する内方部の個所に該収納凹部列間の部分を支持する突出支持部が形成されてなり、該突出支持部は、前記収納凹部列に沿う方向に間隔をおいて複数個所に、前記収納凹部列間における非凹設部分もしくはその近傍の一部個所を受ける頂部が形成されるとともに、該複数の頂部のうちの少なくとも一つの頂部が横長に形成されており、該頂部による支持状態において前記緩衝用容器の前記収納凹部列に沿う方向の動きを規制できるように設けられてなることを特徴とする果実包装用容器。
【請求項2】
前記支持容器の突出支持部が、前記緩衝用容器の収納凹部列間の部分に対応して該収納凹部列に沿う方向に連続して形成され、該突出支持部の長手方向に間隔おいて複数個所に前記収納凹部列間の非凹設部分もしくはその近傍の一部個所を受ける頂部が形成されてなる請求項1に記載の果実包装用容器。
【請求項3】
前記緩衝用容器は、収納凹部が複数個ずつ縦3列で、前記収納凹部列間に非凹設部分を有するとともに、該非凹設部分もしくはその近傍の一部個所が前記突出支持部の頂部と対応位置するように各収納凹部が配置形成されてなる容器であり、収納凹部の数を異にする少なくとも2種の容器が、前記支持容器に対して選択的に組み合わせ使用可能である請求項1又は2に記載の果実包装用容器。
【請求項4】
前記2種の緩衝用容器は、収納凹部が4個ずつの縦3列で配置形成された12個詰めの容器と、収納凹部が5個ずつの縦3列で配置形成された15個詰めの容器であり、前記支持容器には、前記各収納凹部列間に対応する2列の突出支持部が形成されるとともに、各突出支持部それぞれの長手方向に間隔をおいて複数個所に、前記収納凹部列間の非凹設部分もしくはその近傍の一部個所を受ける頂部が形成されてなる請求項3に記載の果実包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−64761(P2010−64761A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231330(P2008−231330)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】