説明

枢動可能なコンピュータインタフェース

【課題】本発明は、コンピュータシミュレーションシステムと共に用いられるコンピュータインタフェースを提供することを目的とする。
【解決手段】前記インタフェースは、第1把持部位と、前記第1把持部位に枢動可能に連結した第2把持部位とを備えている。アクチュエータ135が前記2つの把持部位165,170の少なくともいずれか一方に連結しており、フィードバックをユーザに与えるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータとユーザとのインタフェース技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのユーザは、多様な応用例において、電子的又は機械的装置とのインタフェースをとっており、より自然で、取り扱い容易で、情報量の豊かなインタフェースが絶えず要望されている。本発明の背景において、ユーザが多様な用途のためにコンピュータ装置とのインタフェースをとっている。そのような用途の一例として、コンピュータが創り出している環境とのインタラクション(相互作用)、例えば、外科手術のシミュレーション、ゲーム、現実の外科手術、及び、その他のアプリケーション(応用)プログラム等が創り出している環境を含む仮想現実(バーチャルリアリティ)環境が挙げられる。マウスやトラックボール等のコンピュータ入力装置は、グラフィック(画像)環境中でカーソルを手繰るためにしばしば使用され、これら用途において入力手段を提供している。
【0003】
ある種のインタフェース装置においては、フォースフィードバック、及び/又は、触感フィードバックが、本発明にて総括する「触覚フィードバック」としてユーザに与えられる。例えば、触感対応型のジョイスティック、マウス、ゲームパッド、ハンドル、その他の種類の装置は、ゲームやその他のアプリケーションプログラム等のグラフィック環境中で起こるイベントやインタラクションに基づいて、力をユーザに出力し得る。コンピュータシミュレーションにおいて、グラフィック環境中で画像上にユーザ又はユーザの一部を表示して、ユーザが現実環境の如くグラフィック環境とインタラクト(相互作用)することを可能とすることは、しばしば、望ましいと考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コンピュータシミュレーションシステムと共に用いられるコンピュータインタフェースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記インタフェースは、第1把持部位と、該第1把持部位と枢動可能に連結された第2把持部位とを備えている。アクチュエータが、前記2つの把持部位の少なくとも1つと連結され、フィードバックをユーザに与えるべく構成されている。
【0006】
本発明の一態様においては、前記アクチュエータは前記第1及び第2把持部位の双方に連結している。
【0007】
本発明の別の態様においては、前記アクチュエータは回転モータを備えている。
【0008】
本発明の更に別の態様においては、前記アクチュエータは、第1把持部位に連結していると共に、回転モータ、前記第2把持部位に延在している回転軸、及び前記回転軸及び第2把持部位に連結しているケーブルを備えている。
【0009】
本発明の別の態様においては、前記コンピュータインタフェースは、前記第1及び第2把持部位の双方に連結しているバネを更に備えている。
【0010】
本発明の更に別の態様においては、前記コンピュータインタフェースは、前記第1及び第2把持部位を連結している回転軸の回転角度を検知するための少なくとも1個のセンサを備えている。
【0011】
本発明の更にまた別の態様においては、前記フィードバックは、前記一対の把持部位の押し離し、前記一対の把持部位の引き寄せ、振動、トルク、及びノイズからなる群の少なくとも1つである。
【0012】
本発明の別の態様においては、前記インタフェースは、延長部分及びハンドルを有する訓練器具を備えている。前記ハンドルは、前記第1及び第2把持部位を備えており、前記アクチュエータは、前記一対の把持部位の少なくとも1つに連結している。
【0013】
本発明の別の態様においては、センサが前記延長部分の動き又は位置の少なくとも一方を検知し得るように設けられている。
【0014】
本発明の別の態様は、コンピュータシミュレーションが実行されている間、延長部分及びハンドルを有する訓練器具内でフィードバックを与える方法であって、延長部分及びハンドルを有する訓練器具を用意する過程を備えており、該ハンドルは、前記延長部分に近接して位置する第1把持部位と、前記延長部分に近接して位置すると共に前記第1把持部位に枢動可能に連結している第2把持部位と、前記第1及び第2把持部位の少なくとも一方に連結しているアクチュエータとを有している方法である。フィードバックは、アクチュエータを介してユーザに与えられる。
【0015】
本発明のその他の特徴及び利点は、同じ部材に同じ数字を付している図面を参照しながら、以下に説明される好ましく、優れた実施形態を読み、把握することにより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に係るコンピュータインタフェース・システムの図面である。
【図2】図2は、回転ハンドルを有する器具を備える本発明に係るコンピュータインタフェース・システムの図面である。
【図3】図3は、本発明に係る触覚インタフェース装置の一形態の図面である。
【図4】図4は、本発明に係る触覚インタフェース装置の別の形態の図面である。
【図5】図5は、本発明に係る触覚インタフェース装置の別の形態の図面である。
【図6】図6は、本発明に係る触覚インタフェース装置の別の形態の図面である。
【図7】図7は、本発明に係る触覚インタフェース装置の別の形態の図面である。
【図8】図8は、本発明に係る触覚インタフェース装置の別の形態の図面である。
【図9】図9は、図8の触覚インタフェース装置の別の図面である。
【図10】図10は、図8の触覚インタフェース装置の別の図面である。
【図11】図11は、図8の触覚インタフェース装置の別の図面である。
【図12】図12は、センサ及びアクチュエータを有する器具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、コンピュータシミュレーションに関し、より詳しくは、グラフィカル(画像)イメージ、例えば、ユーザによって操作される器具を画像上に表したグラフィカルイメージの操作を含むコンピュータシミュレーションに関する。そのプロセスは、外科手術のシミュレーションインタフェースに少なくとも一部絡んで例示するが、本発明は、その他のシミュレーション及びコンピュータインタラクティブ(コンピュータとの対話型)・プロセスでも使用され得るものであり、及び/又は、その他のグラフィカルイメージを操作するためにも使用され得るものであって、ここに示される実施例に限定されるものでは決してない。
【0018】
図1は、本発明に係るコンピュータインタフェース・システム100の図面である。前記コンピュータインタフェース・システム100は、コンピュータが創り出す環境又は仮想現実環境を創り出し得るものである。画面105がグラフィック環境110をユーザに提供している。前記グラフィック環境110内には、グラフィカルイメージ115が現れている。前記グラフィカルイメージ115は、例えば、カーソル又はその他のグラフィカル物体であっても良く、その位置、動き、及び/又は、形状は、操作可能である。例えば、前記グラフィカルイメージ115は、ポインタカーソル、ゲームのキャラクタ、手術器具、手術器具の端部の外観、ユーザに代わる部分、又は、それらと同様のものであっても良い。また、グラフィック環境中には、図示するような丸いグラフィック物体120、又は、そのユーザ又は別のユーザによって操作され得る別のグラフィカルイメージを含むグラフィック(画像)表現でも良い。前記画面105と通信可能な状態にあるコントローラ(操作部)125は、例えば、あるシミュレーションに関するアプリケーションプログラムを含むプログラムコードを実行することによって、グラフィック環境110を創り出すか、及び/又は、制御し得るものである。ユーザ物体130は、ユーザが操作することができ、そして、ユーザ物体130を操作することで、グラフィック環境中で、位置、方向、形状、及び/又は、その他のグラフィカルイメージ115の特性が制御されている。具体的には、ユーザ物体130の位置と、グラフィカルイメージ115の表示されている位置及び/又は形状とを直接的に関連付けることによるか、又は、ユーザ物体130の位置と、グラフィカルイメージ115の速度及び/又はその形状の変化とを関連付けることによる。前記ユーザ物体130の全体をユーザにより操作可能とするか、又は、前記ユーザ物体130の一部を該ユーザ物体130の別の一部に関連付けて操作可能とするかのいずれか一方とすることができる。例えば、前記ユーザ物体は、ジョイスティック、マウス、マウスハウジング、針、ノブ、長尺の硬いか或いはフレキシブル(柔軟)な部材、器具を装着した手袋、又は、同様のもの等のユーザの1本以上の手で操作される面となり得ると共に、1乃至6つの自由度で可動となり得るものである。
【0019】
任意に、仮想現実環境の現実感を高めるべく触覚フィードバックがユーザに与えられていても良い。例えば、グラフィカルイメージ115とグラフィック物体120とのインタアクション等の予定されたイベントがグラフィック環境中で起こった場合に、コントローラ125が、アクチュエータ135に、ユーザに向けて触感を出力させることがある。図示された態様では、前記アクチュエータ135は、ユーザ物体130に触感を出力し、該ユーザ物体130を通して感覚がユーザに与えられる。前記アクチュエータ135及びユーザ物体130は、触覚インタフェース装置140の一部となり得るものである。前記アクチュエータ135は、力をユーザ物体130又は該ユーザ物体の一部に加えるべく前記触覚インタフェース装置140内に配置されていても良い。
【0020】
前記アクチュエータ135は、能動的又は受動的に触感覚を生成し得る。例えば、前記アクチュエータ135は、1つ以上の自由度で力をユーザ又はユーザ物体130に加えるべくユーザ物体130に連結された1個以上のモータを備え得るものである。その代わり又はそれに加えて、アクチュエータ135には、ユーザ又はユーザ物体130の1つ以上の自由度の動きを抑制すべくユーザ物体に連結した1個以上のブレーキ機構を設けることができる。触感覚によって、ユーザに与えられた如何なる感覚をもユーザの触感覚に関連付けられることとなる。例えば、前記触感覚は、運動感覚的なフォースフィードバック及び/又は触感フィードバックを含んでいても良い。運動感覚的なフォースフィードバックによれば、グラフィカルイメージ115中で体感される力をシミュレート(模擬)するべくユーザに加えられた如何なる能動的又は受動的な力をも、例えば、前記グラフィカルイメージ115の少なくとも一部によって体感される力をシミュレートするべくユーザ又はユーザ物体に加えられた地表を伝わる力をも具体化される。例えば、前記グラフィカルイメージ115が面、障壁、又は障害物に対置される場合、アクチュエータ135は、障壁又は障害物に向かう方向へのユーザ又はユーザ物体130の動きを妨げるか又は遅らせるようにユーザ物体130に対して力を出力することができる。触感フィードバックによって、前記グラフィック環境110中で予定された出来事を触覚でユーザに示すべくユーザに加えられた如何なる能動的又は受動的な力をも具体化される。例えば、振動、クリック、ポップ(飛び出し感)、又はそれらと同様のものは、前記グラフィカルイメージ115がグラフィカル物体120とインタラクトする際に、ユーザに対して出力され得る。加えて、触感フィードバックには、運動感覚的な力に近似させるか、又は錯覚させるべく加えられた触感覚が含まれていても良い。例えば、加えられる振動の周波数、及び/又は、振幅を変えることによって、異なるグラフィック物体における面のテクスチャの変化をシミュレートするか、又は、グラフィカルイメージが物体を貫通する際に、連続してクリックすることによって、貫通の抵抗感をシミュレートすることができる。例えば、一の態様においては、前記グラフィカルイメージ115がグラフィック物体120と関わることで自由に変形し得る面をシミュレートする際には、常に、バネ力などの運動感覚的な力感覚がユーザに与えられることになる。その代わり又はそれに加えて、グラフィック物体120のテクスチャをシミュレートするべく、グラフィック物体120の表面を横切ってグラフィカルイメージ115が動く際に、ポップ等の触感覚がユーザに加えられても良い。
【0021】
前記コントローラ125は、コンピュータ150又はそれと同様のものであっても良く、例えば、図2に示すコンピュータであっても良い。一の態様では、前記コンピュータ150は、プロセッサを備え、プログラムコードを実行し得るものであっても良い。例えば、前記コンピュータは、パーソナルコンピュータ又はワークステーションであっても良く、例えば、PCコンパチブルコンピュータ若しくはマッキントッシュパーソナルコンピュータ、又は、サン(Sun)若しくはシリコングラフィックスワークステーションであっても良い。前記コンピュータ150は、Windows(登録商標)、MacOS、Unix(登録商標)、又は、MS−DOS(商標)オペレーティングシステム若しくは同等のものの下で動作可能であっても良い。その代わりに、前記コンピュータ150は、テレビ受像機セットやその他のディスプレイ装置に通常接続される、例えば、任天堂、セガ、又はソニー社製の多種あるホームビデオコンソール・システムの1つであっても良い。その他の形態では、前記コンピュータ150は、例えば、ユーザにインタラクティブ(対話型)のテレビ機能を与える「セットトップボックス」か、又は、インターネット及びワールドワイドウェッブ(World Wide Web)等に使用される標準の接続及びプロトコルを使用するローカル(地方)ネットワーク若しくはグローバルネットワークとユーザとを通信可能とする「ネットワーク」若しくは「インターネットコンピュータ」であっても良い。前記コンピュータ150は、ホストマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、入/出力(I/O)回路、及び/又は、当業者に周知のコンピュータの他の部品を備えていても良い。前記コンピュータ150は、ユーザを触覚インタフェース装置及び/又はユーザ物体130等の周辺機器を介してインタラクトさせるアプリケーションプログラムを実行しても良い。例えば、前記アプリケーションプログラムは、医療シミュレーション(模擬実験)プログラム、ゲーム、コンピュータ支援設計(CAD)若しくはその他のグラフィックデザインプログラム、オペレーティングシステム、ワードプロセッサ若しくはスプレッドシート等のシミュレーションプログラム、HTML、VRML指令等を実行するウェブページ若しくはブラウザ、科学的分析プログラム、又はその他の触感フィードバックを利用することのあるアプリケーションプログラム等であっても良い。ここでは、簡便のため、Windows(登録商標)、MS−DOS(商標)、MacOS、Linux(商標)、Be等のオペレーティングシステムもまた、「アプリケーションプログラム」として言及する。該「アプリケーションプログラム」は、対話型のグラフィック環境、例えば、ユーザにプログラムへの情報入力を可能とするグラフィカルユーザー・インタフェース(GUI)等を含んでいても良い。一般に、前記アプリケーションは、画面スクリーン155上に表示するイメージを提供するか、及び/又は、可聴信号等のその他のフィードバックを出力する。前記コンピュータ150は、グラフィック環境110を創り出すことができる。それは、上記したようなグラフィカルユーザー・インタフェース、ゲーム、シミュレーション、又は、その他の可視環境であっても良い。前記コンピュータ150は、グラフィカル表現やグラフィカルイメージ、又は、「コンピュータ物体」等のグラフィック物体120、即ち、物理的な物体ではないが、当業者に周知の、コンピュータスクリーン155上にコンピュータによってイメージとして表示され得る論理的ソフトウェアユニットのデータ集合体及び/又はプロシージャを表示する。前記アプリケーションプログラムは、ユーザ物体130の電子回路及びセンサから受信する入力信号の有無を検査し、しかる後に、アクチュエータ135に向けて、力及び/又は指令を触覚的な出力に変換されるように出力する。コンピュータ入/出力(I/O)装置とインタフェースをとるシミュレーションソフトウエアに適したソフトウエアドライバは、カリフォルニア州、サンホセのイマージョン社から購入できる。ディスプレイスクリーン155は、前記コンピュータに設けることができ、また、標準表示スクリーン(LCD、CRT、平面パネル等)、3−Dゴーグル、又はその他いずれかの画像出力装置であっても良い。
【0022】
コンピュータインタフェース・システム100の一の態様においては、ユーザ物体130は、実際の又は模擬の器具160の少なくとも一部のハンドル、例えば、腹腔鏡下手術に使用される手術器具等を備える。図2に示す態様では、前記器具160は、第1グリップ165と第2グリップ170を有するハンドルを備えている。前記第1グリップ165及び第2グリップ170は、回転軸175の周りに互いに対して枢動可能である。前記ハンドルの操作は、ユーザ物体130の中にあるか、その上にあるか、又はそれと通信状態にある1個以上のセンサによって検知され得るものである。前記操作を示す検出された信号は、前記グラフィカルイメージ115の位置、方向、及び/又は形状を制御するべく、センサインタフェース180を通して任意にコンピュータ150に伝えられる。例えば、各センサは、米国特許第5,623,582号、5,821,920号、5,731,804号、5,828,197号明細書(これらの各々は、この引用をもってその全てが本明細書に記載されているものとする。)に記載の如く、グラフィカルイメージ115の画面上の位置を制御するべく、1乃至6つ又はそれ以上の自由度で器具160の延長部分185の動き又は位置を検出することができる。その代わり又はそれに加えて、第2グリップ170に関連付けられた第1グリップ165の操作を、例えば、回転軸175の周りの回転量を検知することで検出するべく、1個以上のセンサを配置することもできる。そして、該検知された回転は、画面に表示されているグラフィカルイメージ115の形状を制御するために使用することができる。例えば、図示される態様では、第2グリップ170に対する第1グリップ165の回転の結果、グラフィカルイメージ115の末端の鋏部190が開閉する。このようにして、ユーザは、グラフィカルイメージ115を操作することができ、その結果、グラフィック物体120を掴むか、或いは、かみ込むことができる。
【0023】
使用時には、ユーザは、グラフィック環境110とインタラクトするべく器具160に触れることになる。図2に示す態様では、ユーザは、前記一対のグリップを枢動させると共に、任意に、自由度を付加しつつ器具160を操作することによって、前記第1グリップ165及び第2グリップ170を有するハンドルを握り、器具160を操作するのである。例えば、ユーザが本人の左側且つ下方に器具160を動かす結果、前記グラフィカルイメージ115がグラフィック物体120に触れているように見せることができる。さらに、ユーザは、前記画像上の鋏部190が、グラフィック物体120を掴んでいるように見えるように、前記一対のグリップを枢動させることもできる。
【0024】
グラフィック環境におけるインタラクションの現実感は、ユーザがグラフィック環境110とインタラクトしている間に1以上の触感覚をユーザに与えるようにしたアクチュエータ135を設けることで高められ得る。前記アクチュエータは、ユーザに直接、又は、例えば、前記器具160を通して力をユーザに加える等、ユーザ物体を介することによってのいずれかによって、ユーザに触感覚を提供する。これにより、ユーザには、前記グラフィカルイメージ115とグラフィック物体120との接触が視覚化されるだけでなく、前記物体が接触している感覚を通じて、(接触の)気配をも感じることができるようになる。これにより、より深い体験がもたらされる。一の態様では、前記アクチュエータ135は、前記第1グリップ165及び/又は前記第2グリップ170に触感覚を与えるべく配置され、該一対のグリップの相対回転に関連付けられた握りの力をシミュレートすることができる。握りの力をシミュレートしながら前記ユーザに触感覚を与えることで、ユーザが、グラフィック物体120とのインタラクションをより強い現実感をもって知覚することが見出されている。例えば、前記グラフィック物体120を掴んでいる画像上の鋏部190に同調して前記一対のグリップに触感覚が与えられ、実際に物体を掴んでいる状態がシミュレートされるのである。したがって、図2の態様では、任意にアクチュエータインタフェース195を通じて信号を与えることによって、前記コンピュータ150は、器具160への触感覚の出力を制御し、その結果、手のひらに力を加える機構が作動するのである。
【0025】
触覚インタフェース140の一の態様を図3に示す。1個以上の角速度センサ200を、前記回転軸175の周りの回転角を検出するべく配置することができる。比較的シンプルな態様では、単一のデジタル又はアナログのセンサが、グリップが開放している状態か閉止している状態のいずれかを検出する。そして、前記コンピュータ150は、それに対応して、画像上の鋏部190が、グラフィック環境110において、開放しているか、閉じているか、或いは、物体を掴んでいるかのいずれの状態にあるかを表示する。別の態様では、前記角速度センサ200は、画像上の鋏部190の表示が制御される可変信号を発生するセンサを備えることもできる。前記角速度センサは、1個以上の光学的、電気的、若しくは磁気エンコーダ、又は、歪み計、光ファイバーセンサ、電位差計(ポテンシオメーター)、若しくは同様のものを備えていても良い。前記アクチュエータ135は、前記第1グリップ165及び第2グリップ170を強制的に互いに離れさせるか、及び/又は、寄せ合うように配置することができる。
【0026】
触覚インタフェース140の接地されていない態様を図4に示す。この態様では、前記アクチュエータ135は前記第2グリップ170の内部又は表面に配設されている。前記アクチュエータは、前記第1グリップ165と第2グリップ170とを接近又は離間させるように動かすことができる。この態様において、前記器具160は、前記一対のグリップの回転に関連付けられる触感覚を与えるために接地する必要はない。
【0027】
前記アクチュエータ135は、例えば、図5の態様に示すように回転モータ135aを備えていても良い。この態様では、前記第1グリップ165は延設部205を備え、前記第2グリップ170は延設部215を備えている。前記延設部205,215は、図5に示されるように互いに重なり合っている。前記第2グリップ170の延設部215は、凹陥部220を備え、該凹陥部220は、前記回転モータアクチュエータ135aを保持し、モータ135aを第2グリップ170に着接させている。前記モータ135aは、そこから延設されたシャフト225を回転させることができる。前記シャフト225は、前記第1グリップの延設部205の凹陥部210に延在している。1本のケーブル230が、例えば、延設部205の凹陥部210の壁面に固設されることによって、前記第1グリップ165に固定されている。前記ケーブル230の他端は、前記回転可能シャフト225に固定されており、詳しくは、前記シャフト225に設けられた貫通孔235内に固定されている。前記シャフト225が矢印の向きに回転する結果、前記ケーブル230がシャフト225に巻き付いて前記第1グリップ165を第2グリップ170に向けて引き付ける。したがって、モータ135aの作動により、前記器具160に握りの力が与えられるのである。この握りの力は、グラフィック環境におけるインタラクションに関連する触感覚となり得るものである。それに加え又はその代わりに、前記握りの力は、ユーザが前記インタフェース装置165に加えている力を増大するか、増幅するか、又は減少させるために使用することもできる。任意に、開放位置に向けて前記一対のグリップを付勢するバネ240は、前記アクチュエータ135aによって発生した握りの力に対抗するために使用され得るものとなる。
【0028】
その代わりに、前記回転モータアクチュエータ135aは、図6に示すように、前記一対のグリップの閉止に対抗する力を発生するように使用することも可能である。図6の態様では、前記ケーブル230は、前記第1グリップ165の延設部205の反対側の凹陥部210に固定されている。このようにして、前記シャフト225が図6における矢印の向きに回転するのに伴って、第1グリップ165及び第2グリップ170は強制的に離される。また、この発生した力は、触感覚にも用いることができる。例えば、画像上の鋏部190がグラフィック物体120と接触しているときには、画面に表示されている動きに関連付けて前記一対のグリップの閉止を防げるか又は禁止するように、1つの力をユーザに対して出力することができる。その代わり又はそれに加えて、上述したように、前記加えられた力は、ユーザによって与えられた力を増大するか、増幅するか、又は減少させるために使用することもできる。図6の態様では、前記バネ240は、前記一対のグリップが互いに向かって付勢されるように任意に設けられている。
【0029】
触覚インタフェース140の別の態様を図7に示す。この態様では、前記回転モータアクチュエータ135aと回転可能シャフト225には、前記一対のグリップを閉止するか、又は、開放するかのいずれかの力が積極的に加えられ得る。図7の態様では、回転可能シャフト225は、キャプスタン(巻き上げ機)タイプの装置として使用される。前記ケーブル230の一端は、凹陥部210の一側部に固定される一方、ケーブル230の他端は、凹陥部210の他側部に固定されている。前記ケーブルは、前記回転可能シャフト225に巻き付けられ、貫通孔235を通って延びている。このようにして、前記回転可能シャフト225が一方向に回転することで開放力が前記一対のグリップに加えられ、他方向に回転することで、閉止力が前記一対のグリップに加えられる。
【0030】
図8に、先細りの回転可能シャフト225を使用している以外は、図7の態様と同様の態様を示す。前記先細りの回転可能シャフト225により、前記一対のグリップが、より広い範囲で動作することができるようになる。その先細りの形状によって、前記シャフトに巻き付くケーブルの量が、前記凹陥部210内で前記シャフトの移動範囲に亘って該シャフトから巻き解かれるケーブルの量と実質的に等しくなる。このようにして、ケーブルの弛み量が減少し、それにより、バックラッシュ(巻き返り)が減少し、ケーブルがシャフトにきつく巻き付いている状態が維持される。一の態様では、前記先細りのシャフト225は円錐形に成形されている。特に有用な態様では、前記円錐形状のシャフト225の両端は、その延長部分が、前記回転軸175と実質的に交差する両端となるように形成される。別の態様では、前記シャフトは逸れていても良い。
【0031】
図9及び10は、図8の触覚インタフェース装置140の上方及び側方からの斜視図を示す。図11は、カバー250でモータ135aが覆われている図8の触覚インタフェース機器140を示す。
【0032】
図12は、実際の手術器具がインタフェース機器140である態様を示す。前記手術器具(本態様では、腹腔鏡下手術器具である。)は、ハンドルの操作で制御可能な末端部を備えていても良い。例えば、その末端部は前記ハンドルの一対のグリップ165,170を開き、そして閉じることによって開放され、閉止され得る鋏部190aを備えていても良い。また、前記手術器具のハンドルは、例えば、前記一対のグリップを強制的に開閉するための上述した作動機構の1つとしてのアクチュエータ135を備えていても良い。前記アクチュエータ135は、力を加える際にユーザを補助するため、又は、ユーザが前記一対のグリップに加える力を軽減するため、又は、ユーザに触感覚を与えるためのいずれにも使用することができる。一の態様では、センサ260が、前記手術器具の末端に状態を検出するべく設けられていても良い。例えば、圧力又は力センサが、前記鋏部190a,bの1つ又はそれ以上に加わる圧力又は力を検出するべく配置されていても良い。前記検知された状態は、コントローラ(操作具)、例えば、別体のコントローラ、又は、前記手術器具におけるコントローラ若しくは論理回路となり得るもの、に送信することもできる。そして、前記コントローラは、前記検知された状態に関連付けてアクチュエータ135の動作状態を操作する。例えば、機械的な連結部は、前記鋏部が物体とインタラクトしたことをユーザに伝えるには不十分であることが多い。このため、前記センサは、予定されたインタラクションを検出するために十分に敏感であることが要求され、そして、前記コントローラは、前記インタラクションを顕示するべくユーザに加えられる触覚的な応答を生成しても良い。その他のインタラクションについては、米国特許出願番号第09/811,358号明細書(2001年3月16日出願)に記載されており、その全内容は、この引用をもって本明細書に記載されているものとする。
【0033】
以上、本発明を、いくつかの好ましい形態によって説明してきたが、さまざまな変更や修正、均等形態との置換が可能なことは、詳細な説明の読み込み及び図面を観察することによって考察すれば当業者には明白である。例えば、シミュレーションシステムと共に使用すれば、上述した以外の腹腔鏡下の技術をシミュレートすることが可能となる。例えば、その他の技術は以下の米国特許で明らかとなる。即ち、米国特許第5,735,874号、5,514,156号、5,613,945号、5,980,510号、5,632,432号、6,168,605号、5,258,004号、5,307,976号、5,447,513号、5,681,324号、6,090,120号、及び5,846,254号明細書である。これら全ての全内容は、この引用をもって本明細書に記載されているものとする。加えて、前記シミュレーションは腹腔下鏡手術以外の外科手術への応用を包含し得るものである。さらに、前記インタフェース装置は非外科手術のシミュレーションにも使用することができる。例えば、アプリケーションプログラムは、剪断境界面に敏感であり、バラ低木を適切に剪定する方法に関する教育プログラムコードを含んでいても良く、又は、回転グリップの触覚フィードバックを用いるゲーム環境であっても良い。加えて、上述した力付与の機構は、如何なる環境においても相対的に枢動する部分に対して適用が可能である。
【符号の説明】
【0034】
135…アクチュエータ、140…(コンピュータ)インタフェース、165…第1グリップ(第1把持部位)、170…第2グリップ(第2把持部位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシミュレーションシステムに用いられるコンピュータインタフェースであって、該インタフェースは、
第1把持部位と、
前記第1把持部位に枢動可能に連結した第2把持部位と、
前記第1及び第2把持部位の少なくともいずれか一方に連結し、フィードバックをユーザに与え得るように構成されているアクチュエータとを備えることを特徴とするコンピュータインタフェース。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記第1及び第2把持部位の双方に連結している請求項1に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項3】
前記アクチュエータは、回転モータを備えている請求項2に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記第1把持部位に連結していると共に、回転モータ、前記第2把持部位に延在している回転軸、及び前記回転軸及び第2把持部位に連結しているケーブルを備えている請求項1に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項5】
前記第1及び第2把持部位の双方に連結しているバネを更に備えている請求項1に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項6】
前記第1及び第2把持部位を連結している回転軸の回転角度を検知するための少なくとも1個のセンサを更に備えている請求項1に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項7】
前記フィードバックは、前記一対の把持部位の押し離し、前記一対の把持部位の引き寄せ、振動、トルク、及びノイズからなる群の少なくとも1つである請求項1に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項8】
コンピュータシミュレーションシステムに用いられるコンピュータインタフェースであって、該インタフェースは、延長部分及びハンドルを有する訓練器具を備えており、該ハンドルが、
前記延長部分に近接して位置する第1把持部位と、
前記延長部分に近接して位置すると共に、前記第1把持部位に枢動可能に連結された第2把持部位と、
前記第1及び第2把持部位の少なくともいずれか一方に連結したアクチュエータとを備え、該アクチュエータがユーザにフィードバックを与え得るように構成されているコンピュータインタフェース。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記第1及び第2把持部位の双方に連結している請求項8に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項10】
前記アクチュエータは、回転モータを有する請求項9に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記第1把持部位に連結していると共に、回転モータ、前記第2把持部位に延在している回転軸、及び前記回転軸及び第2把持部位に連結しているケーブルを備えている請求項8に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項12】
前記第1及び第2把持部位の双方に連結しているバネを更に備えている請求項8に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項13】
前記第1及び第2把持部位を連結している回転軸の回転角度を検知するための少なくとも1個のセンサを更に備えている請求項8に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項14】
前記フィードバックは、前記一対の把持部位の押し離し、前記一対の把持部位の引き寄せ、振動、トルク、及びノイズからなる群の少なくとも1つである請求項8に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項15】
前記延長部分の動き及び位置の少なくともいずれか一方を検知するための少なくとも1個のセンサを更に備えている請求項8に記載のコンピュータインタフェース。
【請求項16】
コンピュータシミュレーションが実行されている間に、訓練器具内でフィードバックを提供する方法であって、該方法は、
延長部分及びハンドルを有する訓練器具を用意する過程を備え、該ハンドルが、
前記延長部分に近接して位置する第1把持部位と、
前記延長部分に近接して位置すると共に前記第1把持部位に枢動可能に連結している第2把持部位と、
前記第1及び第2把持部位の少なくともいずれか一方に連結されたアクチュエータとを有しており、
更に、前記アクチュエータによってフィードバックをユーザに与える過程を備えていることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記フィードバックは、前記一対の把持部位の押し離し、前記一対の把持部位の引き寄せ、振動、トルク、及びノイズからなる群の少なくとも1つである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1及び第2把持部位を連結している回転軸の回転角度を検知する過程を更に備えている請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記延長部分の動き及び位置の少なくともいずれか一方を検知する過程を更に備えている請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1及び第2把持部位に連結しているバネを用意する過程を更に備え、該バネを用いて前記第1及び第2把持部位を互いに離間させるか、又は、互いに接近させるかのいずれかに付勢する請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−181111(P2011−181111A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−132621(P2011−132621)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【分割の表示】特願2003−514482(P2003−514482)の分割
【原出願日】平成14年7月16日(2002.7.16)
【出願人】(500390995)イマージョン コーポレーション (65)
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
【Fターム(参考)】