説明

架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物

【課題】多量に廃棄される架橋ポリエチレン廃材を有効かつ容易に再利用することのできる架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物の提供、および該再生合成樹脂組成物を加熱溶融させ成形した樹脂成型品を提供する。
【解決手段】架橋ポリエチレン廃材を15mm以下に破砕した破砕物を5〜100質量%と、オレフィン系樹脂を0〜95質量%を少なくとも含むことで架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物とすることができ、該樹脂組成物を加熱溶融させ成形するという簡便な方法で成型でき、耐久性、強度特性がよく、表面仕上げ面のよい成型品が得られるという効果を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生合成樹脂組成物に関し、更に詳しくは架橋ポリエチレン廃材を15mm以下に破砕した破砕物を5〜100質量%、及びオレフィン系樹脂を0〜95質量%を少なくとも含む架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を加熱溶融させ成形した樹脂成型品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大量に排出される産業及び家庭廃棄物の処理が社会問題となり、廃棄物の削減及び再生資源として利用する再生技術を開発することが社会的な要請となっている。特に樹脂廃棄物の処理に関しては、再利用することが要求され、PETボトル、PVCフィルム、ポリオレフィン等の樹脂廃材は、樹脂毎に分別回収され、加熱、溶融され各種樹脂製品に再生資源として利用されている。
【0003】
本出願人は先に、使用済みの送配電線用合成樹脂製品から回収された合成樹脂廃棄物を主材とする再生合成樹脂組成物なる特許として、回収されたポリエチレン廃棄物とアクリロニトリル/スチレン共重合体樹脂廃棄物とを適宜な大きに粉砕した再生合成樹脂組成物を発明した。これは合成樹脂廃棄物を再利用し、資源の有効活用を図ることで、合成樹脂製品の廃棄時に発生する重大な公害問題を解決し、さらに、新規の製品と遜色のない耐用性を備えたリサイクル合成樹脂製品の主材となり得る再生合成樹脂組成物を提供してきた(特許文献1)。
【0004】
当該特許発明は合成樹脂廃棄物の再利用技術であって、使用される送配電線用合成樹脂製品の一つである絶縁用の各種合成樹脂カバー類は、おもにポリエチレンを主材として、計器箱類はアクリロニトリル/スチレン共重合体樹脂を主材としており、又両樹脂は広く各種家電製品やOA機器、輸送用機器、家庭用品などに使用されているもので、これらの合成樹脂廃棄物を対象とした再利用技術として有効に活用されている。ここで、当該特許発明でのポリエチレン廃棄物は、使用済みの送配電線用合成樹脂製品から回収された架橋されていないポリエチレンであり加熱溶融され、アクリロニトリル/スチレン共重合体樹脂廃棄物と絡み合う状態で一定の耐久性や引張性能が確保された再生合成樹脂製品を得ることができる。
【0005】
しかしながら、使用済みの送配電線用合成樹脂製品から回収したポリエチレン廃棄物のなかには、電線・ケーブル被覆材として広く使用され、優れた電気特性と耐熱性を有する架橋ポリエチレンが多く存在している。この架橋ポリエチレンは、融点が高く耐熱性を有し、架橋により三次元的網目構造になっているので、再度溶融して再利用することができず、廃材としての架橋ポリエチレン製品はそのまま燃料として焼却処分されたり、埋め立て処分されているものであった。しかし、前者の処分では環境汚染を引き起こすことがあり、また後者の処分ではそのまま地中に残存させるだけであり、有効な再利用技術が求められていた。
【0006】
これまでにも架橋ポリエチレン廃材の再利用技術は、各種検討されており、例えば、高密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンに、架橋ポリエチレンの粉砕物を20〜40質量%混合してなる樹脂組成物(特許文献2)が提案されている。しかし、引張強度や伸びを低下させることなく、耐衝撃性や耐熱性が向上した成形品を製造できるとしているものの、架橋ポリエチレンの架橋程度がゲル分率で60〜95%、架橋ポリエチレン粉砕物の2軸平均径が500μm以下であると、特定の架橋度や粉砕物を用いる必要があるという問題点があった。
【0007】
また、架橋ポリエチレンの廃材を微粉末に粉砕し、この架橋ポリエチレン微粉末をポリエチレンに混合させて、架橋ポリエチレン微粉末入りのポリエチレンペレットを成形し、このペレットを用いて射出成形又は押出成形して配電機材を製造すること(特許文献3)が提案されている。しかし、特許文献3のものは特許文献2と同様、架橋ポリエチレン微粉末の粒径が800μm以下という微粉末にする必要があり、処理効率が悪く、さらに一度ペレット化して再成形する必要があるという問題点があった。
【0008】
さらに、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンに架橋ポリエチレンの廃材粉砕物を5〜25質量%混合し、これを180〜270℃に加熱して攪拌することで溶融し、その溶融混和物を樹脂製品に成形する樹脂廃材の再利用方法(特許文献4)が提案されている。しかし、架橋ポリエチレンの廃材粉砕物を用いるものの、架橋ポリエチレンの廃材粉砕物として粒径6mm以下を用いる必要があり、微粉砕するには設備、工程等コストがかかるという問題点があった。
【0009】
一方、架橋ポリエチレンの廃材を、超臨界状態を利用して再生する技術として、例えば、架橋ポリエチレン材料を金属材料とともに誘導加熱炉で加熱し超臨界水または亜臨界水と接触反応させて、架橋点のみを選択的に切断して、未架橋の高分子材料に再生する方法(特許文献5)も提案されている。しかし、特許文献5をはじめとする超臨界状態を利用する方法では、設備投資や安定量産化の面からまだ実用的でないのが実態で、かつコストも高いという問題点がある。
【0010】
以上のとおり、従来の架橋ポリエチレン廃材の再利用技術は、架橋ポリエチレンの粉砕物として平均径が500μm〜800μm以下の微粉砕物を用いることが必要であり破砕コストが嵩み、又ペレット化が必要であったり、超臨界条件という設備が必要といういずれもコストが高くなっていた。架橋ポリエチレン廃材の再生合成樹脂としての再利用技術は、現在のところ十分満足できるものではなく、使用済みの、なかでも送配電線用合成樹脂製品から回収された廃材が有効に再利用されることが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3964403号
【特許文献2】特開平9−157467号公報
【特許文献3】特開2005−349686号公報
【特許文献4】特開2006−305882号公報
【特許文献5】特開2001−252636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、使用済みの合成樹脂製品から、なかでも使用済みの送配電線用合成樹脂製品から回収された合成樹脂廃棄物を主材とする再生合成樹脂組成物として、多量に廃棄される架橋ポリエチレン廃材を有効かつ容易に再利用することのできる再生合成樹脂組成物の提供、および該再生合成樹脂組成物を加熱溶融させ成形した樹脂成型品を容易に提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、架橋ポリエチレン廃材を架橋させたままで、それも100%単独で又はオレフィン系樹脂を含ませることで架橋ポリエチレン廃材を有効再利用することができ、又廃材樹脂組成物を加熱溶融させ成形することで耐久性が確保された樹脂成型品を容易に得ることができ、上記課題を解決できることを見出した。そして、本発明者らは、架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物、および該樹脂組成物を加熱溶融させ成形した樹脂成型品を発明するに至った。
【0014】
即ち、本発明は、
[1] 架橋ポリエチレン廃材を15mm以下に破砕した破砕物を5〜100質量%、及びオレフィン系樹脂を0〜95質量%を少なくとも含むことを特徴とする架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物。
[2]前記オレフィン系樹脂が、少なくともオレフィン系樹脂廃材の破砕物を含むことを特徴とする上記[1]に記載の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物。
[3] 上記[1]又は[2]に記載の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物を、加熱溶融させ成形したことを特徴とする樹脂成型品。
【発明の効果】
【0015】
本発明の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物は、多量に廃棄される架橋ポリエチレン廃材を15mm以下に破砕した破砕物という、比較的大きな破砕物のままで、かつ架橋させたままで再生合成樹脂組成物として有効にリサイクルできる。また成型品としては、耐久性、強度特性がよく、表面仕上げ面のよい成型品が得られるという効果を有している。更に、成型品としては材料特性に応じた様々な用途の成形品に再利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の架橋ポリエチレン廃材は、電線やケーブル等の被覆材料として多用されているもので、製造時、配線時の廃材、耐用年数経過により発生する等いかなる廃材でもよい。又架橋方法は、ポリエチレンを有機過酸化物や電離性放射線、シラン化合物によるなどいかなる架橋方法によるものでも構わず、廃材として回収されたものなら使用できる。
【0017】
本発明のオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、又はこれらの共重合体等が例示できる。オレフィン系樹脂として、使用済みの製品から回収された、又は産業及び家庭用廃棄物として回収された等いかなる廃材であっても、バージン材(未使用材)であっても構わない。本発明においては、廃材として回収された材料を少なくとも用いることが、原材料、製品の有効なリサイクルの観点、コストからして好ましい。この場合バージン材と廃材との割合はいかなる割合でもよいが、リサイクルの観点、コストからして廃材のみを用いる方がより好ましい。
【0018】
本発明の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物における、架橋ポリエチレン廃材、オレフィン系樹脂の配合割合は、架橋ポリエチレン廃材を5〜100質量%、好ましくは10〜100質量%、オレフィン系樹脂を0〜95質量%、好ましくは0〜90質量%含むことができる。即ち、架橋ポリエチレン廃材を単独100質量%でポリオレフィン系樹脂を含まないケース、及び両者を上記の範囲で含むケースがある。
架橋ポリエチレン廃材が5質量%未満であると、リサイクルの効率が悪いが、本発明においては、架橋ポリエチレン廃材をかなり多量に配合ししても、更に従来架橋ポリエチレン廃材単独では成形し得なかったのを、架橋ポリエチレン廃材破砕物単独で100質量%としても、何ら成形上、製品上問題がなく、架橋ポリエチレン廃材の有効再利用が促進できた。
オレフィン系樹脂は、廃材であっても、バージン材(未使用材)であってもいずれでも構わない。また、オレフィン系樹脂を含む場合は、融点の低いオレフィン系樹脂の溶融物中に、溶融されないでいる架橋ポリエチレン廃材の破砕物が絡み合うような状態をなし得る組成物である。
【0019】
本発明の架橋ポリエチレン廃材は、破砕して使用する。破砕の方法としては、通常の破砕機を用いるが、押出機を用いたせん断破砕とすることもできる。破砕としては、例えば回収された電線、ケーブルの導体金属を分離し、破砕機にかけ15mm以下の破砕物とすればよい。本発明においては、破砕機で細かく微細なまでに粉砕する必要はなく、市販の破砕機で、15mm以下という大きさに破砕する。より好ましくは、13mm以下にすればなお好ましい。
【0020】
上記のとおり従来技術では、0.5mm〜0.8mm以下と微細に粉砕する必要があったが、本発明においては、15mm以下に破砕すれば十分である。なお、通常の破砕機において、破砕物15mm以下に設定する際に、数mm程度以下の微細な粉砕物もわずかに形成されてしまうが、本発明においては、これが含まれていても何ら問題はない。また、あえて取り除く必要もない。破砕物を15mm以下というかなり大きな破砕物にするだけで、架橋ポリエチレン廃材を再利用できるものであって、破砕効率が微細に粉砕する場合に比較して非常に良く、コスト上も非常に有利である。
【0021】
本発明において、オレフィン系樹脂として廃材を使用する際には、架橋ポリエチレン廃材の破砕と同様、通常の破砕機で15mm以下にすればよい。より好ましくは、13mm以下にすればなお好ましい。また、バージン材(未使用材)は、通常のペレット状、破砕状等いかなるものでも構わない。
【0022】
本発明の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物としては、その特徴を損なわない程度に無機フィラー、有機フィラー、可塑剤を添加することができる。ここで用いる無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、珪酸カルシウム、カーボンブラック、カーボン繊維、ガラス繊維、金属繊維、酸化チタン、クレー、マイカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛等が挙げられる。さらに、有機フィラーとしては、各種有機繊維、木粉、クルミ殻粉、ジュート、ケナフ、セルロース、リグニン等が挙げられる。また、可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジオクチルテレフタレート等のフタル酸エステル等が挙げられる。また、その他の添加剤、例えば、滑剤、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオイル、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、抗菌剤等も使用することができる。
【0023】
本発明の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物を加熱溶融させ成形するには、溶融機として、射出成形機又は押出成形機を用いることができる。該成形機のスクリューは1軸、2軸のいずれでも良く、特に、1軸のベント式スクリューを用いるのが好ましい。1軸スクリューのベント式押出機の場合、スクリューは一本の軸に2本の単軸スクリューを直列に繋いだ形式で、1段目と2段目の繋いだ部分が徐圧縮部となりベント部となる。1段目のスクリューでは材料の供給部、圧縮部並びに混練部から構成され、主に低温域(200℃以下)を使用する。2段目のスクリューでは供給部、圧縮部、計量部、混練部に構成され、主に高温域(200℃超)を使用する。ベント部では成形材料中の揮発分や水分およびホッパーから巻き込まれた空気を除去するため、シリンダーの中間部にベント孔を設け、このベント孔から真空吸引あるいは大気放出により揮発分、水分、空気などを抜き除き、成形品の発泡、表面の肌荒れの発生を防ぐことができる。
【0024】
本発明の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物のうち架橋ポリエチレン廃材は、溶融機の低温部でスクリュー圧により擦りつぶされ15mm以下の破砕物から1〜3mmの破砕物になる。そして、溶融機のベント部から出口ノズルまで部分で、主にオレフィン系樹脂は加熱溶融され架橋ポリエチレン廃材の破砕物と混合される。このとき出口ノズル部では、架橋ポリエチレン廃材は、加熱破砕されて他の樹脂成分と混合一体化する。ここで、加熱破砕とは、加熱時の温度が130〜280℃の範囲で、ノズル径3mmのノズル先端から1mm以下に破砕されて吐出することをいう。この際温度条件を制御することにより、オレフィン系樹脂を含む場合は、融点の低いオレフィン系樹脂の溶融物中に、融点の高いポリオレフィン系の樹脂並びに溶融されないでいる架橋ポリエチレン廃材の破砕物が絡み合うような状態をなし、強度ならびに耐久性の確保された樹脂成型品を得ることができる。架橋ポリエチレン廃材の破砕物100%のときは、200℃超の加熱により、出口ノズルから表面が光沢のある仕上がりで溶融押出物と同じように成形される。
【0025】
本発明の再生合成樹脂組成物の加熱溶融成形は、前記溶融機で加熱溶融された再生合成樹脂組成物を用いることができる成形ならば、いかなる樹脂成形でも対応でき、例えば射出成形、押出成形、プレス成形等がある。又溶融機の先端ノズルからノズル径のままで押出して冷却することで成型品とすることもできる。更に先端ノズルから金型内に押出し注入して冷却することで成型品とすることもできる。この際には、加熱溶融された再生合成樹脂組成物は、必要に応じて金型内でプレス圧が加えられることで寸法精度のよい成型品とすることができる。
【0026】
本発明の再生合成樹脂組成物の加熱溶融された樹脂成型品としては、いかなる形状のものでも成形できる。また金型を用いることで成型品の肉厚が25mm以上の厚肉成型品とすることができ、寸法精度のよい成型品が得られる。成型品の表面は架橋ポリエチレン廃材の破砕物を使用しない場合に比べて、表面に光沢があり表面仕上がりが非常に良い。
【0027】
樹脂成型品としては、架橋ポリエチレン廃材を15mm以下に破砕した破砕物とオレフィン系樹脂との配合割合に基づく材料特性に応じて、いかなる製品にも成形できる。例えば、架橋ポリエチレン廃材が屋外の過酷な環境下での耐絶縁性や水密性、耐久性に優れる電線、ケーブルの絶縁材料や送配電用合成樹脂製品から得られるものが多いので、絶縁カバー、電灯等の立設時、柔軟地盤での支持保持のために使用するねかせ、電線・ケーブル巻取用ドラム等の送配電用関連製品、土木用資材、建築用資材、園芸用資材など広範囲のものとして再利用することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。尚、以下において配合量は特に指定がない限り質量%で示す。
【0029】
[再生合成樹脂組成物の調製]
本発明の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物として、回収済み架橋ポリエチレン廃材を必要に応じて洗浄乾燥後、破砕機(DN−500−700 OS型粉砕機:大登機械(株))製)で15mm以下の破砕物に破砕した。同様に回収済みオレフィン系樹脂廃材を必要に応じて洗浄乾燥後、破砕機で15mm以下の破砕物に破砕した。
各破砕物を混合し必要に応じて洗浄乾燥して、本発明の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物とする。その後溶融機内に投入し、加熱溶融させ、冷却し製品とする。
【0030】
[試験片の作成・評価]
本発明の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物を溶融機内に投入し、加熱溶融させ、射出成形したものから、JIS K 7113(プラスチックの引張試験方法)に基づき、打ち抜いてダンベル型の2号試験片(全長115mm、厚さ2mm)を作成した。室温23度での引張試験と、−20度の冷凍庫に24時間養生した試験片を引張試験した耐寒試験を行った。用いた引張試験機は(株)島津製作所製AG−100KNIS型 オートグラフであり、引張試験機の試験速度は、50mm/minとした。
【0031】
[実施例1〜4、比較例1]
架橋ポリエチレン廃材を10〜100質量%、低密度ポリエチレン廃材90〜0質量%とし、配合して表1に示す配合割合として、それぞれ実施例1〜4、架橋ポリエチレン廃材を配合させないものを比較例1とした。
【0032】
【表1】

【0033】
本発明の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物を加熱溶融させて成形した実施例1は、架橋ポリエチレン廃材を入れてない比較例1と比較しても、引張強さ、伸びにおいて室温でも、−20度での耐寒試験においても、ほぼ同程度以上の試験結果であった。実施例2〜4は、架橋ポリエチレン廃材の割合が多くなるにつれて、引張強さは良くなるが、伸びが減少している。しかし、成型品としては十分実用的な強度を持つものであり、伸びが低下していても、使用用途を限定すれば実用上何ら問題はない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物は、架橋ポリエチレン廃材を架橋させたままで再生合成樹脂組成物として有効にリサイクルできる。また、加熱溶融させて成型品としたときには、融点の低いポリオレフィン系樹脂の中に溶融されないでいる架橋ポリエチレン廃材が絡み合う状態で簡便な方法で成型でき、耐久性、強度特性がよく、表面仕上げ面のよい成型品が得られ、特に厚肉製品としても強度特性がよく、様々な用途の再生合成樹脂製品を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋ポリエチレン廃材を15mm以下に破砕した破砕物を5〜100質量%、及びオレフィン系樹脂を0〜95質量%を少なくとも含むことを特徴とする架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記オレフィン系樹脂が、少なくともオレフィン系樹脂廃材の破砕物を含むことを特徴とする請求項1に記載の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の架橋ポリエチレン廃材混入オレフィン系樹脂組成物を、加熱溶融させ成形したことを特徴とする樹脂成型品。





【公開番号】特開2010−235702(P2010−235702A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83144(P2009−83144)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(390005533)東北ポール株式会社 (2)
【Fターム(参考)】