説明

架橋ポリマーを含む微粒子

本発明は、架橋ポリマーを含む微粒子であって、そのポリマーは式(I)で示される架橋性化合物からなる微粒子に関する。


式中、〜Xは、多官能性のラジカル重合可能な化合物の残基(少なくともnに等しい官能価を有する)であり;〜各Yは、独立して場合により存在し、存在する場合、各Yは、独立してO、SおよびNRの群から選択される部分を示し;〜各Rは、独立して水素並びに置換および非置換の脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素基(エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むその他の部分の群から選択される1つ以上の部分を場合により含有する)の群から選択され、各Rは、独立して、特に、水素並びに置換および非置換のアルキル基(1つ以上のヘテロ原子、特に、P、S、OおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を場合により含有する)の群から選択され;〜各Zは、独立してOおよびSから選択され;〜各Rは、独立して、置換および非置換の脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素基(エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むその他の部分の群から選択される1つ以上の部分を場合により含有する)の群から選択され;〜各Rは、独立して、水素並びに置換および非置換の脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素基(エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むその他の部分の群から選択される1つ以上の部分を場合により含有する)から選択され、各Rは、独立して、特に、水素並びに置換および非置換のアルキル基(1つ以上のヘテロ原子、特に、P、S、OおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を場合により含有する)の群から選択され;かつ、nは少なくとも2であり、〜各Rは、水素、−COOCH、−COOC、−COOC、−COOC.Rから選択される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は架橋ポリマーを含む微粒子、そのような微粒子の製造方法および微粒子の使用に関する。
【0002】
架橋ポリマーを含む球状微粒子(微小球体)は、国際公開第98/22093号パンフレットに記載されている。これらの微小球体は、放出性化合物(薬剤)の輸送システムとして使用することが意図されている。粒子の製造に使用される架橋性ポリマーは重要でないと記載されている。この公報に記載されている適切なポリマーは、架橋性の水溶性デキストラン、誘導体化デキストラン、でんぷん、でんぷん誘導体、セルロース、ポリビニルピロリドン、タンパク質および誘導体化タンパク質である。
【0003】
一つの欠点は、架橋ポリマーの細孔径が放出性化合物の粒子径より小さくなければならないことである。このため、微小球体を製造後に、放出性化合物を微小球体に担持させることは不可能である。したがって、放出性化合物なしで微小球体のマスターバッチを調製することはできず、また、微小球体に含ませる放出性化合物を後で決めることもできない。
【0004】
しかしながら、微粒子へ後で担持させることができることが望ましいであろう。なぜなら、例えば、粒子の製造プロセスの規模を拡大して、大量の粒子を提供することが可能になり、必要に応じて、その一部に異なる活性物質を特定の目的のために有用な量だけ担持させることができるからである。さらに、微粒子から放出させる物質が、粒子製造時に、例えば分解、変性または不活性化などの悪影響を受ける場合にも、後から微粒子に担持させることができることが望ましいであろう。
【0005】
米国特許第6,228,423号明細書には、非架橋生分解性ポリエステルを含む微粒子が記載されている。このポリエステルは側鎖にアミン基を有する。これらの微粒子は、免疫応答を誘発する生理活性物質用担体として使用される。
【0006】
また、米国特許出願公開第2005/0013869号明細書には、治療に効果のある化合物の徐放性製剤用の微粒子が開示されている。この微粒子は、非架橋生分解性ポリマー、特に、ポリエステル、ポリ(ホスフェート)、ポリ(アンヒドライド)、ポリ(オルトエステル)またはこれらの混合物を含む。治療に効果のある化合物は、AChE阻害剤または結合剤として有効なカルバメートである。
【0007】
公知の微粒子の特性は、厳しい処理、例えば凍結乾燥により悪影響を受けることが報告されている。特に医療の用途、なかでも薬剤輸送の用途では、薬剤担持微粒子の良好な貯蔵安定性が重要である。薬剤輸送システムの長期製品安定性を提供する適切な方法は凍結乾燥である。
【0008】
微粒子が悪影響を受けるという上記の問題に対処し、元の粒子のサイズおよび形などの特徴を維持するために、抗凍結剤が使用される(サエス(Saez)ら、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマスーティックス・オア・バイオファーマスーティックス(European Journal of Pharmaceutics or Biopharmaceutics)、50(2000)379−387、シャコン(Chacon)ら、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマスーティカル・サイエンシズ(European Journal of Pharmaceutical Sciences)、8(1999)99−107を参照)。
【0009】
既存のものに代替する、または改良された架橋ポリマーを含む微粒子が依然として必要とされている。特に、厳しい加工条件下で、許容できない程度に損傷を受ける危険をあまり伴わずに適切に加工できる架橋ポリマー含有微粒子を提供することが望まれよう。特に、凍結乾燥プロセス時に起きるような、例えば少なくとも1秒間に1℃といった(急速な)温度変化、あるいは突然の圧力変化、例えば(繰り返しの)加圧および/または減圧などの物理的衝撃を粒子が受けるような条件が、厳しい加工条件下にあると理解される。例えば、ペレット製造機では、1秒間に1cm当たり0.5Tの圧力が使用される。
【0010】
さらに、微粒子形成時および/または微粒子形成後に、生理活性物質などの活性物質を十分に担持できる架橋ポリマー含有微粒子を提供することが望まれよう。
【0011】
したがって、本発明の目的は、少なくとも公知の微粒子の代替となり得る新規な微粒子を提供することにあり、特に、物理的衝撃に対して良好な耐性を示すなど、好ましい特性を有する微粒子を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の目的は、活性物質を効率的に担持することができる微粒子を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、後述するような1つ以上の他の好ましい特性を有する微粒子を提供することにある。式で示される架橋性化合物からなる架橋ポリマーを含む微粒子を提供することが判った。
【化1】


(式中、
〜Xは、多官能性のラジカル重合可能な化合物の残基(少なくともnに等しい官能価を有する)であり;
〜各Yは、独立して場合により存在し、存在する場合、各Yは、独立してO、SおよびNRの群から選択される部分を示し;
〜各Rは、独立して水素並びに置換および非置換の脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素基(エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むその他の部分の群から選択される1つ以上の部分を場合により含有する)の群から選択され、各Rは、独立して、特に、水素並びに置換および非置換のアルキル基(1つ以上のヘテロ原子、特に、P、S、OおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を場合により含有する)の群から選択され;
〜各Zは、独立してOおよびSから選択され;
〜各Rは、独立して、置換および非置換の脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素基(エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むその他の部分の群から選択される1つ以上の部分を場合により含有する)の群から選択され;
〜各Rは、独立して、水素並びに置換および非置換の脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素基(エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むその他の部分の群から選択される1つ以上の部分を場合により含有する)から選択され、各Rは、独立して、特に、水素並びに置換および非置換のアルキル基(1つ以上のヘテロ原子、特に、P、S、OおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を場合により含有する)の群から選択され;
かつ、nは少なくとも2である。
〜各Rは、水素、−COOCH、−COOC、−COOC、−COOCから選択される)
【0014】
特に、Rは、水素、または12個以下の炭素を含む炭化水素である。Rは、水素、または置換もしくは非置換のC〜Cアルキルでもよい。Rは、また、置換もしくは非置換のシクロアルキルでもよく、さらに、特には、置換もしくは非置換のC〜Cアルキルまたは水素でもよい。シクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルでもよい。アルキルは、直鎖または分岐アルキルでもよい。好ましい分岐アルキルは、t−ブチルである。
【0015】
場合により、Rは、炭素−炭素の二重または三重結合を含んでいてもよく、Rは、例えば−CH=CHを含んでいてもよい。
【0016】
はヘテロ原子、例えば、−(C=O)−O−(CH−CHまたは−(C=O)−O−(CH−CH=CH(ここで、iは整数であり、通常0〜8の範囲であり、好ましくは1〜6の範囲である)などのエステル部分を含んでいてもよい。ヘテロ原子は、また、−(C=O)−(CH−CHまたは−(C=O)−(CH−CH=CH(ここで、iは整数であり、通常0〜8の範囲であり、好ましくは1〜6の範囲である)などのケト部分であってもよい。ヘテロ原子を含むR基は、NR’R”基(ここで、R’およびR”は、独立して水素または炭化水素基、特にC〜Cアルキルである)を含むことが好ましい。
【0017】
は、水素またはアルキル基であることがより好ましい。Rは、水素またはメチル基であることがよりいっそう好ましい。
【0018】
は、1〜20個の炭素原子を含むことが好ましい。Rは、置換または非置換のC〜C20アルキレン、特に、置換または非置換のC〜C14アルキレンであることがより好ましい。Rは、o−フェニレン、m−フェニレンまたはp−フェニレンなどの芳香族部分を含んでいてもよい。芳香族部分は、非置換であっても、あるいは、例えばアミド(例えばアセトアミド)で置換されていてもよい。
【0019】
は、官能基−(O−C=O)−、−(N−C=O)、−(O−C=S)−を含んでいてもよい。Rは、また、場合により1つ以上のヘテロ原子、例えばN−基および/またはケト基を含む脂環式部分、例えばシクロペンチレン、シクロヘキシレンまたはシクロヘプチレン部分を含むことも可能である。
【0020】
は、場合により、炭素−炭素の二重または三重結合を含み、特に、Rは、−CH=CH基を含んでいてもよい。好ましい一実施態様では、Rは、基−CH−CH−O−C(O)−、−CH−CH−N−C(O)−または−CH−CH−O−C(S)−基から選択される。
【0021】
は、例えば、水素または12個以下の炭素を含む炭化水素である。特に、Rは、水素または置換もしくは非置換のC〜Cアルキルでもよく、さらに、特には、置換もしくは非置換のC〜Cアルキルでもよい。場合により、Rは、炭素−炭素の二重または三重結合を含み、特に、Rは、−CH=CH基を含んでいてもよい。nは、2〜8であることが好ましい。
【0022】
は、水素であることが好ましい。
【0023】
、Rおよび/またはRの置換基は、例えば、ハロゲン原子および水酸基から選択できる。好ましい置換基は、水酸基である。商業的に入手可能であることから、特には、RはCHOH基である。
【0024】
このポリマーは、通常、式Iに示す化合物のビニル結合の反応によって架橋する。
【0025】
有利なことに、微粒子(微小球体であってもよい)は、特に、架橋ポリマーがカルバメート、チオカルバメート、ウレイルまたはアミドの共重合体である場合には、強靭でありながら弾性を有する。このことは、突然の圧力変化、高温、低温および/または高剪断を含む条件など、厳しい条件下での加工が可能になる点で有利であると考えられる。
【0026】
本発明の微粒子は、例えば、凍結乾燥されるときに起きる突然の温度低下に対して良好な耐性を示す。
【0027】
好ましい一実施態様では、本発明の微粒子は実質的に抗凍結剤が不要ですらある。抗凍結剤は、材料、すなわち微粒子を凍結ダメージ(氷の生成によるダメージ)から保護する物質である。抗凍結剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロールなどのグリコール、またはジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。
【0028】
本発明の微粒子は、さらに、(120℃を超える温度で)殺菌したり、あるいは高温、例えば100℃を超える温度で活性物質を坦持させたりするときに起こり得る加熱に対しても良好な耐性を示すと予想される。
【0029】
本発明の微粒子は、活性物質、特に薬剤、診断助剤または造影助剤の輸送システムとして使用し得る。微粒子は、また、実質的にダメージを受けることなく、高圧を用いてカプセルまたはチューブに充填して使用することもでき、あるいは、ペレットに圧縮してもよい。それは、また、自由な形態の懸濁物として注入または噴霧可能な形態で、あるいは、その場で生成するゲル製剤の形態で使用することもできる。さらに、この微粒子は、例えば(ラピッドプロトタイプによる)足場、コーティング、パッチ、複合材料、ゲルまたは石膏などに混入させることもできる。本発明の微粒子は、注入、噴霧、埋込みまたは吸収させることができる。
【0030】
式I中のYは、場合により存在し、存在する場合には、各Yは、独立してO、SおよびNRの群から選択される部分を示す。
【0031】
式I中のXは、多官能性のラジカル重合可能な化合物の残基であり、好ましくは、Xは、−OH、−NH、−RNHまたは−SHの多官能性ポリマーまたはオリゴマーの残基である。多官能性ポリマーまたはオリゴマーは、特に、天然または合成の、生安定性または生分解性のポリマーまたはオリゴマーから選択される。
【0032】
生分解性という用語は、加水分解により、酵素作用により、または、細菌や真菌などの環境中に存在する生物学的作用物質の作用により分解される材料をいう。そのようなものは微生物に起因し、および/または、動物またはヒトの体内で起こり得る。
【0033】
生安定性という用語は、生物学的環境において実質的に分解されない材料をいい、インプラントの場合には、インプラントが埋込まれた対象、特にヒトの通常の寿命の間に少なくとも著しい分解が生じない材料をいう。
【0034】
生分解性ポリマーの例としては、ポリラクチド(PLA);ポリグリコリド(PGA)、ポリジオキサノン、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド−コ−ポリジオキサノン)、ポリアンヒドライド、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、ポリ−(トリメチレンカーボネート)、脂肪族ポリエステル、ポリ(オルトエステル);ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリアミノ−カーボネートまたはポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)が挙げられる。
【0035】
生安定性または合成ポリマーの例としては、ポリ(ウレタン);ポリ(ビニルアルコール)(PVA);ポリアルキレングリコール、好ましくはポリ(エチレングリコール)(PEG)などのポリエーテル;ポリチオエーテル、芳香族ポリエステル、芳香族チオエステル、好ましくはポリ(エチレンオキサイド)およびポリ(プロピレンオキサイド)から選択されるポリアルキレンオキサイド;ポロキサマー、メロキサポール、ポロキサミン、ポリカーボネート、ポリ(ビニルピロリドン):ポリ(エチルオキサゾリン)が挙げられる。
【0036】
天然ポリマーの例としては、ポリペプチド、例えばポリスクロース、ヒアルロン酸、デキストランおよびその誘導体などのポリサッカライド、ヘパリンスルフェート、コンドロイチンスルフェート、ヘパリン、アルギネート、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、オバルブミンなどのタンパク質、でんぷん、カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシアルキル化セルロースおよびコオリゴマー、コポリマー、並びに、これらのブレンド物が挙げられる。
【0037】
式I中のXは、その生安定性/生分解性に基づいて選択することができる。高い生安定性を有する微粒子を提供するには、一般に、ポリエーテル、ポリチオエーテル、芳香族ポリエステル、または芳香族チオエステルが特に適している。高い生分解性を有する微粒子を提供するには、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリチオエステル、脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリカーボネートまたはポリペプチドが特に適している。Xは、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリチオエステル、脂肪族ポリチオエーテル、脂肪族ポリエーテルまたはポリペプチドから選択することが好ましい。PLA、PGA、PLGA、PCLおよび/またはポリ(エチレンオキサイド)−コ−ポリ(プロピレンオキサイド)ブロックコオリゴマー/コポリマーを含むコポリマーまたはブレンド物がより好ましい。
【0038】
粒子の分解速度、および/または、粒子の内部もしくは表面に担持されている活性物質の放出速度を適合させるために、粒子径を変化させずに、2つ以上の異なる部分を組み合わせてXを形成するようにしてもよいが、必要に応じて、当然、粒子径を変化させてもよい。Xを形成する2つ以上の異なる部分としては、例えば、コポリマーまたはコオリゴマー(すなわち、それぞれ、2つ以上の異なるモノマー残基を含むポリマーまたはオリゴマー)が挙げられる。Xを形成するための2つ以上の異なる部分の組み合せは、さらに、微粒子の、担持容量を変化させるために、機械特性および/または親水性/疎水性を変化させるためにも使用することができる。
【0039】
X部分の(数平均)分子量は、通常、100〜100000g/molの範囲で選ばれる。特に、(数平均)分子量は、少なくとも200g/mol、少なくとも500g/mol、少なくとも700g/molまたは少なくとも1000g/molであってよい。特に、(数平均)分子量は、50000g/mol以下、または10000g/mol以下であってよい。本発明において、(数平均)分子量は、実施例で示す方法を使用して、サイズ排除クロマトグラフ法(GPC)により測定されたものである。
【0040】
好ましい一実施態様では、架橋ポリマーのX部分は、イソシアネートと反応してカルバメート、チオカルバメートまたはウレイル結合を生成する少なくとも2個の官能基を有する化合物をベースとしている。そのような実施態様では、式I中にY基が存在する。X部分は、通常、ヒドロキシル基(−OH)、アミン基またはチオール基などの反応基を少なくとも2個有するポリマーまたはオリゴマー化合物である。
【0041】
別の実施態様では、Xはアミン含有化合物の残基であり、アルケノイル尿素を提供し、式X−(N−CO−NR−CO−CH=CHまたはX−(N−CO−NR−CO−C(CH)=CHで表される化合物を提供する。これらの例としては、特に、ポリ(プロペノイルウレア)、ポリ(メチルプロペノイルウレア)またはポリ(ブテノイルウレア)が挙げられる。ここでは、各Rは独立して上で示したような炭化水素基を表す。
【0042】
さらに別の実施態様では、Xはチオール含有化合物の残基であり、ポリ(アルケニルカルバモジチオ酸)エステルなどの、式X−(S−C(S)−NH−フェニル−CH=CHで表される化合物を提供する。
【0043】
さらに別の実施態様では、Xはカルボン酸含有化合物の残基であり、式X−(C(O)−NR−C(O)−CH=CHで表される化合物を提供する。ここでは、各Rは独立して上で示したような炭化水素基を表す。その例としては、ポリ((メチル−)オキソ−プロペンアミドが挙げられる。
【0044】
本明細書で使用する場合、用語「オリゴマー」は、特に、より小さな相対分子量を有する分子から実際にまたは概念的に導かれる、少数の単位から実質的に構成される分子を意味する。1つもしくは少数の単位を除去したときに、特性が大きく変わるなら、その分子は中間の相対分子量を有すると見なされることに注意すべきである。また、分子の一部または全部が、中間の相対分子量を有し、より小さな相対分子量を有する分子から実際にまたは概念的に導かれる少数の単位を実質的に含むなら、それはオリゴマー性と記載されるか、またはオリゴマーを形容詞的に使用して記載され得ることにも注意すべきである。一般に、オリゴマーは、400Da超、800Da超、1000Da超、1200Da超、2000Da超、3000Da超、または4000Da超など、200Da超の分子量を有する。上限は、ポリマーの質量の下限がどのように定義されているかによって定義される(次の段落を参照)。
【0045】
したがって、用語「ポリマー」は、小さな相対分子量を有する分子から実際にまたは概念的に導かれる単位の多数の繰り返しを実質的に含む構造を意味する。そのようなポリマーとしては、架橋ネットワーク、分岐ポリマーおよび直鎖ポリマーが挙げられる。多くの場合、特に合成ポリマーでは、1つまたは少数の単位の追加または除去が分子の特性に殆ど影響を与えないなら、その分子は大きな相対分子量を有すると見なされることに注意すべきである。このことは、特性が分子構造の細部に大きく依存するある種の高分子には当てはまらない。また、分子の一部または全部が、大きな相対分子量を有し、より小さな相対分子量を有する分子から実際にまたは概念的に導かれる単位の複数回の繰り返しを基本的に含むなら、それは、高分子性もしくはポリマー性と記述されるか、またはポリマーを形容詞的に使用して記述され得ることにも注意すべきである。一般に、ポリマーは、10.000Da超、12.000Da超、15.000Da超、25.000Da超、40.000Da超、100.000Da超、または1.000.000Da超など、8000Da超の分子量を有する。
【0046】
微粒子は、それらの固有の構造、サイズまたは組成に応じて種々の方法で定義かつ分類されている。例えば、エンサイクロペディア・オブ・コントロールド・ドラッグ・デリバリー(Encyclopaedia of Controlled drug delivery)、第2巻、インデックスM−Z、章:マイクロエンキャプスレーション・ウィリー・インターサイエンス(Microencapsulation Wiley Interscience)、ページ493以降、特にページ495および496を参照されたい。
【0047】
微粒子は、本明細書中で使用する場合、通常、固体または半固体物質からなり、かつ、活性物質を担持することができる、マイクロスケールまたはナノスケールの粒子を含む。通常、フラウンホーファ(Fraunhofer)理論により体積百分率で与えられる微粒子の平均直径は、10nm〜1000μmの範囲である。好ましい平均直径は意図する用途に依存する。例えば、注射可能な薬剤輸送システム、特に、血管内薬剤輸送システムとしての用途を意図している場合、平均直径は、10μm以下が望ましく、特に1〜10μmが望ましい。
【0048】
平均直径が800μm未満、特に500nm以下の微粒子は細胞内での用途に有用である。そのような用途では、平均直径は少なくとも20nm、または少なくとも30nmであることが好ましい。別の用途では、より大きなサイズ、例えば、1〜100μmまたは10〜100μmの直径が望ましいこともある。本明細書中で使用する場合、粒子径は、特に、LST230 Series Laser Diffraction Particle size analyzer(ベックマン・コールター(Beckman Coulter))により、UHMW−PE(0.02〜0.04μm)を標準として使用して測定される直径である。粒度分布はフラウンホーファ回折データから推定され、体積(%)で与えられる。
【0049】
粒子が小さすぎる、またはその光学特性から光散乱では分析できない場合は、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を使用することができる。
【0050】
本発明によれば、数種類のタイプの微粒子構造体を製造することができる。それには、ナノ粒子およびミクロ粒子などを含む、実質的に均一な構造体が含まれる。しかしながら、1つより多くの活性物質を放出させなければならない場合、あるいは、1つ以上の機能が必要とされる場合、微粒子は内部コアおよび外部シェルを含む構造を有することが好ましい。コア/シェル構造によって、例えば、同時に使用できない化合物の薬剤搬送において、または造影において、より多様な作用モードが可能になる。シェルは、コアの形成後、スプレードライヤーを使用して塗布することができる。コアおよびシェルは、異なる活性物質を有する同一または異なる架橋ポリマーを含んでもよい。この場合、活性物質を異なる速度で放出させることができる。活性物質をコアにのみ存在させ、シェルを、潤滑性を付与することができる架橋ポリマーで構成することも可能である。
【0051】
さらに別の実施態様では、微粒子は、本発明の架橋ポリマーを含むコア、および磁性材料または磁化可能な材料を含むシェルを含んでもよい。
【0052】
さらに別の実施態様では、微粒子は、磁性または磁化可能なコア、および本発明の架橋ポリマーを含むシェルを含んでもよい。適切な磁性材料または磁化可能な材料は、当該技術分野では知られている。そのような微粒子は、金属、特に鋼を含む物体、例えば移植片またはステントなどの埋込物体に引き寄せられるという点で有用であり得る。そのような微粒子は、さらに、精製または分析の用途においても有用であり得る。
【0053】
さらに別の実施態様では、粒子は、特定の技術によって造影することができる。適切な造影技術は、MRI、CT、X線である。造影剤を粒子の内部または表面に包含または結合させることができる。そのような粒子は、例えば血液中または細胞内に粒子がどのように移動するか可視化するのに有用であり得る。適切な造影剤は、例えば、ガドリニウムである。
【0054】
本発明の微粒子は、1つ以上の活性物質を担持することができる。活性物質は、微粒子内または微粒子コア内にほぼ均一に分散させることができる。活性化合物は、また、微粒子のシェル内に担持させてもよい。
【0055】
特に、活性物質は、栄養物、医薬品、タンパク質およびペプチド、ワクチン、遺伝子材料(ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プラスミド、DNAおよびRNAなど)、診断薬、および造影剤の群から選択することができる。活性な薬理学的成分(API)などの活性物質は、意図した使用に応じて、いかなる活性も示すことができる。活性物質は生物学的応答を促進または抑制することができる。活性物質は、例えば、成長因子(VEGF,FGF,MCP−1、PIGF、抗生物質(例えば、B−ラクタムなどのペニシリン、クロラムフェニコール)、抗炎症性化合物、抗血栓性化合物、跛行改善薬、抗不整脈薬、抗アテローム性動脈硬化薬、抗ヒスタミン剤、抗癌剤、血管薬、点眼薬、アミノ酸、ビタミン、ホルモン、神経伝達物質、神経ホルモン、酵素、信号分子および精神活性薬から選択することができる。
【0056】
具体的な活性物質または薬剤の例としては、神経薬(アンフェタミン、メチルフェニデート)、アルファ1アドレナリン受容体拮抗薬(プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、ケテンセリン(ketenserin)、ウラピジル)、アルファ2ブロッカー(アルギニン、ニトログリセリン)、降圧剤(クロニジン、メチルドーパ、モキソニジン、ヒドララジン ミノキシジル)、ブラジキニン、アンジオテンシン受容体遮断薬(ベナゼプリル、カプトプリル、シラゼプリル(cilazepril)、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、ゾフェノプリル)、アンジオテンシン−1ブロッカー(カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、テルミサルタン、バルサルタン)、エンドペプチダーゼ(オマパトリラート)、ベータ2アゴニスト(アセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモドール(esmodol)、メトプロロール、ネビボロール、ベタキソロール)、ベータ2ブロッカー(カルベジロール、ラベタロール、オキシプレノロール、ピンドロール、プロパノロール)、利尿剤(クロールタリドン、クロロチアザイド、エピチジド、ヒドロクロロチアザイド、インダパミド、アミロリド、トリアムテレン)、カルシウム拮抗剤(アムロジピン、バルニジピン、ジルチアゼン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニトレンジピン、ベラパミル)、抗不整脈剤(anti arthymic active)(アミオダロン、ソラトル(solatol)、ジクロフェナック、エナラプリル、フレカイニド)またはシプロフロキサシン、ラタノプロスト、フルクロキサシリン、ラパマイシンおよび類似体およびリムス(limus)誘導体、パクリタキセル、タキソール、シクロスポリン、ヘパリン、コルチコステロイド(トリアムシノロンアセトナイド、デキサメタゾン、フルオシノロンアセトナイド)、抗血管形成剤(iRNA、VEGF拮抗薬:ベバシズマブ、ラニビズマブ、ペガプタニブ)、成長因子、ジンクフィンガー転写因子、トリクロサン、インスリン、サルブタモール、エストロゲン、ノルカンタリジン、マイクロリジル(microlidil)類似体、プロスタグランジン、スタチン、コンドロイチナーゼ、ジケトピペラジン、大環状化合物、ニューレグリン、オステオポンチン、アルカロイド、免疫抑制剤、抗体、アビジン、ビオチン、クロナゼパムが挙げられる。
【0057】
活性物質は、局所輸送のため、または外科治療前後の痛み、骨髄炎、骨肉腫、関節感染、黄斑変性、糖尿病性眼合併症、糖尿病、乾癬、潰瘍、アテローム性動脈硬化、跛行、血栓症、ウイルス感染、癌の管理として、または、ヘルニアの治療において輸送される。
【0058】
本発明では、活性物質を含むならば、微粒子中における1つ以上の活性物質の濃度は、微粒子の全重量に対して、好ましくは、少なくとも5重量%であり、特には、少なくとも10重量%であり、さらに特には、少なくとも20重量%である。濃度は、必要に応じて、90重量%以下、70重量%以下、50重量%以下、または30重量%以下とすることができる。
【0059】
本発明の微粒子を使用することができる分野としては、皮膚、血管、整形外科、眼科、脊髄麻酔、腸、肺、鼻または耳の分野が挙げられる。
【0060】
医薬品の用途以外に、本発明の微粒子は、とりわけ農業の用途に使用することができる。特に、そのような微粒子に農薬または植物栄養素を含有させることができる。
【0061】
また、官能基、特に信号分子、酵素、または抗体などの受容体分子を、少なくとも表面に付与することによって、粒子の少なくとも表面を官能化することができる。受容体分子は、例えば、診断テストの一部として、本発明の粒子を使用して精製または検出する対象化合物の受容体分子であってよい。適切な官能化方法は、当該技術分野で知られた方法に基づくものであってよい。特には、受容体分子を、粒子を構成する架橋ポリマーに、その残基X中の反応性部分を介して結合させてもよい。残基X中の反応性部分の例としては、カルボジイミド基またはスクシンアミド基が挙げられる。
【0062】
微粒子が、例えば、−OH基および/または−COOH基を例えばX部分に含むなら、粒子に結合すべき標的の官能部分の水酸基とさらに反応することができるカルボジイミドにより、そのような−OHまたは−COOH基を官能化することができる。
【0063】
アミド基を含む標的官能部分を結合させるには、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を使用することができる。特に、微粒子がPEG部分などのポリアルキレングリコール部分を含む場合には、NHSは微粒子に結合される。そのようなポリアルキレングリコール部分は、特に、式Iに示されるX残基またはその一部であってよい。
【0064】
標的官能部分は、また、初めに微粒子をビニルスルフォンと反応させることによって微粒子に結合される−SH基、例えばシステイン残基を含んでいてもよい。特に、微粒子がPEG部分などのポリアルキレングリコール部分を含む場合には、ビニルスルフォンは微粒子に結合される。そのようなポリアルキレングリコール部分は、特に、式Iに示されるX残基またはその一部であってよい。他にも種々のカップリング剤が知られている(フィッシャー(Fisher)ら、ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(Journal of Controlled release)111(2006)135−144、およびカスツリ(Kasturi)ら、ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(Journal of Controlled release)113(2006)261−270を参照)。
【0065】
従来技術で使用されているポリマーを式Iで示される架橋性化合物に(少なくとも部分的に)置き替えるなら、原理上は当該技術分野で知られた方法により微粒子を製造することができる。
【0066】
本発明の微粒子は、式Iで示される架橋性化合物に加えて、ポリマーおよび架橋性または重合性化合物の群から選択される1つ以上の化合物を含んでいてもよい。ポリマーは、特に、上述したようなポリマーであってよい。架橋性または重合性化合物は、特に、アクリル化合物および他のオレフィン性不飽和化合物、例えばビニルエーテル、アリルエーテル、アリルウレタン、フマレート、マレート、イタコネートまたは不飽和アクリレート単位の群から選択される化合物であってよい。適切な不飽和アクリレートとしては、例えば不飽和ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステルアクリレート、不飽和エポキシアクリレートおよび不飽和ポリエーテルアクリレートが挙げられる。
【0067】
他のポリマーまたは重合性化合物は、微粒子の特性を調節するため、例えば、活性物質の放出プロファイルを調整するため、または、完全な(すなわち、細胞に障害を与えるおそれのある反応性不飽和結合が残留していない)重合を得るため、または、微粒子の粒度分布を狭くするために使用することができる。式Iで示される化合物と1つ以上の他の重合性化合物を組み合わせて微粒子を調製する場合、式Iで示される化合物と1つ以上の他の化合物とからなる架橋ポリマーが生成され得る。
【0068】
式Iで示される化合物に対する他のポリマーおよび重合性化合物の群の重量比は、0またはそれ以上であってよい。他のポリマーまたは重合性化合物が存在するなら、式Iで示される化合物に対する他のポリマーおよび重合性化合物の群の重量比は、通常、少なくとも10:90であり、特には、少なくとも25:75、または、少なくとも45:55である。この比は、90:10以下、特に、55:45以下または35:65以下であることが好ましい。
【0069】
微粒子は、例えば、
〜多官能性ラジカル重合性化合物Xを式IIで示されるイソシアネートと反応させる工程、
【化2】


(式中、X、R、RおよびRは、上に定義したとおりである);
〜(式Iで示される)反応生成物を含む液滴を生成する工程
〜および、反応生成物を架橋する工程
により製造される。このような製造方法の利点は、微粒子がわずか2つの出発物質:Xを提供する化合物および式IIで示される化合物から出発して製造することができるという簡素性にあり、特に、式IIで示される化合物は、商業的に入手可能である。
【0070】
代替の製造ルートは、次の反応を経由する。
【化3】


(式中、Rは、脂肪族、脂環式または芳香族の基であり、Rはアルキル(C2〜C4)であり、Aは、OまたはNから選択され、Rは式Iで定義したとおりである)
このような代替製造法は、実際的な理由、特に各種R基を有する原料を商業的に入手しやすいという点で有利である。イソシアネートの代わりにチオイソシアネートを使用することもできる。
【0071】
液滴は、反応生成物を含む不連続相のエマルジョンを作ることによって生成することが好ましい。式Iで示される化合物は、例えば、水、水溶液または他の液体もしくは溶剤中で乳化することができる。エマルジョンの安定性は、公知の界面活性剤、例えば、トリトンX、ポリエチレングリコールまたはTween80を使用することによって向上させることができる。乳化重合の使用はシンプルであり、特にバッチプロセスに適している。
【0072】
押出し、スプレードライまたはインクジェットの技術を利用して液滴を調製することも可能である。その場合、反応生成物を含む液体は、通常、ノズルを使用して、適切な気体、例えば空気、窒素、希ガスなどへ、あるいは液体および反応生成物の非溶媒中へ押出しまたは「噴射」される。液滴のサイズは、配合物の粘度、振動ノズル、および/または、電界をかけられるノズルの使用によって、制御することができる。例えば、エスペシト(Espesito)ら、ファーマスーティカル・ディベロップメント・アンド・テクノロジー(Pharm.Dev.Technol)5(2);267−278、または、オゼキ(Ozeki)ら、ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(Journal of controlled release)107(2005)387〜394に記載されているように、非溶媒またはガスの適切な温度を選択し、および/または、他の条件、例えば放射線を適用することによって、架橋が起こり、本発明の微粒子が生成される。そうしたプロセスは、特に、連続的に行われることが好ましく、特に、大容量の微粒子を製造する場合に有利となり得る。
【0073】
反応温度は、通常、式Iで示される化合物の溶融温度超である。場合により、この化合物を、この化合物の融点未満または超える温度で、溶媒に溶解することも可能である。比較的低温で液滴が生成されるようになるほかに、これは、多孔性粒子の製造にも有用となり得る。反応性溶媒、例えば重合剤と反応し得る溶媒、例えばラジカル重合可能なモノマーである溶媒を使用することも可能である。この方法では、微粒子の網目密度を微調整することが可能になる。温度は、一般に、液相の沸点未満である。
【0074】
架橋は、ビニル基を含む架橋性化合物に対して知られている任意の適切な方法、特に、熱開始(パーオキサイドまたはアゾ開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリルなどの熱開始剤を使用)、光開始(ノリッシュ(Norrish)タイプIまたはII開始剤などの光開始剤を使用)、レドックス開始、あるいは、化学化合物および/または電磁放射を使用してラジカルを発生する任意の(別の)メカニズムによって行うことができる。適切な架橋剤の例として、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートまたはヒドロキシエチルアクリレートが挙げられる。
【0075】
必要に応じて、微粒子に1つ以上の活性物質を担持させることができる。担持は活性物質の存在下に微粒子を生成するか、またはその後に行われ得る。活性物質を高濃度に含有する微粒子を得るには、活性物質の存在下に微粒子を製造することが一般に好ましい。特に、活性物質が、架橋の影響を受けやすい場合、あるいは、架橋に悪影響を及ぼすか、または、架橋に直接的もしくは間接的に干渉するおそれのある場合、微粒子が生成された後に担持させることが好ましい。これは、微粒子に活性物質を接触させ、物質を粒子内部へ拡散させ、および/または、その表面に付着/吸着させることによって行われる。
【0076】
本発明によれば、1つ以上の活性物質を、満足できるカプセル化効率(すなわち、使用した活性物質の量で除した粒子中の活性物質の量)で含有する微粒子を提供することができる。担持条件によって、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも90%、またはそれ以上の効率が、実現可能である。
【0077】
次に、本発明を下記の実施例により説明するが、これらに限定されるものではない。
【0078】
[材料および方法]
ポリ(エチレングリコール)35kD(PEG)、スズ(II)エチルヘキソノエート、パーオキソジスルフェート(KPS)、塩酸テラゾシン、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、イルガキュア(Irgacure)819、ポリカプロラクトントリオール(PCL300)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2,4−トルエンジイソシアネート(TDI)およびDarocur1173を、シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)より購入した。PTGL1000(すなわち、Mw1000g/molのポリ(−メチル−1,4−ブタンジオール)コ(テトラメチレングリコール))は、デソテック(Desotech)製であり、イソシアネートエチルメタクリレート(IEMA)は、KarenzMOIから購入した(純度:98%)。Irganox 1035は、Ciba Speciality Chemicals製であった。特に明記しない限り、薬品はそのまま使用した。
【0079】
核磁気共鳴(NMR)実験は、Varian Inova 300分光計を用いて実施した。
【0080】
赤外実験は、Perkin Elmer Spectrum FT−IR Spectrometer 1760x、1720xを用いて実施した。ポリマー試料を2個のKBr錠剤の間に置いた。
【0081】
アクリレートの転化率は、Golden Gate減衰全反射(ATR)アクセサリーを備えたPerkin Elmer Spectrum One FTIR spectrometerにより測定した。Spectrum Oneは、DTGS検出器と1回反射ダイヤモンド結晶を使用したGolden Gateから構成されている。4cm−1のスペクトル分解能で4回スキャンして、4000〜650cm−1の赤外スペクトルを記録した。透過スペクトルを吸収スペクトルに変換した。1410cm−1、1630cm−1および810cm−1のピーク高さを決定し、アクリレート転化率を測定した。
【0082】
サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を、Waters 515 HPLCポンプ、Waters 410 Differential Refractmeter、並びに、Waters Styragel HR 2、3および4カラムを装着したServern Analytical SA6503 Programmable Absorbance Detectorを使用し、溶離剤としてテトラハイドロフラン(THF)を用い、流量1ml/分で行った。SECのデータを、IR検出器を使用して得た。粒度分布幅の狭いポリスチレン標準試薬(EasyCal PS2、Polymer Laboratories製、Heerlen)を用いてシステムの較正を行った。
【0083】
テラゾシンの濃度測定に関する全ての実験は、液体クロマトグラフィ(TRHに対するデュプロット(duplot)測定)を用いて行った。HLPCシステム(HP 1090 Liquid Chromatograph)は、次の構成部分:DR5ポンプ、ダイオードアレイ検出器(DAD)、内蔵オートサンプラー、およびChemStationソフトウェア、バージョンRev.A.08.03(Agilent Technologies)から構成された。150×4.6mm、平均粒子径3.5μmのC18分析カラム(XTerra RP 18、Waters)を40℃で使用した。流量は1.5ml/分とした。移動相A、10mMリン酸緩衝液およびBのアセトニトリルからなる移動相勾配を使用した。溶離勾配は次のとおりとした。14分間の1勾配サイクルの間に、移動相を10%移動相Bから95%移動相Bへと8分間で変え、95%の移動相に2分間保持し、その後、4分以内に10%の移動相Bへと低下させ、次のサンプルが注入されるまでその状態に保持した。注入体積は50μlとした。検出は250および340nmで行った。
【0084】
微粒子の粒度分布の測定には、LST 230 Series Laser Diffraction Particle size analyzer(ベックマン・コールター)を使用した。標準物質は、UHMwPE(0.02〜0.04μm)とした。
【0085】
微小球体の形態分析には、Leica DMLB顕微鏡(倍率 ×50〜×400)を使用した。
【0086】
微粒子を調べるために、加速電圧5kVおよび10kVで、Philips CP SEM XL30を使用した。SEM試料ホルダーに試料を入れ、導電性の金の層を設けた(260秒、20mA)。
【0087】
[実施例1:PTGL1000−(IEMA)オリゴマーの合成]
51mg(全量に対して0.1重量%)のIrganox 1035、13.9g(0.09mol)のIEMAおよび11mg(IEMAに対して0.1mol%)のスズ(II)2−エチルヘキサノエートを、100mlの反応フラスコ中で乾燥空気下に共に攪拌した。45.6g(0.045mol)のPTGL1000を一定温度(20℃)で30分かけて滴下により加えた。次に、反応混合物を60℃に加熱し、18時間進行させた。PTGL1000−(IEMA)の生成を次の分析結果により確認した:H−NMR(300MHz、CDCl、22℃):δ(ppm)=6.26〜5.83(s,1H,H−CH=CH(CH)−);5.78〜5.77(s,1H,H−CH=CH(CH)−);4.50〜4.05(m,2H,−O−CH−CH−NH−);4.05〜3.88(m,2H,−O−CH−CH−NH−);3.22〜2.51(m,2H,−O−CH−CH−CH(CH)−);1.95〜4.79(s,3H,CH2=CH(CH)−);1.66〜1.38(s,24H、−CH−CH(CH)−CH−);IR(neat,cm−1):1723.59(C=O,stretch)、1638.14(C=C);SEC(IR検出器):M=4800、PDI=1.57。
【0088】
[実施例2:PTGL1000−(IEMA)微小球体の調製]
2gのPTGL1000−(IEMA)オリゴマーおよび20gのPEG溶液(脱ミネラル水(demi−water)中に20%)を60℃、1500rpmで15分間攪拌した(Eurostar Power Control Visc、IKA−WERKE)。攪拌を停止して、エマルジョンを安定化させた。15分後、4.5mlのKPS溶液(50mg/ml)を加えた。70℃で2時間、重合を進行させた。微小球体を遠心分離(Harrier 15/80、MSE、4500rpmで15分)により分離し、20mlの脱ミネラル水で洗浄した。微小球体の形態を顕微鏡で調べた。粒子径分析装置によれば、平均直径は25μm(d75/d25=9)であった。
【0089】
[実施例3:PTGL1000−(TDI−HEA)の合成]
75.48g(0.65mol)のHEAを、0.3g(0.48mmol)またはスズIIエチルヘキサノエート(0.5g(1.3mmol)の存在下、滴下により113.20g(0.65mol)のTDIに加えた。イソシアネート基(NCO)の転化率を滴定により測定した。このHEA−TDI混合物174.95g(0.60mol)を301.33グラムの保土ヶ谷製のPTGL1000(0.60molのOH)および0.3gのIrganox 1035に加え、攪拌した。温度を80℃まで徐々に上昇させた。7時間後、NCO値は0.026%であった。反応混合物を一晩かけて50℃まで冷却した。さらに16時間後、NCOレベルは0.007%であった。ウレタンジアクリレートオリゴマーの収量は450g(92%)であった。
【0090】
[実施例4:PTGL1000−(TDI−HEA)微小球体の製造]
1.70gのPTGL1000−(TDI−HEA)オリゴマーと15gのPEG溶液(脱ミネラル水中に20%)を室温、1500rpmで15分間攪拌した(Eurostar Power Control Visc、IKA−WERKE))。攪拌を停止して、エマルジョンを安定化させた。15分後、5mlのKPS水溶液(50mg/ml)を加えた。エマルジョンを500rpmで10分間攪拌した。70℃で2時間、重合を進行させた。微小球体を遠心分離(Harrier 15/80、MSE、4500rpmで15分)により分離し、20mlの脱ミネラル水で2回洗浄した。微小球体の形態を顕微鏡で調べた。粒子径分析装置によれば、平均直径は130μm(d75/d25=7)であった。
【0091】
[実施例5:PTGL1000−(IEMA)/EGDMA/TMPTMA微粒子]
1.4gのPTGL1000(IEMA)、0.5gのDEGDMA、0.1gのTMPTMAおよび20mgのDarocur 1173により配合物を調製した。2gのPEGおよび13gの脱ミネラル水により水溶液を調製した。この水溶液に配合物を加えエマルジョンを得た。エマルジョンを500rpmで30分間攪拌した(Heidolph MR3002)。UV光(Macam Flexicure controller、D−バルブ、200mW/秒/cm)下、30分間、重合を進行させた。重合後、微粒子を遠心分離(Harrier 15/80、MSE、4500rpmで15分)により分離し、20mlの脱ミネラル水で2回洗浄した。微粒子の形態を走査電子顕微鏡で調べた(図1参照)。粒子径分析装置によれば、平均直径は100μm(d75/d25=1.9)であった(図2参照)。アクリレート転化率は80%であった。
【0092】
[実施例6:官能性PTGL1000−(TDI−IEMA)/HEA微粒子の調製]
1.5gのPTGL1000(TDI−HEA)、1.5gのHEAおよび30mgのIrgacure 819により配合物を調製した。4gのPEGおよび21gの脱ミネラル水により水溶液を調製した。この水溶液に配合物を滴下により加えエマルジョンを得た。エマルジョンを500rpmで30分間攪拌した(Heidolph MR3002)。UV光(Macam Flexicure controller、D−バルブ、200mW/s/cm)下、30分間、重合を進行させた。重合後、微粒子を遠心分離(Harrier 15/80、MSE、4500rpmで15分)により分離し、20mlの脱ミネラル水で2回洗浄した。微粒子の形態を顕微鏡で調べた。粒子径分析装置によれば、平均直径は390μm(d75/d25=2.5)であった。アクリレート転化率は95%より高かった。これらの微粒子は、後で機能性を付与するために使用可能な水酸基を有している。
【0093】
[実施例7:PTGL1000−(IEMA)/EGDMA/TMPTMA微粒子の放出プロファイル]
100mgの乾燥微粒子(実施例5から)3バッチを、2mlのテラゾシン溶液(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に、5mg/ml)と共にインキュベートした。これにより、10%の担持がなされた。オーブン中、60℃で終夜、水分を蒸発させた。乾燥微粒子は、7.5mlのPBSで3回洗浄した。カプセル化効率を決定するために洗浄工程のテラゾシン濃度を測定した。カプセル化効率は75%であった。PBS中、37℃で放出プロファイルを調べた。結果を図3に示す。縦線は標準偏差を示す(n=3)。
【0094】
[実施例8:PTGL1000−(TDI−HEA)/HEA微粒子の凍結乾燥安定性]
実施例6の微粒子を、終夜、凍結乾燥した(真空ポンプEdwards 5 two stagesおよび圧力コントローラVaccuubrand CVC2を備えたEdwards Freeze dryer Micro Modulyo)。脱ミネラル水中で再構成の後、微粒子の形態を顕微鏡で調べた(破壊された微粒子は観察されなかった)。粒子径分析装置によれば、平均直径は360μmであった。これは新鮮な微粒子で測定された直径と比較すると7%未満の偏差を示す。このことから、これらの微粒子は物理的衝撃(凍結乾燥)により生ずる悪影響(粒子径の低下)に対して良好な耐性を示すことが判る。
【0095】
[実施例9:PTGLベースの微粒子の圧力安定性]
実施例5の微粒子を、KBrプレスを使用して圧縮した。5トンの圧力を5分間保持した。脱ミネラル水中で再構成の後、微粒子の形態を顕微鏡で調べた。破壊された微粒子は観察されなかった。粒子径分析装置によれば、平均直径は110μmであった。これは圧縮しなかった微粒子で測定された粒子径と比較するとわずかに10%の偏差を示す。
【0096】
[実施例10:オンフライ(on−fly)PTGL1000−(TDI−HEA)微粒子の製造]
1.5gのPTGL1000−(TDI−HEA)、1.5gのHEAおよび30mgのIrgacure 819を混合した。この配合物を、直径0.6mmの針を通して空気中に滴下した。空気中を落下する間に、微粒子をUV重合させ(Macam Flexicure controller、D−バルブ、200mW/s/cmを使用)、エチレングリコール中に回収した。微粒子をエチレングリコール中で30分間後硬化させた。微粒子の形態と粒子径を、顕微鏡により推定したところ、平均粒子径1000μmで、狭い分布(950〜1050μm、顕微鏡を使用して目視により測定)を有していた。
【0097】
[実施例11:PCL300−IEMAの合成]
ポリカプロラクトントリオール(80グラム、0.266mol)、イルガノックス(Irganox)1035(0.2グラム、全重量に対して0.1重量%)を10分間攪拌した。IEMA(124グラム、0.800mol)を90分の間に滴下により加えた。反応混合物を60℃に加熱し、IRおよびNMRによって示されるように、反応が完結するまで4時間攪拌した。H−NMR(300MHz、CDCl、22℃、TMS):δ(ppm)=6.1(CH,メタクリレート)、5.6(CH,メタクリレート)、5.0(NH,ウレタン)、4.2(2H,−CH−CH−)、4.0(CH2−CO−)、3.5(2H,−CH−CH−)、2.4(CH3−CH2)、1.4〜1.7(6H,−CH2−CH2−CH2−)、1.9 3H(CH3,メタクリレート)−CH2)、0.9 3H(CH3−CH2)。
【0098】
[実施例12:生分解性PCL300−IEMA微粒子の調製]
1gのPCL300−IEMAを1gのPEG、6.5gの脱ミネラル水および70mgのDarocur 1173と15分間混合した(Heidolph MR3002、1250rpm)。UV光(Macam Flexicure controller、D−バルブ、200mW/s/cm)下、60分間、重合を進行させた。重合後、微粒子を、真空下、0.8μmフィルター(Gelman Sciences Supor−800))でろ過し、100mlの脱ミネラル水で洗浄した。形態を光学顕微鏡で調べた。アクリレート転化率は90%であった。平均粒子径は140μm(D75/D25=3.2)であった。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の微粒子のSEM写真を示す。
【図2】本発明の複数の微粒子の粒度分布を示す。
【図3】薬剤を坦持した本発明の微粒子の放出プロファイルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋ポリマーを含む微粒子であって、そのポリマーは式
【化1】


(式中、
〜Xは、多官能性のラジカル重合可能な化合物の残基(少なくともnに等しい官能価を有する)であり;
〜各Yは、独立して場合により存在し、存在する場合、各Yは、独立してO、SおよびNRの群から選択される部分を示し;
〜各Rは、独立して水素並びに置換および非置換の脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素基(エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むその他の部分の群から選択される1つ以上の部分を場合により含有する)の群から選択され、各Rは、独立して、特に、水素並びに置換および非置換のアルキル基(1つ以上のヘテロ原子、特に、P、S、OおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を場合により含有する)の群から選択され;
〜各Zは、独立してOおよびSから選択され;
〜各Rは、独立して、置換および非置換の脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素基(エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むその他の部分の群から選択される1つ以上の部分を場合により含有する)の群から選択され;
〜各Rは、独立して、水素並びに置換および非置換の脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素基(エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むその他の部分の群から選択される1つ以上の部分を場合により含有する)から選択され、各Rは、独立して、特に、水素並びに置換および非置換のアルキル基(1つ以上のヘテロ原子、特に、P、S、OおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を場合により含有する)の群から選択され;かつ、nは少なくとも2であり、
〜各Rは、水素、−COOCH、−COOC、−COOC、−COOC.Rから選択される)
で示される架橋性化合物からなる微粒子。
【請求項2】
Xは、−OH、−NH、−RNHまたは−SHの多官能性ポリマーまたはオリゴマーの残基である請求項1に記載の微粒子。
【請求項3】
Xは、生安定性または生分解性のポリマーまたはオリゴマーから選択される請求項1または2に記載の微粒子。
【請求項4】
Xは、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリチオエステル、脂肪族ポリチオエーテル、脂肪族ポリエーテルまたはポリペプチドから選択される請求項3に記載の微粒子。
【請求項5】
は、水素またはアルキル基である請求項1〜4のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項6】
は、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜14個の炭素原子を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項7】
は、水素であるか、または1〜6個の炭素原子を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項8】
平均直径が、10nm〜1000μmの範囲、好ましくは1〜100μmの範囲である請求項1〜7のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項9】
内部コアおよび外部シェルを含む構造を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項10】
1つ以上の活性物質を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項11】
前記活性物質が、栄養物、医薬品、タンパク質およびペプチド、ワクチン、遺伝子材料、診断薬、または造影剤の群から選択される請求項10に記載の微粒子。
【請求項12】
前記架橋ポリマーが、カルバメート、チオカルバメート、ウレイルまたはアミドの共重合体である請求項1〜11のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法であって、
〜多官能性ラジカル重合性化合物Xを式II
【化2】


(式中、X、R、RおよびRは、請求項1に定義したとおりである)
で示されるイソシアネートと反応させる工程、
〜反応生成物を含む液滴を生成する工程、
〜および、前記反応生成物を架橋する工程
を含む方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の微粒子の、活性化合物、特に薬剤、診断助剤または造影助剤の輸送システムとしての使用。
【請求項15】
請求項14に記載の微粒子の、皮膚、血管、整形外科、眼科、脊髄、腸、肺、鼻または耳の分野における使用。
【請求項16】
請求項14または15に記載の微粒子の、懸濁物、カプセル、チューブ、ペレット、(ラピッドプロトタイプによる)足場、コーティング、パッチ、複合材料、もしくは石膏、または(その場で生成する)ゲルにおける使用。
【請求項17】
前記微粒子が注入、噴霧、埋込みまたは吸収される請求項16に記載の微粒子の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−530457(P2009−530457A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500773(P2009−500773)
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002514
【国際公開番号】WO2007/107358
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】