説明

架橋ラテックスポリマー粒子および硬化性アミノ樹脂の分散物

【課題】高い湿潤引張強さを維持しつつ、引張強さおよび引裂強さのバランスにより示されるような、より高い機械的強度をもたらす、アミノ樹脂ベースのバインダー組成物を提供する。
【解決手段】アミノ樹脂、ならびに0.1から2重量パーセントの多エチレン性不飽和モノマーおよび0.1から2重量パーセントの(メタ)アクリルアミドを含むラテックスポリマー粒子の分散物を含む水分散コーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化アミノ樹脂結合ガラス繊維不織布を軟化させるための水分散(water−dispersed)コーティング組成物に関する。さらに詳細には、本発明は(a)96から99.8重量パーセントの少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマー;0.1から2重量パーセントの多エチレン性不飽和モノマー:0.1から2重量パーセントの(メタ)アクリルアミド;および場合によって、0から2重量パーセントの酸官能性モノマーを含むラテックスポリマー粒子の分散物;ならびに(b)少なくとも1種のアミノ樹脂を混合物で含む、水分散コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス繊維不織布またはガラス繊維マット(「マット」)のためのコーティングとして使用される場合、アミノ樹脂がマットのための単独のバインダーとして使用されるか、またはアミノ樹脂が多エチレン性不飽和モノマーおよび(メタ)アクリルアミドの両方を含まないラテックスポリマー粒子と混合されるかのいずれかであるガラス繊維不織布と比べて、本発明は改善された湿潤および乾燥引張強さおよび引裂強さを有するガラス繊維不織布を提供する働きをする。
【0003】
米国特許第4,473,678号は、自己架橋性合成樹脂の水性分散物であって、特に、0.1から10重量%のN−メチロールアクリルアミドまたはN−メチロールメタクリルアミドを含むビニルポリマーから形成される樹脂粒子を含む、自己架橋性合成樹脂の水性分散物を開示する。この特許において開示される分散物は、N−メチロール基を有する自己架橋性樹脂に対して特異的である。しかし、特性のバランスは、これらの自己架橋系および他の自己架橋系において損なわれる。特に、これらは引裂強さが低いという問題がある。
本質的にアミノ樹脂、最も一般的には尿素ホルムアルデヒド樹脂からなるバインダーで作られたガラス繊維不織布は、しばしば脆い。さらに、マットの強度特性は、その製造後、特にマットを湿潤条件に付した場合に、明らかに劣化し得る。この理由のために、アミノ樹脂バインダーは、通常、クロスリンカーおよび様々な触媒系とアミノ樹脂を配合するか、または多量のラテックス(エマルジョン)ポリマー、典型的にはメチロールアクリルアミドを含有するものでアミノ樹脂を強化して、自己架橋性を提供することにより、一般的に改変されてきた。後者の用語は、実際に、ラテックス上の官能基が、従来使用されてきたクロスリンカーおよび様々な触媒系をさらに必要とすることなくアミノ樹脂と直接架橋する事実をいう。これらの自己架橋性ラテックスは、ある程度の増大した湿潤引張強さを提供し得るが、さらに高い生産物需要を満たすために生産ライン速度が増大するにつれて、さらに高い機械的強度の必要性が増大する。ライン速度が増大すると、被覆されたウェブ材料に対してさらなる応力が加わり、その結果、ラップにおいてウェブが損傷する。後者は製造業者にとって重大な問題である。さらに、より速いライン速度はオーブン中の滞留時間を減少させ、バインダーの完全な硬化を達成するのが困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,473,678号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らが直面する課題は、高い湿潤引張強さを維持しつつ、引張強さおよび引裂強さのバランスにより示されるような、より高い機械的強度をもたらす、アミノ樹脂ベースのバインダー組成物を提供することである。
【0006】
本発明者らは、意外にも、アミノ樹脂組成物に添加された特定の内部架橋ラテックスエマルジョンポリマーは、メチロールアクリルアミドなどの自己架橋性モノマーを用いるアクリル修飾アミノ樹脂組成物を含む最新の高性能商品と比較して、引張強さ(乾燥および湿潤の両方)ならびに引裂強さを著しく改善することを見いだした。内部架橋ラテックスエマルジョンポリマー修飾剤は、ラテックスポリマーを架橋するために多エチレン性不飽和モノマーを含み、このポリマーはさらに(メタ)アクリルアミドを含む。これは、アミノ樹脂に直接添加されたポリマーの架橋により機械的特性が最適化されると仮定する当該分野の知識の観点から驚くべきことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水分散コーティング組成物であって、(a)コポリマーの重量基準で、(i)96から99.8重量パーセントの、成分(iii)の(メタ)アクリルアミドを含まない少なくとも1種のモノエチレン性不飽和非イオン性モノマー;(ii)0.1から2重量パーセントの多エチレン性不飽和モノマー;(iii)0.1から2重量パーセントの(メタ)アクリルアミドを含むコポリマーから作られた粒子の少なくとも1種の水性分散物、ここで、前記コポリマーは、コポリマーの重量基準で1重量パーセントを超えて自己架橋性モノマーを含まない;ならびに(b)メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン/ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂およびアセトグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂またはその組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1種のアミノ樹脂を含み;成分(a):(b)の比が、両成分の固体基準で、1:99から20:80である、組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一つの実施形態において、コポリマーの多エチレン性不飽和モノマーは、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートまたはその組み合わせからなる群から選択される。特に、一つの実施形態において、多エチレン性不飽和モノマーは、アリル(メタ)アクリレートを含む。
【0009】
一つの実施形態において、組成物のコポリマーは、0.1から2重量パーセントの1種以上の酸官能性モノマーをさらに含む。好ましくは、酸官能性モノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸を含む。一つの実施形態において、組成物は、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、もしくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、またはその組み合わせをさらに含む。
【0010】
一つの実施形態において、組成物のコポリマーは、N−メチロール基を含むモノマーの重合単位を、コポリマーの重量基準で1重量パーセントを超えて含まない。一つの実施形態において、組成物のコポリマーは、自己架橋性モノマーの重合単位を、コポリマーの重量基準で1重量パーセントを超えて含まない。もう一つ別の実施形態において、コポリマーは、N−メチロール基を含むモノマーまたは自己架橋性モノマーの重合単位を、コポリマーの重量基準で0.75重量パーセントを超えて含まない。別の実施形態において、コポリマーは、N−メチロール基を含むモノマーまたは自己架橋性モノマーの重合単位を、コポリマーの重量基準で0.5重量パーセントを超えて含まない。好ましい実施形態において、コポリマーはN−メチロール基を含むモノマーまたは自己架橋性モノマーの重合単位を含まない。
【0011】
組成物は、乾燥および湿潤引張強さならびに引裂強さを包含する性能特性の良好なバランスを有する耐熱性不織布の製造に有用なバインダーを提供する。
【0012】
本発明は、基体、例えば、ガラス繊維不織布をかかる組成物で処理する方法も提供し、この方法は、本発明の成分を水または1種以上の水性溶媒と混合し;前記基体を水性混合物と接触させるか、または水性混合物を基体に適用し;水性混合物を100℃から400℃の温度で加熱することにより、水性混合物を形成することを含む。コポリマーの多エチレン性不飽和モノマーがアリル(メタ)アクリレートを含む場合に、基体をかかる組成物で処理するためのこの同じ方法を用いることができる。同様に、コポリマーが、自己架橋性モノマーをコポリマーの重量基準で0.5重量パーセントを超えて含まない場合、またはコポリマーが自己架橋性モノマーを含まない場合に、この同じ方法が使用されうる。この方法は、基体、例えば、繊維系物品、不織物品または複合体などを処理するために使用できる。
【0013】
硬化性水性組成物のラテックスエマルジョン(コ)ポリマー(a)は、少なくとも1種の共重合したエチレン性不飽和酸官能性モノマーを含む付加ポリマーまたはコポリマーであり得る。好ましくは、酸官能性モノマーは、カルボン酸含有モノマーである。
【0014】
本明細書において用いられる場合、「酸官能性モノマー」とは、酸基またはその塩を含有するエチレン性不飽和モノマーを意味する。これは、カルボン酸基を含有するモノマーを包含する。
【0015】
「(コ)ポリマー」なる用語について言及する場合、ホモポリマーもしくはコポリマーのいずれか、または両者の組み合わせを意味する。「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレートまたはメタクリレートのいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」という用語は、アクリルまたはメタクリルのいずれかを意味する。
【0016】
本明細書において、「重量%」とは、特に記載しない限り、固形分基準の重量パーセントを意味する。
【0017】
本明細書において、「プレ架橋」という用語は、内部で架橋したラテックスエマルジョン(コ)ポリマー(「粒子内架橋」)を意味する。即ち、アミノ樹脂との混合前に、ポリマー合成の間に個々の粒子内で各ラテックスエマルジョン(コ)ポリマー粒子が架橋される。これは、「自己架橋性」という用語とは異なり、自己架橋性とは、硬化プロセス中に高温でアミノ樹脂上の官能基と反応するように選択された反応性官能基をエマルジョンポリマーが含有する、従来技術における記載において一般に使用される。従って、「自己架橋性」は、エマルジョンポリマーおよびアミノ樹脂の組み合わせであるバインダー生成物を生じさせ、組み合わせられたバインダー生成物は架橋されていると見なされる。さらに一般的に、「自己架橋性」モノマーは、粒子から粒子へ(粒子間架橋)、または粒子から樹脂マトリックスへのいずれかで架橋を提供し、特に、例えば多エチレン性不飽和モノマーにより粒子内で生じるプレ架橋(「粒子内架橋)を含まないモノマーを意味する。同じ成分または性質に対する全ての範囲の端点は、端点の両端を含み、独立して組み合わせ可能である。
【0018】
好ましい実施形態において、硬化性(コ)ポリマー組成物は、硬化性水性組成物である。本明細書において用いられる「水性」とは、水、および水と水混和性溶媒との混合物を包含する。
【0019】
「ガラス転移温度」または「T」は、次のようなフォックス式[Bulletin of the American Physical Society 1、3 123ページ(1956)]を用いて計算されるコポリマーのガラス転移温度である:
【数1】

コポリマーに関して、wおよびwは、反応容器に入れられたモノマーの重量基準での2種のコモノマーの重量分率を意味し、Tg(1)およびTg(2)は、2種の対応するホモポリマーのガラス転移温度(ケルビン)を意味する。3種以上のモノマーを含有するポリマーに関しては、さらなる項(w/Tg(n))が追加される。本発明の目的のためのホモポリマーのガラス転移温度は、下記の文献が特定のホモポリマーのTを報告していない以外は、“Polymer Handbook”J.BrandrupおよびE.H.Immergut編、Interscience Publishers、1966年において報告されているものであり、この場合、ホモポリマーのTは、示差走査熱量分析(DSC)により測定される。ホモポリマーのガラス転移温度をDSCにより測定するために、ホモポリマーサンプルを製造し、アンモニアまたは第一アミンの非存在下で維持する。ホモポリマーサンプルを乾燥し、120℃に予熱し、急速に−100℃に冷却し、次いで20℃/分の割合で150℃に加熱し、その間にデータを集める。ホモポリマーのガラス転移温度は、半値法(half−height method)を用いて変曲の中点で測定する。
【0020】
重合単位として架橋性モノマーを含有するコポリマーのTのFox計算は、各架橋性モノマーから形成されるホモポリマーのガラス転移温度に基づき、ただし、ホモポリマーはアンモニアまたは第一アミンの存在下にない。アニオン性モノマーから形成されるホモポリマーのガラス転移温度値は、酸形態におけるアニオン性ホモポリマーについてである。エマルジョン(コ)ポリマー粒子が2種以上の相互に非相溶性である(コ)ポリマーから作られている場合、Tgは、各(コ)ポリマー中に存在する成分モノマーに従って各(コ)ポリマー相について計算される。
【0021】
アミノ樹脂、例えば、尿素ホルムアミド樹脂は周知であり、広く商業的に入手可能である。これらは、例えば、尿素およびホルムアルデヒドを反応させ、メチロール基を含有する化合物を形成し、これを次に加熱下、触媒を用いるか、または用いないで、さらに反応させるか、または縮合させるか、または硬化させて、ポリマーを形成することにより、形成される。この樹脂中のメチロール基は、活性水素基、例えば、他のメチロール基と反応して、エーテルまたはメチレン基を形成し、これによりポリマー構造を形成することが知られている。かかるポリマー構造は一般に脆く、かかる樹脂をバインダーとして含有する不織布は比較的柔軟性がない傾向がある。商業的に入手可能な尿素ホルムアルデヒド樹脂の例としては、Casco−Resin FG−413F(Borden、Inc.)およびGP(商標)2980RESI−MAT(商標)Glass Mat Binder Resinが挙げられる。前述のように、アミノ樹脂バインダーは一般的に、自己架橋をもたらすために、アミノ樹脂とメチロールアクリルアミドを含有するラテックス(エマルジョン)ポリマーとを配合することにより修飾されている。自己架橋をもたらすためにアミノ樹脂バインダー中にメチロールアクリルアミドを含有する商業的に入手可能なアクリル修飾剤の例としては、Rhoplex(商標)GL−618およびRhoplex(商標)GL−720(どちらも、米国フィラデルフィアのRohm and Haas Companyから入手)が挙げられる。かかる製品は、機械的特性に関してさらに高い性能を必要とする製品分野で有用である。
【0022】
本発明は、水分散コーティング組成物を提供し、これは、アクリル修飾アミノ樹脂組成物と呼ばれる。本発明のアミノ樹脂成分は、例えば、当該分野において知られているような、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン/ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂およびアセトグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂などからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ樹脂であり得る。好ましいのは、尿素−ホルムアルデヒド(UF)樹脂である。アミノ樹脂は、ポリマー修飾剤、例えば、(メタ)アクリル(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール(コ)ポリマー、スチレン−(メタ)アクリルコポリマー、スチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、もしくはスチレン、無水マレイン酸、および(メタ)アクリル酸を含むコポリマー、またはスチレン、無水マレイン酸、および(メタ)アクリレートを含むコポリマーも含み得る。
【0023】
少なくとも1種のエマルジョン(コ)ポリマー(a)のポリマー粒子は、コポリマーの重量基準で、96から99.8重量パーセントの少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマー;0.1から2重量パーセントの多エチレン性不飽和モノマー:0.1から2重量パーセントの(メタ)アクリルアミド;および場合によって0から2重量パーセントの酸官能性モノマーを含むラテックスエマルジョン(コ)ポリマーであり、下記のように、乳化重合方法から得られる。
【0024】
本発明のラテックスエマルジョン(コ)ポリマーは、1種以上の共重合された多エチレン性不飽和モノマー、例えば、アリルメタクリレート(ALMA)、アリルアクリレート、ジアリルフタレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,2−エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ブタジエン、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)およびジビニルベンゼンを含む。これらのうち、ALMA、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、および1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。ALMAが最も好ましい。多エチレン性不飽和モノマーは、コポリマーの重量基準で、0.1重量%、好ましくは0.1から10%、または0.1から5重量%、さらに好ましくは0.1から2重量%、最も好ましくは0.1から1重量%、または0.1から0.5重量%の量で有効に用いることができる。
【0025】
本発明のラテックスエマルジョン(コ)ポリマーは、本明細書において(メタ)アクリルアミドと称するモノマー種から選択される1種以上のモノマーをさらに含む。これは、アクリルアミド類およびアルキル置換アクリルアミド類、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−tert− ブチルアクリルアミドおよびN−メチル(メタ)アクリルアミドを包含する。これらのうち、メタクリルアミド、特にアクリルアミドが好ましい。(メタ)アクリルアミドモノマーを、コポリマーの重量基準で0.1から10重量%、または0.1から5重量%、さらに好ましくは0.1から2重量%、最も好ましくは0.1から1重量%、または0.1から0.5重量%、または0.1から0.25重量%の量で同様に使用する。
【0026】
ラテックスエマルジョン(コ)ポリマー(a)は、当該分野において周知の技術であるフリーラジカル乳化重合により製造することができる。「エマルジョンポリマー」、または「エマルジョン(コ)ポリマー」は、D.C.Blackley、Emulsion Polymerization(Wiley、1975)およびH.Warson、The Applications of Synthetic Resin Emulsions、第2章(Ernest Benn Ltd.、London 1972)で詳細に議論されているような当該分野において公知の乳化重合技術により製造された、水性媒体中に分散された(コ)ポリマーを意味する。本明細書における「非イオン性モノマー」は、共重合されたモノマー残基がpH=1〜14の間で実質的なイオン電荷を有さないことを意味する。硬化された組成物は、柔軟性と強度の両方を有することが特に有利である。エマルジョンポリマーは、好ましくは90℃より低いTgを有する。いくつかの用途に関して、エマルジョンポリマーは、好ましくは、75℃未満、または50℃未満、またはさらには40℃未満、25℃未満、またはさらには0℃未満のTgを有する。
【0027】
ラテックスエマルジョン(コ)ポリマーのモノエチレン性不飽和非イオン性アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルエステルモノマー、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシブチルアクリレートが挙げられうる。ラテックスエマルジョン(コ)ポリマーの他の好ましいモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、またはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられうる。ポリマー中に組み入れることができる他のエチレン性不飽和非イオン性モノマーとしては、ビニル芳香族化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、ビニルトルエンなど;酢酸ビニル、酪酸ビニルおよび他のビニルエステル;ビニルモノマー、例えば、ビニルアルコール、ビニルエーテル類、塩化ビニル、ビニルトルエン、ビニルベンゾフェノン、および塩化ビニリデン;アリルエーテル類;ならびにオレフィンが挙げられる。
【0028】
好ましくは、ラテックスエマルジョン(コ)ポリマーは、実質的な量の「自己架橋性」をもたらすモノマーを含まない。その理由は、かかるアプローチは、結果として得られる硬化したアクリル修飾アミノ樹脂物質の引裂強さを損なうからである。従って、本発明の好ましい実施形態において、コーティング組成物は、コポリマーから作られる粒子の水性分散物を含み、このコポリマーは、N−メチロールアクリルアミドまたはN−メチロールメタクリルアミドなどのN−メチロール基を含むモノマーの重合単位を含まない。同様に、また同じ理由から、好ましい実施形態において、コポリマーはグリシジル官能性モノマーを含まない。
【0029】
ラテックスエマルジョン(コ)ポリマーは、1種以上のモノエチレン性不飽和酸官能性モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノブチルフマレート、無水マレイン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキルアリルスルホコハク酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、ホスホアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ホスホエチル(メタ)アクリレート、ホスホプロピル(メタ)アクリレート、およびホスホブチル(メタ)アクリレート、ホスホアルキルクロトネート、ホスホアルキルマレエート、ホスホアルキルフマレート、ホスホジアルキル(メタ)アクリレート、ホスホジアルキルクロトネート、ならびにアリルホスフェートをさらに含みうる。好ましくは、ラテックスエマルジョン(コ)ポリマーは、コポリマーの重量基準で、0重量%から2重量%、または0.1重量%から2重量%、または0重量%から1重量%、または0.1重量%から1重量%、さらに好ましくは0重量%から0.5重量%、または0.1重量%から0.5重量%の酸官能性モノマーを含む。好ましくは、酸官能性モノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸またはこれらの組み合わせである。
【0030】
ラテックスエマルジョン(コ)ポリマー組成物のカルボキシル基を塩基で中和することができる。中和は、基体の処理前、または処理中に少なくとも部分的に行うことができる。
【0031】
本発明の一つの実施形態において、ラテックスエマルジョン(コ)ポリマー組成物のカルボキシル基は、固定塩基(fixed base)、つまり、処理条件下で実質的に不揮発性である塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、または水酸化t−ブチルアンモニウムで少なくとも部分的に中和することができる。固定塩基は、加熱および硬化操作の間に組成物中に実質的に残存するために十分不揮発性である。固定多価塩基、例えば、炭酸カルシウムは、水性分散物を不安定化させる傾向にありうるが、少量で使用できる。
【0032】
本発明の異なる実施形態において、カルボキシル基は揮発性塩基、つまり、加熱および硬化方法の間に実質的に揮発する塩基で中和することができる。中和に適した揮発性塩基としては、例えば、アンモニアまたは揮発性低級アルキルアミンが挙げられる。固定塩基に加えて、揮発性塩基を用いることができる。
【0033】
アニオン性または非イオン性界面活性剤、またはその混合物を乳化重合において用いることができる。いくつかの用途、例えば、感水性に対する耐性を必要とする用途に関して、重合性界面活性剤(反応性界面活性剤としても知られている)の使用は有利である場合があり;これらの界面活性剤は、当該分野において公知であり、例えば、米国特許出願公開番号2003/0149119または米国特許出願公開番号2001/0031826に記載されている。重合は、様々な手段により行うことができ、例えば、重合反応開始前に全てのモノマーを反応釜に添加するか、または重合反応開始時に一部のエチレン性不飽和モノマーが乳化形態で反応釜中に存在するか、または重合反応開始時に反応釜中に小粒子サイズエマルジョンポリマーシードが存在する。
【0034】
ラテックスエマルジョン(コ)ポリマーを製造するための重合反応は、当該分野において公知の様々な方法、例えば、開始剤の熱分解を使用して、酸化還元反応(レドックス反応)を用いて、フリーラジカルを生成させ、重合を生じさせることにより開始することができる。ラテックスエマルジョン(コ)ポリマーは、水中または溶媒/水混合物中、例えば、i−プロパノール/水、テトラヒドロフラン/水、およびジオキサン/水中で製造することができる。
【0035】
(コ)ポリマー組成物の分子量を抑制するために、連鎖移動剤、例えば、メルカプタン、ポリメルカプタン、およびハロゲン化合物を重合混合物において使用できる。一般に、(コ)ポリマーの重量基準で、0重量%から10重量%のC−C20アルキルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸、またはメルカプトプロピオン酸のエステルを使用できる。
【0036】
ラテックスエマルジョン(コ)ポリマー粒子は、2以上の相互に非相溶性(incompatible)の(コ)ポリマーから作製することができる。これらの相互に非相溶性の(コ)ポリマーは、様々な形態構造、たとえばコア/シェル粒子、シェル相が不完全にコアを包むコア/シェル粒子、複数のコアを有するコア/シェル粒子、および相互侵入網目(interpenetrating network)粒子などで存在できる。このような場合、少なくとも1つの相は、90℃未満、いくつかの用途においては、好ましくは75℃未満、または50℃未満、または40℃未満、または25℃未満、またはさらには0℃未満のTgを有し得る。
【0037】
ラテックスエマルジョン(コ)ポリマーの重量平均粒子直径は、Brookhaven BI−90 Particle Sizerを用いて測定すると、30ナノメートルから1000ナノメートル、好ましくは30ナノメートルから500ナノメートル、さらに好ましくは30〜300ナノメートルであり得る。しかし、多モード粒子サイズ分布、例えば、米国特許第4,384,056号および第4,539,361号(これにより、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているものを使用できる。
【0038】
本発明の一つの実施形態において、また向上した耐水性が硬化性組成物に望まれる用途に関しても、本発明のエマルジョンポリマーは、重合単位として、エマルジョンポリマー固形分の重量基準で30重量%を超える、好ましくは40重量%を超える、さらに好ましくは50重量%を超える、また有利には60%を超える、C以上のアルキル基を含むエチレン性不飽和アクリルモノマーを含む主として疎水性のエマルジョンポリマーである。防水に対するこのアプローチは、米国特許出願公開番号20050048212A1に開示されている。「C以上のアルキル基を含むアクリルモノマー」とは、5以上のC原子を有する脂肪族アルキル基を有するアクリルモノマーを意味し、このアルキル基は、n−アルキル、s−アルキル、i−アルキル、およびt−アルキル基を含む。C以上のアルキル基を含む好適なエチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸の(C−C30)アルキルエステル、例えば、アミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸の不飽和ビニルエステル、例えば、脂肪酸および脂肪アルコール由来のもの;C1837−(エチレンオキシド)20メタクリレートおよびC1225−(エチレンオキシド)23メタクリレートなどの長鎖アルコキシ−またはアルキルフェノキシ(ポリアルキレンオキシド)(メタ)アクリレートを包含する界面活性剤モノマー;N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド、例えば、オクチルアクリルアミドなどが挙げられる。C以上のアルキル基を含むモノマーは、例えば、アミド、アルデヒド、ウレイド、ポリエーテルなどの官能基も含むことができるが、好ましくは、酸またはヒドロキシ基を含有しない。かかるモノマーを含有するエマルジョンポリマーは、乳化重合、好ましくは、米国特許第5,521,266号のポリマーを形成する方法により製造することができる。
【0039】
エマルジョンポリマーをアミノ樹脂組成物とブレンドする前またはブレンドする間に、エマルジョンポリマーに界面活性剤を添加することができる。好ましくは、界面活性剤は、エマルジョンポリマー固形分の重量基準で、0.5重量%から20重量%、好ましくは2重量%から10重量%の量で添加される。好ましいのは、15より高いHLB値を有する界面活性剤である。
【0040】
本発明の特に有利な実施形態は、〜40−80℃のTgおよび30から300ナノメートルの範囲の粒子直径を有し、0.5%から1%のALMA、および0.25%から0.5%のアクリルアミドを含むエマルジョンポリマー粒子の水性分散物およびUF樹脂を含む水分散コーティング組成物を提供する;ただし全ての重量パーセンテージは、エマルジョンポリマーの固形分基準である。この好ましい実施形態において、コポリマーは、N−メチロール基を含むモノマーまたは自己架橋性モノマーの重合単位を含まない。この好ましい実施形態について、表1の例1または例5に記載されるラテックスエマルジョンポリマー組成物は、UF樹脂との混合物(UF/ラテックスブレンド重量比9:1、20%固形分;即ち、40部の水中、ラテックスエマルジョンポリマー固形分1重量部あたり9重量部のUF樹脂固形分)に適している。
【0041】
一つの実施形態において、コーティング組成物のコポリマーは、モノマー(i)のフィードの後半(重量による)の間に、モノマーの段階的フィードにより、多エチレン性不飽和モノマー(ii)の少なくとも75重量%を添加する方法により形成される。
【0042】
硬化性水性組成物は、通常の混合または攪拌技術を用いて、水、アミノ樹脂、およびラテックスエマルジョン(コ)ポリマーを混合することにより製造できる。
【0043】
本発明の組成物は、さらに、通常の処理成分、例えば、乳化剤;顔料;フィラーまたはエキステンダー;移行防止剤(anti−migration aids);硬化剤;造膜助剤;界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤;展着剤;鉱油粉塵抑制剤;殺生物剤;可塑剤;オルガノシラン;アミノシラン;消泡剤、例えば、ジメチコン、シリコーン油およびエトキシル化非イオン性物質;腐食防止剤、特にpH<4で有効な腐食防止剤、例えば、チオ尿素、オキサレート、およびクロメート;着色剤;帯電防止剤;潤滑剤;ワックス;酸化防止剤;カップリング剤、例えば、シラン、特にSilquest(商標)A−187(米国コネチカット州ウィルトンにあるGE Silicones−OSi Specialtiesにより製造);GEから得られるWetlink Silanes(例えば、Wetlink78)、およびDegussaから得られるDynasylan(商標)シラン、特に、エポキシシラン、例えばこれに限定されないが、Dynasylan(商標)GLYMOおよびGLYEO;ならびにオリゴマーシラン、例えば、HYDROSIL(商標)を含有し得る。本発明のものでないポリマー;ならびに防水剤、例えば、シリコーンおよびエマルジョンポリマー、特に、共重合単位として、エマルジョンポリマー固形分の重量基準で30重量を超える、C5以上のアルキル基を含有するエチレン性不飽和アクリルモノマーを含有する疎水性エマルジョンポリマーも含有し得る。
【0044】
本発明の組成物は、様々な基体を処理するために使用できる。このような処理は、一般的に、例えば、コーティング、サイジング、飽和、ボンディング、その組み合わせなどとして記載することができる。典型的な基体としては、繊維、例えば、ポリエステル、ガラス繊維;ガラス繊維不織布;織布および不織布など、ならびにその複合繊維;木材、例えば、ソリッドウッド、木材粒子、繊維、チップ、粉、パルプ、およびフレーク;金属;ならびにプラスチックが挙げられる。(コ)ポリマーブレンド組成物を、通常の技術、例えば、エアまたはエアレススプレー、パッディング、飽和、ロールコーティング、発泡コーティング、カーテンコーティング、ビーター堆積、凝固などにより基体に適用することができる。適用される水性混合物の量は、10〜35%LOI(強熱減量)である。
【0045】
ガラス繊維不織布は、様々な長さの繊維から製造することができ、これは、様々な処理またはプライマー段階にあらかじめ付すことができる。ガラス繊維不織布は、所望の最終用途に適した様々な厚さのものであってよく、ウェットレイドまたはドライレイド方法により形成することができる。
【0046】
本発明の一つの実施形態において、組成物は、耐熱性不織布、例えば、耐熱性繊維、例えば、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、あるポリエステル繊維、レーヨン繊維、ロックウール、およびガラス繊維を含有する不織布のバインダーとして使用できる。「耐熱性繊維」とは、125℃より高い温度にさらされることにより実質的に影響を受けない繊維を意味する。耐熱性不織布は、それ自体耐熱性でない繊維、例えば、あるポリエステル繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、および超吸収性繊維も、これらが基体の性能に対して実質的に悪影響を及ぼさない限り、含有することができる。
【0047】
(コ)ポリマー組成物を含む不織布は、硬化した水性組成物が寄与する性質、例えば、引張強さを実質的に保持するが、本質的な不織布特性を実質的に損なわないべきである。硬化した組成物は、処理条件下で、過度に剛性もしくは脆性、または粘着性になるべきではない。
【0048】
硬化性水性(コ)ポリマー組成物は、それが基体に適用された後、加熱されて、乾燥および硬化させられる。加熱期間および温度は、乾燥速度、加工可能性、取り扱いやすさ;および処理された基体の特性発現に影響を及ぼす。120℃から400℃で3秒から15分の期間加熱処理を行うことができ;175℃から225℃での処理が好ましい。「硬化性水性組成物」とは、本明細書において、硬化を行うために少なくとも100℃に加熱処理することを必要とする水性組成物を意味する。乾燥および硬化機能は、望まれるならば、2以上の独立した工程で行うことができる。例えば、組成物を実質的に乾燥させるが、実質的に硬化させないために十分な温度および時間で、組成物をまず加熱し、次いで硬化を行うために、さらに高い温度および/またはさらに長い時間、二度目の加熱をすることができる。かかる手順は、「Bステージング(B−staging)」と呼ばれ、これを用いて、バインダー処理された不織布を、例えば、ロール形態で提供することができ、これを、後に、硬化プロセスと同時に、特定の構造に形成または成形するかどうかに関わらず、硬化させることができる。
【0049】
耐熱性不織布を、例えば、絶縁バットまたはロール、屋根葺きまたは床張り用の強化マットとして、ロービングとして、プリント回路板用マイクロガラスベース基体またはバッテリーセパレーターとして、フィルターストック(例えば、エアダクトフィルター)として、テープストックとして、ならびにメーソンリー(masonry)のセメント質および非セメント質コーティングの強化スクリムとして、天井タイル、セルロース屋根瓦、ウィンドウトリートメント、壁紙、成型品において、カーリーパルプ修飾のために、粉末コーティングのためなどに使用できる。
【0050】
本発明の柔軟性アクリル修飾アミノ樹脂バインダーは、木材チップ接着、研磨マット、装飾用ラミネート紙、ラミネート用接着剤、濾紙、または自動車防音用コットンラグ接着にも有用である。
【実施例】
【0051】
実施例において次の略語を使用する。
SLS ラウリル硫酸ナトリウム
MMA メチルメタクリレート
BA ブチルアクリレート
ALMA アリルメタクリレート
AM アクリルアミド
MOA 供給されたままのメチロールアクリルアミド(50%メチロールアクリルアミド:50%アクリルアミド)
DI水 脱イオン水
【0052】
実施例1.ラテックス製造
ラテックスポリマー例1 バインダー例1において使用されるラテックス
340gのDI水および5.0gのSLS(28%固形分)を90℃に加熱した後、199gの水、2.5gのSLS(28%)、349gのMMA、100gのBA、4.58gのALMAおよび2.25gのAMのモノマー混合物の2.4%を添加し、続いて5.2gの過硫酸アンモニウム溶液(27.3%固形分)を添加する。この組み合わせを88℃で5分間維持する。次いで、残りのモノマー混合物を19.7gの1.6%過硫酸アンモニウム水溶液とともに徐々に添加する。反応混合物を70℃に冷却し、2.0gの硫酸鉄溶液(0.26%固形分)を添加する。70℃で、13gの13.4%水性t−ブチルヒドロペルオキシド溶液および26gのヒドロキシメタンスルホン酸一ナトリウム塩の3.8%水溶液を徐々に添加し、次いで混合物を40℃にさらに冷却し、水性アンモニアを添加して、pHを8.5に調節する。100および325メッシュスクリーンを通して生成物を濾過する。
【0053】
ラテックスポリマー例2 バインダー例2において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、モノマー混合物は199g水、2.5gSLS(28%)、349gMMA、100gBA、2.28gALMAおよび4.55gAMである。
【0054】
ラテックスポリマー例3 バインダー例3において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、モノマー混合物は199g水、7.5gSLS(28%)、349gMMA、100gBA、2.28gALMAおよび4.55gAMである。
【0055】
ラテックスポリマー例4 バインダー例4において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、モノマー混合物は199g水、7.5gSLS(28%)、349gMMA、100gBA、2.28gALMAおよび4.55gAMである。
【0056】
ラテックスポリマー例5 バインダー例5において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、モノマー混合物は199g水、2.5gSLS(28%)、349gMMA、100gBA、2.29gALMAおよび1.15gAMである。
【0057】
ラテックスポリマー例6 バインダー例6において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、モノマー混合物は199g水、2.5gSLS(28%)、349gMMA、100gBA、4.58gALMAおよび1.15gAMである。
【0058】
ラテックスポリマー例7 バインダー例7において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、初期チャージを、470gDI水および20gSLS(28%固形分)に増加し、モノマー混合物は、199g水、2.5gSLS(28%)、349gMMA、100gBA、4.58gALMAおよび1.15gAMである。
【0059】
ラテックスポリマー例8 バインダー例8において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、初期チャージを、470gDI水および20gSLS(28%固形分)に増加し、モノマー混合物は、199g水、2.5gSLS(28%)、404gMMA、45.4gBA、4.58gALMAおよび1.15gAMである。
【0060】
ラテックスポリマーC4 比較バインダーC4において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、モノマー混合物は、199g水、2.5gSLS(28%)、349gMMA、100gBA、および4.58gALMAである。
【0061】
ラテックスポリマーC5 比較バインダーC5において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、モノマー混合物は、199g水、2.5gSLS(28%)、345.6gMMA、100gBA、2.29gALMA、および15.16gのFlocryl(商標)MOA45%(45%固形分水性メチロールアクリルアミド溶液)である。
【0062】
ラテックスポリマーC6 比較バインダーC6において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、モノマー混合物は、199g水、2.5gSLS(28%)、348gMMA、103gBA、2.3gALMA、および31.0gのFlocryl(商標)MOA45%(45%固形分水性メチロールアクリルアミド溶液)である。
【0063】
ラテックスポリマーC7 比較バインダーC7において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、モノマー混合物は、199g水、2.5gSLS(28%)、349gMMA、100gBA、4.6gALMA、および30.9gのFlocryl(商標)MOA45%(45%固形分水性メチロールアクリルアミド溶液)である。
【0064】
ラテックスポリマーC8 比較バインダーC8において使用されるラテックス
ラテックスポリマー例1に従った方法で、モノマー混合物は、199g水、2.5gSLS(28%)、349gMMA、100gBA、および2.25gAMである。
【0065】
実施例2.尿素ホルムアルデヒド(UF)樹脂およびラテックスエマルジョンポリマーの水性混合物の製造
水性混合物(UF/ラテックスブレンド重量比9:1、20%固形分、即ち、40重量部の水中、ラテックス固形分1重量部あたり9重量部のUF樹脂固形分)を製造する。
【0066】
下記表において、比較バインダーC1は単にUF樹脂単独(SU−100、米国オハイオ州コロンバスのHexion Specialty Chemicalsから入手)である。この対照サンプルは、ラテックスポリマー修飾剤を含まないUF樹脂の性質を明らかにするために含める。表1の他の要素は、下記で検討されるバインダーサンプルを得るために前述のようなUF樹脂と混合されるラテックス組成物である。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例3.ガラスマット製造手順および試験手順
以下の実施例において使用されるマットを製造するために、この手順を採用する。Johns Manville 137標準(長さ1.25インチ)サイズのガラスチョップで、1シートあたり約7.6グラムのガラス繊維(1.8ポンド/100平方フィート)を用いて、ガラス繊維不織ハンドシートを製造する。SUPERFLOC(商標)A−1883RS(米国ニュージャージー州ウェストパターソンのCytec Industries Incorporated)、アニオン性ポリアクリルアミド油中水エマルジョン、およびRHODAMEEN(商標)VP−532SPB(米国ニュージャージー州クランブリーのRhodia Chemical Company)、エトキシル化脂肪族アミンカチオン性分散剤を用いて、ガラス繊維を水中に分散させる。Williamsハンドシート型中でハンドシートを形成する。湿潤シートを真空ステーションに移し、脱水する。実施例2のUF/ラテックスブレンドの水性混合物を製造し、脱水されたシートに適用し、過剰分を真空で除く。このシートを強制空気オーブン中、2.5分間、200℃で乾燥/硬化させる。サンプル上のバインダー量は、20%LOI(強熱減量)である。
【0069】
LOI(強熱減量)の測定
乾燥/硬化ガラス繊維マットの2.5インチ×3インチ片を切り出した。サンプルを秤量し、次いで650℃のマッフル炉中に2分間入れた。サンプルを取り出し、次いで再度秤量した。式:
LOI(%)=(燃焼前の重量−燃焼後の重量)×100/燃焼前の重量
を用いてLOI(%)を計算した。
【0070】
引張強さ試験
引張試験のためにハンドシートを1インチ×5インチ片に切り出し、引裂試験のために切断した。引張試験は、Thwing−Albert Intellect 500引張試験機(200 lbセル、1インチ/分ジョー速度、20%感度、および3インチギャップ)を用いて各サンプルからの8片について行う。乾燥引張りを製造したサンプルについて実施する。サンプルを10分間85℃の水中に浸漬し、ペーパータオルで拭き取って、過剰の水を吸収した後、直ちに試験して、湿潤引張りを行う。全ての引張値をlbs/inで記載する。
【0071】
エルメンドルフ引裂強さ試験
乾燥/硬化ハンドシートのカットサンプル(2.5インチ×3インチ)に関してエルメンドルフ引裂強さを測定した。1600g引裂アームを有するThwing−Albert Tear Tester中に単層サンプルを入れる。0.75インチカットでサンプルに切り込みを入れ、アームをリリースする。引裂強さをグラム(グラム重量)で記録する。
【0072】
実施例4.ラテックス修飾UF樹脂結合シートの性能特性
乾燥および湿潤引張強さ、ならびに引裂強さのデータを下記表2に記載する。
【0073】
【表2】

【0074】
比較バインダー例C1は、非修飾アミノ樹脂、この場合は、尿素−ホルムアルデヒド樹脂であるSU−100の性能を示す。当該分野において周知のように、このタイプの樹脂は、比較的柔軟性がなく、脆性である傾向があり、ここでは低い引張強さ(さらには低い湿潤引張強さ)により表される。
【0075】
C1に続く、全ての比較バインダー例およびバインダー例は、各場合においてSU−100をUF樹脂として使用するアクリル修飾UF樹脂の性能特性を示す。比較バインダー例C2およびC3は、最先端の高性能アクリル修飾UF樹脂の代表例である。バインダーC2およびC3のそれぞれのアクリル修飾剤は、全てアクリル自己架橋性MOA含有ラテックスである(上記参照)。どちらの場合も、初期引張強さは許容できるが(約30 lbs/インチ以上)、引裂強さは損なわれ、非修飾UF樹脂のものに匹敵しない。
【0076】
本発明のバインダー例(例1〜8)は、全て、非常に良好な性質のバランスを示し、引張強さは約30 lbs/インチ以上であり、同時に500gを超える引裂強さを維持し、これはUF樹脂のものにほぼ匹敵するかまたはそれを超える。
【0077】
比較バインダー例C4はALMAを含むが、AMを組み込んでいない。この比較バインダー例は、低い乾燥および湿潤引張強さを有し、目的とする十分な性質のバランスを達成しない。(例えば、バインダーC4をバインダー例1またはバインダー例6と比較)。比較バインダー例C8はAMを含むがALMAを含まず、この組成の結果、引裂強さは比較的低くなる。(バインダーC8をバインダー例1と比較)。
【0078】
【表3】

【0079】
比較バインダー例C5およびC6は、メチロールアクリルアミドを本発明のALMAおよびAM組成の骨格中に導入する(50%メチロールアクリルアミドと50%アクリルアミドの混合物であるメチロール−アクリルアミドによって、追加のAMがもたらされる)。表3に示されるように、メチロールアクリルアミドを組み入れることにより、同じ量のALMAを含む本発明のバインダー例2と比べて引裂強さが減少する。
【0080】
比較バインダー例C7は、ALMA、メチロールアクリルアミド、およびAMを含む(ここでも、50%メチロールアクリルアミドと50%アクリルアミドの混合物である「MOA」によりAMがもたらされる)。メチロールアクリルアミドを組み入れることにより、同じ量のALMAを含む(ただし、メチロールアクリルアミドは含まない)本発明のバインダー例1と比較して引裂強さが著しく低くなる。同様に、比較バインダー例C7(1.0ALMA、3.0MOA)は、比較バインダー例C4(メチロール−アクリルアミドを含まない)と比べて、かなり低い引裂強さを示す。バインダーC2およびC3における商品について当てはまるように、メチロール−アクリルアミドを含めることは、引裂強さに対して悪影響を及ぼす。
【0081】
このように、本発明のバインダー例1〜8は、非修飾尿素ホルムアルデヒド樹脂結合サンプル(比較バインダーC1)、および最新の(市販の)アクリル修飾自己架橋性サンプル(比較バインダーC2およびC3)の両方を包含する全ての比較サンプルと比べて、非常に優れた性質のバランスを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分散コーティング組成物であって、
(a)コポリマーの重量基準で
(i)96から99.8重量パーセントの、成分(iii)の(メタ)アクリルアミドを含まない少なくとも1種のモノエチレン性不飽和非イオン性モノマー;
(ii)0.1から2重量パーセントの多エチレン性不飽和モノマー;
(iii)0.1から2重量パーセントの(メタ)アクリルアミド;
を含むコポリマーから作られた粒子の少なくとも1種の水性分散物、
ただし、前記コポリマーは自己架橋性モノマーを、コポリマーの重量基準で1重量パーセントを超えて含まない;ならびに
(b)メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン/ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂およびアセトグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂またはその組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1種のアミノ樹脂;
を含み、
成分(a):(b)の比が、両成分の固形分基準で、1:99から20:80である、水分散コーティング組成物。
【請求項2】
多エチレン性不飽和モノマーが、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートまたはその組み合わせからなる群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項3】
多エチレン性不飽和モノマーがアリル(メタ)アクリレートを含む請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記コポリマーが、0.1から2重量パーセントの1種以上の酸官能性モノマーをさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、またはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、またはその組み合わせをさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記コポリマーが、N−メチロール基を含むモノマーの重合単位を、コポリマーの重量基準で1重量パーセントを超えて含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記コポリマーが、自己架橋性モノマーを、コポリマーの重量基準で0.5重量パーセントを超えて含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記コポリマーが、自己架橋性モノマーを含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
硬化したアクリル修飾アミノ樹脂バインダーと結合したガラス繊維不織布を処理する方法であって、
(a)コポリマーから作られた粒子の少なくとも1種の水性分散物をアミノ樹脂の固形分の重量基準で1重量%から25重量%と、水または1種以上の水性溶媒、およびアミノ樹脂とを混合することにより水性混合物を形成し、
ここで、前記コポリマーはコポリマーの重量基準で、
(i)96から99.8重量パーセントの、成分(iii)の(メタ)アクリルアミドを含まない少なくとも1種のモノエチレン性不飽和非イオン性モノマー;
(ii)0.1から2重量パーセントの多エチレン性不飽和モノマー;
(iii)0.1から2重量パーセントの(メタ)アクリルアミド;を含み、
ただし、前記コポリマーは自己架橋性モノマーを、コポリマーの重量基準で1重量%を超えて含まない;
(b)前記ガラス繊維不織布を前記水性混合物と接触させるか、または前記水性混合物をガラス繊維不織布に適用し;ならびに
(c)前記混合物を100℃から400℃の温度で加熱すること;を含む方法。
【請求項10】
前記多エチレン性不飽和モノマーがアリル(メタ)アクリレートを含む、請求項9記載の方法。

【公開番号】特開2009−149851(P2009−149851A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−284000(P2008−284000)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】