説明

染毛料組成物

【課題】染毛力を発揮させるとともに染め上がりの色調の均一性を高めることが容易な染毛料組成物を提供する。
【解決手段】染毛料組成物には、(A)直接染料、(B)有機溶剤、及び(C)グリコールエーテルが含有される。(B)有機溶剤の水/オクタノール分配係数は、0.3〜3.0の範囲である。(C)グリコールエーテルは、下記一般式(1)で示される。一般式(1)中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基を示し、同炭化水素基は不飽和結合を有していてもよい。R〜Rは、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を示し、nは0〜3の整数を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接染料を含有する染毛料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
直接染料により毛髪を染色する染毛料組成物では、有機溶剤が含有されている。こうした染毛料組成物では、有機溶剤の毛髪に対する浸透力によって、直接染料を毛髪に浸透させるように構成されている。そして、毛髪に浸透した直接染料は、毛髪に定着され易くなることで、染毛された状態が維持され易くなる。従来、こうした染毛料組成物について、染め上がりの毛髪における均染性等を改善する提案がなされている。特許文献1は、糖誘導体エーテルの配合により、酸性染毛料の均染性を向上させることを提案している。特許文献2は、液晶構造を有する両親媒性化合物等の配合により、染色性を高める技術を提案している。特許文献3は、特定の染料の組み合わせにより、均染性を高める技術を提案している。特許文献4は、特定のペプチドの配合により、均染性を向上させる技術を提案している。特許文献5は、特定のポリマー及びタンパク加水分解物を配合することにより、均染性を向上させる技術を提案している。なお、特許文献6には、ヘアーコンディショニング剤において、ヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物の配合が提案されている。
【特許文献1】特開平07−228513号公報
【特許文献2】特開平08−099845号公報
【特許文献3】特表平06−505984号公報
【特許文献4】特開2001−302472号公報
【特許文献5】特開2002−338443号公報
【特許文献6】特開2004−161651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、毛髪の表面を覆うキューティクルは、疎水性の物質を主成分として構成され、毛髪内部の領域を保護して毛髪を健康な状態に保つ役割を果たしている。ところが、毛髪は化学的な影響、物理的な影響等を受けることにより損傷していることが多く、損傷を受けた毛髪では、疎水性を有するキューティクルが部分的に失われている。このようにキューティクルが失われた部位では、その周囲よりも疎水性が低下している。また、キューティクルの損失は、毛髪全体に行き渡って生じる現象ではなく、例えば毛先部位において集中的に発生する。すなわち、損傷を受けた毛髪では、その表面における疎水性のばらつきが生じている。こうした毛髪に対して、染毛料組成物を適用した場合、毛髪表面と有機溶剤との親和性が部分的に異なるため、毛髪に対する有機溶剤の浸透力が部分的に異なって作用する。その結果、染め上がりの毛髪において、色調のムラが生じ易くなる。
【0004】
特許文献1では、糖から誘導される分岐脂肪酸エーテルの配合によって、組成物を毛髪に均一に馴染ませることができる結果として、均染性の向上が確認されている。特許文献2では、染着力の向上は確認されている。しかしながら、特許文献1及び2では、疎水性のばらつきが生じている毛髪の均染性について検討されていない。特許文献3では、特定の染料の組み合わせにより、均染性を高めているものの、直接染料を有機溶剤の浸透力で毛髪に浸透させる点について検討されていないため、染毛力が十分に得られない点が懸念される。
【0005】
特許文献4及び5では、タンパク類によって毛髪の状態を整えることが可能である。しかしながら、特許文献4及び5の開示するタンパク類は、親水性であるため、毛髪の損傷部位において直接染料の浸透力を調整するといった作用は期待できない。このため、染め上がりの毛髪における均染性が十分に得られない。一方、直接染料の浸透力を調整すべく、シリコーン等の疎水性化合物によって毛髪をコーティングする技術も考えられる。しかしながら、シリコーン等の疎水性化合物は、直接染料の浸透を過剰に妨げてしまうおそれがあり、そうした対策では染毛力を発揮させることが困難となる。
【0006】
以上のように、疎水性のばらつきが生じている毛髪に対して、染毛力を発揮させるとともに染め上がりの色調の均一性を高める処方について、未だ改善の余地が残されている。
本発明は、直接染料の浸透力を有機溶剤によって高めた処方において、特定のグリコールエーテルの作用効果を見出すことでなされたものである。本発明の目的は、染毛力を発揮させるとともに染め上がりの色調の均一性を高めることが容易な染毛料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の染毛料組成物では、(A)直接染料、(B)有機溶剤、及び(C)グリコールエーテルを含有する染毛料組成物であって、前記(B)有機溶剤の水/オクタノール分配係数は、0.3〜3.0の範囲であり、前記(C)グリコールエーテルは、下記一般式(1)で示されることを要旨とする。
【0008】
【化1】

一般式(1)中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基を示し、該炭化水素基は不飽和結合を有していてもよい。R〜Rは、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を示し、nは0〜3の整数を示す。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記(B)有機溶剤、及び前記(C)グリコールエーテルを100:1〜1:1の質量比で含有することを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記(B)有機溶剤がベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、及びフェネチルアルコールから選ばれる少なくとも一種であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、染毛力を発揮させるとともに染め上がりの色調の均一性を高めることが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の染毛料組成物には、(A)直接染料、(B)有機溶剤、及び(C)グリコールエーテルが含有される。(B)有機溶剤の水/オクタノール分配係数は、0.3〜3.0の範囲である。(C)グリコールエーテルは、下記一般式(1)で示される。
【0013】
【化2】

一般式(1)中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基を示し、該炭化水素基は不飽和結合を有していてもよい。R〜Rは、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を示し、nは0〜3の整数を示す。
【0014】
(A)直接染料は、反応性がなく、それ自体で発色可能な染料であって、毛髪を染色するために配合される。直接染料の具体例としては、ニトロ染料、酸性染料、塩基性染料(カチオン染料)、分散染料等が挙げられる。
【0015】
ニトロ染料としては、染毛力に優れることから好ましくは4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orenge No.1、HC Orenge No.2、HC Orenge No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15等が挙げられる。
【0016】
酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色201号、赤色227号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、かっ色201号、黒色401号等が挙げられる。
【0017】
塩基性染料としては、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 99、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet 11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87等が挙げられる。
【0018】
分散染料としては、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse
Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Violet 15等が挙
げられる。
【0019】
その他の直接染料としては、1−アミノ−4−メチルアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、及びそれらの塩、HC Blue No.4、HC Blue No.7、HC Blue No.8、HC Blue No.14、HC Brown No.1、HC Brown No.2、HC Green No.1、HC Orenge No.5、HC Red No.8、HC Red No.9、HC Yellow No.7、HC Yellow No.8、並びに「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年告示、厚生省)により定められた直接染料が挙げられる。これらの直接染料は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0020】
直接染料の中でも、染め上がりの毛髪が退色し難い傾向にあるという観点から、酸性染料が好適である。
直接染料の含有量は、好ましくは0.05〜3.0質量%、より好ましくは0.2〜1.0質量%である。直接染料の含有量が0.05質量%未満であると、十分な染毛力が得られないおそれがある。一方、3.0質量%を超えて配合すると、直接染料の分散性が低下して、沈殿が生じるおそれがある。
【0021】
(B)有機溶剤は、直接染料を毛髪に浸透させるために配合される。有機溶剤の水/オクタノール分配係数は、0.3〜3.0の範囲であり、好ましくは0.4〜2.0の範囲である。
【0022】
水/オクタノール分配係数[log(POW)]は、水相とオクタノール相とにおいて有機溶剤が分配される度合いを示す係数であり、下記の式(2)により定義される。
log(POW)=log([P]/[P]) ・・・(2)
[P]:オクタノール相中における有機溶剤のモル数
[P]:水相中における有機溶剤のモル数
例えば、log(POW)の値が1である有機溶剤は、水よりもオクタノールに対してモル数換算で10倍の量が溶解されることになる。また例えば、log(POW)の値が2である有機溶剤は、水よりもオクタノールに対してモル数換算で100倍の量が溶解されることになる。すなわち、有機溶剤のlog(POW)値が高いほど、その有機溶剤の疎水性が高いことを示している。
【0023】
有機溶剤の水/オクタノール分配係数が0.3未満の場合、親水性が高すぎるため、直接染料を毛髪に浸透させる作用が得られ難い。一方、その分配係数が3.0を超えると、疎水性が高すぎるため、直接染料を毛髪に浸透させる作用をかえって阻害する。
【0024】
なお、本実施形態の水/オクタノール分配係数は、経済協力開発機構(OECD)テストガイドライン(OECD理事会決定「C(81)30最終別添(1)」)107又は日本工業規格Z7260−107(2000)「分配係数(1−オクタノール/水)の測定−フラスコ浸とう法」並びにOECDテストガイドライン117に定められた方法において、25℃の温度条件下で測定した値をいう。
【0025】
水/オクタノール分配係数が上述した範囲の有機溶剤としては、例えば炭素数4〜8の一価アルコール、エチレングリコールアルキルエーテル、芳香族アルコール、環状アルコール、N−アルキルピロリドン及び炭酸アルキレン等が挙げられる。炭素数4〜8の一価アルコールとしては、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール等が挙げられる。エチレングリコールアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル等が挙げられる。芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコール、1−フェノキシ−2−プロパノール、フェニルジグリコール、α−メチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、p−アニシルアルコール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、フェネチルアルコール等が挙げられる。環状アルコールとしては、シクロヘキサノール等が挙げられる。N−アルキルピロリドンとしては、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−オクチルピロリドン等が挙げられる。炭酸アルキレンとしては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。
【0026】
上記有機溶剤の中でも、染毛力を顕著に発揮させ易くなるという観点から、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、及びフェネチルアルコールから選ばれる少なくとも一種であることが好適である。
【0027】
染毛料組成物中における上記有機溶剤の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜18質量%、さらに好ましくは1〜15質量%である。この有機溶剤の含有量が0.1質量%未満の場合、毛髪に対する直接染料の浸透力が十分に得られないおそれがある。一方、有機溶剤の含有量が20質量%を超えると、有機溶剤の不快臭が強まったり、染毛力をかえって低下させるおそれがある。
【0028】
(C)グリコールエーテルは、上記一般式(1)で示される化合物であり、疎水性のばらつきが生じた毛髪において、上記有機溶剤の浸透力をバランスよく発揮させるために配合される。なお、(C)グリコールエーテルの水/オクタノール分配係数は、3を超えるため、上記(B)有機溶剤には含まれない。こうしたグリコールエーテルとしては、ラウリルグリコールヒドロキシプロピルエーテル、及び(ラウリル/ミリスチル)グリコールヒドロキシプロピルエーテルから選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0029】
染毛料組成物中における上記グリコールエーテルの含有量は、好ましくは0.01〜20.0質量%、より好ましくは0.01〜15.0質量%、さらに好ましくは0.02〜10.0質量%である。このグリコールエーテルの含有量が0.01質量以上の場合、上記有機溶剤の浸透力をバランスよく発揮させる作用効果がより顕著となる。一方、このグリコールエーテルの含有量が20.0質量%以下の場合、染毛力がより発揮され易くなる。
【0030】
染毛料組成物には、(B)有機溶剤及び(C)グリコールエーテルを、100:1〜1:1の質量比で含有させることが好ましい。この質量比の範囲では、染毛力、染毛後の退色を抑制する効果が顕著に得られ易くなる。また、損傷の少ない部位においても優れた浸透力が発揮され易くなる。
【0031】
本実施形態の染毛料組成物は、上述した成分の分散媒又は溶媒として水が用いられる。また、染毛料組成物には、必要に応じて、親水性の有機溶剤、pH調整剤、増粘剤、油性成分、界面活性剤等を配合することもできる。
【0032】
親水性の有機溶剤としては、炭素数1〜3の一価アルコール(低級アルコール)、多価アルコールとしてのグリコール類及びグリセリン類、並びにジエチレングリコール低級アルキルエーテル等が挙げられる。炭素数1〜3の一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールが挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。ジエチレングリコール低級アルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)等が挙げられる。
【0033】
pH調整剤は、染毛力を高めるとともに、染毛後の退色を抑制するために配合されることが好ましい。pH調整剤としては、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩等の酸類、及びアルカリ類が挙げられる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸等が挙げられる。無機酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機酸としては、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、レブリン酸、酢酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸等が挙げられる。有機酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ類としては、アンモニア、アルカノールアミン、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
【0034】
直接染料として例えば酸性染料を配合する場合には、pH調整剤の配合により、染毛料組成物のpHを好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4.5に調整されることが好ましい。直接染料として例えば塩基性染料を配合する場合には、pH調整剤の配合により、染毛料組成物のpHを好ましくは7.5〜11、より好ましくは8〜10に調整されることが好ましい。
【0035】
増粘剤は、染毛力を高めるとともに、染毛後の退色を抑制するために配合されることが好ましい。増粘剤としては、例えばアラビアガム、カラギーナン、ガラクタン、グアーガム、クインスシードガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、ヒドロキシアルキルキサンタンガム、デキストラン、ヒアルロン酸、カードラン、サクシノグルカン、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン等の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、可溶性デンプン等のデンプン系高分子、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等の半合成高分子、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリルアミド、アクリルアミド・アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリン塩共重合体、アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン塩共重合体等の合成高分子、ベントナイト、ラポナイト等の無機物系高分子が挙げられる。増粘剤は、単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。
【0036】
染毛料組成物中における増粘剤の含有量は、好ましくは0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.5〜8.0質量%である。増粘剤の含有量が0.1質量%以上の場合、上述した作用効果が十分に得られ易い。一方、10.0質量%を超えて配合すると、毛髪の感触が重くなるおそれがある。
【0037】
油性成分としては、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン類、炭化水素等が挙げられる。
油脂としては、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等が挙げられる。
【0038】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0039】
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。
【0040】
シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、グリセリン変性シリコーン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
【0041】
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
【0042】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0043】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられる。
【0044】
カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0045】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩類等が挙げられる。
【0046】
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0047】
さらに、その他の成分としてパラベン等の防腐剤、EDTA−2Na等のキレート剤、フェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等の安定剤、タンパク加水分解物、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。
【0048】
本実施形態の染毛料組成物は、乳化物、溶液、分散液等として調製される。また、染毛料組成物の剤型は、流動性を有した形態であれば特に限定されず、例えば液状、霧状、フォーム状、クリーム状、ゲル状等が挙げられる。毛髪への塗布方法は、特に限定されず、コーム又は刷毛を用いた塗布方法、手櫛による塗布方法、スプレー(噴霧)による塗布方法等を使用することができる。こうした染毛料組成物は毛髪に塗布された後に、所定時間放置されることで、毛髪が直接染料により染色される。ここで、毛髪においてキューティクルにより覆われている部位では疎水性が高くなる一方で、キューティクルの失われた部位では親水性が高くなっている。直接染料は親水性であるため、キューティクルが失われた親水性部位に浸透し易く、キューティクルで覆われている疎水性部位には浸透し難い。本実施形態の染毛料組成物に含有される有機溶剤の水/オクタノール分配係数は、0.3〜3.0の範囲であるため、疎水性部位における直接染料の浸透は促進される。さらに、本実施形態の染毛料組成物には、一般式(1)で示されるグリコールエーテルが含有されている。こうしたグリコールエーテルは、親水性部位においては直接染料の浸透を抑制する一方で、疎水性部位においては上述した有機溶剤の浸透力を阻害し難い。このため、毛髪の表面における親水性部位と疎水性部位とに対して、直接染料がバランスよく浸透するようになる。
【0049】
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1) 本実施形態の染毛料組成物には、直接染料及び有機溶剤が含有され、その有機溶剤の水/オクタノール分配係数は0.3〜3.0の範囲である。こうした有機溶剤の浸透力によって、毛髪の疎水性部位に対する直接染料の浸透が促進される。さらに染毛料組成物には、一般式(1)に示されるグリコールエーテルが含有されている。このため、毛髪の表面における親水性部位と疎水性部位とに対して、直接染料がバランスよく浸透するようになる。従って、染毛力を発揮させるとともに染め上がりの色調の均一性を高めることが容易である。
【0050】
(2) 上記有機溶剤及び上記グリコールエーテルは、100:1〜1:1の質量比で含有されることが好ましい。この場合、染毛力、染毛後の退色を抑制する効果が顕著に得られ易くなる。また、損傷の少ない部位、すなわち疎水性部位においても優れた浸透力が発揮され易くなるため、そうした部位がさらに染まり易くなる。
【0051】
(3) 上記有機溶剤は、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、及びフェネチルアルコールから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。この場合、染毛力を顕著に発揮させ易くなる。
【0052】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 染毛料組成物に配合される各成分を混合せずに分割することで、複数の剤を構成し、それら複数の剤を使用直前に混合するよう構成してもよい。
【0053】
・ 染毛料組成物の製品形態は、ヘアマニキュアの他に、例えばカラートリートメントであってもよい。なお、ヘアマニキュアは、一度の染毛作業により、所望する色調に染め上げる染毛料であるのに対して、カラートリートメントは、日常的なヘアケア等により毛髪に適用されることで、染毛処理が繰り返される結果、所望する色調へ徐々に染め上げる染毛料である。本実施形態の染毛料組成物をカラートリートメントに応用した場合であっても、その使用の都度、上記(1)欄に述べた作用効果を発揮させることができる。
【0054】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記(C)グリコールエーテルがラウリルグリコールヒドロキシプロピルエーテル、及び(ラウリル/ミリスチル)グリコールヒドロキシプロピルエーテルから選ばれる少なくとも一種である染毛料組成物。
【0055】
・ 前記(A)直接染料が酸性染料である染毛料組成物。
【実施例】
【0056】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜15、比較例1〜10)
表1〜表3に示す各成分を混合することにより、酸性染毛料組成物を調製した。得られた酸性染毛料組成物を毛束に刷毛を用いて塗布し、45℃で10分間放置した後、更に室温25℃で10分間放置した。なお、使用する毛束は、脱色剤(ホーユー株式会社製、商品名:ビューティーンブリーチ プラチナブロンド)を用いた常法による脱色処理を3回繰り返すことでキューティクルを部分的に損失させている。こうしたキューティクルの損失は、根元部分よりも毛先部分に多く発生している。その後、毛束をプレーンリンス(水、温水等による毛髪のすすぎ)、シャンプー等による洗浄を順に行い、次いで毛束を乾燥させることにより、毛束に染毛処理を施した。なお、各表中の配合量を示す数値の単位は、質量%である。また、各例の酸性染毛料組成物は、ダークブラウンの色調で染毛できるように処方されている。
【0057】
染毛処理した毛束について、染毛力、染色堅牢性、及び均染性の評価を行った。また、各例の酸性染毛料組成物を用いて、根元への染まり易さについて評価を行った。各評価の基準について以下に示すとともに、各評価項目の結果を各表に併記する。
<染毛力>
各例の毛束について、パネラーが発色度合いを目視にて観察することにより、発色が優れる:◎、発色が良好:○、発色がやや悪い:△、及び、発色が悪い:×の4段階で評価した。
<均染性>
各例の毛束について、パネラーが色調の均一性を目視にて観察することにより、均染性が優れる:◎、均染性が良好:○、均染性がやや悪い:△、及び均染性が悪い:×の4段階で評価した。
<染色堅牢性>
染毛処理から1日放置した各例の毛束を50℃の1%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(500ml)に15分間浸漬した後、毛束を十分に水洗し、風乾させることによって洗浄処理を施した。洗浄処理後の毛束の退色について、パネラーが洗浄処理前の毛束と目視によって比較して、退色がほとんどなく、染色堅牢性に優れる:◎、退色が少なく、染色堅牢性が良好:○、退色がやや目立ち、染色堅牢性がやや不良:△、及び、退色が目立ち、染色堅牢性が不良:×の4段階で評価した。
<根元への染まり易さ>
白髪混じりモデルに対して、各例の酸性染毛料組成物を用いた染毛テストを行った。この染毛テストにおいては、各例の酸性染毛料組成物を、頭皮に付着しないようにして毛髪の根元部位に塗布した以外は上述した毛束に対する染毛処理と同様にして染毛処理を施した。パネラーが毛髪の根元部位が染色されている程度を目視にて観察することにより、染色性に優れる:◎、染色性が良好:○、染色性がやや悪い:△、及び染色性が悪い:×の4段階で評価した。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

表1及び2に示すように、各実施例では、染毛力及び均染性について、優れる又は良好な結果が得られた。これに対して、表3に示される各比較例では、(B)有機溶剤及び(C)グリコールエーテルのいずれか一方が含有されていないため、均染性に劣る結果となった。各例の結果から、(B)有機溶剤及び(C)グリコールエーテルの配合は、染毛力を発揮させるとともに、染め上がりの色調の均一性を高めることが容易であることがわかる。
【0061】
また、各実施例では、染色堅牢性、及び根元への染まり易さの項目についても優れる又は良好な結果が得られた。加えて、実施例1〜6及び実施例11〜15では、(B)有機溶剤及び(C)グリコールエーテルが100:1〜1:1の質量比で配合されているため、染毛力、染色堅牢性、及び根元への染まり易さのいずれの項目についても優れている。このように(B)有機溶剤及び(C)グリコールエーテルを上記質量比で含有させることで、染毛力、染毛後の退色を抑制する効果が顕著に得られ易くなることがわかる。また、損傷の少ない部位においても優れた浸透力が発揮され易くなることがわかる。
【0062】
一方、比較例1〜4では、(C)グリコールエーテルを配合せずに、一般に均染性を高めたり、毛髪の状態を整えたりする成分(表3の「配合」欄において(※1)で示している。)を配合している。しかしながら、少なくとも均染性について、各実施例に相当する結果が得られていない。こうした比較例1〜4の結果から、(C)グリコールエーテルの作用効果は異質なものと考察される。
(実施例16及び17、比較例11〜14)
表4に示す各成分を混合することにより、塩基性染毛料組成物を調製した。得られた塩基性染毛料組成物を用いて、実施例1〜15と同様にして、染毛処理を行った。そして、染毛処理した毛束について、実施例1〜15と同様にして、評価を行った。なお、表4中の配合量を示す数値の単位は、質量%である。また、各例の塩基性染毛料組成物は、ライトブラウンの色調で染毛できるように処方されている。
【0063】
【表4】

表4の結果から明らかなように、実施例16及び17の塩基性染毛料組成物においても、染毛力を発揮させるとともに、染め上がりの色調の均一性を高めることが容易であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)直接染料、(B)有機溶剤、及び(C)グリコールエーテルを含有する染毛料組成物であって、
前記(B)有機溶剤の水/オクタノール分配係数は、0.3〜3.0の範囲であり、
前記(C)グリコールエーテルは、下記一般式(1)で示されることを特徴とする染毛料組成物。
【化1】

一般式(1)中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基を示し、該炭化水素基は不飽和結合を有していてもよい。R〜Rは、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を示し、nは0〜3の整数を示す。
【請求項2】
前記(B)有機溶剤、及び前記(C)グリコールエーテルを100:1〜1:1の質量比で含有することを特徴とする請求項1に記載の染毛料組成物。
【請求項3】
前記(B)有機溶剤がベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、及びフェネチルアルコールから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の染毛料組成物。

【公開番号】特開2008−195663(P2008−195663A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33314(P2007−33314)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】