説明

染毛料組成物

【課題】毛髪の根元の染め残りがなく、頭皮への垂れ落ちによる地肌染まりが軽減され、染毛効果の高い染毛料組成物を提供する
【解決手段】本発明の染毛料組成物は、(A)酸性染料および/または天然色素、(B)浸透剤、(C)増粘剤、(D)融点が50℃以上の油剤ならびに(E)酸を含む染毛料組成物であって、染毛料組成物全体に対して前記(D)成分が0.01〜30重量%含まれていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
白髪染めを行った場合、毛髪が伸びるにつれて生じる新生毛部分の染色をする必要があるため、通常1〜2カ月毎に染毛を繰り返す。したがって、白髪染めには、繰り返しの染毛に対して毛髪の損傷が少ない染毛方法が好まれるため、酸性染毛料が多く用いられている。
【0003】
白髪染めは、白髪の生え際、すなわち新生毛部分が目立たないように根元から染めることが望ましい。しかしながら、毛髪の根元まで酸性染毛料を塗布することを試みると、酸性染毛料が頭皮に垂れて頭皮も染まることがあった。したがって、酸性染毛料を用いて地肌を染めることなく、白髪のみを染めるためには高度な人的技術を必要としていた。そのため、高度な人的技術を要することなく、誰にでも地肌を染めることなく毛髪のみを染めることが可能な酸性染毛料が望まれていた。
【0004】
そのような要望に対し、頭皮を染めない酸性染毛料組成物として、酸性染毛料組成物にアクリル酸系ポリマーを添加して頭皮への垂れ落ちを防止した組成物が知られている(例えば特許文献1および特許文献2)。しかしながら、毛髪の根元まで組成物を塗布しても、染色のための放置時間に組成物の収縮が起こり、組成物が根元から毛先側に移動してしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−151647号公報
【特許文献2】特開2008−063312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、毛髪の根元の染め残りがなく、頭皮への垂れ落ちによる地肌染まりが軽減され、染毛効果の高い染毛料組成物を提供することを目的とする。
また、上記効果を有しながらも、容易に均一な染毛処理が可能で、毛髪の損傷も低減された染毛料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、融点が50℃以上の油剤を染毛料組成物中に含有させると、染毛料組成物を毛髪に塗布する際の頭皮への垂れ落ちが軽減されるとともに染毛料組成物の収縮もなく高い染毛効果を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、たとえば以下の[1]〜[10]に関する。
[1](A)酸性染料および/または天然色素、(B)浸透剤、(C)増粘剤、(D)融点が50℃以上の油剤ならびに(E)酸を含む染毛料組成物であって、染毛料組成物全体に対して前記(D)成分が0.01〜30重量%の量で含まれていることを特徴とする染毛料組成物。
【0009】
[2]前記(A)成分を0.01〜10重量%、前記(B)成分を1〜20重量%、前記(C)成分を0.1〜20重量%および前記(E)成分を0.05〜10重量%の量で含有することを特徴とする[1]に記載の染毛料組成物。
【0010】
[3]前記(D)成分が、融点が50℃以上のロウ、融点が50℃以上の炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]または[2]に記載の染毛料組成物。
【0011】
[4]前記(D)成分が、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、マイクロクリスタリンワックス、ライスワックスおよびパラフィンワックスからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[3]に記載の染毛料組成物。
【0012】
[5]前記(C)成分が、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリルアミド、カルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一に記載の染毛料組成物。
【0013】
[6]前記(D)成分が、粉体として染毛料組成物中に分散していることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一に記載の染毛料組成物。
[7]前記(D)成分が、平均粒子径300μm以下の粉体であることを特徴とする[6]に記載の染毛料組成物。
【0014】
[8]界面活性剤を実質的に含まないことを特徴とする[6]または[7]に記載の染毛料組成物。
[9]さらに(F)界面活性剤を1〜5重量%の量で含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一に記載の染毛料組成物。
【0015】
[10]前記(D)成分が、加熱融解された後、界面活性剤により乳化されて染毛料組成物中に分散していることを特徴とする[9]に記載の染毛料組成物。
【発明の効果】
【0016】
本発明の染毛料組成物を用いると、毛髪への塗布時の頭皮への垂れ落ちが抑制されて地肌染まりが軽減できるとともに、十分な染毛効果が発揮される。
さらには、本発明の染毛料組成物を毛髪に塗布して放置しても、収縮が起こることなく、根元から毛髪を染めることができる。
【0017】
また、本発明の染毛料組成物を用いると、毛髪を処理する際に、毛髪上での延びが良く、毛髪に良好に絡まり、さらに毛髪に均一に絡められた状態が保持されるので、効率よく、かつ、むらなく染毛を行うことができる。
【0018】
さらに、本発明の染毛料組成物を用いた場合、染毛後の毛髪は、きしみがなく、指通りがよく、染毛による損傷が抑えられる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の染毛料組成物は、(A)酸性染料および/または天然色素、(B)浸透剤、(C)増粘剤、(D)融点が50℃以上の油剤ならびに(E)酸を含む染毛料組成物であって、染毛料組成物全体に対して前記(D)成分が0.01〜30重量%であることを特徴とする。
【0020】
1.染毛料組成物
(1)成分
(A)酸性染料および/または天然色素
酸性染料および天然色素は、毛髪に付着し、毛髪を染色する。酸性染料の例としては、「医薬品等に使用する事のできるタール色素を定める省令」」(昭和41年告示、厚生省)に掲示されている法定色素が挙げられる。法定色素としては、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色201号、赤色227号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、褐色201号、黒色401号などが挙げられる。法定色素は1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
天然色素としては、古くから食用、化粧品などに利用されていたものが、安全性と色調の点から好ましく、例えば、化粧品原料基準、化粧品種別許可基準I〜V、医薬部外品原料規格、食品添加物公定書などに記載されている天然色素を使用することができる。さらに具体的には、クチナシ色素、ウコン色素、アトナー色素、銅クロロフィル、パプリカ色素、ラック色素などを挙げることができる。天然色素は1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、法定色素1種以上と天然色素1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
【0022】
本発明の染毛料組成物全体に対する(A)酸性染料および天然色素の合計の含有量は、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%である。染毛料が上記範囲の量であると毛髪を十分に染色することができる。
【0023】
(B)浸透剤
浸透剤は、毛髪内部へ酸性染料および天然色素を浸透させる。浸透剤の例としては、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコール、フェニルプロパノール、α−メチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、p−アニシルアルコール等の芳香族アルコール;エタノール、イソプロパノール等の脂肪族一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の脂肪族多価アルコール;炭酸エチレン、炭酸プロピレン等のアルキレンカーボネート等が挙げられ、芳香族アルコールが好ましい。これらの浸透剤は1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明の染毛料組成物全体に対する(B)浸透剤の含有量は、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。浸透剤を上記範囲の量で含有すると、酸性染料を毛髪に浸透させ、染毛効果を高く維持することができる。
【0025】
(C)増粘剤
増粘剤は、染毛料組成物に溶け込んで存在し、毛髪に塗布した染毛料組成物を、一定の時間塗布した状態で保つ際に、染毛料組成物がたれることなく毛髪上にとどまるように、染毛料組成物の粘度を適切にする。
【0026】
増粘剤の例としては、水溶性高分子が挙げられ、水溶性高分子としては、アルギン酸、カラギーナン、寒天、ファーセレラン等の海藻抽出物;グアーガム、クインスシード、コンニャクマンナン、タマリンドガム、タラガム、デキストリン、デンプン、ローカストビーンガム等の種子粘質物;アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム等の樹液粘質物;アラビノガラクタン、ペクチン、マルメロ等の果実粘質物;小麦タンパク質、大豆タンパク質等の植物系タンパク質;アルブミン、カゼイン、ゼラチン等の動物系タンパク質;キトサン、ヒアルロン酸等の動物系ムコ多糖;カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、シクロデキストリン、デキストラン、プルラン等の産生粘質物;ヒアルロン酸等の微生物系ムコ多糖;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース等のセルロース誘導体;デンプンリン酸エステル、デンプングリコール酸ナトリウム等のデンプン誘導体;カチオン化グアーガム、カルボキシメチル・ヒドロキシプロピル化グアーガム、ヒドロキシプロピル化グアーガム等のグアーガム誘導体;カルボキシビニルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、(アクリル酸ジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー等のポリアクリル酸系高分子;高重合ポリエチレングリコールが挙げられる。これらの中でも、ポリアクリル酸系高分子、セルロース誘導体が好ましく、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリルアミド、カルボキシビニルポリマー、およびヒドロキシエチルセルロースがより好ましい。増粘剤は1種単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明の染毛料組成物全体に対する(C)増粘剤の含有量は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。増粘剤を上記範囲の量で含有すると、染毛料組成物は、毛髪に塗布された際に、たれることなく毛髪上にとどまり、染毛処理を好適な状態で行うことができる。
【0028】
(D)融点が50℃以上の油剤
融点が50℃以上の油剤は、上記(C)増粘剤と組み合わせて用いることで、染毛料組成物の粘度を適度に保ちつつ、毛髪に塗布された染毛料組成物の垂れ落ちを抑制する。
【0029】
いわゆる液状油を用いた染毛料組成物は、染毛料組成物を毛髪に塗布後染色のために放置している間に収縮が起き、根元を十分に染めることができないという問題点や、毛髪への絡まりが十分でなく毛髪に均一に塗布ができないという問題点を有するのに対し、融点が50℃以上の油剤を用いた染毛料組成物は毛髪上で放置する時間に収縮を生じることなく、根元を十分に染めることができるとともに、固体状の油剤を含有することから疎水性の毛髪と馴染みがよく、毛髪に良好に絡んで均一に付着し、毛髪を均一に染めることが可能となる。
【0030】
融点が50℃以上の油剤は、融点が100℃以下であることが好ましく、融点が50℃以上の油剤としては、融点が50℃以上のロウ、融点が50℃以上の炭化水素が挙げられ、融点が50℃以上のロウの例としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、ライスワックスが挙げられ、融点が50℃以上の炭化水素の例としては、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスが挙げられる。これらの中でも、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、およびマイクロクリスタリンワックスが好ましい。これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0031】
(D)成分は、(i)加熱融解して液状にしたものが界面活性剤を用いて乳化されて染毛料組成物中に分散しているか、(ii)粉体として染毛料組成物中に分散している。(D)成分を(ii)粉体として染毛料組成物に分散させた場合は、乳化のための界面活性剤を必要としないので、界面活性剤による毛髪のきしみ等が生じることがなく、毛髪の手触りが良好であることから好ましい。
【0032】
(D)成分が(ii)粉体の場合は、粉体の平均粒子径は小さい程分散性がよく好ましい。粉体の平均粒子径は、(D)成分の種類によっても異なるが、300μm以下が好ましく、10〜300μmがより好ましい。特に(D)成分としてカルバナワックスを用いた場合は、50μm以下が好ましく、10〜50μmがより好ましい。なお、平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法で測定された値である。
【0033】
本発明の染毛料組成物全体に対する(D)融点が50℃以上の油剤の量は、0.01〜30重量%であり、好ましくは0.5〜20重量%であり、より好ましくは5〜15重量%、最も好ましくは、5〜10重量%である。
【0034】
(D)成分の量が上記範囲よりも少ないと、毛髪の根元まで染毛する効果が十分でなく、また毛髪に塗布された染毛料組成物の垂れ落ちを十分に抑制することができない。(D)成分の量が上記範囲よりも多いと、染毛料組成物を毛髪に均一に塗布することが難しくなり、毛髪の染まり上がりも均一とならない。
【0035】
(D)融点が50℃以上の油剤の量の使用量は、上記範囲の中でも(C)増粘剤の種類ならびに(D)融点が50℃以上の油剤の種類および態様によって、より好適な範囲が異なる。
【0036】
(C)成分として(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを用い、(D)成分としてカルナバワックス、キャンデリラワックスおよびマイクロクリスタリンワックスから選ばれる1種が、界面活性剤によって染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。(C)成分として(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを用い、(D)成分としてミツロウが、界面活性剤によって染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜25重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。
【0037】
(C)成分としてポリアクリルアミドを用い、(D)成分としてカルナバワックス、キャンデリラワックスおよびマイクロクリスタリンワックスから選ばれる1種が、界面活性剤によって染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。(C)成分としてポリアクリルアミドを用い、(D)成分としてミツロウが、界面活性剤によって染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜25重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。
【0038】
(C)成分としてカルボキシビニルポリマーを用い、(D)成分としてカルナバワックス、キャンデリラワックスおよびマイクロクリスタリンワックスから選ばれる1種が、界面活性剤によって染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましく、5〜10重量%がさらに好ましく、5〜7重量%が最も好ましい。(C)成分としてカルボキシビニルポリマーを用い、(D)成分としてミツロウが、界面活性剤によって染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜25重量%が好ましく、0.5〜20重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。
【0039】
(C)成分としてヒドロキシエチルセルロースを用い、(D)成分としてカルナバワックス、キャンデリラワックスおよびマイクロクリスタリンワックスから選ばれる1種が、界面活性剤によって染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、5〜10重量%がさらに好ましく、5〜7重量%が最も好ましい。(C)成分としてヒドロキシエチルセルロースを用い、(D)成分としてミツロウが、界面活性剤によって染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜25重量%が好ましく、0.5〜20重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。
【0040】
(C)成分として(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを用い、(D)成分として平均粒子径20〜30μmのカルナバワックスが、粉体のまま乳化することなく分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。(C)成分として(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを用い、(D)成分として平均粒子径50μmのカルナバワックスが、粉体のまま乳化することなく染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。(C)成分として(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを用い、(D)成分として平均粒子径100μm〜250μmのキャンデリラロウが、粉体のまま乳化することなく染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、1〜7重量%がより好ましく、5〜7重量%がさらに好ましい。
【0041】
(C)成分としてポリアクリルアミドを用い、(D)成分として平均粒子径20〜30μmのカルナバワックスが、粉体のまま乳化することなく分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。(C)成分としてポリアクリルアミドを用い、(D)成分として平均粒子径50μmのカルナバワックスが、粉体のまま乳化することなく染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。(C)成分としてポリアクリルアミドを用い、(D)成分として平均粒子径100μm〜250μmのキャンデリラロウが、粉体のまま乳化することなく染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、1〜7重量%がより好ましく、5〜7重量%がさらに好ましい。
【0042】
(C)成分としてカルボキシビニルポリマーを用い、(D)成分として平均粒子径20〜50μmのカルナバワックスが、粉体のまま乳化することなく分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。(C)成分としてカルボキシビニルポリマーを用い、(D)成分として平均粒子径100μm〜250μmのキャンデリラロウが、粉体のまま乳化することなく染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、1〜7重量%がより好ましく、5〜7重量%がさらに好ましい。
【0043】
(C)成分としてヒドロキシエチルセルロースを用い、(D)成分として平均粒子径20〜50μmのカルナバワックスが、粉体のまま乳化することなく分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。(C)成分としてヒドロキシエチルセルロースを用い、(D)成分として平均粒子径100μm〜250μmのキャンデリラロウが、粉体のまま乳化することなく染毛料組成物中に分散している態様の場合、(D)成分の量は、本発明の染毛料組成物全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、5〜10重量%が最も好ましい。
【0044】
(E)酸
本発明の染毛料組成物は、酸を含むことが好ましい。酸は、毛髪を酸性にして毛髪のケラチンタンパクをプラス帯電させ、マイナスの電荷を有する酸性染料と毛髪間にイオン結合を形成することにより、酸性染料の毛髪への付着を増加させる。酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の有機酸および塩酸、リン酸等の無機酸が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0045】
本発明の染毛料組成物全体に対する酸の含有量は、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜7重量%ある。酸を上記範囲の量で含有すると、酸性染料の毛髪への付着を増加させ、染毛効果を高く維持することができる。
【0046】
(F)界面活性剤
上記(D)融点が50℃以上の油剤が、(i)加熱融解して液状にされてから界面活性剤を用いて乳化されて染毛料組成物中に分散している場合、本発明の染毛料組成物は界面活性剤を含むことが好ましい。
【0047】
界面活性剤の例としては、ノニオン界面活性剤が挙げられ、エチレンオキシドを付加したノニオン界面活性剤が好ましい。界面活性剤は1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0048】
(i)の場合、本発明の染毛料組成物全体に対する界面活性剤の含有量は、好ましくは1〜5重量%である。界面活性剤を上記範囲の量で含有すると、加熱融解された(D)成分を十分に乳化することができる。
【0049】
なお、(D)融点が50℃以上の油剤が、(ii)粉体として染毛料組成物中に分散している場合は、本発明の染毛料組成物は、毛髪の指通り等の仕上がりの観点から界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、染毛料組成物全体に対して界面活性剤の量が0.1重量%以下であることをいう。
【0050】
(G)その他
本発明の染毛料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、水、油性成分、金属封鎖剤、香料、紫外線吸収剤、糖、ポリペプチド、pH調節剤等を含んでいてもよい。
【0051】
(2)pH
本発明の染毛料組成物は、pHが2〜5、好ましくは2.5〜3.5である。このようなpHは、(E)酸およびpH調節剤の使用により調節される。pHが上記範囲にあると、十分な染毛効果が得られる。
【0052】
2.染毛料組成物の製造方法
本発明の染毛料組成物は、上述した各成分を、公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解、分散および乳化等を必要に応じて選択して行うことによって製造することができる。
【0053】
(D)融点50℃以上の油剤の組成物への添加方法は2種類ある。1つは、油剤を融点以上の温度に加熱して溶融した後に、界面活性剤を用いて乳化させ、組成物中に分散させる方法である。この方法によれば、(i)加熱融解して液状になった(D)成分が界面活性剤を用いて乳化されて染毛料組成物中に分散している染毛料組成物となる。もう一つは、粉体状の油剤を高攪拌している組成物中に添加するか、浸透剤となじませて添加し、分散させる方法である。この方法によれば、(ii)(D)成分が、粉体として染毛料組成物中に分散している染毛料組成物となる。
【0054】
3.染毛料組成物の使用方法
本発明の染毛料組成物は、通常の染毛料組成物と同様の態様で染毛に使用される。すなわち、本発明の染毛料組成物を毛髪に塗布し、任意に加温しながら、適切な時間放置する。その後、毛髪から染毛料組成物を洗い流し、毛髪を乾燥させる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本明細書において、平均粒子径はレーザー回折法で測定した。
【0056】
実施例において、以下の市販品を用いた。
カルナバワックス(表3〜9):(精製カルナウバワックス R-100:横関油脂工業株式会社)
カルナバワックス(平均粒子径20μm):(カルナバ1号微粉末:日興リカ株式会社)
カルナバワックス(平均粒子径50μm):(カルナバ1号粉末:日興リカ株式会社)
キャンデリラワックス(表3〜9): (精製キャンデリラワックス R-2 CG:ミツバ貿易株式会社)
キャンデリラワックス(平均粒子径100μm〜250μm): (精製キャンデリラワックス スーパーリファイン:ミツバ貿易株式会社)
ミツロウ:(サラシミツロウ:小城製薬株式会社)
マイクロクリスタリンワックス:(MULTIWAX W-445 Mycrocrystallinewax:Witco社)
流動パラフィン: (ハイコールM-352:カネダ株式会社)
ホホバ油:(NIKKOL ホホバ油S:日光ケミカルズ株式会社)
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー:(SEPINOV EMT 10:SEPPIC社)
カルボキシビニルポリマー:(カーボポール934:Lubrizol社)
ヒドロキシエチルセルロース:(ヒドロキシエチルセルロース SE-600:ダイセル化学株式会社)
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.):(エマレックス 120:日本エマルジョン株式会社)
ポリオキシエチレンセチルエーテル(5.5E.O.):(ニッコール BC-5.5:日光ケミカルズ株式会社)
染毛料組成物は、以下のものを用いた。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

[実施例1〜138および比較例1〜68]
実施例は、表1に示す染毛料組成物を製造して、以下の各評価を行った。成分Aは、常温で固体である場合は加熱融解してから界面活性剤で乳化して染毛料組成物に添加し分散させた。成分Aが常温で液体である場合はそのまま界面活性剤で乳化して染毛料組成物に添加し分散させた。表1における成分Aは、表3〜表10に示す成分を、該表に示す各濃度で用いた。
【0059】
[実施例139〜237および比較例69〜72]
実施例は、表2に示す染毛料組成物を製造して、以下の各評価を行った。成分Bは、染毛料組成物のその他の成分を攪拌している中に添加し、分散させた。表2における成分Bは、表11〜表14に示す成分(成分名とともに平均粒子径を併せて記載)を、該表に示す各濃度で用いた。
【0060】
以下の各評価は10人の専門テスター(美容師)により評価した。評価は下記評価基準に基づき10人の総意にて判定した。
以下の評価の中で、「放置後の垂れ落ちの少なさ」および「放置後のはじき上がりの少なさ」のいずれもが○以上の評価であるものを実施例とした。
【0061】
<放置後の垂れ落ちの少なさ>
表1に示す各染毛料組成物を被試験者の毛髪に塗布後、45℃で15分間加温放置した後25℃で5分間放置する。放置後の染毛料組成物の毛髪上の状態を目視にて観察し、塗布直後の状態と比較して以下の基準で評価した。
◎◎:毛髪上の組成物は、塗布直後の状態と全く変わらない。
◎ :毛髪上の組成物は、塗布直後の状態からごくわずかな移動はあるが、塗布直後の状態からほとんど変わらない。
○ :毛髪上の組成物は、塗布直後の状態から移動は見られるが、染毛処理に影響はない。
△ :毛髪上の組成物は、塗布直後の状態から移動が認められ、頭皮への付着に注意を要した。
× :毛髪上の組成物は、頭皮に垂れ落ちることがある。
【0062】
<放置後のはじき上がりの少なさ>
表1に示す各染毛料組成物を被試験者の毛髪に塗布後、45℃で15分加温放置した後25℃で5分間放置する。放置後の染毛料組成物の毛髪上の状態を目視にて観察し、塗布直後の状態と比較して以下の基準で評価した。
◎◎:根元から毛先方向への組成物の移動がなく、毛髪が生え際からしっかりと染まっている。
◎ :組成物が根元からわずかに毛先方向に移動しているものの、生え際は全く問題なく染まっている。
○ :組成物が根元から毛先方向に移動しているものの、生え際は問題なく染まっている。
△ :組成物が根元から毛先方向に移動し、生え際の染まりが薄い。
× :組成物が根元から毛先方向に大きく移動し、生え際が染まらない。
【0063】
<染色力>
5分間25℃の水に浸漬させ、タオルドライしたビューラックス製の12cm、1gの毛束(BM−W)に、表1に示す各染毛料組成物0.8gを塗布しラップで包んだ。毛束をラップに包んだ状態で45℃で15分間加温放置した後、さらに25℃で5分間放置した。その後、毛束を流水で洗い流し乾燥させ、目視にて毛束染まりの評価を行った。
◎◎:毛髪は非常に良く染まっている。
◎ :毛髪は良く染まっている。
○ :毛髪はやや薄く感じるが、十分染まっている。
△ :毛髪は薄い状態であり、白茶けている。
× :毛髪はかなり薄い状態であり、染まっているとは言い難い。
【0064】
<塗布時の均一性>
5分間25℃の水に浸漬させ、タオルドライしたビューラックス製の12cm、1gの毛束(BM−W)に、表1に示す各染毛料組成物0.8gを塗布し、毛束への組成物の付着性を観察し評価した。
◎◎:染毛料組成物は、毛髪に非常に良く絡みつき、均一に塗布しやすい。
◎ :染毛料組成物は、毛髪となじみがよく均一に塗布しやすい。
○ :染毛料組成物は、問題なく毛髪に均一に塗布できる。
△ :染毛料組成物は、塗布ムラを生じやすい。
× :染毛料組成物は、毛髪に塗布しづらく、均一に塗るのが難しい。
【0065】
<染まり上がりの均一性>
5分間25℃の水に浸漬させ、タオルドライしたビューラックス製の12cm、1gの毛束(BM−W)に、表1に示す各染毛料組成物0.8gを塗布しラップで包んだ。毛束をラップに包んだ状態で45℃で15分間加温放置した後、さらに25℃で5分間放置する。その後、毛束を流水で洗い流し乾燥させ、目視にて毛束染まりの均一性について評価を行った。
◎◎:染毛料組成物を毛髪に雑に塗布しても均一に染まる。
◎ :毛髪は問題なく均一に染まる。
○ :染毛料組成物を毛髪に丁寧に塗布すれば、毛髪は問題ない程度に均一に染まる。
△ :毛髪は均一に染まり上がりにくい。
× :毛髪は均一に染まり上がらない。
【0066】
<指通り>
15分間25℃の水に浸漬させ、タオルドライしたビューラックス製の30cm、10gの毛束(BS-B3A)に、表1に示す各染毛料組成物10gを塗布しラップで包んだ。毛束をラップに包んだ状態で45℃で15分間加温放置後、さらに25℃で5分間放置する。その後毛束を流水で洗い流し、市販のシャンプー(CSモイストシャンプー(株式会社アリミノ製))で洗浄・水洗した後、市販のトリートメント(CSモイストトリートメント(株式会社アリミノ製))を塗布してから水洗した。ドライヤーで乾燥後、毛髪の指通りを以下のように官能評価した。
◎◎:毛髪はしっとりとし、指通りが非常に良い。
◎ :毛髪は指通りが良い。
○ :毛髪はパサツキがなく指通りは悪くない。
△ :毛髪はパサツキがあり、指通りが悪い。
× :毛髪はごわつきがひどく、指通りが非常に悪い。
【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
【表7】

【0072】
【表8】

【0073】
【表9】

【0074】
【表10】

【0075】
【表11】

【0076】
【表12】

【0077】
【表13】

【0078】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸性染料および/または天然色素、(B)浸透剤、(C)増粘剤、(D)融点が50℃以上の油剤ならびに(E)酸を含む染毛料組成物であって、染毛料組成物全体に対して前記(D)成分が0.01〜30重量%の量で含まれていることを特徴とする染毛料組成物。
【請求項2】
前記(A)成分を0.01〜10重量%、前記(B)成分を1〜20重量%、前記(C)成分を0.1〜20重量%および前記(E)成分を0.05〜10重量%の量で含有することを特徴とする請求項1に記載の染毛料組成物。
【請求項3】
前記(D)成分が、融点が50℃以上のロウ、融点が50℃以上の炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の染毛料組成物。
【請求項4】
前記(D)成分が、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、マイクロクリスタリンワックス、ライスワックスおよびパラフィンワックスからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の染毛料組成物。
【請求項5】
前記(C)成分が、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリルアミド、カルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の染毛料組成物。
【請求項6】
前記(D)成分が、粉体として染毛料組成物中に分散していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の染毛料組成物。
【請求項7】
前記(D)成分が、平均粒子径300μm以下の粉体であることを特徴とする請求項6に記載の染毛料組成物。
【請求項8】
界面活性剤を実質的に含まないことを特徴とする請求項6または7に記載の染毛料組成物。
【請求項9】
さらに(F)界面活性剤を1〜5重量%の量で含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の染毛料組成物。
【請求項10】
前記(D)成分が、加熱融解された後、界面活性剤により乳化されて染毛料組成物中に分散していることを特徴とする請求項9に記載の染毛料組成物。

【公開番号】特開2013−53119(P2013−53119A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194009(P2011−194009)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(595082283)株式会社アリミノ (38)
【Fターム(参考)】