説明

染毛用泡状組成物

本質的に界面活性剤を含まず、かつ特定の香料系を染毛剤組成物に含む染毛剤組成物。染毛剤組成物は起泡させた染毛剤組成物を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の香料系を備えた起泡式分配容器と組み合わせて使用するための、本質的に界面活性剤を不含の染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤に関する未解決の課題としては、適用の容易さと、皮膚の着色及び不均一な染毛の原因になる適用の厄介さに対する懸念とが挙げられる。最近のトレンドは、消費者が、泡状製品の操作性がジェル、クリーム又は液体と比較して好ましいものであることを見出していることを示す。
【0003】
泡状製品は、2つの方法のうちのいずれかで製造されることが既知である。第1の方法は圧縮ガス(エアロゾル)を使用するものであり、消費者により分配容器から排出された圧縮ガスを、組成物と混合する方法である。市販例には、カネボウコスメティックスのSimpro染毛剤が挙げられる。英国特許第GB2188257(A)号は、加圧分配容器中の、泡の形態で分配されるシャンプー又は染料などの2成分製品を分配する装置を議論する。
【0004】
これらの例などのように、加圧システムに関連する未解決の課題は、酸素から隔離、又は顕色剤を色調剤成分(カップラー、第1原色など)から隔離する必要がある酸化染毛剤が、染毛剤の使用がユーザにより所望されるまでの間に、ラジカルにより反応を開始することである。隔離梱包はコストが高くなるにも関わらず、加圧系から出る色調剤成分と顕色剤成分との比が制御できないことから染毛剤を分配するための梱包には無効であり、あるいは酸素から染毛剤を隔離するにあたり無効である。
【0005】
泡状製品を製造する第2の方法は、ポンプ式フォーマー又はしぼり出し式フォーマーの形態の、非加圧式分配容器によるものである。ポンプ式フォーマーの市販例には、染毛用製品Youngrace Bubbleが挙げられる。しぼり出し式フォーマーの市販例には、花王のプリティアふんわり泡カラー、リーゼバブルヘアカラー又はブローネ泡カラー製品が挙げられる。同様に、米国特許第2004/0213752(A1)号も参照されたい。更に、米国特許第7,040,507号は、液体毛髪染料を泡へと変化させるための、泡タイプの毛髪染料用装置について議論している。
【0006】
酸化染毛剤組成物に曝露されるバネなどの金属部品を使用するので、ポンプ式フォーマーを酸化染毛剤組成物に使用することは困難である場合がある。染料組成物の下位成分のpHが高いこと及び酸化剤の存在に起因して、組成物は、バネなどのポンピング機構の金属部品と反応してポンプ式フォーマーにダメージを与え、及び金属酸化物イオンが組成物に混入した場合、組成物の機能性を損なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】英国特許第GB2188257(A)号
【特許文献2】米国特許第2004/0213752(A1)号
【特許文献3】米国特許第7,040,507号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器内に液体染毛剤組成物を有する、染毛剤製品を提供することは望ましい。加えて、染毛製品を使用した場合に、毛髪の良好な染色を提供しつつ毛髪へのダメージは最小限にすることが更に望まれている。
【0009】
染毛剤組成物中の界面活性剤を減量又は除去すると、製品にまつわる未解決のニーズに応えることができ、更には所望される利益を提供することができることが判明している。しかしながら、染毛剤組成物から界面活性剤を減少させた場合、香料の疎水性の性質(本質的に油である)に起因して、ほとんどの香料は毛髪組成物中で不溶になり、又は染毛剤組成物中で不安定になる。更に、香料は、所望されるよりも早い段階で泡を崩壊させて、ユーザの手の中で泡よりも液体を残す恐れがある。ClogP基準を元に香料成分を注意深く選別することで、本質的に界面活性剤を含まず、かつ泡を不安定なものにしたり、若しくは時期尚早に破壊させることのない染毛剤組成物に、可溶で安定な香料が得られることが判明している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に従うと、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器中に含有された染毛剤組成物を含む染毛剤製品が提供される。組成物は毛髪染料、アルカリ化剤、酸化剤、泡安定剤及び香料を含み、泡安定剤は、高分子乳化剤及び高分子泡安定剤及びこれらの混合物からなる群から選択される類のものであり、香料は1.5未満の平均ClogPを有する。染毛剤組成物は界面活性剤を実質的に含まず、かつ手動式のノンエアゾールタイプの分配容器から分配された場合には、比泡体積が約6〜約14mL/g、好ましくは約7.5mL/g〜約12mL/g、より好ましくは約8〜約10.5mL/gである泡が得られる。
【0011】
本発明の更なる態様によると、染毛剤組成物は:(i)毛髪染料、(ii)アルカリ化剤、(iii)酸化剤、(iv)高分子乳化剤及び高分子泡安定剤及びこれらの混合物からなる群から選択される泡安定剤、並びに(v)1.5〜2.5の範囲のClogPを有する香料原材料から本質的になる、香料を最大で30重量%と、1.5未満のClogPを有する香料原材料から本質的になる、残部と、を含む、香料原材料のブレンド、を含み、染毛剤組成物は界面活性剤を実質的に含まない。
【0012】
本発明の更なる態様によると、染毛剤組成物を形成する成分を含有するキットが提供される。このキットは、毛髪染料、アルカリ化剤及び1.5未満の平均ClogPを有する香料を含む色調剤組成物成分と、酸化剤、並びに高分子乳化剤及び高分子泡安定剤及びこれらの混合物からなる群から選択される類のものである、泡安定剤を含む顕色組成物成分と、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器が含まれ、容器は、色調剤組成物成分と顕色組成物成分の混合物を、比泡体積が約6〜約14mL/g、好ましくは約7.5mL/g〜約12mL/g、より好ましくは約8〜約10.5mL/gである泡として分配することができ;色調剤組成物成分及び顕色組成物成分は界面活性剤を本質的に含まない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】手動式のノンエアゾールタイプの分配容器の実施形態の断面図の例示。
【図1A】図1の1A−1Aに沿って取った、分配容器の散布開口部又は混合チャンバ退出開口部付近に配置したメッシュの拡大図。
【図1B】図1の1B−1Bに沿って取った、分配容器のヘッド開口部付近に配置したメッシュの拡大図。
【図2】図1の分配容器の分配容器ヘッドの分解図。
【図3】本開示の手動式のノンエアゾールタイプの分配容器の代替え的な実施形態の断面図。
【図3A】図3の3A−3Aに沿って取った、分配容器の散布開口部又は混合チャンバ退出開口部付近に配置したメッシュの拡大図。
【図3B】図3の3B−3Bに沿って取った、分配容器のヘッド開口部付近に配置したメッシュの拡大図。
【図4】図3の分配容器の分配容器ヘッドの分解図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
起泡させた製品を製造するために使用される染毛剤組成物から界面活性剤を減らすと、香料は、香料の持つ疎水性の性質(本質的に油である)に起因して、多くの場合、染毛剤組成物に不溶性になり、あるいは染毛剤組成物中で不安定になる。更に、所望されるよりも高いClogPを有する香料は、泡を阻害し又は「潰し」、ユーザの手の中で、泡を泡ではなく液体の状態してしまう恐れがある。ClogP基準を元に香料成分を注意深く選別することで、本質的に界面活性剤を含まず、かつ泡を不安定なものにしたり、若しくは時期尚早に破壊させることのない染毛剤組成物に、可溶で安定な香料が得られることが判明している。
【0015】
界面活性剤は、均質剤として染毛剤組成物に幅広く使用されるものであり、染毛用泡では泡安定剤として使用される。染毛用泡に使用される場合、界面活性剤は、分配される組成物の重量の0.1重量%(1000ppm)〜20重量%(200000ppm)の量で存在させることができ、典型的には少なくとも1.9重量%(19000ppm)の量で例証される。
【0016】
界面活性剤が染毛剤組成物中に存在し、組成物を撹拌(例えば激しく振とうさせる)すると、ヘッドスペースを有する容器の収容容器内で泡が形成されることが判明している。収容容器のヘッドスペースで泡を形成させると分配が失敗してしまう。
【0017】
本発明の染毛剤組成物では、許容可能な品質の泡を生成し維持するために界面活性剤を存在させる必要はない。界面活性剤は、加工助剤(例えば一部の成分を均質化を補助するため)、又は起泡以外に機能として、少量存在する場合もあるが、組成物が界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語、「界面活性剤を実質的に含まない」は、組成物に意図的に添加されたアニオン性、カチオン性、双極性イオン性又は両性界面活性剤が存在しないことを意味する。一実施形態では、組成物はアニオン性、カチオン性、両性、双極性イオン性及び非イオン性界面活性剤を実質的に含まない。界面活性剤は、成分内に含まれるものに起因して微量存在し得る。「微量」により、界面活性剤の濃度が500ppm未満、例えば0ppm〜500ppm、好ましくは200ppm未満、例えば0ppm〜200ppmであることが意図される。好ましくは界面活性剤濃度は、100ppm未満、例えば0ppm〜100ppmである。概して、組成物は、分配される染毛剤組成物に基づき0.05重量%未満、好ましくは0.02重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満で含有する。
【0019】
染毛剤組成物から界面活性剤を削減又は排除すると、組成物中の香料の安定性を保つことが難しくなる。香料は本質的に油であり、かつ疎水性の性質を持つことから、香料と、本質的に界面活性剤を不含の水性系を混合させることは困難である。障壁の1つとして、界面活性剤が存在しない場合、あるいは界面活性剤を著しく減少させた場合、染毛剤組成物成分内で香料を安定な状態に維持することができないことが確認されている。この他の障壁には、香料の存在が泡の形成を阻害したり、又は「潰して」しまうことが挙げられる。
【0020】
本質的に香料原材料からなる最大30重量%の香料が、それぞれ1.5未満の平均ClogPを有し、及び香料原材料から本質的になる香料の残部が、1.5〜2.5の範囲の平均ClogPを有し、全体の香料組成物では、1.5未満の平均ClogPを有する、香料原材料の多成分ブレンドからなる香料が、泡を急速に崩壊させ、かつ組成物に安定的に組み込むことのできる着香料として、本発明の組成物に使用できることが判明している。好ましい香料は、それぞれ最大で2.5のClogPを有する香料原材料の多成分ブレンドを含むものであり、この香料組成物は全体で1.5未満の平均ClogPを有する。全ての香料原材料のうち、最も好ましい材料は、pH 9〜11で安定なものである。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語、「平均ClogP」は、香料組成物全体を100で除したものを基準とした場合の、様々な香料原材料のClogPの重量%を意味するものであり、各成分の個々の平均ClogPは次の式から得られる:
【0022】
【数1】

及び、個々の平均ClogP値の合計が平均ClogPを与えることになる。
【0023】
香料原材料は、香料組成物中に500ppmの濃度で存在させた場合に、染毛剤組成物中の香料組成物を不安定にさせる上記基準を満たすものではないことが判明している。したがって、不純物(本明細書で使用するとき、用語、「不純物」は、4を超えるClogPを有する香料原材料を意味する)のは、香料組成物中で500ppm未満に維持すべきである。
【0024】
多くの香料成分のlogP値は、平衡状態にある2相系の、オクタノール区分及び水区分中の各化合物の濃度比から取られる。濃度測定は、25℃の一定温度下で行われる。「LogP計算値」(ClogP)は、HanschとLeoのフラグメント法により決定される(参照;A.Leo、Comprehensive Medicinal Chemistry,Vol.4、C.Hansch、P.G.Sammens、J.B.Taylor及びC.A.Ramsden編、p.295,Pergamon Press,1990)。このフラグメント手法は、各香料成分の化学構造を基に、原子の数と種類、原子の結合性、及び化学結合をも考慮に入れている。ClogP値は、最も信頼でき、物理化学的特性の評価に広く用いられており、好ましくは本発明で有用な香料成分の選択においてlogP実験値の代わりに用いられる。ClogP値を算出することのできる、例えばCSLogP−3.0(ChemiSilico)などのコンピュータ・プログラムが存在する。
【0025】
香料は、概して、分配される組成物の0.05〜5重量%、概して0.1〜2重量%、例えば0.3〜1重量%の量で染毛剤組成物に組み込まれる。多区画組成物の場合、香料は1つ以上の区画に存在させ得る。染毛剤組成物のキットの場合、香料は、好ましくは少なくとも色調処方成分中に存在する。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2−1】

【0028】
【表2−2】

【0029】
【表3−1】

【0030】
【表3−2】

【0031】
【表3−3】

【0032】
【表3−4】

【0033】
【表3−5】

【0034】
【表3−6】

【0035】
染毛剤組成物中に従来使用されていた他の成分に、あるいは界面活性剤が本質的に存在しない条件下での(上記に示されるようにほんの微量存在し得る)泡の形成に悪影響を与えない。したがって、官能性組成物全体に対する任意の追加成分の評価が必要とされ、かつ早すぎる時点で泡の崩壊を生じる成分(油又は油っぽい物質など)は排除されることが望ましい。
【0036】
界面活性剤ではないある種の材料が、染毛剤組成物中で泡安定剤として機能し得ることが判明している。本明細書で使用するとき、用語、「泡安定剤」には、泡の気泡の液体フィルムを安定化させるために役立つ成分だけでなく、泡を生成する成分も包含され得る。したがって、起泡剤も泡安定剤の意に包含される。これらの所望される剤は、形成される染毛剤組成物の泡を安定化させ、かつ所望される時間枠の間維持させることができる。
【0037】
泡の形成及び安定性
泡は、液体中にガス気泡が分散することにより構成される。ガス気泡は、互いの接触により破裂することから、この接触を遅らせるために添加剤が必要とされる。泡中の2つの気泡間の二層フィルムの表面はほぼ平らである一方、3つの気泡が面している場所で平らな境界線の表面は湾曲している。排水により生じる、フィルムの薄化プロセスを減速させる、又は更には停止させる、かつ泡を安定化させる化学物理特性が既知である。
【0038】
泡安定剤
本発明の組成物に使用される泡安定剤は、起泡利益及び/又は泡安定化利益をもたらすよう選択され、かつ過酸化水素又はペルオキシモノ炭酸イオンなどの酸化剤の存在下で、あるいはアルカリpH(色調剤組成物に見出されるようなpH)の存在下で安定である。好適な泡安定剤としては、高分子泡安定剤及び高分子乳化剤が挙げられる。本組成物の起泡安定剤は、泡の形成及び安定化に伝統的に使用される界面活性剤を、本質的に含まない。高分子乳化剤及び高分子泡安定剤の組み合わせも本発明で具体化される。
【0039】
高分子泡安定剤
本明細書で使用するのに好適な高分子泡安定剤としては、メチルセルロース(METHOCEL 40〜101として販売されるヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びMETHOCEL A4MPとして販売されるメチルセルロース)及びエチルセルロース(NATROSOL PLUSとして販売されるセセチル(cecetyl)ヒドロキシエチルセルロース)などのセルロース材料が挙げられる。
【0040】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、次式を有するものである:
【0041】
【化1】

【0042】
メチルセルロースは、次式を有するものである:
【0043】
【化2】

【0044】
これらの構造に関し、「n」は、所望の粘度が得られるよう選択される。METHOCEL 40〜101は約75,000MPas(20℃にて2%の水溶液に関するUbbelohdeチューブ粘度計による)の粘度を有し、及びMETHOCEL A4MPは約4000〜5000MPas(20℃にて2%の水溶液に関するUbbelohdeチューブ粘度計による)の粘度を有する。
【0045】
他の好適な泡安定剤としては、アクリル酸/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーなどの(メタ)アクリルポリマー、C10〜30アルキルアクリレートと1種以上のアクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー、又はスクロースのアリールエーテル若しくはペンタエリスリトールのアリールエーテルにより架橋された1つの単純エステルとのコポリマーが挙げられる。PEMULEN TR−1及びPEMULEN TR−2としてGoodrichから市販される。PEMULEN TR−1ポリマーが好ましい。SEPPICより、アクリレートコポリマーのCAPIGEL 98が製造される。
【0046】
本明細書での使用が好適な他の好適な泡安定剤は、酸/アクリレートコポリマー主鎖と、側鎖として疎水基と連結するモノマーとの乳化重合プロセスにより合成された、疎水性変性アルカリ可溶性エマルションポリマーである。このような材料の一例は、INCI名がアクリレート/ステアレス20メタクリレートコポリマーであり、アクリル酸、アクリレートエステル及びステアレス20メタクリレートエステルから合成される、Rohm Haasから市販のACULYN(商標)22である。
【0047】
他の好適な泡安定剤としては、乳化重合により酸及びアクリル酸コモノマーから合成された、アニオン性アルカリ可溶性ポリマーのエマルションが挙げられる。このような材料の一例は、Rohm Haasから市販される、INCI名がアクリレートコポリマーであるACULYN(商標)33である。
【0048】
ACULYN(商標)22及びACULYN(商標)33の混合物を使用することもできる。一実施形態は、組成物の重量、あるいは顕色剤組成物の重量に基づいて、重量比が5:1〜1:5でACULYN(商標)22及びACULYN(商標)33の混合物を用いる。一実施形態では、顕色剤組成物の重量に基づき1:3〜1:4比(重量)でACULYN(商標)22及びACULYN(商標)33の混合物が用いられる。一実施形態では、顕色剤組成物(酸化剤を含有している)の重量に基づき4:1〜1:1比(重量)でACULYN(商標)22及びACULYN(商標)33の混合物が用いられる。
【0049】
ビニルピロリドン(VP)を含むポリマーであるポリクオタニウム55、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPA)及びメタクリロイル(methacryoyl)アミノプロピルラウリルジモニウム塩化物(MAPLAC)も本明細書で使用にあたり好適であり、かつ以下の構造を有する:
【0050】
【化3】

【0051】
ポリクオタニウム−55は、商品名STYLEZE(登録商標)で市販され、10〜20の種類がある。n、m及びpの程度は、モノマー比に応じて決定される。STYLEZE(登録商標)−10は、モノマー比0.85VP:0.11DMAPA:0.4MAPLACを有する。STYLEZE(登録商標)−20は、モノマー比0.85VP:0.11DMAPA:0.4MAPLACを有する。
【0052】
他の好適な泡安定剤としては、ポリオキシエチレン、概して、x、y及びzの平均値がそれぞれ31、54及び31である、下式と一致するポリオキシプロピレンブロックポリマーが挙げられる。
【0053】
【化4】

【0054】
商品名POLOXAMER 334で販売される。
【0055】
他の好適な泡安定剤としては、商品名PLURONIC P104及びPLURONIC F108(例えばBASF)で販売されている、一級ヒドロキシル基で終端しているポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシドブロックポリマーが挙げられる。
【0056】
高分子乳化剤
泡乳化剤としての使用が好適なポリマー材料としては、多糖類、セルロース系材料、アミン担持ポリマー、天然資源から得られる酸ポリマー、加工デンプン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ポリマー、ポリメタクリル酸ポリマー、ポリシロキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
好適な多糖類としては、キサンタンガム、カラゲニンガム、グアーグアー(guar−guar)、カチオン性グアー、ヒドロキシプロピルグアーガム、寒天、イナゴマメガム、アルギネート、チロース、これらの材料のうちの任意の塩(ナトリム塩など)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0058】
好適なセルロース材料としては、セルロースエーテル(例えばカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースなど)、セルロース混合型エーテル(例えばカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メトキシヒドロキシアルキルセルロースなど)、メチルヒドロキシアルキルセルロース(例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシブチルセルロースなど);及びこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
好適なアミン担持ポリマーとしては、通常、アルキル化又はカルボキシメチル化により(但し、キチンの他の改質方法も好適である)、塩基条件下で可溶であるよう改質された、多くの場合キトサンとして既知である脱アクチル化(deacytylated)キチンが挙げられる。Chitosan Derivatives Obtained By Chemical Modifications For Biomedical And Environmental Applications;International Journal of Biological Macromolecules;43巻,5版,2008年12月1日,401〜414頁を参照されたい。
【0060】
好適なポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン、並びにアミノ、脂肪酸、アルコール、ポリエーテル、エポキシ、フルオロ、グリコシド及び/又はアルキル基により変性されたシリコーン化合物が挙げられる。本発明に従う好ましいシリコーン化合物としては、商標名ABIL(登録商標)でGoldschmidt AG(Essen)から入手可能なポリシロキサン−ポリエーテルコポリマー(別名、ジメチコンコポリオール)、特にABIL(登録商標)B 8843、ABIL(登録商標)B 8851、ABIL(登録商標)B 8852、ABIL(登録商標)B 8863、ABIL(登録商標)B 88183、及びABIL(登録商標)B 88184などのB 88製品群の、ポリシロキサン−ポリエーテルコポリマーが挙げられる。
【0061】
起泡安定剤は、界面活性剤を必要としなくても泡を形成する及び/又は安定化させるのに十分な量の中で分配されることになる毛髪酸化着色用組成物中に存在する。したがって、組成物が界面活性剤を実質的に含まない場合に泡を形成する及び/又は維持するのに十分な泡安定剤が存在する。概して、泡安定剤は、染毛剤組成物の1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%の量で存在する。複数部材キットの場合、泡安定剤は1つ以上の成分の中に存在し得る。単独の顕色剤組成物は、複数の異なるヘアカラーを形成する、複数の異なる毛髪染料(色調)配合物と共に使用することができるので、好ましくは、泡安定剤は酸化剤(顕色剤)を含有している成分の中に存在する。泡安定剤は、顕色剤組成物中に、顕色剤組成物の1〜25重量%、好ましくは2〜20重量%、好ましくは5%〜20重量%存在し得る。
【0062】
起泡体
本明細書で使用するとき、用語、「泡」は、手動作動可能な非エアロゾル容器を通過した後に、その形を維持し、あらゆるタイプの分配容器の容量をそれぞれ有するパーソナルケア組成物を意味する。好ましくは、泡の特定体積は、約6mL/g〜約14mL/gであり、例えば約7.5mL/g〜約12mL/g、より好ましくは約8mL/g〜約11mL/gである。一実施形態では、比泡体積は約10mL/gである。
【0063】
本明細書で使用するとき、「ストローク」は、壁などの垂直平面に接触させて、壁の反対に位置する収容容器の側に配置された収容容器を毎秒20mmの割合で壁の方向に偏向させることを意味する。「しぼり出す」又は「分配する」も用語「ストローク」に包含される。
【0064】
手動式のノンエアゾールタイプの分配容器は、所望により、1ストローク又は1しぼり出し当たりの泡吐出量が約0.5グラム/ストローク、約5.0グラム/ストローク、好ましくは約0.8グラム/ストローク〜約4.0グラム/ストローク、好ましくは約1.0グラム/ストローク〜約4.0グラム/ストロークであるよう設計される。一実施形態では、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器は、所望により、1ストローク又は1しぼり出し当たりの泡吐出量が約1.8グラム/ストローク〜約2.2グラム/ストロークであるよう設計される。
【0065】
手動式のノンエアゾールタイプの分配容器は、所望により、1ストローク又は1しぼり出し当たりの泡吐出量が約3mL/ストローク〜約70mL/スロトーク、好ましくは約76mL/ストローク〜約48mL/ストローク、好ましくは約8mL/ストローク〜約44mL/ストローク、好ましくは約18mL/ストローク〜約22mL/ストロークであるよう設計される。
【0066】
泡が体積を保持する最低時間は、少なくともユーザの手から、毛髪などの所望の位置に移すのに十分な時間であり、例えば泡が実質的に形状及び泡の特定体積を維持するような時間である。好ましい最低時間は少なくとも10秒であり例えば少なくとも12秒、又は少なくとも15秒である。すでにボウルいっぱいの量が一度容易に作製され、泡の量(例えば美容師によりボウルいっぱいに充填されるような量)が生成され、頭部上に塗り拡げられる場合、最低時間は例えば5分又は10分などより長いものになり得る。
【0067】
着色動作を実行するためには、染毛組成物を毛髪上に送達し、かつ分散させる必要がある。したがって、毛髪着色用泡組成物は、毛髪を着色するために、通常割り当てられる時間内に崩壊する必要がある(例えば、10〜30分)。泡の崩壊は、3〜10分程度の素早さで生じ得るが、最大で15分、又は最大で30分であってもよい。
【0068】
毛髪上の皮脂の量は、泡に影響を与え、崩壊させる恐れがある。毛髪上により皮脂の量が多くなると、毛髪上での泡の崩壊はより早くなる。
【0069】
レオロジー特性
染毛剤組成物は、染毛剤組成物との接触時に所望されるユーザ体験を確実なものにするような、所望されるレオロジー特性を使用時に有する。本発明の組成物は、消費者により配合物が使用される間、異なる応力/ひずみ力にさらされる。配合物は、所望される染毛剤組成物を形成するために、例えば2成分を保有する分配容器を振とうさせるなどして2成分を共に混合することで形成される次いで、配合物にしぼり出し起泡機関などの起泡手段を通過させることで起泡させ、ユーザの手に分配させる。次いで、毛髪などの所望される表面に配合物を適用し、泡を崩壊させ、毛髪などの所望される表面上に液体を形成させる。起泡させた染毛剤組成物が崩壊した後の染毛剤組成物で得られる粘度には、組成物がユーザの頭部上の毛髪などの、組成物が適用された表面から、滴り落ちたりあるいは流れることがないような粘度が選択されることが所望される。
【0070】
本明細書で使用するとき、用語、「低せん断粘度」は、以下の方法に従ってせん断速度0.01s-1で組成物が測定されたことを意味する。低せん断粘度は、(1)収容容器内に置かれた状態の組成物粘度、及び(2)「泡崩壊後」の組成物粘度を表すと考えられている。換言すれば、「泡崩壊後」は、組成物が分配容器により起泡された後で泡が崩壊することである。レオロジー特性において、低せん断粘度は、組成物がユーザにより混合又は振とうされる際に、収容容器内のヘッドスペースで生成される泡の量を減少させる様に働く。更に、泡崩壊後の組成物のレオロジー特性において、低せん断粘度は、所望される表面上に組成物がとどまるか、あるいは泡崩壊後に組成物が表面から流れる又は滴り落ちるかのいずれかに関し重要である。染毛剤組成物の低せん断粘度は、1000MPa(1000cps)を超え、好ましくは約1000MPa(1000cps)〜約10,000MPa(10,000cps)、好ましくは約2000MPa(2000cps)〜約9000MPa(9000cps)、及び好ましくは約2000MPa(2000cps)〜約5000MPa(5000cps)である。
【0071】
本明細書で使用するとき、用語、「高せん断粘度」は、以下の方法に従ってせん断速度500s-1で組成物が測定されることを意味する。高せん断粘度は、大抵の場合、混合チャンバなどの起泡手段を介し、収容容器から分配ヘッド開口部へと移動する、毛髪酸化着色用組成物の粘度を表すものと考えられる。染毛組成物の高せん断粘度は200MPa(200cps)未満、好ましくは100MPa(100cps)未満、好ましくは約1MPa(1cps)〜約200MPa(200cps)である。
【0072】
追加の染毛剤成分
溶媒
染毛組成物は、水、低級脂肪族アルコール類(例えば、炭素原子を1〜4個有する、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールなどの脂肪族アルコール)又はグリセリン及び1,2−プロピレングリコールなどのグリコール、といった溶媒を含み得る。溶媒は、染毛剤組成物、又はプレ組成物成分(色調剤組成物又は顕色剤組成物など)に、0.1〜30重量%の濃度で使用することができる。
【0073】
アルカリ化剤
染毛組成物は、一般的に色調剤組成物であり、アルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオン又はアンモニア供給源を含む。アルカノールアミド(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、及び2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、グアニジウム塩、及びアルカリ金属及び水酸化アンモニウム及び炭酸塩(水酸化ナトリウム及び炭酸アンモニウムなど)などの当該技術分野において既知である任意のアルキル化剤を使用することができる。特に好ましいアルカリ化剤は、アンモニウムイオンの供給源をもたらすものである。いずれのアンモニウムイオン供給源も本明細書で用いるのに好適である。好ましい供給源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、過炭酸塩、アンモニア及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、アンモニア、及びこれらの混合物である。同様に好適なアルカリ化剤としては、例えば、リン酸、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸又は酒石酸、塩酸、及びこれらの混合物などの無機酸及び有機酸といった酸(acidulent)が挙げられる。
【0074】
染毛組成物又は色調剤組成物には、約0.1重量%〜約10重量%、例えば約0.5%〜約5%、約1%〜約3%のアルカリ化剤(アンモニウムイオンなどの供給源)が含まれ得る。
【0075】
酸化剤
本明細書において、概して顕色剤組成物である染毛剤組成物は、酸化剤の供給源を少なくとも1つ含み得る。本明細書に用いるのに好ましい酸化剤は、水溶性過酸素酸化剤である。本明細書で定義される時、「水溶性」とは、標準状態で、少なくとも0.1g、好ましくは1g、より好ましくは10gの前記酸化剤が1リットルの脱イオン水に溶解され得ることを意味する。酸化剤は、メラニンの初期の可溶化及び脱色(漂白)にとって有益であり、毛幹中での酸化性染料前駆体の酸化(酸化染色)を増進する。
【0076】
酸化剤は、水溶性酸化剤(水溶液中で過酸化水素を生成することのできる無機過酸材料)から選択することができる。酸化剤は、水溶液中に提供されてもよいし、又は使用前に溶解される粉末として提供されてもよい。水溶性酸化剤としては、過酸化水素、無機アルカリ金属過酸化物、例えば過ヨウ素酸ナトリウム及び過酸化ナトリウム、並びに有機過酸化物、例えば過酸化尿素、メラミン過酸化物、並びに無機過水和物塩の漂白化合物、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらの無機過水和物塩は、一水和物、四水和物などとして組み込まれてもよい。アルキル及びアリール過酸化物、並びに/又はペルオキシダーゼも用いてもよい。また必要に応じて、2つ以上のそのような酸化剤の混合物を用いることもできる。本発明による組成物に用いるのに好ましいのは、過酸化水素、過炭酸塩、過硫酸塩及びこれらの組み合わせである。
【0077】
酸化剤は、毛髪酸化着色用組成物又は顕色剤組成物の約0.1重量%〜約40重量%、好ましくは約1%〜約30重量%、及び最も好ましくは約2%〜約30重量%を構成し得る。本明細書で使用するにあたり別の可能性のある酸化剤は、ペルオキシモノ炭酸イオンの供給源である。好ましくは、このような供給源は、過酸化水素供給源及び炭酸水素イオン供給源からその場で形成される。そのような酸化剤は、(毛髪ケア組成物の)pH 9.5まで、好ましくは7.5〜9.5、より好ましくはpH約9において、特に有効であることが見出されてきた。更に、この系はまた、アンモニア又はアンモニウムイオンの供給源と組み合わせると特に効果的である。この酸化剤は、高い色落ちの実現に特に関連して、所望の髪色結果に改善をもたらし、一方で、におい、皮膚及び頭皮の刺激、並びに毛髪繊維へのダメージを大幅に低減することが明らかになった。
【0078】
したがって、ペルオキシモノ炭酸イオンの任意の供給源を利用することができる。本明細書に用いるのに好適な供給源としては、炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオンのナトリウム塩、カリウム塩、グアニジン塩、アルギニン塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、及びアンモニウム塩、並びにこれらの混合物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。また、炭酸イオンの供給源及び酸化剤としての双方を提供するために、過炭酸塩も使用してもよい。炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオンの好ましい供給源は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、カルバミン酸アンモニウム、及びこれらの混合物である。
【0079】
酸化剤には、約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、及び最も好ましくは約1重量%〜約8重量%の炭酸水素イオンを含むことができ、かつ酸化剤の約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%、及び最も好ましくは約2重量%〜約5重量%の過酸化水素供給源を含むことができる。
【0080】
pH
本発明の染毛剤組成物は、8〜12、好ましくは8〜10のpHを有してよい。ペルオキシモノカーボネートイオンを含む実施形態の場合、好ましくは、pHは9.5以下であり、より好ましくは約9.5〜約7.5、更により好ましくは約9.5〜約8.4、最も好ましくは約9.4〜約8.5、更により好ましくはpH約9.3又は9.0である。
【0081】
色調剤組成物又は顕色剤組成物などのなどの、染毛剤組成物の任意の下位成分は、染毛剤組成物とは異なるpHを有してもよい。例えば、色調剤組成物がアルカリ化剤を含む場合、色調剤組成物はアルカリ性のpH、例えば8超のpHを有し得る。
【0082】
本組成物のpHは、Mettler Toledo製MP220又はMP225 pH装置(実験室用標準pH電極を装着)を使用して決定できる。装置は、毎回使用前に、較正用標準緩衝溶液及び標準較正手順を使用して較正される。
【0083】
毛髪染料
毛髪染料を含有する染毛剤組成物には、当該技術分野において既知であるものから選択することができる毛髪染料(例えば酸化染料前駆体)を含有させることができ、毛髪染料による着色は、酸化剤(例えば過酸化水素)の作用により、又は大気の酸素の存在下で生じる(必要がある場合には好適な酵素系と共に)。毛髪染料は、酸化の染料前駆体、直接染料、又はこれらの混合物であり得る。
【0084】
酸化染料前駆体
ヘアケア組成物又はそれらの下位成分(色調剤組成物)としては、一次中間体又はカップラー形態の酸化染料前駆体が挙げられる。染毛剤組成物で使用するのに好適な化合物(任意に加えるものを含む)は、それらが塩基である場合に限り、遊離塩基として、又は、例えば、塩酸、臭化水素酸、クエン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸若しくは硫酸などの、生理学的に適合性のある、それらの有機酸塩若しくは無機酸塩の形態で使用してもよく、あるいは、それらが芳香族ヒドロキシル基を有する場合に限り、塩基塩、例えばアルカリフェノレートの形態で使用してもよい。
【0085】
これらの化合物は、当該技術分野において周知であり、芳香族ジアミン類、アミノフェノール類、芳香族ジオール類、及びこれらの誘導体が挙げられる(酸化性染料前駆体の代表的ではあるが非包括的なリストは、「化粧品の科学及び技術(Cosmetic Science and Technology)」(サガリン(Sagarin)著、インターサイエンス(Interscience)、特別版、第2巻、308〜310頁)に見ることができる)。以下に述べる前駆体は、例示のためだけのものであり、本発明における組成物及びプロセスを限定する目的でないことを理解すべきである。前駆体は以下のものである:1,7−ジヒドロキシナフタレン(1,7−ナフタレンジオール);1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミン);1−メチル−2,5−ジアミノベンゼン(トルエン−2,5−ジアミン);1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン);1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール);1,3−ジヒドロキシ−4−クロロベンゼン,(4−クロロレゾルシノール);1−ヒドロキシ−2−アミノベンゼン,(o−アミノフェノール);1−ヒドロキシ−3−アミノベンゼン(m−アミノフェノール);1−ヒドロキシ−4−アミノ−ベンゼン(p−アミノフェノール);1−ヒドロキシナフタレン(1−ナフトール);1,5−ジヒドロキシナフタレン(1,5−ナフタレンジオール);2,7−ジヒドロキシナフタレン(2,7−ナフタレンジオール);1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン);1−ヒドロキシ−4−メチルアミノベンゼン(p−メチルアミノフェノール);6−ヒドロキシベンゾ−モルホリン(ヒドロキシベンゾモルホリン);1−メチル−2−ヒドロキシ−4−アミノベンゼン(4−アミノ−2−ヒドロキシ−トルエン);1−メチル−2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(2−メチル−5−ヒドロキシ−エチルアミノ−フェノール);1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(1,2,4−トリヒドロキシベンゼン);1−フェノール−3−メチルピラゾール−5−オン(フェニルメチルピラゾロン);1−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン(2,4−ジアミノフェノキシ−エタノールHCl);1−ヒドロキシ−3−アミノ2,4−ジクロロベンゼン(3−アミノ−2,4−ジクロロ−フェノール);1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン(2−メチルレゾルシノール);1−アミノ−4−ビス−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(N,N−ビス(2−ヒドロキシ−エチル)−p−フェニレン−ジアミン);2,4,5,6−テトラアミノピリミジン(HCレッド16);1−ヒドロキシ−3−メチル−4−アミノベンゼン(4−アミノ−m−クレゾール);1−ヒドロキシ−2−アミノ−5−メチルベンゼン(6−アミノ−m−クレゾール);1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン(1,3−ビス−(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−プロパン);1−(2’−ヒドロキシエチル)−2,5−ジアミノベンゼン(ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミンサルフェート);1−メトキシ−2−アミノ−4−(2’−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン,(2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール);1−ヒドロキシ−2−メチル−5−アミノ−6−クロロベンゼン(5−アミノ−6−クロロ−o−クレゾール);1−ヒドロキシ−2−アミノ−6−メチルベンゼン(6−アミノ−o−クレゾール);1−(2’−ヒドロキシエチル)−アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン(ヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシ−アニリンHCl);2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン(2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン);3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン(2,6−ジメトキシ−3,5−ピリジンジアミン);5,6−ジヒドロキシインドール(5,6−ジヒドロキシ−インドール);4−アミノ−2−アミノメチルフェノール(2−アミノエチル−p−アミノ−フェノールHCl);2,4−ジアミノ−5−メチルフェネトール(2,4−ジアミノ−5−メチル−フェネトールHCl);2,4−ジアミノ−5−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)トルエン(2,4−ジアミノ−5−メチルフェノキシエタノールHCl);5−アミノ−4−クロロ−2−メチルフェノール(5−アミノ−4−クロロ−o−クレゾール);1,3−ビス(N(2−ヒドロキシエチル)N(4−アミノ−フェニル)アミノ)−2−プロパノール(ヒドロキシプロピル−ビス−(N−ヒドロキシ−エチル−p−フェニレンジアミン)HCL);6−ヒドロキシインドール(6−ヒドロキシ−インドール);2,3−インドリンジオン(ISATIN);3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン(HCブルーNO.7);1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン(2,4−ジヒドロ−5−メチル−2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン);2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン(2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン);5−アミノ−サリチル酸;1−メチル−2,6−ビス(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)ベンゼン(2,6−ヒドロキシエチルアミノ−トルエン);4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン(2,5,6−トリアミノ−4−ピリミジノール硫酸塩);
2,2’−[1,2−エタンジイル−ビス−(オキシ−2,1−エタンジイルオキシ)]−ビス−ベンゼン−1,4−ジアミン(PEG−3,2’,2’−ジ−p−フェニレンジアミン);5,6−ジヒドロキシインドリン(ジヒドロキシインドリン);N,N−ジメチル−3−ウレイドアニリン(m−ジメチル−アミノ−フェニル尿素);2,4−ジアミノ−5−フルオロトルエン硫酸塩水和物(4−フルオロ−6−メチル−m−フェニレンジアミン硫酸塩);1−アセトキシ−2−メチルナフタレン(1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩);1−アセトキシ−2−メチルナフタレン(2−メチル−1−ナフトール);2−アミノ−5−エチルフェノール(2−アミノ−5−エチルフェノール);2,4−ジクロロ−3−アミノフェノール(3−アミノ−2,4−ジクロロフェノール);及びp−アニリノアニリン(N−フェニル−P−フェニレンジアミン)。
【0086】
直接染料
染毛剤組成物には、適合性のある直接染料を、染色をもたらすのに十分な量で(特に強度の観点で)更に含有させてもよい。典型的には、このような量は、色調剤組成物などの下位成分に関しては、染毛剤組成物の重量の約0.05重量%〜約4重量%の範囲である。好適な直接染料としては、アシッドイエロー1;アシッドオレンジ3;ディスパースレッド17;ベーシックブラウン17;アシッドブラック52;アシッドブラック1;ディスパースバイオレット4;4−ニトロ−o−フェニレンジアミン;2−ニトロ−p−フェニレンジアミン;ピクラミン酸;HCレッドNo.13;1,4−ビス−(2’−ヒドロキシエチル)−アミノ−2−ニトロベンゼン;HCイエローNo.5;HCレッドNo.7;HCブルーNo.2;HCイエローNo.4;HCイエローNo.2;HCオレンジNo.1;HCレッドNo.1;2−クロロ−5−ニトロ−N−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン;HCレッドNo.3;4−アミノ−3−ニトロフェノール;2−ヒドロキシエチルアミノ−5−ニトロアニソール;3−ニトロ−p−ヒドロキシエチルアミノフェノール;2−アミノ−3−ニトロフェノール;6−ニトロ−o−トルイジン;3−メチルアミノ−4−ニトロフェノキシエタノール;2−ニトロ−5−グリセリルメチルアニリン;HCイエローNo.11;HCバイオレットNo.1;HCオレンジNo.2;HCオレンジNo.3;HCイエローNo.9;4−ニトロフェニルアミノエチル尿素;HCレッドNo.10;HCレッドNo.11;2−ヒドロキシエチルピクラミン酸;HCブルーNo.12;HCイエローNo.6;ヒドロキシエチル−2−ニトロ−p−トルイジン;HCイエローNo.12;HCブルーNo.10;HCイエローNo.7;HCイエローNo.10;HCブルーNo.9;N−エチル−3−ニトロPABA;4−アミノ−2−ニトロフェニル−アミン−2’−カルボン酸;2−クロロ−6−エチルアミノ−4−ニトロフェノール;6−ニトロ−2,5−ピリジンジアミン;HCバイオレットNo.2;2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール;4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール;HCイエローNo.13;1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ニトロキノキサリン;HCレッドNo.14;HCイエローNo.15;HCイエローNo.14;3−アミノ−6−メチルアミノ−2−ニトロピリジン;2,6−ジアミノ−3−((ピリジン−3−イル)アゾ)ピリジン;ベーシックレッドNo.118;ベーシックオレンジNo.69;N−(2−ニトロ−4−アミノフェニル)−アリルアミン;4−[(4−アミノ−3−メチルフェニル)(4−イミノ−3−メチル−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン)メチル]−2−メチル−ベンゼンアミン−ヒドロクロリド;2−[[4−(ジメチル−アミノ)フェニル]アゾ]−1,3−ジメチル−1H−イミダゾリウムクロリド;1−メチル−4−[(メチルフェニル−ヒドラゾノ)メチル]−ピリジニウム、メチルサルフェート;2−[(4−アミノフェニル)アゾ]−1,3−ジメチル−1H−イミダゾリウムクロリド;ベーシックレッド22;ベーシックレッド76;ベーシックブラウン16;ベーシックイエロー57;7−(2’,4’−ジメチル−5’−スルホフェニルアゾ)−5−スルホ−8−ヒドロキシナフタレン;アシッドオレンジ7;アシッドレッド33;1−(3’−ニトロ−5’−スルホ−6’−オキソフェニルアゾ)−オキソ−ナフタレンクロミウム錯体;アシッドイエロー23;アシッドブルー9;ベーシックバイオレット14;ベーシックブルー7;ベーシックブルー26;キノフタラノン又は2−キノリルインダンジオンのモノ−&ジスルホン酸(主に後者)の混合物のナトリウム塩;ベーシックレッド2;ベーシックブルー99;ディスパースレッド15;アシッドバイオレット43;ディスパースバイオレット1;アシッドブルー62;ピグメントブルー15;アシッドブラック132;ベーシックイエロー29;ディスパースブラック9;1−(N−メチルモルホリウム−プロピルアミノ)−4−ヒドロキシ−アントラキノンメチルサルフェート;N,N−ジメチル−3−((4−(メチルアミノ)−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−1−イル)アミノ)−N−プロピルプロパン−1−アミニウムブロミド,HCブルーNo.8;HCレッドNo.8;HCグリーンNo.1;HCレッドNo.9;2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノリン;アシッドブルー199;アシッドブルー25;アシッドレッド4;ヘナレッド;インディゴ;コチニール;HCブルーNo.14;ディスパースブルー23;ディスパースブルー3;ディスパースブルー377;ベーシックレッド51;ベーシックオレンジ31;ベーシックイエロー87;及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい直接染料としては、ディスパースブラック9、HCイエロー2、HCイエロー4、HCイエロー15、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、HCレッド3、ディスパースバイオレット1、HCブルー2、ディスパースブルー3、ディスパースブルー377、ベーシックレッド51、ベーシックオレンジ31、ベーシックイエロー87、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
更に、特定の色合いを得るために、例えば、ヘナ又はインディゴのような植物色素、トリフェニルメタン染料、芳香族ニトロ染料、アゾ染料、キノン染料、カチオン性染料(塩基性染料)又はアニオン性染料(酸性染料)等の従来の天然及び/又は合成の直接染料を着色剤に更に含有させることが可能である。
【0088】
キレート剤
染毛剤組成物又はそれらの下位成分(例えば、色調剤組成物又は顕色組成物など)には、カルボン酸キレート剤、ホスホン酸キレート剤、ポリリン酸キレート剤、これらの塩、又はこれらの混合物が含まれる。好適なキレート剤としては、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸(EDDS)、エチレンジアミン−N,N’−ジグルタル酸(EDDG)、2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−二コハク酸(HPDDS)、グリシンアミド−N,N’−二コハク酸(GADS)、エチレンジアミン−N−N’−ビス(オルト−ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA),ジエチレン−トリアミン−ペンタ−(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、これらの塩、これらの誘導体、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
染毛剤組成物又は下位成分(例えば、色調剤組成物など)には、染毛剤組成物又は下位成分の約0.01重量%〜約5重量%、約0.25重量%〜約3重量%、約0.5%〜約1重量%の、キレート剤、それらの塩、誘導体又は混合物などが含まれる。
【0090】
ラジカルスカベンジャー
染毛剤組成物、好ましくは色調剤組成物には、更にラジカルスカベンジャー供給源を含有させることもできる。本明細書で使用するとき、用語「ラジカルスカベンジャー」は、炭酸塩ラジカルと反応してその炭酸塩ラジカルを一連の速い反応によって、より反応性の低い種、即ち炭酸塩ラジカルスカベンジャーへと変換させることのできる種である。
【0091】
本明細書に用いるのに好適なラジカルスカベンジャーは、アルカノールアミン、アミノ糖、アミノ酸、アミノ酸のエステル及びこれらの混合物の部類から選択してよい。特に好ましい化合物は次のものである:モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−2−ペンタノール、1−アミノ−3−ペンタノール、1−アミノ−4−ペンタノール、3−アミノ−2−メチルプロパン1−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン2−オール、3−アミノプロパン−1,2−ジオール、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グリシン、アルギニン、リジン、プロリン、グルタミン、ヒスチジン、サルコシン、セリン、グルタミン酸、トリプトファン、及びこれらの混合物、並びに、これらのカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩などの塩、並びにこれらの混合物。
【0092】
特に好ましい化合物はグリシン、サルコシン、リジン、セリン、2メトキシエチルアミン、グルコサミン、グルタミン酸、モルホリン、ピペリジン、エチルアミン、3アミノ−1−プロパノール及びこれらの混合物である。
【0093】
本発明の組成物は、染毛剤組成物又は色調剤組成物の約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%のラジカルスカベンジャーを含む。
【0094】
好ましくは、ラジカルスカベンジャーは、ラジカルスカベンジャー対カーボネートイオンの重量比が、2:1〜1:4となるような量で存在する。ラジカルスカベンジャーはまた、アルカリ化剤と同一の種にならないように好ましく選択される。
【0095】
コンディショニング剤
染毛組成物には、コンディショニング剤を含有させることもできるが、コンディショニング剤は、早い段階で泡を崩壊させるなどして泡の形成又は安定化を阻害することのないよう、注意深く選択する必要がある。所望により、コンディショニング剤を含む別個のコンディショニング組成物を染毛剤製品と共に使用することもできる。
【0096】
好適なコンディショニング剤は、シリコーン材料、アミノシリコーン、脂肪アルコール、ポリマー樹脂、カルボン酸ポリオールエステル、カチオン性ポリマー及びこれらの混合物から選択される。追加材料としては、グリセリン及びソルビトールが挙げられる。特に有用なコンディショニング物質は、カチオン性ポリマーである。カチオン性ポリマー型のコンディショナは、一級、二級、三級及び四級アミン基であって、ポリマー主鎖の一部を形成するか又はポリマー主鎖に直接結合する側鎖置換基に含まれることのあるアミン基から選択される少なくとも1つのアミン基の単位を含むものから選択することができる。
【0097】
シリコーンは、ポリアルキルシロキサン油、トリメチルシリル又はヒドロキシジメチルシロキサン末端基を含有する直鎖ポリジメチルシロキサン油、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルフェニルシロキサン又はポリジメチルジフェニルシロキサン油、シリコーン樹脂、その一般的構造中に、1つ又は多数の有機官能基(類)を有する有機官能シロキサン(同一又は異なり、シロキサン鎖に直接結合する)又はこれらの混合物から選択されることができる。前記有機官能基は、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基、(過)フッ素化基、チオール基、置換又は非置換アミノ基、カルボキシレート基、ヒドロキシレート基、アルコキシル化基、クオタニウムアンモニウム基、両性及びベタイン基から選択される。シリコーンは、純流体として、又は事前に形成されたエマルションの形態として、使用され得る。
【0098】
コンディショニング剤はコンディショニング組成物の約0.05重量%〜約20重量%の濃度で使用することができ、例えばコンディショニング組成物の約0.1重量%〜約15重量%、約0.2重量%〜約10重量%、約0.2重量%〜約2重量%の濃度で使用され得る。染毛剤組成物自体を利用する場合、コンディショニング剤は、染毛剤組成物の約0.05重量%〜約5重量%で使用することができる。
【0099】
他の任意成分
染毛剤組成物中に従来使用されている、あるいは使用されていない他の成分も、所望される場合でかつ界面活性剤を本質的に含まない組成物において泡の形成に悪影響を与えない場合に含有させることができる。したがって、官能性組成物全体に対する任意の追加成分の評価が必要とされ、かつ早すぎる時点で泡の崩壊を生じる成分(油又は油っぽい物質など)は排除されることが望ましい。
【0100】
染毛剤組成物製品
一実施形態では、本発明は、収容容積を構成する収容容器、混合チャンバ及び分配ヘッドを取り付けた手動式のノンエアゾールタイプの収容容器を含む、染毛剤組成物に関する。収容容器は、手動作動可能な非エアロゾル容器を作動させたときに、毛髪酸化着色用組成物が空気対液体比約1:6〜約1:15で空気と混合され、かつ毛髪酸化着色用組成物が泡として分配されるよう、毛髪酸化着色用組成物を含有し得る。
【0101】
泡生成用の、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器は、当該技術分野において周知である。これらの泡容器は、泡形態で分配される液体を保持するための収容容器を含む。収容容器は、収容容器上に取り付けることができ、あるいは開口させることのできる部品を備える。部品は、収容容器に延び、ひいては混合チャンバに延びるディップチューブ、収容容器から液体を汲み出すための液体ポンプ、及び泡を形成させるために、混合チャンバ内の液体を空気と混合させるためのエアポンプ、を含む。泡は混合チャンバから分配され、分配開口部を含む分配ヘッドの外側にある分配チャネルを通過する。分配チャネルには、均質な泡が形成されるようシーブ又はスクリーンなどの1つ以上の多孔質要素を配置することができる。
【0102】
本明細書に記載のレオロジー特性を有する染毛剤組成物を分配するのに必要とされる仕事量は、既知の染毛組成物と変わらない。これは既知の染毛剤組成物において特有のものであり、このような系内では液体よりも空気を移動させるためにより多くの仕事量が必要とされる。特定のレオロジー特性を有する本発明の酸化染毛剤組成物に関し、系内では、空気よりも液体を動かす際により多くの仕事量が見込まれる。手動式のノンエアゾールタイプの分配容器の収容容器の外側をしぼることで、染毛剤組成物を分配することができる。それに伴い、分配ヘッドの分配ヘッド開口部を通して泡を分配することができる。
【0103】
所望されるレオロジー特性を有する染毛剤組成物の使用、及び染毛剤組成物を移動させるために必要とされる仕事量は、本明細書での使用が好適な手動式のノンエアゾールタイプの分配容器で生成される、せん断力の強さに関し、独特の問題を更に保有している。所望されるレオロジー特性を有する染毛剤組成物の使用は、空気対液体比に更に影響を与える。仕事量、せん断力の生成、及び空気対液体比は、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器の構成による特徴である。
【0104】
液体対空気比は、約1:6〜約1:15,好ましくは約1:8約1:12、好ましくは1:10である。
【0105】
好適な手動式のノンエアゾールタイプの分配容器構造には、ディップチューブの寸法、混合チャンバへの空気の進入口の寸法、混合チャンバからの進入及び退出開口部を含む混合チャンバの寸法、分配チャネルの寸法、多孔質要素(スクリーン又はメッシュなど)及び分配ヘッド開口部が含まれる。
【0106】
手動式のノンエアゾールタイプの分配容器は、次の特許に例示されているものであり得る:米国特許第3,709,437号;同第3,937,364号;同第4,022,351号;同第4,147,306号;同第4,184,615号;同第4,615,467号;及び仏国特許第2,604,622号。本明細書で有用なしぼり出し式フォーマーの1つの具体例は、米国特許第6,604,693号(Taplastに譲渡)で議論されるものなどのように、並びにより具体的にはこの特許の第2段落、65列〜第4段落67行までで議論されるものなどのように、直立位置又は反転位置から分配することのできるしぼり出し式フォーマーである。
【0107】
手動式のノンエアゾールタイプの分配容器には収容容器を含ませることもできる。収容容器は、収容容器内に収容される染毛剤組成物の体積よりも収容容積が大きいものになるような容積を有する。収容容器のうち、染毛剤組成物に占有されない領域がヘッドスペースである。ヘッドスペースは、染毛剤組成物、あるいは染毛剤組成物の気泡を比較的含まない状態のままであるべきである。染毛剤組成物を含有させた状態で収容容器を振とう又は反転させた場合、ヘッドスペースは、染毛剤組成物、あるいは染毛剤組成物の気泡を比較的含まない状態のままであるべきである。本明細書で使用するとき、「比較的含まない」は、ヘッドスペースの50%未満、75%未満、90%未満、75%〜100%が染毛剤組成物又は気泡を含有することを意味する。
【0108】
収容容器は、染毛剤組成物を起泡させるための機構(ディップチューブなど)の任意の部分に染毛剤組成物を含有させ、かつ尚もヘッドスペースを有するのに十分な容積を有するよう選択される。一実施形態では、収容容積は約100mL〜約500mL、約150mL〜約400mLであるよう選択される(例えば250mL)。収容容積対染毛剤組成物体積比は約1:0.30(最大30%)約1:0.70(最大70%)、例えば約1:0.40(最大40%)約1:0.55(最大55%)である(すなわち、収容容積は染毛剤組成物の体積よりも大きいものである)。
【0109】
収容容器の形状は、染毛剤組成物を収容容器に含有させた場合に、体積変位当たりに必要とされる力が最適化され得るよう選択することができる。一実施形態では、(ボトルの頂部又は底部から)ボトルの垂直軸からみて、ボトルの形状が楕円断面を有するように選択される場合、体積変位当たりに必要とされる力は最適化される。楕円断面は、ネジ式キャップ又はスナップ式キャップに好適な頸部を使用して収容容器を閉めることができるように、好ましくは同軸である。楕円断面の長軸は、収容容器表面に適用される力と垂直になるよう位置づけされる。
【0110】
図1は、フォーマー部品(1)及び収容容器(3)を含むパーソナルケア組成物製品(25)の一般的な構造を例示する。
【0111】
パーソナルケア組成物を含有する収容容積(27)を有する収容容器(3)は、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器(25)を分配動作(例えば「ストローク」)させた際に、パーソナルケア組成物が収容容器(3)から移送されるように混合チャンバ(5)と流体連通している。流体接続部はディップチューブ(7)である。比較的に粘度の高いパーソナルケア組成物に関しては、ディップチューブ(7)の直径は、分配を容易にし(分配に必要とされる力の量を少なくする)、かつ所望される比泡体積を得るために、大きくする必要がある。
【0112】
ディップチューブ(7)の直径は、好ましくは直径が2.0mm超、好ましくは約2.0mm〜約5.0mm、より好ましくは約2.5mm〜約4.0mmになるよう選択される。直径が約2.0mm〜約4.0mmのディップチューブ(7)に関し、液体粘度は、液体を収容容器(3)から、分配時にユーザにより加えられる力(例えば「ストローク」)の量がより少ない混合チャンバ(5)へと移送しつつ、本明細書で述べるような所望される泡密度を実現する。
【0113】
混合チャンバ(5)は、少なくとも1つの空気進入開口部(9)、少なくとも1つの液体進入開口部(11)及び少なくとも1つの混合チャンバ進入開口部(13)を含む。混合チャンバ(5)は、内部容量と、混合チャンバ(5)の内部容量を画定する外壁を更に含む。混合チャンバ(5)は、パーソナルケア組成物と空気を組み合わせ、起泡させたパーソナルケア組成物の形成を開始することを可能にする。様々な開口部(9,11,13)領域を変更(記載の開口部の平面図は、混合チャンバ(5)の外壁の一部を含む)することで、比泡体積に影響を与えることができ、具体的には液体対空気比が適切なものになるように空気進入開口部(9)及び液体進入開口部(11)の相関関係に影響を与えることができる。
【0114】
空気進入開口部(9)は、収容容器(3)のヘッドスペースに入った空気を移送させるのに好適なものである。混合チャンバ(5)には、1つ以上の空気進入開口部(9)を含ませることができる。一実施形態では、混合チャンバ(5)は、進入開口部(9)を1つ含む。空気進入開口部(9)の面積は約0.62mm2(約0.2mm直径の円形の空気進入開口部)〜約3.14mm2(約1mm直径の円形の空気進入開口部)であってよく、好ましくは約1.26mm2(約0.4mm直径の円形の空気進入開口部)〜約1.88mm2(約0.8mm直径の円形の空気進入開口部)である。空気進入開口部(9)が1つ以上選択される場合、空気進入開口部(9)の合計面積の全てが使用されるべきである。混合チャンバ(5)への空気進入開口部(9)を介する空気の移送は、混合チャンバ(5)に間接的に移送させるものであってよく、あるいは混合チャンバ(5)に直接移送させるものであってもよい。
【0115】
同様にして、液体進入開口部(11)は、収容容器(3)から、好ましくはディップチューブ(7)を介し混合チャンバ(5)へとパーソナルケア組成物を流動的に移送するのに好適である。一実施形態では、混合チャンバ(5)は液体進入開口部(11)を1つ以上含む。一実施形態では、混合チャンバ(5)は、液体進入開口部(11)を3つ含む。液体進入開口部(11)の面積は、約1.5mm2〜約3mm2でなくてはならない。一実施形態では、液体進入開口部(11)は、約1.8mm2〜約2.3mm2でなくてはならない。液体進入開口部(9)が1つ以上選択された場合、空気進入開口部(9)の合計面積の全てが使用されるべきである。例えば、3つの液体進入開口部(11)の合計面積が2.0mm2である場合、液体進入開口部(11)の3つ全てを合わせた合計面積と等しい。収容容器(3)から混合チャンバ(5)への流体移送路は、混合チャンバ(5)に間接的な連通経路であり得、あるいは混合チャンバ(5)に直接的な連通経路であり得る。
【0116】
本明細書で使用するとき、用語、「間接的な連通」は、混合チャンバ(5)への空気又はパーソナルケア組成物の移送が、混合チャンバ(5)に入る前に、何らかの他の物理構造を介する経路を通過することを意味する。例えば、空気又はパーソナルケア組成物は、各開口部(9,11)を通って混合チャンバ(5)に入る前に、混合チャンバ(5)の外壁と接触するようになる。一実施形態では、間隙容積(30)が、混合チャンバ(5)の外壁と隣接している。空気又はパーソナルケア組成物は、収容容器から、ディップチューブ(7)を介し、混合チャンバ(5)の外部間隙容積(30)へと移送される。間隙容積(30)は、それぞれ、空気進入開口部(9)及び/又は液体進入開口部(11)と空気及び/又は液体連通する。
【0117】
本明細書で使用するとき、用語、「直接連通する」は、混合チャンバ(5)への空気又はパーソナルケア組成物の移送が、直接的に混合チャンバ(5)へと移動するものであることを意味する。例えば、空気又はパーソナルケア組成物は、開口部(9,11)のそれぞれを介し、混合チャンバ(5)の外側の成分と接触すること無く混合チャンバ(5)の内部容量で接触するようになる。
【0118】
一実施形態では、混合チャンバ退出開口部(13)は、混合チャンバ(5)内部の圧力が上昇するように選択される。混合チャンバ(5)は、1つ以上の混合チャンバ開口部(13)を含み得る。一実施形態では、混合チャンバ(5)は混合チャンバ退出開口部(13)を1つ含む。
【0119】
混合チャンバ(5)は、混合チャンバ(5)の内部容量を生成する外側壁を有する。外側壁の頂端が、周長を確定する。混合チャンバ退出開口部(13)は、混合チャンバ(5)の頂端の周長と同じ大きさの面積にすることもできるが、好ましくは、混合チャンバ(5)内の圧力を増加させるために、混合チャンバ(5)の頂端の周長の面積よりも小さくなるような面積が選択される。混合チャンバ退出開口部(13)の面積は、約0.314mm2(0.1mm直径の円形開口部)〜約9.42mm2(3mm直径の円形開口部)であり得る。一実施形態では、混合チャンバ退出開口部(13)は、約2.512mm2(0.8mm直径の円形開口部)〜約5.652mm2(1.8mm直径の円形開口部)の面積を含む。混合チャンバ退出開口部(13)が1つ以上存在する場合、全ての混合チャンバ退出開口部の合計面積を考慮しなくてはならない。
【0120】
一実施形態では、ディフューザープレート(29)は、混合チャンバ退出開口部(13)を含む。ディフューザープレート(29)は、混合チャンバ(5)構造の一部であり得、あるいは混合チャンバ(5)と適合する別個の要素であり得る。ディフューザープレート(29)は混合チャンバ(5)内でのパーソナルケア組成物の滞留時間を増加させるよう働き、パーソナルケア組成物に、混合チャンバ(5)内に生じるせん断力をより長い時間加えるものと考えられている。
【0121】
混合チャンバ(5)は、フォーマー部品(1)と流体連通される。パーソナルケア組成物は、液体進入開口部(11)を介し混合チャンバ(5)へと入り、空気進入開口部(9)を介し混合チャンバ(5)に入る空気と混合される。
【0122】
空気は、通常、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器(25)の外部から供給される。空気は、ストローク後に手動式のノンエアゾールタイプの分配容器(25)に入り、収容容器(3)のヘッドスペース内に収容される。手動式のノンエアゾールタイプの分配容器(25)の収容容器(3)のヘッドスペースへの、空気の制御された取り込み又は排出は、ボールバルブ(23)あるいはシリコーンシール又はガスケットにより実現することができる。ボールバルブあるいはシリコーンシール又はガスケットは、ヘッドスペースと連通させてフォーマー部品(1)に位置させることができる。一実施形態では、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器(25)に分配動作させた場合に、ヘッドスペース内の空気が、空気進入開口部(9)を介し混合チャンバへと移送されるように、ボールバルブ(23)、シリコーンシール又はガスケットが、収容容器(3)のヘッドスペースへの、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器(25)の外気の進入を排除するよう、ボールバルブ(23)、シリコーンシール又はガスケットを、リザーバ(3)と、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器(25)の外気とを連通させるよう位置させることができる。分配(「ストローク」)後、ボールバルブ(23)、シリコーンシール又はガスケットは、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器(25)の外気を、収容容器(3)内に進入させ、次のストロークのためにヘッドスペースを再充填する。
【0123】
染毛剤組成物及び空気は混合チャンバ(5)に入り、泡状の染毛剤組成物を形成し、泡状の染毛剤組成物は混合チャンバ退出開口部(13)を介して混合チャンバ(5)から出て、泡流体接続部(17)を通ってフォーマー部品(1)へと移動し、フォーマー分配開口部(19)を出る。混合チャンバ退出開口部(13)及びフォーマー分配開口部(19)の間にある泡流体接続部(17)は、比泡体積を変更するために使用することのできるスクリーン又はメッシュ(21a,21b,21c)を、内部に1つ以上備える。比泡体積を変更するためには、メッシュの数、メッシュの開口部の大きさ及びメッシュ内の開口部の密度を利用することができる。一実施形態では、少なくとも2つのメッシュ(21a,21b)が利用される。この場合、2つのメッシュ(21a,21b)は互いに隣接している。メッシュには直径区分及び深さ区分を含む。直径区分(メッシュの最も長い表面積)は、メッシュのうちの他のメッシュと隣接し得る部分である。
【0124】
泡のしぼり出し及び分配を最適にする角度に収容容器(3)を傾けたときに、収容容器(3)内の染毛剤組成物の利用効率が最大化されるよう収容容器(3)の最下の前方コーナーに向けてディップチューブ(7)の少なくとも角度をつけることができる。ディップチューブ(7)の最下端の傾斜角は、好ましくはフォーマー分配開口部(19)の傾斜角を模し、いずれもが好ましくは分配ヘッド開口部(19)に最も近いメッシュを通る水平軸から約30°〜約45°の角度で下に移動させた角度である。
【0125】
一実施形態では、混合チャンバ退出部及び分配ヘッド開口部の間の流体接続部に1〜3つのメッシュが存在する。一実施形態では、2つのメッシュ(21a,21b)が混合チャンバ退出開口部(13)にごく近接して泡流体接続部(17)に位置し、1つのメッシュ(21c)がフォーマー分配開口部(19)にごく近接して位置する。この場合、2つのメッシュ(21a,21b)は約170マイクロメートル(μ)の開口サイズを有し、1つのメッシュ(21c)は約70マイクロメートル(μ)の開口サイズを有する。
【0126】
一実施形態では、2つのメッシュ(21a,21b)が混合チャンバ退出開口部(13)にごく近接して泡流体接続部(17)に位置し、1つのメッシュ(21c)がフォーマー分配開口部(19)にごく近接して位置する。この場合、2つのメッシュ(21a,21b)は約170マイクロメートル(μ)の開口サイズを有し、1つのメッシュ(21c)は約70マイクロメートル(μ)の開口サイズを有する。各メッシュは、好ましくは射出成形ウェハとして提供され、あるいは円筒形の側壁と、円筒形の側壁の一端を覆って延びるスクリーンとを有するディスクとして提供される。スクリーンは、円筒形の側壁の全長の軸方向に延びる(円筒形の側壁の上縁から、円筒形の側壁の下縁へとy軸に沿って延びる)ものではない。本項で使用するとき、「隣接する」は、各ウェハ又はディスクの2つの円筒形の側壁が、直接互いに隣り合っていることを意味する。しかしながら、各ウェハのそれぞれは、好ましくは、2つのウェハ又はディスクが互いに接触する場合でさえも、第1ディスクのスクリーンを第2ディスクのスクリーンから分離する間隙が存在するようにスクリーンが面している方向に配向される。
【0127】
次に図3を参照すると、メッシュが2つのみ(21a,21c)利用され、このうち1つ(21a)が混合チャンバ退出開口部(13)にごく近接し、もう1つ(21c)がフォーマー分配開口部(19)にごく近接して位置する、特に好ましい実施形態が例示される。
【0128】
混合チャンバ退出開口部(13)の大きさ、メッシュ(21a,21b,21c)の枚数、及びメッシュのスクリーンの開口サイズを変化させることで、所望される比泡体積を実質的に保存しながら所望される量の泡を吐出させるのに必要とされる仕事量を減らすことができる。例えば、図1に例示される実施例の例示的な実施では、直径1mmの混合チャンバ退出開口部(13)が散布プレート(29)に提供される[開口部の面積はpi*直径である]。この実施形態では、3つのメッシュウェハ又はディスクが泡流体接続部(17)に提供され、最初の2つ(21a,21b)のそれぞれのメッシュ開口サイズは約170マイクロメートル(μ)であり、3つ目のメッシュのメッシュ開口サイズは約70マイクロメートル(μ)である。
【0129】
図3に解説する実施形態の例示的な実装において、第2メッシュ(21b)は省略され、散布プレート(29)[開口部面積はpi*直径]内の混合チャンバ退出開口部は1.75mmに拡大され、泡流体接続部(17)に配置された第1メッシュ(21a)のメッシュ開口サイズは約170マイクロメートル(μ)であり、かつメッシュウェハ又はディスク(21c)のメッシュ開口サイズは約70マイクロメートル(μ)である。
【0130】
キット
染毛剤製品は、多くの場合、手袋及び取扱説明書と共に梱包される色調剤組成物成分及び顕色剤組成物成分を含有しているキットとして販売される。場合によりコンディショニング組成物成分及び/又は色調回復組成物(color referesher composition)も含有される。ユーザは色調剤組成物成分及び顕色剤組成物成分を組み合わせ、次いで混合した泡形態の組成物を毛髪に適用する。
【0131】
本出願の色調剤組成物成分には、酸化染料前駆体、カップラー及び直接染料から選択される毛髪染料を少なくとも1つ含有させることができる。色調剤組成物成分に含まれる更なる成分としては、アルカリ化剤、平均ClogP値が1.5未満の香料、溶媒、ラジカルスカベンジャー及び泡安定剤が挙げられる。色調剤組成物は界面活性剤を実質的に含まない。
【0132】
本出願の顕色剤組成物成分には、溶媒、酸化剤及び泡安定化剤を含有させることができる。顕色剤組成物成分は界面活性剤を実質的に含まない。
【0133】
一般的に、色調剤配合物:顕色剤配合物の重量比は顕色剤組成物及び色調剤組成物の強度に応じ5:1〜1:5の範囲であり、例えば1:1、1:1.5、1:2、1:3及び1:4である。
【0134】
本出願のキットには、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器が包含される。容器は、色調剤組成物成分及び顕色剤組成物成分の混合物を、比泡体積約6mL/g〜約14mL/g、好ましくは約7.5mL/g〜約12mL/g、及びより好ましくは約8mL/g〜約10.5mL/gの泡として分配することができる。
【0135】
キットには2つ以上の容器を含有させることができる。一実施形態では、色調剤組成物成分は1つの容器に収容され、顕色剤組成物成分は手動式のノンエアゾールタイプの分配容器又は手動式のノンエアゾールタイプの分配容器の収容容器内に収容される。
【0136】
キット用の追加成分としては、コンディショナ組成物及び色調回復組成物が挙げられる。コンディショナ組成物は、コンディショニング剤を含み得る。色調回復組成物は、コンディショニング剤及び直接染料を含み得る。
【0137】
使用方法
ユーザは使用直前に色調剤組成物及び顕色組成物を手動式のノンエアゾールタイプの分配容器の収容容器内で共に混合する。ユーザは次に、色調剤組成物及び顕色剤組成物を混合するために振とうしてもよい。振とうとは、色調剤組成物と顕色剤組成物を混合させるために最低でも10秒にわたって垂直に往復運動させるか、回転させながら往復運動させるかであり得る。ユーザは次いで、手袋をはめたユーザの手に、あるいは毛髪上に泡(起泡させた染毛剤組成物)を直接分配するために、手動式のノンエアゾールタイプの分配容器を作動させる。泡は、分配後約10秒〜30分の間に崩壊し始めてもよい。表7及び8に与えられる例示組成物は、以降で好適な組成物を例示する錠剤として与えられる。
【0138】
泡を崩壊させた後(現在、液体組成物の状態)、毛髪上に5〜30分(全ての毛髪に対し均一な適用を確実なものにするため)とどめ、次いでユーザは彼/彼女の髪を水でしっかりとすすぎ、乾かす。
【0139】
存在する場合、追加のコンディショニング剤を他の容器内に提供することができる。一実施形態では、コンディショナ容器の内容物を、染毛剤組成物の直後に後処理剤として塗布すること(追加のすすぎ工程の後)もできる。
【0140】
本発明に従う、毛髪を着色する方法には、本発明の起泡させた染毛剤組成物を毛髪に塗布し、好ましくは混合物を、ユーザの指又は櫛又は同様の器具により、毛髪に数分間作用させる(全ての毛髪への均一な塗布を確実なものとする)実施形態も含む。次に、顕色させるために、約20分未満、好ましくは約15分未満、より好ましくは約5分〜約10分、最も好ましくは約10分の時間、組成物を毛髪上に残留させる。次に、ユーザは、自分の毛髪を水道水で十分にすすぎ、通常通り毛髪を乾燥及び/又は整髪する。
【0141】
本発明の更なる代替的実施形態によれば、毛髪染色方法は、酸化性毛髪染色を順次行う方法であり、少なくとも2つの酸化性毛髪染色処理を順次行い、各処理間の時間が1〜60日、好ましくは1〜40日、より好ましくは1〜28日、更により好ましくは1〜14日、最も好ましくは1〜7日である工程から構成される。このような実施形態においては、頭上に組成物を保持する時間は約20分未満でもよく、好ましくは約10分未満、最も好ましくは約2分〜約5分である。
【0142】
試験方法
粘度
サンプルの調製
色調剤組成物及び顕色剤組成物を組み合わせ、染毛組成物を作製する。染毛組成物のサンプル調製は、以下のような手順であるべきである。
1.重量比1:1の色調剤組成物及び顕色剤組成物を、そこから分配することのできる容器内で混ぜる。容器は密閉させるかあるいは蓋をすべきである。
2.次に密閉容器を15秒間振とうする。
3.密閉することができる容器の内容物を、100 tall分配容器(FlackTek Inc.から入手可能)に注ぎ入れ、次に1950rpmに設定したDAC 800 FVZスピードミキサー(FlackTek Inc.)に10秒間配置し、サンプルから出てきた任意の気泡を吸い取った。
4.液体の頂部にある任意の気泡又は泡をデカントする。
5.次にサンプルの粘度を測定した。
【0143】
低せん断粘度及び高せん断粘度
上記に定義されるような低せん断粘度及び高せん断粘度を、次の形状を有するTA InstrumentsのAR2000レオメーターにより測定する。
40mm 2°ステンレス鋼スチールコーン
40mmステンレススチールプレート
DIN規格又は同心円錐形シリンダ
収集したデータを次いでTA Instruments AR2000レオメーターのデータ解析プログラムを用いてグラフ化し、実施の開始点を低せん断粘度として記録する。データは少なくとも2回実施して記録したデータの相関関係を確実なものにすべきである。
【0144】
低せん断粘度は0.01s-1で測定され、及び高せん断粘度は500s-1で測定される。
【0145】
比泡体積
比泡体積を、100mLのビーカーを質量計(mass balance)に配置し、ビーカーの質量をタール塗り(tarring)し、次いで起泡式分配容器から100mLビーカーに泡の体積が100mLに等しくなるまで分配することにより測定する。100mLの泡から得られる、分配終了時から5秒時点の質量を記録する。泡の質量により容量(100)を除し、比泡体積をmL/g単位で得る。
【0146】
香料実施例
【0147】
【表4】

【0148】
表8のものなどの染毛剤組成物に使用した表4の香料組成物は、図1に示すようなフォーマーを通過させた時に泡を生じない。
【0149】
好適な香料の例としては次のものが挙げられる。
【実施例】
【0150】
(実施例1)
【0151】
【表5】

* 香料組成物の重量
【0152】
平均ClogP値は1.127である。
【0153】
(実施例2)
【0154】
【表6】

* 香料組成物の重量
【0155】
平均ClogP値は1.391である。
【0156】
(実施例3)
【0157】
【表7】

* 香料組成物の重量
【0158】
ここで、アミル−アセテート異性体ブレンドは、異性体ブレンドの平均ClogPを確認するために算出し、平均ClogP値1.04を見出すために使用する。
【0159】
配合例
【0160】
【表8】

* 香料は例1〜3のうちのいずれか1つ
【0161】
【表9】

【0162】
各色調処方物を顕色剤処方物と混合させて、染毛組成物を提供することができる。顕色剤処方に対する色調処方の重量比は、必要とされる正確な色度、及び所望される色度を得るのに必要とされる漂白の程度に応じて変化させることができる。一般的に、色調処方:顕色剤処方の重量比は顕色剤組成物及び色調剤組成物の強度に応じ5:1〜1:5の範囲であり、例えば1:1、1:2及び1:3である。
【0163】
表8の色調剤組成物及び表9の顕色組成物を重量比1:1で混合することで、本発明の染毛剤組成物を形成した。染毛剤組成物を図1に示すようなしぼり出し式フォーマーの容器に取り入れる。デバイスをしぼり、染毛剤組成物を許容可能な品質の泡として分配する。
【0164】
本明細書で開示した寸法及び値は、列挙した厳密な数値に厳格に限定されるものとして解釈されるものではない。むしろ、別段の指定がない限り、そのような各寸法は、列挙した値と、その値を包含する機能的に等価な範囲との双方を意味することを意図したものである。例えば、「40mm」として開示した寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。
【0165】
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を包含する本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、本明細書中に参照により全てが組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0166】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動式ノンエアゾールタイプの分配容器中に含有された染毛剤組成物を含む染毛剤製品であって、前記組成物が、
(a)毛髪染料、
(b)アルカリ化剤、好ましくは塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、過炭酸塩塩、アンモニア及びこれらの混合物からなる群から選択されるアルカリ化剤、
(c)酸化剤、好ましくは過酸化水素、過炭酸塩、過リン酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される酸化剤、
(d)高分子乳化剤、及び高分子泡安定剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される部類のものである泡安定剤、並びに
(e)平均ClogPが1.5未満である香料、を含み、
前記染毛剤組成物が界面活性剤を実質的に含まず、かつ前記手動式ノンエアゾールタイプの分配容器から分配した場合に得られる泡が約6mL/g〜約14mL/gの比泡体積(specific volume foam)を含む、染毛剤製品。
【請求項2】
前記香料が、ClogP値がそれぞれ1.5〜2.5の範囲にある複数の香料原材料を含み、好ましくは前記香料がエチル2−メチル−1,3ジオキソラン−2−アセテート、フェネチルアルコール、ヘリオトロピン、シス−3−ヘキセン−1−オル、2−メチルブタン酸エチル、及びこれらの混合物を含む、請求項1に記載の染毛剤製品。
【請求項3】
前記香料が更にエチルバニリン、エチルマルトール、ベンジルアセテート及びこれらの混合物を含む、請求項2に記載の染毛剤製品。
【請求項4】
前記香料が500ppm未満の不純物(contaminates)を含む、請求項1に記載の染毛剤製品。
【請求項5】
前記泡安定剤が、
(a)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、セセチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの混合物;
(b)酸/アクリレートコポリマー主鎖、及び疎水性基を側鎖として結合するモノマーを有する、疎水変性アルカリ可溶性エマルションポリマー、又は酸及びアクリレートコモノマー又はそれらの混合物から合成されたアニオン性アルカリ可溶性ポリマーエマルション;
(c)アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー;並びに
(d)ビニルピロリドン(VP)、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド(DMAPA)、及びメタクリロイルアミノプロピルラウリルジモニウム塩化物(MAPLAC)を含むポリマー
からなる群から選択される、請求項1に記載の染毛剤製品。
【請求項6】
前記泡安定剤が、組成物の約4〜約25重量%、好ましくは約5〜約15重量%、より好ましくは約5〜約10重量%の量で存在する、請求項1に記載の染毛剤製品。
【請求項7】
前記染毛剤組成物が、前記染毛剤組成物に基づき200ppm未満の界面活性剤を含む、請求項1に記載の染毛剤製品。
【請求項8】
酸化染毛剤組成物であって:
(i)毛髪染料、
(ii)アルカリ化剤、好ましくは塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、過炭酸塩塩、アンモニア及びこれらの混合物からなる群から選択されるアルカリ化剤;
(iii)酸化剤、好ましくは過酸化水素、過炭酸塩、過リン酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される酸化剤;
(iv)高分子乳化剤、高分子泡安定剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される部類のものである泡安定剤;並びに
(v)1.5〜2.5の範囲のClogP値を有する香料原材料から本質的になる前記香料を最大で30重量%と、1.5未満のClogPを有する香料原材料から本質的になる前記香料の残部との香料原材料のブレンドを含む、香料;を含み、
前記染毛剤組成物が界面活性剤を実質的に含まない、組成物。
【請求項9】
前記香料が、1.5未満の平均ClogP値を有し、好ましくは前記香料が、エチル2−メチル−1,3ジオキソラン−2−アセテート、フェネチルアルコール、ヘリオトロピン、シス−3−ヘキセン−1−オル、エチル2−メチル酪酸及びこれらの混合物を含む、請求項15に記載の染毛剤組成物。
【請求項10】
前記香料が更にエチルバニリン、エチルマルトール、ベンジルアセテート、及びこれらの混合物を含む、請求項9に記載の染毛剤組成物。
【請求項11】
前記香料が500ppm未満の不純物(contaminates)を含む、請求項15に記載の染毛剤組成物。
【請求項12】
染毛剤組成物を形成するための成分を含有する工程を含むキットであって:
前記キットは
毛髪染料、アルカリ化剤、及び1.5未満の平均ClogP値を有する香料、を含む、色調剤組成物成分;
酸化剤と、高分子乳化剤、高分子泡安定剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される部類のものである泡安定剤と、を含む、顕色組成物成分;
手動式ノンエアゾールタイプの分配容器であって、前記色調剤組成物成分及び前記顕色剤組成物成分の混合物を、比泡体積約6mL/g〜約14mL/g、好ましくは約7.5mL/g〜約12mL/g、より好ましくは約8mL/g〜約10.5mL/gの泡として分配することができる、分配容器;を含み、
前記色調剤組成物成分及び前記顕色剤組成物成分が、界面活性剤を本質的に含まない、キット。
【請求項13】
前記色調剤組成物が香料を含み、前記香料が、ClogP値がそれぞれ1.5〜2.5の範囲にある複数の香料原材料を含み、好ましくは前記香料が、エチル2−メチル−1,3ジオキソラン−2−アセテート、フェネチルアルコール、ヘリオトロピン、シス−3−ヘキセン−1−オル、2−メチルブタン酸エチル、及びこれらの混合物を含む、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記香料が更にエチルバニリン、エチルマルトール、ベンジルアセテート及びこれらの混合物を含む、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記泡安定剤が、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーとして選択され、好ましくは前記泡安定剤が、組成物の約4〜約25重量%、好ましくは約5〜約15重量%、より好ましくは約5〜約10重量%の範囲の量で存在する、請求項22に記載のキット。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−514997(P2013−514997A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544903(P2012−544903)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/061062
【国際公開番号】WO2011/075659
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】