説明

染毛用第2剤組成物

【課題】 染毛用第1剤組成物と混合し易く、且つ流動性にも優れた染毛用第2剤組成物を提供する。
【解決手段】 染料中間体を配合してなる染毛用第1剤組成物と混合して酸化型染毛剤とするための染毛用第2剤組成物であって、過酸化水素、界面活性剤および少なくとも3種の高級アルコールを配合してなり、上記高級アルコールの1種がミリスチルアルコールであることを特徴とする染毛用第2剤組成物である。高級アルコールの総量に対するミリスチルアルコールの配合比は、0.5〜0.8であることが好ましく、また、高級アルコールは、ミリスチルアルコール、セチルアルコールおよびステアリルアルコールの3種とすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤組成物に関するものであり、詳しくは染料中間体を含む染毛用第1剤組成物と混合して用いる酸化剤を含む染毛用第2剤組成物であり、流動性が高く且つ染毛用第1剤組成物と混合し易く、更に粘度の経時的安定性も良好な染毛用第2剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化型染毛剤は、酸化染料(色素)を含有する第1剤と、過酸化水素などの酸化剤を含有する第2剤とからなり、これら第1剤と第2剤を混合して毛髪に塗布などすることで使用される。このような酸化型染毛剤により毛髪が染色されるメカニズムとは、酸化剤が毛髪のメラニン色素を分解することで脱色(ブリーチ)し、同時に酸化染料が毛髪内で酸化重合することで発色して染まるといったものである。
【0003】
通常、染毛用第1剤は、染料を安定に分散させるために粘度が高く設定される。その一方で、酸化剤(過酸化水素)を含む染毛用第2剤は、粘度を低く設定することで、過酸化水素の分解物、すなわち酸素を、系外に放出して剤の膨張を防ぐ。また、染毛用第2剤の粘度を低く設定することは、染毛用第2剤を容器から絞り出しやすくするといった意味もある。
【0004】
このような粘度の異なる染毛用第1剤と染毛用第2剤とを、質量比で例えば1:1〜1:3の割合でカップの中で混合する場合、均一に混合することは非常に難しかった。しかも、不均一な状態のまま毛髪に塗布すれば染まりムラを生じるために両者が十分に混ざり合うまで攪拌しなければならず、その間にカップの中で酸化重合が進むので、その後毛髪に塗布したとしても染色性が悪くなるといった問題も生じていた。他方、染毛用第1剤と染毛用第2剤とを混ざり易くするために、膨張が起きない程度にまで染毛用第2剤の粘度を高めると、流動性が悪くなり、染毛用第2剤が容器の内壁に付着して全量を出し切ることができないといった問題があった。
【0005】
染毛用第1剤と染毛用第2剤との粘度の違いに起因する混合し難さを改善する技術として、例えば、特許文献1には、酸化剤を含有する液状またはエマルジョン状の染毛用第2剤に、例えばポリキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(7)ブチルエーテルなどの非イオン系重合物を含有させて、高粘性のクリーム状染毛用第1剤との混合を容易にした染色剤が提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、染毛用第2剤単体での容器からの取り出し易さについては、十分な検討がなされていない。
【0007】
【特許文献1】特開平7−118131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、酸化型染毛剤を構成するための染毛用第2剤には、染毛用第1剤との混合のし易さと容器からの取り出し易さ、という相反する特性の両立が求められている。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、染毛用第1剤組成物と混合し易く、且つ流動性にも優れた染毛用第2剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、染毛用第2剤組成物にミリスチルアルコールを含む3種以上の高級アルコールを配合することにより、その流動性を確保して容器からの取り出しを容易としつつ、高粘性の染毛用第1剤組成物との混合も容易にできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、上記目的を達成し得た本発明の染毛用第2剤組成物は、染料中間体を配合してなる染毛用第1剤組成物と混合して酸化型染毛剤とするための組成物であって、過酸化水素、界面活性剤および少なくとも3種の高級アルコールを配合してなり、上記高級アルコールの1種がミリスチルアルコールであることを特徴とするものである。
【0012】
なお、本発明でいう「高級アルコール」とは、炭素数が8〜22の飽和または不飽和のアルコールを意味している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、染毛用第1剤組成物と混合し易く、且つ流動性に優れ、容器からの取り出しも容易な染毛用第2剤組成物を提供することができる。また、本発明の染毛用第2剤組成物は、特に乳化物の形態とした場合に、その乳化状態の経時安定性が優れている。更に、染毛用第2剤組成物が乳化物の場合、その乳化状態が損なわれることで染毛用第2剤組成物の粘度が変化するようになるが、上記の通り、本発明の染毛用第2剤組成物は、乳化物とした場合に、その乳化状態の経時安定性が優れていることから、粘度の変動も生じ難く、粘度の経時安定性も優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の染毛用第2剤組成物においては、高級アルコールとしてミリスチルアルコールを含む少なくとも3種の高級アルコールを配合する。ミリスチルアルコール以外の高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状の飽和高級アルコール;ヘキシルデカノール、デシルヘキサノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノールなどの分岐状の飽和高級アルコール;オレイルアルコールなどの不飽和高級アルコール;水添ナタネ油アルコール;などが挙げられる。中でも、ミリスチルアルコール以外の高級アルコールが直鎖状の飽和高級アルコールであることが好ましく、ミリスチルアルコールとセチルアルコールとステアリルアルコールの3種の高級アルコールを用いることがより好ましい。本発明の染毛用第2剤組成物は乳化物の形態を取ることが好ましいが、高級アルコールとして、ミリスチルアルコールとセチルアルコールとステアリルアルコールとを併用すると、染毛用第2剤組成物の流動性が向上すると共に乳化安定性も良好になる。
【0015】
染毛用第2剤組成物における高級アルコールの配合量は、その乳化安定性を良好にする観点から、0.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上であって、10質量%以下、より好ましくは6質量%以下であることが望ましい。また、高級アルコールの総量中のミリスチルアルコールの配合比は、0.5〜0.8であることが好ましく、この場合には、染毛用第2剤組成物の流動性が特に良好になり、しかも染毛用第1剤組成物との混合し易さも特に向上する。高級アルコールの総量中におけるミリスチルアルコールの配合比が0.5を下回ると流動性が低下する傾向にあり、上記配合比が0.8を超えると高温安定性(高温下での乳化状態や粘度の安定性)が低下する。
【0016】
染毛用第2剤組成物において用いることのできる界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどの両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸カリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニン、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、N−ステアロイルメチルタウリンナトリウム、リン酸ジセチル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸などのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなど)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの非イオン性界面活性剤;が挙げられる。
【0017】
上記の界面活性剤の中でも、染毛用第2剤組成物を所望の粘度に調整し易いという点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤や塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤が好ましい。
【0018】
染毛用第2剤組成物における界面活性剤の配合量は、0.1質量%〜5質量%であることが好ましい。界面活性剤の配合量が0.1質量%よりも少ない場合には染毛用第2剤組成物の乳化安定性が悪くなり、5質量%を超えると染毛用第2剤組成物の粘度が増加傾向にある。
【0019】
染毛用第2剤組成物には、上記の高級アルコールおよび界面活性剤以外に、酸化剤として過酸化水素を配合する。染毛用第2剤組成物における過酸化水素の配合量は、毛髪の脱色や染色をより良好に達成する観点から、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。なお、過酸化水素の配合量が多すぎると、頭皮への刺激が強くなることがあるため、染毛用第2剤組成物における過酸化水素の配合量は、7質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましい。
【0020】
本発明の染毛用第2剤組成物には、上記成分の他にも、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、通常の化粧料に配合されている各種の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、高分子、アルコール類、油脂、エステル、炭化水素、脂肪酸、多価アルコール、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、pH調整剤、香料などが挙げられる。
【0021】
高分子としては、例えば、カチオン化セルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。アルコール類としては、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。
【0022】
油脂としては、例えば、シア脂、ホホバ油、アボカド油、小麦胚芽油、コメヌカ油、マカデミアナッツ油、メドウホーム油、卵黄油、ラノリンなどが挙げられる。エステルとしては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸イソステアリル、オレイン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸ヘキシル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、イソステアリン酸フィトステリルなどが挙げられる。炭化水素としては、例えば、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、ホホバ油、ミツロウ、カルナウバロウ、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、セレシン、パラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリンなどが挙げられる。脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸などが挙げられる。
【0023】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。金属イオン封鎖剤としては、例えば、アラニン、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸などが挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、dl−α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、エリソルビン酸、無水亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの酸;クエン酸Na、リン酸2Naなどの塩類;アンモニア、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、アルギニンなどのアルカリ剤;が挙げられる。
【0024】
なお、染毛用第2剤組成物のpHは、低すぎると毛髪および皮膚へのダメージが大きくなることから、2以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましい。また、染毛用第2剤組成物のpHが高すぎると過酸化水素の安定性が悪くなることから、そのpHは、5以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましい。染毛用第2剤組成物のpHは、必要があれば、上記例示の各種pH調整剤により調整すればよい。
【0025】
染毛用第2剤組成物の粘度は、染毛用第1剤組成物との混合をより容易にする観点から、500mPa・s以上であることが好ましく、1,000mPa・s以上であることがより好ましい。また、染毛用第2剤組成物の容器からの取り出しをより容易とし、更には、過酸化水素の分解物である酸素を抜け易くする観点から、染毛用第2剤組成物の粘度は、10,000mPa・s以下であることが好ましく、7,000mPa・s以下であることがより好ましい。
【0026】
なお、本明細書でいう染毛用第2剤組成物および後記の染毛用第1剤組成物の粘度は、25℃の恒温槽中に1時間放置した後に、B型粘度計(東機産業株式会社製「VISCOMETER VT−20」)により測定した値である。
【0027】
本発明の染毛用第2剤組成物には、上記の各成分の他に、主たる分散媒として水を使用する。なお、上記の各種成分の一部は、水に溶解していてもよい。染毛用第2剤組成物における水の配合量は、例えば、20〜80質量%とすることが好ましい。
【0028】
染毛用第2剤組成物の、容器から出した時の形態は特に制限されず、例えばクリーム状、半透明ジェル状、透明ジェル状、泡状などの各種形態とすることができる。
【0029】
本発明の染毛用第2剤組成物は、染毛用第1剤組成物と容易に混合でき、且つ流動性に優れ、容器からの取り出しが容易であることに加えて、粘度の経時安定性に優れており、長期間貯蔵されたり、比較的高温の環境下や比較的低温の環境下で貯蔵されても、その粘度の変化が小さく、流動性や染毛用第1剤組成物との混合し易さが損なわれ難い。このように、本発明の染毛用第2剤組成物は、その品質が長期にわたって維持されるため、長期間の貯蔵も可能である。
【0030】
本発明の染毛用第2剤組成物は、染料中間体(酸化染料中間体など)などが配合されてなる染毛用第1剤組成物と共に酸化型染毛剤を構成する。本発明の染毛用第2剤組成物と組み合わせられる染毛用第1剤組成物については、特に制限はなく、従来公知の酸化型染毛剤に採用されている染毛用第1剤組成物が適用できる。
【0031】
染毛用第1剤組成物に使用可能な酸化染料中間体としては、特に限定されることはないが、例えば、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノールなどが挙げられる。この酸化染料中間体の染毛用第1剤組成物中における含有量は、特に限定されることはないが、0.01〜5質量%が好ましく、特に0.01〜3質量%が好ましい。酸化染料中間体の含有量が少なすぎると、毛髪を十分に染色することができなくなる虞があり、また、酸化染料中間体の含有量が多すぎると、過剰の染料が毛髪表面に多く付着して、日常生活での色落ちが多くなったり、衣服などを汚染させる虞がある。
【0032】
染毛用第1剤組成物には、アルカリ剤を配合することが好ましい。染毛用第1剤組成物に使用可能なアルカリ剤としては、特に限定されることはないが、アンモニア水、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが用いられる。このアルカリ剤の第1剤中における含有量は、特に限定されることはないが、0.01〜20質量%が好ましく、特に0.1〜15質量%が好ましい。アルカリ剤の含有量が少なすぎると、染毛用第1剤組成物と染毛用第2剤組成物との混合時に過酸化水素を十分に活性化することができず、毛髪を十分に染毛することができなくなる虞があり、また、アルカリ剤の含有量が多すぎると、皮膚に対する刺激が強くなる虞がある。
【0033】
また、染毛用第1剤組成物には必要に応じてカップラーを含有させることができる。このカップラーとしては、例えば、塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、m−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、5−アミノオルトクレゾール、m−アミノフェノール、α−ナフトール、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコールなどが一般に使用される。
【0034】
染毛用第1剤組成物にも、上記の各成分の他に、主たる分散媒として水を使用する。なお、上記の各種成分の一部は、水に溶解していてもよい。染毛用第1剤組成物における水の配合量は、例えば、20〜80質量%とすることが好ましい。
【0035】
また、染毛用第1剤組成物にも、酸化型染毛剤としての機能を損なわない範囲で、必要に応じて、通常の化粧料に配合されている各種添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、染毛用第2剤組成物用のものとして先に例示した各種添加剤が挙げられる。
【0036】
染毛用第1剤組成物は、通常pH6〜11に調整される。染毛用第1剤組成物のpHは、必要があれば、上記例示の各種pH調整剤により調整すればよい。
【0037】
染毛用第1剤組成物の粘度は、例えば、500〜100,000mPa・sであることが好ましい。このような粘度を有する染毛用第1剤組成物であれば、本発明の染毛用第2剤組成物と、より良好に混合することができる。
【0038】
染毛用第1剤組成物の形態も、染毛用第2剤組成物と同様に特に制限はなく、例えばクリーム状、半透明ジェル状、透明ジェル状、泡状などの各種形態とすることができる。
【0039】
本発明の染毛用第2剤組成物を用いた染毛処理は、例えば、染毛用第1剤組成物と染毛用第2剤組成物とを混合した後に毛髪に塗布し、過酸化水素により染料(酸化染料中間体または酸化染料中間体とカプラー)を酸化することによって発色させ、その状態でしばらく放置し、その後、すすぎを行い、乾燥すればよい。
【0040】
染毛用第1剤組成物と染毛用第2剤組成物との混合比としては、希望する明るさや色味によって調節すればよいが、例えば、質量比で、1:1〜1:3程度とすることができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下の表1、表2および表3では染毛用第2剤組成物全体で100%となるように、また表4では染毛用第1剤組成物全体で100%となるように、それぞれ各成分の配合量を%で示すが、その%はいずれも質量%であり、また、これらの表中ではその%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。
【0042】
実施例1〜15および比較例1〜3
表1〜表3に示す組成で、染毛用第2剤組成物を、各1kg調製した。染毛用第2剤組成物の調製は、以下のようにして行った。水と塩化セチルトリメチルアンモニウムを入れた槽(A槽)と、過酸化水素を除くその他の成分全てを入れた槽(B槽)とを用意し、それぞれを80℃以上になるまで加熱しながら混合した。その後A槽にB槽の内容物を攪拌しながらゆっくりと添加した。それと同時に冷却を開始し、45℃以下になった時点でA槽中に過酸化水素を添加し、常温(25℃)まで冷却して、染毛用第2剤組成物を得た。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
なお、表1〜表3において、精製水の欄の「計100とする」とは、染毛用第2剤組成物を構成する精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。
【0047】
実施例1〜15および比較例1〜3の染毛用第2剤組成物について、以下のようにして、容器からの出し易さ、染毛用第1剤組成物との混合のし易さ、および乳化状態の経時安定性を評価した。結果を表5に示す。また、染毛用第2剤組成物について、上記測定法により測定した粘度も表5に併記する。
【0048】
<容器からの出し易さ、および染毛用第1剤組成物との混合のし易さ評価>
実施例1〜15または比較例1〜3の染毛用第2剤組成物を、染毛用第2剤組成物用の既製容器[ミルボン社製のプロマティスフレーブ第2剤用容器(1L)]に8分目まで入れた。次にこの容器から染毛用第2剤組成物を80g搾り出し、染毛用第1剤組成物80gと均一になるまで混合する作業を、専門のパネラー5名により行った。
【0049】
なお、染毛用第2剤組成物との混合に用いた染毛用第1剤組成物の組成を表4に示す。
【0050】
【表4】

【0051】
表4において、精製水の欄の「計100とする」とは、染毛用第1剤組成物を構成する精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。
【0052】
染毛用第1剤組成物の調製は、以下のようにして行った。水、エデト酸二ナトリウム、染料(レゾルシン、p−アミノフェノールなど)を入れた槽(C槽)と、アンモニア水と塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液(30%濃度)を除く全てを入れた槽(D槽)とを、それぞれ75〜80℃に加熱混合した。その後D槽にC槽の内容物を攪拌しながらゆっくりと添加した。それと同時に冷却を開始し、45℃以下になった時点でD槽中に塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液(30%濃度)とアンモニア水とを順次添加し、常温(25℃)まで冷却して、染毛用第1剤組成物を得た。
【0053】
上記専門のパネラーにより、染毛用第2剤組成物の容器からの出し易さと、染毛用第1剤組成物との混合のし易さとの使用感評価を行った。評価は、それぞれ、5点:非常に良い、4点:良い、3点:普通、2点:悪い、1点:非常に悪い、の評価基準で行い、各パネラーの点数を合計して、以下の基準によってランク付けをした。◎および○の評価のものが合格である。
◎:点数の合計が20点以上、
○:点数の合計が15点以上20点未満、
△:点数の合計が10点以上15点未満、
×:点数の合計が10点未満。
【0054】
<乳化状態の経時安定性評価>
実施例1〜15および比較例1〜3の染毛用第2剤組成物について、常温(25℃)、40℃、および50℃で貯蔵試験を行い、1か月、3か月、および6か月での状態を外観観察して各組成物の分離の有無を確認し、以下の基準によってランク付けをした。◎および○の評価のものが合格である。
◎:全ての温度において分離がない、
○:6か月目において50℃での貯蔵品に分離が見られるが、その他は分離がない、
△:1か月目において50℃での貯蔵品に分離が見られるが、その他の温度での貯蔵品には分離がない、
×:1か月目において、全ての温度での貯蔵品に分離が見られる。
【0055】
【表5】

【0056】
表5から明らかなように、実施例1〜15の染毛用第2剤組成物は、容器からの出し易さ、染毛用第1剤組成物との混合のし易さ、乳化状態の経時安定性のいずれもが優れている。
【0057】
これに対し、ミリスチルアルコールを含む3種以上の高級アルコールを配合していない比較例1〜3の染毛用第2剤組成物では、容器からの出し易さが劣っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染料中間体を配合してなる染毛用第1剤組成物と混合して酸化型染毛剤とするための染毛用第2剤組成物であって、
過酸化水素、界面活性剤および少なくとも3種の高級アルコールを配合してなり、上記高級アルコールの1種がミリスチルアルコールであることを特徴とする染毛用第2剤組成物。
【請求項2】
高級アルコールの総量に対するミリスチルアルコールの配合比が、0.5〜0.8である請求項1に記載の染毛用第2剤組成物。
【請求項3】
高級アルコールとして、ミリスチルアルコール、セチルアルコールおよびステアリルアルコールの3種を配合してなるものである請求項1または2に記載の染毛用第2剤組成物。
【請求項4】
粘度が、500〜10,000mPa・sである請求項1〜3のいずれかに記載の染毛用第2剤組成物。

【公開番号】特開2008−137934(P2008−137934A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325263(P2006−325263)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】