説明

柱上トランス処理装置ならびに柱上トランス処理方法

【課題】PCB含有絶縁油が用いられた柱上トランスの処理において、処理効率に優れた柱上トランス洗浄処理装置と、優れた処理効率で柱上トランスの洗浄処理を実施させ得る柱上トランス洗浄処理方法とを提供することを課題としている。
【解決手段】PCBを含有する絶縁油が用いられた柱上トランスの筐体内部に付着している前記絶縁油が前記筐体を破砕することなく洗浄液で洗浄される筐体洗浄装置を備えた柱上トランス処理装置であって、前記筐体洗浄装置は、前記筐体の開口部を閉塞可能に形成されており、前記開口部の閉塞に用いられる蓋部と、洗浄液を前記筐体内に収容させ且つ前記開口部を閉塞させた状態で前記洗浄液を筐体内で流動させ得るように形成されている洗浄液流動化機構とを有し、前記洗浄液流動化機構が前記蓋部に固定されて備えられていることを特徴とする柱上トランス処理装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCB含有絶縁油が用いられた柱上トランスの筐体を洗浄する筐体洗浄装置が備えられている柱上トランス処理装置と筐体洗浄処理を実施する柱上トランス処理方法に関し、より詳しくは、前記筐体を破砕することなく洗浄する筐体洗浄装置が備えられている柱上トランス処理装置と前記筐体を破砕することなく洗浄する筐体洗浄処理を実施する柱上トランス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、優れた電気絶縁性を有することからコンデンサやトランスなどの電気機器用絶縁油などに、過去において多く用いられている。
近年、その有害性が認められるようになりその使用は禁止され、PCBが使用された電気機器は回収され、これら電気機器からPCBが除去され、除去されたPCBが分解処理されるなどしている。
【0003】
このコンデンサやトランスの筐体内においては、コンデンサ素子やトランスコアといった素子がPCB含有絶縁油に浸漬された状態で収容されており、これらのコンデンサ素子やトランスコアには絶縁紙が用いられていることから、PCB含有絶縁油は、この絶縁紙に含浸されてコンデンサ素子やトランスコアの内部にまで浸透した状態となっている。
したがって、単に素子を洗浄するなどしても内部に浸透したPCB含有絶縁油を除去することが困難であることから、従来、これらの電気機器の処理においては、PCB含有絶縁油を抜油装置などで除去した後に、筐体と素子などの収容物とを破砕し、この破砕物を洗浄処理することが行われている。
【0004】
しかし、この破砕の際には、その周囲にPCB含有絶縁油が飛散することとなり周辺の作業環境を悪化させてしまうおそれがある。
特に、PCB含有絶縁油が用いられた電気機器の筐体は、その内部がPCB含有絶縁油で汚染されているものの、通常、外部は、PCB含有絶縁油で汚染されてはおらず、破砕することによりPCB含有絶縁油が外部側にも付着してしまい取り扱いにくい状態となるなど処理に要する手間を増大させてしまうおそれを有する。
特に、柱上トランスの筐体の外部には砂、塵などが付着しており、元来汚染物ではない砂などが筐体の破砕時に汚染されてしまい、これらの砂などの二次汚染物の無害化も必要となる。
【0005】
このことに対し、例えば、特許文献1には、PCB含有絶縁油を使用したトランスからトランスコアなどの収容物をPCB含有絶縁油とともに除去して、トランスの容器すなわち筐体を破砕せずに洗浄液を収容した洗浄槽に浸漬させて超音波洗浄することが記載されている。
この特許文献1に記載された処理装置ならびに該処理装置を用いた処理方法では、筐体が破砕されないことから、破砕によるPCB含有絶縁油の筐体外部への付着を抑制させ得る。
しかも、洗浄することで容易にPCB含有絶縁油を除去可能な筐体と、そのままでは洗浄が困難な素子とを分けて処理することで効率良く洗浄処理を実施することができるという効果を有する。
しかしながら、この方法においても容器外部に付着した砂などが洗浄液中に混入して洗浄時にPCBに汚染されるため、洗浄液に混入した砂などの無害化処理を行う必要がある。
しかも、通常、洗浄液中に混入した砂、塵などはPCBを吸着しやすく吸着したPCBを分離することならびに無害化させることが困難である。
さらに、砂や塵は装置に固着しやすく配管の閉塞を招くおそれもある。
【0006】
また、特許文献2には、PCB含有絶縁油などの有機ハロゲン化合物を含む油を収容する容器内に触媒充填装置を配するとともに、前記油に水素供与体とアルカリ化合物とを添加し、さらに、この油、水素供与体およびアルカリ化合物の混合されたものを触媒充填装置に流通させることが記載されており、柱上トランスなどから、トランスコアやPCB含有絶縁油を除去することなく、これらを筐体内に収容させた状態でPCB含有絶縁油にアルカリ化合物と水素供与体とを添加し、さらに、触媒充填装置をPCB含有絶縁油中に浸漬させてPCBを無害化させることが例示されている。
【0007】
そして、この特許文献2には、上記のような方法を採用することにより、有機ハロゲン化合物を短期間に分解できるとともに、汚染油を回収する必要がなく、常温、常圧下で簡易に処理させ得るという効果を奏することが記載されている。
この特許文献2に記載された装置は、筐体内でPCBの無害化を実施することから筐体を収容可能な洗浄槽を用いる場合に比べて、装置をコンパクトなものとすることができ運転動力の低減などを図ることができる反面、素子とPCB含有絶縁油が除去されていない状態で使用されるものであることから、例えば、素子の内部に浸透されたPCBを無害化させるまでに時間がかかるという問題を有している。
すなわち、PCB含有絶縁油が用いられた柱上トランスを処理する従来の柱上トランス処理装置や柱上トランス処理方法においては、処理効率を十分向上させることが困難であるという問題を有している。
【0008】
【特許文献1】特開2002−370073号公報
【特許文献2】特許第3626960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、PCB含有絶縁油が用いられた柱上トランスを効率良く処理し得る柱上トランス処理装置と、優れた処理効率でPCB含有絶縁油が用いられた柱上トランスの処理を実施させ得る柱上トランス処理方法とを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決すべく、開口部を有する筐体内部にPCBを含有する絶縁油が収容され、前記開口部が蓋体で閉塞された柱上トランスから前記蓋体と、前記絶縁油と、前記筐体内部の収容物とが除去された後の筐体内部に付着している前記絶縁油が前記筐体を破砕することなく洗浄液で洗浄される筐体洗浄装置を備えた柱上トランス処理装置であって、前記筐体洗浄装置は、前記筐体の開口部を閉塞可能に形成されており、前記開口部の閉塞に用いられる蓋部と、洗浄液を前記筐体内に収容させ且つ前記開口部を閉塞させた状態で前記洗浄液を筐体内で流動させ得るように形成されている洗浄液流動化機構とを有し、前記洗浄液流動化機構が前記蓋部に固定されて備えられていることを特徴とする柱上トランス処理装置を提供する。
【0011】
また本発明は、前記課題を解決すべく、開口部を有する筐体内部にPCBを含有する絶縁油が収容され、前記開口部が蓋体で閉塞された柱上トランスから前記蓋体と、前記絶縁油と、前記筐体内部の収容物とを除去した後の筐体内部に付着している前記絶縁油をさらに除去すべく、前記筐体を破砕することなく洗浄液で洗浄する筐体洗浄処理を実施する柱上トランス処理方法であって、筐体の開口部を閉塞可能に形成されている筐体洗浄装置を用い、しかも、前記筐体の開口部の閉塞に用いられる蓋部と、前記開口部を閉塞させた状態で前記洗浄液を筐体内で流動させ得るように形成された洗浄液流動化機構とが備えられており、前記洗浄液流動化機構が前記蓋部に固定されて備えられている筐体洗浄装置を用いて、洗浄する前記筐体内に洗浄液を導入し且つ前記開口部を前記筐体洗浄装置で閉塞させた状態で前記洗浄液流動化機構により筐体内の前記洗浄液を流動させて前記筐体洗浄処理を実施することを特徴とする柱上トランス処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の柱上トランス処理装置によれば、筐体を破砕することなく洗浄する筐体洗浄装置を有することから、筐体を破砕する必要がなくPCB汚染物である筐体を容易に洗浄し得るとともに、洗浄時に無害化が困難な二次汚染物の発生を抑制させ得る。
したがって、二次汚染物の処理に要する手間を簡略化または省略させることができ柱上トランスの処理効率を向上させ得る。
また、筐体洗浄装置の洗浄液流動化機構が、筐体の閉塞に用いられる蓋部に固定されて備えられていることから、これらを一体的に取り扱うことができ、例えば、筐体洗浄装置の蓋部を洗浄する筐体に装着させた際には、同時に洗浄液流動化機構が取り付けられた状態になり、洗浄作業の作業効率をいっそう向上させ得る。
すなわち、優れた処理効率でPCB含有絶縁油が用いられた柱上トランスの処理を実施させ得る。
【0013】
さらには、筐体洗浄装置は、柱上トランスの筐体の開口部を閉塞可能に形成されていることから、筐体内部の洗浄時における洗浄液やPCB含有絶縁油の外部への飛散を抑制させ得るという効果も奏する。
【0014】
また、本発明の柱上トランス処理方法によれば、開口部を有する筐体内部にPCBを含有する絶縁油が収容され、前記開口部が蓋体で閉塞された柱上トランスから前記蓋体と、前記絶縁油と、前記筐体内部の収容物とを除去した後に、前記筐体を破砕することなく洗浄する筐体洗浄処理を実施することから、洗浄が容易な筐体と、そのままでは洗浄が困難なトランスコアなどの収容物とを分けて処理することができ、柱上トランスの処理を効率良く実施させ得る。
また、筐体の開口部を閉塞可能に形成されている筐体洗浄装置を用い、しかも、前記筐体の開口部の閉塞に用いられる蓋部と、前記開口部を閉塞させた状態で前記洗浄液を筐体内で流動させ得るように形成された洗浄液流動化機構とが備えられており、前記洗浄液流動化機構が前記蓋部に固定されて備えられている筐体洗浄装置を用いて、洗浄する前記筐体内に洗浄液を導入し且つ前記開口部を前記筐体洗浄装置で閉塞させた状態で前記洗浄液流動化機構により筐体内の前記洗浄液を流動させて前記筐体洗浄処理を実施することから筐体外部に付着している砂などがPCBで二次汚染されるおそれを抑制させることができる。
したがって、このような二次汚染物の処理の手間を簡略化または省略させることができ柱上トランスの処理を効率良く実施させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について(添付図面に基づき)説明する。
まず、図4を参照しつつ本実施形態の柱上トランス処理装置で処理される柱上トランスについて説明する。
【0016】
図4は、柱上トランス100の構造を示す概略正面図であり、120は、外形が略有底縦型円筒体形状に形成された筐体である。
すなわち、該筐体120は、円筒形状の胴部123と該胴部123を下端で閉塞させる底部124とにより構成されており、この胴部123の上端側には開口部121が形成されている。
そして、前記筐体120には、この胴部123の上端から水平方向外方に展延し、外縁が前記胴部123の外周よりも径大な円形に形成されたフランジ部122が備えられている。
【0017】
110は、筐体120の上端側の開口部121を閉塞させる円形の蓋体であり、該蓋体110の外縁には、前記フランジ部122の外縁よりも径大な内径を有する周壁部112が形成されており、該周壁部112の内側には天井壁部111が形成されている。
この天井壁部111は、周壁部112の上端から内方に展延し、上方に僅かに突出したドーム形状に形成されている。
この天井壁部111には、その外縁部に筐体120の前記フランジ部122と面接可能な平坦部111aが形成されており、該平坦部111aの内側に上方に突出した突出部111bが形成されて全体がドーム形状に形成されている。
【0018】
そして、柱上トランス100には、前記筐体120の内部にコイル141とコア材142とが用いられて構成されたトランスコア140とPCB含有絶縁油Aとが収容されている。
また、このトランスコア140に付随する支持金物や配線といったものなどがトランスコア140とともに筐体120内に収容されている。
このトランスコア140や支持金物、配線などの収容物は、通常、筐体120内においてPCB含有絶縁油Aに浸漬された状態で収容されている。
また、柱上トランス100は、前記筐体120のフランジ部122に前記蓋体110が外嵌された状態で用いられて筐体120の開口部121が蓋体110で閉塞されている。
また、この蓋体110と筐体120との固定にはクランプ130が用いられており、該クランプ130は、一端側を蓋体110の平坦部111aに係合させ、他端側をフランジ部122に係合させて蓋体110と筐体120とを固定している。
【0019】
次いで、このような柱上トランス100の処理に用いる柱上トランス処理装置について図1を参照しつつ説明する。
図1は、前記蓋体と、前記絶縁油と、前記絶縁油とともに筐体内部に収容されていた収容物とが除去された後の前記筐体内部に付着している前記絶縁油を前記筐体を破砕することなく洗浄する筐体洗浄装置の概略図であり、11は、筐体洗浄装置1の蓋部であり、該蓋部11は、前記柱上トランス100の蓋体110と略同一形状に形成されている。
すなわち、該蓋部11は、柱上トランス100の筐体120に形成されているフランジ部122の外縁よりも径大な内径を有する周壁部11aと該周壁部11aの上端から内方に展延し、上方に僅かに突出したドーム形状に形成された天井壁部11bとを有している。
【0020】
また、この筐体洗浄装置1の蓋部11における天井壁部11bにも、柱上トランス100の蓋体110の天井壁部111と同様にフランジ部122と面接可能な平坦部11bxが形成されており、該平坦部11bxの内側に上方に突出した突出部11byが形成されて全体がドーム形状に形成されている。
すなわち、本実施形態の柱上トランス処理装置に用いられる筐体洗浄装置1は、この蓋部11を用いて、洗浄する筐体120の開口部121を閉塞させ得るように形成されている。
【0021】
12は、この筐体洗浄装置1が柱上トランス100の筐体120に装着されて用いられる際に、筐体120内に洗浄液を収容させて、該洗浄液を前記筐体120内で流動させるための洗浄液流動化機構に用いられる攪拌翼を示している。
【0022】
この攪拌翼12は、前記蓋部11の天井壁部11bの略中央部を垂直方向に貫通して延在する状態で前記蓋部11に回転自在に固定されている回転軸12bと、該回転軸12bの下端部に固定された翼部12aと、該翼部12aと前記蓋部11との間の位置に形成されている樋部12cとを有しており、洗浄液流動化機構には、前記回転軸12bを軸周りに回転させるためのモータ12dが備えられている。
【0023】
前記翼部12aは、横長矩形板状に形成されており、その面を垂直方向に展延させた状態で長手(横)方向中間部が前記回転軸12bに固定されている。
この翼部12aの長手方向の長さは、柱上トランス100の筐体120内に収容されて、前記筐体120内で回転可能となるように筐体120の胴部123内径よりもわずかに短く形成されている。
【0024】
前記樋部12cは、2本の樋部材が用いられて形成されており、この2本の樋部材は、前記回転軸12bに対して対称となる状態で回転軸12bに固定され、回転軸12bの回転とともに回転されるように形成されている。
この樋部材は、その一端側が回転軸12bに固定されており、他端側が回転軸から外側上方に向けて延びる状態で回転軸12bに固定されている。
したがって、回転軸12bを回転させた際の樋部材の軌跡は、回転軸12b周りにすり鉢状に形成されることとなる。
そして、洗浄液を筐体120内に充填して回転軸12bを回転させた際に、樋部材に当たった洗浄液は、遠心力により樋部材に沿って外方に移動する。
したがって、樋部12cの一端側が充分に浸漬する程度に洗浄液を充填すれば、回転軸12bの回転によって洗浄液が回転軸から外側上方に向けて延びる樋部材を伝って持ち上げられて樋部材の他端部(外方端部)から放出されることとなる。
そのため、洗浄液の液面よりも上方に位置する筐体120の壁面を樋部材の他端部から放出された洗浄液で洗浄させることができ、この樋部12cが形成されていることにより、筐体120内で洗浄液を撹拌した際に筐体120の内側上方部分をより確実に洗浄させ得るという効果を奏する。
【0025】
なお上記に説明したような攪拌翼12に限定されることなく、目的に応じて各種の攪拌翼を適宜選択することが可能である。
例えば、複数の羽根部が板状部材を用いて形成され、各羽根構成部の外端部が回転方向に対して後退するように翼部12aが形成された攪拌翼12(例えば、神鋼環境ソリューション製、商品名「ツインスター翼」)を用いることで、低動力で高吐出力が得られるという効果を発揮させ得る。
しかも、この複数の羽根部が板状部材を用いて形成され、各羽根構成部の外端部が回転方向に対して後退するように翼部12aが回転軸12bの下端部に形成された攪拌翼12を用いることにより、洗浄液を高い吐出力で流動させることが可能となるばかりでなく、より激しい乱流状態を筐体120内全体にわたって形成することが出来る。
したがって、少ない量の洗浄液でも筐体120内を短時間に洗浄することができるとともに、攪拌翼12における前記樋部12cの形成を省略しつつも筐体120の内側上方部分をより確実に洗浄させ得るという効果も発揮させ得る。
特に、後段において説明するように、洗浄液としてナトリウム分散体を用いる場合などにおいては、処理コストおよび作業の安全性の観点から使用する洗浄液は少ないことが好ましい。したがって、この複数の羽根部が板状部材を用いて形成され、各羽根構成部の外端部が回転方向に対して後退するように翼部12aが回転軸12bの下端部に形成された攪拌翼12は、ナトリウム分散体を洗浄液として用いる場合においてその優れた効果をいっそう顕著なものとさせ得る。
【0026】
13は、前記蓋部11の天井壁部11bを垂直方向に貫通した状態で固定されている管体を通じて、前記筐体120の開口部121を前記蓋部11で閉塞させた状態で洗浄液を筐体120内に導入させるための洗浄液導入部である。
前記管体は、前記蓋部11が前記筐体120の開口部121に装着された際に、筐体120内外を連通する状態となるように前記蓋部11に備えられており、前記管体の上端部は、洗浄液を搬送するホースを連結させ得るように形成されている。
したがって、前記蓋部11が前記筐体120を閉塞させた状態で洗浄液を筐体120内に導入させることができ、例えば、この管体の上端部に、洗浄液以外の薬液などを供給するホースを連結することで、洗浄液以外の薬液も筐体120内に導入させ得る。
なお、ここでは詳述しないが前記管体には、通常、電磁弁などの開閉機構が付与されたものが用いられる。
【0027】
14は、前記蓋部11の天井壁部11bを垂直方向に貫通した状態で固定されている管体を通じて、前記筐体120の開口部121を前記蓋部11で閉塞させた状態で筐体120内に窒素を導入し筐体120内を窒素置換するための窒素ガス導入部である。
前記窒素ガス導入部14の管体も洗浄液導入部13の管体と同様に筐体120内外を連通する状態となるように前記蓋部11に備えられており、その上端部は、窒素ガスを供給するホースを連結させ得るように形成されている。
この窒素ガス導入部14の管体にも、通常、電磁弁などの開閉機構が付与されたものが用いられる。
【0028】
15は、前記蓋部11で筐体120の開口部121を閉塞させた状態で、筐体120内に、洗浄液導入部13から洗浄液を導入したり、窒素ガス導入部14から窒素ガスを導入したりした際に、筐体120内の空気を筐体外に排出させるための排気管部である。
該排気管部15も、洗浄液導入部13や窒素ガス導入部14と同様に、蓋部11の天井壁部11bを垂直方向に貫通した状態で固定されている管体が備えられており、蓋部11で筐体120の開口部121を閉塞させた状態で筐体120内外がこの排気管部15の管体で連通された状態となるべく前記蓋部11に備えられている。
この排気管部15窒素の管体にも、通常、電磁弁などの開閉機構が付与されたものが用いられる。
【0029】
16は、液面計であり、洗浄液などを筐体120内に導入する際にその液面がどの程度のレベルに到達しているかを測定すべく前記蓋部11に固定されて筐体洗浄装置1に備えられている。
また、17は、温度計であり、洗浄液などの温度状態を測定すべく前記蓋部11に固定されて筐体洗浄装置1に備えられている。
さらに、18は、バッフルであり、筐体120内に洗浄液が収容され、攪拌翼12により洗浄液が攪拌された際に筐体120内に生じる旋回流を乱して筐体120の洗浄効果を向上させるべく前記蓋部11に固定されて筐体洗浄装置1に備えられている。
なお、バッフル18の下端部は、攪拌翼12の翼部12aよりも上部になるような長さとすることが好ましい。
バッフル18の長さが長すぎると、洗浄液の流れを乱流とすることが出来る反面、攪拌翼12に偏った力が加わるため好ましくない。
【0030】
また、ここでは詳述しないが、本実施形態の柱上トランス処理装置には、通常、上記に説明した筐体洗浄装置1以外に、PCB含有絶縁油を無害化処理するための装置、トランスコアや蓋体を処理するための装置をはじめ、筐体洗浄装置1に洗浄液や窒素ガスを供給するための装置などが備えられている。
【0031】
このように、本実施形態の柱上トランス処理装置の筐体洗浄装置には、洗浄液を筐体120内で流動させ得る洗浄液流動化機構が備えられていることから、筐体120内に洗浄液を収容して筐体120内の洗浄を実施することができ、筐体120の外部に付着している砂、塵などにPCBが吸着されるおそれを抑制しつつ筐体120を洗浄処理し得る。
しかも、筐体を洗浄槽に浸漬させて全体を洗浄する場合などのように柱上トランス処理装置の装置規模が大掛かりなものとなることを抑制しつつ筐体の洗浄を実施させ得るという効果も奏する。
【0032】
また、本実施形態の柱上トランス処理装置の筐体洗浄装置1には、蓋部11が形成されており、しかも、該蓋部11に、柱上トランス100の筐体120のフランジ部122と面接する平坦部11bxが形成されていることから、クランプなどにより筐体120と筐体洗浄装置1とを強固に固定することができ、例えば、前記特許文献2(特許第3626960号公報)の図2に記載されているような、単に柱上トランスを上方から覆うカバーのようなもので蓋部11を構成する場合に比べて、より確実に筐体120の開口部121を閉塞させることができる。
すなわち、本実施形態の柱上トランス処理装置における筐体洗浄装置1は、洗浄液流動化機構と蓋部とが一体化されている上に蓋部11自体が筐体120とクランプによって確実に固定することが可能であり、より密閉性を向上させることができる。
【0033】
したがって、洗浄時に筐体120内部の洗浄液が外部に飛散するおそれを十分低減することができ筐体120の外部に付着している砂、塵などにPCBが吸着されるおそれをさらに抑制し得るとともに、洗浄処理の作業環境を向上させ得るという効果も奏する。
特に、例えば、洗浄効率を向上させるべく洗浄液を60〜80℃程度に加熱したり、あるいは、PCBを無害化させるべくナトリウム分散体など反応性の高い洗浄液を用いたりして筐体120内部に蒸気などの気体が発生した場合であっても、この気体が筐体120の外部に漏洩することを抑制し得ることから、単に柱上トランスを上方から覆うカバーのようなもので蓋部11を構成する場合に比べて、作業環境の低下を防止しつつ洗浄効率を向上させることができる。
【0034】
また、PCB含有絶縁油が使用された柱上トランスは、筐体の開口部の形状で分別した場合に、その大部分を数グループ程度に分別することができる。
そのため、本実施形態において説明したように、柱上トランスの蓋体と同一形状の蓋部を筐体洗浄装置に設けることにより、この柱上トランスと同じ開口部の形状を有する多数の柱上トランスの処理にこの筐体洗浄装置を適用させ得るという効果を奏する。
したがって、筐体の開口部の形状で分別した場合の各グループに適応可能となるように蓋部の形状が異なる複数種類の筐体洗浄装置を柱上トランス処理装置に備えさせることによりPCB含有絶縁油が使用された柱上トランスの大部分を処理可能な柱上トランス処理装置とすることができる。
【0035】
なお、上記のような柱上トランス処理装置に代えて、柱上トランスを筐体の開口部の形状で分別した場合の一グループに適応可能な蓋部と、この蓋部に取り付け可能で且つ他のグループの柱上トランスの筐体の開口部に取り付け可能なアダプター部材とを有する筐体洗浄装置を用いて、PCB含有絶縁油が使用された柱上トランスの大部分を処理可能なものとすることもできる。
【0036】
このアダプター部材の適用事例を、図2を参照しつつさらに詳しく説明する。
この図2には、柱上トランスを筐体の開口部の形状で分別した場合の一グループに適応可能な蓋部11と、アダプター部材19とを有する筐体洗浄装置1を用いて、この蓋部11よりも径大な筐体120aを有する柱上トランスに装着する場合を例示している。
この図2に例示のアダプター部材19は、両端部が開口された円筒体で、しかも、一方の端部に蓋部11をクランプなどで装着可能とすべくフランジ部19a(以下「径小フランジ部19a」ともいう)が形成され、他方の端部に蓋部11よりも径大な筐体120aのフランジ部122aにクランプ130aなどで装着可能となるように、径小フランジ部19aよりも径大なフランジ部19b(以下「径大フランジ部19b」ともいう)が形成されている。
すなわち、このアダプター部材19を有する筐体洗浄装置1は、開口部の大きさや形状が異なる複数の筐体を閉塞可能に形成されている。
したがって、このアダプター部材19を有する筐体洗浄装置1は、蓋部11で閉塞可能な開口部を有する筐体と、アダプター部材19を介して蓋部11で閉塞可能な開口部を有する筐体の両方の洗浄に用いることができる。
さらに、例えば、この径大フランジ部19bの形状が、他の柱上トランスの筐体の開口部に装着可能に変更されている複数種類のアダプター部材を有する筐体洗浄装置を用いることで、複数種類の筐体洗浄装置を用いることなくPCB含有絶縁油が使用された柱上トランスの大部分の筐体洗浄処理が可能となる。
【0037】
次いで、上記のような柱上トランス処理装置を用いて先述の柱上トランス100を処理する柱上トランス処理方法について図3を参照しつつ説明する
【0038】
まず、柱上トランス100から前記蓋体110を除去し、次いでPCB含有絶縁油とともに内部の収容物を除去する。
このとき、PCB含有絶縁油を除去する方法としては、例えば、前記蓋体110を除去することにより露出される開口部121から、筐体120の底部124付近にまで到達する長さの細い管状に形成された抜油針を挿入して負圧によりPCB含有絶縁油Aを吸引除去する方法など、一般にPCB含有絶縁油が用いられた柱上トランスの抜油に用いられている方法を採用し得る。
【0039】
また、トランスコア140などの収容物についても同様に、例えば、配線を切断したり、止め金具を外したりするなどして筐体120の開口部121を通じて外部に取り出す方法を採用することができ、また、この方法に限らず、一般にPCB含有絶縁油が用いられた柱上トランスからトランスコアを取り出す方法として用いられている方法を採用し得る。
【0040】
この柱上トランス100から除去した蓋体110には、PCB含有絶縁油Aが付着していることから、除去した蓋体110は、別途、洗浄処理を実施する。
この蓋体110の洗浄処理には、洗浄槽内で超音波洗浄するなどの従来の洗浄処理方法を採用することができる。
【0041】
また、トランスコア140にもPCB含有絶縁油Aが付着しているが、トランスコア140については、通常、絶縁紙を通じて内部にまでPCB含有絶縁油Aが含浸された状態となっていることから、ギロチンカッターなどで破砕した後に、破砕物を洗浄籠などに収容して超音波洗浄や真空加熱による除染をするなどの洗浄処理方法を実施することが好ましい。
【0042】
一方、柱上トランス100から抜油されたPCB含有絶縁油Aは、別途、無害化処理を実施する。
この無害化処理の方法としては、例えば、PCBが含有されていないベース油として絶縁油が用いられ、該絶縁油に金属ナトリウム微粒子が分散されているナトリウム分散体などを用いる従来の方法を採用することができる。
【0043】
次いで、収容物を除去した後の筐体120内部に付着しているPCB含有絶縁油Aを前記筐体洗浄装置1にて洗浄する筐体洗浄処理を実施する。
この筐体洗浄処理においては、柱上トランス100の蓋体110の固定に用いられていたクランプ130を用いて筐体洗浄装置1の蓋部11を筐体120の上端部に取り付け、開口部121をこの蓋部11を用いて閉塞させる。
すなわち、柱上トランス100が蓋体110により閉塞されていたように、筐体洗浄装置1で柱上トランス100を閉塞状態とさせる。
【0044】
その後、洗浄液導入部13の管体に洗浄液供給用のホースを接続して筐体120内に洗浄液Fを導入させる。
要すれば、筐体洗浄装置1の洗浄液導入部13を介することなく、蓋部11を筐体120に装着する前に洗浄液Fを筐体120の開口部121から筐体120内に導入させることも可能であるが、このように予め蓋部11で開口部121を閉塞させた状態で洗浄液導入部13を介して洗浄液Fを導入することにより洗浄液Fの飛沫ならびに該飛沫に同伴されてPCB含有絶縁油が筐体120の外に飛散することを防止することができる。
【0045】
また、このとき、例えば、筐体120の変形や、筐体120内部の収容物をどの程度除去するかによって、同じ洗浄液Fの量を導入しても洗浄液の液面が、処理する柱上トランスによって変動し、場合によっては、洗浄液を溢流させるおそれがあるが、予め蓋部11で開口部121を閉塞させることでこのような溢流が生じることを予防することができる。
しかも、本実施形態の柱上トランス処理装置には、筐体洗浄装置1に液面計16が備えられていることから内部の洗浄液Fの液面の位置を把握することができ、この筐体洗浄処理の実施にあたって溢流が発生するおそれをさらに抑制させることができる。
【0046】
なお、この洗浄液Fには、例えば、ノルマルパラフィン(ジャパンエナジー製:商品名「NS−クリーン」)や電気絶縁油、イソプロピルアルコール等のアルコール、さらには、ベース油中に金属ナトリウム粒子が分散されてなるナトリウム分散体も用いることができる。
ナトリウム分散体を用いることで内部を洗浄しつつPCBの無害化処理を同時に実施させることができる。
なお、洗浄液としてナトリウム分散体以外のものを利用した場合、洗浄液を回収後、蒸留操作などによりPCBを濃縮し、その後、PCBの無害化処理を行うことが好ましい。
この蒸留によってPCBが除去された洗浄液は、再利用することが出来る。
【0047】
洗浄液Fにナトリウム分散体を用いる場合には、洗浄液Fの導入に先立って筐体120内を窒素置換しておくことが好ましい。
この窒素置換については、前記窒素ガス導入部14の管体に窒素供給用のホースを接続して筐体120内に窒素を導入させるとともに、前記排気管部15の管体から筐体120内の空気を排出させる方法を採用することができる。
このとき、要すれば、排気管部15の管体から排出される気体中の窒素濃度を測定するなどして内部の窒素置換状況を観察するようにしてもよい。
【0048】
洗浄液Fが所定量収容された後は、攪拌翼12を用いて、この洗浄液Fを筐体内で流動させる。
このとき、前記モータ12dにより、回転軸12bを軸周りに回転させて、該回転軸12bの下端部に固定されている翼部12aを回転させる。
この翼部12a、上記に説明したように、横長矩形板状に形成されており、その面を垂直方向に展延させていることから、回転されて洗浄液Fを回転軸12b周りに旋回させる旋回流を主として発生させる。
しかし、前記バッフル18により旋回流が乱されることから、洗浄液Fによる洗浄効果が高められ筐体120内部がよりすばやく洗浄されることとなる。
【0049】
また、このとき要すれば、洗浄液Fを加温した状態で筐体120内部の洗浄を実施することもでき、その場合には、前記温度計17を用いて洗浄液Fの温度を測定しつつ加温することができる。
また、例えば、洗浄液Fにナトリウム分散体などの反応性の高い液体を用いる場合に、反応によって洗浄液Fの温度が上昇したとしてもこの温度計17によってその様子を把握することができる。
すなわち、温度計17を有することにより、洗浄液Fを洗浄に適した温度状態に維持することができ、筐体洗浄処理をより安全に効率良く実施させ得るという効果を奏する。
なお、洗浄液Fにナトリウム分散体を用いる場合、洗浄時の温度としては80℃〜130℃となるように洗浄液Fの温度を調整することが好ましい。
また、加温方法としては蓋部に加熱用の熱源を設け、これによって洗浄液Fを直接加熱する方法や、ヒーターなどを利用して筐体120を外部から加熱する方法を利用することができる。
【0050】
この筐体洗浄処理が終了した後は、前記クランプ130を外して筐体洗浄装置1を筐体120から取り外して、内部の洗浄液Fを除去して後段の処理に移行させる。
この後段の処理としては、例えば、洗浄液Fを乾燥させる乾燥処理や、二次洗浄などが挙げられる。
【0051】
なお、洗浄液Fにナトリウム分散体が用いられる場合には、PCBが無害化された時点をもって筐体洗浄処理を終了し、筐体120からナトリウム分散体を排出させる。
PCBが無害化されたか否かについては、筐体120内のナトリウム分散体(洗浄液)を筐体洗浄処理中に定期的にサンプリングして、PCB含有量を測定するなどして判別することができる。
このナトリウム分散体を排出後の筐体120内には、ナトリウム分散体が付着することとなるため、筐体洗浄処理の後段の処理として水和処理を実施することが好ましい。
この水和処理を実施することが好ましいのは、筐体120内に付着するナトリウム分散体には、金属ナトリウム粒子が含まれており、水和処理によってこの金属ナトリウム粒子の反応性を低下させることができ、安全性の向上を図ることができるためである。
【0052】
この水和処理については、例えば、内部にナトリウム分散体が付着した筐体内に水を導入する方法や、筐体を水槽に浸漬させる方法などを例示することができる。
【0053】
また、ナトリウム分散体を洗浄液として用いる場合には、通常、その反応性が低下してPCBの無害化が困難な状態となるまで別の柱上トランスの筐体洗浄処理などに繰り返して再使用することができる。
【0054】
したがって、複数台の柱上トランスを処理するにあたり、第一の柱上トランスに対してナトリウム分散体を用いた筐体洗浄処理を実施するとともに第二の柱上トランスから、蓋体、PCB含有絶縁油、トランスコアなどを除去しておき、第一の柱上トランスの筐体洗浄処理が終了した後には、第一の柱上トランスの筐体からナトリウム分散体を第二の柱上トランスの筐体に移し替えて第一の柱上トランスの筐体を水和処理など後段の処理に移行させることともに第二の柱上トランスの筐体に筐体洗浄装置を装着して第二の柱上トランスの筐体に筐体洗浄処理を実施させることも可能である。
すなわち、複数台の柱上トランスを順番に連続的に処理することも可能である。
【0055】
なお、このとき複数台の柱上トランスの中に他と形状を異ならせる異形のものが含まれていたとしても、先述のアダプター部材を予めこの異形の柱上トランスに装着させておくことで連続的な処理を中断させることなくスムーズな筐体洗浄処理を実施させることができる。
【0056】
なお、本実施形態においては、柱上トランス洗浄処理装置ならびに柱上トランス洗浄処理方法を上記のような場合を例に説明したが、本発明においては柱上トランス洗浄処理装置ならびに柱上トランス洗浄処理方法を上記のような場合に限定するものではない。
【0057】
例えば、本実施形態においては、洗浄液を全体的に流動させ得ることが容易な点において洗浄液流動化機構に樋部を備えた攪拌翼を用いる場合を説明したが、樋部を必須の構成とするものではなく、洗浄液を柱上トランス内に充満させる方法や、前述した攪拌翼の翼部の構造によって樋部の機能を代替させて洗浄処理を実施することも可能である。
さらに、攪拌翼自体を用いる方法にも限定されるものではなく、攪拌翼に代えて循環ポンプなどを用いて筐体内部に収容された洗浄液を流動させるようにしてもよい。
また、本実施形態においては柱上トランスの筐体内外の洗浄液を流通させない状態で撹拌洗浄する方法について説明したが、これに限定されず、蓋部に洗浄液排出部を設け、洗浄液導入部から洗浄液を導入し、一方で洗浄液排出部から洗浄液を回収することによって柱上トランスの筐体内部に一定量の洗浄液を貯留させた状態で洗浄液を循環させて筐体洗浄処理を実施することも可能である。
【0058】
さらに、図3に示した柱上トランス処理方法においては、柱上トランス本体に設けられた碍子などの付属品が取り付けられた状態で筐体の洗浄処理を行う場合を示しているが、本発明においては、このような方法に限定されず、碍子などの付属品を取り外して筐体洗浄処理を行っても良い。
また、そのことにより、筐体の胴部などに穴が形成されてしまうような場合には、適宜、シリコン等のパッキン、ゴム栓などを利用して穴を塞いで筐体洗浄処理を行えばよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】柱上トランス処理装置の筐体洗浄装置を示す概略図。
【図2】アダプター部材の使用例を示す概略図。
【図3】柱上トランス処理方法における筐体洗浄処理を示す概略図。
【図4】柱上トランスを示す概略図。
【符号の説明】
【0060】
1:筐体洗浄装置、11:蓋部、11a:周壁部、11b:天井壁部、11bx:平坦部、11by:突出部、12:攪拌翼、12a:翼部、12b:回転軸、12c:樋部、12d:モータ、13:洗浄液導入部、14:窒素ガス導入部、15:排気管部、16:液面計、17:温度計、18:バッフル、19:アダプター部材、19a:(径小)フランジ部、19b:(径大)フランジ部、100:柱上トランス、110:蓋体、111:天井壁部、111a:平坦部、111b:突出部、112:周壁部、120:筐体、121:開口部、122:フランジ部、123:胴部、124 底部、130:クランプ、140:トランスコア、141:コイル、142:コア材、A:PCB含有絶縁油、F:洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体内部にPCBを含有する絶縁油が収容され、前記開口部が蓋体で閉塞された柱上トランスから前記蓋体と、前記絶縁油と、前記筐体内部の収容物とが除去された後の筐体内部に付着している前記絶縁油が前記筐体を破砕することなく洗浄液で洗浄される筐体洗浄装置を備えた柱上トランス処理装置であって、
前記筐体洗浄装置は、前記筐体の開口部を閉塞可能に形成されており、前記開口部の閉塞に用いられる蓋部と、洗浄液を前記筐体内に収容させ且つ前記開口部を閉塞させた状態で前記洗浄液を筐体内で流動させ得るように形成されている洗浄液流動化機構とを有し、前記洗浄液流動化機構が前記蓋部に固定されて備えられていることを特徴とする柱上トランス処理装置。
【請求項2】
前記洗浄液流動化機構には攪拌翼が用いられている請求項1記載の柱上トランス処理装置。
【請求項3】
前記開口部を閉塞させた状態で前記洗浄液を筐体内に導入し得るように、前記筐体洗浄装置の蓋部には洗浄液導入部が形成されている請求項1または2に記載の柱上トランス処理装置。
【請求項4】
ベース油中に金属ナトリウム粒子が分散されてなるナトリウム分散体が前記洗浄液に用いられる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の柱上トランス処理装置。
【請求項5】
前記開口部を閉塞させた状態で筐体内を窒素置換し得るように、前記筐体洗浄装置の蓋部には窒素ガス導入部がさらに形成されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の柱上トランス処理装置。
【請求項6】
開口部を有する筐体内部にPCBを含有する絶縁油が収容され、前記開口部が蓋体で閉塞された柱上トランスから前記蓋体と、前記絶縁油と、前記筐体内部の収容物とを除去した後の筐体内部に付着している前記絶縁油をさらに除去すべく、前記筐体を破砕することなく洗浄液で洗浄する筐体洗浄処理を実施する柱上トランス処理方法であって、
筐体の開口部を閉塞可能に形成されている筐体洗浄装置を用い、しかも、前記筐体の開口部の閉塞に用いられる蓋部と、前記開口部を閉塞させた状態で前記洗浄液を筐体内で流動させ得るように形成された洗浄液流動化機構とが備えられており、前記洗浄液流動化機構が前記蓋部に固定されて備えられている筐体洗浄装置を用いて、洗浄する前記筐体内に洗浄液を導入し且つ前記開口部を前記筐体洗浄装置で閉塞させた状態で前記洗浄液流動化機構により筐体内の前記洗浄液を流動させて前記筐体洗浄処理を実施することを特徴とする柱上トランス処理方法。
【請求項7】
前記洗浄液流動化機構には、攪拌翼が用いられており、該攪拌翼で前記洗浄液を攪拌して流動させる前記筐体洗浄処理を実施する請求項6に記載の柱上トランス処理方法。
【請求項8】
前記開口部を閉塞させた状態で前記洗浄液を筐体内に導入させ得る洗浄液導入部が前記蓋部に形成されている筐体洗浄装置を用いて、洗浄する筐体の開口部を前記筐体洗浄装置で閉塞した後に、前記洗浄液導入部から前記洗浄液を前記筐体内に導入し、前記洗浄液流動化機構を用いて洗浄液を流動させて前記筐体洗浄処理を実施する請求項6または7に記載の柱上トランス処理方法。
【請求項9】
前記洗浄液に、ベース油中に金属ナトリウム粒子が分散されてなるナトリウム分散体を用いる請求項6乃至8のいずれか1項に記載の柱上トランス処理方法。
【請求項10】
前記開口部を閉塞させた状態で筐体内を窒素置換し得る窒素ガス導入部が前記蓋部に形成されている筐体洗浄装置を用いて、洗浄する筐体の開口部を前記筐体洗浄装置で閉塞し、前記窒素ガス導入部から前記筐体内に窒素ガスを導入して筐体内を窒素置換した後に、前記洗浄液導入部から前記ナトリウム分散体が用いられた洗浄液を前記窒素置換された筐体内に導入して、前記洗浄液流動化機構を用いて前記洗浄液を流動させて前記筐体洗浄処理を実施する請求項9に記載の柱上トランス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−149268(P2008−149268A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340051(P2006−340051)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】