説明

柱梁接合構造、柱端接合構造及び柱脚接合構造

【課題】柱梁接合部、柱端部又は柱脚部の耐力を十分に確保することができる柱梁接合構造、柱端接合構造又は柱脚接合構造を提供することを目的とする。
【解決手段】鉄骨造の梁端部20、柱端部又は柱脚部の端面に、梁端部20、柱端部又は柱脚部のフランジ21に溶接されたベースプレート23が設けられ、ベースプレート23が、コンクリート造の柱仕口部10の側面、梁仕口部の上面若しくは下面又は基礎部の上面に固着されることで、柱仕口部10の側面、梁仕口部の上面若しくは下面又は基礎部の上面に梁端部20、柱端部又は柱脚部が接合された柱梁接合構造、柱端接合構造又は柱脚接合構造において、フランジ21に、少なくともフランジ21の側縁よりもフランジ幅方向外側に突出した補強プレート3が溶接されており、補強プレート3がベースプレート23に溶接されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート造の柱仕口部に鉄骨造の梁端部を接合する柱梁接合構造、コンクリート造の梁仕口部に鉄骨造の柱端部を接合する柱端接合構造、及びコンクリート造の基礎部に鉄骨造の柱脚部を接合する柱脚接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンクリート造の柱仕口部に鉄骨造の梁端部を接合する柱梁接合構造として、柱端部をベースプレートとアンカーボルトによって柱仕口部に接合する接合構造の開発が進められている。上記した柱は通し柱となっており、この柱の仕口部にはアンカーボルトが定着されている。また、上記した梁端部にはベースプレートが溶接されており、このベースプレートが前記したアンカーボルトで柱仕口部の側面に固着されている。
【0003】
また、従来、例えば下記特許文献1に示されているような、鋼管柱の仕口部に鉄骨造の梁端部を接合する柱梁接合構造が知られている。この柱梁接合構造は、柱仕口部の外周面に板状のダイアフラムが溶接され、このダイアフラムに梁端部がボルト接合された構成となっている。この柱梁接合構造によれば、ダイアフラムによって梁端部が拡幅された形状となるので、柱梁接合構造の耐力を向上させることができる。
【0004】
また、従来より、柱脚をコンクリート造の基礎等に接合する柱脚接合構造として、一般に、柱材の下端面にベースプレートが溶接され、そのベースプレートがアンカーボルトで基礎部の上面に固着された構造が知られている。ところで、大地震時における鉄骨造の柱脚部の被害を鑑みて、近年、上記した柱脚接合構造を設計する際には、例えば下記非特許文献1に記載されているように、地震時の応力と保有耐力時の応力に応じたベースプレートの設計及びアンカーボルトの設計に加えて、アンカーボルトの伸び能力の有無や柱脚の保有水平耐力接合の判定の項目があり、より厳しい応力による設計を行うことが要求されている。例えば、柱脚の曲げ耐力が柱材の曲げ耐力のα(例えば490N級の場合は1.1)倍以下の場合には、地震等による曲げ変形時の塑性ヒンジの位置が柱材の下端面の位置(柱脚位置)となるため、例えば1階の構造特性係数を0.05割り増して保有水平耐力を確認する必要がある。また、アンカーボルトの伸び能力が無い場合には、さらに柱のランクに関わらず部材種別をDランクまで下げた条件で1階の保有水平耐力を確保する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−262699号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「2007年度版 建築物の構造関係技術基準解説書、全国官報販売協同組合、平成19年8月10日、p.597‐p.604」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来のベースプレートとアンカーボルトを用いた柱梁接合構造では、柱梁接合部の耐力の確保が難しいという問題が存在する。すなわち、上記耐力は、接合部として考慮できるコンクリートの体積と強度によって決定されるが、柱梁接合部では梁端部の梁幅やフランジ厚さが小さく、接合部として考慮できるコンクリートの体積が十分にないため、上記耐力を確保することが難しい。なお、上述した柱脚接合部であっても、接合部として考慮できるコンクリートの体積が十分にない場合があり、柱梁接合構造と同様に、上記耐力を確保することが難しい場合がある。また、例えば間柱の柱頭を接合する構造のように、ベースプレートとアンカーボルトを用いて梁下面等に接合される柱頭接合構造でも同様である。
【0008】
また、上記した従来のベースプレートとアンカーボルトを用いた柱脚部の接合構造では、柱脚の曲げ耐力が柱材の曲げ耐力のα倍以下となる場合が多く、上述したように1階の構造特性係数を割り増して保有水平耐力を確認する必要があるため、上部構造全体の鉄骨数量が増加したり、ベースプレートやアンカーボルトなどの接合用部材の数量が増加したり、基礎躯体の躯体数量が増加したりする問題が生じ、コストが嵩むという問題がある。なお、上記した柱頭接合構造でも同様に最上階の構造特性係数を割り増しして最上階の保有水平耐力を確認する必要があり、また、上述した柱梁接合構造でも梁端部の端面位置が曲げ変形時の塑性ヒンジとなるため、柱脚部の接合構造と同様に構造特性係数を割り増しして保有耐力を確認する必要がある。
【0009】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、柱梁接合部や柱端接合部、柱脚接合部の耐力を十分に確保することができ、また、梁端や柱端、柱脚の構造特性係数を割り増すことなく保有耐力を確認することができる柱梁接合構造、柱端接合構造及び柱脚接合構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る柱梁接合構造は、鉄骨造の梁端部の端面に、該梁端部のフランジに溶接されたベースプレートが設けられ、該ベースプレートが、コンクリート造の柱仕口部の側面に固着されることで、該柱仕口部の側面に前記梁端部が接合された柱梁接合構造において、前記フランジに、少なくとも該フランジの側縁よりも梁幅方向外側に突出した補強プレートが溶接されており、該補強プレートが前記ベースプレートに溶接されていることを特徴としている。
【0011】
このような特徴により、梁端部の柱仕口部に対する接合箇所の梁幅寸法が、フランジの側縁よりも梁幅方向(フランジ幅方向)の外側に突出した補強プレートの分だけフランジ幅よりも拡幅され、その結果、接合部として考慮できるコンクリートの体積が増大する。
また、梁端の曲げ耐力が梁材の曲げ耐力よりも大きくなり、梁の塑性ヒンジの位置が、補強プレートの梁中央側の端部(ベースプレートに溶接された端部の反対側の端部)の位置となり、梁材が先行降伏する構造となる。
【0012】
また、本発明に係る柱端接合構造は、鉄骨造の柱端部の端面に、該柱端部のフランジに溶接されたベースプレートが設けられ、該ベースプレートが、コンクリート造の梁仕口部の上面又は下面に固着されることで、該梁仕口部の上面又は下面に前記柱端部が接合された柱端接合構造において、前記フランジに、少なくとも該フランジの側縁よりもフランジ幅方向外側に突出した補強プレートが溶接されており、該補強プレートが前記ベースプレートに溶接されていることを特徴としている。
【0013】
このような特徴により、柱端部の梁仕口部に対する接合箇所の柱幅寸法が、フランジの側縁よりもフランジ幅方向の外側に突出した補強プレートの分だけフランジ幅よりも拡幅され、その結果、接合部として考慮できるコンクリートの体積が増大する。
また、柱端の曲げ耐力が柱材の曲げ耐力よりも大きくなり、柱の塑性ヒンジの位置が、補強プレートの柱中央側の端部(ベースプレートに溶接された端部の反対側の端部)の位置となり、柱材が先行降伏する構造となる。
【0014】
また、本発明に係る柱脚接合構造は、鉄骨造の柱脚部の下端面に、該柱脚部のフランジに溶接されたベースプレートが設けられ、該ベースプレートが、コンクリート造の基礎部の上面に固着されることで、該基礎部の上面に前記柱脚部が接合された柱脚接合構造において、前記フランジに、少なくとも該フランジの側縁よりもフランジ幅方向外側に突出した補強プレートが溶接されており、該補強プレートが前記ベースプレートに溶接されていることを特徴としている。
【0015】
このような特徴により、柱脚部の基礎部に対する接合箇所の柱幅寸法が、フランジの側縁よりもフランジ幅方向の外側に突出した補強プレートの分だけフランジ幅よりも拡幅され、その結果、接合部として考慮できるコンクリートの体積が増大する。
また、柱脚の曲げ耐力が柱材の曲げ耐力よりも大きくなり、柱の塑性ヒンジの位置が、補強プレートの上端部の位置となり、柱材が先行降伏する構造となる。
【0016】
ところで、上記した補強プレートとして、フランジの側方にフランジと略面一に配置されるサイドプレートを用いることが可能であるが、このサイドプレートでは、フランジの側縁に対して部分溶込み溶接等で溶接することになるため、高度な溶接技量が必要である。
【0017】
そこで、本発明に係る柱梁接合構造は、前記補強プレートが、前記フランジの表面に重ね合わせられた平面視矩形状の板材からなり、該補強プレートの幅寸法が前記フランジの幅寸法よりも大きく、該補強プレートの両側部がそれぞれ前記フランジの側縁よりも梁幅方向外側に張り出されていることが好ましい。
また、本発明に係る柱端接合構造は、前記補強プレートが、前記フランジの表面に重ね合わせられた平面視矩形状の板材からなり、該補強プレートの幅寸法が前記フランジの幅寸法よりも大きく、該補強プレートの両側部がそれぞれ前記フランジの側縁よりもフランジ幅方向外側に張り出されていることが好ましい。
また、本発明に係る柱脚接合構造は、前記補強プレートが、前記フランジの表面に重ね合わせられた平面視矩形状の板材からなり、該補強プレートの幅寸法が前記フランジの幅寸法よりも大きく、該補強プレートの両側部がそれぞれ前記フランジの側縁よりもフランジ幅方向外側に張り出されていることが好ましい。
これにより、例えば隅肉溶接などの簡単な溶接作業で補強プレートがフランジに対して溶接されるので、部分溶込み溶接等の高度な技量を要する溶接作業が不要である。なお、上記した「補強プレートの幅寸法」とは、フランジ幅方向の寸法であり、柱梁接合構造のける「補強プレートの幅寸法」は梁軸方向に直交する方向の寸法であり、柱端接合構造及び柱脚接合構造における「補強プレートの幅寸法」は柱軸方向に直交する方向の寸法である。
【0018】
さらに、本発明に係る柱梁接合構造は、前記補強プレートに、梁軸方向に延在する切欠きが形成され、該切欠きの縁部と前記フランジの表面とが隅肉溶接されて前記補強プレートと前記フランジとが接合されていることが好ましい。
また、本発明に係る柱端接合構造は、前記補強プレートに、柱軸方向に延在する切欠きが形成され、該切欠きの縁部と前記フランジの表面とが隅肉溶接されて前記補強プレートと前記フランジとが接合されていることが好ましい。
また、本発明に係る柱脚接合構造は、前記補強プレートに、柱軸方向に延在する切欠きが形成され、該切欠きの縁部と前記フランジの表面とが隅肉溶接されて前記補強プレートと前記フランジとが接合されていることが好ましい。
これにより、補強プレートとフランジとの溶接長さが十分に確保され、補強プレートとフランジとが強固に接合される。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る柱梁接合構造、柱端接合構造及び柱脚接合構造によれば、接合部として考慮できるコンクリートの体積が増大するので、柱梁接合部や柱端接合部、柱脚接合構造の耐力を十分に確保することができる。また、梁端部や柱端部、柱脚部の曲げ耐力が梁材や柱材の曲げ耐力よりも大きくなるため、梁端や柱端、柱脚の必要保有耐力を割り増すことなく設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための柱梁接合構造の斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を説明するための柱梁接合構造の斜視図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を説明するための柱端接合構造の斜視図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態を説明するための柱端接合構造の斜視図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態を説明するための柱端接合構造の斜視図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態を説明するための柱端接合構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る柱梁接合構造の実施の形態(第1、第2の実施の形態)、本発明に係る柱端接合構造の実施の形態(第3、第4の実施の形態)、及び本発明に係る柱脚接合構造の実施の形態(第5、第6の実施の形態)について、図面に基いて説明する。
【0022】
[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る柱梁接合構造の第1の実施の形態について、図1に基いて説明する。
図1に示す柱梁接合構造は、コンクリート造(鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造等)の柱1に鉄骨造の大梁2を接合する構造である。
【0023】
柱1は、複数階に亘って延設された角柱形状の通し柱であり、上階の柱部11と下階の柱部12とが柱仕口部10を介して一体的に連設されている。前記した柱仕口部10には、複数のアンカーボルト13が設けられている。これら複数のアンカーボルト13は、柱仕口部10のコンクリート内に埋設されて定着されており、先端部が柱仕口部10の側面から垂直に突出されており、アンカーボルト13の先端部には、ナット14がそれぞれ螺着されている。また、複数のアンカーボルト13は、後述するベースプレート23の図示せぬボルト孔の位置に合わせて配設されている。
【0024】
大梁2は、H形鋼からなる鉄骨梁である。この大梁2の端部(梁端部20)には、梁端部20を拡幅するサイドプレート3(補強プレート)が設けられている。このサイドプレート3は、梁端部20の上下のフランジ21,21にそれぞれ溶接された板材であり、フランジ21の側縁21aよりも梁幅方向外側に突出している。詳しく説明すると、サイドプレート3は、平板状の鋼板からなり、梁端部20のフランジ21の側方にそれぞれ配設されている。また、これら両側のサイドプレート3,3は、フランジ21に対して同一平面状に配設されており、サイドプレート3とフランジ21とは表面同士が面一になっている。
【0025】
また、サイドプレート3は、直角台形状に形成されており、平行する対辺3a,3bを梁軸方向に沿って延在させると共に直角部分を梁軸方向外側(柱仕口部10側)に向けて配設されている。すなわち、サイドプレート3の平行する対辺のうち、長い方の辺(長側縁3a)は梁幅方向内側(フランジ21側)に配置され、短い方向の辺(短側縁3b)は梁幅方向外側に配置されている。そして、前記した長側縁3aは、梁端部20のフランジ21の側縁21aに部分溶込み溶接されている。また、サイドプレート3の平行しない対辺のうち、上記した平行する対辺3a,3bに対して直角を成す直角側の辺(直端縁3c)は梁軸方向外側(柱仕口部10側)に配置され、上記した平行する対辺3a,3bに対して傾斜する斜辺(斜端縁3d)は梁軸方向内側に配置されている。そして、前記した直端縁3cは、フランジ21の梁軸方向外側の端縁21bと同一線上に形成されている。
【0026】
また、上記した梁端部20は、柱仕口部10の側面に接合されている。詳しく説明すると、梁端部20の端面には、フランジ21に対して垂直に配置されたベースプレート23が設けられている。このベースプレート23は、矩形の鋼板からなり、上下のフランジ21,21の端縁21b,21bの梁軸方向外側にそれぞれ配設されていると共に柱仕口部10の側面に沿って配置されている。また、ベースプレート23は、フランジ21の端縁21b及び両側のサイドプレート3,3の各直端縁3c,3cにそれぞれ突合せ溶接されている。このベースプレート23とフランジ21及びサイドプレート3,3との溶接部は、一方のサイドプレート3の直端縁3cからフランジ21の端縁21bを通って他方のサイドプレート3の直端縁3cまで連続的に溶接されている。
【0027】
また、ベースプレート23の上部及び下部には、複数の図示せぬボルト孔がそれぞれ形成されている。ベースプレート23の上部に形成された複数のボルト孔は、ベースプレート23の上辺に沿って並設されており、ベースプレート23の下部に形成された複数のボルト孔は、ベースプレート23の下辺に沿って並設されている。そして、これら複数のボルト孔には、上記したアンカーボルト13がそれぞれ挿通されており、ベースプレート23はアンカーボルト13に螺着されたナット14によってアンカーボルト13に締結されている。
【0028】
上記した構成からなる柱梁接合構造によれば、梁端部20の柱仕口部10に対する接合箇所の梁幅寸法B1が、フランジ21の側縁21aよりも梁幅方向外側に突出したサイドプレート3,3の分だけフランジ幅B2よりも拡幅される。すなわち、フランジ幅B2と両側のサイドプレート3,3の幅寸法B3,B3との和が、梁端部20の柱仕口部10に対する接合箇所の梁幅寸法B1となる。その結果、接合部として考慮できる柱仕口部10のコンクリートの体積が、上述したように拡幅された分(両側のサイドプレート3,3の分)だけ増大する。したがって、柱梁接合部の耐力を十分に確保することができる。
【0029】
また、上記した構成からなる柱梁接合構造によれば、サイドプレート3,3によって梁端の曲げ耐力が大梁2の鉄骨材の曲げ耐力よりも大きくなり、大梁2の塑性ヒンジの位置が、図1に一点鎖線Lで示すように、サイドプレート3,3の梁中央側の端部(長側縁3aと斜端縁3dとの角部)の位置となり、その位置で大梁2の鉄骨材が先行降伏する構造となる。これにより、構造特性係数を割り増すことなく上部構造の保有耐力を確認することができる。その結果、上部構造全体の鉄骨量を削減したり、ベースプレート23やアンカーボルト13の数量を削減したり、柱仕口部10の躯体数量を削減したりすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0030】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る柱梁接合構造の第2の実施の形態について、図2に基いて説明する。
なお、上記した第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
図2に示すように、大梁2の端部(梁端部20)には、梁端部20を拡幅するトッププレート103(補強プレート)が設けられている。詳しく説明すると、トッププレート103は、平面視矩形の平板状の鋼板からなり、梁端部20のフランジ21の表面(上側のフランジ21の上面及び下側のフランジ21の下面)に重ね合わせられている。このトッププレート103の幅寸法B4は、フランジ幅B2よりも大きく、トッププレート103の両側の側部は、フランジ21の側縁21aよりも梁幅方向外側にそれぞれ張り出されている。
【0032】
また、トッププレート103には、梁軸方向内側(柱仕口部10側の反対側)の端縁103aから梁軸方向外側(柱仕口部10側)に向かって切り欠かれた切欠き130が形成されている。この切欠き130は、梁軸方向に沿って延在するスリット状の切欠きであり、梁幅方向の中央部分に配設されている。そして、この切欠き130の両側の縁部130a,130aとフランジ21の表面とがそれぞれ隅肉溶接されており、これにより、トッププレート103がフランジ21に対して接合されている。
【0033】
上記した構成からなる柱梁接合構造によれば、部分溶込み溶接と比べて簡単な隅肉溶接によってトッププレート103がフランジ21に対して溶接されている。よって、部分溶込み溶接等の高度な技量を要する溶接作業が不要であり、溶接技量を軽減化することができると共にトッププレート103をフランジ21に確実に接合させることができる。
【0034】
また、トッププレート103に切欠き130が形成され、この切欠き130の両側の縁部130a,130aとフランジ21の表面とがそれぞれ隅肉溶接されているので、トッププレート103とフランジ21との溶接長さが十分に確保される。これにより、トッププレート103とフランジ21とを強固に接合することができ、トッププレート103をフランジ21に確実に接合させることができる。
【0035】
また、上記した構成からなる柱梁接合構造では、トッププレート103の厚さが適宜変更可能である。したがって、接合部の耐力確保のために必要なトッププレート103の幅寸法B4が、建物の設計上必要なフランジ幅B2を大きく上回る場合には、トッププレート103の厚さを薄くすることで対応可能である。
【0036】
[第3の実施の形態]
まず、本発明に係る柱端接合構造の実施の形態について、図3に基いて説明する。
図3に示す柱端接合構造は、コンクリート造(鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造等)の大梁201の梁仕口部210の上面に鉄骨造の柱202の下端部を接合する柱端接合構造である。
【0037】
梁仕口部210は、柱202を支持する柱支持部であり、この梁仕口部210には、複数のアンカーボルト213が設けられている。これら複数のアンカーボルト213は、梁仕口部210のコンクリート内に埋設されて定着されており、先端部が梁仕口部210の上面から垂直に突出されており、アンカーボルト213の先端部には、ナット214がそれぞれ螺着されている。また、複数のアンカーボルト213は、後述するベースプレート223の図示せぬボルト孔の位置に合わせて配設されている。
【0038】
柱202は、H形鋼からなる鉄骨柱であり、上下の梁間に建てられた間柱である。この柱202の下端部220には、柱下端部220を拡幅するサイドプレート203(補強プレート)が設けられている。このサイドプレート203は、柱下端部220の両側のフランジ221,221にそれぞれ溶接された板材であり、フランジ221の側縁221aよりもフランジ幅方向(強軸方向)の外側に突出している。詳しく説明すると、サイドプレート203は、平板状の鋼板からなり、柱下端部220のフランジ221の側方にそれぞれ配設されている。また、これら両側のサイドプレート203,203は、フランジ221に対して同一平面状に配設されており、サイドプレート203とフランジ221とは表面同士が面一になっている。
【0039】
また、サイドプレート203は、直角台形状に形成されており、平行する対辺203a,203bを柱軸方向に沿って延在させると共に直角部分を下側に向けて配設されている。すなわち、サイドプレート203の平行する対辺のうち、長い方の辺(長側縁203a)はフランジ幅方向内側(フランジ221側)に配置され、短い方向の辺(短側縁203b)はフランジ幅方向外側に配置されている。そして、前記した長側縁203aは、柱下端部220のフランジ221の側縁221aに部分溶込み溶接されている。また、サイドプレート203の平行しない対辺のうち、上記した平行する対辺203a,203bに対して直角を成す直角側の辺(直端縁203c)は下側に配置され、上記した平行する対辺203a,203bに対して傾斜する斜辺(斜端縁203d)は上側に配置されている。そして、前記した直端縁203cは、フランジ221の下端縁221bと同一線上に形成されている。
【0040】
また、上記した柱下端部220は、梁仕口部210の上面に接合されている。詳しく説明すると、柱202の下端面には、フランジ221に対して垂直に配置されたベースプレート223が設けられている。このベースプレート223は、矩形の鋼板からなり、柱下端部220の下側に配設されていると共に梁仕口部210の上面に沿って配置されている。また、ベースプレート223は、フランジ221の下端縁221b、ウェブ222の下端縁222a、及び両側のサイドプレート203,203の各直端縁203c,203cにそれぞれ突合せ溶接されている。なお、ベースプレート223とフランジ221及びサイドプレート203,203との溶接部は、一方のサイドプレート203の直端縁203cからフランジ221の下端縁221bを通って他方のサイドプレート203の直端縁203cまで連続的に溶接されている。
【0041】
また、ベースプレート223には、複数の図示せぬボルト孔がそれぞれ形成されている。複数のボルト孔は、平面視においてフランジ221の両側(柱202の弱軸方向の両側)にフランジ幅方向に間隔をあけて並設されている。そして、これら複数のボルト孔には、上記したアンカーボルト213がそれぞれ挿通されており、ベースプレート223はアンカーボルト213に螺着されたナット214によってアンカーボルト213に締結されている。
【0042】
上記した構成からなる柱端接合構造によれば、柱下端部220の梁仕口部210に対する接合箇所の柱幅寸法D1が、フランジ221の側縁221aよりもフランジ幅方向外側に突出したサイドプレート203,203の分だけフランジ幅D2よりも拡幅される。すなわち、フランジ幅D2と両側のサイドプレート203,203の幅寸法D3,D3との和が、柱下端部220の梁仕口部210に対する接合箇所の柱幅寸法D1となる。その結果、接合部として考慮できる梁仕口部210のコンクリートの体積が、上述したように拡幅された分(両側のサイドプレート203,203の分)だけ増大する。したがって、柱端接合部の耐力を十分に確保することができる。
【0043】
また、上記した構成からなる柱端接合構造によれば、サイドプレート203,203によって柱脚の曲げ耐力が柱202の鉄骨材の曲げ耐力よりも大きくなり、柱202の塑性ヒンジの位置が、図3に一点鎖線Lで示すように、サイドプレート203,203の上端部(長側縁203aと斜端縁203dとの角部)の位置となり、その位置で柱202の鉄骨材が先行降伏する構造となる。これにより、構造特性係数を割り増すことなく上部構造の保有水平耐力を確認することができる。その結果、上部構造全体の鉄骨量を削減したり、ベースプレート223やアンカーボルト213の数量を削減したり、梁仕口部210の躯体数量を削減したりすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0044】
[第4の実施の形態]
次に、本発明に係る柱端接合構造の他の実施の形態について、図4に基いて説明する。
なお、上記した第3の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
図4に示すように、柱202の下端部220には、柱下端部220を拡幅するトッププレート303(補強プレート)が設けられている。詳しく説明すると、トッププレート303は、矩形平板状の鋼板からなり、柱下端部220のフランジ221の弱軸方向外側の表面(対向面の反対側の面)に重ね合わせられている。このトッププレート303の幅寸法D4は、フランジ幅D2よりも大きく、トッププレート303の両側の側部は、フランジ221の側縁221aよりもフランジ幅方向外側にそれぞれ張り出されている。
【0046】
また、トッププレート303には、下端縁303aから上方に向かって切り欠かれた切欠き330が形成されている。この切欠き330は、柱軸方向に沿って延在するスリット状の切欠きであり、フランジ幅方向の中央部分に配設されている。そして、この切欠き330の両側の縁部330a,330aとフランジ221の表面とがそれぞれ隅肉溶接されており、これにより、トッププレート303がフランジ221に対して接合されている。
【0047】
上記した構成からなる柱端接合構造によれば、部分溶込み溶接と比べて簡単な隅肉溶接によってトッププレート303がフランジ221に対して溶接されている。よって、部分溶込み溶接等の高度な技量を要する溶接作業が不要であり、溶接技量を軽減化することができると共にトッププレート303をフランジ221に確実に接合させることができる。
【0048】
また、トッププレート303に切欠き330が形成され、この切欠き330の両側の縁部330a,330aとフランジ221の表面とがそれぞれ隅肉溶接されているので、トッププレート303とフランジ221との溶接長さが十分に確保される。これにより、トッププレート303とフランジ221とを強固に接合することができ、トッププレート303をフランジ221に確実に接合させることができる。
【0049】
また、上記した構成からなる柱端接合構造では、トッププレート303の厚さが適宜変更可能である。したがって、接合部の耐力確保のために必要なトッププレート303の幅寸法D4が、建物の設計上必要なフランジ幅D2を大きく上回る場合には、トッププレート303の厚さを薄くすることで対応可能である。
【0050】
[第5の実施の形態]
まず、本発明に係る柱脚接合構造の実施の形態について、図5に基いて説明する。
図5に示す柱脚接合構造は、コンクリート造(鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造等)の基礎部401の上面に鉄骨造の柱402の柱脚部420を接合する柱脚接合構造である。
【0051】
基礎部401は、六面体状のフーチング411の上面に平面視矩形状の立ち上がり部410が突設された構成からなり、フーチング411の側面には、コンクリート造の地中梁412が一体に形成され、フーチング411の下面には、杭体415が垂設されている。この基礎部401のうち、立ち上がり部410の部分には、複数のアンカーボルト413が設けられている。これら複数のアンカーボルト413は、基礎部401のコンクリート内に埋設されて定着されており、先端部が基礎部401の上面から垂直に突出されており、アンカーボルト413の先端部には、ナット414がそれぞれ螺着されている。また、複数のアンカーボルト413は、後述するベースプレート423の図示せぬボルト孔の位置に合わせて配設されている。
【0052】
柱402は、H形鋼からなる鉄骨柱である。この柱402の柱脚部420には、柱脚部420を拡幅するサイドプレート403(補強プレート)が設けられている。このサイドプレート403は、柱脚部420の両側のフランジ421,421にそれぞれ溶接された板材であり、フランジ421の側縁421aよりもフランジ幅方向(強軸方向)の外側に突出している。詳しく説明すると、サイドプレート403は、平板状の鋼板からなり、柱脚部420のフランジ421の側方にそれぞれ配設されている。また、これら両側のサイドプレート403,403は、フランジ421に対して同一平面状に配設されており、サイドプレート403とフランジ421とは表面同士が面一になっている。
【0053】
また、サイドプレート403は、直角台形状に形成されており、平行する対辺403a,403bを柱軸方向に沿って延在させると共に直角部分を下側に向けて配設されている。すなわち、サイドプレート403の平行する対辺のうち、長い方の辺(長側縁403a)はフランジ幅方向内側(フランジ421側)に配置され、短い方向の辺(短側縁403b)はフランジ幅方向外側に配置されている。そして、前記した長側縁403aは、柱脚部420のフランジ421の側縁421aに部分溶込み溶接されている。また、サイドプレート403の平行しない対辺のうち、上記した平行する対辺403a,403bに対して直角を成す直角側の辺(直端縁403c)は下側に配置され、上記した平行する対辺403a,403bに対して傾斜する斜辺(斜端縁403d)は上側に配置されている。そして、前記した直端縁403cは、フランジ421の下端縁421bと同一線上に形成されている。
【0054】
また、上記した柱脚部420は、基礎部401の上面に接合されている。詳しく説明すると、柱402の下端面には、フランジ421に対して垂直に配置されたベースプレート423が設けられている。このベースプレート423は、矩形の鋼板からなり、柱脚部420の下側に配設されていると共に基礎部401の立ち上がり部410の上面に沿って配置されている。また、ベースプレート423は、フランジ421の下端縁421b、ウェブ422の下端縁422a、及び両側のサイドプレート403,403の各直端縁403c,403cにそれぞれ突合せ溶接されている。なお、ベースプレート423とフランジ421及びサイドプレート403,403との溶接部は、一方のサイドプレート403の直端縁403cからフランジ421の下端縁421bを通って他方のサイドプレート403の直端縁403cまで連続的に溶接されている。
【0055】
また、ベースプレート423には、複数の図示せぬボルト孔がそれぞれ形成されている。複数のボルト孔は、平面視においてフランジ421の両側(柱402の弱軸方向の両側)にフランジ幅方向に間隔をあけて並設されている。そして、これら複数のボルト孔には、上記したアンカーボルト413がそれぞれ挿通されており、ベースプレート423はアンカーボルト413に螺着されたナット414によってアンカーボルト413に締結されている。
【0056】
上記した構成からなる柱脚接合構造によれば、柱脚部420の基礎部401に対する接合箇所の柱幅寸法D1が、フランジ421の側縁421aよりもフランジ幅方向外側に突出したサイドプレート403,403の分だけフランジ幅D2よりも拡幅される。すなわち、フランジ幅D2と両側のサイドプレート403,403の幅寸法D3,D3との和が、柱脚部420の基礎部401に対する接合箇所の柱幅寸法D1となる。その結果、接合部として考慮できる基礎部401のコンクリートの体積が、上述したように拡幅された分(両側のサイドプレート403,403の分)だけ増大する。したがって、柱脚接合部の耐力を十分に確保することができる。
【0057】
また、上記した構成からなる柱脚接合構造によれば、サイドプレート403,403によって柱脚の曲げ耐力が柱402の鉄骨材の曲げ耐力よりも大きくなり、柱402の塑性ヒンジの位置が、図3に一点鎖線Lで示すように、サイドプレート403,403の上端部(長側縁403aと斜端縁403dとの角部)の位置となり、その位置で柱402の鉄骨材が先行降伏する構造となる。これにより、1階(柱脚部420が在る最下階)の構造特性係数を割り増すことなく1階の保有水平耐力を確認することができる。その結果、上部構造全体の鉄骨量を削減したり、ベースプレート423やアンカーボルト413の数量を削減したり、基礎部401の躯体数量を削減したりすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0058】
[第6の実施の形態]
次に、本発明に係る柱脚接合構造の他の実施の形態について、図6に基いて説明する。
なお、上記した第5の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図6に示すように、柱402の柱脚部420には、柱脚部420を拡幅するトッププレート503(補強プレート)が設けられている。詳しく説明すると、トッププレート503は、矩形平板状の鋼板からなり、柱脚部420のフランジ421の弱軸方向外側の表面(対向面の反対側の面)に重ね合わせられている。このトッププレート503の幅寸法D4は、フランジ幅D2よりも大きく、トッププレート503の両側の側部は、フランジ421の側縁421aよりもフランジ幅方向外側にそれぞれ張り出されている。
【0060】
また、トッププレート503には、下端縁503aから上方に向かって切り欠かれた切欠き530が形成されている。この切欠き530は、柱軸方向に沿って延在するスリット状の切欠きであり、フランジ幅方向の中央部分に配設されている。そして、この切欠き530の両側の縁部530a,530aとフランジ421の表面とがそれぞれ隅肉溶接されており、これにより、トッププレート503がフランジ421に対して接合されている。
【0061】
上記した構成からなる柱脚接合構造によれば、部分溶込み溶接と比べて簡単な隅肉溶接によってトッププレート503がフランジ421に対して溶接されている。よって、部分溶込み溶接等の高度な技量を要する溶接作業が不要であり、溶接技量を軽減化することができると共にトッププレート503をフランジ421に確実に接合させることができる。
【0062】
また、トッププレート503に切欠き530が形成され、この切欠き530の両側の縁部530a,530aとフランジ421の表面とがそれぞれ隅肉溶接されているので、トッププレート503とフランジ421との溶接長さが十分に確保される。これにより、トッププレート503とフランジ421とを強固に接合することができ、トッププレート503をフランジ421に確実に接合させることができる。
【0063】
また、上記した構成からなる柱脚接合構造では、トッププレート503の厚さが適宜変更可能である。したがって、接合部の耐力確保のために必要なトッププレート503の幅寸法D4が、建物の設計上必要なフランジ幅D2を大きく上回る場合には、トッププレート503の厚さを薄くすることで対応可能である。
【0064】
以上、本発明に係る柱梁接合構造、柱端接合構造及び柱脚接合構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した第1、第2の実施の形態では、梁端部20の上下のフランジ21,21にそれぞれサイドプレート3,3やトッププレート103等の補強プレートが溶接されており、上記した第3、第4の実施の形態では、柱下端部220の両側のフランジ221,221にそれぞれサイドプレート203,203やトッププレート303の補強プレートが溶接されており、上記した第5、第6の実施の形態では、柱脚部420の両側のフランジ421,421にそれぞれサイドプレート403,403やトッププレート503の補強プレートが溶接されているが、本発明は、何れか一方のフランジ21(221、421)にだけ補強プレートを溶接した構成であってもよい。
【0065】
また、上記した実施の形態では、直角台形状のサイドプレート3(203、403)や矩形状のトッププレート103(303、503)がフランジ21(221、421)に溶接されているが、本発明における補強プレートの形状は適宜変更可能であり、例えば矩形状や直角三角形状のサイドプレートであってもよく、或いは、台形状のトッププレートであってもよい。
【0066】
また、上記した実施の形態では、ベースプレート23(223、423)がフランジ21(221、421)に対して垂直に溶接されているが、本発明は、ベースプレートがフランジに対して垂直に配設されてなく、ベースプレートがフランジに対して斜めに溶接されていてもよい。つまり、ベースプレートはフランジに対して交差する方向に沿って配設されていればよく、例えば、勾配の付いた梁端部や傾斜したフランジを有する梁端部の場合には、フランジが柱仕口部の側面に対して傾斜した向きとなるので、この場合、ベースプレートは、フランジに対して斜めに傾斜した向きに配設され、柱仕口部の側面に沿って配置される。また、勾配の付いた柱下端部や傾斜したフランジを有する柱下端部の場合には、フランジが梁仕口部の上面に対して傾斜した向きとなるので、この場合、ベースプレートは、フランジに対して斜めに傾斜した向きに配設され、梁仕口部の上面に沿って配置される。また、勾配の付いた柱脚部や傾斜したフランジを有する柱脚部の場合には、フランジが基礎部の上面に対して傾斜した向きとなるので、この場合、ベースプレートは、フランジに対して斜めに傾斜した向きに配設され、基礎部の上面に沿って配置される。
【0067】
また、上記した第1、第2の実施の形態における柱1は、複数階に亘って延設された通し柱となっているが、本発明における柱梁接合構造は、通し柱に限定されるものではない。例えば、本発明における柱仕口部は、最上階(屋上階)の柱仕口部であってもよく、或いは、上下階の柱の位置がずれている場合、その柱の上端部や柱の下端部の柱仕口部であってもよい。
【0068】
また、上記した第3、第4の実施の形態では、柱下端部220を梁仕口部210の上面に接合しているが、本発明の柱端接合構造は、柱の上端部(柱頭部)を梁仕口部の下面に接合する柱頭接合構造であってもよく、例えば上述した間柱の上端部が梁仕口部の下面に接合された構造であってもよい。
【0069】
また、上記した第1、第2の実施の形態では、H形鋼からなる大梁2を柱1に接合する柱梁接合構造について説明しており、また、上記した第3、第4の実施の形態では、H形鋼からなる柱202を梁仕口部210に接合する柱端接合構造について説明しており、また、上記した第5、第6の実施の形態では、H形鋼からなる柱402の柱脚部420を基礎部401に接合する柱脚接合構造について説明しているが、本発明の柱梁接合構造における梁は、H形鋼からなる梁に限定されるものではなく、他の構造の梁であってもよく、また、本発明の柱端接合構造及び柱脚接合構造における柱は、H形鋼からなる柱に限定されるものではなく、他の構造の柱であってもよい。例えば、溝形鋼やT形鋼、I形鋼等からなる鉄骨梁又は鉄骨柱であってもよい。また、山形鋼等からなる上フランジ材と下フランジ材とを平鋼等のウェブ材で連結した平行弦トラス梁(ラチス梁)や帯板梁であってもよく、また、山形鋼等からなる一対のフランジ材を平鋼等のウェブ材で連結した平行弦トラス柱(ラチス柱)や帯板柱であってもよい。また、並列に配置された溝形鋼やラチス梁、帯板梁等の上端同士及び下端同士を平鋼等の連結材でそれぞれ連結した箱形梁であってもよく、また、並列に配置された溝形鋼やラチス柱、帯板柱等のフランジ材同士を平鋼等の連結材で連結した箱形柱であってもよい。また、本発明の柱梁接合構造における梁は、鉄骨梁の一部又は全部にコンクリートが被覆されたコンクリート被覆鉄骨梁であってもよく、また、本発明の柱端接合構造及び柱脚接合構造における柱は、鉄骨柱の一部又は全部にコンクリートが被覆されたコンクリート被覆鉄骨柱や鋼管柱の内側にコンクリートが充填されたコンクリート充填鋼管柱であってもよい。
【0070】
また、上記した第2、第4、第6の実施の形態では、トッププレート103(303、503)に切欠き130(330、530)が形成されているが、本発明は、切欠き130(330、530)が形成されていないトッププレート103(303、503)であってもよい。この場合、トッププレート103(303、503)の梁軸方向(柱軸方向)内側の端縁とフランジ21(221、421)の表面とを隅肉溶接することでトッププレート103(303、503)をフランジ21(221、421)に接合することができる。
【0071】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1、202、402 柱
2、201 大梁(梁)
3、203、403 サイドプレート(補強プレート)
10 柱仕口部
20 梁端部
21、221、421 フランジ
23、223、423 ベースプレート
103、303、503 トッププレート(補強プレート)
130、330、530 切欠き
210 梁仕口部
220 柱下端部(柱端部)
401 基礎部
420 柱脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨造の梁端部の端面に、該梁端部のフランジに溶接されたベースプレートが設けられ、該ベースプレートが、コンクリート造の柱仕口部の側面に固着されることで、該柱仕口部の側面に前記梁端部が接合された柱梁接合構造において、
前記フランジに、少なくとも該フランジの側縁よりも梁幅方向外側に突出した補強プレートが溶接されており、
該補強プレートが前記ベースプレートに溶接されていることを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項2】
請求項1に記載の柱梁接合構造において、
前記補強プレートが、前記フランジの表面に重ね合わせられた平面視矩形状の板材からなり、
該補強プレートの幅寸法が前記フランジの幅寸法よりも大きく、該補強プレートの両側部がそれぞれ前記フランジの側縁よりも梁幅方向外側に張り出されていることを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項3】
請求項2に記載の柱梁接合構造において、
前記補強プレートに、梁軸方向に延在する切欠きが形成され、
該切欠きの縁部と前記フランジの表面とが隅肉溶接されて前記補強プレートと前記フランジとが接合されていることを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項4】
鉄骨造の柱端部の端面に、該柱端部のフランジに溶接されたベースプレートが設けられ、該ベースプレートが、コンクリート造の梁仕口部の上面又は下面に固着されることで、該梁仕口部の上面又は下面に前記柱端部が接合された柱端接合構造において、
前記フランジに、少なくとも該フランジの側縁よりもフランジ幅方向外側に突出した補強プレートが溶接されており、
該補強プレートが前記ベースプレートに溶接されていることを特徴とする柱端接合構造。
【請求項5】
請求項4に記載の柱端接合構造において、
前記補強プレートが、前記フランジの表面に重ね合わせられた平面視矩形状の板材からなり、
該補強プレートの幅寸法が前記フランジの幅寸法よりも大きく、該補強プレートの両側部がそれぞれ前記フランジの側縁よりもフランジ幅方向外側に張り出されていることを特徴とする柱端接合構造。
【請求項6】
請求項5に記載の柱端接合構造において、
前記補強プレートに、柱軸方向に延在する切欠きが形成され、
該切欠きの縁部と前記フランジの表面とが隅肉溶接されて前記補強プレートと前記フランジとが接合されていることを特徴とする柱端接合構造。
【請求項7】
鉄骨造の柱脚部の下端面に、該柱脚部のフランジに溶接されたベースプレートが設けられ、該ベースプレートが、コンクリート造の基礎部の上面に固着されることで、該基礎部の上面に前記柱脚部が接合された柱脚接合構造において、
前記フランジに、少なくとも該フランジの側縁よりもフランジ幅方向外側に突出した補強プレートが溶接されており、
該補強プレートが前記ベースプレートに溶接されていることを特徴とする柱脚接合構造。
【請求項8】
請求項7に記載の柱脚接合構造において、
前記補強プレートが、前記フランジの表面に重ね合わせられた平面視矩形状の板材からなり、
該補強プレートの幅寸法が前記フランジの幅寸法よりも大きく、該補強プレートの両側部がそれぞれ前記フランジの側縁よりもフランジ幅方向外側に張り出されていることを特徴とする柱脚接合構造。
【請求項9】
請求項8に記載の柱脚接合構造において、
前記補強プレートに、柱軸方向に延在する切欠きが形成され、
該切欠きの縁部と前記フランジの表面とが隅肉溶接されて前記補強プレートと前記フランジとが接合されていることを特徴とする柱脚接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−247077(P2011−247077A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284909(P2010−284909)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】