説明

核酸増幅系に用いる内部コントロール核酸分子

本発明は、全て無作為に作製した、少なくとも1のフォワードプライマー結合部位、少なくとも1のリバースプライマー結合部位および少なくとも1の増幅可能領域を含む、内部コントロール核酸分子を提供する。本発明はまた、少なくとも1の本発明の内部コントロール核酸分子、該内部コントロール分子のフォワードプライマー結合部位に相補的に設計された少なくとも1のフォワードプライマー、および該内部コントロール核酸分子のリバースプライマー結合部位に相補的に設計された少なくとも1のリバースプライマーを含むキットを提供する。本発明はまた、本発明の内部コントロール核酸分子およびキットの使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、全指定国に対する出願人/発明者である、米国市民マイケル・シー・エル・ビッカリー、米国市民アンジェロ・デパオラ、米国市民ジョージ・エム・ブラックストーンの名のもと、2003年5月16日出願の米国仮出願番号60/471,121を優先権主張したPCT国際特許出願として2004年5月14日に出願されたものである。
【0002】
本願は、「リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応に用いる内部コントロール核酸分子」という標題の2003年5月16日出願の米国仮出願番号60/171,121の優先権を主張し、該開示は参照することにより本明細書に含まれる。
【0003】
本発明は保健社会福祉省の提供を受けている。以下に開示し請求する本発明に対する一定の権利を米国政府が譲受する可能性がある。
【技術分野】
【0004】
本発明は核酸の増幅方法に関する。より具体的には、本発明は核酸分子の増幅に用いる内部コントロール系に関する。
【背景技術】
【0005】
リアルタイム(動態学的(kinetic))ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析の出現により、現在では、適切なスタンダード(standards)および試料調製技術を用いて、特定核酸配列の存在を直接確認し、さらに、ゲル電気泳動などのPCR後の分析技術を要さずに、試料中の標的核酸分子数を定量化することができる。このような技術は、特定生物(例えば細菌または他の病原菌)の同定および/または定量、特定遺伝子または転写物の確認、ウイルスの検出および定量化、並びに無数の他の用途に有用である。しかし、PCRによる試料の試験に伴う危険性のひとつに、偽陰性の発生がある。
【0006】
通常、全PCRマスターミックスとともに陽性および陰性対照を流して試薬群の完全性を確かめるが、標的鋳型が反応液中に存在しても、試料マトリックスによるPCRの阻害により個々の試験試料が陰性結果をレポートする場合がある。部分的なPCR阻害により定量結果が不正確になる可能性があるので、定量的リアルタイムPCRにおいては、このことはなおさら問題である。従って、偽陰性がレポートされるのを防ぎ、要すれば定量データを正確に調整するために、個々の反応中に内部陽性コントロール(internal positive control)を含ませるのが望ましい。
【0007】
現在、市販されている内部陽性コントロール試薬はほんのわずかである。例えば、Applied Biosystemsより、TaqMan(登録商標)(Applied Biosystems)PCRキットに組み込むことができ、PCR阻害による陰性と真の陰性とを区別するために試料中にスパイクする成分としての内部コントロールを入手できる。TaqMan(登録商標)の内部陽性コントロール配列により、様々な種類の陰性結果を見分けることができる:(a)標的配列について陰性であり、IPCについて陽性である場合は、標的配列が存在しないことを示唆し、(b)標的配列について陰性であり、IPCについて陰性である場合は、PCR阻害であることを示唆する。
【0008】
内部陽性コントロールの別の例が、Rosenstraus M., et al., (1998) J. Clinical Microbiol 36(1):191-197で報告されている。そのグループは、トラコーマ病原体(Chlamydia trachomatis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)およびヒトC型肝炎ウイルスに関するCOMAS AMPLICOR試験に用いる内部コントロール核酸を構築した。Rosenstrausらが構築した内部コントロール配列は、その標的配列のプライマー配列と相同なプライマー結合領域を有するが、増幅した標的核酸と内部コントロール配列とを区別する特有プローブ結合領域を含んでいる。各試験試料中に導入した内部コントロール配列は20コピーのみであったので、陽性内部コントロールシグナルにより、試験感度の限界濃度の標的から陽性シグナルを生ずるのに十分な増幅がなされていることが示された。
【0009】
Danbing Ke, et al., (2000) Clinical Chemistry 46(3): 324-331では、Rosenstrausの内部コントロール配列をモデルとして用い、B群連鎖球菌(Group B Streptococci)の定量化に用いるPCRアッセイのための内部コントロール配列を構築した。しかし、B群連鎖球菌アッセイと適合性を持たせるために、この内部コントロールは新たに構築しなければならなかった。Rosenstrausの方法を用いる場合、連鎖球菌B群アッセイに用いたものと同じプライマー結合配列セットを利用する内部コントロールを合成する必要があった。
【0010】
Wellinghausen et al., (2001) Appl Environ Microbiol. 67(9):3985-93において同様の制限が示されており、そこでは試験遺伝子特異的プライマー領域に隣接した既知の(天然の)ラムダファージDNA配列を利用した内部コントロールを用いていた。この内部コントロールも、特定のアッセイでの利用のためにのみ設計されている。
【0011】
近年のHartmanらの抄録(Hartman et al., ASM General Meeting Abstracts, May 2003)にも同様の制限が含まれている。Hartmanらは、変異導入したプライマーおよびプローブ結合部位を有するTaqman(登録商標)の内部コントロールを開示した。そのアッセイは、異なるプライマーおよびプローブで、同じ標的DNAを増幅するように構築されている。このアッセイもTaqman(登録商標)アッセイに特異的であり、おそらく全てに適用可能ではない。
【0012】
このように、主に、配列をカスタマイズし、反応を特異的にする必要があるために、内部コントロールを用いる既知の方法には限定がある。従って、事実上あらゆるPCRアッセイに広く導入できる、総合的な内部コントロール系の一部として設計された内部コントロール分子およびその使用法を開発する必要性が残っている。
【0013】
上記資料の引用は、その全てが関連する先行技術であることの承認を意図するものではない。これらの資料の日付に関する記述または内容に関する説明は、全て出願人が入手可能な情報に基づいており、決してこれらの資料の日付または内容の整合性に関する承認を成すものではない。
【発明の開示】
【0014】
[発明の概要]
本発明は、全て無作為に作製した、少なくとも1のフォワードプライマー結合部位、少なくとも1のリバースプライマー結合部位および少なくとも1の増幅可能領域を含む内部コントロール核酸分子を提供する。
【0015】
本発明はまた、少なくとも1の本発明の内部コントロール核酸分子、該内部コントロール核酸分子のフォワードプライマー結合部位に相補的に設計された少なくとも1のフォワードプライマー、および該内部コントロール核酸分子のリバースプライマー結合部位に相補的に設計された少なくとも1のリバースプライマーを含むキットを提供する。本発明はまた、本発明の内部コントロール核酸分子およびキットの使用方法を提供する。
【0016】
[発明の詳細な説明]
本発明は核酸分子を含み、該分子は本明細書にて、内部コントロール核酸分子(internal control nucleic acid molecule)、内部コントロール分子または内部コントロールとも称する。
【0017】
本発明の内部コントロール核酸分子は、核酸増幅工程および/または関連する検出法において、偽陰性を排除する方法を提供する系の一部として機能する。本発明の内部コントロール核酸分子が有用であり得る核酸増幅工程の例には、これらに限定されないが、従来型ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(qPCRまたは動態学的PCRとしても知られる)、従来型およびリアルタイム多重PCRアッセイ、従来型およびリアルタイム逆転写PCR(RT-PCR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)および核酸ベースマイクロアレイ上のオンチップPCR増幅などがある。内部コントロール核酸分子には、リアルタイムPCRおよびRT-PCRの定量性能を利用した反応における、PCR阻害の程度を評価する手段を提供する働きもある。PCR増幅を阻害または促進する物質が試験試料マトリックス内に存在した場合、阻害または促進の程度を評価でき、量的データを内部コントロールの増幅特性の変化(例えばリアルタイムPCRサイクル閾(cycle threshold: Ct)値の変化)に基づいて調整できる。
【0018】
本発明の態様において、内部コントロール核酸分子はリアルタイム多重PCRアッセイにおける偽陰性を排除する方法を提供する働きを持つ。一態様において、リアルタイム多重PCRアッセイでは、各標的核酸配列の100万コピーから1コピーの範囲の感度域にわたって、少なくとも3種類の標的遺伝子および内部コントロール分子を増幅および検出することができる。本発明の内部コントロール核酸分子は、核酸増幅工程に既知の増幅可能遺伝子を導入することにより、核酸の増幅を阻害しない試料条件であることを確かめる働きをする。さらに、内部コントロールの増幅過程で得られたデータは、PCR阻害の評価および定量化アッセイの量的データの調整に利用できる。
【0019】
本発明の態様における内部コントロール核酸分子は、少なくとも1のフォワードプライマー結合部位、少なくとも1のリバースプライマー結合部位および少なくとも1の増幅可能領域を含む。
【0020】
本発明の一態様において、フォワードプライマー結合部位およびリバースプライマー結合部位は、それぞれ約15から約25塩基対を含む。本発明の別の態様において、フォワードプライマー結合部位およびリバースプライマー結合部位は、それぞれ約18から約24塩基対を含む。さらに別の態様において、フォワードプライマー結合部位およびリバースプライマー結合部位は、それぞれ約20から約23塩基対を含む。
【0021】
増幅可能領域には、一末端にフォワードプライマー結合部位、およびもう一方の末端にリバースプライマー結合部位が隣接している。増幅可能領域、すなわち、フォワードプライマー結合部位およびリバースプライマー結合部位の間の領域の長さは、約15塩基対程度の短いものから約1000塩基対より長いものまで非常に多様である。増幅可能領域の長さは、これに限定しないが、核酸増幅工程で対象とする標的遺伝子の長さなどの、多数の因子に依拠する。本発明の一態様において、増幅可能領域の長さは、核酸増幅工程の標的遺伝子の長さと異なるのが有利であり得る。そのような態様において、増幅可能領域と標的遺伝子の長さの差は、例えばゲル電気泳動で区別できるようなものが望ましい。そのような態様において、増幅可能領域の長さは標的遺伝子(群)の長さよりも、少なくとも約5から約10塩基対より短い、または長いのが望ましい。本発明の別の態様において、増幅可能領域の長さは標的遺伝子のそれに対して無関係である。本発明の別の態様において、内部コントロールの増幅特性がアッセイ標的配列(群)のそれと類似するように、増幅可能領域の大きさは標的配列のそれと近いのが望ましい。
【0022】
フォワードプライマー結合部位、リバースプライマー結合部位および増幅可能領域は全て疑似乱数的に(pseudo-randomly)作製する。「疑似乱数的に作製する」なる語句は、特定の設計特性を考慮に入れつつ無作為に配列を作製することを意味する。フォワードプライマー結合部位、リバースプライマー結合部位および増幅可能領域の塩基対配列は、4つの可能性塩基(A,T,GおよびC)の無作為配列を決定するための、当業者に既知の任意の方法で決定できる。そのような方法の例には、これに限定しないが、無秩序なヌクレオチド配列を作製するよう設計されているコンピューターソフトを用いるなどの方法がある。
【0023】
配列を作製する際に考えられる設計特性は数多くある。考慮することの例は、これらに限定されないが、配列のGC含量、既知、天然の配列またはPCR増幅可能領域と相同性を有さないこと、および同一塩基対の反復領域がないこと、などである。疑似乱数的に作製する配列は、これらの様々な特性のあらゆる組み合わせを考慮して設計する。
【0024】
疑似乱数的に作製する内部コントロール分子に利用できる設計特性のひとつは、配列のGC含量である。一態様において、内部コントロール分子またはその一部のGC含量は、特定の範囲内に特定化できる。特定生物または標的遺伝子のGC含量または典型的なGC含量範囲を模倣するために、特定のGC含量またはGC含量範囲に特定化するのが有利であり得る。これにより、生物または遺伝子の核酸増幅特性を模倣するよう内部コントロール分子をより特異的に仕立てることができるであろう。一態様において、内部コントロール分子のGC含量を、例えば約20%から約80%GCの間に特定化できる。
【0025】
核酸配列のGC含量は該配列の増幅動態の因子となり得るので、内部コントロール分子のGC含量を考慮することは望ましいと思われる。このように、特定増幅法において配列の増幅動態をより正確に模倣するために、核酸配列のGC含量を模倣することは有利であると考えられる。もしくは、内部コントロール分子のGC含量を特定の増幅法に基づいて選択してもよい。
【0026】
本発明の一態様において、フォワードプライマー結合部位、リバースプライマー結合部位および増幅可能領域の配列はGC含量が低い。本明細書で用いられる、「GC含量が低い」なる語句は、ある配列のGC含量が、典型的な原核生物または真核生物遺伝子のおおよその平均的なGC含量よりも有意に少ないことを意味する。別の態様において、フォワードプライマー結合部位、リバースプライマー結合部位および増幅可能領域の配列はGC含量が高い。本明細書で用いられる、「GC含量が高い」なる語句は、ある配列のGC含量が、典型的な原核生物および真核生物遺伝子のおおよその平均的なGC含量よりも有意に多いことを意味する。
【0027】
また、内部コントロール分子に少なくとも1の高GC含量領域および少なくとも1の低GC含量領域を含むことは有利であり得る。このような態様の内部コントロール分子は、多くの様々な種類の生物に関する多様な増幅方法において有用であり得る。
【0028】
考慮に入れることができる別の設計特性は、内部コントロール配列が、あらゆる既知、天然のヌクレオチド配列に対して有意なヌクレオチド相同性を有さないことである。本明細書で用いられる、「あらゆる既知、天然のヌクレオチド配列に対して相同性を有さない」なる語句は、フォワードプライマー結合部位およびリバースプライマー結合部位の塩基対配列が、単一生物ゲノムのPCR増幅可能領域内の天然のヌクレオチド配列とハイブリダイズしないように設計されていることを意味する。従って、該無作為に作製されたプライマーを組み合わせても(フォワードおよびリバース)、リアルタイムPCRに通常用いられるハイブリダイゼーション温度およびポリメラーゼ伸長時間では、天然の配列を増幅させることは一般にできないはずである。
【0029】
考慮できるさらなる別の設計特性は、増幅可能領域自体が、いかなる既知、天然の増幅可能領域のヌクレオチド配列に対しても有意な相同性を有さないことである。本明細書で用いられる、「いかなる既知、天然のPCR増幅可能領域のヌクレオチド配列に対しても有意な相同性を有さない」なる語句は、増幅可能領域が、ヌクレオチド増幅工程で増幅することができる、いかなる既知、天然の領域または既知の天然のヌクレオチド配列とも同じ塩基対配列を持たないことを意味する。一態様において、フォワードおよびリバースプライマーは、ある生物のゲノムのある小さな部分と相同な偶発的配列を、別個に持つ可能性がある。非常に短いプライマーを用いると、ある生物と相同な部位がいくつか発見される確率は非常に高いが、内部コントロールに特定化した長さ、つまり約15から約25塩基対のプライマーを用いると、その確率はかなり減少する。
【0030】
しかし、本発明の態様における疑似乱数的に作製された配列を用いると、近くに存在する、単一生物、具体的には被験生物の増幅可能なヌクレオチド配列と該プライマーが、ほとんどのリアルタイムPCRアッセイで通常用いられる温度において結合する確率は統計的にかなり低い。
【0031】
考慮できるさらなる設計特性は、内部コントロール配列が、同一塩基対の反復領域を持たないことである。一態様において、フォワードプライマー結合部位、リバースプライマー結合部位および増幅可能領域の配列は、配列内に4塩基より多い同一塩基反復配列を持たない。本発明の別の態様において、フォワードプライマー結合部位、リバースプライマー結合部位および増幅可能領域の配列は、配列内に5塩基より多い同一塩基反復配列を持たない。
【0032】
考慮できるさらなる別の設計特性は、配列の二次構造である。一態様において、内部コントロール分子には二次構造が存在しないかまたはほとんど存在しないのが望ましい。別の態様においては、二次構造を有する内部コントロール分子が望ましい。二次構造は核酸配列の増幅動態を改変し得るので、増幅したい核酸配列の増幅動態を模倣するために内部コントロール分子の二次構造を考慮することは有利であり得る。
【0033】
本発明の一態様において、内部コントロール核酸分子を特定の生物またはアッセイ用に「仕立てる(tailored)」ことができる。「仕立てる」なる語は、生物内に既存の核酸分子の特定の設計特性を模倣するように、内部コントロール核酸分子を設計することを意味する。一態様において、生物内に既存の核酸分子がアッセイの標的である。本発明の別の態様において、内部コントロール核酸分子は使用する特定のアッセイ用に「仕立てる」ことができる。この態様において、該配列は、アッセイの特定増幅動態を考慮して作製できる。さらなる別の態様において、内部コントロール核酸分子は、仕立てなしで設計する、または、標的遺伝子または使用する増幅方法のどちらかに基づき限定的に配列を仕立てて設計する。一態様において、実行可能な「仕立て」には標的遺伝子のGC含量および二次構造(またはそれらが無いこと)の考慮が含まれる。
【0034】
さらなる別の態様において、本発明は、さらなる修飾を加えていない事実上あらゆるアッセイおよび標的遺伝子において、内部コントロール分子またはアッセイ法に改変を加えずに、または上述のような仕立てを加えずに利用できる、内部コントロール核酸分子またはそのような内部コントロール分子を含んだキットを提供する。
【0035】
相補的なフォワードプライマー結合部位の作製に利用し得るフォワードプライマー配列の例は、これらに限定するものではないが、以下の配列を含む:
gacatcgata tgggtgccg [配列番号:1]
cgatatgggt gccgttcg [配列番号:2]
atgggtgccg ttcgagc [配列番号:3]。
【0036】
相補的なリバースプライマー結合部位の作製に利用し得るリバースプライマー配列の例は、これらに限定するものではないが、以下の配列を含む:
gagacgatgc agccattcg [配列番号:4]
cgagacgatg cagccattc [配列番号:5]
aatattcgcg agacgatgca g [配列番号:6]
gagccaagtc agatgatggt acg [配列番号:7]
gacatgagcc aagtcagatg atg [配列番号:8]。
【0037】
本発明の一態様において、疑似乱数的に作製する配列は、望ましいGC含量または望ましい範囲のGC含量を考慮して作製し、その後、該配列を編集して該内部コントロール分子に存在するあらゆる二次構造を除去する。
【0038】
一態様において、約250塩基対の内部コントロール核酸を以下の手順で設計する。アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)およびチミン(T)の一連の塩基配列を作製する無作為配列作製器(random sequence generator)を用い(ガイドラインとして原核生物および真核生物の平均的な天然GCおよびAT塩基対含量を用いる)、約50塩基の10の無作為配列を作製する。これらの配列をGenBankでチェックし、既知の天然増幅可能領域の核酸と有意に一致しないことを確かめる。指定した基準に沿わない配列はすべて破棄し、新たな配列を作製する。その後無作為配列をつなぎ合わせ、約500塩基対配列を作製する。DNASTARのLasergene MegAlign(商標)(DNASTAR, Madison, WI)のようなソフトウェアプログラムを利用し、全配列内に、プライマーまたはプローブ結合を阻害し得るあらゆる有意な二次構造、または反復領域が存在しないかを決定する。有意な二次構造がある場合は、それらの領域を削除するかまたは、工程をやり直し、二次構造が除かれるように50塩基対配列を違った順序で再結合させる。その後、最終的な核酸分子の大きさを所望の長さに編集する。上記方法で作製した核酸分子は、望むならば非常に長く(何千塩基対)、または非常に短く(100塩基対未満)することもできる。
【0039】
上記の典型的な方法が、本発明の内部コントロール核酸分子を設計する唯一の方法である。内部コントロール核酸分子の疑似乱数配列は、同じ結果をもたらす多くの同様の方法および/または様々なソフトウェア・パッケージを用いて設計してもよい。本明細書を読まれた当業者であれば、上記と同様の工程を行うあらゆる方法を利用して本発明の内部コントロール核酸分子が設計できることを理解するであろう。
【0040】
内部コントロール核酸分子はデオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)を含み得る。
【0041】
当業者はまた、内部コントロール核酸分子を一度設計すれば、一般に当業者に既知で利用されている任意の方法で該分子を作製できることが分かるであろう。もしくは、内部コントロール核酸分子は、Integrated DNA Technologies (Coralville, IA)のような会社で合成できる。また、分子生物学研究室で、特定の合成ヌクレオチドを、指定した配列につなぎ合わせて該分子を合成するのも実用的な手段である。
【0042】
本発明の別の態様において、内部コントロール核酸分子はまた、少なくとも1のプローブ結合領域を含む。該プローブ結合領域は、リアルタイムPCRプローブに相補的に構築する。相補的なプローブ結合領域に対するプローブは、DNA検出および/または定量アッセイに一般に知られ利用されているいずれのプローブであってもよい。プローブのヌクレオチド配列は、前述の内部コントロール核酸分子のために設計したプライマーを用いたPCRで増幅できる、本発明の内部コントロール核酸分子領域に相補的になるように設計する。例えば、ATCTCGの塩基対配列を持つプローブAを利用する場合、プローブ結合領域は(例えば)CGAGATの配列を持つであろう。該プローブは、一般に(例えば)Primer Express(Applied Biosystems, Foster City, CA)のような専門のソフトウェアを用いて、各種のプローブに特有の規格(specifications)で設計する。内部コントロール核酸分子内の領域にハイブリダイズするよう設計されたプローブは、内部コントロールDNA配列にハイブリダイズする点で、プライマーと非常に似た行動をとるであろう。上記のプライマー結合領域の場合と同じ理由で、これらの領域が、任意の天然配列の増幅可能領域内部の領域とヌクレオチド相同性を有する可能性は低い。
【0043】
内部コントロール核酸分子と共に用いるプライマーおよびプローブは、ある種のリアルタイムPCRアッセイ(または従来のPCRアッセイ)の特性に合わせて設計でき、Primer Expressなどのコンピューターソフトウェアを用いて設計できる。これらの特性の例は、これに限定しないが、アンプリコンの大きさおよびプライマー融解温度などである。プライマーおよびプローブは増幅過程でプライマーダイマーを形成しないよう設計する。存在するアッセイプライマーとのクロスハイブリダイゼーションの結果プライマーダイマーが形成される場合は、プライマーダイマーの形成を防ぐために新たな内部コントロールプライマーを使用し、プライマーダイマーが形成されない状態の任意の従来型またはリアルタイムPCRアッセイで内部コントロール配列を用いるようにすればよい。該プライマーおよびプローブは内部コントロールDNA分子の増幅可能領域と相補的になるよう選択する。
【0044】
プローブを利用できるアッセイ例には、これに限定しないが、Taqman(登録商標)(Applied Biosystems)として知られる市販の5'ヌクレアーゼアッセイがある。Taqman(登録商標)アッセイでは、特定増幅可能領域を標的とするプライマーの内側のDNA配列に結合するよう設計したプローブを用いることができる。該プローブは一般に、5'末端を蛍光色素などのレポーター分子、および3'末端をクエンチャー(quencher)で標識化する。本発明の内部コントロール核酸分子のプローブ結合領域と組み合わせて用いることができる典型的なプローブの具体例は、これらに限定されないが、5'ヌクレアーゼ型プローブ、(Applied Biosystemsで製造可能な)TaqMan(登録商標)MGB(副溝結合物質(minor groove binder))プローブ、スコーピオン(Scorpion)プローブ、ライトサイクラー様式の「FRET」プローブセット、エクリプス(Eclipse)プローブ、分子標識(molecular beacon)およびその他多数を含む。プローブの標識が可能な各種フルオロフォアおよび各クエンチャーの例は、これらに限定されないが、TX-RedまたはROXおよびBlack Hole Quencher(商標)-2(Integrated DNA Technologiesで製造可能)、様々な非蛍光または蛍光クエンチャー色素と組み合わせたFam、Tet、Vic、Rox、Cy3、Cy5、TX-Redおよびその他多数の色素を含む。
【0045】
内部コントロール核酸分子および内部コントロール系はまた、核酸配列の増幅をレポートするSybr Green (Molecular Probes)のようなインターカレート色素(intercalating dyes)を用いるアッセイに利用できる。融解曲線分析を用いることにより、インターカレート色素を含む増幅反応内で、増幅された内部コントロール核酸分子を確認し、アッセイ標的アンプリコンと区別することができる。
【0046】
該内部コントロール核酸分子および内部コントロール系は、複数の遺伝子またはRNA転写物を同時に標的とする従来型またはリアルタイム多重PCRまたはRT-PCRアッセイに利用できる。
【0047】
本発明の一態様は、本発明の内部コントロール核酸分子を少なくとも1のプライマー分子と組み合わせて含むキットである。本発明の別の態様は、本発明の内部コントロール核酸分子をプライマー分子セットと組み合わせて含むキットである。該プライマーセットは、内部コントロール核酸分子のフォワードプライマー結合部位およびリバースプライマー結合部位に相補的な、フォワードおよびリバースプライマーで構成される。一態様において、該キットは少なくとも1のプライマーセットを含む。別の態様において、該少なくとも1のプライマーセット自体を、蛍光レポーター分子(Invitrogen, Carlsbad, CAおよび他の企業から得られる)で蛍光標識することができる。キットに含まれる内部コントロール核酸分子はまた、少なくとも1のプローブ結合部位を有してもよい。そのような態様において、該キットは、少なくとも1のプローブを含んでもよいが、必須ではない。内部コントロール核酸分子は、反応中最適に働く濃度にまで希釈できるような濃度で供給してもよい。
【0048】
本発明の一態様において、本発明の内部コントロール核酸分子(キット中またはそれ以外)は、1より多くのフォワードプライマー結合部位および1より多くのリバースプライマー結合部位を含む。そのような態様において、内部コントロール核酸分子をPCR増幅にかけた際に実際に増幅される増幅領域部分は、PCR反応混合物に加えた特定のプライマーの組(つまりリバースおよびフォワードプライマー)に依拠する。例えば、プライマーの組(特定のフォワードおよび特定のリバースプライマー)を増幅の前にPCR反応混合物に加えた場合、相補的なフォワードプライマー結合部位およびリバースプライマー結合部位の間の領域が増幅されるであろう。
【0049】
内部コントロール核酸分子が、1より多くのフォワードプライマー結合部位および1より多くのリバースプライマー結合部位を含む態様において、含まれる特定のフォワードプライマー結合部位およびリバースプライマー結合部位は、数多くの因子に基づいて選択できる。様々なフォワードおよびリバースプライマー結合部位を設計する際に考慮することのひとつは、相補的プライマーのアニーリング温度である。PCRのアッセイ温度サイクル条件を変えずに個々のアッセイの要求に適合するように、一連の種々の温度でアニーリングする相補的フォワードおよびリバースプライマーが存在する、様々なフォワードおよびリバースプライマー結合領域の組を含むのが望ましいであろう。これにより、標的遺伝子の前に(つまり、より低いアニーリング温度で)増幅されるか、標的遺伝子と同時に(つまり、およそ同じ温度で)増幅されるか、標的遺伝子の後に(つまり、より低いアニーリング温度で)増幅される、内部コントロール核酸分子アンプリコンを選択できるであろう。一般に、プライマーは約55℃から約72℃の融解温度を持つが、37℃程度の低い温度や72℃程度の高い温度を融解温度に持つ可能性もある。アッセイ標的よりも低い融解温度を持つよう設計されたプライマーを用いて、内部コントロール系を温度限定サイクルプロトコールに利用してもよく、そこでは内部コントロール核酸配列はアッセイ標的配列よりも低い温度で増幅され、内部コントロールの増幅を検出した時点で反応温度をより高いアッセイ温度まで上昇させる。アッセイ温度が上昇すれば、内部コントロール分子の増幅は減少するかまたはなくなり、該内部コントロール試薬とアッセイプライマーとの競合が未然に防がれる。また、内部コントロール分子を所望の大きさで任意のアッセイに導入できるように、所望の増幅可能領域の大きさに基づいてプライマーを選択してもよい。
【0050】
本発明の別の態様は、以下の工程を含むリアルタイムPCRで、偽陰性の検出をモニタリングする方法を含む:試料を含むリアルタイムPCR反応混合物に、少なくとも1のフォワードプライマー結合部位、少なくとも1のリバースプライマー結合部位、1の増幅可能領域およびプローブ結合部位を含む、少なくとも1の本発明の内部コントロール核酸分子を加える工程;内部コントロール核酸分子中の少なくとも1のフォワードプライマー結合部位および少なくとも1のリバースプライマー結合部位と相補的であり、増幅可能領域の特異的増幅に適した、少なくとも1のフォワードプライマーおよび少なくとも1のリバースプライマーを加える工程;プローブ結合部位へハイブリダイズ可能な、少なくとも1のプローブを加える工程;増幅可能領域を増幅し、該内部コントロール核酸分子のアンプリコンを作製する工程;および、アンプリコンの存在を検出し、リアルタイムPCRで行った標的配列の増幅についての偽陰性結果を防ぐ工程。本発明の別の態様は、本明細書に記載の内部コントロール系を用いた定量的リアルタイムPCRにおけるPCR阻害または促進をモニタリングする方法を含む。内部コントロールのCT値の変化を利用して、適切なスタンダードおよび対照(controls)を用いたリアルタイムPCR定量データを調整し、PCRを阻害または促進する可能性のある物質を含有する試料をより正確に定量化することができる。
【0051】
本発明の方法は、既知のあらゆる定量的リアルタイムPCR法と組み合わせて実施することができる。本明細書を読まれた当業者であれば、本発明の内部コントロール核酸分子を定量的リアルタイムPCR法へ導入する方法を理解するであろう。
【0052】
本発明の内部コントロール核酸分子は、あらゆるアッセイまたは機器基盤に対して広く適用できる。さらに本発明により、複数のプライマーセットが選択でき、試験プライマーセットおよびアンプリコンの大きさへの適合性を確実にすることができる。
【0053】
また、本発明の内部コントロール分子のさらなる利点は、先行技術で用いられている他の内部コントロール分子とは違って、標的分子の増幅と競合しないことである。本発明の内部コントロール分子のプライマーは標的分子のプライマーと明確に区別でき、また内部コントロール分子の構造から、そのプライマーが天然の配列を増幅する可能性は低いので、本発明の内部コントロール核酸分子を用いた場合、競合の心配はない。このように、本発明の内部コントロール核酸分子を含むことにより、以下の実施例で証明されているように、三重アッセイ(3標的)の(単一細胞にまで至る)定量化能力または感度に対する障害を最小化することができる。
【0054】
本発明の一態様において、内部コントロール核酸分子は、アガロースゲル電気泳動で容易に標的分子と区別し選択できるような範囲の大きさのPCRアンプリコンが生じるように設計することができる(例えばほとんどのリアルタイムPCRアッセイにおいて500塩基未満)。しかし、リアルタイムPCRに関して、アンプリコン内部コントロール分子と標的分子との大きさの差異は、一部のユーザーにとってはそれ程重要ではないかもしれない。
【0055】
本発明の一態様において、内部コントロール分子は、選択可能な多様な大きさのアンプリコンとともに、複数のアニーリング温度のフォワードおよびリバースプライマー群に対する複数のプライマー結合部位、さらに様々な種類のリアルタイムプローブに対する複数の結合部位を含むように設計でき、これにより、検出または定量化に用いるあらゆる種類の従来またはリアルタイムPCRアッセイの単一または多重反応において、多様なアニーリング温度のプライマーを用いて可能となる様々な温度循環スキームで、内部コントロール分子の増幅を、単一の総合系で行うことができる。この系は、標的核酸(および関係生物)の検出または定量化のための事実上任意のPCRアッセイに用いる、万能の外来内部コントロール系のような様々な構造を持つキットとして提供してもよい。反応中に内部コントロールプローブを含めないことにより、この系を従来のPCRアッセイに用いることができる。この場合、増幅または非増幅は、ゲル電気泳動のようなPCR後に用いる技術で確かめなければならないであろう。
【0056】
本発明の一態様において、キットに、線状プラスミドDNA分子としての内部コントロール核酸分子を含む。
【0057】
本発明の別の態様において、キットに、環状プラスミドDNA分子としての内部コントロール核酸分子を含む。
【0058】
本発明のさらなる態様は、二本鎖線状DNA分子としての内部コントロール核酸分子を含むキットである。
【0059】
本発明のさらなる態様は、RT-PCRに用いる一本鎖RNA分子としての内部コントロール核酸分子を含むキットである。
【0060】
本発明のキットを使用することにより、本明細書を読まれた当業者であれば、本発明の内部コントロール分子を既存の従来型およびリアルタイムPCRアッセイに容易に導入することができる。
【0061】
これまで本発明を広く記載したが、以下の実施例を参照することによって、本発明の理解がより容易になると思われるが、ただし該実施例は例証として記載されており、特に記載のない限り本発明を限定することを意図したものではない。
【実施例1】
【0062】
試料中のVibrio parahaemolyticusの定量
Vibrio parahaemolyticus (Vp)は、米国における細菌性胃腸炎の貝類関連型症状の主な原因である河口性細菌であり、感染のほとんどは生または処理を誤った海産物の消費に起因する。Vpを検出するための以前の方法は、各種表現系アッセイにより個々の単離物を集中的に試験する人手と資金を必要とした (Myers, ML et al., Appl Environ Microbiol. 2003 69(4):2194-200; Hara-Kudo, Y. et al., Appl Environ Microbiol. 2001 Dec;67(12):5819-23.)。tl (易熱性溶血毒(thermolabile hemolysin))遺伝子はVpの種特異的マーカーであり、一方tdh (耐熱性溶血毒(thermostable direct hemolysin))およびtrh (耐熱性溶血毒類似毒(thermostable-related hemolysin))遺伝子はVpの2つの病原性マーカーである。tdhには多くの変異体が存在し、それらは全て病気を引き起こすのに十分なTDHを産生できる可能性がある。プロモーター効率関連型のtdh1およびtdh2遺伝子変異体は、K+株と関係している。tdh2は、K+株において溶血活性を起こす。tdhはまた、V. hollisae、V. fluvialis、V. mimicus、 V. cholerae、および他の病原性微生物にも見られる。病原性に関係するtrhは、tdhと関連して病原性株に存在することが多い。trh1、trh2その他の幾つかのtrh変異体も存在し、それらは84%を超えるヌクレオチド相同性を有する。trhは、tdhと約70%のヌクレオチド相同性を有する。tdhとtrhは、tdh+trh+株において染色体上で近接している。tlはVp特異的マーカーであるが、その遺伝子の幾つかの領域においてtdhおよびtrhと顕著な類似性を有する。Smart Cycler(登録商標)システム (Cepheid, Sunnyvale, CA)を用いて、4-チャンネルリアルタイム多重PCRアッセイを開発した。このアッセイは本発明の内部コントロール核酸分子を含み、天然(非濃縮)試料中の全Vpおよび病原性Vpの同時計数のためのアッセイを最適化するよう設計された。
【0063】
内部コントロール核酸分子
本発明の外来内部コントロール核酸分子をこのアッセイに導入した。本アッセイに使用した例示的内部コントロール核酸分子の完全長配列を以下に示す:
cgcatgtggt cacagccctg acgaagctgt catcaagttc ataatgacat cgatatgggt 60
gccgttcgag cagtttagcc ctaaatcacc ctaccggcag acgtatgtca cattcaccag 120
ggagacgcat gagattggat gctgttgtgc gccctcaaca atgtaacgaa tggctgcatc 180
gtctcgcgaa tattgtcgta ccatcatctg acttggctca tgtctgcaag aggcttcgca 240
ctgggcttta tg 252
[配列番号:9]。
この核酸分子にハイブリダイズするプローブを以下の配列番号2に示す。
tctcatgcgt ctccctggtg aatgtg 26
[配列番号:10]。
【0064】
内部コントロールは、APWまたはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(両者とも反応を阻害しないことが示されている)における純粋Vp培養液の生存細胞または煮沸後細胞のいずれかを試験する場合に、〜20PCRサイクルで増幅をレポートするよう定めた。
【0065】
当業者は、過度の実験を行うことなく、いずれの天然配列にも相同性を有さない、フォワードおよびリバースプライマー結合部位並びにプローブ結合部位を含む内部陽性コントロールとして使用するための他の核酸分子を合成することができるであろう。
【0066】
細菌培養およびゲノムDNA調製
リアルタイムPCR細菌計数実験に使用した、選択したV. parahaemolyticus (Vp) 株 (FIHES98、TX2103、AQ4037および91A-4950) は、5 mLのアルカリ性ペプトン水 (APW) (1.0% ペプトン、1.0% NaCl、pH 8.5 ± 0.2)にて35℃で6時間培養した。これら各培養液の1 mLのアリコートを1.5 mLの遠心チューブで15分間煮沸することによって、粗製細胞溶解液を調製した。これら溶解液に含まれるゲノムDNAを、その後のリアルタイムPCRアッセイにおいて鋳型として使用した。各6時間培養液の塗布希釈物を含むT1N3プレート (1.0% トリプトン、3.0% NaCl、2.0% 寒天)の一晩菌数より、各煮沸後鋳型調製物のもとのcfu/mLを決定した。利用したさらなるVibrio株は全て、APW中35℃で一晩培養し、一方他の全ての細菌株は、Tryptic Soy Broth (1.7% カゼイン膵液消化物、0.3% 大豆酵素消化物、0.25% D形グルコース、0.5% NaCl、2.5 g/L K2HPO4、pH 7.3±0.2)中、35℃で一晩培養した。MagNA Pure LC ロボット型 DNA 抽出装置 (Roche, Indianapolis, IN)を用いて、多くの株から精製ゲノムDNAを調製した。Bacterial DNA Isolation Kit (III)を抽出工程に使用し、100μlの濃縮培養液から100μlの溶出DNA試料を作成した。各DNA試料の純度および濃度は、それぞれUV分光光度法およびPicoGreen (Molecular Probes, Inc., Eugene, OR)を用いる蛍光定量法により測定した。
【0067】
リアルタイムPCRのためのプライマーおよび蛍光プローブの設計
Vpのtl、tdh、およびtrh遺伝子のすべての既報の変異体の完全ヌクレオチド配列 (オープンリーディングフレーム領域のみ)を整列させ、DNASTAR (Madison, WI)のLasergene MegAlign(商標)ソフトウェア (クラスタルアライメント、PAM250距離表(PAM250 distance tables))用いて比較した。前記アライメントには、さらに非公知のtrh遺伝子変異体(原稿執筆中)も含まれた。Applied Biosystems (Foster City, CA)のPrimer Express Softwareを使用して、アライメントによりこれら遺伝子の各々に特徴的であると同定された領域を標的とするオリゴヌクレオチドプライマーおよびTaqMan(登録商標)またはTaqMan(登録商標)MGB蛍光プローブを設計した。複数のプライマーセットを設計し、特異性および適合性について重ねて試験した。アッセイに利用したプライマーおよびプローブについての情報は、以下の表1に見られる。
【表1】

【0068】
リアルタイムPCR増幅
Vp のtl、tdh、およびtrh遺伝子の同時検出および定量のため、リアルタイムPCRサイクリングプロトコール、蛍光検出パラメーター、および反応成分濃度を注意深く最適化した。PCRは、容量25μlにて、以下の反応成分を用いて行った(最終濃度を示す): 1X PCR Amplification Buffer [10X バッファーが200 mM Tris-HCl (pH 8.4)および500 mM KClからなる] (Invitrogen)、5mM MgCl2、400 nMの各dNTP (Roche, Indianapolis, IN)、200 nMの各プライマー(前述)、150 nMの4種類の各蛍光プローブ (tl、tdh、trh、および内部コントロール)、および2.25 U Platinum(商標)Taqポリメラーゼ(Invitrogen)。反応容量の残りは、PCRグレートのH2O、Vp標的DNA鋳型(2μlの煮沸後細胞または5 ngの精製DNAのいずれか)、および内部コントロール試薬で構成された。リアルタイムPCRサーマルサイクリングは、Cepheid (Sunnyvale, CA)のSmart Cycler(登録商標)IIシステムを用いて行った。利用した2ステップタッチダウンサイクリングパラメーターを以下に示す。
サイクリングパラメーター
95℃60秒 x 1サイクル - 変性/taq活性化
95℃5秒、64℃45秒 x 1サイクル - タッチダウン
95℃5秒、63℃45秒 x 1サイクル - タッチダウン
95℃5秒、62℃45秒 x 1サイクル - タッチダウン
95℃5秒、61℃45秒 x 1サイクル - タッチダウン
95℃5秒、60℃45秒 x 1サイクル - タッチダウン
95℃5秒、59℃45秒 x 40サイクル - 増幅
【0069】
FTTC-25色素キャリブレーションセットおよびデフォルトのソフトウェアパラメーターを用いて各反応チューブに蓄積した蛍光を各増幅サイクルの最後に測定するようSmart Cycler(登録商標)II装置をプログラムした(ただし、Manual Threshold Fluorescent Unitの設定はバックグラウンドより上の8.0ユニットに変更した)。それゆえ試料は、前記装置のFam、Tet、TX-Red、またはCy-5チャンネルにおいて、ベースライン(バックグラウンド補正後)を上回る少なくとも8蛍光ユニットのシグナルが45サイクル以内に観察された場合に陽性と判断した。各PCRマスターミックスについて、3種類全ての標的遺伝子と内部コントロールとを有するVp株の陽性対照および陰性対照(反応に鋳型として滅菌dH2Oを添加)を調製した。各反応につき、Smart Cycler(登録商標)装置のFam、Tet、TX-Red、およびCy-5チャンネルにおいて、サイクル閾値対蛍光(対数表示)のプロットを調べた。内部コントロールプローブを欠く反応も、Smart Cycler(登録商標)SC (前記装置の最初のバージョン)においてFam、Tet、およびRoxチャンネル (それぞれtdh、trh、およびtl検出)を用いて行った。
【0070】
検量線の作成
アッセイ感度、ダイナミックレンジ、および定量能力を測定するため、多重リアルタイムPCR増幅の間に、V. parahaemolyticus (Vp)株 91A-4950 (tl、tdh、およびtrh陽性)を使用して各標的について検量線を作成した。既知のcfu/ml値(上記参照)を有する6h培養液に由来する煮沸後細胞をPBS (137 mM NaCl、2.7 mM KCl、4.3 mM Na2HPO4・7H2O、1.4 mM KH2PO4、pH 7.3 ± 0.2)により希釈(10-1〜10-7)した。アッセイは、各反応につき2μlの鋳型を用いて、各希釈についてデュプリケートで行った。
【0071】
特異性および濃縮試験
以下を含む100以上の細菌単離物の一団に対する特異性について、煮沸後細胞および/または精製DNAを用いてアッセイを試験した:Escherichia coli、Vibrio alginolyticus、V. cholerae、V. fluvialis、V. hollisae、V. metschnikovii、V. mimicus、V. parahaemolyticus、V. vulnificus、Listeria monocytogenes、L. innocua、L. ivanovii、L. seeligeri、L. welshimeri、およびSalmonella sp(図5)。アッセイの信頼性は、Vpをスパイクしたカキホモジネート(図12)、カキマントル液(図13)、およびエビホモジネート(図14)の濃縮物を使用して評価した。典型的には、Vpをスパイクした試料を試験前にその重量の9倍のAPWと90秒間混合し、35℃で一晩インキュベートした。
【0072】
結果
本発明の内部コントロール核酸分子により、Vpの全株(tl+)および病原可能性株(tdh+またはtrh+)の信頼性ある同時検出および定量が示された。
【0073】
図1は、SMART(登録商標)Cycler SC システムによるサイクル閾値対蛍光(対数表示)の結果を表す。結果は、tl、tdh、およびtrh標的遺伝子(それぞれROX、FAM、およびTETチャンネル)の多重増幅を示す。図2は、tdh遺伝子を有するがtrh遺伝子を有さない(tdh+、trh-)Vp株 (tl+)に由来する、tl、tdh、およびtrh標的遺伝子の多重増幅についてのサイクル閾値対蛍光(対数表示)を示す。同様に、図3は、trh遺伝子を有するがtdh遺伝子を有さない(tdh-、trh+)Vp株(tl+)に由来する、tl、tdh、およびtrh標的遺伝子の多重増幅についてのサイクル閾値対蛍光(対数表示)を示す。図4は、trh遺伝子とtdh遺伝子の両方を有する(tdh+、trh+)Vp株 (tl+)に由来する、tl、tdh、およびtrh標的遺伝子の多重増幅についてのサイクル閾値対蛍光(対数表示)を示す。これらの図は、このアッセイが病原性遺伝子の各種組み合わせを有するVp種を増幅および検出できることを示す。
【0074】
図5は、一連の各種細菌単離物 (煮沸後細胞)に対するtl、tdh、およびtrh遺伝子の多重増幅のサイクル閾値対蛍光(対数表示)を表す。ここでわかるように、非Vp単離物はいずれも増幅またはレポートされなかった。このランで試験したVpプールは、tdhおよびtrh遺伝子を有さない単離物しか含まなかった。
【0075】
図6は、tl、tdh、およびtrh遺伝子標的および内部コントロール(それぞれTX-RED、FAM、TET、およびCy-5チャンネル)の多重増幅についての106範囲の鋳型希釈(それぞれ2回反復)を示す。図7は、図6のデータから内部コントロールプロットを除いたものを示す。ここからわかるように、このアッセイのダイナミックレンジは>106 CFU 当量(equivalent)〜1 CFU 当量であり、サイクル閾値は各希釈の各反復で類似している(すなわち、それら反復は区別困難である)。
【0076】
図8Aは、図6からのtl遺伝子のデータを示す。図8Bは、図8Aに示したデータについてのサイクル閾値対蛍光(対数表示)のtl検量線を、細胞数(対数表示)対サイクル閾値のプロット(検量線)に沿って示す。ここに見られるように、相関係数は0.999であり、これはデータポイントがいかに良くその線と適合するかを示している。図9A、9B、並びに10Aおよび10Bは、それぞれtdhおよびtrh遺伝子についての同様のデータおよび検量線を示す。これら曲線の相関係数は、それぞれ0.998および0.997である。
【0077】
図11Aおよび11Bは、図6からの内部コントロールデータについてのサイクル閾値対蛍光(対数表示)を示す。ここからわかるように、内部コントロールについてのサイクル閾値は、3種類の標的遺伝子の同時定量の間、多重アッセイのダイナミックレンジ全体にわたり約20サイクルで一定である。
【0078】
図12Aは、3種類すべての標的遺伝子を有するVp株由来の細胞をスパイクしたカキホモジネート濃縮物についてのサイクル閾値対蛍光(対数表示)のプロットを示す。図12Bは、陰性対照(Vp株由来の細胞をスパイクしていないカキホモジネート濃縮物)についての同じプロットを示す。2つのプロットは、内部コントロールサイクル閾値が両者ともほぼ同じであることから、カキ濃縮物(1μL)がPCR反応を顕著には阻害しなかったことを示す。同様に、図13Aおよび13Bは、tdh+、trh+Vp株由来の106細胞および103細胞をスパイクしたVp不含カキマントル液 (1μL)および陰性対照についての同じプロットを示す。同様に、内部コントロールサイクル閾値はほぼ同じであり、マントル液は反応を阻害しなかったことが示された。図14Aおよび14Bは、エビホモジネート試料についての同じプロットを表し、同様に濃縮試料と陰性対照の間でコントロールサイクル閾値に顕著な相違が存在しないことから、PCR反応は顕著には阻害されないことが証明された。
【0079】
結論
本アッセイの特異性を、13種類の異なる細菌種を代表する100株以上の一団に対して試験した。適当な標的遺伝子を有するVp株のみから標的が増幅され、蛍光シグナルが生じた。アッセイの信頼性は、以下のマトリックスに懸濁した純粋培養Vp鋳型を用いて確認した:PBS、直接および濃縮カキマントル液、カキ組織濃縮物、エビ組織濃縮物、およびカニ組織濃縮物。本アッセイは、tdh、trh、またはtdhおよびtrhの両方を有する各種Vp株の純粋培養を用いて試験した場合に、検出のダイナミックレンジが各反応につき>106 CFU〜1 CFU (各標的遺伝子を同時検出)であることが示され、また検出の正確さが2倍以内で定量性があることが示された。このリアルタイムPCRアッセイを、迅速かつ反復可能な試料や鋳型の調製および濃縮方法と組み合わせれば、環境または海産物由来の全Vpおよび病原可能性Vpを、同日に直接計数することが可能であろう。
【0080】
本アッセイは、Vibrio parahaemolyticus のtl、tdh、およびtrh遺伝子の検出について非常に特異的である。純粋培養を用いると、本アッセイは、3種類すべての標的遺伝子を高度の正確性にて同時に検出および定量することができ、3種類すべての標的を同時に定量する際>106 細胞〜1 CFUの106のダイナミックレンジを有する。本アッセイは、カキマントル液および海水、並びにカキホモジネート、エビホモジネート、カニホモジネートその他の試料の濃縮物中のVpを検出することができる。本アッセイに利用した内部コントロールは、偽陰性のレポートを防ぐことに成功し、PCR阻害を評価する定量的内部コントロールとしても使用可能である。
【実施例2】
【0081】
内部コントロール核酸分子アンプリコンの他の例
内部コントロール核酸分子とともに利用される温度限定内部コントロール用に設計されたプライマーの例
【表2】

【実施例3】
【0082】
他のアッセイにおける本発明の内部コントロール分子の使用
図15は、本発明の内部コントロール核酸分子の他の使用を表す。本実施例は、実施例1と同様の方法で実施した。
【0083】
ここに見られるように、内部コントロール分子は約20サイクルのサイクル閾値 (Ct)で増幅し、この例においてマトリックス阻害が存在しないことが示された。
【0084】
図16は、コレラ毒素遺伝子についてのアッセイにおける本発明の内部コントロール核酸分子を示す。ここに見られるように、内部コントロールは15PCRサイクルで阻害され、マトリックス阻害物質が存在することが示された。標的遺伝子は増幅しなかったが、その存在または不在はさらに試験しなければ確認できない。内部コントロールの存在により、偽陰性の可能性がある結果のレポートに単純に直結することなく、増幅を阻害しているのはそのマトリックスであることが示された。
【0085】
図17は、VpにおけるORF8遺伝子についてのアッセイにおける、本発明の内部コントロール核酸分子を示す。ここに見られるように、増幅は完全に阻害された。内部コントロールを使用していなければ、陰性結果が誤ってレポートされたであろう。
【0086】
本発明をその具体的態様との関係で説明してきたが、さらなる修飾が可能であること、および、本発明の原理に通常したがい、かつ本発明が関係する当業界の既知また慣例の実務の範囲内であり、前述の本質的特徴に適用することができ、添付の特許請求の範囲の範囲にしたがうような現在の開示からの逸脱を含む、本発明のいずれの変形、使用、または適応をも本出願が包含する意図であることは、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、易熱性溶血毒(tl)、耐熱性溶血毒(tdh)および耐熱性溶血毒類似毒(trh)(それぞれROX、FAMおよびTETチャンネル)の多重増幅を示す、サイクル対蛍光のグラフである。
【図2】図2は、tdh遺伝子を有するがtrh遺伝子を有さない(tdh+, trh-)、Vibrio parahaemolyticus(Vp)株(tl+)に由来する、tl、tdhおよびtrhの多重増幅を示すサイクル対蛍光のグラフである。
【図3】図3は、trh遺伝子を有するがtdh遺伝子を有さない(tdh-,trh+)Vp株(tl+)に由来する、tl、tdhおよびtrhの多重増幅を示す、サイクル対蛍光のグラフである。
【図4】図4は、tdh遺伝子およびtrh遺伝子の両方を有する(tdh+,trh+)Vp株(tl+)に由来する、tl、tdhおよびtrhの多重増幅を示す、サイクル対蛍光のグラフである。
【図5】図5は、一連の各種細菌単離物(煮沸後細胞)に対するtl、tdhおよびtrhの多重増幅を示す、サイクル対蛍光のグラフである。
【図6】図6は、tl、tdhおよびtrh遺伝子標的および内部コントロール(それぞれTX-RED、FAM、TETおよびCY5チャンネル)の106範囲の鋳型希釈(それぞれ2回反復)の多重増幅についてのサイクル対蛍光のプロットを示す。
【図7】図7は、図6のデータから内部コントロールデータを除いたものを示す。
【図8A】図8Aは、図6からのtl遺伝子のデータを示す。
【図8B】図8Bは、図8Aからのデータを用いたtl遺伝子の検量線を示す。
【図9A】図9Aは、図6からのtdh遺伝子のデータを示す。
【図9B】図9Bは、図9Aからのデータを用いたtdh遺伝子の検量線を示す。
【図10A】図10Aは、図6からのtrh遺伝子のデータを示す。
【図10B】図10Bは、図10Aからのデータを用いたtrh遺伝子の検量線を示す。
【図11】図11は、内部コントロールの多重増幅についてのサイクル対蛍光を示す。
【図12A】図12Aは、3種類すべての標的遺伝子を有するVp株由来の細胞および内部コントロールをスパイクしたカキホモジネート試料(1μl)の多重増幅についてのサイクル対蛍光を示す。
【図12B】図12Bは、Vp株由来の細胞をスパイクしていないカキホモジネート試料(1μl)の多重増幅についてのサイクル対蛍光を示す。
【図13A】図13Aは、3種類すべての標的遺伝子を有するVp株由来の103細胞および106細胞および内部コントロールをスパイクしたカキマントル液試料(1μl)の多重増幅についてのサイクル対蛍光を示す。
【図13B】図13Bは、Vp株由来の細胞をスパイクしていないカキマントル液試料(1μl)の多重増幅についてのサイクル対蛍光を示す。
【図14A】図14Aは、3種類すべての標的遺伝子を有するVp株由来の細胞および内部コントロールをスパイクしたエビホモジネート試料(1μl)の多重増幅についてのサイクル対蛍光を示す。
【図14B】図14Bは、Vp株由来の細胞をスパイクしていないエビホモジネート試料(1μl)の多重増幅についてのサイクル対蛍光を示す。
【図15】図15は、標的遺伝子および本発明の内部コントロール核酸分子を含む試料の多重増幅についてのサイクル対蛍光を示す。
【図16】図16は、本発明の内部コントロール核酸分子を導入した、コレラ毒素遺伝子アッセイについてのサイクル対蛍光を示す。
【図17】図17は、本発明の内部コントロール核酸分子を導入した、Vp株由来のORF8遺伝子アッセイについてのサイクル対蛍光を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のフォワードプライマー結合部位、少なくとも1のリバースプライマー結合部位および少なくとも1の増幅可能領域を含む内部コントロール核酸分子であって、該フォワードプライマー結合部位、リバースプライマー結合部位および増幅可能領域が全て疑似乱数的に作製される、内部コントロール核酸分子。
【請求項2】
前記フォワードプライマー結合部位およびリバースプライマー結合部位がそれぞれ約15から約25核酸長である、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項3】
前記フォワードプライマー結合部位およびリバースプライマー結合部位がそれぞれ約18から約24核酸長である、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項4】
前記フォワードプライマー結合部位およびリバースプライマー結合部位がそれぞれ約20から約23核酸長である、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項5】
前記増幅可能領域が約15から約1000核酸長である、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項6】
前記少なくとも1のフォワードプライマー結合部位および少なくとも1のリバースプライマー結合部位が、いかなる既知、天然のヌクレオチド配列とも相同性を有さない、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項7】
前記増幅可能領域が、いかなる既知、天然の増幅可能領域の核酸配列とも相同性を有さない、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項8】
前記少なくとも1のフォワードプライマー結合部位、少なくとも1のリバースプライマー結合部位および増幅可能領域が、特定範囲のGC含量を有する、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項9】
前記少なくとも1のフォワードプライマー結合部位、少なくとも1のリバースプライマー結合部位および増幅可能領域の配列が、4塩基対より多い同一塩基対配列を有さない、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項10】
前記少なくとも1のフォワードプライマー結合部位、少なくとも1のリバースプライマー結合部位および増幅可能領域の配列が、5塩基対より多い同一塩基対配列を有さない、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項11】
プローブ結合部位をさらに含む、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項12】
前記プローブ結合部位がプローブに相補的である、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項13】
前記プローブが、5'ヌクレアーゼ型プローブ、TaqMan(登録商標)MGB(副溝結合物質)プローブ、スコーピオンプローブ、ライトサイクラー様式プローブセット、エクリプスプローブおよび分子標識からなる群から選択される、請求項12に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項14】
前記プローブが、蛍光色素およびクエンチャーの両方で標識された、請求項12に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項15】
前記蛍光色素が、TX-Red Fam、Tat、Vic、Rox、Cy3およびCy5からなる群から選択される、請求項14に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項16】
前記クエンチャーが、Black Hole Quencher(商標)-2および非蛍光クエンチャーからなる群から選択される、請求項15に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項17】
複数個のフォワードプライマー結合部位および複数個のリバースプライマー結合部位を有する、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項18】
前記複数個のフォワードプライマー結合部位および複数個のリバースプライマー結合部位が、複数個のフォワードプライマーおよび複数個のリバースプライマーと相補的である、請求項17に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項19】
前記複数個のフォワードプライマーおよび複数個のリバースプライマーが、個別の温度でアニーリングするように選択される、請求項18に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項20】
前記複数個のフォワードプライマーおよび複数個のリバースプライマーが、前記内部コントロール核酸分子内に一連の個別の大きさの増幅可能領域が得られるように選択される、請求項18に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項21】
配列番号:9の配列を有する、請求項1に記載の内部コントロール核酸分子。
【請求項22】
少なくとも1の請求項1に記載の内部コントロール核酸分子、前記内部コントロール核酸分子の少なくとも1のフォワードプライマー結合部位に相補的に設計された少なくとも1のフォワードプライマー、および前記内部コントロール核酸分子の少なくとも1のリバースプライマー結合部位に相補的に設計された少なくとも1のリバースプライマーを含むキット。
【請求項23】
複数個の請求項1に記載の内部コントロール核酸分子を含む、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
複数個のフォワードプライマーおよび複数個のリバースプライマーを含む、請求項22に記載のキット。
【請求項25】
前記少なくとも1のフォワードプライマーが、配列番号:1、配列番号:2および配列番号:3からなる群から選択される配列を有する、請求項21に記載のキット。
【請求項26】
前記少なくとも1のリバースプライマーが、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7および配列番号:8からなる群から選択される配列を有する、請求項21に記載のキット。
【請求項27】
前記少なくとも1の内部コントロール核酸分子がプローブ結合部位を含む、請求項21に記載のキット。
【請求項28】
少なくとも1のプローブをさらに含む、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
前記プローブが配列番号:10の配列を有する、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記プローブが標識化されている、請求項28に記載のキット。
【請求項31】
前記内部コントロール核酸分子が線状プラスミドDNA分子である、請求項22に記載のキット。
【請求項32】
前記内部コントロール核酸分子が環状プラスミドDNA分子である、請求項22に記載のキット。
【請求項33】
前記内部コントロール核酸分子が二本鎖線状DNA分子である、請求項22に記載のキット。
【請求項34】
前記内部コントロール核酸分子がRT-PCRに用いる一本鎖RNA分子である、請求項22に記載のキット。
【請求項35】
リアルタイムPCRによる増幅における偽陰性検出を防ぐ方法であって、以下の工程を含む方法:
a.) 請求項1に記載の少なくとも1の内部コントロール核酸分子をリアルタイムPCR反応混合物に加える、
b.) 少なくとも1のフォワードプライマーおよび少なくとも1のリバースプライマーを加える、ここで該フォワードおよびリバースプライマーは、前記内部コントロール核酸分子のフォワードおよびリバースプライマー結合部位と相補的であり、且つ前記内部コントロール核酸分子の増幅可能領域の特異的な増幅に適している、
c.) 前記内部コントロール核酸分子の増幅可能領域を増幅し、該増幅可能領域の内部コントロールアンプリコンを作製する、および
d.) 前記内部コントロールアンプリコンの存在を検出する、ここで、該検出によりリアルタイムPCRによる標的配列増幅の陰性検出を確認することができる。
【請求項36】
少なくとも1のプローブを加える工程をさらに含み、該プローブが前記内部コントロール核酸分子のプローブ結合部位に相補的である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記プローブが、前記内部コントロールアンプリコンの存在を少なくとも部分的に検出する働きを持つ、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記内部コントロールアンプリコンの検出を蛍光検出で行う、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記内部コントロール核酸分子の増幅可能領域の増幅の阻害を利用し、リアルタイムPCR解析の定量結果を調整する工程をさらに含む、請求項35に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公表番号】特表2007−500517(P2007−500517A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533075(P2006−533075)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/015175
【国際公開番号】WO2004/104229
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(500122156)アメリカ合衆国 (3)
【Fターム(参考)】