核酸構築物
キメラプロモーター配列、ならびに、キメラプロモーターに機能しうるように結合するコード配列の挿入のためのクローニング部位を含んでなる、核酸構築物であって、キメラプロモーターが:(a) hCMV最初期プロモーター配列;(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロンを含んでなる、前記核酸構築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子生物学および免疫学の分野に関するものであって、概して核酸免疫法に有用な試薬に関する。さらに具体的には、本発明は、抗原ポリペプチドを発現するための核酸構築物、およびそうした試薬を使用する核酸免疫化戦略に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子治療および核酸免疫法は、後天性および遺伝性疾患の両者の治療および予防のために有望なアプローチである。こうした技術は、被験体への望ましい核酸の移入とその後のin vivo発現をもたらす。移入は、ex vivoで被験体の細胞もしくは組織にトランスフェクトし、その形質転換された材料を宿主に再導入することによって行うことができる。あるいはまた、核酸をin vivoで直接、レシピエントに投与してもよい。
【0003】
こうした方法のそれぞれで、十分な量の、治療に有用な、もしくは抗原性の遺伝子産物を提供することができるように、トランスフェクトされた細胞における核酸の効率的な発現が必要である。トランスフェクション効率、ならびに当該の遺伝子もしくは配列が転写され、mRNAが翻訳される効率を含めて、いくつかの要因が、得られる発現レベルに影響を及ぼすことが知られている。
【0004】
いくつかの発現系が、当技術分野において記述されており、発現系はそれぞれ、典型的には、発現制御配列に機能しうるように連結された当該遺伝子もしくはヌクレオチド配列を含有するベクターからなる。このような制御配列には、転写プロモーター配列、ならびに転写開始および終止配列がある。哺乳動物細胞発現系に広く使用されるプロモーターには、数ある中でたとえば、SV40初期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーターのようなCMVプロモーター(Chapmanら、(1991)Nucl. Acids Res. 19:3979-3986)、マウス乳癌ウイルス末端反復配列(LTR)プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)および単純ヘルペスウイルス(HSV)プロモーターがある。マウスメタロチオネイン遺伝子由来のプロモーターのような非ウイルス性プロモーターもよく使用される。
【0005】
発現系は多くの場合、「エンハンサー」と呼ばれる転写調節因子を包含する。エンハンサーは、概して、シス作用性因子と定義され、これは、プロモーター/遺伝子配列に機能しうるように連結されている場合、その遺伝子配列の転写を強めるものである。エンハンサーは他の発現制御因子(たとえば、プロモーター)よりも、当該配列からずっと離れた位置から作用することが可能であり;当該配列に関してどちらの方向に位置している場合でも機能することができる(Banerjiら、(1981) Cell 27:299-308;deVilleirs ら、 (1981) Nucl. Acids Res 9: 6251-6264)。エンハンサーは、ポリオーマウイルス、BKウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス、サルウイルス40(SV40)、モロニー肉腫ウイルス、ウシパピローマウイルスおよびラウス肉腫ウイルスを含む多くのウイルス起源から同定されている(deVilleirsら、上記、Rosenthalら、(1983) Science 222:749-755;Hearingら、(1983) Cell 33:695-703;Weeksら、(1983) Mol. Cell. Biol. 3:1222-1234;Levinsonら、(1982) Nature 295: 568-572;およびLuciwら、(1983) Cell 33: 705-716)。
【0006】
核酸免疫法および遺伝子治療のためのいくつかの発現系は、hCMV最初期プロモーターを利用する。たとえば、Stinski、米国特許第5168062号および第5385839号、ならびに欧州特許明細書第0323997 B1号を参照されたい。hCMV最初期プロモーターを用いた発現ベクターには、たとえば、pWRG7128(Royら、Vaccine 19, 764-778, 2001)、ならびに国際公開番号WO 95/20660に記載のpBC12/CMVおよびpJW4303がある。Chapmanら(1991)は、hCMVイントロンAがない場合hCMV最初期プロモーターからの発現レベルの低下を報告している。
【発明の開示】
【0007】
操作されたウイルスプロモーター/発現配列を用いて、宿主細胞において増強された異種コード配列の発現を提供する核酸構築物が開発された。構築物は、抗原をコードする遺伝子の効率的な発現に適しており、したがって、核酸免疫法に使用することができる。詳細には、構築物は、粒子を介した核酸免疫化に使用できるように担体粒子上に与えられる。
【0008】
したがって、本発明は、キメラプロモーター配列、ならびに機能しうるようにキメラプロモーターと結合するコード配列挿入のためのクローニング部位を含んでなる核酸構築物を与えるが、ここでキメラプロモーター配列は、
(a)hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のうちエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン
を含んでなる。
【0009】
本発明はまた下記も提供する:
-(i)(a)hCMV最初期プロモーター配列;(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1および少なくともエクソン2の一部;ならびに(c) hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロンを含んでなるキメラプロモーター配列;および
(ii)キメラプロモーターと機能しうるように結合するコード配列挿入のためのクローニング部位;および
(iii)(a)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、またはHSV type 2gD抗原配列に由来し、キメラプロモーターと機能しうるように結合している、非翻訳リーダー配列;および/または
(b)HBsAg配列の3’非翻訳領域(UTR)、またはサルCMV最初期遺伝子配列の3’UTRに由来し、キメラプロモーターと機能しうるように結合している、エンハンサー配列であって、そのエンハンサー配列がコード配列の下流にある、前記エンハンサー配列;
を含んでなる核酸構築物;
-(i)プロモーター配列;
(ii)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、またはHSV type 2gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;および
(iii)(i)および(ii)に機能しうるように結合したコード配列;
を含んでなる核酸構築物であって、前記コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記核酸構築物;
-(i)プロモーター配列;
(ii)プロモーター配列(i)に機能しうるように結合したコード配列;および
(iii)コード配列(ii)の3’でこれに機能しうるように結合したエンハンサー配列;
を含んでなる核酸構築物であって、エンハンサー配列(iii)がHBsAg配列の3’UTRまたはサルCMV最初期遺伝子配列の3’UTRに由来し、コード配列(ii)は3’エンハンサー配列に対して異種性である前記核酸構築物;
-当該ポリペプチドの哺乳動物細胞での発現を得る方法であって、その方法が、前記細胞に本発明の核酸構築物を移入することを含んでなり、この構築物はポリペプチドをコードするコード配列を包含する、前記方法;
-粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに適した、コーティングされた粒子であって、その粒子が本発明の核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなり、その構築物はポリペプチドをコードするコード配列を包含する、前記粒子;
-コーティングされた粒子を含んでなる、粒子を介したデリバリーデバイスのための投薬容器;
-コーティングされた粒子を充填した、粒子を介したデリバリーデバイス;
-被験体に、有効量のコーティングされた粒子を投与することを含んでなり、その粒子においてコード配列が抗原をコードしている、核酸免疫化の方法;
-単離精製されたキメラプロモーター配列であって、
(a)hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンAの代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる前記配列。
【0010】
上記および他の、本発明の対象、態様、実施形態および利点が、本明細書の開示に照らして、容易に当業者に想起されるであろう。
【0011】
詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、当然のことながら、本発明は特に例示された分子またはプロセスパラメータに限定されないが、それはそれらが当然、変動する可能性があるためである。やはり当然のことであるが、本明細書で使用される専門用語は、本発明の特定の実施形態を説明することだけを目的とし、限定するものではない。加えて、本発明の実施には、特に指示しない限り、ウイルス学、微生物学、分子生物学、組換えDNA技術および免疫学の、いずれも当技術分野で通常の技術に属する、従来の方法を用いることとする。このような技術は文献ですべて説明されている。たとえば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第2版、1989); DNA Cloning: A Practical Approach, vol. I & II (D. Glover編); Oligonucleotide Synthesis (N. Gait編、1984); A Practical Guide to Molecular Cloning (1984); ならびにFundamental Virology, 第2版、vol. I & II (B.N. FieldsおよびD.M. Knipe編)を参照されたい。
【0012】
本明細書に記載の刊行物、特許および特許出願はすべて、上記であろうと下記であろうと、全体をそのまま、参考のため本明細書に含めるものとする。
【0013】
留意すべきは、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の”a”、”an”および”the”は、内容上明確に他の意味に解すべき場合を除き、複数の指示対象を包含することである。
【0014】
A. 定義
他に特に定めない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明の属する技術分野の当業者に広く理解されるのと同じ意味を持つ。本明細書に記載の方法および材料と類似した、または同等の多くの方法および材料を、本発明の実施に際して使用することができるが、好ましい材料および方法は本明細書に記載される。
【0015】
本発明の記述において、次の用語を使用することになるが、以下に示すように定義されるものとする。
【0016】
「核酸免疫法」という用語は、本明細書において、1つもしくは複数の抗原のin vivo発現のために、1つもしくは複数の選択された抗原をコードする核酸分子を、宿主細胞に導入することを示すために使用される。核酸分子は、たとえば、標準的な筋肉注射もしくは皮内注射;経皮的粒子デリバリー;吸入;局所的もしくは経口による、鼻内もしくは粘膜投与法によって、レシピエント被験体に直接導入することができる。あるいはまた、核酸分子を、被験体から取り出した細胞内にex vivoで導入することができる。この後者の場合、当該核酸分子を含有する細胞を被験体に再導入し、その結果、核酸分子によってコードされる抗原に対して、免疫応答を開始することができる。このような免疫化において使用される核酸分子は、一般に「核酸ワクチン」と称される。
【0017】
「アジュバント」という用語は、特異的もしくは非特異的に、抗原特異的免疫応答を変化させる、増強する、指示する、再指示する、可能にする、または開始する能力を有する物質もしくは組成物を意味する。したがって、アジュバントを抗原と同時に投与すると、結果として、抗原が投与された被験体において望ましい免疫応答を達成するために必要な抗原の投与量をより少なく、または投与回数をより少なくすることができる。あるいは、同時投与は、結果として、被験体において質的に、および/または量的に、異なる免疫応答をもたらすことができる。詳細には、アジュバントの投与は、結果的に、免疫応答の大きさ、および/または持続時間のいっそうの増大といった、免疫応答の増強をもたらすことができる。アジュバントの有効性は、ワクチン組成物のみを動物に投与することと並行して、アジュバントをワクチン組成物とともに投与すること、ならびに、ラジオイムノアッセイ、ELISAおよびCTLアッセイといった標準的なアッセイを用いて、抗体および/または細胞性免疫をこの2つのグループで比較することによって判定することができる。
【0018】
「コア担体」は、明確な粒径、ならびに細胞膜透過に必要な運動量を達成するのに十分な高密度を与えるように、ゲスト核酸(たとえばDNA、RNA)がコーティングされる担体を意味するが、そのようにしてゲスト分子を、粒子を介した技術によって、デリバリーすることができる(たとえば、米国特許第5,100,792号を参照されたい)。コア担体は、典型的には、タングステン、金、白金、フェライト、ポリスチレンおよびラテックスといった物質を含む。たとえば、Particle Bombardment Technology for Gene Transfer, (1994) Yang, N.編、Oxford University Press, New York, NY 10-11ページを参照されたい。
【0019】
「無針注射器」は、皮膚を刺す従来の針に依らず、経皮的に粒子性組成物をデリバリーする器具を意味する。本発明とともに使用するための無針注射器は、本明細書で検討する。
【0020】
「経皮的」デリバリーという用語は、皮内(たとえば、真皮もしくは表皮内)、経皮(たとえば、「皮膚を通しての」)および経粘膜投与を意味し、すなわち、皮膚もしくは粘膜組織内への、または皮膚もしくは粘膜組織を貫通する、薬剤の通過によるデリバリーを意味する。たとえば、Transdermal Drug Delivery: Developmental Issues and Research Initiatives, Hadgraft およびGuy (編), Marcel Dekker, Inc., (1989); Controlled Drug Delivery: Fundamentals and Applications, RobinsonおよびLee (編), Marcel Dekker Inc., (1987); ならびにTransdermal Delivery of Drugs, Vols. 1-3, KydonieusおよびBerner (編), CRC Press, (1987)を参照されたい。したがって、この用語は、米国特許第5,630,796号に記載の無針注射器からのデリバリー、ならびに米国特許第5,865,796号に記載の粒子を介したデリバリーを包含する。
【0021】
「ポリペプチド」は、2個以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸アナログ、または他のペプチドミメティックからなる化合物を指すものとして、最も広い意味で使用される。サブユニットは、ペプチド結合または他の結合、たとえばエステル、エーテルなどによって連結することができる。本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、天然および/または非天然もしくは合成アミノ酸を指すが、これらは、グリシンおよびDもしくはL型光学異性体の両者、ならびにアミノ酸アナログおよびペプチドミメティックを包含する。3個以上のアミノ酸からなるペプチドは、ペプチド鎖が短いならば、一般にオリゴペプチドと称される。ペプチド鎖が長い場合には、そのペプチドは通常ポリペプチドもしくはタンパク質と呼ばれる。
【0022】
「抗原」は、個体において免疫学的な反応を引き起こす能力のある、何らかの作用物質、一般に巨大分子を指す。この用語は、個々の巨大分子、または抗原性巨大分子の相同もしくは非相同集団を表すために使用することができる。本明細書で使用される「抗原」という用語は、概して、1つもしくは複数のエピトープを有する、タンパク質分子もしくはその一部を指示するために使用される。本発明のために、任意の適切な起源から抗原を採取し、もしくは導き出すことができる。その上、本発明の目的上、「抗原」は、その天然型配列に欠失、付加および置換といった改変を有する(概して性質は保存される)タンパク質を、そのタンパク質が十分な免疫原性を維持する限り、包含するものである。これらの改変は、たとえば部位特異的変異誘発によって、計画的におこなうことができるが、抗原を産生するホストの突然変異によって生じるように、偶発的であってもよい。
【0023】
所定の抗原に対する「免疫応答」は、個体における、その抗原に対する液性および/または細胞性免疫応答の成果である。本発明のために、「液性免疫応答」は抗体分子を介した免疫応答を表すのに対して、「細胞性免疫応答」はTリンパ球および/または他の白血球を介した免疫応答である。
【0024】
「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書において交換可能なものとして使用され、デオキシリボヌクレオチドであれ、リボヌクレオチドであれ、あるいはそれらのアナログであれ、任意の長さのヌクレオチドの重合体を指す。ポリヌクレオチドは、何らかの三次元構造を有し、何らかの既知または未知の機能を果たすことができる。ポリヌクレオチドの限定的でない例としては、遺伝子、遺伝子断片、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマーがある。
【0025】
ポリヌクレオチドは、典型的には、4つのヌクレオチド塩基:アデニン(A);シトシン(C);グアニン(G);およびチミン(T)(ポリヌクレオチドがRNAである場合チミン(T)の代わりにウラシル(U))からなる特有の配列から構成される。したがって、核酸配列という用語は、ポリヌクレオチド分子をアルファベットで表現したものである。このアルファベット表示は、中央演算処理装置を有するコンピューターのデータベースに入力し、ゲノム機能解析および相同性検索といったバイオインフォマティクスアプリケーションに使用することができる。
【0026】
「ベクター」は、核酸配列を標的細胞に移動する能力を有する(たとえば、ウイルスベクター、非ウイルス性ベクター、粒子性担体、およびリポソーム)。一般的に、「ベクター構築物」、「発現ベクター」、および「遺伝子導入ベクター」は、所定の遺伝子の発現を指示する能力を有し、遺伝子配列を標的細胞に移行させることができる、何らかの核酸構築物である。したがって、この用語は、ウイルスベクターはもちろん、クローニングおよび発現媒体を包含する。「プラスミド」は、染色体外遺伝因子としてのベクターである。
【0027】
選択された抗原を「コードする」核酸配列は、適当な制御配列の支配下に置かれたとき、in vivoで転写され(DNAの場合)、ポリペプチドに翻訳される(mRNAの場合)核酸配列である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドン、および3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって定められる。本発明のために、こうした核酸配列に、ウイルス、原核生物、もしくは真核生物のmRNAからのcDNA、ウイルスもしくは原核生物のDNAまたはRNAからのゲノム配列、ならびに合成DNA配列まで含めることができるが、それに限定されない。転写終結配列が、コード配列の3’側にあってもよい。
【0028】
「プロモーター」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写を開始し、調節するヌクレオチド配列である。プロモーターには、誘導性プロモーター(この場合、プロモーターに機能しうるように連結されたポリヌクレオチド配列の発現は、アナライト、コファクター、調節タンパク質などによって誘導される)、抑制性プロモーター(この場合、プロモーターに機能しうるように連結されたポリヌクレオチド配列の発現は、アナライト、コファクター、調節タンパク質などによって抑制される)、および構成的プロモーターを含めることができる。「プロモーター」もしくは「調節因子」という用語は、全長プロモーター領域、およびこれらの領域の機能的(たとえば転写もしくは翻訳を制御する)セグメントを包含するものとする。
【0029】
「機能しうるように連結される」は、記載の成分が通常の機能を果たせるように構成される、エレメントの配置を表す。したがって、核酸配列に機能しうるように連結された所定のプロモーターは、適当な酵素が存在する場合、その配列の発現を果たすことができる。プロモーターは、それが機能して配列の発現を指示する限り、配列に隣接する必要はない。したがって、たとえば、翻訳されないが転写される介在配列がプロモーター配列と核酸配列の間に存在してもよく、プロモーター配列はそれでもコード配列に「機能しうるように連結されている」と見なすことができる。
【0030】
「組換え体」は、本明細書において、ゲノム、cDNA、半合成、または合成起源の核酸分子(ポリヌクレオチド)を表すために使用され、これは、その起源もしくは操作のために、自然状態で結合しているポリヌクレオチドの全部もしくは一部と結合せず、および/または、天然で結合しているポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドと結合している。1つの組換え核酸分子の中に含まれる2つの核酸配列は、それらが自然状態で通常結合していない場合、互いに他に対して異種性である。
【0031】
本明細書において、ポリヌクレオチドの相同体に言及する。一般に、別のポリヌクレオチドに相同なポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドに対して少なくとも70%相同であり、好ましくは、少なくとも80もしくは90%、さらに好ましくは、少なくとも95%、97%もしくは99%相同である。相同性を測定する方法は当技術分野でよく知られており、当業者には当然のことであるが、このような状況において、相同性は核酸の同一性に基づいて算出される。そうした相同性は、少なくとも15個、好ましくは、少なくとも30個、たとえば、少なくとも40、60もしくは100個以上の連続するヌクレオチドの領域にわたって、存在することが考えられる。
【0032】
ポリヌクレオチド相同性もしくは同一性を測定する方法は、当分野で知られている。たとえば、UWGCG Packageは、相同性の計算に使用することができるBESTFITプログラムを提供する(たとえば、そのデフォルト設定で使用)(Devereuxら、(1984)Nucleic Acids Research 12, 387-395)。
【0033】
PILEUPおよびBLASTアルゴリズムも、たとえば、Altschul S.F. (1993) J Mol Evol 36:290-300; Altschul, S, Fら (1990) J Mol Biol 215:403-10に記載のように、相同性を計算し、または配列を並べるために使用することができる(典型的にはデフォルト設定で)。
【0034】
BLAST解析を実施するソフトウェアは、National Centre for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公開され、利用可能である。このアルゴリズムは、最初に、データベース配列において同じ長さのワードとともに整列化したとき、ある正の数の閾値スコアTとマッチする、またはそれを満足する、クエリ配列中の長さWの短いワードを同定することによって、ハイスコア配列ペア(HSP)を同定することを含むものである。Tは、隣接ワードスコア閾値と称される(Altschulら、上記)。これらの最初の隣接ワードのヒットは、それらを含むHSPを見出すために検索を開始するシードとなる。ワードヒットを、その累積アラインメントスコアが増加する限り、それぞれの配列に沿って両方向に延ばしていく。各方向のワードヒットの延長は、次の場合に中止する:1以上の負のスコアとなる残基アラインメントが蓄積するために、累積のアラインメントスコアがゼロ以下になる;またはどちらかの配列の末端に達する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、アラインメントの感度およびスピードを決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、ワードの長さ(W)11、BLOSUM62スコア行列(HenikoffおよびHenikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-10919を参照されたい)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M = 5、N = 4、および二本の鎖の比較を使用する。
【0035】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性について統計分析を行う;たとえば、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl, Acad. Sci. USA 90:5873-5787を参照されたい。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性に関する1つの測定値が、最小総和確率(P(N))であって、これは2つのヌクレオチドもしくはアミノ酸配列間のマッチが偶然生じたものである可能性の指標を与える。たとえば、第1の配列を第2の配列と比較した最小総和確率が約1未満である、好ましくは約0.1未満である、さらに好ましくは約0.01未満である、さらにもっとも好ましくは0.001未満であるならば、ある配列が別の配列に類似していると見なす。
【0036】
相同体は典型的には、関連するポリヌクレオチドと、バックグラウンドを有意に越えたレベルでハイブリダイズする。相同体とポリヌクレオチドとの相互作用によって生じるシグナルレベルは、「バックグラウンドハイブリダイゼーション」より、典型的には10倍以上強く、好ましくは100倍以上である。相互作用の強さは、たとえば、プローブを32Pで放射標識することによって、測定することができる。選択的ハイブリダイゼーションは、典型的には、中程度から高いストリンジェンシー条件(たとえば、約50℃から約60℃にて、0.03M塩化ナトリウムおよび0.003Mクエン酸ナトリウム)によって達成される。
【0037】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、50%ホルムアミド、5x Denhardt’s Solution、5x SSC、0.1% SDSおよび100μg/ml変性サケ精子DNAを包含し、洗浄条件には37℃にて2x SSC、0.1% SDS、続いて68℃にて1x SSC、0.1% SDSを含めることができる。適当なハイブリダイゼーション条件を定めることは、当分野の技術で可能である。たとえば、Sambrookら、上記、を参照されたい。
【0038】
相同体は、関連ポリヌクレオチドの配列と、3個未満、5個未満、10個未満、15個未満、20個未満、またはそれ以上の変異の数だけ異なっていると考えられる(変異はそれぞれ、置換、欠失もしくは挿入とすることができる)。これらの変異は、相同体の、少なくとも30個、たとえば少なくとも40個、60個、または100個以上の連続したヌクレオチド配列の領域にわたって、測定することができる。ポリヌクレオチドがポリペプチドをコードする場合、置換は、コードされるアミノ酸に「保存的」変化を生じることが好ましい。これは、下記の表にしたがって特徴づけられる。2列目で同じブロックにあるアミノ酸、および好ましくは3列目で同じ行にあるアミノ酸は、保存的変化として相互に置き換えることができる。
【表1】
【0039】
「個体」および「被験体」という用語は、本明細書において相互に交換可能なものとして使用され、脊索動物亜門に属する何らかの動物を指すが、脊索動物亜門は、制限なしに、ヒトおよび他の霊長類(チンパンジーおよび他の類人猿、ならびにサル類といった、ヒト以外の霊長類を含む);ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびウマといった家畜;イヌおよびネコといったペットの哺乳動物;マウス、ラットおよびモルモットといった齧歯類を含む実験動物;ニワトリ、シチメンチョウおよび他のキジ類の鳥、アヒル、ガチョウなどのような、家禽、野生、および狩猟用の鳥を含めた鳥類を包含する。この用語は、特定の年齢を指示しない。したがって、成体および新生仔個体をいずれも対象とするものとする。これらの脊椎動物のすべての免疫系は同じように機能するため、本明細書に記載の方法は、上記の脊椎動物種のいずれにも使用することを目的とする。
【0040】
B. 総括
本発明は、宿主細胞において異種コード配列、特に抗原をコードする遺伝子の効率的な発現を可能にする、核酸構築物に関する。さらに具体的には、本発明は、キメラプロモーター配列およびクローニング部位を含んでなる核酸構築物、または、実施形態によっては、基本的にキメラプロモーター配列およびクローニング部位からなる核酸構築物を提供するが、コード配列がクローニング部位に挿入される場合、そのコード配列は機能しうるようにキメラプロモーターと結合する。
【0041】
プロモーターは下記を含んでなり、またある実施形態においては、基本的に下記から構成される:
(a)hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c) hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン。
【0042】
hCMV最初期プロモーター配列(a)は下記を含んでなることができる:
(i)天然のhCMV最初期プロモーター配列;
(ii)機能的に相同な上記のバリアント;または
(iii)(i)もしくは(ii)の機能性断片。
【0043】
概して、配列(a)は、約100から600まで、好ましくは200から600まで、たとえば400から600個までのヌクレオチドを含んでなる。典型的には、配列(a)は、転写因子もしくはRNAポリメラーゼと結合した、(i)に含まれる配列を含んでなり、またはこれらの配列のいずれでもなくそれに代えて、同じ転写因子およびRNAポリメラーゼと結合することができる、これらの配列の相同体を含んでなる。一般にこうした配列もしくはその相同体は、(i)と同じ順序で、および/または実質的に同じ相対的スペーシングで、プロモーター配列(a)中に存在する。
【0044】
概して、(i)は、hCMV主要最初期遺伝子の、少なくともヌクレオチド-100から-1まで、典型的には-150から-1まで、たとえば、-500から-1まで、または-600から-1までを含んでなる。配列(i)は典型的には、hCMVコアプロモーター配列を含んでなり、さらにhCMV最初期プロモーター中に存在する1つもしくは複数のエンハンサーエレメントを含めることもできる。たとえば、(i)は、米国特許第6218140号に記載のようにヌクレオチド-118から-1まで、もしくは-524から-1まで、または米国特許第5385839号に記載のようにヌクレオチド-62から-1まで、もしくは-465から-1までを含んでなることができる。
【0045】
一般的に(i)は、プロモーター配列に共通して見られるTATAボックスまたはCAATボックスを包含する。好ましくは、この配列は、hCMV最初期プロモーター中の1つもしくは複数の反復配列を包含する。
【0046】
好ましい実施形態において、(i)は配列番号1を含んでなる。
【0047】
hCMV最初期プロモーター配列は、既知の方法によって得ることができる。天然のhCMV最初期プロモーターは、標準的な技法を用いてウイルスサンプルから直接単離することができる。たとえば、米国特許第5385839号には、hCMVプロモーター領域のクローニングが記載されている。hCMV最初期プロモーターの配列は、Genbank #M60321(hCMV Towne株)およびX17403(hCMV Ad169株)として入手可能である。したがって、天然型配列は、既知の配列に基づくPCRプライマーを用いたPCRによって単離することができる。DNAを採取し、単離するために使用される方法の記述として、たとえば、Sambrookら、上記、を参照されたい。適当なhCMVプロモーター配列は、既存のプラスミドベクターから単離することもできる。プロモーター配列は、合成によって製造することもできる。
【0048】
機能性バリアント(ii)、もしくは断片(iii)は、概して、天然型プロモーター(i)の活性を保持および/または補完するものである。典型的にはこの活性は、機能しうるように連結されたポリヌクレオチド、特にhCMV主要最初期遺伝子の転写を引き起こす能力(開始および制御する)である。ある実施形態において、バリアントおよび断片は、hCMVウイルス中の天然型プロモーターの活性を補完することができるが、これはたとえば、ウイルスが細胞に感染し、および/または細胞内で複製する能力を保持することを可能にする。
【0049】
相同なバリアント(ii)、もしくは断片(iii)の、(i)の活性を保持および/または補完する能力をアッセイすることができる。たとえば、天然hCMV最初期プロモーターが欠損した変異hCMVに機能(たとえば感染および/または複製能力)を回復させる能力について、バリアントもしくは断片をアッセイすることができる。
【0050】
下記の比較発現アッセイを用いて、相同バリアント(ii)、もしくは断片(iii)の有用性を調べることができる。テストプロモーター配列を、天然のhCMV最初期プロモーターと交換して、基本ベクターにいれる。典型的には、機能性バリアントもしくは断片は、基本ベクターを用いて与えられる発現の少なくとも約50%、たとえば、60、70、80、90%またはそれ以上の発現を可能にする。一般に発現は、少なくとも1つであるが、好ましくは2つの基準細胞型で与えられる。典型的には、基準細胞は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞とする。
【0051】
上記に加えて、または上記の代わりに、プロモーター配列を下記の比較免疫原性アッセイでテストすることができる。テストプロモーター配列を、天然のhCMV最初期プロモーターと交換して、基本ベクターにいれる。機能性プロモーター配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価と少なくとも同程度の、もしくはそれより高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターについて得られるよりも、少なくとも5%、10%、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびflu-M2抗原である。このアッセイによれば、天然型プロモーター配列(i)の機能性相同バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、この天然型配列によって達成される最も高い抗体価を可能にするものである。
【0052】
上記のように、構築物は、hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1およびエクソン2に由来する配列を含んでなる、エクソン配列(b)を含んでなることができる。エクソンは、天然の状態では一般にイントロンによって隔てられているコード配列である。天然のhCMV主要最初期遺伝子において、エクソン1およびエクソン2は通常、天然型イントロンAで隔てられている。本発明のキメラ構築物において、エクソン2配列は通常、エクソン1配列の3’側にあり、イントロン配列の介在はなく、したがってエクソン1およびエクソン2は隣接している。
【0053】
エクソン配列(b)は下記を含んでなることができる:
(i) 天然型エクソン配列、典型的にはエクソン1、および(全体もしくは一部の)エクソン2;
(ii) 機能する、(i)の相同バリアント;または
(iii) (i)もしくは(ii)の機能性フラグメント。
【0054】
配列(i)は、天然のhCMV主要最初期遺伝子エクソン1配列の約50から100%、たとえば、60から90%、または70から80%を含んでなることができる。典型的には、天然型エクソン1配列の少なくとも50%、たとえば60%、70%、80%、90%またはそれ以上が存在する。エクソン配列(b)はまた、エクソン2配列の少なくとも一部を含んでなる。配列(i)において、典型的には天然型エクソン2の2個以上の塩基が、たとえば2から9個、2から7個、または3から5個の塩基が存在する。100%を含めて100%までの天然型エクソン2配列が、たとえば天然型エクソン2配列の5から95%まで、20から80%まで、または40から60%までが、存在しうる。典型的には、相同バリアントは、天然型配列について言及された上記の長さのいずれかを有する。
【0055】
好ましくは、(i)は、配列番号2を含んでなる。
【0056】
適当なエクソン配列(b)は既知の方法によって得ることができる。DNAを採取し、単離するために使用する技術の説明については、たとえば、Sambrookら、上記、を参照されたい。天然型hCMV主要最初期遺伝子配列は、標準的な技法を用いて、ウイルスのサンプルから直接単離することができる(たとえば、MacLean, A (1998) “Preparation of HSV-DNA and Production of Infectious Virus” in Herpes Simplex Virus Protocols S. Brown, A Maclean, editors, Humana Press, Totowa, NJ, pp.19-26を参照されたい)。エクソン1およびエクソン2の部位を含むhCMV主要最初期遺伝子の配列は、Genbank #M60321, X17403として入手できる。したがって、天然型エクソン1および2配列は、天然の主要遺伝子配列を適当な制限部位で切断することによって、または既知の配列に基づくPCRプライマーを用いたPCRによって、単離することができる。あるいはまた、適当なエクソン配列は、pWRG7128のような既存のプラスミドベクターから単離することもできる。エクソン配列はまた、クローニングではなく合成によって作製することもできる。バリアント配列は、部位特異的変異誘発のような、日常的な手法によって容易に構築することができる。
【0057】
一般に、エクソン配列は、本発明の構築物に含まれる場合、発現を強めるものであって、典型的には、上記の天然型エクソン1およびエクソン2配列(i)に匹敵する増強をもたらす。
【0058】
エクソン配列の機能は、下記の比較発現アッセイによってアッセイすることができる。すでに存在するエクソン配列に代えて、テストエクソン配列を基本ベクター中に入れる。一般にエクソン配列は、その配列が少なくとも1つ、好ましくは2つの、基準細胞型において、基本ベクターと比較して発現を抑制するのではなく、むしろ発現を高めるならば、機能性である。典型的には基準細胞は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞とする。好ましくは、発現は、少なくとも5%、10%、20%、30%または40%増加する。このアッセイによれば、天然型エクソン配列(i)の機能性相同バリアント(ii)もしくは機能性断片(iii)は、天然型配列によって与えられる発現向上の少なくとも50%を可能にするものである。
【0059】
上記に加えて、もしくは上記の代わりに、エクソン配列を下記の比較免疫原性アッセイでテストすることができる。テストエクソン配列を、すでに存在するエクソン配列と交換して、基本ベクターにいれる。機能性エクソン配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価と少なくとも同程度の、もしくはそれより高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターについて得られるよりも、少なくとも5%、10%、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびflu-M2抗原である。このアッセイによれば、天然型エクソン配列(i)の機能性相同バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、この天然型配列によって達成される最も高い抗体価を可能にするものである。
【0060】
キメラプロモーター構築物は、hCMV主要最初期遺伝子の天然イントロンAの代わりに異種イントロン(c)を含んでなる。イントロンは、遺伝子から転写されたmRNAからスプライスされる非コード配列である。異種イントロンは、自然状態ではコード配列中に存在しないイントロンである。
【0061】
異種イントロン(c)が、全体として、または部分的に、hCMV主要最初期遺伝子の天然イントロンAに置き換わっている。典型的には、天然イントロンAは存在しない。
【0062】
一般に、異種イントロン(c)はエクソン配列(b)の3’側にある。
【0063】
典型的には、異種イントロン(c)は下記を含んでなる:
(i)天然のイントロン;
(ii)(i)の機能性相同バリアント;または
(iii) (i)または(ii)の機能性断片。
【0064】
異種イントロン(c)は、一般に、ウイルスもしくは真核生物のイントロンである。好ましくは、イントロンは、哺乳類のイントロンであって、特に非ヒトイントロン、たとえばラットもしくはニワトリのイントロンである。好ましくは、イントロンは、イントロンA、たとえばラットインスリンイントロンA、ニワトリケラチンイントロンA、またはニワトリ心筋アクチンイントロンAである。
【0065】
典型的には、イントロン(c)の長さは、約50ヌクレオチドから約1000ヌクレオチドまでであるが、たとえば、約100から約500ヌクレオチドまでである。イントロン(c)はたとえば、50から500ヌクレオチドまで、たとえば、最長100、200、300または400ヌクレオチドを含んでなることができる。好ましくは、イントロンは、天然のラットインスリンイントロンAのヌクレオチド約50から133までの位置に認められる配列、またはこの配列の相同体を含んでなる。
【0066】
好ましくは、異種イントロン(c)は、真核生物宿主細胞において、RNA転写物からスプライスされる能力を有する。一般に、このイントロンは、1つもしくは複数の(GTのような)ドナー配列、(AGのような)アクセプター配列、3’ピリミジンリッチ領域、およびブランチポイント配列を含んでなる。ピリミジンリッチ領域は、もしあるとすれば、たとえば、少なくとも5、8、10またはそれ以上のピリミジンを含む可能性がある。好ましくは、イントロンは、少なくとも、ドナー配列、アクセプター配列およびブランチポイント配列を含んでなる。典型的には、キメラ構築物において、イントロン(c)は、天然のイントロン(i)のイントロン/エクソン境界に見られる、エクソン配列に由来する非イントロンフランキング配列を含んでなる。このフランキングエクソン配列は、天然のエクソン配列、またはこの天然配列と同じ活性を実質的に保持する、たとえばスプライシング機能を保持する、この配列の相同体とすることができる。典型的には、5から10塩基まで、好ましくは7から10塩基までのエクソン配列がイントロンの各末端に含まれる。
【0067】
イントロン(c)は、そのイントロンが機能するならば、人工イントロンであってもよい。たとえば、組換えイントロンもしくはキメライントロンを使用することができる。こうしたイントロンは、2つ以上の天然イントロンに由来する配列を含んでなることができる。
【0068】
典型的には、イントロン(c)は、転写因子もしくは制御タンパク質と結合した、hCMVイントロンA中に存在する配列、またはこれらの配列のいずれでもなく、同じ因子もしくはタンパク質と結合することができる前記配列の相同体を含んでなる。典型的には、こうした配列もしくはその相同体は、hCMVイントロンAと同じ順序で、および/または実質的に同じ相対的なスペーシングで、イントロン(c)中に存在する。
【0069】
イントロン(c)は相同バリアント(ii)を含んでなることも可能であって、このバリアントにおいて、天然イントロン(i)の配列は改変され、配列内の制限部位が除去されている。たとえば、配列内NheI部位が損なわれた、ラットインスリンイントロンAの相同バリアントを使用することができる。
【0070】
好ましくは、イントロン(c)は下記を含んでなる:
(i)配列番号3;
(ii) (i)の機能性相同バリアント;または
(iii) (i)または(ii)の機能性断片。
【0071】
イントロン配列(c)は、標準的なクローニング技術によって得られる。たとえば、ラットインスリンイントロンA配列は、GenBank J00748として入手可能であり、ニワトリケラチンイントロンA配列はGenBank J00847として、ならびにニワトリ心筋アクチンイントロンA配列はGenBank X02212として入手できる。イントロン配列は、既知の配列に基づくプライマーを用いて、天然起源から単離することができる。合成により配列を調製してもよい。バリアント配列は突然変異誘発によって得ることができる。
【0072】
一般に、機能性イントロン配列、たとえば、機能性バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、天然イントロン(i)と実質的に同じ活性を有する、および/または天然イントロン(i)の活性を補完する配列である。ある実施形態において、この活性はスプライシング活性である。
【0073】
イントロン(c)配列のスプライシング活性を、通常のスプライシングアッセイによってテストすることができる。一般に、機能性相同体(ii)または機能性断片(iii)は、アッセイにおいて天然イントロン(i)のスプライシング効率の少なくとも50%、たとえば、60%、70%、80%、90%、ならびに100%に至るまでの、またはそれ以上の効率を示す。
【0074】
一般に、異種イントロン配列は、本発明の構築物中に存在する場合、発現を高める。典型的には、バリアント(ii)または断片(iii)イントロンは、天然イントロン(i)に匹敵する増強を引き起こすと思われる。
【0075】
潜在するイントロン配列(c)の機能性は、下記の比較発現アッセイによってテストすることができる。異種イントロンは交換して基本ベクター中に入れられる。概して、異種イントロン配列を加えることによって、少なくとも1つ、好ましくは2つの基準細胞型において、発現が基本ベクターと比較して、25%以上増加するならば、そのイントロン配列は機能している。典型的には、基準細胞は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞である。発現の増加は、少なくとも35%、45%、55%、またはそれ以上とすることができる。このアッセイによれば、天然イントロン配列(i)の機能性バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、天然配列によって達成される発現向上の50%を超える発現向上を可能にする配列である。
【0076】
上記に加えて、または上記に代えて、異種イントロン(c)配列は、下記の比較免疫原性アッセイを用いて、機能性をテストすることができる。イントロン(c)配列を基本ベクターに加える。機能性イントロン(c)配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価より高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターについて得られるよりも、少なくとも5%、10%、たとえば、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびflu-M2抗原である。このアッセイによれば、天然イントロン配列(i)の機能性バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、この天然配列によって達成される最も高い抗体価を可能にするものである。
【0077】
適当な異種イントロン配列は、標準的なクローニング技術によって得られる。たとえば、ラットインスリンイントロンA配列は、GenBank J00748として入手可能であり、ニワトリケラチンイントロンA配列はGenBank J00847として、ならびにニワトリ心筋アクチンイントロンA配列はGenBank X02212として入手できる。イントロン配列は、既知の配列データに基づくプライマーを用いて、天然起源から単離することができる。合成により適当な配列を調製することもできる。
【0078】
互いに適切に結合されてキメラプロモーターを形成する成分配列(a)、(b)および(c)は、標準的なクローニング技術もしくは分子生物学の技法によって与えられる。好ましくは、イントロン配列(c)はエクソン配列(b)の3'側に与えられる。キメラプロモーター構築物は、適当な酵素が存在するとき、そのプロモーターがクローニング部位に挿入されたコード配列の発現をもたらすように、その部位に連結される。マルチクローニング部位を含む、適当なクローニング部位が当技術分野で知られており、たとえば、pUC19、pBC SK、pBluescript II KS、cDNA3.1、pSP72、pGEM 7Zマルチクローニング部位である。
【0079】
典型的には、クローニング部位に挿入するための(または、挿入される)核酸は、治療に関連するポリペプチドをコードする。コード配列は、核酸免疫法もしくは遺伝子治療への使用に適していることが好ましい。したがって、核酸インサートは、免疫性を与えることができる配列、たとえば、被験体に送達されたときに液性および/または細胞性免疫応答を引き起こす免疫原性配列を含んでなると考えられる。あるいはまた、核酸は、治療用ポリペプチド、たとえば標的細胞ゲノムから欠損した、もしくは欠失したタンパク質、または望ましい生物学的もしくは治療上の効果(たとえば、抗ウイルス作用)を有する非天然タンパク質をコードする、1つもしくは複数の遺伝子を含んでなることもある。遺伝性疾患の治療のために、特定の疾患において欠損していることが知られている遺伝子に相当する、機能性遺伝子を被験体に投与することができる。好ましくは、核酸はDNAである。
【0080】
挿入に適した核酸には、炎症性疾患、自己免疫疾患、エイズ、癌、神経疾患、心臓血管疾患、高コレステロール血症のような疾患を含む慢性および感染性疾患;さまざまな貧血、サラセミア症、および血友病を含む、さまざまな血液疾患;嚢胞性線維症、ゴーシェ病、アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症、気腫などといった遺伝的欠損の治療に使用される核酸が含まれる。
【0081】
たとえば、固形腫瘍を治療する方法において、毒性ペプチド(すなわち、リシン、ジフテリア毒素およびコブラ毒因子)をコードする遺伝子、p53のような癌抑制遺伝子、トランスフォーミング癌遺伝子に対してアンチセンスであるmRNA、腫瘍壊死因子(TNF)ならびに他のサイトカイン類のような抗腫瘍性ペプチド、またはトランスフォーミング癌遺伝子のトランスドミナントネガティブ変異体をコードする遺伝子を、腫瘍部位に、またはその近傍に、発現のために挿入することができる。
【0082】
同様に、抗ウイルスおよび/または抗菌活性を示すことが知られているポリペプチド、または宿主免疫系を刺激することが知られているポリペプチドをコードする核酸も含めることができる。核酸は、インターロイキン、インターフェロンおよびコロニー刺激因子といった、さまざまなサイトカイン(またはその機能性断片)の1つをコードしていてもよい。核酸は、多くの病気の治療または予防のための抗原をコードしていてもよく、こうした病気には、癌、アレルギー、毒性、および病原体による感染があるがそれに限定されない。さらに前記病原体には、真菌;ウイルス、たとえば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、HIV、HSV2/HSV1、インフルエンザウイルス(A、BおよびC型)、ポリオウイルス、RSVウイルス、ライノウイルス、ロタウイルス、A型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス群、エンテロウイルス、アストロウイルス、麻疹ウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインバールウイルス、アデノウイルス、風疹ウイルス、ヒトT細胞リンパ腫ウイルス1型(HTLV-1)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、ポックスウイルス、マールブルグウイルスおよびエボラウイルス;細菌、たとえば結核菌(M.tuberculosis)、クラミジア(Chlamydia)、淋菌(N.gonorrhoeae)、赤痢菌(Shigella)、サルモネラ菌(Salmonella)、コレラ菌(Vibrio Cholera)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidua)、シュードモナス(Pseudomonas)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ブルセラ菌(Brucella)、野兎病菌(Francisella tularensis)、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリHelicobacter pylori)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、ペスト菌(Yersinia pestis)、レンサ球菌(Streptococcus)(AおよびB型)、肺炎球菌(Pneumococcus)、髄膜炎菌(Meningococcus)、b型インフルエンザ菌(Hemophilus influenza (type b))、トキソプラズマ原虫(Toxoplama gondic)、カンピロバクター症(Complybacteriosis)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、鼠径リンパ肉芽腫症(Donovanosis)、および放線菌症(Actinomycosis);真菌病原体、たとえばカンジダ症(Candidiasis)およびアスペルギルス症(Aspergillosis);寄生病原体、たとえば条虫(Taenia)、吸虫(Fluke)、線虫(Roundworm)、アメーバ症(Amebiasis)、ジアルジア症(Giardiasis)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)、住血吸虫(Schitosoma)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、トリコモナス症(Trichomoniasis)および旋毛虫症(Trichinosis)といったものがあるがそれに限定されない。また、核酸を使用して、口蹄疫、コロナウイルス、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、ヘリコバクター(Helicobacter)、普通円虫(Strongylus vulgaris)、Actinobacillus pleuropneumonia、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、大腸菌(E. Coli)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)および気管支敗血症菌(Bordetella brochiseptica)といった、多数の獣医学分野の病気に対して適当な免疫応答を提供することができる。したがって、ある態様において、本発明の核酸構築物はワクチンに用途を見出すことができる。
【0083】
ある実施形態において、核酸構築物はアジュバントをコードすることができる。したがって、コード配列を挿入するためのクローニング部位に挿入される配列は、アジュバントとして作用することができるポリペプチドをコードしていてもよい。ある好ましい場合には、コードされるアジュバントはADP-リボシル化細菌性毒素とすることができる。こうした毒素には、ジフテリア毒素(DT)、百日咳毒素(PT)、コレラ毒素(CT)、大腸菌易熱性毒素(LT1およびLT2)、シュードモナス・エンドトキシンA、シュードモナス・エンドトキシンS、セレウス菌(B. cereus)細胞外酵素、B. sphaericus毒素、ボツリヌス菌(C. botulinum)C2およびC3毒素、C. limosum細胞外酵素、ならびにウェルシュ菌(C. perfringens)、C. spiriforma、およびクロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)起源の毒素、および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)EDINがある。ほとんどのADP-リボシル化細菌性毒素は、AおよびBサブユニットを含有する。構築物はAサブユニット、Bサブユニット、および/または両方のサブユニットを発現することができる。
【0084】
好ましい例において、核酸構築物は、大腸菌易熱性毒素および/またはコレラ毒素をコードすることができるが、特に、大腸菌易熱性毒素を発現することができる。CTサブユニットAおよびB遺伝子の完全な配列に関するGenBankエントリーは、Locus VIBCTXABB(アクセッション番号D30053)に見出され、一方、LTサブユニットAおよびB遺伝子の完全な配列のGenBankエントリーは、Locus ABO116677(アクセッション番号ABO11677)に見出すことができる。
【0085】
構築物は、特定のアジュバントの、活性のあるバリアントもしくは断片を発現してもよい。このバリアントもしくは断片は、その起源である元のポリペプチドのアジュバント活性の少なくとも一部を保持しているならば、活性があるといえる。したがって、バリアントおよび/または断片は、抗原とともにアジュバントが投与されない場合に見られる免疫応答と比較して、依然として、特定の抗原に対する免疫応答を増強することができる。コードされる配列は、CTのAおよび/またはBサブユニットの活性断片もしくはバリアントであってもよいが、特に、LTのAおよび/またはBサブユニットの活性断片とすることができる。
【0086】
毒素サブユニットは、天然に存在するシグナル配列を欠失させておくことができる。天然に存在する外毒素サブユニットは、解毒するよう修飾しておくことができる。Aサブユニットは、ADPリボシルトランスフェラーゼ活性を妨害し、不活化するように修飾しておくことができる。
【0087】
したがって、本発明のアジュバント構築物は、特定の抗原に対する免疫応答を強めるために使用することができる。増強された免疫応答は、程度の大きい、または持続期間の長い免疫応答を含む可能性がある。それは、抗原に再遭遇したときの免疫応答が、アジュバントが与えられなかった場合より大きいことを意味するものと考えられる。増強された免疫応答は、結果として高い抗体価をもたらすことができる。一部の構築物の場合、および特に外毒素サブユニットを発現する構築物の場合、アジュバントは、当該抗原に対する細胞性応答の増大、およびTヘルパー1様免疫応答をもたらすことができる。
【0088】
クローニング部位に挿入する核酸は、ポリアデニル化(ポリA)配列を包含することができる。このポリA配列は、一般にコード配列にもともと存在する。あるいはまた、異種ポリA配列を本発明の核酸配列中に与えることができる。典型的には、ポリA配列は、クローニング部位の下流に与えられ、クローニング部位に挿入されるコード配列に機能しうるように連結される。標準的なクローニング技法によって、何らかの適当なポリA配列を構築物に含めることができる。こうしたポリA配列は当技術分野で知られている。
【0089】
ポリA配列は、下記とすることができる:
(i) 天然のポリA配列;
(ii) (i)の機能性相同バリアント;または
(iii) (i)または(ii)の機能性断片。
【0090】
天然のポリA配列(i)は、たとえば、ウサギβグロビン遺伝子ポリA、ヒトパピローマウイルス(HPV)初期もしくは後期遺伝子ポリA、HSV-2gB遺伝子ポリA、サルCMV最初期遺伝子ポリA、またはHSV gD後期遺伝子ポリAとすることができる。
【0091】
好ましくは天然のポリA配列(i)は、配列番号10(GenBank K03256)、配列番号11(GenBank M16019)、配列番号12(GenBank Z80699)および配列番号13(GenBank K02718)からなる一群から選択される。
【0092】
一般に、機能性ポリA配列は、ポリアデニル化活性を保持する配列である。
【0093】
ポリA配列がRNA転写物のポリアデニル化をもたらす能力を、通常の発現アッセイによってテストすることができる。機能性相同バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、典型的には、アッセイにおいて、天然のポリA配列の、少なくとも50%、たとえば、60%、70%、80%、またはそれ以上のポリA活性を示す。
【0094】
概して、ポリA配列は、本発明の構築物中に存在する場合、発現を強め、典型的には、上記の天然ポリA配列(i)に匹敵する増強をもたらす。
【0095】
ポリA配列は、また、下記の比較発現アッセイによって機能をアッセイすることができる。テスト・ポリA領域を、RBGpAと交換して基本ベクター中に入れる。テスト・ポリAは、そのポリAが少なくとも1つ、好ましくは2つの基準細胞型において、基本ベクターと比較して、発現を抑制するのではなく、むしろ発現を増加させるのであれば機能性であると見なす。好ましくは、発現は少なくとも5%、10%、20%、30%、40%または50%以上増加する。好ましい細胞型は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞である。このアッセイによれば、相同バリアント(ii)もしくは断片(iii)は、天然ポリA配列(i)によって達成される発現向上の50%を超える発現向上を可能にするならば、機能性である。
【0096】
上記の代わりに、もしくは上記に加えて、ポリA配列を下記の比較免疫原性アッセイでテストすることができる。ポリA配列を、RBGpAと交換して基本ベクターにいれる。機能性ポリA配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価と少なくとも同程度の、もしくはそれより高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターで達成される抗体価よりも、少なくとも5%、10%、たとえば、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびFlu-M2抗原である。相同バリアント(ii)または断片(iii)は、この天然ポリA配列(i)によって達成される最も高い抗体価を可能にするならば、機能性である。
【0097】
核酸構築物は、クローニング部位に挿入されるコード配列の発現に影響を与える、追加の制御配列を包含してもよい。構築物は、非翻訳リーダー配列を包含することができる。この配列は、キメラプロモーターと、したがってクローニング部位に挿入されたコード配列とも、機能しうるように結合した構築物中に与えられる。リーダー配列は、挿入されたコード配列の発現のための翻訳開始部位を与え、典型的にはKozak配列を包含する。
【0098】
典型的には、非翻訳リーダー配列は下記を含んでなる:
(i) 天然の非翻訳リーダー配列;
(ii) (i)の機能性相同バリアント;または
(iii) (i)または(ii)の機能性断片。
【0099】
一般に、天然の配列(i)は、真核生物の配列またはウイルスの配列であって、特に、真核生物に感染するウイルスの配列である。好ましくは天然の配列(i)は、HBVまたはHSV配列であって、たとえば、HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、またはHSV タイプ 2gD抗原配列である。特に好ましくは、(i)は、配列番号5,配列番号6および配列番号7からなる一群から選択される。
【0100】
典型的には、リーダー配列は、転写成分もしくは調節タンパク質と結合する、(i)中に存在する配列、または同じ成分もしくはタンパク質と結合する能力を有する、前記配列の相同体を含んでなる。典型的には、こうした配列またはその相同体は、(i)と同じ順序で、および/または実質的に(i)と同じ相対的スペーシングで、リーダー配列中に存在する。一般にリーダー配列は、挿入されたコード配列の発現のための翻訳開始部位を含んでなる。典型的にはリーダー配列は、Kozak配列を包含する。
【0101】
一般に、非翻訳リーダー配列の長さは、約10から約200ヌクレオチド、たとえば、約15から150ヌクレオチド、好ましくは15から約130ヌクレオチドまでである。たとえば、15、50、75、または100ヌクレオチドを含んでなるリーダー配列を使用することができる。
【0102】
概して、機能性非翻訳リーダー配列は、機能しうるようにリーダー配列と結合しているコード配列の、発現のための翻訳開始部位を提供することができる配列である。典型的には、機能性バリアント(ii)または断片(iii)は、通常、その配列と機能しうるように結合しているコード配列の発現を促進し、または増強することにおいて、天然の配列(i)と実質的に同じ活性を有し、および/または(i)の活性を補完する。
【0103】
バリアント(ii)または断片(iii)の非翻訳リーダー配列としての活性を、天然のリーダー配列と比較して、標準的な方法によって、テストすることができる。たとえば、天然のリーダー配列(i)を、その本来のコード配列と機能しうるように連結して含んでなる、発現ベクターを調製することができ、適当な宿主細胞、たとえば哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞において発現をモニターすることができる。天然のリーダー配列が相同バリアントまたは断片で置き換えられたテスト構築物を調製することができ、同じ宿主細胞においてやはり発現をモニターすることができる。一般に、バリアント(ii)または断片(iii)は、天然の配列によって与えられる発現の少なくとも50%、たとえば60%、70%、80%、90%、または100%以上を与える。
【0104】
潜在的リーダー配列の有用性を下記の比較発現アッセイにおいて、テストすることもできる。テスト・リーダー配列をHBV preS2 5'UTRと交換して基本ベクターに入れる。機能性リーダー配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの基準細胞型において、基本ベクターと比較して、発現を抑制せず、好ましくは発現を増加させる。一般に、発現は少なくとも5%、10%、20%、30%、40%または50%増加する。好ましい細胞型は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞である。このアッセイによれば、相同バリアント(ii)もしくは断片(iii)は、天然リーダー配列(i)によって達成される発現向上の50%を超える発現向上を可能にするならば、機能性である。
【0105】
上記の代わりに、もしくは上記に加えて、リーダー配列の活性を下記の比較免疫原性アッセイでテストすることができる。リーダー配列を、HBV preS2 5'UTRと交換して基本ベクターにいれる。機能性リーダー配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価と少なくとも同程度の、もしくはそれより高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターで達成される抗体価よりも、少なくとも5%、10%、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびFlu-M2抗原である。相同バリアント(ii)または断片(iii)は、天然リーダー配列(i)によって認められる最も高い抗体価を可能にするならば、機能性である。
【0106】
標準的な方法によって適当なリーダー配列を得ることができる。たとえば、HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、およびHSV タイプ 2gD抗原配列は、それぞれGenBank M54923、M54923およびZ86099として利用可能である。この既知の配列に基づいて、プライマーをデザインし、それを用いて相同配列を単離することができる。リーダー配列は、既知の配列に基づいて合成してもよい。
【0107】
核酸構築物はエンハンサー配列を包含することができる。エンハンサー配列は、典型的にはクローニング部位の3'側に、キメラプロモーターおよび挿入されたコード配列の両者と機能しうるように結合した状態で与えられ、挿入された配列の転写を増加させるように作用する。
【0108】
一般に、エンハンサーは下記を含んでなる:
(i) 天然エンハンサー;
(ii) (i)の機能性相同バリアント;または
(iii) (i)もしくは(ii)の機能性断片。
【0109】
エンハンサー配列は概して、約50から約850ヌクレオチド、たとえば、約75から約500ヌクレオチドを含んでなる。約100、200、300、または400ヌクレオチドからなるエンハンサーを使用することができる。
【0110】
典型的には、(i)は真核生物またはウイルスのエンハンサーであって、特に真核生物に感染するウイルスのエンハンサーである。通常、こうしたエンハンサーは、遺伝子の3'非翻訳領域(3'UTR)に存在する。好ましくは、(i)は、HBVまたはCMVエンハンサーであり、たとえば、HBs Ag 3'UTRまたはサルCMV最初期遺伝子3'UTRである。好ましくは、(i)は配列番号8または配列番号9を含んでなる。
【0111】
一般に、構築物中のエンハンサーは、たとえば転写因子のような、転写成分もしくは調節タンパク質と結合する、(i)中に見られる配列、または同じ成分もしくはタンパク質と結合する、前記配列の相同体を含んでなる。好ましくは、こうした配列は、(i)と同じ順序で、および/または実質的に(i)と同じ相対的スペーシングで、エンハンサー中に存在する。
【0112】
概して、機能性エンハンサーは、機能しうるようにエンハンサー配列と結合しているポリヌクレオチド、たとえばコード配列の発現を増強し、高めるものである。典型的には、機能性相同バリアント(ii)または断片(iii)は、天然エンハンサー(i)の活性と実質的に同じ活性を有し、および/または(i)の活性を補完する。
【0113】
エンハンサートラップアッセイによって、エンハンサー活性をアッセイすることができる。手順は当技術分野において公知である。機能性相同バリアント(ii)または断片(iii)は、好ましくは、上記アッセイにおいて天然エンハンサーの示すエンハンサー活性の、少なくとも50%の活性を与える。典型的には、その活性は、天然エンハンサーの活性の少なくとも60%、70%、80%、90%、100%、またはそれ以上である。一般に、機能性バリアント(ii)または断片(iii)は、アッセイにおいて、天然エンハンサーの活性を補完することができる。
【0114】
エンハンサーの有効性を、下記の比較発現アッセイによって調べることもできる。テスト3'UTR配列を交換によって基本ベクターに入れる。3'UTRが、アッセイで基本ベクターと比較して、少なくとも1つ、好ましくは2つの基準細胞型において、発現を抑制することなく、むしろ発現を高めるならば、その3'UTRは有用である。好ましくは、発現は少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、または50%増加する。好ましい細胞型は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞である。このアッセイによれば、相同バリアント(ii)もしくは断片(iii)は、天然エンハンサー配列(i)によって達成される発現向上の50%を超える発現向上を可能にするならば、機能性である。
【0115】
上記に加えて、または上記の代わりに、エンハンサー配列を下記の比較免疫原性アッセイでテストすることができる。3'UTRを交換によって基本ベクターにいれる。機能性エンハンサー配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価と少なくとも同程度の、もしくはそれより高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターよりも、少なくとも5%、10%、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびFlu-M2抗原である。相同バリアント(ii)または断片(iii)は、この天然エンハンサー配列によって認められる最も高い抗体価を可能にするならば、機能性である。
【0116】
適当なエンハンサー配列は、標準的なクローニング法によって得られる。たとえば、HBsAg 3'UTR配列もしくはサルCMV最初期遺伝子3'UTR配列は、GenBank AF143308およびM16019で入手できる。この既知の配列に基づいて、プライマーをデザインすることができ、これを用いて相同配列を単離することができる。
【0117】
好ましい実施形態において、核酸構築物は、挿入されたコード配列の効率的な発現のために、異種ポリA配列、異種リーダー配列および異種エンハンサーを、いずれも、キメラプロモーターと機能しうるように結合した状態で含んでなる。
【0118】
別の態様において、本発明はまた、下記を含んでなる、または場合によっては基本的に下記で構成される、核酸構築物を提供する:
(i) プロモーター配列;
(ii) HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列またはHSV タイプ 2gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;および
(iii) (i)および(ii)と機能しうるように連結されたコード配列であって、そのコード配列が非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記コード配列。
【0119】
典型的には、プロモーター配列(i)は、ウイルスまたは真核生物プロモーター配列に由来する。プロモーター配列は、天然プロモーター配列、天然配列の機能性相同体、または両者の機能性断片とすることができる。適当な天然プロモーターには、たとえば、hCMV最初期プロモーター、仮性狂犬病ウイルス(PRV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターがある。好ましくは、天然プロモーターは、配列番号52または配列番号53を含んでなる。
【0120】
上記のキメラプロモーターのような人工プロモーター構築物を使用してもよいが、ただしそのプロモーターが機能することが条件である。
【0121】
機能性プロモーター配列は、一般に、適当な宿主細胞において機能しうるように結合したコード配列の転写を引き起こすこと(開始および制御することを含む)ができる配列である。
【0122】
プロモーター配列は、通常の発現アッセイによってプロモーター活性をテストすることができる。天然プロモーター配列の機能性相同体もしくは断片は、典型的には、こうしたアッセイで天然配列によって与えられる発現の、少なくとも50%、たとえば、少なくとも60、70、80または90%をもたらす。
【0123】
非翻訳リーダー配列(ii)は、上記の通りである。適当なコード配列(iii)は、キメラプロモーター構築物に関連してすでに記載したものを包含する。しかしながら、本発明のこの態様において、コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である。この構築物は、典型的には、既述のようにコード配列の本来のポリA配列、または構築物において異種ポリA配列として与えられるポリA配列を包含する。適当なポリA配列はすでに記載した。構築物は、コード配列の3'側にエンハンサー配列を追加して包含することができる。適当なエンハンサー配列は、キメラプロモーター構築物に関連して上記に記載している。
【0124】
もう一つの態様において、本発明は、下記を含んでなる、または、実施形態によっては基本的に下記で構成される、核酸構築物を提供する:
(i) プロモーター配列;
(ii) プロモーター配列(i)に機能しうるように結合したコード配列;および
(iii) コード配列(ii)の3'側に、機能しうるように結合したエンハンサー配列;
上記において、エンハンサー配列(iii)は、HBsAg配列の3'UTR、またはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、コード配列(ii)は、エンハンサー配列に対して異種性である。
【0125】
この構築物は、キメラプロモーター構築物に関連してすでに記載したような非翻訳リーダー配列を包含することができる。
【0126】
典型的には、プロモーター配列(i)は、ウイルスまたは真核生物プロモーター配列に由来する。プロモーター配列は、天然プロモーター配列、天然配列の機能性相同体、または両者の機能性断片とすることができる。適当な天然プロモーターには、たとえば、hCMV最初期プロモーター、仮性狂犬病ウイルス(PRV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターがある。好ましくは、天然プロモーターは、配列番号52または配列番号53を含んでなる。
【0127】
上記のキメラプロモーターのような人工プロモーター構築物を使用してもよいが、ただしそのプロモーターが機能することが条件である。
【0128】
機能性プロモーター配列は、一般に、適当な宿主細胞において機能しうるように結合したコード配列の転写を引き起こすこと(開始および制御することを含む)ができる配列である。
【0129】
プロモーター配列は、通常の発現アッセイによってプロモーター活性をテストすることができる。天然プロモーター配列の機能性相同体もしくは断片は、典型的には、こうしたアッセイで天然配列によって与えられる発現の、少なくとも50%、たとえば、少なくとも60、70、80または90%をもたらす。
【0130】
適当なコード配列(ii)は、キメラプロモーター構築物に関連してすでに記載したものを包含する。しかしながら、この態様において、コード配列は3'エンハンサー配列に対して異種性である。この構築物のエンハンサー配列(iii)は上に記載した。この構築物はまた、典型的には、ポリA配列を包含する。キメラプロモーター構築物の場合と同様に、このポリA領域はコード配列(ii)の本来のものであってもよく、または構築物において異種ポリA成分として与えられてもよい。
【0131】
本発明のいかなる態様による構築物も、シグナルペプチド配列を包含することができる。シグナルペプチド配列は、プロモーターと結合して機能するように挿入され、その結果シグナルペプチドは発現され、やはりプロモーターに機能しうるように結合したコード配列によってコードされる、ポリペプチドの分泌を促進する。
【0132】
典型的には、シグナルペプチドは、10から30アミノ酸、たとえば15から20アミノ酸からなるペプチドをコードする。多くの場合アミノ酸は、主に、疎水性である。典型的な状況において、シグナルペプチドは、そのシグナルペプチドを有する成長ポリペプチド鎖を、発現細胞の小胞体に向けて導く。シグナルペプチドは小胞体内で切断されてはずれ、ゴルジ装置を通してポリペプチドの分泌を可能にする。
【0133】
本発明に使用するシグナルペプチドは、下記を包含することができる:
(i) 天然シグナルペプチド配列;
(ii) シグナルペプチド活性を保持する、(i)の相同バリアント;または
(iii) シグナルペプチド活性を保持する、(i)もしくは(ii)の断片。
【0134】
配列(i)は、たとえば、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子シグナルペプチド(hTPAsp)(GenBank L00141)、アプロチニンシグナルペプチド(GenBank AAD13685)、タバコ エクステンシンシグナルペプチド(GenBank JU0465)、またはニワトリ リゾチームシグナルペプチド(GenBank AF10481)とすることができる。
【0135】
本発明で使用するのに適したシグナルペプチドは、異種タンパク質の分泌を可能にするものである。機能するシグナルペプチドは、テストシグナルペプチドの効果を既知のシグナルペプチド-たとえば、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子シグナルペプチド(hTPAsp)-の効果と比較し、さらにシグナルペプチドなしの効果と比較するアッセイにおいて、同定することができる。下記に述べる比較発現アッセイを用いるが、次のような変更を加えることができる。テストシグナルペプチドを有する基本ベクター、hTPAspを有する基本ベクター、またはシグナルペプチドなしの基本ベクターのいずれかを含有する、分泌発現ベクターを構築する。天然に存在するシグナルペプチドを欠いた、ポリペプチドのコード配列をベクターに挿入し、そのベクターを基準宿主細胞に形質転換する。好ましくは、細胞は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞である。細胞培養液のポリペプチド発現レベルを分析する。機能性シグナルペプチドは、少なくとも1つ、好ましくは2つのポリペプチドとともにシグナルペプチドを欠いたベクターよりも高レベルの、ポリペプチドの分泌を可能にする。典型的には、分泌は5%以上高いが、より好ましくは10%以上高く、たとえば20または50%以上高い。典型的には、分泌レベルはhTPAspを用いて得られレベルに匹敵する。
【0136】
コードされたタンパク質の、発現細胞外への分泌を可能にすることは、特に、そのタンパク質が抗原である場合には、多大な利点をもたらすことができる。たとえば、抗原分泌の増加は、免疫細胞(マクロファージ、ランゲルハンス細胞、B細胞、T細胞など)による抗原の取り込み、および応答の増大を可能にし、抗原が血流およびシグナル細胞(サイトカイン)に到達できる能力を与え、抗原が細胞リガンドを見出して機能を果たすことを可能にし(抗体、毒素、たとえばコレラ毒素、大腸菌LT)、さらに正常な細胞生化学プロセス(細胞受容体)に関与することを可能にする。
【0137】
本発明の核酸構築物は、プラスミド発現ベクターの形をとることができる。そこで、ベクターは、複製開始点、または選択遺伝子といった、追加のエレメントを包含することができる。こうしたエレメントは、当技術分野で知られており、標準的な技法によって含めることが可能である。ある実施形態において、プラスミドベクターは配列番号14の配列を有する。あるいはまた、構築物は、ウイルスベクター構築物中に含まれていてもよい。
【0138】
ある実施形態において、本発明の核酸構築物は、本明細書に明記されたキメラプロモーターを2つ以上含んでなることがある。したがって、その構築物は複数のキメラプロモーターを含んでなり、特に構築物は、2、3、4、5または6個以上のキメラプロモーターを有する可能性がある。キメラプロモーターは、コード配列挿入のためのクローニング部位に、それぞれ別個に機能しうるように連結されることが好ましい。したがって、この構築物は、2、3、4、5または6個以上のコード配列を発現する可能性がある。発現されるコード配列は、本明細書に記載のいずれでもよい。好ましい場合において、構築物は、それぞれコード配列を機能しうるように結合した2つのキメラプロモーターを有する。特に、この2つのプロモーターは、互いに離れて転写されることがある。
【0139】
詳細には、2つのプロモーターを有する構築物は、ADP-リボシル化作用のある細菌性毒素のAおよびBサブユニット(本明細書に記載のいずれでもよいが好ましくはLTAおよびBサブユニット)を発現することができる。
【0140】
構築物が複数のキメラプロモーターを有する場合には、各プロモーターは、上記の配列のいずれを包含してもよく、または機能しうるように結合していてもよい。特に好ましい例において、1つもしくは複数のプロモーターの異種イントロンは、ラットインスリン遺伝子イントロンA配列とすることができる。1つもしくは複数のキメラプロモーターはまた、HSV-2gB pre-S2の5'UTRを含んでなることも好ましい。1つもしくは複数のプロモーターは、ラットβグロビン遺伝子のポリアデニル化配列を含んでなることもある。
【0141】
好ましい状況において、本発明の核酸構築物は、2つのキメラプロモーター配列を包含することができるが、それぞれのプロモーターは、コード配列が挿入されるクローニング部位に機能しうるように連結されており、この場合、それぞれのキメラプロモーターは
(a) hCMV最初期プロモーター配列;
(b) hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c) hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン、
を含んでなり、一方のキメラプロモーターに機能しうるように結合したコード配列はLTAサブユニットをコードし、もう一方に結合したコード配列はLTBサブユニットをコードする。したがって、この構築物は2つのサブユニットをいずれも発現することができる。好ましくは:
-各プロモーターの異種イントロンはラットインスリン遺伝子イントロンA配列である;
-各LTサブユニットをコードする配列は、HBV pre-S2の5'UTRに機能しうるように結合している;および/または
-それぞれのLTをコードする配列は、ラットβグロビン遺伝子ポリアデニル化配列に機能しうるように連結される。
【0142】
本発明のポリヌクレオチド構築物は実質的に、細胞もしくは細胞物質を含まない、または細胞もしくは細胞物質を伴うことがある。構築物は実質的に単離された形をとる、または、実質的に精製された形をとることができるが、その場合、構築物は、概して、標品中の乾燥質量の少なくとも90%、たとえば少なくとも95%、98%または99%のポリヌクレオチドを含んでなる。
【0143】
プロモーターに機能しうるように結合しているポリヌクレオチドの発現のために、本発明の核酸分子を適当な宿主細胞にデリバリーすることができる。好ましくは、宿主細胞は哺乳動物細胞であり、特にヒト細胞である。核酸のそうした細胞へのデリバリーのための適当な方法は、当技術分野において知られており、たとえば、デキストランを介したトランスフェクション、リン酸カルシウム沈澱、エレクトロポレーションおよび核内への直接的なマイクロインジェクションがある。
【0144】
上記のように、構築物中の核酸コード配列は、治療に関わるポリペプチドをコードすることができる。したがって、本発明の構築物は、標準的な遺伝子デリバリー法用いた核酸免疫法もしくは遺伝子治療に使用することができる。遺伝子デリバリーに適した方法は、当技術分野で知られており、下記に検討するとおりである。核酸分子は、直接被験体にデリバリーすることができる、あるいはまたex vivoで被験体由来の細胞にデリバリーされ、その後その細胞は被験体に再移植される。
【0145】
核酸免疫法もしくは遺伝子治療に使用するために、核酸構築物を、従来型の医薬品として調剤することができる。これは、標準的な医薬品製剤化学および方法論によって行うことができ、当業者に利用可能である。たとえば、1つもしくは複数の核酸配列を含有する組成物(たとえば、DNAプラスミドのような適当なベクターの形で存在する)を、1つもしくは複数の製薬上許容される賦形剤もしくはビヒクルと組み合わせて、液体製剤を与えることができる。
【0146】
湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝物質などといった補助的物質が賦形剤もしくはビヒクル中に含まれていてもよい。これらの賦形剤、溶媒および補助的物質は一般に、過度の毒性なしに投与することができる医薬用物質であり、ワクチン組成物の場合、組成物を投与された個体において免疫応答を引き起こさない物質である。製薬上許容される賦形剤には、水、生理食塩水、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、グリセロールおよびエタノールといった液体があるがそれらに限定されない。製薬上許容される塩には、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などのような無機酸塩;ならびに酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などのような有機酸の塩を含めることができる。また、必須ではないにしても、特にペプチド、タンパク質もしくは他の類似の分子に対して、それらが組成物中に存在するものならば、安定化剤としての機能を果たす、製薬上許容される賦形剤を製剤が含有することも好ましい。ペプチドに対する安定化剤としても作用する、適当な担体の例としては、医薬品グレードのブドウ糖、ショ糖、乳糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストランなどが挙げられるが限定するものではない。他の適当な担体には、デンプン、セルロース、リン酸ナトリウムもしくはカリウム、クエン酸、酒石酸、グリセリン、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)、およびそれらの組み合わせがあるが、やはり限定するものではない。製薬上許容される賦形剤、溶媒および補助的物質に関する詳細な検討は、REMINGTON'S PHARMAVEUTICAL SCIENCES (Mack Pub. Co., N. J. 1991)で入手可能であり、参考として本明細書に含めるものとする。
【0147】
核酸の取り込み、および/または発現のある種の促進剤(「トランスフェクション促進剤」)も、組成物に含めることができるが、これは、たとえば、ブピバカイン、心臓毒、およびショ糖といった促進剤、ならびに、核酸分子のデリバリーに通常使用される、リポソーム製剤もしくは脂質製剤といったトランスフェクション促進ビヒクルである。アニオン性および中性リポソームは、広範に利用可能であって、核酸分子のデリバリーでよく知られている(たとえば、Liposomes: A Practical approach, (1990) RPC New Ed., IRL Pressを参照されたい)。カチオン性脂質製剤も、核酸分子のデリバリーで使用される、よく知られた媒体である。適当な脂質製剤には、リポフェクチン(LipofectinTM)の商標名で利用可能なDOTMA (N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム クロリド)、およびDOTAP (1,2-ビス(オレイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニオ)プロパン)があり、たとえばFelgner et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7416; Malone et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6077-6081; 米国特許第5,283,185号および第5,527,928号、ならびに国際公開番号WO 90/11092、WO 91/15501およびWO 95/26356を参照されたい。これらのカチオン性脂質は、好ましくは中性脂質、たとえばDOPE(ジオレイル ホスファチジルエタノールアミン)とともに使用される。上記脂質もしくはリポソーム製剤に添加することができる、さらに他のトランスフェクション促進組成物には、スペルミン誘導体(たとえば、国際公開番号WO 93/18759を参照されたい)、ならびに膜透過性にする化合物、たとえばGALA、グラミシジンSおよびカチオン性胆汁酸塩(たとえば、国際公開番号WO 93/19768を参照されたい)がある。
【0148】
あるいはまた、本発明の核酸分子を微粒子担体に封入、吸着、もしくは結合することができる。適当な微粒子担体には、ポリメチルメタクリレート重合体から得られる微粒子担体、ならびにポリ(ラクチド)およびポリ(ラクチド-グリコリド)共重合体から得られるPLG微粒子がある。たとえば、Jefferyら、(1993) Pharm. Res. 10:362-368を参照されたい。他の微粒子系および重合体、たとえばポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、スペルミン、スペルミジン、といった重合体、ならびに前記分子の複合体も使用することができる。
【0149】
調剤すると、さまざまな既知の経路および方法によって、組成物を、in vivoで被験体に投与することができる。たとえば、液体製剤は、注射剤、懸濁剤、乳濁剤として与えられ、非経口、皮下、皮内、筋肉内、静脈内注射によって、従来の注射針と注射器を用いて、または液体ジェット注射システムを用いて、投与することができる。液体製剤はまた、皮膚もしくは粘膜組織に局所的に投与することも可能であり、または呼吸器もしくは肺投与に適した微細なスプレーとして与えることもできる。他の投与法には、経口投与、座剤、および能動または受動経皮デリバリー法がある。
【0150】
あるいはまた、組成物はex vivoで投与され、たとえば、形質転換細胞の被験体へのデリバリーおよび再移植が知られている(たとえば、デキストランを介したトランスフェクション、リン酸カルシウム沈澱、エレクトロポレーションおよび核内への直接的なマイクロインジェクション)。
【0151】
組成物は、投薬形態に適合する量で、しかも予防および/または治療に有効な量で、被験体に投与される。適切な有効量は、比較的広い範囲となるが、日常的な試行によって当業者により容易に決定される。"Physicians Desk Reference"および"Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics"は、必要量を決定するために役立つ。たとえば、一般に、ポリヌクレオチドの有効な用量は、約0.001から1000μg、さらに好ましくは0.01から10.0μgまでの範囲に含まれると予想される。
【0152】
ある例において、本発明の核酸構築物は、別の核酸構築物と併せて使用することができる。ある場合において、核酸構築物は、アジュバントの発現を目的とする、本明細書に記載の構築物の一つであり、もう一つの構築物は1つもしくは複数の抗原をコードする構築物とすることができる。好ましい場合において、2つの構築物はいずれも、本発明のキメラプロモーターを用いることができる。
【0153】
一方の構築物がアジュバントを発現し、他方の構築物が1つ、もしくは複数の抗原を発現する場合、抗原は特にHSVまたは肝炎ウイルス(なかでもB型肝炎ウイルス)起源とすることができる。抗原は、詳細には、HSV ICPO、ICP4、ICP22および/またはICP27抗原とすることができるが、好ましくは4つすべてである。これらの抗原が発現する場合、アジュバント構築物は特に、LTAおよび/またはLTBを発現することができるが、好ましくは両方を発現する
2つの構築物は、別々に投与されても、同時に、もしくは順次投与されてもよい。2つの構築物は、同一の組成物として、または異なる組成物として投与することができる。特に、一方の構築物がアジュバント効果を有する場合、2つの構築物が投与されると、アジュバント効果が見られる、すなわち、生じる免疫応答が、アジュバントが抗原とともに投与されなかった場合より大きい、および/または長期間続く。好ましい例において、2つの構築物は、同一の組成物中で、好ましくは同一の担体粒子上で投与される。
【0154】
好ましい実施形態において、本発明の核酸構築物は、粒子を介したデリバリー法によって標的細胞にデリバリーされる。核酸製剤をデリバリーするための、粒子を介した方法は、当技術分野で知られている。
【0155】
粒子を介したデリバリーのための粒子は、当技術分野において知られているさまざまな技術を用いて、本発明の核酸分子を担体粒子(たとえば、コア担体)上にコーティングすることによって作製することができる。担体粒子は、典型的には粒子を介したデリバリーデバイスからの細胞内デリバリーに使用される粒径の範囲内で適当な密度を持つ材料から選択される。典型的には、担体粒子は、0.1から5μmまで、たとえば0.5から3μmまで、好ましくは1から2μmまでの粒径である。担体粒子の最適な粒径は、当然、標的細胞の直径によって決まる。あるいはまた、金コロイド粒子を使用することができるが、この場合、コーティングされた金コロイドは、組織(たとえば、皮膚もしくは筋肉)に投与(たとえば、注射)され、その後、免疫担当細胞によって取り込まれる。
【0156】
通常、担体粒子は、不活性金属から選択される。金属は、生理学的に活性ではなく、不活性である。本発明の目的では、タングステン、金、白金およびイリジウム担体粒子を使用することができる。タングステンおよび金の粒子が好ましい。タングステン粒子は平均粒径0.5から2.0μmのものが容易に利用できる。こうした粒子は、粒子加速デリバリー法に使用するために最適の密度を有し、DNAによる非常に効率的なコーティングが可能ではあるが、タングステンは潜在的にある種の細胞に対して毒性があるかもしれない。金粒子または微結晶性の金(たとえば、金粉A1570、Engelhard Corp., East Newark, NJより入手可能)も、本発明の方法で使用することができる。金粒子はサイズの均一性(粒径1-3μmがAlpha Chemicalsより、0.95μmを含むさまざまな粒径のものがDegussa, South Plainfield, NJより入手可能)、および毒性の低下を与える。金の微結晶はさまざまな粒径分布を提供し、典型的には0.1-5μmの範囲である。しかしながら、微結晶性金の不規則な表面積は、非常に効率的な核酸によるコーティングを与える。
【0157】
金またはタングステン粒子上にDNAもしくはRNAをコーティングし、または沈澱させるいくつかの方法が知られており、記載されている。そうした方法の大半は、概して、あらかじめ定められた量の金またはタングステンを、プラスミドDNA、CaCl2およびスペルミジンと混合する。得られた溶液を、コーティングが進行する間、連続してボルテックスで撹拌し、反応混合物の均一性を確保する。核酸の沈澱後、コーティングされた粒子を適当な膜に移して使用前に乾燥させる、サンプルモジュールもしくはカセットの表面上にコーティングする、または特定の、粒子を介したデリバリー装置に使用するデリバリーカセット内に加えることができる。
【0158】
別の方法として、本発明のポリヌクレオチドを、粒子状組成物として製剤することができる。製剤は、上記の標準的な医薬製剤化学によって行うことができる。たとえば、ポリヌクレオチドを、1つもしくは複数の製薬上許容される賦形剤もしくはビヒクルと混合し、適当な組成物を与えることができる。調剤された組成物を次に、単純な蒸発(風乾)、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥、噴霧コーティング、沈澱、超臨界流体粒子製剤などといった標準的な技法を用いて、粒子として調製する。必要ならば、国際公開番号WO 97/48485(参考として本明細書に含める)に記載の技法を用いて、得られた粒子の密度を高めることができる。
【0159】
上記の方法を用いて、大きさが約0.01から約250μmまで、好ましくは、約10から150μmまで、もっとも好ましくは約20から60μmまでであって、粒子密度が約0.1から約25g/cm3まで、容積密度が約0.5から約3.0g/cm3までの範囲、もしくはそれ以上である、核酸粒子を得ることができる。
【0160】
粒子が形成されたら、核酸分子を含んでなる粒子を単回投与製剤または複数回投与容器に詰めることができる。こうした容器は、適当量の粒子を封入した気密封止容器を含めることができる。粒子を、滅菌製剤として詰めることができるので、気密封止容器は、被験体への投与で使用するまで製剤の無菌性を保つように設計される。容器は、粒子を介したデリバリーデバイスにそのまま使用するのに適していることが好ましい。典型的には、こうした容器は、カプセル、ホイルパウチ、包、カセットなどの形をとる。粒子デリバリーデバイスは、適当な量の粒子を含有し、あらかじめ充填された状態で与えられることもある。あらかじめ充填されたデバイスを、次に、気密封止容器内にあらかじめパッケージすることもできる。
【0161】
粒子を詰めた容器にラベルを付して、組成物を確認できるようにして、関連する製剤情報を与えることができる。加えて、容器に、政府機関、たとえば、連邦食品医薬局によって規定された形式の通知を付すことができるが、この場合その通知は、ヒト投与用の、その容器に含まれる核酸製剤の製造、使用もしくは販売に関する、連邦法の下での政府機関による承認を示すものである。
【0162】
粒子を介したデリバリーに適した粒子加速デバイスは、当技術分野で知られている。たとえば、現行の遺伝子銃デバイスは、爆発による、電気的な、またはガスによる発射を用いて、コーティングされた担体粒子を標的細胞に向かって推進する。コーティングされた担体粒子は、移動可能な担体シートに、放出可能であるように付着させ、またはガス流が通過する表面に離脱可能な状態で付着させることができるが、粒子をその表面からはずして、標的に向かって加速する。ガス発射装置の例は、米国特許第5,204,253号に記載されている。爆発型デバイスは、米国特許第4,945,050号に記載されている。本発明に使用するのに適した放電装置の一例が、米国特許第5,120,657号に記載されている。別の放電装置が米国特許第5,149,655号に記載されている。これらの特許のすべての開示は、全体を参考のため本明細書に含めるものとする。
【0163】
米国特許第5,630,796号、Bellhouseら( “the PowderJect(登録商標) needleless syringe device”) ならびに国際公開番号WO 94/24263、WO 96/04947、WO 96/12513およびWO 96/20022に記載のように、無針注射器を用いて、粒子を投与することもできる。これらすべては参考として本明細書に含めるものとする。
【0164】
米国特許第5,630,796号に記載のようなデバイスは、上から下に作動する一列の順序で、ガスシリンダー、粒子カセットまたはパッケージ、および消音媒体を付随する超音速ノズルを入れたペン型の器具として与えられる。粒子は、適当な容器、たとえば2枚の破断しうる高分子膜によって形成されたカセット内に与えられるが、前記の膜は、ワッシャー型スペーサーにヒートシールされ、内蔵型シールドユニットを形成する。超音速流を起こす条件を左右する、特定モードの開口圧力および破裂圧力を達成するように膜材料を選択することができる。
【0165】
実施に際して、上記デバイスは、デバイス内部で、シリンダーから膨張室内へ圧縮ガスを放出するよう作動する。放出されたガスは粒子カセットと接触し、十分に圧力が高まったとき、突然、カセットの膜を破り、それに続くデリバリーに向けて、粒子を超音速ノズル内へ吹き飛ばす。ノズルは、多くの粒子をあらかじめ決められた範囲の標的表面に送達するために、特定のガス速度およびフローパターンを達成するように設計される。超音速ガス流により生じる音を弱めるために消音器が用いられる。
【0166】
国際公開番号WO 96/20022に記載のデリバリーシステムは、粉末組成物を加速し、送達するために、圧縮ガス源のエネルギーも使用する。しかしながら、それは、粒子を加速するためにガス流の代わりに衝撃波を使用する点において、米国特許第5,630,796号に記載のシステムとは区別される。より詳細には、フレキシブルドームの後ろで発生する衝撃波によって生じる瞬間的な圧力上昇は、ドームの背部に当たり、標的表面に向かってフレキシブルドームの急激な反転を引き起こす。この急反転は、標的組織、たとえば口腔粘膜組織に貫入するのに十分な速度、ひいては運動量で、(ドームの外側にある)粉末組成物を発射する。粉末組成物は、完全にドームが外反した時点で放出される。ドームはまた、高圧ガス流を完全に封じ込めるのにも役立ち、したがってガス流が組織に接触することはない。こうしたデリバリー操作の間、ガスは放出されないので、システムは本質的に静穏である。こうした設計を、他の封入アプリケーション、またはそうではなく、たとえば低侵襲性手術部位に粒子をデリバリーするといった、他の精密アプリケーションに用いることができる。
【0167】
粒子は、in vivoで被験体に直接、デリバリーすることができるが、被験体から採取した細胞にex vivoでデリバリーしてもよく、形質転換された細胞はその後被験体に再移植される。in vivoデリバリーのため、粒子注入は、典型的には、皮下、表皮、皮内、粘膜内(たとえば、鼻、直腸および/または膣)、腹腔内、静脈内、口腔または筋肉内に行われる。好ましくは、デリバリーは、最終分化細胞に向けられる;しかしながら、粒子は、血液幹細胞および皮膚線維芽細胞といった未分化細胞または部分的に分化した細胞にデリバリーされることもある。もっとも好ましくは、デリバリーは皮膚表皮細胞に向けられる。
【0168】
粒子は、剤形に見合った方法で、予防上および/または治療上効果があると思われる量が、被験体に投与される。本発明の粒子状組成物の「治療上有効な量」は、病気もしくは病状の治療または予防をもたらすのに十分であって、日常的な試行によって決定することができる比較的広い範囲に収まると思われる。概して、粒子は、単位用量当たり0.001から1000μg、より好ましくは0.01から10.0μgまでの核酸量として投与される。しかしながら、正確な必要量は、治療を受ける個体の年齢および全身状態、および選択された個別の核酸配列、ならびに他の要因に応じて変動すると思われる。適切な有効量は、臨床試験によって容易に決定することができる。必要量を決定するために、”Physicians Desk Reference"および"Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics"が有用である。
【0169】
アッセイ
比較発現アッセイ
エレメントの有用性を求める適切なテストは、ポリペプチドの発現に対してエレメントが示す効果を測定する。エレメントの有用性を調べるための比較の基準は、「基本ベクター」であり、概して(特に明記しない限り)、コード配列の発現を推進するように配置された、hCMVプロモーター、hCMVエクソン1、hCMVエクソン2の9塩基、HBV preS2由来の5'UTR、およびウサギβグロビンポリアデニル化領域を有するプラスミドである。典型的には、基本ベクターは、pJV7384、pJV7401、pJV7450またはpJV7533である。異種イントロンおよび3'UTRが加えられ、または、プロモーター配列、エクソン、5'UTRおよびポリA部位を交換して基本ベクターに入れ、テスト発現ベクターを作製する。このようにして機能性バリアントもしくは断片をテストすることができる。
【0170】
基本ベクターおよびテストベクターを適当な宿主細胞に入れて形質転換し、その細胞のポリペプチド発現レベルを分析する。哺乳類宿主細胞を使用することが好ましい。適当な細胞には、HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞がある。
【0171】
典型的には、機能するエレメントは、基本ベクターに匹敵する発現、たとえば、同等またはそれ以上の発現を引き起こす。発現は2つ以上の細胞型で、2つ以上のコード配列について調べることが好ましい。
【0172】
適当な実験法は、たとえば下記の実施例1から13で与えられる。
【0173】
比較免疫原性アッセイ
発現されるポリペプチドが抗原である場合、機能する、または特に好ましい、構築エレメントを確認するために、もう一つのテストを行うことができる。このアッセイにおいて、発現ベクターを供試生物にデリバリーした後、免疫応答に対するエレメントの効果を測定する。抗原に対する抗体レベルは、免疫応答を判断する最も簡単な方法である。マウス群に基本ベクター、または上記のように構築されたテストベクターを接種する。適当な時間の後、血清を採取し、抗体レベルを分析する。
【0174】
この実験は2回行い、2回の実験における全群の抗体レベルをプロットする。機能するエレメントは、2回の実験においていずれの場合も、特定の抗原に対して、少なくとも基本ベクターと同程度、または基本ベクターより高い抗体価を生じる。こうした結果は、2つ以上の抗原について観察されることが好ましく、そうした発現パネルにおいてエレメントの有用性の大きさが示される。
【0175】
適当な実験法は、たとえば下記の実施例14で与えられる。
【0176】
C. 実験
下記は、本発明を実施するための具体的な実施形態の実施例である。実施例は説明のためにのみ提供されるのであって、決して本発明の範囲を限定するためではない。
【0177】
使用する数字(たとえば、量、温度など)に関しては正確さを確保するよう努めたが、ある程度の実験誤差および逸脱は、当然、考慮に入れるべきである。
【0178】
方法
標準的なPCR条件
ベクターの構築に使用する標準的なPCR条件は、下記の通りとした:1x PCR コア バッファー w/ 1.5mM MgCl2 (Promega Corporation, Madison, WI)、0.400μM 各プライマー、200μM 各dNTP (USB, Inc, Cleveland, OH)、2.5μ Taqポリメラーゼ(Promega Corporation, Madison, WI)、1.0 ng 鋳型DNA、水で100μlとし、ミネラルオイル(Aldrich Chemical, Inc, Milwaukee, WI)でおおう。PTC-200サーモサイクラー(MJ Research, Inc, Waltham, MA)をプログラムして以下の型どおりの操作を行った:95℃にて4分、(95℃にて1分/55℃にて1分15秒/72℃にて1分)を30サイクル、72℃にて10分、4℃に保持。QIAquick PCR Purification Kit (Qiagen Inc, Valencia, CA)を用いて増幅産物をPCR反応液から取り出した後、制限酵素(New England Biolabs, Beverly, MA)で切断した。
【0179】
PCR産物はすべて、クローニングして増幅のフィデリティを確認した後、配列決定した。
【実施例1】
【0180】
B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)ベクターパネルの構築
HBsAg発現のために、いくつかのプラスミド発現ベクターを構築した。
【0181】
出発材料
(i) hCMV最初期プロモーター配列、hCMV主要最初期遺伝子の第1のエクソン、第1のイントロン、および部分的な第2のエクソン、フランキング領域(HBV preS2 5'UTR由来の配列、および3'転写後応答エレメント)を有するHBsAgコード配列、ならびにウシ成長ホルモンポリアデニル化領域(BGHpA)を含有するpWRG7128(Roy, M.ら、Vaccine (2001) 19: 764-778)。
【0182】
(ii) BGHpAとウサギβグロビンポリアデニル化領域(RBGpA)を交換した、pWRG7128の派生物である、pJV7284。
【0183】
(a) pJV7384 (CMV(イントロンなし)、HBV preS2 5'UTRおよびRBGpA)
pWRG7128は、JF93(配列番号15)およびF110(配列番号16)を用いて標準的な条件でPCRを行い、Sal1およびBamH1で切断して、CMVプロモーター、エクソン1、およびエクソン2の一部の配列を含有する挿入断片を単離した。pAM6(ATCC, Mannassas, VA)を、BamH1およびBstX1で切断して、HBsAgの5'UTRおよび約70%のHBsAgコード領域を含有する挿入断片を単離した。pJV7284をSal1およびBstX1で切断して、ベクター断片を生成し、その断片内に2つの挿入断片を結合して、pJV7293を得た。
【0184】
pWRG7128を、プライマーGW1(配列番号17)およびJF254(配列番号18)でPCRして、BstX1およびBgl2で切断し、HBsAgコード領域の3'末端を含有する挿入断片を単離した。pJV7293をBstX1およびBgl2で切断してベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合してベクターpJV7384を得た。
【0185】
(b) pJV7382 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 3’UTR、HBV preS2 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7293をXho1およびXba1で切断して、CMVプロモーター/エクソン、ならびにHBsAgコード配列の5'末端とともに5'UTRを含有する挿入断片を生成した。pWRG7128をXba1およびBcl1で切断して、HBsAgコード配列の大部分、および3'UTRを含有する挿入断片を生成した。pJV7284をXho1およびBgl2で切断して、ベクター断片を生じ、それに2つの挿入断片を結合して、結果としてpJV7382を得た。
【0186】
(c) pJV7389 (CMV (RIA)、HBsAg 3’UTR、HBV preS2 5'UTRおよびRBGpA)
プラスミドp5'rlns(起源不明)から、プライマーGW150(配列番号19)およびJF255(配列番号20)を用いて、ラットインスリンイントロンA(RIA)をPCRした。PCR産物をBamH1で切断し、BamH1で直鎖状としたpJV7382に挿入して、pJV7389を得た。
【0187】
(d) pJV7387 (CMV( RIA)、HBV preS2 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7384をBstX1およびEcoR1で切断して、HBsAgコード領域の3'末端およびRBGpAを含有する挿入断片を生成した。pJV7389をBstX1およびEcoR1で切断してベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7387が得られた。
【実施例2】
【0188】
単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D抗原(HSVgD)ベクターパネルの構築
HSVgDの発現のために、いくつかのプラスミド発現ベクターが構築された。
【0189】
出発材料
(a) HBsAgコード配列を、ATG開始コドンのすぐ下流でインフレームのNhe1と置き換え、続いてHBV Enhのすぐ5'側にBamH1部位を有するstuffer断片がある、pWRG7284(pJV7284)の派生物である、pJV7334。
【0190】
(b) Nhe1部位の下流でコード配列をヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)シグナルペプチドに融合しているstuffer断片を有する、pGem3Z(Promega)の派生物である、pWRG7202。
【0191】
(a) pJV7392(CMV(天然のイントロン)、HBsAg 3'UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
HSV2 gDに対するコード領域を、ウイルスDNAストック(Advanced Biotech, Inc, Columbia, MD)から、プライマーDS1(配列番号21)およびDA1(配列番号22)を用いてPCRし、Nhe1およびEcoR1で切断して、挿入断片を生成した。pWRG7202をNhe1およびEcoR1で切断してベクター断片を生じ、それに前記挿入断片を結合して、pJV7391が得られた。
【0192】
pJV7391をNhe1およびBgl2で切断して、HSV2 gDコード配列を含有する挿入断片を生成した。pJV7334をNhe1およびBamH1で切断してベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7392が得られた。このベクターは下記の発現エレメントからなる:hCMV最初期プロモーター配列、hCMV主要最初期遺伝子の第1のエクソン、第1のイントロン、および部分的な第2のエクソン、HBsAg由来の5'UTR、HSV2 gD遺伝子のコード配列、HBsAg由来の3'UTR、ならびにRBGpA。
【0193】
(b) pJV7399 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 3’UTR、 HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7392のイントロンのない形を、下記のように構築した。pJV7384をHind3およびNde1で切断し、カナマイシン耐性遺伝子の5'末端およびCMVプロモーターを含有する挿入断片を単離した。pJV7384をNde1およびSsp1で切断して、CMVプロモーターの3'末端、CMVエクソン1/2およびHBsAg由来5'UTRの5'末端を含有する挿入断片を単離した。これらの挿入断片を、Hind3-Ssp1断片を除去したpJV7392に挿入し、pJV7399が得られた。
【0194】
(c) pJV7400 (CMV(RIA)、HBsAg 3’UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7392のRIA型を、下記のように構築した。pJV7384をHind3およびNde1で切断して、カナマイシン耐性遺伝子の5'末端およびCMVプロモーターを含有する挿入断片を単離した。pJV7387をNde1およびSsp1で切断して、CMVプロモーターの3'末端、CMVエクソン1/2(一部)、RIAおよびHBsAg由来5'UTRの5'末端を含有する挿入断片を単離した。これらの挿入断片を、Hind3-Ssp1断片を除去したpJV7392に挿入し、pJV7400が得られた。
【0195】
(d) pJV7401 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7399の3'UTRを欠いた形を、下記のように構築した。pJV7391をBsp120IおよびBgl2で切断して、HSV2 gD遺伝子の3'末端を含有する挿入断片を単離した。pJV7284をBgl2およびEcoR1で切断して、RBGpAシグナルを単離した。これらの挿入断片を、Bsp120I-EcoR1断片を除去したpJV7399に挿入し、その結果pJV7401を得た。
【0196】
(e) pJV7402 (CMV(RIA)、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7400の3'UTRを欠いた形を、下記のように構築した。pJV7391をBsp120IおよびBgl2で切断して、HSV2 gD遺伝子の3'末端を含有する挿入断片を単離した。pJV7284をBgl2およびEcoR1で切断して、RBGpAシグナルを単離した。これらの挿入断片を、Bsp120I-EcoR1断片を除去したpJV7400に挿入し、その結果pJV7402が得られた。
【実施例3】
【0197】
Flu M2抗原ベクターパネルの構築
(a) pJV7450 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
Flu M2のコード配列を、プラスミドpFL-M2(Joel Haynes, PJV)から、プライマーJF301(配列番号23)およびJF302(配列番号24)を用いてPCRし、Nhe1およびBgl2を用いて切断し、挿入断片を生成した。pJV7401をNhe1およびBgl2を用いて切断し、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合してPJV7450を得た。
【0198】
(b) pJV7452 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 3’UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
3'UTR断片を、pJV7389から、プライマーJF84(配列番号25)およびJF225(配列番号26)を用いてPCRし、Bsp120Iで切断し、T4 DNAポリメラーゼで埋め込んで、Bgl2リンカー(カタログ番号1036、New England Biolabs)をつける。その後、断片をBgl2およびEcoR1で切断し、HBsAgの3'UTR、およびRBGpA領域を含有する挿入断片を単離した。pJV7450をBgl2およびEcoR1で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7452が得られた。
【0199】
(c) pJV7458 (CMV(RIA)、 HBsAg 5' UTRおよびRBGpA)
pJV7450のRIA含有型を下記のように構築した:pJV7389をBamH1で切断して、RIAを含有する挿入断片を単離した。pJV7450をBamH1で切断してベクター断片を生じ、それに挿入断片を結合して、その結果pJV7458が得られた。
【0200】
(d) pJV7468 (CMV(RIA)、HBsAg 3’UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
HBsAgの3'UTRを含有する形のpJV7458を、下記のように構築した:pJV7452をBgl2およびEcoR1で切断して、HBsAg 3'UTRおよびRBGpAを含有する挿入断片を生成した。pJV7458をBgl2およびEcoR1で切断して、ベクター断片を生じ、それに挿入断片を結合して、pJV7468を得た。
【実施例4】
【0201】
β-galベクターパネルの構築
(a) pJV7488 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 3’UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
CMV-β-gal(Clontech)を、プライマーJF335(配列番号27)およびJF336(配列番号28)を用いてPCRし、Nhe1およびBgl2で切断して、βガラクトシダーゼをコードする挿入断片を単離した。pJV7452をNhe1およびBgl2で切断してベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7488を得た。
【0202】
(b) pJV7533 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7450をBgl2およびEcoR1で切断し、RBGpAを含有する挿入断片を単離した。pJV7488をBgl2およびEcoR1で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、結果としてpJV7533を得た。
【0203】
(c) pJV7551(CMV(RIA/NheI)、HBsAg 3’UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7530(実施例5を参照されたい)をXho1およびBamH1で切断し、CMVプロモーターからRIAまでを含有する挿入断片を単離した。pJV7488をXho1およびBamH1で切断してベクター断片を生じ、それに挿入断片を結合して、結果としてpJV7551を得た。
【0204】
(d) pJV7552(CMV(RIA/NheI)、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7530をXho1およびBamH1で切断し、CMVプロモーターからRIAまでを含有する挿入断片を単離した。pJV7533をXho1およびBamH1で切断してベクター断片を生じ、それに挿入断片を結合して、結果としてpJV7552を得た。
【実施例5】
【0205】
pJV発現ベクター(pJV7563)の構築
(a) pJV7496
pJV7389をプライマーJF357(配列番号29)およびJF365(配列番号30)でPCRし、T4 DNAポリメラーゼで処理して末端を平滑化し、Sal1で切断して、カナマイシン耐性をコードする挿入断片を単離した。pJV7389をAva1で切断し、T4 DNAポリメラーゼで処理して末端を平滑化し、さらにSal1で切断してベクター断片を単離し、それに挿入断片を結合して、pJV7496を得た。
【0206】
(b) pJV7530
pJV7389をプライマーJF393(配列番号31)およびJF406(配列番号32)でPCRし、Bgl2およびBamH1で切断して、配列内Nhe1部位を欠いたRIAを含有する挿入断片を単離した。pJV7496をBamH1で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合してpJV7530を得た。
【0207】
(c) pJV7549
pJV7468をBamH1およびEcoR5で切断して、M2、およびHBV 3'ENHの一部を含有する挿入断片を単離した。pJV7530をBamH1およびEcoR5で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合してpJV7549を得た。
【0208】
(d) pJV7563
プライマーJF256(配列番号33)およびJF257(配列番号34)をアニールして、複数のクローニング部位からなる挿入断片を調製した。pJV7549をNhe1およびBgl2で切断してベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合してpJV7563を得た。pJV7563プラスミドマップは図12で与えられる。pJV7563プラスミドの塩基組成は図13において与えられる。プラスミドpJV7563における構成成分およびその位置は下記の通りである:
1-44 トランスポゾン903配列
45-860 トランスポゾン903由来のカナマイシン耐性コード配列
861-896 トランスポゾン903配列
897-902 Sal1部位
903-1587 CMVプロモーター
1588-1718 CMV最初期遺伝子由来の非翻訳リーダー配列
1719-1724 BamH1およびBglII制限酵素の融合
1725-1857 ラットインスリンイントロンA
1858-1863 BamH1部位
1864-1984 HBV表面抗原5'非翻訳リーダー配列
1985-1993 合成開始コドン/Nhe1クローニング部位
1994-2011 合成クローニング部位
2012-2544 HBVエンハンサー
2545-2555 古いベクター配列。NCBIデータベースと対照して該当なし。
2556-2686 ウサギβグロビンポリアデニル化領域
2687-3759 pUC19ベクター配列
【実施例6】
【0209】
モデル抗原としてヒト分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)およびヒトIgG Fcフラグメント(hFc)を使用するシグナルペプチド発現パネルの構築
(i) pJV7507 (hTPAspおよびSEAP)
pSEAP-Basic (Clontech)を、プライマーJF320(配列番号35)およびJF321(配列番号36)でPCRした後、Nhe1およびBgl2で切断して、ヒトSEAP断片からなる挿入断片を単離した。pJV7079(Macklinら)をNhe1およびBgl2で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合してpJV7507を得た。
【0210】
(ii) pJV7508 (hTPAspおよびhFc)
ヒトDNAを、プライマーJF386(配列番号37)およびFcAS(配列番号38)でPCRした後、Nhe1およびBgl2で切断して、ヒトIgG Fcフラグメントからなる挿入断片を単離した。pJV7079をNhe1およびBgl2で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合してpJV7508を得た。
【0211】
(iii) アプロチニンシグナルペプチドコード配列の調製
合成オリゴJF354(配列番号39)を、プライマーJF355(配列番号40)およびJF356(配列番号41)でPCRして、アプロチニンシグナルペプチドのコード配列を生成した。
【0212】
(iv) タバコ エクステンシンシグナルペプチドコード配列の調製
合成オリゴJF348(配列番号42)を、プライマーJF349(配列番号43)およびJF350(配列番号44)でPCRして、タバコ エクステンシンシグナルペプチドのコード配列を生成した。
【0213】
(v) ニワトリ リゾチームシグナルペプチドコード配列の調製
合成オリゴJF351(配列番号45)を、プライマーJF352(配列番号46)およびJF353(配列番号47)でPCRして、ニワトリ リゾチームシグナルペプチドのコード配列を生成した。
【0214】
(a) Flu M2抗原シグナルペプチドパネル
pJV7499 (CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、アプロチニンs.p.)
pJV7497 (CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、タバコエクステンシンs.p.)
PJV7500 (CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
シグナルペプチドのコード配列を、Spe1およびNhe1で切断して挿入断片を単離した。pJV7450をNhe1で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、結果としてpJV7499(アプロチニン)、pJV7497(タバコエクステンシン)、およびpJV7500(ニワトリリゾチーム)が得られた。
【0215】
(b) SEAPシグナルペプチドパネル
pJV7513(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、アプロチニンs.p.)
pJV7512(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、タバコエクステンシンs.p.)
pJV7510(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7499、7497、および7500をXho1およびNhe1で切断して、CMVプロモーターからプラスミドのシグナルペプチドコード配列までで構成される挿入断片を単離した。pJV7507をXho1およびNhe1で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7513(アプロチニン)、pJV7512(タバコエクステンシン)、およびpJV7510(ニワトリリゾチーム)を得た。
【0216】
(c) hFcシグナルペプチドパネル
pJV7524(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、アプロチニンs.p.)
pJV7525(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、タバコエクステンシンs.p.)
pJV7526(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7499、7497、および7500をXho1およびNhe1で切断して、CMVプロモーターからプラスミドのシグナルペプチドコード配列までで構成される挿入断片を単離した。pJV7508をXho1およびNhe1で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7524(アプロチニン)、pJV7525(タバコエクステンシン)、およびpJV7526(ニワトリリゾチーム)を得た。
【実施例7】
【0217】
ヒト分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)パネルの構築
(a) pJV7531(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7510をSal1およびBgl2で切断し、CMVプロモーターからリゾチームシグナルペプチドまでで構成される挿入断片を単離した。pJV7450をSal1およびBgl2で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7531を得た。
【0218】
(b) pJV7554(CMV(RIA/Nhe1)、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7530をXho1およびBamH1で切断して、CMVプロモーターからRIAまでを含有する挿入断片を単離した。pJV7531をXho1およびBamH1で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7554を得た。
【0219】
(c) pJV7568(CMV(イントロンなし)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7563をBgl2およびEcoR1で切断して、HBsAg3'UTRおよびRBGpAを含有する挿入断片を単離した。pJV7531をBgl2およびEcoR1で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7568を得た。
【0220】
(d) pJV7572(CMV(RIA/Nhe1)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7563をBgl2およびEcoR1で切断して、HBsAg3'UTRおよびRBGpAを含有する挿入断片を単離した。pJV7554をBgl2およびEcoR1で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7572を得た。
【実施例8】
【0221】
ニワトリケラチンおよびニワトリ心筋アクチンイントロンを用いたβ-galおよびHBsAgベクターの構築
(a) pJV7557(β-gal、CMV(cAイントロン)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、およびRBGpA)
プライマーJF430(配列番号48)およびJF442(配列番号49)を用いて、ニワトリDNAをPCRし、Bgl2およびBamH1で切断して、ニワトリ心筋アクチンに由来するイントロンおよびフランキングエクソン配列からなる挿入断片を単離した。pJV7488をBamH1で切断してベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7557を得た。
【0222】
(b) pJV7558(β-gal、CMV(cKイントロン)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、およびRBGpA)
プライマーJF421(配列番号50)およびJF444(配列番号51)を用いて、ニワトリDNAをPCRし、Bgl2およびBamH1で切断して、ニワトリケラチン遺伝子に由来するイントロンおよびフランキングエクソン配列からなる挿入断片を単離した。pJV7488をBamH1で切断してベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7558を得た。
【0223】
(c) pJV7578(HBsAg、CMV(cAイントロン)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、およびRBGpA)
pJV7557をSal1およびBamH1で切断し、CMVプロモーターからイントロン領域までで構成される挿入断片を単離した。pJV7496をSal1およびBamH1で切断してベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7578を得た。
【0224】
(d) pJV7579(HBsAg、CMV(cKイントロン)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、およびRBGpA)
pJV7558をSal1およびBamH1で切断し、CMVプロモーターからイントロン領域までで構成される挿入断片を単離した。pJV7496をSal1およびBamH1で切断してベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7579を得た。
【実施例9】
【0225】
HBsAgベクターパネルによる抗原発現のin vitro分析
第1日に、SCC15(ATCC)またはB16(起源不明、ATCCにて入手可能な型)細胞を、20-40%コンフルエントとなるよう6ウェル組織培養プレートに撒き、インキュベーター内で増殖させた。宿主細胞をATCC推奨の培地で増殖させた。
【0226】
第2日に、トランスフェクション反応を行った。テストする各ベクターについて、Lipofectin(登録商標)試薬(Life Techologies Inc., Grand Island, NY)20μlを180μlのOptimem(登録商標)培地(Life Techologies Inc., Grand Island, NY)に加え、室温で45分間インキュベートしておいた。40分の時点で、テストすべき各ベクター当たり、2μgのベクターを200μlのOptimem(登録商標)に混ぜ入れた。45分の時点で、ベクターおよびLipofectin(登録商標)溶液を混合し、さらに10分間室温で放置した。この最後のインキュベーションの間に、プレートに撒いた宿主細胞をインキュベーターから取り出し、Optimem(登録商標)培地で2回洗浄した。10分の時点で、Optimem(登録商標)1.6mlをLipofectin(登録商標)/ベクター混合物に添加し、その結果得られた混合物のうち1mlを、2つの細胞ウェルのそれぞれに加えた。宿主細胞をインキュベーターに戻して、5時間静かに放置したが、5時間の時点で、Lipofectin(登録商標)/ベクター混合物を除去し、標準的な細胞維持培地に置き換えた。
【0227】
培地交換の18から24時間後に、50から100μlの細胞維持培地を組織培養プレートから採取し、AUSZYME(登録商標)モノクローナル診断キット(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)中に用意された反応容器にサンプルを入れることによって、抗原の発現を分析した。テストサンプルの容量を、PBSで200μlとした後、50μlの複合体および反応ビーズを各サンプルに添加した。容器を40℃にて80分間インキュベートし、その後、ウェルを洗浄して、すべての液体反応成分を除去した。ビーズを新たなチューブに移し、その後300μlの発色バッファーを添加した。30分で、1M硫酸の添加によって発色反応を止め、反応液の490nmでの吸光度を測定した。図1に示すデータは、2つの実験からの2連のウェルの平均吸光度測定値である。
【0228】
図1に示すように、RIA、HBV 3'UTRまたは両方のエレメントを基本ベクター(CMVプロモーター、エクソン、およびポリアデニル化領域)に加えると、SCC15細胞においてHBsAgの発現が増加した。図2に示すように、ニワトリケラチンもしくはニワトリ心筋アクチンイントロンを基本ベクター(CMVプロモーター、エクソン、HBV 3'UTRおよびポリアデニル化領域)に加えると、SCC15細胞においてHBsAgの発現が増加した。
【実施例10】
【0229】
β-galベクターパネルによる抗原発現のin vitro分析
実施例9に記載のようにSSC15またはB16宿主細胞にトランスフェクトした。
【0230】
培地交換の18から40時間後に、培養上清を除去し、細胞をPBSで洗浄した。洗液を除去後、細胞を500μl溶解バッファー(50mM NaPO4、0.1% Triton X-100、pH 7)中で5分間インキュベートすることによって、細胞を溶解し、その後プラスチックシャーレから細胞を物理的に掻き取った。溶解物を2分間微量遠心にかけて、細胞残渣を除き、10から25μlの透明となった溶解液を500μlの反応バッファー(80μg/ml O-ニトロフェニルガラクトピラノシド、50mM NaPO4、pH 7)に加えて、37℃にて10から20分間インキュベートした。500μlの1M Na2CO3を添加して反応を終了させ、405nmで測定した。データは、増強された(イントロン、HBVenh、またはその両方を含有する)ベクターの基本ベクターに対する発現の比として提示される。
【0231】
RIA、HBV 3'UTR、または両方のエレメントを基本ベクター(CMVプロモーター、エクソンおよびポリアデニル化領域)に加えることによって、2つの細胞株のいずれにおいてもβ-galの発現が増加した。SCC15細胞の結果を図3に示す。ニワトリケラチンもしくはニワトリ心筋アクチンのいずれかのイントロンを基本ベクター(CMVプロモーター、エクソン、HBV 3'UTRおよびポリアデニル化領域)に加えると、2つの細胞株のいずれにおいてもβ-galの発現が増加した。B16細胞の結果を図2に示す。
【実施例11】
【0232】
HSV gDベクターパネルによる抗原発現のin vitro分析
SCC15またはB16宿主細胞に、実施例9に記載のようにトランスフェクトした。トランスフェクションの18時間後に、プレートを15分間氷上に置いた。その後、各ウェルを2mlのPBS(Biowhittaker, Walkerville, MD)で洗浄した。PBSで希釈した0.05%グルタルアルデヒド(Polysciences Inc., Warrington, PA)で細胞を固定し、室温で30分間インキュベートした。以後のインキュベーションはすべて室温で30分間持続するものとし、各インキュベーションの間の洗浄は上記の通りとした。プレートを5% 粉乳含有PBS(Bio Rad Laboratories, Melville, NY)でブロックした。続いて、抗gDモノクローナル抗体(ABI, Columbia, MD)の2% 粉乳/PBS/0.05% Tween-20(Sigma, St. Louis, MO)による1:1000希釈物、1ml、およびヤギ抗マウスHRP(KPL, Gaithersburg, MD)のPBS/0.1% Tween-20による1:2500希釈物、1mlとともにインキュベーションを行った。TMBマイクロウェル基質(BioFX, Owings Mills, MD)を用いて発色させた。1M H2SO4で反応を止め、液体をプラスチックキュベットに移し、450nmで吸光度を読み取った。データは、増強された(イントロン、HBVenh、またはその両方を含有する)ベクターの基本ベクターに対する発現の比として提示される。
【0233】
RIAをHBV 3'UTRとともに、またはRIAをHBV3'UTRなしで、基本ベクター(CMVプロモーター、エクソンおよびポリアデニル化領域)に加えることによって、2つの細胞株のいずれにおいてもHSV gDの発現が増加した。SCC15細胞の結果を図4に示す。
【実施例12】
【0234】
SEAPベクターパネルによる抗原発現のin vitro分析
SCC15またはB16宿主細胞に、実施例9に記載のようにトランスフェクトした。培地交換の18から40時間後に、培養上清を採取し、70℃にて30分間加熱した。熱不活化上清10から25μlを1/10量の100mM L-ホモアルギニンとともに5分間インキュベートした。500μlのアルカリホスファターゼ反応バッファー(カタログ番号172-1063, Bio Rad, 説明書にしたがって調製)をこの溶解液に加え、37℃にて10から20分間インキュベートした。500μlの1M NaOHを添加して反応を止め、405nmで吸光度を測定した。データは、増強された(イントロン、HBVenh、またはその両方を含有する)ベクターの基本ベクターに対する発現の比、または実験のシグナルペプチドの、ヒトTPAシグナルペプチドベクターに対する発現の比として提示される。
【0235】
図5に示すように、RIA、HBV 3'UTRまたは両方のエレメントを基本ベクター(CMVプロモーター、エクソン、およびポリアデニル化領域)に加えると、B16細胞においてSEAPの発現が増加した。予想外なことに、基本ベクター(CMVプロモーター、エクソン、およびポリアデニル化領域)にHBV 3'UTRを加えた場合のみ、SCC15細胞におけるSEAPの発現が増加した。
【0236】
ウシ アプロチニン、ニワトリ リゾチーム、またはタバコ エクステンシンのいずれかに由来するシグナルペプチドを成熟SEAPのN末端に付加することによって、2つの細胞株の細胞培養上清中へのSEAPの効率的な分泌が可能となった。B16細胞に関する結果を図6に示す。
【実施例13】
【0237】
ヒトIgG Fcフラグメントシグナルペプチドパネルによる抗原発現のin vitro分析
SCC15またはB16宿主細胞に、実施例9に記載のようにトランスフェクトした。培地交換後18から40時間までに、培養上清を採取した。
【0238】
ELISAプレート(Costar)をウェル当たり100μlのヤギ抗ヒトIgG(Sigma #I3382、炭酸コーティングバッファーで1/1000希釈)とともに4℃にて一晩インキュベートした。以後のインキュベーションはすべて室温にて1時間持続し、それぞれのインキュベーションの間に洗浄した(10mM Tris、150mM NaCl、0.1% Brij-35、pH8.0)。その後、ウェルを100μlの5%粉乳含有PBSでブロックし、続いて希釈バッファー(2% 粉乳、PBS、0.05% Tween-20)で連続希釈した培養上清とともにインキュベートした。この後、ウェル当たり100μlのヤギ抗ヒトIgG/HRP(Sigma #A6029、希釈バッファーにて1/5000希釈)とともにインキュベートし、次いでTMBマイクロウェル基質を用いて発色させた。反応を1M H2SO4で止め、450nmの吸光度を読み取った。データは、実験シグナルペプチドの、ヒトTPAシグナルペプチドに対する発現の比として提示される。
【0239】
ウシ アプロチニン、ニワトリ リゾチーム、またはタバコ エクステンシンのいずれかに由来するシグナルペプチドをヒトFcフラグメントのN末端に付加することによって、2つの細胞株のいずれにおいても細胞培養上清へのhFcの効率的な分泌が可能となった。B16細胞に関する結果を図6に示す。
【実施例14】
【0240】
マウスを免疫するためのHBsAg、HSVgDおよびFlu-M2プラスミド発現ベクターの使用
a. 免疫化カートリッジの調製
テストするそれぞれのプラスミドについて、25mgの2ミクロン金粉末を秤量して微量遠心管に入れた。50mMスペルミジン(Aldrich Chemical, Inc, Milwaukee, WI)を250μlに分けて添加した後、微量遠心管をボルテックス撹拌し、短時間超音波処理した。微量遠心して金を分離し、スペルミジンを新たな100μlに交換した。金をボルテックスして再懸濁し、その後DNA 25μgをマイクロチューブに加えて混合した。微量遠心管を軽くボルテックスしながら、100μlの10% CaCl2(Fujisawa USA, Inc, Deerfield, IL)を添加してDNAを金ビーズ上に沈澱させた。沈澱反応を卓上で10分間続行した後、微量遠心の短時間回転によって金を採集し、無水エタノール(Spectrum Quality Products, Inc, Gardena, CA)で3回洗浄して、過剰な沈澱試薬を除去した。洗浄した金/DNA複合体を、0.05 mg/mlポリビニルピロリドン(360KD, Spectrum Quality Products, Inc, Gardena, CA)含有無水エタノール3.6ml中に再懸濁した。次に、このスラリーをテフゼルチューブ(McMaster-Carr, Chicago, IL)に注入したが、これは金/DNA複合体でテフゼルチューブの内側をコーティングするチューブターナー(PowderJect Vaccines)内にある。チューブターニング手順が完了した後、チューブをワクチンの0.5"「ショット」に切り、マウスにデリバリーするためのXR1デバイス(PowderJect Vaccines)内に充填した。
【0241】
b. ワクチン接種法
4から6週齢のマウスをKetaset(Fort Dodge)およびRompun(Bayer)の混合物で麻酔した。1対の電気バリカンを用いて腹部を剪毛して、毛を取り除き、2つの重複しないワクチン「ショット」を、XR1デバイス(450psi)を通して剪毛部にデリバリーした。動物をケージに戻し、ワクチン接種後6週間の時点で採血した。Balb/cマウスを用いて、HBsAg発現ベクターを評価し、Swiss Websterマウスを用いてHSV gDおよびFlu M2発現ベクターを評価した。
【0242】
抗HBsAg抗体に関する血清の分析
6週間で、血液サンプルをワクチン接種した動物から採取した。これらのサンプルから分離された血清の一定量を、AUSAB(登録商標) EIA Diagnostic Kit (Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)に同梱の反応容器のウェルに入れた。入れる血清の量はサンプルの抗体価によって決まり、サンプルはサンプル希釈バッファーで希釈して、定量パネルで得られる値の範囲内とした。AUSAB(登録商標)Quantification Panel (Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)の各バイアルから200μlを反応容器のウェルに添加した。各ウェルにビーズを添加し、その後、容器を密封して40℃にて2時間インキュベートした。その後、ウェルを洗浄して反応液の全成分を除去した。洗浄した各ウェルに、200μlのコンジュゲート混合物を添加した後、容器を密封して40℃にて2時間インキュベートした。次に、ウェルを洗浄して反応液の全成分を落とした。ビーズを新しいチューブに移した後、300μlの発色バッファーを添加した。30分で、1M硫酸の添加により発色反応を止め、反応液の吸光度をQuantum II(登録商標)分光光度計 (Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)において490nmで測定した。この分光光度計は、サンプルの吸光度を、定量パネルを用いて作成された標準曲線と比較することによって、サンプルの抗体レベルを計算する。これらの抗体レベルを次に、希釈係数で補正した。図7に示すデータは、特定のベクターでワクチン接種された全動物の力価の幾何平均である。
【0243】
抗Flu M2抗原抗体に関する血清の分析
96ウェルCoster中結合性ELISAプレート(Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)を、合成Flu M2ペプチド(QCB / Biosource, Hopkinton, MA)によって、PBS(Biowhittaker, Walkerville, MD)中1μg/mlの濃度でコートし、4℃にて一晩インキュベートした。プレートを、10mM Tris (Sigma, St. Louis, MO) / 150mM NaCl (Fisher Scientific) / 0.1% Brij-35 (Sigma)で3回洗浄した後、5% 粉乳(Bio Rad Laboratories, Melville, NY)含有PBSで、室温にて1時間ブロックした。以後のインキュベーションはすべて室温で1時間とし、各インキュベーションの間の洗浄は上記の通りとした。マウス血清サンプル、標準(高力価の抗M2マウス血清)およびネガティブコントロール(抗HBsAgマウス血清)を2% 粉乳 / PBS / 0.05% Tween-20 (Sigma)で希釈し、ELISAプレート内でインキュベートした。次にヤギ抗マウスIgG(H+L)ビオチン結合抗体(Southern Biotechnology Associate, Birmingham, AL)を2% 粉乳 / PBS / 0.05% Tween-20で1:8000に希釈し、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体(Southern Biotechnology)をPBS / 0.1% Tween-20で1:8000に希釈して、続行した。TMB基質(BioFX, Owings Mills, MD)を用いて、発色させた。1M H2SO4で反応を止め、プレートを、Emax 精密マイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いて450nmで測定した。SoftMax Pro 4.1 ソフトウェア(Molecular Devices)を用いて、4-パラメーター解析によって最終力価を計算した。力価は、アッセイごと、およびプレートごとの変動が最小限となるよう、所定の力価を有する標準血清に対して標準化した。結果を図7に示す。
【0244】
抗HSV GD抗原抗体に関する血清の分析
96ウェルCoster中結合性ELISAプレート(Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)を、HSVgD((Viral Therapeutics, Ithaca, NY)タンパク質によって、PBS(Biowhittaker, Walkerville, MD)中1μg/mlの濃度でコートし、4℃にて一晩インキュベートした。プレートを、10mM Tris (Sigma, St. Louis, MO) / 150mM NaCl (Fisher Scientific) / 0.1% Brij-35 (Sigma)で3回洗浄した後、5% 粉乳(Bio Rad Laboratories, Melville, NY)含有PBSで、室温にて1時間ブロックした。以後のインキュベーションはすべて室温で1時間とし、各インキュベーションの間の洗浄は上記の通りとした。マウス血清サンプル、標準(高力価の抗gDマウス血清)およびネガティブコントロール(抗HBsAgマウス血清)を2% 粉乳 / PBS / 0.05% Tween-20 (Sigma)で希釈し、ELISAプレート内でインキュベートした。次にヤギ抗マウスIgG(H+L)ビオチン結合抗体(Southern Biotechnology Associate, Birmingham, AL)を2% 粉乳 / PBS / 0.05% Tween-20で1:8000に希釈し、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体(Southern Biotechnology)をPBS / 0.1% Tween-20で1:8000に希釈して、続行した。TMB基質(BioFX, Owings Mills, MD)を用いて、発色させた。1M H2SO4で反応を止め、プレートを、Emax 精密マイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いて450nmで測定した。SoftMax Pro 4.1 ソフトウェア(Molecular Devices)を用いて、4-パラメーター解析によって最終力価を計算した。力価は、アッセイごと、およびプレートごとの変動が最小限となるよう、所定の力価を有する標準血清に対して標準化した。結果を図7に示す。
【0245】
このように、新規核酸構築物、こうした構築物を含んでなる組成物、ならびにこうした構築物を用いた核酸免疫法について述べてきた。本発明の好ましい実施形態を少し詳しく記載したが、当然のことながら、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、明白な変更を行うことができる。
【0246】
配列の簡単な説明
配列番号1は、hCMV最初期プロモーター配列である(GenBank #M60321, X17403)。
配列番号2は、hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1および2由来の配列である(GenBank #M60321, X17403)。
配列番号3は、ラット インスリン イントロンA配列である(GenBank #J00748)。
配列番号4は、本発明によるキメラプロモーターの配列である。
配列番号5は、HBV preS2抗原5’UTR配列に由来するリーダー配列である(GenBank #M54923)。
配列番号6は、HSV タイプ2gD 5’UTR配列に由来するリーダー配列である(GenBank #Z86099)。
配列番号7は、HBV e抗原5’UTR配列に由来するリーダー配列である(GenBank #M54923)。
配列番号8は、HBVenh 3’UTR配列である(GenBank #AF143308)。
配列番号9は、サル最初期遺伝子3’UTR配列である(GenBank #M16019)。
配列番号10は、ウサギβグロビン ポリA配列である(GenBank #K03256)。
配列番号11は、サルsCMV最初期遺伝子ポリA配列である(GenBank #M16019)。
配列番号12は、HSV2 gB遺伝子ポリA配列である(GenBank #Z86099)。
配列番号13は、HPV16初期遺伝子ポリA配列である(GenBank #K02718)。
配列番号14は、pJV発現ベクターの配列である。
配列番号15は、PCRプライマーJF93である。
配列番号16は、PCRプライマーF110である。
配列番号17は、PCRプライマーGW1である。
配列番号18は、PCRプライマーJF254である。
配列番号19は、PCRプライマーGW150である。
配列番号20は、PCRプライマーJF255である。
配列番号21は、PCRプライマーDS1である。
配列番号22は、PCRプライマーDA1である。
配列番号23は、PCRプライマーJF301である。
配列番号24は、PCRプライマーJF302である。
配列番号25は、PCRプライマーJF84である。
配列番号26は、PCRプライマーJF225である。
配列番号27は、PCRプライマーJF335である。
配列番号28は、PCRプライマーJF336である。
配列番号29は、PCRプライマーJF357である。
配列番号30は、PCRプライマーJF365である。
配列番号31は、PCRプライマーJF393である。
配列番号32は、PCRプライマーJF406である。
配列番号33は、PCRプライマーJF256である。
配列番号34は、PCRプライマーJF257である。
配列番号35は、PCRプライマーJF320である。
配列番号36は、PCRプライマーJF321である。
配列番号37は、PCRプライマーJF386である。
配列番号38は、PCRプライマーFcASである。
配列番号39は、オリゴヌクレオチドJF354である。
配列番号40は、PCRプライマーJF355である。
配列番号41は、PCRプライマーJF356である。
配列番号42は、オリゴヌクレオチドJF348である。
配列番号43は、PCRプライマーJF349である。
配列番号44は、PCRプライマーJF350である。
配列番号45は、オリゴヌクレオチドJF351である。
配列番号46は、PCRプライマーJF352である。
配列番号47は、PCRプライマーJF353である。
配列番号48は、PCRプライマーJF430である。
配列番号49は、PCRプライマーJF442である。
配列番号50は、PCRプライマーJF421である。
配列番号51は、PCRプライマーJF444である。
配列番号52は、仮性狂犬病ウイルス(PRV)プロモーター配列である。
配列番号53は、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター配列である。
【図面の簡単な説明】
【0247】
【図1】さまざまなプラスミド発現ベクターを用いて得られた、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)の発現レベルを示す。
【図2】SCC15細胞におけるHBsAgの発現、およびB16細胞におけるβ-galの発現に対する、イントロン含有の影響を示す(3回の実験の平均値)。
【図3】SCC15細胞におけるβ-galの発現に対する、ラットインスリンイントロンAおよびHBV3’UTRの影響を示す(3回の実験の平均値)。
【図4】SCC15細胞におけるHSVgDの発現に対する、ラットインスリンイントロンAおよびHBV3’UTRの影響を示す(3回の実験の平均値)。
【図5】SCC15およびB16細胞におけるSEAPの発現に対する、ラットインスリンイントロンAおよびHBV3’UTRの影響を示す(細胞株あたり3回繰り返し)。
【図6】B16細胞においてSEAPまたはhFc断片の分泌を指示する、異種シグナルペプチドの能力を示す。
【図7】さまざまなプラスミド発現ベクターに含まれる、抗原をコードする核酸によって免疫されたマウスの血清中に検出された抗体のレベルを示す。
【図8】pJV発現ベクターの概略図である。
【図9】pJV7389の概略図である。
【図10】pJV7400の概略図である。
【図11】pJV7468の概略図である。
【図12】pJV7563の概略図である。
【図13】pJV7563に関する塩基組成を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子生物学および免疫学の分野に関するものであって、概して核酸免疫法に有用な試薬に関する。さらに具体的には、本発明は、抗原ポリペプチドを発現するための核酸構築物、およびそうした試薬を使用する核酸免疫化戦略に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子治療および核酸免疫法は、後天性および遺伝性疾患の両者の治療および予防のために有望なアプローチである。こうした技術は、被験体への望ましい核酸の移入とその後のin vivo発現をもたらす。移入は、ex vivoで被験体の細胞もしくは組織にトランスフェクトし、その形質転換された材料を宿主に再導入することによって行うことができる。あるいはまた、核酸をin vivoで直接、レシピエントに投与してもよい。
【0003】
こうした方法のそれぞれで、十分な量の、治療に有用な、もしくは抗原性の遺伝子産物を提供することができるように、トランスフェクトされた細胞における核酸の効率的な発現が必要である。トランスフェクション効率、ならびに当該の遺伝子もしくは配列が転写され、mRNAが翻訳される効率を含めて、いくつかの要因が、得られる発現レベルに影響を及ぼすことが知られている。
【0004】
いくつかの発現系が、当技術分野において記述されており、発現系はそれぞれ、典型的には、発現制御配列に機能しうるように連結された当該遺伝子もしくはヌクレオチド配列を含有するベクターからなる。このような制御配列には、転写プロモーター配列、ならびに転写開始および終止配列がある。哺乳動物細胞発現系に広く使用されるプロモーターには、数ある中でたとえば、SV40初期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーターのようなCMVプロモーター(Chapmanら、(1991)Nucl. Acids Res. 19:3979-3986)、マウス乳癌ウイルス末端反復配列(LTR)プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)および単純ヘルペスウイルス(HSV)プロモーターがある。マウスメタロチオネイン遺伝子由来のプロモーターのような非ウイルス性プロモーターもよく使用される。
【0005】
発現系は多くの場合、「エンハンサー」と呼ばれる転写調節因子を包含する。エンハンサーは、概して、シス作用性因子と定義され、これは、プロモーター/遺伝子配列に機能しうるように連結されている場合、その遺伝子配列の転写を強めるものである。エンハンサーは他の発現制御因子(たとえば、プロモーター)よりも、当該配列からずっと離れた位置から作用することが可能であり;当該配列に関してどちらの方向に位置している場合でも機能することができる(Banerjiら、(1981) Cell 27:299-308;deVilleirs ら、 (1981) Nucl. Acids Res 9: 6251-6264)。エンハンサーは、ポリオーマウイルス、BKウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス、サルウイルス40(SV40)、モロニー肉腫ウイルス、ウシパピローマウイルスおよびラウス肉腫ウイルスを含む多くのウイルス起源から同定されている(deVilleirsら、上記、Rosenthalら、(1983) Science 222:749-755;Hearingら、(1983) Cell 33:695-703;Weeksら、(1983) Mol. Cell. Biol. 3:1222-1234;Levinsonら、(1982) Nature 295: 568-572;およびLuciwら、(1983) Cell 33: 705-716)。
【0006】
核酸免疫法および遺伝子治療のためのいくつかの発現系は、hCMV最初期プロモーターを利用する。たとえば、Stinski、米国特許第5168062号および第5385839号、ならびに欧州特許明細書第0323997 B1号を参照されたい。hCMV最初期プロモーターを用いた発現ベクターには、たとえば、pWRG7128(Royら、Vaccine 19, 764-778, 2001)、ならびに国際公開番号WO 95/20660に記載のpBC12/CMVおよびpJW4303がある。Chapmanら(1991)は、hCMVイントロンAがない場合hCMV最初期プロモーターからの発現レベルの低下を報告している。
【発明の開示】
【0007】
操作されたウイルスプロモーター/発現配列を用いて、宿主細胞において増強された異種コード配列の発現を提供する核酸構築物が開発された。構築物は、抗原をコードする遺伝子の効率的な発現に適しており、したがって、核酸免疫法に使用することができる。詳細には、構築物は、粒子を介した核酸免疫化に使用できるように担体粒子上に与えられる。
【0008】
したがって、本発明は、キメラプロモーター配列、ならびに機能しうるようにキメラプロモーターと結合するコード配列挿入のためのクローニング部位を含んでなる核酸構築物を与えるが、ここでキメラプロモーター配列は、
(a)hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のうちエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン
を含んでなる。
【0009】
本発明はまた下記も提供する:
-(i)(a)hCMV最初期プロモーター配列;(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1および少なくともエクソン2の一部;ならびに(c) hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロンを含んでなるキメラプロモーター配列;および
(ii)キメラプロモーターと機能しうるように結合するコード配列挿入のためのクローニング部位;および
(iii)(a)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、またはHSV type 2gD抗原配列に由来し、キメラプロモーターと機能しうるように結合している、非翻訳リーダー配列;および/または
(b)HBsAg配列の3’非翻訳領域(UTR)、またはサルCMV最初期遺伝子配列の3’UTRに由来し、キメラプロモーターと機能しうるように結合している、エンハンサー配列であって、そのエンハンサー配列がコード配列の下流にある、前記エンハンサー配列;
を含んでなる核酸構築物;
-(i)プロモーター配列;
(ii)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、またはHSV type 2gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;および
(iii)(i)および(ii)に機能しうるように結合したコード配列;
を含んでなる核酸構築物であって、前記コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記核酸構築物;
-(i)プロモーター配列;
(ii)プロモーター配列(i)に機能しうるように結合したコード配列;および
(iii)コード配列(ii)の3’でこれに機能しうるように結合したエンハンサー配列;
を含んでなる核酸構築物であって、エンハンサー配列(iii)がHBsAg配列の3’UTRまたはサルCMV最初期遺伝子配列の3’UTRに由来し、コード配列(ii)は3’エンハンサー配列に対して異種性である前記核酸構築物;
-当該ポリペプチドの哺乳動物細胞での発現を得る方法であって、その方法が、前記細胞に本発明の核酸構築物を移入することを含んでなり、この構築物はポリペプチドをコードするコード配列を包含する、前記方法;
-粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに適した、コーティングされた粒子であって、その粒子が本発明の核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなり、その構築物はポリペプチドをコードするコード配列を包含する、前記粒子;
-コーティングされた粒子を含んでなる、粒子を介したデリバリーデバイスのための投薬容器;
-コーティングされた粒子を充填した、粒子を介したデリバリーデバイス;
-被験体に、有効量のコーティングされた粒子を投与することを含んでなり、その粒子においてコード配列が抗原をコードしている、核酸免疫化の方法;
-単離精製されたキメラプロモーター配列であって、
(a)hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンAの代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる前記配列。
【0010】
上記および他の、本発明の対象、態様、実施形態および利点が、本明細書の開示に照らして、容易に当業者に想起されるであろう。
【0011】
詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、当然のことながら、本発明は特に例示された分子またはプロセスパラメータに限定されないが、それはそれらが当然、変動する可能性があるためである。やはり当然のことであるが、本明細書で使用される専門用語は、本発明の特定の実施形態を説明することだけを目的とし、限定するものではない。加えて、本発明の実施には、特に指示しない限り、ウイルス学、微生物学、分子生物学、組換えDNA技術および免疫学の、いずれも当技術分野で通常の技術に属する、従来の方法を用いることとする。このような技術は文献ですべて説明されている。たとえば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第2版、1989); DNA Cloning: A Practical Approach, vol. I & II (D. Glover編); Oligonucleotide Synthesis (N. Gait編、1984); A Practical Guide to Molecular Cloning (1984); ならびにFundamental Virology, 第2版、vol. I & II (B.N. FieldsおよびD.M. Knipe編)を参照されたい。
【0012】
本明細書に記載の刊行物、特許および特許出願はすべて、上記であろうと下記であろうと、全体をそのまま、参考のため本明細書に含めるものとする。
【0013】
留意すべきは、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の”a”、”an”および”the”は、内容上明確に他の意味に解すべき場合を除き、複数の指示対象を包含することである。
【0014】
A. 定義
他に特に定めない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明の属する技術分野の当業者に広く理解されるのと同じ意味を持つ。本明細書に記載の方法および材料と類似した、または同等の多くの方法および材料を、本発明の実施に際して使用することができるが、好ましい材料および方法は本明細書に記載される。
【0015】
本発明の記述において、次の用語を使用することになるが、以下に示すように定義されるものとする。
【0016】
「核酸免疫法」という用語は、本明細書において、1つもしくは複数の抗原のin vivo発現のために、1つもしくは複数の選択された抗原をコードする核酸分子を、宿主細胞に導入することを示すために使用される。核酸分子は、たとえば、標準的な筋肉注射もしくは皮内注射;経皮的粒子デリバリー;吸入;局所的もしくは経口による、鼻内もしくは粘膜投与法によって、レシピエント被験体に直接導入することができる。あるいはまた、核酸分子を、被験体から取り出した細胞内にex vivoで導入することができる。この後者の場合、当該核酸分子を含有する細胞を被験体に再導入し、その結果、核酸分子によってコードされる抗原に対して、免疫応答を開始することができる。このような免疫化において使用される核酸分子は、一般に「核酸ワクチン」と称される。
【0017】
「アジュバント」という用語は、特異的もしくは非特異的に、抗原特異的免疫応答を変化させる、増強する、指示する、再指示する、可能にする、または開始する能力を有する物質もしくは組成物を意味する。したがって、アジュバントを抗原と同時に投与すると、結果として、抗原が投与された被験体において望ましい免疫応答を達成するために必要な抗原の投与量をより少なく、または投与回数をより少なくすることができる。あるいは、同時投与は、結果として、被験体において質的に、および/または量的に、異なる免疫応答をもたらすことができる。詳細には、アジュバントの投与は、結果的に、免疫応答の大きさ、および/または持続時間のいっそうの増大といった、免疫応答の増強をもたらすことができる。アジュバントの有効性は、ワクチン組成物のみを動物に投与することと並行して、アジュバントをワクチン組成物とともに投与すること、ならびに、ラジオイムノアッセイ、ELISAおよびCTLアッセイといった標準的なアッセイを用いて、抗体および/または細胞性免疫をこの2つのグループで比較することによって判定することができる。
【0018】
「コア担体」は、明確な粒径、ならびに細胞膜透過に必要な運動量を達成するのに十分な高密度を与えるように、ゲスト核酸(たとえばDNA、RNA)がコーティングされる担体を意味するが、そのようにしてゲスト分子を、粒子を介した技術によって、デリバリーすることができる(たとえば、米国特許第5,100,792号を参照されたい)。コア担体は、典型的には、タングステン、金、白金、フェライト、ポリスチレンおよびラテックスといった物質を含む。たとえば、Particle Bombardment Technology for Gene Transfer, (1994) Yang, N.編、Oxford University Press, New York, NY 10-11ページを参照されたい。
【0019】
「無針注射器」は、皮膚を刺す従来の針に依らず、経皮的に粒子性組成物をデリバリーする器具を意味する。本発明とともに使用するための無針注射器は、本明細書で検討する。
【0020】
「経皮的」デリバリーという用語は、皮内(たとえば、真皮もしくは表皮内)、経皮(たとえば、「皮膚を通しての」)および経粘膜投与を意味し、すなわち、皮膚もしくは粘膜組織内への、または皮膚もしくは粘膜組織を貫通する、薬剤の通過によるデリバリーを意味する。たとえば、Transdermal Drug Delivery: Developmental Issues and Research Initiatives, Hadgraft およびGuy (編), Marcel Dekker, Inc., (1989); Controlled Drug Delivery: Fundamentals and Applications, RobinsonおよびLee (編), Marcel Dekker Inc., (1987); ならびにTransdermal Delivery of Drugs, Vols. 1-3, KydonieusおよびBerner (編), CRC Press, (1987)を参照されたい。したがって、この用語は、米国特許第5,630,796号に記載の無針注射器からのデリバリー、ならびに米国特許第5,865,796号に記載の粒子を介したデリバリーを包含する。
【0021】
「ポリペプチド」は、2個以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸アナログ、または他のペプチドミメティックからなる化合物を指すものとして、最も広い意味で使用される。サブユニットは、ペプチド結合または他の結合、たとえばエステル、エーテルなどによって連結することができる。本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、天然および/または非天然もしくは合成アミノ酸を指すが、これらは、グリシンおよびDもしくはL型光学異性体の両者、ならびにアミノ酸アナログおよびペプチドミメティックを包含する。3個以上のアミノ酸からなるペプチドは、ペプチド鎖が短いならば、一般にオリゴペプチドと称される。ペプチド鎖が長い場合には、そのペプチドは通常ポリペプチドもしくはタンパク質と呼ばれる。
【0022】
「抗原」は、個体において免疫学的な反応を引き起こす能力のある、何らかの作用物質、一般に巨大分子を指す。この用語は、個々の巨大分子、または抗原性巨大分子の相同もしくは非相同集団を表すために使用することができる。本明細書で使用される「抗原」という用語は、概して、1つもしくは複数のエピトープを有する、タンパク質分子もしくはその一部を指示するために使用される。本発明のために、任意の適切な起源から抗原を採取し、もしくは導き出すことができる。その上、本発明の目的上、「抗原」は、その天然型配列に欠失、付加および置換といった改変を有する(概して性質は保存される)タンパク質を、そのタンパク質が十分な免疫原性を維持する限り、包含するものである。これらの改変は、たとえば部位特異的変異誘発によって、計画的におこなうことができるが、抗原を産生するホストの突然変異によって生じるように、偶発的であってもよい。
【0023】
所定の抗原に対する「免疫応答」は、個体における、その抗原に対する液性および/または細胞性免疫応答の成果である。本発明のために、「液性免疫応答」は抗体分子を介した免疫応答を表すのに対して、「細胞性免疫応答」はTリンパ球および/または他の白血球を介した免疫応答である。
【0024】
「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書において交換可能なものとして使用され、デオキシリボヌクレオチドであれ、リボヌクレオチドであれ、あるいはそれらのアナログであれ、任意の長さのヌクレオチドの重合体を指す。ポリヌクレオチドは、何らかの三次元構造を有し、何らかの既知または未知の機能を果たすことができる。ポリヌクレオチドの限定的でない例としては、遺伝子、遺伝子断片、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマーがある。
【0025】
ポリヌクレオチドは、典型的には、4つのヌクレオチド塩基:アデニン(A);シトシン(C);グアニン(G);およびチミン(T)(ポリヌクレオチドがRNAである場合チミン(T)の代わりにウラシル(U))からなる特有の配列から構成される。したがって、核酸配列という用語は、ポリヌクレオチド分子をアルファベットで表現したものである。このアルファベット表示は、中央演算処理装置を有するコンピューターのデータベースに入力し、ゲノム機能解析および相同性検索といったバイオインフォマティクスアプリケーションに使用することができる。
【0026】
「ベクター」は、核酸配列を標的細胞に移動する能力を有する(たとえば、ウイルスベクター、非ウイルス性ベクター、粒子性担体、およびリポソーム)。一般的に、「ベクター構築物」、「発現ベクター」、および「遺伝子導入ベクター」は、所定の遺伝子の発現を指示する能力を有し、遺伝子配列を標的細胞に移行させることができる、何らかの核酸構築物である。したがって、この用語は、ウイルスベクターはもちろん、クローニングおよび発現媒体を包含する。「プラスミド」は、染色体外遺伝因子としてのベクターである。
【0027】
選択された抗原を「コードする」核酸配列は、適当な制御配列の支配下に置かれたとき、in vivoで転写され(DNAの場合)、ポリペプチドに翻訳される(mRNAの場合)核酸配列である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドン、および3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって定められる。本発明のために、こうした核酸配列に、ウイルス、原核生物、もしくは真核生物のmRNAからのcDNA、ウイルスもしくは原核生物のDNAまたはRNAからのゲノム配列、ならびに合成DNA配列まで含めることができるが、それに限定されない。転写終結配列が、コード配列の3’側にあってもよい。
【0028】
「プロモーター」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写を開始し、調節するヌクレオチド配列である。プロモーターには、誘導性プロモーター(この場合、プロモーターに機能しうるように連結されたポリヌクレオチド配列の発現は、アナライト、コファクター、調節タンパク質などによって誘導される)、抑制性プロモーター(この場合、プロモーターに機能しうるように連結されたポリヌクレオチド配列の発現は、アナライト、コファクター、調節タンパク質などによって抑制される)、および構成的プロモーターを含めることができる。「プロモーター」もしくは「調節因子」という用語は、全長プロモーター領域、およびこれらの領域の機能的(たとえば転写もしくは翻訳を制御する)セグメントを包含するものとする。
【0029】
「機能しうるように連結される」は、記載の成分が通常の機能を果たせるように構成される、エレメントの配置を表す。したがって、核酸配列に機能しうるように連結された所定のプロモーターは、適当な酵素が存在する場合、その配列の発現を果たすことができる。プロモーターは、それが機能して配列の発現を指示する限り、配列に隣接する必要はない。したがって、たとえば、翻訳されないが転写される介在配列がプロモーター配列と核酸配列の間に存在してもよく、プロモーター配列はそれでもコード配列に「機能しうるように連結されている」と見なすことができる。
【0030】
「組換え体」は、本明細書において、ゲノム、cDNA、半合成、または合成起源の核酸分子(ポリヌクレオチド)を表すために使用され、これは、その起源もしくは操作のために、自然状態で結合しているポリヌクレオチドの全部もしくは一部と結合せず、および/または、天然で結合しているポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドと結合している。1つの組換え核酸分子の中に含まれる2つの核酸配列は、それらが自然状態で通常結合していない場合、互いに他に対して異種性である。
【0031】
本明細書において、ポリヌクレオチドの相同体に言及する。一般に、別のポリヌクレオチドに相同なポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドに対して少なくとも70%相同であり、好ましくは、少なくとも80もしくは90%、さらに好ましくは、少なくとも95%、97%もしくは99%相同である。相同性を測定する方法は当技術分野でよく知られており、当業者には当然のことであるが、このような状況において、相同性は核酸の同一性に基づいて算出される。そうした相同性は、少なくとも15個、好ましくは、少なくとも30個、たとえば、少なくとも40、60もしくは100個以上の連続するヌクレオチドの領域にわたって、存在することが考えられる。
【0032】
ポリヌクレオチド相同性もしくは同一性を測定する方法は、当分野で知られている。たとえば、UWGCG Packageは、相同性の計算に使用することができるBESTFITプログラムを提供する(たとえば、そのデフォルト設定で使用)(Devereuxら、(1984)Nucleic Acids Research 12, 387-395)。
【0033】
PILEUPおよびBLASTアルゴリズムも、たとえば、Altschul S.F. (1993) J Mol Evol 36:290-300; Altschul, S, Fら (1990) J Mol Biol 215:403-10に記載のように、相同性を計算し、または配列を並べるために使用することができる(典型的にはデフォルト設定で)。
【0034】
BLAST解析を実施するソフトウェアは、National Centre for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公開され、利用可能である。このアルゴリズムは、最初に、データベース配列において同じ長さのワードとともに整列化したとき、ある正の数の閾値スコアTとマッチする、またはそれを満足する、クエリ配列中の長さWの短いワードを同定することによって、ハイスコア配列ペア(HSP)を同定することを含むものである。Tは、隣接ワードスコア閾値と称される(Altschulら、上記)。これらの最初の隣接ワードのヒットは、それらを含むHSPを見出すために検索を開始するシードとなる。ワードヒットを、その累積アラインメントスコアが増加する限り、それぞれの配列に沿って両方向に延ばしていく。各方向のワードヒットの延長は、次の場合に中止する:1以上の負のスコアとなる残基アラインメントが蓄積するために、累積のアラインメントスコアがゼロ以下になる;またはどちらかの配列の末端に達する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、アラインメントの感度およびスピードを決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、ワードの長さ(W)11、BLOSUM62スコア行列(HenikoffおよびHenikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-10919を参照されたい)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M = 5、N = 4、および二本の鎖の比較を使用する。
【0035】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性について統計分析を行う;たとえば、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl, Acad. Sci. USA 90:5873-5787を参照されたい。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性に関する1つの測定値が、最小総和確率(P(N))であって、これは2つのヌクレオチドもしくはアミノ酸配列間のマッチが偶然生じたものである可能性の指標を与える。たとえば、第1の配列を第2の配列と比較した最小総和確率が約1未満である、好ましくは約0.1未満である、さらに好ましくは約0.01未満である、さらにもっとも好ましくは0.001未満であるならば、ある配列が別の配列に類似していると見なす。
【0036】
相同体は典型的には、関連するポリヌクレオチドと、バックグラウンドを有意に越えたレベルでハイブリダイズする。相同体とポリヌクレオチドとの相互作用によって生じるシグナルレベルは、「バックグラウンドハイブリダイゼーション」より、典型的には10倍以上強く、好ましくは100倍以上である。相互作用の強さは、たとえば、プローブを32Pで放射標識することによって、測定することができる。選択的ハイブリダイゼーションは、典型的には、中程度から高いストリンジェンシー条件(たとえば、約50℃から約60℃にて、0.03M塩化ナトリウムおよび0.003Mクエン酸ナトリウム)によって達成される。
【0037】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、50%ホルムアミド、5x Denhardt’s Solution、5x SSC、0.1% SDSおよび100μg/ml変性サケ精子DNAを包含し、洗浄条件には37℃にて2x SSC、0.1% SDS、続いて68℃にて1x SSC、0.1% SDSを含めることができる。適当なハイブリダイゼーション条件を定めることは、当分野の技術で可能である。たとえば、Sambrookら、上記、を参照されたい。
【0038】
相同体は、関連ポリヌクレオチドの配列と、3個未満、5個未満、10個未満、15個未満、20個未満、またはそれ以上の変異の数だけ異なっていると考えられる(変異はそれぞれ、置換、欠失もしくは挿入とすることができる)。これらの変異は、相同体の、少なくとも30個、たとえば少なくとも40個、60個、または100個以上の連続したヌクレオチド配列の領域にわたって、測定することができる。ポリヌクレオチドがポリペプチドをコードする場合、置換は、コードされるアミノ酸に「保存的」変化を生じることが好ましい。これは、下記の表にしたがって特徴づけられる。2列目で同じブロックにあるアミノ酸、および好ましくは3列目で同じ行にあるアミノ酸は、保存的変化として相互に置き換えることができる。
【表1】
【0039】
「個体」および「被験体」という用語は、本明細書において相互に交換可能なものとして使用され、脊索動物亜門に属する何らかの動物を指すが、脊索動物亜門は、制限なしに、ヒトおよび他の霊長類(チンパンジーおよび他の類人猿、ならびにサル類といった、ヒト以外の霊長類を含む);ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびウマといった家畜;イヌおよびネコといったペットの哺乳動物;マウス、ラットおよびモルモットといった齧歯類を含む実験動物;ニワトリ、シチメンチョウおよび他のキジ類の鳥、アヒル、ガチョウなどのような、家禽、野生、および狩猟用の鳥を含めた鳥類を包含する。この用語は、特定の年齢を指示しない。したがって、成体および新生仔個体をいずれも対象とするものとする。これらの脊椎動物のすべての免疫系は同じように機能するため、本明細書に記載の方法は、上記の脊椎動物種のいずれにも使用することを目的とする。
【0040】
B. 総括
本発明は、宿主細胞において異種コード配列、特に抗原をコードする遺伝子の効率的な発現を可能にする、核酸構築物に関する。さらに具体的には、本発明は、キメラプロモーター配列およびクローニング部位を含んでなる核酸構築物、または、実施形態によっては、基本的にキメラプロモーター配列およびクローニング部位からなる核酸構築物を提供するが、コード配列がクローニング部位に挿入される場合、そのコード配列は機能しうるようにキメラプロモーターと結合する。
【0041】
プロモーターは下記を含んでなり、またある実施形態においては、基本的に下記から構成される:
(a)hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c) hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン。
【0042】
hCMV最初期プロモーター配列(a)は下記を含んでなることができる:
(i)天然のhCMV最初期プロモーター配列;
(ii)機能的に相同な上記のバリアント;または
(iii)(i)もしくは(ii)の機能性断片。
【0043】
概して、配列(a)は、約100から600まで、好ましくは200から600まで、たとえば400から600個までのヌクレオチドを含んでなる。典型的には、配列(a)は、転写因子もしくはRNAポリメラーゼと結合した、(i)に含まれる配列を含んでなり、またはこれらの配列のいずれでもなくそれに代えて、同じ転写因子およびRNAポリメラーゼと結合することができる、これらの配列の相同体を含んでなる。一般にこうした配列もしくはその相同体は、(i)と同じ順序で、および/または実質的に同じ相対的スペーシングで、プロモーター配列(a)中に存在する。
【0044】
概して、(i)は、hCMV主要最初期遺伝子の、少なくともヌクレオチド-100から-1まで、典型的には-150から-1まで、たとえば、-500から-1まで、または-600から-1までを含んでなる。配列(i)は典型的には、hCMVコアプロモーター配列を含んでなり、さらにhCMV最初期プロモーター中に存在する1つもしくは複数のエンハンサーエレメントを含めることもできる。たとえば、(i)は、米国特許第6218140号に記載のようにヌクレオチド-118から-1まで、もしくは-524から-1まで、または米国特許第5385839号に記載のようにヌクレオチド-62から-1まで、もしくは-465から-1までを含んでなることができる。
【0045】
一般的に(i)は、プロモーター配列に共通して見られるTATAボックスまたはCAATボックスを包含する。好ましくは、この配列は、hCMV最初期プロモーター中の1つもしくは複数の反復配列を包含する。
【0046】
好ましい実施形態において、(i)は配列番号1を含んでなる。
【0047】
hCMV最初期プロモーター配列は、既知の方法によって得ることができる。天然のhCMV最初期プロモーターは、標準的な技法を用いてウイルスサンプルから直接単離することができる。たとえば、米国特許第5385839号には、hCMVプロモーター領域のクローニングが記載されている。hCMV最初期プロモーターの配列は、Genbank #M60321(hCMV Towne株)およびX17403(hCMV Ad169株)として入手可能である。したがって、天然型配列は、既知の配列に基づくPCRプライマーを用いたPCRによって単離することができる。DNAを採取し、単離するために使用される方法の記述として、たとえば、Sambrookら、上記、を参照されたい。適当なhCMVプロモーター配列は、既存のプラスミドベクターから単離することもできる。プロモーター配列は、合成によって製造することもできる。
【0048】
機能性バリアント(ii)、もしくは断片(iii)は、概して、天然型プロモーター(i)の活性を保持および/または補完するものである。典型的にはこの活性は、機能しうるように連結されたポリヌクレオチド、特にhCMV主要最初期遺伝子の転写を引き起こす能力(開始および制御する)である。ある実施形態において、バリアントおよび断片は、hCMVウイルス中の天然型プロモーターの活性を補完することができるが、これはたとえば、ウイルスが細胞に感染し、および/または細胞内で複製する能力を保持することを可能にする。
【0049】
相同なバリアント(ii)、もしくは断片(iii)の、(i)の活性を保持および/または補完する能力をアッセイすることができる。たとえば、天然hCMV最初期プロモーターが欠損した変異hCMVに機能(たとえば感染および/または複製能力)を回復させる能力について、バリアントもしくは断片をアッセイすることができる。
【0050】
下記の比較発現アッセイを用いて、相同バリアント(ii)、もしくは断片(iii)の有用性を調べることができる。テストプロモーター配列を、天然のhCMV最初期プロモーターと交換して、基本ベクターにいれる。典型的には、機能性バリアントもしくは断片は、基本ベクターを用いて与えられる発現の少なくとも約50%、たとえば、60、70、80、90%またはそれ以上の発現を可能にする。一般に発現は、少なくとも1つであるが、好ましくは2つの基準細胞型で与えられる。典型的には、基準細胞は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞とする。
【0051】
上記に加えて、または上記の代わりに、プロモーター配列を下記の比較免疫原性アッセイでテストすることができる。テストプロモーター配列を、天然のhCMV最初期プロモーターと交換して、基本ベクターにいれる。機能性プロモーター配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価と少なくとも同程度の、もしくはそれより高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターについて得られるよりも、少なくとも5%、10%、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびflu-M2抗原である。このアッセイによれば、天然型プロモーター配列(i)の機能性相同バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、この天然型配列によって達成される最も高い抗体価を可能にするものである。
【0052】
上記のように、構築物は、hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1およびエクソン2に由来する配列を含んでなる、エクソン配列(b)を含んでなることができる。エクソンは、天然の状態では一般にイントロンによって隔てられているコード配列である。天然のhCMV主要最初期遺伝子において、エクソン1およびエクソン2は通常、天然型イントロンAで隔てられている。本発明のキメラ構築物において、エクソン2配列は通常、エクソン1配列の3’側にあり、イントロン配列の介在はなく、したがってエクソン1およびエクソン2は隣接している。
【0053】
エクソン配列(b)は下記を含んでなることができる:
(i) 天然型エクソン配列、典型的にはエクソン1、および(全体もしくは一部の)エクソン2;
(ii) 機能する、(i)の相同バリアント;または
(iii) (i)もしくは(ii)の機能性フラグメント。
【0054】
配列(i)は、天然のhCMV主要最初期遺伝子エクソン1配列の約50から100%、たとえば、60から90%、または70から80%を含んでなることができる。典型的には、天然型エクソン1配列の少なくとも50%、たとえば60%、70%、80%、90%またはそれ以上が存在する。エクソン配列(b)はまた、エクソン2配列の少なくとも一部を含んでなる。配列(i)において、典型的には天然型エクソン2の2個以上の塩基が、たとえば2から9個、2から7個、または3から5個の塩基が存在する。100%を含めて100%までの天然型エクソン2配列が、たとえば天然型エクソン2配列の5から95%まで、20から80%まで、または40から60%までが、存在しうる。典型的には、相同バリアントは、天然型配列について言及された上記の長さのいずれかを有する。
【0055】
好ましくは、(i)は、配列番号2を含んでなる。
【0056】
適当なエクソン配列(b)は既知の方法によって得ることができる。DNAを採取し、単離するために使用する技術の説明については、たとえば、Sambrookら、上記、を参照されたい。天然型hCMV主要最初期遺伝子配列は、標準的な技法を用いて、ウイルスのサンプルから直接単離することができる(たとえば、MacLean, A (1998) “Preparation of HSV-DNA and Production of Infectious Virus” in Herpes Simplex Virus Protocols S. Brown, A Maclean, editors, Humana Press, Totowa, NJ, pp.19-26を参照されたい)。エクソン1およびエクソン2の部位を含むhCMV主要最初期遺伝子の配列は、Genbank #M60321, X17403として入手できる。したがって、天然型エクソン1および2配列は、天然の主要遺伝子配列を適当な制限部位で切断することによって、または既知の配列に基づくPCRプライマーを用いたPCRによって、単離することができる。あるいはまた、適当なエクソン配列は、pWRG7128のような既存のプラスミドベクターから単離することもできる。エクソン配列はまた、クローニングではなく合成によって作製することもできる。バリアント配列は、部位特異的変異誘発のような、日常的な手法によって容易に構築することができる。
【0057】
一般に、エクソン配列は、本発明の構築物に含まれる場合、発現を強めるものであって、典型的には、上記の天然型エクソン1およびエクソン2配列(i)に匹敵する増強をもたらす。
【0058】
エクソン配列の機能は、下記の比較発現アッセイによってアッセイすることができる。すでに存在するエクソン配列に代えて、テストエクソン配列を基本ベクター中に入れる。一般にエクソン配列は、その配列が少なくとも1つ、好ましくは2つの、基準細胞型において、基本ベクターと比較して発現を抑制するのではなく、むしろ発現を高めるならば、機能性である。典型的には基準細胞は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞とする。好ましくは、発現は、少なくとも5%、10%、20%、30%または40%増加する。このアッセイによれば、天然型エクソン配列(i)の機能性相同バリアント(ii)もしくは機能性断片(iii)は、天然型配列によって与えられる発現向上の少なくとも50%を可能にするものである。
【0059】
上記に加えて、もしくは上記の代わりに、エクソン配列を下記の比較免疫原性アッセイでテストすることができる。テストエクソン配列を、すでに存在するエクソン配列と交換して、基本ベクターにいれる。機能性エクソン配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価と少なくとも同程度の、もしくはそれより高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターについて得られるよりも、少なくとも5%、10%、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびflu-M2抗原である。このアッセイによれば、天然型エクソン配列(i)の機能性相同バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、この天然型配列によって達成される最も高い抗体価を可能にするものである。
【0060】
キメラプロモーター構築物は、hCMV主要最初期遺伝子の天然イントロンAの代わりに異種イントロン(c)を含んでなる。イントロンは、遺伝子から転写されたmRNAからスプライスされる非コード配列である。異種イントロンは、自然状態ではコード配列中に存在しないイントロンである。
【0061】
異種イントロン(c)が、全体として、または部分的に、hCMV主要最初期遺伝子の天然イントロンAに置き換わっている。典型的には、天然イントロンAは存在しない。
【0062】
一般に、異種イントロン(c)はエクソン配列(b)の3’側にある。
【0063】
典型的には、異種イントロン(c)は下記を含んでなる:
(i)天然のイントロン;
(ii)(i)の機能性相同バリアント;または
(iii) (i)または(ii)の機能性断片。
【0064】
異種イントロン(c)は、一般に、ウイルスもしくは真核生物のイントロンである。好ましくは、イントロンは、哺乳類のイントロンであって、特に非ヒトイントロン、たとえばラットもしくはニワトリのイントロンである。好ましくは、イントロンは、イントロンA、たとえばラットインスリンイントロンA、ニワトリケラチンイントロンA、またはニワトリ心筋アクチンイントロンAである。
【0065】
典型的には、イントロン(c)の長さは、約50ヌクレオチドから約1000ヌクレオチドまでであるが、たとえば、約100から約500ヌクレオチドまでである。イントロン(c)はたとえば、50から500ヌクレオチドまで、たとえば、最長100、200、300または400ヌクレオチドを含んでなることができる。好ましくは、イントロンは、天然のラットインスリンイントロンAのヌクレオチド約50から133までの位置に認められる配列、またはこの配列の相同体を含んでなる。
【0066】
好ましくは、異種イントロン(c)は、真核生物宿主細胞において、RNA転写物からスプライスされる能力を有する。一般に、このイントロンは、1つもしくは複数の(GTのような)ドナー配列、(AGのような)アクセプター配列、3’ピリミジンリッチ領域、およびブランチポイント配列を含んでなる。ピリミジンリッチ領域は、もしあるとすれば、たとえば、少なくとも5、8、10またはそれ以上のピリミジンを含む可能性がある。好ましくは、イントロンは、少なくとも、ドナー配列、アクセプター配列およびブランチポイント配列を含んでなる。典型的には、キメラ構築物において、イントロン(c)は、天然のイントロン(i)のイントロン/エクソン境界に見られる、エクソン配列に由来する非イントロンフランキング配列を含んでなる。このフランキングエクソン配列は、天然のエクソン配列、またはこの天然配列と同じ活性を実質的に保持する、たとえばスプライシング機能を保持する、この配列の相同体とすることができる。典型的には、5から10塩基まで、好ましくは7から10塩基までのエクソン配列がイントロンの各末端に含まれる。
【0067】
イントロン(c)は、そのイントロンが機能するならば、人工イントロンであってもよい。たとえば、組換えイントロンもしくはキメライントロンを使用することができる。こうしたイントロンは、2つ以上の天然イントロンに由来する配列を含んでなることができる。
【0068】
典型的には、イントロン(c)は、転写因子もしくは制御タンパク質と結合した、hCMVイントロンA中に存在する配列、またはこれらの配列のいずれでもなく、同じ因子もしくはタンパク質と結合することができる前記配列の相同体を含んでなる。典型的には、こうした配列もしくはその相同体は、hCMVイントロンAと同じ順序で、および/または実質的に同じ相対的なスペーシングで、イントロン(c)中に存在する。
【0069】
イントロン(c)は相同バリアント(ii)を含んでなることも可能であって、このバリアントにおいて、天然イントロン(i)の配列は改変され、配列内の制限部位が除去されている。たとえば、配列内NheI部位が損なわれた、ラットインスリンイントロンAの相同バリアントを使用することができる。
【0070】
好ましくは、イントロン(c)は下記を含んでなる:
(i)配列番号3;
(ii) (i)の機能性相同バリアント;または
(iii) (i)または(ii)の機能性断片。
【0071】
イントロン配列(c)は、標準的なクローニング技術によって得られる。たとえば、ラットインスリンイントロンA配列は、GenBank J00748として入手可能であり、ニワトリケラチンイントロンA配列はGenBank J00847として、ならびにニワトリ心筋アクチンイントロンA配列はGenBank X02212として入手できる。イントロン配列は、既知の配列に基づくプライマーを用いて、天然起源から単離することができる。合成により配列を調製してもよい。バリアント配列は突然変異誘発によって得ることができる。
【0072】
一般に、機能性イントロン配列、たとえば、機能性バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、天然イントロン(i)と実質的に同じ活性を有する、および/または天然イントロン(i)の活性を補完する配列である。ある実施形態において、この活性はスプライシング活性である。
【0073】
イントロン(c)配列のスプライシング活性を、通常のスプライシングアッセイによってテストすることができる。一般に、機能性相同体(ii)または機能性断片(iii)は、アッセイにおいて天然イントロン(i)のスプライシング効率の少なくとも50%、たとえば、60%、70%、80%、90%、ならびに100%に至るまでの、またはそれ以上の効率を示す。
【0074】
一般に、異種イントロン配列は、本発明の構築物中に存在する場合、発現を高める。典型的には、バリアント(ii)または断片(iii)イントロンは、天然イントロン(i)に匹敵する増強を引き起こすと思われる。
【0075】
潜在するイントロン配列(c)の機能性は、下記の比較発現アッセイによってテストすることができる。異種イントロンは交換して基本ベクター中に入れられる。概して、異種イントロン配列を加えることによって、少なくとも1つ、好ましくは2つの基準細胞型において、発現が基本ベクターと比較して、25%以上増加するならば、そのイントロン配列は機能している。典型的には、基準細胞は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞である。発現の増加は、少なくとも35%、45%、55%、またはそれ以上とすることができる。このアッセイによれば、天然イントロン配列(i)の機能性バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、天然配列によって達成される発現向上の50%を超える発現向上を可能にする配列である。
【0076】
上記に加えて、または上記に代えて、異種イントロン(c)配列は、下記の比較免疫原性アッセイを用いて、機能性をテストすることができる。イントロン(c)配列を基本ベクターに加える。機能性イントロン(c)配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価より高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターについて得られるよりも、少なくとも5%、10%、たとえば、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびflu-M2抗原である。このアッセイによれば、天然イントロン配列(i)の機能性バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、この天然配列によって達成される最も高い抗体価を可能にするものである。
【0077】
適当な異種イントロン配列は、標準的なクローニング技術によって得られる。たとえば、ラットインスリンイントロンA配列は、GenBank J00748として入手可能であり、ニワトリケラチンイントロンA配列はGenBank J00847として、ならびにニワトリ心筋アクチンイントロンA配列はGenBank X02212として入手できる。イントロン配列は、既知の配列データに基づくプライマーを用いて、天然起源から単離することができる。合成により適当な配列を調製することもできる。
【0078】
互いに適切に結合されてキメラプロモーターを形成する成分配列(a)、(b)および(c)は、標準的なクローニング技術もしくは分子生物学の技法によって与えられる。好ましくは、イントロン配列(c)はエクソン配列(b)の3'側に与えられる。キメラプロモーター構築物は、適当な酵素が存在するとき、そのプロモーターがクローニング部位に挿入されたコード配列の発現をもたらすように、その部位に連結される。マルチクローニング部位を含む、適当なクローニング部位が当技術分野で知られており、たとえば、pUC19、pBC SK、pBluescript II KS、cDNA3.1、pSP72、pGEM 7Zマルチクローニング部位である。
【0079】
典型的には、クローニング部位に挿入するための(または、挿入される)核酸は、治療に関連するポリペプチドをコードする。コード配列は、核酸免疫法もしくは遺伝子治療への使用に適していることが好ましい。したがって、核酸インサートは、免疫性を与えることができる配列、たとえば、被験体に送達されたときに液性および/または細胞性免疫応答を引き起こす免疫原性配列を含んでなると考えられる。あるいはまた、核酸は、治療用ポリペプチド、たとえば標的細胞ゲノムから欠損した、もしくは欠失したタンパク質、または望ましい生物学的もしくは治療上の効果(たとえば、抗ウイルス作用)を有する非天然タンパク質をコードする、1つもしくは複数の遺伝子を含んでなることもある。遺伝性疾患の治療のために、特定の疾患において欠損していることが知られている遺伝子に相当する、機能性遺伝子を被験体に投与することができる。好ましくは、核酸はDNAである。
【0080】
挿入に適した核酸には、炎症性疾患、自己免疫疾患、エイズ、癌、神経疾患、心臓血管疾患、高コレステロール血症のような疾患を含む慢性および感染性疾患;さまざまな貧血、サラセミア症、および血友病を含む、さまざまな血液疾患;嚢胞性線維症、ゴーシェ病、アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症、気腫などといった遺伝的欠損の治療に使用される核酸が含まれる。
【0081】
たとえば、固形腫瘍を治療する方法において、毒性ペプチド(すなわち、リシン、ジフテリア毒素およびコブラ毒因子)をコードする遺伝子、p53のような癌抑制遺伝子、トランスフォーミング癌遺伝子に対してアンチセンスであるmRNA、腫瘍壊死因子(TNF)ならびに他のサイトカイン類のような抗腫瘍性ペプチド、またはトランスフォーミング癌遺伝子のトランスドミナントネガティブ変異体をコードする遺伝子を、腫瘍部位に、またはその近傍に、発現のために挿入することができる。
【0082】
同様に、抗ウイルスおよび/または抗菌活性を示すことが知られているポリペプチド、または宿主免疫系を刺激することが知られているポリペプチドをコードする核酸も含めることができる。核酸は、インターロイキン、インターフェロンおよびコロニー刺激因子といった、さまざまなサイトカイン(またはその機能性断片)の1つをコードしていてもよい。核酸は、多くの病気の治療または予防のための抗原をコードしていてもよく、こうした病気には、癌、アレルギー、毒性、および病原体による感染があるがそれに限定されない。さらに前記病原体には、真菌;ウイルス、たとえば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、HIV、HSV2/HSV1、インフルエンザウイルス(A、BおよびC型)、ポリオウイルス、RSVウイルス、ライノウイルス、ロタウイルス、A型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス群、エンテロウイルス、アストロウイルス、麻疹ウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインバールウイルス、アデノウイルス、風疹ウイルス、ヒトT細胞リンパ腫ウイルス1型(HTLV-1)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、ポックスウイルス、マールブルグウイルスおよびエボラウイルス;細菌、たとえば結核菌(M.tuberculosis)、クラミジア(Chlamydia)、淋菌(N.gonorrhoeae)、赤痢菌(Shigella)、サルモネラ菌(Salmonella)、コレラ菌(Vibrio Cholera)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidua)、シュードモナス(Pseudomonas)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ブルセラ菌(Brucella)、野兎病菌(Francisella tularensis)、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリHelicobacter pylori)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、ペスト菌(Yersinia pestis)、レンサ球菌(Streptococcus)(AおよびB型)、肺炎球菌(Pneumococcus)、髄膜炎菌(Meningococcus)、b型インフルエンザ菌(Hemophilus influenza (type b))、トキソプラズマ原虫(Toxoplama gondic)、カンピロバクター症(Complybacteriosis)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、鼠径リンパ肉芽腫症(Donovanosis)、および放線菌症(Actinomycosis);真菌病原体、たとえばカンジダ症(Candidiasis)およびアスペルギルス症(Aspergillosis);寄生病原体、たとえば条虫(Taenia)、吸虫(Fluke)、線虫(Roundworm)、アメーバ症(Amebiasis)、ジアルジア症(Giardiasis)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)、住血吸虫(Schitosoma)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、トリコモナス症(Trichomoniasis)および旋毛虫症(Trichinosis)といったものがあるがそれに限定されない。また、核酸を使用して、口蹄疫、コロナウイルス、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、ヘリコバクター(Helicobacter)、普通円虫(Strongylus vulgaris)、Actinobacillus pleuropneumonia、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、大腸菌(E. Coli)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)および気管支敗血症菌(Bordetella brochiseptica)といった、多数の獣医学分野の病気に対して適当な免疫応答を提供することができる。したがって、ある態様において、本発明の核酸構築物はワクチンに用途を見出すことができる。
【0083】
ある実施形態において、核酸構築物はアジュバントをコードすることができる。したがって、コード配列を挿入するためのクローニング部位に挿入される配列は、アジュバントとして作用することができるポリペプチドをコードしていてもよい。ある好ましい場合には、コードされるアジュバントはADP-リボシル化細菌性毒素とすることができる。こうした毒素には、ジフテリア毒素(DT)、百日咳毒素(PT)、コレラ毒素(CT)、大腸菌易熱性毒素(LT1およびLT2)、シュードモナス・エンドトキシンA、シュードモナス・エンドトキシンS、セレウス菌(B. cereus)細胞外酵素、B. sphaericus毒素、ボツリヌス菌(C. botulinum)C2およびC3毒素、C. limosum細胞外酵素、ならびにウェルシュ菌(C. perfringens)、C. spiriforma、およびクロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)起源の毒素、および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)EDINがある。ほとんどのADP-リボシル化細菌性毒素は、AおよびBサブユニットを含有する。構築物はAサブユニット、Bサブユニット、および/または両方のサブユニットを発現することができる。
【0084】
好ましい例において、核酸構築物は、大腸菌易熱性毒素および/またはコレラ毒素をコードすることができるが、特に、大腸菌易熱性毒素を発現することができる。CTサブユニットAおよびB遺伝子の完全な配列に関するGenBankエントリーは、Locus VIBCTXABB(アクセッション番号D30053)に見出され、一方、LTサブユニットAおよびB遺伝子の完全な配列のGenBankエントリーは、Locus ABO116677(アクセッション番号ABO11677)に見出すことができる。
【0085】
構築物は、特定のアジュバントの、活性のあるバリアントもしくは断片を発現してもよい。このバリアントもしくは断片は、その起源である元のポリペプチドのアジュバント活性の少なくとも一部を保持しているならば、活性があるといえる。したがって、バリアントおよび/または断片は、抗原とともにアジュバントが投与されない場合に見られる免疫応答と比較して、依然として、特定の抗原に対する免疫応答を増強することができる。コードされる配列は、CTのAおよび/またはBサブユニットの活性断片もしくはバリアントであってもよいが、特に、LTのAおよび/またはBサブユニットの活性断片とすることができる。
【0086】
毒素サブユニットは、天然に存在するシグナル配列を欠失させておくことができる。天然に存在する外毒素サブユニットは、解毒するよう修飾しておくことができる。Aサブユニットは、ADPリボシルトランスフェラーゼ活性を妨害し、不活化するように修飾しておくことができる。
【0087】
したがって、本発明のアジュバント構築物は、特定の抗原に対する免疫応答を強めるために使用することができる。増強された免疫応答は、程度の大きい、または持続期間の長い免疫応答を含む可能性がある。それは、抗原に再遭遇したときの免疫応答が、アジュバントが与えられなかった場合より大きいことを意味するものと考えられる。増強された免疫応答は、結果として高い抗体価をもたらすことができる。一部の構築物の場合、および特に外毒素サブユニットを発現する構築物の場合、アジュバントは、当該抗原に対する細胞性応答の増大、およびTヘルパー1様免疫応答をもたらすことができる。
【0088】
クローニング部位に挿入する核酸は、ポリアデニル化(ポリA)配列を包含することができる。このポリA配列は、一般にコード配列にもともと存在する。あるいはまた、異種ポリA配列を本発明の核酸配列中に与えることができる。典型的には、ポリA配列は、クローニング部位の下流に与えられ、クローニング部位に挿入されるコード配列に機能しうるように連結される。標準的なクローニング技法によって、何らかの適当なポリA配列を構築物に含めることができる。こうしたポリA配列は当技術分野で知られている。
【0089】
ポリA配列は、下記とすることができる:
(i) 天然のポリA配列;
(ii) (i)の機能性相同バリアント;または
(iii) (i)または(ii)の機能性断片。
【0090】
天然のポリA配列(i)は、たとえば、ウサギβグロビン遺伝子ポリA、ヒトパピローマウイルス(HPV)初期もしくは後期遺伝子ポリA、HSV-2gB遺伝子ポリA、サルCMV最初期遺伝子ポリA、またはHSV gD後期遺伝子ポリAとすることができる。
【0091】
好ましくは天然のポリA配列(i)は、配列番号10(GenBank K03256)、配列番号11(GenBank M16019)、配列番号12(GenBank Z80699)および配列番号13(GenBank K02718)からなる一群から選択される。
【0092】
一般に、機能性ポリA配列は、ポリアデニル化活性を保持する配列である。
【0093】
ポリA配列がRNA転写物のポリアデニル化をもたらす能力を、通常の発現アッセイによってテストすることができる。機能性相同バリアント(ii)または機能性断片(iii)は、典型的には、アッセイにおいて、天然のポリA配列の、少なくとも50%、たとえば、60%、70%、80%、またはそれ以上のポリA活性を示す。
【0094】
概して、ポリA配列は、本発明の構築物中に存在する場合、発現を強め、典型的には、上記の天然ポリA配列(i)に匹敵する増強をもたらす。
【0095】
ポリA配列は、また、下記の比較発現アッセイによって機能をアッセイすることができる。テスト・ポリA領域を、RBGpAと交換して基本ベクター中に入れる。テスト・ポリAは、そのポリAが少なくとも1つ、好ましくは2つの基準細胞型において、基本ベクターと比較して、発現を抑制するのではなく、むしろ発現を増加させるのであれば機能性であると見なす。好ましくは、発現は少なくとも5%、10%、20%、30%、40%または50%以上増加する。好ましい細胞型は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞である。このアッセイによれば、相同バリアント(ii)もしくは断片(iii)は、天然ポリA配列(i)によって達成される発現向上の50%を超える発現向上を可能にするならば、機能性である。
【0096】
上記の代わりに、もしくは上記に加えて、ポリA配列を下記の比較免疫原性アッセイでテストすることができる。ポリA配列を、RBGpAと交換して基本ベクターにいれる。機能性ポリA配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価と少なくとも同程度の、もしくはそれより高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターで達成される抗体価よりも、少なくとも5%、10%、たとえば、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびFlu-M2抗原である。相同バリアント(ii)または断片(iii)は、この天然ポリA配列(i)によって達成される最も高い抗体価を可能にするならば、機能性である。
【0097】
核酸構築物は、クローニング部位に挿入されるコード配列の発現に影響を与える、追加の制御配列を包含してもよい。構築物は、非翻訳リーダー配列を包含することができる。この配列は、キメラプロモーターと、したがってクローニング部位に挿入されたコード配列とも、機能しうるように結合した構築物中に与えられる。リーダー配列は、挿入されたコード配列の発現のための翻訳開始部位を与え、典型的にはKozak配列を包含する。
【0098】
典型的には、非翻訳リーダー配列は下記を含んでなる:
(i) 天然の非翻訳リーダー配列;
(ii) (i)の機能性相同バリアント;または
(iii) (i)または(ii)の機能性断片。
【0099】
一般に、天然の配列(i)は、真核生物の配列またはウイルスの配列であって、特に、真核生物に感染するウイルスの配列である。好ましくは天然の配列(i)は、HBVまたはHSV配列であって、たとえば、HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、またはHSV タイプ 2gD抗原配列である。特に好ましくは、(i)は、配列番号5,配列番号6および配列番号7からなる一群から選択される。
【0100】
典型的には、リーダー配列は、転写成分もしくは調節タンパク質と結合する、(i)中に存在する配列、または同じ成分もしくはタンパク質と結合する能力を有する、前記配列の相同体を含んでなる。典型的には、こうした配列またはその相同体は、(i)と同じ順序で、および/または実質的に(i)と同じ相対的スペーシングで、リーダー配列中に存在する。一般にリーダー配列は、挿入されたコード配列の発現のための翻訳開始部位を含んでなる。典型的にはリーダー配列は、Kozak配列を包含する。
【0101】
一般に、非翻訳リーダー配列の長さは、約10から約200ヌクレオチド、たとえば、約15から150ヌクレオチド、好ましくは15から約130ヌクレオチドまでである。たとえば、15、50、75、または100ヌクレオチドを含んでなるリーダー配列を使用することができる。
【0102】
概して、機能性非翻訳リーダー配列は、機能しうるようにリーダー配列と結合しているコード配列の、発現のための翻訳開始部位を提供することができる配列である。典型的には、機能性バリアント(ii)または断片(iii)は、通常、その配列と機能しうるように結合しているコード配列の発現を促進し、または増強することにおいて、天然の配列(i)と実質的に同じ活性を有し、および/または(i)の活性を補完する。
【0103】
バリアント(ii)または断片(iii)の非翻訳リーダー配列としての活性を、天然のリーダー配列と比較して、標準的な方法によって、テストすることができる。たとえば、天然のリーダー配列(i)を、その本来のコード配列と機能しうるように連結して含んでなる、発現ベクターを調製することができ、適当な宿主細胞、たとえば哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞において発現をモニターすることができる。天然のリーダー配列が相同バリアントまたは断片で置き換えられたテスト構築物を調製することができ、同じ宿主細胞においてやはり発現をモニターすることができる。一般に、バリアント(ii)または断片(iii)は、天然の配列によって与えられる発現の少なくとも50%、たとえば60%、70%、80%、90%、または100%以上を与える。
【0104】
潜在的リーダー配列の有用性を下記の比較発現アッセイにおいて、テストすることもできる。テスト・リーダー配列をHBV preS2 5'UTRと交換して基本ベクターに入れる。機能性リーダー配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの基準細胞型において、基本ベクターと比較して、発現を抑制せず、好ましくは発現を増加させる。一般に、発現は少なくとも5%、10%、20%、30%、40%または50%増加する。好ましい細胞型は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞である。このアッセイによれば、相同バリアント(ii)もしくは断片(iii)は、天然リーダー配列(i)によって達成される発現向上の50%を超える発現向上を可能にするならば、機能性である。
【0105】
上記の代わりに、もしくは上記に加えて、リーダー配列の活性を下記の比較免疫原性アッセイでテストすることができる。リーダー配列を、HBV preS2 5'UTRと交換して基本ベクターにいれる。機能性リーダー配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価と少なくとも同程度の、もしくはそれより高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターで達成される抗体価よりも、少なくとも5%、10%、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびFlu-M2抗原である。相同バリアント(ii)または断片(iii)は、天然リーダー配列(i)によって認められる最も高い抗体価を可能にするならば、機能性である。
【0106】
標準的な方法によって適当なリーダー配列を得ることができる。たとえば、HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、およびHSV タイプ 2gD抗原配列は、それぞれGenBank M54923、M54923およびZ86099として利用可能である。この既知の配列に基づいて、プライマーをデザインし、それを用いて相同配列を単離することができる。リーダー配列は、既知の配列に基づいて合成してもよい。
【0107】
核酸構築物はエンハンサー配列を包含することができる。エンハンサー配列は、典型的にはクローニング部位の3'側に、キメラプロモーターおよび挿入されたコード配列の両者と機能しうるように結合した状態で与えられ、挿入された配列の転写を増加させるように作用する。
【0108】
一般に、エンハンサーは下記を含んでなる:
(i) 天然エンハンサー;
(ii) (i)の機能性相同バリアント;または
(iii) (i)もしくは(ii)の機能性断片。
【0109】
エンハンサー配列は概して、約50から約850ヌクレオチド、たとえば、約75から約500ヌクレオチドを含んでなる。約100、200、300、または400ヌクレオチドからなるエンハンサーを使用することができる。
【0110】
典型的には、(i)は真核生物またはウイルスのエンハンサーであって、特に真核生物に感染するウイルスのエンハンサーである。通常、こうしたエンハンサーは、遺伝子の3'非翻訳領域(3'UTR)に存在する。好ましくは、(i)は、HBVまたはCMVエンハンサーであり、たとえば、HBs Ag 3'UTRまたはサルCMV最初期遺伝子3'UTRである。好ましくは、(i)は配列番号8または配列番号9を含んでなる。
【0111】
一般に、構築物中のエンハンサーは、たとえば転写因子のような、転写成分もしくは調節タンパク質と結合する、(i)中に見られる配列、または同じ成分もしくはタンパク質と結合する、前記配列の相同体を含んでなる。好ましくは、こうした配列は、(i)と同じ順序で、および/または実質的に(i)と同じ相対的スペーシングで、エンハンサー中に存在する。
【0112】
概して、機能性エンハンサーは、機能しうるようにエンハンサー配列と結合しているポリヌクレオチド、たとえばコード配列の発現を増強し、高めるものである。典型的には、機能性相同バリアント(ii)または断片(iii)は、天然エンハンサー(i)の活性と実質的に同じ活性を有し、および/または(i)の活性を補完する。
【0113】
エンハンサートラップアッセイによって、エンハンサー活性をアッセイすることができる。手順は当技術分野において公知である。機能性相同バリアント(ii)または断片(iii)は、好ましくは、上記アッセイにおいて天然エンハンサーの示すエンハンサー活性の、少なくとも50%の活性を与える。典型的には、その活性は、天然エンハンサーの活性の少なくとも60%、70%、80%、90%、100%、またはそれ以上である。一般に、機能性バリアント(ii)または断片(iii)は、アッセイにおいて、天然エンハンサーの活性を補完することができる。
【0114】
エンハンサーの有効性を、下記の比較発現アッセイによって調べることもできる。テスト3'UTR配列を交換によって基本ベクターに入れる。3'UTRが、アッセイで基本ベクターと比較して、少なくとも1つ、好ましくは2つの基準細胞型において、発現を抑制することなく、むしろ発現を高めるならば、その3'UTRは有用である。好ましくは、発現は少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、または50%増加する。好ましい細胞型は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞である。このアッセイによれば、相同バリアント(ii)もしくは断片(iii)は、天然エンハンサー配列(i)によって達成される発現向上の50%を超える発現向上を可能にするならば、機能性である。
【0115】
上記に加えて、または上記の代わりに、エンハンサー配列を下記の比較免疫原性アッセイでテストすることができる。3'UTRを交換によって基本ベクターにいれる。機能性エンハンサー配列は、少なくとも1つの、好ましくは2つの抗原に対して、基本ベクターによって達成される抗体価と少なくとも同程度の、もしくはそれより高い抗体価を与える。好ましくは、抗体価は、基本ベクターよりも、少なくとも5%、10%、20%、30%または40%高い。好ましい抗原は、HBsAg、HSV 2gDおよびFlu-M2抗原である。相同バリアント(ii)または断片(iii)は、この天然エンハンサー配列によって認められる最も高い抗体価を可能にするならば、機能性である。
【0116】
適当なエンハンサー配列は、標準的なクローニング法によって得られる。たとえば、HBsAg 3'UTR配列もしくはサルCMV最初期遺伝子3'UTR配列は、GenBank AF143308およびM16019で入手できる。この既知の配列に基づいて、プライマーをデザインすることができ、これを用いて相同配列を単離することができる。
【0117】
好ましい実施形態において、核酸構築物は、挿入されたコード配列の効率的な発現のために、異種ポリA配列、異種リーダー配列および異種エンハンサーを、いずれも、キメラプロモーターと機能しうるように結合した状態で含んでなる。
【0118】
別の態様において、本発明はまた、下記を含んでなる、または場合によっては基本的に下記で構成される、核酸構築物を提供する:
(i) プロモーター配列;
(ii) HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列またはHSV タイプ 2gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;および
(iii) (i)および(ii)と機能しうるように連結されたコード配列であって、そのコード配列が非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記コード配列。
【0119】
典型的には、プロモーター配列(i)は、ウイルスまたは真核生物プロモーター配列に由来する。プロモーター配列は、天然プロモーター配列、天然配列の機能性相同体、または両者の機能性断片とすることができる。適当な天然プロモーターには、たとえば、hCMV最初期プロモーター、仮性狂犬病ウイルス(PRV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターがある。好ましくは、天然プロモーターは、配列番号52または配列番号53を含んでなる。
【0120】
上記のキメラプロモーターのような人工プロモーター構築物を使用してもよいが、ただしそのプロモーターが機能することが条件である。
【0121】
機能性プロモーター配列は、一般に、適当な宿主細胞において機能しうるように結合したコード配列の転写を引き起こすこと(開始および制御することを含む)ができる配列である。
【0122】
プロモーター配列は、通常の発現アッセイによってプロモーター活性をテストすることができる。天然プロモーター配列の機能性相同体もしくは断片は、典型的には、こうしたアッセイで天然配列によって与えられる発現の、少なくとも50%、たとえば、少なくとも60、70、80または90%をもたらす。
【0123】
非翻訳リーダー配列(ii)は、上記の通りである。適当なコード配列(iii)は、キメラプロモーター構築物に関連してすでに記載したものを包含する。しかしながら、本発明のこの態様において、コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である。この構築物は、典型的には、既述のようにコード配列の本来のポリA配列、または構築物において異種ポリA配列として与えられるポリA配列を包含する。適当なポリA配列はすでに記載した。構築物は、コード配列の3'側にエンハンサー配列を追加して包含することができる。適当なエンハンサー配列は、キメラプロモーター構築物に関連して上記に記載している。
【0124】
もう一つの態様において、本発明は、下記を含んでなる、または、実施形態によっては基本的に下記で構成される、核酸構築物を提供する:
(i) プロモーター配列;
(ii) プロモーター配列(i)に機能しうるように結合したコード配列;および
(iii) コード配列(ii)の3'側に、機能しうるように結合したエンハンサー配列;
上記において、エンハンサー配列(iii)は、HBsAg配列の3'UTR、またはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、コード配列(ii)は、エンハンサー配列に対して異種性である。
【0125】
この構築物は、キメラプロモーター構築物に関連してすでに記載したような非翻訳リーダー配列を包含することができる。
【0126】
典型的には、プロモーター配列(i)は、ウイルスまたは真核生物プロモーター配列に由来する。プロモーター配列は、天然プロモーター配列、天然配列の機能性相同体、または両者の機能性断片とすることができる。適当な天然プロモーターには、たとえば、hCMV最初期プロモーター、仮性狂犬病ウイルス(PRV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターがある。好ましくは、天然プロモーターは、配列番号52または配列番号53を含んでなる。
【0127】
上記のキメラプロモーターのような人工プロモーター構築物を使用してもよいが、ただしそのプロモーターが機能することが条件である。
【0128】
機能性プロモーター配列は、一般に、適当な宿主細胞において機能しうるように結合したコード配列の転写を引き起こすこと(開始および制御することを含む)ができる配列である。
【0129】
プロモーター配列は、通常の発現アッセイによってプロモーター活性をテストすることができる。天然プロモーター配列の機能性相同体もしくは断片は、典型的には、こうしたアッセイで天然配列によって与えられる発現の、少なくとも50%、たとえば、少なくとも60、70、80または90%をもたらす。
【0130】
適当なコード配列(ii)は、キメラプロモーター構築物に関連してすでに記載したものを包含する。しかしながら、この態様において、コード配列は3'エンハンサー配列に対して異種性である。この構築物のエンハンサー配列(iii)は上に記載した。この構築物はまた、典型的には、ポリA配列を包含する。キメラプロモーター構築物の場合と同様に、このポリA領域はコード配列(ii)の本来のものであってもよく、または構築物において異種ポリA成分として与えられてもよい。
【0131】
本発明のいかなる態様による構築物も、シグナルペプチド配列を包含することができる。シグナルペプチド配列は、プロモーターと結合して機能するように挿入され、その結果シグナルペプチドは発現され、やはりプロモーターに機能しうるように結合したコード配列によってコードされる、ポリペプチドの分泌を促進する。
【0132】
典型的には、シグナルペプチドは、10から30アミノ酸、たとえば15から20アミノ酸からなるペプチドをコードする。多くの場合アミノ酸は、主に、疎水性である。典型的な状況において、シグナルペプチドは、そのシグナルペプチドを有する成長ポリペプチド鎖を、発現細胞の小胞体に向けて導く。シグナルペプチドは小胞体内で切断されてはずれ、ゴルジ装置を通してポリペプチドの分泌を可能にする。
【0133】
本発明に使用するシグナルペプチドは、下記を包含することができる:
(i) 天然シグナルペプチド配列;
(ii) シグナルペプチド活性を保持する、(i)の相同バリアント;または
(iii) シグナルペプチド活性を保持する、(i)もしくは(ii)の断片。
【0134】
配列(i)は、たとえば、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子シグナルペプチド(hTPAsp)(GenBank L00141)、アプロチニンシグナルペプチド(GenBank AAD13685)、タバコ エクステンシンシグナルペプチド(GenBank JU0465)、またはニワトリ リゾチームシグナルペプチド(GenBank AF10481)とすることができる。
【0135】
本発明で使用するのに適したシグナルペプチドは、異種タンパク質の分泌を可能にするものである。機能するシグナルペプチドは、テストシグナルペプチドの効果を既知のシグナルペプチド-たとえば、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子シグナルペプチド(hTPAsp)-の効果と比較し、さらにシグナルペプチドなしの効果と比較するアッセイにおいて、同定することができる。下記に述べる比較発現アッセイを用いるが、次のような変更を加えることができる。テストシグナルペプチドを有する基本ベクター、hTPAspを有する基本ベクター、またはシグナルペプチドなしの基本ベクターのいずれかを含有する、分泌発現ベクターを構築する。天然に存在するシグナルペプチドを欠いた、ポリペプチドのコード配列をベクターに挿入し、そのベクターを基準宿主細胞に形質転換する。好ましくは、細胞は、哺乳類HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞である。細胞培養液のポリペプチド発現レベルを分析する。機能性シグナルペプチドは、少なくとも1つ、好ましくは2つのポリペプチドとともにシグナルペプチドを欠いたベクターよりも高レベルの、ポリペプチドの分泌を可能にする。典型的には、分泌は5%以上高いが、より好ましくは10%以上高く、たとえば20または50%以上高い。典型的には、分泌レベルはhTPAspを用いて得られレベルに匹敵する。
【0136】
コードされたタンパク質の、発現細胞外への分泌を可能にすることは、特に、そのタンパク質が抗原である場合には、多大な利点をもたらすことができる。たとえば、抗原分泌の増加は、免疫細胞(マクロファージ、ランゲルハンス細胞、B細胞、T細胞など)による抗原の取り込み、および応答の増大を可能にし、抗原が血流およびシグナル細胞(サイトカイン)に到達できる能力を与え、抗原が細胞リガンドを見出して機能を果たすことを可能にし(抗体、毒素、たとえばコレラ毒素、大腸菌LT)、さらに正常な細胞生化学プロセス(細胞受容体)に関与することを可能にする。
【0137】
本発明の核酸構築物は、プラスミド発現ベクターの形をとることができる。そこで、ベクターは、複製開始点、または選択遺伝子といった、追加のエレメントを包含することができる。こうしたエレメントは、当技術分野で知られており、標準的な技法によって含めることが可能である。ある実施形態において、プラスミドベクターは配列番号14の配列を有する。あるいはまた、構築物は、ウイルスベクター構築物中に含まれていてもよい。
【0138】
ある実施形態において、本発明の核酸構築物は、本明細書に明記されたキメラプロモーターを2つ以上含んでなることがある。したがって、その構築物は複数のキメラプロモーターを含んでなり、特に構築物は、2、3、4、5または6個以上のキメラプロモーターを有する可能性がある。キメラプロモーターは、コード配列挿入のためのクローニング部位に、それぞれ別個に機能しうるように連結されることが好ましい。したがって、この構築物は、2、3、4、5または6個以上のコード配列を発現する可能性がある。発現されるコード配列は、本明細書に記載のいずれでもよい。好ましい場合において、構築物は、それぞれコード配列を機能しうるように結合した2つのキメラプロモーターを有する。特に、この2つのプロモーターは、互いに離れて転写されることがある。
【0139】
詳細には、2つのプロモーターを有する構築物は、ADP-リボシル化作用のある細菌性毒素のAおよびBサブユニット(本明細書に記載のいずれでもよいが好ましくはLTAおよびBサブユニット)を発現することができる。
【0140】
構築物が複数のキメラプロモーターを有する場合には、各プロモーターは、上記の配列のいずれを包含してもよく、または機能しうるように結合していてもよい。特に好ましい例において、1つもしくは複数のプロモーターの異種イントロンは、ラットインスリン遺伝子イントロンA配列とすることができる。1つもしくは複数のキメラプロモーターはまた、HSV-2gB pre-S2の5'UTRを含んでなることも好ましい。1つもしくは複数のプロモーターは、ラットβグロビン遺伝子のポリアデニル化配列を含んでなることもある。
【0141】
好ましい状況において、本発明の核酸構築物は、2つのキメラプロモーター配列を包含することができるが、それぞれのプロモーターは、コード配列が挿入されるクローニング部位に機能しうるように連結されており、この場合、それぞれのキメラプロモーターは
(a) hCMV最初期プロモーター配列;
(b) hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c) hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン、
を含んでなり、一方のキメラプロモーターに機能しうるように結合したコード配列はLTAサブユニットをコードし、もう一方に結合したコード配列はLTBサブユニットをコードする。したがって、この構築物は2つのサブユニットをいずれも発現することができる。好ましくは:
-各プロモーターの異種イントロンはラットインスリン遺伝子イントロンA配列である;
-各LTサブユニットをコードする配列は、HBV pre-S2の5'UTRに機能しうるように結合している;および/または
-それぞれのLTをコードする配列は、ラットβグロビン遺伝子ポリアデニル化配列に機能しうるように連結される。
【0142】
本発明のポリヌクレオチド構築物は実質的に、細胞もしくは細胞物質を含まない、または細胞もしくは細胞物質を伴うことがある。構築物は実質的に単離された形をとる、または、実質的に精製された形をとることができるが、その場合、構築物は、概して、標品中の乾燥質量の少なくとも90%、たとえば少なくとも95%、98%または99%のポリヌクレオチドを含んでなる。
【0143】
プロモーターに機能しうるように結合しているポリヌクレオチドの発現のために、本発明の核酸分子を適当な宿主細胞にデリバリーすることができる。好ましくは、宿主細胞は哺乳動物細胞であり、特にヒト細胞である。核酸のそうした細胞へのデリバリーのための適当な方法は、当技術分野において知られており、たとえば、デキストランを介したトランスフェクション、リン酸カルシウム沈澱、エレクトロポレーションおよび核内への直接的なマイクロインジェクションがある。
【0144】
上記のように、構築物中の核酸コード配列は、治療に関わるポリペプチドをコードすることができる。したがって、本発明の構築物は、標準的な遺伝子デリバリー法用いた核酸免疫法もしくは遺伝子治療に使用することができる。遺伝子デリバリーに適した方法は、当技術分野で知られており、下記に検討するとおりである。核酸分子は、直接被験体にデリバリーすることができる、あるいはまたex vivoで被験体由来の細胞にデリバリーされ、その後その細胞は被験体に再移植される。
【0145】
核酸免疫法もしくは遺伝子治療に使用するために、核酸構築物を、従来型の医薬品として調剤することができる。これは、標準的な医薬品製剤化学および方法論によって行うことができ、当業者に利用可能である。たとえば、1つもしくは複数の核酸配列を含有する組成物(たとえば、DNAプラスミドのような適当なベクターの形で存在する)を、1つもしくは複数の製薬上許容される賦形剤もしくはビヒクルと組み合わせて、液体製剤を与えることができる。
【0146】
湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝物質などといった補助的物質が賦形剤もしくはビヒクル中に含まれていてもよい。これらの賦形剤、溶媒および補助的物質は一般に、過度の毒性なしに投与することができる医薬用物質であり、ワクチン組成物の場合、組成物を投与された個体において免疫応答を引き起こさない物質である。製薬上許容される賦形剤には、水、生理食塩水、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、グリセロールおよびエタノールといった液体があるがそれらに限定されない。製薬上許容される塩には、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などのような無機酸塩;ならびに酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などのような有機酸の塩を含めることができる。また、必須ではないにしても、特にペプチド、タンパク質もしくは他の類似の分子に対して、それらが組成物中に存在するものならば、安定化剤としての機能を果たす、製薬上許容される賦形剤を製剤が含有することも好ましい。ペプチドに対する安定化剤としても作用する、適当な担体の例としては、医薬品グレードのブドウ糖、ショ糖、乳糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストランなどが挙げられるが限定するものではない。他の適当な担体には、デンプン、セルロース、リン酸ナトリウムもしくはカリウム、クエン酸、酒石酸、グリセリン、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)、およびそれらの組み合わせがあるが、やはり限定するものではない。製薬上許容される賦形剤、溶媒および補助的物質に関する詳細な検討は、REMINGTON'S PHARMAVEUTICAL SCIENCES (Mack Pub. Co., N. J. 1991)で入手可能であり、参考として本明細書に含めるものとする。
【0147】
核酸の取り込み、および/または発現のある種の促進剤(「トランスフェクション促進剤」)も、組成物に含めることができるが、これは、たとえば、ブピバカイン、心臓毒、およびショ糖といった促進剤、ならびに、核酸分子のデリバリーに通常使用される、リポソーム製剤もしくは脂質製剤といったトランスフェクション促進ビヒクルである。アニオン性および中性リポソームは、広範に利用可能であって、核酸分子のデリバリーでよく知られている(たとえば、Liposomes: A Practical approach, (1990) RPC New Ed., IRL Pressを参照されたい)。カチオン性脂質製剤も、核酸分子のデリバリーで使用される、よく知られた媒体である。適当な脂質製剤には、リポフェクチン(LipofectinTM)の商標名で利用可能なDOTMA (N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム クロリド)、およびDOTAP (1,2-ビス(オレイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニオ)プロパン)があり、たとえばFelgner et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7416; Malone et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6077-6081; 米国特許第5,283,185号および第5,527,928号、ならびに国際公開番号WO 90/11092、WO 91/15501およびWO 95/26356を参照されたい。これらのカチオン性脂質は、好ましくは中性脂質、たとえばDOPE(ジオレイル ホスファチジルエタノールアミン)とともに使用される。上記脂質もしくはリポソーム製剤に添加することができる、さらに他のトランスフェクション促進組成物には、スペルミン誘導体(たとえば、国際公開番号WO 93/18759を参照されたい)、ならびに膜透過性にする化合物、たとえばGALA、グラミシジンSおよびカチオン性胆汁酸塩(たとえば、国際公開番号WO 93/19768を参照されたい)がある。
【0148】
あるいはまた、本発明の核酸分子を微粒子担体に封入、吸着、もしくは結合することができる。適当な微粒子担体には、ポリメチルメタクリレート重合体から得られる微粒子担体、ならびにポリ(ラクチド)およびポリ(ラクチド-グリコリド)共重合体から得られるPLG微粒子がある。たとえば、Jefferyら、(1993) Pharm. Res. 10:362-368を参照されたい。他の微粒子系および重合体、たとえばポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、スペルミン、スペルミジン、といった重合体、ならびに前記分子の複合体も使用することができる。
【0149】
調剤すると、さまざまな既知の経路および方法によって、組成物を、in vivoで被験体に投与することができる。たとえば、液体製剤は、注射剤、懸濁剤、乳濁剤として与えられ、非経口、皮下、皮内、筋肉内、静脈内注射によって、従来の注射針と注射器を用いて、または液体ジェット注射システムを用いて、投与することができる。液体製剤はまた、皮膚もしくは粘膜組織に局所的に投与することも可能であり、または呼吸器もしくは肺投与に適した微細なスプレーとして与えることもできる。他の投与法には、経口投与、座剤、および能動または受動経皮デリバリー法がある。
【0150】
あるいはまた、組成物はex vivoで投与され、たとえば、形質転換細胞の被験体へのデリバリーおよび再移植が知られている(たとえば、デキストランを介したトランスフェクション、リン酸カルシウム沈澱、エレクトロポレーションおよび核内への直接的なマイクロインジェクション)。
【0151】
組成物は、投薬形態に適合する量で、しかも予防および/または治療に有効な量で、被験体に投与される。適切な有効量は、比較的広い範囲となるが、日常的な試行によって当業者により容易に決定される。"Physicians Desk Reference"および"Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics"は、必要量を決定するために役立つ。たとえば、一般に、ポリヌクレオチドの有効な用量は、約0.001から1000μg、さらに好ましくは0.01から10.0μgまでの範囲に含まれると予想される。
【0152】
ある例において、本発明の核酸構築物は、別の核酸構築物と併せて使用することができる。ある場合において、核酸構築物は、アジュバントの発現を目的とする、本明細書に記載の構築物の一つであり、もう一つの構築物は1つもしくは複数の抗原をコードする構築物とすることができる。好ましい場合において、2つの構築物はいずれも、本発明のキメラプロモーターを用いることができる。
【0153】
一方の構築物がアジュバントを発現し、他方の構築物が1つ、もしくは複数の抗原を発現する場合、抗原は特にHSVまたは肝炎ウイルス(なかでもB型肝炎ウイルス)起源とすることができる。抗原は、詳細には、HSV ICPO、ICP4、ICP22および/またはICP27抗原とすることができるが、好ましくは4つすべてである。これらの抗原が発現する場合、アジュバント構築物は特に、LTAおよび/またはLTBを発現することができるが、好ましくは両方を発現する
2つの構築物は、別々に投与されても、同時に、もしくは順次投与されてもよい。2つの構築物は、同一の組成物として、または異なる組成物として投与することができる。特に、一方の構築物がアジュバント効果を有する場合、2つの構築物が投与されると、アジュバント効果が見られる、すなわち、生じる免疫応答が、アジュバントが抗原とともに投与されなかった場合より大きい、および/または長期間続く。好ましい例において、2つの構築物は、同一の組成物中で、好ましくは同一の担体粒子上で投与される。
【0154】
好ましい実施形態において、本発明の核酸構築物は、粒子を介したデリバリー法によって標的細胞にデリバリーされる。核酸製剤をデリバリーするための、粒子を介した方法は、当技術分野で知られている。
【0155】
粒子を介したデリバリーのための粒子は、当技術分野において知られているさまざまな技術を用いて、本発明の核酸分子を担体粒子(たとえば、コア担体)上にコーティングすることによって作製することができる。担体粒子は、典型的には粒子を介したデリバリーデバイスからの細胞内デリバリーに使用される粒径の範囲内で適当な密度を持つ材料から選択される。典型的には、担体粒子は、0.1から5μmまで、たとえば0.5から3μmまで、好ましくは1から2μmまでの粒径である。担体粒子の最適な粒径は、当然、標的細胞の直径によって決まる。あるいはまた、金コロイド粒子を使用することができるが、この場合、コーティングされた金コロイドは、組織(たとえば、皮膚もしくは筋肉)に投与(たとえば、注射)され、その後、免疫担当細胞によって取り込まれる。
【0156】
通常、担体粒子は、不活性金属から選択される。金属は、生理学的に活性ではなく、不活性である。本発明の目的では、タングステン、金、白金およびイリジウム担体粒子を使用することができる。タングステンおよび金の粒子が好ましい。タングステン粒子は平均粒径0.5から2.0μmのものが容易に利用できる。こうした粒子は、粒子加速デリバリー法に使用するために最適の密度を有し、DNAによる非常に効率的なコーティングが可能ではあるが、タングステンは潜在的にある種の細胞に対して毒性があるかもしれない。金粒子または微結晶性の金(たとえば、金粉A1570、Engelhard Corp., East Newark, NJより入手可能)も、本発明の方法で使用することができる。金粒子はサイズの均一性(粒径1-3μmがAlpha Chemicalsより、0.95μmを含むさまざまな粒径のものがDegussa, South Plainfield, NJより入手可能)、および毒性の低下を与える。金の微結晶はさまざまな粒径分布を提供し、典型的には0.1-5μmの範囲である。しかしながら、微結晶性金の不規則な表面積は、非常に効率的な核酸によるコーティングを与える。
【0157】
金またはタングステン粒子上にDNAもしくはRNAをコーティングし、または沈澱させるいくつかの方法が知られており、記載されている。そうした方法の大半は、概して、あらかじめ定められた量の金またはタングステンを、プラスミドDNA、CaCl2およびスペルミジンと混合する。得られた溶液を、コーティングが進行する間、連続してボルテックスで撹拌し、反応混合物の均一性を確保する。核酸の沈澱後、コーティングされた粒子を適当な膜に移して使用前に乾燥させる、サンプルモジュールもしくはカセットの表面上にコーティングする、または特定の、粒子を介したデリバリー装置に使用するデリバリーカセット内に加えることができる。
【0158】
別の方法として、本発明のポリヌクレオチドを、粒子状組成物として製剤することができる。製剤は、上記の標準的な医薬製剤化学によって行うことができる。たとえば、ポリヌクレオチドを、1つもしくは複数の製薬上許容される賦形剤もしくはビヒクルと混合し、適当な組成物を与えることができる。調剤された組成物を次に、単純な蒸発(風乾)、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥、噴霧コーティング、沈澱、超臨界流体粒子製剤などといった標準的な技法を用いて、粒子として調製する。必要ならば、国際公開番号WO 97/48485(参考として本明細書に含める)に記載の技法を用いて、得られた粒子の密度を高めることができる。
【0159】
上記の方法を用いて、大きさが約0.01から約250μmまで、好ましくは、約10から150μmまで、もっとも好ましくは約20から60μmまでであって、粒子密度が約0.1から約25g/cm3まで、容積密度が約0.5から約3.0g/cm3までの範囲、もしくはそれ以上である、核酸粒子を得ることができる。
【0160】
粒子が形成されたら、核酸分子を含んでなる粒子を単回投与製剤または複数回投与容器に詰めることができる。こうした容器は、適当量の粒子を封入した気密封止容器を含めることができる。粒子を、滅菌製剤として詰めることができるので、気密封止容器は、被験体への投与で使用するまで製剤の無菌性を保つように設計される。容器は、粒子を介したデリバリーデバイスにそのまま使用するのに適していることが好ましい。典型的には、こうした容器は、カプセル、ホイルパウチ、包、カセットなどの形をとる。粒子デリバリーデバイスは、適当な量の粒子を含有し、あらかじめ充填された状態で与えられることもある。あらかじめ充填されたデバイスを、次に、気密封止容器内にあらかじめパッケージすることもできる。
【0161】
粒子を詰めた容器にラベルを付して、組成物を確認できるようにして、関連する製剤情報を与えることができる。加えて、容器に、政府機関、たとえば、連邦食品医薬局によって規定された形式の通知を付すことができるが、この場合その通知は、ヒト投与用の、その容器に含まれる核酸製剤の製造、使用もしくは販売に関する、連邦法の下での政府機関による承認を示すものである。
【0162】
粒子を介したデリバリーに適した粒子加速デバイスは、当技術分野で知られている。たとえば、現行の遺伝子銃デバイスは、爆発による、電気的な、またはガスによる発射を用いて、コーティングされた担体粒子を標的細胞に向かって推進する。コーティングされた担体粒子は、移動可能な担体シートに、放出可能であるように付着させ、またはガス流が通過する表面に離脱可能な状態で付着させることができるが、粒子をその表面からはずして、標的に向かって加速する。ガス発射装置の例は、米国特許第5,204,253号に記載されている。爆発型デバイスは、米国特許第4,945,050号に記載されている。本発明に使用するのに適した放電装置の一例が、米国特許第5,120,657号に記載されている。別の放電装置が米国特許第5,149,655号に記載されている。これらの特許のすべての開示は、全体を参考のため本明細書に含めるものとする。
【0163】
米国特許第5,630,796号、Bellhouseら( “the PowderJect(登録商標) needleless syringe device”) ならびに国際公開番号WO 94/24263、WO 96/04947、WO 96/12513およびWO 96/20022に記載のように、無針注射器を用いて、粒子を投与することもできる。これらすべては参考として本明細書に含めるものとする。
【0164】
米国特許第5,630,796号に記載のようなデバイスは、上から下に作動する一列の順序で、ガスシリンダー、粒子カセットまたはパッケージ、および消音媒体を付随する超音速ノズルを入れたペン型の器具として与えられる。粒子は、適当な容器、たとえば2枚の破断しうる高分子膜によって形成されたカセット内に与えられるが、前記の膜は、ワッシャー型スペーサーにヒートシールされ、内蔵型シールドユニットを形成する。超音速流を起こす条件を左右する、特定モードの開口圧力および破裂圧力を達成するように膜材料を選択することができる。
【0165】
実施に際して、上記デバイスは、デバイス内部で、シリンダーから膨張室内へ圧縮ガスを放出するよう作動する。放出されたガスは粒子カセットと接触し、十分に圧力が高まったとき、突然、カセットの膜を破り、それに続くデリバリーに向けて、粒子を超音速ノズル内へ吹き飛ばす。ノズルは、多くの粒子をあらかじめ決められた範囲の標的表面に送達するために、特定のガス速度およびフローパターンを達成するように設計される。超音速ガス流により生じる音を弱めるために消音器が用いられる。
【0166】
国際公開番号WO 96/20022に記載のデリバリーシステムは、粉末組成物を加速し、送達するために、圧縮ガス源のエネルギーも使用する。しかしながら、それは、粒子を加速するためにガス流の代わりに衝撃波を使用する点において、米国特許第5,630,796号に記載のシステムとは区別される。より詳細には、フレキシブルドームの後ろで発生する衝撃波によって生じる瞬間的な圧力上昇は、ドームの背部に当たり、標的表面に向かってフレキシブルドームの急激な反転を引き起こす。この急反転は、標的組織、たとえば口腔粘膜組織に貫入するのに十分な速度、ひいては運動量で、(ドームの外側にある)粉末組成物を発射する。粉末組成物は、完全にドームが外反した時点で放出される。ドームはまた、高圧ガス流を完全に封じ込めるのにも役立ち、したがってガス流が組織に接触することはない。こうしたデリバリー操作の間、ガスは放出されないので、システムは本質的に静穏である。こうした設計を、他の封入アプリケーション、またはそうではなく、たとえば低侵襲性手術部位に粒子をデリバリーするといった、他の精密アプリケーションに用いることができる。
【0167】
粒子は、in vivoで被験体に直接、デリバリーすることができるが、被験体から採取した細胞にex vivoでデリバリーしてもよく、形質転換された細胞はその後被験体に再移植される。in vivoデリバリーのため、粒子注入は、典型的には、皮下、表皮、皮内、粘膜内(たとえば、鼻、直腸および/または膣)、腹腔内、静脈内、口腔または筋肉内に行われる。好ましくは、デリバリーは、最終分化細胞に向けられる;しかしながら、粒子は、血液幹細胞および皮膚線維芽細胞といった未分化細胞または部分的に分化した細胞にデリバリーされることもある。もっとも好ましくは、デリバリーは皮膚表皮細胞に向けられる。
【0168】
粒子は、剤形に見合った方法で、予防上および/または治療上効果があると思われる量が、被験体に投与される。本発明の粒子状組成物の「治療上有効な量」は、病気もしくは病状の治療または予防をもたらすのに十分であって、日常的な試行によって決定することができる比較的広い範囲に収まると思われる。概して、粒子は、単位用量当たり0.001から1000μg、より好ましくは0.01から10.0μgまでの核酸量として投与される。しかしながら、正確な必要量は、治療を受ける個体の年齢および全身状態、および選択された個別の核酸配列、ならびに他の要因に応じて変動すると思われる。適切な有効量は、臨床試験によって容易に決定することができる。必要量を決定するために、”Physicians Desk Reference"および"Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics"が有用である。
【0169】
アッセイ
比較発現アッセイ
エレメントの有用性を求める適切なテストは、ポリペプチドの発現に対してエレメントが示す効果を測定する。エレメントの有用性を調べるための比較の基準は、「基本ベクター」であり、概して(特に明記しない限り)、コード配列の発現を推進するように配置された、hCMVプロモーター、hCMVエクソン1、hCMVエクソン2の9塩基、HBV preS2由来の5'UTR、およびウサギβグロビンポリアデニル化領域を有するプラスミドである。典型的には、基本ベクターは、pJV7384、pJV7401、pJV7450またはpJV7533である。異種イントロンおよび3'UTRが加えられ、または、プロモーター配列、エクソン、5'UTRおよびポリA部位を交換して基本ベクターに入れ、テスト発現ベクターを作製する。このようにして機能性バリアントもしくは断片をテストすることができる。
【0170】
基本ベクターおよびテストベクターを適当な宿主細胞に入れて形質転換し、その細胞のポリペプチド発現レベルを分析する。哺乳類宿主細胞を使用することが好ましい。適当な細胞には、HEK 293T、CHO、HeLa、BHK、3T3またはCOS細胞がある。
【0171】
典型的には、機能するエレメントは、基本ベクターに匹敵する発現、たとえば、同等またはそれ以上の発現を引き起こす。発現は2つ以上の細胞型で、2つ以上のコード配列について調べることが好ましい。
【0172】
適当な実験法は、たとえば下記の実施例1から13で与えられる。
【0173】
比較免疫原性アッセイ
発現されるポリペプチドが抗原である場合、機能する、または特に好ましい、構築エレメントを確認するために、もう一つのテストを行うことができる。このアッセイにおいて、発現ベクターを供試生物にデリバリーした後、免疫応答に対するエレメントの効果を測定する。抗原に対する抗体レベルは、免疫応答を判断する最も簡単な方法である。マウス群に基本ベクター、または上記のように構築されたテストベクターを接種する。適当な時間の後、血清を採取し、抗体レベルを分析する。
【0174】
この実験は2回行い、2回の実験における全群の抗体レベルをプロットする。機能するエレメントは、2回の実験においていずれの場合も、特定の抗原に対して、少なくとも基本ベクターと同程度、または基本ベクターより高い抗体価を生じる。こうした結果は、2つ以上の抗原について観察されることが好ましく、そうした発現パネルにおいてエレメントの有用性の大きさが示される。
【0175】
適当な実験法は、たとえば下記の実施例14で与えられる。
【0176】
C. 実験
下記は、本発明を実施するための具体的な実施形態の実施例である。実施例は説明のためにのみ提供されるのであって、決して本発明の範囲を限定するためではない。
【0177】
使用する数字(たとえば、量、温度など)に関しては正確さを確保するよう努めたが、ある程度の実験誤差および逸脱は、当然、考慮に入れるべきである。
【0178】
方法
標準的なPCR条件
ベクターの構築に使用する標準的なPCR条件は、下記の通りとした:1x PCR コア バッファー w/ 1.5mM MgCl2 (Promega Corporation, Madison, WI)、0.400μM 各プライマー、200μM 各dNTP (USB, Inc, Cleveland, OH)、2.5μ Taqポリメラーゼ(Promega Corporation, Madison, WI)、1.0 ng 鋳型DNA、水で100μlとし、ミネラルオイル(Aldrich Chemical, Inc, Milwaukee, WI)でおおう。PTC-200サーモサイクラー(MJ Research, Inc, Waltham, MA)をプログラムして以下の型どおりの操作を行った:95℃にて4分、(95℃にて1分/55℃にて1分15秒/72℃にて1分)を30サイクル、72℃にて10分、4℃に保持。QIAquick PCR Purification Kit (Qiagen Inc, Valencia, CA)を用いて増幅産物をPCR反応液から取り出した後、制限酵素(New England Biolabs, Beverly, MA)で切断した。
【0179】
PCR産物はすべて、クローニングして増幅のフィデリティを確認した後、配列決定した。
【実施例1】
【0180】
B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)ベクターパネルの構築
HBsAg発現のために、いくつかのプラスミド発現ベクターを構築した。
【0181】
出発材料
(i) hCMV最初期プロモーター配列、hCMV主要最初期遺伝子の第1のエクソン、第1のイントロン、および部分的な第2のエクソン、フランキング領域(HBV preS2 5'UTR由来の配列、および3'転写後応答エレメント)を有するHBsAgコード配列、ならびにウシ成長ホルモンポリアデニル化領域(BGHpA)を含有するpWRG7128(Roy, M.ら、Vaccine (2001) 19: 764-778)。
【0182】
(ii) BGHpAとウサギβグロビンポリアデニル化領域(RBGpA)を交換した、pWRG7128の派生物である、pJV7284。
【0183】
(a) pJV7384 (CMV(イントロンなし)、HBV preS2 5'UTRおよびRBGpA)
pWRG7128は、JF93(配列番号15)およびF110(配列番号16)を用いて標準的な条件でPCRを行い、Sal1およびBamH1で切断して、CMVプロモーター、エクソン1、およびエクソン2の一部の配列を含有する挿入断片を単離した。pAM6(ATCC, Mannassas, VA)を、BamH1およびBstX1で切断して、HBsAgの5'UTRおよび約70%のHBsAgコード領域を含有する挿入断片を単離した。pJV7284をSal1およびBstX1で切断して、ベクター断片を生成し、その断片内に2つの挿入断片を結合して、pJV7293を得た。
【0184】
pWRG7128を、プライマーGW1(配列番号17)およびJF254(配列番号18)でPCRして、BstX1およびBgl2で切断し、HBsAgコード領域の3'末端を含有する挿入断片を単離した。pJV7293をBstX1およびBgl2で切断してベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合してベクターpJV7384を得た。
【0185】
(b) pJV7382 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 3’UTR、HBV preS2 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7293をXho1およびXba1で切断して、CMVプロモーター/エクソン、ならびにHBsAgコード配列の5'末端とともに5'UTRを含有する挿入断片を生成した。pWRG7128をXba1およびBcl1で切断して、HBsAgコード配列の大部分、および3'UTRを含有する挿入断片を生成した。pJV7284をXho1およびBgl2で切断して、ベクター断片を生じ、それに2つの挿入断片を結合して、結果としてpJV7382を得た。
【0186】
(c) pJV7389 (CMV (RIA)、HBsAg 3’UTR、HBV preS2 5'UTRおよびRBGpA)
プラスミドp5'rlns(起源不明)から、プライマーGW150(配列番号19)およびJF255(配列番号20)を用いて、ラットインスリンイントロンA(RIA)をPCRした。PCR産物をBamH1で切断し、BamH1で直鎖状としたpJV7382に挿入して、pJV7389を得た。
【0187】
(d) pJV7387 (CMV( RIA)、HBV preS2 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7384をBstX1およびEcoR1で切断して、HBsAgコード領域の3'末端およびRBGpAを含有する挿入断片を生成した。pJV7389をBstX1およびEcoR1で切断してベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7387が得られた。
【実施例2】
【0188】
単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D抗原(HSVgD)ベクターパネルの構築
HSVgDの発現のために、いくつかのプラスミド発現ベクターが構築された。
【0189】
出発材料
(a) HBsAgコード配列を、ATG開始コドンのすぐ下流でインフレームのNhe1と置き換え、続いてHBV Enhのすぐ5'側にBamH1部位を有するstuffer断片がある、pWRG7284(pJV7284)の派生物である、pJV7334。
【0190】
(b) Nhe1部位の下流でコード配列をヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)シグナルペプチドに融合しているstuffer断片を有する、pGem3Z(Promega)の派生物である、pWRG7202。
【0191】
(a) pJV7392(CMV(天然のイントロン)、HBsAg 3'UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
HSV2 gDに対するコード領域を、ウイルスDNAストック(Advanced Biotech, Inc, Columbia, MD)から、プライマーDS1(配列番号21)およびDA1(配列番号22)を用いてPCRし、Nhe1およびEcoR1で切断して、挿入断片を生成した。pWRG7202をNhe1およびEcoR1で切断してベクター断片を生じ、それに前記挿入断片を結合して、pJV7391が得られた。
【0192】
pJV7391をNhe1およびBgl2で切断して、HSV2 gDコード配列を含有する挿入断片を生成した。pJV7334をNhe1およびBamH1で切断してベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7392が得られた。このベクターは下記の発現エレメントからなる:hCMV最初期プロモーター配列、hCMV主要最初期遺伝子の第1のエクソン、第1のイントロン、および部分的な第2のエクソン、HBsAg由来の5'UTR、HSV2 gD遺伝子のコード配列、HBsAg由来の3'UTR、ならびにRBGpA。
【0193】
(b) pJV7399 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 3’UTR、 HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7392のイントロンのない形を、下記のように構築した。pJV7384をHind3およびNde1で切断し、カナマイシン耐性遺伝子の5'末端およびCMVプロモーターを含有する挿入断片を単離した。pJV7384をNde1およびSsp1で切断して、CMVプロモーターの3'末端、CMVエクソン1/2およびHBsAg由来5'UTRの5'末端を含有する挿入断片を単離した。これらの挿入断片を、Hind3-Ssp1断片を除去したpJV7392に挿入し、pJV7399が得られた。
【0194】
(c) pJV7400 (CMV(RIA)、HBsAg 3’UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7392のRIA型を、下記のように構築した。pJV7384をHind3およびNde1で切断して、カナマイシン耐性遺伝子の5'末端およびCMVプロモーターを含有する挿入断片を単離した。pJV7387をNde1およびSsp1で切断して、CMVプロモーターの3'末端、CMVエクソン1/2(一部)、RIAおよびHBsAg由来5'UTRの5'末端を含有する挿入断片を単離した。これらの挿入断片を、Hind3-Ssp1断片を除去したpJV7392に挿入し、pJV7400が得られた。
【0195】
(d) pJV7401 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7399の3'UTRを欠いた形を、下記のように構築した。pJV7391をBsp120IおよびBgl2で切断して、HSV2 gD遺伝子の3'末端を含有する挿入断片を単離した。pJV7284をBgl2およびEcoR1で切断して、RBGpAシグナルを単離した。これらの挿入断片を、Bsp120I-EcoR1断片を除去したpJV7399に挿入し、その結果pJV7401を得た。
【0196】
(e) pJV7402 (CMV(RIA)、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7400の3'UTRを欠いた形を、下記のように構築した。pJV7391をBsp120IおよびBgl2で切断して、HSV2 gD遺伝子の3'末端を含有する挿入断片を単離した。pJV7284をBgl2およびEcoR1で切断して、RBGpAシグナルを単離した。これらの挿入断片を、Bsp120I-EcoR1断片を除去したpJV7400に挿入し、その結果pJV7402が得られた。
【実施例3】
【0197】
Flu M2抗原ベクターパネルの構築
(a) pJV7450 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
Flu M2のコード配列を、プラスミドpFL-M2(Joel Haynes, PJV)から、プライマーJF301(配列番号23)およびJF302(配列番号24)を用いてPCRし、Nhe1およびBgl2を用いて切断し、挿入断片を生成した。pJV7401をNhe1およびBgl2を用いて切断し、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合してPJV7450を得た。
【0198】
(b) pJV7452 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 3’UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
3'UTR断片を、pJV7389から、プライマーJF84(配列番号25)およびJF225(配列番号26)を用いてPCRし、Bsp120Iで切断し、T4 DNAポリメラーゼで埋め込んで、Bgl2リンカー(カタログ番号1036、New England Biolabs)をつける。その後、断片をBgl2およびEcoR1で切断し、HBsAgの3'UTR、およびRBGpA領域を含有する挿入断片を単離した。pJV7450をBgl2およびEcoR1で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7452が得られた。
【0199】
(c) pJV7458 (CMV(RIA)、 HBsAg 5' UTRおよびRBGpA)
pJV7450のRIA含有型を下記のように構築した:pJV7389をBamH1で切断して、RIAを含有する挿入断片を単離した。pJV7450をBamH1で切断してベクター断片を生じ、それに挿入断片を結合して、その結果pJV7458が得られた。
【0200】
(d) pJV7468 (CMV(RIA)、HBsAg 3’UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
HBsAgの3'UTRを含有する形のpJV7458を、下記のように構築した:pJV7452をBgl2およびEcoR1で切断して、HBsAg 3'UTRおよびRBGpAを含有する挿入断片を生成した。pJV7458をBgl2およびEcoR1で切断して、ベクター断片を生じ、それに挿入断片を結合して、pJV7468を得た。
【実施例4】
【0201】
β-galベクターパネルの構築
(a) pJV7488 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 3’UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
CMV-β-gal(Clontech)を、プライマーJF335(配列番号27)およびJF336(配列番号28)を用いてPCRし、Nhe1およびBgl2で切断して、βガラクトシダーゼをコードする挿入断片を単離した。pJV7452をNhe1およびBgl2で切断してベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7488を得た。
【0202】
(b) pJV7533 (CMV(イントロンなし)、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7450をBgl2およびEcoR1で切断し、RBGpAを含有する挿入断片を単離した。pJV7488をBgl2およびEcoR1で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、結果としてpJV7533を得た。
【0203】
(c) pJV7551(CMV(RIA/NheI)、HBsAg 3’UTR、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7530(実施例5を参照されたい)をXho1およびBamH1で切断し、CMVプロモーターからRIAまでを含有する挿入断片を単離した。pJV7488をXho1およびBamH1で切断してベクター断片を生じ、それに挿入断片を結合して、結果としてpJV7551を得た。
【0204】
(d) pJV7552(CMV(RIA/NheI)、HBsAg 5'UTRおよびRBGpA)
pJV7530をXho1およびBamH1で切断し、CMVプロモーターからRIAまでを含有する挿入断片を単離した。pJV7533をXho1およびBamH1で切断してベクター断片を生じ、それに挿入断片を結合して、結果としてpJV7552を得た。
【実施例5】
【0205】
pJV発現ベクター(pJV7563)の構築
(a) pJV7496
pJV7389をプライマーJF357(配列番号29)およびJF365(配列番号30)でPCRし、T4 DNAポリメラーゼで処理して末端を平滑化し、Sal1で切断して、カナマイシン耐性をコードする挿入断片を単離した。pJV7389をAva1で切断し、T4 DNAポリメラーゼで処理して末端を平滑化し、さらにSal1で切断してベクター断片を単離し、それに挿入断片を結合して、pJV7496を得た。
【0206】
(b) pJV7530
pJV7389をプライマーJF393(配列番号31)およびJF406(配列番号32)でPCRし、Bgl2およびBamH1で切断して、配列内Nhe1部位を欠いたRIAを含有する挿入断片を単離した。pJV7496をBamH1で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合してpJV7530を得た。
【0207】
(c) pJV7549
pJV7468をBamH1およびEcoR5で切断して、M2、およびHBV 3'ENHの一部を含有する挿入断片を単離した。pJV7530をBamH1およびEcoR5で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合してpJV7549を得た。
【0208】
(d) pJV7563
プライマーJF256(配列番号33)およびJF257(配列番号34)をアニールして、複数のクローニング部位からなる挿入断片を調製した。pJV7549をNhe1およびBgl2で切断してベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合してpJV7563を得た。pJV7563プラスミドマップは図12で与えられる。pJV7563プラスミドの塩基組成は図13において与えられる。プラスミドpJV7563における構成成分およびその位置は下記の通りである:
1-44 トランスポゾン903配列
45-860 トランスポゾン903由来のカナマイシン耐性コード配列
861-896 トランスポゾン903配列
897-902 Sal1部位
903-1587 CMVプロモーター
1588-1718 CMV最初期遺伝子由来の非翻訳リーダー配列
1719-1724 BamH1およびBglII制限酵素の融合
1725-1857 ラットインスリンイントロンA
1858-1863 BamH1部位
1864-1984 HBV表面抗原5'非翻訳リーダー配列
1985-1993 合成開始コドン/Nhe1クローニング部位
1994-2011 合成クローニング部位
2012-2544 HBVエンハンサー
2545-2555 古いベクター配列。NCBIデータベースと対照して該当なし。
2556-2686 ウサギβグロビンポリアデニル化領域
2687-3759 pUC19ベクター配列
【実施例6】
【0209】
モデル抗原としてヒト分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)およびヒトIgG Fcフラグメント(hFc)を使用するシグナルペプチド発現パネルの構築
(i) pJV7507 (hTPAspおよびSEAP)
pSEAP-Basic (Clontech)を、プライマーJF320(配列番号35)およびJF321(配列番号36)でPCRした後、Nhe1およびBgl2で切断して、ヒトSEAP断片からなる挿入断片を単離した。pJV7079(Macklinら)をNhe1およびBgl2で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合してpJV7507を得た。
【0210】
(ii) pJV7508 (hTPAspおよびhFc)
ヒトDNAを、プライマーJF386(配列番号37)およびFcAS(配列番号38)でPCRした後、Nhe1およびBgl2で切断して、ヒトIgG Fcフラグメントからなる挿入断片を単離した。pJV7079をNhe1およびBgl2で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合してpJV7508を得た。
【0211】
(iii) アプロチニンシグナルペプチドコード配列の調製
合成オリゴJF354(配列番号39)を、プライマーJF355(配列番号40)およびJF356(配列番号41)でPCRして、アプロチニンシグナルペプチドのコード配列を生成した。
【0212】
(iv) タバコ エクステンシンシグナルペプチドコード配列の調製
合成オリゴJF348(配列番号42)を、プライマーJF349(配列番号43)およびJF350(配列番号44)でPCRして、タバコ エクステンシンシグナルペプチドのコード配列を生成した。
【0213】
(v) ニワトリ リゾチームシグナルペプチドコード配列の調製
合成オリゴJF351(配列番号45)を、プライマーJF352(配列番号46)およびJF353(配列番号47)でPCRして、ニワトリ リゾチームシグナルペプチドのコード配列を生成した。
【0214】
(a) Flu M2抗原シグナルペプチドパネル
pJV7499 (CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、アプロチニンs.p.)
pJV7497 (CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、タバコエクステンシンs.p.)
PJV7500 (CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
シグナルペプチドのコード配列を、Spe1およびNhe1で切断して挿入断片を単離した。pJV7450をNhe1で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、結果としてpJV7499(アプロチニン)、pJV7497(タバコエクステンシン)、およびpJV7500(ニワトリリゾチーム)が得られた。
【0215】
(b) SEAPシグナルペプチドパネル
pJV7513(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、アプロチニンs.p.)
pJV7512(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、タバコエクステンシンs.p.)
pJV7510(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7499、7497、および7500をXho1およびNhe1で切断して、CMVプロモーターからプラスミドのシグナルペプチドコード配列までで構成される挿入断片を単離した。pJV7507をXho1およびNhe1で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7513(アプロチニン)、pJV7512(タバコエクステンシン)、およびpJV7510(ニワトリリゾチーム)を得た。
【0216】
(c) hFcシグナルペプチドパネル
pJV7524(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、アプロチニンs.p.)
pJV7525(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、タバコエクステンシンs.p.)
pJV7526(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7499、7497、および7500をXho1およびNhe1で切断して、CMVプロモーターからプラスミドのシグナルペプチドコード配列までで構成される挿入断片を単離した。pJV7508をXho1およびNhe1で切断して、ベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7524(アプロチニン)、pJV7525(タバコエクステンシン)、およびpJV7526(ニワトリリゾチーム)を得た。
【実施例7】
【0217】
ヒト分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)パネルの構築
(a) pJV7531(CMV(イントロンなし)、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7510をSal1およびBgl2で切断し、CMVプロモーターからリゾチームシグナルペプチドまでで構成される挿入断片を単離した。pJV7450をSal1およびBgl2で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7531を得た。
【0218】
(b) pJV7554(CMV(RIA/Nhe1)、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7530をXho1およびBamH1で切断して、CMVプロモーターからRIAまでを含有する挿入断片を単離した。pJV7531をXho1およびBamH1で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7554を得た。
【0219】
(c) pJV7568(CMV(イントロンなし)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7563をBgl2およびEcoR1で切断して、HBsAg3'UTRおよびRBGpAを含有する挿入断片を単離した。pJV7531をBgl2およびEcoR1で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7568を得た。
【0220】
(d) pJV7572(CMV(RIA/Nhe1)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、RBGpA、ニワトリリゾチームs.p.)
pJV7563をBgl2およびEcoR1で切断して、HBsAg3'UTRおよびRBGpAを含有する挿入断片を単離した。pJV7554をBgl2およびEcoR1で切断して、ベクター断片を生成し、それに挿入断片を結合して、pJV7572を得た。
【実施例8】
【0221】
ニワトリケラチンおよびニワトリ心筋アクチンイントロンを用いたβ-galおよびHBsAgベクターの構築
(a) pJV7557(β-gal、CMV(cAイントロン)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、およびRBGpA)
プライマーJF430(配列番号48)およびJF442(配列番号49)を用いて、ニワトリDNAをPCRし、Bgl2およびBamH1で切断して、ニワトリ心筋アクチンに由来するイントロンおよびフランキングエクソン配列からなる挿入断片を単離した。pJV7488をBamH1で切断してベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7557を得た。
【0222】
(b) pJV7558(β-gal、CMV(cKイントロン)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、およびRBGpA)
プライマーJF421(配列番号50)およびJF444(配列番号51)を用いて、ニワトリDNAをPCRし、Bgl2およびBamH1で切断して、ニワトリケラチン遺伝子に由来するイントロンおよびフランキングエクソン配列からなる挿入断片を単離した。pJV7488をBamH1で切断してベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7558を得た。
【0223】
(c) pJV7578(HBsAg、CMV(cAイントロン)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、およびRBGpA)
pJV7557をSal1およびBamH1で切断し、CMVプロモーターからイントロン領域までで構成される挿入断片を単離した。pJV7496をSal1およびBamH1で切断してベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7578を得た。
【0224】
(d) pJV7579(HBsAg、CMV(cKイントロン)、HBsAg3'UTR、HBsAg5'UTR、およびRBGpA)
pJV7558をSal1およびBamH1で切断し、CMVプロモーターからイントロン領域までで構成される挿入断片を単離した。pJV7496をSal1およびBamH1で切断してベクター断片を調製し、それに挿入断片を結合して、pJV7579を得た。
【実施例9】
【0225】
HBsAgベクターパネルによる抗原発現のin vitro分析
第1日に、SCC15(ATCC)またはB16(起源不明、ATCCにて入手可能な型)細胞を、20-40%コンフルエントとなるよう6ウェル組織培養プレートに撒き、インキュベーター内で増殖させた。宿主細胞をATCC推奨の培地で増殖させた。
【0226】
第2日に、トランスフェクション反応を行った。テストする各ベクターについて、Lipofectin(登録商標)試薬(Life Techologies Inc., Grand Island, NY)20μlを180μlのOptimem(登録商標)培地(Life Techologies Inc., Grand Island, NY)に加え、室温で45分間インキュベートしておいた。40分の時点で、テストすべき各ベクター当たり、2μgのベクターを200μlのOptimem(登録商標)に混ぜ入れた。45分の時点で、ベクターおよびLipofectin(登録商標)溶液を混合し、さらに10分間室温で放置した。この最後のインキュベーションの間に、プレートに撒いた宿主細胞をインキュベーターから取り出し、Optimem(登録商標)培地で2回洗浄した。10分の時点で、Optimem(登録商標)1.6mlをLipofectin(登録商標)/ベクター混合物に添加し、その結果得られた混合物のうち1mlを、2つの細胞ウェルのそれぞれに加えた。宿主細胞をインキュベーターに戻して、5時間静かに放置したが、5時間の時点で、Lipofectin(登録商標)/ベクター混合物を除去し、標準的な細胞維持培地に置き換えた。
【0227】
培地交換の18から24時間後に、50から100μlの細胞維持培地を組織培養プレートから採取し、AUSZYME(登録商標)モノクローナル診断キット(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)中に用意された反応容器にサンプルを入れることによって、抗原の発現を分析した。テストサンプルの容量を、PBSで200μlとした後、50μlの複合体および反応ビーズを各サンプルに添加した。容器を40℃にて80分間インキュベートし、その後、ウェルを洗浄して、すべての液体反応成分を除去した。ビーズを新たなチューブに移し、その後300μlの発色バッファーを添加した。30分で、1M硫酸の添加によって発色反応を止め、反応液の490nmでの吸光度を測定した。図1に示すデータは、2つの実験からの2連のウェルの平均吸光度測定値である。
【0228】
図1に示すように、RIA、HBV 3'UTRまたは両方のエレメントを基本ベクター(CMVプロモーター、エクソン、およびポリアデニル化領域)に加えると、SCC15細胞においてHBsAgの発現が増加した。図2に示すように、ニワトリケラチンもしくはニワトリ心筋アクチンイントロンを基本ベクター(CMVプロモーター、エクソン、HBV 3'UTRおよびポリアデニル化領域)に加えると、SCC15細胞においてHBsAgの発現が増加した。
【実施例10】
【0229】
β-galベクターパネルによる抗原発現のin vitro分析
実施例9に記載のようにSSC15またはB16宿主細胞にトランスフェクトした。
【0230】
培地交換の18から40時間後に、培養上清を除去し、細胞をPBSで洗浄した。洗液を除去後、細胞を500μl溶解バッファー(50mM NaPO4、0.1% Triton X-100、pH 7)中で5分間インキュベートすることによって、細胞を溶解し、その後プラスチックシャーレから細胞を物理的に掻き取った。溶解物を2分間微量遠心にかけて、細胞残渣を除き、10から25μlの透明となった溶解液を500μlの反応バッファー(80μg/ml O-ニトロフェニルガラクトピラノシド、50mM NaPO4、pH 7)に加えて、37℃にて10から20分間インキュベートした。500μlの1M Na2CO3を添加して反応を終了させ、405nmで測定した。データは、増強された(イントロン、HBVenh、またはその両方を含有する)ベクターの基本ベクターに対する発現の比として提示される。
【0231】
RIA、HBV 3'UTR、または両方のエレメントを基本ベクター(CMVプロモーター、エクソンおよびポリアデニル化領域)に加えることによって、2つの細胞株のいずれにおいてもβ-galの発現が増加した。SCC15細胞の結果を図3に示す。ニワトリケラチンもしくはニワトリ心筋アクチンのいずれかのイントロンを基本ベクター(CMVプロモーター、エクソン、HBV 3'UTRおよびポリアデニル化領域)に加えると、2つの細胞株のいずれにおいてもβ-galの発現が増加した。B16細胞の結果を図2に示す。
【実施例11】
【0232】
HSV gDベクターパネルによる抗原発現のin vitro分析
SCC15またはB16宿主細胞に、実施例9に記載のようにトランスフェクトした。トランスフェクションの18時間後に、プレートを15分間氷上に置いた。その後、各ウェルを2mlのPBS(Biowhittaker, Walkerville, MD)で洗浄した。PBSで希釈した0.05%グルタルアルデヒド(Polysciences Inc., Warrington, PA)で細胞を固定し、室温で30分間インキュベートした。以後のインキュベーションはすべて室温で30分間持続するものとし、各インキュベーションの間の洗浄は上記の通りとした。プレートを5% 粉乳含有PBS(Bio Rad Laboratories, Melville, NY)でブロックした。続いて、抗gDモノクローナル抗体(ABI, Columbia, MD)の2% 粉乳/PBS/0.05% Tween-20(Sigma, St. Louis, MO)による1:1000希釈物、1ml、およびヤギ抗マウスHRP(KPL, Gaithersburg, MD)のPBS/0.1% Tween-20による1:2500希釈物、1mlとともにインキュベーションを行った。TMBマイクロウェル基質(BioFX, Owings Mills, MD)を用いて発色させた。1M H2SO4で反応を止め、液体をプラスチックキュベットに移し、450nmで吸光度を読み取った。データは、増強された(イントロン、HBVenh、またはその両方を含有する)ベクターの基本ベクターに対する発現の比として提示される。
【0233】
RIAをHBV 3'UTRとともに、またはRIAをHBV3'UTRなしで、基本ベクター(CMVプロモーター、エクソンおよびポリアデニル化領域)に加えることによって、2つの細胞株のいずれにおいてもHSV gDの発現が増加した。SCC15細胞の結果を図4に示す。
【実施例12】
【0234】
SEAPベクターパネルによる抗原発現のin vitro分析
SCC15またはB16宿主細胞に、実施例9に記載のようにトランスフェクトした。培地交換の18から40時間後に、培養上清を採取し、70℃にて30分間加熱した。熱不活化上清10から25μlを1/10量の100mM L-ホモアルギニンとともに5分間インキュベートした。500μlのアルカリホスファターゼ反応バッファー(カタログ番号172-1063, Bio Rad, 説明書にしたがって調製)をこの溶解液に加え、37℃にて10から20分間インキュベートした。500μlの1M NaOHを添加して反応を止め、405nmで吸光度を測定した。データは、増強された(イントロン、HBVenh、またはその両方を含有する)ベクターの基本ベクターに対する発現の比、または実験のシグナルペプチドの、ヒトTPAシグナルペプチドベクターに対する発現の比として提示される。
【0235】
図5に示すように、RIA、HBV 3'UTRまたは両方のエレメントを基本ベクター(CMVプロモーター、エクソン、およびポリアデニル化領域)に加えると、B16細胞においてSEAPの発現が増加した。予想外なことに、基本ベクター(CMVプロモーター、エクソン、およびポリアデニル化領域)にHBV 3'UTRを加えた場合のみ、SCC15細胞におけるSEAPの発現が増加した。
【0236】
ウシ アプロチニン、ニワトリ リゾチーム、またはタバコ エクステンシンのいずれかに由来するシグナルペプチドを成熟SEAPのN末端に付加することによって、2つの細胞株の細胞培養上清中へのSEAPの効率的な分泌が可能となった。B16細胞に関する結果を図6に示す。
【実施例13】
【0237】
ヒトIgG Fcフラグメントシグナルペプチドパネルによる抗原発現のin vitro分析
SCC15またはB16宿主細胞に、実施例9に記載のようにトランスフェクトした。培地交換後18から40時間までに、培養上清を採取した。
【0238】
ELISAプレート(Costar)をウェル当たり100μlのヤギ抗ヒトIgG(Sigma #I3382、炭酸コーティングバッファーで1/1000希釈)とともに4℃にて一晩インキュベートした。以後のインキュベーションはすべて室温にて1時間持続し、それぞれのインキュベーションの間に洗浄した(10mM Tris、150mM NaCl、0.1% Brij-35、pH8.0)。その後、ウェルを100μlの5%粉乳含有PBSでブロックし、続いて希釈バッファー(2% 粉乳、PBS、0.05% Tween-20)で連続希釈した培養上清とともにインキュベートした。この後、ウェル当たり100μlのヤギ抗ヒトIgG/HRP(Sigma #A6029、希釈バッファーにて1/5000希釈)とともにインキュベートし、次いでTMBマイクロウェル基質を用いて発色させた。反応を1M H2SO4で止め、450nmの吸光度を読み取った。データは、実験シグナルペプチドの、ヒトTPAシグナルペプチドに対する発現の比として提示される。
【0239】
ウシ アプロチニン、ニワトリ リゾチーム、またはタバコ エクステンシンのいずれかに由来するシグナルペプチドをヒトFcフラグメントのN末端に付加することによって、2つの細胞株のいずれにおいても細胞培養上清へのhFcの効率的な分泌が可能となった。B16細胞に関する結果を図6に示す。
【実施例14】
【0240】
マウスを免疫するためのHBsAg、HSVgDおよびFlu-M2プラスミド発現ベクターの使用
a. 免疫化カートリッジの調製
テストするそれぞれのプラスミドについて、25mgの2ミクロン金粉末を秤量して微量遠心管に入れた。50mMスペルミジン(Aldrich Chemical, Inc, Milwaukee, WI)を250μlに分けて添加した後、微量遠心管をボルテックス撹拌し、短時間超音波処理した。微量遠心して金を分離し、スペルミジンを新たな100μlに交換した。金をボルテックスして再懸濁し、その後DNA 25μgをマイクロチューブに加えて混合した。微量遠心管を軽くボルテックスしながら、100μlの10% CaCl2(Fujisawa USA, Inc, Deerfield, IL)を添加してDNAを金ビーズ上に沈澱させた。沈澱反応を卓上で10分間続行した後、微量遠心の短時間回転によって金を採集し、無水エタノール(Spectrum Quality Products, Inc, Gardena, CA)で3回洗浄して、過剰な沈澱試薬を除去した。洗浄した金/DNA複合体を、0.05 mg/mlポリビニルピロリドン(360KD, Spectrum Quality Products, Inc, Gardena, CA)含有無水エタノール3.6ml中に再懸濁した。次に、このスラリーをテフゼルチューブ(McMaster-Carr, Chicago, IL)に注入したが、これは金/DNA複合体でテフゼルチューブの内側をコーティングするチューブターナー(PowderJect Vaccines)内にある。チューブターニング手順が完了した後、チューブをワクチンの0.5"「ショット」に切り、マウスにデリバリーするためのXR1デバイス(PowderJect Vaccines)内に充填した。
【0241】
b. ワクチン接種法
4から6週齢のマウスをKetaset(Fort Dodge)およびRompun(Bayer)の混合物で麻酔した。1対の電気バリカンを用いて腹部を剪毛して、毛を取り除き、2つの重複しないワクチン「ショット」を、XR1デバイス(450psi)を通して剪毛部にデリバリーした。動物をケージに戻し、ワクチン接種後6週間の時点で採血した。Balb/cマウスを用いて、HBsAg発現ベクターを評価し、Swiss Websterマウスを用いてHSV gDおよびFlu M2発現ベクターを評価した。
【0242】
抗HBsAg抗体に関する血清の分析
6週間で、血液サンプルをワクチン接種した動物から採取した。これらのサンプルから分離された血清の一定量を、AUSAB(登録商標) EIA Diagnostic Kit (Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)に同梱の反応容器のウェルに入れた。入れる血清の量はサンプルの抗体価によって決まり、サンプルはサンプル希釈バッファーで希釈して、定量パネルで得られる値の範囲内とした。AUSAB(登録商標)Quantification Panel (Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)の各バイアルから200μlを反応容器のウェルに添加した。各ウェルにビーズを添加し、その後、容器を密封して40℃にて2時間インキュベートした。その後、ウェルを洗浄して反応液の全成分を除去した。洗浄した各ウェルに、200μlのコンジュゲート混合物を添加した後、容器を密封して40℃にて2時間インキュベートした。次に、ウェルを洗浄して反応液の全成分を落とした。ビーズを新しいチューブに移した後、300μlの発色バッファーを添加した。30分で、1M硫酸の添加により発色反応を止め、反応液の吸光度をQuantum II(登録商標)分光光度計 (Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)において490nmで測定した。この分光光度計は、サンプルの吸光度を、定量パネルを用いて作成された標準曲線と比較することによって、サンプルの抗体レベルを計算する。これらの抗体レベルを次に、希釈係数で補正した。図7に示すデータは、特定のベクターでワクチン接種された全動物の力価の幾何平均である。
【0243】
抗Flu M2抗原抗体に関する血清の分析
96ウェルCoster中結合性ELISAプレート(Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)を、合成Flu M2ペプチド(QCB / Biosource, Hopkinton, MA)によって、PBS(Biowhittaker, Walkerville, MD)中1μg/mlの濃度でコートし、4℃にて一晩インキュベートした。プレートを、10mM Tris (Sigma, St. Louis, MO) / 150mM NaCl (Fisher Scientific) / 0.1% Brij-35 (Sigma)で3回洗浄した後、5% 粉乳(Bio Rad Laboratories, Melville, NY)含有PBSで、室温にて1時間ブロックした。以後のインキュベーションはすべて室温で1時間とし、各インキュベーションの間の洗浄は上記の通りとした。マウス血清サンプル、標準(高力価の抗M2マウス血清)およびネガティブコントロール(抗HBsAgマウス血清)を2% 粉乳 / PBS / 0.05% Tween-20 (Sigma)で希釈し、ELISAプレート内でインキュベートした。次にヤギ抗マウスIgG(H+L)ビオチン結合抗体(Southern Biotechnology Associate, Birmingham, AL)を2% 粉乳 / PBS / 0.05% Tween-20で1:8000に希釈し、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体(Southern Biotechnology)をPBS / 0.1% Tween-20で1:8000に希釈して、続行した。TMB基質(BioFX, Owings Mills, MD)を用いて、発色させた。1M H2SO4で反応を止め、プレートを、Emax 精密マイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いて450nmで測定した。SoftMax Pro 4.1 ソフトウェア(Molecular Devices)を用いて、4-パラメーター解析によって最終力価を計算した。力価は、アッセイごと、およびプレートごとの変動が最小限となるよう、所定の力価を有する標準血清に対して標準化した。結果を図7に示す。
【0244】
抗HSV GD抗原抗体に関する血清の分析
96ウェルCoster中結合性ELISAプレート(Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)を、HSVgD((Viral Therapeutics, Ithaca, NY)タンパク質によって、PBS(Biowhittaker, Walkerville, MD)中1μg/mlの濃度でコートし、4℃にて一晩インキュベートした。プレートを、10mM Tris (Sigma, St. Louis, MO) / 150mM NaCl (Fisher Scientific) / 0.1% Brij-35 (Sigma)で3回洗浄した後、5% 粉乳(Bio Rad Laboratories, Melville, NY)含有PBSで、室温にて1時間ブロックした。以後のインキュベーションはすべて室温で1時間とし、各インキュベーションの間の洗浄は上記の通りとした。マウス血清サンプル、標準(高力価の抗gDマウス血清)およびネガティブコントロール(抗HBsAgマウス血清)を2% 粉乳 / PBS / 0.05% Tween-20 (Sigma)で希釈し、ELISAプレート内でインキュベートした。次にヤギ抗マウスIgG(H+L)ビオチン結合抗体(Southern Biotechnology Associate, Birmingham, AL)を2% 粉乳 / PBS / 0.05% Tween-20で1:8000に希釈し、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体(Southern Biotechnology)をPBS / 0.1% Tween-20で1:8000に希釈して、続行した。TMB基質(BioFX, Owings Mills, MD)を用いて、発色させた。1M H2SO4で反応を止め、プレートを、Emax 精密マイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いて450nmで測定した。SoftMax Pro 4.1 ソフトウェア(Molecular Devices)を用いて、4-パラメーター解析によって最終力価を計算した。力価は、アッセイごと、およびプレートごとの変動が最小限となるよう、所定の力価を有する標準血清に対して標準化した。結果を図7に示す。
【0245】
このように、新規核酸構築物、こうした構築物を含んでなる組成物、ならびにこうした構築物を用いた核酸免疫法について述べてきた。本発明の好ましい実施形態を少し詳しく記載したが、当然のことながら、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、明白な変更を行うことができる。
【0246】
配列の簡単な説明
配列番号1は、hCMV最初期プロモーター配列である(GenBank #M60321, X17403)。
配列番号2は、hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1および2由来の配列である(GenBank #M60321, X17403)。
配列番号3は、ラット インスリン イントロンA配列である(GenBank #J00748)。
配列番号4は、本発明によるキメラプロモーターの配列である。
配列番号5は、HBV preS2抗原5’UTR配列に由来するリーダー配列である(GenBank #M54923)。
配列番号6は、HSV タイプ2gD 5’UTR配列に由来するリーダー配列である(GenBank #Z86099)。
配列番号7は、HBV e抗原5’UTR配列に由来するリーダー配列である(GenBank #M54923)。
配列番号8は、HBVenh 3’UTR配列である(GenBank #AF143308)。
配列番号9は、サル最初期遺伝子3’UTR配列である(GenBank #M16019)。
配列番号10は、ウサギβグロビン ポリA配列である(GenBank #K03256)。
配列番号11は、サルsCMV最初期遺伝子ポリA配列である(GenBank #M16019)。
配列番号12は、HSV2 gB遺伝子ポリA配列である(GenBank #Z86099)。
配列番号13は、HPV16初期遺伝子ポリA配列である(GenBank #K02718)。
配列番号14は、pJV発現ベクターの配列である。
配列番号15は、PCRプライマーJF93である。
配列番号16は、PCRプライマーF110である。
配列番号17は、PCRプライマーGW1である。
配列番号18は、PCRプライマーJF254である。
配列番号19は、PCRプライマーGW150である。
配列番号20は、PCRプライマーJF255である。
配列番号21は、PCRプライマーDS1である。
配列番号22は、PCRプライマーDA1である。
配列番号23は、PCRプライマーJF301である。
配列番号24は、PCRプライマーJF302である。
配列番号25は、PCRプライマーJF84である。
配列番号26は、PCRプライマーJF225である。
配列番号27は、PCRプライマーJF335である。
配列番号28は、PCRプライマーJF336である。
配列番号29は、PCRプライマーJF357である。
配列番号30は、PCRプライマーJF365である。
配列番号31は、PCRプライマーJF393である。
配列番号32は、PCRプライマーJF406である。
配列番号33は、PCRプライマーJF256である。
配列番号34は、PCRプライマーJF257である。
配列番号35は、PCRプライマーJF320である。
配列番号36は、PCRプライマーJF321である。
配列番号37は、PCRプライマーJF386である。
配列番号38は、PCRプライマーFcASである。
配列番号39は、オリゴヌクレオチドJF354である。
配列番号40は、PCRプライマーJF355である。
配列番号41は、PCRプライマーJF356である。
配列番号42は、オリゴヌクレオチドJF348である。
配列番号43は、PCRプライマーJF349である。
配列番号44は、PCRプライマーJF350である。
配列番号45は、オリゴヌクレオチドJF351である。
配列番号46は、PCRプライマーJF352である。
配列番号47は、PCRプライマーJF353である。
配列番号48は、PCRプライマーJF430である。
配列番号49は、PCRプライマーJF442である。
配列番号50は、PCRプライマーJF421である。
配列番号51は、PCRプライマーJF444である。
配列番号52は、仮性狂犬病ウイルス(PRV)プロモーター配列である。
配列番号53は、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター配列である。
【図面の簡単な説明】
【0247】
【図1】さまざまなプラスミド発現ベクターを用いて得られた、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)の発現レベルを示す。
【図2】SCC15細胞におけるHBsAgの発現、およびB16細胞におけるβ-galの発現に対する、イントロン含有の影響を示す(3回の実験の平均値)。
【図3】SCC15細胞におけるβ-galの発現に対する、ラットインスリンイントロンAおよびHBV3’UTRの影響を示す(3回の実験の平均値)。
【図4】SCC15細胞におけるHSVgDの発現に対する、ラットインスリンイントロンAおよびHBV3’UTRの影響を示す(3回の実験の平均値)。
【図5】SCC15およびB16細胞におけるSEAPの発現に対する、ラットインスリンイントロンAおよびHBV3’UTRの影響を示す(細胞株あたり3回繰り返し)。
【図6】B16細胞においてSEAPまたはhFc断片の分泌を指示する、異種シグナルペプチドの能力を示す。
【図7】さまざまなプラスミド発現ベクターに含まれる、抗原をコードする核酸によって免疫されたマウスの血清中に検出された抗体のレベルを示す。
【図8】pJV発現ベクターの概略図である。
【図9】pJV7389の概略図である。
【図10】pJV7400の概略図である。
【図11】pJV7468の概略図である。
【図12】pJV7563の概略図である。
【図13】pJV7563に関する塩基組成を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラプロモーター配列、ならびにそのキメラプロモーターに機能しうるように結合した状態でコード配列を挿入するためのクローニング部位を含んでなる核酸構築物であって、キメラプロモーター配列が、
(a)hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、およびエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる、前記核酸構築物。
【請求項2】
hCMV最初期プロモーター配列(a)が配列番号1である、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項3】
エクソン配列(b)が配列番号2である、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項4】
異種イントロン(c)が、ラット インスリン遺伝子イントロンA配列、ニワトリ ケラチン遺伝子イントロンA配列、およびニワトリ心筋アクチン遺伝子イントロンA配列からなる一群から選択される配列を含んでなる、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項5】
ラット インスリン遺伝子イントロンA配列が配列番号3を含んでなる、請求項4に記載の核酸構築物。
【請求項6】
キメラプロモーター配列が配列番号4である、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項7】
ポリアデニル化配列を含んでなる、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項8】
ポリアデニル化配列が、ウサギβグロビン遺伝子、ヒトパピローマウイルス(HPV)初期もしくは後期遺伝子、HSV-2gB遺伝子、サルCMV最初期遺伝子、およびHSVgD後期遺伝子からなる一群から選択される遺伝子のポリアデニル化配列に由来する、請求項7に記載の核酸構築物。
【請求項9】
ポリアデニル化配列が、配列番号10、配列番号11、配列番号12および配列番号13からなる一群から選択される、請求項8に記載の核酸構築物。
【請求項10】
シグナルペプチドをさらに含んでなる、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項11】
シグナルペプチドが、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子シグナルペプチド(hTPAsp)、アプロチニンシグナルペプチド、タバコ エクステンシンシグナルペプチドおよびニワトリ
リゾチームシグナルペプチドからなる一群から選択される、請求項10に記載の核酸構築物。
【請求項12】
コード配列がクローニング部位に与えられた、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項13】
コード配列が抗原をコードする、請求項12に記載の核酸構築物。
【請求項14】
抗原が、ウイルス、細菌、寄生虫または真菌性病原体の抗原である、請求項13に記載の核酸構築物。
【請求項15】
抗原がHBsAgである、請求項14に記載の核酸構築物。
【請求項16】
プラスミドベクターである、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項17】
核酸がDNAである、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項18】
(i)(a)hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;および
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなるキメラプロモーター;ならびに
(ii) そのキメラプロモーターに機能しうるように結合した状態でコード配列を挿入するためのクローニング部位;ならびに
(iii)(a)HBVpreS2抗原配列、HBVe抗原配列、もしくはHSV type 2gD抗原配列に由来し、キメラプロモーターと機能しうるように結合している、非翻訳リーダー配列;および/または
(b)HBsAg配列の3'非翻訳領域(UTR)、もしくはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、キメラプロモーターと機能しうるように結合しており、クローニング部位の下流にある、エンハンサー配列;
を含んでなる核酸構築物。
【請求項19】
hCMV最初期プロモーター配列(a)が配列番号1である、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項20】
エクソン配列(b)が配列番号2である、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項21】
異種イントロン(c)が、ラット インスリン遺伝子イントロンA配列、ニワトリ ケラチン遺伝子イントロンA配列、およびニワトリ心筋アクチン遺伝子イントロンA配列からなる一群から選択される配列を含んでなる、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項22】
ラット インスリン遺伝子イントロンA配列が配列番号3を含んでなる、請求項21に記載の核酸構築物。
【請求項23】
キメラプロモーター配列が配列番号4である、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項24】
ポリアデニル化配列を含んでなる、請求項24に記載の核酸構築物。
【請求項25】
ポリアデニル化配列が、ウサギβグロビン遺伝子、ヒトパピローマウイルス(HPV)初期もしくは後期遺伝子、HSV-2gB遺伝子、サルCMV最初期遺伝子、およびHSVgD後期遺伝子からなる一群から選択される遺伝子のポリアデニル化配列に由来する、請求項24に記載の核酸構築物。
【請求項26】
ポリアデニル化配列が、配列番号10、配列番号11、配列番号12および配列番号13からなる一群から選択される、請求項25に記載の核酸構築物。
【請求項27】
シグナルペプチドをさらに含んでなる、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項28】
シグナルペプチドが、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子シグナルペプチド(hTPAsp)、アプロチニンシグナルペプチド、タバコ エクステンシンシグナルペプチドおよびニワトリ
リゾチームシグナルペプチドからなる一群から選択される、請求項27に記載の核酸構築物。
【請求項29】
コード配列がクローニング部位に与えられた、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項30】
コード配列が抗原をコードする、請求項29に記載の核酸構築物。
【請求項31】
抗原が、ウイルス、細菌、寄生虫または真菌性病原体の抗原である、請求項30に記載の核酸構築物。
【請求項32】
抗原がHBsAgである、請求項31に記載の核酸構築物。
【請求項33】
プラスミドベクターである、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項34】
配列番号14の配列を有する、請求項33に記載の核酸構築物。
【請求項35】
核酸がDNAである、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項36】
非翻訳リーダー配列が、配列番号5、配列番号6および配列番号7からなる一群から選択される、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項37】
エンハンサー配列が、配列番号8および配列番号9からなる一群から選択される、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項38】
哺乳動物細胞において目的のポリペプチドの発現を得る方法であって、その方法が、キメラプロモーター配列、およびキメラプロモーターと機能しうるように結合した、ポリペプチドをコードするコード配列を含んでなる核酸構築物を、前記細胞内へ移入することを含んでなり、このキメラプロモーター配列が、
(a) hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる、前記方法。
【請求項39】
構築物を被験体に直接デリバリーする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
構築物を、注射、経皮的粒子デリバリー、吸入によって、局所的に、経口で、鼻内に、または経粘膜でデリバリーする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
構築物を無針注射によってデリバリーする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
構築物を、被験体から取り出した細胞内にex vivoでデリバリーし、その細胞を被験体に再導入する、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
核酸構築物を担体粒子上にコーティングする、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに好適な、コーティングされた粒子であって、その粒子は、核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなり、この核酸構築物は、キメラプロモーター配列、およびキメラプロモーターと機能しうるように結合したコード配列を含んでなり、しかもこのキメラプロモーター配列は、
(a) hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる、前記コーティング粒子。
【請求項45】
担体粒子が金またはタングステンである、請求項44に記載のコーティング粒子。
【請求項46】
請求項44に記載のコーティングされた粒子を含んでなる、粒子を介したデリバリーデバイス用の投薬容器。
【請求項47】
請求項44に記載のコーティングされた粒子を充填した、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項48】
無針注射器である、請求項47に記載の、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項49】
被験体に有効量のコーティングされた粒子を投与することを含んでなる核酸免疫化の方法であって、この粒子は、粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに適しており、粒子は核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなるが、ここでこの構築物は、キメラプロモーター配列、およびキメラプロモーターと機能しうるように結合した、抗原をコードするコード配列を含んでなり、さらにこのキメラプロモーター配列は、
(a) hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる、前記核酸免疫化の方法。
【請求項50】
(i)プロモーター配列;
(ii)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、もしくはHSV type 2 gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;ならびに
(iii)(i)および(ii)に機能しうるように結合したコード配列;
を含んでなる核酸構築物であって、コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記核酸構築物。
【請求項51】
プロモーター配列(i)が、hCMV最初期プロモーター配列、仮性狂犬病ウイルスプロモーター配列、およびラウス肉腫ウイルスプロモーター配列からなる一群から選択される、請求項50に記載の核酸構築物。
【請求項52】
コード配列が抗原をコードする、請求項50に記載の核酸構築物。
【請求項53】
抗原が、ウイルス、細菌、寄生虫または真菌性病原体の抗原である、請求項52に記載の核酸構築物。
【請求項54】
プラスミドベクターである、請求項50に記載の核酸構築物。
【請求項55】
哺乳動物細胞において目的のポリペプチドの発現を得る方法であって、その方法は、核酸構築物を前記細胞内へ移入することを含んでなるが、この核酸構築物は、
(i)プロモーター配列;
(ii)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、もしくはHSV type 2 gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;ならびに
(iii)(i)および(ii)に機能しうるように結合した、ポリペプチドをコードするコード配列;
を含んでなり、コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記方法。
【請求項56】
構築物を被験体に直接デリバリーする、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
構築物を、注射、経皮的粒子デリバリー、吸入によって、局所的に、経口で、鼻内に、または経粘膜でデリバリーする、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
構築物を無針注射によってデリバリーする、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
構築物を、被験体から取り出した細胞内にex vivoでデリバリーし、その細胞を被験体に再導入する、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
核酸構築物を担体粒子上にコーティングする、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに好適な、コーティングされた粒子であって、その粒子は核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなり、この核酸構築物は:
(i)プロモーター配列;
(ii)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、もしくはHSV type 2 gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;ならびに
(iii)(i)および(ii)に機能しうるように結合した、目的のポリペプチドをコードするコード配列;
を含んでなり、コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記コーティング粒子。
【請求項62】
担体粒子が金またはタングステンである、請求項61に記載のコーティング粒子。
【請求項63】
請求項61に記載のコーティングされた粒子を含んでなる、粒子を介したデリバリーデバイス用の投薬容器。
【請求項64】
請求項61に記載のコーティングされた粒子を充填した、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項65】
無針注射器である、請求項64に記載の、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項66】
被験体に有効量のコーティングされた粒子を投与することを含んでなる核酸免疫化の方法であって、この粒子は、粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに適しており、粒子は核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなるが、この核酸構築物は、
(i)プロモーター配列;
(ii)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、もしくはHSV type 2 gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;ならびに
(iii)(i)および(ii)に機能しうるように結合した、抗原をコードするコード配列;
を含んでなり、コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記方法。
【請求項67】
(i)プロモーター配列;
(ii)プロモーター配列(i)に機能しうるように結合したコード配列;ならびに
(iii)コード配列(ii)の3'側で、機能しうるように結合したエンハンサー配列;
を含んでなる核酸構築物であって、エンハンサー配列(iii)は、HBsAg配列の3'UTRまたはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、コード配列(ii)は3'エンハンサー配列に対して異種性である、前記核酸構築物。
【請求項68】
プロモーター配列(i)が、hCMV最初期プロモーター配列、仮性狂犬病ウイルスプロモーター配列、およびラウス肉腫ウイルスプロモーター配列からなる一群から選択される、請求項67に記載の核酸構築物。
【請求項69】
コード配列が抗原をコードする、請求項67に記載の核酸構築物。
【請求項70】
抗原が、ウイルス、細菌、寄生虫または真菌性病原体の抗原である、請求項69に記載の核酸構築物。
【請求項71】
プラスミドベクターである、請求項67に記載の核酸構築物。
【請求項72】
哺乳動物細胞において目的のポリペプチドの発現を得る方法であって、その方法は、核酸構築物を前記細胞内へ移入することを含んでなるが、この核酸構築物は、
(i)プロモーター配列;
(ii)プロモーター配列(i)に機能しうるように結合した、ポリペプチドをコードするコード配列;ならびに
(iii)コード配列(ii)の3'側で、機能しうるように結合したエンハンサー配列;
を含んでなり、エンハンサー配列(iii)は、HBsAg配列の3'UTRまたはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、コード配列(ii)は3'エンハンサー配列に対して異種性である、前記方法。
【請求項73】
構築物を被験体に直接デリバリーする、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
構築物を、注射、経皮的粒子デリバリー、吸入によって、局所的に、経口で、鼻内に、または経粘膜でデリバリーする、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
構築物を無針注射によってデリバリーする、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
構築物を、被験体から取り出した細胞内にex vivoでデリバリーし、その細胞を被験体に再導入する、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
核酸構築物を担体粒子上にコーティングする、請求項72に記載の方法。
【請求項78】
粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに好適な、コーティングされた粒子であって、その粒子は核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなり、この核酸構築物は:
(i)プロモーター配列;
(ii)プロモーター配列(i)に機能しうるように結合した、目的のポリペプチドをコードするコード配列;ならびに
(iii)コード配列(ii)の3'側で、機能しうるように結合したエンハンサー配列;
を含んでなり、エンハンサー配列(iii)は、HBsAg配列の3'UTRまたはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、コード配列(ii)は3'エンハンサー配列に対して異種性である、前記コーティング粒子。
【請求項79】
担体粒子が金またはタングステンである、請求項78に記載のコーティング粒子。
【請求項80】
請求項78に記載のコーティングされた粒子を含んでなる、粒子を介したデリバリーデバイス用の投薬容器。
【請求項81】
請求項78に記載のコーティングされた粒子を充填した、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項82】
無針注射器である、請求項81に記載の、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項83】
被験体に有効量のコーティングされた粒子を投与することを含んでなる核酸免疫化の方法であって、この粒子は、粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに適しており、粒子は核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなるが、この核酸構築物は、
(i)プロモーター配列;
(ii)プロモーター配列(i)に機能しうるように結合した、抗原をコードするコード配列;ならびに
(iii)コード配列(ii)の3'側で、機能しうるように結合したエンハンサー配列;
を含んでなり、エンハンサー配列(iii)は、HBsAg配列の3'UTRまたはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、コード配列(ii)は3'エンハンサー配列に対して異種性である、前記方法。
【請求項84】
単離精製されたキメラプロモーター配列であって、
(a) hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる、前記配列。
【請求項1】
キメラプロモーター配列、ならびにそのキメラプロモーターに機能しうるように結合した状態でコード配列を挿入するためのクローニング部位を含んでなる核酸構築物であって、キメラプロモーター配列が、
(a)hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、およびエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる、前記核酸構築物。
【請求項2】
hCMV最初期プロモーター配列(a)が配列番号1である、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項3】
エクソン配列(b)が配列番号2である、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項4】
異種イントロン(c)が、ラット インスリン遺伝子イントロンA配列、ニワトリ ケラチン遺伝子イントロンA配列、およびニワトリ心筋アクチン遺伝子イントロンA配列からなる一群から選択される配列を含んでなる、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項5】
ラット インスリン遺伝子イントロンA配列が配列番号3を含んでなる、請求項4に記載の核酸構築物。
【請求項6】
キメラプロモーター配列が配列番号4である、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項7】
ポリアデニル化配列を含んでなる、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項8】
ポリアデニル化配列が、ウサギβグロビン遺伝子、ヒトパピローマウイルス(HPV)初期もしくは後期遺伝子、HSV-2gB遺伝子、サルCMV最初期遺伝子、およびHSVgD後期遺伝子からなる一群から選択される遺伝子のポリアデニル化配列に由来する、請求項7に記載の核酸構築物。
【請求項9】
ポリアデニル化配列が、配列番号10、配列番号11、配列番号12および配列番号13からなる一群から選択される、請求項8に記載の核酸構築物。
【請求項10】
シグナルペプチドをさらに含んでなる、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項11】
シグナルペプチドが、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子シグナルペプチド(hTPAsp)、アプロチニンシグナルペプチド、タバコ エクステンシンシグナルペプチドおよびニワトリ
リゾチームシグナルペプチドからなる一群から選択される、請求項10に記載の核酸構築物。
【請求項12】
コード配列がクローニング部位に与えられた、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項13】
コード配列が抗原をコードする、請求項12に記載の核酸構築物。
【請求項14】
抗原が、ウイルス、細菌、寄生虫または真菌性病原体の抗原である、請求項13に記載の核酸構築物。
【請求項15】
抗原がHBsAgである、請求項14に記載の核酸構築物。
【請求項16】
プラスミドベクターである、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項17】
核酸がDNAである、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項18】
(i)(a)hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;および
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなるキメラプロモーター;ならびに
(ii) そのキメラプロモーターに機能しうるように結合した状態でコード配列を挿入するためのクローニング部位;ならびに
(iii)(a)HBVpreS2抗原配列、HBVe抗原配列、もしくはHSV type 2gD抗原配列に由来し、キメラプロモーターと機能しうるように結合している、非翻訳リーダー配列;および/または
(b)HBsAg配列の3'非翻訳領域(UTR)、もしくはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、キメラプロモーターと機能しうるように結合しており、クローニング部位の下流にある、エンハンサー配列;
を含んでなる核酸構築物。
【請求項19】
hCMV最初期プロモーター配列(a)が配列番号1である、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項20】
エクソン配列(b)が配列番号2である、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項21】
異種イントロン(c)が、ラット インスリン遺伝子イントロンA配列、ニワトリ ケラチン遺伝子イントロンA配列、およびニワトリ心筋アクチン遺伝子イントロンA配列からなる一群から選択される配列を含んでなる、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項22】
ラット インスリン遺伝子イントロンA配列が配列番号3を含んでなる、請求項21に記載の核酸構築物。
【請求項23】
キメラプロモーター配列が配列番号4である、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項24】
ポリアデニル化配列を含んでなる、請求項24に記載の核酸構築物。
【請求項25】
ポリアデニル化配列が、ウサギβグロビン遺伝子、ヒトパピローマウイルス(HPV)初期もしくは後期遺伝子、HSV-2gB遺伝子、サルCMV最初期遺伝子、およびHSVgD後期遺伝子からなる一群から選択される遺伝子のポリアデニル化配列に由来する、請求項24に記載の核酸構築物。
【請求項26】
ポリアデニル化配列が、配列番号10、配列番号11、配列番号12および配列番号13からなる一群から選択される、請求項25に記載の核酸構築物。
【請求項27】
シグナルペプチドをさらに含んでなる、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項28】
シグナルペプチドが、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子シグナルペプチド(hTPAsp)、アプロチニンシグナルペプチド、タバコ エクステンシンシグナルペプチドおよびニワトリ
リゾチームシグナルペプチドからなる一群から選択される、請求項27に記載の核酸構築物。
【請求項29】
コード配列がクローニング部位に与えられた、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項30】
コード配列が抗原をコードする、請求項29に記載の核酸構築物。
【請求項31】
抗原が、ウイルス、細菌、寄生虫または真菌性病原体の抗原である、請求項30に記載の核酸構築物。
【請求項32】
抗原がHBsAgである、請求項31に記載の核酸構築物。
【請求項33】
プラスミドベクターである、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項34】
配列番号14の配列を有する、請求項33に記載の核酸構築物。
【請求項35】
核酸がDNAである、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項36】
非翻訳リーダー配列が、配列番号5、配列番号6および配列番号7からなる一群から選択される、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項37】
エンハンサー配列が、配列番号8および配列番号9からなる一群から選択される、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項38】
哺乳動物細胞において目的のポリペプチドの発現を得る方法であって、その方法が、キメラプロモーター配列、およびキメラプロモーターと機能しうるように結合した、ポリペプチドをコードするコード配列を含んでなる核酸構築物を、前記細胞内へ移入することを含んでなり、このキメラプロモーター配列が、
(a) hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる、前記方法。
【請求項39】
構築物を被験体に直接デリバリーする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
構築物を、注射、経皮的粒子デリバリー、吸入によって、局所的に、経口で、鼻内に、または経粘膜でデリバリーする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
構築物を無針注射によってデリバリーする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
構築物を、被験体から取り出した細胞内にex vivoでデリバリーし、その細胞を被験体に再導入する、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
核酸構築物を担体粒子上にコーティングする、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに好適な、コーティングされた粒子であって、その粒子は、核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなり、この核酸構築物は、キメラプロモーター配列、およびキメラプロモーターと機能しうるように結合したコード配列を含んでなり、しかもこのキメラプロモーター配列は、
(a) hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる、前記コーティング粒子。
【請求項45】
担体粒子が金またはタングステンである、請求項44に記載のコーティング粒子。
【請求項46】
請求項44に記載のコーティングされた粒子を含んでなる、粒子を介したデリバリーデバイス用の投薬容器。
【請求項47】
請求項44に記載のコーティングされた粒子を充填した、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項48】
無針注射器である、請求項47に記載の、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項49】
被験体に有効量のコーティングされた粒子を投与することを含んでなる核酸免疫化の方法であって、この粒子は、粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに適しており、粒子は核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなるが、ここでこの構築物は、キメラプロモーター配列、およびキメラプロモーターと機能しうるように結合した、抗原をコードするコード配列を含んでなり、さらにこのキメラプロモーター配列は、
(a) hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる、前記核酸免疫化の方法。
【請求項50】
(i)プロモーター配列;
(ii)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、もしくはHSV type 2 gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;ならびに
(iii)(i)および(ii)に機能しうるように結合したコード配列;
を含んでなる核酸構築物であって、コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記核酸構築物。
【請求項51】
プロモーター配列(i)が、hCMV最初期プロモーター配列、仮性狂犬病ウイルスプロモーター配列、およびラウス肉腫ウイルスプロモーター配列からなる一群から選択される、請求項50に記載の核酸構築物。
【請求項52】
コード配列が抗原をコードする、請求項50に記載の核酸構築物。
【請求項53】
抗原が、ウイルス、細菌、寄生虫または真菌性病原体の抗原である、請求項52に記載の核酸構築物。
【請求項54】
プラスミドベクターである、請求項50に記載の核酸構築物。
【請求項55】
哺乳動物細胞において目的のポリペプチドの発現を得る方法であって、その方法は、核酸構築物を前記細胞内へ移入することを含んでなるが、この核酸構築物は、
(i)プロモーター配列;
(ii)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、もしくはHSV type 2 gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;ならびに
(iii)(i)および(ii)に機能しうるように結合した、ポリペプチドをコードするコード配列;
を含んでなり、コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記方法。
【請求項56】
構築物を被験体に直接デリバリーする、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
構築物を、注射、経皮的粒子デリバリー、吸入によって、局所的に、経口で、鼻内に、または経粘膜でデリバリーする、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
構築物を無針注射によってデリバリーする、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
構築物を、被験体から取り出した細胞内にex vivoでデリバリーし、その細胞を被験体に再導入する、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
核酸構築物を担体粒子上にコーティングする、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに好適な、コーティングされた粒子であって、その粒子は核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなり、この核酸構築物は:
(i)プロモーター配列;
(ii)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、もしくはHSV type 2 gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;ならびに
(iii)(i)および(ii)に機能しうるように結合した、目的のポリペプチドをコードするコード配列;
を含んでなり、コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記コーティング粒子。
【請求項62】
担体粒子が金またはタングステンである、請求項61に記載のコーティング粒子。
【請求項63】
請求項61に記載のコーティングされた粒子を含んでなる、粒子を介したデリバリーデバイス用の投薬容器。
【請求項64】
請求項61に記載のコーティングされた粒子を充填した、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項65】
無針注射器である、請求項64に記載の、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項66】
被験体に有効量のコーティングされた粒子を投与することを含んでなる核酸免疫化の方法であって、この粒子は、粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに適しており、粒子は核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなるが、この核酸構築物は、
(i)プロモーター配列;
(ii)HBV preS2抗原配列、HBV e抗原配列、もしくはHSV type 2 gD抗原配列に由来する非翻訳リーダー配列;ならびに
(iii)(i)および(ii)に機能しうるように結合した、抗原をコードするコード配列;
を含んでなり、コード配列は非翻訳リーダー配列に対して異種性である、前記方法。
【請求項67】
(i)プロモーター配列;
(ii)プロモーター配列(i)に機能しうるように結合したコード配列;ならびに
(iii)コード配列(ii)の3'側で、機能しうるように結合したエンハンサー配列;
を含んでなる核酸構築物であって、エンハンサー配列(iii)は、HBsAg配列の3'UTRまたはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、コード配列(ii)は3'エンハンサー配列に対して異種性である、前記核酸構築物。
【請求項68】
プロモーター配列(i)が、hCMV最初期プロモーター配列、仮性狂犬病ウイルスプロモーター配列、およびラウス肉腫ウイルスプロモーター配列からなる一群から選択される、請求項67に記載の核酸構築物。
【請求項69】
コード配列が抗原をコードする、請求項67に記載の核酸構築物。
【請求項70】
抗原が、ウイルス、細菌、寄生虫または真菌性病原体の抗原である、請求項69に記載の核酸構築物。
【請求項71】
プラスミドベクターである、請求項67に記載の核酸構築物。
【請求項72】
哺乳動物細胞において目的のポリペプチドの発現を得る方法であって、その方法は、核酸構築物を前記細胞内へ移入することを含んでなるが、この核酸構築物は、
(i)プロモーター配列;
(ii)プロモーター配列(i)に機能しうるように結合した、ポリペプチドをコードするコード配列;ならびに
(iii)コード配列(ii)の3'側で、機能しうるように結合したエンハンサー配列;
を含んでなり、エンハンサー配列(iii)は、HBsAg配列の3'UTRまたはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、コード配列(ii)は3'エンハンサー配列に対して異種性である、前記方法。
【請求項73】
構築物を被験体に直接デリバリーする、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
構築物を、注射、経皮的粒子デリバリー、吸入によって、局所的に、経口で、鼻内に、または経粘膜でデリバリーする、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
構築物を無針注射によってデリバリーする、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
構築物を、被験体から取り出した細胞内にex vivoでデリバリーし、その細胞を被験体に再導入する、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
核酸構築物を担体粒子上にコーティングする、請求項72に記載の方法。
【請求項78】
粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに好適な、コーティングされた粒子であって、その粒子は核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなり、この核酸構築物は:
(i)プロモーター配列;
(ii)プロモーター配列(i)に機能しうるように結合した、目的のポリペプチドをコードするコード配列;ならびに
(iii)コード配列(ii)の3'側で、機能しうるように結合したエンハンサー配列;
を含んでなり、エンハンサー配列(iii)は、HBsAg配列の3'UTRまたはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、コード配列(ii)は3'エンハンサー配列に対して異種性である、前記コーティング粒子。
【請求項79】
担体粒子が金またはタングステンである、請求項78に記載のコーティング粒子。
【請求項80】
請求項78に記載のコーティングされた粒子を含んでなる、粒子を介したデリバリーデバイス用の投薬容器。
【請求項81】
請求項78に記載のコーティングされた粒子を充填した、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項82】
無針注射器である、請求項81に記載の、粒子を介したデリバリーデバイス。
【請求項83】
被験体に有効量のコーティングされた粒子を投与することを含んでなる核酸免疫化の方法であって、この粒子は、粒子を介したデリバリーデバイスからのデリバリーに適しており、粒子は核酸構築物でコーティングされた担体粒子を含んでなるが、この核酸構築物は、
(i)プロモーター配列;
(ii)プロモーター配列(i)に機能しうるように結合した、抗原をコードするコード配列;ならびに
(iii)コード配列(ii)の3'側で、機能しうるように結合したエンハンサー配列;
を含んでなり、エンハンサー配列(iii)は、HBsAg配列の3'UTRまたはサルCMV最初期遺伝子配列の3'UTRに由来し、コード配列(ii)は3'エンハンサー配列に対して異種性である、前記方法。
【請求項84】
単離精製されたキメラプロモーター配列であって、
(a) hCMV最初期プロモーター配列;
(b)hCMV主要最初期遺伝子のエクソン1、および少なくともエクソン2の一部;ならびに
(c)hCMV主要最初期遺伝子のイントロンA領域の代わりに与えられる異種イントロン;
を含んでなる、前記配列。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−509607(P2007−509607A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530599(P2006−530599)
【出願日】平成16年10月11日(2004.10.11)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004279
【国際公開番号】WO2005/035771
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(502442315)パウダージェクト ワクチンズ,インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月11日(2004.10.11)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004279
【国際公開番号】WO2005/035771
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(502442315)パウダージェクト ワクチンズ,インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]