説明

核酸送達複合体の溶出のための装置及び方法

本発明の実施態様は、核酸送達複合体の制御された溶出のための装置及び方法を含む。1実施態様において、本発明は、医用装置を作る方法を含む。該方法は、核酸をキャリヤー剤と複合して送達複合体溶液を形成し、該送達複合体溶液を支持体に適用し、そして重合体溶液を該支持体に適用する、ことを含み得る。他の実施態様において、本発明は、核酸をキャリヤー剤と複合して核酸送達複合体を形成し、該核酸送達複合体を重合体溶液及び架橋剤と一緒にし、その場合該架橋剤は正に荷電され又は電荷中性である、ことを含む、医用装置を作る方法を含む。1実施態様に置いて、本発明は、支持体及び該支持体の表面上に堆積した被覆を含み、該被覆は重合体マトリックス及び該重合体マトリックス中に堆積した複数の分散核酸送達複合体を含む、インプラント可能な医用装置を含む。他の実施態様はここに含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性薬剤の制御された溶出のための装置及び方法に関する。より詳しくは、本発明は、核酸送達複合体の制御された溶出のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療容態の治療への1つの有望な取り組みは、療法薬剤としての核酸の投与である。例として、この取り組みは、RNA,DNA,siRNA,miRNA,piRNA,shRNA、アンチセンス核酸、アプタマー、リボザイム、触媒活性DNA、及び類似物の投与を含み得る。
残念ながら、核酸療法は実施困難なことが判明している。標的細胞に効果を仲介するために、核酸を基材とする活性薬剤は、他の段階とともに、一般に適切な標的細胞に送達され、該細胞により取り上げられ(taken up)、エンドゾームから放出され、そして核又は細胞質に輸送(細胞内輸送)されなければならない。それ自体、核酸による治療の成功は、部位特異的送達、該送達段階での安定性、及び標的細胞中での生物学的活性の実質的な程度、に依存する。加えて、非ウイルス性送達システムを用いた核酸による治療の成功はまた、延長された時間間隔に亘っての、標的組織中の該核酸の療法的に有効な投与量の維持、に依存する。しかし、送達、取り上げの段階、及び時間に亘っての有効投与量の維持は、他の問題と共に、核酸がインビボ環境において酵素により徐々に崩壊を受けるという事実により、全てが複雑であり得る。
従って、該核酸の活性を保持しつつ、部位特異的な仕方で、延長された時間間隔に亘って標的組織に療法核酸を送達し得る装置及び方法の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改良された、療法核酸送達のための装置及び方法の提供。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施態様は、核酸送達複合体の制御された溶出のための装置及び方法を含む。1実施態様において、本発明は、医療装置を作る方法を含む。該方法は、核酸をキャリヤー剤で複合化して核酸送達複合体を含む送達複合体溶液を形成し、該送達複合体溶液を支持体(substrate)に適用し、そして重合体溶液を該支持体に適用する、ことを含み得る。
【0005】
1実施態様において、本発明は、医用装置を作る方法を含む。該方法は、核酸をキャリヤー剤で複合化して核酸送達複合体を形成し、該核酸送達複合体を重合体溶液及び架橋剤と一緒にする、その場合該架橋剤は正に荷電され又は電荷中性(charge neutral)である、ことを含み得る。
【0006】
1実施態様において、本発明は、支持体と該支持体の表面に堆積した被覆を含み、該被覆は重合体マトリックスと該重合体マトリックス中に分散した複数の分散核酸送達複合体を含む、インプラント可能な医用装置を含む。該重合体マトリックスは、崩壊性重合体及び非崩壊性重合体を含み得る。該核酸送達複合体は、核酸と該核酸に複合したキャリヤー剤を含み得る。該被覆は、インビボで該核酸送達複合体を溶出するように形作られ得る。
【0007】
本発明の上記要約は、本発明の議論される実施態様を記述することを意図していない。これは、図面と、以後の詳細な記述の目的である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、次の図面と関連して、より完全に理解されるかもしれない。
【0009】
【図1】500倍拡大による、MD−ヘキサノエート(hexanoate)/PEVA/PBMA/PEI-DNA被覆、の走査電子顕微鏡像である。
【0010】
【図2】被覆コイルからリン酸塩緩衝生理食塩水への核酸送達複合体の溶出を示すグラフである。
【0011】
【図3】MD−ヘキサノエート/PEVA/PBMA/PEI−DNA被覆から溶出したGFP−DNA/PEIポリプレックス(polyplexes)によりトランスフェクトされたHEK293細胞の、蛍光顕微鏡像である。
【0012】
【図4】崩壊性重合体フィラメントからの、核酸送達複合体の溶出を示すグラフである。
【0013】
【図5】ルシフェラーゼ発現HEK−293細胞を示すグラフである。
【0014】
本発明は、様々な改変及び代替形が可能であるが、その詳細は実施例及び図面で示され、詳しく記載されるであろう。しかし、本発明は記載された特別の実施態様に限定されないと理解されるべきである。反対に、本発明は、本発明の本質および範囲の中に入る改質物、等価物及び代替物をカバーすることが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本文中で、用語「複合体」は、非共有結合による、2個又はより多くの化学種の化学的連合(association)を意味する。
本文中で、用語「分散した」は、実質的に非凝集(non-aggregated)の状態を意味する。例として、分散した複合体は、互いに実質的に凝集していない複合体を意味する。
本文中で、用語「マトリックス」は、3次元重合体網状組織(network)を意味する。幾つかの実施態様において、マトリックスは、例えば被覆の形で、支持体上に堆積され得る。他の実施態様において、支持体は省略され得る。
【0016】
核酸を基材とする療法剤の活性を維持する1つの取り組みは、哺乳類患者への投与に先立ち核酸を送達剤と複合化することである。例として、送達段階での崩壊を防ぎ細胞に入るのを促進するためポリエチレンイミンのようなキャリヤー剤を核酸と複合化する試みがなされた。そのような取り組みは送達段階での核酸の活性を保持するのを助け得るが、それは、該核酸の制御された放出の問題には向かっていない。
【0017】
本発明の実施態様による、活性薬剤の制御された放出を提供するための1つの取り組みは、重合体マトリックス中に該薬剤を混和することである。重合体マトリックスは、制御された仕方で活性薬剤を放出するのに役立つ。しかし、重合体マトリックスと関連しての核酸/キャリヤー剤複合体(「核酸送達複合体」)の使用は、別の問題を生じ得る。生じる問題の1つは、該マトリックスを形成するための加工段階の間において、得られる複合体が凝集する傾向があることである。該複合体が顕著に凝集すると、標的細胞による取込みに不適当になり得るので、問題となり得る。他の問題は、マトリックスを形成する重合体のキャリヤーとして使用されるある種の溶媒が、該核酸送達複合体に悪影響を及ぼし得るということである。更に他の問題は、重合体マトリックスからの核酸送達複合体の、制御された、予測し得る放出を達成することである。
【0018】
本発明の実施態様は、制御された放出による部位特異的な仕方での核酸の送達を可能にする装置、マトリックス、及び関連する方法、を含み得る。下記例に示されるように、該核酸送達複合体は、標的細胞をトランスフェクトし得るに十分な活性を保持しつつ、制御された仕方で、溶出制御マトリックスから放出され得る。
【0019】
様々な実施態様において、該医用装置は、延長された時間間隔に亘って核酸送達複合体を溶出するように形作られ得る。実施例として、幾つかの実施態様において、該医用装置は2日又はそれより長い時間間隔の間核酸送達粒子を溶出するように形作られ得る。幾つかの実施態様において、該医用装置は2週間又はそれより長い時間間隔の間核酸送達粒子を溶出するように形作られ得る。
幾つかの実施態様において、該医用装置は1ヶ月又はそれより長い時間間隔の間核酸送達粒子を溶出するように形作られ得る。
【0020】
様々な実施態様において、重合体マトリックスからの該核酸送達複合体の溶出速度は、制御され又は調和され得る。例として、ポリプレックス溶出の速度は、重合体上の架橋し得る基の数を変え、又は該重合体マトリックスを作るのに使用する重合体溶液中の重合体の濃度を変えることにより調節され得る。本発明の実施態様はまた、核酸送達複合体を含む溶出制御マトリックスを作る方法を含む。模範的な実施態様の様々な態様は、ここでより詳細に記載されるであろう。
【0021】
核酸送達複合体
本発明の実施態様は、核酸送達複合体を含む溶出制御被覆を含み得る。核酸送達複合体は、活性薬剤としての核酸、及び該核酸に複合されるキャリヤー剤を含み得る。ある状況では、核酸とキャリヤー剤との複合体はまた、「核酸送達粒子」と云われる。本出願の目的については、用語「核酸送達複合体」と「核酸送達粒子」とは同じ意味である。
【0022】
本発明の実施態様で使用されるキャリヤー剤は、製造及び送達プロセスの間該核酸の活性を保持するため核酸と複合化され得る化合物を含み得る。模範的なキャリヤー剤はまた、核酸の細胞中への吸収(internalization)を促進するのに有効な化合物を含み得る。模範的な部類のキャリヤー剤は、カチオン性化合物(正味の正電荷を持つ化合物)及び電荷中性の化合物を含み得る。実施例として、適切なキャリヤー剤は、カチオン性重合体のような、カチオン性高分子を含み得る。適切なキャリヤー剤はまた、カチオン性脂質を含み得る。
【0023】
適切なキャリヤー剤はまた、次のものを含み得る:多カチオン含有シクロデキストリン;ヒストン;カチオン化ヒト血清アルブミン;キトサンのようなアミノ多糖類;ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、及びポリ−4−ヒドロキシ−L−プロリンエステルのようなペプチド;タンパク質伝達(transduction)ドメインを含むペプチド;ポリエチレンイミン(PEI),ポリプロピレンイミン、ポリアミドアミン デンドリマーのようなポリアミン;及び、ポリ(ベータ−アミノエステル)。
【0024】
他のキャリヤー剤は、固体核酸脂質ナノ粒子(SNALPs)、リポソーム、タンパク質伝達ドメイン、及びポリビニルピロリドン(PVP)を含み得る。標的薬剤の例は、特定の細胞表面分子を認識し結合する、抗体及びペプチドを含む。
【0025】
本発明の実施態様で使用される核酸は、治療効果を提供する機能を持ち得る様々なタイプの核酸を含み得る。模範的なタイプの核酸は次のものを含み得るが、これらに限定されない:リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、低分子干渉RNA(siRNA),ミクロRNA(miRNA)、piwi−相互作用RNA(piRNA),低分子ヘアピン型RNA,アンチセンス核酸、アプタマー、リボザイム、ロックされた(locked)核酸、及び触媒活性DNA。
【0026】
核酸送達複合体は、様々なプロセスにより、キャリヤー剤と核酸から形成され得る。ある場合、例えば、カチオン性キャリヤー剤はアニオン性核酸分子と相互作用し、密集した(compact)、規則的な(ordered)複合体に縮合(condense)する。幾つかの実施態様では、核酸送達複合体を形成するため、該核酸は、そのまま、単純に該カチオン性キャリヤー剤と接触され得る。
【0027】
核酸送達複合体の有効な大きさ(size)は、他の要因と共に、該キャリヤー剤の分子量、複合体形成時の条件、及び該核酸の分子量を含む様々な因子により影響され得る。しかし、理論に拘束されることを意図するものでは無いが、該核酸送達複合体の大きさを制御するのが望ましい。例えば、過度に大きい複合体は、より小さい複合体よりかなりトランスフェクトされ難いであろう。幾つかの実施態様において、これらの複合体は、約1ミクロンより小さい直径を持ち得る。幾つかの実施態様において、これらの複合体は、約500nmより小さい直径を持ち得る。幾つかの実施態様において、これらの複合体は、約200nmより小さい直径を持ち得る。幾つかの実施態様において、これらの複合体は、約20〜200nmの直径を持ち得る。
【0028】
核酸送達複合体を含む被覆を形成する方法
多くの実施態様において、該核酸送達複合体は、溶出制御マトリックス中への混和に先立ち水性溶媒中に懸濁される。しかし、幾つかの実施態様では、該核酸送達複合体は、有機溶媒中に懸濁され得る。更に他の実施態様では、該核酸送達複合体は、混合した有機/水性溶媒中に懸濁され得る。しかし、理論に拘束されることを意図するものでは無いが、該核酸送達複合体を懸濁するための幾つかの有機溶媒の使用は、該複合体の崩壊、DNAの損傷、及び/又は該複合体の凝集、に寄与し得ると思われる。幾つかの実施態様において、該核酸送達複合体は、極性溶媒中に懸濁される。
【0029】
ここでの実施態様の溶出制御マトリックスは、疎水性重合体、親水性重合体、崩壊性重合体、及び非崩壊性重合体、のような1種又はより多種の重合体から作られ得る。模範的な重合体は詳しく下記される。多くの場合、溶出制御マトリックスを形成するためのこれら重合体の適用は、該堆積プロセスの間のキャリヤーとしての、溶媒の使用を含む。これら重合体の幾つかは水性溶媒に可溶であり、一方他の重合体は有機溶媒にのみ可溶である。これら重合体の幾つかは極性溶媒に可溶であり、一方他の重合体は非極性溶媒にのみ可溶である。
【0030】
溶媒は、詳細には次のものを含み得る:水;アルコール(例えば、メタノール、ブタノール、プロパノール、及びイソプロパノール);アルカン(例えば、クロロホルムのようなハロゲン化アルカン、又はヘキサン及びシクロヘキサンのような非ハロゲン化アルカン;アミド(例えば、ジメチルホルムアミド);エーテル(例えば、THF及びジオキサン);ケトン(例えば、メチルエチルケトン);芳香族化合物(例えば、トルエン及びキシレン);ニトリル(例えば、アセトニトリル);エステル(例えば、酢酸エチル);及びそれらの組合せ。
【0031】
幾つかの実施態様、例えば該溶出制御マトリックスのための重合体が該核酸送達複合体と同様の溶媒要件を持つような場合、では、該核酸送達複合体は、単純に該溶出制御マトリックスの重合体と混合され得、単一溶液を形成し、次いで支持体に適用され得る。しかし、該溶出制御マトリックスの重合体(類)が該核酸送達複合体と相溶しない溶媒要件を持つ場合、該核酸送達複合体は、支持体への適用に先立ち、該溶出制御マトリックスの重合体から分離保持され得る。例えば、該核酸送達複合体を含む1つの溶液が形成され、別に該溶出制御マトリックスの重合体を含む溶液が形成され得る。詳しくは、核酸送達複合体溶液は極性溶媒により形成され得、そして該溶出制御マトリックス重合体溶液は非極性溶媒により形成され得る。次いで、両方の溶液は支持体に適用され得る。
【0032】
溶出制御被覆の重合体及び該核酸送達複合体の、支持体への適用には、多くの異なる技術が使用され得ると認識されるであろう。例として、そのような被覆を適用するための技術は、スプレー堆積、浸漬被覆、ブラシ被覆、印刷、及び類似方法を含み得る。
【0033】
しかし、理論に拘束されることを意図するものでは無いが、医用装置に関してはスプレー堆積が様々な利点を提供し得ると考えられる。例えば、スプレー堆積は、浸漬被覆と比べて、該支持体上に堆積される活性薬剤の全量に関してより高い正確性を可能にし得る。
【0034】
加えて、該スプレー被覆プロセスは、不混和性の成分を使用するときに、そうでなければ発生し得る相分離の機会を最小限にして実施され得る。例えば、該溶出制御層に使用される重合体(類)が該核酸送達複合体と相溶しない溶媒要件を持つ場合、スプレー被覆は、該成分部品(parts)が実質的均一に分散した被覆層を達成するのに使用され得る。これは、スプレー被覆プロセスの間、使用される溶媒(類)が、比較的大量の溶媒の蓄積を可能にせず、速やかに蒸発し得るからである。かくて、溶媒が速やかに除かれるので、残留成分は、顕微鏡スケールでの相分離の機会が少なくなる。
【0035】
1実施態様において、本発明は、核酸送達複合体を含む溶液を第1のスプレーヘッド又はノズルからスプレーし、一方同時に重合体溶液を第2のスプレーヘッド又はノズルからスプレーする、ことを含む被覆を適用する方法、を含む。多数のスプレーヘッド又はノズルからの溶液のスプレーは、相溶しない溶媒要件を持つ複数の成分を、該支持体上への適用まで分離して保持するという利点を提供し得る。また、多数のスプレーヘッド又はノズルからの溶液のスプレーは、溶出制御マトリックス中への核酸送達複合体のより均一な分散をもたらし得ると思われる。幾つかの実施態様において、該核酸送達複合体は、該溶出制御マトリックス中に実質的に分散される。
【0036】
米国公開特許出願第2007/0128343号、名称「被覆を適用するための方法及び装置」、その内容は全部が引用によりここに包含される、は、多数のスプレーヘッドから被覆を適用する様々な技術及び関連する装置を記載する。該スプレーヘッド又はノズルは、気体噴霧タイプ又は超音波噴霧タイプであり得る。幾つかの実施態様において、該スプレーヘッド又はノズルは、超音波タイプである。
【0037】
核酸送達複合体のスプレー被覆は、望ましくは、該複合体濃度が比較的高い溶液を用いて行われることが観察される。スプレー被覆の状況では、もし該溶液中の複合体濃度があまり低いと、治療的に意味のある量の複合体を支持体に適用することは、比較的多量の溶媒を該支持体上にスプレーすることを伴う。そのような大量の溶媒の適用は、得られる溶出制御被覆の質を落とし得る。
【0038】
加えて、望ましい治療結果を達成するに十分高い活性薬剤の装薬を有する架橋マトリックスを形成するためにも、比較的高い複合体濃度を持つ溶液を使用することが望ましいことであり得る。幾つかの実施態様において、該核酸送達複合体を含む溶液は、少なくとも約1mg/mlの核酸濃度を持つ。
【0039】
残念ながら、単純に核酸をカチオン性重合体と接触させることによるような核酸送達複合体の形成は、一般に、スプレー堆積のような幾つかの用途のためには濃縮が十分でない複合体溶液をもたらす。更に、より高い濃度を持つ複合体溶液を作ろうとして核酸をより高い濃度のカチオン性重合体と接触することは、一般に、複合体形成の代わりに該成分の凝集をもたらす。十分に濃縮された複合体溶液を形成することは、それ自体、著しい挑戦を要する。
【0040】
しかし、望ましい濃度の複合体溶液を提供するため、該複合体がより低い濃度で形成され得そして次いで得られた溶液が複合体形成後に濃縮され得ることが見出された。例として、送達複合体溶液は、遠心分離技術、真空による濃縮技術、又は他の技術を用いて濃縮され得る。幾つかの実施態様において、該送達複合体溶液の濃度は、複合体形成後、核酸少なくとも約1mg/mlに増加される。幾つかの実施態様において、該送達複合体溶液の濃度は、複合体形成後、核酸少なくとも約5mg/mlに増加される。幾つかの実施態様において、該送達複合体溶液の濃度は、複合体形成後、核酸少なくとも約10mg/mlに増加される。
【0041】
幾つかの実施態様において、重合体マトリックスは、重合体の架橋により形成され得る。例として、幾つかの実施態様において、核酸送達複合体を含む重合体溶液は、支持体上に堆積され、次いで、該核酸送達複合体の溶出を制御するマトリックスを形成するため、その場で架橋が行われ得る。架橋は、様々な仕方で引き起こされ得る。幾つかの実施態様において、架橋剤又は開始剤は、該重合体溶液に含有され得る。
【0042】
正に荷電された、負に荷電された、及び電荷中性である薬剤、を含む様々なタイプの架橋剤が使用され得る。しかし、理論に拘束されることを意図するものでは無いが、負に荷電された架橋剤は、核酸送達複合体の解離(dissociation)に寄与すると思われる。幾つかの実施態様において、そのままで、該架橋剤は正に荷電され又は電荷中性である。適切な正に荷電された光開始架橋剤の例は、エチレンビス(4−ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウム)ジブロマイドであり、それは米国特許第5,714,360号の実施例2に記載されたように調製され得る。
【0043】
幾つかの実施態様において、架橋剤は、UV光の適用のような化学線により活性化され得る。しかし、比較的短波長のUV光は、核酸に望ましくない損傷を与え得る。幾つかの実施態様において、該化学線は、300nm又はより長い波長のUV光を含む。幾つかの実施態様において、該化学線は、323nm又はより長い波長のUV光を含む。幾つかの実施態様において、該化学線は、360nm又はより長い波長のUV光を含む。
【0044】
幾つかの実施態様において、該架橋剤は、比較的長い波長のUV光が活性化に効果的であるように選択される。特に、幾つかの実施態様において、該架橋剤は、360nm又はより長い波長の光で機能するように選択され得る。そのような開始剤の具体例は、IRGACURE819の商品名で販売されている、ビス(2、4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドである(Ciba Specialty Chemicals、Terrytown、NYから入手可能)。
【0045】
疎水性及び親水性重合体
上記のように、実施態様は重合体マトリックスを含む溶出制御被覆を含み得る。1実施態様において、該重合体マトリックスは1種又はより多種の疎水性重合体を含み得る。1実施態様において、該重合体カトリックスは1種又はより多種の親水性重合体を含み得る。重合体の疎水性を定義する1方法は、該重合体の溶解度パラメーター(即ち、Hildebrandパラメーター)による。該溶解度パラメーターは、該材料の分子間の引力の強さを説明する。該溶解度パラメーターは等式1で示される。
(等式1) δ=(ΔE/V)1/2
式中、δ=溶解度パラメーター((cal/cm1/2
ΔE=蒸発エネルギー(cal)
V=モル容積(cm
【0046】
溶解度パラメーターは、重合体の不揮発性のため、重合体については、蒸発熱データから計算することは出来ない。従って、溶解度パラメーターは、間接的に計算されなければならない。1つの方法は、重合体が熱又は容積の変化無しに溶解する溶媒を同定し、該重合体の溶解度パラメーターを該同定された溶媒の溶解度パラメーター同一とすることを含む。溶解度パラメーター及びその計算方法についてのより完全な議論は、Brandup et al.、Polymer handbook、第4版、John Wiley & Sons,N.Y.(1999)中に見出し得る。
【0047】
一般則として、該溶解度パラメーターδの値は、重合体の疎水性の度合いと逆比例する。かくて、非常に疎水性の重合体は低い溶解度パラメーター値を持ち得る。この一般定理は、生理的温度より低いガラス転移温度を持つ重合体について特に適用できる。1実施態様において、本発明に使用される疎水性重合体は、約11.0(cal/cm1/2より低い溶解度パラメーターを持つ。1実施態様において、本発明に使用される疎水性重合体は、約10.0(cal/cm1/2より低い溶解度パラメーターを持つ。1実施態様において、本発明に使用される親水性重合体は、約13.0(cal/cm1/2より高い溶解度パラメーターを持つ。1実施態様において、本発明に使用される親水性重合体は、約14.0(cal/cm1/2より高い溶解度パラメーターを持つ。
【0048】
崩壊性重合体
上記のように、実施態様は重合体マトリックスを含む溶出制御被覆を含み得る。1実施態様において、該重合体マトリックスは1種又はより多種の崩壊性重合体を含み得る。本発明の実施態様に用いられる崩壊性重合体は、天然又は合成重合体の両方を含み得る。崩壊性重合体の例は、重合体主鎖中に加水分解上不安定な結合を持つものを含み得る。本発明の崩壊性重合体は、本体(bulk)浸蝕性のもの及び表面浸蝕性のもの、の両方を含み得る。
【0049】
理論に拘束されることを意図するものでは無いが、崩壊性重合体の使用は、核酸送達複合体の制御された放出を提供する状況において有利であり得、それは、放出が該マトリックスを通した拡散に加えて該マトリックスの崩壊により仲介され(mediated)得るからである。
【0050】
合成崩壊性重合体は次のものを含み得る:崩壊性ポリエステル(例えば、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸共重合体)、ポリ(ジオキサノン(dioxanone))、ポリラクトン(例えば、ポリ(カプロラクトン))、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ(タートロン(tartronic)酸)、ポリ(β−マロン酸)、ポリ(フマール酸プロピレン(propylene fumarate));崩壊性ポリエステルアミド;崩壊性ポリ無水物(例えば、ポリ(セバチン酸)、ポリ(1,6−ビス(カルボキシフェノキシ)ヘキサン、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン);崩壊性ポリカーボネート(例えば、チロシンを基材とするポリカーボネート);崩壊性ポリイミノカーボネート;崩壊性ポリアリーレート(arylate)(例えば、チロシンを基材とするポリアリーレート);崩壊性ポリオルトエステル(orthoester);崩壊性ポリウレタン;崩壊性ポリホスファゼン;及びそれらの共重合体。
【0051】
天然の、又は天然物を基材とする崩壊性重合体は、多糖類及び改質多糖類、例えばデンプン、セルロース、キチン、キトサン、及びそれらの共重合体を含み得る。
【0052】
崩壊性重合体の具体例は、次の一般式により記載され得る、ポリ(エチレングリコール)(PEG)とポリ(ブチレンテレフタレート)を基材とするポリ(エーテル エステル)多重ブロック共重合体を含む:
[−(OCHCH−O−C(O)−C−C(O)−]x[−O−(CH−O−C(O)−C−C(O)−]y、式中、−C−は各々のテレフタル酸のエステル化された分子からの2価芳香族環残基を示し、nは各々の親水性PEGブロック中のエチレンオキシド単位の数を示し、xは該共重合体中の親水性ブロックの数を示し、そしてyは該共重合体中の疎水性ブロックの数を示す。下文字「n」は該PEGブロックの分子量が約300〜約4000となるように選択され得る。該繰り返し単位「x」及び「y」は該多重ブロック共重合体がPEGを約55〜約80重量%含むように選択され得る。該ブロック共重合体は、該共重合体構造中のn、x及びyの値を変えることにより、広い配列の物理的特性(例えば、親水性、接着性、強さ、展性、崩壊性、耐久性、柔軟性)及び活性薬剤放出特性(例えば、制御された重合体崩壊及び膨潤による)を提供するように処理され得る。そのような崩壊性重合体は、米国特許第5,980,948号、引用により全部が本文に含まれる、中に記載されているものを特に含み得る。
【0053】
崩壊性ポリエステルアミドは、モノマーOH−x−OH、z、及びCOOH−y−COOH、式中xはアルキル、yはアルキル、そしてzはロイシン又はフェニルアラニン、から形成されたものを含み得る。そのような崩壊性ポリエステルアミドは、米国特許第6,703,040号、引用により全部が本文に含まれる、中に記載されているものを特に含み得る。
【0054】
崩壊性重合体材料はまた、次から選択され得る:(a)非ペプチドポリアミノ重合体;(b)ポリイミノカーボネート;(c)アミノ酸誘導(amino acid-derived)ポリカーボネート及びポリアリーレート(polyarylates);及び(d)ポリ(アルキレンオキシド)重合体。
【0055】
1実施態様において、該崩壊性重合体材料は、非ペプチドポリアミノ酸重合体からなる。模範的な非ペプチドポリアミノ酸重合体は、例えば米国特許第4,638,045号(「非ペプチドポリアミノ酸生浸蝕性重合体」、1987年1月20日)中に記載されている。一般に、これらの重合体材料は、下記の2つの構造の内の1つを持つ2個又は3個のアミノ酸単位を含む、モノマーから誘導される。
【0056】
【化1】

ここで、該モノマー単位は、1つより少なくない側基R、R、及びRにおいて、加水分解上不安定な結合(bond)により結合(join)されており、R、R、Rは天然アミノ酸の側鎖であり;Zは任意の望ましいアミン保護基又は水素であり;そしてYは任意の望ましいカルボキシル保護基又は水酸基である。各々のモノマー単位は、天然アミノ酸を含み、それらは次いで、アミド又は「ペプチド」結合(bond)以外の結合(linkage)によりモノマー単位として重合される。該モノマー単位は、ペプチド結合により結合され(united)それによりジペプチド又はトリペプチドを含む2つ又は3つのアミノ酸からなり得る。該モノマー単位の正確な組成にかかわらず、全ては、ポリペプチド鎖に典型的なアミド結合を形成するアミノ基とカルボキシル基によらず、それらの夫々の側鎖により、加水分解上不安定な結合(bond)により重合される。
【0057】
そのような重合体組成物は、無毒性であり、崩壊性であり、様々な治療用途における活性薬剤の送達のためゼロ次の放出動力学(zero-order release kinetics)を提供し得る。これらの態様によれば、該アミノ酸は、次のものを含むL−アルファアミノ酸から選択され得る:アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、アルギニン、ヒドロキシプロリン、メチオニン、システイン、シスチン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、シトルリン、オルニチン、ランチオニン、ヒポグリシンA、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、αアミノアジピン酸、カナバニン、ベンコール酸(venkolic acid)、チオールヒスチジン、エルゴチオニン(ergothionine)、ジヒドロキシフェニルアラニン、及びタンパク質化学において周知で且つ特性決定された他のアミノ酸。
【0058】
本発明の崩壊性重合体はまた、引用により全部が本文に含まれる、次の文献に記載されているような重合された多糖類を含み得る:米国公開特許出願第2005/0255142号、名称「天然生崩壊性多糖類を含む医用物品のための被覆」、米国公開特許出願第2007/0065481号、名称「天然生崩壊性多糖類を含む被覆及びその使用」、及び米国公開特許出願第20070218102号、名称「天然生崩壊性多糖類の疎水性誘導体」。
【0059】
本発明の崩壊性重合体はまた、引用により全部が本文に含まれる、次の文献に記載されているようなデキストランを基材とする重合体を含み得る:米国特許第6,303,148号、名称「制御された放出システムの調製のためのプロセス」。模範的なデキストランを基材とする崩壊性重合体は、商品名OCTODEXで商業的に入手可能なものを含む。
【0060】
本発明の崩壊性重合体はまた、コラーゲン/ヒアルロン酸重合体を含み得る。
【0061】
本発明の崩壊性重合体はまた、多重ブロック共重合体を含み得、それらは、プレポリマーA及びBから誘導された少なくとも2つの加水分解され得るセグメントを含み、セグメントは多官能連鎖延長剤により結合され(linked)そしてプレポリマーA及びB、及びトリブロック共重合体ABA及びBABから選択され、該多重ブロック共重合体はアモルファスであって、生理(生体)条件において最大37℃(Tg)の1つ又はより多くのガラス転移温度(Tg)を持つ。該プレポリマーA及びBは、ラクチド(L,D又はL/D)、グリコリド(glycolide)、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,5−ジオキセパン(dioxepane)−2−オン、1,4−ジオキサン−2−オン(パラ−ジオキサン)又は環状無水物(オキセパン−2、7−ジオン)のような環状モノマーから誘導された、加水分解性のポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリ無水物、又はそれらの共重合体、であり得る。
【0062】
該プレポリマーの組成は、得られる共重合体の最高ガラス転移温度が、生体条件において37℃より低いように選択され得る。Tgが37℃より低いという要件を満たすため、幾つかの上記モノマー又はモノマーの組合せは他のものより好ましい。これはそれ自体でTgを下げ、又は該プレポリマーは、該共重合体ノガラス転移温度を下げるために十分な分子量を持つポリエチレングリコールにより改質される。該崩壊性多重ブロック共重合体は、非晶質である加水分解性の配列を含み得、該セグメントは多官能性連鎖延長剤により結合され(linked)得、該セグメントは異なる物理的特性及び崩壊特性を持つ。
【0063】
例えば、グリコリド−ε−カプロラクタム セグメント及びラクチド−グリコリド セグメントからなる多重ブロック共重合体は、2つの異なるポリエステルプレポリマーからなり得る。セグメントモノマー組成、セグメント比及び長さを制御することにより、容易に適合され(tuned)得る性質を持つ様々な重合体が得られ得る。そのような崩壊性多重ブロック共重合体は、特に、引用により全部が本文に含まれる、米国公開出願第2007/0155906号に記載されているものを含む。
【0064】
非崩壊性重合体
上記のように、幾つかの実施態様は重合体マトリックスを含む被覆を含み得る。ある実施態様において、該重合体マトリックスは非崩壊性重合体を含み得る。ある実施態様において、該非崩壊性重合体は、第1重合体及び第2重合体を含む複数の重合体を含む。該被覆用溶液が1種のみの重合体を含むとき、それは、ここに記載される第1又は第2のどちらかの重合体であり得る。ここで用いる用語、「(メタ)アクリレート」は、重合体を記載するのに使用されるときは、メチル基を含む形(メタクリレート)又はメチル基の無い形(アクリレート)を意味する。
【0065】
本発明の第1重合体は、ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)及びポリ(芳香族(メタ)アクリレートからなる群から選択された重合体を含み得、ここで「(メタ)」は、当業者により、アクリル及び/又はメタクリル形(夫々、アクリレート及び/又はメタクリレートに対応する)のどちらかの分子を含むと理解されるであろう。模範的な第1重合体はポリ(n−ブチルメタクリレート)(pBMA)である。そのような重合体は、例えばAldrichから商業的に入手可能であり、約200,000〜約320,000ダルトンの分子量、様々な固有粘度、溶解度、及び型(例えば、結晶又は粉のような)を持つ。幾つかの実施態様において、ポリ(n−ブチルメタクリレート)(pBMA)は、約200,000〜約320,000ダルトンの分子量を持つものが使用される。
【0066】
適切な第1重合体の例はまた、ポリ(アリール(メタ)アクリレート)、ポリ(アラルキル(メタ)アクリレート)、及びポリ(アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート)からなる群から選択された重合体を含む。そのような用語は、少なくとも1つの炭素鎖と少なくとも1つの芳香族環が、アクリル性基、典型的にはエステル、と結合し(combined)組成(composition)を提供している重合体構造を記載するのに用いられる。特に、模範的な重合体構造は、6〜16個の炭素原子を持つアリール基を持ち、重量平均分子量が約50〜約900キロダルトンであるものを含む。
適切なポリ(アラルキル(メタ)アクリレート)、ポリ(アリールアルキル(メタ)アクリレート)、又はポリ(アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート)は、芳香族付加部分(moieties)をも含むアルコールから誘導された芳香族エステルから作られ得る。
【0067】
ポリ(アリール(メタ)アクリレート)の例は、ポリ(9−アントラセニルメタクリレート)、ポリ(クロロフェニルアクリレート)、ポリ(メタクリロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン)、ポリ(メタクリロキシベンゾトリアゾール)、ポリ(ナフチルアクリレート)及び−メタクリレート)、ポリ(4−ニトロフェニルアクリレート)、ポリ(ペンタクロロ(ブロモ、フルオロ)アクリレート及び−メタクリレート)、及びポリ(フェニルアクリレート)及び−メタクリレート)を含む。ポリ(アラルキル(メタ)アクリレート)の例は、ポリ(ベンジルアクリレート)及び−メタクリレート)、ポリ(2−フェネチルアクリレート)及び−メタクリレート、及びポリ(1−ピレニルメチルメタクリレート)を含む。ポリ(アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート)の例は、ポリ(フェノキシエチルアクリレート)及び−メタクリレート)、及び、様々な分子量のポリエチレングリコールによる、ポリ(ポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリレート)及び−メタクリレート、を含む。
【0068】
適切な第2重合体の例は商業的に入手可能であり、酢酸ビニル濃度が約10%〜約50%(12%、14%、18%、25%、33%版が商業的に入手可能)であり、ビーズ、ペレット、粒状等の形である、ポリ(エチレン−共−酢酸ビニル))(pEVA)を含む。より低いパーセントの酢酸ビニルを含む該pEVA共重合体は、典型的な溶媒に増加的に不溶性になり、一方、より高いパーセントの酢酸ビニルを含むものは減少的に耐久性となる。
【0069】
模範的な重合体混合物は、pBMAとpEVAの混合物を含む。この重合体混合物は、約0.25〜約99重量%の絶対重合体濃度(即ち、該被覆材料中の両方の重合体の全組合せ濃度)で使用され得る。この混合物はまた、個々の重合体の該被覆溶液中濃度を約0.005〜約99重量%として使用され得る。1実施態様において、該重合体混合物は、100〜900キロダルトンの分子量を持つpBMAと、酢酸ビニル含有量が24〜36重量%であるpEVAを含む。1実施態様において、該重合体混合物は、200〜300キロダルトンの分子量を持つpBMAと、酢酸ビニル含有量が24〜36重量%であるpEVAを含む。該被覆用混合物中に溶解又は懸濁している活性薬剤の濃度は、該最終被覆用材料の重量を基準として0.01〜99重量%の範囲であり得る。
【0070】
第2重合体はまた、(i)ポリ(アルキレン−共−アルキル(メタ)アクリレート、(ii)他のアルキレンとのエチレン共重合体、(iii )ポリブテン、(iv)ジオレフィン誘導(diolefin derived)非芳香族重合体及び共重合体、(v)芳香族基含有共重合体、及び(vi)エピクロロヒドリン含有重合体、からなる群から選ばれた1種又はより多種の重合体を含み得る。
【0071】
ポリ(アルキレン−共−アルキル(メタ)アクリレート)は、アルキル基が直鎖又は枝分かれであり、そして非干渉性の基又は原子で置換されもしくは非置換である、共重合体を含む。そのようなアルキル基は、1〜8個の炭素原子を含み得る。そのようなアルキル基は、1〜4個の炭素原子を含み得る。ある実施態様において、害アルキル基はメチルである。幾つかの実施態様において、そのようなアルキル基を含む共重合体は、約15〜約80重量%のアルキルアクリレートを含み得る。該アルキル基がメチルのとき、該重合体は、ある実施態様において約20〜約40%のメチルアクリレートを含み、ある特別な実施態様において約25〜約30%のメチルアクリレートを含む。該アルキル基がエチルのとき、該重合体は、ある実施態様において約15〜約40%のエチルアクリレートを含み、そして、該アルキル基がブチルのとき、該重合体は、ある実施態様において約20〜約40%のブチルアクリレートを含む。
あるいは、第2重合体は、他のアルキレンとのエチレン共重合体を含み得、該アルキレンは置換又は非置換のもののみならず直鎖又は枝分かれのアルキレンを含み得る。例は、3〜8個の枝分かれ又は直鎖の炭素原子を含むアルキレンから調製された共重合体を含む。ある実施態様において、共重合体は3〜4個の枝分かれ又は直鎖の炭素原子を含むアルキレン基から調製される。ある特別の実施態様において、共重合体は3個の炭素原子を含むアルキレン基(例えば、プロペン)から調製される。例として、該他のアルキレンは直鎖アルキレン(例えば、1−アルキレン)である。このタイプの模範的な共重合体は、約20%〜約90%(モル基準)のエチレンを含む。そのような共重合体は、約30〜約500キロダルトンの分子量を持つであろう。模範的な共重合体は、ポリ(エチレン−共−プロピレン)、ポリ(エチレン−共−1−ブテン)、ポリ(エチレン−共−1−ブテン−共−1−ヘキセン)及び/又はポリ(エチレン−共−1−オクテン)からなる群から選ばれる。
【0072】
「ポリブテン」は、イソブチレン、1−ブテン及び/又は2−ブテンを単独重合又はランダム共重合することにより誘導される重合体を含む。該ポリブテンは、任意の異性体の単独重合体であり得、又、任意の該モノマーの任意の比率での共重合体又は三元共重合体であり得る。ある実施態様において、該ポリブテンは、少なくとも約90重量%のイソブチレン又は1−ブテンを含む。ある特別な実施態様において、該ポリブテンは、少なくとも約90重量%のイソブチレンを含む。該ポリブテンは、非干渉(non-interfering)量の他の成分又は添加物を含み得、例えば、1000ppmまでの抗酸化剤(例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−メチルフェノール)を含み得る。例として、該ポリブテンは、約150〜約1000キロダルトンの分子量を持ち得る。ある実施態様において、該ポリブテンは、約200〜約600キロダルトンを持ち得る。ある特別な実施態様において、該ポリブテンは、約350〜約500キロダルトンを持ち得る。約600キロダルトンより大きい分子量を持つポリブテン、1000キロダルトンより大きいものを含む、は、入手可能であるが、取り扱うのがより困難と思われる。
【0073】
更なる代わりの第2重合体は、ジオレフィン誘導非芳香族重合体又は共重合体を含み、それらは、該重合体又は共重合体を調製するのに使用されるジオレフィンモノマーが、ブタジエン(CH=CH−CH=CH)及び/又はイソプレン(CH=CH−C(CH)=CH)から選択されるものを含む。ある実施態様において、該重合体は、ジオレフィンモノマーから誘導される単独重合体又はジオレフィンモノマーと非芳香族モノオレフィンモノマーとの共重合体であり、所望により、該単独重合体又は共重合体は1部水素化され得る。そのような重合体は、シス−、トランス−及び/又は1、2−モノマー単位、又は3種モノマー全部の混合物、の重合により調製されるポリブタジエン、及びシス−1、4−及び/又はトランス−1、4−モノマー単位の重合により調製されるポリイソプレン、からなる群から選択され得る。或いは、該重合体は、アクリロニトリルのような非芳香族モノオレフィンモノマー、及びアルキル(メタ)アクリレート及び/又はイソブチレン、を基材とする共重合体、グラフト共重合体及びランダム共重合体を含む、である。ある実施態様において、該モノオレフィンモノマーがアクリロニトリルであるとき、共重合されたアクリロニトリルは約50%までの量存在する;そして、該モノオレフィンモノマーがイソブチレンのとき、該ジオレフィンはイソプレンである(例えば、商業的に「ブチルゴム」として知られるものを形成するため)。模範的な重合体及び共重合体は約150〜約1000キロダルトンの分子量を持つ。ある実施態様において、重合体及び共重合体は、約200〜約600キロダルトンの分子量を持ち得る。
【0074】
更なる代わりの第2重合体は、芳香族基含有共重合体を含み、それらはランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体を含む。ある実施態様において、該芳香族基はスチレンの重合により該共重合体中に包含される。ある特別な実施態様において、該ランダム共重合体はスチレンモノマーと、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、C−Cアルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチルメタクリレート)及び/又はブテンから選ばれる1種又はより多種のモノマー、との共重合から誘導される共重合体である。有用なブロック共重合体は、(a)ポリスチレンのブロック、(b)ポリブタジエン、ポリイソプレン及び/又はポリブテン(例えば、イソブチレン)から選ばれるポリオレフィンのブロック、及び(c)所望により、該ポリオレフィンブロック中に共重合される第3モノマー(例えば、エチレン)、を含む共重合体を含む。該芳香族基含有共重合体は、約10〜約50重量%の重合された芳香族モノマーを含み、該共重合体の分子量は約300〜約500キロダルトンである。ある実施態様において、該共重合体の分子量は約100〜約300キロダルトンである。
【0075】
更なる代わりの第2重合体は、エピクロロヒドリン単独重合体及びポリ(エピクロロヒドリン−共−アルキレンオキシド)共重合体を含む。ある実施態様において、該共重合体の場合、共重合されるアルキレンオキシドはエチレンオキシドである。例として、エピクロロヒドリン含有重合体のエピクロロヒドリン含有量は約30〜約100重量%である。ある実施態様において、エピクロロヒドリン含有量は約50〜約100重量%である。ある実施態様において、エピクロロヒドリン含有共重合体は、約100〜約300キロダルトンの分子量を持つ。
【0076】
非崩壊性重合体はまた、引用により全部が本文に含まれる、米国公開出願第2007/0026037号、名称「制御された活性薬剤放出又は血液相溶性(hemocompatibility)のための装置、物品、被覆、及び方法」に記載されているものを含み得る。具体例として、非崩壊性重合体は、ブチルメタクリレート−共−アクリルアミド−メチル−プロパン スルホネート(BMA−AMPS)のランダム共重合体を含み得る。幾つかの実施態様において、該ランダム共重合体は、AMPSを約0.5〜約40モル%の量で含み得る。
【0077】
支持体
本発明の実施態様は様々なタイプの支持体と共に使用されえると認識されるであろう。模範的な支持体は、金属、重合体、セラミックス、及び天然材料を含み得る。金属は次のものを含むが限定はされない:コバルト、クロム、ニッケル、チタン、タンタル、イリジウム、タングステン、及び、ステンレススチール、ニチノール(nitinol)、又はコバルトクロミウムのような合金。適切な金属は又、金、銀、銅、白金のような貴金属、及びそれらを含む合金、を含み得る。
【0078】
支持体重合体は、付加もしくは縮合重合から得られる、オリゴマー、単独重合体、共重合体を含む合成重合体、から形成されたものを含む。例は次のものを含むが限定はされない:メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、グリセリルアクリレート、グリセリルメタクリレート、メタクリルアミド、及びアクリルアミドから重合されたもののようなアクリル樹脂(acrylics);エチレン、プロピレン、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、及びビニリデンジフルオリドのようなビニル樹脂(vinyls)、次のものを含むが限定はされない縮合重合体、即ち、ポリカプロラクタム、ポリラウリルラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、及びポリヘキサメチレンドデカンジアミドのようなポリアミド、そして又ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリシロキサン(シリコーン)、セルロース、及びポリエーテルエーテルケトン。
【0079】
本発明の実施態様はまた、支持体としてのセラミックスの使用を含み得る。セラミックスは、ガラス、シリカ、及びサファイアのみならず、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、及びアルミナを含み得るが、限定はされない。
【0080】
ある種の天然材料もまた、幾つかの実施態様において使用され得、それらは骨、軟骨、皮膚、及びほうろう質のような、装置の部材として使用される場合の、ヒト組織;及び他の、木材、セルロース、圧縮炭素(compressed carbon)、ゴム、絹、羊毛、及び木綿、を含む。支持体は又、樹脂、多糖類、ケイ素もしくはシリカを基材とする材料、ガラス、フィルム、ゲル、及び膜、を含み得る。
【0081】
医用装置
本発明の実施態様は、次のインプラント、又は1時的インプラントが可能な装置を含み得るが、限定はされない:血管用装置、例えばグラフト(例えば、腹部大動脈動脈瘤グラフト、等)、ステント(例えば、典型的にはニチノールで作られる自己拡張ステント、典型的にはステンレススチールで作られるバルーン拡張ステント、崩壊性冠状動脈ステント、等)、カテーテル(動脈、静脈、血圧、ステントグラフト、等を含む)、弁(例えば、重合体又は炭素の機械的弁、組織弁、経皮、ソーイングカフ(sewing-cuff)、を含む弁デザイン、及び類似物)、塞栓保護フィルター(末梢保護装置を含む)、大動脈フィルター、動脈瘤排除(exclusion)装置、人工心臓、心臓ジャケット、及び心臓補助装置(左心室補助装置を含む)、インプラント可能な除細動器、電気刺激装置、誘導装置(leads)(ペースメーカー、誘導アダプター、及び誘導コネクターを含む)、インプラント医用装置動力供給器(例えば、電池、等)、末梢心臓血管装置、心房中隔欠陥閉鎖、左心房心耳フィルター、弁輪形成装置(例えば、弁輪形成リング)、僧帽弁修理装置、血管インターベンション装置、心室補助ポンプ、及び血管補助装置(非経口摂取カテーテル、血管アクセスポート、中心静脈アクセスカテーテル);
【0082】
外科用装置、例えば全てのタイプの縫合糸、ステープル、吻合装置(吻合閉鎖を含む)、縫合アンカー、止血バリアー、ねじ、板、クリップ、血管インプラント、組織スキャホールド、脳脊髄液(cerebrospinal fluid)シャント(shunts)、水頭症シャント、排液管、胸部胸腔吸引排液カテーテル、膿瘍排液カテーテルを含むカテーテル、胆汁排液製品(products)、及びインプラント可能なポンプ;整形外科用装置、例えば結合(joint)インプラント、寛骨臼盃状窩、膝蓋骨ボタン(buttons)、骨修理/強化用装置、脊髄装置(例えば、椎骨ディスク、及び類似物)、骨ピン(pins)、軟骨修理装置、及び人口腱;歯科用装置、例えば歯科インプラント及び歯科骨折修理装置;薬物送達装置、例えば薬物送達ポンプ、インプラント薬物注入管、薬物注入カテーテル、及び硝子体内薬物送達装置;眼科用装置、例えば眼窩インプラント、緑内障排液シャント及び眼球内レンズ;
【0083】
泌尿器科用装置、例えばペニス装置(例えば、インポテンスインプラント)、括約筋、尿道、前立腺、及び膀胱装置(例えば、失禁装置、前立腺肥大管理装置、膀胱ガンインプラント、等)、尿カテーテル、及び腎臓装置;乳房プロステーシス(prosthesis)のような合成プロステーシス及び人工臓器(例えば、膵臓、肝臓、肺、心臓、等);肺カテーテルを含む呼吸器科用装置;神経科用装置、例えば神経刺激装置、神経カテーテル、神経血管バルーンカテーテル、神経動脈瘤治療コイル、及び神経パッチ(patches);耳、鼻及び喉装置、例えば鼻ボタン、鼻及び空気通路副子(splints)、鼻タンポン、耳芯、耳排液管、鼓膜切開通気孔管、耳ストリップ、喉頭摘出管、食道管、食道ステント、喉頭ステント、唾液バイパス管、及び気管切開管;グルコースセンサー、心臓センサー、動脈内血液ガスセンサーを含むバイオセンサー;腫瘍インプラント;及び痛み管理インプラント。
【0084】
幾つかの態様において、本発明の実施態様は、眼科用装置を含み又はそれらと組み合わせて使用され得る。これらの態様による適切な眼科用装置は、眼の如何なる望ましい領域へも生活性薬剤を供給し得る。幾つかの態様において、該装置は、眼の前部セグメント(レンズの前)、及び/又は後部セグメント(レンズの後)に生活性薬剤を送達するのに使用され得る。適切な眼科装置は、望まれるならば、眼に近い組織に生活性薬剤を送達するのに使用され得る。
幾つかの態様において、本発明の実施態様は、眼の外部又は内部領域に位置するために形作られた眼科用装置と組み合わせて使用され得る。適切な外部装置は生活性薬剤の局部的投与のために形作られ得る。そのような外部装置は、例えば角膜(例えば、コンタクトレンズ)又は眼球結膜のような眼の外部表面に存在し得る。幾つかの態様において、適切な外部装置は眼の外部表面の近くに存在し得る。
【0085】
眼の内部領域に置かれるために形作られた装置は、眼の任意の望ましい領域に存在し得る。幾つかの態様において、本発明の眼科用装置は、硝子体のような眼の内部領域に置かれるために形作られ得る。眼の内部の装置の例は次の文献に記載されたものを含むが、限定はされない:米国特許第6,719,750号B2(「眼内部薬物送達のための装置」、Varner他)及び第5,466,233号(「眼内部薬物送達のためのタック及びそれを装入及び取り出すための方法」、Weiner他);米国特許公開第005/0019341号A1(「制御放出生活性薬剤送達装置」、Anderson他)、第2004/0133155号A1(「眼内部薬物送達のための装置」、Varner他)、第2005/0059956号A1(「眼内部薬物送達のための装置」、Varner他)、及び第2003/0014036号A1(「眼内部薬物送達のための貯蔵装置」、Varner他);及び米国特許出願第11/204、195号(出願2005年8月15日、Anderson他)、第11/204,271号(出願2005年8月15日、Anderson他)、第11/203,981号(出願2005年8月15日、Anderson他)、第11/203,879号(出願2005年8月15日、Anderson他)、第11/203,931号(出願2005年8月15日、Anderson他);及び関連出願。
【0086】
幾つかの態様において、眼科用装置は、眼の中の網膜下領域に置かれるために形作られ得る。網膜下適用のための眼科用装置の例は次の文献に記載されたものを含むが、限定はされない:米国特許公開第2005/0143363号(「ステロイドを含む治療薬の網膜下投与のための方法;脈絡膜及び網膜における薬力学的作用を制限するための関連方法」、de Juan他);米国特許出願第11/175,850号(「眼の状態の治療のための方法及び装置」、de Juan他);及び関連出願。
適切な眼科用装置は、眼の任意の望ましい組織内に置かれるように形作られ得る。例えば、眼科用装置は、緑内障排液装置のような、強膜外ではあるが結膜下に位置する装置のように、眼の結膜下領域内に置かれるために形作られ得る。
【0087】
本発明の実施態様はまた、支持体無しに使用され得ると認識されるであろう。例として、実施態様は、支持体を含まないフィラメント又は他の形状の形でその中に堆積された核酸送達複合体を有するマトリックスを含み得る。
本発明は、次の実施例を参照することによりよく理解され得る。これらの実施例は、本発明の特定の実施態様代表であることを意図しており、本発明の範囲を限定するように意図されてはいない。
【実施例】
【0088】
実施例1:MD−ヘキサノエートマクロマー(macromer)の調製
4g部の乾燥マルトデキストリン(MO40,Grain Processing Corporation、Muscatine、Iowaから)が攪拌下40mlのジメチルスルホキシド中に溶解された。溶液が完成したとき、9.48g(0.12モル、9.16ml)の1−メチルイミダゾール、次いで24.63g(0.12モル、26.6ml)の無水カプロン酸が、攪拌下室温で添加された。該反応溶液は1時間攪拌され、次いでWaringブレンダー中で750mlの脱イオン水にゆっくり添加された。沈殿した固体はろ過により集められ、1Lの脱イオン水中に再懸濁され、そして1時間攪拌された。得られた固体はタフィー様(taffy-like)であり、ろ過により集められ真空乾燥された。7.18gの白色固体が得られた。理論置換度(DS)は2.5であった。
【0089】
実施例2:マルトデキストリン−メタクリレートマクロマー(MD−メタクリレート)の調製
マルトデキストリン(100g;33.3mモル;デキストローズ等量:4.0−7.0;Sigma Aldrich,Milwaukee,WI)が攪拌下1,000mlのジメチルスルホキシド(DEMSO)中に溶解された。該マルトデキストリンのサイズは、2,000−4,000ダルトンの範囲にあると計算された。該反応溶液の完成後、1.86g(22.65mモル)の1−メチルイミダゾール(Sigma−Aldrich,Milwaukee,WI)次いで3.49g(22.65mモル)のメタクリル酸無水物(Sigma−Aldrich,Milwaukee,WI)、又は1.16g(14.18mモル)の1−メチルイミダゾール次いで2.19g(14.18mモル)のメタクリル酸無水物、が攪拌下、該反応溶液の分割部分に添加された。これら2つの手順で生産されたMD−メタクリレートは、夫々、0.4又は0.2の理論置換度(DS)を持っていた。該反応混合物は室温で更に1時間攪拌された。この時間の後、該反応混合物は水クエンチにより冷却され、1、000MWCO透析管を用いてDI水に対して(against)透析された。該MD−メタクリレートは凍結乾燥により遊離された。NMRによる測定により、2個のMD−メタクリレート高分子上のメタクリレートの実積載量(actual load)は、0.402(DS=0.4)及び0.213(DS=0.2)μモル/mgであった。
【0090】
実施例3:核酸送達複合体形成
DNA−PEI核酸送達複合体は、公表された方法(Boussif、O.他「A versatile vector for gene and oligomucleotide transfer into cells in culture and in vivo:ポリエチレンイミン。”Proceedings National Academy of Sciences。92.16(August 1995):7297−7301.)に基づき製造(fabricate)された。手短に言えば、1mlの水性DNAが等量のPEI(枝分かれポリエチレンイミン25kDa、Sigma−Aldrich,St.Louis,MOから入手)水溶液に添加され、混合物は室温で30秒間渦処理され(vortexed)、窒素対リン酸エステル(phosphate)(N/P)比15(PEI中の第1アミンの数とDNA中のリン酸エステル基(phosphate group)の数に基づき計算される)とした(to produce)。核酸送達複合体の多数バッチが一緒にされ、全DNA含有量が260nmでのUV−VISにより測定された。
【0091】
実施例4:核酸送達複合体溶液の濃度
核酸送達複合体の水溶液が、上記実施例3に記載されたように調製された。該溶液はおよそ0.05mgDNA/mlの濃度を持つと見積もられた。該溶液は次いで、10K Mwカットオフ(cut-off)のMicrosepろ過器を用いた連続遠心ろ過により、約1.6mg/mlDNAまで濃縮された。該濃縮溶液は、目視により、核酸送達複合体の凝集が実質的に無いことが観察された。
【0092】
実施例5:核酸送達複合体による被覆の形成
第1重合体溶液が、「PA」(OctoPlus,Cambridge,MAから入手のポリ(ブチレンテレフタレート−共−エチレングリコール)共重合体であって、80重量%の、平均分子量が1000kDであるポリエチレングリコール(1000PEG80PBT20)と20重量%のブチレンテレフタレートからなる)を「PEVA](Sigma Aldrich、St.Louis,MOから入手の、33重量%酢酸ビニルであるポリ(エチレン−共−酢酸ビニル))及び「PBMA](Sigma Aldrich、St.Louis,MOから入手の、ポリ(n−ブチルメタクリレート)337kD)と、全固体濃度が3.2mg/mlとなるようにクロロホルムの溶媒中で一緒にすることにより形成された(37.5%PA,31.25%PEVA、及び31.25%PBMA)。
【0093】
第2重合体溶液が、MD−ヘキサノエート(実施例1で形成された)を、PEVA及びPBMAと、全固体濃度が3.2mg/mlとなるようにクロロホルムの溶媒中で一緒にすることにより形成された(37.5%MD−ヘキサノエート,31.25%PEVA、及び31.25%PBMA)。
【0094】
含有被覆が、次いで、米国公開特許出願2005/0019371に記載されたようにして、金属コイル上に堆積された。米国公開特許出願2007/0128343に記載されたようなスプレー装置が、およそ3%の相対湿度の環境下で、上記実施例4に記載されたようにして形成された濃縮核酸送達複合体溶液と、該第1(n=4コイル)又は第2(n=4コイル)重合体溶液、とを同時に堆積するのに使用された。具体的には、該濃縮核酸送達複合体溶液は、第1超音波スプレーヘッドから約0.015mls/minの速度で適用され、一方該第1又は第2重合体溶液は、第2超音波スプレーヘッドから約0.03mls/minの速度で適用された。該第1セットのコイル(1、2、3及び4)は20重量%DNA/PEI、30重量%PA、25重量%PEVA、及び25重量%PBMAの固体組成を持っていた。該第2セットのコイル(5、6、7及び8)は20重量%DNA/PEI、30重量%MD−ヘキサノエート、25重量%PEVA、及び25重量%PBMAの固体組成を持っていた。全固体(DNA/PEIを含む)及びDNAのみ、の量は下記表1に要約される。
【0095】
【表1】

【0096】
該被覆コイルは、次いで室温下で乾燥された。目視で平滑な相似被覆であることが分かった。該被覆コイルは、走査電子顕微鏡(SEM)及びラマン分光分析により検査された。SEM分析で、該コイルは、くぼみ(dimple)パターンにおける3〜5umの寸法造作(size feature)により特徴付けられる粗さ(roughness)を持つように見える均一な表面を持つことが分かった。図1は、500倍拡大による、MD−ヘキサノエート/PEVA/PBMA/PEI-DNA被覆、の走査電子顕微鏡像を示す。
ラマン分光分析により、該核酸送達複合体は該被覆中に分散されていることが分かった。一般に、PEI及びDNAは低いくぼみ領域に集中しており、一方MD−ヘキサノエート/PEVA/PBMAは、該被覆の、より高い、盛り上がった(raised)領域に集中している。同様に、ラマン分光分析は、PA/PEVA/PBMAが、該被覆の、より高い、盛り上がった領域に集中していることを示す。
【0097】
該被覆コイルからの該核酸送達複合体の溶出が、次いで評価された。具体的には、該コイルは、37℃で、200μlの、無菌で、RNase/DNaseを含まない水中に置かれた。溶出物は、最初の4日間及び7日目と14日目に24時間毎にサンプリングされた。DNA濃度は、260nmでのUV−VIS吸収により測定された。溶出試験の結果は下記の表2及び図2に示される。
【0098】
【表2】

【0099】
実施例6:コイルから放出された核酸送達複合体の活性
核酸送達複合体含有被覆が、上記実施例5に記載された手順により4個のコイルに適用された。該被覆は、20重量%DNA/PEI、30重量%MD−ヘキサノエート、25重量%PEVA、及び25重量%PBMAの固体含有量を含んでいた。
該核酸送達複合体は、次いで、溶出媒体中に溶出された。特に、該複数のコイルは、無菌条件下に、別々に、200ulのEMEN(Gibco/Invitrogen,Carlsbad,CAからの無血清媒体)中に置かれ、37℃で48時間培養された。該溶出物は次いで引き出され、HEK293ヒト腎臓上皮細胞(American Type culture Collection(ATCC,Manassas,VA)から入手)をトランスフェクトするのに使用された。具体的には、細胞は10%FBS血清の存在下で24時間トランスフェクトされ、トランスフェクト効率は、3日間培養後、トランスフェクトされた細胞中のGFP(緑色蛍光タンパク質)の生成を観察するための蛍光顕微鏡の下での細胞をイメージングすることにより評価された。(例えば、図3参照)蛍光は、該トランスフェクトされた細胞中に観察され、該核酸送達複合体の活性が上記の被覆及び溶出ノプロセスを通して維持されたことを示す。
【0100】
実施例7:メタクリレート改質デンプンの、DNA/PEA複合体溶出制御についての、濃度及び架橋密度の効果
DNAは、標識キット(Cy3 DNA標識キット、Mirus Bio、Madison、WI)製造者の指示に従いCy3で標識された。PEI/DNA複合体は、N/P比5で、100mg/mlDNAの水中で形成された。MD−メタクリレート(DS=0.2又は0.4、上記実施例2から)は、500又は1000mg/mlの濃度で、100μlのポリプレックス中に溶解された。50mg/mlでメタノール中に溶解されたIrgacure(Irgacure819DW、Ciba Sprcialty Chemicals、Tarrytown、NY)は、1:10でMD−メタクリレート溶液に希釈され、得られた溶液は内径0.0625インチのシリコーン管中に置かれた。溶液は次いで、324nm超透過フィルターを持つUV光源(Bluewave200、Dymax、Torrington、CT)に2分間暴露され、10μgのDNAを含有する架橋フィラメントを形成した。フィラメントは4等分に切られ、0.5mlの無菌リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中に置かれた。PBSは、特定された時点で置換され、除去されたPBS中のCy3濃度が、適切なフィルターを持つ蛍光板リーダー(reader)を用いて測定された。溶出されたポリプレックスの量は、連続したPBS中の希釈により生成した(generated)PEI/DNA複合体の標準曲線との比較により決定された。
【0101】
図4に示されたように、ポリプレックスの溶出速度はメタクリレート改質の程度(例えば、重合体上の架橋可能な基の数を変える)、又はマルトデキストリンの濃度(例えば、該重合体溶液中の重合体の濃度を変える)により制御可能である。ポリプレックスの最高速溶出は、メタクリレート置換度0.2のマルトデキストリンを用い500mg/mlで調製したフィラメントから見られた(図5中の菱形)。264時間で、ポリプレックス当初充填量2.5μg/フィラメント、の約80%がこれらフィラメントから放出された。ポリプレックスの最低速溶出は、メタクリレート置換度0.4のマルトデキストリンを用い1000mg/mlで調製したフィラメントから見られ(図5の×)、一方、ポリプレックスの中間速溶出は、低いDSで高いマルトデキストリン濃度のもの(四角)、又は高いDSで低い濃度のもの(三角)、で見られた。
【0102】
実施例8:カチオン性重合体の複合体、及びメタクリレート改質デンプントランスフェクト細胞の架橋フィラメントから放出されたDNA
PEI/DNA及びポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー/DNAの複合体は、DNA濃度10μg/mlの水中で形成された。具体的には、300μgのDNA(gWizルシフェラーゼ、Aldevron、Fargo、ND)が15mlの水に溶解された。PEI又はPAMAMデンドリマー(Sigma、St.Leuis、MO、Generation5、エチレンジアミン コア)は、夫々900μg/ml又は1050μg/mlで水中に溶解された。重合体溶液はDNAと一緒にされ、渦処理され、そして10分間培養されて複合体を形成した。
【0103】
溶液は次いで、真空下の遠心分離により、1mg/mlDNAまで、100倍濃縮された。MD−メタクリレート(DS=0.4、上記実施例2から)は1000mg/mlで水に溶解された。エチレンビス(4−ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウム)ジブロマイド、米国特許第5,714,360号の実施例2に記載されたようにして調製、は、5mg/mlで水に溶解された。60μlの複合体が、60μlのMD−メタクリレート及び12μlのエチレンビス(4−ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウム)ジブロマイド溶液と一緒にされ、そして内径0.0625インチのシリコーン管中に移送された。
【0104】
溶液は次いで、324nm超透過フィルターを持つUV光源(Bluewave200、Dymax、Torrington、CT)に1分間暴露され、60μgのDNAを含有する架橋フィラメントを形成した。これらのフィラメントは、各々が約10μgの複合されたDNAを含有する6部分に切断された。切断物は、10%FSBを含む500μlの媒体中に1x10のHEK−293細胞を含む24穴(well)板中に置かれた。対照として、1μgのPEI及びPAMAM DNA複合体が細胞に添加され、又は細胞は未処理のままにされた。フィラメントは細胞と共に48時間培養された。フィラメントと媒体とは、次いで除去され、そして200μlの細胞培養溶解試薬(CCLR、Promega、Madison、WI)中で溶解された(lysed)。20μlの細胞溶解物が、100μlのPromegaルシフェラーゼアッセイ試薬を持つ白色96穴板中に一緒にされ、細胞中のルシフェラーゼ発現を測定するため読まれた(read)。
図5に示されるように、ルシフェラーゼ発現は、PEI及びPAMAMの両方により複合化されたDNAを含む架橋フィラメントに暴露された細胞中に観察された。この実施例は、調製された複合体の活性が架橋化プロセスの間維持されることを示す。
【0105】
この明細書及び付帯請求項に用いられる単数形「1つの」及び「該」は、別途明確に規定されない限り複数物を含むことが注意されねばならない。かくて、例えば、「1つの化合物」を含む組成物の引用は2つ又はより多数の化合物の混合物を含む。用語「又は」は、別途明確に規定されない限り、「及び/又は」を含む意味で一般に使用される。
この明細書及び請求項に用いられる語句「形作られた」は、システム、装置、又は特別な仕事を行い又は特別な形状をとるために構築され又は形作られる他の構造、を記述することがまた注意されねばならない。語句「形作られた」は、配置され且つ形作られた、構築され且つ配置された、構築された、製造され且つ配置された、のような他の同様な語句と互換して用いられ得る。
この明細書中の全ての刊行物及び特許出願は、当業者の技術水準を示す。全ての刊行物及び特許出願は、引用により、各々の刊行物又は特許出願が引用により具体的に且つ個々に示すと同様の程度でここに包含される。ここにおけるあらゆる記載は、発明者にはここに引用されたあらゆる刊行物及び/又は特許出願を含むあらゆる刊行物及び/又は特許出願に先行する権利が無いと認めるように解釈されるべきではない。
本発明は様々な具体的な及び好ましい実施態様及び技法と関連して記載された。しかし、本発明の本質及び範囲にある限り、多くの変形及び改質が成され得ると理解されるべきである。
【0106】
更なる実施態様
1実施態様に置いて、本発明は、支持体と該支持体の表面に堆積された被覆を含むインプラント可能な医用装置を含み、該被覆は重合体マトリックスと、該マトリックス中に堆積された複数の分散核酸送達複合体を含み、該核酸送達複合体は核酸と、該核酸に複合されたキャリヤー剤を含み、該核酸送達複合体は約1ミクロンより小さい平均大きさを含み、該被覆は該核酸送達複合体をインビボで溶出するように形作られている。
【0107】
該インプラント可能な医用装置は、該核酸送達複合体の制御された溶出を提供するように形作られ得る。該被覆は、該支持体の表面に相似(conformal)であり得る。該重合体マトリックスは、親水性重合体を含み得る。該重合体マトリックスは、疎水性重合体を含み得る。該重合体マトリックスは、崩壊性重合体を含み得る。該重合体マトリックスは、耐久性重合体を含み得る。該キャリヤー剤は、ホスト細胞のトランスフェクションを容易にするのに効果的であり得る。該キャリヤー剤は、該核酸の崩壊を防ぐように形作られる。該キャリヤー剤は、正味の正の電荷を持ち得る。該キャリヤー剤は、カチオン性重合体であり得る。該キャリヤー剤は、ポリエチレンイミンを含み得る。該キャリヤー剤は、カチオン性脂質であり得る。該核酸は、RNA,DNA,siRNA,miRNA,piRNA,shRNA、アンチセンス核酸、アプタマー、リボザイム及び触媒活性DNAからなる群から選択され得る。
【0108】
1実施態様に置いて、本発明は、重合体マトリックスと、該重合体マトリックス中に堆積された複数の分散核酸送達複合体を含むインプラント可能な医用装置を含み得、該核酸送達複合体は核酸とキャリヤー剤を含む;該マトリックスは、該核酸送達複合体をインビボで溶出するように形作られている。
【0109】
1実施態様に置いて、本発明は、医用装置を作る方法を含み得、該方法は、核酸をキャリヤー剤と複合して核酸送達複合体を含む送達複合体溶液を形成し、該送達複合体溶液の濃度を増加させ、該送達複合体溶液を支持体に適用し、そして該支持体に重合体溶液を適用する、ことを含む。該重合体溶液の該支持体への適用は、該送達複合体を支持体に適用するのと同時に行われ得る。該送達複合体溶液の支持体への適用は、該支持体上に該送達複合体溶液をスプレーすることを含み得る。該重合体溶液の該支持体への適用は、該支持体上に該重合体溶液をスプレーすることを含み得る。該送達複合体溶液の濃度の増加は、溶媒を除去するが該核酸送達複合体の凝集を防ぐことを含み得る。
【0110】
1実施態様に置いて、本発明は、医用装置を作る方法を含み得、該方法は、核酸をキャリヤー剤と複合して核酸送達複合体を形成し、そして該核酸送達複合体を重合体溶液及び架橋剤と一緒にし、その場合該架橋剤は正に荷電しているか又は電荷中性である。1実施態様に置いて、本発明は、該架橋剤を化学線で活性化することを含み得る。1実施態様に置いて、該化学線は、360nm又はより長い波長のUV光を含み得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用装置を作る方法であって、該方法は、核酸をキャリヤー剤と複合して核酸送達複合体を含む送達複合体溶液を形成し;
該送達複合体溶液を支持体に適用し;そして
重合体溶液を該支持体に適用する、ことを含む方法。
【請求項2】
更に、該送達複合体溶液の濃度を、該核酸を該キャリヤー剤と複合した後で且つ該送達複合体溶液を該支持体に適用する前における核酸が少なくとも約1mg/mlとなるまで増加させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該送達複合体溶液の濃度を増加させることが、溶媒を除去するが該核酸送達複合体の凝集は防ぐこと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該送達複合体溶液を該支持体に適用することが、該送達複合体溶液を該支持体上にスプレーすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該重合体溶液を該支持体に適用することが、該重合体溶液を該支持体上にスプレーすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該重合体溶液を該支持体に適用することが、該送達複合体溶液を該支持体上に適用することと同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該重合体溶液が第1スプレーヘッドから該支持体上にスプレーされ、そして該送達複合体溶液が第2スプレーヘッドから該支持体上にスプレーされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該キャリヤー剤が、核酸の細胞中への吸収を促進するのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該キャリヤー剤がカチオン性高分子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
該キャリヤー剤がカチオン性重合体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
該キャリヤー剤がポリエチレンイミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該キャリヤー剤がカチオン性脂質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
該キャリヤー剤がタンパク質伝達ドメインを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
該核酸が、RNA,DNA,miRNA,piRNA,shRNA、アンチセンス核酸、アプタマー、リボザイム及び触媒活性DNAからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
核酸がsiRNAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
該医用装置が、核酸送達複合体を2週間又はより長期間溶出するように形作られている、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
医用装置を作る方法であって、該方法は、
核酸をキャリヤー剤と複合して核酸送達複合体を形成し;
該核酸送達複合体を、重合体溶液及び架橋剤と一緒にし、その場合該架橋剤は正に荷電され又は電荷中性である、方法。
【請求項18】
該架橋剤を化学線で活性化すること、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該化学線が、核酸に損傷を与える波長を排除するようにフィルターされる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
該架橋剤が、エチレンビス(4−ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウム)ジブロマイドを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
該重合体溶液が、マルトデキストリンを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
該重合体溶液中の該重合体の濃度を変えることにより溶出速度を調節すること、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
該重合体溶液中の該重合体上の架橋可能な基の数を変えることにより溶出速度を調節すること、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
インプラント可能な医用装置であって、
支持体;及び
該支持体の表面上に堆積した被覆、該被覆は重合体マトリックス及び該重合体マトリックス中に堆積した複数の分散核酸送達複合体を含む、を含み、
該重合体マトリックスは崩壊性重合体及び非崩壊性重合体を含み、該核酸送達複合体は核酸と該核酸に複合されたキャリヤー剤を含み、該被覆はインビボで該核酸送達複合体を溶出するように形作られている、装置。
【請求項25】
該崩壊性重合体が、多糖類含有重合体を含む、請求項24に記載のインプラント可能な医用装置。
【請求項26】
該崩壊性重合体が、マルトデキストリンを含む、請求項24に記載のインプラント可能な医用装置。
【請求項27】
該非崩壊性重合体が、ポリエチレン−共−酢酸ビニル(PEVA)を含む、請求項24に記載のインプラント可能な医用装置。
【請求項28】
該非崩壊性重合体が、ポリエチレン−共−酢酸ビニル(PEVA)とポリ−n−ブチルメタクリレート(PBMA)との混合物を含む、請求項24に記載のインプラント可能な医用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−509944(P2011−509944A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542430(P2010−542430)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/030972
【国際公開番号】WO2009/091812
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(506112683)サーモディクス,インコーポレイティド (50)
【Fターム(参考)】