説明

根菜類の包装材及び包装体

【課題】長芋等の根菜類の包装材として、隔水や保湿性がよく、根菜類の形状や大きさの変化にも容易に対応できて、しかも緩衝性、特に長手方向落下等に対する緩衝性が良好で、出荷、輸送等に好適に使用できる包装材を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂シートから一体に成形され、根菜類Bを収容するための横断面半円形の長溝状の収納凹部1が形成された包装材Aで、収納凹部1を、長手方向の所定間隔毎に、凹部内方に膨出する同心半円状の凸条リブ3を設け、長手方向に蛇腹状なすものとし、収納凹部1の長手方向両端側の端縁部に、外箱Cに収納する際の当接用のフラップ5を裏面側へ折曲可能に連接し、フラップ5には、折曲状態において収納凹部1の長手方向端壁部1aと対向する部位に、該端壁部1aに当接する緩衝用の凸部7を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長芋や蓮根等の根菜類の輸送や保管の際に使用する包装材及び包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヤマノイモ科に属する山芋の一種である長芋、或いは蓮根等の長さが直径に比して長い根菜類の輸送や保管に際しては、緩衝、固定、吸水、保湿を主たる目的として、おが屑、木毛等の木質系天然素材が使用され、該素材とともに前記根菜類を段ボール箱内に収納して包装していた。
【0003】
近年においては、前記おが屑や木毛等の木質系天然素材は、使用後の分別廃棄作業の手間や処理コストの問題に加え、将来的な材料確保に懸念があることにより、前記素材を不要にできる代替材料や包装材が求められている。
【0004】
例えば、長芋用容器として、特許文献1や特許文献2のように、熱可塑性樹脂シートから形成される容器において、長芋を収納する長溝状の凹部を並設し、該凹部の底部に内方へ膨出した多数の突部を千鳥状に形成したもの、或いは幅方向に対し蛇腹状となる凹凸を形成したものが開示されている。
【0005】
しかし、前記いずれの容器の場合も、断面角凹形の凹部の底部に緩衝用の突部又は凹凸が設けられているだけであるため、横方向落下や斜め方向落下等において発生する衝撃に対しては緩衝効果が低く、収納されている長芋が折損する心配がある上、根菜類の大きさや形状のバラつきに対する対応性が低く、仮に溝幅よりもやや径小の根菜類を収納した場合には、安定性よく保持できず、輸送時の振動等により凹部内で揺動する虞がある。また、表面に生じる結露水等により根菜類が濡れ接触状態になると、根菜類を傷めるおそれがあるために、結露水等による濡れ接触面積をできるだけ少なくすることが望まれ、しかも保湿性を有することが望まれていた。
【0006】
そこで、根菜類の包装材として、根菜類を収容するための長溝状の収納凹部の形態として、長手方向の所定間隔毎に凹部内方に膨出する同心半円状の凸条リブを設けることにより蛇腹状にした包装材が提案された(特許文献3)。
【0007】
この場合、長芋や蓮根等の根菜類を安定性よく収納保持でき、緩衝性があって、しかも隔水や保湿性の効果もあり、根菜類の保護を良好になす上、根菜類の形状や大きさの変化にも容易に対応できるものではあるが、収納された長芋等の根菜類の長手方向の緩衝性については十分に満足できるものではない。例えば、根菜類の長手方向に沿う横向き落下の際に、根菜類の端部が収納凹部の端壁部につき当たって破損するおそれがある。
【特許文献1】実公昭58−36710号公報
【特許文献2】実公昭58−36715号公報
【特許文献3】実用新案登録第3137751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、長芋や蓮根等の根菜類の包装材における上記の問題を解決するためになしたものであり、根菜類の形状や大きさの変化にも容易に対応できて、しかも根菜類を安定性よく収納保持でき、隔水や保湿性も良好で、根菜類の保護を良好になす上、緩衝性、特に収納された根菜類の長手方向に沿う横向き落下等に対する緩衝性に優れ、根菜類の出荷、輸送用に好適に使用できる包装材を提供するものであり、さらに、該包装材を使用した包装体として根菜類を鮮度よく保持できる包装体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する本発明の根菜類の包装材は、熱可塑性樹脂シートから一体に成形され、前記根菜類を収容するための横断面半円形で長溝状の収納凹部が形成されてなり、前記収納凹部は、長手方向の所定間隔毎に凹部内方に膨出する同心半円状の凸条リブが形成されることにより長手方向に蛇腹状をなしており、前記収納凹部の長手方向両端側の端縁部に、外箱に収納する際の当接用のフラップが裏面側へ折曲可能に連接され、該フラップには、折曲状態において前記収納凹部の長手方向端壁部と対向する部位に、該端壁部に当接し得る緩衝用の凸部が設けられてなることを特徴とする。
【0010】
これにより、長芋や蓮根等の根菜類を安定性よく収納保持できて、この種の包装材に求められる緩衝性に優れ、また隔水や保湿性も良好で、根菜類の保護を良好になし、また、根菜類の形状や大きさの変化にも容易に対応できる。特に、本発明の場合は、収納凹部の長手方向両端側の端縁部に、外箱に収納する際の外箱側板との当接用のフラップが裏面側へ折曲可能に連接されているので、前記収納凹部に根菜類を収納して外箱内に入れて梱包する際、該フラップが外箱の側板に対し弾力的に当接することで該フラップが外箱との間のクッションの役目を果たし、包装材と外箱との寸法誤差を吸収でき、外箱内での包装材の遊動やガタ付きを防止でき、安定性良く梱包できる。
【0011】
その上、前記フラップには、前記折曲状態において前記収納凹部の長手方向端壁部と対向する部位に該端壁部に当接し得る緩衝用の凸部が設けられているので、前記端壁部が前記凸部により弾力的に支えられて、該端壁部に当接する根菜類に対し良好な緩衝性を発揮できる。例えば、収納凹部の長手方向の向きに落下した場合に、前記端壁部に当接する長芋等の根菜類の端部の衝撃を緩和でき、根菜類の端部破損等の損傷を防止できる。
【0012】
前記の根菜類の包装材において、前記フラップがシート平面部に対し直角もしくは直角に近い折曲状態において、前記緩衝用の凸部が前記収納凹部の長手方向端壁部に対し弾力的に当接し得るように設けられてなるものが好ましい。これにより、長手方向の衝撃吸収の効果を良好に保持できる。
【0013】
前記の包装材において、前記長溝状の収納凹部が複数並設され、隣接する両収納凹部の凸条リブが相互に互い違いの位置にあって、両収納凹部間の隔壁部が上端面において波形状をなしているものが好ましい。
【0014】
この場合、前記のように波形状をなす両収納凹部間の隔壁部は、凸状リブ同士及び凹条部同士が対応位置して並列している場合の隔壁部分に比して弾性変形し易くなり、これが収納凹部が蛇腹状なしていることとも相俟って、根菜類の形状や大きさ(長さや太さ)の変化にもさらに容易に対応できることになり、緩衝性も良好になる。また、隣接する両収納凹部の凸条リブが互い違いの位置にあることで、両収納凹部の凸条リブと凸条リブ間の凹条部とが対応することになって、隔壁部の上端面における最小幅が一定であれば、両凸状リブ同士及び凹条部同士が対応位置して並列する場合に比して、両収納凹部間の間隔が小さくなり、したがって包装材全体としての幅寸法が小さくできる。
【0015】
前記の包装材において、前記凸条リブが頂部に丸みのある断面三角状をなし、前記隔壁部の上端面が三角波形状をなしているものが好ましい。これにより、前記根菜類の凸条リブとの接触面積を小さくできて、結露水などが留まり難く、そのため根菜類の濡れ接触面積が減少し、根菜類がさらに損傷し難くなり、その保護を良好になし得る。
【0016】
熱可塑性樹脂シートが発泡シートであるのが、軽量でかつ緩衝性がさらに良好なものになる。
【0017】
また、本発明は、前記発明のいずれかの包装材を使用した根菜類の包装体として、前記包装材が前記収納凹部の長手方向両端側のフラップを裏面側に折曲した状態で外装用の外箱内に収容され、該包装材の各収納凹部に、フィルムにより密封包装した根菜類が収納されて包装されてなることを特徴とする。この包袋体においては、収納される根菜類をフイルムにより密封包装したことで、根菜類の鮮度低下を抑えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の包装材及び該包装材を使用した包装体によれば、長芋や蓮根等の根菜類を安定性よく収納保持できて、この種の包装材に求められる緩衝性、特には根菜類の長手方向の緩衝性に優れ、また隔水や保湿性も良好で、根菜類の保護を良好になし、また、根菜類の形状や大きさの変化にも容易に対応でき、根菜類の輸送、保管に良好に使用できる。
【0019】
さらに、本発明の包装体によれば、前記の包装材による効果とフィルムによる密封包装の効果とが相俟って、根菜類の鮮度保持、変色防止の効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明にかかる根菜類の包装材の実施例を示す平面図であり、図2は同包装材の一部の拡大斜視図、図3は図1のIII−III線の拡大断面図、図4は図3のIV−IV線の断面図、図5(a)(b)は隔壁部の説明図、図6は本発明を外箱にセットした使用状態の断面図である。図7は本発明の使用状態の他の例を示す略示平面図、図8は同上の断面図、図9は他の使用状態を示す一部の断面図である。
【0022】
この実施例の包装材Aは、主として長さが太さの直径に比して長い長芋や蓮根等の根菜類Bを包装するのに使用するもので、図に示すように、熱可塑性樹脂シートから、プレス成形や真空成形等のシート成形加工の手段により、シート平面に対し周縁部を平板状に残して凹設されることにより、前記根菜類Bを収容するための横断面半円形で長溝状の収納凹部1が所要の間隔をおいて複数並設されている。図の場合は、四つの収納凹部1が並設されている。図中の符号2は前記各収納凹部1,1間の隔壁部を示す。
【0023】
前記収納凹部1は、長手方向の所定間隔毎に内方側に膨出した同心半円状の凸条リブ3が設けられ、該凸条リブ3と、各凸状リブ間の凹条部4とにより収納凹部1の全体が長手方向に蛇腹状をなしている。
【0024】
前記凸条リブ3は、同心半円状をなすものであれば、収納凹部1の長手方向断面が台形や半円形あるいは円弧状をなすものであってもよいが、実施上は収納される根菜類Bとの接触面積をできるだけ小さくして、しかも根菜類を傷めないように、頂部3aに丸みを有する断面形状、例えば図のように、頂部3aに丸みのある断面三角状をなしているものが好ましい。特に、前記凸条リブ3と、該凸条リブ3,3間の凹条部4とが、長手方向断面において三角波形や正弦波形等の波形状をなすように形成されていると、根菜類Bの形状や大きさの変化に追従して弾性変形し易くなる。
【0025】
前記凸条リブ3の高さH及び配設ピッチ(間隔)Pは、熱可塑性性樹脂シートの厚みや弾力性、収納凹部1の大きさ及び収納する根菜類Bの種類等に応じて適宜設定して実施できるが、例えば、根菜類Bが長芋である場合、支持状態の安定性や緩衝効果及び接触面積等の点から、前記凹条部4の最大径の底部からの凸条リブ3の高さHは10〜20mm、また配設ピッチPは20〜40mm幅範囲が好ましい。もちろん、前記範囲外での実施も可能である。
【0026】
前記各収納凹部1は、前記凸条リブ3及び凹条部4をそれぞれ横に同列に並べて配置して実施することも可能であるが、図示する実施例の場合は、隣接する両収納凹部1,1の凸条リブ3が互い違いの位置にあるように、前記凸条リブ3の配列ピッチの1/2ずつ位置をずらして形成されており、これにより、隣接する収納凹部1,1の一方の凸条リブ3と他方の凹条部4とが並び、隣接する両収納凹部1,1間の隔壁部2が上端面2aにおいて波形状をなしている。この隔壁部2の上端面2aの波形状は、図のように三角波形状(ジグザグ状)をなす等、前記凸条リブ3及び凹条部4の形状に対応した波形状をなすことになる。
【0027】
前記のように、隣接する両収納凹部1,1の凸条リブ3が互い違いの位置にあって、図5(a)のように両収納凹部間の隔壁部2が上端面2aにおいて波形状をなしている場合、該隔壁部2は、図5(b)のように凸状リブ3及び凹条部4を同列に並べた場合の隔壁部2に比して形状的に弾性変形し易くなり、これが収納凹部1が蛇腹状なしていることとも相俟って、根菜類の形状や大きさ(長さや太さ)の変化にも容易に対応できることになり、緩衝性も良好になる。特に、前記両収納凹部1,1の凹条部4,4の底が前記隔壁部2の上端面2aにおいて幅方向センターの位置もしくは該センターより他方側に入り込んだ状態になるように形成されていると、さらに弾性変形し易くなり、緩衝性が高くなる。
【0028】
また、前記の波形状の隔壁部2の場合〔図5(a)〕、該隔壁部2による隣接する両収納凹部1,1間の間隔S1は、両収納凹部の凸条リブ及び凹条部をそれぞれ同列に並べて配置した場合〔図5(b)〕の間隔S2よりも狭く設定することができる。例えば、図5(a)の前記波形状の隔壁部2の場合、隣接する両収納凹部1,1の凸条リブ3と他方の凹条部4との間の最小幅が、同高さ、同ピッチの凸条リブ3及び凹条部4をそれぞれ同列に並べた場合〔図5(b)〕の隔壁部2における両凹条部4,4間の最小幅と同じであれば、一方の凸状リブ3の高さ分だけ両収納凹部1,1間の間隔が狭くなる。そのため、後述する折り畳みコンテナや段ボール箱等の既存の外箱の寸法に合わせ易くなり、かつ輸送時や保管時の省スペース化を図ることができる。
【0029】
いずれの場合も、前記包装材Aにおける前記収納凹部1の長手方向両端側の端縁部には、下方側に弾力的に折曲可能な当接用のフラップ5が裏面側のV溝状のヒンジ構造をなす折曲部6を介して連接されている。これにより、該包装材Aを外箱Cに収容して梱包する際に、外箱Cに収納し易くなる上、該フラップ5が外箱Cの側板内面に弾力的に当接することでクッションの役目を果たし(図6及び図9)、前記収納凹部1の長手方向の振動や衝撃に対する緩衝性を高めることができる。前記フラップ5は、下方向きに折曲した状態において下端が前記収納凹部1の最大径の凹条部4による下面より下方に突出しない長さとする。
【0030】
そして、前記フラップ5には、折曲状態において収納凹部1の長手方向端壁部1aに対応する部位に、該フラップ5がシート平面部に対し直角もしくは直角に近い折曲状態において、前記収納凹部1の長手方向端壁部1aに対し弾力的に当接し得る弾性変形が可能な緩衝用の凸部7が設けられている。前記凸部7は、フラップ5に対して裏面側への膨出状をなすように形成するのが、良好な弾力性を保有でき好ましい。この凸部7の平面形状については、円形や楕円形或いは四角形等の何れの形状でもよく、また一つの収納凹部1の端壁部1aに対応する部位に一つの凸部7を設けるほか、一つの端壁部1aに対応して複数の凸部を設けて実施することもできる。
【0031】
前記包装材Aを形成する熱可塑性樹脂シートとしては、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂その他の適度の弾力性を有しかつ保形強度のある各種の合成樹脂発泡シート、あるいはこれらの合成樹脂発泡シートの片面もしくは両面に非発泡樹脂の表皮層を設けた合成樹脂発泡シートが好適に用いられる。もちろん、前記合成樹脂の非発泡樹脂シートも使用することができる。
【0032】
前記の熱可塑性樹脂シートが発泡シートである場合の厚みは、使用素材によっても異なるが、ポリスチレン系樹脂の発泡シートの場合、厚み1〜3mm程度であり、密度が0.05〜0.2g/cm程度に発泡しているものが好ましい。また、架橋ポリプロピレン系樹脂の発泡シートの場合、厚み2〜6mm程度であり、密度が0.02〜0.1g/cm程度に発泡しているものが好ましい。
上記の包装材Aは、通常、段ボール箱或いはプラスチック製の折り畳みコンテナ等の外装用の外箱C内にセットしておいて、図6又は図7及び図8のように包装対象の長芋や蓮根等の根菜類Bを各収納凹部1に収納して使用する。
【0033】
例えば、外箱Cとしてプラスチック製の折り畳みコンテナを使用し、該コンテナに本発明の包装材Aを収容し、該包装材Aの各収納凹部1に収納して出荷、配送し、そのまま陳列展示した後、該コンテナを回収して繰り返し使用するシステムに利用することができる。収納する根菜類Bは、これを直接前記収納凹部1に収納することもできるが(図6)、主に鮮度の低下を抑える効果を得るために、図7及び図8のようにプラスチックフィルム、特にはガスバリアー性の良好なフィルム8により密封包装した状態で収納して包装するのが好ましい。
【0034】
すなわち、農産物をプラスチックフィルムにより密封した包装において、フィルム内部のガス環境は、酸素濃度が2〜3%、炭酸ガス5〜10%で安定し、大気に比べて低酸素−高炭酸ガス濃度の環境になり、この環境下で貯蔵することで、大気下で貯蔵したものに比して鮮度の低下を抑える効果(CA効果)があることが知られており、前記のように根菜類Bをガスバリアー性のフィルム8により密封包装して収納することにより、前記の繊度保持システムを利用することができ、前記フィルムによる乾燥防止の効果などとも相俟って、根菜類Bの鮮度保持、変色防止の効果を高めることができる。
【0035】
前記のように根菜類Bを収納凹部1に収納した状態で梱包する際、包装材Aを単独でコンテナ等の外箱C内に収納セットして使用するほか、図9に例示するように、同じ形態の包装材A’を上蓋として、前記包装材Aに収納した根菜類Bの上に被せて使用することができる。すなわち2つの包装材A,A’を組み合わせて使用することができる。また、前記包装材Aを上蓋として使用せずに、エアーキャップシート等の緩衝性のあるシートを根菜類Bの上に被せて梱包することもできる。なお、図9では、前記根菜類Bを前記フィルム8により密封包装していない状態を示しているが、該根菜類Bを前記のようにフイルム8により密封包装して収納できるのは言うまでもない。
【0036】
何れの場合も、包装材A,A’の収納凹部1の長手方向両端側の端縁部に連接されたフラップ5を裏面側に折曲して前記外箱Cに収容しセットすることにより、該フラップ5が外箱Cの側板内面に対し弾力的に当接することになって、該フラップ5が外箱Cとの間のクッションの役目を果たし、包装材Aと外箱Cとの寸法誤差を吸収でき、外箱C内での包装材Aの遊動やガタ付きを防止でき、安定性良く梱包できる。
【0037】
そして、前記のように梱包した包装体においては、収納された根菜類Bは、略半周の下部分において該収納凹部1に有する収納凹部1に対応した同心半円状をなす前記凸状リブ3により下方及び左右側方から複数個所で安定性よく支持される。同形の包装材A’を上蓋として被せた場合は、根菜類Bの上半分を前記同様に支持できる。また、前記収納凹部1が前記凸条リブ3により長手方向に蛇腹状をなしているため、根菜類Bの形状や大きさの変化にも容易に追従でき、本来バラつきのある天然の根菜類Bを問題なく収納でき、安定性よく保持することができる。
【0038】
その上、前記フラップ5には、前記の折曲状態において各収納凹部1の端壁部1aに弾力的に当接する緩衝用の凸部7が設けられているため、該凸部7が前記端壁部1aに当接して弾力的な支えの役目を果たし、該収納凹部長手方向の横向き落下等による衝撃を該凸部7が弾性変性することで吸収緩和でき、収納された根菜類Bに対して良好な緩衝効果を発揮できる。
【0039】
そのため、本発明の包装材Aを使用した包装体において、収納された根菜類Bの横揺れが生じ難くなる上、底方向落下のみでなく、横方向落下、特に根菜類の長手方向に沿う横方向落下や斜め方向落下による衝撃に対して優れた緩衝保護効果を発揮できる。また、同形の包装材Aを前記のようにして上蓋として組み合わせ使用した場合には、天地逆落下に対する緩衝性も良好なものになる。
【0040】
しかも、根菜類Bの表面に生じた結露水等の水分は、前記凸条リブ3,3間の凹条部4に流れることで、根菜類Bと前記凸条リブ3との接触部分に留まり難く、該凸条リブ3が頂部が丸みのある断面三角状をなす場合は根菜類Bとの接触面積が小さくなっていることもあって、根菜類Bが濡れ接触状態に保持され難く、根菜類Bの接触部分からの損傷を抑制できる。また、凸条リブ3,3間の凹条部4等に溜まる水分により、収納凹部1内の乾燥を防ぎ、根菜類Bの鮮度保持に必要な保湿性を確保できる。
【0041】
特に、前記根菜類をフィルムにより密封包装して収納した包装体においては、前記の包装材による効果に加えて、根菜類の鮮度保持、変色防止の効果を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の根菜類の包装材は、長芋や蓮根等の長さが太さの直径よりも長い根菜類の包装状態での出荷、輸送や保管に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明にかかる根菜類の包装材の実施例を示す平面である。
【図2】同上の包装材の一部の拡大斜視図である。
【図3】図1のIII−III線の拡大断面図である。
【図4】図3のIV−IV線の拡大断面図である。
【図5】(a)(b)のそれぞれ隔壁部の説明図である。
【図6】本発明を外箱にセットした使用状態の断面図である。
【図7】本発明の使用状態の他の例を示す略示平面図である。
【図8】同上の断面図である。
【図9】他の使用状態を示す一部の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
A,A’…包装材、B…根菜類、C…外箱、1…収納凹部、1a…端壁部、2…隔壁部、2a…上端面、3…凸条リブ、3a…頂部、4…凹条部、5…フラップ、6…折曲部、7…凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
根菜類の包装材であって、熱可塑性樹脂シートから一体に成形され、前記根菜類を収容するための横断面半円形で長溝状の収納凹部が形成されてなり、前記収納凹部は、長手方向の所定間隔毎に凹部内方に膨出する同心半円状の凸条リブが形成されることにより長手方向に蛇腹状をなしており、前記収納凹部の長手方向両端側の端縁部に、外箱に収納する際の当接用のフラップが裏面側へ折曲可能に連接され、該フラップには、折曲状態において前記収納凹部の長手方向端壁部と対向する部位に、該端壁部に当接し得る緩衝用の凸部が設けられてなることを特徴とする根菜類の包装材。
【請求項2】
前記フラップがシート平面部に対し直角もしくは直角に近い折曲状態において、前記緩衝用の凸部が前記収納凹部の長手方向端壁部に対し弾力的に当接し得るように設けられてなる請求項1に記載の根菜類の包装材。
【請求項3】
前記凸部が裏面側への膨出状をなし、前記端壁部との当接時に弾性変形可能である請求項1又は2に記載の根菜類の包装材。
【請求項4】
前記長溝状の収納凹部が複数並設され、隣接する両収納凹部の凸条リブが相互に互い違いの位置にあって、両収納凹部間の隔壁部が上端面において波形状をなしている請求項1〜3のいずれか1項に記載の根菜類の包装材。
【請求項5】
前記凸条リブが頂部に丸みのある断面三角状をなし、前記隔壁部の上端面が三角波形状をなしている請求項4に記載の根菜類の包装材。
【請求項6】
熱可塑性樹脂シートが発泡シートである請求項1〜4のいずれか1項に記載の根菜類の包装材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装材を使用した根菜類の包装体であって、前記包装材が前記収納凹部の長手方向両端側のフラップを裏面側に折曲した状態で外装用の外箱内に収容され、該包装材の各収納凹部に、フィルムにより密封包装した根菜類が収納されて包装されてなることを特徴とする根菜類の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−13151(P2010−13151A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174303(P2008−174303)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】