桝用グレーチング取付装置
【課題】作業性を向上するとともにガタツキによる騒音の発生を防止できる桝用グレーチング取付装置を提供すること。
【解決手段】グレーチング取付装置1は、桝3上に固着される受枠10と、受枠内10に収納する一対のグレーチング20A、20Bと、一対のグレーチング20A、20B間に係合する楔金具30とを備える。受枠10は一対の左右枠11A、11Bと、一対の前後枠とを備えて中空状の四方枠に形成する。一対の左右枠11A、11Bは、鋭角状の角度を有する略L字状に形成する。それぞれのグレーチング20A、20Bは、左右方向に一対の傾斜枠211を備え、受枠10の左右枠11A、11Bと係合可能とする。楔金具30は、両側面に傾斜面31A、31Bを有してグレーチング20A、20Bの傾斜枠212、212に係合可能に形成する。
【解決手段】グレーチング取付装置1は、桝3上に固着される受枠10と、受枠内10に収納する一対のグレーチング20A、20Bと、一対のグレーチング20A、20B間に係合する楔金具30とを備える。受枠10は一対の左右枠11A、11Bと、一対の前後枠とを備えて中空状の四方枠に形成する。一対の左右枠11A、11Bは、鋭角状の角度を有する略L字状に形成する。それぞれのグレーチング20A、20Bは、左右方向に一対の傾斜枠211を備え、受枠10の左右枠11A、11Bと係合可能とする。楔金具30は、両側面に傾斜面31A、31Bを有してグレーチング20A、20Bの傾斜枠212、212に係合可能に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集水桝に装着する受枠にグレーチングを取り付けるための桝用グレーチング取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にグレーチング取付装置は、集水桝上に配置される受枠と受枠内に収納される網状のグレーチングとを有して構成されている。グレーチングを集水枡に設置する作業は、グレーチング自体の重量が大きく持ち運びが大変であることと、集水桝上に配置したグレーチングの受枠にグレーチングを装着する際、多数のボルトの締結を必要としていたことから手間が多くかかり作業性を低下させていた。例えば、図13〜14に示すような従来のグレーチング50は、四方枠に形成された受枠51に収容するために2分割して形成され、2分割されたグレーチング50、50を受枠51に多数のボルト52とナット53で締結していた。この多数のボルト52とナット53で締結するために、それぞれのグレーチング50、50には、ボルト取り付け用のボックス孔54を形成し、受枠51にはグレーチング50とねじ締結するためのボルト52を溶接していた。そして、グレーチング50を受枠51に装着する際には、多数のボルト52・ナット53の締結を行わなければならないことから手間がかかり、つい、手抜きしやすい環境となっていた。また、受枠51とグレーチング50とはガタがある状態で取付けられているため、長期間の使用でボルト52とナット53との締結が緩むとガタツキによる騒音が発生する要因となっていた。さらに、グレーチング50は重量が大きいため、それぞれのグレーチング50にグレーチング50を持ち運ぶための取手55を装着していた。
【0003】
このことを解決するために、特許文献1では、グレーチングを受枠に対して取り付けやすいように構成していた。つまり、特許文献1では、グレーチングを受枠に対してヒンジ板で引き起こし可能に構成されている。これによって、グレーチングは受枠に対してボルトで締結することがないから、桝に装着する作業は容易に行なわれていた。しかも、グレーチングと受枠およびヒンジ板はそれぞれ別体で形成されているから、持ち運びでも便利であった。
【特許文献1】特開平9−217372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、別体で持ち運びされたグレーチング、受枠、ヒンジ板とを現地で組立てることから、ヒンジ板を受枠とグレーチングとに嵌合して組付けることとなる。そのため、重量の大きいグレーチングに小物のヒンジ板を取り付けることとなるため、装着後においてグレーチングを受枠から頻繁に引き起こす作業を行うにはヒンジ板の嵌合部分に大きな負荷がかかりやすく、ヒンジ板の耐久性に課題が残ることとなっていた。しかも、グレーチングは受枠に自重で固定しているだけであるから、ガタツキによる騒音の発生を防止することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、ボルトの締結作業を少なくして作業性を向上するとともに騒音防止を図ることができ、しかも耐久性のある桝用グレーチング取付装置を提供することを目的とする。そのために、本発明にかかわる桝用グレーチング取付装置は、以下のように構成するものである。すなわち、
請求項1記載の発明では、桝の開口部に配置する受枠と、前記受枠に周縁部を支持されるグレーチングとを有し、前記グレーチングを前記受枠に係合して構成する桝用グレーチング取付装置であって、前記グレーチングは前記受枠に対して分割されるとともに、分割された一対の分割グレーチング間に前記分割グレーチングを前記受枠に係合させる中間枠が配設され、前記受枠の一部と前記グレーチングとは傾斜面どうしで係合可能に形成され、前記中間枠が、前記グレーチングに対して傾斜面どうしで係合可能に形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2記載の発明では、前記受枠は、内部を中空状にした四方枠で形成されるとともに、一方の対向する枠が、内側に鋭角状の角度を有して形成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3記載の発明では、前記受枠は、四方枠の各枠がそれぞれ分割して形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4記載の発明では、前記グレーチングにおける前記中間枠との係合面は、上方に広がる傾斜面を有し、前記中間枠における前記グレーチングとの係合面は、下方に広がる傾斜面を有して形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受枠を桝の開口部に装着した後、まず分割された一方のグレーチングを受枠に載置する。この際、グレーチングの傾斜面が形成された面を受枠の傾斜面に係合させ、同様に、他方のグレーチングの傾斜面を受枠の対向する傾斜面に合わせて係合する。そして、中間枠を両グレーチング間の傾斜面に合わせて係合させて押し込むこと(例えばボルトで締め込む)によって、受枠の傾斜面に隙間なく係合することができる。従って、グレーチングは受枠に堅固に固着することができる。また、ボルトでの締結作業が少なくて済むことから作業性を向上することができる。しかもグレーチングと受枠は圧接状態で固定しているからガタツキを生じることなく、ガタツキによる騒音の発生を防止することができる。
【0010】
この受枠を、分割された四方枠で形成すれば、いずれかの一方の対向枠どうしを鋭角状のL字状枠に形成することができ容易に製作できる。これによって、鋭角状のL字枠に形成された受枠にグレーチングの傾斜面を対向させ、中間枠でグレーチングを上方から押圧すれば、グレーチングを受枠に隙間なく強固に係合させることができる。これによって、グレーチング取付装置を堅固に構成することができる。
【0011】
つまり、中間枠のグレーチングとの係合面は下方に狭められた楔状に形成されているから、中間枠を下方に押圧することによってその分力が、分割されたそれぞれのグレーチングを広げる方向にスライドさせることになり、受枠と圧接した状態で固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、上記のように構成された桝用グレーチング取付装置を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、グレーチングと受枠との傾斜面で係合する方向を(図1における左右方向)を左右方向といい、その直交する方向(図1における上下方向)を前後方向という。
【0013】
図1〜3に示すように、集水桝3に取り付ける取付装置(以下、取付装置という。)1は、内部を中空にして四方枠で形成される受枠10と、受枠10に嵌合して装着する一対のグレーチング20(20A、20B)と、一対のグレーチング20(20A、20B)間に配置される中間枠(以下、楔金具という。)30と、で構成されている。
【0014】
受枠10は、図4〜6に示すように、金属製(鉄製)で形成されるとともに分割された4本の分割枠(対向する一対の左右枠11A、11Bと対向する一対の前後枠12A、12B)を組み合わせて四方枠としている。
【0015】
左右枠11A、11Bは、図5に示すように、底板111と傾斜板112とが断面鋭角状に形成された略L字状に形成され、底板111と傾斜板112の内面がグレーチング20との係合面113として形成されている。前後枠12A、12Bは、図6に示すように、底板121と立板122とが断面直角のL字状に形成されている。前後枠12A、12Bには、長手方向の中央部にボルト挿入孔13が形成されるとともに、ボルト挿入孔13の軸心と一致するように前後枠12A、12Bの下面にはボルト14がねじ部を立設するように溶着されている。この分割枠11、12は、桝3上に載置される際に、分割面を合わせてそれぞれ溶接することによって一体的な四方枠となる受枠10として形成される。なお、受枠10は、それぞれの分割枠(左右枠11A、11B、前後枠12A、12B)を分割で形成するのではなく一体的に形成するものであってもよい。
【0016】
グレーチング20(20A、20B)は、金属製(鉄製)で形成されるとともに、図1の平面図及び図7〜8の断面図に示すように、側部四方に形成される外周枠部21(21A、21B)と外周枠部21内で網状にクロスして配置される多数の左右バー22と前後バー23とを備えている。外周枠部21は、左右方向に配置される傾斜枠211、212と前後方向に配置される直状枠213、214とを備えている。
【0017】
一対の傾斜枠211、212の表側は、下方に広がる傾斜面211a、212bを有して形成されている。一方の傾斜枠211の傾斜面211aは、受枠10の左右枠11Aに形成される係合面113と係合可能に形成され、他方の傾斜枠212の傾斜面212bは楔金具30の側面に係合可能に形成されている。直状枠213、214は、受枠11の前後枠12A、12Bと対向して垂直面に形成されている。なお、一対のグレーチング20Aと20Bは対照的に配置されるため、グレーチング20Aにおける傾斜枠211の傾斜面211aとグレーチング20Bの傾斜枠212の傾斜面211bとは、図2において左右反対に付記される。
【0018】
左右バー22と前後バー23とは、その本数を限定するものではないが、例えば、子供の足が入り込むことのないように細かな網目状に形成されていることが望ましい。左右バー22と前後バー23は、外周枠部21に対して溶接で固着されている。
【0019】
楔金具30は、金属製(鉄製)で形成されるとともに、図9〜10に示すように、長手方向の側面が傾斜面31(31A、31B)を有して断面下窄み状の台形筒状に形成されている。傾斜面31Aは、グレーチング20Aの傾斜枠212の傾斜面212bと係合可能に形成され、傾斜面31Bは、グレーチング20Bの傾斜枠212の傾斜面212bと係合可能に形成されている。また、楔金具30の長手方向の上壁両端部には、受枠10の前後枠12A、12Bに溶接されたボルト14にナット15(図3参照)が締結できるように矩形孔部32が形成され、矩形孔部32の下方の下壁部にはボルト挿通孔33が形成されている。
【0020】
次に、上記のように構成された取付装置1の取付け手順について説明する。
【0021】
まず、地盤に桝3を挿入するための穴を明けた後、桝3を埋め戻しする。桝3が挿入されると枡3の上部開口部に四方枠に形成された受枠10を固着する。次に、一方のグレーチング20Aを、受枠10に嵌め込む。この際、グレーチング20Aの傾斜枠211の傾斜面211aを受枠10の左右枠11Aの係合面113に対向させながら係合させる。そして他方のグレーチング20Bを、同様に受枠10の左右枠11Bに対向させながら係合する。
【0022】
図11に示すように、一対のグレーチング20(20A、20B)が受枠10に嵌め込まれたら、一対のグレーチング20Aと20B間に楔金具30を嵌め込んで、その前後方向の両端で受枠10に溶着されているボルト14にナット15を螺合して締結する。
【0023】
楔金具30を下方に締め込むことによって、図12に示すように、楔金具30の両側部の傾斜面31A、31Bがグレーチング20(20A、20B)のそれぞれの傾斜枠212、212の傾斜面212b、212bを押圧する。楔金具30とグレーチング20(20A、20B)とは、それぞれ傾斜面で係合していることから、下方への締め付け力は、その分力で左右方向に働き、グレーチング20(20A、20B)を広げる方向にスライドさせる。グレーチング20Aの一方の傾斜枠211は、受枠10の左右枠11Aと係合面113で係合され、グレーチング20Bの他方の傾斜枠211は、受枠10の左右枠11Bの係合面113と係合していることから、楔金具30を締め付けることによって、グレーチング20Aの傾斜枠211とグレーチング20Bの傾斜枠211は、受板10の左右枠11A、11Bの傾斜板112、112に圧接される。従って、一対のグレーチング20A、20Bはそれぞれの左右の両端部で、楔金具30と受板10とで支持されることとなる。しかも楔金具30の下方への締め付けは、受枠10の下方への押圧力を伴ってグレーチング20(20A、20B)を下方に押圧することになるから、グレーチング20(20A、20B)が受枠10から外れることはない。
【0024】
また、グレーチング20(20A、20B)を受枠10から脱着させる場合は、楔金具30を締結している2箇所のナット15をボルト14から取り外し、楔金具30を受枠10及びグレーチング20(20A、20B)から取り外す。すると、一対のグレーチング20A、20B間には隙間があくことになる。これによって、一方のグレーチング20Aを隙間分移動させてグレーチング20Aの傾斜枠211と受枠10の左右枠11との係合を解除する。そして、グレーチング20Aを持ち上げれば、グレーチング20Aを受枠10から取り外すことができ、また、他方のグレーチング20Bも受枠10の中央部側に移動させて同様に持ち上げる。
【0025】
なお、それぞれのグレーチング20(20A、20B)に取手を装着して持ち上げやすいようにしてもよい。
【0026】
上述のように、実施形態の桝用グレーチング取付装置1は、グレーチング20と受枠10とを傾斜面で係合させ、グレーチング20を楔金具30の傾斜面を利用して下方に向かって押圧していることから、受枠10とグレーチング20とは圧接状態で支持されることとなって強固に固定することができる。従って、一旦取付ければ、自然状態で外れる虞れはない。また、グレーチング20を取り外す際に、楔金具30を脱着すれば、その分、隙間を形成することになるから、グレーチング20を容易に受枠10から取り外すことができる。また、受枠10とグレーチング20とは両側面で圧接されていることから、ガタツキによる騒音・盗難の虞れがない。しかも、ボルトによるねじ締結が楔金具30の2箇所で行えることから、作業性を向上することができ、手抜き工事の虞れもない。
【0027】
なお、本発明の桝用グレーチング取付装置は、上述の形態に限るものではない。例えば、受枠10における左右枠11A、11Bの底板111、111は前後枠12A、12Bの底板121、121が形成されていれば削除してもよく、前後枠12A、12Bの底板121、121は、左右枠11A、11Bの底板111、111が形成されていれば削除してもよい。つまり、受枠10では、左右枠11あるいは前後枠12は、グレーチング20を支持する底板が一方の枠(左右枠11あるいは前後枠12)に形成されていれば、他方の枠(前後枠12あるいは左右枠11)は立て板だけで形成してもよい。
【0028】
なお、このグレーチング取付装置は、一般的に道路端の集水桝あるいは家庭又は工場等の排水枡に取付けるが、例えば、プールの排水桝にも取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一形態による桝用グレーチング取付装置を示す平面図である。
【図2】同断面図である。
【図3】同側面断面図である。
【図4】図1における取付装置の受枠を示す平面図である。
【図5】図3における受枠の左右枠を示す断面図である。
【図6】図3における受枠の前後枠を示す断面図である。
【図7】図1におけるグレーチングを示す正面断面図である。
【図8】同側面断面図である。
【図9】図1における楔金具を示す断面図である。
【図10】同平面図である。
【図11】楔金具をグレーチングを取り付ける作用図である。
【図12】グレーチングを受枠に取り付ける作用図である。
【図13】従来のグレーチング取り付け装置を示す平面図である。
【図14】同簡略正面図である。
【符号の説明】
【0030】
1、取付装置(グレーチング取付装置)
3、桝
10、受枠
11、左右枠
112、傾斜板
113、係合面
12、前後枠
20、グレーチング
21、外周枠部
211、傾斜枠
211a、傾斜面
212、傾斜枠
212b、傾斜面
213、直状枠
214、直状枠
22、左右バー
23、前後バー
30、楔金具(中間枠)
31、傾斜面
32、矩形孔部
【技術分野】
【0001】
本発明は集水桝に装着する受枠にグレーチングを取り付けるための桝用グレーチング取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にグレーチング取付装置は、集水桝上に配置される受枠と受枠内に収納される網状のグレーチングとを有して構成されている。グレーチングを集水枡に設置する作業は、グレーチング自体の重量が大きく持ち運びが大変であることと、集水桝上に配置したグレーチングの受枠にグレーチングを装着する際、多数のボルトの締結を必要としていたことから手間が多くかかり作業性を低下させていた。例えば、図13〜14に示すような従来のグレーチング50は、四方枠に形成された受枠51に収容するために2分割して形成され、2分割されたグレーチング50、50を受枠51に多数のボルト52とナット53で締結していた。この多数のボルト52とナット53で締結するために、それぞれのグレーチング50、50には、ボルト取り付け用のボックス孔54を形成し、受枠51にはグレーチング50とねじ締結するためのボルト52を溶接していた。そして、グレーチング50を受枠51に装着する際には、多数のボルト52・ナット53の締結を行わなければならないことから手間がかかり、つい、手抜きしやすい環境となっていた。また、受枠51とグレーチング50とはガタがある状態で取付けられているため、長期間の使用でボルト52とナット53との締結が緩むとガタツキによる騒音が発生する要因となっていた。さらに、グレーチング50は重量が大きいため、それぞれのグレーチング50にグレーチング50を持ち運ぶための取手55を装着していた。
【0003】
このことを解決するために、特許文献1では、グレーチングを受枠に対して取り付けやすいように構成していた。つまり、特許文献1では、グレーチングを受枠に対してヒンジ板で引き起こし可能に構成されている。これによって、グレーチングは受枠に対してボルトで締結することがないから、桝に装着する作業は容易に行なわれていた。しかも、グレーチングと受枠およびヒンジ板はそれぞれ別体で形成されているから、持ち運びでも便利であった。
【特許文献1】特開平9−217372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、別体で持ち運びされたグレーチング、受枠、ヒンジ板とを現地で組立てることから、ヒンジ板を受枠とグレーチングとに嵌合して組付けることとなる。そのため、重量の大きいグレーチングに小物のヒンジ板を取り付けることとなるため、装着後においてグレーチングを受枠から頻繁に引き起こす作業を行うにはヒンジ板の嵌合部分に大きな負荷がかかりやすく、ヒンジ板の耐久性に課題が残ることとなっていた。しかも、グレーチングは受枠に自重で固定しているだけであるから、ガタツキによる騒音の発生を防止することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、ボルトの締結作業を少なくして作業性を向上するとともに騒音防止を図ることができ、しかも耐久性のある桝用グレーチング取付装置を提供することを目的とする。そのために、本発明にかかわる桝用グレーチング取付装置は、以下のように構成するものである。すなわち、
請求項1記載の発明では、桝の開口部に配置する受枠と、前記受枠に周縁部を支持されるグレーチングとを有し、前記グレーチングを前記受枠に係合して構成する桝用グレーチング取付装置であって、前記グレーチングは前記受枠に対して分割されるとともに、分割された一対の分割グレーチング間に前記分割グレーチングを前記受枠に係合させる中間枠が配設され、前記受枠の一部と前記グレーチングとは傾斜面どうしで係合可能に形成され、前記中間枠が、前記グレーチングに対して傾斜面どうしで係合可能に形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2記載の発明では、前記受枠は、内部を中空状にした四方枠で形成されるとともに、一方の対向する枠が、内側に鋭角状の角度を有して形成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3記載の発明では、前記受枠は、四方枠の各枠がそれぞれ分割して形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4記載の発明では、前記グレーチングにおける前記中間枠との係合面は、上方に広がる傾斜面を有し、前記中間枠における前記グレーチングとの係合面は、下方に広がる傾斜面を有して形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受枠を桝の開口部に装着した後、まず分割された一方のグレーチングを受枠に載置する。この際、グレーチングの傾斜面が形成された面を受枠の傾斜面に係合させ、同様に、他方のグレーチングの傾斜面を受枠の対向する傾斜面に合わせて係合する。そして、中間枠を両グレーチング間の傾斜面に合わせて係合させて押し込むこと(例えばボルトで締め込む)によって、受枠の傾斜面に隙間なく係合することができる。従って、グレーチングは受枠に堅固に固着することができる。また、ボルトでの締結作業が少なくて済むことから作業性を向上することができる。しかもグレーチングと受枠は圧接状態で固定しているからガタツキを生じることなく、ガタツキによる騒音の発生を防止することができる。
【0010】
この受枠を、分割された四方枠で形成すれば、いずれかの一方の対向枠どうしを鋭角状のL字状枠に形成することができ容易に製作できる。これによって、鋭角状のL字枠に形成された受枠にグレーチングの傾斜面を対向させ、中間枠でグレーチングを上方から押圧すれば、グレーチングを受枠に隙間なく強固に係合させることができる。これによって、グレーチング取付装置を堅固に構成することができる。
【0011】
つまり、中間枠のグレーチングとの係合面は下方に狭められた楔状に形成されているから、中間枠を下方に押圧することによってその分力が、分割されたそれぞれのグレーチングを広げる方向にスライドさせることになり、受枠と圧接した状態で固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、上記のように構成された桝用グレーチング取付装置を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、グレーチングと受枠との傾斜面で係合する方向を(図1における左右方向)を左右方向といい、その直交する方向(図1における上下方向)を前後方向という。
【0013】
図1〜3に示すように、集水桝3に取り付ける取付装置(以下、取付装置という。)1は、内部を中空にして四方枠で形成される受枠10と、受枠10に嵌合して装着する一対のグレーチング20(20A、20B)と、一対のグレーチング20(20A、20B)間に配置される中間枠(以下、楔金具という。)30と、で構成されている。
【0014】
受枠10は、図4〜6に示すように、金属製(鉄製)で形成されるとともに分割された4本の分割枠(対向する一対の左右枠11A、11Bと対向する一対の前後枠12A、12B)を組み合わせて四方枠としている。
【0015】
左右枠11A、11Bは、図5に示すように、底板111と傾斜板112とが断面鋭角状に形成された略L字状に形成され、底板111と傾斜板112の内面がグレーチング20との係合面113として形成されている。前後枠12A、12Bは、図6に示すように、底板121と立板122とが断面直角のL字状に形成されている。前後枠12A、12Bには、長手方向の中央部にボルト挿入孔13が形成されるとともに、ボルト挿入孔13の軸心と一致するように前後枠12A、12Bの下面にはボルト14がねじ部を立設するように溶着されている。この分割枠11、12は、桝3上に載置される際に、分割面を合わせてそれぞれ溶接することによって一体的な四方枠となる受枠10として形成される。なお、受枠10は、それぞれの分割枠(左右枠11A、11B、前後枠12A、12B)を分割で形成するのではなく一体的に形成するものであってもよい。
【0016】
グレーチング20(20A、20B)は、金属製(鉄製)で形成されるとともに、図1の平面図及び図7〜8の断面図に示すように、側部四方に形成される外周枠部21(21A、21B)と外周枠部21内で網状にクロスして配置される多数の左右バー22と前後バー23とを備えている。外周枠部21は、左右方向に配置される傾斜枠211、212と前後方向に配置される直状枠213、214とを備えている。
【0017】
一対の傾斜枠211、212の表側は、下方に広がる傾斜面211a、212bを有して形成されている。一方の傾斜枠211の傾斜面211aは、受枠10の左右枠11Aに形成される係合面113と係合可能に形成され、他方の傾斜枠212の傾斜面212bは楔金具30の側面に係合可能に形成されている。直状枠213、214は、受枠11の前後枠12A、12Bと対向して垂直面に形成されている。なお、一対のグレーチング20Aと20Bは対照的に配置されるため、グレーチング20Aにおける傾斜枠211の傾斜面211aとグレーチング20Bの傾斜枠212の傾斜面211bとは、図2において左右反対に付記される。
【0018】
左右バー22と前後バー23とは、その本数を限定するものではないが、例えば、子供の足が入り込むことのないように細かな網目状に形成されていることが望ましい。左右バー22と前後バー23は、外周枠部21に対して溶接で固着されている。
【0019】
楔金具30は、金属製(鉄製)で形成されるとともに、図9〜10に示すように、長手方向の側面が傾斜面31(31A、31B)を有して断面下窄み状の台形筒状に形成されている。傾斜面31Aは、グレーチング20Aの傾斜枠212の傾斜面212bと係合可能に形成され、傾斜面31Bは、グレーチング20Bの傾斜枠212の傾斜面212bと係合可能に形成されている。また、楔金具30の長手方向の上壁両端部には、受枠10の前後枠12A、12Bに溶接されたボルト14にナット15(図3参照)が締結できるように矩形孔部32が形成され、矩形孔部32の下方の下壁部にはボルト挿通孔33が形成されている。
【0020】
次に、上記のように構成された取付装置1の取付け手順について説明する。
【0021】
まず、地盤に桝3を挿入するための穴を明けた後、桝3を埋め戻しする。桝3が挿入されると枡3の上部開口部に四方枠に形成された受枠10を固着する。次に、一方のグレーチング20Aを、受枠10に嵌め込む。この際、グレーチング20Aの傾斜枠211の傾斜面211aを受枠10の左右枠11Aの係合面113に対向させながら係合させる。そして他方のグレーチング20Bを、同様に受枠10の左右枠11Bに対向させながら係合する。
【0022】
図11に示すように、一対のグレーチング20(20A、20B)が受枠10に嵌め込まれたら、一対のグレーチング20Aと20B間に楔金具30を嵌め込んで、その前後方向の両端で受枠10に溶着されているボルト14にナット15を螺合して締結する。
【0023】
楔金具30を下方に締め込むことによって、図12に示すように、楔金具30の両側部の傾斜面31A、31Bがグレーチング20(20A、20B)のそれぞれの傾斜枠212、212の傾斜面212b、212bを押圧する。楔金具30とグレーチング20(20A、20B)とは、それぞれ傾斜面で係合していることから、下方への締め付け力は、その分力で左右方向に働き、グレーチング20(20A、20B)を広げる方向にスライドさせる。グレーチング20Aの一方の傾斜枠211は、受枠10の左右枠11Aと係合面113で係合され、グレーチング20Bの他方の傾斜枠211は、受枠10の左右枠11Bの係合面113と係合していることから、楔金具30を締め付けることによって、グレーチング20Aの傾斜枠211とグレーチング20Bの傾斜枠211は、受板10の左右枠11A、11Bの傾斜板112、112に圧接される。従って、一対のグレーチング20A、20Bはそれぞれの左右の両端部で、楔金具30と受板10とで支持されることとなる。しかも楔金具30の下方への締め付けは、受枠10の下方への押圧力を伴ってグレーチング20(20A、20B)を下方に押圧することになるから、グレーチング20(20A、20B)が受枠10から外れることはない。
【0024】
また、グレーチング20(20A、20B)を受枠10から脱着させる場合は、楔金具30を締結している2箇所のナット15をボルト14から取り外し、楔金具30を受枠10及びグレーチング20(20A、20B)から取り外す。すると、一対のグレーチング20A、20B間には隙間があくことになる。これによって、一方のグレーチング20Aを隙間分移動させてグレーチング20Aの傾斜枠211と受枠10の左右枠11との係合を解除する。そして、グレーチング20Aを持ち上げれば、グレーチング20Aを受枠10から取り外すことができ、また、他方のグレーチング20Bも受枠10の中央部側に移動させて同様に持ち上げる。
【0025】
なお、それぞれのグレーチング20(20A、20B)に取手を装着して持ち上げやすいようにしてもよい。
【0026】
上述のように、実施形態の桝用グレーチング取付装置1は、グレーチング20と受枠10とを傾斜面で係合させ、グレーチング20を楔金具30の傾斜面を利用して下方に向かって押圧していることから、受枠10とグレーチング20とは圧接状態で支持されることとなって強固に固定することができる。従って、一旦取付ければ、自然状態で外れる虞れはない。また、グレーチング20を取り外す際に、楔金具30を脱着すれば、その分、隙間を形成することになるから、グレーチング20を容易に受枠10から取り外すことができる。また、受枠10とグレーチング20とは両側面で圧接されていることから、ガタツキによる騒音・盗難の虞れがない。しかも、ボルトによるねじ締結が楔金具30の2箇所で行えることから、作業性を向上することができ、手抜き工事の虞れもない。
【0027】
なお、本発明の桝用グレーチング取付装置は、上述の形態に限るものではない。例えば、受枠10における左右枠11A、11Bの底板111、111は前後枠12A、12Bの底板121、121が形成されていれば削除してもよく、前後枠12A、12Bの底板121、121は、左右枠11A、11Bの底板111、111が形成されていれば削除してもよい。つまり、受枠10では、左右枠11あるいは前後枠12は、グレーチング20を支持する底板が一方の枠(左右枠11あるいは前後枠12)に形成されていれば、他方の枠(前後枠12あるいは左右枠11)は立て板だけで形成してもよい。
【0028】
なお、このグレーチング取付装置は、一般的に道路端の集水桝あるいは家庭又は工場等の排水枡に取付けるが、例えば、プールの排水桝にも取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一形態による桝用グレーチング取付装置を示す平面図である。
【図2】同断面図である。
【図3】同側面断面図である。
【図4】図1における取付装置の受枠を示す平面図である。
【図5】図3における受枠の左右枠を示す断面図である。
【図6】図3における受枠の前後枠を示す断面図である。
【図7】図1におけるグレーチングを示す正面断面図である。
【図8】同側面断面図である。
【図9】図1における楔金具を示す断面図である。
【図10】同平面図である。
【図11】楔金具をグレーチングを取り付ける作用図である。
【図12】グレーチングを受枠に取り付ける作用図である。
【図13】従来のグレーチング取り付け装置を示す平面図である。
【図14】同簡略正面図である。
【符号の説明】
【0030】
1、取付装置(グレーチング取付装置)
3、桝
10、受枠
11、左右枠
112、傾斜板
113、係合面
12、前後枠
20、グレーチング
21、外周枠部
211、傾斜枠
211a、傾斜面
212、傾斜枠
212b、傾斜面
213、直状枠
214、直状枠
22、左右バー
23、前後バー
30、楔金具(中間枠)
31、傾斜面
32、矩形孔部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桝の開口部に配置する受枠と、前記受枠に周縁部を支持されるグレーチングとを有し、前記グレーチングを前記受枠に係合して構成する桝用グレーチング取付装置であって、
前記グレーチングは前記受け枠に対して分割されるとともに、分割された一対の分割グレーチング間に前記分割グレーチングを前記受枠に係合させる中間枠が配設され、
前記受枠の一部と前記グレーチングとは傾斜面どうしで係合可能に形成され、
前記中間枠が、前記グレーチングに対して傾斜面どうしで係合可能に形成されていることを特徴とする桝用グレーチング取付装置。
【請求項2】
前記受枠は、内部を中空状にした四方枠で形成されるとともに、一方の対向する枠が、内側に鋭角状の角度を有して形成されていることを特徴とする請求項1記載の桝用グレーチング取付装置。
【請求項3】
前記受枠は、四方枠の各枠がそれぞれ分割して形成されていることを特徴とする請求項2記載の桝用グレーチング取付装置。
【請求項4】
前記グレーチングにおける前記中間枠との係合面は、上方に広がる傾斜面を有し、前記中間枠における前記グレーチングとの係合面は、下方に広がる傾斜面を有して形成されていることを特徴とする請求項1,2又は3のいずれかに記載の桝用グレーチング取付装置。
【請求項1】
桝の開口部に配置する受枠と、前記受枠に周縁部を支持されるグレーチングとを有し、前記グレーチングを前記受枠に係合して構成する桝用グレーチング取付装置であって、
前記グレーチングは前記受け枠に対して分割されるとともに、分割された一対の分割グレーチング間に前記分割グレーチングを前記受枠に係合させる中間枠が配設され、
前記受枠の一部と前記グレーチングとは傾斜面どうしで係合可能に形成され、
前記中間枠が、前記グレーチングに対して傾斜面どうしで係合可能に形成されていることを特徴とする桝用グレーチング取付装置。
【請求項2】
前記受枠は、内部を中空状にした四方枠で形成されるとともに、一方の対向する枠が、内側に鋭角状の角度を有して形成されていることを特徴とする請求項1記載の桝用グレーチング取付装置。
【請求項3】
前記受枠は、四方枠の各枠がそれぞれ分割して形成されていることを特徴とする請求項2記載の桝用グレーチング取付装置。
【請求項4】
前記グレーチングにおける前記中間枠との係合面は、上方に広がる傾斜面を有し、前記中間枠における前記グレーチングとの係合面は、下方に広がる傾斜面を有して形成されていることを特徴とする請求項1,2又は3のいずれかに記載の桝用グレーチング取付装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−82058(P2008−82058A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264645(P2006−264645)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(506329188)江南コンクリート工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(506329188)江南コンクリート工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]