説明

梱包ケース

【課題】製品の収納作業及び取り出し作業を容易にし、且つサイズの異なる製品の梱包に共用可能にする。
【解決手段】一方面に収納口11aが形成された収納箱11と、収納箱11の内部に収納口11aに向かって立つように設けられ、互いに対向して配置された複数の仕切板20と、収納口11aを塞ぐ蓋部21とを備え、各仕切板20の間に板状の製品1がそれぞれ収納され、各仕切板20は、蓋部21によって収納口11a側の側面が押圧されることで厚くなるように弾性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶表示パネル等の板状の製品を搬送する際に用いられる梱包ケースとして、互いに対向して配置された複数の仕切板で内部が仕切られ、各仕切板の間に製品が入る空間が複数形成された梱包ケースが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような梱包ケースは、各仕切板が製品に当接するように互いに製品の厚みに合わせた間隔で配置され、これら各仕切板によって互いに隣り合う製品同士の接触を防止すると共に各製品の厚み方向の揺動を抑制するように構成されている。
【特許文献1】特開2001−19042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、液晶表示パネルのように異なるサイズ(高さや幅)の規格を有するものについては、各製品における高さ方向及び幅方向の揺動を規制するために各サイズ毎に梱包ケース自体のサイズや仕切板等の内部部材の規格を変えて複数種類の梱包ケースを用意する必要があるため、コストが増大してしまう。さらに、このように複数種類の梱包ケースを用意する場合には、梱包ケースの種類毎の管理が必要となり在庫管理が煩雑になる。
【0004】
また、上述したように各仕切板が製品に当接するように設けられているので、製品の収納作業及び取り出し作業が行い難い。
【0005】
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製品の収納作業及び取り出し作業を容易にし、且つサイズの異なる製品の梱包に共用可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、収納箱の内部に収納口に向かって立つように互いに対向して配置された各仕切板が、収納口を塞ぐ蓋部によって収納口側の側面が押圧されることで厚くなるように弾性を有するようにした。
【0007】
具体的に、本発明に係る梱包ケースは、一方面に収納口が形成された収納箱と、上記収納箱の内部に上記収納口に向かって立つように設けられ、互いに対向して配置された複数の仕切板と、上記収納口を塞ぐ蓋部とを備え、上記各仕切板の間に板状の製品がそれぞれ収納される梱包ケースであって、上記各仕切板は、上記蓋部によって上記収納口側の側面が押圧されることで厚くなるように弾性を有している。
【0008】
上記各仕切板の表面には、複数の突出部が設けられていることが好ましい。
【0009】
上記各仕切板は、軟質ウレタンフォームによって形成されていることが好ましい。
【0010】
上記収納箱は、矩形状の底板と、該底板の互いに対向する一対の辺から該底板に対して直立するように設けられた一対の側板とを有し、上記各仕切板は、上記一対の側板の間に配置され、上記各側板にそれぞれ当接していることが好ましい。
【0011】
上記蓋部は、上記収納箱とは別個に設けられて上記収納箱の内側に落とし込まれる落とし蓋によって構成されていてもよい。
【0012】
上記蓋部は、上記収納箱と一体に形成されて上記収納口の周縁から延びる蓋板によって構成されていてもよい。
【0013】
上記各製品は、液晶表示パネルであってもよい。
【0014】
−作用−
次に、本発明の作用について説明する。
【0015】
本発明に係る梱包ケースは、収納箱の内部に収納口に向かって立つように互いに対向して配置された各仕切板が、収納口を塞ぐ蓋部によって収納口側の側面が押圧されることで厚くなるように弾性を有している。そのことにより、各製品を収納箱に収納する際に、各仕切板を互いの間隔が製品の厚みよりも若干大きく配置することが可能となり、製品の収納作業が容易になる。そして、各製品を収納した後に蓋部によって収納口を塞ぐことにより、各仕切板が、押圧されて厚くなり、各製品に対する隙間を埋めて各製品に当接し、それら各仕切板によって各製品が両側から挟まれて保持されるので、搬送中における各製品の高さ方向、幅方向及び厚さ方向への揺動が抑制され、搬送時の振動及び衝撃等の外力から各製品が保護される。その後、各製品を梱包ケースから取り出す際には、蓋部を取って収納口を開けることにより、各仕切板が押圧されない状態となり、各仕切板が薄くなって元の形状に回復する。これによって、各仕切板と各製品との間に再び隙間が設けられるため、製品の取り出し作業が容易になる。このように梱包ケースが各仕切板によって各製品を保持するように構成されていることにより、製品のサイズ毎に収納箱や仕切板等の規格を変えて複数種類の梱包ケースを用意する必要がなくなり、サイズの異なる製品の梱包に共用することが可能になる。したがって、製品の収納作業及び取り出し作業が容易になり、且つサイズの異なる製品の梱包に共用することが可能になる。
【0016】
さらに、各仕切板の表面に複数の突出部が設けられている場合には、各仕切板の表面が平坦に形成されている場合に比べて、各仕切板が各製品を両側から挟んでいる状態において各製品が仕切板の表面を滑ることが抑制され、各仕切板によって各製品がより安定して保持される。
【0017】
また、各仕切板が軟質ウレタンフォームで形成されている場合には、軟質ウレタンフォームが高緩衝性を有し且つ製品に当接した状態においてその製品を保持するのに適度な保持力を有するため、各仕切板によって各製品がより安定して保持されると共に、外部からの振動及び衝撃に対して各製品が良好に保護され、搬送時における各製品の破損がより抑制される。
【0018】
また、収納箱が、矩形状の底板と、その底板の互いに対向する一対の辺から底板に対して直立するように設けられた一対の側板とを有し、各仕切板が、一対の側板の間に配置されて各側板にそれぞれ当接している場合には、収納箱の内部に収納可能なサイズの製品であれば、各仕切板によって製品を確実に保持することが可能になり、種々のサイズの製品を梱包することが可能になる。
【0019】
例えば、蓋部が、収納箱とは別個に設けられて収納箱の内側に落とし込まれる落とし蓋によって構成されている場合や、収納箱と一体に形成されて収納口の周縁から延びる蓋板によって構成されている場合にも、蓋部によって各仕切板を押圧した状態で収納箱の収納口を塞ぐことが可能であるため、本発明の作用効果が具体的に奏される。特に、蓋部が収納箱と一体に形成されて収納口の周縁から延びる蓋板によって構成されている場合には、本発明の作用効果が具体的に奏されることに加えて、収納箱とは別個の蓋部を必要としないため、梱包ケースのコストを低減することが可能になる。
【0020】
また、各製品が液晶表示パネルである場合にも、本発明の作用効果が具体的に奏され、液晶表示パネルの収納作業及び取り出し作業が容易になり、且つサイズの異なる液晶表示パネルの梱包に共用することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、収納箱の内部に収納口に向かって立つように互いに対向して配置された各仕切板が、収納口を塞ぐ蓋部によって収納口側の側面が押圧されることで厚くなるように弾性を有しているので、製品の収納作業及び取り出し作業を容易にでき、且つサイズの異なる製品の梱包に共用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0023】
《発明の実施形態1》
図1〜図7は、本発明の実施形態1を示している。図1は、本実施形態の梱包ケース10を概略的に示す斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿って梱包ケース10の内部を概略的に示す断面図である。
【0024】
梱包ケース10は、図1に示すように、一方面(図中上面)に収納口11aが形成された収納箱11と、収納箱11の内部に収納口11aに向かって立つように設けられて互いに対向して配置された複数の仕切板20と、収納箱11の収納口11aを塞ぐ蓋部21とを備えており、複数の液晶表示パネル1(図2に2点鎖線で示す)を梱包するための梱包ケースである。液晶表示パネル1は、互いに貼り合わされた一対の基板の間に液晶層が設けられた板状の製品である。
【0025】
収納箱11は、直方体形状に形成され、矩形状の底板12と、底板12の各辺から底板12に対して直立するように設けられた矩形状の前側板13、後側板14及び一対の横側板15とを含んで構成されている。前側板13及び後側板14は互いに対向して配置されており、一対の横側板15は前側板13及び後側板14と一体に形成されて互いに対向して配置されている。そうして、収納箱11は、各側板13,14,15によって囲まれた空間を有し、各側板13,14,15における底板12とは反対側の辺によって収納口11aの周縁が形成されている。各側板13,14,15における収納箱11の内面には、液晶表示パネル1が収納される位置よりも収納口11a側の領域に、蓋部21の側面を貼り付けるための面ファスナー22が設けられている。
【0026】
さらに、収納箱11は、各側板13,14,15における収納口11aの周縁を形成する辺からそれぞれ延びるように設けられた複数の蓋板16,17を有している。これら複数の蓋板16,17は、前側板13及び後側板14から延びるように設けられた一対の内側蓋板16と、各横側板15から延びるように設けられた一対の外側蓋板17とからなり、各蓋板16,17が底板12と平行になるように収納口11aの内側に折られることで収納箱11を閉じるように構成されている。各外側蓋板17は、収納箱11を閉じたときに各内側蓋板16の外側に配置される。この収納箱11は、例えば発泡スチロール、ダンボール、プラスチックダンボール又はエンジニアリングプラスチック等の公知の材料によって形成されている。
【0027】
各仕切板20は、図2に示すように、例えば平板状に形成され、前側板13及び後側板14に対向するように一対の横側板15の間に配置されて、各横側板15及び底板12にそれぞれ当接しており、底板12に当接面が接着されている。
【0028】
そして、各仕切板20は、互いの間隔が液晶表示パネル1の厚みよりも数mm程度大きく配置されており、蓋部21によって収納口11a側の側面が押圧されることで厚くなるように弾性を有している。
【0029】
これら各仕切板20は、例えば帯電防止剤が添加された軟質ウレタンフォーム等によって形成されている。軟質ウレタンフォームとしては、液晶表示パネル1を安定して保持するための適度な保持力、及び外部からの振動及び衝撃を低減するための緩衝性を有するものであれば、特に限定されず、例えばポリエーテル系軟質ウレタンフォーム及びポリエステル系軟質ウレタンフォーム等が挙げられる。
【0030】
各仕切板20を形成する軟質ウレタンフォームは、例えば、発泡倍率が10〜60倍程度であり、見かけ密度が16〜100kg/m程度のウレタンフォームである。このような軟質ウレタンフォームは、ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、整泡剤等の公知の材料に帯電防止剤を組み合わせることによって製造することができる。
【0031】
ここで、各仕切板20を構成する軟質ウレタンフォームは、ガラス転移温度が常温程度若しくは常温よりも若干低い程度の温度に設定されて弾性の性質と共に粘性の性質も有する粘弾性フォームであってもよい。また、各仕切板20は、軟質ウレタンフォームの他に、ポリエチレンフォームやゴムスポンジ等の公知の軟質な樹脂材料によって形成されていてもよい。
【0032】
尚、本実施形態では、各仕切板20が底板12に接着されているとしているが、各仕切板20は、各横側板15に接着されていてもよく、これら各横側板15及び底板12の双方に接着されていてもよい。また、その他に、各横側板及び底板の少なくとも一方に各仕切板20を保持するための複数の溝部が形成され、それら各溝部に各仕切板20の端部が挿入されていることにより、各仕切板20が収納箱11に接着されずに保持されていてもよい。また、底板12には、各液晶表示パネル1への底板12側からの振動及び衝撃を緩和する観点から、軟質ウレタンフォーム等からなるクッション部材が敷設されていてもよい。
【0033】
蓋部21は、収納箱11とは別個に設けられて収納箱11の内側に落とし込まれる板状の落とし蓋によって構成され、各仕切板20における収納口11a側の側面を押圧した状態で収納口11aを塞ぐようになっている。蓋部21の各側面には各側板13,14,15に設けられた面ファスナー22と係合する面ファスナー23が設けられており、蓋部21は、面ファスナー22,23によって収納箱11の内面に着脱可能に貼り付けられて各仕切板20の側面を押圧している配置状態が維持されるように構成されている。
【0034】
この蓋部21は、収納箱11と同様に発泡スチロール、ダンボール、プラスチックダンボール又はエンジニアリングプラスチック等の公知の材料によって形成されている。尚、蓋部21は、各液晶表示パネル1への収納口11a側からの振動及び衝撃を緩和する観点から、各仕切板20と同様に軟質ウレタンフォーム等の公知の軟質な樹脂材料によって形成されていてもよい。このように、梱包ケース10は、各仕切板20の間に液晶表示パネル1がそれぞれ収納されるように構成されている。
【0035】
−作製方法−
次に、上記梱包ケース10を作製する方法について説明する。
【0036】
梱包ケース10は、各仕切板20を形成した後に、これら各仕切板20を予め形成された収納箱11に組み合わせることによって作製する。
【0037】
各仕切板20は、例えばモールド成型によって形成する。まず、ポリオール類、発泡剤、触媒、整泡剤、帯電防止剤及び必要に応じて他の補助成分を所定量混合し、得られた混合液に攪拌機を使用してさらにポリイソシアネート類を混合する。次に、得られた混合液をモールド(金型)に注入して発泡させた後、モールドから脱型することにより、各仕切板20を形成する。その後、各仕切板20を各横側板15及び底板12に接着して収納箱11の内部に設けることにより、梱包ケース10が作製される。
【0038】
尚、底板12にクッション部材を敷設する場合には、クッション部材も、各仕切板20と同様にモールド成型によって形成し、各仕切板20を収納箱11に組み合わせる前にクッション部材を収納箱11の底板12に両面テープ等によって接着して配置させる。
【0039】
また、本実施形態では、各仕切板20をモールド成型によってそれぞれ形成するとしているが、各仕切板20は、連続したコンベヤー上に上述したポリオール類、発泡剤及びポリイソシアネート類等を混合した混合液を流して連続発泡させることによって軟質ウレタンフォームのブロックを形成した後、そのブロックを所定の大きさに裁断するスラブ成型によって形成してもよい。
【0040】
また、本実施形態では、各仕切板20を形成した後にそれら各仕切板20を収納箱11に組み合わせて梱包ケース10を作製する方法について説明しているが、予め形成された各仕切板20を収納箱11に組み合わせて梱包ケース10を作製してもよい。
【0041】
−梱包方法−
次に、上記梱包ケース10を使用して複数の液晶表示パネル1を梱包する方法について、図3〜図6を参照しながら説明する。図3は、収納箱11に各液晶表示パネル1を収納する状態を示す斜視図である。図4は、収納箱11に各液晶表示パネル1が収納された状態を示す断面図である。図5は、収納箱11の内側に蓋部21を落とし込んで収納口11aを塞ぐ状態を示す斜視図である。図6は、蓋部21によって収納口11aが塞がれた状態を示す断面図である。
【0042】
まず、図3に示すように、収納箱11の内部における各仕切板20の間に液晶表示パネル1をそれぞれ差し入れて起立状態となるように収納する。ここで、図3の矢印25は、各液晶表示パネル1を収納箱11に差し入れる方向を示している。本実施形態では、図中に示すように、例えば各横側板15が互いに対向する方向に2枚の液晶表示パネル1を互いに間隔をあけて並べて各仕切板20の間に収納する。そうして、図4に示すように、各仕切板20に対して隙間をあけた状態で各液晶表示パネル1を収納箱11に収納する。
【0043】
次に、図5に示すように、収納箱11の内側に蓋部21を落とし込んでその蓋部21によって収納口11aを塞ぐ。ここで、図5の矢印26は、蓋部21を落とし込む方向を示している。そのことにより、図6に示すように、各仕切板20は、蓋部21によって収納口11a側の側面が押圧されて厚くなり、各液晶表示パネル1に対する隙間を埋めてそれら各液晶表示パネル1に当接し、各液晶表示パネル1を両側から挟んで保持する。最後に、各蓋板16,17を収納口11aの内側に折り曲げて収納箱11を閉めることで、複数の液晶表示パネル1の梱包が完了する。
【0044】
−開梱方法−
次に、上記梱包ケース10を開梱する方法について、図7を参照しながら説明する。
【0045】
まず、図7に示すように、収納箱11の各蓋板16,17を収納口11aの外側に折り曲げて収納箱11を開け、蓋部21を取り出して収納口11aを開口させる。図7の矢印27は、蓋部21を取り出す方向を示している。これにより、それまで蓋部21に押圧された状態であった各仕切板20(図7に2点鎖線で示す)が押圧されない状態となり、それら各仕切板20が薄くなって元の形状に回復する。その後、各液晶表示パネル1を収納箱11から取り出す。
【0046】
−実施形態1の効果−
したがって、この実施形態1によると、収納箱11の内部に収納口11aに向かって立つように互いに対向して配置された各仕切板20が、収納口11aを塞ぐ蓋部21によって収納口11a側の側面が押圧されることで厚くなるように弾性を有している。そのことにより、各液晶表示パネル1を収納箱11に収納する際に、各仕切板20を互いの間隔が液晶表示パネル1の厚みよりも数mm程度大きく配置できるため、液晶表示パネル1の収納作業を容易にできる。そして、各液晶表示パネル1を収納した後に蓋部21によって収納口11aを塞ぐことにより、各仕切板20によって各液晶表示パネル1が両側から挟まれて保持されるので、搬送中における各液晶表示パネル1の高さ方向、幅方向及び厚さ方向への揺動を抑制でき、搬送時の振動及び衝撃等の外力から各液晶表示パネル1を保護できる。その後、各液晶表示パネル1を梱包ケース10から取り出す際には、蓋部21を取って収納口11aを開けることにより、各仕切板20が押圧されない状態となり、各仕切板20が薄くなって元の形状に回復する。これによって、各仕切板20と各液晶表示パネル1との間に再び隙間が設けられるため、液晶表示パネル1の取り出し作業を容易にできる。このように梱包ケース10が各仕切板20によって各液晶表示パネル1を保持するように構成されていることにより、液晶表示パネル1のサイズ毎に収納箱11や仕切板20の規格を変えて複数種類の梱包ケース10を用意する必要がなくなり、サイズの異なる液晶表示パネル1の梱包に共用できる。したがって、液晶表示パネル1の収納作業及び取り出し作業を容易にでき、且つサイズの異なる液晶表示パネル1の梱包に共用できる。
【0047】
さらに、各仕切板20が軟質ウレタンフォームで形成されていることにより、軟質ウレタンフォームが高緩衝性を有し且つ液晶表示パネル1に当接した状態においてその液晶表示パネル1を保持するのに適度な保持力を有するため、各仕切板20によって各液晶表示パネル1をより安定して保持できると共に、外部からの振動及び衝撃に対して各液晶表示パネル1を良好に保護でき、搬送時における各液晶表示パネル1の破損をより抑制できる。
【0048】
また、収納箱11が、矩形状の底板12と、その底板12の互いに対向する一対の辺から底板12に対して直立するように設けられた一対の横側板15とを有し、各仕切板20が、一対の横側板15の間に配置されて各横側板15にそれぞれ当接しているため、収納箱11の内部に収納可能なサイズの液晶表示パネル1であれば、各仕切板20によって液晶表示パネル1を確実に保持することができ、種々のサイズの液晶表示パネル1を梱包できる。
【0049】
《発明の実施形態2》
図8及び図9は、本発明の実施形態2を示している。尚、以降の各実施形態では、図1〜図7と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。図8は、本実施形態2の梱包ケース10を概略的に示す斜視図である。図9は、本実施形態2における各液晶表示パネル1が収納された収納箱11を閉じた状態の梱包ケース10を示す断面図である。
【0050】
上記実施形態1では、蓋部21が収納箱11とは別個の落とし蓋であるとしたが、本実施形態では、蓋部21は、図8に示すように、収納箱11と一体に形成されて収納箱11の内側に折り込まれる一対の内側蓋板16によって構成されている。
【0051】
本実施形態の各内側蓋板16は、図9に示すように、収納箱11を閉じた状態において、収納口11aの周縁から底板12側に延びるように配置される折込部16aと、その折込部16aの先端から底板12に平行に延びるように配置されて各仕切板20を押圧する押圧部16bとからそれぞれ構成されている。
【0052】
前側板14から延びる内側蓋板16の押圧部16bには先端側に係止突片18が設けられている一方、後側板15から延びる内側蓋板16の押圧部16bには先端側に係止突片18が挿入される係止スリット19が貫通して形成されている。そして、これら各内側蓋板16は、図中に示すように、収納箱11を閉じる際に係止突片18を係止スリット19に挿入して係止することにより、各仕切板20の側面を押圧している配置状態が維持されるように構成されている。
【0053】
−実施形態2の効果−
したがって、この実施形態2によると、蓋部21が収納箱11と一体に形成された一対の内側蓋板16から構成されて各仕切板20の側面を押圧した状態で収納口11aを塞ぐようになっているので、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。そのことに加えて、収納箱11とは別個の蓋部を必要としないため、梱包ケース10のコストを低減できる。
【0054】
《発明の実施形態3》
図10は、本発明の実施形態3を示している。図10は、本実施形態の仕切板20を概略的に示す斜視図である。
【0055】
上記各実施形態では、各仕切板20は平板状に形成されているとしたが、本実施形態では、各仕切板20の両面には、図10に示すように、複数の突起部20aが全体に亘って均一に形成されている。各突起部20aの突出長さは、例えば1mm程度である。
【0056】
−実施形態3の効果−
したがって、この実施形態3によると、上記実施形態1と同様の効果を得ることができることに加えて、各仕切板20の表面に複数の突起部20aが設けられているため、各仕切板20の表面が平坦に形成されている場合に比べて、各仕切板20が各液晶表示パネル1を両側から挟んでいる状態において各液晶表示パネル1が仕切板20の表面を滑ることを抑制でき、各仕切板20によって各液晶表示パネル1をより安定して保持できる。
【0057】
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、梱包ケース10が各液晶表示パネル1を起立状態で梱包するように構成されている場合について説明したが、本発明はこれに限られず、梱包ケース10は、各液晶表示パネル1を水平状態で梱包するように構成されていてもよい。すなわち、収納箱が側面に収納口を有し、各仕切板が収納箱の内部で収納口に向かって立つように互いに対向して配置され、収納箱の側方から各液晶表示パネル1が収納される構成であってもよい。
【0058】
上記各実施形態では、液晶表示パネル1が1枚ずつ各仕切板20の間に収納される梱包ケース10について説明したが、本発明はこれに限られず、梱包ケース10は、積層した複数の液晶表示パネル1の厚みよりも若干大きい間隔で各仕切板20が配置され、積層した複数の液晶表示パネル1が一度に各仕切板20の間に収納されるように構成されていてもよい。
【0059】
上記実施形態1では、蓋部21の側面が面ファスナー22,23等によって収納箱11の内面に着脱可能に貼り付けられるとしたが、本発明はこれに限られず、図11及び図12に示すように、前側板13及び後側板14にバンド28を通すためのスリット11bが貫通して形成され、収納箱11に蓋部21を落とし込んだ後に各スリット11bにバンド28を通してそのバンド28を底板12側に巻き掛けることにより、そのバンド28によって蓋部21を各仕切板20側に押圧して、各仕切板20の側面を押圧している蓋部21の配置状態が維持されるように構成されていてもよい。
【0060】
また、その他に、収納箱11を閉じた際に各内側蓋板16に当接する厚みに蓋部が形成されていることにより、各仕切板20の側面を押圧している蓋部の配置状態が維持されるように構成されていてもよい。
【0061】
上記実施形態3では、各仕切板20の表面に複数の突起部20aが形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、各仕切板20の表面には、図13に示すように複数の突条部20bが互いに平行に並ぶように形成されていてもよく、複数の突出部が形成されていることが好ましい。このように構成されていれば、上記実施形態3と同様に、各仕切板20の表面が平坦に形成されている場合に比べて、各液晶表示パネル1が仕切板20の表面を滑ることが抑制されることにより、各仕切板20によって各液晶表示パネル1をより安定して保持することが可能になる。
【0062】
上記各実施形態では、複数の液晶表示パネル1を梱包ケース10に梱包する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、梱包ケース10に梱包する対象としては、ガラス基板や半導体基板等の基板や、アクティブマトリクス基板、太陽電池セル、有機エレクトロルミネッセンスパネル及びプラズマディスプレイパネル等の板状素子等の板状の製品であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明は、梱包ケースについて有用であり、特に、製品の収納作業及び取り出し作業を容易にし、且つサイズの異なる製品の梱包に共用可能にすることが要望される梱包ケースに適している。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施形態1の梱包ケースを概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面を概略的に示す図である。
【図3】梱包ケースに各液晶表示パネルを収納する状態を概略的に示す斜視図である。
【図4】梱包ケースに各液晶表示パネルが収納された状態を概略的に示す断面図である。
【図5】蓋部によって収納箱の収納口を塞ぐ状態を概略的に示す斜視図である。
【図6】蓋部によって収納箱の収納口が塞がれた状態を概略的に示す断面図である。
【図7】収納箱から蓋部を取り出した状態を概略的に示す断面図である。
【図8】実施形態2の梱包ケースを概略的に示す斜視図である。
【図9】実施形態2の梱包ケースを閉じた状態を示す断面図である。
【図10】実施形態3の仕切板を概略的に示す斜視図である。
【図11】その他の実施形態の梱包ケースを概略的に示す斜視図である。
【図12】図11のXII−XII線断面を概略的に示す断面図である。
【図13】その他の実施形態の仕切板を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 液晶表示パネル(製品)
10 梱包ケース
11 収納箱
11a 収納口
12 底板
15 横側板(側板)
16 内側蓋板(蓋板)
16a 折込部
16b 押圧部
20 仕切板
20a 突起部(突出部)
20b 突条部(突出部)
21 蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方面に収納口が形成された収納箱と、
上記収納箱の内部に上記収納口に向かって立つように設けられ、互いに対向して配置された複数の仕切板と、
上記収納口を塞ぐ蓋部とを備え、
上記各仕切板の間に板状の製品がそれぞれ収納される梱包ケースであって、
上記各仕切板は、上記蓋部によって上記収納口側の側面が押圧されることで厚くなるように弾性を有している
ことを特徴とする梱包ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包ケースにおいて、
上記各仕切板の表面には、複数の突出部が設けられている
ことを特徴とする梱包ケース。
【請求項3】
請求項1に記載の梱包ケースにおいて、
上記各仕切板は、軟質ウレタンフォームによって形成されている
ことを特徴とする梱包ケース。
【請求項4】
請求項1に記載の梱包ケースにおいて、
上記収納箱は、矩形状の底板と、該底板の互いに対向する一対の辺から該底板に対して直立するように設けられた一対の側板とを有し、
上記各仕切板は、上記一対の側板の間に配置され、上記各側板にそれぞれ当接している
ことを特徴とする梱包ケース。
【請求項5】
請求項1に記載の梱包ケースにおいて、
上記蓋部は、上記収納箱とは別個に設けられて上記収納箱の内側に落とし込まれる落とし蓋によって構成されている
ことを特徴とする梱包ケース。
【請求項6】
請求項1に記載の梱包ケースにおいて、
上記蓋部は、上記収納箱と一体に形成されて上記収納口の周縁から延びる蓋板によって構成されている
ことを特徴とする梱包ケース。
【請求項7】
請求項1に記載の梱包ケースにおいて、
上記各製品は、液晶表示パネルである
ことを特徴とする梱包ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−280261(P2009−280261A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135504(P2008−135504)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】