説明

梱包体

【課題】厚さの異なる被梱包物を、同一形状の収容保持部材を用いて両側から梱包することにより、該被梱包物を厚さ方向に安定して保持することができる梱包体を提供する。
【解決手段】一方向に沿って連続的又は段階的に厚みが異なる被梱包物50の両側を収容保持する一対の収容保持部材3A,3Aを有する梱包体1Aであって、各収容保持部材3Aには、被梱包物50の厚みの異なる方向に沿って、被梱包物50を収容保持する同一形状の収容凹部31が形成されており、収容凹部31には、被梱包物50を押さえる第一及び第二の押さえ部が突出して形成されており、収容保持部材3Aの収容凹部31に被梱包物50の一方側を収容したときに、第一の押さえ部32Aは、被梱包物50の厚肉部分50aを押さえ、第二の押さえ部33Aは、被梱包物50の薄肉部分50bを押さえ、収容保持部材3Aの収容凹部31に被梱包物50の他方側を収容したときに、少なくとも第一の押さえ部32Bが、被梱包物50の厚肉部分50aを押さえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向に沿って連続的又は段階的に厚みが異なる被梱包物の両端を、一対の収容保持部材で好適に梱包することができる梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用部品等の機械部品(被梱包物)は、梱包体によって梱包されて搬送される。例えば、ボンネットなどの平板状の被梱包物を梱包する際には、少なくとも被梱包物の四隅部を収容するための収容凹部が形成された複数の収容保持部材を梱包体とし、これを用いて、被梱包物を梱包している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、平板状の被梱包物が、前後方向の中心軸に対して左右対称の形状である場合には、この形状に合わせて、左右対称の一対の収容保持部材が製作される。そして、前後の隅部の形状が異なる場合には、前隅部用の一対の収容保持部材と、後隅部用の一対の収容保持部材がそれぞれ製作される。この場合は、異なる形状の収容保持部材は、少なくとも4種類製作されることになる。
【0004】
このように、被梱包物の前後左右の形状が異なる場合には、この形状に応じた複数の収容保持部材を複数個製作して、これら収容保持部材を用いて梱包することにより、被梱包物を安定して保持し、搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−30589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示す梱包体を用いた場合には、前隅部用の一対の収容保持部材と、後隅部用の一対の収容保持部材により、被梱包物を梱包するので、これらの4つの収容保持部材の配置位置は、一義的に決定される。従って、梱包時に、被梱包物の前後方向の位置が反転(上下方向に沿った軸周りに180°回転)した場合、これらの各収容保持部材に被梱包物の隅部を収容することができないことがある。
【0007】
このような点を鑑みると、被梱包物の前後方向に沿った左右両側の端部を収容するように、同一の収容凹部が形成された一対の収容保持部材を用いて、被梱包物を収容することが好ましい。しかしながら、右側端部を収容する収容凹部が形成された収容保持部材を用いて、この収容凹部に左側端部をも収容させなければならないので、収容凹部は、右側、左側の双方の端部の形状を含む形状にしなければならない。この結果、収容凹部は、一方側の配置において必要以上の大きさとなり、収容凹部と被梱包物との間には隙間が発生してしまう。特に、一方向に沿って厚みが異なる被梱包物を両側から梱包する場合、その厚みの差が大きくなればなるほど、厚さ方向の隙間はさらに増大し、梱包体内に被梱包物を厚さ方向に安定して保持することができないおそれがある。
【0008】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、たとえ厚みが異なる被梱包物を梱包する場合であっても、被梱包物の梱包位置の反転の如何にかかわらず、両側から被梱包物を梱包し、被梱包物を少なくとも厚さ方向に安定して保持することができる梱包体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明に係る梱包体は、一方向に沿って連続的又は段階的に厚みが異なる被梱包物の両側を収容保持する一対の収容保持部材を有する梱包体であって、前記各収容保持部材には、前記被梱包物の厚みの異なる方向に沿って、前記被梱包物を収容保持する同一形状の収容凹部が形成されており、前記収容凹部には、前記被梱包物を押さえる第一及び第二の押さえ部が突出して形成されており、前記収容保持部材の収容凹部に前記被梱包物の一方側を収容したときに、前記第一の押さえ部は、前記被梱包物の厚肉部分を押さえ、前記第二の押さえ部は、前記被梱包物の薄肉部分を押さえ、前記収容保持部材の収容凹部に前記被梱包物の他方側を収容したときに、少なくとも前記第一の押さえ部が、前記被梱包物の厚肉部分を押さえることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、被梱包物の両側に、同一形状の収容凹部が形成された2つの収容保持部材を配置して、被梱包物を梱包したときに、双方に形成された第一の押さえ部により、両側の2つの箇所において被梱包物の厚肉部分を押さえることができる。さらに、2つの収容保持部材のうち少なくとも一方の収容保持部材の第二の押さえ部により、少なくとも一方側において被梱包物の薄肉部分を押さえることができる。
【0011】
このように、梱包時には、被梱包物は、両側における厚肉部分の2箇所と、一方側における薄肉部分の1箇所の、少なくとも計3箇所で、押さえられる。これにより、たとえ、被梱包物と梱包体との間の厚さ方向の隙間が発生したとしても、被梱包物は、少なくとも3箇所で押さえられるので、被梱包物の厚さ方向の移動を拘束し、被梱包物を安定して保持することができる。
【0012】
また、各収容保持部材には、同一形状の収容凹部が形成されているので、被梱包物の収容方向を気にする必要が無くなり、梱包時の作業性が向上する。さらに、収容保持部材そのものの形状も同一形状にすることも可能であるので、梱包体の資材管理が容易となる。
【0013】
なお、本発明でいう、被梱包物の厚肉部分及び薄肉部分とは、被梱包物全体形状として、相対的にその厚い部分と、薄い部分とを指し示すものであり、例えば、被梱包物が容器である場合であっても、その容器の肉厚を指し示すものではない。
【0014】
さらに、このような第二の押さえ部は、前記収容保持部材の収容凹部に前記被梱包物の一方側を収容したときに、前記薄肉部分の縁部を押さえることがより好ましい。本発明によれば、第二の押さえ部が、前記薄肉部分の縁部を押さえるので、第二の押さえ部の突出量は、少なくてよい。これにより、前記収容保持部材の収容凹部に前記被梱包物の他方側を収容したときに、第二の押さえ部が、被梱包物の厚肉部分側に配置された場合であっても、第二の押さえ部と被梱包物の厚肉部分との隙間を小さくすることができる。
【0015】
また、このような収容保持部材は一体成形されてもよく、例えば分割して成形されてもよい。一体成形した場合には、1種類の形状の収容保持部材を2つ用いて被梱包物を梱包することができる。この場合、各収容保持部材を被梱包物の両側から移動させて、各収容保持部材を配置することにより、被梱包物を梱包することができる。
【0016】
一方、収容保持部材を分割して成形する場合には、好ましくは、前記収容保持部材は、第一の収容凹部が形成された第一の収容部材と、第二の収容凹部が形成された第二の収容部材とからなり、前記第一の収容部材及び第二の収容部材を、前記被梱包物を挟持するように配置したときに、前記第一及び第二の収容凹部により形成された前記収容凹部に、前記被梱包物が収容されるものであり、前記第一の押さえ部は、第一の収容凹部に形成され、前記被梱包物を挟持するように配置したときに、前記第二の押さえ部は、前記第一の収容部材のうち、前記第二の収容部材に隣接する部分に形成されていることがより好ましい。
【0017】
本発明によれば、第一及び第二の収容部材を用いて被梱包物を挟持するように収容することができる。この際に、第一の収容部材の第一の押さえ部が被梱包物の厚肉部分を押さえ、さらに、第二の第二押さえ部は、被梱包物の薄肉部分を押さえることができる。
【0018】
ここで、2つの収容保持部材のうち少なくとも一方の収容保持部材の第二の押さえ部を突出させた場合には、一方の収容保持部材は、薄肉部分を押さえることができるが、他方の収容保持部材の収容凹部が一方の収容保持部材のものと同一形状であるため、他方の収容保持部材の第二の押さえ部は、被梱包物の厚肉部分に隣接した側面に対向するように配置されることになる。
【0019】
したがって、この配置状態を考慮した場合、本発明に係る梱包体は、前記収容保持部材の収容凹部を前記被梱包物の他方側に収容したときに、前記第二の押さえ部は、前記厚肉部分に隣接した前記一方向側の端面を押さえるように突出していることがより好ましい。
【0020】
このように、梱包時には、第二の押さえ部が、被梱包物の他方側において厚肉部分に隣接した側面を押さえるので、さらに前記一方向に沿った被梱包物の移動を拘束し、被梱包物をさらに安定して保持することができる。
【0021】
また、一対の梱包体で梱包できる被梱包物の個数は、特に限定されるものではなく、この被梱包物の個数に応じて、収容保持部材に複数の収容凹部を形成すればよい。しかしながら、より好ましくは、前記収容保持部材は、前記被梱包物を一直線上に並列させて梱包するように、前記収容凹部の両側に同じ形状の前記被梱包物を傾斜させて、収容保持するための傾斜収容凹部がさらに形成されている。
【0022】
本発明によれば、傾斜収容凹部を設けることにより、被梱包物同士を接触させることなく、積載効率を向上させることができる。特に被梱包物の前後方向に、ホース、ワイヤ等の突出物が取り付けられている場合には、被梱包物同士が相対的に傾斜しているので、これら突出物を避けて、これらの被梱包物を梱包することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、厚みが異なる被梱包物を両側から梱包する場合であっても、被梱包物の梱包位置の反転の如何にかかわらず、両側から被梱包物を梱包し、被梱包物を少なくとも厚さ方向に安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一実施形態に係る梱包体と被梱包物とを示す模式的斜視図。
【図2】図1に示す被梱包物を梱包体で梱包した状態を説明する模式図であり、(a)は、梱包状態を右側から左側を見た斜視図、(b)は、梱包状態を左側から右側を見た斜視図、(c)は、収容保持部材と被梱包物との配置状態を示した側面図。
【図3】本発明の第二実施形態に係る梱包体と被梱包物とを示す模式的斜視図。
【図4】図3に示す梱包体で被梱包物を梱包する方法を説明するための模式的斜視図。
【図5】図3に示す被梱包物を梱包体で梱包した状態を説明する模式図であり、(a)は、梱包状態を右側から左側を見た斜視図、(b)は、梱包状態を左側から右側を見た斜視図、(c)は、収容保持部材と被梱包物との配置状態を示した側面図。
【図6】本発明の第三実施形態に係る梱包体で被梱包物を梱包した状態を説明する模式図であり、(a)は、梱包状態を左側から右側を見た斜視図、(b)は、収容保持部材と被梱包物との配置状態を示した側面図。
【図7】本発明の第三実施形態に係る梱包体で別の形状の被梱包物を梱包した状態を説明する模式的斜視図。
【図8】本発明の第四実施形態に係る梱包体で3つの被梱包物を梱包した状態を説明する模式図であり、(a)は、梱包状態を上側から見た上面図、(b)は、収容保持部材と被梱包物との配置状態を示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面に基づき、本発明に係る4つの実施形態を説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る梱包体と被梱包物とを示す模式的斜視図であり、図2は、図1に示す被梱包物を梱包体で梱包した状態を説明する模式図であり、(a)は、梱包状態を右側から左側を見た斜視図、(b)は、梱包状態を左側から右側を見た斜視図、(c)は、収容保持部材と被梱包物との配置状態を示した側面図である。なお、以下の詳細な説明及び図面には、前方向F,後方向B,左方向L,右方向R,上方向U,及び下方向Dの座標を示している。
【0026】
まず、本実施形態に係る梱包体1Aにより梱包される被梱包物50について、説明する。被梱包物50は、上面に段差が形成された略直方体状の形状であり、一方向(前後方向)に沿って段階的に厚みが異なっている。具体的には、被梱包物50には、底面から高さの異なる2つの上面からなる高上面51と低上面52とが形成され、高上面51を含む部分が厚肉部分50aであり、低上面52を含む部分が薄肉部分50bとなる。
【0027】
高上面51は、左右方向に沿って延在しており、低上面52も同様に、延在している。また、高上面51と低上面52とは、前後方向に並んで形成されており、本実施形態の場合には、前方向F側に薄肉部分50bの低上面52が、後方向B側に厚肉部分50aの高上面51に形成されている。また、高上面51に隣接する後側には、後方側面54が形成されており、さらに低上面52に隣接する前側には、前方側面55が形成さている。左右両側には、左側面57及び右側面58が形成されている。
【0028】
梱包体1Aは、このような形状の被梱包物50を梱包する。具体的には、梱包体1Aは、梱包物50を収容して保持する、2つの一対の同一形状の収容保持部材3Aを備えている。収容保持部材3Aは、任意の発泡樹脂成形体で一体成形により製作することができ、その材質としては、熱可塑性樹脂の発泡成形体であることが好ましい。熱可塑性樹脂には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などが挙げられる。なかでもポリオレフィン系樹脂を発泡させたものがより好ましく、発泡倍率は、50倍程度である。この種の樹脂は、リサイクル性に長けて経済的であり、さらには他の樹脂に比べて、発泡時の緩衝性に優れかつ軽量である。
【0029】
そして、各収容保持部材3Aには、被梱包物50の厚みの異なる方向(前後方向)に沿って、被梱包物50の左右両側のいずれの端部57a,58a(左右側面57,58を含む端部)も収容することができる同一形状の収容凹部31が形成されている。さらに、収容凹部31の上方の壁面には、被梱包物50の左右両側の端部57a,58bに収容保持部材3A,3Aを配置したときに、左右両面において厚肉部分50aの高上面51を押さえるように、下方向Dに突出した2つの第一の押さえ部32A,32Bが、前後方向に並んで形成されている(図2参照)。
【0030】
収容保持部材3Aの収容凹部31を、被梱包物50の左側に収容したときには、第一の押さえ部32Aにより、左側の厚肉部分50aの高上面51を押さえることができる。また、この収容保持部材3Aを上下方向の軸周りに反転させて、被梱包物50の右側に配置したときには、第一の押さえ部32Bにより、右側における厚肉部分50a高上面51を押さえることができる。なお、ここでは、2つの第一の押さえ部32A,32Bは、離間して配置されていたが、第一の押さえ部は、前後方向にこれらが連続するように、下方向に突出した1つの押さえ部としてもよい。
【0031】
さらに、収容凹部31の側壁には、被梱包物50の左右一方側において薄肉部分50bの低上面52の少なくとも縁部52aを押さえるように前後方向に突出した第二の押さえ部33A,33Bが形成されている。
【0032】
具体的には、被梱包物50の左側において、第二の押さえ部33Aは、後方向Bに突出し、第二の押さえ部33Bは、前方向Fに突出している。一方、被梱包物50の右側において、第二の押さえ部33Bは、後方向Bに突出し、第二の押さえ部33Aは、前方向Fに突出している。そして、被梱包物50の左側の端部に、収容保持部材3Aを配置したとき(被梱包物50の左側端部を収容凹部31に収容したとき)には、第二の押さえ部33Aが、薄肉部分50b低上面52の少なくとも縁部52aを前方向F側から押さえることができる。一方、被梱包物50の右側の端部に、収容保持部材3Aを配置したとき(被梱包物50の右側端部を収容凹部31に収容したとき)には、第二の押さえ部33Bが、薄肉部分50bの低上面52の少なくとも縁部52aを前方向F側から押さえることができる。
【0033】
なお、図2(c)に示すように、収容保持部材3Aを被梱包物50の右側に配置したときには、第二の押さえ部33Aは、被梱包物50の右側において、後方側面54に対向することになる。また、収容保持部材3Aを被梱包物50の左側に配置したときも、同様に第二の押さえ部33Bが後方側面54に対向する。
【0034】
このような梱包体1Aを用いて、被梱包物50を梱包する。具体的には、図1に示すように、2つの収容保持部材3A,3Aを左右方向の外側から被梱包物50に向かって移動させ、収容凹部31に端部57a,58aが収容されるように、収容保持部材3A,3Aを配置する。これにより被梱包物50を梱包することができる。
【0035】
収容保持部材3Aには、第一及び第二の押さえ部32A,32B,33A,33Bを設けられているので、被梱包物50は、左右両側における厚肉部分50aの高上面51の2箇所と、左右一方側における薄肉部分50bの低上面52の2箇所の、計4箇所で、押さえられる。これにより、被梱包物50と梱包体1Aとの間の上下方向に部分的な隙間が発生したとしても、被梱包物50は、少なくとも上面の3箇所以上(4箇所)で押さえられるので、被梱包物50の上下方向の移動を拘束し、これを安定して保持することができる。
【0036】
なお、ここでは、第二の押さえ部33A,33B双方が形成されるように、収容凹部31を形成したが、第一の押さえ部32A,32Bが厚肉部分50aの高上面51の2箇所を押さえているので、第二の押さえ部は、少なくとも一方形成されていればよい。
【0037】
また、同一形状の収容凹部31が形成された収容保持部材3A,3Aにより、被梱包物50を梱包することができるので、被梱包物50を上下方向に沿った軸周りに、前後を反転させた場合であっても、被梱包物50を容易に梱包することができる。これにより、梱包方向を気にせずに、被梱包物50を梱包することができるので、梱包時の作業性が向上する。さらに、収容凹部31以外の部分も含め収容保持部材3A,3Aの全体の形状を同一形状にしたので、梱包体1Aの資材管理が容易となる。
【0038】
図3は、本発明の第二実施形態に係る梱包体と被梱包物とを示す模式的斜視図であり、図4は、図3に示す梱包体で被梱包物を梱包する方法を説明するための模式的斜視図である。また、図5は、図3に示す被梱包物を梱包体で梱包した状態を説明する模式図であり、(a)は、梱包状態を右側から左側を見た斜視図、(b)は、梱包状態を左側から右側を見た斜視図、(c)は、収容保持部材と被梱包物との配置状態を示した側面図である。
【0039】
第二実施形態が、第一実施形態と相違する点は、収容保持部材として、上下に分割された収容保持部材を用いた点である。従って、第一実施形態と同じ機能を有する部分に関しては、第一実施形態の符号と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図3に示すように、梱包体1Bの収容保持部材3Bは、上側収容部材(第一の収容部材)3aと、下側収容部材(第二の収容部材)3bとからなる。上側収容部材3aは、被梱包物50のうち、低上面52よりも上側を収容する上側収容凹部(第一の収容凹部)31aが形成されている。また、下側収容部材3bは、被梱包物50の低上面52よりも下側を収容する下側収容部(第二の収容凹部)31bが形成されている。そして、上側収容部材3aと下側収容部材3bとが被梱包物50を挟持するように対向配置することにより、上側収容凹部31aと下側収容凹部31bとにより収容凹部31が形成される(図5(c)参照)。
【0041】
上側収容凹部31aには、第一実施形態と同様の位置に、第一の押さえ部32A,32Bが形成されている。また、第二の押さえ部33A,32Bは、対向配置により収容保持部材3Bとしたときに、上側収容部材3aのうち、下側収容部材3bに隣接する部分(接触する部分)において、前後方向に突出するように形成されている(図5(a)〜(c)参照)。
【0042】
このような梱包体1Bを用いて、被梱包物50を梱包する。具体的には、まず、図4に示すように、同一形状の一対の下側収容部材3bを配置し、下側収容凹部31bに被梱包物50の下側の左右両側が収容されるように被梱包物50を載置する。次に、下方向Dに向かって被梱包物50の上側を収容するように、上側収容部材3aを下側収容部材3bに対向配置させて、上側収容部材3aと下側収容部材3bとにより被梱包物50を挟持する。
【0043】
この結果、図5(a)〜(c)に示すように、上側収容部材3aに形成された第一の押さえ部32A,32Bにより、厚肉部分50aの高上面51を押さえることができる。さらに、第二押さえ部33は、下側収容部材3bに対向して隣接する部分に形成されているので、上側収容部材3aの上方向Uから被梱包物50を挟持するように配置したときに、薄肉部分50bの低上面52を押さえることができる。なお、第二の押さえ部33のうち低上面52と接触する接触面が、梱包時に上側からの外力により僅かに変形するように、下方向Dに張り出していてもよい。この場合、被梱包物が梱包された梱包体を積み重ねたときに、上段の梱包体及び被梱包物の自重によりこの部分が被梱包物と接触して変形するので、より確実に薄肉部分50bの低上面52を押さえることができる。
【0044】
図6は、本発明の第三実施形態に係る梱包体で被梱包物を梱包した状態を説明する模式図であり、(a)は、梱包状態を左側から右側を見た斜視図、(b)は、収容保持部材と被梱包物との配置状態を示した側面図である。図7は、本発明の第三実施形態に係る梱包体で別の形状の被梱包物を梱包した状態を説明する模式図である。なお、本実施形態は、第二実施形態をさらに変更したものである。
【0045】
具体的には、第三実施形態が、第二実施形態と相違する点は、第二の押さえ部の形状である。従って、第二実施形態と同じ機能を有する部分に関しては、第二実施形態の符号と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
図6(a),(b)に示すように、梱包体1Cによる梱包時に、被梱包物50の左右一方側の端部に収容保持部材3Cを配置したときに、収容保持部材3Cの収容凹部31に形成された第二の押さえ部33C(33D)は、左右一方側において薄肉部分50bの低上面52の少なくとも縁部52aを押さえるように、後方向Rに向かって突出している。さらに、被梱包物50の左右他方側の端部に収容保持部材3Cを配置したときに、この第二の押さえ部33C(33D)は、左右他方側において厚肉部分50aの高上面51に隣接した後方側面(厚肉部分の厚みの異なる方向(前後方向)に対して形成された端面)54を押さえるように、前方向Fに向かって突出している。
【0047】
このように、第二の押さえ部33C,33Dが、左右両側において高上面51に隣接した後方側面(厚肉部分の厚みの異なる方向(前後方向)に対して形成された端面)54を押さえるので、さらに被梱包物50の前後方向の移動を拘束し、被梱包物50をさらに安定して保持することができる。
【0048】
また、図7に示すように、例えば、右側端部において幅が狭くなるように、前側面の右側が傾斜した被梱包物50’を梱包する場合であっても、左側前方部である薄肉部分50bの低上面52’の縁部52a’を、第二押さえ部33Cで押さえることができるので、上面の少なくとも3箇所を押さえることができる。さらに、右後方側の後方側面(厚肉部分の厚みの異なる方向(前後方向)に対して形成された端面)54’を、第二押さえ部33Cにより押さえることができる。
【0049】
ここでは、第二の押さえ部33C,33D双方が形成されるように、収容凹部31を形成したが、第一実施形態で述べたのと同様に、第二の押さえ部は、少なくとも一方に形成されていてもよい。
【0050】
図8は、本発明の第四実施形態に係る梱包体で3つの被梱包物を梱包した状態を説明する模式図であり、(a)は、梱包状態を上側から見た上面図、(b)は、収容保持部材と被梱包物との配置状態を示した側面図である。なお、本実施形態は、第三実施形態をさらに変更したものである。
【0051】
具体的には、第四実施形態が、第三実施形態と相違する点は、収容保持部材に形成された収容凹部の数と、被梱包物の形状である。従って、第二実施形態と同じ機能を有する部分に関しては、第二実施形態の符号と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図8に示すように、本実施形態に係る梱包体1Dは、図1に示す被梱包物50に、例えばホースやワイヤなどの突出物61が取り付けられた被梱包物60を、一直線上に並列させて3つ梱包するための梱包体である。
【0053】
具体的には、収容保持部材3Dは、第三実施形態で示した収容凹部31が形成された前後両側において、収容凹部31に収容された被梱包物60に対して、同じ被梱包物60を傾斜させて収容するための傾斜収容凹部38,38が形成されている。より、具体的には、各傾斜収容凹部38,38は、収容凹部31に収容された被梱包物60に対して、前後方向上側に、各傾斜収容凹部38,38に収容した被梱包物60が傾斜するように、形成されている。さらに、収容保持部材3Dの上側収容部材3cと下側収容部材3dとは、前後方向の中央において、分割可能なようになっている。
【0054】
このような梱包体1Dによれば、傾斜収容凹部38,38を設けることにより、被梱包物60同士を接触させることなく、積載効率を向上させることができる。また、中央において収容凹部31を設けているため、被梱包物60の収容方向を気にする必要がなく、梱包作業の効率も向上させることができる。
【0055】
以上、本発明の4つの実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0056】
例えば、これらの実施形態では、第二の押さえ部は、薄肉部分の低上面の縁部を押さえるように形成されているが、さらに前後方向に突出させて、この部分を含む面を押さえるように形成してもよい。また、前記の実施形態に係る梱包体に収容された被梱包物を段積みして、梱包体としてもよい。さらに、本実施形態では、一方向(前後方向)に沿って段階的に厚みが異なっている、段差が形成された被梱包物を用いたが、厚みが異なるようなものであれば、段階的に厚みが異なるものばかりでなく、例えば、高上面と低上面とを繋ぐ傾斜面が形成された上面を有する、連続的に厚みが異なる被梱包物であっても、この形状に合わせて梱包体を製作すれば、上記した効果と同様の効果が得られることは勿論である。
【0057】
また、本発明及び4つの実施形態では、前方向,後方向,左方向,右方向,上方向,及び下方向を示したが、これらは、被梱包の使用時における方向を意味するものではなく、便宜的に示した方向である。従って、本発明が、方向の文言に一義的に限定して解釈されるものではなく、各部位の位置関係を満たすものであれば、それらも本発明が示す範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1A〜1D:梱包体、3A〜3D:収容保持部材、3a,3c:上側収容部材、3b,3d:下側収容部材、31:収容凹部、31a:上側収容凹部、31b:下側収容凹部、32A,32B:第一の押さえ部、33A〜33D:第二の押さえ部、50,60:被梱包物、50a:厚肉部分、50b:薄肉部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に沿って連続的又は段階的に厚みが異なる被梱包物の両側を収容保持する一対の収容保持部材を有する梱包体であって、
前記各収容保持部材には、前記被梱包物の厚みの異なる方向に沿って、前記被梱包物を収容保持する同一形状の収容凹部が形成されており、前記収容凹部には、前記被梱包物を押さえる第一及び第二の押さえ部が突出して形成されており、
前記収容保持部材の収容凹部に前記被梱包物の一方側を収容したときに、前記第一の押さえ部は、前記被梱包物の厚肉部分を押さえ、前記第二の押さえ部は、前記被梱包物の薄肉部分を押さえ、
前記収容保持部材の収容凹部に前記被梱包物の他方側を収容したときに、少なくとも前記第一の押さえ部が、前記被梱包物の厚肉部分を押さえることを特徴とする梱包体。
【請求項2】
前記収容保持部材の収容凹部に前記被梱包物の一方側を収容したときに、前記第二の押さえ部は、前記薄肉部分の縁部を押さえることを特徴とする請求項1に記載の梱包体。
【請求項3】
前記収容保持部材は、第一の収容凹部が形成された第一の収容部材と、第二の収容凹部が形成された第二の収容部材とからなり、前記第一の収容部材及び第二の収容部材を、前記被梱包物を挟持するように配置したときに、前記第一及び第二の収容凹部により形成された前記収容凹部に、前記被梱包物が収容されるものであり、
前記第一の押さえ部は、第一の収容凹部に形成され、前記被梱包物を挟持するように配置したときに、前記第二の押さえ部は、前記第一の収容部材のうち、前記第二の収容部材に隣接する部分に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の梱包体。
【請求項4】
前記収容保持部材の収容凹部を前記被梱包物の他方側に収容したときに、前記第二の押さえ部は、前記厚肉部分の前記厚みの異なる方向に対して形成された端面を押さえるように突出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の梱包体。
【請求項5】
前記収容保持部材は、前記被梱包物を一直線上に並列させて梱包するように、前記収容凹部の両側には、同じ形状の前記被梱包物を傾斜させて収容保持するための傾斜収容凹部がさらに形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−219135(P2011−219135A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90574(P2010−90574)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】