説明

梱包容器

【課題】 複数個の物品の梱包が可能な梱包容器に容量より少ない数の物品を梱包する場合でも、緩衝充填材の使用を少なくすることができる梱包容器を提供する。
【解決手段】 梱包容器1は3個の物品Gを梱包することができるが、2個の物品Gを梱包する場合には、物品Gを入れる箇所の区画片6は折れ線7の位置で折り曲げることなく伸ばしたままの状態で底板2と上板3との空間Sに物品Gを配置する一方、物品Gを配置しない箇所の区画片6は折れ線7の位置で底板2の上面方向に折り曲げると、その開放端が底板2の上面に係止され、この区画片6により物品Gが配置される場所と配置されない場所とが整然と区画された状態で物品Gが梱包容器1内で固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の物品を区画して梱包する梱包容器である。
【背景技術】
【0002】
梱包容器に物品を梱包する際には、容器と物品と間に隙間が生じることが避けがたい。このため、隙間には物品の保護、跳動防止等の目的から紙くず、発泡スチロール等の緩衝充填材を充填する。特に、複数個の物品を梱包することが可能な容器に、容量より少ない数の物品を梱包する場合には大きな隙間が生じる。例えば、3個入れの梱包容器に2個の物品を梱包しようとする場合には、まるまる物品1個分の大きさが隙間となる。このため、この1個分の隙間を満たす緩衝充填材を充填しなければならないので、余分な緩衝充填材を必要とし、使用後の処分も無駄である。
【特許文献1】特開2003−137272号公報
【特許文献2】特開2003−128145号公報
【特許文献3】特開2005−75388号公報
【0003】
ところで、ごみの減量化、リサイクル、資源の有効利用、省エネルギー等々自然への負荷の減少化が叫ばれている昨今、ごみの増加につながる緩衝充填材の使用量が増加することは好ましいことではない。そこで、上記のような容量より少ない数の物品を梱包する場合にも無用な緩衝充填材の使用は極力避ける必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、複数個の物品の梱包が可能な梱包容器に容量より少ない数の物品を梱包する場合でも、緩衝充填材の使用を少なくすることができる梱包容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、底板と、底板に対向配置され一端が開放端の上板との間に、複数個の物品を区画して梱包可能な梱包容器であって、上記上板の開放端側に、開放端から内方に向けて切断されて物品を区画配置する区画片を形成するとともに、区画片の開放端側が底板方向に折れ曲がる折れ線を形成して構成された。
また、前記底板と上板との間に、区画片を折れ線で折り曲げた際両側から挟み込む仕切板を設けて構成されてもよい。
また、前記区画片の開放端は底上面に係止される位置まで折れ曲がることが好ましい。
さらに、前記区画片は底板と上板との間隔より長尺に形成されることがより好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の梱包容器によれば、例えば3個の物品を梱包できる梱包容器とすると、3個の物品を梱包する場合には、隙間は生じないので、区画片を折れ線の位置で折り曲げることなく伸ばしたままの状態で底板と上板との間に物品を配置し、そのまま梱包するが、2個の物品あるいは1個の物品を梱包する場合には、物品を入れる箇所の区画片は折れ線の位置で折り曲げることなく伸ばしたままの状態で底板と上板との間に物品を配置する一方、物品を配置しない箇所の区画片は折れ線の位置で折り曲げると、その開放端が底板側方向に折れ曲がり、この区画片により物品が配置される場所と配置されない場所とが整然と区画された状態で物品が梱包容器内で固定されることにより、梱包容器内での揺動を防止することができ、区画片が緩衝充填材と同等の機能を果たすので、緩衝充填材を充填する必要がなく、緩衝充填材の使用量を削減することができる。
また、前記底板と上板との間に、区画片を折れ線で折り曲げた際両側から挟み込む仕切板を設けたものは、仕切板により折り曲げた区画片が両側から固定され、区画片及び仕切板との相乗効果により緩衝作用が増加して一層物品の揺動が防止されて梱包できるばかりでなく、不定形の物品でも安定した状態に梱包することができるので、緩衝充填材を充填する必要がなく、緩衝充填材の使用量を削減することができる。
また、前記区画片の開放端は底上面に係止される位置まで折れ曲がるものは、折れ曲げた区画片が底板に係止されて安定するので、梱包容器内での物品の固定が強化される。
さらに、前記区画片は底板と上板との間隔より長尺に形成されたものは、折れ曲げた区画片と底板との係止がより確実になり、梱包容器内での物品の固定がより一層強化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0008】
梱包容器1は3個の同じ大きさの箱体の物品Gを梱包するために1枚の厚紙により構成されたものであり、底板2と上板3とは組立て後に対向配置される位置に形成されており、この底板2と上板3との空間Sに物品Gを挟んだ状態で梱包する。
【0009】
底板2には折れ線2Aを介して側板4が連設され、側板4には折れ線4Aを介して上板3が連設されている。
【0010】
上板3は一端、すなわち折れ線4Aとは反対側の他端が開放端に形成されており、この開放端から内方、すなわち、折れ線4Aの方向に向けて切断線5、5により切断されて物品Gの大きさに合わせた大きさの区画片6、6、6が形成されている。
【0011】
また、上板3は、区画片6、6、6の基端側に区画片6、6、6の開放端が底板2の上面に係止される位置まで折れ曲がる折れ線7が形成されている。
【0012】
特に、本実施例の場合においては、区画片6、6、6の長さLは組立後の梱包容器1の底板2と上板3との上下間Lsより長尺に形成されており、折れ線7の位置で折り曲げると、図4に示すように、底板2と上板3との空間S内に傾斜した状態で係止されるように設定されている。
【0013】
また、底板2には折れ線2Bを側板8が連設され、側板8には折れ線8Bを介して蓋板9が連設されている。この蓋板9は組立て後の梱包の際には、上記上板3の上部に重ねて配置される。
【0014】
10、10は折れ線2C、2Cを介して底板2に連設する側板、11、11は折れ線4C、4Cを介して側板4に連設する側板、12、12は折れ線8C、8Cを介して側板8に連設する側板、13、13は折れ線9C、9Cを介して蓋板9に連設する側板である。
【0015】
また、14は蓋板9の開放端に形成された閉鎖係止片、15は折れ線4Aの位置に形成された閉鎖係止孔であり、梱包終了時に閉鎖係止片14を閉鎖係止孔15に挿入することにより、梱包容器1が閉鎖係止される。
【0016】
かかる構成において、まず、3個分の物品Gを梱包容器1に梱包する場合には、隙間は生じないので、区画片6、6、6を折れ線7の位置で折り曲げることなく伸ばしたままの状態で底板2と上板3との間に物品Gを配置し、そのまま梱包する。
【0017】
次に、2個の物品Gを梱包する場合には、物品Gを入れる箇所の区画片6は折れ線7の位置で折り曲げることなく伸ばしたままの状態で底板2と上板3との空間Sに物品Gを配置する一方、物品Gを配置しない箇所の区画片6は折れ線7の位置で底板2の上面方向に折り曲げると(図4参照)、その開放端が底板2の上面に係止され、この区画片6により物品Gが配置される場所と配置されない場所とが整然と区画された状態で物品Gが梱包容器1内で固定される、すなわち、折れ線7の位置で折り曲げた区画片6により梱包容器1内での移動が防止され、区画片6が緩衝充填材と同等の機能を果たすことになる。
【0018】
物品Gを配置した後は、各側板8、10、11、12、13をそれぞれの折れ線8C、2C、4C、9Cを折り曲げて組立て、ついで折れ線8Bにより折り曲げて蓋板9を上板2の上面に重ね、閉鎖係止片14を閉鎖係止孔15に係止し、さらに、適宜箇所を接着テープ等で固定することにより、梱包が完了する。
【0019】
なお、折り曲げた区画片6の底板2との係止をさらに確実にするためには、折り曲げた区画片6を接着テープにより固定したり、あるいは図4に示すように、緩衝充填材Fを充填してもよい。この緩衝充填材Fを充填する場合でも、底板2と上板3との空間S全域に充填することなく、上板3の開放端側の空間S1にのみ充填すればよいので、緩衝充填材Fの使用量を削減できる。
【0020】
また、上記実施例では、区画片6、6、6の長さLは組立後の梱包容器1の底板2と上板3との上下間Lsより長尺に形成したものを示したが、同尺のもの、あるいは短尺のものでもよく、要は、折れ線7の位置で折り曲げれて、物品Gが配置される場所と配置されない場所とが整然と区画された状態で物品Gが梱包容器1内で固定され、梱包容器1内での揺動が防止されるものであればよい。
【0021】
また、本発明は表裏を逆にしてリバーシブルに使用することができるものであり、表裏の色、模様等を替えることにより、物品毎に異なる梱包容器に兼用する等適宜場合に応じて使用することができる。
【0022】
図5及び図6は他の実施例を示す。
【0023】
このものは、底板2と上板3との間に、折れ線7で折り曲げた区画片6を両側から挟み込む仕切板21を設けたものである。
【0024】
仕切板21は梱包容器1とは別の厚紙によりコ字状に形成されており、上記底板
2に接する底部21aと、底部21aの両端に折れ線21b、21bを介して上板3に接する位置まで起立形成される側部21c、21cとから構成されている。
【0025】
この仕切板21は底板2と上板3との間で、側板21b、21bが折れ線7で折り曲げられた区画片6(図では中央)を両側から挟み込むことにより、仕切板21により折り曲げられた区画片6が両側から固定されることになる。これにより一層物品Gの揺動が防止されて梱包されるばかりでなく、不定形の物品でも安定した状態に梱包することができる。すなわち、区画片6と仕切板21との相乗効果により緩衝作用が増加し、緩衝充填材を入れない又はその充填量を減少させても緩衝効果に優れるので、緩衝充填材の使用量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】2個の物品を梱包した状態を示す梱包容器の全体斜視図である。
【図2】梱包容器の展開図である。
【図3】2個の物品の梱包途中を示す梱包容器の平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】仕切板の全体斜視図である。
【図6】仕切板を梱包容器内部に配置した側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 梱包容器
2 底板
3 上板
5 区画線
6 区画片
7 折れ線
21 仕切板
21a 底部
21c 側部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、底板に対向配置され一端が開放端の上板との間に、複数個の物品を区画して梱包可能な梱包容器であって、上記上板の開放端側に、開放端から内方に向けて切断されて物品を区画配置する区画片を形成するとともに、区画片の開放端側が底板方向に折れ曲がる折れ線を形成して構成されたことを特徴とする梱包容器。
【請求項2】
前記底板と上板との間に、区画片を折れ線で折り曲げた際両側から挟み込む仕切板を設けたことを特徴とする請求項1記載の梱包容器。
【請求項3】
前記区画片の開放端は底上面に係止される位置まで折れ曲がることを特徴とする請求項1又は2記載の梱包容器。
【請求項4】
前記区画片は底板と上板との間隔より長尺に形成されたことを特徴とする請求項3記載の梱包容器。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−22599(P2007−22599A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207923(P2005−207923)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(594179775)株式会社鋭光グラフィックアーツ (1)
【Fターム(参考)】