説明

梱包用トレイ

【課題】緩衝部材や、この緩衝部材の移動を防止するための段ボール板を不要とし、緩衝部を一体に備え被梱包物の下端は勿論のこと、上端も保護できるようにした梱包用トレイを提供する。
【解決手段】角部が切除された形の平面形状がほぼ八角形に近い形の被梱包物を受ける梱包用トレイであって、段ボール板からなり、平面形状が方形の板部1と、この板部1の1組の対向側辺に連設された4重壁構造の側壁部3,3と、前記板部1の他の1組の対向側辺に連設された4重壁構造の側壁部4,4とから構成され、前記板部1のコーナー隅部には隣り合う側壁部3,4間で斜めに罫線19が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば天井埋め込み型のエアコン室内機などの大型の被梱包物を梱包するために使用される梱包用トレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から天井埋め込み型のエアコン室内機などの大型の被梱包物を梱包するために特許文献1に開示されているようなトレイ状の下部包装部および上部包装部と、下部包装部の4辺に沿う内側隅部に配設される紙管で作られた緩衝部材と、この緩衝部材の移動を防止するための段ボール板とからなる包装装置が知られている。
【特許文献1】特開平11−79162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載の包装装置は被梱包物の下端を保護するためにトレイ状の下部包装部とは別に紙管で作られた緩衝部材と、この緩衝部材の移動を防止するための段ボール板を用いており、その分部品点数が多くなり、コストアップなどに繋がるという問題があった。
【0004】
また、被梱包物の上端を保護するために上部包装部に上記と同様の緩衝部材と、この緩衝部材の移動を防止するための段ボール板をセットしようとしても緩衝部材を上部包装部に接着剤などで固定しない限り不可能であるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、従来使用されていた緩衝部材や、この緩衝部材の移動を防止するための段ボール板を不要とし、緩衝部を一体に備え被梱包物の下端は勿論のこと、上端も保護できるようにした梱包用トレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の梱包用トレイは、角部が切除された形の平面形状がほぼ八角形に近い形の被梱包物を受ける梱包用トレイであって、段ボール板からなり、平面形状が方形の板部と、この板部の1組の対向側辺に連設された側壁部と、前記板部の他の1組の対向側辺に連設された側壁部とから構成され、前記1組の対向側辺側の各側壁部は前記板部に繋がる外側側壁板部と、この外側側壁板部に繋がる内側側壁板部と、これら外側側壁板部および内側側壁板部の両方に跨り外側側壁板部および内側側壁板部の両端近傍間に外側側壁板部および内側側壁板部の材料を利用して形成された補強用板部とからなり、外側側壁板部の内側に内側側壁板部を折り重ねた状態で内側側壁板部に形成された補強用板部を外側側壁板部に形成された補強用板部の内側に折り重ね、この重ね合わされた2枚の補強用板部を内側側壁板部の内面に折り重ね、補強用板部の下端の爪片を前記板部の1組の対向側辺に沿って形成された係止孔に係止させ得るように構成され、前記外側側壁板部および内側側壁板部の両端には外側側壁板部の内側に内側側壁板部を折り重ねた状態で互いに重なる折り曲げ片が連設されており、前記他の1組の対向側辺側の側壁部は前記板部に繋がる外側側壁板部と、この外側側壁板部に繋がる内側側壁板部とからなり、外側側壁板部と内側側壁板部との間で前記互いに重なる折り曲げ片を挟むように外側側壁板部の内側に内側側壁板部を折り重ね、内側側壁板部の下端の爪片を前記板部の他の1組の対向側辺に沿って形成された係止孔に係止させ得るように構成され、前記板部のコーナー隅部には隣り合う側壁部間で斜めに罫線が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明の梱包用トレイは、搬送中などにおいて梱包用トレイの外側から衝撃が加わった場合、前記1組の対向側辺側の各側壁部は外側側壁板部と、内側側壁板部と、これら外側側壁板部および内側側壁板部の両方に跨り外側側壁板部および内側側壁板部の材料を利用して形成された補強用板部とにより4重壁構造となり、前記他の1組の対向側辺側の各側壁部は間に2枚重ねの折り曲げ片を挟んだ状態の4重壁構造となっているため、側壁部の外部からの側面への衝撃は側壁部で吸収されて被梱包物に伝達されにくく、また角部からの衝撃に対しては梱包用トレイの角部と被梱包物の角部との間に三角形状の空間部が形成されていることと板部のコーナー隅部には隣り合う側壁部間で斜めに罫線が形成されていることにより、梱包用トレイの角部に対し外部から衝撃が加わると梱包用トレイの角部が押し潰されるが被梱包物の角部には衝撃が伝達されにくく、被梱包物の損傷を抑え、保護することができる。このように本発明は、従来使用されていた緩衝部材や、この緩衝部材の移動を防止するための段ボール板が不要となり、4重壁構造の側壁部や角部における三角形状の空間部および板部のコーナー隅部において隣り合う側壁部間で斜めの罫線を備え、被梱包物の下端は勿論のこと、上端も被せることにより保護できるようにした梱包用トレイを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき具体的に説明する。
先ず、図1〜図6に示す第1の実施の形態について説明すると、1は段ボール板からなる梱包用トレイで、この梱包用トレイ1は平面形状が正方形の板部2と、この板部2の1組の対向側辺に連設された側壁部3,3と、前記板部2の他の1組の対向側辺に連設された側壁部4,4とから構成されている。詳しくは、前記1組の対向側辺側の各側壁部3は前記板部2に繋がる外側側壁板部5と、この外側側壁板部5に繋がる内側側壁板部6と、これら外側側壁板部5および内側側壁板部6の両方に跨り外側側壁板部5および内側側壁板部6の両端近傍間に亘って外側側壁板部5および内側側壁板部6の材料を利用して形成された補強用板部7,8とからなり、外側側壁板部5の内側に内側側壁板部6を折り重ねた状態で内側側壁板部6に形成された補強用板部8を外側側壁板部5に形成された補強用板部7の内側に折り重ね、この重ね合わされた2枚の補強用板部7,8を内側側壁板部6の内面に折り重ね、補強用板部7の下端の爪片9を前記板部2の1組の対向側辺に沿って形成された係止孔10に係止させ得るように構成されている。前記外側側壁板部5および内側側壁板部6の両端には外側側壁板部5の内側に内側側壁板部6を折り重ねた状態で互いに重なる折り曲げ片11,11および12,12が連設されている。前記他の1組の対向側辺側の側壁部4,4は前記板部2に繋がる外側側壁板部13と、この外側側壁板部13に繋がる内側側壁板部14とからなり、外側側壁板部13と内側側壁板部14との間で前記互いに重なる折り曲げ片11,11および12,12を挟むように外側側壁板部13の内側に内側側壁板部14を折り重ね、内側側壁板部14の下端の爪片15を前記板部2の他の1組の対向側辺に沿って形成された係止孔16に係止させ得るように構成されている。なお、内側側壁板部14の両端における下端部には小さな突出片17が形成されており、外側側壁板部13の内側に内側側壁板部14を折り重ねたとき、この突出片17が前記内側側壁板部6と折り曲げ片12との繋がり部に形成された切り込み部18に係止させ得るように構成されている。
【0009】
さらに、前記板部2のコーナー隅部には隣り合う側壁部3,4間で斜めに罫線19が形成されている。
上記構成の梱包用トレイ1の板部2上には図5に示すように天井埋め込み型のエアコン室内機などの角部が切除された形の平面形状がほぼ八角形に近い形の大型の被梱包物20が載置され、その後被梱包物20の上に梱包用トレイ1を上下逆さにした状態で被せ、梱包用バンド21で締結して図6に示すように梱包が完了する。なお、板部2の上に被梱包物20が載置された状態において前記罫線19は被梱包物20の角部が切除されたテーパー部分より僅かに外側に位置するように構成されている。
【0010】
かかる図6に示す梱包状態で、搬送中などにおいて梱包用トレイ1の外側から衝撃が加わった場合、前記1組の対向側辺側の各側壁部3は外側側壁板部5と、内側側壁板部6と、これら外側側壁板部5および内側側壁板部6の両方に跨り外側側壁板部5および内側側壁板部6の材料を利用して形成された補強用板部7,8とにより4重壁構造となり、前記他の1組の対向側辺側の各側壁部4は間に2枚重ねの折り曲げ片11,11および12,12を挟んだ状態の4重壁構造となっているため、側壁部3や側壁部4の外部からの側面への衝撃は側壁部3や側壁部4で吸収されて被梱包物20に伝達されにくく、また角部からの衝撃に対しては梱包用トレイ1の角部と被梱包物20の角部との間に三角形状の空間部が形成されていることと板部2のコーナー隅部には隣り合う側壁部3,4間で斜めに罫線19が形成されていることにより、梱包用トレイ1の角部に対し外部から衝撃が加わると梱包用トレイ1の角部が押し潰されるが被梱包物20の角部には衝撃が伝達されにくく、被梱包物20の損傷を抑え、保護することができる。
【0011】
次に、図7〜図10に示す第2の実施の形態について説明すると、前記第1の実施の形態における補強用板部7,8は外側側壁板部5および内側側壁板部6の両端近傍間に亘って連続状態で形成されているが、第2の実施の形態における補強用板部7,8は外側側壁板部5および内側側壁板部6の両端近傍間で中間部が分断された状態で形成されている。そして、この実施の形態によれば補強用板部7,8は左右に2つ並んだ状態となり、2つ並んだ補強用板部7,8をそれぞれ重ね合わして内側側壁板部6の内面に折り重ね、各補強用板部7の下端の爪片9を前記板部2の1組の対向側辺に沿って形成された係止孔10に係止させ得るように構成されている。また、この第2の実施の形態によれば、内側側壁板部6の下端にも前記係止孔10に係止する爪片22が形成されている。さらに、側壁部3の両端および中央で高さの高い部分が存在している。なお、この第2の実施の形態では前記第1の実施の形態のような内側側壁板部14の両端における下端部の小さな突出片17や内側側壁板部6と折り曲げ片12との繋がり部における切り込み部18は形成されていない。他の構成は前記第1の実施の形態と同様である。
【0012】
ところで、図面に示す実施の形態では梱包用トレイ1は平面形状が正方形の板部2を用いて平面形状が正方形に作られているが、長方形であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態における梱包用トレイの展開図である。
【図2】同梱包用トレイの組み立て途中の状態を示す斜視図である。
【図3】同梱包用トレイの組み立て完成直前の状態を示す斜視図である。
【図4】同梱包用トレイの組み立て完成状態を示す斜視図である。
【図5】同梱包用トレイに被梱包物を載せた状態を示す斜視図である。
【図6】同梱包用トレイで被梱包物を梱包した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における梱包用トレイの展開図である。
【図8】同梱包用トレイの組み立て途中の状態を示す斜視図である。
【図9】同梱包用トレイの組み立て完成直前の状態を示す斜視図である。
【図10】同梱包用トレイの組み立て完成状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
1 梱包用トレイ
2 板部
3,4 側壁部
5 外側側壁板部
6 内側側壁板部
7,8 補強用板部
9 爪片
10 係止孔
11,12 折り曲げ片
13 外側側壁板部
14 内側側壁板部
15 爪片
16 係止孔
17 突出片
18 切り込み部
19 罫線
20 被梱包物
21 梱包用バンド
22 爪片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角部が切除された形の平面形状がほぼ八角形に近い形の被梱包物を受ける梱包用トレイであって、段ボール板からなり、平面形状が方形の板部と、この板部の1組の対向側辺に連設された側壁部と、前記板部の他の1組の対向側辺に連設された側壁部とから構成され、前記1組の対向側辺側の各側壁部は前記板部に繋がる外側側壁板部と、この外側側壁板部に繋がる内側側壁板部と、これら外側側壁板部および内側側壁板部の両方に跨り外側側壁板部および内側側壁板部の両端近傍間に外側側壁板部および内側側壁板部の材料を利用して形成された補強用板部とからなり、外側側壁板部の内側に内側側壁板部を折り重ねた状態で内側側壁板部に形成された補強用板部を外側側壁板部に形成された補強用板部の内側に折り重ね、この重ね合わされた2枚の補強用板部を内側側壁板部の内面に折り重ね、補強用板部の下端の爪片を前記板部の1組の対向側辺に沿って形成された係止孔に係止させ得るように構成され、前記外側側壁板部および内側側壁板部の両端には外側側壁板部の内側に内側側壁板部を折り重ねた状態で互いに重なる折り曲げ片が連設されており、前記他の1組の対向側辺側の側壁部は前記板部に繋がる外側側壁板部と、この外側側壁板部に繋がる内側側壁板部とからなり、外側側壁板部と内側側壁板部との間で前記互いに重なる折り曲げ片を挟むように外側側壁板部の内側に内側側壁板部を折り重ね、内側側壁板部の下端の爪片を前記板部の他の1組の対向側辺に沿って形成された係止孔に係止させ得るように構成され、前記板部のコーナー隅部には隣り合う側壁部間で斜めに罫線が形成されていることを特徴とする梱包用トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−213871(P2008−213871A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52123(P2007−52123)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(502356517)王子チヨダコンテナー株式会社 (66)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】