説明

梱包用箱

【課題】中央緩衝材の位置決めを簡単確実に行い高密閉性に優れていること。
【解決手段】ボトムカートン1A及びトップカートン1Bからなる箱本体1と、4つのコーナー緩衝材2A〜2D及び中央緩衝材3とを有し、ボトムカートン1Aの端縁1aにおける前板6及び後板の中央に互いに所定間隔をおいて一対のスリット20を形成することによりその両スリット間に位置決め片21が設けられ、該位置決め片21に対向して中央緩衝材の下面から前面及び後面にかけて位置決め溝22が形成されており、中央緩衝材をボトムカートン内の中央に挿入し、位置決め片を位置決め溝に嵌入させ、ボトムカートン内の両コーナーに下側コーナー緩衝材2A,2Bを配置し、被梱包品Aの下部を下側コーナー緩衝材及び中央緩衝材を介してボトムカ
ートン内に挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテレビジョン受像機の液晶モジュ−ルなどの被梱包品を梱包するため
の梱包用箱に関し、特に、中央緩衝材の位置決めを簡単な構造で確実に行うことができ高
密閉性に優れたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、梱包用箱の一例として図6に示すものがあり、図6(a)は分解斜視図、図6(
b)は同縦断面図、図6(c)は同横断面図である。
【0003】
図6に示すように、ボトムカートン1A及びトップカートン1Bからなる箱本体1と、
液晶モジュ−ルなどの長尺薄板状被梱包品A及びスタンドなどの付属品Bを支持する4つ
のコーナー緩衝材2A〜2D及び中央緩衝材3とを有している。
【0004】
前記ボトムカートン1Aは、段ボール紙、厚紙、合成樹脂材などからなり、長方形の底
板5と、該底板5の前後縁から折り曲げた長尺狭幅の前板6及び後板7と、その底板5の
左右側縁から折り曲げた短尺狭幅の側板8,9とを有し、上面が開放されている。
【0005】
前記トップカートン1Bは、段ボール紙、厚紙、合成樹脂材などからなり、長方形の天
板11と、該天板11の前後縁から折り曲げた長尺広幅の前板12及び後板13と、その
天板11の左右側縁から折り曲げた短尺広幅の側板14,15とを有し、下面が開放され
ている。
【0006】
前記ボトムカートン1Aの前後両板6,7間の間隔h1がトップカートン1Bの前後両
板12,13間の間隔h2よりも小さく設定され(h1<h2)、前記ボトムカートン1
Aの左右両側板8,9間の間隔d1がトップカートン1Bの左右両側板14,15間の間
隔d2よりも小さく設定されており(d1<d2)、ボトムカートン1Aに対してトップ
カートン1Bを嵌合させる。
【0007】
前記コーナー緩衝材2A〜2D及び中央緩衝材3は、発泡合成樹脂材により所定形状に
成形されている。
【0008】
梱包手順を説明すると、図6(a)に示すように、ボトムカートン1A内の両コーナー
に下側コーナー緩衝材2A,2Bを配置すると共に、該ボトムカートン1A内の中央に中
央緩衝材3を配置する。次に、被梱包品A及び付属品Bの下部を下側コーナー緩衝材2A
,2B及び中央緩衝材3を介してボトムカートン1A内に挿入し、その被梱包品A及び付
属品Bの上部に上側コーナー緩衝材2C,2Dを嵌合させる。その後、図6(b)に示す
ように、トップカートン1Bを被梱包品A及び付属品Bに被せてボトムカートン1Aに嵌
合させ、その互いに嵌合しているトップカートン1B及びボトムカートン1Aを結束バン
ド(図示せず)で結束する。関連する技術として特許文献1に記載したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−178371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の構成では、被梱包品Aの下部を下側コーナー緩衝材2A,2B及び中央緩衝
材3を介してボトムカートン1A内に挿入した際に、その挿入した被梱包品Aにより中央
緩衝材3が押されて右寄りまたは左寄りに位置が変わることがあり、これでは、被梱包品
Aの下面中央を中央緩衝材3で安定的に支えることができない。
【0011】
そこで、中央緩衝材3を両面接着材でボトムカートン1A内の中央に接着することが考
えられるが、これでは、両面接着材を用いることにより、部品点数が増加すると共に、そ
の両面接着材の貼着作業及び離型紙の剥離作業が必要であり、作業工程が増えるから、コ
ストアップになる。
【0012】
上記欠点を解消するため、図7に示すように、ボトムカートン1Aの底板5の中央に一
対のコ字状スリットを所定間隔をおいて形成し、そのスリットにより囲まれた舌片17を
切り起こして中央緩衝材3をボトムカートン1A内の中央に位置決めすることが考えられ
るが、一対の舌片17を切り起こすことにより、ボトムカートン1Aの底板5に生じた2
つの孔18を通って、箱本体1内に塵埃などの異物が侵入するおそれがある。
【0013】
また、トップカートン1Bを被梱包品A及び付属品Bに被せてボトムカートン1Aに嵌
合させようとしたときに、該ボトムカートン1Aの端縁1aにトップカートン1Bの端縁
1bが当たって、その嵌合作業を円滑に行うことが困難になることがある。
【0014】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、中央緩衝材の位置決めを簡単な構造で確実に行うこ
とができ高密閉性に優れた梱包用箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ボトムカートン及びトップカート
ンからなる箱本体と、4つのコーナー緩衝材び中央緩衝材とを有しており、ボトムカート
ン内の両コーナーに下側コーナー緩衝材を配置すると共に、該ボトムカートン内の中央に
中央緩衝材を配置し、被梱包品の下部を下側コーナー緩衝材及び中央緩衝材を介してボト
ムカートン内に挿入し、その被梱包品の上部に上側コーナー緩衝材を嵌合させ、トップカ
ートンを被梱包品に被せてボトムカートンに嵌合させるようにした梱包用箱において、前
記ボトムカートンの端縁における前板及びまたは後板の中央に互いに所定間隔をおいて一
対のスリットを形成することによりその両スリット間に位置決め片が設けられ、該位置決
め片に対向して中央緩衝材の下面から前面及びまたは後面にかけて位置決め溝が形成され
ており、中央緩衝材をボトムカートン内の中央に挿入し、ボトムカートン内に向けて折り
曲げた位置決め片を位置決め溝に嵌入させるようにしたことを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ボトムカートン内の両コー
ナーに配置した下側コーナー緩衝材のうちの一方または両方の高さをボトムカートンの高
さよりも大きく設定して、その下側コーナー緩衝材にボトムカートンの端縁よりも外方に
突出する突出部が一体形成され、該突出部の外周面がボトムカートンの端縁上まで膨出さ
れていることを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記突出部のトップカート
ン対向角部を斜めに切断して傾斜面が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、中央緩衝材をボトムカートン内の中央に挿入し、該中
央緩衝材の位置決め溝にボトムカートンの位置決め片を嵌入させるだけで、その中央緩衝
材をボトムカートン内の中央に位置決めして被梱包品の下面中央を安定的に支えることが
できる。
【0019】
また、位置決め片がボトムカートンに形成されると共に、位置決め溝が中央緩衝材に形
成されており、部品点数が増加せず、構造も簡単であるから、経済性に優れている。
【0020】
更に、位置決め片をボトムカートン内に向けて折り曲げることにより、両スリット間に
隙間が生じるが、ボトムカートンに嵌合させたトップカートンによりその隙間が塞がれる
ので、密閉性に優れており、箱本体内に塵埃などの異物が侵入することを確実に防ぐこと
ができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、コーナー緩衝材に一体形成した突出部の外周面がボト
ムカートンの端縁上まで膨出されているので、トップカートンをボトムカートンに嵌合さ
せたときに、該トップカートンの端縁がボトムカートンの端縁に当たることがなく、その
嵌合作業を容易に行うことができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、トップカートンをボトムカートンに嵌合させたときに
、該トップカートンの開口部が突出部の傾斜面に沿って広げられるので、その嵌合作業を
円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の一形態である梱包用箱を示す分解斜視図である。
【図2】同要部の分解斜視図である。
【図3】(a)は同一部切欠き正面図、(b)は同一部切欠き側面図である。
【図4】図3(a)のA−A矢視図である。
【図5】図3(a)のB−B矢視図である。
【図6】(a)は従来の一例を示す分解斜視図、(b)は同縦断面図、(c)は同横断面図である。
【図7】従来の他の例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜図5は本発明の実施の一形態である梱包用箱を示すものであって、ボトムカート
ン1Aの端縁1aにおける前板6及び後板7の中央に互いに所定間隔をおいて一対のスリ
ット20を形成することによりその両スリット20間に位置決め片21が設けられ、該位
置決め片21に対向して中央緩衝材3の下面から前面及び後面にかけて位置決め溝22が
形成され、該位置決め溝22の横幅m1が位置決め片21の横幅m2と同一またはわずか
に大きく設定され(m1≧m2)、位置決め片21を位置決め溝22に嵌入させやすくす
るため、該位置決め片21の高さnが小さく設定され、図2右側の下側コーナー緩衝材2
Bの高さt1をボトムカートン1Aの高さt2よりも所定間隔kだけ大きく設定して、そ
のコーナー緩衝材2Bにボトムカートン1Aの端縁1aよりも外方に突出する突出部24
が一体形成され、該突出部24の外周面24aがボトムカートン1Aの端縁1a上まで該
ボトムカートン1Aの厚さα分だけ膨出され、これによって、突出部24の外周面24a
がボトムカートン1Aの外周面(前板6、後板7及び側板9)と面一状に形成され、突出
部24のトップカートン1Bに対向する角部を斜めに切断して傾斜面25が形成されてい
る。上記以外の構成は図6に示す構成とほぼ同じであるから、同一部分に同一符号を付し
てその説明を省略する。
【0025】
梱包手順を説明すると、図1に示すように、ボトムカートン1A内の両コーナーに下側
コーナー緩衝材2A,2Bを配置すると共に、該ボトムカートン1A内の中央に中央緩衝
材3を挿入し、該ボトムカートン1A内に向けて折り曲げた位置決め片21を中央緩衝材
3の位置決め溝22に嵌入させる。次に、被梱包品A及び付属品Bの下部を下側コーナー
緩衝材2A,2B及び中央緩衝材3を介してボトムカートン1A内に挿入し、その被梱包
品A及び付属品Bの上部に上側コーナー緩衝材2C,2Dを嵌合させる。その後、図1の
仮想線と図3及び図4に示すように、トップカートン1Bを被梱包品A及び付属品Bに被
せてボトムカートン1Aに嵌合させると、該トップカートン1Bの端縁1bが傾斜面25
に当たって、該トップカートン1Bの開口部が広げられ、そのトップカートン1Bの端縁
1bがボトムカートン1Aの端縁1aに当たらないようにして、嵌合作業が行われる。そ
の後、互いに嵌合しているトップカートン1B及びボトムカートン1Aを結束バンド(図
示せず)で結束する。
【0026】
上記構成によれば、中央緩衝材3をボトムカートン1A内の中央に挿入し、該中央緩衝
材3の位置決め溝22にボトムカートン1Aの位置決め片21を嵌入させるだけで、その
中央緩衝材3をボトムカートン1A内の中央に位置決めして被梱包品Aの下面中央を安定
的に支えることができる。
【0027】
また、位置決め片21がボトムカートン1Aに形成されると共に、位置決め溝22が中
央緩衝材3に形成されており、部品点数が増加せず、構造も簡単であるから、経済性に優
れている。
【0028】
更に、位置決め片21をボトムカートン1A内に向けて折り曲げることにより、両スリ
ット20間に隙間β(図1参照)が生じるが、ボトムカートン1Aに嵌合させたトップカ
ートン1Bによりその隙間βが塞がれるので、密閉性に優れており、箱本体1内に塵埃な
どの異物が侵入することを確実に防ぐことができる。
【0029】
しかも、図2右側の下側コーナー緩衝材2Bに一体形成した突出部24の外周面24a
がボトムカートン1Aの端縁1a上まで膨出されているので、トップカートン1Bをボト
ムカートン1Aに嵌合させたときに、該トップカートン1Bの端縁1bがボトムカートン
1Aの端縁1aに当たることがなく、その嵌合作業を容易に行うことができる。
【0030】
また更に、トップカートン1Bをボトムカートン1Aに嵌合させたときに、該トップカ
ートン1Bの開口部が突出部24の傾斜面25に沿って広げられるので、その嵌合作業を
円滑に行うことができる。
【0031】
上記実施の形態では、2つの位置決め片21と、2つの位置決め溝22を設けたが、こ
れに限定されるわけではなく、1つの位置決め片21をボトムカートン1Aの前板6また
は後板7に形成し、それ対応して、1つの位置決め溝22を中央緩衝材3の前面または後
面に形成するようにしてもよい。
【0032】
また、突出部24を図2右側のコーナー緩衝材2Bにだけ一体形成したが、これに限定
されるわけではなく、図2左側のコーナー緩衝材2Aにも突出部24を一体形成するよう
にしてもよい。これによって、トップカートン1Bの開口部両端を確実に広げてボトムカ
ートン1Aに一層容易に嵌合させることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 箱本体
1A ボトムカートン
1a ボトムカートンの端縁
1B トップカートン
2A〜2D コーナー緩衝材
3 中央緩衝材
5 ボトムカートンの底板
6 ボトムカートンの前板
7 ボトムカートンの後板
20 スリット
21 位置決め片
22 位置決め溝
24 突出部
24a 突出部の外周面
25 傾斜面
A 被梱包品
t1 下側コーナー緩衝材の高さ
t2 ボトムカートンの高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトムカートン及びトップカートンからなる箱本体と、4つのコーナー緩衝材び中央緩
衝材とを有しており、ボトムカートン内の両コーナーに下側コーナー緩衝材を配置すると
共に、該ボトムカートン内の中央に中央緩衝材を配置し、被梱包品の下部を下側コーナー
緩衝材及び中央緩衝材を介してボトムカートン内に挿入し、その被梱包品の上部に上側コ
ーナー緩衝材を嵌合させ、トップカートンを被梱包品に被せてボトムカートンに嵌合させ
るようにした梱包用箱において、前記ボトムカートンの端縁における前板及びまたは後板
の中央に互いに所定間隔をおいて一対のスリットを形成することによりその両スリット間
に位置決め片が設けられ、該位置決め片に対向して中央緩衝材の下面から前面及びまたは
後面にかけて位置決め溝が形成されており、中央緩衝材をボトムカートン内の中央に挿入
し、ボトムカートン内に向けて折り曲げた位置決め片を位置決め溝に嵌入させるようにし
たことを特徴とする梱包用箱。
【請求項2】
ボトムカートン内の両コーナーに配置した下側コーナー緩衝材のうちの一方または両方
の高さをボトムカートンの高さよりも大きく設定して、その下側コーナー緩衝材にボトム
カートンの端縁よりも外方に突出する突出部が一体形成され、該突出部の外周面がボトム
カートンの端縁上まで膨出されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包用箱。
【請求項3】
前記突出部のトップカートン対向角部を斜めに切断して傾斜面が形成されていることを
特徴する請求項2に記載の梱包用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−218768(P2012−218768A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85759(P2011−85759)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】