説明

棒状の被加工物を研削する心なし円筒研削盤及び棒状の被加工物を心なし円筒研削する方法

心なし円筒研削盤において、被加工物(1)は、調整ディスク(3)、研削ディスク(5)及び受け板(7)よりなる研削間隙(15)内に存在している。調整ディスク(3)は、調整ディスク(3)の回転軸線周りに回転方向(11)で回転し、これにより被加工物(1)を回転方向(13)で回転駆動する。研削ディスク(5)は、研削ディスク(5)の回転軸線(6)周りに回転方向(12)で回転駆動されている。被加工物(1)は、被加工物(1)の長手方向軸線の方向で、それぞれ同軸的に相前後して配置されている調整ディスク(3)及び研削ディスク(5)の複数のセットを通走する。調整ディスク(3)及び研削ディスク(5)は、それぞれの軸線に沿って軸方向の中間スペースを有する。調整ディスク(3)は、研削ディスク(5)間の中間スペースに係合し、研削ディスク(5)は、調整ディスク(3)間の中間スペースに係合するので、側方のオーバラップ領域(19)がディスク(3,5)間に形成される。その結果、下方にずらされた研削間隙(15)が生じる。研削間隙(15)は、下向きに拡幅しており、調整ディスク(3)及び研削ディスク(5)における被加工物(1)の確実な支持を保証する。1つの共通の基準平面(14)と三角形(21)とは、本願の利点を明確に表している。小さな直径の被加工物(1)も、下方にずらされた研削間隙(15)内で確実に締め付けられているので、高い切りくず排出量での研削が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本願の請求項1の特徴a乃至dを備える、通し送り研削法で柱状の外側輪郭を有する棒状の被加工物を研削する心なし円筒研削盤に関する。さらに本発明は、本願の請求項17の特徴a乃至dを備える、棒状の被加工物を心なし円筒研削する方法に関する。この種の円筒研削盤及び円筒研削法は、ドイツ連邦共和国特許第10100871号明細書において公知である。この従来技術における円筒研削盤では、別個の構成群としての2つの個々の円筒研削盤が、1つの共通の基礎上に統合されて1つのユニットを形成している。棒状又は管状の被加工物は、研削のために相前後して連続的に、別個の両研削ユニットを通走する。その際、各研削ユニットにおいて、1つの比較的厚い柱状の研削ディスクが、複数の調整ディスクからなるセットに対向している。調整ディスクは、比較的薄く、互いに間隔を置いて1つの共通のスピンドル上に配置されている。研削ディスク及び調整ディスクは、通常の支持板とともに1つの共通の軸方向領域内に存在している。また、両構成群は、あらゆる点において互いに独立しており、例えば研削幾何学形状、すなわち研削ディスク、調整ディスク及び支持板の、被加工物に対する空間的な配置は、両ユニットの各々において異なっていてよい。
【0002】
これにより、公知の円筒研削盤においては、互いに軸方向に間隔を置いて位置する2つの研削間隙が形成されている。これらの研削間隙を通して棒状又は管状の被加工物が通走する。公知の円筒研削盤の両ユニットは、それぞれ異なる役割を果たすことができる。例えば、第1のユニットでは、粗削りが実施可能である一方、第2のユニットでは、仕上げが行われる。しかし、第1のユニットで既に仕上げが開始されてもよい。その結果、全体として仕上げのプロセスにより多くの加工時間が提供される。これにより、比較的小さな除去率での粗削り時、工具摩耗は明らかに低減され得る。被加工物は、公知の研削盤の両ユニット内で、「ウンター・デア・ミッテ(unter der Mitte)」、要するに「中心より下」にあるように研削間隙内に配置されている。「ウンター・デア・ミッテ」とは、正確な定義では、以下の事項を意味するものである。すなわち、被加工物は半径方向で、拡幅する研削間隙内に、調整ディスク及び研削ディスクの回転兼駆動軸線を通る基準平面により確定されており、その際、被加工物の長手方向軸線は、上記基準平面から離れて研削間隙の部分領域内でこの基準平面と受け板の支持面との間に存在する。この配置は、被加工物が研削間隙内において調整ディスクと研削ディスクと受け板の支持面との間である程度締め付けられているという長所を有する。それゆえ、より大きな研削力で加工されても、被加工物が研削間隙から飛び出す恐れはない。これにより、上記「ウンター・デア・ミッテ」での円筒研削時、高い単位時間当たりの切りくず排出量(Zeitspanvolumen)で作業可能であり、研削区間内及び研削間隙内での被加工物の軸方向の送りを高くすることができる。
【0003】
それゆえ、上記「ウンター・デア・ミッテ」の配置は、心なし円筒研削時の多くの使用事例において有利である。しかしながら、この配置の限界は、小さな直径を有する棒状又は管状の被加工物が研削されるべきときに表出する。被加工物が小さな直径を有する場合、被加工物は、研削間隙の、ディスクの外側輪郭が既に略平行な延在に移行している領域内で、研削ディスク及び調整ディスクに当接しなければならない。これにより、被加工物は、研削間隙の上部の著しく奥に位置することになるので、最悪の場合、研削間隙から上方に飛び出してしまう場合がある。少なくとも、通常の支持板でもって研削時の被加工物の確実かつ不動の位置を保証することは、ますます困難となってしまう。研削間隙が狭くなればなるほど、最終的に、研削ディスクが互いに衝突する領域へと近付き、小さな直径を有する被加工物の心なし円筒研削は、従来慣用の形式ではもはや不可能である。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許第801500号明細書において、被加工物における2つの側方の研削箇所を同時に心なし円筒研削により加工する、手で操作可能な特殊な装置が公知である。このために2つの研削ディスクは、片持ち式に1つの共通の軸上に配置されており、回転駆動されている。研削ディスクの相互の軸方向の間隔は可変である。側方の研削箇所を研削するために、一方の可動に配置された研削ディスクは、軸方向で外側から第2の固定の研削ディスクに向かって接近させられる。両研削ディスクは、側方の研削箇所の研削時に互いに軸方向に間隔を置いている。被加工物の他方の側には、被加工物を駆動する1つの調整ディスクが配置されている。調整ディスクは軸方向の位置に関して、被加工物の対向する側において両研削ディスク間に間隙が設けられている場所に存在するので、調整ディスクと研削ディスクとは、互いにずらされている。公知の装置では、その都度、唯一の被加工物が研削される。被加工物は、このために装置に導入され、再び装置から取り出されなければならない。被加工物は、例えば、二輪車のボスにあるようなスピンドルの形状を有している。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許第478720号明細書から公知の心なし円筒研削盤は、細長い丸棒が、通し送り研削法にて3つの別個のグループのディスクにより研削され、かつ搬送されるものである。3つのグループの各々は、1つの共通の、回転駆動されるスピンドルを有しており、スピンドル上には、各グループのディスクが、相互に軸方向に間隔を置いて存在している。3つのグループは、研削したい丸棒に沿って延在し、丸棒を内側に囲繞している。この場合、第1のグループは、研削ディスクからなる。対応するスピンドルは、丸棒の軸線に対して平行に延びている。第2のグループのスピンドルは、丸棒の軸線に対して軽微な傾きを有している。このスピンドルに配置されたディスクは、フェルトが敷設された円錐形の縁部を有する案内ディスクである。案内ディスクは、軸方向で丸棒の搬送を行う。研削ディスクと案内ディスクとは、互いに通常の形式で半径方向に間隔を置いて対向して位置、厳密に云えば、研削ディスクがそれぞれちょうど各1つの案内ディスクに対向するように位置している。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許第478720号明細書に記載の円筒研削盤におけるディスクの第3のグループは、通し送りされる丸棒の下側で1つの共通のスピンドル上に、これらのディスクが下方から研削ディスク及び案内ディスク間の軸方向の中間スペースに係合して丸棒を支持するように配置されている。この公知の機械は、支持板を有しない。むしろ、第3のグループのディスクが支持板と同様の機能を果たし、付加的に丸棒の回転駆動を行う。ドイツ連邦共和国特許第478720号明細書に記載の公知の機械は、種々異なる砥粒の研削ディスクの使用を可能にすると同時に、強い軸方向の送りを伴う被加工物の活発な自転を提供する。
【0007】
これに対して本発明の課題は、冒頭で述べた形態の円筒研削盤及び円筒研削法を改良して、小さな外径の棒状又は管状の被加工物も、研削ディスク、調整ディスク及び支持板により形成される研削間隙内で高信頼性に安定かつ不動に保持され、高い切りくず排出量(Zerspanvolumen)での研削時においても良好な研削結果が達成されるようにすることである。
【0008】
この課題は、円筒研削盤においては請求項1の特徴のすべてにより解決され、円筒研削法においては請求項17の特徴のすべてにより解決される。
【0009】
これにより、本発明に係る心なし円筒研削盤では、調整ディスクと研削ディスクとが、軸方向で互いにずらされて配置されており、調整ディスクが、研削ディスク間の軸方向の中間スペース内に突入する一方、研削ディスクが、調整ディスク間の軸方向の中間スペース内に突入するようにした。これにより調整ディスク及び研削ディスクは、もはや互いに衝突せず、研削間隙は、前述の基準平面内で既に始まってしまうのではなく、基準平面から離れて、研削ディスクの外側輪郭と調整ディスクの外側輪郭との間の間隔がますます拡大する領域において開始する。これにより被加工物は、被加工物の長手方向で延びる、被加工物が研削ディスク及び調整ディスクに接する2つの線において当接し、両線は、互いにより大きな間隔を有している。その結果、これを当業者は、「ホーエン・ウンターミッテンマス(hohen Untermittenmass)」、要するに「大きな中心下寸法」と称呼する。したがって、研削間隙内の被加工物の位置は、高い切りくず排出量で作業したときも、高信頼性に不動かつ安定なままである。
【0010】
本発明に係る円筒研削盤により、研削ディスクを被加工物との接触箇所において被加工物の表面と同一の方向で又はこれとは反対の方向で運動させることが可能である。これとは無関係に、研削ディスクの回転方向を、研削ディスクの周面が被加工物との接触箇所において基準平面に向かって、つまり研削間隙内に進入するように選択することも可能である。このことは、被加工物が研削時により強く調整ディスクに押し付けられ、これにより受け板にかかる負荷が軽減されるという利点を有している。これにより、受け板の摩耗は減少する。
【0011】
本発明に係る円筒研削盤の有利な態様は、多重セットの基本パターンが、それぞれ、2以上のディスクの列を有しており、調整ディスクを含む一方の列は、被加工物の一方の側に配置されており、研削ディスクを含む他方の列は、被加工物の他方の側に対向して配置されている。これにより、互いに独立した2つの研削ユニットが明確に規定された、冒頭で述べた公知の円筒研削盤と比較して、3以上の調整ディスク及び研削ディスクも軸方向で相前後して一緒に駆動され得る比較的簡単な基本構造が生じる。
【0012】
その際、研削間隙の各々の区分内で、研削ディスク及び調整ディスクは、一定の回転方向で駆動されている。調整ディスクの回転数と研削ディスクの回転数とは、互いに無関係に調節可能である。同様に被加工物に対するディスクの両側の位置調節も可能である。機械制御部を介して、もちろん、ディスクの両グループの回転数及び位置調節運動を制御して互いに調整することも可能である。
【0013】
この態様に補足的に、別の有利な態様では、調整ディスク及び研削ディスクが、被加工物の軸方向の通し送り方向で段階的に増加する直径を有している。この場合、受け板の支持面は、被加工物の、長手方向で減少する直径に適合される。本態様では、研削運転の経過中、調整ディスク及び研削ディスクのそれ以上の位置調節運動はもはや行われない。むしろ、ディスクを介した研削時の半径方向の位置調節は、棒状の被加工物が、直径が増大していくディスク群を通走し、研削間隙が狭くなっていくことによって、不要となっている。位置調節の変更は、研削ディスクが交換されなければならないときか、又は以前とは異なる直径を有する被加工物への交換が実施されるときのみ必要である。
【0014】
本発明に係る円筒研削盤では、調整ディスクと研削ディスクとが横方向でもはや直接対向していない。ディスクのずらされた配置は、被加工物にとって、僅かとはいえ撓みの危険が生じることを意味している。最悪の場合、これにより研削結果が悪化する場合がある。それゆえ、別の好ましい態様では、用心のため、調整ディスク及び研削ディスクの側方のオーバラップ領域が、軸方向の間隙により互いに離間されており、この間隙の幅は、調整ディスク及び研削ディスクが持続的な製造運転中でも相互に機能的に干渉しないか、又はそれどころか接触しないだけの大きさである。間隙の幅の正しい寸法設定は、簡単な動作試験により得られる。実際の使用のための参考値は、例えば0.5〜2mmの範囲である。
【0015】
被加工物における曲げ負荷を回避する別の有利な対策は、研削ディスクの軸方向の幅が、調整ディスクの軸方向の幅より小さいことにある。
【0016】
本発明に係る円筒研削盤の運転にとって、研削ディスクが長い耐用時間を有していることが重要である。これによってのみ、研削運転中の位置調節の事後的な修正が必要とされることなく、高い切りくず排出量で研削可能である。それゆえ、本発明に係る円筒研削盤にとって、CBN研削ディスクが有利である。CBN研削ディスクのCBN研削ライニングは、電着、セラミックボンド又はメタルボンドを介して結合されていることができる。
【0017】
本発明において形成された円筒研削盤における被加工物の高い耐荷量は、鋼からなる調整ディスクが使用可能であることも意味している。好ましくは、調整ディスクの外周面にねじ山輪郭が設けられており、ねじ山輪郭は、スクリューコンベヤ状に通し送り方向での軸方向の推力を被加工物に加える。通し送り方向で被加工物は研削間隙を通走する。この場合、調整ディスクの外周面又はねじ山輪郭は、好ましくは、鋼とは別の材料、好ましくは電着されたCBN層からなる摩擦ライニングとして形成されていることが望ましい。
【0018】
別の有利な態様は、研削区間内での棒状の被加工物の案内と、長手方向兼運動方向、つまり研削区間内の通し送り方向での被加工物の駆動に係る。
【0019】
例えば、調整ディスクの上流の、調整ディスクの列中の多重セットの入口Eに、弾性的な周面ライニングを備える入口支持ディスクが配置されていてよい。入口支持ディスクは、調整ディスクとともに調整ディスクスピンドルに固定されて、調整ディスクスピンドルにより回転駆動されるようになっている。この入口支持ディスクは、非円形の棒状素材としての被加工物がその前端から研削区間内に進入したとき、被加工物の横方向偏差(Seitenabweichung)を補償することができる。こうして、非円形の被加工物も、確実に研削間隙に導入される。
【0020】
同様に、研削ディスクの下流の、研削ディスクの列中の多重セットの出口Aに、鋼からなる出口支持ディスクが自由回転可能に研削ディスクスピンドルに支承されていてよい。出口支持ディスクの役割は、研削区間の出口Aにおいて棒状の被加工物に作用する力を補償することにある。本態様でも、被加工物の端部における変位及び曲げ力を阻止することが重要である。最後尾のディスクとしての研削ディスクは、著しく高い横方向力を被加工物に及ぼし、被加工物を側方に曲げてしまう場合がある。最後尾のディスクとしての駆動される調整ディスクも同様である。電着型のCBN研削ディスクが使用される場合、鋼からなる出口支持ディスクの配置は、特に有意義である。この場合、その直径は、出口支持ディスクの使用の経過中、極めて僅かな程度で変化するにすぎない。出口支持ディスクの作用は、これにより略不変のままである。
【0021】
出口支持ディスクの別の有利な態様では、出口支持ディスクの鋼基体上に薄い減衰性のライニングが設けられている。このライニングは、一方では、研削し終えた被加工物において研削間隙からの排出時に減衰作用を示す。これにより、研削間隙から出る被加工物の静粛性は、さらに改善可能である(これにより、被加工物における表面、測定精度及び形状精度も改善可能である)。別の利点として、薄い減衰性のライニングは、研削ディスクの小さな直径変化を吸収可能である。
【0022】
入口支持ディスクの作用は、多重セットの上流に、通し送りされる棒状の被加工物を予センタリングする装置が配置されていることによりさらに助成可能である。この装置は、受け柱(Auflageprisma)と、受け柱に対応して配置される圧着ロールとを有していてよい。被加工物は、受け柱と圧着ロールとの間を通走する。これにより、予センタリングする装置は、研削区間内への被加工物の最初の進入を容易にする。
【0023】
最後に、好ましくは、被加工物の運動軌道の始端に、被加工物に長手方向兼運動方向での送りを与える装置が設けられていてもよい。この付加的な装置の送り作用は、調整ディスクの外周面に設けられたねじ山輪郭の作用とともに実施される。両装置の作用は、合目的に互いに調整される必要がある。
【0024】
既に言及したように、棒状の被加工物を心なし円筒研削する本発明に係る方法は、請求項17に記載されている。本発明に係る方法では、既に従来技術から公知の構成a乃至dに対して付加的に、調整ディスクと研削ディスクとが、軸方向で互いにずらされて配置され、かつ半径方向で、調整ディスクが研削ディスク間の軸方向の中間スペース内に突入する一方、研削ディスクが調整ディスク間の軸方向の中間スペース内に突入するように近接に隣接配置されているようにする。さらに本発明に係る方法の1つの重要な特徴は、調整ディスクと研削ディスクとが、被加工物の通し送り方向で、研削の進捗に応じて段階的に増加する直径を有し、同様に受け板の支持面も、被加工物の、長手方向で減少する直径に適合されているようにすることにある。
【0025】
本発明に係る方法により、好ましくは、研削運転中、被加工物に対する研削ディスク及び/又は調整ディスクの持続的な半径方向の位置調節がもはや不要であることが達成されている。むしろ、研削ディスク及び調整ディスクは、被加工物に対する半径方向の位置に関して不変のままである。このために被加工物は、相互の間隔が研削の進捗に応じて研削区間の入口Eから出口Aにかけて段階的にますます減少する、調整ディスク及び研削ディスクから相前後して形成される研削間隙を、連続的に通走する。この減少は、調整ディスク及び研削ディスクの直径が研削区間の出口に向かって段階的に大きくなることにより成立する。これにより、研削運転の進行中、調整ディスク及び研削ディスクの半径方向の位置調節運動は、長手方向での棒状の被加工物の運動に置換されている。
【0026】
本発明に係る方法の有利な態様は、研削ディスクの周面の運動方向が、被加工物との接触箇所で基準平面に向かって延びることにある。本態様では、研削ディスクが力を被加工物に対して及ぼす。これにより被加工物は、調整ディスクに押し付けられる。これにより、被加工物により加えられる受け板の負荷は低減され、ひいては受け板の摩耗は減少する。
【0027】
最後に、「棒状の被加工物」なる概念が管も含むことについて言及しておきたい。ここで考慮の対象となる棒又は管は、例えば6mの長さを有していることが望ましい。棒又は管は、本発明により形成された円筒研削盤において、棒状素材から、完全に研削された棒になるまで、直径について小さな許容誤差で研削されることが望ましい。その際、可及的低い被加工物回転数での保証されたプロセスにおいて高い切削性能が達成される。上方から見たとき、調整ディスク、研削ディスク及び被加工物の長手方向兼回転軸線は、互いに平行に延びている。同じことは、受け板の長手方向の延在についても言える。側方から見たとき、受け板の長手方向軸線は、被加工物の直径の減少に応じて、被加工物の長手方向軸線に対して軽微に傾いて延びていてもよい。
【0028】
次に、本発明について、図示の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来技術における「ウンター・デア・ミッテ」での研削を示す図である。
【図2】図2は、本発明に係る工程を示す図であり、図2aは、研削ディスクの回転方向が逆向きとなっている図2に示した装置の機能を示す図である。
【図3】本発明に係る装置を上方から見た、図2に付属の部分図である。
【図4】本発明に係る装置における工程を説明する図であって、個々の部材相互の実際の配置関係を表さない概略図である。
【図5】図5a及び図5bは、調整ディスクの細部を示す図である。
【図6】本発明に係る装置の入口側の詳細を示す図である。
【0030】
図1は、従来技術における装置の心なし円筒研削の工程を概略的に示している。通し送り研削法において棒状の被加工物1は、被加工物1の長手方向軸線2の方向で、つまり図平面に対して垂直に、研削区間を通して運動する。研削区間は、調整ディスク3あるいは調整車と、研削ディスク5あるいは砥石と、受け板7あるいはワークレストとにより形成される。この公知の装置では、調整ディスク3及び研削ディスク4からなる2つのペアが、被加工物1の長手方向軸線2の方向で相前後して配置されている。研削工程時、調整ディスク3は、調整ディスク3の回転軸線4周りに回転するとともに、位置調節方向9(X1軸)で被加工物1に対して位置調節される。これにより被加工物1は、被加工物1の長手方向軸線2周りに回転駆動される。加えて回転方向矢印12,13も参照されたい。研削ディスク5は、やはり研削ディスク5の回転軸線6周りに回転駆動されるとともに、研削ディスク5の位置調節方向10(X2軸)で位置調節されて、円筒研削を行う。棒状の被加工物1は、受け板7の支持面8上に載置されている。
【0031】
図1に示すように、調整ディスク3及び研削ディスク5は、下向きに拡幅する研削間隙15を形成している。研削間隙15は、下側で受け板7によって閉鎖されており、棒状の被加工物1が調整ディスク3、研削ディスク5及び受け板7の支持面8との線接触により包囲されて保持されるようになっている。研削結果は、被加工物1の回転及び研削工程にもかかわらず被加工物1が確実に案内されて、可及的静かにあるいは不動にその所定の位置にあることに強く依存している。研削結果には、特に、達成可能な寸法安定性、真円度及び表面品質が該当する。その際、被加工物1の直径が研削時に絶えず変化する点についても留意すべきである。
【0032】
図1に示した、研削間隙15内の被加工物1の配置は、実際の使用においては、「アンオルドヌング・ウンター・ミッテ(Anordnung unter Mitte)」、要するに「中心より下の配置」と称呼される。これは、被加工物1が研削間隙15内で、調整ディスク3の回転軸線4と研削ディスク5の回転軸線6とを通る基準平面14の下側に存在し、かつ受け板7の支持面8もこの基準平面14の下側に存在していることを意味するものである。しかし、「ウンター・ミッテ(unter Mitte)」、要するに「中心より下」なる簡略的な称呼は、回転軸線4と回転軸線6とがともに少なくとも略水平の一平面内に位置している場合にのみ成立する。回転軸線4,6のその他の配置関係については、やや抽象的に表現される必要があって、調整ディスク3と研削ディスク5とにより形成される研削間隙15内における半径方向での被加工物1の位置は、調整ディスク3の回転兼駆動軸線4と研削ディスク5の回転兼駆動軸線6とを通る基準平面14によって確定され、被加工物1の長手方向軸線2は、上記基準平面14から離れて上記研削間隙15の拡幅する部分領域内で基準平面14と受け板7の支持面8との間に存在しなければならない(請求項1の特徴c及び請求項17の特徴d参照)。これは、上述の特殊な場合について簡略的に「アンオルドヌング・ウンター・ミッテ」と称呼するのと同じ実態を意味するものである。
【0033】
図1に示した配置の場合、棒状の被加工物1は、研削間隙15内で移動したり、研削間隙15から外れたりすることはできない。これは、被加工物1が上方では、先細りする研削間隙15内に進入しなければならず、かつ下方では受け板7により阻止されているからである。被加工物1は、ある程度研削間隙15内で「締め付け」られている。それゆえ、被加工物1の駆動及び研削時に大きな力で加工可能である。好適な力の状況は、滑動やスリップの危険をもたらすことなく、鋼からなる調整ディスク3の使用を許可する。
【0034】
しかし、図1は、被加工物1が心なし円筒研削時に研削間隙15内で基準平面14と受け板7の支持面8との間に配置されていることが望ましいとき、公知の装置の限界も示している。特に、被加工物1は、初期の直径が小さければ小さいほど、基準平面14に接近し、研削間隙15の、調整ディスク3の周面と研削ディスク5の周面とが基準平面14に対して垂直な延びに近付く領域内に存在することになる。これにより、研削間隙15内での被加工物1の案内は、不確実となり、基準平面14を超えた上方への被加工物1の滑り出しの可能性は、もはや排除されない。最後に、研削間隙15をさらに狭めることは、調整ディスク3と研削ディスク5とが互いに接触することになるため、もはや不可能である。
【0035】
拡張された加工可能性は、図2、2a及び3に示した構造形態から看取可能である。図2aは、本発明により形成された円筒研削盤の重要な機能部分の、図2に示した端面図に相当し、図3は、それを上から見た部分図である。複数の調整ディスク3が、1つの共通の調整ディスクスピンドル16上に配置されているとともに、複数の研削ディスク5が、1つの共通の研削ディスクスピンドル17上に配置されている。個々の調整ディスク3間及び個々の研削ディスク5間には、軸方向の中間スペース23,24が存在している。図3に特に明示されているように、調整ディスクスピンドル16と研削ディスクスピンドル17とが、狭い間隔を置いて平行に延びるように配置されているので、個々の調整ディスク3は、研削ディスク5間の軸方向の中間スペース24に係合し、反対に研削ディスク5は、調整ディスク3間に存在する軸方向の中間スペース23に係合している。
【0036】
調整ディスクスピンドル16を介して、すべての調整ディスク3は一括して回転される。やはりすべての研削ディスク5は、共通の研削ディスクスピンドル17を介して一括して回転される。
【0037】
図3に破線で示した、調整ディスク3及び研削ディスク5の下側に位置する被加工物1は、これにより回転されて研削される。このとき被加工物1は、軸方向の通し送り方向22で研削間隙15、ひいては研削区間を通走する。
【0038】
この変更された配置の利点は、図2から即座に看取可能である。調整ディスク3と研削ディスク5との相互の係合は、側方のオーバラップ領域19を形成し、拡幅する研削間隙15が早くも基準平面14において始まってしまうのではなく、明らかに低い位置で始まることを結果として伴う。これにより、被加工物1は、図2に示した被加工物1が図1に示した被加工物1と比較してより小さな直径を有しているにもかかわらず、図1に示した調整ディスク3及び研削ディスク5の周面と比較して明らかに平たんに延びる周面に当接している。
【0039】
この事情を説明するために、図1及び図2には、それぞれ、被加工物1と調整ディスク3とが接する点における被加工物1の接線と、被加工物1と研削ディスク5とが接する点における被加工物1の接線と、受け板7の支持面8とからなる各辺により囲まれた三角形20あるいは21が記入してある。本発明に係る円筒研削盤の上記三角形21における、研削間隙15内に突入する上側の先端角は、従来技術における上記三角形20の上側の先端角より明らかに大きい。これにより、小さな直径を有する被加工物1が高信頼性に安定かつ不動に保持されていることは明らかである。これにより、研削ディスク5が回転軸線6周りに回転する回転方向と同一の回転方向13で、被加工物1を長手方向軸線2周りに回転させる運転形式が可能となる。その結果、逆向きの周方向運動が互いの係合箇所において生じる(回転方向矢印12及び13参照)。反対の回転方向を有する運転形式も、もちろん可能である(図2a参照)。研削間隙15内での被加工物1の安定した「締め付け」は、高い切りくず排出量を達成するCBN研削ディスク5による作業の前提となる。
【0040】
さらに図2aは、別の重要な事項も示している。図2aにおいて、研削ディスク5の回転方向12から判るように、研削ディスク5の周面は、被加工物1との接触箇所において研削間隙内に向かって、つまり基準平面14に向かって運動している。これにより研削ディスク5は、調整ディスク3に対して被加工物1を付加的に押し付ける力の作用を被加工物1に及ぼす。これにより、被加工物1を受け板7の支持面8に押し付ける力は軽減される。結果として、このことは、受け板の摩耗が減少することにつながる。
【0041】
調整ディスク3と研削ディスク5との、軸方向で相互にずらされた配置は、被加工物1に関して、僅かとはいえ撓みの危険が生じることを意味している。撓みは、最悪の場合、研削結果を悪化させる場合がある。この問題に対しては、一方では、調整ディスクスピンドル16及び研削ディスクスピンドル17の直径を比較的大きく寸法設定することによって対処される。他方では、調整ディスク3の軸方向の幅b3が、研削ディスク5の軸方向の幅b5より大きく形成される。これにより、研削ディスク5の、研削時に半径方向で作用する高い付勢力は、確実に調整ディスク3により受容可能である。
【0042】
曲げ力が被加工物1に作用しないようにするには、調整ディスク3と研削ディスク5との間の側方のオーバラップ領域19に生じる軸方向の間隙18の幅s18も、可及的小さく維持されなければならない。この幅s18について普遍的に当てはまる規定はないものの、実験によって、特段大きな手間なく高信頼性に、調整ディスク3及び研削ディスク5が持続的な製造運転時においても相互に機能面で干渉、それどころか接触することなく、間隙幅s18をどの程度小さくできるか、突き止めることが可能である。実際の使用の基準値は、例えば0.5〜2mmの範囲にあってよい。
【0043】
図4は、本発明に係る円筒研削盤の概略図である。本実施の形態に係る円筒研削盤では、3つの調整ディスク3からなる列が、3つの研削ディスク5からなる列と協働している。図4の描写は、調整ディスク3及び研削ディスク5の実際の配置に相当するものではない。機能を理解し易くするため、むしろ、調整ディスク3の回転軸線4と、被加工物1の長手方向兼回転軸線2と、研削ディスク5の回転軸線6とを通る図2に示した断面線に相当する描写が選択されている。したがって、図4においては、3つの上述の回転軸線4,2,6が1つの共通の直線上にあり、被加工物1とディスク3,5の協働が明りょうとなっている。
【0044】
図4に示した研削区間の上流には、棒状の被加工物1に対して長手方向兼通し送り方向2あるいは22の送りを与える装置が配置されていてよい。この種の装置は、従来技術に属するので、本明細書において詳細に説明する必要はない。共通の研削ディスクスピンドル17に配置された研削ディスク5の外径は、研削区間の入口Eから出口Aへの順序で段階的に増加している。同じことは、共通の調整ディスクスピンドル16に配置された調整ディスク3についても言える。調整ディスク3及び研削ディスク5は、それぞれの共通のスピンドル16,17を介して一括して位置調節されるので、研削区間の入口Eから出口Aにかけて段階的に狭まる研削間隙15が形成される。棒状の被加工物1は、ディスク3,5が位置調節された状態で、研削間隙15(図2参照)を通して連続的に通走することにより、円筒研削される。このとき、被加工物1の直径は、研削区間の入口Eにおける値d2Eから研削区間の出口Aにおける値d2Aに減少する。
【0045】
支持板7は、被加工物直径の減少に適合されていなければならない。このために支持板7は、研削区間の全長にわたって傾斜した状態に置かれていてもよいし、通し送り方向22で段階的に徐々に研削通路15内に突入する個々の適合された区分からなっていてもよい。被加工物直径の減少は、機能原理が明りょうに認識可能となるように、図4においては著しく誇張されて示されている。
【0046】
研削ディスク5は、電着型、セラミックボンド型又はメタルボンド型のCBN研削ディスクである。CBN研削ディスクは、その高い切削性能及びその耐用強度の点で有利である。調整ディスク3は、鋼からなる基体を有しており、基体の外周面に摩擦ライニングが施されている。摩擦ライニングは、電着されたCBN層からなっていてよい。その際、摩擦ライニングは、好ましくはねじ山輪郭25として形成される(図5参照)。この場合、ねじ山輪郭25の外側輪郭は、湾曲(図5a)していてもよいし、直線状(図5b)であってもよい。ねじ山形状の、図5aに示した湾曲した輪郭の一形状は、左図に示すような「円形の形状要素から構成される」球面状の形状である。右図に示す第2の形態は、直線状の要素から構成されている。しかし、図示の個々の形状からなる混合形も可能である。こうして形成された調整ディスク3は、スクリューコンベヤに類似の形式で、通し送り方向22での軸方向の推力を棒状の被加工物1に加える。これにより調整ディスク3は、研削区間の入口Eの上流に配置される既述の送り装置を補助するか、又はそれどころか置換することができる。さらに、ねじ山輪郭25のねじ山ピッチを介して、調整ディスク3の回転数との関連で、研削間隙15内の被加工物1の搬送速度を適当に制御することが可能である。最後に、CBN摩擦ライニングからなるねじ山輪郭25は、CBN粒子がライニングから突出しているので、ある程度被加工物1の汚れを取ることが可能である。
【0047】
研削区間の入口Eには、別の装置29が配置されている。この別の装置29は、受け柱30と圧着ロール31とを備える。棒状の被加工物1は、受け柱30と圧着ロール31との間を通走する(図6参照)。装置29により、棒状の被加工物1は、予センタリングされ、安定に研削間隙15内に導入される。これにより、被加工物1の適当な研削が実施され、研削時のがたつきの傾向は、抑制される。
【0048】
棒状の被加工物1は、予センタリングする装置29を通過すると、次に入口支持ディスク26の作用領域に到達する。入口支持ディスク26は、相対回動不能に調整ディスクスピンドル16に取り付けられており、調整ディスク3の上流に配置されており、かつ調整ディスク3とともに回転駆動されている。入口支持ディスク26には、弾性的な周面ライニング27が施されており、入口支持ディスク26は、非円形の被加工物1が棒状素材として前端から研削区間内に進入したとき、非円形の被加工物1の横方向偏差を補償することができる。こうして、非円形の被加工物1も、確実に研削間隙15内に導入される。
【0049】
研削区間の出口Aには、研削ディスク5側に、出口支持ディスク28が設けられている。出口支持ディスク28は、自由回転可能に研削ディスクスピンドル17に支承されており、つまり研削ディスク5と一緒に駆動されない。出口支持ディスク28は、鋼からなっていてよく、被加工物1との接触による回転駆動を受ける。出口支持ディスク28は、その周面にねじ山輪郭を有しない。出口支持ディスク28の役割は、研削区間の出口Aにおいて棒状の被加工物1に作用する力を補償することにある。最後尾のディスクとしての研削ディスク5は、極めて高い横方向力を被加工物1に及ぼし、被加工物1を側方に撓ませる場合がある。最後尾のディスクとしての駆動される調整ディスク3においても同様である。鋼からなる出口支持ディスク28の配置は、特にCBN研削ディスクの使用時に有意義である。これは、この場合、直径が使用時間の経過中極めて僅かにしか減少しないからである。出口支持ディスク28の作用は、略不変のままである。
【0050】
図示しない調整ディスクのサポートは、すべての調整ディスク3及び入口支持ディスク26を備える調整ディスクスピンドル16の、被加工物1に対する半径方向の位置調節を生じる。同様に、図示しない研削ディスクのサポートも、すべての研削ディスク5を備える研削ディスクスピンドル17を半径方向で位置調節するために役立つ。研削運転中、被加工物1に対して半径方向での調整ディスク3及び研削ディスク5の位置は、CBN研削ディスク5の直径が使用時間の経過中略不変であるので、変更される必要がないか、又は変更されるにしても僅かで済む。新たな位置調節は、研削ディスク5を交換する場合か、又は異なる直径を有する被加工物への交換が実施される場合に初めて必要となる。被加工物直径の減少に応じた調整ディスク3及び研削ディスク5の常時の調整は、通し送り研削法では、いずれにしても不要である。これは、棒状の被加工物1が、その代わりに、段階的に狭まる研削間隙15を通走するからである。
【符号の説明】
【0051】
1 棒状の被加工物
2 被加工物の長手方向軸線
3 調整ディスク
4 調整ディスクの回転軸線
5 研削ディスク
6 研削ディスクの回転軸線
7 受け板
8 受け板の支持面
9 調整ディスクの位置調節方向
10 研削ディスクの位置調節方向
11 調整ディスクの回転方向
12 研削ディスクの回転方向
13 被加工物の回転方向
14 基準平面
15 研削間隙
16 調整ディスクスピンドル
17 研削ディスクスピンドル
18 軸方向の間隙
19 側方のオーバラップ領域
20 囲った三角形(従来技術)
21 囲った三角形(本発明)
22 被加工物の通し送り方向
23 中間スペース
24 中間スペース
25 ねじ山輪郭
26 入口支持ディスク
27 弾性的な周面ライニング
28 出口支持ディスク
29 予センタリングする装置
30 受け柱
31 圧着ロール
A 研削区間の出口
E 研削区間の入口
d2E 研削区間の入口における被加工物直径
d2A 研削区間の出口における被加工物直径
b3 調整ディスクの軸方向の幅
b5 研削ディスクの軸方向の幅
s18 軸方向の間隙の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通し送り研削法で柱状の外側輪郭を有する棒状の被加工物を研削する心なし円筒研削盤であって、
a)回転駆動される調整ディスク(3)及び研削ディスク(5)の多重セットを備え、該調整ディスク(3)と該研削ディスク(5)とは、前記被加工物(1)の両側において互いに反対側に、該被加工物(1)の長手方向軸線(2)に対して平行に延びる回転軸線(4,6)を有して配置されており、
b)研削運転中、前記調整ディスク(3)及び前記研削ディスク(5)は、駆動及び研削に関して有効に前記被加工物(1)に対して位置調節され、該被加工物(1)は、該被加工物(1)の長手方向(2)で前記多重セットを通走するようになっており、
c)前記調整ディスク(3)と前記研削ディスク(5)とにより形成される拡幅する研削間隙(15)内に、前記被加工物(1)を支持する受け板(7)が配置されており、前記被加工物(1)の長手方向軸線(2)は、前記調整ディスク(3)の回転軸線(4)と前記研削ディスク(5)の回転軸線(6)とを通る基準平面(14)に関して常に該基準平面(14)から離れて前記研削間隙(15)の部分領域内で前記基準平面(14)と前記受け板(7)の支持面(8)との間に存在するようになっており、
d)前記調整ディスク(3)及び前記研削ディスク(5)の各々は、隣接配置されたディスクに対して側方に間隔を置いて存在しており、
e)前記調整ディスク(3)と前記研削ディスク(5)とは、軸方向で互いにずらされて配置されており、
f)前記調整ディスク(3)は、前記研削ディスク(5)間の軸方向の中間スペース(24)内に突入する一方、前記研削ディスク(5)は、前記調整ディスク(3)間の軸方向の中間スペース(23)内に突入するようになっている、
ことを特徴とする、棒状の被加工物を研削する心なし円筒研削盤。
【請求項2】
前記多重セットの基本パターンが、それぞれ、2以上のディスク(3,5)の列を有し、前記調整ディスク(3)を含む一方の列は、前記被加工物(1)の一方の側に配置されており、前記研削ディスク(5)を含む他方の列は、前記被加工物(1)の他方の側に対向して配置されている、請求項1記載の円筒研削盤。
【請求項3】
以下の特徴、すなわち:
a)各々の列のディスク(3,5)自体は、1つの共通のスピンドル(16,17)に配置されて回転駆動されるようになっており、
b)列毎に、一方の列のすべてのディスク(3,5)の一括した半径方向の位置調節を他方の列の半径方向の位置調節とは独立的に行う装置が設けられており、
c)前記調整ディスク(3)及び前記研削ディスク(5)は、前記被加工物(1)の軸方向の通し送り方向(22)で、研削の進捗に応じて段階的に増加する直径を有しており、
d)同様に前記受け板(7)の支持面(8)は、前記被加工物(1)の、長手方向(2)で減少する直径に適合されている、
特徴を有する、請求項2記載の円筒研削盤。
【請求項4】
前記調整ディスク(3)及び前記研削ディスク(5)の側方のオーバラップ領域(19)が、軸方向の間隙(18)により互いに離間されており、該間隙(18)の幅(s18)は、前記調整ディスク(3)及び前記研削ディスク(5)が持続的な製造運転中でも相互に機能的に干渉しないか、又はそれどころか接触しないだけの大きさである、請求項1から3までの少なくとも1項記載の円筒研削盤。
【請求項5】
前記研削ディスク(5)の軸方向の幅(b5)は、前記調整ディスク(3)の軸方向の幅(b3)より小さい、請求項1から4までの少なくとも1項記載の円筒研削盤。
【請求項6】
前記研削ディスク(5)は、電着型のCBN研削ディスクである、請求項1から5までの少なくとも1項記載の円筒研削盤。
【請求項7】
前記研削ディスク(5)は、セラミックボンド型のCBN研削ディスクである、請求項1から5までの少なくとも1項記載の円筒研削盤。
【請求項8】
前記研削ディスク(5)は、メタルボンド型のCBN研削ディスクである、請求項1から5までの少なくとも1項記載の円筒研削盤。
【請求項9】
前記調整ディスク(3)は鋼からなる、請求項1から8までの少なくとも1項記載の円筒研削盤。
【請求項10】
前記調整ディスク(3)の外周面にねじ山輪郭(25)が設けられており、該ねじ山輪郭(25)は、スクリューコンベヤ状に通し送り方向(22)での軸方向の推力を前記被加工物(1)に加える、請求項9記載の円筒研削盤。
【請求項11】
前記調整ディスク(3)の外周面又は前記ねじ山輪郭は、鋼とは別の材料により形成されることにより、摩擦ライニングとして形成されている、請求項9又は10記載の円筒研削盤。
【請求項12】
前記調整ディスク(3)の外周面又は前記ねじ山輪郭は、電着されたCBN層により形成される、請求項11記載の円筒研削盤。
【請求項13】
前記調整ディスク(3)の列中の前記多重セットの入口(E)には、前記調整ディスク(3)の上流に、弾性的な周面ライニング(27)を有する入口支持ディスク(26)が配置されており、該入口支持ディスク(26)は、前記調整ディスク(3)とともに前記調整ディスクスピンドル(16)に固定されて、該調整ディスクスピンドル(16)により回転駆動されるようになっている、請求項3から12までの少なくとも1項記載の円筒研削盤。
【請求項14】
前記研削ディスク(5)の列中の前記多重セットの出口(A)には、前記研削ディスク(5)の下流に、鋼からなる出口支持ディスク(28)が自由回転可能に前記研削ディスクスピンドル(17)に支承されている、請求項3から13までの少なくとも1項記載の円筒研削盤。
【請求項15】
前記多重セットの上流に、通し送りされる前記棒状の被加工物(1)を予センタリングする装置(29)が配置されており、該予センタリングする装置(29)は、受け柱(30)と、該受け柱(30)に対応して配置される圧着ロール(31)とを有する、請求項1から14までの少なくとも1項記載の円筒研削盤。
【請求項16】
前記被加工物(1)の運動軌道の始端に、該被加工物(1)に長手方向兼運動方向での送りを与える装置が設けられている、請求項1から15までの少なくとも1項記載の円筒研削盤。
【請求項17】
通し送り研削法で柱状の外側輪郭を有する棒状の被加工物を心なし円筒研削する方法であって、
a)前記棒状の被加工物(1)は、長手方向(2)の駆動を受けて、回転する調整ディスク(3)及び研削ディスク(5)の多重セットと受け板(7)とにより形成されている研削間隙(15)を通走し、
b)前記調整ディスク(3)は、軸方向で互いに間隔を置いて、前記被加工物(1)の長手方向軸線(2)に対して平行に延びる1つの共通の回転兼駆動軸線(4)上に存在し、前記被加工物(1)を回転させ、
c)前記研削ディスク(5)は、やはり軸方向で互いに間隔を置いて、前記被加工物(1)の長手方向軸線(2)に対して平行に延びる1つの共通の回転兼駆動軸線(6)上に配置されて、前記被加工物(1)を研削し、
d)拡幅する研削間隙(15)内における半径方向での前記被加工物(1)の位置は、前記調整ディスク(3)の回転兼駆動軸線(4)と前記研削ディスク(5)の回転兼駆動軸線(6)とを通る基準平面(14)により確定され、前記被加工物(1)の長手方向軸線(2)は、前記基準平面(14)から離れて前記研削間隙(15)の部分領域内で前記基準平面(14)と前記受け板(7)の支持面(8)との間に存在していなければならず、
e)前記調整ディスク(3)と前記研削ディスク(5)とは、軸方向で互いにずらされて配置され、かつ半径方向で、前記調整ディスク(3)が前記研削ディスク(5)間の軸方向の中間スペース(24)内に突入する一方、前記研削ディスク(5)が前記調整ディスク(3)間の軸方向の中間スペース(23)内に突入するように近接に隣接配置され、
f)前記調整ディスク(3)と前記研削ディスク(5)とは、前記被加工物(1)の通し送り方向(22)で、研削の進捗に応じて段階的に増加する直径を有し、同様に前記受け板(7)の支持面(8)は、前記被加工物(1)の、長手方向で減少する直径に適合されている、
ことを特徴とする、棒状の被加工物を心なし円筒研削する方法。
【請求項18】
前記研削ディスクの周面の運動方向は、前記被加工物(1)との接触箇所で前記基準平面(14)に向かって延びる、請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−521147(P2013−521147A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556476(P2012−556476)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053396
【国際公開番号】WO2011/110529
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(512234588)エルヴィン ユンカー グラインディング テクノロジー アクツィオヴァ・スポレチュノスト (1)
【氏名又は名称原語表記】Erwin Junker Grinding Technology a.s.
【住所又は居所原語表記】Ripska 863, 27601 Melnik, Czech Republic
【Fターム(参考)】