説明

棒状導光体および光センサ

【課題】送信側において反射効率の良いセンサ光を放出可能とする、受信側において効率的に光を伝達し受光ロスの低減を可能とする。
【解決手段】センサ光源31に対向する端面11aを有する棒状であり、その側面11bに対して傾斜する反射面12aを有する複数のドット状反射部12が形成された棒状導光体、該棒状導光体である光送信部の側面に光受信部を対向配置した光センサ、前記センサ光源31にかえて光検出部32を用いた棒状導光体11B、該棒状導光体である光受信部の側面に光送信部を対向配置した光センサを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサの光送受信に用いて好適な棒状導光体、およびこの棒状導光体を用いた光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドアにおける安全確認などのために従来から光送受信による検知を利用した光センサが用いられている。このような用途では、通常、光送信機と受信機をそれぞれ同数の複数個使用するケースが多い。
光センサとして機能させるためには、光送信機では光を充分な強さで照射する能力が、光受信機では送信されてきた光を充分な感度で受信する能力が、それぞれ必須である。従って、例えば、光受信機の感度が充分でない場合、より感度の良い高級なセンサ、すなわち、高価なセンサを用いるか、あるいは、送受信のエラーを防ぐためにも、使用する光送受信機の個数を増やす等の対策が必要となる。
【0003】
例えば、エレベータなどの自動ドアの開閉用途においては、近年、検知領域の拡大や検知精度といったセンシング能力の向上が求められており、自動ドアの両サイドに取り付ける光送受信機の個数を増やすことで対応を行っている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−006561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のように、光送受信機の設置個数を増加させた場合は、増加個数分のコストが上昇してしまう。また、光送受信機の設置個数が多ければ、設置に際し、送信側と受信側とでそれぞれ光軸合わせなどの調整を光送受信機の個数分行う必要があり、作業コストの増大を招く。
光送受信機の設置個数の増加によって、光送受信機そのものの設置スペースや、光送受信機用の配線の取り回し空間が不足する可能性があった。光送受信機の設置個数を増加させた場合は、検知エラー率が上昇することも懸念される。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、例えば、自動ドアの開閉用途などに用いた場合、十分なセンシング能力を確保しつつ、光センサの低コストを実現できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するべく以下の構成を提案する。
第1の発明は、光センサの光受信部に対向して配置された、前記光センサの光送信部としての棒状導光体であって、前記棒状導光体の前記光受信部に対向する側とは反対側の側面に、その側面に対して傾斜する反射面を有するドット状反射部を複数設け、前記棒状導光体の長手方向端面にセンサ光源を設け、前記棒状導光体の長手方向端面から入射したセンサ光は、前記棒状導光体の前記側面における複数の前記ドット状反射部の反射面のそれぞれで反射し、前記光受信部で受光される棒状導光体を提供する。
第2の発明は、前記ドット状反射部の反射面は、平滑な平面である請求項1記載の棒状導光体を提供する。
第3の発明は、前記ドット状反射部の反射面は、前記側面に対して30度以上80度以下で傾斜される請求項2記載の棒状導光体を提供する。
第4の発明は、前記ドット状反射部は、平面視にて略矩形状とされ、その縦横比は10:1から1:1までの範囲である請求項3記載の棒状導光体を提供する。
第5の発明は、前記センサ光が不可視光である請求項4記載の棒状導光体を提供する。
第6の発明は、光送信部としての請求項1乃至5のいずれか1項に記載の棒状導光体と、前記光受信部とを備える光センサを提供する。
第7の発明は、光センサの光送信部に対向して配置された、前記光センサの光受信部としての棒状導光体であって、前記棒状導光体の前記光送信部に対向する側とは反対側の側面に、その側面に対して傾斜する反射面を有するドット状反射部を複数設け、前記棒状導光体の長手方向端面に光検出部を設け、前記光送信部からのセンサ光は、前記側面における複数の前記ドット状反射部の少なくとも1つの反射面で反射し、前記光検出部で検出される棒状導光体を提供する。
第8の発明は、前記ドット状反射部の反射面は、平滑な平面である請求項6記載の棒状導光体を提供する。
第9の発明は、前記ドット状反射部の反射面は、前記側面に対して角度が30度以上80度以下で傾斜される請求項7記載の棒状導光体を提供する。
第10の発明は、前記ドット状反射部は、平面視にて略矩形状とされ、その縦横比は10:1から1:1までの範囲である請求項8記載の棒状導光体を提供する。
第11の発明は、光受信部としての請求項7乃至10のいずれか1項に記載の棒状導光体と、前記光送信部とを備える光センサを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドット状反射部の反射面に高い反射効率を確保でき、棒状導光体にて光を反射させる際の光ロスを低減できるから、棒状導光体から出射させたセンサ光の到達距離を長くすることができる。その結果、本発明は、光送受信に用いて好適な棒状導光体、およびこの棒状導光体を用いた光センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る光センサの第1実施形態を示す模式図である。
【図2】図1における光センサとその棒状導光体の斜視図である。
【図3】図1の棒状導光体におけるドット状反射部の拡大断面図である。
【図4】図1の棒状導光体におけるドット状反射部の拡大平面図である。
【図5】エレベータのドア装置を示す要部平面図である。
【図6】検出駆動制御手段を示す模式図である。
【図7】本発明に係る光センサの他の実施形態を示す模式図である。
【図8】本発明に係る光センサの他の実施形態を示す模式図である。
【図9】本発明に係る光センサの他の実施形態を示す模式図である。
【図10】本発明に係る光センサのドット状反射部の他の例を示す模式図である。
【図11】本発明における光センサとその棒状導光体の他の例を示す模式図である。
【図12】本発明における光センサとその棒状導光体の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る光センサとその棒状導光体の1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に例示する光センサ1は、発光側装置10と、この発光側装置10から離隔させて配置され前記発光側装置10から出射されたセンサ光Lを受光する受光側装置20とを具備して構成されている。
【0011】
前記発光側装置10は、センサ光の発光を行う発光部31(センサ光源)と、この発光部31からセンサ光が入射する透明の棒状導光体11とを具備して構成されている。前記受光側装置20は、センサ光の受光を行う光検出部32と、透明の棒状導光体11とを具備して構成されている。
【0012】
この光センサ1は、発光側装置10の棒状導光体11と受光側装置20の棒状導光体11とを互い離隔させて平行配置した構成になっている。
この光センサ1では、受光側装置20の棒状導光体11として、発光側装置10の棒状導光体11と同様の構造のものを用いている。図中、発光側装置10の棒状導光体11に符号11A、受光側装置20の棒状導光体11に符号11Bを付記する。
【0013】
棒状導光体11の形成材料は、屈折率1.4以上の透明な材料であればよく、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、シクロポリオレフィン樹脂等などの合成樹脂、ガラスなどを用いることができる。棒状導光体11の形成材料としてはこれらの材料の中でも透明性、加工の容易さなどの点からアクリル樹脂を好適に用いることができる。
【0014】
発光側装置10の棒状導光体11Aは、その長手方向片端に、前記発光部31に対向する端面11aを有している。棒状導光体11Aには、前記発光部31から出力されたセンサ光が前記端面11aから入射する。
前記棒状導光体11Aの長手方向の一つの側面11bには、該側面11bに対して傾斜する反射面12aを有するドット状反射部12が複数設けられている。前記ドット状反射部12は、前記一つの側面11b(以下、第1側面とも言う)に形成された切り欠き状の凹所である。このドット状反射部12は、第1側面11bにおいて、棒状導光体11Aの長手方向の複数箇所に互いに間隔を開けて形成されている。
【0015】
この棒状導光体11Aは、前記発光部31から前記端面11aを介して入射するセンサ光を、前記ドット状反射部12の反射面12aで反射させて、前記一つの側面11bに対向する側面11c(以下、第2側面とも言う)から出射させる。なお、第2側面11cにはドット状反射部12は形成されていない。
【0016】
図1、図2、図3に示すように、前記ドット状反射部12は、第1側面11bから窪む断面三角形状(第1側面11b及び第2側面11cに直交し、棒状導光体11の長手方向に沿う縦断面における断面形状が三角形状)の凹部となっている。
ドット状反射部12の反射面12aは、棒状導光体11の第1側面11bから第2側面11cの側に行くにしたがって棒状導光体11長手方向において前記端面11aとは反対の後端部に接近する平坦面となっている。この反射面12aは、棒状導光体11長手方向に直交する仮想垂直面11dに対する傾斜角度α1が10以上60度以下、第2側面11cに対して傾斜角度αが30度以上80度以下で傾斜する傾斜面となっている。図示例の棒状導光体11において、第1側面11bと第2側面11cとは互いに平行になっているので、前記反射面12aは、換言すれば、第1側面11bに対して傾斜角度αが30度以上80度以下で傾斜する傾斜面となっている。
【0017】
ドット状反射部12は、棒状導光体11内を前記端面11aから棒状導光体11後端部に向かって伝搬するセンサ光を、前記反射面12aにて、ドット状反射部12内側の空気と棒状導光体11との光屈折率差によって反射して第2側面11cから出射させる。図3に示すように、棒状導光体11Aの第2側面11cから出射されるセンサ光Lは、発光部31から棒状導光体11に入射されたセンサ光L(入射光L1)がドット状反射部12の反射面12aにて反射した反射光L2である。
【0018】
棒状導光体11Aは、前記反射面12aの傾斜角度αを前記範囲とすることによって、反射面12aにおける光の反射効率を高くすることができ、第2側面11cから出射させるセンサ光Lに高い光強度を容易に確保できる。前記反射面12aの第1側面11b及び第2側面11cに対する傾斜角度αは、40度以上60度以下がより好ましく、45度以上50度以下がさらに好ましい。
【0019】
受光側装置20の棒状導光体11Bも、前記ドット状反射部12が形成された第1側面11bと、該棒状導光体11Bの長手方向に沿って延在しかつ前記第1側面11bに対向する側面である第2側面11cとを有する。
光センサ1において、発光側装置10の棒状導光体11Aと受光側装置20の棒状導光体11Bとは、第2側面11c、11c同士を互いに対向させて設けられている。
発光側装置10の棒状導光体11Aの第2側面11cから出射されたセンサ光は、発光側装置10の棒状導光体11Aと受光側装置20の棒状導光体11Bとの間に確保された検知領域Kを介して受光側装置20の棒状導光体11Bに入射可能である。
【0020】
受光側装置20の棒状導光体11Bはその長手方向片端の端面11aを前記光検出部32に対向させて設けられている。
受光側装置20の棒状導光体11Bは、発光側装置10の棒状導光体11Aから前記検知領域Kを介して受光側装置20の棒状導光体11Bに入射したセンサ光Lを、第1側面11bのドット状反射部12の反射面12aによって反射して、長手方向片端の端面11aから光検出部32へ出射する。受光側装置20は、発光側装置10の棒状導光体11Aから出射されたセンサ光を棒状導光体11Bを介して光検出部32にて受光する。
【0021】
棒状導光体11Bのドット状反射部12の反射面12aは、該棒状導光体11Bの第1側面11bから第2側面11cの側に行くにしたがって棒状導光体11長手方向において前記端面11aとは反対の後端部に接近する平坦面となっている。この反射面12aの棒状導光体11長手方向に直交する仮想垂直面11dに対する傾斜角度α1、第2側面11cに対する傾斜角度αは、発光側装置10の棒状導光体11Aのドット状反射部12の反射面12aと同様である。すなわち、この反射面12aの前記仮想垂直面11dに対する傾斜角度α1は10以上60度以下、第2側面11cに対する傾斜角度αは30度以上80度以下である。
また、既述のように、図示例の棒状導光体11において、第1側面11bと第2側面11cとは互いに平行になっているので、前記反射面12aは、換言すれば、第1側面11bに対して傾斜角度αが30度以上80度以下で傾斜する傾斜面となっている。
【0022】
受光側装置20の棒状導光体11Bのドット状反射部12は、棒状導光体11Bに第2側面11cから入射したセンサ光を、前記反射面12aにて、ドット状反射部12内側の空気と棒状導光体11との光屈折率差によって反射して長手方向の端面11aから出射させる。前記反射面12aにて反射されたセンサ光は棒状導光体11B内を伝搬して前記端面11aから出射されて光検出部32にて受光される。
【0023】
棒状導光体11Bは、前記反射面12aの傾斜角度αを前記30度以上80度以下の範囲とすることによって、反射面12aにおける光の反射効率を高くすることができ、長手方向の端面11aから出射させるセンサ光に高い光強度を容易に確保できる。前記反射面12aの第1側面11b及び第2側面11cに対する傾斜角度αは、40度以上60度以下がより好ましく、45度以上50度以下がさらに好ましい。
【0024】
発光側装置10の発光部31としては、LED(発光ダイオード。LED:Light Emitting Diode)、LD(レーザダイオード)などの発光素子を用いることができる。また、受光側装置20の光検出部32としては、フォトダイオード等の受光素子を採用できる。発光部31及び光検出部32は、それぞれ配線部33を介して給電回路、制御回路等の電気回路に接続される。
発光部31は、可視光を発光(出力)するものであっても良いが、例えば赤外光あるいは紫外光といった不可視光を発光するものであっても良い。光検出部32は、発光部31が発光する光に応じて、この光を受光可能なものを選択使用する。
【0025】
図1等に示すように、発光側装置10、受光側装置20は、発光部31又は光検出部32であるセンサ体30を、棒状導光体11の前記端面11a側の端部に取り付けた取付用部材34によって、棒状導光体11の端面11aに対向配置した状態に取り付けたものである。
【0026】
光センサ1は、発光側装置10の発光部31が出力したセンサ光を棒状導光体11Aから出射し、発光側装置10の棒状導光体11Aから出射されたセンサ光を、受光側装置20の光検出部32が棒状導光体11Bを介して受光する光送受信方式のセンサである。
この光センサ1において、発光側装置10の棒状導光体11Aは、発光部31に臨む端面11aから入射したセンサ光をドット状反射部12の反射面12aで反射して受光側装置20に向かって出射(送信)する光送信部、受光側装置20の棒状導光体11Bは、光送信機(発光側装置10)から送信されたセンサ光を受光(受信)する光受信部として機能する。
【0027】
発光側装置10の棒状導光体11Aの複数のドット状反射部12は、棒状導光体11Aの第1側面11bに棒状導光体11Aの長手方向に沿って一列に並べられている。
受光側装置20の棒状導光体11Bの複数のドット状反射部12は、棒状導光体11Bの第1側面11bに棒状導光体11Bの長手方向に沿って一列に並べられている。
【0028】
光センサ1は、発光側装置10と受光側装置20との間の検知領域Kに遮光性の障害物Hが侵入したときに、障害物Hが無い場合に比べて受光側装置20の光検出部32における受光量が低下する。この光センサ1は、光検出部32における受光量の低下により、発光側装置10と受光側装置20との間の検知領域Kへの障害物Hの侵入を検出できる。検知領域Kへの障害物Hの侵入検知は、例えば光検出部32の受光量が予め設定した閾値よりも低くなった場合に検知信号を出力する検出回路を光検出部32に接続すること等によって実現できる。
【0029】
図2、図3は、棒状導光体11の具体例を示す。
図2、図3に例示した棒状導光体11は、その長手方向に直交する断面が矩形状の棒状に形成されている。
棒状導光体11の厚さ方向tの寸法は、例えば0.5mm〜5mmとすることができる。棒状導光体11の幅方向rの寸法は、例えば0.5mm〜5mmとすることができる。
なお、棒状導光体11の断面形状(長手方向に直交する断面の形状)は矩形状に限定されない。また、発光側装置10に設けられる棒状導光体11Aの形状と、受光側装置20に設けられる棒状導光体11Bの形状とが互いに異なっていても良い。
【0030】
発光側装置10に設けられる棒状導光体11A(以下、発光側の棒状導光体とも言う)としては、センサ光源(発光部31)からの光入射が可能な端面11a、ドット状反射部12が形成される第1側面11b(反射部加工面)、ドット状反射部12の反射面12aにて反射したセンサ光の出射が可能な第2側面11c(出射側面)を有する構成であれば良く、図示例の断面形状に限定されない。また、受光側装置20に設けられる棒状導光体11B(以下、受光側の棒状導光体とも言う)としては、光検出部32への光出射が可能な端面11a、ドット状反射部12が形成される第1側面11b(反射部加工面)、センサ光が入射可能な第2側面11c(入射側面)を有する構成であれば良く、図示例の断面形状に限定されない。
【0031】
棒状導光体11の端面11aは、例えば棒状導光体11の軸線に対して概ね直交する向きの平坦面に形成される。この端面11aの棒状導光体11の軸線に対する角度は90度に限定されない。また、前記端面11aの形状は、発光部31からのセンサ光の入射、光検出部32へのセンサ光の出射が可能なものであれば良く、特に限定は無い。
前記端面11aは、例えば棒状導光体11の軸線に垂直の仮想垂直面に対して7〜9度傾斜する傾斜面とすることも可能である。前記端面11aを棒状導光体11の軸線に垂直の仮想垂直面に対して7〜9度傾斜する傾斜面とした構成は、該端面11aと発光部31との間、端面11aと光検出部32との間にて乱反射する光の発生を抑える点で好適である。
【0032】
図3に示すように、図示例の棒状導光体11のドット状反射部12は、第1側面11b及び第2側面11cに直交し、棒状導光体11の長手方向に沿う縦断面における断面形状が反射面12aを斜辺とする直角三角形をなしている。また、図4に示すように、ドット状反射部12は平面視形状、つまり、第1側面11bに開口したドット状反射部2の形状が略矩形とされる。
反射面12aは、既述のように、棒状導光体11の第1側面11bから第2側面11cの側に行くにしたがって棒状導光体11長手方向において前記端面11aとは反対の後端部に接近する平坦面となっている。
【0033】
棒状導光体11を第1側面11b側から見たときのドット状反射部12の形状(ドット状反射部12の平面視形状)は、図4に示すように、縦横比(アスペクト比)(平均値)が、10:1から1:1の範囲であることが好ましく、5:1から1:1の範囲がさらに好ましく、また、1:1がより好ましい。ここで、縦横比とは、平面視でドット状反射部12が内接する最小面積の長方形の長辺と短辺の比(長辺:短辺)をいう。縦横比がこの範囲以外であると、ドット状反射部12からの第2側面11cへの反射光が充分でない可能性があるため好ましくない。縦横比とは、ドット状反射部2の平面視した形状が長方形の場合には長方形の長辺と短辺の比(長辺:短辺)をいう。β1>β2の場合はβ1:β2、β1<β2の場合はβ2:β1となる。ドット状反射部12の開口形状が長方形以外の図形の場合には、平面視でドット状反射部2が内接する最小面積の長方形の長辺と短辺の比(長辺:短辺)をいう。
【0034】
反射面12aの表面粗さ(最大高さRy)(JIS B 0601-1994)は、1μm以下、好ましくは0.1μm以下が好適である。表面粗さをこの範囲にすることによって、反射面12aにおける光の反射効率を高めることができる。
【0035】
ドット状反射部12が形成された棒状導光体11は、例えば合成樹脂材料の射出成形によって作成できる。射出成形による棒状導光体11の形成は、ドット状反射部12を形成済みの棒状導光体を短時間かつ低コストで得ることができる。
【0036】
図3に示すように、ドット状反射部12の深さ寸法γは、反射面12aの大きさに影響を与える。ドット状反射部12の深さ寸法γが小さすぎれば反射面12aのサイズを充分に確保できなくなる。深さ寸法γが小さすぎる場合、発光側装置10では、棒状導光体11Aからのセンサ光の出射量が不充分となる。また、この場合、受光側装置20では、光検出部32での棒状導光体11Bからの受光量が不足する可能性がある。
逆に、前記深さ寸法γが大きすぎれば、反射面12aの形成精度の確保が難しくなり、反射面12aへのセンサ光照射に伴う散乱光の発生が増大し、センサとしての制御性、障害物Hの検知精度が低下する可能性があるため好ましくない。そのため、ドット状反射部12の深さ寸法は、1μm〜1mmが好ましく、50μm〜500μmがさらに好ましい。
【0037】
図3、図4に示すように、ドット状反射部12の開口サイズβ1は、反射面12aの大きさに影響を与える。前記開口サイズβ1が小さすぎれば反射面12aのサイズを充分に確保できなくなる。開口サイズβ1が小さすぎる場合、発光側装置10では、棒状導光体11Aからのセンサ光の出射量が不充分となる。また、この場合、受光側装置20では、光検出部32での棒状導光体11Bからの受光量が不足する可能性がある。
逆に、開口サイズβ1が大きすぎれば反射面12aの形成精度の確保が難しくなり、反射面12aへのセンサ光照射に伴う散乱光の発生が増大し、センサとしての制御性、障害物Hの検知精度が低下する可能性があるため好ましくない。そのため、ドット状反射部12の開口サイズβ1は1μm〜1mmが好ましく、50μm〜500μmがさらに好ましい。
【0038】
本実施形態においては、ドット状反射凹部12のドットピッチが1μm〜1mmに設定されることが好ましく、50μm〜500μmに設定されることがより好ましい。これは、図4に示すように、センサ光源31からの入射方向である端面11aに垂直なセンサ光の光軸方向cにおけるドットピッチp1が上記の範囲に設定されることが上記の範囲に設定されることを意味する。
【0039】
次に、発光側の棒状導光体11のドット状反射部12の反射面12aの傾斜角度αについて説明する。
図1に例示した光センサ1は、発光側の棒状導光体11Aと受光側の棒状導光体11Bとが互いに平行に設けられ、棒状導光体11A、11Bの第2側面11c同士が検知領域Kを介して棒状導光体11A、11Bの軸線に対する直交方向に対向配置されている。この構成においては、発光側装置10の棒状導光体11Aからセンサ光Lを第2側面11cに垂直に近い角度で出射させることが好ましい。したがって、図1の場合は、発光側の棒状導光体11Aのドット状反射部12の反射面12aの傾斜角度αを45度程度に設定することが好ましい。
【0040】
発光側装置10の棒状導光体11の第2側面11cに対する反射面12aの傾斜角度αは、棒状導光体11から受光側装置へのセンサ光の照射効率(照射量)を最大とし光の利用効率を高めるべく設定することが好ましい。
この反射面12aの傾斜角度αは、発光側、受光側の棒状導光体11A、11Bの位置関係や、発光側の棒状導光体11Aの受光側の棒状導光体11Bに対する傾斜角度に応じて、発光側の棒状導光体11Aから出射されるセンサ光を出来るだけ多く受光側の棒状導光体11Bに照射できるように設定することが好ましい。
【0041】
ここで、一例として、互いに平行に設けられた棒状導光体11A、11Bの位置に、棒状導光体11A、11Bの軸線方向(図1上下方向)の相対的なずれが存在する場合について説明する。この場合、発光側装置10の棒状導光体11Aは、前記反射面12aの傾斜角度αの設定によって、各ドット状反射部12の反射面12aから受光側の棒状導光体11Bへ向かうセンサ光Lの出来るだけ多くを受光側の棒状導光体11Bに照射することが好ましい。
また、発光側装置10の棒状導光体11Aが受光側装置20の棒状導光体11Bに対して傾斜して配置されている場合も、発光側装置10の棒状導光体11Aの前記反射面12aの傾斜角度αの設定によって、該棒状導光体11Aから出射されるセンサ光Lの出来るだけ多くを受光側の棒状導光体11Bに照射することが好ましい。
【0042】
本実施形態の発光側装置10において、センサ光源(発光部31)からの光は、反射面12aにて反射し、反射面12aから第2側面11c側へほぼ一定の方向に向かうため、センサ光Lの単位面積(棒状導光体11の単位長さ)あたりの輝度は充分に大きくなる。このため、前記発光側装置10を用いた場合は、受光側装置20を発光側装置10から距離をおいて配置する場合でも優れた検出性が得られ、光センサの動作確実性も向上できる。
【0043】
本実施形態における光センサにおいては、図1に示すように、発光側の棒状導光体11Aの各ドット状反射部12の反射面12aから受光側の棒状導光体11Bへ向かうセンサ光Lの光軸を、受光側の棒状導光体11Bのドット状反射部12の反射面12aに位置合わせした構成に限定されない。
受光側の棒状導光体11Bでは、その第2側面11cを介してドット状反射部12からずれた位置から入射したセンサ光は、棒状導光体11Bの外周面での反射を繰り返して棒状導光体11B内を進行し、ドット状反射部12の反射面12aに到達して反射され光検出部32にて受光される。したがって、この光センサは、発光側の棒状導光体11Aから出射されたセンサ光Lの光軸が、受光側の棒状導光体11Bのドット状反射部12の反射面12aに位置合わせされていなくても、優れた検出性能を確保できる。
【0044】
図5は、本実施形態の光センサをエレベータのドア開閉用センサとして使用した場合について説明する図である。
【0045】
図5において、1はエレベータの乗場、2は乗場1に立設された乗場三方枠の縦柱、3は乗場三方枠及び乗場1の床面によって形成された乗場出入口、4a及び4bは乗場出入口3を開閉する乗場戸である。また、5はエレベータ昇降路内を昇降するかご、6はかご5の床面及び袖壁7によって形成されたかご出入口、8a及び8bはかご出入口を開閉するかご戸である。なお、上記乗場戸4a、4b及びかご戸8a、8bは、水平方向に移動して各出入口3及び6を開閉する両開き方式のものを示している。
【0046】
9a及び9bはかご戸8a及び8bの各出入口側端部に上下に渡って設けられたセフティシューである。セフティシュー9a及び9bは、かご戸8a及び8b裏面の各戸当り側端部に、かご戸8a及び8bの開閉方向に進退自在に設けられている。また、セフティシュー9a及び9bは、その一部が常時にかご戸8a及び8bの各戸当り側端面からかご出入口6側に突出するように配置されている。そして、このセフティシュー9a又は9bが戸閉動作時にかご戸8a及び8bに対して戸開方向に移動されることにより、検出スイッチ(図示せず)が動作されて、戸の反転動作が行われる。
【0047】
本実施形態の光センサは、上記セフティシュー9aに発光側装置10が設けられ、セフティシュー9bに受光側装置20が設けられている。この光センサは、セフティシュー9a及び9b間の検知領域Kにおける異物の有無、即ち乗降客の有無を非接触で検出できる構成を有している。
光センサは、例えば、一方のセフティシュー9aのセフティシュー9bに対向する開閉先端部分にその高さ方向に亘って棒状導光体11を延在配置した発光側装置10と、他方のセフティシュー9bのセフティシュー9aに対向する開閉先端部分にその高さ方向に亘って棒状導光体11を延在配置した受光側装置20とから構成される。発光側装置10と受光側装置20とは、それぞれ、センサ体30(発光部31、光検出部32)が下端位置になるようにセフティシュー9a,9bに設けられている。
かかる構成の光センサでは、発光側装置10からのビームが、棒状導光体11の全長に亘って対応の受光側装置20に向けて出射されることにより、受光側装置20の受光量に基づいて、乗降客の有無が判定される。
【0048】
具体的に、受光側装置20は、かご出入口6の所定の高さの範囲に渡って棒状導光体11が位置するように、セフティシュー9bの突出部(先端部分)内に、上下に連続するように配置されている。同様に、発光側装置10も、かご出入口6の所定の高さの範囲に渡って配置されるように、セフティシュー9aの各突出部内に、上下に棒状導光体11が延在するように配置されている。
【0049】
図6に示すように、光検出部32は受光量検測部41に接続されている。受光量検測部41には、光検出部32がその受光量に応じて出力する信号(例えば電気信号)が入力される。受光量検測部41は、受光側装置20の光検出部32から入力された信号から、光検出部32の受光量を割り出す(受光量を検出する)。光検出部32が棒状導光体11から受光する受光量は、棒状導光体11の延在する高さ範囲として設定される矩形の検知領域Kに障害物Hが存在するとき、障害物Hがない状態における受光量に比べて障害物Hで阻害されるセンサ光L0(図1参照)分減少する。そして、判定部42は、受光量検測部41によって検出された総受光量に基づいて、セフティシュー9a及び9b間の検知領域Kにおける異物の有無を判定する。具体的に、判定部42は、受光量検測部41によって検出された各受光量があらかじめ設定された所定の閾値に満たない場合に、異物(障害物)有りを判定する。
【0050】
そして、駆動制御部43は、判定部42によって異物有りが判定されると、その異物が戸(乗場戸4a及び4b、かご戸8a及び8b)に挟まれたり衝突したりすることを回避するため、戸を反転動作させたり、戸閉速度を遅らせたりする等の制御を行う。
本実施形態によれば、受光側の棒状導光体11の端面11aに対向配置した光検出部32によって、棒状導光体11の全長に亘った範囲の検知が可能となるため、製造コストを抑えることができる。また、この実施形態によれば、ビーム状のセンサ光を光受信部と光送信部との間で各々精度あわせを行う必要がなく、また、一定の閾値よりも検出量が低下することで検知するため、誤検知の発生を低下して、検知精度よく検出可能とすることができる。
【0051】
本実施形態によれば、前記棒状導光体11は、ドット状反射部12の反射面12aに高い反射効率を確保できるから、前記反射面12aにて光を反射させる際の光ロスを低減できる。このため、この棒状導光体11は、第2側面11cから出射させたセンサ光の到達距離を長くすることができる。しかも、この棒状導光体11は、ドット状反射部12の反射面12aの傾斜角度αの設定によって、受光側装置へのセンサ光入射量を容易に確保できる。
一方、受光側の棒状導光体11は、前記反射面12aにて光を反射させる際の光ロスの低減によって、光検出部32での受光量の確保が容易となるから、発光側装置からの距離を大きく設定できる。
【0052】
上述のように高い反射効率を確保できる反射面12aを有するドット状反射部12を形成した構成の棒状導光体11は従来知られていない。
従来のエッジライト方式の導光棒は、より反射効率を上げることを考えた場合、二次加工(研磨加工)が必須であり、非常に高価な製品となり現実的な使用は難しい。また、合わせてセンサ光を充分に引き出すための角度設定も難しいという欠点を有していた。
これに対して前記棒状導光体11は、ドット状反射部12が形成容易な断面三角形状であり、ドット状反射部12を含む全体を射出成形によって形成可能である。この棒状導光体11は、二次加工(研磨加工)を行わなくても、平坦で高い反射効率を確保できる反射面12aを有するドット状反射部12を低コストで容易に形成できる。
【0053】
つまり、本実施形態によれば、射出成形によって形成された合成樹脂製の棒状導光体11は、その樹脂成形(射出成形)によって、平滑な反射面12aを有するドット状反射部12を形成できる。これに対して、例えばアクリル棒等の樹脂棒の一部にレーザ加工やNC加工等の機械加工を施した方式の場合は、平滑面の形成が非常に難しく反射効率を上げることが困難であるため、反射効率を上げるためには二次加工(研磨加工)する必要がある。
本実施形態では、棒状導光体11の射出成形時に平滑な反射面12aを有するドット状反射部12を形成できるため、反射効率を上げるための二次加工(研磨加工)の必要がなく、低価格な製品を実現することができる。
しかも、前記棒状導光体11は、その樹脂成形(射出成形)時に、ドット状反射部12の反射面12aの傾斜角度αを設定でき、設定した傾斜角度αの反射面12aを確実かつ容易に形成できるため、センサ光を充分に引き出すための反射面12aの角度設定も容易に行える。
【0054】
前記光センサ1は、光送信機と受信機をそれぞれ同数の複数個使用する構成の光センサに比べて、使用するセンサ数を少なく抑えることが可能であるから、製造コスト及び設置コストの低減、省スペース化を容易に実現できる。
また、棒状導光体11は、発光側、受光側のいずれにも使用できるため、量産による低コスト化を容易に実現できるといった利点もある。
【0055】
なお、発光側、受光側の棒状導光体11は、必ずしも同じ構造のものとする必要は無く、互いに異なる構造のものを用いても良い。
【0056】
上述の実施形態においては、それぞれ棒状導光体11を有する発光側装置10と受光側装置20とを用いたが、光センサとしては、図7〜図9に示す実施形態(後述)のように、発光側装置、受光側装置のうちどちらか片方のみ棒状導光体11を有する構成も採用可能である。
【0057】
次に、図7に例示した光センサ1Aを説明する。
図7に示すように、この光センサ1Aは、棒状導光体11を含む既述の発光側装置10と、光検出部32自体である受光側装置20aとを有する構成となっている。この光センサ1Aの受光側装置20aは、その受光面を発光側装置10の棒状導光体11(詳細にはその第2側面11c)に対向させて設置され、発光側装置10の棒状導光体11から出射されたセンサ光Lを直接受光する。また、この光センサ1Aでは、発光側装置10の棒状導光体11と受光側装置20aとの間に、棒状導光体11から前記受光側装置20aに向かって先細りのほぼ三角形状の検知領域Kが確保される。
【0058】
図7の光センサ1Aは、発光側装置10の発光部31から棒状導光体11に入射され棒状導光体11の長手方向複数箇所のドット状反射部12の反射面12aにて反射されて第2側面11cから出射されるセンサ光Lを、ひとつの受光側装置20aにて受光する構成となっている。発光側装置10の棒状導光体11の各ドット状反射部12の反射面12aの傾斜角度αは、各反射面12aからのセンサ光Lが受光側装置20aに向かうように、個々に設定される。
【0059】
この光センサ1Aは、光送信部として機能する発光側装置10の棒状導光体11が、光受信部として機能する受光側装置20aに向かってセンサ光を出射(送信)する。
【0060】
発光側装置10の棒状導光体11としては、図8に示すように、弓形に湾曲形成したものを用いても良い。図8の棒状導光体11に符号11Cを付記する。この棒状導光体11Cは、第2側面11cを湾曲の内周側、第1側面11bを湾曲の外周側とされている。
受光側装置20aは、棒状導光体11の第2側面11cに対向配置される。
【0061】
なお、棒状導光体11を含む発光側装置10と、発光側装置10の棒状導光体11から出射されたセンサ光Lを直接受光する受光側装置20aとを用いる光センサとしては、受光側装置20aをひとつのみ用いる構成に限定されず、受光側装置20aを複数設けた構成とすることも可能である。受光側装置20aを複数用いて構成した光センサとしては、例えば、複数の受光側装置20aを発光側装置10の棒状導光体11に沿って配列設置した列(受光部列)を、棒状導光体11から離隔した位置に設けた構成などを挙げることができる。複数の受光側装置20aは、それぞれ、発光側装置10の棒状導光体11Aの第1側面11bに棒状導光体11Aの長手方向に沿って一列に並べられたドット状反射部12に対向させて配置する。
この光センサにおいては、発光側装置10の棒状導光体11が光送信部、受光部列の受光側装置20aが光受信部として機能する。
【0062】
図9に例示した光センサ1Bは、棒状導光体11を含む既述の受光側装置20と、発光部31自体である発光側装置10aを前記受光側装置20の棒状導光体11に沿って複数配列した発光部列31Aとを有する構成となっている。発光部列31Aは受光側装置20の棒状導光体11から離隔させて設けられている。発光部列31Aの各発光側装置10aは、棒状導光体11の第2側面11cに対向させて設けられ、棒状導光体11に向けて出射したセンサ光Lを前記第2側面11cから棒状導光体11に入射させる。この光センサ1Bでは、発光部列31Aと受光側装置20との間が検知領域Kとされる。
【0063】
発光側装置10aは、例えば、受光側装置20の棒状導光体11の複数のドット状反射部12に対応させてドット状反射部12と同数を設置し、それぞれセンサ光Lの光軸をドット状反射部12の反射面12aに位置合わせする。つまり、発光部列31Aの各発光部31(センサ光源)は、それぞれ、受光側装置20の棒状導光体11Bの第1側面11bに棒状導光体11Bの長手方向に沿って一列に並べられたドット状反射部12に対向して、その配列方向に沿って配置されている。
この光センサ1Bにおいては、発光部列31Aの各発光部31が光送信部、受光側装置20の棒状導光体11が光受信部として機能する。
【0064】
また、棒状導光体11を含む既述の受光側装置20と、この受光側装置20の棒状導光体20にセンサ光を直接照射する発光側装置10aとを用いる光センサとしては、図9の構成に限定されない。この光センサとしては、例えば、複数の発光側装置10aを、受光側装置20の棒状導光体11Bからの距離を互いに異ならせて設置し、発光部列31Aを形成しない構成も採用可能である。また、発光側装置10aは棒状導光体11にセンサ光を入射可能とするために棒状導光体11の第2側面11cに対向させて設けられていれば良く、必ずしも、センサ光Lの光軸をドット状反射部12の反射面12aに位置合わせする必要は無い。
【0065】
また、上記の実施形態では、ドット状反射部12を棒状導光体11に1列に形成したが、ドット状反射部12の列(ドット列)を2列以上並列に形成することもできる。この場合、図10に示すように、ドット列間のドットピッチp2は、1μm〜1mmに設定されることが好ましく、50μm〜500μmに設定されることがより好ましい。
また、ドットピッチp1,p2は同じとすることもできるし、異なる値に設定することも可能である。
【0066】
棒状導光体11は、その長手方向におけるドット状反射部12のドットピッチp1を、端面11aから離隔するに従い小さくなるように設定することも可能である。この棒状導光体11を発光側装置10に用いた場合は、発光部31に近いドット状反射部12における反射光強度に比べ発光部31から遠い位置にあるドット状反射部12における反射光強度が低くなる傾向を解消あるいは緩和できる。したがって、この棒状導光体11は、受光側装置へ向けて出射するセンサ光強度の均等化を図ることができ、検出精度ムラの発生を抑えることができる。
また、この棒状導光体11は受光側装置20にも用いることができる。この場合は、光検出部32が、棒状導光体11の長手方向複数箇所のドット状反射部12から受光する光の強度を均等化できる。すなわち、この棒状導光体11は、光検出部32から遠い位置にあるドット状反射部12からの光検出部32が受光する受光強度が、光検出部32から近いドット状反射部12からの光検出部32が受光する受光強度よりも低くなる傾向を解消あるいは緩和でき、検出精度ムラの発生を抑えることができる。
【0067】
また、棒状導光体11は、発光部31からの距離の増大に伴う反射光強度低下を補償するために、図11に示すように、発光部31から遠い位置にあるドット状反射部12を、発光部31に近いドット状反射部12に比べ反射面12aの面積を大きくしたドット状反射部12kとすることができる。
図11に例示した棒状導光体11は、反射面12aの面積が互いに異なる2種類のドット状反射部12を有する構成となっている。但し、棒状導光体11はこれに限定されず、例えば、その長手方向複数箇所に、反射面12aの面積が互いに異なるドット状反射部12を、端面11aからの距離が増大するに従い反射面12aの面積が大きくなる順で配列形成した構成等も採用可能である。
この棒状導光体は、発光側装置10のみならず、受光側装置20にも適用可能である。
【0068】
また、上記の実施形態では、第1側面11bにドット状反射部12を設けたが、図12に示すように、検知領域K側に位置する第2側面11cにドット状反射部12を設けることもできる。この場合でも、反射面12aのセンサ光源31と反対側が凹部となるようにドット状反射部12が形成されることになる。
図12のドット状反射部12に符号12Aを付記する。但し、このドット状反射部12Aの反射面12cは、棒状導光体11の第2側面11cから第1側面11bの側に行くにしたがって、センサ体30に対向する端面11aに接近するように第2側面11cに対して傾斜する平坦面に形成される。
【符号の説明】
【0069】
1、1A、1B…光センサ、10…発光側装置、10a…光送信部(発光側装置)、11、11A、11B、11C…棒状導光体、11a…端面、11b…第1側面、11c…第2側面、12…ドット状反射部、20…受光側装置、20a…光受信部(受光側装置)、30…光素子、31…発光部(センサ光源)、光送信部、31A…光送信部(発光部列)、32…光検出部、L…センサ光、K…検知領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光センサの光受信部に対向して配置された、前記光センサの光送信部としての棒状導光体であって、
前記棒状導光体の前記光受信部に対向する側とは反対側の側面に、その側面に対して傾斜する反射面を有するドット状反射部を複数設け、
前記棒状導光体の長手方向端面にセンサ光源を設け、
前記棒状導光体の長手方向端面から入射したセンサ光は、前記棒状導光体の前記側面における複数の前記ドット状反射部の反射面のそれぞれで反射し、前記光受信部で受光される棒状導光体。
【請求項2】
前記ドット状反射部の反射面は、平滑な平面である請求項1記載の棒状導光体。
【請求項3】
前記ドット状反射部の反射面は、前記側面に対して30度以上80度以下で傾斜される請求項2記載の棒状導光体。
【請求項4】
前記ドット状反射部は、平面視にて略矩形状とされ、その縦横比は10:1から1:1までの範囲である請求項3記載の棒状導光体。
【請求項5】
前記センサ光が不可視光である請求項4記載の棒状導光体。
【請求項6】
光送信部としての請求項1乃至5のいずれか1項に記載の棒状導光体と、前記光受信部とを備える光センサ。
【請求項7】
光センサの光送信部に対向して配置された、前記光センサの光受信部としての棒状導光体であって、
前記棒状導光体の前記光送信部に対向する側とは反対側の側面に、その側面に対して傾斜する反射面を有するドット状反射部を複数設け、
前記棒状導光体の長手方向端面に光検出部を設け、
前記光送信部からのセンサ光は、前記側面における複数の前記ドット状反射部の少なくとも1つの反射面で反射し、前記光検出部で検出される棒状導光体。
【請求項8】
前記ドット状反射部の反射面は、平滑な平面である請求項6記載の棒状導光体。
【請求項9】
前記ドット状反射部の反射面は、前記側面に対して角度が30度以上80度以下で傾斜される請求項7記載の棒状導光体。
【請求項10】
前記ドット状反射部は、平面視にて略矩形状とされ、その縦横比は10:1から1:1までの範囲である請求項8記載の棒状導光体。
【請求項11】
光受信部としての請求項7乃至10のいずれか1項に記載の棒状導光体と、前記光送信部とを備える光センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−108055(P2012−108055A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258279(P2010−258279)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】