説明

椅子型マッサージ機

【課題】ストレス判定をスキップしてマッサージコースを行なうことのできる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段20,22,24と、該マッサージ手段を制御する制御手段50と、該制御手段に電気的に接続され、被施療者の心拍及び/又は心拍波形を検出して、制御手段に送信する心拍検出部70と、を有し、制御手段は、心拍検出部により検出された心拍及び/又は心拍波形に基づいて、被施療者のストレスを判定し、マッサージ手段を制御する椅子型マッサージ機において、制御手段は、心拍検出部から所定時間、心拍及び/又は心拍波形が検出されない場合に、心拍及び/又は心拍波形の検出をスキップし、マッサージ手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者のストレスを判定し、該ストレス判定に基づいてマッサージを施すことのできる椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子型マッサージ機において、被施療者の心拍数、皮膚温度などの生体情報を測定することのできる生体情報検出手段を具えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
生体情報検出手段は、電極等から構成され、椅子の肘掛けの先端近傍に配備されて、生体情報検出手段に被施療者の指腹や手の平を接触させることによって、被施療者の生体情報を検出している。
【0003】
【特許文献1】特開2005−46382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人は、生体情報として、被施療者の心拍及び/又は心拍波形を測定し、これらから心拍ゆらぎを算出し、該心拍ゆらぎに基づいて、被施療者のストレスを判定することで、被施療者のストレス状態に応じたマッサージを施すことのできる椅子型マッサージ機を提案している。
しかしながら、心拍ゆらぎは、被施療者が安静な状態、即ち、マッサージを施す前に測定する必要があり、測定には数分の時間がかかる。
このため、ストレス判定を含むマッサージコースを所望したが、ストレス判定が不要であると感じた場合や、数分間待つことができない場合など、正確なストレス判定を行なうことができない問題があった。
【0005】
また、特許文献1の生体情報検出手段では、生体情報の測定精度を高めるためには、被施療者は、生体情報検出手段に指腹や手の平を安定した状態で押し付けておく必要がある。測定中に、指腹や手の平が生体情報検出手段から離れたり、動いたりすると、測定が上手く行なえなかったり、測定精度に狂いが生じ、正確なストレス判定を行なうことができず、マッサージコースに反映できない問題があった。
【0006】
本発明の目的は、ストレス判定をスキップしてマッサージコースを行なうことのできる椅子型マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の椅子型マッサージ機は、
被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段と、
該マッサージ手段を制御する制御手段と、
該制御手段に電気的に接続され、被施療者の心拍及び/又は心拍波形を検出して、制御手段に送信する心拍検出部と、
を有し、
制御手段は、心拍検出部により検出された心拍及び/又は心拍波形に基づいて、被施療者のストレスを判定し、マッサージ手段を制御する椅子型マッサージ機において、
制御手段は、心拍検出部から所定時間、心拍及び/又は心拍波形が検出されない場合に、心拍及び/又は心拍波形の検出をスキップし、マッサージ手段を制御する。
【0008】
制御手段は、心拍検出部から連続して所定時間心拍及び/又は心拍波形が検出されない場合に、心拍及び/又は心拍波形の検出をスキップすることが望ましい。
【0009】
また、制御手段は、心拍検出部から心拍及び/又は心拍波形が検出されない時間の積算が所定時間に達した場合に、心拍及び/又は心拍波形の検出をスキップすることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、心拍検出部からの心拍及び/又は心拍波形が所定時間検出されない場合には、心拍及び/又は心拍波形の検出をスキップすることができるから、被施療者が所望しない場合には、心拍検出部に触れないだけで、その他被施療者は何ら操作を行なう必要はなく、待ち時間を削減できる。また、被施療者の心拍検出部への触れ方が十分でなく、心拍及び/又は心拍波形が検出できない場合にも、心拍及び/又は心拍波形の検出をスキップできるから、無用の時間経過を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用することのできる椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図2】生体情報検出部を有する補助操作部の心拍検出部側の斜視図である。
【図3】生体情報検出部を有する補助操作部の皮膚抵抗検出部側の斜視図である。
【図4】制御ブロック図である。
【図5】心拍波形の一例を示すグラフである。
【図6】ストレス判定及びそのスキップフローを示すフローチャート図である。
【図7】被施療者が心拍検出部を握っていない場合の心拍波形を示すグラフである。
【図8】被施療者が心拍検出部を片手で握った場合の心拍波形を示すグラフである。
【図9】タッチ判定を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に沿って本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明を適用することのできる椅子型マッサージ機(10)の斜視図である。椅子型マッサージ機(10)は、床面に載置されるベース部(11)に、被施療者の腰掛ける座部(12)が支持されている。座部(12)の後端側には、被施療者の背中の当たる背凭れ部(14)、座部(12)の前端側には、被施療者の脚部を収容する脚部用ユニット(16)が支持されている。
脚部用ユニット(16)は、図1に示すように、被施療者の脚部(膝より下の部分)を挿入する凹部(17)(17)を有している。
【0013】
座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)は、夫々、ベース部(11)に対してリクライニング機構(図1には図示せず)により傾動可能となっている。リクライニング機構は、複数のアクチュエータ等により、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)を独立して傾動させる構成としたり、1基のアクチュエータとリンク機構を組み合わせることで、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)を協調して傾動させるようにすることができる。
【0014】
また、座部(12)の左右両側には、ベース部(11)に対して座部(12)と一体に傾動可能な肘置き(18)(18)が設けられている。
【0015】
座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)には、図1に示すように、夫々被施療者にマッサージを施す座部用マッサージ手段(20)、背凭れ部用マッサージ手段(22)、脚部用マッサージ手段(24)が配備される。
座部用マッサージ手段(20)として、エアバッグタイプやバイブレーションタイプ、ローラタイプのマッサージ手段を例示できる。
また、背凭れ部用マッサージ手段(22)として、エアバッグタイプ、揉み玉タイプ、バイブレーションタイプ、ローラタイプのマッサージ手段を例示することができる。揉み玉タイプ、ローラタイプのマッサージ手段の場合、背凭れ部(14)の長手方向に沿って上下に昇降可能とすることができる。
【0016】
脚部用マッサージ手段(24)として、エアバッグタイプ、バイブレーションタイプ、ローラタイプのものを例示することができる。被施療者の上半身への振動等の影響を抑えるために、エアバッグタイプのものを使用することが望ましい。このことは、後述する生体情報検出手段(30)により正確な心拍等を測定するときに有効である。
脚部用マッサージ手段(24)にエアバッグを採用する場合、図1に示すように、凹部(17)の内側面及び凹部(17)の底面に夫々1又は複数のエアバッグを装備し、エアバッグの膨張、収縮によって、被施療者のふくらはぎや足首、足先をマッサージすることができるようにすることが望ましい。
【0017】
椅子型マッサージ機(10)の操作は、図1に示すように、一方の肘置き(18)に配備された操作部(40)により行なわれる。
操作部(40)は、電源スイッチ、マッサージコース、マッサージポイント、マッサージ強さ等を選択する複数の操作ボタンを具える。また、操作部(40)には、選択されたマッサージコース、マッサージ手段(20)(22)(24)の動作状態、位置、強さ、経過時間等のマッサージ情報や、後述する生体情報検出手段(30)により検出された生体情報を表示する表示部を具える。
【0018】
椅子型マッサージ機(10)には、被施療者の生体情報を測定するための生体情報検出手段(30)が配備される。生体情報検出手段(30)により測定される生体情報として皮膚抵抗と心拍を例示することができる。これらは夫々、後述する皮膚抵抗検出部(60)と心拍検出部(70)により測定される。勿論、測定される生体情報は、これらに限定されるものではなく、さらに、体温、脈拍、発汗量等を含めることもできる。
【0019】
生体情報検出手段(30)は、例えば、図2及び図3に示すように、検出用の複数の電極(62)(72)(74)(80)を配備した筒状形状の補助操作部(42)に設けることができる。補助操作部(42)は、被施療者が両手で夫々補助操作部(42)の端部を把持できる外径(直径約3cm〜5cm程度)であり、一端側に、皮膚抵抗検出部(60)となる第1の電極(62)、心拍検出部(70)となる第2の電極(72)、グランド用の第3の電極(80)を有し、他端側に心拍検出部(70)の第2の電極(72)と対をなす第4の電極(74)を有している。グランド用の第3の電極(80)は、第1の電極(62)及び第2の電極(72)で共用している。
より詳細には、心拍検出部(70)である第2の電極(72)及び第4の電極(74)は、補助操作部(42)の軸方向に沿う周面の両端近傍に夫々配置され、皮膚抵抗検出部(60)である第1の電極(62)及びグランド用の第3の電極(80)は、第2電極(72)の裏面側に周方向に並んで配置されている。
これら電極(62)(72)(74)(80)は、補助操作部(42)から延出したコード(48)により、後述する制御手段(50)に電気的に接続されている。
【0020】
被施療者が補助操作部(42)を掴み、両手の掌が心拍検出部(70)である第2の電極(72)と第4の電極(74)、一方の手の指先が皮膚抵抗検出部(60)である第1の電極(62)とグランド用の第3の電極(80)に触れることで、通電が開始され、自動的に制御手段(50)により検出が開始される。
なお、心拍を検出する場合には、両手で補助操作部(42)を掴む必要があるが、皮膚抵抗のみを検出する場合には、第1の電極(62)と第3の電極(80)に指先が触れるだけでよい。
生体情報検出手段(30)による生体情報の検出プロセスについては後述する。
【0021】
その他の生体情報として、被施療者の体温を測定、検出する場合には、生体情報検出手段(30)として、温度センサを用いることができ、また、脈拍を測定、検出する場合には、生体情報検出手段(30)として、フォトセンサを配置すればよい。
【0022】
補助操作部(42)は、前記操作部(40)にて行なわれる操作の一部を行なうようにしてもよい。この場合、操作ボタン(44)(46)は、図2に示すように、心拍検出部(70)である第2の電極(72)と第4の電極(74)の間に配置することができる。操作ボタン(44)(46)として、例えば、リクライニング機構(図示せず)の操作を行なうリクライニングボタン(44)や、現在行なわれているマッサージ動作を繰り返して行なう操作命令を行なう繰り返しボタン(46)など、被施療者がマッサージ中に必要と思われる操作のみを行なうことのできるものとすることが望ましい。これにより、被施療者が操作部(40)を操作するために、起き上がったり、手を伸ばす必要はなく、マッサージの妨げとなることがない。また、補助操作部(42)の操作ボタン数を少なくしておくことで、被施療者は、操作の度に補助操作部(42)を目視する必要もないから、マッサージの妨げとなることもない。
【0023】
生体情報検出手段(30)は、上記に限らず、図1に示すように、肘置き(18)(18)の前端側上面に直接配置してもよい。この位置は、被施療者が座部(12)に腰掛けた状態で、肘置き(18)(18)に被施療者の腕部(肘より先の部分)を載せ、手の平が下向きとなるようにしたときに、人差し指と中指が触れる位置又は手の平と触れる位置とすることが望ましい。
この位置に生体情報検出手段(30)を配備することで、被施療者は、特に意識することなく、自然な状態で生体情報検出手段(30)に触れることができ、測定中に疲れを感じることはない。
【0024】
図4は、本発明の椅子型マッサージ機(10)の制御系のブロック図である。椅子型マッサージ機(10)のすべての制御は、制御手段(50)により行なわれる。制御手段(50)は、マイクロプロセッサ等から構成され、種々の制御プログラム、マッサージプログラム等を記憶するメモリ(図示せず)を有する。
【0025】
また、椅子型マッサージ機(10)への電源の供給は、商用電源へ接続され、被施療者により直接オン、オフされるシーソー式の主電源スイッチ(90)と、該主電源スイッチ(90)に接続され、操作部(40)又は補助操作部(42)からの操作によりオン、オフするリレー式のスイッチ回路(92)を介して行なうことができる。主電源スイッチ(90)及びスイッチ回路(92)をオンにすることで、椅子型マッサージ機(10)へ電源を供給することができる。
【0026】
制御手段(50)には、図4に示すように、操作部(40)、補助操作部(42)、生体情報検出手段(30)が夫々電気的に接続されており、さらに、電源回路(52)を介して、マッサージ手段(20)(22)(24)、リクライニング機構(28)が電気的に接続されている。
操作部(40)及び/又は補助操作部(42)は、夫々制御手段(CPU(40a)(42a))を有し、使用者の操作による操作命令を制御手段(50)に送信し、制御手段(50)に予め記憶されたプログラムに基づいて、マッサージ手段(20)(22)(24)等を作動する。
【0027】
座部用マッサージ手段(20)、背凭れ部用マッサージ手段(22)及び脚部用マッサージ手段(24)は、モータ駆動の場合(例えば、ローラタイプ、揉み玉タイプ)、制御手段(50)には、モータ駆動回路を介して接続される。また、マッサージ手段がエアバッグタイプの場合、制御手段(50)には、エアポンプ及びバルブが電気的に接続され、エアバッグの膨張、収縮が制御される。
【0028】
リクライニング機構(28)についても、モータ駆動の場合、モータ駆動回路を介して制御手段(50)に接続される。
リクライニング機構(28)は、制御手段(50)からの命令に基づいて、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)を所望の角度に傾動させる。
【0029】
なお、リクライニング機構(28)は、被施療者が椅子型マッサージ機(10)を椅子として使用する場合に、背凭れ部(14)、座部(12)や脚部用ユニット(16)を気軽に角度調整したいことがある。このような場合、主電源スイッチ(90)とは別の操作部(40)や補助操作部(42)の電源スイッチをオンにして、スイッチ回路(92)をオン状態とした後、リクライニング操作を行なうと操作に手間が掛かる。一方、スイッチ回路(92)を常にオン状態にして、制御手段(50)のCPUへ待機電流を供給しておくことは、待機時の消費電力が大きくなる不具合がある。
そこで、図4に示すように、主電源スイッチ(90)の下流側に、スイッチ回路(92)がオフの状態でも、操作部(40)及び補助操作部(42)のCPU(40a)(42a)へ常に微小電力を供給する微小電源回路(94)を配備し、スイッチ回路(92)を作動させるスイッチ制御回路(96)を操作部(40)及び補助操作部(42)のCPU(40a)(42a)から操作可能として、リクライニング操作が行なわれた場合に、CPU(40a)(42a)からスイッチ制御回路(96)を介してスイッチ回路(92)をオンにすることが望ましい。
これにより、操作部(40)や補助操作部(42)の電源スイッチを操作することなく、椅子型マッサージ機(10)に通電を行なうことができ、リクライニング操作を行なうことができる。
この場合、待機電力を低減させるために、リクライニング操作完了後、所定時間(例えば5秒)経過後、再度、スイッチ回路(92)をオフにするよう制御することが望ましい。この所定時間(5秒間)の間にリクライニング角度を引き続き調整することができる。
これにより、待機電流は、CPU(40a)(42a)のみに供給され、制御手段(50)のCPUへは供給されないので、電力消費量を低減できる。
【0030】
本発明の制御手段(50)による被施療者の生体情報の検出は、以下の要領で行なうことができる。被施療者が、操作部(40)又は補助操作部(42)を操作し、生体情報を検出するコース(例えば自動コース)を選択すると、マッサージ手段(20)(22)(24)によるマッサージの前に、被施療者のストレスを判定する。
ストレスの判定フローは、前述の心拍検出部(70)により、左右の手の電位を夫々検出して、制御手段(50)にて電位差を測定することで、被施療者の心拍又は心拍波形を測定することにより行なうことができる。具体的には、前述の補助操作部(42)を被施療者が把持することによって測定することで、一方の手で第1乃至第3の電極(62)(72)(80)に触れ、他方の手で第4の電極(74)に触れる。
【0031】
図5は、心拍検出部(70)である第2の電極(72)と第4の電極(74)の電位に基づいて、検出された心拍波形の一例を示している。心拍波形の突出した部分(R波)の間隔の振れ幅(CVRR)を検出することにより、ストレス度合いが判定される。振れ幅(CVRR)の検出は、制御手段(50)に内蔵されているゆらぎ検出回路(32)(図4参照)によって行なわれる。
ゆらぎ検出回路(32)にて検出された振れ幅(CVRR)が小さいほど、被施療者の覚醒度合いが高く、ストレスを受けている状態であり、振れ幅(CVRR)が大きいほど、被施療者がストレスが少なくてリラックスしていることを意味する。
【0032】
心拍波形の測定では、個人差(被施療者の心臓の位置等)により、受信される信号の強さが変化する。
そこで、心拍検出部(70)にて検出された信号の強さに応じて、制御手段(50)における受信感度を切り替えることが望ましい。
図4に示すように、心拍検出部(70)である第2及び第4電極(72)(74)からの出力は、第1増幅器(76)にて増幅され(低ゲイン)、制御手段(50)に送信されるが、検出された信号が所定の閾値よりも小さければ、第1増幅器(76)と直列に接続された第2増幅器(78)によって更に増幅されて(高ゲイン)、制御手段(50)に入力する。
これにより、入力される信号が小さい場合でも、所定の感度で制御手段(50)は心拍に関する信号を受信することができる。
【0033】
上記のように、測定された心拍に関する信号の大きさに基づいて、自動的に感度を切り替えるようにすることで、心拍信号の大小により心拍波形判定不能となることを防止できる。
【0034】
図6は、前述の心拍に関する信号に基づいて、被施療者のストレスを判定し、マッサージコースを選択するフローチャート図である。
図6に示すように、被施療者が、操作部(40)又は補助操作部(42)を操作して、自動コース(ストレス判定を含むコース)を選択すると(ステップ1)、補助操作部(42)に配備された心拍検出部(70)である第2及び第4電極(72)(74)へ通電を行ない、心拍及び/又は心拍波形の測定が開始される(ステップ2)。
【0035】
心拍検出部(70)からの所定の閾値内の心拍波形が制御手段(50)に入力された場合には(ステップ3)、制御手段(50)は、CVRRを測定する(ステップ4)。
CVRRが測定完了すると(ステップ5)、制御手段(50)は、得られたCVRRから被施療者のストレスを判定し(ステップ10)、ストレス度合いに基づいたマッサージコースを開始する(ステップ11)。
【0036】
心拍検出部(70)から得られる心拍波形が、被施療者が正しく補助操作部(42)を握って得られた正常な心拍波形かどうかを判断するために、得られた心拍波形の平均レベル(例えば電圧値)以上であるか、及び、得られた心拍波形のピーク検出の間隔が予め設定された閾値内であるかどうかで判断している。
例えば、心拍波形の平均レベルが所定レベル以上で、且つ、ピーク検出の間隔が所定時間以内のものが所定回数継続した場合は、心拍波形の入力ありと判断する。
【0037】
また、例えば、心拍波形の平均レベルが、所定レベル以下であったり、ピーク検出の間隔が所定時間(1.5秒)以上で所定回数継続した場合や、ピーク検出の間隔が所定時間(0.5秒)以内となった回数が所定回数継続した場合に、心拍検出部(70)による心拍波形の入力なしと判断することができる。
【0038】
心拍検出部(70)からの心拍波形の入力がない、又は、心拍波形が所定の閾値内でない場合には(ステップ3)、例えばブザー等で補助操作部(42)を握るよう警告し(ステップ6)、心拍波形の入力がない時間を制御手段(50)にてカウントする(ステップ7)。所定時間内に、心拍検出部(70)からの心拍及び/又は心拍波形の入力が制御手段(50)にあれば(ステップ8)、前記ステップ4に戻り、制御手段(50)にてCVRRを測定する。
【0039】
所定時間経過しても、心拍波形の入力がない場合には(ステップ9)、心拍検出部(70)による測定を中止し(ステップ12)、標準的なマッサージコースによりマッサージを開始する(ステップ13)。
なお、ステップ9における所定時間は、連続する時間のカウントでも良いし、累積時間をカウントするようにしてもよい。
【0040】
これにより、被施療者が、ストレスの判定を所望しない場合には、心拍検出部(70)に触れないだけで、その他の操作を行なうことなく、これらステップをスキップでき、待ち時間を削減できる。
また、被施療者の心拍検出部への触れ方が十分でなく、心拍及び/又は心拍波形が所定閾値未満である場合にも、心拍及び/又は心拍波形の検出をスキップできる。
【0041】
標準マッサージコースの開始により(ステップ13)、マッサージ手段(20)(22)(24)が制御手段(50)により駆動され、被施療者にマッサージが施される。
【0042】
このマッサージコース中、被施療者の凝りの度合いを測定し、マッサージコースの変更(強さや時間)するようにしてもよい(ステップ14〜ステップ17)。
例えば、凝りの測定は、生体情報として、被施療者の皮膚抵抗を測定することで行なうことができ、皮膚抵抗に基づいて、被施療者の凝り度合いを判定し、得られた凝り度合いに基づいて、マッサージコースを変更する。
【0043】
被施療者の皮膚抵抗は、マッサージが施された際の被施療者の発汗量を測定するものであり、凝り度合いが小さい程、発汗量は少なくなるから、皮膚抵抗検出部(60)である第1の電極(62)と第3電極(80)間に流れる電流は少なくなる。逆に、凝り度合いが大きい程、発汗量は多くなるから、第1の電極(62)と第3電極(80)間に流れる電流は多くなる傾向にある。
【0044】
そこで、皮膚抵抗の測定は、補助操作部(42)の一端側に配置された第1の電極(62)と第3の電極(80)に被施療者の片手の手指が触れるように、掴むことで行なうことができる(ステップ14)。
第1の電極(62)により得られた皮膚抵抗に関する信号の入力が、制御手段(50)に送信されている場合には(ステップ15)、凝り度合いの判定が行なわれ(ステップ16)、制御手段(50)にて凝り度合いが判定され、マッサージコースの変更、例えば、強さや時間を変えたり、マッサージコースを維持する(ステップ17)。
【0045】
ステップ15にて、制御手段(50)に皮膚抵抗に関する信号の入力がない場合には、そのままマッサージコースを継続する。
【0046】
上記により、被施療者が、凝り度合いをマッサージコースに反映させたい場合には、補助操作部(42)の電極(62)(80)に触れていればよく、凝り度合いを反映させない場合には、電極(62)(80)に触れないだけで、その他の操作を不要とすることができる。
【0047】
上記フローは、設定されたマッサージコースの終了や、被施療者からの操作により終了する(ステップ18)。
【0048】
本発明の椅子型マッサージ機(10)によれば、ストレス判定が行なわれない又は上手く行なわれない場合に、当該ステップをスキップして、時間短縮できるから、被施療者に不要な待ち時間を与えることがなく、快適なマッサージを施すことができる。
【0049】
上記実施例において、心拍波形を検出する際には、被施療者の上半身の揺動や振動、移動を極力抑えて、安静な状態で測定を行なえるように、測定の間は、マッサージを停止させたり、マッサージを施すとしても、測定への影響が小さい脚部用マッサージ手段(24)によるマッサージや、背凭れ部用マッサージ手段(22)による背筋伸ばし等のマッサージとすることが望ましい。
【0050】
なお、前述のとおり、補助操作部(42)を正しく握っていない場合には、心拍検出部(70)から得られる波形にノイズ等が入り、正確な心拍波形を得ることができない。
例えば、被施療者が心拍検出部(70)に触れていない場合には、図7に示すように心拍波形が検出されず、正しい握り方をしていない、即ち、片手で握った場合などには、心拍波形に図8示すような正常な心拍波形とは異なる波形となる。
【0051】
このように正確でない心拍波形に基づいて、ストレス判定を行なうと、被施療者の所望するマッサージ効果の高いマッサージを施すことができなくなる場合がある。
【0052】
上記の実施例では、正常な心拍波形かどうか判断するために、心拍波形の平均レベルとピークの間隔を用いたが、別の方法として、心拍波形の振幅とピークの間隔から、正常な心拍波形かどうか、即ち、被施療者が心拍検出部(70)に正しくタッチしているかどうかを判定することもできる。
【0053】
タッチ判定の一例をフローチャートを図9に沿って説明する。
図9に示すように、制御手段(50)は、心拍検出部(70)から送信される心拍波形について、制御手段(50)は、順次心拍波形の平均値(例えば電圧値)を算出すると共に(ステップ1)、所定期間(例えば0.5秒)の心拍波形の平均値の最小値と最大値を測定して記憶し(ステップ2)、所定期間内にピーク値が検出されたかどうかを判別する(ステップ3)。ピーク値が検出されると、ピーク値の時間をピーク点時間として記憶する(ステップ4)。
また、所定期間毎に測定された心拍波形の最大値と最小値(振幅)から、所定期間の振幅差を算出し(ステップ5)、振幅差が所定値以上(例えば電圧レベル)であれば(ステップ6、例えば図5及び図8参照)、被施療者が補助操作部(42)を握っていると判定し、タッチフラグをオンにする(ステップ7)。
振幅差が所定値未満であれば(例えば図7参照)、タッチフラグはオフのまま維持する。
【0054】
さらに、ステップ4にて記憶されたピーク点時間どうしの間隔が、所定時間(例えば300ms)以上離れていれば(ステップ8)、ノンタッチフラグをオフとする(ステップ9)。逆に、ピーク点時間どうしの間隔が所定時間未満であり(ステップ8、例えば図8参照)、その間隔が所定回数(例えば2回)以上連続すれば(ステップ10)、ノンタッチフラグをオンにする(ステップ11)。
【0055】
上記フローにより判定されたタッチフラグの状態と、ノンタッチフラグの状態に基づき、タッチフラグがオンで(ステップ12)、且つ、ノンタッチフラグがオフ(ステップ13)の場合にのみ、被施療者が心拍検出部(70)に正しく触れており、得られた心拍波形が正常なものとしてタッチ判定(ステップ14)を行なう。それ以外の場合には、被施療者が心拍検出部(70)に正しく触れておらず、得られた心拍波形は正常でないとしてノンタッチ判定(ステップ15)する。
【0056】
上記により、心拍検出部(70)から得られた心拍波形が正常なものか否かを判断することができ、タッチ判定の場合には(ステップ14)、心拍検出部(70)による心拍波形の検出を継続し、ノンタッチ判定の場合には(ステップ15)、心拍検出部(70)による心拍波形の検出をスキップすることができ、ストレス判定の精度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、被施療者のストレスを判定し、該ストレス判定に基づいてマッサージを施すことのできる椅子型マッサージ機として有用である。
【符号の説明】
【0058】
(10) 椅子型マッサージ機
(30) 生体情報検出手段
(40) 操作部
(42) 補助操作部
(50) 制御手段
(60) 皮膚抵抗検出部
(70) 心拍検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段と、
該マッサージ手段を制御する制御手段と、
該制御手段に電気的に接続され、被施療者の心拍及び/又は心拍波形を検出して、制御手段に送信する心拍検出部と、
を有し、
制御手段は、心拍検出部により検出された心拍及び/又は心拍波形に基づいて、被施療者のストレスを判定し、マッサージ手段を制御する椅子型マッサージ機において、
制御手段は、心拍検出部から所定時間、心拍及び/又は心拍波形が検出されない場合に、心拍及び/又は心拍波形の検出をスキップし、マッサージ手段を制御するようにしたことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
制御手段は、心拍検出部から連続して所定時間心拍及び/又は心拍波形が検出されない場合に、心拍及び/又は心拍波形の検出をスキップする請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
制御手段は、心拍検出部から心拍及び/又は心拍波形が検出されない時間の積算が所定時間に達した場合に、心拍及び/又は心拍波形の検出をスキップする請求項1又は請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
心拍検出部は、心拍波形を取得して制御手段に送信し、制御手段は、得られた心拍波形の所定時間における平均レベルが閾値以上か否か、及び、得られたピーク値のピーク間隔に基づいて、被施療者が心拍検出部に触れているか触れていないかを判断し、所定時間触れていない場合には、心拍検出部による心拍波形の検出をスキップする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
制御手段は、ピーク検出の間隔が所定時間以上で所定回数継続した場合に、被施療者が心拍検出部に触れていないと判断する請求項4に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
制御手段は、ピーク検出の間隔が所定時間以下となった回数が、所定回数継続した場合には、被施療者が心拍検出部に触れていないと判断する請求項4又は請求項5に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段と、
該マッサージ手段を制御する制御手段と、
該制御手段に電気的に接続され、被施療者の心拍及び/又は心拍波形を検出して、制御手段に送信する心拍検出部と、
を有し、
制御手段は、心拍検出部により検出された心拍及び/又は心拍波形に基づいて、被施療者のストレスを判定し、マッサージ手段を制御する椅子型マッサージ機において、
制御手段は、心拍検出部からの心拍波形のピーク検出の間隔が所定時間以上で所定回数継続した場合に、被施療者が心拍検出部に触れていないと判断し、心拍検出部による心拍波形の検出をスキップすることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項8】
制御手段は、ピーク検出の間隔が所定時間以下となった回数が、所定回数継続した場合には、被施療者が心拍検出部に触れていないと判断する請求項7に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項9】
制御手段に電気的に接続され、被施療者の皮膚抵抗を検出する皮膚抵抗検出部を具えており、
制御手段は、マッサージ手段が作動中に、皮膚抵抗検出部により検出された皮膚抵抗に基づいて、マッサージ手段を制御する請求項1乃至請求項8の何れかに記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−87610(P2011−87610A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241106(P2009−241106)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】