説明

椅子式のマッサージ装置

【課題】椅子式のマッサージ装置において、脚載部や足台の旋回・伸縮動作に対応しながら、脚載部が旋回待機位置にあるときに椅子本体内でホースが下方に弛むことに起因するホースの折れ曲がり変形、或いは空気給排装置や旋回機構にホースが接触することに起因するホースの変形・変質などを確実に防止する。
【解決手段】複数本のホース72を結束する結束体80と、機台1を構成するベース部材64との間に、ベース部材64側に向かう引っ張り付勢力をホース72に与えて、脚載部6の旋回待機位置におけるホース72の下方への弛みを防止するための付勢部材81を設けた。このように付勢部材81によりホース72に対して引っ張り付勢力を与えるようにしていると、脚載部6が旋回位置から旋回待機位置に向かって旋回操作されたときに、ホース72が下方へ弛むことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部の前側に配置される脚載部と、脚載部の下端に配置される足台とを備え、これら脚載部と足台のそれぞれにエアセル式のマッサージ体を有する椅子式のマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の脚載部と足台を有する椅子式のマッサージ装置では、これら脚載部等にマッサージ機能を付与したことに伴い、脚載部等の自在な動きに対応できるように、椅子本体内に配されたコンプレッサーからエアセルに至るホースの弛み幅を大きく取る必要がある。すなわち、脚載部を旋回動作だけでなく、伸縮動作可能に構成した場合には、上方旋回操作した状態で最前位置まで伸ばしたときの脚載部の姿勢状態に十分に対応できるように、ホースの長さ寸法を大きく取る必要があり、その分だけ脚載部を旋回待機位置としたときのホースの弛み幅が大きくなることが避けられない。
【0003】
かかる問題は、足台のエアセルに至るホースにおいてさらに顕著となる。すなわち、脚載部を上方旋回操作で最前位置まで伸ばした状態で、さらに足台を最前位置まで伸ばしたときの足台の姿勢状態に対応できるように、足台のエアセルに至るホースの長さ寸法は決定される。このため、脚載部が旋回待機状態にあるときに要求されるホースの弛み幅は、脚載部に至るホースのそれよりも大きく取る必要がある。
【0004】
このように、脚載部が旋回待機状態にあるときのホースの弛み幅が大きくなると、椅子本体内でホースが不用意に折れ曲がり、ホース内の空気のスムーズな流れが阻害されるおそれがある。ホースが折れ曲がった状態で長時間放置されると、折れ曲がった状態でくせ付けられるおそれもある。このことは、脚載部や足台に組み付けられたエアセルが動作不良に陥ることを意味し、結果として脚載部等による良好なマッサージ効果が損なわれる不具合を招く。
【0005】
以上のような脚載部が旋回待機状態にあるときのホースの折れ曲がりを防止する技術としては、例えば特許文献1を挙げることができる。そこでは、各ホースの弛み部に閉塞防止のための可撓性を有する保護部材を設けて、ホースの折れ曲がり変形を防止している。
【0006】
【特許文献1】特開2007−330346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のように、各ホースの弛み部に保護部材を設ける形態では、ホースの折れ曲がり変形を防止することができるものの、ホースが下方に弛むことは避けられない。このため、ホースが椅子本体の底部に配されたコンプレッサーに接して、コンプレッサーの発熱により変形・変質するおそれがある。最悪の場合には、熱変形によりホースに穴が開くおそれもある。また、椅子本体の内部に、脚載部を旋回操作するための旋回機構が設けられていると、ホースが旋回機構に接触するおそれもある。このようにホースが旋回機構に接触すると、旋回機構が動作不良に陥るだけでなく、旋回機構によりホースが折り曲げられたり、破損したりするおそれもある。
また、特許文献1のように、各ホースの弛み部に保護部材を設けると、マッサージ装置の製造コストが上昇することが避けられない。当該問題は、特にエアセルの数を増やして、ホースの本数を増やしたときに顕著となる。
【0008】
本発明は、以上のような従来の椅子式のマッサージ装置の抱える問題を解決するためになされたものであり、脚載部や足台の旋回・伸縮動作に対応しながら、脚載部が旋回待機位置にあるときに椅子本体内でホースが下方に弛むことに起因するホースの折れ曲がり変形、或いは空気給排装置や旋回機構にホースが接触することに起因するホースの変形・変質などを確実に防止することができ、したがって、エアセルの動作不良を防いで、椅子式のマッサージ装置の信頼性の向上に貢献することにある。
本発明の目的は、簡単な構成で以て、確実に椅子本体内におけるホースの下方への弛みを防止することができ、したがって、ホースの弛み防止機能を付与したことに伴って椅子式のマッサージ装置の製造コストが大幅に上昇することを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、図2および図3に示すように、床面に載置される機台1および該機台1の上部に設けられる背もたれ部4と座部2とを含む椅子本体と、座部2の前側に配置される脚載部6と、脚載部6の下端に配置される足台7と、脚載部6と足台7のそれぞれに設けられるエアセル式のマッサージ体とを備える椅子式のマッサージを対象とする。脚載部6は、図3に実線で示す旋回待機位置と、図3に仮想線で示す座部2の前端下部に設けた旋回軸26の周りに上方旋回操作される旋回位置との間で、姿勢変位可能に構成する。図1に示すように、座部2の下方の機台1の内部空間Sに、複数本のホース72を介してマッサージ体を構成する各エアセル20・24に対して空気を供給する空気給排装置70を配置する。そして、複数本のホース72を結束する結束体80と、機台1を構成するベース部材64との間に、ベース部材64側に向かう引っ張り付勢力をホース72に与えて、脚載部6の旋回待機位置におけるホース72の下方への弛みを防止するための付勢部材81を設けることを特徴とする。
【0010】
図1および図4に示すように、機台1の前面に設けられた前面壁65に、空気給排装置70から脚載部6および足台7のエアセル20・24に至るホース72を通すための開口部67を設け、開口部67の高さ位置よりも低く且つ空気給排装置70の上面よりも高い位置に存するベース部材64に、付勢部材81の一端を連結する。
【0011】
図1および図4に示すように、機台1の内部空間Sに、脚載部6を上下旋回操作する旋回機構28を設ける。旋回機構28は、モーターシリンダー32と、モーターシリンダー32で伸長操作される操作アーム33と、操作アーム33の伸長操作に伴って移動する可動片34と、該可動片34の動きを捉えて操作アーム33の伸長位置を検出するリニアエンコーダ35とを備えるものとする。そして、開口部67の高さ位置よりも低く且つ可動片34の移動軌跡よりも高い位置に存するベース部材64に、付勢部材81の一端を連結する。
【0012】
脚載部6を支持するベース枠27と脚載部6のフレーム18との間に、脚載部6を伸長待機位置と伸長位置との間で伸縮操作する第1伸縮機構を設ける。足台7の台枠22とベース枠27との間に、足台7を伸長待機位置と伸長位置との間で伸長操作する第2伸縮機構を設ける。ホース72は、脚載部6のエアセル20に至る第1ホース群72aと、足台7のエアセル24に至る第2ホース群72bとで構成する。そして、少なくとも第2ホース群72bの結束体80に、付勢部材81の一端を連結する形態を採ることができる。
【0013】
付勢部材81は、引っ張り付勢力を発揮する捻りコイル形のばねであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る椅子式のマッサージ装置においては、複数本のホース72を結束する結束体80と、機台1を構成するベース部材64との間に、ベース部材64側に向かう引っ張り付勢力をホース72に与えて、脚載部6の旋回待機位置におけるホース72の下方への弛みを防止するための付勢部材81を設けた。このように付勢部材81によりホース72に対して引っ張り付勢力を与えるようにしていると、脚載部6が旋回位置から旋回待機位置に向かって旋回操作されたときに、ホース72が下方へ弛むことを防止することができる。また、脚載部6が旋回待機位置から旋回位置に向かって旋回操作されるときには、ホース72は脚載部6の方向に向かってある程度引き出し操作されるが、このときには付勢部材81が伸びることで、ホース72に引っ張り付勢力を与えながらホース72を引き出すことができ、旋回位置に向かう脚載部6の旋回動作を阻害することもない。
このように本発明によれば、脚載部6が旋回待機位置にあるときに椅子本体内でホース72が下方に弛むことに起因するホース72の折れ曲がり変形、或いは空気給排装置70や旋回機構28にホース72が接触することに起因するホース72の変形・変質などを確実に防止することができるので、エアセル20・24の動作不良を防いで、椅子式のマッサージ装置の信頼性の向上に貢献できる。
【0015】
簡単な構成で以て、ホース72の下方への弛みを確実に防止することができるので、ホース72の弛み防止機能を付与したことに伴う、椅子式のマッサージ装置の製造コストの上昇を抑えて、より信頼性に優れたマッサージ装置を安価に提供することができる。
【0016】
開口部67の高さ位置よりも低く、且つ空気給排装置70の上面よりも高い位置に存するベース部材64に、付勢部材81の一端が連結されていると、常に空気給排装置70の上面よりも高い位置にホース72を置いて、ホース72が空気給排装置70に接触することを確実に防ぐことができる。したがって、空気給排装置70の廃熱により、ホース72が熱変形や熱変質すること、或いはホース72に穴が開く最悪のケースに至ることを確実に防ぐことができる。
【0017】
開口部67の高さ位置よりも低く、且つ旋回機構28を構成する可動片34の移動軌跡よりも高い位置に存するベース部材64に、付勢部材81の一端が連結されていると、常に可動片34の移動軌跡よりも高い位置にホース72を置いて、該ホース72が可動片34に接触することを確実に防ぐことができる。したがって、可動片34の動作が妨げられたり、可動片34によりホース72が折り曲げ変形されることを防ぐことができる。
【0018】
足台7は脚載部6の下端(先端)に設けられているため、足台7のエアセル24に至る第2ホース群72bに必要とされる弛み幅は、脚載部6のエアセル20に至る第1ホース群72aのそれよりも大きなものとなる。このため、第2ホース群72bを構成するホースを束ねる結束体80に、付勢部材81の一端を連結して、当該第2ホース群72bに引っ張り付勢力を与えることが、エアセル24の動作不良を防止し、マッサージ装置の信頼性の向上を図るうえで有用である。
【0019】
付勢部材81の具体例としては、ゴム等も考えられるが、引っ張り付勢力を発揮する捻りコイル形のばねが最適である。これは、捻りコイル形のばねが、ゴム等に比べて永年変化が少なく、長期に亘って良好な引っ張り付勢力を発揮できることに拠る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1ないし図9に本発明に係る椅子式のマッサージ装置の実施例を示す。マッサージ装置は、図2および図3に示すように、床面に載置される機台1と、機台1の上部に設けられる座部2およびひじ掛3と、座部2の後部に配置される倒伏自在な背もたれ部4と、背もたれ部4の上部左右に設けられた肩受部5と、座部2の前側に配置される脚載部6と、脚載部6の下端に配置される足台7などで椅子状に構成してある。機台1、座部2、ひじ掛3、および背もたれ部4で椅子本体を構成している。図2に示すように、座部2およびひじ掛3の内部には、上腿および前腕をマッサージするエアセル10・11が設けてあり、背もたれ部4の内部には、背中をマッサージする4個のエアセル12と、もみ玉13を供えたマッサージ装置14が設けてある。肩受部5の内部にも、肩および上腕をマッサージするエアセル15が設けてある。
【0021】
図4に示すように、脚載部6は、フレーム18を基体にして構成してあり、その前部にふくらはぎを受け止める左右一対の下腿溝19が、前向きに開口する状態で凹み形成してある(図2参照)。下腿溝19の対向周面のそれぞれには、ふくはぎをマッサージするエアセル20が設けてある。図2に示すように一対の下腿溝19は、隔壁21を共有する状態で左右に区分してある。足台7は、台枠22を基体にして構成してあり、その上面に足を受け止める左右一対の足受溝23が、上向きに開口する状態で凹み形成してある。足受溝23の対向周面と溝底のそれには、くるぶし、および土踏まずをマッサージするエアセル24が設けてある。台枠22の後端下部には、床面で受け止められる車輪25が組み付けてある(図4参照)。
【0022】
脚載部6は、機台1の前部に密着する旋回待機位置(図3に実線で示す状態)と、座部2の前端下部に設けた旋回軸26の回りに上方旋回操作される旋回位置(図3に想像線で示す状態)とに姿勢変更できる。そのために、先の旋回軸26の回りに上下旋回可能に支持されるベース枠27と椅子本体との間に、ベース枠27を介して脚載部6を上下旋回操作する旋回機構28を設けている。旋回軸26は、機台1の前面上部に固定したブラケット29で支持してある。
【0023】
図1、図4および図5に示すように、旋回機構28は、機台1の内部に配置されるモータ30と減速機31とで構成されるモーターシリンダー32と、モーターシリンダー32で伸長操作される操作アーム33と、操作アーム33の伸長操作に伴って移動する可動片34と、可動片34の動きを捉えて操作アーム33の伸長位置を検出するリニアエンコーダ35と、操作アーム33の伸長操作に伴って旋回操作される操作体39とで構成してある。操作体39は、先の旋回軸26の下方に設けた揺動軸36で前後揺動可能に支持してあり、その先端にローラ37が回転自在に軸支されている。ローラ37は、ローラ受板38を介してベース枠27を押し上げ操作する。
【0024】
図7に示すように、ベース枠27は左右一対のチルトアーム40と、両チルトアーム40を橋絡する状態で固定される4個の桟体41とを含み、両チルトアーム40の上端が、先に説明した旋回軸26で旋回可能に軸支してある。上側2個の桟体41の前面の左右中央部にはブラケット42が固定され、ブラケット42の背面一側にはローラ受板38が固定されている。また、下側2個の桟体41の前面の左右には、ガイドローラ43が組み付けてあり、一方のガイドローラ43の一側近傍に光センサ44が固定してある。図7において、符号44aは、フレーム18と共に移動するセンシング枠を示し、該センシング枠44aに開設された検知穴を通る検知光を光センサ44で捉えてカウントすることにより、ベース枠27に対するフレーム18の変位量を検出することができる。チルトアーム40は金属管材で、桟体41は四角筒状のチャンネル材で形成してある。
【0025】
使用者の好みや下腿の長さに応じて脚載部6や足台7を伸縮変位させるために、脚載部6のフレーム18とベース枠27との間に第1伸縮機構を設け、足台7の台枠22とベース枠27との間に第2伸縮機構を設けている。第1伸縮機構は、脚載部6の背面側に位置するフレーム18とベース枠27との間に設けられる第1ガイド構造と、モータ45を駆動源にしてフレーム18を往復駆動操作するフレーム駆動構造とで構成する。
【0026】
フレーム18は、上下一対の横枠46・46と、両横枠46・46の側端寄りに固定される左右一対のスライド軸47・47と、両スライド軸47・47の間に固定されるモータベース48などで構成してある。スライド軸47は金属管材で形成してあり、このスライド軸47とベース枠27に配置したガイドローラ43とで第1ガイド構造を構成している。
フレーム駆動構造は、モータ45の他、該モータ45で回転駆動される送りねじ軸50と、送りねじ軸50に噛み合う雌ねじ体51とで構成する。かかる第1伸縮機構により、伸長待機位置(図2や図3参照)と伸長位置(図5)との間で、脚載部6を伸縮操作することができる。
【0027】
第2伸縮機構は、足台7の下面に配置される台枠22とベース枠27との間に設けられて、台枠22を往復スライド自在に案内支持する第2ガイド構造と、台枠22を復帰付勢するばね52とで構成する。
【0028】
台枠22は、垂直に伸びる左右一対のスライド軸53・53と、スライド軸53の下端に連続して前向きに折り曲げられるコ字枠54とで、側面から見てL字枠状に形成する。スライド軸53とベース枠27に配置したガイドローラ55とで第2ガイド構造を構成している。ばね52は、引っ張りばねで形成してあり、全体がスライド軸53の内部に収容されて、その下端がスライド軸53に固定したピン56に掛止され、上端がフレーム18の上側の横枠46に掛止してある。このように台枠22をばね52で移動付勢することにより、足台7が脚載部6の下面に密着する伸縮待機位置へ向かって台枠22の全体を復帰操作することができる。
【0029】
以上のような第2伸縮機構により、伸長待機位置(図2や図3参照)と伸長位置(図5)との間で、足台7を伸縮操作することができる。
【0030】
図1および図6に示すように、機台1は、床面に接して前後方向に走るベース体60と、ベース体60の前部から上方に向かって伸びる左右一対の前フレーム61と、ベース体60の前後中央部から上方に向かって伸びる左右一対の後フレーム62と、前フレーム61の上端と後フレーム62の上端との間に架設されて、前後方向に走る上フレーム63・63と、これら上フレーム63の間に架設されて、左右方向に走るクロスフレーム(ベース部材)64と、機台1の前面を覆うようにベース体60および前フレーム61に固定された前面壁65(図5参照)とを含み、これら前面壁65と後フレーム62との間に内部空間Sを備える。図1および図6等において符号66は、前フレーム61・61の上端の間に架設されて、左右方向に走るクロスフレームを示す。
【0031】
図1に示すように、内部空間Sには、先の旋回機構28のほか空気給排装置70が配されている。空気給排装置70はベース体60上に固定されており、その前端に配されて上面に指向するコネクタ71に連結された複数本のホース72を介して、各エアセル10・11・12・20・24に向けて膨張用空気を供給する。なお、図1等には、脚載部6に配されたエアセル20、および足台7に配されたエアセル24に向かって空気を膨張用空気を供給するホース72のみを示す。
図9に示すように、空気給排装置70は、コンプレッサーである空気供給源73と、膨張用空気のエアセル10・11・12・20・24への給排気状態を切り換える分配装置74とからなり、不図示の制御装置からの信号を受けて分配装置74が制御される。
【0032】
図1、図4および図9に示すように、空気給排装置70には、脚載部6のエアセルに至る2本のホース72と、足台7のエアセルに至る3本のホース72とが連結されており、前者2本のホース72は、右方側の上フレーム63に固定された結束体75により束ねられて、第1ホース群72aとして脚載部6のエアセル20に至る。また、後者三本のホース72は、上フレーム63に固定された結束体76により束ねられて、第2ホース群72bとして足台7のエアセル24に至る。
内部空間Sを区画する前面壁65には、先の旋回軸26よりも低い位置に開口部67が設けられており、該開口部67を通って、これら第1および第2ホース群72a・72bは、内部空間Sから機台1の外部に導出される。なお、第2ホース群72bは、脚載部6のベース枠27の下面に配された結束体77で固定されており、その後に足台7の下端部から台枠22内に導入される。
【0033】
そのうえで本実施形態においては、第2ホース群72bを結束する結束体80と、平面視でホース72の導出基端であるコネクタ71よりも後方寄りに位置するクロスフレーム64との間に、クロスフレーム64に向かう引っ張り付勢力を第2ホース群72bに与える捻りコイル形のばね81(付勢部材)を配し、当該ばね81により、図4に示すような脚載部6の旋回待機位置における第ホース群72bの下方への弛みを防止している点が着目される。
すなわち、第2ホース群72bは、内部空間S内において、上フレーム63に固定された結束体75と、前面壁65の開口部67のみにより位置決めされており、これら開口部67と結束体75との間の中途部は自由状態にあり、第2ホース群72bは自重により下方に弛むおそれがある。そこで、当該中途部にホース72を束ねる結束体80を固定するとともに、当該結束体80とクロスフレーム64との間に、引っ張り付勢力を発揮するばね81を配して、当該ばね81の引っ張り付勢力により第2ホース群72bが自重で下方に弛むことを防止している。上述のように、ばね81の一端側(前端側)は結束体80に連結されており、他端側はリング83を介してクロスフレーム64に連結されている。
【0034】
足台7のエアセル24に空気を供給する第2ホース群72bのみに、ばね81を配したのは以下のような理由による。すなわち、足台7は脚載部6の下端(先端)に配されているため、足台7のエアセル24に至る第2ホース群72bに必要とされる弛み幅は、脚載部6のエアセル20に至る第1ホース群72aに必要とされる弛み幅よりも大きい。すなわち、第2ホース群72bのホース長は、脚載部6を最上の旋回位置として、しかも脚載部6および足台7を最大の伸長位置にまで伸ばしたときの姿勢状態、換言すれば、足台7が椅子本体から最も離れた位置にある姿勢状態としたときにも、十分に対応し得るものとされている。このため、図4に示すように脚載部6および足台7が伸長待機位置にあり、しかも脚載部6が旋回待機位置にある姿勢状態(足台7が椅子本体に最も近づく姿勢状態)と、先の足台7が椅子本体から最も離れた姿勢状態としたときの、第2ホース群72bに求められるホース長のギャップは、両姿勢状態における第1ホース群72aのホース長のギャップよりも大きなものとなる。このため、第2ホース群72bの方が第1ホース群72aよりも、脚載部6を旋回待機位置としたときに機台1内で弛みやすく、以上の理由より、第2ホース群72bの下方への不用意な弛みを防止すべく、該第2ホース群72bに、引っ張り付勢力を与えている。
【0035】
開口部67の高さ位置よりも低く且つ空気給排装置70の上面よりも高い位置に存し、しかも、旋回機構28を構成する可動片34の移動軌跡よりも高い位置に存するクロスフレーム64に、ばね81の一端を連結する。これにより、常に空気給排装置70の上面よりも高い位置に第2ホース群72bを置くことができるので、該第2ホース群72bを構成する各ホース72が、空気給排装置70に接触することを確実に防ぐことができる。また、常に可動片34の移動軌跡よりも高い位置に第2ホース群72bを置いて、該第2ホース群72bのホース72が可動片34に接触することを確実に防ぐことができる。
以上より、空気給排装置70の廃熱により、ホース72が熱変形や熱変質すること、或いはホース72に穴が開く最悪のケースに至ることを確実に防ぐことができる。また、可動片34の動作が妨げられたり、可動片34によりホース72が折り曲げ変形されることも確実に防ぐことができる。
【0036】
脚載部6が旋回待機位置から旋回位置に向かって旋回操作されるときには、第2ホース群72bは脚載部6の方向に向かってある程度引き出し操作される。しかし、このときには、図1に仮想線で示すごとく、ばね81が伸びることで、第2ホース群72bに引っ張り付勢力を与えながら第2ホース群72bを支障無く引き出すことができる。したがって、旋回位置に向かう脚載部6の旋回動作が、ばね81で阻害されることはない。同様に、脚載部6および足台7が、伸長待機位置から伸長位置に姿勢変位する際に、第2ホース群72bの引き出し操作が、ばね81で阻害されることもない。
【0037】
加えて、脚載部6が旋回姿勢から旋回待機姿勢に復帰変位される際には、ばね81により、第2ホース群72bはクロスフレーム64側への引っ張り付勢力を受ける。このため、開口部67から引き出された第2ホース群72bが、開口部67の開口縁に接触して、前面壁65の前側、すなわち内部空間S外で弛むことも無い。かかる作用効果を得るためには、開口部67の開口位置と同じ高さ位置、或いはこれよりも僅かに低い高さ位置に存するクロスフレーム64にばね81を連結することが求められる。
【0038】
上記実施形態においては、足台7のエアセル24に至る第2ホース群72bのみに、ばね81を設けたが、脚載部6のエアセル20に至る第1ホース群72aに対しても、ばね81を設けてもよい。
付勢部材としては、捻りコイルばね81を採用したが、これに限られず、ゴム等であってもよい。尤も、永年変化等を考慮すると、ゴムよりも金属製の捻りコイルばね81が最適である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る椅子式のマッサージ装置の要部の平面図である。
【図2】本発明に係る椅子式のマッサージ装置の正面図である。
【図3】本発明に係る椅子式のマッサージ装置の側面図である。
【図4】脚載部および足台の概略構成、および旋回機構を示す縦断側面図であり、脚載部が旋回待機位置にある状態を示している。
【図5】脚載部および足台の概略構成、および旋回機構を示す縦断側面図であり、脚載部が旋回位置にある状態を示している。
【図6】脚載部および足台のホースの配管形態を示す正面図である。
【図7】脚載部および足台を伸縮変位させる伸縮機構を示す図である。
【図8】脚載部および足台を伸縮変位させる伸縮機構を示す図である。
【図9】脚載部および足台のエアセルの制御構造を示す概略図である。
【符号の説明】
【0040】
1 機台
2 座部
4 背もたれ部
6 脚載部
7 足台
18 フレーム
20 エアセル(脚載部)
22 台枠
24 エアセル(足台)
26 旋回軸
27 ベース枠
28 旋回機構
32 モーターシリンダー
33 操作アーム
34 可動片
35 リニアエンコーダ
64 ベース部材(クロスフレーム)
65 前面壁
67 開口部
70 空気給排装置
71 コネクタ
72 ホース
80 結束体
81 付勢部材(捻りコイル形ばね)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に載置される機台(1)および該機台(1)の上部に設けられる背もたれ部(4)と座部(2)とを含む椅子本体と、座部(2)の前側に配置される脚載部(6)と、脚載部(6)の下端に配置される足台(7)と、脚載部(6)と足台(7)のそれぞれに設けられるエアセル式のマッサージ体とを備えており、
脚載部(6)は、旋回待機位置と、座部(2)の前端下部に設けた旋回軸(26)の周りに上方旋回操作される旋回位置との間で、姿勢変位可能に構成されており、
座部(2)の下方の機台(1)の内部空間(S)に、複数本のホース(72)を介してマッサージ体を構成する各エアセル(20・24)に対して空気を供給する空気給排装置(70)が配置されており、
複数本のホース(72)を結束する結束体(80)と、機台(1)を構成するベース部材(64)との間に、ベース部材(64)側に向かう引っ張り付勢力をホース(72)に与えて、脚載部(6)の旋回待機位置におけるホース(72)の下方への弛みを防止するための付勢部材(81)が設けられていることを特徴とする椅子式のマッサージ装置。
【請求項2】
機台(1)の前面に設けられた前面壁(65)には、空気給排装置(70)から脚載部(6)および足台7のエアセル(20・24)に至るホース(72)を通すための開口部(67)が設けられており、
開口部(67)の高さ位置よりも低く且つ空気給排装置(70)の上面よりも高い位置に存するベース部材(64)に、付勢部材(81)の一端が連結されている請求項1記載の椅子式のマッサージ装置。
【請求項3】
機台(1)の内部空間(S)には、脚載部(6)を上下旋回操作する旋回機構(28)が設けられており、
旋回機構(28)は、モーターシリンダー(32)と、モーターシリンダー(32)で伸長操作される操作アーム(33)と、操作アーム(33)の伸長操作に伴って移動する可動片(34)と、該可動片(34)の動きを捉えて操作アーム(33)の伸長位置を検出するリニアエンコーダ(35)とを備え、
開口部(67)の高さ位置よりも低く且つ可動片(34)の移動軌跡よりも高い位置に存するベース部材(64)に、付勢部材(81)の一端が連結されている請求項1記載の椅子式のマッサージ装置。
【請求項4】
脚載部(6)を支持するベース枠(27)と脚載部(6)のフレーム(18)との間に、脚載部(6)を伸長待機位置と伸長位置との間で伸縮操作する第1伸縮機構が設けられており、
足台(7)の台枠(22)とベース枠(27)との間に、足台(7)を伸長待機位置と伸長位置との間で伸長操作する第2伸縮機構が設けられており、
ホース(72)は、脚載部(6)のエアセル(20)に至る第1ホース群(72a)と、足台(7)のエアセル(24)に至る第2ホース群(72b)とで構成されており、
少なくとも第2ホース群(72b)の結束体(80)に、付勢部材(81)の一端が連結されている請求項1ないし3のいずれかに記載の椅子式のマッサージ装置。
【請求項5】
付勢部材(81)が、引っ張り付勢力を発揮する捻りコイル形のばねである請求項1ないし4のいずれかに記載の椅子式のマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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