説明

椅子式マッサージ機

【課題】
足載せ部の確実な伸縮動作が行える椅子式マッサージ機を提供する。
【解決手段】
座部11aの前端において出没可能に連結した支持フレーム体5aに支持された足載せ部13aに脛施療部131a及び足先施療部132aを設け、座部11aと脛施療部131aと足先施療部132aとの各間隔を伸縮機構6aにより伸縮可能とし、該伸縮機構6aとして、支持フレーム体5aを後部部材51aと、該後部部材51aとスライド可能に連結して脛施療部131aを支持する中間部材52aと、該中間部材52aとスライド可能に連結して足先施療部132aを支持する前部部材53aとから構成すると共に、後部部材51aと前部部材53aとをモータ641aにより駆動伸縮する駆動伸縮体64aで連結し、且つ中間部材52aは後部部材51aと前部部材53aとの伸縮動作に連動する連動部60aによって連動するよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部の前端において出没可能に設けた足載せ部に、人体脚部の脛部を施療するための脛施療部及び人体脚部の足先を施療するための足先施療部をそれぞれ設けて、座部と脛施療部と足先施療部との各間隔を伸縮機構により伸縮可能とした椅子式マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から椅子式マッサージ機は、主として背凭れ部に昇降自在に設けた施療子の動作により被施療者の背中に押圧刺激を与える構成のものとなっており、近年では座部の前方で出没する足載せ部を設けると共に、該足載せ部に施療ローラーまたは施療子、或いはエアバッグ等の膨縮袋を内装して、該足載せ部に載置した被施療者の脚部に施療することができるようにしたものも市場でよく見られている。さらに最近では、被施療者の脚部の長さにおける個人差に対応できる機構を足載せ部に設けた技術が開示されている。
【0003】
例えば、図12乃至図14に示すような座部2の前側にフットレスト4を配した椅子型マッサージ機1があるが、該フットレスト4は、被施療者の脹脛を支持する脹脛載せ部材4aと、被施療者の足底及び踵の後部等を支持する足載せ部材4bとを有している。該脹脛載せ部材4a及び足載せ部材4bには、それぞれ複数の空気袋が設けられていて、該空気袋はポンプ及びバルブ等からなる給排気装置からの給排気によって膨張又は収縮するように構成されている。これにより、被施療者が着座したときに、該空気袋が膨張及び収縮を繰り返すことによって、被施療者の脹脛並びに足底及び踵(かかと)の後部に対して押圧刺激を与えるようになっている。
【0004】
また、前記フットレスト4の脹脛載せ部材4a及び足載せ部材4bは、伸縮機構4cに取り付けられており、互いに近接又は離反するように相対移動することが可能となっている。すなわち、該伸縮機構4cは、座部2の前端で回動連結する上部部材45と、中間部材46と、下部部材47とによって主として構成されると共に、3つの菱形が連続したパンタグラフ機構である伸縮腕51が備えられている。
【0005】
よって、フットレスト4が伸張する場合、座部2から上部部材45は離反すると共に該上部部材45から中間部材46は離反し、同時に該中間部材46から下部部材47も離反するような態様となる。尚、被施療者の操作部における操作入力による制御信号に応じてモータ56を駆動してフットレスト4が伸縮されるようにしている。また、脹脛載せ部材4aは中間部材46に、前記足載せ部材4bは下部部材47にそれぞれ取り付けられている。
【0006】
さらに、前記伸縮機構4cの構成について、前記上部部材45の連結部材49に前記モータ56が取り付けられており、該モータ56の出力軸の回転運動がねじ棒55に伝達され、該ねじ棒55をナット54に進入及び退出させた構成となっている。該ナット54は前記中間部材46に設けられているため、モータ56を駆動させることによって中間部材46が下降又は上昇するようにしている。
【0007】
また、前記ナット54は、その長手方向中央部分において伸縮腕51の中間の2つのリンクが交差した関節が、前後方向へ延びる枢軸によって枢着されている。これにより、モータ56を駆動させることによって中間部材46が下降又は上昇すると、伸縮腕51が伸長又は縮短することとなり、これに伴って伸縮腕51の下端の関節が前後方向へ伸びる枢軸によって枢着される連結板59aを設けた前記下部部材47も中間部材46に対して離反又は近接する。
【0008】
このようにして前記伸縮機構4cは、全体として伸長又は縮短することとなり、被施療者は、操作部によって足底支持面37を自身の脚の長さに合わせてこの離隔距離を調節することができる。
【特許文献1】特開2004−215938号公報(第15頁の図1及び図4、第18頁の図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のような足載せ部を上部部材、中間部材、下部部材のように分割してそれぞれ構成すると共に、それらをモータの駆動力により相互に伸縮させる伸縮機構を設けた椅子式マッサージ機は、上部部材と中間部材との間において、伸縮機構としてモータと、該モータにより回転するねじ棒(螺軸)と、このねじ棒の回転により進退するナットをそれぞれ設けているため、この上部部材と中間部材との間の伸縮は、モータの駆動力が直接的に伝達されて確実になされる。
【0010】
しかしながら、その一方で、中間部材と下部部材との間における伸縮については、この上部部材と中間部材との間の伸縮作用により連動伸縮するパンタグラフ機構(伸縮腕)に依存している。すなわち、この中間部材と下部部材との間の伸縮は、モータの駆動力がパンタグラフ機構(伸縮腕)を介して伝達されるため、モータからの間接的な動力伝達によるものとなっている。
【0011】
そのため、上部部材と中間部材との間における伸縮動力よりも、中間部材と下部部材との間における伸縮動力の弱化が生じる構成となっている。
【0012】
特に下部部材は、足載せ部材が取り付けられて被施療者の足底等を直接支持しているため、被施療者の脚部からの重力がかかる肝要な部分であり、どこよりも中間部材と下部部材との間における伸縮動力が強化される必要があるのだが、この点で前記のような伸縮動力における弱化の改善が大きな課題となる。これを解消するために、より大きな電力を消費する比較的大型のモータ、またはモータを分設した複数のモータの搭載を検討できるが、この場合、省電力化や椅子本体の小型化または軽量化の分野における問題が生じるものと考えられる。
【0013】
さらに、上記のような椅子式マッサージ機において採用されるパンタグラフ機構は、多数の棒状または長板状のアーム部材と、互いに各アーム部材が先端において回動可能に連結するための多数の回動部とから主に構成するものであるため、この種の機構特有の弱点である撓みや摩擦抵抗等が発生し易い。しかも、これが原因でこの種の伸縮機構自体に無駄な負荷がかかり、伸縮動力の弱化をより一層招いてしまうため、この場合もそれを充足するべく出力の大きい大型モータ、または複数のモータに頼らざるを得ず、前述と同様に解決すべき課題となる。
【0014】
そこで、本発明は、上記問題点を解消する為に成されたものであり、足載せ部の伸縮機構における伸縮動力の弱化を可及的に防止すると共に、被施療者の足底等からかかる重力に関わらず確実な伸縮動作を比較的小型のモータの駆動力でも十分行うことができる椅子式マッサージ機を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、本発明の椅子式マッサージ機は、座部と該座部の前端において出没可能に連結した支持フレーム体に支持された足載せ部とを有し、該足載せ部に人体脚部の脛部を施療するための脛施療部及び人体脚部の足先を施療するための足先施療部を設けると共に、座部と脛施療部と足先施療部との各間隔を伸縮機構により伸縮可能とした椅子式マッサージ機において、該椅子式マッサージ機の伸縮機構は、前記支持フレーム体を前記座部の前端で軸支された後部部材と、該後部部材とスライド可能に連結して前記脛施療部を支持する中間部材と、該中間部材とスライド可能に連結して前記足先施療部を支持する前部部材とから構成すると共に、前記後部部材と前記前部部材とをモータにより駆動伸縮する駆動伸縮体で連結し、且つ、前記中間部材はこれら後部部材と前部部材との伸縮動作に連動する連動部によって連動するよう構成したものとしている。
【0016】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記駆動伸縮体は、前記前部部材に前記モータ及び該モータにより回転する螺軸を設けると共に、該螺軸に螺合するナット体を前記後部部材に設けて構成したものとしている。
【0017】
さらに、本発明の椅子式マッサージ機は、前記連動部には、前記後部部材及び前記前部部材にそれぞれ係合レーンを設けると共に、前記中間部材には、前記各係合レーンに係合し得るよう介設されて転動可能な転動係合部材を設けて構成したものとしている。
【0018】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記連動部は、前記後部部材の下端を回動連結すると共に、前記中間部材及び前記前部部材の各下端をそれぞれスライド可能に連結するための連結フレームを設けたものとしている。
【0019】
さらにまた、本発明の椅子式マッサージ機は、前記後部部材に対する中間部材のスライド距離と後部部材に対する前記前部部材のスライド距離との割合を1対2となるよう構成したものとしている。
【発明の効果】
【0020】
よって、本発明の椅子式マッサージ機は、座部と脛施療部と足先施療部との各間隔を伸縮機構により伸縮可能とした椅子式マッサージ機であって、前記伸縮機構として、前記支持フレーム体を前記座部の前端で軸支された後部部材と、該後部部材とスライド可能に連結して前記脛施療部を支持する中間部材と、該中間部材とスライド可能に連結して前記足先施療部を支持する前部部材とから構成すると共に、後部部材と前部部材とをモータにより駆動伸縮する駆動伸縮体で連結し、且つ中間部材は後部部材と前部部材との伸縮動作に連動する連動部によって連動するよう構成したものとしているため、上部部材と中間部材との間、及び中間部材と下部部材との間における伸縮動作において、伸縮動力の弱化を招くことなく、また下部部材で支持する足先施療部に対する被施療者の足底等からかかる重力に関わらず、確実な伸縮動作を比較的小型のモータの駆動力でも十分行うことができる。
【0021】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記駆動伸縮体として、前記前部部材に前記モータ及び該モータにより回転する螺軸を設けると共に、該螺軸に螺合するナット体を前記後部部材に設けるよう構成したものとしているため、確実で正確な足載せ部における伸縮が実現できるし、足載せ部全体の重心が低くなり、使用者が脚部を安定的に載置することができる。
【0022】
さらに、本発明の椅子式マッサージ機は、前記連動部として、前記後部部材及び前記前部部材にそれぞれ係合レーンを設けると共に、それら係合レーンに介設係合しつつ転動可能な転動係合部材を中間部材に設けて構成したものとしているため、連動部を簡易に構成することができ、従来とは異なり、撓みや摩擦抵抗等の発生を大幅に抑制したり、また製造及びメンテナンスの容易性を向上させたりすることができる。
【0023】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記連動部として、前記後部部材の下端を回動連結すると共に前記中間部材52a及び前記前部部材53aの各下端をそれぞれスライド可能に連結するための連結フレームを設けた構成となっているため、連動部を足載せ部における底部において構成することができ、足載せ部をよりコンパクトに構成できる。
【0024】
さらにまた、本発明の椅子式マッサージ機は、前記後部部材に対する中間部材のスライド距離と後部部材に対する前記前部部材のスライド距離との割合を1対2として構成したものとしているため、使用者の脚部の長さの違いにかかわらず、常時において前記脛施療部及び前記足先施療部におけるそれぞれの的確な施療ポイントで施療を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の椅子式マッサージ機を、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。図1は本発明の椅子式マッサージ機における椅子型の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本発明の椅子式マッサージ機における椅子型の一実施形態を示す使用状態図であり、図3は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の一実施形態を示す右側面簡易構成説明図であり、図4は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の伸縮動作の一実施形態を示す右側面簡易構成説明図であり、図5は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部が使用者の個人差に対応することを示す一実施形態の説明図である。図6は本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部における内部構造の一実施形態を示す右側面説明図であり、図7は本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部を伸張した状態における内部構造の一実施形態を示す右側面説明図であり、図8は本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部における内部構造の一実施形態を示す正面説明図であり、図9は本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部を伸張した状態における内部構造の一実施形態を示す正面説明図であり、図10は本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部における内部構造の一実施形態を示す右側面説明図であり、図11は本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部を伸張した状態における内部構造の一実施形態を示す右側面説明図であり、図12乃至図14は従来技術を示す参考図である。
【0026】
すなわち、本発明の椅子式マッサージ機は図1及び図2の実施例で示したように、座部11aと共に、該座部11aの後側にリクライニング可能に連結する背凭れ部12aと、座部11aの前端において前後へ出没可能に連結した足載せ部13aとから構成した椅子式マッサージ機1aである。
【0027】
更に、前記座部11aの両側に肘掛け部14aを立設すると共に、前記背凭れ部12aの左右両側に前方に向かって突出した側壁部2aを夫々配設している。
【0028】
図1に示すように、前記背凭れ部12aには、その中央部に左右一対の施療子31aを備えた昇降自在の施療子機構3aを設けている。該施療子機構3aは、背凭れ部12aの内部左右に設けた左右一対のガイドレール32aに沿って背凭れ部12aの上端から下端にかけて昇降するようにしている。
【0029】
前記左右一対の施療子31aは、モータ等を駆動源とした機械式の椅子式マッサージ機構であり、前記背凭れ部12aに凭れた施療者の首部、背部、腰部、臀部等の背面全域を、たたき、揉み、ローリング、振動、指圧などの多様な形態で施療するようにしたものである。
【0030】
また、前記椅子式マッサージ機1aの各所定の位置には、空気の給排気により膨縮を繰り返す事が可能な膨縮袋4aを夫々埋設している。該膨縮袋4aは、エアーコンプレッサー及び各膨縮袋4aに空気を分配するための分配器等からなる空気給排装置41aによる給排気により膨縮動作を行うようにしており、該空気給排装置41aは前記座部11aの下部空間に配備している。
【0031】
前記空気給排装置41aによる各前記膨縮袋4aの膨縮動作によって、施療者の所定の施療部位を押圧、指圧等を実施する事ができ、一定間隔を存して対向するよう複数の膨縮袋4aを対設させる場合、挟圧等の施療も行う事ができる。また膨縮袋4aを膨張状態に保つ場合は、施療者の所定の部位を一定の時間保持する事も可能としている。
【0032】
また、前記椅子式マッサージ機1aは、前記背凭れ部12aの左右側において、上部及び下部に夫々膨縮袋4aを設けており、施療者の背中及び腰部を押圧、または左右両側から挟圧するような施療を行うよう構成している。
【0033】
また、前記座部11aには、後部側に臀下部用、また腿部用の膨縮袋4aを夫々埋設して、主に下方から上方に押圧する施療を行うようにしている。
【0034】
前記足載せ部13aは、人体の脚部である脛部または足先部を夫々嵌入させる左右一対の凹部を夫々形成したものであり、各凹部に膨縮袋4aを左右一対として対設するよう設けて、凹部内部で人体の脛部及び足先部に対する挟圧施療を実施するようにしている。該足載せ部13aの構成については後に詳しく説明する。
【0035】
前記左右の肘掛け部14aの上部には、必要に応じて人体の手や前腕を嵌入保持して施療するための凹部を形成する腕保持部15aを設ける事ができる。図1の場合、該腕保持部15aの内部において、上下に各膨縮袋4aを夫々対設するよう設けて、凹部内部で人体の手や前腕に対する挟圧施療を実施するようにしている。
【0036】
前記左右の側壁部2aは、座部11aに着座した施療者の肩または上腕側方となる位置に配設しており、該左右の側壁部2aの内側面には夫々左右方向に重合した膨縮袋4aを並列状態に埋設している。
【0037】
また、これら重合した膨縮袋4a・4aはその基端部のみを側壁部2aの基端部に取り付けているため、膨張時には重合した膨縮袋4a・4aが扇状に広がって施療者の身体側部を挟圧しつつ、身体前方まで覆うようになる。
【0038】
よって、前記左右側壁部2aの前記膨縮袋4aは、膨縮動作により身体側部を施療する事ができるだけでなく、一定の時間において膨張状態を保つならば、施療者の身体が前記背凭れ部12aから離れないようにしっかりと保持する事ができ、施療者の身体を固定したままの状態で前記施療子機構3aの前記施療子31aによる背部からの施療を効果的に受ける事が可能となるのである。
【0039】
本発明である前記椅子式マッサージ機1aの前記足載せ部13aについて、以下にさらに詳述すれば、図1の実施形態で示したように、上部に人体脛部を施療するための凹部を幅方向左右に夫々設けた脛施療部131aと、該脛施療部131aの下部に位置する人体足先を施療するための凹部を幅方向左右に夫々設けた足先施療部132aとから構成しており、脛施療部131aと足先施療部132aの各凹部内部に、前述のような膨縮袋4aを左右に対設させている。尚、適宜各凹部底部にも膨縮袋4aを設ける事ができる。
【0040】
また、図3に示すように前記足載せ部13aは、支持フレーム体5aによって支持されており、該支持フレーム体5aは、後部部材51a、中間部材52a、前部部材53aによって主に構成している。
【0041】
前記後部部材51aは、その端部と前記座部11aの下部にある座部下フレーム111aの前端部とが回動部133aを介して回動可能に前記座部11aに連結している。
【0042】
これにより、前述したように前記足載せ部13aが座部11aに対して上下回動可能となる。その上下回動は手動及び自動を問わないが、自動とする場合は電動モータを動力源とするアクチュエータ(図示せず)を適用する事ができる。
【0043】
また、前記中間部材52aは脛施療部131aを、また前記前部部材53aは足先施療部132aをそれぞれ固定的に支持している。
【0044】
図3に示すように前記足載せ部13aには、前記支持フレーム体5aの前記後部部材51a、前記中間部材52a、前記前部部材53aが、相互に接近したり離間したりするための伸縮機構6aを設けている。
【0045】
前記伸縮機構6aにおいて、前記中間部材52aが後部部材51aと前部部材53aとの伸縮動作に連動するよう連動部60aを設けている。すなわち該連動部60aとして、後部部材51aの下部前面にラックからなる後部部材側の係合レーン61aを設けると共に、中間部材52aの後面中間においてピニオンからなる転動係合部材62aを設け、さらに前部部材53aの上部後面にラックからなる前部部材側の係合レーン63aを設けて構成している。該転動係合部材62aは、後部部材側の係合レーン61a及び前部部材側の係合レーン63aにそれぞれ噛合している。
【0046】
前記連動部60aをこのように構成することにより、図4に示す前記足載せ部13aを人体の足の長さ方向へ突出させた状態において、前記脛施療部131aまたは前記足先施療部132aに人体の足の長さ方向への力を掛けるか、または後述するモータ等の駆動源により伸縮機構6aを伸張させるかすると、前記後部部材側の係合レーン61a上を転動係合部材62aが人体の足の長さ方向へ回転して脛施療部131aを伴って移動距離L1を進む時、脛施療部131aは移動距離L1と同じ距離である移動距離L2を人体の足の長さ方向へ移動することになる。
【0047】
さらに、転動係合部材62aが前部部材側の係合レーン63aに噛合しているため、足先施療部132aも脛施療部131aの移動に伴って人体の足の長さ方向へ移動することになると共に、転動係合部材62aはその回転により前部部材側の係合レーン63aを人体の足の長さ方向へ押し出す態様となるので、移動距離L2に転動係合部材62aによる前部部材側の係合レーン63aの相対的な人体の足の長さ方向への押し出す距離が加算された移動距離L3を足先施療部132aは移動することになる。
【0048】
尚、図面で示す構成は、前記脛施療部131aの移動距離L2と前記足先施療部132aの移動距離L3とは1対2の割合となっている。
【0049】
さらに、図6乃至図9において、前記足載せ部13aの前記伸縮機構6aに関連する具体的な構成を説明する。前記後部部材51aは、図6乃至図9に示すように上下方向に設けた縦フレーム511aを左右両端にそれぞれ設けると共に、該左右の縦フレーム511aを強固に連結する横フレーム512aを上下方向に複数本並設して成る。また、該左右の縦フレーム511aの上端に、前記座部11aに対して足載せ部13aが出没回動するための前記回動部133aがそれぞれ位置する。
【0050】
また、前記中間部材52aは、図6乃至図9に示すように上端に上横フレーム521aを、下端に下横フレーム522aをそれぞれ設けると共に、それら上横フレーム521a及び下横フレーム522aを上下にて強固に連結する板状の中央板フレーム523aを設けている。
【0051】
さらに、前記前部部材53aは図6乃至図9に示すように、その底部にフレームを環状にした環状底フレーム531aを設けている。
【0052】
前記後部部材51aと前記中間部材52aとの間、及び中間部材52aと前記前部部材53aとの間には、それぞれ左右一対のスライド連結機構54aを設けており、後部部材51aに対して中間部材52aを人体の足の長さ方向にスライド可能に連結すると共に、前部部材53aも同様に中間部材52aに対してスライド可能に連結している。
【0053】
図6乃至図9に示す構成において、前述の図3に示す構成と同様に前記伸縮機構6aが設けられている。すなわち、前記後部部材51aの下部中央付近において、人体の足の長さ方向に左右一対の前記係合レーン61aが一定間隔を存してそれぞれ設けられ、また前記前部部材53aに設けた前記環状底フレーム531aの中央後端から前記中間部材52aの方向に向かって直立させた左右一対の直立フレーム532aの上部裏面に前記係合レーン63aがそれぞれ設けられており、これら係合レーン61aと係合レーン63aとの間に、前記中間部材52aに設けた前記転動係合部材62aが噛合介設されている。
【0054】
さらに、図6乃至図9に示す実施形態は、前記後部部材51aと前記前部部材53aとをモータ641aにより駆動伸縮する駆動伸縮体64aで連結して、該駆動用のモータ641aによる駆動で前記伸縮機構6aにおける伸縮動作を行わせるよう構成したものである。
【0055】
すなわち、前記駆動伸縮体64aとして、前記モータ641aを、前記前部部材53aにおける環状底フレーム531aの中央に設けると共に、該モータ641aの回転を変速伝達する変速機構642aを該モータ641aの背部に隣設し、さらに、該変速機構642aの回転が伝達される螺軸644aを変速機構642aから上方へ立設するようにして構成している。このようにモータ641aを前部部材53aに配置することにより、前記足載せ部13a全体の重心が低くなるので使用者が脚部を安定的に載置することができるようになる。
【0056】
さらに、前述したように、前記脛施療部131aを移動距離L2だけ人体の足の長さ方向へ移動した場合、前記足先施療部132aは移動距離L2の2倍の移動距離L3を移動することになる。このため、足載せ部13aの伸縮動作に伴う全体的な仕事量を考慮した場合、前部部材53aにモータ641aを配置して直接的に足先施療部132aを伸縮動作させて足載せ部13aの伸縮動作を行うときの駆動力は、中間部材52aにモータ641aを配置すると共に該モータ641aにより前記転動係合部材62aを駆動して脛施療部131aを直接的に伸縮動作させる時の約半分の駆動力で済むことになり、比較的小型のモータの駆動力で足載せ部13aの伸縮動作を実現できる。これにより、椅子式マッサージ機の省電力化や足載せ部の小型化または軽量化を図ることができる。
【0057】
また前記螺軸644aは、前記後部部材51aの下部から前記中間部材52aの中央に穿設した貫通孔部524aを貫通しつつ前方へ突出したナット体643aの内部に螺合している。該ナット体643aは、螺軸644aの回転により上下方向に昇降するものである。
【0058】
よって、前記モータ641aが回転することにより、該モータ641aの回転動力が前記変速機構642aを介して前記螺軸644aに伝達されて前記ナット体643aを昇降させると、前記後部部材51aと前記前部部材53aとの伸縮動作が行われることになる。
【0059】
すなわち、図6及び図8に示す前記脛施療部131a及び足先施療部132aが近接した状態と、図7及び図9に示す前記脛施療部131a及び足先施療部132aが離間した状態とを繰り返す動作が可能となる。またこの場合、前述したように、前記連動部60aにおいて前記中間部材52aが後部部材51aと前部部材53aとの伸縮動作に連動することになる。
【0060】
前記モータ641aの駆動制御については、使用者が操作を行う操作部(図示せず)からの入力信号、または内蔵記憶されたプログラムによる制御信号を電子回路等の制御手段(図示せず)が処理して行うものとしている。
【0061】
図10及び図11に示すものは、前記連動部60aを他の形態で構成したものである。すなわち、前述の構成から前記係合レーン61a・63a、及び前記転動係合部材62aを除外し、さらに、前記後部部材51aの下端を回動部603aにより回動連結すると共に前記中間部材52a及び前記前部部材53aの各下端をそれぞれスライド可能に連結するための連結フレーム601aを設けた構成となっている。
【0062】
前記連結フレーム601aの内部にガイドレールを構成する場合は、図10及び図11に示すように、前記中間部材52a及び前記前部部材53aの各下端において、該ガイドレールの内部を回転移動する回転輪602aをそれぞれ取り付けることができる。
【0063】
このように構成することにより、前述のように前記駆動伸縮体64aによって前記後部部材51aと前記前部部材53aとの間が伸張動作すると、図11に示すように前記ガイドレール付の連結フレーム601aは、前記後部部材51aの下端に設けられた前記回動部603aを軸として下方(前記足載せ部13aが前方へ突出した状態である場合は前方)へ回動することになり、これに伴って、前記中間部材52a及び前記前部部材53aの各下端にそれぞれ取り付けられている回転輪602aが、ガイドレール付の連結フレーム601aの内部に設けたガイドレールに沿って転動することになるので、中間部材52a及び前部部材53aは、それぞれ下方(足載せ部13aが前方へ突出した状態である場合は前方)へ移動して、前記座部11a、前記脛施療部131a、前記足先施療部132aのそれぞれが相互に離間するのである。
【0064】
上記のように、前記足載せ部13aにおいて前記伸縮機構6aを構成することにより、使用者の所望に応じて、または使用者の脚部の個人差などの身体特徴に応じて、前記脛施療部131a及び前記足先施療部132aを施療に適切な位置に移動させられる。
【0065】
例えば、図5に示すように使用者の脚部の長さの違いにかかわらず、前記脛施療部131a及び前記足先施療部132aにおけるそれぞれの的確な施療ポイントPが常時保たれることになる。
【0066】
加えて、前記脛施療部131a及び前記足先施療部132aの間隔を前記モータ641aにより自動的に変化させて、使用者の脛部における施療ポイントを漸進的に変位させつつ、脛部全体を隈無く揉みほぐすようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の椅子式マッサージ機における椅子型の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の椅子式マッサージ機における椅子型の一実施形態を示す使用状態図である。
【図3】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の一実施形態を示す右側面簡易構成説明図である。
【図4】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の伸縮動作の一実施形態を示す右側面簡易構成説明図である。
【図5】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部が使用者の個人差に対応することを示す一実施形態の説明図である。
【図6】本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部における内部構造の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図7】本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部を伸張した状態における内部構造の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図8】本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部における内部構造の一実施形態を示す正面説明図である。
【図9】本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部を伸張した状態における内部構造の一実施形態を示す正面説明図である。
【図10】本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部における内部構造の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図11】本発明の椅子式マッサージ機の足載せ部を伸張した状態における内部構造の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図12】従来技術を示す参考図である。
【図13】従来技術を示す参考図である。
【図14】従来技術を示す参考図である。
【符号の説明】
【0068】
1a 椅子式マッサージ機
11a 座部
111a 座部下フレーム
12a 背凭れ部
13a 足載せ部
131a 脛施療部
132a 足先施療部
133a 回動部
14a 肘掛け部
15a 腕保持部
2a 側壁部
3a 施療子機構
31a 施療子
32a ガイドレール
4a 膨縮袋
41a 空気給排装置
5a 支持フレーム体
51a 後部部材
511a 縦フレーム
512a 横フレーム
52a 中間部材
521a 上横フレーム
522a 下横フレーム
523a 中央板フレーム
524a 貫通孔部
53a 前部部材
531a 環状底フレーム
532a 直立フレーム
54a スライド連結機構
6a 伸縮機構
60a 連動部
601a 連結フレーム
602a 回転輪
603a 回動部
61a 係合レーン
62a 転動係合部材
63a 係合レーン
64a 駆動伸縮体
641a モータ
642a 変速機構
643a ナット体
644a 螺軸
L1 移動距離
L2 移動距離
L3 移動距離
P 施療ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と該座部の前端において出没可能に連結した支持フレーム体に支持された足載せ部とを有し、該足載せ部に人体脚部の脛部を施療するための脛施療部及び人体脚部の足先を施療するための足先施療部を設けると共に、座部と脛施療部と足先施療部との各間隔を伸縮機構により伸縮可能とした椅子式マッサージ機において、該椅子式マッサージ機の伸縮機構は、前記支持フレーム体を前記座部の前端で軸支された後部部材と、該後部部材とスライド可能に連結して前記脛施療部を支持する中間部材と、該中間部材とスライド可能に連結して前記足先施療部を支持する前部部材とから構成すると共に、前記後部部材と前記前部部材とをモータにより駆動伸縮する駆動伸縮体で連結し、且つ、前記中間部材はこれら後部部材と前部部材との伸縮動作に連動する連動部によって連動するよう構成したことを特徴とする椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記駆動伸縮体は、前記前部部材に前記モータ及び該モータにより回転する螺軸を設けると共に、該螺軸に螺合するナット体を前記後部部材に設けて構成したことを特徴とする請求項1記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記連動部には、前記後部部材及び前記前部部材にそれぞれ係合レーンを設けると共に、前記中間部材には、前記各係合レーンに係合し得るよう介設されて転動可能な転動係合部材を設けて構成してあることを特徴とする請求項1記載の椅子式マッサージ機。
【請求項4】
前記連動部は、前記後部部材の下端を回動連結すると共に、前記中間部材及び前記前部部材の各下端をそれぞれスライド可能に連結するための連結フレームを設けてあることを特徴とする請求項1記載の椅子式マッサージ機。
【請求項5】
前記後部部材に対する中間部材のスライド距離と後部部材に対する前記前部部材のスライド距離との割合を1対2となるよう構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載の椅子式マッサージ機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−206720(P2008−206720A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46291(P2007−46291)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】