説明

椅子式マッサージ機

【課題】 フットレストを持ち上げた状態でもリラックスしてマッサージを受けることができ、またフットレストから降りる際に踏ん張りが利く椅子式マッサージ機を提供する。
【解決手段】 フットレスト4のかかとを受けるかかと受面23とつま先を受けるつま先受面24は、かかと受面をつま先受面に対して高くすると共に、かかと受面とつま先受面の間を、傾斜面25とする。傾斜面は、フットレストのふくらはぎを受ける面18に対して、略100度〜130度の角度Aをなす傾斜面とする。
【効果】フットレストを持ち上げた状態にしても足先が反り返るようなことなく、リラックスできる。またフットレストから降りる際には、かかと受面とつま先受面によって踏ん張りを利かすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者が腰掛ける座部の前端に、ふくらはぎ及び足先(くるぶしより先の部分)を収容するフットレストを回動自在に連結し、フットレストにはふくらはぎ及び/又は足先にマッサージを施すマッサージ手段を具えた椅子式マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座部の前端に、ふくらはぎ及び足先を収容するフットレストを回動自在に連結して、ふくらはぎや足先にマッサージを施すものとして、特許文献1に記載のものが知られている。フットレストは、座部に対し略垂直に降りた状態から座部とほぼ同じ高さまで持ち上げられた状態までの間の任意の角度で位置決めして使用できるようになっている。
【特許文献1】特開2002−65786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら従来のものでは、フットレストの足裏を受ける面は、ふくらはぎを受ける面に対して略直角な面となっている。人の足は力を入れない自然な状態(椅子に腰掛けて足をぶらぶらさせた状態)では、つま先側がかかと側に比べ下がった状態にあるので、フットレストの足裏を受ける面が、ふくらはぎを受ける面に対して略直角な面になっていると、フットレストを持ち上げていくに従い、自然な状態に反して足先が反り返るようになり、窮屈でリラックスできない。
【0004】
そこで、フットレストの足裏を受ける面を、ふくらはぎを受ける面に対して直角よりも大きな角度の傾斜面にして、つま先側を低くすることが考えられるが、傾斜面にすると、フットレストを座部に対して略垂直に降りた状態にしてフットレストから降りる際に、踏ん張りが利きにくく滑りやすいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、フットレストを持ち上げた状態でもリラックスしてマッサージを受けることができると共に、フットレストから降りる際に踏ん張りが利く椅子式マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の椅子式マッサージ機は、
被施療者が腰掛ける座部の前端に、ふくらはぎ及び足先を収容するフットレストを回動自在に連結し、フットレストにはふくらはぎ及び/又は足先にマッサージを施すマッサージ手段を具えた椅子式マッサージ機において、
フットレストのかかとを受けるかかと受面とつま先を受けるつま先受面は、かかと受面をつま先受面に対して高くすると共に、かかと受面とつま先受面の間を、傾斜面としたものである。
【0007】
ここで傾斜面は、フットレストのふくらはぎを受ける面に対して、略100度〜130度の角度をなす傾斜面とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フットレストのかかとを受けるかかと受面とつま先を受けるつま先受面は、かかと受面をつま先受面に対して高くすると共に、かかと受面とつま先受面の間を傾斜面としたので、フットレストを持ち上げた状態にしても足先が反り返るようなことはなく、自然に近い状態に保つことができるので、リラックスしてマッサージを受けることができる。
【0009】
またフットレストから降りる際には、かかと受面とつま先受面によって踏ん張りを利かすことができ、滑り防止となる。
【0010】
また傾斜面の角度を、フットレストのふくらはぎを受ける面に対して、略100度〜130度の角度をなす傾斜面とすれば、フットレストの足裏を受ける面が、自然な状態の足裏の形状に似た形状になるので、より好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の椅子式マッサージ機について図に基づき説明する。図1は椅子式マッサージ機の斜め前方から見た斜視図で、マッサージ機1は、座部2と、座部2の後方に起倒自在に取り付けられた背もたれ部3と、座部2の前端に回動自在に取り付けられたフットレスト4と、座部2の左右両側に立設された肘当て部5を具える。座部2には、圧縮空気の供給、排出により膨張、収縮するエアバッグ(図示せず)から構成されるマッサージ手段が内蔵され、背もたれ部3には、一対の施療指により叩きや揉みを行なう周知のマッサージ手段(図示せず)が背もたれ部に沿って昇降自在に設けられている。
【0012】
座部2に坐った人から見て右側の肘当て部5の外側面より、屈曲自在な支柱6が立設されている。この支柱6の先端には、操作リモコン受台7が設けられ、この操作リモコン受台7に、マッサージ機1の動作を操作するための操作リモコン8が着脱自在に設置される。操作リモコン8を使用する際は、受台7より外して使用する。支柱6の中ほどには補助受台11が装着され、この受台11に補助リモコン10が着脱自在に設置される。この補助リモコン10は、背もたれ部3を起倒操作するスイッチや、マッサージ中の脈拍等の生体情報を検知する検知部を具えたものである。
【0013】
フットレスト4は、ふくらはぎ及び足先(くるぶしより先の部分)を収容する前方及び上方が開放した凹部12を左右一対有する樹脂製カバー13と、樹脂製カバー13を取り付けたフットレストフレーム14等から構成されるもので、フットレストフレーム14の上端が、座部2の前端に軸15にて回動自在に連結されている。フットレスト4は、図示しないリクライニング機構により、座部2に対してほぼ垂直に降りた状態(図1及び図2)から、図3の状態を経由して、座部2とほぼ同じ高さまで持ち上げられた状態(図4)まで回動され、この間の任意の位置で位置決めして使用できる。
【0014】
前記凹部12の左右の側面には、圧縮空気の供給、排出により膨張、収縮するエアバッグ16、17が配備されている。かかるエアバッグ16、17の膨張により、ふくらはぎや足先を側面から押圧してマッサージを行なう。
【0015】
また凹部12の底面のふくらはぎが当る面18には、突部19を有するエアバッグ20が上下に2個配備されている。圧縮空気の供給、排出によりエアバッグ20を膨張、収縮し、膨張により、突部19をふくらはぎの裏面に押し付けて、押圧マッサージを行なう。
【0016】
また凹部20の足首を囲む部分には、足首をその裏側から両側にかけて抱いて足首を掴み揉みするエアバッグ21が配備されている。エアバッグ21は、凹部12の下部の左右両側面から底面を経由して設けられ、圧縮空気の供給、排出により膨張、収縮して足首を掴み揉みする。
【0017】
フットレスト4の凹部12の足先を受ける底面22は、図2に示すように、ほぼ水平なかかとを受けるかかと受面23とつま先を受けるつま先受面24を有し、かかと受面23がつま先受面24より一段高くなっており、両受面23、24の間は、傾斜面25となっている。この傾斜面25は、凹部12のふくらはぎの裏面を受ける面18に対して、略100度〜130度の角度Aをなしている。このような形状にすることにより、底面22は足先の自然な状態(椅子に腰掛けて足をぶらぶらさせた時のように力を入れない状態)に近い形状となっている。
【0018】
かかと受面23上には、膨張することによりかかとを押圧するエアバッグ26が配備され、つま先受面24上には、膨張することによりつま先を押圧するエアバッグ27が配備されている。つま先を押圧するエアバッグ27には、押圧効果を向上させるために突部28が形成されている。また傾斜面25には、図示しない穴が形成され、傾斜面25の裏側には、指圧棒29が前記穴より凹部12内へ出没可能に配備されている。この指圧棒29は、図示しないエアバッグにより出没動作され、エアバッグの膨張により、凹部12内へ突出し、エアバッグの収縮により傾斜面25の裏側へ引っ込むものである。傾斜面25は丁度足裏の土踏まずの位置に相当し、指圧棒29の突出により土踏まずに指圧を施す。
【0019】
上記エアバッグ16、17、20、21、26、27及び指圧棒29がふくらはぎや足先にマッサージを施すマッサージ手段となる。エアバッグ16、17は、図2にのみ破線で示している。これらのマッサージ手段は凹部12に張られた布カバーにより覆われている。
【0020】
かかる構成において、フットレスト4の凹部12に脚L(足先とふくらはぎを総称していう)を入れ、マッサージ手段によりマッサージを行うが、フットレスト4が図2のように座部2に対して略垂直に降りた状態から、図3を経由して、図4のように座部2とほぼ同じ高さまで持ち上げられた状態のいずれの状態でも、足先を受ける凹部の底面22の形状が、上記の如く、足先の自然な状態に近い形状になっているので、足先を自然な状態のまま保持できる。
【0021】
特に図4のようにフットレスト4を座部2とほぼ同じ高さまで持ち上げた状態においても、足先を反り返えらせるような力は作用せず、リラックスした状態でマッサージを受けることができる。
【0022】
またマッサージを終了してフットレスト4から降りる際は、図2のようにフットレスト4を座部2に対して略垂直に降りた状態にするが、この時、かかと受面23とつま先受面24が略水平なので、かかと受面23とつま先受面24によって踏ん張りを利かすことができ、滑り防止となる。
【0023】
また足裏を押圧するマッサージ手段として、エアバッグ26、27と指圧棒29を用いているが、傾斜面25にはエアバッグを配備しにくいので、指圧棒29を配備し、足の疲労を除くのに効果的である土踏まずに、指圧棒29によってより強い刺激を与えることができるようにしている。
【0024】
以上の実施例では、凹部12には、ふくらはぎと足先の両方にマッサージを施すマッサージ手段を配備しているが、マッサージ手段は、ふくらはぎと足先のどちらか一方に対して少なくともあればよい。またかかと受面23とつま先受面24の両方にエアバッグ26、27を配備しているが、どちらか一方でもかまわないし、なくてもよい。マッサージ手段の形態は、エアバッグに限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の椅子式マッサージ機の斜視図で、フットレストの一部を切り欠いて示している。
【図2】同マッサージ機のフットレストの側面図で、座部に対して略垂直に降りた状態を示す。
【図3】同フットレストの側面図で、少し持ち上げられた状態を示す。
【図4】同フットレストの側面図で、座部の高さとほぼ同じ高さまで持ち上げられた状態を示す。
【符号の説明】
【0026】
2 座部
4 フットレスト
12 凹部
23 かかと受面
24 つま先受面
25 傾斜面
26 エアバッグ
27 エアバッグ
29 指圧棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者が腰掛ける座部の前端に、ふくらはぎ及び足先を収容するフットレストを回動自在に連結し、フットレストにはふくらはぎ及び/又は足先にマッサージを施すマッサージ手段を具えた椅子式マッサージ機において、
フットレストのかかとを受けるかかと受面とつま先を受けるつま先受面は、かかと受面をつま先受面に対して高くすると共に、かかと受面とつま先受面の間を、傾斜面としたことを特徴とする椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記傾斜面は、フットレストのふくらはぎを受ける面に対して、略100度〜130度の角度をなす傾斜面とした請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記かかと受面上とつま先受面上の少なくとも一方には、かかと又はつま先を押圧する膨張収縮するエアバグを配備し、前記傾斜面の裏側には、傾斜面より突出して足裏を刺激する指圧棒を配備してなる請求項1又は請求項2に記載の椅子式マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−86580(P2008−86580A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271369(P2006−271369)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】