説明

植物性加工食品

【課題】食品添加物や肉、卵、乳を使用せず、対象アレルゲンを極力排除した植物性加工食品を提供する。
【解決手段】粒状大豆たん白100重量部を、ショウガ汁、しょう油、水からなる混合液320〜336重量部に浸漬する第1ステップ、第1ステップで得られた浸漬物の全量を混合液の残全量と共に、粉末状大豆たん白175〜180重量部、粉砕した玉葱125〜135重量部、粉砕したキャベツ220〜230重量部、植物油25〜35重量部と、混合・乳化する第2ステップ、第2ステップで得られた混合・乳化物の全量と、粒状大豆たん白40〜50重量部、澱粉30〜35重量部、パン粉50〜60重量部、砂糖25〜35重量部、コショウ0.05〜0.15重量部とを、混合する第3ステップ、第3ステップで得られた混合物を成型し、フライする第4ステップ、を経る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料由来の加工助剤、キャリーオーバーを除く食品添加物と、肉、卵、乳などの動物性食材とを一切使用せず、対象アレルゲンを小麦と大豆のみにした植物性加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向や高齢者・食物アレルギー児の増加により、食品添加物をはじめとして肉や乳製品などの動物性食品の摂取を避け、菜食(植物性食材)を中心とした食生活を求める人々が増えてきている。
そこで食生活の改善を考えている人などから注目されているのが、大豆を加工した“大豆たん白”であり、従来から、その物理的機能面(粘弾性、保水性、食感改良特性等)や栄養機能面から様々な形態の食品に利用されている。
【0003】
中でも、粒状(組織状)の大豆たん白を、俗に「もどし」と称して一旦水あるいは調味液等に浸漬し、多孔質の組織が十分に吸水したところでこれを畜肉の増量材として、例えば、挽き肉などと混用してハンバーグやミートボールなどの調理加工食品に用いる技術が普及している。
この場合、大豆の持つ特有の風味やもどした後に得られる食感から、大豆たん白単独を畜肉同様に用いることは少なかった。
【0004】
一方、ハンバーグなどの畜肉を素材とする加工食品において、この大豆たん白を畜肉に完全に代えて用いたいわゆる豆腐ハンバーグなどの製品も普及してきている。ところが、この豆腐ハンバーグでは、生地が柔らかくなりすぎたり、つなぎ(結着)がゆるいため、グルタミン酸ソーダ等の添加物や卵(特に卵白)を使用しないと、まとまり感が出ない。
【0005】
他方、野菜の苦手な子どものために、そのような加工食品に、野菜を配合してほしいというニーズがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような現状を考慮し、原料由来の加工助剤、キャリーオーバーを除く食品添加物と、肉、卵、乳などの動物性食材とを一切使用せず、アレルギー対象原料を極力排除した植物性加工食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下を要旨とする。
(1)脂質を0.1〜3重量%、灰分を0.1〜10重量%含み、嵩密度が305〜340g/m3である粒状大豆たん白100重量部を、ショウガ汁、しょう油、水からなる混合液320〜336重量部に浸漬する第1ステップ、
第1ステップで得られた浸漬物の全量を混合液の残全量(以下、浸漬物と混合液の混合体を「混合物」と言うこともある)と共に、脂質を含まず、嵩密度が265〜275g/m3である粉末状大豆たん白175〜180重量部、粉砕した玉葱125〜135重量部、粉砕したキャベツ220〜230重量部、植物油25〜35重量部とを、混合・乳化する第2ステップ、
第2ステップで得られた混合・乳化物と、脂質を0.1〜3重量%、灰分を0.1〜10重量%含み、嵩密度280〜310g/m3である粒状大豆たん白40〜50重量部、澱粉30〜35重量部、パン粉50〜60重量部、砂糖25〜35重量部、コショウ0.05〜0.15重量部とを、混合する第3ステップ、
第3ステップで得られた混合物を成型し、フライする第4ステップ、
を経ることを特徴とする植物性加工食品。
(2)ショウガ汁、しょう油、水からなる混合液の配合比が重量比で、1:5:8〜1:6:60であることを特徴とする前記(1)に記載の植物性加工食品。
(3)小麦と大豆以外のアレルギー対象原料を排除した、言い換えれば肉、卵、乳などの動物性食材を一切使用しないことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の植物性加工食品。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明の植物性加工食品によれば、次のような効果を得ることができる。
(あ)原料由来の加工助剤、キャリーオーバーを除く食品添加物と、肉、卵、乳などの動物性食品とを一切使用しないため、それら食品に対するアレルギーを持つ人、健康への関心が高い人、高齢者、ベジタリアンなどが摂取するのに好適である。
(い)完全な植物性食品であるにも拘わらず、肉の食感を楽しむこともできる。
【0009】
(う)キャベツや人参などを粉砕して配合することができるため、野菜が苦手な子どもにも無理なく野菜を摂取させることができる。
【0010】
(え)現行の混合機や成型機、真空充填機をそのまま使用することができる。
(お)肉、卵、乳などの動物性食材が使用されないので、原材料の衛生(細菌)コントロールが容易である。近年流行している鳥インフルエンザなどの影響を受けにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の植物性加工食品が経る4つのステップを説明する工程図である。
【0012】
図1において、第1ステップでは、脂質を0.1〜3重量%、灰分を0.1〜10重量%含み、嵩密度が305〜340g/m3である粒状大豆たん白100重量部を、ショウガ汁、しょう油、水からなる混合液320〜336重量部に浸漬する。
ショウガ汁、しょう油、水からなる混合液は、少なすぎれば、粒状大豆たん白の組織が十分に吸水することができず、高硬度の部分が残る虞があり、多すぎると、出来上がりの生地が水分過多となり、後述の第4ステップ(成型、フライ)に問題が生じやすい。
なお、上記混合液は、高温すぎると大豆たん白が吸水しすぎてしまい、低温すぎると吸水が妨げられるため、常温で扱うことが好ましい。
【0013】
混合液への浸漬時間については、混合液の温度にもよるが、特に限定されず、粒状大豆たん白の組織が十分に吸水するまで行えばよく、常温下では通常20〜40分程度である。
【0014】
第1ステップで用いられる粒状大豆たん白は、脂質を0.1〜3重量%、灰分を0.1〜10重量%含み、嵩密度が305〜340g/m3であって、肉の食感(弾力感・歯応え)をもたらすものが好適である。例えば、塊状で、粒径が、JIS規格840μm〜9.5mm程度を有するものをそのまま用いてもよい。
このような脂質や嵩密度を有する大豆たん白を使用せずに、粉末状やフレーク状の大豆たん白のみを使用したものでは、肉の食感が得られず、好ましくない。なお、粉末状だけでは、水産ねり製品の食感に近くなり、生地が過度に柔らかくなってしまう。また、フレーク状だけでは、結着されない。
特に、嵩密度が大きすぎるものでは、他の食材との混合が不十分となって、食品に成型加工することが困難となるのみならず、食感が良質な肉様の食感からかけ離れ、しかも大豆の食味が強くなり、逆に嵩密度が小さすぎるものでは、食品への成型加工や食味には問題ないものの、良質な肉様の食感を得ることができなくなる。
【0015】
第1ステップにおいて、上記大豆たん白を、ショウガ汁、しょう油、水からなる混合液に浸漬することで、水のみに浸漬した場合に比べて、風味付けがされ、大豆臭のマスキング効果がもたらされる。
ショウガ汁としては、生のショウガを摩り下ろしたペーストを濾したもの等を用いる。
しょう油としては、一般に市販されているものをそのまま用いればよいが、大豆臭のマスキング効果が強い濃口しょう油が好適である。
水については、食品衛生法や水道法で定められている基準を満たすものであれば、特に限定されず、通常の食品工場で使用されるものを用いることができる。
【0016】
本発明では、ショウガ汁、しょう油、水からなる混合液の配合比が重量比で、1:5:8〜1:6:60であることが好ましい。
混合液の全量中、水に対するショウガ汁としょう油との合算の比率が上記範囲内を外れると、生地が水っぽくなり、第4ステップにおけるフライが良好に達成できなかったり、大豆臭のマスキングが不十分になったりして、好ましくなく、またこの場合のショウガ汁としょう油との比率(重量比率)は、ショウガ汁がしょう油より多いと、大豆臭のマスキング効果は高いものの、辛味感が強くなりすぎ、嗜好性の強い食品となってしまい、子供や年寄りにも好まれる食品とはなりがたい。
【0017】
第2ステップでは、第1ステップで得られた混合物(浸漬物と混合液)の全量と、脂質を含まず、嵩密度が265〜275g/m3である粉末状大豆たん白175〜180重量部、粉砕した玉葱125〜135重量部、粉砕したキャベツ220〜230重量部、植物油25〜35重量部と、混合・乳化する。
本発明では、通常、生地の“つなぎ”の役割を果たす卵白を一切使用しないため、この混合・乳化する工程が重要である。
本発明における“乳化”とは、生地に粘りが出て結着してくる状態、言い換えれば手で団子を作ってみて形が崩れなくなる程度の状態を言い、この乳化状態を呈する物を使用することにより、アレルギー対象原料である動物性食材を一切使用せずに、良好な成型物とすることができ、肉に近い食感となる。
したがって、この工程における混合・乳化時間は、混合機の性能により種々異なるが、上記の乳化状態が得られるまでの時間と言える。また、混合機に入れる(第1ステップで得られた混合物に第2ステップにおける食材を加える)順番は、特に限定されない。
【0018】
粉末状大豆たん白は、少なすぎれば、出来上がり生地において十分な保水性や乳化安定性が得られず、多すぎても、この効果は飽和するばかりか、却って生地が粉っぽく固くなり、食感や食味が低下する可能性がある。
粉砕した玉葱とキャベツは、第1ステップで得られた混合物と、粉末状大豆たん白とを混合・乳化するにあたり、水分調整(補給)の機能を果たす。少なすぎても、多すぎても、その機能が十分に得られない。
植物油は、少なすぎれば、乳化しにくくなり(すなわち、生地の粘着性が十分に得られず、結着しにくくなり)後述の第4ステップにおける成型やフライが困難になるうえ、出来あがった生地が脆いものとなる。多すぎても、まとまりが得られず、生地全体が油っぽくなるうえ、高カロリーになってしまう。
【0019】
第2ステップで用いられる粉末状大豆たん白は、本発明において、“つなぎ”としての機能をもつ。この粉末状大豆たん白としては、脂質を含まず、嵩密度が265〜275g/m3であれば特に限定されないが、嵩密度は、小さすぎても大きすぎても、上記の乳化が良好に進行せず、“つなぎ”として重要な役割を果たし得る乳化状態を得ることができなくなるため、上記範囲内のものを使用することが本発明において極めて重要である。
このような特性を有する粉末状大豆たん白としては、粉末状大豆たん白として市販されているものをそのまま用いればよい。
【0020】
第2ステップにおいて、第1ステップで得られた混合物(浸漬物と混合液)と、上記粉末状大豆たん白とを、混合・乳化する際に、粉砕した玉葱、粉砕したキャベツ、植物油を添加することで、乳化が促進される。
粉砕した玉葱としては、小さすぎると、玉葱の食感が得られず、水分が多量に出てしまい、乳化後の生地が水っぽくなる。大きすぎると、水分が充分に出ず、生地の乳化が阻害されてしまうので、例えば、皮をむいた生の玉葱をダイスカット機で、粒径3mm程度に角切りしたものを用いればよい。
粉砕したキャベツとしては、小さすぎると、玉葱同様、水分が多量に出てしまい、乳化後の生地が水っぽくなってしまう。大きすぎると、水分が充分に出ず、生地の乳化が阻害されてしまうので、例えば、生のキャベツをみじん切り機で、粒径3〜8mm程度に粉砕したものが好適である。なお、これら玉葱とキャベツについては、食感、水分量、栄養の面から、生野菜を使用することが好ましい。
植物油としては、生産元情報等の原材料履歴を食品購入者に提供できるものであれば、特に限定されず、例えば、菜種油、パーム油、ヒマシ油、大豆油、オリーブ油、ゴマ油、グレープシード油、トウモロコシ油、落花生油、ひまわり油、ヤシ油、ココナッツ油などが挙げられ、中でも、臭いと風味にクセが無い、菜種油が好ましい。
【0021】
第3ステップでは、第2ステップで得られた混合・乳化物の全量と、脂質を0.1〜3重量%、灰分を0.1〜10重量%含み、嵩密度280〜310g/m3である粒状大豆たん白40〜50重量部、澱粉30〜35重量部、パン粉50〜60重量部、砂糖25〜35重量部、コショウ0.05〜0.15重量部とを、混合する。
第3ステップにおける混合時間については、混合機の性能によるが、均一な混合状態になるまで行えばよい。このとき、混合機に入れる(第2ステップで得られた混合物に加える)順番は、特に限定されない。
【0022】
第3ステップで用いられる粒状大豆たん白とパン粉の主要な役割は、共に“結着(つなぎ)”である。これらの配合が、少なすぎれば、第2ステップで得られた混合物と、第3ステップにて添加する他の材料とが、結着しにくかったり、あるいは均一な混合状態となりにくくなり、多すぎても、この効果が飽和するのみならず、大豆の食味や臭いが強くなりすぎたり、粉っぽさが強くなる、生地が過度に固くなる、などの不具合が生じる。
澱粉は、少なすぎれば、生地の結着(固さ)が弱まり、多すぎると、生地が過度に固くなってしまう。
砂糖とコショウは、少なすぎれば、味付け、大豆臭のマスキング効果が発揮されず、多すぎると、過度に甘かったり、スパイシーなものになってしまう。
【0023】
第3ステップで用いられる粒状大豆たん白は、脂質を0.1〜3重量%、灰分を0.1〜10重量%含み、嵩密度が280〜310g/m3であって、レシチンなどの添加物を含まないものであれば特に限定されないが、嵩密度は、大きすぎれば、他の食材との混合が不十分となって、食感や食味を損なう虞があり、小さすぎると、肉の様な食感が得られず、“結着(つなぎ)”の役割を果たさないため、上記範囲内のものを使用することが重要である。
また、本発明において、この第3ステップで使用される粒状大豆たん白は、フレーク状が好ましく、例えば、粒径が、JIS規格840μm〜6730μm程度を有するものをそのまま用いればよい(ちなみに、第1ステップで好適に使用される塊状や丸状のものでは、結着(つなぎ)力が弱い傾向がある)。
【0024】
澱粉は、第2ステップにおける生地の乳化作用を遅らせるため、第3ステップで添加することが重要である。この澱粉としては、例えば、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉などが挙げられるが、澱粉の有する吸水性と結着力を考慮すると馬鈴薯澱粉が好ましい。
パン粉については、完全な植物性加工食品とするために、乳成分由来の原料が一切入っていないものを使用する。パン粉の粒度は見た目や結着力に影響し、パン粉の乾燥度は生地の水分量を左右することを考慮すると、粒度が4〜5mm程度の乾燥パン粉が好適である。
【0025】
砂糖としては、上白糖、グラニュー糖、白双糖、三温糖、中双糖、和三盆、黒砂糖などを用いればよいが、中でも、風味にクセがなく、入手し易いグラニュー糖が好ましい。
コショウとしては、黒コショウ、白コショウ、それらを混ぜ合わせたミックスコショウなどを用いればよいが、中でも、粉末状の白コショウが好ましい。
【0026】
本発明では、このような第3ステップにおいて、人参、ジャガイモ、ゴボウ、トウモロコシなどの野菜を60〜65重量部混合してもよい。
これらの野菜については、大きすぎると、生地からこぼれてしまったり野菜のもつ風味が強すぎてしまうので、前述のダイスカット機などで粒径3mm程度に角切りしたものが好適である。
【0027】
以上のような第3ステップで得た生地は、冷えると粘着性がなくなるので、冷蔵庫などにて保管することなく、すぐに第4ステップに移行することが好ましい。
【0028】
第4ステップでは、第3ステップで得られた混合物を成型し、フライ(油中加熱)する。
例えば、第3ステップで得られた混合物を、成型機などを用いて、ハンバーグやミートボールなどの形に成型した後、140〜160℃程度の前述したような植物油の中で、中心温度が85℃以上になるように揚げればよい。
本発明の植物性加工食品では、その結着レベルを考慮すると、蒸し加熱(スチーム)や焼き加熱、茹で加熱(ボイル)は、好ましくない。
【0029】
第4ステップの終了後、このようにして得られた完全な植物性加工食品を、ソースと共に充填してもよい。このとき、大豆たん白の組織が吸水しにくいソースが好適に用いられる。
【0030】
以上のようにして得られた本発明の植物性加工食品は、現在流通している豆腐ハンバーグなどとは異なり、原料由来の加工助剤、キャリーオーバーを除く食品添加物と、肉、卵、乳などの動物性食材とを一切使用していない完全植物性であって、(しょう油、パン粉、大豆たん白に含まれる)小麦と大豆以外のアレルゲンが排除されたものである。
【0031】
(実施例1)
図1に示すフローに沿って、ハンバーグを製造した。
【0032】
第1ステップ:
粒状大豆たん白(脂質を1重量%、灰分を6重量%含み、嵩密度が約320g/m3)0.72kgを、ショウガ汁0.04kg、しょう油0.2kg、水2.1kgからなる混合液に、30分間浸漬した。
【0033】
第2ステップ:
第1ステップで得られた浸漬物の全量を混合液の全量と共に、内羽がスクリュータイプの混合機に投入し、そこに、粉末状大豆たん白(脂質を含まず、嵩密度が約270g/m3)1.28kg、粒径3mm程度に粉砕した玉葱0.94kg、粒径5〜6mm程度に粉砕したキャベツ1.62kg、菜種油0.22kgを入れ、10分間混合攪拌し、乳化させた。
【0034】
第3ステップ:
第2ステップで乳化させた混合物の全量に、粒状大豆たん白(脂質を1重量%、灰分を6重量%含み、嵩密度が約300g/m3)0.33kg、粒径3mm程度に粉砕した人参0.47kg、馬鈴薯澱粉0.24kg、乳成分が排除されたパン粉(共栄フード社製“FE35A”)0.4kg、グラニュー糖0.22kg、白コショウ0.0008kgを入れ、2分間混合した。
【0035】
第4ステップ:
第3ステップで得られた混合物を、成型機にて1ヶあたり70gのハンバーグ状に成型し、150℃前後の菜種油で4〜5分間フライし、ハンバーグを製造した。
【0036】
(比較例1)
従来のチキンハンバーグ(肉、卵、乳を排除していない)を、図2に沿って製造した。
【0037】
挽いた鶏肉100kgと共に、実施例1と同様に粉砕した玉葱10kg、卵白(生未殺菌)6kg、ウスターソース2kg、乳成分が排除されていない市販の赤パン粉3kg、コショウ0.06kg、馬鈴薯澱粉1.2kg、食塩(“天日塩”)0.45kg、グラニュー糖1.2kgを、実施例1で用いた混合機に投入し、1分間混合した。
得られた混合物を、実施例1と同様に、ハンバーグ状に成型・フライし、チキンハンバーグを製造した。
【0038】
(比較例2)
他社ホームページ上のレシピに沿って、豆腐ハンバーグを下記のように製造した。
挽いた豚肉8kgと共に、卵(生未殺菌)0.6kg、市販の木綿豆腐3kg、食塩(“天日塩”)0.05kg、日本酒0.3kgを、実施例1で用いた混合機に投入し、1分間混合した。
得られた混合物を、実施例1と同様に、ハンバーグ状に成型・フライし、豆腐ハンバーグを製造した。
【0039】
実施例1で得られたハンバーグは、比較例1、2で使用されるような肉、卵、(パン粉由来の)乳が排除されているにも拘わらず、ハンバーグ状にきちんと成型され、かつ肉様の食感を感じることができ、食味も良かった。
加えて、実施例1のハンバーグではキャベツや人参を摂取でき、該ハンバーグをカットしてみたところ、キャベツや人参の粉砕片を素材そのままの色で視認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の植物性加工食品は、原料由来の加工助剤、キャリーオーバーを除く食品添加物と、肉、卵、乳などの動物性食品とを一切使用しないにも拘わらず、肉の食感を楽しむこともできる。
ハンバーグ、ミートボール、ウインナ−ソーセージ、餃子、シュウマイ、小龍包、コロッケ、ロールキャベツなどの加工食品における蓄肉の代替はもとより、さつまあげ、魚肉ソーセージなどの加工食品における魚肉の代替としても用いることができる。
従って、肉、卵、乳などの動物性食品に対するアレルギーを持つ人、健康への関心が高い人、高齢者、ベジタリアンなどが摂取するのに好適であり、例えば、精進料理の具材として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の植物性加工食品が経る4つのステップを説明する工程図である。
【図2】従来の畜肉加工食品の製造を説明する工程図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質を0.1〜3重量%、灰分を0.1〜10重量%含み、嵩密度が305〜340g/m3である粒状大豆たん白100重量部を、ショウガ汁、しょう油、水からなる混合液320〜336重量部に浸漬する第1ステップ、
第1ステップで得られた浸漬物の全量を混合液の残全量と共に、
脂質を含まず、嵩密度が265〜275g/m3である粉末状大豆たん白175〜180重量部、粉砕した玉葱125〜135重量部、粉砕したキャベツ220〜230重量部、植物油25〜35重量部と、混合・乳化する第2ステップ、
第2ステップで得られた混合・乳化物の全量と、
脂質を0.1〜3重量%、灰分を0.1〜10重量%含み、嵩密度280〜310g/m3である粒状大豆たん白40〜50重量部、澱粉30〜35重量部、パン粉50〜60重量部、砂糖25〜35重量部、コショウ0.05〜0.15重量部とを、混合する第3ステップ、
第3ステップで得られた混合物を成型し、フライする第4ステップ、
を経ることを特徴とする植物性加工食品。
【請求項2】
ショウガ汁、しょう油、水からなる混合液の配合比が重量比で、1:5:8〜1:6:60であることを特徴とする請求項1に記載の植物性加工食品。
【請求項3】
小麦と大豆以外のアレルギー対象原料を排除したことを特徴とする請求項1または2に記載の植物性加工食品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−11207(P2009−11207A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174941(P2007−174941)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(391043413)石井食品株式会社 (8)
【Fターム(参考)】