椎体終板を連結する植込み片およびその方法
本発明の実施形態は、植込み片と、椎骨の1つまたは複数の終板などの骨にデバイスを連結する方法とを含む。デバイスは、椎骨の植込み片中のアパーチャを通してデバイスの一部分を延ばし、1つまたは複数の椎骨内で植込み片を拡張させることによって、1つまたは複数の椎骨を連結する機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、拡張させるために充填材を使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
椎体の終板同士を連結することは、少なくとも一部の脊椎固定術、および少なくとも一部の椎体置換術で有用である。脊椎固定術は、適切な椎骨の空間を再建し、神経への圧力、およびそれにより生じる痛みを緩和するのに有効なことが多い。また、1つもしくは複数の椎骨または椎骨の一部分を、様々な病理に応じてヒトの脊柱から除去することが必要な場合がある。例えば、椎骨のうちの1つまたは複数が、腫瘍の成長により損傷を受けることもあり、外傷または他の事象によって損傷を受けることもある。椎骨の除去または切除は、脊椎切除術と称されることがある。椎骨の概して前方部分または椎体の切除は、椎体切除術と称されることがある。通常、植込み片が、椎体切除術または脊椎切除術の一部として、脊柱を構造的に支持するように椎骨の残りの部分の間に配置される。これは、一般に、椎体置換術と称されることがある。
【0002】
終板同士の連結は、ねじ、スパイク、歯、キール、終板中への貫入、ならびに様々な他の留め具および技法の助けで、当技術分野で従来実現されている。しかし、従来技術は、周囲の組織に対する最小限の分裂および椎体終板の最小限の外科的操作を伴って送達されることがある、植込み片と椎体終板との間の境界面にわたる効果的な固定を設けるという解決策を与えることに限られている。さらに、状況によっては、植込み片がそれに連結される椎骨内部に安定化材料を加えることや、椎骨と相互作用するために安定化機構または接着材料を提供することが有利な場合がある。
【0003】
骨と植込み片との間の連結は、脚および腕または他の骨など、骨または関節もしくは付属部分の一部分を置換する際に有効な場合もある。例には、大腿骨、脛骨、腓骨、上腕骨、橈骨、尺骨、指骨、鎖骨、および肋骨のうちいずれかが含まれるが、それらに限定されるものではない。本明細書で説明し特許請求する機構の使用は、こうした骨またはその付属部分の治療または修復に等しく応用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片である。植込み片は、椎間構造と、少なくとも1つの椎体終板に貫入するように構成されている、椎間構造から延在するノズルとを含むことができる。いくつかの実施形態のノズルは、椎間構造から離れる方に延在する1つまたは複数の側面と、その1つまたは複数の側面の遠位端の近くの開口部とを含む。開口部は、少なくとも1つの椎体終板を通り椎骨中に開口するように構成されている。実施形態は、ノズルと流体連絡している、椎間構造中のポートを含む。ポートは、充填材を受容するためのものである。
【0005】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片である。実施形態は、バッグを含む椎間構造を含むことができ、そのバッグは、非拡張状態のときは少なくとも1つの椎体終板の隣にあり、拡張状態のときは椎体終板中のアパーチャを通って少なくとも部分的に椎体終板に貫入するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッグは、椎骨内では、アパーチャの横方向の寸法よりも大きい横方向の寸法に拡張するように構成されている。植込み片は、拡張状態のときに椎骨間の空間で横方向に拡張するように構成されている膜を含むこともできる。バッグおよび膜は、充填材源と流体連絡していてよい。
【0006】
本発明のさらに別の実施形態は、脊柱を安定させる方法である。その方法は、アパーチャを椎体終板中に形成するステップと、非拡張状態のバッグを備える植込み片を、椎体終板のアパーチャに隣接して配置するステップと、充填材をバッグ中に導入して、バッグを椎体終板のアパーチャを通して椎骨中で拡張させるステップとを含むことができる。充填材を導入する動作により、椎体終板中のアパーチャの横方向の寸法よりも大きい横方向の寸法までバッグを横方向に拡張させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】椎体間の植込み片の実施形態の断面図である。
【図2】植込み片の実施形態の部分斜視図である。
【図3】植込み片の実施形態の斜視図である。
【図4】植込み片の実施形態の端部の斜視図である。
【図5】植込み片の実施形態の端部の断面図である。
【図6】植込み片の実施形態の端部の断面図である。
【図7】植込み片の実施形態の部分斜視図である。
【図8】図7の植込み片のノズルの斜視図である。
【図9】椎体間の植込み片の実施形態の断面図である。
【図10】植込み片の実施形態の斜視図である。
【図11】植込み片の実施形態の斜視図である。
【図12】非拡張状態の植込み片実施形態の断面図である。
【図13】拡張状態の図12の植込み片の断面図である。
【図14】図示の準備器具の作用を受けている椎骨の断面図である。
【図15】図示の準備器具の作用を受けている椎骨の断面図である。
【図16】準備器具と組み合わせた、植込み片の実施形態の断面図である。
【図17】準備器具と組み合わせた、植込み片の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に、上位椎骨VSと下位椎骨VIとの間にある植込み片100を示す。図示の植込み片100は、上位の椎体終板9および下位の椎体終板8に隣接している。植込み片100は椎間構造1および2つのノズル2を含む。椎間構造1中のポート7が、椎間構造1を通して、具体的には膜5のうちのノズル2およびポート7に接続する部分を通して、ノズル2と流体連絡している状態で示されている。ポート7を使用して、植込み片100中への充填材1000を受容することができる。
【0009】
図示の椎間構造1は椎体置換デバイスである。しかし、他の実施形態では、椎間構造1は脊椎円板置換デバイスでよい。脊椎円板置換デバイスは、脊椎円板の全てまたはその一部分を置換することができる。脊椎円板置換デバイスは剛性でも可撓性でもよい。脊椎円板置換デバイスは、動的なデバイスとして機能することもでき、固定術のための間隔保持デバイスとして働くこともできる。いくつかの実施形態では、椎間構造1は、複数の脊椎円板および椎体の置換物であってよい。椎間構造の非限定的な例を図1〜図3、図7、図9〜図13、図16、および図17に示す。図1、図3、および図9〜図11に、拡張状態で安定させるために充填材を受けるように構成された膜を少なくとも部分的に示す。図2、図7、および図11〜図13に、少なくとも部分的に入れ子式の構成要素から構成された椎間構造を示す。高さが固定されていても拡張可能であっても椎骨間の空間を事実上満たす他の任意の椎間構造が、本発明の実施形態の下で企図される。
【0010】
ノズル2、22、32、42、52、62、72、92、102、162、および172の様々な実施形態を、それぞれ図1〜図10、図16、および図17に示す。例えば、図1に示すノズル2は、椎間構造1から離れる方に延在し、上位端部にある上位椎骨の植込み片9および下位端部にある下位椎骨の植込み片8を貫通するように構成されている。いくつかの実施形態では、ノズルは、ジャムシディ針(jam−sheedy needle)などの比較的細い部材でもよく、本明細書で具体的に示すノズルよりも細い他の部材でもよい。ノズル2は、椎間構造1から離れる方に延在する側面3を含む。いくつかの実施形態の1つまたは複数の側面3は、それらの遠位端の近くに開口部4を有し、その開口部4は、図1に示すように椎体終板8、9を通して開口するように構成されてよい。
【0011】
1つまたは複数の側面3、23、33、43、53、63、73、93、103、163、および173は、円形の断面を形成する連続した側面でもよく、対称または非対称の多角形の断面形状を形成する任意の数の側面でもよい。いくつかの実施形態の1つまたは複数の側面は、断面形状の一部分のみを形成することもでき、すなわち、その全長に沿って連続した断面を形成しなくてよい。
【0012】
図2に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片120を示す。椎間構造21がノズル22と共に示されており、そのノズル22は、椎間構造21に関して離れる方に延在する側面23を有する。図示の椎間構造21は、椎体の少なくとも一部分を置換するようにサイズ設定される入れ子式の本体である。図示の側面23は、円形の断面を形成し、さらに、凸形の外壁を有する。ノズル22は、椎間構造21と接続するその近位端で概して幅広の構造を、その遠位端26でより細い構造を有する。この形状は、いくつかの実施形態では、椎体終板中への挿入を助けるのに役立つことができ、椎体終板への貫入を助けることができる。ノズル22は、側面23の遠位端26の近くに開口部24を有する。いくつかの実施形態では、開口部24は、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル22は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように図2に示すように鋭利な遠位端26を有してもよい。図2にさらに、椎間構造21中のポート27を示し、そのポート27は、ノズル22と流体連絡している。いくつかの実施形態では、ポート27は、充填材1000を受容するように構成されている。
【0013】
図3に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片130を示す。椎間構造31がノズル32と共に示されており、そのノズル32は、椎間構造31に関して離れる方に延在する側面33を有する。図示の椎間構造31は、収縮した状態、すなわち非拡張状態にある、拡張可能な本体である。ある体積を画定する膜35と、その膜に接続され、その膜35の体積内に実質的に収容された、直線的に拡張可能な構成要素13とが示されている。直線的に拡張可能な図示の構成要素13は、拡張可能なベローズ機構である。直線的に拡張可能な構成要素13は、いくつかの実施形態では、横方向に剛性でもよい。直線的に拡張可能な図示の構成要素13は、椎間構造31を直線的に拡張させるかまたは椎間構造31の直線的な拡張を維持する流体を受容するように構成されている。図示の実施形態では、流体を、ポート37を通して導入することができる。その流体は、単に拡張および保持のためのものでもよく、充填材1000の構成成分であってもよい。いくつかの実施形態では、ポート37は、充填材1000を受容するように構成されている。流体は、ペースト、ゲル、液体、懸濁液、粒状混合物、または同様の物質でよい。本明細書に記載するような物質は、後に流体でない状態に固化または硬化しても流体と見なされる。直線的に拡張可能な構成要素13および膜35の両方が、図では直線的に非拡張である。ポート37を使用して、椎間構造31を操るか、または効果的に展開できるある位置に植込み片を案内することができる。椎間構造31中のポート37はノズル32と流体連絡している。図示のノズル32は、直線的に拡張可能な構成要素13の内部に開口している。図3に示す側面33は、円形の断面を形成し、円錐台形のノズル32を形成するように先細りしている。ノズル32はそれぞれ、椎間構造31と接続するその近位端で概して幅広の構造を、その遠位端36でより細い構造を有する。この形状は、いくつかの実施形態では、椎体終板中への挿入を助けるのに役立つことができ、椎体終板への貫入を助けることができる。ノズル32は、側面33の遠位端36の近くに開口部34を有する。いくつかの実施形態では、開口部34は、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル32は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端36を有してもよい。
【0014】
図4〜図6に、ノズル42、52、および62の実施形態を示す。図示のノズルはそれぞれ、開示した任意の機構、またはそうでない場合は、これらに限定されないが膜、入れ子式の本体、またはベローズ機構など、機能的な椎間構造41、51、61と共に使用することができる。図4のノズル42は、椎間構造41に関して離れる方に延在する側面43を有する。図示の側面43は、円形の断面を形成し、円錐台形ノズル42を形成するように先細りしている。ノズル42は、椎間構造41と接続するその近位端で概して幅広の構造を、その遠位端46でより細い構造を有する。この形状は、いくつかの実施形態では、椎体終板中への挿入を助けるのに役立つことができ、椎体終板への貫入を助けることができる。ノズル42は、側面43の遠位端46の近くに開口部44を3つ有する。いくつかの実施形態では、開口部44は、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。いくつかの実施形態では、開口部44を複数設けることにより、ノズル42に構造強度を追加しながら、流体の流れのための領域を増大可能にすることができる。ノズル42は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端46を有してもよい。いくつかの実施形態は、椎間構造41中にポートを含むこともでき、そのポートはノズル42と流体連絡している。いくつかの実施形態では、そのポートは、充填材1000を受容するように構成されている。
【0015】
図5のノズル52は、椎間構造51に関して離れる方に延在する側面53を有する。図示の側面53は円形の断面を形成する。図示のノズル52は、側面53のうちの少なくとも1つから延在する突起57を含む。それらの図示の突起57は、ノズル52がその中に挿入されている椎体終板から離れる方にノズル52が移動することに抵抗するように構成されている。それらの突起は、限定されるものではないが、歯、刺、隆起部、またはスパイクなど、個々の構成要素でよい。いくつかの実施形態の突起は、ノズル52の外周に沿って連続したまたはほぼ連続したリング、ワッシャ、または他のデバイスでもよい。ノズル52は、側面53の遠位端56の近くに開口部54を有する。いくつかの実施形態では、開口部54は、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル52は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端56を有してもよい。いくつかの実施形態は、椎間構造51中のポートを含むこともでき、そのポートはノズル52と流体連絡している。いくつかの実施形態では、ポートは、充填材1000を受容するように構成されている。
【0016】
図6のノズル62は、椎間構造61に関して離れる方に延在する側面63を有する。図示の側面63は円形の断面を形成する。シール67が、ノズル62と椎体終板との間に嵌まるように、ある位置にノズル62に隣接して示されている。シール67には、リング、ガスケット、ワッシャ、充填物、パテ、またはノズル62と椎体終板との間の充填材の流れを部分的にまたは完全に制限する他の構造が含まれ得るが、それらに限定されるものではない。シール67は、ノズル62および椎体終板の形状に順応する柔らかい材料として機能することもでき、ノズル62および椎体終板のうちの一方または両方に引っ込むかもしくは貫入することによって流れを制限することもできる。ノズル62は、側面63の遠位端66の近くに開口部64を有する。開口部64は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル62は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端66を有してもよい。いくつかの実施形態は、椎間構造61中にポートを含むこともでき、そのポートはノズル62と流体連絡している。いくつかの実施形態では、そのポートは、充填材1000を受容するように構成されている。
【0017】
図7および図8は、共に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片170を示す。椎間構造71が3つのノズル72と共に示されており、それらのノズル72は、椎間構造71に関して離れる方に延在する側面73を有する。図示の椎間構造71は、椎体のうちの少なくとも一部分を置換するようにサイズ設定される入れ子式の本体である。図示の側面73は円形の断面を形成する。ノズル72は、図8により詳細に示されており、その近位端で椎間構造71に接続されている。図示のノズル72は、ノズル72の遠位端を覆うキャップ75と、その遠位端の近くでノズル72の側面73中に開口部74も含む。いくつかの実施形態では、図8に示すように、キャップ75は鋭利な遠位端76を有する。鋭利な遠位端76は、いくつかの実施形態では、椎体終板中への挿入を助けるのに役立つことができ、椎体終板への貫入を助けることができる。いくつかの実施形態では、開口部74は、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル72は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に先細りしてもよい。図7にさらに、椎間構造71中のポート77を示し、そのポート77はノズル72と流体連絡している。いくつかの実施形態では、ポート77は、充填材1000を受容するように構成されている。
【0018】
図9に、少なくとも1つの椎体終板8、9に隣接して配置される植込み片190を示す。椎間構造91がノズル92と共に示されており、そのノズル92は、植込み片190が上位椎骨VSと下位椎骨VIとの間の適位置にあるときに椎間構造91に関して離れる方に延在する側面93を有する。図示の椎間構造91は膜95であり、その膜95は、スロット98を有する端部の部材99を含み、そのスロット98は、植込み片190が完全に組み立てられたときにノズル92の近位端と接続する。植込み片190は、椎体の少なくとも一部分を置換するようにサイズ設定されている。図9では、植込み片190は、椎間構造91がノズル92に組み付けられる前の状態が示されている。いくつかの実施形態では、最初に、ノズル92を上位椎骨VSおよび下位椎骨VIに別々に取り付ける。次いで、端部の部材99をノズル92に連結し、その後膜95を充填する。他の実施形態では、部分的に組み立てられた植込み片190または完全に組み立てられた植込み片190を、上位椎骨VSおよび下位椎骨VIに取付け、その後、膜95の充填を完了することができる。図示の側面93は円形の断面を形成する。側面93は、ノズル92とそれぞれの椎体終板8、9との間で固定して取り付けるのを助けるように、ねじ山、歯、または他の突起を含むこともできる。ノズル92は、椎間構造91と接続するそれらの近位端で概して幅広の構造を、それらの遠位端96でより細い構造を有する。この形状は、いくつかの実施形態では、椎体終板中への挿入を助けるのに役立つことができ、椎体終板への貫入を助けることができる。ノズル92は、側面93の遠位端96の近くに開口部94を有する。いくつかの実施形態では、開口部94は、少なくとも1つの椎体終板8、9を通して開口するように構成されている。植込み片190が組み立てられると、開口部94は、端部の部材の開口部104と位置合わせされて、膜95内から椎体中に材料が通ることが可能になる。ノズル92は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、図9に示すように、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端96を有することができる。図9にさらに、椎間構造91中のポート97を示し、そのポート97は、ノズル92と流体連絡している。いくつかの実施形態では、ポート97は、充填材1000を受容するように構成されている。
【0019】
図10に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片200を示す。椎間構造101がノズル102と共に示されており、そのノズル102は、椎間構造101に関して離れる方に延在する側面103を有する。図示の椎間構造101は、拡張状態にある拡張可能な本体である。図示の椎間構造101は、横方向に剛性の構成要素14および膜105を含む。図示の横方向に剛性の構成要素14はベローズである。横方向に剛性の構成要素3の長手方向軸、すなわち直線的な拡張方向Lが図示されている。横方向に剛性の構成要素14の拡張を、流体を横方向に剛性の構成要素14中に導入することによって実現することができ、構成要素がそれから作製される材料の弾力性、内部もしくは外部の付勢デバイス、または拡張させるために効果的な他の任意のデバイスから行うことができる。横方向に剛性の構成要素14の実施形態の断面形状は凹凸形である。しかし、他の実施形態では、横方向に剛性の構成要素14の断面形状は、限定されるものではないが、概して円形、楕円形、矩形、三角形、多角形、またはこれらの形状の組み合わせなど、任意の機能的な形状でよい。図示のノズル102は、横方向に剛性の構成要素14の内部に開口している。ノズル102の開口した遠位端から延在するバッグ15が示されている。その図示のバッグ15は、横方向に剛性の構成要素14の内部と流体連絡している。いくつかの実施形態のノズル102およびバッグ15は、横方向に剛性の構成要素14から隣接する椎骨の終板中に延在するように構成されている。バッグ15は、横方向の剛性の構成要素14を隣接する椎骨に取り付けるのを助けるように、流動可能な材料などの材料で充填することができる。バッグ15は、さらに椎骨に対する治療効果を有することができる。例えば、限定されるものではないが、バッグ15は、単独でまたはノズル102と組み合わせて、椎骨を安定させるのを助けることができる。バッグ15を膨張させるのに使用する材料は、固化可能な材料でもよく、バッグ15を拡張させるのに使用されるが適位置で固化しない材料でもよい。バッグ15は、拡張したときに、バッグ15を永続的に充填するかまたは椎骨に対してさらに治療効果を有する追加の材料を受容することもできる。治療効果は、とりわけ、化学的効果もしくは薬剤の効果を用いること、または物理的特性もしくは熱特性によって得ることができる。バッグ15中で使用するための材料いずれかは、以下により詳細に説明するように、充填材1000であってもよい。ノズル102またはバッグ15に加えて、横方向に剛性の構成要素14の実施形態の端部は、歯、スパイク、隆起部、窪み、粗面、ローレット、または椎骨と横方向に剛性の構成要素15との間の固定を強化するための他の任意のデバイスを含むことができる。
【0020】
図10では、膜105が拡張状態で示されている。膜105は、ある体積を画定し、横方向に剛性の構成要素14に隣接して横方向に接続された状態で示されている。図示の膜105および横方向に剛性の構成要素14は互いに隣接しており、本明細書で定義されるように、膜105によって画定された体積が横方向に剛性の構成要素14を含まない。いくつかの実施形態では、膜105および横方向に剛性の構成要素14が互いに異なる体積で構成され、そのためそれぞれのデバイスの拡張を独立に制御でき、順次または同時に実行できることが有利である。いくつかの実施形態の膜105は、椎骨間に配置され、椎骨に接触しそれらの間に支持をもたらすように拡張されるように構成されている。いくつかの実施形態では、膜105の横方向の拡張も実現される。例えば、図10では、前方への拡張、ならびに内側から外側の拡張、および介在する径方向の拡張が示されている。本明細書で用いるように、横方向という用語は、直線的な拡張方向Lにほぼ垂直な方向を意味する。
【0021】
膜105およびバッグ15のうちの一方または両方が、全体にまたは部分的に不透過性材料から構成されてよい。膜105およびバッグ15には、冠動脈用医療デバイスおよび椎骨形成医療デバイスを製造するのに通常使用される材料など、伸縮性または非伸縮性の風船材料が含まれ得る。こうした材料には、マイラー、ゴム、ポリウレタン、ビニル、ラテックス、ポリエチレン、イオノマー、およびポリテトラフタレート(polytetrapthalate)(PET)と、Kevlar(登録商標)、PEBAX(登録商標)、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、ならびに他の金属および合金および/またはセラミックスなど、可撓性材料が低い材料とが含まれ得るが、それらに限定されるものではない。伸縮性の膜またはバッグが、膜のサイズおよび形状のうちの一方または両方を臨床上有利な範囲に制限するように補強材を含むことができる。非伸縮性の膜またはバッグが、膜またはバッグ中に導入される材料の量に応じて、ふぞろいの開口部をより完全に充填するようにより弾性的に拡張することができる。
【0022】
同様に、膜105およびバッグ15のうちの一方または両方を、全体にまたは部分的に、透過性材料から構築することができ、その透過性材料により、ある特定の量の充填材1000が膜105およびバッグ15を透過することができる。限定されるものではないが上記に列挙した膜の材料を含む材料を、ファブリック、織物、メッシュ、複合材、接着した繊維の組立体、または当業者に知られた他の任意の製造物になるように製作することによって、全てまたは一部分を透過性にすることができる。
【0023】
図10に示すバッグ15は、充填材1000を受容しそれぞれのノズル102を通して拡張するように構成されている。バッグ15は、所定のサイズ、形状、またはそれらの両方に強制されてよい。いくつかの実施形態では、バッグ15は、バッグ15がそれを通して導入された椎体終板中の開口部よりも、椎体中では拡張されて幅広の形状になるように構成されている。
【0024】
図11に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片210の実施形態を示す。植込み片210は拡張状態で示されている。いくつかの実施形態の植込み片210は、バッグ215を含む椎間構造を有し、そのバッグ215は、非拡張状態のときは少なくとも1つの椎体終板の隣にあり、拡張状態のときは椎体終板中の孔を通って少なくとも部分的に椎体終板に貫入するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッグ215は、椎体終板中のアパーチャの横方向の寸法よりも大きい椎骨内での横方向の寸法に拡張するように構成されている。バッグ15と同様に、バッグ215は、強制されても強制されなくてもよく、透過性でも不透過性でもよく、他の任意の機能的な形状、サイズ、または材料でもよい。膜115が、植込み片210が拡張状態のときに椎骨間の空間で横方向に拡張するように構成されており、やはり図11に示されている。その膜115はバッグ215と一体成形することができ、いくつかの実施形態では、それらの構成要素は構造上の構成要素を共有することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、バッグ215は、植込み片210のうちのバッグ215以外の部分に直接結合される。いくつかの実施形態では、バッグ215および膜115は、充填材1000源と流体連絡している。例えば、限定されるものではないが、図示の実施形態のポート117は、植込み片210の入れ子式の部分を拡張する充填材1000を受け入れ、同時にまたは順番に充填材1000を膜115およびバッグ215中に移すことができる。
【0025】
図12および図13に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片220を示す。植込み片220は、図12では非拡張状態で、図13では拡張状態で示されている。いくつかの実施形態の植込み片220は、バッグ315を含む椎間構造を有し、そのバッグ315は、非拡張状態のときは少なくとも1つの椎体終板の隣にあり、拡張状態のときは椎体終板中のアパーチャを通って少なくとも部分的に椎体終板に貫入するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッグ315は、椎骨内では、椎体終板中のアパーチャの横方向の寸法よりも大きい横方向の寸法に拡張するように構成されている。バッグ15と同様に、バッグ315は、強制されても強制されなくてもよく、透過性でも不透過性でもよく、他の任意の機能的な形状、サイズ、または材料でもよい。膜125が、植込み片220が拡張状態のときに椎骨間の空間で横方向に拡張するように構成されており、やはり図12および図13に示されている。膜125は、バッグ315と一体成形することができ、いくつかの実施形態では、それらの構成要素は構造上の構成要素を共有することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、バッグ315は、植込み片220のうちのバッグ315以外の部分に直接結合される。いくつかの実施形態では、バッグ315および膜125は、充填材1000源と流体連絡している。例えば、限定されるものではないが、図示の実施形態のポート127は、植込み片220の入れ子式の部分を拡張する充填材1000を受け入れ、同時にまたは順番に充填材1000を膜125およびバッグ315中に移すことができる。
【0026】
図14に、穿孔器具140による上位椎骨VSおよび下位椎骨VIの準備を示す。図示の準備は、椎体終板中にまたはそれを通してアパーチャを形成することが望ましい、本発明の特定の実施形態に関連してよい。穿孔器具140は、握り141およびリンク部を143有し、それらの握り141およびリンク部は、握り141に加えられた力がリンク部143を介して伝達されて、先端部145がそれぞれ上位椎骨VSおよび下位椎骨VIに押し込まれて、椎骨の終板中にまたはそれを通してアパーチャが形成されるように構成されている。力が加えられると、押し込み先端部145が図示の矢印の方向に動く。別の実施形態では、穿孔器具は、一方の押し込み先端部145と、それに対して押し込む表面を提供する反対側の先端部を含むことができる。こうした実施形態では、その器具を使用して、最初に、上位椎骨VSおよび下位椎骨VIの一方に開口部を作ることができ、次いで、その器具を裏返してもう一方の椎骨に開口部を作ることもできる。
【0027】
図15に、上位椎骨VSなど、椎体終板中にまたはそれを通るアパーチャを形成するために使用できる別の器具を示す。図示の器具はアングルドリル150である。図示のアングルドリル150は、モータ151と、モータ151に接続されたシャフト153と、シャフト153に接続されたビット155とを有する。図示のアングルドリル150は、シャフト153とビット155との間に直角をなす。しかし、他の実施形態は、0度から180度の任意の角度でビットを有することができる。損傷を受け易い解剖学的構造が様々な外科的なアプローチを受けないようにするために様々な角形成が有利な場合がある。いくつかの実施形態のモータ151は、シャフト153の全てまたは一部分を回転させ、これにより、シャフト153に沿った、ある角度にわたる回転運動が伝達されて、ビット155が回転する。図示のビット155は、鋭利な先端部を有するが、正方形の先端部または他の任意の機能的な形状を有することもできる。アングルドリル150を、シャフト153を中心にして90度回転させ、下位椎骨VIの終板中にまたはそれを通してアパーチャを形成するように向けることができる。
【0028】
図16に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片160を示す。椎間構造161がノズル162と共に示されており、そのノズル162は、椎間構造161に関して離れる方に延在する側面163を有する。図示の椎間構造161は、椎体の少なくとも一部分を置換するようにサイズ設定される椎体置換デバイスである。椎間構造161は、膜165を含み、椎間構造161を通して、具体的には膜165のうちのノズル162およびポート167に接続する部分を通して、ノズル162と流体連絡している状態で示されている。ポート167を使用して、植込み片160への充填材1000を受容することができる。図示の側面163は円形の断面を形成する。ノズル162は、側面163の遠位端166の近くに開口部164を有する。開口部164は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル162は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端166を有してもよい。椎間構造はさらに、スプレッダ器具169を受容する連結穴168を含む。それらの連結穴168は、限定されるものではないが、円形、楕円形、矩形、スロット付き、ねじ山付き、または切り欠き付きなど、任意の機能的な構成のものでよい。スプレッダ器具169は、椎間構造161を広げること、拡張を保持すること、またはそれを縮小させることのうちの少なくとも1つが可能である、任意の機能的な構成のものでもよい。スプレッダ器具の別の実施形態は、別個の棒、ロッド、または他の長手方向の器具を含み、それらは、連結穴168中に別々に配置され、椎間構造161を動かすために使用されてよい。
【0029】
図17に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片170を示す。椎間構造171がノズル172と共に示されており、そのノズル172は、椎間構造171に関して離れる方に延在する側面173を有する。図示の椎間構造171は、椎体の少なくとも一部分を置換するようにサイズ設定された椎体置換デバイスである。椎間構造171は、膜175を含み、椎間構造171を通して、具体的には膜175のうちのノズル172およびポート177に接続する部分を通して、ノズル172と流体連絡している状態で示されている。ポート177を使用して、植込み片170への充填材1000を受容することができる。図示の側面173は円形の断面を形成する。ノズル172は、側面173の遠位端176の近くに開口部174を有する。開口部174は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル172は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端176を有してもよい。椎間構造171はさらに、スプレッダ器具180を受容する連結穴178およびポート177を含む。上記に記載したように、ポート177は、スプレッダ器具180の一部分を受容する機能に加えて、充填材1000を受容するために使用することができる。図示のように、スプレッダ器具180のうちのポート177と連結する部分は、連結カニューレ187である。充填材1000がポート177中を通って膜175および開口部174に至るように、充填材源を連結カニューレ187に取り付けることができる。連結穴178およびポート177は、限定されるものではないが、円形、楕円形、矩形、スロット付き、ねじ山付き、または切り欠き付きなど、任意の機能的な構成のものでよい。スプレッダ器具180は、椎間構造171を広げること、拡張を保持すること、またはそれを縮小させることのうちの少なくとも1つが可能である、任意の機能的な構成のものでもよい。同様の実施形態では、1つのバルブ、一連のバルブ、または導管の構成を用いて、同時にまたは選択的に、開口部174および膜175の1つまたは全てを通してまたはその中に充填材1000を通す。任意の実施形態で使用するバルブは、閾値の圧力に達したらユーザがさらに介入することなく、材料を通す圧力作動バルブでよい。
【0030】
方法の実施形態は、椎体終板にアパーチャを形成するステップを含む、脊柱を安定させる方法である。図14および図15に、椎体終板にアパーチャを形成するのに適した器具の例を示す。さらに、本発明の実施形態のノズルは、アパーチャを形成するために椎体終板に接して押し付けられるかまたはそれどころかそれを通して押し付けられてよい。上記でさらに詳細に説明したように、ノズルの実施形態はいずれも、鋭利な形状もよく、椎体終板への貫入を助けるように、鋭利なまたは成形された構成要素を含んでもよい。この方法の実施形態はさらに、非拡張状態のバッグ(15、215、315)を有する植込み片を椎体終板のアパーチャに隣接して配置するステップを含むことができる。椎体終板のアパーチャを通して椎骨中にバッグを拡張するために、バッグ中に充填材を導入することができる。充填材を導入することにより、いくつかの実施形態では、椎体終板中のアパーチャの横方向の寸法よりも大きい横方向の寸法までバッグを横方向に拡張させることができる。次いで、いくつかの実施形態の拡張したバッグを、アパーチャを通して元の位置に戻すことが難しくなり、それにより、植込み片が椎骨にさらに確実に固定される。拡張したバッグは、そのバッグがそれに取り付けられる椎骨を、限定されるものではないが、椎骨形成または椎骨植込みに関連する治療などの治療を行うことによって治療することもできる。例えば、限定されるものではないが、バッグは、単独でまたはノズルと組み合わせて、椎骨を安定させる。バッグを膨張させるのに使用する材料は、固化可能な材料でもよく、バッグを拡張させるのに使用されるが敵位置で固化しない材料でもよい。この材料は、椎骨に対する治療効果を有することができる。バッグは、拡張したときに、バッグを永続的に充填するかまたは椎骨に対してさらに治療効果を有する追加の材料を受容することもできる。治療効果は、とりわけ、化学的効果もしくは薬剤の効果を用いること、または物理的特性もしくは熱特性によって得ることができる。
【0031】
図17のデバイスなど、いくつかの実施形態では、充填材を導入する動作は、椎体終板に関して植込み片を配置するのに使用する器具によって充填材を導入することを含む。スプレッダ器具180は連結カニューレ187を有し、その連結カニューレ187を通してこうした作用を実現することができる。
【0032】
図16および図17の実施形態に、充填材をバッグに導入する間に、椎体終板に隣接して植込み片を保持するために使用できる手術器具の例を示す。他の実施形態では、こうした手術器具は、植込み片のユーザが遠隔制御する、植込み片内部の機構であってよい。こうした機構は、力または信号を植込み片に伝達するのに効果的なワイヤ、ストリング、解放機構または他の制御機構でよい。
【0033】
充填材1000は、流体として植込み片に入り、次いで、植込み片中で硬化または固化することができる。いくつかの実施形態では、硬化不能または固化不能な流体が、植込み片または植込み片の構成要素のうちの1つもしくは複数において、拡張または拡張を保持するために使用される。次いで、充填材1000を植込み片中に導入することができる。充填材1000は、ペースト、ゲル、液体、懸濁液、粒状混合物、または同様の物質でよい。充填材1000の非限定的な例には、骨セメント、ペースト、同種植込み片、自家植込み片、もしくは異種植込み片の骨細片、セラミックス、または様々なポリマーが含まれる。例示的な骨セメントは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)であり、これは、メタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル、またはポリメタクリル酸メチルおよびポリスチレンを含有するコポリマーから作製することができる。充填材1000の追加の非限定的な例には、シリコンまたは様々なタイプのウレタン材料など、半剛性の流動可能または硬化可能な材料が含まれる。必ずしも硬化可能または固化可能でない他のタイプの充填材1000を本発明に関して使用できることをさらに理解されたい。例えば、充填材は、材料のビードまたは微粒子もしくは粒子を含むことができ、それらの一部は、全体として、噛み合いまたは圧縮によってより硬い粘度を実現することができる。いくつかの実施形態では、充填材は、骨成長促進物質含むこともできる。
【0034】
本明細書で開示した各植込み片の実施形態では、膜のサイズまたは形状を、椎骨の空間の特定の部分のみを充填するように制限することができる。例えば、限定されるものではないが、植込み片が、半椎切除を実現するために椎骨の空間の横方向部分のみを占めるように構成されてよい。あるいは、植込み片は、椎骨の空間の他の限定された部分を占めるように成形されてよい。
【0035】
植込み片の実施形態は、全体にまたは部分的に、様々なタイプの生体適合性材料から構築することができる。植込み片の材料の例には、非強化ポリマー、炭素強化ポリマー複合材、PEEKおよびPEEK複合材、低密度ポリエチレン、形状記憶合金、チタン、チタン合金、コバルトクロム合金、ステンレス鋼、セラミックス、ならびにそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。試験的な器具または植込み片が放射線透過性材料から作製される場合は、その試験的な器具または植込み片上に放射線透過マーカを配置して、椎骨の空間中の本体の位置をモニタリング可能かつ判定可能にすることができる。いくつかの実施形態では、植込み片または植込み片の個々の構成要素を、骨または他の組織の稠密な部分構築することができる。組織の材料には、人工または天然の自家植込み片、同種植込み片、または異種植込み片が含まれるが、それらに限定されるものではなく、その材料は本質的に吸収性または非吸収性でよい。他の組織の材料の例には、硬組織、結合組織、脱鉱化骨基質、およびそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0036】
本発明の実施形態は、腰椎領域、頸椎領域、および胸椎領域のうちの1つもしくは全て、または他の骨格構造の間に用いることができる。いくつかの実施形態は、解剖学的構造をさらに安定させるために、拡張可能な医療用植込み片に加えてまたはその一部として補助的な固定デバイスを含むこともできる。例えば、限定されるものではないが、ロッド/ねじ固定システム、前方、後方、または横方向の平板固定化システム、関節面安定化システム、棘突起安定化システム、および安定化を補助する任意のデバイスを、拡張可能な医療用植込み片の一部としてまたはそれと組み合わせて使用することができる。
【0037】
本発明の植込み片の実施形態は、好ましくは、概して後方からのアプローチにより植え込むことができる。しかし、本発明の実施形態は、限定されるものではないが、後方、横方向、前方、椎弓根横断方向、横方向外側空洞、椎板切除術と組み合わせた、肋骨横突起切除術と組み合わせた、またはこれらのおよび他の手法の任意の組み合わせによるアプローチを含む、任意の外科的アプローチによる植込みを含むことができる。
【0038】
本明細書では、特定の拡張可能な医療用植込み片を参照しながら本発明の様々な方法の実施形態をしている。しかし、状況によっては、開示した方法の実施形態はそれぞれ、拡張可能な医療用植込み片、または様々な方法 実施形態に関連して開示したように動作可能な何らかの他の植込み片に応用可能な場合がある。
【0039】
下側(lower)、上側(upper)、前方(anterior)、後方(posterior)、下位(inferior)、上位(superior)、横方向(lateral)、内側(medial)、対側(contralateral)などの用語を、相対的な位置を述べるために本明細書で使用してきた。しかし、こうした用語は、特定の座標系の方向に限定されず、特定の実施形態を基準にする相対的な位置を説明するために使用される。こうした用語は、通常、本明細書に記載の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0040】
本発明の実施形態を本開示で図示し詳細に説明してきたが、この開示は、例示的なものであり、特徴を限定するものではないとみなすべきである。本発明の精神に包含される変更形態および修正形態は全て、本開示の範囲内に包含されるとみなすべきである。
【背景技術】
【0001】
椎体の終板同士を連結することは、少なくとも一部の脊椎固定術、および少なくとも一部の椎体置換術で有用である。脊椎固定術は、適切な椎骨の空間を再建し、神経への圧力、およびそれにより生じる痛みを緩和するのに有効なことが多い。また、1つもしくは複数の椎骨または椎骨の一部分を、様々な病理に応じてヒトの脊柱から除去することが必要な場合がある。例えば、椎骨のうちの1つまたは複数が、腫瘍の成長により損傷を受けることもあり、外傷または他の事象によって損傷を受けることもある。椎骨の除去または切除は、脊椎切除術と称されることがある。椎骨の概して前方部分または椎体の切除は、椎体切除術と称されることがある。通常、植込み片が、椎体切除術または脊椎切除術の一部として、脊柱を構造的に支持するように椎骨の残りの部分の間に配置される。これは、一般に、椎体置換術と称されることがある。
【0002】
終板同士の連結は、ねじ、スパイク、歯、キール、終板中への貫入、ならびに様々な他の留め具および技法の助けで、当技術分野で従来実現されている。しかし、従来技術は、周囲の組織に対する最小限の分裂および椎体終板の最小限の外科的操作を伴って送達されることがある、植込み片と椎体終板との間の境界面にわたる効果的な固定を設けるという解決策を与えることに限られている。さらに、状況によっては、植込み片がそれに連結される椎骨内部に安定化材料を加えることや、椎骨と相互作用するために安定化機構または接着材料を提供することが有利な場合がある。
【0003】
骨と植込み片との間の連結は、脚および腕または他の骨など、骨または関節もしくは付属部分の一部分を置換する際に有効な場合もある。例には、大腿骨、脛骨、腓骨、上腕骨、橈骨、尺骨、指骨、鎖骨、および肋骨のうちいずれかが含まれるが、それらに限定されるものではない。本明細書で説明し特許請求する機構の使用は、こうした骨またはその付属部分の治療または修復に等しく応用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片である。植込み片は、椎間構造と、少なくとも1つの椎体終板に貫入するように構成されている、椎間構造から延在するノズルとを含むことができる。いくつかの実施形態のノズルは、椎間構造から離れる方に延在する1つまたは複数の側面と、その1つまたは複数の側面の遠位端の近くの開口部とを含む。開口部は、少なくとも1つの椎体終板を通り椎骨中に開口するように構成されている。実施形態は、ノズルと流体連絡している、椎間構造中のポートを含む。ポートは、充填材を受容するためのものである。
【0005】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片である。実施形態は、バッグを含む椎間構造を含むことができ、そのバッグは、非拡張状態のときは少なくとも1つの椎体終板の隣にあり、拡張状態のときは椎体終板中のアパーチャを通って少なくとも部分的に椎体終板に貫入するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッグは、椎骨内では、アパーチャの横方向の寸法よりも大きい横方向の寸法に拡張するように構成されている。植込み片は、拡張状態のときに椎骨間の空間で横方向に拡張するように構成されている膜を含むこともできる。バッグおよび膜は、充填材源と流体連絡していてよい。
【0006】
本発明のさらに別の実施形態は、脊柱を安定させる方法である。その方法は、アパーチャを椎体終板中に形成するステップと、非拡張状態のバッグを備える植込み片を、椎体終板のアパーチャに隣接して配置するステップと、充填材をバッグ中に導入して、バッグを椎体終板のアパーチャを通して椎骨中で拡張させるステップとを含むことができる。充填材を導入する動作により、椎体終板中のアパーチャの横方向の寸法よりも大きい横方向の寸法までバッグを横方向に拡張させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】椎体間の植込み片の実施形態の断面図である。
【図2】植込み片の実施形態の部分斜視図である。
【図3】植込み片の実施形態の斜視図である。
【図4】植込み片の実施形態の端部の斜視図である。
【図5】植込み片の実施形態の端部の断面図である。
【図6】植込み片の実施形態の端部の断面図である。
【図7】植込み片の実施形態の部分斜視図である。
【図8】図7の植込み片のノズルの斜視図である。
【図9】椎体間の植込み片の実施形態の断面図である。
【図10】植込み片の実施形態の斜視図である。
【図11】植込み片の実施形態の斜視図である。
【図12】非拡張状態の植込み片実施形態の断面図である。
【図13】拡張状態の図12の植込み片の断面図である。
【図14】図示の準備器具の作用を受けている椎骨の断面図である。
【図15】図示の準備器具の作用を受けている椎骨の断面図である。
【図16】準備器具と組み合わせた、植込み片の実施形態の断面図である。
【図17】準備器具と組み合わせた、植込み片の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に、上位椎骨VSと下位椎骨VIとの間にある植込み片100を示す。図示の植込み片100は、上位の椎体終板9および下位の椎体終板8に隣接している。植込み片100は椎間構造1および2つのノズル2を含む。椎間構造1中のポート7が、椎間構造1を通して、具体的には膜5のうちのノズル2およびポート7に接続する部分を通して、ノズル2と流体連絡している状態で示されている。ポート7を使用して、植込み片100中への充填材1000を受容することができる。
【0009】
図示の椎間構造1は椎体置換デバイスである。しかし、他の実施形態では、椎間構造1は脊椎円板置換デバイスでよい。脊椎円板置換デバイスは、脊椎円板の全てまたはその一部分を置換することができる。脊椎円板置換デバイスは剛性でも可撓性でもよい。脊椎円板置換デバイスは、動的なデバイスとして機能することもでき、固定術のための間隔保持デバイスとして働くこともできる。いくつかの実施形態では、椎間構造1は、複数の脊椎円板および椎体の置換物であってよい。椎間構造の非限定的な例を図1〜図3、図7、図9〜図13、図16、および図17に示す。図1、図3、および図9〜図11に、拡張状態で安定させるために充填材を受けるように構成された膜を少なくとも部分的に示す。図2、図7、および図11〜図13に、少なくとも部分的に入れ子式の構成要素から構成された椎間構造を示す。高さが固定されていても拡張可能であっても椎骨間の空間を事実上満たす他の任意の椎間構造が、本発明の実施形態の下で企図される。
【0010】
ノズル2、22、32、42、52、62、72、92、102、162、および172の様々な実施形態を、それぞれ図1〜図10、図16、および図17に示す。例えば、図1に示すノズル2は、椎間構造1から離れる方に延在し、上位端部にある上位椎骨の植込み片9および下位端部にある下位椎骨の植込み片8を貫通するように構成されている。いくつかの実施形態では、ノズルは、ジャムシディ針(jam−sheedy needle)などの比較的細い部材でもよく、本明細書で具体的に示すノズルよりも細い他の部材でもよい。ノズル2は、椎間構造1から離れる方に延在する側面3を含む。いくつかの実施形態の1つまたは複数の側面3は、それらの遠位端の近くに開口部4を有し、その開口部4は、図1に示すように椎体終板8、9を通して開口するように構成されてよい。
【0011】
1つまたは複数の側面3、23、33、43、53、63、73、93、103、163、および173は、円形の断面を形成する連続した側面でもよく、対称または非対称の多角形の断面形状を形成する任意の数の側面でもよい。いくつかの実施形態の1つまたは複数の側面は、断面形状の一部分のみを形成することもでき、すなわち、その全長に沿って連続した断面を形成しなくてよい。
【0012】
図2に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片120を示す。椎間構造21がノズル22と共に示されており、そのノズル22は、椎間構造21に関して離れる方に延在する側面23を有する。図示の椎間構造21は、椎体の少なくとも一部分を置換するようにサイズ設定される入れ子式の本体である。図示の側面23は、円形の断面を形成し、さらに、凸形の外壁を有する。ノズル22は、椎間構造21と接続するその近位端で概して幅広の構造を、その遠位端26でより細い構造を有する。この形状は、いくつかの実施形態では、椎体終板中への挿入を助けるのに役立つことができ、椎体終板への貫入を助けることができる。ノズル22は、側面23の遠位端26の近くに開口部24を有する。いくつかの実施形態では、開口部24は、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル22は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように図2に示すように鋭利な遠位端26を有してもよい。図2にさらに、椎間構造21中のポート27を示し、そのポート27は、ノズル22と流体連絡している。いくつかの実施形態では、ポート27は、充填材1000を受容するように構成されている。
【0013】
図3に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片130を示す。椎間構造31がノズル32と共に示されており、そのノズル32は、椎間構造31に関して離れる方に延在する側面33を有する。図示の椎間構造31は、収縮した状態、すなわち非拡張状態にある、拡張可能な本体である。ある体積を画定する膜35と、その膜に接続され、その膜35の体積内に実質的に収容された、直線的に拡張可能な構成要素13とが示されている。直線的に拡張可能な図示の構成要素13は、拡張可能なベローズ機構である。直線的に拡張可能な構成要素13は、いくつかの実施形態では、横方向に剛性でもよい。直線的に拡張可能な図示の構成要素13は、椎間構造31を直線的に拡張させるかまたは椎間構造31の直線的な拡張を維持する流体を受容するように構成されている。図示の実施形態では、流体を、ポート37を通して導入することができる。その流体は、単に拡張および保持のためのものでもよく、充填材1000の構成成分であってもよい。いくつかの実施形態では、ポート37は、充填材1000を受容するように構成されている。流体は、ペースト、ゲル、液体、懸濁液、粒状混合物、または同様の物質でよい。本明細書に記載するような物質は、後に流体でない状態に固化または硬化しても流体と見なされる。直線的に拡張可能な構成要素13および膜35の両方が、図では直線的に非拡張である。ポート37を使用して、椎間構造31を操るか、または効果的に展開できるある位置に植込み片を案内することができる。椎間構造31中のポート37はノズル32と流体連絡している。図示のノズル32は、直線的に拡張可能な構成要素13の内部に開口している。図3に示す側面33は、円形の断面を形成し、円錐台形のノズル32を形成するように先細りしている。ノズル32はそれぞれ、椎間構造31と接続するその近位端で概して幅広の構造を、その遠位端36でより細い構造を有する。この形状は、いくつかの実施形態では、椎体終板中への挿入を助けるのに役立つことができ、椎体終板への貫入を助けることができる。ノズル32は、側面33の遠位端36の近くに開口部34を有する。いくつかの実施形態では、開口部34は、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル32は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端36を有してもよい。
【0014】
図4〜図6に、ノズル42、52、および62の実施形態を示す。図示のノズルはそれぞれ、開示した任意の機構、またはそうでない場合は、これらに限定されないが膜、入れ子式の本体、またはベローズ機構など、機能的な椎間構造41、51、61と共に使用することができる。図4のノズル42は、椎間構造41に関して離れる方に延在する側面43を有する。図示の側面43は、円形の断面を形成し、円錐台形ノズル42を形成するように先細りしている。ノズル42は、椎間構造41と接続するその近位端で概して幅広の構造を、その遠位端46でより細い構造を有する。この形状は、いくつかの実施形態では、椎体終板中への挿入を助けるのに役立つことができ、椎体終板への貫入を助けることができる。ノズル42は、側面43の遠位端46の近くに開口部44を3つ有する。いくつかの実施形態では、開口部44は、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。いくつかの実施形態では、開口部44を複数設けることにより、ノズル42に構造強度を追加しながら、流体の流れのための領域を増大可能にすることができる。ノズル42は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端46を有してもよい。いくつかの実施形態は、椎間構造41中にポートを含むこともでき、そのポートはノズル42と流体連絡している。いくつかの実施形態では、そのポートは、充填材1000を受容するように構成されている。
【0015】
図5のノズル52は、椎間構造51に関して離れる方に延在する側面53を有する。図示の側面53は円形の断面を形成する。図示のノズル52は、側面53のうちの少なくとも1つから延在する突起57を含む。それらの図示の突起57は、ノズル52がその中に挿入されている椎体終板から離れる方にノズル52が移動することに抵抗するように構成されている。それらの突起は、限定されるものではないが、歯、刺、隆起部、またはスパイクなど、個々の構成要素でよい。いくつかの実施形態の突起は、ノズル52の外周に沿って連続したまたはほぼ連続したリング、ワッシャ、または他のデバイスでもよい。ノズル52は、側面53の遠位端56の近くに開口部54を有する。いくつかの実施形態では、開口部54は、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル52は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端56を有してもよい。いくつかの実施形態は、椎間構造51中のポートを含むこともでき、そのポートはノズル52と流体連絡している。いくつかの実施形態では、ポートは、充填材1000を受容するように構成されている。
【0016】
図6のノズル62は、椎間構造61に関して離れる方に延在する側面63を有する。図示の側面63は円形の断面を形成する。シール67が、ノズル62と椎体終板との間に嵌まるように、ある位置にノズル62に隣接して示されている。シール67には、リング、ガスケット、ワッシャ、充填物、パテ、またはノズル62と椎体終板との間の充填材の流れを部分的にまたは完全に制限する他の構造が含まれ得るが、それらに限定されるものではない。シール67は、ノズル62および椎体終板の形状に順応する柔らかい材料として機能することもでき、ノズル62および椎体終板のうちの一方または両方に引っ込むかもしくは貫入することによって流れを制限することもできる。ノズル62は、側面63の遠位端66の近くに開口部64を有する。開口部64は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル62は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端66を有してもよい。いくつかの実施形態は、椎間構造61中にポートを含むこともでき、そのポートはノズル62と流体連絡している。いくつかの実施形態では、そのポートは、充填材1000を受容するように構成されている。
【0017】
図7および図8は、共に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片170を示す。椎間構造71が3つのノズル72と共に示されており、それらのノズル72は、椎間構造71に関して離れる方に延在する側面73を有する。図示の椎間構造71は、椎体のうちの少なくとも一部分を置換するようにサイズ設定される入れ子式の本体である。図示の側面73は円形の断面を形成する。ノズル72は、図8により詳細に示されており、その近位端で椎間構造71に接続されている。図示のノズル72は、ノズル72の遠位端を覆うキャップ75と、その遠位端の近くでノズル72の側面73中に開口部74も含む。いくつかの実施形態では、図8に示すように、キャップ75は鋭利な遠位端76を有する。鋭利な遠位端76は、いくつかの実施形態では、椎体終板中への挿入を助けるのに役立つことができ、椎体終板への貫入を助けることができる。いくつかの実施形態では、開口部74は、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル72は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に先細りしてもよい。図7にさらに、椎間構造71中のポート77を示し、そのポート77はノズル72と流体連絡している。いくつかの実施形態では、ポート77は、充填材1000を受容するように構成されている。
【0018】
図9に、少なくとも1つの椎体終板8、9に隣接して配置される植込み片190を示す。椎間構造91がノズル92と共に示されており、そのノズル92は、植込み片190が上位椎骨VSと下位椎骨VIとの間の適位置にあるときに椎間構造91に関して離れる方に延在する側面93を有する。図示の椎間構造91は膜95であり、その膜95は、スロット98を有する端部の部材99を含み、そのスロット98は、植込み片190が完全に組み立てられたときにノズル92の近位端と接続する。植込み片190は、椎体の少なくとも一部分を置換するようにサイズ設定されている。図9では、植込み片190は、椎間構造91がノズル92に組み付けられる前の状態が示されている。いくつかの実施形態では、最初に、ノズル92を上位椎骨VSおよび下位椎骨VIに別々に取り付ける。次いで、端部の部材99をノズル92に連結し、その後膜95を充填する。他の実施形態では、部分的に組み立てられた植込み片190または完全に組み立てられた植込み片190を、上位椎骨VSおよび下位椎骨VIに取付け、その後、膜95の充填を完了することができる。図示の側面93は円形の断面を形成する。側面93は、ノズル92とそれぞれの椎体終板8、9との間で固定して取り付けるのを助けるように、ねじ山、歯、または他の突起を含むこともできる。ノズル92は、椎間構造91と接続するそれらの近位端で概して幅広の構造を、それらの遠位端96でより細い構造を有する。この形状は、いくつかの実施形態では、椎体終板中への挿入を助けるのに役立つことができ、椎体終板への貫入を助けることができる。ノズル92は、側面93の遠位端96の近くに開口部94を有する。いくつかの実施形態では、開口部94は、少なくとも1つの椎体終板8、9を通して開口するように構成されている。植込み片190が組み立てられると、開口部94は、端部の部材の開口部104と位置合わせされて、膜95内から椎体中に材料が通ることが可能になる。ノズル92は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、図9に示すように、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端96を有することができる。図9にさらに、椎間構造91中のポート97を示し、そのポート97は、ノズル92と流体連絡している。いくつかの実施形態では、ポート97は、充填材1000を受容するように構成されている。
【0019】
図10に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片200を示す。椎間構造101がノズル102と共に示されており、そのノズル102は、椎間構造101に関して離れる方に延在する側面103を有する。図示の椎間構造101は、拡張状態にある拡張可能な本体である。図示の椎間構造101は、横方向に剛性の構成要素14および膜105を含む。図示の横方向に剛性の構成要素14はベローズである。横方向に剛性の構成要素3の長手方向軸、すなわち直線的な拡張方向Lが図示されている。横方向に剛性の構成要素14の拡張を、流体を横方向に剛性の構成要素14中に導入することによって実現することができ、構成要素がそれから作製される材料の弾力性、内部もしくは外部の付勢デバイス、または拡張させるために効果的な他の任意のデバイスから行うことができる。横方向に剛性の構成要素14の実施形態の断面形状は凹凸形である。しかし、他の実施形態では、横方向に剛性の構成要素14の断面形状は、限定されるものではないが、概して円形、楕円形、矩形、三角形、多角形、またはこれらの形状の組み合わせなど、任意の機能的な形状でよい。図示のノズル102は、横方向に剛性の構成要素14の内部に開口している。ノズル102の開口した遠位端から延在するバッグ15が示されている。その図示のバッグ15は、横方向に剛性の構成要素14の内部と流体連絡している。いくつかの実施形態のノズル102およびバッグ15は、横方向に剛性の構成要素14から隣接する椎骨の終板中に延在するように構成されている。バッグ15は、横方向の剛性の構成要素14を隣接する椎骨に取り付けるのを助けるように、流動可能な材料などの材料で充填することができる。バッグ15は、さらに椎骨に対する治療効果を有することができる。例えば、限定されるものではないが、バッグ15は、単独でまたはノズル102と組み合わせて、椎骨を安定させるのを助けることができる。バッグ15を膨張させるのに使用する材料は、固化可能な材料でもよく、バッグ15を拡張させるのに使用されるが適位置で固化しない材料でもよい。バッグ15は、拡張したときに、バッグ15を永続的に充填するかまたは椎骨に対してさらに治療効果を有する追加の材料を受容することもできる。治療効果は、とりわけ、化学的効果もしくは薬剤の効果を用いること、または物理的特性もしくは熱特性によって得ることができる。バッグ15中で使用するための材料いずれかは、以下により詳細に説明するように、充填材1000であってもよい。ノズル102またはバッグ15に加えて、横方向に剛性の構成要素14の実施形態の端部は、歯、スパイク、隆起部、窪み、粗面、ローレット、または椎骨と横方向に剛性の構成要素15との間の固定を強化するための他の任意のデバイスを含むことができる。
【0020】
図10では、膜105が拡張状態で示されている。膜105は、ある体積を画定し、横方向に剛性の構成要素14に隣接して横方向に接続された状態で示されている。図示の膜105および横方向に剛性の構成要素14は互いに隣接しており、本明細書で定義されるように、膜105によって画定された体積が横方向に剛性の構成要素14を含まない。いくつかの実施形態では、膜105および横方向に剛性の構成要素14が互いに異なる体積で構成され、そのためそれぞれのデバイスの拡張を独立に制御でき、順次または同時に実行できることが有利である。いくつかの実施形態の膜105は、椎骨間に配置され、椎骨に接触しそれらの間に支持をもたらすように拡張されるように構成されている。いくつかの実施形態では、膜105の横方向の拡張も実現される。例えば、図10では、前方への拡張、ならびに内側から外側の拡張、および介在する径方向の拡張が示されている。本明細書で用いるように、横方向という用語は、直線的な拡張方向Lにほぼ垂直な方向を意味する。
【0021】
膜105およびバッグ15のうちの一方または両方が、全体にまたは部分的に不透過性材料から構成されてよい。膜105およびバッグ15には、冠動脈用医療デバイスおよび椎骨形成医療デバイスを製造するのに通常使用される材料など、伸縮性または非伸縮性の風船材料が含まれ得る。こうした材料には、マイラー、ゴム、ポリウレタン、ビニル、ラテックス、ポリエチレン、イオノマー、およびポリテトラフタレート(polytetrapthalate)(PET)と、Kevlar(登録商標)、PEBAX(登録商標)、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、ならびに他の金属および合金および/またはセラミックスなど、可撓性材料が低い材料とが含まれ得るが、それらに限定されるものではない。伸縮性の膜またはバッグが、膜のサイズおよび形状のうちの一方または両方を臨床上有利な範囲に制限するように補強材を含むことができる。非伸縮性の膜またはバッグが、膜またはバッグ中に導入される材料の量に応じて、ふぞろいの開口部をより完全に充填するようにより弾性的に拡張することができる。
【0022】
同様に、膜105およびバッグ15のうちの一方または両方を、全体にまたは部分的に、透過性材料から構築することができ、その透過性材料により、ある特定の量の充填材1000が膜105およびバッグ15を透過することができる。限定されるものではないが上記に列挙した膜の材料を含む材料を、ファブリック、織物、メッシュ、複合材、接着した繊維の組立体、または当業者に知られた他の任意の製造物になるように製作することによって、全てまたは一部分を透過性にすることができる。
【0023】
図10に示すバッグ15は、充填材1000を受容しそれぞれのノズル102を通して拡張するように構成されている。バッグ15は、所定のサイズ、形状、またはそれらの両方に強制されてよい。いくつかの実施形態では、バッグ15は、バッグ15がそれを通して導入された椎体終板中の開口部よりも、椎体中では拡張されて幅広の形状になるように構成されている。
【0024】
図11に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片210の実施形態を示す。植込み片210は拡張状態で示されている。いくつかの実施形態の植込み片210は、バッグ215を含む椎間構造を有し、そのバッグ215は、非拡張状態のときは少なくとも1つの椎体終板の隣にあり、拡張状態のときは椎体終板中の孔を通って少なくとも部分的に椎体終板に貫入するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッグ215は、椎体終板中のアパーチャの横方向の寸法よりも大きい椎骨内での横方向の寸法に拡張するように構成されている。バッグ15と同様に、バッグ215は、強制されても強制されなくてもよく、透過性でも不透過性でもよく、他の任意の機能的な形状、サイズ、または材料でもよい。膜115が、植込み片210が拡張状態のときに椎骨間の空間で横方向に拡張するように構成されており、やはり図11に示されている。その膜115はバッグ215と一体成形することができ、いくつかの実施形態では、それらの構成要素は構造上の構成要素を共有することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、バッグ215は、植込み片210のうちのバッグ215以外の部分に直接結合される。いくつかの実施形態では、バッグ215および膜115は、充填材1000源と流体連絡している。例えば、限定されるものではないが、図示の実施形態のポート117は、植込み片210の入れ子式の部分を拡張する充填材1000を受け入れ、同時にまたは順番に充填材1000を膜115およびバッグ215中に移すことができる。
【0025】
図12および図13に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片220を示す。植込み片220は、図12では非拡張状態で、図13では拡張状態で示されている。いくつかの実施形態の植込み片220は、バッグ315を含む椎間構造を有し、そのバッグ315は、非拡張状態のときは少なくとも1つの椎体終板の隣にあり、拡張状態のときは椎体終板中のアパーチャを通って少なくとも部分的に椎体終板に貫入するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッグ315は、椎骨内では、椎体終板中のアパーチャの横方向の寸法よりも大きい横方向の寸法に拡張するように構成されている。バッグ15と同様に、バッグ315は、強制されても強制されなくてもよく、透過性でも不透過性でもよく、他の任意の機能的な形状、サイズ、または材料でもよい。膜125が、植込み片220が拡張状態のときに椎骨間の空間で横方向に拡張するように構成されており、やはり図12および図13に示されている。膜125は、バッグ315と一体成形することができ、いくつかの実施形態では、それらの構成要素は構造上の構成要素を共有することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、バッグ315は、植込み片220のうちのバッグ315以外の部分に直接結合される。いくつかの実施形態では、バッグ315および膜125は、充填材1000源と流体連絡している。例えば、限定されるものではないが、図示の実施形態のポート127は、植込み片220の入れ子式の部分を拡張する充填材1000を受け入れ、同時にまたは順番に充填材1000を膜125およびバッグ315中に移すことができる。
【0026】
図14に、穿孔器具140による上位椎骨VSおよび下位椎骨VIの準備を示す。図示の準備は、椎体終板中にまたはそれを通してアパーチャを形成することが望ましい、本発明の特定の実施形態に関連してよい。穿孔器具140は、握り141およびリンク部を143有し、それらの握り141およびリンク部は、握り141に加えられた力がリンク部143を介して伝達されて、先端部145がそれぞれ上位椎骨VSおよび下位椎骨VIに押し込まれて、椎骨の終板中にまたはそれを通してアパーチャが形成されるように構成されている。力が加えられると、押し込み先端部145が図示の矢印の方向に動く。別の実施形態では、穿孔器具は、一方の押し込み先端部145と、それに対して押し込む表面を提供する反対側の先端部を含むことができる。こうした実施形態では、その器具を使用して、最初に、上位椎骨VSおよび下位椎骨VIの一方に開口部を作ることができ、次いで、その器具を裏返してもう一方の椎骨に開口部を作ることもできる。
【0027】
図15に、上位椎骨VSなど、椎体終板中にまたはそれを通るアパーチャを形成するために使用できる別の器具を示す。図示の器具はアングルドリル150である。図示のアングルドリル150は、モータ151と、モータ151に接続されたシャフト153と、シャフト153に接続されたビット155とを有する。図示のアングルドリル150は、シャフト153とビット155との間に直角をなす。しかし、他の実施形態は、0度から180度の任意の角度でビットを有することができる。損傷を受け易い解剖学的構造が様々な外科的なアプローチを受けないようにするために様々な角形成が有利な場合がある。いくつかの実施形態のモータ151は、シャフト153の全てまたは一部分を回転させ、これにより、シャフト153に沿った、ある角度にわたる回転運動が伝達されて、ビット155が回転する。図示のビット155は、鋭利な先端部を有するが、正方形の先端部または他の任意の機能的な形状を有することもできる。アングルドリル150を、シャフト153を中心にして90度回転させ、下位椎骨VIの終板中にまたはそれを通してアパーチャを形成するように向けることができる。
【0028】
図16に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片160を示す。椎間構造161がノズル162と共に示されており、そのノズル162は、椎間構造161に関して離れる方に延在する側面163を有する。図示の椎間構造161は、椎体の少なくとも一部分を置換するようにサイズ設定される椎体置換デバイスである。椎間構造161は、膜165を含み、椎間構造161を通して、具体的には膜165のうちのノズル162およびポート167に接続する部分を通して、ノズル162と流体連絡している状態で示されている。ポート167を使用して、植込み片160への充填材1000を受容することができる。図示の側面163は円形の断面を形成する。ノズル162は、側面163の遠位端166の近くに開口部164を有する。開口部164は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル162は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端166を有してもよい。椎間構造はさらに、スプレッダ器具169を受容する連結穴168を含む。それらの連結穴168は、限定されるものではないが、円形、楕円形、矩形、スロット付き、ねじ山付き、または切り欠き付きなど、任意の機能的な構成のものでよい。スプレッダ器具169は、椎間構造161を広げること、拡張を保持すること、またはそれを縮小させることのうちの少なくとも1つが可能である、任意の機能的な構成のものでもよい。スプレッダ器具の別の実施形態は、別個の棒、ロッド、または他の長手方向の器具を含み、それらは、連結穴168中に別々に配置され、椎間構造161を動かすために使用されてよい。
【0029】
図17に、少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片170を示す。椎間構造171がノズル172と共に示されており、そのノズル172は、椎間構造171に関して離れる方に延在する側面173を有する。図示の椎間構造171は、椎体の少なくとも一部分を置換するようにサイズ設定された椎体置換デバイスである。椎間構造171は、膜175を含み、椎間構造171を通して、具体的には膜175のうちのノズル172およびポート177に接続する部分を通して、ノズル172と流体連絡している状態で示されている。ポート177を使用して、植込み片170への充填材1000を受容することができる。図示の側面173は円形の断面を形成する。ノズル172は、側面173の遠位端176の近くに開口部174を有する。開口部174は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの椎体終板を通して開口するように構成されている。ノズル172は、椎体終板への挿入または貫入を助けるように全体に鋭利であるかまたは先細りしてよく、椎体終板への挿入または貫入を助けるように鋭利な遠位端176を有してもよい。椎間構造171はさらに、スプレッダ器具180を受容する連結穴178およびポート177を含む。上記に記載したように、ポート177は、スプレッダ器具180の一部分を受容する機能に加えて、充填材1000を受容するために使用することができる。図示のように、スプレッダ器具180のうちのポート177と連結する部分は、連結カニューレ187である。充填材1000がポート177中を通って膜175および開口部174に至るように、充填材源を連結カニューレ187に取り付けることができる。連結穴178およびポート177は、限定されるものではないが、円形、楕円形、矩形、スロット付き、ねじ山付き、または切り欠き付きなど、任意の機能的な構成のものでよい。スプレッダ器具180は、椎間構造171を広げること、拡張を保持すること、またはそれを縮小させることのうちの少なくとも1つが可能である、任意の機能的な構成のものでもよい。同様の実施形態では、1つのバルブ、一連のバルブ、または導管の構成を用いて、同時にまたは選択的に、開口部174および膜175の1つまたは全てを通してまたはその中に充填材1000を通す。任意の実施形態で使用するバルブは、閾値の圧力に達したらユーザがさらに介入することなく、材料を通す圧力作動バルブでよい。
【0030】
方法の実施形態は、椎体終板にアパーチャを形成するステップを含む、脊柱を安定させる方法である。図14および図15に、椎体終板にアパーチャを形成するのに適した器具の例を示す。さらに、本発明の実施形態のノズルは、アパーチャを形成するために椎体終板に接して押し付けられるかまたはそれどころかそれを通して押し付けられてよい。上記でさらに詳細に説明したように、ノズルの実施形態はいずれも、鋭利な形状もよく、椎体終板への貫入を助けるように、鋭利なまたは成形された構成要素を含んでもよい。この方法の実施形態はさらに、非拡張状態のバッグ(15、215、315)を有する植込み片を椎体終板のアパーチャに隣接して配置するステップを含むことができる。椎体終板のアパーチャを通して椎骨中にバッグを拡張するために、バッグ中に充填材を導入することができる。充填材を導入することにより、いくつかの実施形態では、椎体終板中のアパーチャの横方向の寸法よりも大きい横方向の寸法までバッグを横方向に拡張させることができる。次いで、いくつかの実施形態の拡張したバッグを、アパーチャを通して元の位置に戻すことが難しくなり、それにより、植込み片が椎骨にさらに確実に固定される。拡張したバッグは、そのバッグがそれに取り付けられる椎骨を、限定されるものではないが、椎骨形成または椎骨植込みに関連する治療などの治療を行うことによって治療することもできる。例えば、限定されるものではないが、バッグは、単独でまたはノズルと組み合わせて、椎骨を安定させる。バッグを膨張させるのに使用する材料は、固化可能な材料でもよく、バッグを拡張させるのに使用されるが敵位置で固化しない材料でもよい。この材料は、椎骨に対する治療効果を有することができる。バッグは、拡張したときに、バッグを永続的に充填するかまたは椎骨に対してさらに治療効果を有する追加の材料を受容することもできる。治療効果は、とりわけ、化学的効果もしくは薬剤の効果を用いること、または物理的特性もしくは熱特性によって得ることができる。
【0031】
図17のデバイスなど、いくつかの実施形態では、充填材を導入する動作は、椎体終板に関して植込み片を配置するのに使用する器具によって充填材を導入することを含む。スプレッダ器具180は連結カニューレ187を有し、その連結カニューレ187を通してこうした作用を実現することができる。
【0032】
図16および図17の実施形態に、充填材をバッグに導入する間に、椎体終板に隣接して植込み片を保持するために使用できる手術器具の例を示す。他の実施形態では、こうした手術器具は、植込み片のユーザが遠隔制御する、植込み片内部の機構であってよい。こうした機構は、力または信号を植込み片に伝達するのに効果的なワイヤ、ストリング、解放機構または他の制御機構でよい。
【0033】
充填材1000は、流体として植込み片に入り、次いで、植込み片中で硬化または固化することができる。いくつかの実施形態では、硬化不能または固化不能な流体が、植込み片または植込み片の構成要素のうちの1つもしくは複数において、拡張または拡張を保持するために使用される。次いで、充填材1000を植込み片中に導入することができる。充填材1000は、ペースト、ゲル、液体、懸濁液、粒状混合物、または同様の物質でよい。充填材1000の非限定的な例には、骨セメント、ペースト、同種植込み片、自家植込み片、もしくは異種植込み片の骨細片、セラミックス、または様々なポリマーが含まれる。例示的な骨セメントは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)であり、これは、メタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル、またはポリメタクリル酸メチルおよびポリスチレンを含有するコポリマーから作製することができる。充填材1000の追加の非限定的な例には、シリコンまたは様々なタイプのウレタン材料など、半剛性の流動可能または硬化可能な材料が含まれる。必ずしも硬化可能または固化可能でない他のタイプの充填材1000を本発明に関して使用できることをさらに理解されたい。例えば、充填材は、材料のビードまたは微粒子もしくは粒子を含むことができ、それらの一部は、全体として、噛み合いまたは圧縮によってより硬い粘度を実現することができる。いくつかの実施形態では、充填材は、骨成長促進物質含むこともできる。
【0034】
本明細書で開示した各植込み片の実施形態では、膜のサイズまたは形状を、椎骨の空間の特定の部分のみを充填するように制限することができる。例えば、限定されるものではないが、植込み片が、半椎切除を実現するために椎骨の空間の横方向部分のみを占めるように構成されてよい。あるいは、植込み片は、椎骨の空間の他の限定された部分を占めるように成形されてよい。
【0035】
植込み片の実施形態は、全体にまたは部分的に、様々なタイプの生体適合性材料から構築することができる。植込み片の材料の例には、非強化ポリマー、炭素強化ポリマー複合材、PEEKおよびPEEK複合材、低密度ポリエチレン、形状記憶合金、チタン、チタン合金、コバルトクロム合金、ステンレス鋼、セラミックス、ならびにそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。試験的な器具または植込み片が放射線透過性材料から作製される場合は、その試験的な器具または植込み片上に放射線透過マーカを配置して、椎骨の空間中の本体の位置をモニタリング可能かつ判定可能にすることができる。いくつかの実施形態では、植込み片または植込み片の個々の構成要素を、骨または他の組織の稠密な部分構築することができる。組織の材料には、人工または天然の自家植込み片、同種植込み片、または異種植込み片が含まれるが、それらに限定されるものではなく、その材料は本質的に吸収性または非吸収性でよい。他の組織の材料の例には、硬組織、結合組織、脱鉱化骨基質、およびそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0036】
本発明の実施形態は、腰椎領域、頸椎領域、および胸椎領域のうちの1つもしくは全て、または他の骨格構造の間に用いることができる。いくつかの実施形態は、解剖学的構造をさらに安定させるために、拡張可能な医療用植込み片に加えてまたはその一部として補助的な固定デバイスを含むこともできる。例えば、限定されるものではないが、ロッド/ねじ固定システム、前方、後方、または横方向の平板固定化システム、関節面安定化システム、棘突起安定化システム、および安定化を補助する任意のデバイスを、拡張可能な医療用植込み片の一部としてまたはそれと組み合わせて使用することができる。
【0037】
本発明の植込み片の実施形態は、好ましくは、概して後方からのアプローチにより植え込むことができる。しかし、本発明の実施形態は、限定されるものではないが、後方、横方向、前方、椎弓根横断方向、横方向外側空洞、椎板切除術と組み合わせた、肋骨横突起切除術と組み合わせた、またはこれらのおよび他の手法の任意の組み合わせによるアプローチを含む、任意の外科的アプローチによる植込みを含むことができる。
【0038】
本明細書では、特定の拡張可能な医療用植込み片を参照しながら本発明の様々な方法の実施形態をしている。しかし、状況によっては、開示した方法の実施形態はそれぞれ、拡張可能な医療用植込み片、または様々な方法 実施形態に関連して開示したように動作可能な何らかの他の植込み片に応用可能な場合がある。
【0039】
下側(lower)、上側(upper)、前方(anterior)、後方(posterior)、下位(inferior)、上位(superior)、横方向(lateral)、内側(medial)、対側(contralateral)などの用語を、相対的な位置を述べるために本明細書で使用してきた。しかし、こうした用語は、特定の座標系の方向に限定されず、特定の実施形態を基準にする相対的な位置を説明するために使用される。こうした用語は、通常、本明細書に記載の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0040】
本発明の実施形態を本開示で図示し詳細に説明してきたが、この開示は、例示的なものであり、特徴を限定するものではないとみなすべきである。本発明の精神に包含される変更形態および修正形態は全て、本開示の範囲内に包含されるとみなすべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片であって、
椎間構造と、
前記少なくとも1つの椎体終板に貫入するように構成されている前記椎間構造から離れる方に延在するノズルであって、前記椎間構造から離れる方に延在する1つまたは複数の側面と、前記少なくとも1つの椎体終板を通して前記椎骨中に開口するように構成されている、前記1つまたは複数の側面の遠位端の近くにある開口部とを含む、ノズルと、
前記ノズルと流体連絡している、充填材を受容するための、前記椎間構造中のポートと
を備える、植込み片。
【請求項2】
前記椎間構造が脊椎円板の置換物である、請求項1に記載の植込み片。
【請求項3】
前記椎間構造が椎体の置換物である、請求項1に記載の植込み片。
【請求項4】
前記椎間構造が、複数の脊椎円板および椎体の置換物である、請求項1に記載の植込み片。
【請求項5】
前記ノズルの前記1つまたは複数の側面が、前記椎体終板中に挿入または貫入するのを助けるために、近位端におけるより幅広の構造から、前記遠位端におけるより細い構造に先細りする、請求項1に記載の植込み片。
【請求項6】
前記ノズルが、前記椎体終板への挿入または貫入を助けるために鋭利である、請求項1に記載の植込み片。
【請求項7】
前記ノズルが、前記ノズルが前記椎体終板から離れる方に移動することに抵抗するように構成されている前記少なくとも1つ側面から延在する突起を含む、請求項1に記載の植込み片。
【請求項8】
前記ノズルが、前記ノズルの前記遠位端を覆うキャップを含み、前記遠位端の近くの前記開口部が、前記1つまたは複数の側面中にある、請求項1に記載の植込み片。
【請求項9】
前記キャップが鋭利な遠位端を有する、請求項8に記載の植込み片。
【請求項10】
前記ノズルと前記椎体終板との間にシールをさらに備える、請求項1に記載の植込み片。
【請求項11】
充填材を受容し前記ノズルを通して拡張するように構成されているバッグをさらに備える、請求項1に記載の植込み片。
【請求項12】
前記バッグが、所定のサイズまたは形状に強制される、請求項1に記載の植込み片。
【請求項13】
前記バッグが、充填材が前記バッグに貫入し前記椎骨に接触できるように少なくとも部分的に有孔である、請求項1に記載の植込み片。
【請求項14】
前記ノズルを通して押される充填材をさらに含む、請求項1に記載の植込み片。
【請求項1】
少なくとも1つの椎体終板に隣接して配置される植込み片であって、
椎間構造と、
前記少なくとも1つの椎体終板に貫入するように構成されている前記椎間構造から離れる方に延在するノズルであって、前記椎間構造から離れる方に延在する1つまたは複数の側面と、前記少なくとも1つの椎体終板を通して前記椎骨中に開口するように構成されている、前記1つまたは複数の側面の遠位端の近くにある開口部とを含む、ノズルと、
前記ノズルと流体連絡している、充填材を受容するための、前記椎間構造中のポートと
を備える、植込み片。
【請求項2】
前記椎間構造が脊椎円板の置換物である、請求項1に記載の植込み片。
【請求項3】
前記椎間構造が椎体の置換物である、請求項1に記載の植込み片。
【請求項4】
前記椎間構造が、複数の脊椎円板および椎体の置換物である、請求項1に記載の植込み片。
【請求項5】
前記ノズルの前記1つまたは複数の側面が、前記椎体終板中に挿入または貫入するのを助けるために、近位端におけるより幅広の構造から、前記遠位端におけるより細い構造に先細りする、請求項1に記載の植込み片。
【請求項6】
前記ノズルが、前記椎体終板への挿入または貫入を助けるために鋭利である、請求項1に記載の植込み片。
【請求項7】
前記ノズルが、前記ノズルが前記椎体終板から離れる方に移動することに抵抗するように構成されている前記少なくとも1つ側面から延在する突起を含む、請求項1に記載の植込み片。
【請求項8】
前記ノズルが、前記ノズルの前記遠位端を覆うキャップを含み、前記遠位端の近くの前記開口部が、前記1つまたは複数の側面中にある、請求項1に記載の植込み片。
【請求項9】
前記キャップが鋭利な遠位端を有する、請求項8に記載の植込み片。
【請求項10】
前記ノズルと前記椎体終板との間にシールをさらに備える、請求項1に記載の植込み片。
【請求項11】
充填材を受容し前記ノズルを通して拡張するように構成されているバッグをさらに備える、請求項1に記載の植込み片。
【請求項12】
前記バッグが、所定のサイズまたは形状に強制される、請求項1に記載の植込み片。
【請求項13】
前記バッグが、充填材が前記バッグに貫入し前記椎骨に接触できるように少なくとも部分的に有孔である、請求項1に記載の植込み片。
【請求項14】
前記ノズルを通して押される充填材をさらに含む、請求項1に記載の植込み片。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−523898(P2012−523898A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505966(P2012−505966)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/031417
【国際公開番号】WO2010/121149
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/031417
【国際公開番号】WO2010/121149
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】
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