説明

検体を検出するための装置と方法

物質サンプル中の検体を検出する装置は、サンプル採取デバイスから溶出した物質サンプルを受容するチャンバと、検体を検出するようになっている試験デバイスを具備する。装置アセンブリの少なくとも一部はサンプル調製時の方向と試験時の方向の間を移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、本明細書に参照として組み込まれる2005年8月2日に出願された米国仮出願番号60/705,089の有益性を請求する。
【0002】
(発明の分野)
医療産業及び外食産業等の多くの産業では、特定の生物学的な細菌又は他の有機体が存在しているか否かを判断するために、物質サンプルの試験が必要となる場合が多い。有機体などの存在は、問題の徴候と思われる。例えば、有機体が存在していることは、ヒトへの感染が存在していること、又は食物若しくは調理表面上に汚染物質が存在していることを示していると思われる。
【背景技術】
【0003】
物質サンプルを試験するための既存の方法では、物質サンプルを集めるために、シャフトの末端部上に多孔質媒体を備えているスワブのようなサンプル採取デバイスを使用してよい。特に、スワブの多孔質媒体は、ヒトの鼻、耳、喉又は創傷部、若しくは調理表面のようなサンプル源と接して配置させ、サンプルを多孔質媒体に付着せてよい。その後、サンプル採取デバイスは、研究室等の異なる場所に移送してよく、この場合、収集されたサンプルは、対象となる特定の有機体が存在するか否かを分析するアッセイを実行するために、サンプル採取デバイスからスライド又は他の外部の実験装置に移送する。対象となる特定の有機体は、「検体」と呼んでよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
時間の遅れに加えて、サンプル源からオフサイト位置までサンプル採取デバイスを移送することは、収集されたサンプルが汚染されるか、又は乾燥する原因となり、検体検出の信頼性を低下させると思われる。さらには、非自蔵型試験デバイス又は方法は、実験技術者が試験プロセス中に検体に曝されると思われるため、問題となり得る。本発明は、これら及び/又は他の問題に対応し、従来のデバイスを上回る有用性を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、ある1つの態様では、生物学的物質を処理する装置を開示する。代表的な実施形態では、前記装置は、溶出サンプルが入る構造のチャンバを具備する。前記サンプルは、チャンバとは空間的に離れた試験デバイスを用いて試験する。開示されているように、前記装置が第1の向きである場合にサンプルがチャンバに入る。装置の方向を変え、試験デバイスを用いて試験するためにチャンバから溶出サンプルを移動させる。
【0006】
ある1つの態様では、物質サンプル中の検体を検出する装置が開示されている。前記装置は、前記物質サンプルが含まれているサンプル採取デバイスを受容するように構成される開口部を備えるハウジングと、前記サンプル採取デバイスからの溶出サンプルを受容するように構成されるチャンバと、前記検体を検出するようになっている試験デバイスを備える試験チャンバと、前記溶出サンプルを受容するように構成される前記チャンバと前記試験チャンバとを接続する通路であって、前記装置が第1の向きにあるときに第1チャンバから前記試験チャンバへの流体の流れを生起し、かつ前記装置が別の向きにあるときに前記試験チャンバへ流体の流れを制限するように方向付けられる通路とを具備する。
【0007】
別の態様では、物質サンプルを処理する装置を開示する。前記装置は、サンプル採取デバイスを受容するようになっている開口部を第1端部に備えるとともに、該開口部とから離隔して配置されるチャンバを備える基部と、前記チャンバ中の物質サンプル中の検体を試験するための、前記基部の前記第1端部にある前記開口部に連結可能な試験デバイスを備える取り外し可能なインジケータキャップとを具備する。
【0008】
別の態様では、物質サンプル中の検体を検出する方法が開示されている。前記方法には、サンプル採取デバイスから装置のチャンバへ物質サンプルを溶出させることと、装置を90°以上回転させるとともに、試験デバイスを用いて溶出サンプルを試験することが含まれている。
【0009】
別の態様では、物質サンプル中の検体を検出する方法が開示されている。前記方法には、装置の第1端部にあるサンプル採取デバイスから物質サンプルを溶出させて溶出サンプルを作成することと、前記装置からサンプル採取デバイスを取り外すことと、前記装置の前記第1端部にある開口部に試験デバイスを取り付けることと、前記装置を操作して、前記溶出サンプルを前記試験デバイスに接触させることが含まれる。
【0010】
上記要約は、本発明の開示された各実施形態、又はあらゆる実施を記載するものではない。次の図面及び詳細な記載は、実例となる実施形態をより具体的に例示するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、物質サンプル中の検体(例えば、グラム陽性菌又はグラム陰性菌)を検出するための装置である。記載されている実施形態では、前記装置は、物質サンプルを受容するように構成されるチャンバと、物質サンプル中の検体を検出するために設計されている試験デバイスとを具備し、前記装置は、サンプル調製時の方向と試験時の方向の間を移動可能である。前記装置は、装置のオペレータ又は機械(又は電気機械)によって2つの方向の間を移動可能である。サンプル調製時の方向では、物質サンプルは、試験デバイスによって検出するために調製される。例えば、サンプルをサンプル採取デバイスから溶出させるか、及び/又は検出のために前処理してもよい。異なる検体は、検体検出前にサンプル又は検体の物理的性質又は化学的性質を変えるために異なる前処理を必要とする場合があり、関連する前処理を本発明に組み込むことができる。代表的な実施形態では、前処理としては、溶出サンプルと試薬を混合させることが挙げられ、前記試薬は溶出サンプル中に存在する検体と反応するようになっている。試験時の方向では、前記装置は、装置を流れる流体の方向を変えて、装置のチャンバ中に保持されている溶出サンプル及び/又は前処理したサンプルが試験デバイスと接触させるようにする。
【0012】
装置をサンプル調製時の方向から試験時の方向に移動させることによって、装置を流れる流体の方向が変わり、結果として、装置の異なる部分が互いに流体接続する。前記チャンバは、サンプル調製時の方向では、チャンバに保持されている物質サンプル(例えばサンプル採取デバイスからの溶出サンプル)が試験デバイスと接触しない構造である。装置の方向を変えることにより、装置オペレータがサンプル調製段階の時間と、試験段階の開始時間とを制御することができる。特に、試験段階は、オペレータが装置をサンプル調製時の方向から試験時の方向に動かさなければ開始しない。サンプル調製段階及び試験段階について以下に詳細に記載する。
【0013】
本発明の装置アセンブリは比較的単純なデバイスであり、サンプル源又はその付近の検体に関して物質サンプルを試験することを可能とする。本発明は、物質サンプルを研究室の外部へ移送せずに、作業者がサンプル源から物質サンプルを得て、その後、サンプル源又はその付近での検体の存在についてサンプルを試験することを可能とする。このことは、試験結果を得るまでの待ち時間が減り、物質サンプルが試験前に汚染されたり、乾燥してしまう危険性を低下させることに役立つ。さらに、物質サンプルが含まれているサンプル採取デバイスを本発明の装置に直接入れてもよい。これにより、危険な検体が含まれていると思われる物質サンプルに作業者が曝されることを提言できる。一部の実施形態では、装置は使い捨てであり、消毒されていなくても、装置を使用する度に清潔さを提供するのに役立つ。
【0014】
一部の実施形態では、本発明の装置は、2つ以上の物質サンプルが受容され、各サンプル中の検体を同時に(又は本質的に同時に)検出するように構成される。複数のサンプルは同じサンプル源由来であっても異なるサンプル源由来であってもよく、各サンプル中の検体は、同様の検体であっても異なる検体であってもよい。例えば、ある1つの実施形態では、装置は、2つ以上の物質サンプルが受容され、第1のサンプル中のグラム陽性菌と、第2のサンプル中のグラム陰性菌とを同時に検出するように構成される。他の実施形態では、装置には1個の物質サンプルが受容され、1個の物質サンプル中の2つの異なる検体を例えば2つの異なる試験デバイスを用いて同時に(又は本質的に同時に)検出するように構成される。例えば、ある1つの実施形態では、装置には1個のサンプル採取デバイスが受容され、前記デバイスには物質サンプルが入っており、前記装置は、サンプル採取デバイスからサンプルを溶出させるように構成され、この場合、2個の試験デバイスが溶出したサンプル中のグラム陽性菌及びグラム陰性菌を同時に検出する。この態様では、本発明は、1個の装置でグラム陽性菌及びグラム陰性菌の試験を行う。
【0015】
本発明は、代表的な実施形態を参照しながら説明しており、いずれの代表的な実施形態でも物質サンプル中の検体を検出するための間接的なアッセイを使用している。代表的な実施形態で用いられるアッセイプロセスの一般的な解釈は、本発明の装置の説明に役立つであろう。しかしながら、アッセイプロセスに関する以下の説明は、本発明を制限することは全く意図していない。むしろ、物質サンプル中の検体を検出するための本発明の装置及び方法は、直接又は間接にかかわらず、多くの異なる種類のアッセイに適用してよい。
【0016】
代表的な実施形態に従って、サンプル採取デバイスを用いて物質サンプルを得る。分析の実行前に、物質サンプルを調製する。サンプル調製段階では、装置(又は装置の構成要素)はサンプル調製時の向きである。物質サンプルを第1の緩衝液を用いてサンプル採取デバイスから溶出させ(又は「放出させ」るか若しくは「洗浄し」)、溶出サンプルを作成する。以下では、「溶出サンプル」は、サンプル採取デバイス及び第1の緩衝液から取り出したサンプルの組み合わせのことをいう。適切な緩衝液の例としては、水、生理食塩水、pH緩衝液、又はサンプル採取デバイスから検体を溶出させる任意の他の溶液又は溶液の組み合わせが挙げられるが、これらに限らない。緩衝液はアッセイを妨害しないものが好ましい。
【0017】
次いで、溶出サンプルを、この溶出サンプル中に存在する任意の検体と反応する(例えば結合する)ようになっている試薬と混合させる。直接アッセイを用いる場合、試薬は必要でないかもしれない。検体と試薬とを反応させ、十分な「反応時間」をとった後、装置をサンプル調製時の方向から試験時の方向に移動させる。試験時の方向では、溶出サンプルと試薬の混合物が試験デバイスと接触する。間接アッセイでは、試験デバイスは、検体自体よりも検体と反応するようになっている試薬の存在を検出する。具体的に言うと、試薬と検体とが反応し、任意の残存試薬(すなわち、検体と反応せずに、別個の生成物を形成させる試薬)が試験デバイスと反応する。例えば、任意の残存試薬(「第1の試薬」)は、試験デバイスに固定化されている第2の試薬と反応する。その後、試験デバイスは、試薬の存在及び/又は量の視覚的なしるしを提供する。試薬が試験デバイスで第2の試薬と反応する実施形態では、第2の試薬と結合する第1の試薬の量は色の変化によって示される。試験デバイスと接触する前に、検体及び試薬には反応するために十分な時間を与えることが好ましい。試験デバイスは、比色センサのような任意の好適なデバイスであってよい。
【0018】
ある1つの実施形態では、試薬は試験デバイスの表面(もともとは青色)と反応し、試薬と試験デバイスとが反応するにつれて試験デバイスの色が変化する。大量の試薬が試験デバイスと反応する場合、試験デバイスは青色から赤色に変化してもよい。少量の試薬が試験デバイスと反応する場合、試験デバイスの色は変化せず、青色のままである。試験デバイスは、存在する試薬の量(典型的には物質サンプル中に存在する検体の量を示す)を提供するように構成されてもよい。例えば、試験デバイスは色が変化してよく、この場合、その色の強度又は色相は試薬の存在量によって変化する。代替的な実施形態では、試験デバイスは、その他の好適な方法によって試薬量を測定及び表示する。
【0019】
典型的に、検体との反応後に大量の試薬が存在することは、物質サンプル中に大量の試薬が存在しないことを示すので、試薬の存在量は検体の存在量を示す。同様に、検体との反応後に少量の試薬が存在することは、物質サンプル中に大量の検体が存在することを示す。
【0020】
代替的な実施形態では、捕捉媒体を用いて、検体のうち少なくとも一部を溶出サンプルから単離させた後に、検体と試験デバイスを接触させてもよい。多量に存在しなければ検出できない検体もあるため、検体を単離、及び、ある意味では濃縮することが望ましい場合もある。単離/濃縮は、正確な検出する可能性を増大させる可能性がある。
【0021】
第1の代表的な実施形態では、装置中に検体を検出するための化学物質がほぼすべて含まれているので、装置は実質的に自蔵型である。これにより、装置の作業者は、事故による漏出又は別の事象などによって、試験プロセスで用いられる検体及び/又は流体に曝される可能性を低減される。第1の例示的な装置は、装置を約90°横方向に傾けることによってサンプル調製時の方向から試験時の方向に移動させる。第1の例示的な装置は、物質サンプルを受容するチャンバと、検体を検出するようになっている試験デバイスを備える。チャンバ及び試験デバイスは、2種類の流路が形成されるようにほぼ並列な配置に構成される。サンプル調製時の方向にある第1の流路は、試験時の方向にある第2の流路とは分断されている。サンプル調製時の方向では、第2の流路にサンプルは流れず、ある意味、サンプルは試験デバイスと接触しないようになっている。第1の例示的な装置を図1に示す。
【0022】
第2の代表的な実施形態では、装置は、基部を備えている装置アセンブリであり、サンプル採取アセンブリ及びインジケータキャップを交換可能に装着できるように構成される。基部は、溶出した物質サンプルを入れるためのチャンバを具備する。サンプル採取アセンブリは中空軸を具備し、この中空軸には末端と基端があり、多孔質媒体は末端に取り付けられ、流体リザーバは基端に取り付けられる。インジケータキャップは試験デバイスを具備し、この試験デバイスは検体を検出し、試験結果を提供するように構成される。サンプル調製時の方向では、サンプル採取アセンブリは基部に取り外し可能に取り付けられ、基部はサンプル採取アセンブリより下の位置にある(すなわち、基部は最も小さいz座標位置を有しており、図1では直交座標x−y−zが示されている)。「取り外し可能に接続」とは、サンプル採取アセンブリの基部への接続が永久的ではないことを示す。基部は、サンプル採取アセンブリを支持するように構成され、サンプル採取アセンブリの流体リザーバは基部中のチャンバと流体接続させるように構成される。
【0023】
基部がサンプル採取アセンブリより下に配置されている場合、第1の流路はサンプル採取アセンブリから基部へと形成される(流路の方向は重力によって決まる)。サンプル調製段階中、サンプルはサンプル採取デバイスから溶出される。サンプル調製時の方向にしたままでサンプル採取アセンブリを基部から外し、インジケータキャップを基部に取り外し可能に取り付けられる。試験時の方向では、インジケータキャップ及び基部を約180°回転させると、インジケータキャップは基部の下に位置し、第2の流路は基部からインジケータキャップへと形成される。溶出した溶液及び/又は前処理した溶液を第2の流路に沿って移動させ、インジケータキャップ中の試験デバイスと接触させる。第2の代表的な実施形態について図4を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1の代表的な実施形態である装置10がサンプル調製時の向きである側面図であり、サンプル採取アセンブリ12が装置10に挿入されている。装置10には、サンプル調製時の方向(図1に示す)と試験時の方向(図3Aに示す)が含まれる。第1に、サンプル調製時の方向では、装置10は、装置10が置かれた概ね水平な面(例えば図1の表面)に対して概ね直立の向きである。第2に、試験時の方向では、装置10の流路を変えるために装置10を約90°回転させる。試験時の方向を図3Aに図示し、この図を参照しながら説明する。
【0025】
装置はハウジング14を具備し、ハウジング14はサンプル採取アセンブリ12を受容するように構成される。ハウジング14は、チャンバ16、試験デバイス20、チャネル21及び吸収性材料も更に具備し、チャンバ16には溶出サンプル18(サンプル採取アセンブリ12から溶出した物質サンプル)が受容される。試験デバイス20は検体を検出し、試験結果を出力するようになっている。チャネル21は、チャンバ16と試験デバイス20とを流体接続する通路を形成する。吸収性物質22は、試験デバイス20に隣接して配置されている(この場合、試験デバイス20は、チャネル21と吸収性物質22の間に配置されている)。吸収性物質22は、ウィッキング作用を引き起こすことによって流体が試験デバイス20を通過して流れるのを助けることを可能にする。
【0026】
サンプル採取アセンブリ12は、ハウジング14の開口部15に受容され、好ましくは、開口部15と密着し、開口部15がサンプル採取アセンブリ12を実質的に覆うように密接に適合接触している。これにより、装置10が自蔵型となる。サンプル採取アセンブリ12は、サンプル採取デバイス24と流体リザーバ26を具備する。サンプル採取デバイス24は、任意の適切なデバイス、例えばスワブであってもよい。適切なサンプル採取デバイスの例は、本出願と同日出願された「標本試験ユニット(SPECIMEN TEST UNIT)」という名称の米国特許第5,266,266号、及び「物質サンプルを集める装置及び方法(APPARATUS AND METHOD FOR COLLECTING A SAMPLE OF MATERIAL)」という名称の米国特許出願第60/705,140号(代理人番号第61097US002)に記載されている。
【0027】
代表的な実施形態では、サンプル採取デバイス24に中空軸28が具備され、中空軸28に基端28A及び末端28Bがあり、多孔質媒体30が末端28Bに隣接する中空軸28に取り付けられることが好ましい。サンプル採取デバイス24の多孔質媒体30をサンプル源(例えば、ヒトの鼻、耳、喉(又はヒトの創傷部又は対象となる他の身体領域又は食品調製表面)と接触させてもよく、サンプル源由来のサンプルを多孔質媒体30に付着させてもよい。サンプル採取デバイス24(サンプル採取アセンブリ12の一部分である)を開口部15に入れることによって、サンプルが装置10内部に入る。
【0028】
代表的な流体リザーバ26には流体が保持されており(図1に示されていない)、この流体は緩衝液であってもよい。適切な流体リザーバの例としては、変形可能な絞りバルブ、シリンジ又はアコーディオンプリーツバルブが挙げられるが、これらに限らない。適切なシリンジの例としては、ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson)(ニュージャージー州フランクリン湖)から市販されているBD HyPakシリンジが挙げられる。図1では、流体リザーバ26は、スナップバルブ32を備えた変形可能な絞りバルブであるように示されている(図はスナップバルブ破壊時)。アッセイに組み込まれる緩衝液の種類は、装置10が検出するように構成される検体を含む多くの因子に依存する。流体リザーバ26は、中空軸28の基端28Aと選択的に流体接続するように配置されている。「選択的に流体接続」は、バルブ、(例えばシリンジの)プランジャ、又は流体リザーバ26に入った流体をサンプル採取デバイス24の中空軸28に入れるために装置作業者によって行われる他の手段を示す。サンプル採取デバイス24の中空軸28に流体を放出させると、多孔質媒体30に付着したサンプルが溶出され、溶出サンプルが得られる。
【0029】
装置10がサンプル調製時の向きであるとき(図1)、検出用の物質サンプルが調製される。本発明の代表的な実施形態によれば、装置10をサンプル調製時の向きでサンプルを装置10に入れる。具体的に言うと、多孔質媒体30を用いてサンプルを集め、この多孔質媒体30を備えるサンプル採取デバイス24をハウジング14の開口部15に入れる。次いで、流体リザーバ26中に保持されていた流体を放出することによって、サンプル採取デバイス24の多孔質媒体30からサンプルを溶出させる。得られた溶出サンプル18(図1にチャンバ16に保持されている状態を示す)は、装置10がサンプル調製時の向きであるときに形成される第1の流路に沿って装置を流れる。第1の流路は、サンプル採取デバイス24からチャンバ16に向かって形成される。そのため、サンプル採取デバイス24及びチャンバ26は、サンプル調製時の方向では流体接続している。
【0030】
第1の代表的な実施形態では、溶出サンプル18中に存在する任意の検体は、検体と反応するようになっている試薬と接触する位置に置かれる。試薬は、好ましくは、装置10の保管中に試薬を安定的に保つために脱水されている。代表的な実施形態では、脱水された試薬がチャンバ16内に配置されており、チャンバ16中で更新される。チャンバ16中で脱水された試薬と溶出サンプル18が接触すると、溶出したサンプルは試薬を再活性化するために更新される。試薬及び溶出サンプル中に存在する検体(存在する場合)は、チャンバ16で反応する。作業者は、装置10を攪拌することによって、例えば装置10を振り混ぜることによって、又はチャンバ16の内容物をボルテックス混合することによって反応プロセスを促進させるか、又はプロセスの進行を助ける。
【0031】
代替的な実施形態では、脱水された試薬は、装置内の任意の適した場所に配置してもよい。例えば、脱水された試薬は、チャンバ16の上流のハウジング14に(すなわち、チャンバ16より前にある第1の流路に沿って)配置してもよい。あるいは、試薬は、装置10の外側で更新され、サンプル採取デバイス24の中空軸28を通って装置10に注入させてもよい。
【0032】
図2は、作業者が混合プロセスを開始するまでは流体42と試薬44が分断されている双対のチャンバアセンブリ40を示している。双対チャンバアセンブリ40は、サンプル採取デバイス24から物質サンプルを溶出させて流体26を得るための代替的な実施形態を提供する。図示したように、双対チャンバアセンブリ40は、流体42が保持されているシリンジ46と、試薬区画48を具備する。図中のアダプタ50は、試薬区画48及びシリンジ46に取り付けられて試薬区画48とシリンジ46を流体接続させる。シリンジ46はプランジャ部材52を具備する。シリンジ46のプランジャ部材52を押すと、流体42がシリンジ46から試薬区画48へと流れる。次いで、試薬区画48を攪拌し、脱水した試薬44を溶解させる。脱水した試薬44を流体42に溶解させた後、プランジャ52によって作動する減圧作用によって試薬区画48の内容物をシリンジ46に抜き取りできる。その後、試薬区画48及びアダプタ50をシリンジ46から取り外し、注射器46の内容物(すなわち試薬及び流体溶液)をサンプル採取デバイス24の中空軸28に入れる。
【0033】
概して、試薬及び検体の反応位置は試薬が配置されている場所に依存する。しかし、装置10がサンプル調製時の向きであるときに検体が試薬と反応することが好ましい。上に述べたように、間接アッセイではこの試薬が試験デバイスと反応するからである。
【0034】
試薬と溶出サンプル18中に存在する任意の検体が反応するのに十分な時間が経過した後、装置10をサンプル調製時の方向(図1)から試験時の方向(図3a)に動かす。図3aは、第1の代表的な実施形態である装置10を試験時の方向に向けた側面図である。装置10をサンプル調製時の方向から試験時の方向へと約90°回転させる(図1及び図3に直交座標x−zによって参照点が記載されている)。
【0035】
装置10の試験時の方向では、チャンバ16、チャネル21及び試験デバイス20は、異なるz座標位置を有するように構成されており、チャンバ16は最大のz座標位置を有し、試験デバイスは最小のz座標位置を有する。チャンバ16から試験デバイス20まで段階的に下方に向かって傾斜しているため、第2の流路はチャンバ16から試験デバイス20に向かって形成される。代表的な実施形態では、溶出サンプル18は、重力によってチャンバ16から試験デバイス20へと流れる。上述のように、吸収性物質22は試験デバイス20に流体が流れやすくするのに役立つ。代替的な実施形態では、溶出サンプル18をチャンバ16から試験デバイス20に流れやすくするための他の手段を使用する。
【0036】
装置10を試験時の方向10に移動させた後、溶出サンプル18は第2の流路に沿ってチャンバ16からチャネル21を通って流れ、試験デバイス20と接触する。第1の代表的な実施形態では、チャネル21は、チャンバ16から試験デバイス20への流れを制御するためのマイクロ流体要素を具備する。試験デバイス20では、流体中の検体又は試薬が試験デバイス20と反応するために、流速が特定の速度以下である必要がある。代表的な実施形態では、間接アッセイを用いており、流体中の試薬が試験デバイス20と反応する。複数のマイクロ流体要素は、試験デバイス20への流量を調節するのに役立つことができる。
【0037】
任意の残存試薬(すなわち検体と反応しなかった試薬)が試験デバイス20と反応するのに十分な時間が経過した後、作業者(又は機械)がウィンドウ23から試験デバイス20を観察し、試験結果を読み取る。反応時間は、検体及び/又は試薬の種類を含む多くの因子に依存する。あるいは、ウィンドウ23は装置10の任意の適した位置にあってもよい。もちろん、ウィンドウ23は、試験デバイス20をウィンドウ23から観察するために、試験デバイス20付近にある必要がある。
【0038】
試験デバイス20では、サンプル採取デバイス24で集めた物質サンプル中に検体が存在するか否かを視覚的に判断するしるしを与え、一部の実施形態では、試験結果は検体の量を示す。第1の代表的な実施形態では、試験デバイス20は比色センサであり、例えば、共に「ジアセチレン材料で構成された比色センサ(COLORIMETRIC SENSORS CONSTRUCTED OF DIACETYLENE MATERIALS)」という名称の米国特許出願第2004/0132217A1号及び米国特許出願第60/636,993号(2004年12月17日出願)に記載されているようにポリジアセチレン材が含まれていてもよい。
【0039】
代表的な実施形態では、試験デバイス20の色はカラーコーディングスキーム(color-coding scheme)に対応している。試験デバイス20は、検体が物質サンプル中に存在するか否かに依存して色が変化するか、又は変化しない。ユーザーは、この色変化をウィンドウ23から見ることができる。色変化は、存在する検体の量を示すために等級に分けてもよい。検体の量は、例えば、「低レベル」「中レベル」又は「高レベル」の指標に対応する色のグラデーションによって示してよい。一部の実施形態では、装置10はカラーコーディングスキームを示すラベルを具備し、作業者はウィンドウ23から得られた色とラベルの色を比較する。他の実施形態では、色変化はヒトの目で検出することができない。この場合には、機械又は電子読取装置(例えばスペクトロメーター)を使用して色変化を検出する。代替的な実施形態では、他の試験デバイスを使用してもよい。例えば、装置10には、その試験結果のしるしがpH変化又は分析される媒体の特性における他のいくつかの変化によって特徴付けられる試験デバイスを組み込んでもよい。
【0040】
図1及び図3aには1個だけのサンプル採取アセンブリを受容するように構成される第1の例示的な装置10が示されているが、装置10は、2個以上のサンプル採取アセンブリを受容するように改変してもよい。図3bは、装置の代替の実施形態の模式図を示している。上述のように、装置100は、第1のサンプル採取アセンブリ102と第2のサンプル採取アセンブリ104とを受容するように構成される。装置100は第1のチャンバ106と第2のチャンバ108を具備し、これらのチャンバは互いに分割されている。第1のチャンバ106は第1のサンプル採取アセンブリ102からの溶出サンプル110を受容するように構成され、第2のチャンバ108は第2のサンプル採取アセンブリ104からの溶出サンプル112を受容するように構成される。1つ以上のチャンバ106及び108には、サンプル採取アセンブリ102及び104それぞれから溶出したサンプルが別個に入る必要がある。装置100は、チャンバ106及び108と流体接続している別個のチャネル及び試験デバイス(図示なし)をそれぞれ具備し、それぞれのチャネル及び試験デバイスは、図1に示したチャネル21及び試験デバイス20と同様のものであってよい。試験デバイスはそれぞれ異なる検体を検出するようになっていてもよい。装置100は、物質サンプル中の2個以上の検体を検出するために使用してもよく、検出は本質的に同時であってもよい。
【0041】
図4は、装置60で示されている本発明の第2の代表的な実施形態である。装置アセンブリ60は、基部62とインジケータキャップ66を具備する。基部62は、両端に第1の末端部62Aと第2の末端部62Bを具備する。基部62の第1の末端部62Aは、インジケータキャップ66及びサンプル採取アセンブリ64が交換可能に装着される構造である。基部62の第2の末端部62Bは底部表面63を具備し、底部表面63は基部62が置かれている略水平表面に対して概ね直立の方向に基部62を支持するように構成される。タイマー61が基部62に取り付けられてもよい。タイマー61は装置作業者が試薬と検体の反応時間を計るのに役立ち、これについては以下に記載する。代替的な実施形態では、装置アセンブリ60はタイマーを具備しない。これらの例では、作業者は自分でタイマーを用意してもよい。
【0042】
上述のように、サンプル採取アセンブリ64はサンプル採取デバイス68を具備し、サンプル採取デバイス68は任意の適したデバイス又はアセンブリであってもよい。図示した実施形態では、サンプル採取デバイス68は図1及び図3aのサンプル採取デバイス24と同様のものである。具体的に言うと、サンプル採取デバイス68は、中空軸70を備えているスワブであり、中空軸70には基端70Aと末端70Bがあり、多孔質媒体72は中空軸70の末端70Bに取付けらている。多孔質媒体72は、中空軸70の末端70Bに配置されており、末端70Bには、流体76が中空軸70の第2の末端70Bを通って多孔質媒体72に接触するようにする開口部が少なくとも1個具備される。
【0043】
サンプル採取アセンブリ64は流体リザーバ74を具備する。流体リザーバ74はサンプル採取デバイス68の中空軸70の第1の末端部70Aと選択的に流体接続する位置に配置されている。流体リザーバ74には流体76が保持されており、流体76が流体リザーバ74から放出された後、サンプル採取デバイス68の多孔質媒体72から物質サンプルが溶出される。
【0044】
図4では、流体リザーバ74はシリンジであり、流体76は流体リザーバ74に保持されており、流体チザーバ74から流体76を放出するためにプランジャ部材74Aは押し下げてよい。図5は、図4の装置の代替的な実施形態であるサンプル採取アセンブリ80を示しており、流体リザーバ74が流体リザーバ75と交換されている。図5に示した代替的な実施形態では、流体リザーバ75は変形可能な絞りバルブであり、この絞りバルブは、流体リザーバ75から流れる流体78を制御するための破壊型の先端77を具備する。図5に示したように、サンプル採取アセンブリ80は基部62の開口部82に完全には入り込んでいない。
【0045】
他の代替的な実施形態では、流体リザーバ74はアコーディオンプリーツバルブであるか、又は変形可能な絞りバルブよりも大きな圧力で選択的に流体を放出可能な別の種類のリザーバである。サンプル採取デバイス68の多孔質媒体72から多くの物質サンプルを溶出させるために大きな圧力をかけることが望ましい場合がある。特定の検体は感受性が高い場合があり、試験デバイスによって検出するために多くの量の検体が必要である場合がある。この場合には、シリンジ又は多くの圧力をかけて流体を放出可能な他のデバイスを使用して流体76を放出させ、多孔質媒体72から物質サンプルを溶出させることが好ましい。
【0046】
再び図4を参照すると、インジケータキャップ66は突起部66Aを具備し、突起部66Aは、基部62の第1の末端62Aに配置されている開口部82とぴったりかみ合う構造になっており、これによりインジケータキャップ66を基部62に取り付けることができる。もちろん、インジケータキャップ66は、サンプル採取アセンブリ64が基部62から取り外されるまでは基部62に取り付けられない。インジケータキャップ66の底部(又は「下面」)66Bは、インジケータキャップ66が置かれている概ね水平な面に対して概ね直立の方向に基部62を配置するように構成される。この様式では、インジケータキャップ66及び基部62の底面63は、ともに概ね水平な面に対して基部62を支持する同様の機能を共有している。
【0047】
インジケータキャップ66は、図1及び図3aのチャネル21及び試験デバイス20と同様のチャネルと試験デバイス(図示なし)を具備する。試験デバイスは、ウィンドウ84(インジケータキャップ66の下面66Bの図である図9に示されている)を介して試験結果の視覚的なしるしを提供するのが好ましい。代表的な実施形態では、検体は間接的アッセイによって検出され、試験デバイスは比色センサである。前記比色センサは、図1及び図3Aの試験デバイス20を参照しながら上述した比色センサと同様であってよい。チャネル21及び試験デバイス20が装置10’の下方に傾斜した位置に配置されているのではなく、インジケータキャップ66はウィッキング作用を引き起こす吸収性物質を具備し試験デバイスへ流体が流れるのを促進する。これについては図8を参照しながら以下で説明する。
【0048】
本発明は、物質サンプル中の検体を検出するために使用してもよい。試験用物質サンプルのサンプル調製段階中、基部62がサンプル調製時の向きであるとき(図4に示されている)、物質サンプルはサンプル採取デバイス68から溶出される。物質サンプルをサンプル採取デバイス68を用いて集める。中空軸70を操作して多孔質媒体72とサンプル源とを接触させ、物質サンプルを多孔質媒体72に付着させる。サンプルを集めた後、サンプル採取アセンブリ64を基部62の開口部82(図5に示されている)に入れる。図4に示されているプランジャ部材74を押すか、又は先端部77を破壊し、流体リザーバ74又は75から流体76又は78を放出させ、サンプル採取デバイス68の中空軸70に流体76又は78を入れる。流体76が中空軸70を通って流れ、サンプル採取デバイス68の多孔質媒体72と接触する。流体76が多孔質媒体72を通って移動するにつれて、多孔質媒体72から物質サンプルの少なくとも一部が溶出され、「溶出サンプル86」が得られる(図6に示されている)。
【0049】
溶出サンプル86は、サンプル調製時の方向で基部62によって形成される第1の流路で基部62を通って移動する。図6に示したように、溶出サンプル86’は基部62(流体チャンバを形成している)に保持されている。上述のように、基部62をサンプル調製時の方向にして溶出サンプル86を試薬と混合し、図7に示されている溶出サンプル86’を得る。試薬及び溶出サンプル86は最短時間で反応させる必要がある場合がある。反応時間はタイマー61でモニタリングしてよく、タイマー61は、あらかじめ設定してあるカウントダウンタイマーを具備してもよいし、又は作業者がタイマーを設定してもよい。第1の代表的な実施形態では、作業者が試薬と溶出サンプル86を攪拌し、試薬と検体を反応を促進する。手で攪拌してもよいし、機械(例えばボルテックスミキサー)で攪拌してもよい。
【0050】
溶出サンプル86’を基部62に保持させた後、サンプル採取デバイス68を基部62の開口部82から取り外し、インジケータキャップ66を基部62の開口部82に取り付けできる。図7は、基部62(サンプル調製時の方向のままである)及びインジケータキャップ66を示しており、インジケータキャップ66の突起部66Aは基部62の開口部82と頭合せされる。
【0051】
図7〜8に示したように、インジケータキャップ66の突起部66Aは開口部82にはめ込むように構成される。インジケータキャップ66は基部62に取り付けられ、基部62をサンプル調製時の方向から試験時の方向(図8に示す)に移動させる。具体的に言うと、基部62を約180°回転させると、基部62の第2の末端62Bは第1の末端62Aよりも大きなZ座標位置を有する(図7及び図8の直交x−z座標を参照)。試験時の方向では、インジケータキャップ66は基部62を支持する。サンプル調製時の方向では、基部62に配置されている溶出サンプル86’はインジケータキャップ66と接触するとは考えにくく、そのため、基部62が試験時の向きにあるまでは典型的には試験段階は開始できない。装置作業者が基部62をサンプル調製時の方向から試験時の方向に手動で動かすため、本発明は試験段階を開始する時を作業者が制御することができる。
【0052】
基部62を試験時の方向に動かした後、溶出サンプル86’はインジケータキャップ66のチャネル(図8には示されていない)を通って移動し始め、チャネルは、流体が試験デバイスへと流れる流路を形成する(図8には示されていない)。試験デバイスをチャネルと吸収性物質の間に配置し、吸収性物質(図示なし)はウィッキング作用によって試験デバイスに流体の流れが引き起こされるのに役立つ。
【0053】
図9は、インジケータキャップ66の下面66Bを示しており、下面66Bは、ウィンドウ84とカラーコーディング図88を具備する。溶出流体86’がインジケータキャップ66に配置されている試験デバイスを流れ、デバイスと反応した後、ユーザーはウィンドウ84から試験結果を観察することができる。図3Aのウィンドウ23と同様に、比色センサ(又は他の試験デバイス)をウィンドウ84を通して見ることができる。次いで、作業者は、ウィンドウ84に現れた色とカラーコーディング図88を比較して試験結果を解釈することができる。カラーコーディング図88のそれぞれの円は異なる色であるか、又は色相の強さが異なっており、それぞれの色又は色相は異なる試験結果をあらわす。このように、作業者は、ウィンドウ84に現れた色と最も近いカラーコーディング図88の円を選択し、試験結果を判定することができる。別の試験デバイス(例えば記号又はpHを出力するデバイス)を使用する場合、カラーコーディング図88は、それぞれ記号、pH又は他のしるしを示すように改変してもよい。
【0054】
インジケータキャップ66の下面66B、ウィンドウ84及びカラーコーディング図88は図8に円で示されているが、インジケータキャップ66、ウィンドウ84及びカラーコーディング図88は任意の適した形状であってもよい。さらに、代替的な実施形態では、ウィンドウ84及び/又はカラーコーディング図88はインジケータキャップ66又は基部62の別の適した位置にあってもよい。
【0055】
図1及び図3aの第1の例示的な装置10では、装置アセンブリ60は、一度に2個以上の物質サンプルを試験し、および/または一度に2個以上の検体を検出できるように改変してよい。
【0056】
好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱しない形態及び詳細の変更を行えることが、当業者であれば理解できるであろう。
【0057】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参考として組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨を逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当分野の技術者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる代表的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。
【0058】
以下に列記する図面を参照しながら本発明をさらに説明するが、いくつもの図にわたり、同じ構造体は同じ数字によって示してある。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の代表的な実施形態である装置であって、前期装置にはサンプル採取アセンブリが挿入されている装置がサンプル調製時の向きである側面図。
【図2】図1に示した流体リザーバの代替的な実施形態の側面図。
【図3a】図1の装置を試験時の方向に向けた側面図。
【図3b】2個のサンプル採取アセンブリを受容するように構成される装置の模式図。
【図4】装置は、サンプル採取アセンブリ(基部に入る)及びインジケータキャップを交換可能に受容するように攻勢される基部を備えているアセンブリである装置である、本発明の装置の第2の代表的な実施形態の側面図。
【図5】図4に示した注射器状の流体リザーバを変形可能な絞りバルブに交換した図4の装置の側面図。
【図6】流体リザーバに保持されていた流体を放出させ、溶出サンプルを生成させ、前記溶出サンプルを基部に保持させた状態の図4の装置の側面図。
【図7】サンプル採取アセンブリを基部の開口部から取り外し、基部の開口部とはめ込みするようにインジケータキャップが頭合せされた図6の装置の側面図。
【図8】インジケータキャップが基部の開口部に完全に入り込んでおり、基部が試験時の向きである図7の装置の側面図。
【図9】図4、7及び8のインジケータキャップの下側の図であり、ウィンドウ及びカラーコーディング図が下面に配置されている、図4、7及び8のインジケータキャップの下側の図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質サンプル中の検体を検出するための装置であって、
物質サンプルを含むサンプル採取デバイスを受容するように構成される開口部を備えるハウジングと、
前記サンプル採取デバイスからの溶出サンプルを受容するように構成されるチャンバと、
前記検体を検出するようになっている試験デバイスを備える試験チャンバと、
前記溶出サンプルを受容するように構成される前記チャンバを前記試験チャンバに接続する通路であって、前記装置が第1の向きにあるときに第1のチャンバから前記試験チャンバへの流体の流れを生起し、かつ前記装置が別の向きにあるときに前記試験チャンバへの流体の流れを制限するように方向付けられる通路と、
を具備する装置。
【請求項2】
物質サンプルを処理するための装置であって、
サンプル採取デバイスを受容するようになっている開口部を第1端部に備えるとともに、該開口部から離隔して配置されるチャンバを備える基部と、
前記チャンバ内の物質サンプル中の検体を試験するための、前記基部の前記第1端部にある前記開口部に連結可能な試験デバイスを備える取り外し可能なインジケータキャップと、
を具備する装置。
【請求項3】
前記試験デバイスが、試験結果の視覚的な指標を提供する比色センサを備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記比色センサがポリジアセチレン物質を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記溶出サンプルを受容するように構成される前記チャンバを前記試験デバイスに接続する前記通路が、少なくとも1つのマイクロ流体要素を備える、請求項1、3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記試験チャンバが吸収性物質を備える、請求項1、3、4又は5に記載の装置。
【請求項7】
溶出サンプルを受容するように構成される第1及び第2のチャンバと、第1及び第2の試験デバイスを有する第1及び第2の試験チャンバとをさらに具備し、該第1及び第2のチャンバの各々は、前記装置が前記第1の向きにあるときに該第1及び第2の試験チャンバへの流体の流れを生起し、かつ前記装置が前記他の向きにあるときに該第1及び第2の試験チャンバへの流体の流れを制限するように方向付けられる通路を介して、該第1及び第2の試験チャンバに接続される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、第1のアッセイが第1の検体を検出するようになっているとともに第2のアッセイが第2検体を検出するようになっている、少なくとも2つのアッセイを同時に実行できるように構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記検体に反応するようになっている試薬をさらに具備し、該試薬が前記装置に配置される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記検体に反応するようになっている試薬をさらに具備し、該試薬が前記通路に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
サンプル採取デバイスと組み合わせられる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置であって、
末端に多孔質媒体を備える中空軸と、
前記中空軸の基端に連結可能で、物質サンプルを溶出する流体の流れを生起する流体リザーバと、
を具備する装置。
【請求項12】
前記サンプル採取アセンブリが、絞りバルブ、シリンジ及びアコーディオンプリーツバルブからなる群から選択される流体ディスペンサーを有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記底部に取り付けられるタイマーをさらに具備する、請求項2に記載の装置。
【請求項14】
前記インジケータキャップは、吸収性物質をさらに備え、前記試験デバイスが、チャネルと該吸収性物質との間に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項15】
前記通路に沿った前記試験チャンバへの流路が傾斜している、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記チャンバを備える前記ハウジングは、前記溶出サンプルを受容するように構成され、前記試験チャンバがほぼU形である、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記試験チャンバは、前記溶出サンプルを受容するように構成される前記チャンバと吸収性物質を有するチャンバとの間にある、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
物質サンプル中の検体を検出する方法であって、
サンプル採取デバイスから装置のチャンバへ物質サンプルを溶出させることと、
前記装置を90°以上回転させるとともに、試験デバイスを用いて前記溶出したサンプルを試験することと、
を含む方法。
【請求項19】
前記装置を約90°回転させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記装置を約180°回転させる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
物質サンプル中の検体を検出する方法であって、
装置の第1端部にあるサンプル採取デバイスから物質サンプルを溶出させて溶出サンプルを作成することと、
前記装置から前記サンプル採取デバイスを取り外すことと、
前記装置の前記第1端部にある開口部に試験デバイスを取り付けることと、
前記装置を操作して、前記溶出サンプルを前記試験デバイスに接触させることと、
を含む方法。
【請求項22】
前記溶出サンプルを試験する前に、前記溶出サンプルと試薬とを混合させることをさらに含む、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記装置を操作するステップが、前記試験デバイス及び前記装置を約180°回転させることを含む、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−503552(P2009−503552A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525198(P2008−525198)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/030338
【国際公開番号】WO2007/016691
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】