説明

検体を検出するための試薬

検体検出に使用する試薬が蛍光エネルギードナーおよびエネルギーアクセプターを含み、エネルギーアクセプターは一般式(I)のものであり、試薬のエネルギードナーとエネルギーアクセプターとの間の距離は検出されるべき適切な検体によって調節されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体の検出に使用する試薬、かかる試薬において使用する適切な色素化合物、かかる試薬を使用する検体の検出および測定の方法、ならびに検体およびかかる試薬の複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
検体の検出および測定の方法は、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)に依存する。
【0003】
FRETは、2つの色素種の電子的励起状態間の距離依存性の相互作用であり、励起エネルギーが光子の放出を伴わずにドナーからアクセプターへ移動する。
【0004】
FRETの効率は、分子間隔の6乗の逆数に依存する。[参照文献1.B.Wieb Van der Meer、G.Coker III,S.−Y.「Simon Chen、Resonance energy transfer,Theory and data」、VCH publishers、1994;2.「Principles of Fluorescence Spectroscopy」、Joseph R.Lakowicz(Ed.)、2.edition、Plenum Press、New York 1999]。したがって、FRETの検出は、ドナーで標識された種とアクセプターで標識された種との間の距離を決定するために使用することができる。これは、例えばこれら2つの種が互いに結合されているかどうかを判定するために使用することができる。
【0005】
FRETの要件は、
− ドナーとアクセプターは接近していなければならない(通常は10〜100Å)。
【0006】
− アクセプターの吸収スペクトルは、ドナーの蛍光放出スペクトルと重なっていなければならない。
【0007】
− ドナーとアクセプターの遷移双極子の配向は、ほぼ平行でなければならない。
【0008】
FRETは、ドナーの蛍光の強度低下と寿命短縮の原因となる。アクセプターが蛍光性であれば、FRETは、アクセプターの蛍光強度を増加させる原因にもなる可能性がある。ドナーとアクセプターが同じである場合は、FRETは蛍光脱分極の原因になる。
【0009】
FRETは、サンプルにドナーの吸収スペクトル内の光を照射し、これらの特性のいずれかを測定することによって検出することができる。
【0010】
簡単なFRETアッセイは、検体をドナーで標識し、検体結合剤をアクセプターで標識する(あるいは逆にする)ことによって行うことができる。検体が検体結合剤と結合していない場合は、ドナーとアクセプターとの間の距離が大きいのでFRETは起こらない。
【0011】
検体が検体結合剤に結合している場合は、ドナーとアクセプターとの間の距離は小さいのでFRETが起こる。
【0012】
したがって、FRETの検出を、検体の存在の有無および/または検体の濃度を決定するために使用することができる。
【0013】
標識検体と無標識検体が競合している場合は、競合FRETアッセイを行うことができる。この場合は、無標識検体の濃度が増加するにつれて、結合した標識検体は少なくなる。これはFRETの起こり方が少なくなることを意味する。
【0014】
したがって、FRETの検出は検体濃度の判定にも使用することができる。
【0015】
この種のアッセイは、グルコース濃度の測定に使用することができる。グルコースは、レクチンと呼ばれる1群のタンパク質と可逆的に結合する。コンカナバリンAはレクチンの一例である。アッセイ成分は、例えば標識コンカナバリンA(検体結合性試薬)および標識グルコースまたは標識グルコ−ス類似体である。デキストランは適切なグルコース類似体である。グルコース(検体)がコンカナバリンAと結合すると、標識グルコースまたは標識デキストランに取って換わり、FRETの起こり方が少なくなる。
【0016】
あるいは、ドナーとアクセプターとを同じ種に付けて単一のFRET試薬を形成することができる。そのような試薬の例は「分子ビーコン」である。
【0017】
分子ビーコンは、配列の一方の末端にドナーが付いた一本鎖のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体配列からなる。相補的アクセプターは、配列のもう一方の末端に付いている。
【0018】
結合していない分子ビーコンは軸と輪の構造で存在する。分子ビーコンの両端の配列が出会って結合して軸を創り出し、このプローブの残りの部分は出会うことがなく結合しないで輪になる。このように折りたたまれて、プローブの一端のドナーはもう一方の端のアクセプターの隣にある。このドナーとアクセプターの近接がFRETの発生を可能にする。
【0019】
このプローブが標的を認識し結合すると、この分子ビーコン構造は展開する。これがアクセプターをドナーから離してFRETは起こることができなくなる。
【0020】
したがって、FRETは、特定の標的が存在するかどうかを判定するために使用することができる。
【0021】
分子ビーコンは、相補的な一本鎖ポリヌクレオチド配列を検出するために使用することができる。あるいは、それらは他の非ヌクレオチド種を検出するために使用することができる。かかる分子ビーコンは、アプタマーと呼ばれている。例えば、アプタマーはタンパク質を検出するために使用することができる。
【0022】
分子ビーコンには、ビーコンが結合していないときに起こるFRETに依存しているという潜在的な不都合がある。インビボアッセイの間には、ビーコンの配列が体内の酵素によって分裂されることがある。これはFRETを減少させる。ビーコンの分解に起因するFRETの減少は、ビーコンの標的への結合に起因するFRETの減少と区別することができず、したがって得られる結果には信頼性がない可能性がある。
【0023】
この問題に対処する代替分子ビーコンの1つは、デュアルプローブである。これは2本の一本鎖ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体配列を含み、1つはエネルギードナーで、1つは相補的エネルギーアクセプターで標識されている。デュアルプローブは、デュアルプローブの双方の部分の配列に対して相補的である一本鎖ポリヌクレオチド標的配列の検出に使用される。デュアルプローブの部分が両方とも標的と結合するとFRETが起こる。デュアルプローブが結合していないときにはFRETは起こらないので、デュアルプローブの分解はFRETの発生には影響しない。したがって、分解が結果の信頼性を損なうことはない。
【0024】
分子ビーコンに類似の試薬をポリペプチドから形成することができる。
【0025】
FRETは免疫アッセイにも使用することができる。
【0026】
FRETで使用するドナーとアクセプターとの選択は重要であり、次の因子を考慮に入れる必要がある。
【0027】
ドナーは高い量子収率を有していなければならない。
【0028】
適切なアクセプターは、ドナーの放出スペクトルと重なる吸収スペクトルを有していなければならない。例えば、QSY21(商標)は、Alexa Fluor21(商標)と共に使用するのに適切なドナーである。アクセプターが、様々な種類のドナーと共に使用できるように、幅の広い吸収スペクトルを有することが望ましい。
【0029】
アクセプターも蛍光性の種である場合は、アクセプターの直接励起から生じるバックグラウンドの蛍光が生じ、ドナーの蛍光と共に検出される。アクセプターの放射をフィルターにかけると、フィルタリングが十分にシャープでない場合は、ドナーの蛍光シグナルのロスが生じる。この問題を回避するために、ダブシルおよびQSY(商標)などの非蛍光性アクセプターを使用することができる。あるいは、放出スペクトルが、ドナーの放出スペクトルから大きく離れているアクセプターを選択することによってこの問題を回避することもできる。
【0030】
ドナーまたはアクセプターが検体または検体結合剤と結合している場合は、一部のドナーの放出スペクトルおよび一部のアクセプターの吸収スペクトルはシフトする。これは望ましくないことである。
【0031】
FRETアッセイをインビボで使用する場合は、ドナーは550〜約600nmで蛍光を発し、アクセプターは約650nmで吸収することが望ましい。これがドナーの蛍光とインビボのより短い波長での自動蛍光との重なりを回避する。フルオレセインは495nmで蛍光を発するので、インビボでの使用には理想的ではない。
【0032】
Alexa Fluor 594(商標)はインビボでの使用に適切な放出スペクトルを有する色素である。この色素は594nmで吸収し、620nmで蛍光を発する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明者らはここに、FRETで使用するための新規なアクセプター類(HMCV色素)を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0034】
これらのアクセプターは安定化されたカルベニウムイオンであり、構造的にはクリスタルバイオレットやマラカイトグリーンに関連している。これらのアクセプターは、Bo W.Laursen et al.、J.Am.Chem.Soc.、1998、120、12255−12263に記載されているトリオキサトリアングレニウム(trioxatriangulenium)系を合成するときの中間体から誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
したがって、本発明は第1の態様において、検体の検出に使用するための、エネルギードナーおよびエネルギーアクセプターを含む試薬であって、エネルギードナーおよびエネルギーアクセプターは、それらが相互に十分に近接しているときには、エネルギードナーの励起に続いてエネルギーを無放射的にエネルギードナーからエネルギーアクセプターに移動させてエネルギードナーの蛍光を消滅させるような試薬を提供し、エネルギーアクセプターは下記一般式のものである。
【0036】
【化5】

【0037】
式中、
、RおよびRは、各々が単独で、H、電子供与性置換基、または電子求引性置換基であるか、あるいはRは、リンカー構造に連結しており、ただし、R、RおよびRの少なくとも2つは電子供与性基であり、R、R、R、R、RおよびRは、各々が単独で、H、ハロゲン、アルキル、アリール、O−アルキル、S−アルキルであり、R10、R11、R12、R13、R14およびR15は、各々が単独で、水素、O−アルキル、S−アルキル、アルキルであり、または、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびR10の基の対、RおよびR11の基の対、RおよびR12の基の対、RおよびR13の基の対、RおよびR14の基の対、RおよびR15の基の対のうちの1つまたは複数は、R10、R11、R12、R13、R14およびR15のすべてが水素でないことを条件として、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンのうちの1つまたは複数で任意的に置換された、アリール、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンからなる架橋基であり、
試薬の前記エネルギードナーと前記エネルギーアクセプターとの間の距離は、検出されるべき適切な検体によって変更可能である。
【0038】
本明細書で使用する「電子供与性置換基」という用語は、これらだけに限られるものではないが、アミノ、第一級アミン、第二級アミン、アルキル、O−アルキル、S−アルキル、アミド(NHCOR)、エステル(OCOR)、OH、SHおよび電子が豊富なアリールを含む。
【0039】
本明細書で使用する「電子求引性置換基」という用語は、これらだけに限られるものではないが、COOH、エステル(COOR)、COO、アミド(CONR)、CHO、ケト(COR)、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、および電子不足アリールを含む。
【0040】
電子が豊富なアリール/電子不足アリールは、電子供与性の置換基を有するアリールまたは電子求引性の置換基を有するアリールと定義することができる。
【0041】
本明細書で使用する「アルキル」および「アルキレン」という用語は、直鎖、分岐および環状の基、飽和および不飽和の基(三重結合を含む基を含む)、1つまたは複数の置換基を含む基、ならびに1つまたは複数のヘテロ原子を含む基を含む。C〜Cアルキル基が好ましい。
【0042】
本明細書で使用する「O−アルキレン」、「N−アルキレン」および「S−アルキレン」という用語は、それぞれへテロ原子が基中の任意の位置にある基を含む。C〜CのO−アルキレン、N−アルキレンおよびS−アルキレンならびにC〜Cアルキレンが好ましい。
【0043】
エステル置換基に言及しているところでは、置換基はカルボニル部分を介して(R(C=O)ORとして)、またはアルコキシ部分を介して(RO(C=O)Rとして)連結されていればよい。同様に、アミド置換基に言及しているところでは、置換基はカルボニル部分を介して(RCONRとして)、または窒素部分を介して(R(NR)CORとして)連結されていればよい。
【0044】
好ましい一実施形態では、エネルギードナーとエネルギーアクセプターとは共に非共有結合によって連結されている。非共有結合は、エネルギードナーの1つに連結している検体結合剤とエネルギーアクセプターとの間およびもう一方のエネルギードナーに連結している検体類似体とエネルギーアクセプターとの間に存在しうる。この非共有結合は適切な検体によって、試薬のエネルギードナーとエネルギーアクセプターとの間の距離を増すように崩壊しうる。
【0045】
この実施形態において適切には、検体結合剤はレクチンであり、かつ/または検体類似体はグルコース類似体である。例えば、検体類似体はデキストランであってもよい。この系は、グルコースの検出および/または先に論じたように測定に使用することができる。
【0046】
レクチンはエネルギードナーに結合され、検体類似体はエネルギーアクセプター(例えば、デキストラン−HMCVおよびコンカナバリンA−Alexa Fluor 594(商標))に結合されることが好ましい。デキストランは、コンカナバリンAよりも重い標識をすることができる。デキストランがフルオロフォアで標識されると、寿命ベースのアッセイにおいてシグナルを希釈する過剰な蛍光を生じる。
【0047】
代替実施形態では、エネルギードナーとエネルギーアクセプターとは共に共有結合によって連結されている。エネルギードナーとエネルギーアクセプターとの間の共有結合は、分裂することができて、試薬のエネルギードナーとエネルギーアクセプターとの間の距離が増す。適切には、エネルギードナーとエネルギーアクセプターはポリヌクレオチド配列もしくはポリヌクレオチド類似の配列またはポリペプチド配列を介して連結されており、これらの配列は、検出されるべき適切な検体によって、試薬のエネルギードナーとエネルギーアクセプターとの間の距離を調節するように調節しうる配座を有している。この場合は、試薬は先に論じた「分子ビーコン」である。
【0048】
他の代替実施形態では、エネルギードナーとエネルギーアクセプターとは、検体が存在しないときには連結されていない。この試薬は、先に論じた「デュアルプローブ」になりうる。
【0049】
好ましくは、リンカー構造は、Rまたは架橋基が存在している位置においてエネルギーアクセプターに結合しており、場合によっては架橋基においてエネルギードナーに結合している。
【0050】
好ましくは、電子供与性置換基は、アミノ、第一級アミン、第二級アミン、O−アルキル、アルキル、S−アルキル、アミド、エステル、OHおよびSHから選択される。
【0051】
好ましくは、R〜Rの1つまたは複数はジメチルアミノ、ジエチルアミノまたはメチルエチルアミノであり、場合によってはSO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンの1つまたは複数で置換されている。
【0052】
好ましい実施形態では、RおよびRは、それぞれジメチルアミノである。あるいは、RおよびRは、それぞれ場合によっては置換されたメチルエチルアミノでもよい。
【0053】
好ましくは、電子求引性置換基が存在し、電子求引性置換基はNO、NO、CN、COOH、エステル、COO、アミド、CHO、ケト、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、およびSO−アルキルから選択される。
【0054】
好ましくは、R10、R11、R12、R13、R14およびR15の少なくとも1つはO−アルキルである。
【0055】
適切には、RおよびR10の基の対、RおよびR11の基の対、RおよびR12の基の対、RおよびR13の基の対、RおよびR14の基の対、RおよびR15の基の対のうち1つまたは複数は、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンの1つまたは複数で任意的に置換された、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンからなる架橋基である。
【0056】
好ましくは、R10〜R15は、それぞれO−メチルまたはO−エチルである。
【0057】
好ましくは、試薬はさらにはBF、PF、NO、カルボキシレート、ClO、Li、Na、K、Mg2+およびZn2+から選択された1つまたは複数の対イオンを含み、そのため本試薬は全体としては荷電していない。
【0058】
好ましくは、リンカー構造が存在し、それは活性エステル、イソチオシアネート、酸クロライド、アルデヒド、アジド、α−ハロゲン化ケトンおよびアミンから選択されたリンカーエレメントと反応パートナーの反応によって形成される。適切には、反応パートナーは、ポリサッカリド、ポリヌクレオチドまたはタンパク質から選択される。適切には、リンカーエレメントは、活性エステルであり、スクシンイミジルおよびペンタフルオロフェニル活性エステルから選択される。
【0059】
適切には、エネルギードナーは、アレキサフロール(Alexa Fluor 594(商標))である。
【0060】
本試薬は、検体のインビボ検出に使用することができる。例えば、本試薬は体内にインプラントされるセンサーに含めることができる。適切には、センサーは長期間本体から隔離されるように表皮内にインプラントされる。適切なセンサー構成は国際公開第02/30275号に詳細に記載されている。この場合には、本試薬に光を照射し、インプラントされたセンサー上の皮膚層を通して試薬の蛍光を測定することが可能なはずである。
【0061】
あるいは、本試薬は、部分的に体内にインプラントされてはいるが、対外に突き出ているセンサー内に含めることができる。このようなセンサーは針の形態をとることができる。この場合には、本試薬を針の穴を通して照射することができ、試薬の蛍光は同じ経路で検出することができ、光が皮膚層を通過することはない。
【0062】
センサーは検体を浸透しうるものでなければならない。
【0063】
この第2の態様では、本発明は、試薬を閉じ込める半浸透性の膜を含み、前記のように検体の検出に使用するためのセンサーに関する。
【0064】
第3の態様では、本発明は下記一般式を有する色素化合物に関する。
【0065】
【化6】

【0066】
式中、
、R、R、R、RおよびRは、各々が単独で、H、ハロゲン、アルキル、アリール、O−アルキルまたはS−アルキルであり、R10、R11、R12、R13、R14およびR15は、各々が単独で、水素、O−アルキル、S−アルキル、またはアルキルであり、R20およびRの基の対、R20およびRの基の対、RおよびR10の基の対、RおよびR11の基の対、RおよびR12の基の対、RおよびR13の基の対、RおよびR14の基の対、RおよびR15の基の対のうちの1つまたは複数は、R10、R11、R12、R13、R14およびR15のすべてが水素でないことを条件として、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンの1つまたは複数で任意的に置換された、アリール、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンからなる架橋基であり、
16、R17、R18およびR19は、各々が単独で、H、アルキル(好ましくはC〜Cアルキル)またはアリールであり、R16およびR17の基の対、R18およびR19の基の対のうちの1つまたは複数は、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンの1つまたは複数で任意的に置換されたアルキレン(好ましくはC〜Cアルキレン)であり、
およびR16の基の対、RおよびR17の基の対、RおよびR18の基の対、およびRおよびR19の基の対の1つまたは複数は、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンの1つまたは複数で置換された、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンであり、
20は、活性エステル、イソチオシアネート、酸クロライド、α−ハロゲン化ケトン、アジドおよびアミンから選択されたリンカーエレメントである。
【0067】
適切には、R10、R11、R12、R13、R14およびR15の少なくとも1つはアルキルである。
【0068】
好ましい実施形態では、R16、R17、R18およびR19は、それぞれメチルまたはエチルである。あるいは、R16およびR18は、それぞれメチルであり、R17およびR19は、それぞれ2の位置がSOで置換されたエチルである。
【0069】
適切には、RおよびR10の基の対、RおよびR11の基の対、RおよびとR12の基の対、RおよびR13の基の対、RおよびR14の基の対、RおよびR15のうちの1つまたは複数は、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンのうちの1つまたは複数で任意的に置換された、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンからなる架橋基でる。
【0070】
好ましくは、R20は、以下の構造を有するリンカーエレメントである。
【0071】
【化7】

【0072】
式中、R21は、Hまたは、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SON−ジアルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンのうちの1つまたは複数で置換された、アルキルまたはアリールであり、R22は、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレン(好ましくはC〜C)であり、R21およびR22は、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンの1つまたは複数で任意的に置換された、環の一部(好ましくはC〜C)であり、
23は、ο−スクシンイミジル、ο−ペンタフルオロフェニル、Clまたはα−ハロゲン化アルキルである。
【0073】
好ましくは、R10〜R15は、それぞれO−メチルまたはO−エチルである。
【0074】
好ましくは、本色素化合物は、さらにハライド、BF、PF、NO、カルボキシレート、ClO、Li、Na、K、Mg2+およびZn2+から選択された1つまたは複数の対イオンを含む。
【0075】
第4の態様では、本発明は先に記載した試薬を使用して、検体を検出または測定するための方法に関するものであり、この方法は、以下のステップを含む:
前記試薬をサンプルと接触させ、
前記試薬およびサンプルに、エネルギードナーの吸収スペクトル内の波長の光を照射し、
前記エネルギードナーの蛍光を測定することによって、エネルギードナーおよびエネルギーアクセプター間の無放射エネルギーの移動を検出し、そして、
蛍光測定を検体の存在または濃度と関連付ける。
【0076】
適切には、エネルギードナーの蛍光を、強度ベースの蛍光測定または時間分解蛍光測定によって測定する。好ましくは、サンプルの蛍光測定値を、既知濃度の検体を使用した蛍光測定値と比較することによって検体を測定する。
【0077】
照射に使用する光は、好ましくは550nmを超える波長を有する。
【0078】
第5の態様では、本発明は、検体と検体検出用試薬との複合体に関し、試薬は、蛍光性エネルギードナーとエネルギーアクセプターとを含み、エネルギードナーとエネルギーアクセプターとが相互に十分近いときに、エネルギードナーの励起に続いてそれからエネルギーをエネルギーアクセプターへ無放射的に移動させて、エネルギードナーの蛍光を消滅させるものであり、エネルギーアクセプターは下記一般式で表される。
【0079】
【化8】

【0080】
式中、
、RおよびRは、各々が単独で、H、電子供与性置換基、または電子求引性置換基であり、または、Rは、R、RおよびRの少なくとも2つが電子供与性基であることを条件として、リンカー構造に結合しており;R、R、R、R、RおよびRは、各々が単独で、H、ハロゲン、アルキル、アリール、O−アルキル、S−アルキルであり、R10、R11、R12、R13、R14およびR15は、各々が単独で、水素、O−アルキル、S−アルキル、アルキルであり、または、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびR10の基の対、RおよびR11の基の対、RおよびR12の基の対、RおよびR13の基の対、RおよびR14の基の対、RおよびR15の基の対のうちの1つまたは複数は、R10、R11、R12、R13、R14およびR15のすべてが水素でないことを条件として、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンのうちの1つまたは複数で任意的に置換された、アリール、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンからなる架橋基であり、
前記検体の存在によって、前記エネルギードナーと前記エネルギーアクセプターとの間の距離が変更される。
【0081】
本発明を、実施例で例示された、グルコース投与−応答曲線を示す図1およびpH=7.4のPBS50mM緩衝液中のAlexa Fluor 594とHMCV−1−デキストランのノーマライズされた吸収−放出スペクトル(0.7μM溶液中のAF594の570nmにおける励起)を示す図2で例示された好ましい実施形態を参照しつつさらに説明する。
【実施例】
【0082】
色素化合物4の調製
合成方法および材料
別途に言及しない限り、使用した試薬はすべて標準級のものであった。エーテルおよびTHFは、ナトリウム/ベンゾフェノンを加えて窒素下で蒸留することによって乾燥した。ベンゼンは、ナトリウムを加えて放置することによって乾燥した。NMRスペクトルは250または400MHzのスペクトロメーターで得た。FABMSスペクトルは、マトリックスとして1,4−ジシアノブタンを使用して得た。
【0083】
元素分析は、コペンハーゲン大学化学科元素分析研究室、Universitetsparken 5、2100、コペンハーゲン、デンマークで行った。
【0084】
トリス(2,4,6−トリメトキシフェニル)カルベニウムテトラフルオロボレート(1−BF)。乾燥エーテル(50mL)中のブロモベンゼン(24.5g、156mmol)を、乾燥エーテル(100mL)中のリチウム線(2.30g、328mmol)に加えることによって、フェニルリチウムの溶液を調製した。乾燥ベンゼン(100mL)中の1,3,5−トリメトキシベンゼン(25.1g、149mmol)を加え、反応混合物をアルゴン気流中、室温で70時間攪拌した。乾燥ベンゼン(150mL)中のジエチルカーボネート(5.30g、45mmol)を加え、反応混合物を3日間還流した。冷却した反応混合物を、NaOH溶液(300mL、1M)中に注ぎ入れた。相分離させ、水層をエーテルで抽出した。有機相を合わせてMgSOで乾燥し、ろ過して透明黄色の溶液を得た。HBF水溶液(12mL、50%、約100mmol)を加えると直ちに濃青色のカルベニウム塩の沈殿を生じた。暗紫色の沈殿をろ別し、乾燥エーテルで十分に洗浄し、固体KOHで乾燥して粗生成物26.0g(96%)を得た。アセトニトリル溶液に水を加えることによる再沈殿、続いてメタノールからの再結晶化で純粋な化合物を総合収率70%で得た。H NMR(250MHz,CDCl);δ6.05(6H,s)、3.99(9H,s)、3.59(18H,s)。13C NMR(400MHz,CDCl):δ169.70、166.47、163.93、118.62、91.53、56.52、56.36。MS(FAB):m/z 513(M)。UV−vis λmax(nm(log ∈))(CHCl);584(4.55)、467(3.98)、322(3.68)、287(4.02)。元素分析:C2833BFの計算値:C,56.01;H,5.50。実測値:C,55.69;H,5.64。
【0085】
トリス(2,4,6−トリメトキシフェニル)カルベニウムクロライド(1−Cl)。
【0086】
この化合物は、1−BFと類似の方法で調整した(1,3,5−トリメトキシベンゼン15.0gから出発して)。HBFの代わりに気体のHClを、加水分解し乾燥した反応混合物中に気泡で通した。濃い紫色の結晶性沈殿をろ別し、乾燥エーテルで十分に洗浄し、固体KOHで乾燥して粗生成物10.1g(66%)を得た。MS(FAB)、H NMR、および13C NMRのスペクトルは、BF塩のスペクトルと同一であった。
【0087】
HMCV−1の合成:
【0088】
【化9】

【0089】
4a(BF):4−(メチルアミノ)酪酸塩酸塩(1.36g、8.8mmol)、1(5.0g、8.3mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(5mL)を、アセトニトリル(120mL)中に溶解した。反応混合物を乾燥窒素雰囲気中、30〜35℃で22時間攪拌した。ジメチルアミン水溶液(40%溶液40mL)を加え、反応混合物をさらに4日間攪拌した。溶媒および過剰のジメチルアミンを真空下で除去し、残った物質をクロロホルムに溶解させた。クロロホルム溶液を食塩水で2回洗浄し、MgSOで乾燥後、溶媒を蒸発させ、生成物をCHCl/エーテルから再沈殿させた。収量:濃青色粉末4.4g(70%)。
【0090】
MS(FAB+):m/z 624(M+)
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ8.34.(1H,bs)、6.03(2H,s)、5.83(4H,s)、3.49(2H,m)、3.46(6H,s)、3.44(12H,s)、3.12(3H,s(マスクで隠れている))、3.08(12H,s)、1.94(2H,t)、1.70(2H,m)。
【0091】
HMCV−1(Cl):TSTU(2−スクシンイミド−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、0.8g、2.6mmol)を、4a(0.9g、1.26mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.55g、4.5mmol)のアセトニトリル(15mL)溶液に加えた。反応混合物を密閉フラスコ中で2時間攪拌後、HCl水溶液(2M、4mL)で酸性化し氷冷したほぼ飽和のNaCl溶液(約150mL)中に注ぎ入れた。水相をクロロホルム(2×150mL)で抽出した。クロロホルム相を合わせて食塩水(2×50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させ、CHCl/エーテルから再沈殿させて濃青色粉末(0.80g、84%)を得た。
【0092】
MS(FAB+):m/z 721(M+)
H−NMR H−NMR br.(400MHz,DMSO−d);δ5.88(2H,s)、5.85(4H,s)、3.60(2H,s)、3.46(12H,s)、3.45(6H,s)、3.15(12H,s)、3.12(3H,s)、2.85(4H,s)、2.80(2H,t)、1.95(2H,m)。
【0093】
HMCV−2の合成:
【0094】
【化10】

【0095】
4b(PF):NMP(N−メチル−2−ピロリドン、20mL)中に懸濁させたピペリジン−4−カルボン酸(イソニペコチン酸)(0.215g、1.7mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1mL)を、1(1.0g、1.7mmol)のNMP30mL中溶液に加えた。反応混合物を80〜100℃のオイルバス中で2時間(反応混合物が輝く赤色になるまで)加熱し、室温で一晩放置した。ジメチルアミン(33%無水エタノール溶液10mL)を加え、反応混合物を室温でさらに24時間攪拌した。反応混合物を、KPF水溶液(0.2M、400mL)中に注ぎ入れ、HCL水溶液(2M)を沈殿が生じるまで少量ずつ加えた。青色沈殿をろ別し、純水で洗浄、乾燥し、DCMに溶解させ、ろ過し、エーテルを加えて沈殿させた。収量:濃青色粉末0.85g(64%)。
【0096】
MS(FAB+):m/z 636(M+)
H−NMR(CDCN,内部溶媒基準1.94ppm):δ6.03(2H,s)、5.81(4H,s)、3.90(2H,m)、3.48(12H,s)、3.47(6H,s)、3.14(12H,s)、3.04(2H,m)、2.61(1H,m)、2.15(1H,br)、1.97(2H,m)、1.71(2H,m)。
【0097】
HMCV−2(PF):TSTU(2−スクシンイミド−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(0.72g、2.4mmol)を、4b(0.8g、1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.47g)のアセトニトリル(15mL)溶液に加えた。反応混合物を密閉フラスコ中で2時間攪拌後、HCl水溶液(2M,4mL、約4mmol)で酸性化した冷たいNaCl溶液(約100mL)中に注ぎ入れた。水相をクロロホルム(2×100mL)で抽出した。クロロホルム相を合わせて食塩水(2×50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥した。ろ過したクロロホルム相にろ過助剤(10g)を加え、溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、CHCl/MeCN 5:1)仕上げは、溶媒の蒸発(最初の青色の画分を集めた)およびCHCl/エーテルからの再沈殿後、濃青色粉末(0.55g、62%)を与えた。
【0098】
MS(FAB+):m/z 732(M+)
H−NMR(DMSO,内部溶媒基準2.50ppm):δ6.08(2H,s)、5.84(4H,s)、4.93(2H,m)、3.45(12H,s)、3.44(6H,s)、3.14(12H,s)、3.14(2H,m(マスクで隠れている))、2.82(4H)、2.03(2H,m)、1.74(2H,m)。(CDCl,内部溶媒基準7.76ppm)δ5.94(2H,s)、5.70(4H,S)、3.80(2H,m)、3.53(12H,s)、3.18(6H)、3.16(2H,m(マスクで隠れている))、2.97(1H,m)、2.85(4H,s)、2.19(2H,m)、2.04(2H,m)。
【0099】
HMCV−3の合成:
HMCV−3の前駆体4cの合成は、2つの合成経路によって達成される。A:HMCV−1およびHMCV−2の合成で使用した方法と類似の「ワンポット」法では、リンカーを含むアミノ基(4−(N−メチルアミノ)酪酸)が最初に導入され、続いてスルホン酸で置換された2つのアミノ官能基(N−メチルタウリン)が導入される(スキーム3)。方法Bでは、順序が逆になって2ステップで行われ、2ヵ所置換された生成物3cの単離を伴う(スキーム4)。
【0100】
【化11】

【0101】
【化12】

【0102】
4c(Na)(方法A):4−(メチルアミノ)酪酸塩酸塩(0.275g、1.8mmol)、1(1.0g、1.7mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(1mL)のDMSO(25mL)溶液を、室温で20時間攪拌後、N−メチルタウリンナトリウム(2.0g、12mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(1mL)およびDMSO(20mL)を加えた。次に反応混合物を約70℃で2日間、室温で2日間攪拌した。反応混合物を、シリカを通してろ過し、続いてメタノールで十分に洗浄した。青色のろ液を濃縮し、酢酸エチルを加えると粗生成物が粘着性の青いワックスとなって沈殿した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、MeCN/MeOH 5:2)で、青色の固体(最初の青色画分/帯)が得られ、これを熱エタノールに溶解させてから(熱)ろ過することによってさらに精製した。エタノール溶液を冷却後もう一度濾過し、沈殿をエタノールで洗浄した(白色の物質が残る)。青色のエタノール溶液を蒸発して4cを0.3g(18%)得た。
【0103】
MS(FAB+,グリセロール):m/z 812(MH)、834(MNaH)、856(MNa
H−NMR(CDOD,内部溶媒基準3.35ppm):δ5.98(6H,s)、3.95(4H,t)、3.62(2H,t)、3.57(6H,s)、3.56(12H,s)、3.21(3H,s)、3.20(6H,s)、3.15(4H,t)、2.41(2H,t)、1.99(2H,m)。
【0104】
4c 方法Bによる:
3c(Na):N−メチルタウリンナトリウム(1.3g、8mmol)、および1(1.0g、1.7mmol)のDMSO(25mL)溶液を室温で3日間攪拌した。酢酸エチル(約500mL)を加えると青色の沈殿(および赤色の母液)が得られた。固体物質を無水エタノール(約150mL)中で加熱還流し、室温で一晩放置した。沈殿をろ別し、メタノールに溶解させてシリカ(5cmの層)を通してろ過し、シリカはメタノールで洗浄した。溶媒の蒸発およびメタノール/酢酸エチルからの再沈殿で青色粉末(1.1g、88%)を得た。
【0105】
MS(FAB+,グリセロール):m/z 727(MH)、749(MNaH)、765(MNaK)、771(MNa
H−NMR(CDOD,内部溶媒基準3.35ppm):δ6.20(2H,s)、5.98(4H,s)、4.00(4H,t)、3.87(3H,s)、3.58(12H,s)、3.56(6H,s)、3.28(6H,s)、3.17(2H,t)。
【0106】
4c(Na):3c(0.5g、0.67mmol)、4−(N−メチルアミノ)酪酸塩酸塩(0.5g、3.26mmol)、および乾燥NaCO(0.5g)のDMSO(7mL)溶液を70℃で3日間攪拌した。冷却した反応物から酢酸エチルの添加によって粗生成物沈殿させて、粘着性の青色の物質(約1.1g)を得た。カラムクロマトグラフィー(シリカ、MeCN/MeOH 5:2)は、溶媒の蒸発後に生成物4c(0.25g、44%)を青色固体として与えた。
【0107】
MS(FAB+,グリセロール):m/z 812(MH
【0108】
H−NMR(CDOD,内部溶媒基準3.35ppm):δ5.98(6H,s)、3.95(4H,t)、3.62(2H,t)、3.57(6H,s)、3.56(12H,s)、3.21(3H,s)、3.20(6H,s)、3.15(4H,t)、2.41(2H,t)、1.99(2H,m)。
【0109】
【化13】

【0110】
HMCV−3(Na):TSTU(2−スクシンイミド−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、0.20g、0.6mmol)を、4c(0.25g、0.3mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.06g)の乾燥DMSO(10mL)溶液に加えた。反応混合物を密閉フラスコ中で2時間攪拌し、次に酢酸エチルを加えることによって粗生成物を沈殿させた。粘着性の青色物質をフィルターからメタノールで洗い出して高真空で乾燥した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、HO/MeCN 1:10)仕上げは、溶媒の蒸発(高真空、室温)およびメタノール/酢酸エチルからの再沈殿の後、濃青色の粉末(0.25g、90%)を与えた。
【0111】
MS(FAB+,グリセロール):m/z 909(MH)、931(MNaH)、947(MKH)、
H−NMR(CDOD,内部溶媒基準3.35ppm):δ5.99(4H,s)、5.94(2H,s)、3.95(4H,t)、3.68(2H,t)、3.57(12H,s)、3.58(2H,マスクで隠れている)、3.55(6H,s)、3.21(9H,s)、3.16(4H,t)、2.88(4H,s)、2.80(2H,s)、2.13(2H,m)。
【0112】
HMCV−1のアミノデキストランへの付加
アミノデキストラン(130mg、分子量110,000、0.5mmolNH/gデキストラン)を、炭酸ナトリウム水溶液6.5mL(15mM、pH=8.5)に加えてデキストラン濃度182μM、20mg/mLの溶液を得た。この溶液3.0mLに、攪拌しながらHMCV−1(5.65mg、DMSO200μL中)を10μLずつ10分間かけて加えた。溶液を室温で1時間攪拌し、リン酸緩衝液(HPO/HPO2−10mM、K4mM、Na145mM、Ca2+0.1mM、Mn2+0.1mM、pH=7.4)に対して完全に透析した(3mL透析スライド、膜の排除分子量12,000〜14,000)。標識デキストランの濃度は透析中の希釈から決定した。標識率(DOL値)は、得られた溶液の一連のUV−可視スペクトルから決定した(3.2mL、デキストラン濃度168μM、DOL=10)。
【0113】
Alexa Fluor 594(商標)のコンカナバリンA(ConA)への付加
Con A(Type III、Sigma)溶液は以下のように作成した。メチル−α−D−マンノピラノシド(0.97g)、CaCl水溶液(0.1M)30μL、およびMnCl水溶液(0.1M)30μLを、0.5M NaCO緩衝液(pH=8.5)20mL中で混合した。次にConA(1.00g〜150mgタンパク質)を加え、懸濁液を1時間激しく攪拌した。溶液を遠心分離し、上澄み液を採った。この溶液13.0mLに、Alexa Fluor 594(商標)(10.0mg、乾燥DMSO800mL中)を20μLずつ10分間かけて加えた。得られた青色の溶液を1時間攪拌し、次に無水コハク酸(18.2mg、乾燥DMSO867μL中)を20μLずつ10分間かけて加えた。溶液をさらに1.5時間攪拌し、その後15mLの透析スライドに移し、HMVC−1−デキストラン合成に関して記載したものと同じ緩衝液に対して透析した。緩衝液には成長を防ぐために2mMのNaNを加えた。(15.4mL、タンパク質ダイマー濃度59μM、DOL=4.0)
【0114】
色素化合物4で標識された検体結合性試薬のFRETアッセイにおける使用
好ましい実施形態のグルコース測定アッセイ化学は、先に論じたようにコンカナバリンA(Con A)に向かってのデキストランとグルコースの間の競争に基づいている。
【0115】
Con Aは、Alexa Fluor 594(商標)(AF594)(ドナー)で標識されており、デキストランは、AF594の放射帯の中で吸収する無蛍光色素HMCV−1(アクセプター)で標識されている。
【0116】
蛍光の寿命は周波数領域蛍光分析で測定される。励起光の強度が変調して、励起ドナーが同じ周波数で変調され、励起状態の寿命によって遅延された光を発する。この結果、励起光と放射される蛍光の間で位相のシフトが生じる。
【0117】
本発明者らは、AF594で標識された(ConA)を糖結合性のレクチンとして選択し、HMCV−1で標識されたデキストランをグルコース類似体として選択した。使用したドナーおよびアクセプター色素、[AF594]および[HMCV−1]、の大部分の濃度は、すべての実験を通じて一定であり、両者の比は1:6であった。これはForster理論の、ドナー濃度はアクセプター濃度より大幅に少ないという条件と一貫している。
【0118】
[参照文献:O.J.Rolinski、D.J.S.Birch、L.J.McCartney、J.C.Pickup、J.Photochem.Photobiol.B:Biol.54、26−34、2000]Foester理論は、ConAがドナーで標識され、高分子糖デキストランがアクセプターで標識される場合に、最もよく満たされるということは本発明者らが発見したことである。
【0119】
測定
ドナーコンジュゲート、アクセプターコンジュゲートおよびPBS緩衝液(50mM PBS緩衝液、pH=7.4、イオン強度はNaClで150mMに調節)を混合して、ConAのアッセイ化学組成物中の最終濃度が20μM、デキストラン濃度が50μMとなるようにした。([ConA]/[Dex])モル比は0.40であり、([AF594]/[HMCV−1])濃度比は0.16であった。2本のセルロースホローファイバー(Spectrum Laboratories,Inc.製、再生セルロース、ファイバー外径216μm、ファイバー内径200μm、排除分子量13kDa、再注文番号132294)にアッセイ化学組成物を充填し、PBS緩衝液が入っている蛍光セル中に置かれた特製ホルダー内に取り付けた。
【0120】
励起位相シフトは位相変調蛍光計(ISS,Inc.、Champaign、Illinois、Koala製)を使用して測定した。光源は黄色LEDであった。540〜590nmの光を透過させるXF1067バンドパスフィルター(Glenn Spectra Ltd.製)を励起チャンネルおよび参照チャンネルに設置した。放射チャンネルには、610〜690nmの光を透過させるXF3061バンドパスフィルター(Glenn Spectra Ltd.製)を取り付けた。
【0121】
グルコースの用量反応は、PBS緩衝液を次々とグルコース含有量を0mMから50mMまで増したPBS緩衝液で置き換えることによって測定した。
【0122】
結果を表1および図1に示す。
【0123】
【表1】

【0124】
前記のアッセイシステムを固定ブタのインビボ実験で試験した。アッセイ試薬をホローファイバーに装填したものを針で皮膚の皮下組織内に置いた。位相測定から得られた結果は、インビトロ実験と比較してわずかな位相シフトを示したが、全血グルコースに関する参照値と非常によく関連付けることができた。
【0125】
本発明の好ましい実施形態のアクセプターは、既知のアクセプターを超えるいくつかの利点を有する。
【0126】
第1に、HMCVアクセプターは、広く強い吸収スペクトル(550〜700nm)を有する。このことは、これらがさまざまなドナーと共に使用することができることを意味する(図2参照)。
【0127】
第2に、これらのアクセプターは、長波長で吸収する。このことは、これらがインビボにおいて自動蛍光が測定を妨害しない波長で使用するのに適していることを意味する。
【0128】
第3に、これらの色素の中心炭素原子は、芳香環部分のオルト置換基によって遮蔽されており、この位置での還元的、酸化的、または求核的な攻撃のいずれかで開始される分解過程も防止する。
【0129】
第4に、これらのアクセプターの吸収スペクトルは、検体または検体結合性試薬への結合によって顕著には影響されない。このことは、これらのアクセプターの性能は予測可能であることを意味する。
【0130】
第5に、これらのアクセプターは、蛍光を出さず、バックグラウンドの蛍光シグナルに寄与しない。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】グルコース投与−応答曲線を示す図である。
【図2】吸収−放出スペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の検出に使用するための試薬であって、蛍光エネルギードナーおよびエネルギーアクセプターを含み、前記エネルギードナーおよび前記エネルギーアクセプターは、それらが互いに十分に近接しているときには、エネルギードナーの励起に続いて、エネルギーを無放射的にエネルギードナーからエネルギーアクセプターに移動させて、エネルギードナーの蛍光を消滅させ、前記エネルギーアクセプターは下記一般式で表され、
【化1】

式中、
、RおよびRは、各々が単独で、H、電子供与性置換基、または電子求引性置換基であり、または、Rは、R、RおよびRの少なくとも2つが電子供与性基であることを条件として、リンカー構造に結合しており、R、R、R、R、RおよびRは、各々が単独で、H、ハロゲン、アルキル、アリール、O−アルキル、S−アルキルであり、R10、R11、R12、R13、R14およびR15は、各々が単独で、水素、O−アルキル、S−アルキル、アルキルであり、または、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびR10の基の対、RおよびR11の基の対、RおよびR12の基の対、RおよびR13の基の対、RおよびR14の基の対、RおよびR15の基の対のうちの1つまたは複数は、R10、R11、R12、R13、R14およびR15のすべてが水素でないことを条件として、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンのうちの1つまたは複数で任意的に置換された、アリール、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンからなる架橋基であり、
試薬の前記エネルギードナーと前記エネルギーアクセプターとの間の距離は、検出されるべき適切な検体によって変更可能であるところの試薬。
【請求項2】
エネルギードナーとエネルギーアクセプターとが、共有結合によって共に連結されている、請求項1に記載の試薬。
【請求項3】
エネルギードナーおよびエネルギーアクセプター間の前記共有結合が、試薬のエネルギードナーとエネルギーアクセプターとの間の距離を増加するために、分裂可能である、請求項2に記載の試薬。
【請求項4】
エネルギードナーおよびエネルギーアクセプターが、ポリヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド類似配列またはポリペプチド配列を介して連結されており、前記配列は、検出されるべき適切な検体によって、試薬のエネルギードナーとエネルギーアクセプターとの間の距離を変化させるように、変更可能な配座を有している、請求項2に記載の試薬。
【請求項5】
エネルギードナーおよびエネルギーアクセプターが、非共有結合によって共に連結されている、請求項1に記載の試薬。
【請求項6】
前記非共有結合が、エネルギードナーおよびエネルギーアクセプターのうちの一方に連結している検体結合剤と、エネルギードナーおよびエネルギーアクセプターのうちの他方に連結している検体類似体との間に存在し、前記非共有結合は、試薬のエネルギードナーおよびエネルギーアクセプター間の距離を増加するように、適切な検体によって、崩壊可能である、請求項5に記載の試薬。
【請求項7】
前記検体結合剤が、レクチンである、請求項6に記載の試薬。
【請求項8】
前記検体類似体が、グルコース類似体である、請求項6または7に記載の試薬。
【請求項9】
前記検体類似体が、デキストランである、請求項8に記載の試薬。
【請求項10】
エネルギードナーおよびエネルギーアクセプターが、検体の存在なしでは連結されない、請求項1に記載の試薬。
【請求項11】
リンカー構造が、Rで、エネルギーアクセプターに結合しており、架橋基が任意的に存在しており、前記リンカー構造が、前記架橋基において、エネルギーアクセプターに結合している、請求項1から10のいずれか1つに記載の試薬。
【請求項12】
前記電子供与性置換基が、アミノ、第一級アミン、第二級アミン、O−アルキル、アルキル、S−アルキル、アミド、エステル、OHおよびSHから選択される、請求項1から11のいずれか1つに記載の試薬。
【請求項13】
〜Rの1つまたは複数が、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンの1つまたは複数で任意的に置換された、ジメチルアミノ、ジエチルアミノまたはメチルエチルアミノである、請求項12に記載の試薬。
【請求項14】
電子求引性置換基が存在し、前記電子求引性置換基は、NO、NO、CN、COOH、エステル、COO、アミド、CHO、ケト、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、およびSO−アルキルから選択される、請求項1から13のいずれか1つに記載の試薬。
【請求項15】
10、R11、R12、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1つが、O−アルキルである、請求項1から14のいずれか1つに記載の試薬。
【請求項16】
およびR10の基の対、RおよびR11の基の対、RおよびR12の基の対、RおよびR13の基の対、RおよびR14の基の対、RおよびR15の基の対のうちの1つまたは複数が、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンのうちの1つまたは複数で任意的に置換された、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンからなる架橋基である、請求項1から15のいずれか1つに記載の試薬。
【請求項17】
10〜R15が、それぞれO−メチルまたはO−エチルである、請求項1から14のいずれか1つに記載の試薬。
【請求項18】
ハライド、BF、PF、NO、カルボキシレート、ClO、Li、Na、K、Mg2+およびZn2+から選択された1つまたは複数の対イオンをさらに含む、請求項1から17のいずれか1つに記載の試薬。
【請求項19】
リンカー構造が存在し、前記リンカー構造は、活性エステル、イソチオシアネート、酸クロライド、アルデヒド、アジド、α−ハロゲン化ケトンおよびアミンから選択されたリンカーエレメントと反応パートナーとの反応によって形成される、請求項1から18のいずれか1つに記載の試薬。
【請求項20】
前記反応パートナーが、ポリサッカリド、ポリヌクレオチドおよびタンパク質から選択される、請求項19に記載の試薬。
【請求項21】
前記リンカーエレメントが、活性エステルであり、そして、スクシンイミジルおよびペンタフルオロフェニル活性エステルから選択される、請求項19または20に記載の試薬。
【請求項22】
前記エネルギードナーが、アレキサフロール(Alexa Fluor 594(商標))である、請求項1から21のいずれか1つに記載の試薬。
【請求項23】
下記の一般式で表される色素化合物であって、
【化2】

式中、
、R、R、R、RおよびRは、各々が単独で、H、ハロゲン、アルキル、アリール、O−アルキルまたはS−アルキルであり、R10、R11、R12、R13、R14およびR15は、各々が単独で、水素、O−アルキル、S−アルキル、またはアルキルであり、R20およびRの基の対、R20およびRの基の対、RおよびR10の基の対、RおよびR11の基の対、RおよびR12の基の対、RおよびR13の基の対、RおよびR14の基の対、RおよびR15の基の対のうちの1つまたは複数は、R10、R11、R12、R13、R14およびR15のすべてが水素でないことを条件として、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンの1つまたは複数で任意的に置換された、アリール、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンからなる架橋基であり、
16、R17、R18およびR19は、各々が単独で、H、アルキルまたはアリールであり、R16およびR17の基の対、および、R18およびR19の基の対のうちの1つまたは複数は、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンの1つまたは複数で任意的に置換されたアルキレンであり、
およびR16の基の対、RおよびR17の基の対、RおよびR18の基の対、および、RおよびR19の基の対の1つまたは複数は、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンの1つまたは複数で任意的に置換された、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンであり、そして、
20は、活性エステル、イソチオシアネート、酸クロライド、α−ハロゲン化ケトンおよびアジドから選択されたリンカーエレメントである
ところの色素化合物。
【請求項24】
10、R11、R12、R13、R14およびR15の少なくとも1つが、アルキルである、請求項23に記載の色素化合物。
【請求項25】
およびR10の基の対、RおよびR11の基の対、RおよびR12の基の対、RおよびR13の基の対、RおよびR14の基の対、RおよびR15の基の対のうちの1つまたは複数が、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンの1つまたは複数で任意的に置換された、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンからなる架橋基である、請求項24に記載の色素化合物。
【請求項26】
20が、以下の構造を有するリンカーエレメントであり、
【化3】

式中、
21は、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SON−ジアルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンのうちの1つまたは複数で任意的に置換された、H、アルキルまたはアリールであり、R22は、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンであり、R21およびR22は、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンのうちの1つまたは複数で任意的に置換された環の一部であり、そして、
23は、O−スクシンイミジル、O−ペンタフルオロフェニル、Clまたはα−ハロゲン化アルキルである、
請求項23から25のいずれか1つに記載の色素化合物。
【請求項27】
10〜R15が、それぞれO−メチルまたはO−エチルである、請求項23から26のいずれか1つに記載の色素化合物。
【請求項28】
ハライド、BF、PF、NO、カルボキシレート、ClO、Li、Na、K、Mg2+およびZn2+から選択された1つまたは複数の対イオンをさらに含む、請求項23から27のいずれか1つに記載の色素化合物。
【請求項29】
請求項1から22のいずれか1つに記載した試薬を使用して、検体を検出または測定する方法であって、
前記試薬をサンプルと接触させ、
前記試薬およびサンプルに、エネルギードナーの吸収スペクトル内の波長の光を照射し、
前記エネルギードナーの蛍光を測定することによって、エネルギードナーおよびエネルギーアクセプター間の無放射エネルギーの移動を検出し、そして、
蛍光測定を検体の存在または濃度と関連付ける
ステップを含む方法。
【請求項30】
蛍光強度測定または時間分解蛍光測定によって、前記エネルギードナーの蛍光を測定する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
サンプルの蛍光測定値を、既知濃度の検体を使用した蛍光測定値と比較することによって、検体を測定する、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
検体を検出するための、検体および試薬の複合体であって、前記試薬は、蛍光エネルギードナーおよびエネルギーアクセプターを含み、前記エネルギードナーおよび前記エネルギーアクセプターは、それらが互いに十分に近接しているときには、エネルギードナーの励起に続いて、エネルギーを無放射的にエネルギードナーからエネルギーアクセプターに移動させて、エネルギードナーの蛍光を消滅させ、前記エネルギーアクセプターは下記一般式で表され、
【化4】

式中、
、RおよびRは、各々が単独で、H、電子供与性置換基、または電子求引性置換基であり、または、Rは、R、RおよびRの少なくとも2つが電子供与性基であることを条件として、リンカー構造に結合しており;R、R、R、R、RおよびRは、各々が単独で、H、ハロゲン、アルキル、アリール、O−アルキル、S−アルキルであり、R10、R11、R12、R13、R14およびR15は、各々が単独で、水素、O−アルキル、S−アルキル、アルキルであり、または、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびRの基の対、RおよびR10の基の対、RおよびR11の基の対、RおよびR12の基の対、RおよびR13の基の対、RおよびR14の基の対、RおよびR15の基の対のうちの1つまたは複数は、R10、R11、R12、R13、R14およびR15のすべてが水素でないことを条件として、SO、PO2−、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、COOH、COO、エステル、アミド、ハロゲン、SO−アルキル、SO−アルキル、SONH、SONH−アルキル、SON−ジアルキル、SO−アルキル、CN、第二級アミンまたは第三級アミンのうちの1つまたは複数で任意的に置換された、アリール、アルキレン、O−アルキレン、S−アルキレンまたはN−アルキレンからなる架橋基であり、
前記検体の存在によって、前記エネルギードナーと前記エネルギーアクセプターとの間の距離が変更される
ところの複合体。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−518844(P2007−518844A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544302(P2006−544302)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014199
【国際公開番号】WO2005/059037
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(504013270)
【Fターム(参考)】