説明

検体処理システム及び検体保管庫

【課題】 従来に比して検体の廃棄時期の管理に要する使用者の労力を軽減させることができる検体処理システム及び検体保管庫を提供する。
【解決手段】
検体処理システム1は、検体を測定する測定ユニット51と、測定が完了した検体を搬送する検体搬送装置3と、搬送された検体を保管する検体保冷ユニット11とを備える。検体保冷ユニット11は、保管されている検体の保管期限に到達したときに、LEDの発光によって保管期限の超過を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体処理システム及び検体保管庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体分析装置、塗抹標本作製装置等の複数の検体処理装置と、前記検体処理装置へ供給するために検体を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置によって各検体処理装置へ検体を搬送し、搬送された検体を検体処理装置で処理する検体処理システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、複数の処理装置と、自動搬送車と、冷蔵庫とを備える検体搬送システムが開示されている。この特許文献1に記載された検体搬送システムでは、検体を挿入したラックを搭載した自動搬送車が、全ての処理が終了した検体を冷蔵庫へ搬送する。この検体搬送システムでは、検体を決められた日数冷蔵庫で保存する。冷蔵庫で決められた日数保存された検体は、冷蔵庫からラック送り出しユニットに搬出され、さらにラック送り出しユニットから自動搬送車に搬出され、自動搬送車によって自動的に廃棄所まで搬送され、廃棄される。
【特許文献1】特開平10−90277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような検体搬送システムの冷蔵庫に保管されている検体の中には、再検査の可能性があり、予め決められた保管期限を超過した後も保管しておくべき検体が存在し、システムの使用者はこのような検体を予めシステム内の冷蔵庫から取り出し、他の冷蔵庫に収容しておく必要がある。しかしながら、上記特許文献1に記載された検体搬送システムでは、冷蔵庫内に予め決められた保管期限を超過しそうな検体が収容されているか否かを、システムの使用者が容易に把握することができない。このため、上記特許文献1に記載された検体搬送システムでは、使用者が気づかない間に保管期限を超過し、他の冷蔵庫に保管しておくべき検体が自動搬送車によって自動的に廃棄されてしまうおそれがあった。従って使用者は、検体の廃棄時期を管理し、他の冷蔵庫での保管が必要な検体を予めシステムの冷蔵庫から取り出しておく必要があった。
一方、上記特許文献1に記載された検体搬送システムにおいて、自動搬送車による自動廃棄を実行しないようにすれば上記の意図しない検体を廃棄してしまうという課題は解決されるが、その場合には、使用者が保管期限を超過した検体を手動で廃棄する必要が生じる。しかしながら、この場合には、冷蔵庫内に保管期限を超過した検体が収容されているか否かを容易に把握することが難しいため、使用者はどのタイミングで検体を廃棄すべきかを管理しておく必要がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、検体の廃棄時期の管理に要する使用者の労力を軽減させることが可能な検体処理システム、及びこの検体処理システムに使用される検体保管庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、検体を処理する検体処理ユニットと、前記検体処理ユニットによる処理が完了した検体を搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットによって搬送された検体を保管する検体保管庫と、前記検体保管庫に保管されている検体の保管期限に基づいて定められる保管期限関連時刻に到達したときに、保管期限の超過に関する期限超過情報を出力する出力手段と、を具備する。
【0007】
この態様においては、前記検体保管庫が、前記検体保管庫に保管されている検体を冷却する冷却手段を備えることが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、前記検体保管庫に保管されている検体の保管期限に関する情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記検体の保管期限に関する情報に基づいて、前記保管期限関連時刻に到達したか否かを判定する判定手段とをさらに備え、前記出力手段が、前記判定手段によって前記保管期限関連時刻に到達したと判定されると、前記期限超過情報を出力するように構成されていることが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、前記保管期限関連時刻に到達したか否かを判定する判定時刻を設定する設定手段をさらに備え、前記判定手段が、前記設定手段により設定された判定時刻に、前記保管期限関連時刻に到達したか否かを判定するように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記保管期限関連時刻が、検体の保管期限であり、前記期限超過情報が、検体の保管期限が超過したことを示す情報であることが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記保管期限関連時刻が、検体の保管期限より所定期間前の時刻であり、前記期限超過情報が、検体の保管期限までの期間が該所定期間内であることを示す情報であることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記出力手段が、前記期限超過情報に対応する検体の前記検体保管庫における位置を認識可能に出力するように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前前記検体処理システムが、表示部と、前記検体保管庫に保管されている検体を検索するための検索条件を受け付ける検索条件受付手段と、前記検索条件受付手段によって受け付けられた検索条件に合致する検体を検索する検体検索手段と、前記検体検索手段によって検索された検体の前記検体保管庫における位置を前記表示部に表示する表示制御手段と、をさらに備えることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記搬送ユニットが、複数の検体を収容可能な検体ラックを搬送可能に構成されており、前記検体処理システムが、前記搬送ユニットによって搬送された検体ラックに収容された検体を、前記検体ラックから、前記検体ラックとは異なる検体ラックへ移し替える検体移し替えユニットをさらに備え、前記検体保管庫が、前記検体移し替えユニットによって移し替えられた検体を収容する前記異なる検体ラックを保管するように構成されていることが好ましい。
【0015】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、同一のラックに同一の保管期限を有する検体が収容されるように、前記検体移し替えユニットの移し替え動作を制御する移し替え制御手段をさらに備えることが好ましい。
【0016】
本発明の一の態様の検体保管庫は、検体を処理する検体処理ユニットによる処理が完了した検体を搬送する搬送ユニットと接続され、前記搬送ユニットにより搬送される検体を保管する検体保管庫であって、前記検体保管庫に保管されている検体の保管期限に基づいて定められる保管期限関連時刻に到達したときに、保管期限の超過に関する期限超過情報を出力する出力手段を具備する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る検体処理システム及び検体保管庫によれば、従来に比して検体の廃棄時期の管理に要する使用者の労力を軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
本実施の形態は、検体を冷却保管し、検体の保管期限が経過したことを通知する保冷庫を備える検体処理システムである。
【0020】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、検体送出ユニット4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8と、検査情報管理装置9と、検体仕分けユニット10と、検体保冷ユニット11とを備えている。また、血球分析装置5、システム制御装置8、検体仕分けユニット10、及び検体保冷ユニット11は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。
図1には示していないが、検体投入装置2の搬送上流側には、さらに検体搬送装置と血液凝固測定装置、免疫分析装置、生化学分析装置等が接続されており、これら分析装置による測定が完了した検体も、検体投入装置2に搬送され、図1に示す検体搬送装置3,301と検体送出ユニット4と検体仕分けユニット10を経由して検体保冷ユニット11に保管される。
【0021】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、検体投入ユニット21と、バーコード読取ユニット22と、検体送出ユニット23とを備えている。バーコード読取ユニット22は、検体投入ユニット21と検体送出ユニット23との間に配置されており、検体投入ユニット21に投入された検体は、バーコード読取ユニット22を経由して検体送出ユニット23へ移送されるように構成されている。検体投入ユニット21及び検体送出ユニット23は、複数の検体容器を収納したサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体投入ユニット21に載置された図3にて後述するサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼布されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られる。検体投入装置2はCPU及びメモリから構成された制御部2aを備え、この制御部2aにより検体投入ユニット21、検体チェックユニット22、及び検体送出ユニット23の動作機構を制御することができる。検体投入装置2の制御部2aは、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されており、上述のように読み取られたラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット23に搬送され、検体送出ユニット23から検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0022】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0023】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを受け入れることが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0024】
図4は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入装置2又は検体搬送装置3)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3又は検体搬送装置301)へとサンプルラックLを搬出するラック搬送部321とを備えている。
【0025】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、ラック搬送部321に連なっており、後述するラック送出部322によって、ラック搬送部321からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。ラックセンサ37は、光学式センサであり、発光部37aと受光部37bとを備えている。発光部37aは、ラック検出位置33aの側方に設けられており、受光部37bは、ラック検出位置33aの前方に設けられている。発光部37aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部37bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック搬送部321から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって発光部37aから発せられた光がサンプルラックLによって遮られ、受光部37bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0026】
ラック搬送部35は、図4に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側に位置し、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0027】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図5は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図6は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図5及び図6に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351e(図4参照)によりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352e(図4参照)によりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0028】
検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。検体容器センサ38は、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0029】
ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出される。
【0030】
ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、分析前ラック保持部33の前側には、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部33に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0031】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0032】
かかる構成とすることにより、搬送機構31には、検体供給位置35cを経由するサンプルラックLの搬送ラインである測定ラインL1と、検体供給位置35cを経由せずに、搬入したサンプルラックLをそのまま下流側の装置へ搬出する搬送ラインであるスキップラインL2とが形成されている。
【0033】
上記のような構成の搬送機構31は、制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0034】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、ラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作製装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、ラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0035】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体送出ユニット4に接続されている。
【0036】
検体搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303,304とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0037】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。また、ラックスライダ304は、コンベア302の左側に配置されており、測定ライン302a又はスキップライン302bから送られてきたサンプルラックLを受け取り、このサンプルラックLを検体送出ユニット4へ搬出する。
【0038】
<検体送出ユニット4の構成>
検体送出ユニット4は、複数のサンプルラックLを載置することが可能なラック載置部41を備えている。かかるラック載置部41は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に処理が完了した検体を収容するサンプルラックLが載置される。この検体送出ユニット4は、上述した検体搬送装置301から搬出されたサンプルラックLを搬入するように、検体搬送装置301に接続されている。検体搬送装置301から搬入されたサンプルラックLは、ラック載置部41上を後方へ移送され、ラック載置部41の右側に設けられた搬出口から左側に搬出される。
【0039】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0040】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3,3,3とも通信可能に接続されている。
【0041】
3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0042】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0043】
試料調製部512は、複数の反応チャンバ(図示せず)を備えている。また、試料調製部512は、図示しない試薬容器に接続されており、染色試薬、溶血剤、及び希釈液等の試薬を反応チャンバに供給することが可能である。試料調製部512は、検体吸引部511の吸引管とも接続されており、吸引管により吸引された血液検体を反応チャンバに供給することが可能である。かかる試料調製部512は、反応チャンバ内で検体と試薬とを混合撹拌し、検出部513による測定用の試料(測定試料)を調製する。
【0044】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、白血球の5分類を伴わないWBCの検出、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、染色試薬と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。
【0045】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0046】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0047】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0048】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用及び測定ユニット51の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0049】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0050】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラム524aを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0051】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0052】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0053】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0054】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0055】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0056】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介して検査情報管理装置9及び各検体搬送装置3,3,3に通信可能に接続されている。
【0057】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0058】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0059】
図9は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図9に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0060】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置301の測定ライン302a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0061】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
【0062】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0063】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0064】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0065】
また、ハードディスク81dには、処理状況データベースが設けられている。この処理状況データベースには、サンプルラック毎に、処理の進行状況を示すデータが記憶される。なお、処理状況データベースの詳しい説明は後述する。
【0066】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0067】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ8にデータを入力することが可能である。
【0068】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体送出ユニット4、情報処理ユニット52、及び検査情報管理装置9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0069】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0070】
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、臨床検査情報システム(LIS:Laboratory Information System)である。検査情報管理装置9は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1が備える血球分析装置5及び他のシステムが備える血球分析装置5とは異なる種類の検体分析装置(例えば、血液凝固測定装置、免疫分析装置、生化学分析装置、尿分析装置等)と接続されており、これらの検体分析装置による分析結果を記憶し、またこれらの分析結果を表示する。
【0071】
図10は、検査情報管理装置9の構成を示すブロック図である。検査情報管理装置9は、コンピュータ9aによって実現される。図10に示すように、コンピュータ9aは、本体91と、画像表示部92と、入力部93とを備えている。本体91は、CPU91a、ROM91b、RAM91c、ハードディスク91d、読出装置91e、入出力インタフェース91f、通信インタフェース91g、及び画像出力インタフェース91hを備えており、CPU91a、ROM91b、RAM91c、ハードディスク91d、読出装置91e、入出力インタフェース91f、通信インタフェース91g、及び画像出力インタフェース91hは、バス91jによって接続されている。
【0072】
ハードディスク91dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU91aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述する検査情報管理プログラム94aも、このハードディスク91dにインストールされている。
【0073】
また、ハードディスク91dには、測定オーダデータベースDB1が設けられている。測定オーダデータベースDB1には、測定オーダが登録される。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データを測定オーダデータベースDB1から読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。
【0074】
また、ハードディスク91dには、分析結果データベースDB2が設けられている。図11は、分析結果データベースDB2の構造を示す模式図である。分析結果データベースDB2には、検体分析装置による検体の分析結果が記憶される。分析結果には、検体ID、検体の分析によって得られた各種の数値データ(RBC、PLT、HGB、WBC、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO等)並びにスキャッタグラム及びヒストグラム等の分布図データが含まれている。図11に示すように、分析結果データベースDB2は、リレーショナルデータベースであり、検体ID、ラックID、ラック(サンプルラックL又は保冷用ラックDL(後述))における保持位置、測定日、測定時刻、及び分析結果の各項目のデータ等のフィールドを有している。また、分析結果データベースDB2は、分析結果のデータとして、上記の血球分析装置5による測定項目(RBC,PLT,WBC等)以外にも、血液凝固測定装置、免疫分析装置、生化学分析装置等の血球分析装置5とは異なる種類の検体分析装置の測定項目のデータのフィールドを有している。
【0075】
検査情報管理装置9は、接続された検体分析装置(血球分析装置5、血液凝固測定装置、免疫分析装置、生化学分析装置等)から分析結果を受信した場合に、当該分析結果を分析結果データベースDB2に登録する。また、検査情報管理装置9は、オペレータから与えられた指示に応じて、分析結果データベースDB2から検体の分析結果を読み出し、かかる分析結果を画像表示部92に表示する。
【0076】
読出装置91eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体94に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体94には、コンピュータを検査情報管理装置9として機能させるための検査情報管理プログラム94aが格納されており、コンピュータ9aが当該可搬型記録媒体94から検査情報管理プログラム94aを読み出し、当該検査情報管理プログラム94aをハードディスク91dにインストールすることが可能である。
【0077】
入出力インタフェース91fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース91fには、キーボード及びマウスからなる入力部93が接続されており、ユーザが当該入力部93を使用することにより、コンピュータ9aにデータを入力することが可能である。
【0078】
通信インタフェース91gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース91gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体送出ユニット4、情報処理ユニット52、及びシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ9aは、通信インタフェース91gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0079】
なお、検査情報管理装置9のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0080】
<検体仕分けユニット10の構成>
図12は、検体仕分けユニット10の概略構成を示す平面図である。検体仕分けユニット10は、検体送出ユニット4から受け取ったサンプルラックLの検体容器TのバーコードラベルBL1から検体IDを読み取る検体バーコードリーダ101aと、このサンプルラックLから検体容器Tを取り出し、取り出した検体容器Tを使い捨ての保冷用ラックDLに挿入する把持部101とを備えている。また、検体仕分けユニット10は、使用済のサンプルラックLを収納する使用済ラック収納部102と、未使用の保冷用ラックDLを収納する未使用ラック収納部103とを備えている。把持部101によって全検体が取り出されたサンプルラックLは、搬送部102aによって使用済ラック収納部102へ搬送される。また、搬送部103aによって未使用ラック収納部103から空の保冷用ラックDLが取り出され、検体の移し替えのための位置にセットされる。この位置には複数の保冷用ラックDLを並べて載置することができ、保管期限が同一の検体容器Tが1つの保冷用ラックDLに収容されるようになっている。また、保冷用ラックDLは、50本の検体容器Tを収納可能となっており、50本の検体容器Tを全て収納した保冷用ラックDLは、搬送部104によって検体仕分けユニット10の左側に接続された検体保冷ユニット11へ搬出される。
【0081】
保冷用ラックDLには、図示しないバーコードラベルが貼布されており、このバーコードラベルにラックIDを記録したラックバーコードが印刷されている。未使用ラック収納部103から取り出された保冷用ラックDLは、搬送部103aの近傍に配置されたバーコードリーダ103bによりラックIDが読み取られる。検体仕分けユニット10は、CPU及びメモリ等からなる制御部105を備えており、この制御部105にバーコードリーダ101a,103bにより読み取られた検体ID、ラックIDが与えられる。また、制御部105は、把持部101、搬送部102a、103a等を制御可能である。さらに、制御部105は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9に通信可能に接続されている。
【0082】
<検体保冷ユニット11の構成>
検体保冷ユニット11は、検体仕分けユニット10の左側に配置され、検体仕分けユニット10から搬出された保冷用ラックDLを受け入れ可能である。図13は、検体保冷ユニット11の全体の構成を示す斜視図である。図に示すように、検体保冷ユニット11は、複数の引出し状のラック収納部111を備えている。各ラック収納部111には、5個の保冷用ラックDLを前後方向に一列に並べて収納可能である。各ラック収納部111の内部には各保冷用ラックDLの収納位置に対応させて5つのセンサが設けられており、それぞれの位置において収納されている保冷用ラックDLを検出可能となっている。また、検体保冷ユニット11の内部には図示しないペルチェ式冷却機が設けられており、ラック収納部111に収納された検体を冷却保存することができる。オペレータは、ラック収納部111を前方に引き出すことが可能であり、再検査が必要な検体を収容する検体容器Tを、このラック収納部111に収納された保冷用ラックDLから手作業で取り出すことができる。
【0083】
また、各ラック収納部111の前面には、5つのLED通知部111aが設けられている。これらのLED通知部111aは、そのラック収納部111における5つの保冷用ラックDLの収納位置に各別に対応している。つまり、5つのLED通知部111aのうち、最も下のLED通知部111aは、そのラック収納部111における最も前側の保冷用ラックDLの収納位置に対応しており、下から2番目のLED通知部111aは、前から2番目の収納位置に対応している。LED通知部111aは、赤色及び緑色に発光可能である。かかるLED通知部111aは、検体保冷ユニット11が備える制御部112によって制御され、対応する保冷用ラックDLの検体保管期限が切れたときは赤色に点灯し、対応する保冷用ラックDLの検体保管期限が切れていないときには緑色に点灯し、対応する保冷用ラックDLがラック収納部111内に存在しない場合には点灯しない。
【0084】
また、検体保冷ユニット11には、タッチパネル式表示部112aが設けられている。このタッチパネル式表示部112aにより、オペレータは検索したい検体IDを入力することができ、入力された検体IDの検体の収納位置等の情報が検索され、タッチパネル式表示部112aに検索結果が表示されるようになっている。これにより、オペレータは、再検に供する検体を取り出す場合などに、容易に検体の収納位置を知ることができる。
【0085】
図14は、検体保冷ユニット11の保冷用ラックDLの搬送機構を示す斜視図である。検体保冷ユニット11は、その背部にラック移送部113を備えている。このラック移送部113は、保冷用ラックDLを載置可能な可動テーブル部113aと、可動テーブル部113aを上下左右に移動させる駆動機構113bとを備えている。各ラック収納部111の背部には、保冷用ラックDLを導入可能な導入口が設けられており(図示せず)、検体仕分けユニット10から送り込まれた保冷用ラックDLを載置した可動テーブル部113aが駆動機構113bの駆動力により移動し、目的のラック収納部111へその導入口から保冷用ラックDLを移送する。
【0086】
図15は、可動テーブル部113aの詳細な構成を示す斜視図である。可動テーブル部113aは、2つの引き込みベルト113cを備えている。これらの引き込みベルト113cは環状のベルトであり、図示しないモータにより駆動される。引き込みベルト113cは、左右方向へ回転可能に配置されている。検体仕分けユニット10から保冷用ラックDLを搬入するときには、可動テーブル部113aが駆動機構113bにより駆動されて検体仕分けユニット10の搬送部104の近傍の搬入位置まで移送される。その状態で搬送部104から保冷用ラックDLが搬出され、引き込みベルト113cが駆動されることにより保冷用ラックDLが可動テーブル部113a上に引き込まれる。このようにして可動テーブル部113aに保冷用ラックDLが載置される。
【0087】
また、可動テーブル部113aの後部にはラック押動部113dが設けられている。このラック押動部113dは、図示しないモータ等により駆動され、前方へ突出可能である。保冷用ラックDLをラック収納部111に収納させるときには、可動テーブル部113aを目的のラック収納部111の導入口の後方まで移動させ、ラック押動部113dを前方に移動させることにより、可動テーブル部113a上の保冷用ラックDLが前方へ押されて、ラック収納部111に収納される。
【0088】
また、各ラック収納部111には、固有の番号が割り当てられている。本実施の形態においては、9個のラック収納部111が設けられており、各ラック収納部111に1〜9の番号が割り当てられている。ラック収納部111の前面には、そのラック収納部111に割り当てられている番号が印字されている。
【0089】
制御部112は、CPU及びメモリ等によって構成されており、LED通知部111a及び可動テーブル部113を制御可能である。また、制御部112は通信ネットワークにより検査情報管理装置9に通信可能に接続されている。
【0090】
[検体処理システムの動作]
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
【0091】
[検体処理動作]
まず、検体処理システム1が検体を搬送し、検体の処理(測定又は塗抹標本の作製)を行う検体処理動作について説明する。
【0092】
<検体投入装置2の動作>
オペレータは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体投入ユニット21に載置し、検体投入ユニット21の操作パネル(図示せず)を操作して、検体処理システム1に処理開始の指示を与える。検体投入装置2の制御部2aは、かかる処理開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックLの移送を開始する。検体投入ユニット21に載置されたサンプルラックLは、検体投入ユニット21上を後方へ移送され、その後、サンプルラックLは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
【0093】
バーコード読取ユニット22に導入されたサンプルラックLは、制御部2aにより、搬送路上を左方向へ移送される。そして、サンプルラックLのラックバーコード及び検体容器Tの検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られる。読み取られたラックID及び検体IDは、制御部2aによりシステム制御装置8へ送信される。次いで、サンプルラックがさらに左方向へ移送され、検体送出ユニット23へこのサンプルラックLが移送される。制御部2aは、検体送出ユニット23が受け入れたサンプルラックLを検体送出ユニット23上で移送する。その後、検体投入装置2が、ラックIDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0094】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。
【0095】
システム制御装置8の測定オーダ取得動作
システム制御装置8は、検体投入装置2から検体IDを受信し、この検体IDをキーとして検査情報管理装置9に測定オーダを問い合わせる。ここで、測定オーダとは、検体に対して分析を行うべき分析項目の指示を示すデータであり、検体ID、患者ID及び患者氏名等の検体の属性情報と、分析項目の情報とが含まれる。以下、この動作を詳しく説明する。
【0096】
図16は、システム制御装置8の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャートである。上述したように、検体投入装置2は、バーコードリーダにより読み出した検体ID及びラックIDをシステム制御装置8へ送信する。かかるラックID及び検体IDは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS101)。CPU81aにおいて、ラックID及び検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS102の処理が呼び出される。
【0097】
ステップS102において、CPU81aは、受信した検体IDのうちの1つを含むオーダ要求データを検査情報管理装置9へ送信し、検査情報管理装置9にその検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS102)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS103においてNO)、検査情報管理装置9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS103においてYES)、受信した測定オーダをラックIDとともに測定オーダデータベースDB1に登録する(ステップS104)。また、CPU81aは、分析結果データベースDB2に、受信した検体ID及びラックIDを登録する(ステップS105)。
【0098】
次に、CPU81aは、ラックIDに対応している検体ID、即ち、そのラックIDのサンプルラックLに収容されている全ての検体の検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了したか否かを判定し(ステップS106)、測定オーダの問い合わせをしていない検体IDが存在する場合には(ステップS106においてNO)、ステップS102に処理を戻し、まだ測定オーダの問い合わせを行っていない検体IDに対応する測定オーダを検査情報管理装置9に要求する。
【0099】
一方、全ての検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了した場合には(ステップS106においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0100】
システム制御装置8から検体投入装置2への搬送指示処理
検体投入装置2からオーダ問い合わせのあった検体容器Tを保持したサンプルラックLが、検体送出ユニット23から搬出されるときの処理を示す。
システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれるラックIDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定し、決定した搬送先へ搬送するよう各装置へサンプルラックLの搬送を指示する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0101】
図17Aは、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、搬送方向最上流側の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS111)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS112の処理が呼び出される。
【0102】
ステップS112において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックIDをキーにして、ハードディスク81dに記憶されている測定オーダを検索する(ステップS112)。次に、CPU81aは、受信した各測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS113)。この処理では、その時点において測定を行っていない測定ユニット51又は測定の予約数が最も少ない測定ユニット51であって、測定オーダに含まれる測定項目を全て実行可能な測定ユニット51が測定先として決定される。
【0103】
次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS114)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(測定ラインL1又はスキップラインL2)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、及びサンプルラックLの各検体の測定オーダを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、サンプルラックLの搬送方向において最も上流側の測定ユニット51である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして測定ラインL1を示すデータがセットされる。一方、それ以外の測定ユニット51が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとしてスキップラインL2を示すデータがセットされる。この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0104】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS115においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS115においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS116)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS117においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS117においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS118においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS118においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0105】
次に、サンプルラックLが、検体搬送装置3から隣接する検体搬送装置3に搬出されるときの、システム制御装置8から検体搬送装置3に送信される第2搬送指示処理について説明する。
第2搬送指示処理では、何れかの検体搬送装置3にサンプルラックLの搬送指示が与えられる。図17Bは、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS131)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS132の処理が呼び出される。
【0106】
ステップS132において、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS132)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0107】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS133においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS133においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS134)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS135においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS135においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS136においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS136においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0108】
また、検体搬送装置301及び検体収容装置4に対しても、システム制御装置8は上述と同様の第2搬送指示処理を実行する。
【0109】
<検体搬送装置3の制御部32の動作>
ここでは、測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3の制御部32の動作について説明する。図18A及び図18Bは、制御部32による搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部32により受信される(ステップS201)。制御部32のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部32においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0110】
ステップS202において、制御部32は、搬送機構31のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS202)。搬入準備が完了したときには、制御部32は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS203)。
【0111】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが搬送機構31に搬入される(ステップS204)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部32は、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS205)。
【0112】
図18Bに移り、次に、制御部32は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれを示しているか、すなわち、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS206)。ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが測定ラインL1を示している場合、すなわち、測定ラインL1が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「測定ラインL1」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLの検体容器Tの保持部の内、図3において最も左側に位置する保持部が検体容器検出位置に到達するまで移送する(ステップS207)。次に、制御部32は、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS208)、検体容器センサ38によって検体容器検出位置に検体容器Tが検出されたか否かを判定し(ステップS209)、検体容器Tが検出された場合には(ステップS209においてYES)、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS210)、情報処理ユニット51へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS211)。これにより、検体容器センサ38によって検出された検体容器Tが検体供給位置35cに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS212においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS212においてYES)、処理をステップS214へ進める。
【0113】
一方、ステップS209において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS209においてNO)、制御部32は、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS213)、処理をステップS214へ進める。ステップS214において、制御部32は、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS214)、iが10未満である場合には(ステップS214においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS215)、ステップS209へ処理を戻す。
【0114】
ステップS214において、iが10以上である場合には(ステップS214においてYES)、制御部32は、搬送機構31を制御することにより、サンプルラックLを搬出するための搬出位置にサンプルラックLを到達させる(ステップS216)。その後、制御部32は、処理をステップS218へ移す。
【0115】
一方、ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データがスキップラインL2を示している場合、すなわち、スキップラインL2が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「スキップラインL2」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLをスキップラインL2上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS217)。その後、制御部32は、処理をステップS218へ移す。
【0116】
ステップS218において、制御部32は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てられたラックIDを含む搬出要求データを送信する(ステップS218)。その後、制御部32は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS219においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS219においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS220)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS221)。そして、制御部32は、処理を終了する。
【0117】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、測定ユニット51,51,51の動作を制御して検体の測定を行い、また測定によって得られた測定データを解析する。
【0118】
図19A及び図19Bは、本実施の形態に係る血球分析装置5による検体の分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、検体搬送装置3の制御部32から送信された吸引指示データを情報処理ユニット52が受信する(ステップS301)。CPU521aにおいて、吸引指示データを受信するというイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。この吸引指示データには、動作対象の測定ユニット51の測定ユニットIDが含まれる。
【0119】
ステップS302において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、供給位置35cにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS302)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS303)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS304)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS305)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS306)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gに検査情報管理装置9へ送信させ(ステップS307)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS308においてNO)、検査情報管理装置9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS308においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS309)。
【0120】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS310)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS311)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS312)、検体吸引完了データを、このサンプルラックLを搬送している検体搬送装置3へ送信する(ステップS313)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0121】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS314)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS315)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS316)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521dに格納され(ステップS317)、また、検査情報管理装置9へ送信される(ステップS318)。検査情報管理装置9は、分析結果データを分析結果データベースDB2に記憶する。ステップS318の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0122】
<検査情報管理装置9の測定オーダ提供処理>
検査情報管理装置9は、上述のようにシステム制御装置8又は情報処理ユニット52から測定オーダの要求を受け付けたときには、該当する測定オーダを要求元の装置へ提供する。以下、かかる測定オーダ提供処理について説明する。
【0123】
図20は、検査情報管理装置9の測定オーダ提供処理の手順を示すフローチャートである。システム制御装置8又は情報処理ユニット52からは、オーダ要求データが送信される。かかるオーダ要求データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS401)。CPU91aにおいて、オーダ要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。
【0124】
ステップS402において、CPU91aは、受信したオーダ要求データに含まれる検体IDを検索キーとして、測定オーダデータベースDB1から測定オーダを検索する(ステップS402)。次にCPU91aは、検索された測定オーダを要求元の装置へ送信し(ステップS403)、処理を終了する。
【0125】
<検査情報管理装置9の分析結果記録処理>
検査情報管理装置9は、上述のように情報処理ユニット52から分析結果を受信したときには、当該分析結果を分析結果データベースDB2に記憶する。以下、かかる分析結果記録処理について説明する。
【0126】
図21は、検査情報管理装置9の分析結果記録処理の手順を示すフローチャートである。情報処理ユニット52からは、分析結果データが送信される。かかる分析結果データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS411)。CPU91aにおいて、分析結果データを受信するイベントが発生すると、ステップS412の処理が呼び出される。
【0127】
CPU91aは、受信した分析結果データを、分析結果データベースDB2に登録する(ステップS412)。この後、CPU91aは、処理を終了する。
【0128】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。上述した検体搬送装置3と同様に、検体搬送装置301は、ラックスライダ303にサンプルラックLを搬入する際には、システム制御装置8から搬入準備指示データを受信し、搬入準備動作を実行する。また、ラックスライダ303にサンプルラックLを搬入したときには、システム制御装置8へ搬入完了データを送信する。
【0129】
ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8から受信したの搬入準備指示データに基づいて、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、ラックスライダ304へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302b上で搬送して、ラックスライダ304へ搬出する。
【0130】
また、ラックスライダ304は、前後に移動して測定ライン302a又はスキップライン302bからサンプルラックLを受け取る。検体搬送装置301は、検体送出ユニット4へサンプルラックLを搬出するときには、搬出要求データをシステム制御装置8へ送信する。また、検体搬送装置301は、システム制御装置8から搬出指示データを受信すると、このサンプルラックLを検体送出ユニット4へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0131】
<検体送出ユニット4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体送出ユニット4に導入される。上述した検体搬送装置3と同様に、検体搬送装置301は、サンプルラックLを搬入する際には、システム制御装置8から搬入準備指示データを受信し、搬入準備動作を実行する。また、サンプルラックLを搬入したときには、システム制御装置8へ搬入完了データを送信する。この後、検体送出ユニット4は、かかるサンプルラックLをラック載置部41上で搬送する。検体送出ユニット4は、検体仕分けユニット10へサンプルラックLを搬出するときには、搬出要求データをシステム制御装置8へ送信する。また、検体送出ユニット4は、システム制御装置8から搬出指示データを受信すると、このサンプルラックLを検体仕分けユニット10へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0132】
<検体仕分けユニット10の動作>
図22A及び図22Bは、検体処理動作における検体仕分けユニット10の制御部105の処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部105により受信される(ステップS501)。制御部105のCPUにより実行される制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部105においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS502の処理が呼び出される。
【0133】
ステップS502において、制御部105は、搬送部102aを駆動して、搬入準備動作を実行する(ステップS502)。搬入準備が完了したときには、制御部105は、搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS503)。
【0134】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが検体送出ユニット4から搬出され、これによってサンプルラックLが検体仕分けユニット10に搬入される(ステップS504)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部105は、搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS505)。
【0135】
次に、制御部105は、サンプルラックLに収容されている全検体の検体IDをバーコードリーダ101aにより読み取る(ステップS506)。その後、制御部105は、読み取った検体IDのうちの1つを選択し(ステップS507)、検査情報管理装置9へこの検体IDを含む分析結果要求データを送信し(ステップS508)、検査情報管理装置9から送信された分析結果データを受信するのを待機する(ステップS509においてNO)。制御部105は、分析結果データを受信すると(ステップS509においてYES)、分析結果データに含まれる分析された項目に基づいて、この検体の保管期間を設定する(ステップS510)。
【0136】
ここで、ステップS510の処理について詳しく説明する。分析結果データには、分析が行われた項目の分析結果(数値データ)が含まれている。例えば、分析結果データに血球分析装置5のRBCの分析結果が含まれている場合には、この検体が血球分析装置5により分析されたことがわかる。また、分析結果データにPT(プロトロンビン時間)の数値データが含まれている場合には、この検体が血液凝固測定装置により分析されたことがわかる。このように、分析結果データに分析結果の数値データが存在する分析項目により、どのような種類の検体分析装置により分析が行われたかを判別することができる。検体の保管期間は、その検体にどの種類の検査(分析)が行われたかによって異なる。例えば、血球分析装置による分析が行われた検体は、測定日から2日間保管する必要があり、血液凝固測定装置による分析が行われた検体は、測定日から2ヶ月間保管する必要がある。したがって、ステップS510の処理においては、RBC等の血球分析の分析結果が存在するが、それ以外の種類(血液凝固測定、免疫分析、生化学分析等)の分析結果が存在しない場合には、保管期間として2日間が設定され、PT,APTT等の血液凝固測定の分析結果が存在する場合には、保管期間として2ヶ月間が設定される。このように、分析結果が存在する分析項目により、その検体に必要な保管期間が設定される。なお、本実施の形態においては、説明を簡単にするために、本検体処理システム1における分析可能な項目が、血球分析及び血液凝固測定の項目のみである場合について説明する。
【0137】
次に、制御部105は、保管期間に対応する保冷用ラックDLが、検体の移し替えのための位置に存在するか否かを判別する(ステップS511)。上述したように、未使用ラック収納部103に収納されている未使用の保冷用ラックDLが搬送部103aによって搬送され、検体の移し替えのための位置(以下、「検体移し替え位置」という。)にセットされる。また、1つの保冷用ラックDLには、同一の保管期間の検体が収容されるようになっている。つまり、保管期間が2日間の検体は、保管期間が2日間用の保冷用ラックDLに収容され、保管期間が2ヶ月間の検体は、保管期間が2ヶ月間用の保冷用ラックDLに収容される。ステップS511の処理では、検体の保管期間が2日間の場合に、保管期間が2日間の保冷用ラックDLが検体移し替え位置に存在するか否かが判別される。
【0138】
ステップS511において、当該検体の保管期間に対応する保冷用ラックDLが、検体移し替え位置に存在する場合には(ステップS511においてYES)、制御部105は、処理をステップS514へ移す。また、当該検体の保管期間に対応する保冷用ラックDLが、検体移し替え位置に存在しない場合には(ステップS511においてNO)、制御部105は、新しい空の保冷用ラックDLを未使用ラック収納部103から取り出し、この保冷用ラックDLのラックIDをバーコードリーダ103bにより読み取り(ステップS512)、検体移し替え位置に搬送し(ステップS513)、処理をステップS514へ移す。
【0139】
ステップS514において、制御部105は、検体の保管期間に対応する保冷用ラックDLの空の保持位置を1つ選択する(ステップS514)。次に、制御部105は、把持部101を駆動して、この保冷用ラックDLの前記保持位置へ当該検体を移送する(ステップS515)。その後、制御部105は、この検体の検体ID、保管期間、この検体を収容した保冷用ラックDLのラックID、及びその保持位置を含む検体保管期間データを検査情報管理装置9へ送信する(ステップS516)。検査情報管理装置9は、後述するように、受信した検体保管期間データに含まれる情報により、分析結果データベースDB2を更新する。
【0140】
制御部105は、保冷用ラックDLに空きの保持位置が存在するか否か、すなわち、保冷用ラックDLがまだ検体を収納可能であるか否かを判別する(ステップS517)。保冷用ラックDLに空きの保持位置が存在しない場合には(ステップS517においてYES)、制御部105は、搬送部104を駆動して、この保冷用ラックDLを搬出するための搬出位置まで搬送し(ステップS518)、システム制御装置8へ搬出要求データを送信する(ステップS519)。その後、制御部105は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS520においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS520においてYES)、搬送部104を駆動して保冷用ラックDLを隣接する検体保冷ユニット11へ搬出し(ステップS521)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS522)。その後、制御部105は、処理をステップS523へと移す。その後、制御部105は、処理をステップS523へと移す。
一方、保冷用ラックDLの全ての保持位置に検体が収納されている場合、すなわち、保冷用ラックDLに空きの保持位置が存在する場合には(ステップS517においてNO)、制御部105は、処理をステップS523へ移す。
【0141】
ステップS523において、制御部105は、サンプルラックLの全ての検体の移し替えが終了したか否かを判別する(ステップS523)。サンプルラックLに検体の移し替えが終了していない検体が存在する場合には(ステップS523においてNO)、制御部105は、処理をステップS507へ戻す。
【0142】
一方、ステップS523において、サンプルラックLの全ての検体の移し替えが終了している場合には(ステップS523においてYES)、制御部105は、搬送部102aを制御して、サンプルラックLを使用済ラック収納部102へ搬送し(ステップS524)、処理を終了する。
【0143】
<検査情報管理装置9の検体の保管期間データ記憶処理>
図23は、検査情報管理装置9の検体の保管期間データ記憶処理の流れを示すフローチャートである。検体仕分けユニット10から送信された検体保管期間データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS421)。CPU91aにおいて、検体保管期間データを受信するイベントが発生すると、ステップS422の処理が呼び出される。
【0144】
CPU91aは、受信した検体保管期間データに含まれる検体IDをキーとして、分析結果データベースDB2から当該検体IDを含むレコードを検索する(ステップS422)。次に、CPU91aは、検索されたレコードを、検体保管期間データに含まれる検体ID、保管期間、ラックID、及び保持位置で更新し(ステップS423)、処理を終了する。
【0145】
<検体保冷ユニット11の検体収納動作>
図24は、検体保冷ユニット11の制御部112の検体収納処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部112により受信される(ステップS601)。この搬入準備指示データには、検体仕分けユニット10から搬出される保冷用ラックDLのラックIDが含まれている。制御部112のCPUにより実行される制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部112においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS602の処理が呼び出される。
【0146】
ステップS602において、制御部112は、駆動機構113bを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS602)。搬入準備が完了したときには、制御部112は、搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS603)。
【0147】
搬入準備完了データの送信に応じて、保冷用ラックDLが検体仕分けユニット10から搬出され、これによって保冷用ラックDLが検体保冷ユニット11に搬入される(ステップS604)。保冷用ラックDLの搬入が完了したときには、制御部112は、搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS605)。
【0148】
次に、制御部112は、受信した搬入準備指示データに含まれるラックIDを含む保管期間要求データを検査情報管理装置9へ送信する(ステップS606)。後述するように、保管期間要求データを受信した検査情報管理装置9は、このラックIDに対応する保冷用ラックDLに収容されている全検体の保管期間及び測定日、収容している検体の検体ID、並びに各検体の保冷用ラックDLにおける保持位置を分析結果データベースDB2から取得し、保管期間、測定日、検体ID、及び保持位置を含む保管期間通知データを検体保冷ユニット11へ送信する。制御部112は、検査情報管理装置9から送信される保管期間通知データの受信を待機し(ステップS607においてNO)、保管期間通知データを受信した場合には(ステップS607においてYES)、1〜9番のラック収納部111の中から当該保冷用ラックDLの収納先を決定する(ステップS608)。この処理においては、空き空間があるラック収納部111の中で最も番号が小さいラック収納部111が収納先として決定される。制御部112は、保冷用ラックDLの収納先を決定すると、駆動機構113bを駆動して、収納先のラック収納部111の導入口まで可動テーブル部113aを移送し、ラック押動部113dを駆動して、保冷用ラックDLを収納先として決定されたラック収納部111に移送する(ステップS609)。
【0149】
次に、制御部112は、収納先のラック収納部111の番号、及びラック収納部111内における当該保冷用ラックDLの位置、ラックID、保管期間通知データに含まれる保管期間、測定日、検体IDを制御部112のメモリ内に設けられた検体保管データベースDB3に登録する(ステップS610)。図25は、検体保管データベースDB3の構造を示す模式図である。検体保管データベースDB3は、保冷用ラックDLが収容されているラック収納部111の番号、保冷用ラックDLのラック収納部111における位置、保冷用ラックDLのラックID、保冷用ラックDLに収納されている全検体の保管期間、保冷用ラックDLに収納されている全検体の測定日、及び、保冷用ラックDLに収容されている検体の検体IDのフィールドを有しており、保冷用ラックDL毎にレコードが作成される。また、検体IDの各フィールドは、保冷用ラックDLの保持位置に対応して設けられており、これによって、検体IDと、検体が保冷用ラックDLにおいて保持されている保持位置とが対応付けられて記憶される。また、ラック収納部111内の位置は、前から後ろへ向かって順番に1,2,3,4,5の番号によって表されている。また、ステップS610の処理においては、新たにラック収納部111に収納された保冷用ラックDLのラック収納部111内における位置は最も後方の位置5であるので、ラック収納部111内の位置のフィールドには「5」が格納される。また、新たな保冷用ラックDLがラック押動部113dによって押動されて当該ラック収納部111に収納されたため、当該ラック収納部111に収納されている他の保冷用ラックDLの位置は、1つずつ前方に移動する。つまり、新たな保冷用ラックDLが収納される以前の位置が「5」であった保冷用ラックDLは、新たな保冷用ラックDLが収納された後の位置が「4」となる。このように、ステップS610の処理においては、データの登録とともに、新たに収納された保冷用ラックDLと同一のラック収納部111に収納されている他の保冷用ラックDLのレコードにおけるラック収納部111内の位置のデータも更新される。
【0150】
次に、制御部112は、このラック収納部111のLED通知部111aの点灯を変更し(ステップS611)、処理を終了する。ステップS611の処理を具体的に説明する。図26は、LED通知部111aの点灯の変更を説明する図である。ラック収納部111の2〜5に保冷用ラックDLが収納されており、ラック収納部111内の2番の位置(前から2番目の収納位置)の保冷用ラックDLが保管期限を経過している場合には、最も下のLED通知部111aは点灯せず、下から2番目のLED通知部111aが赤色に点灯し、他のLED通知部111aが緑色に点灯する。この状態において、新たな保冷用ラックDLが収納された場合には、最も下のLED通知部111aが赤色に点灯し、他の4つのLED通知部111aが緑色に点灯することとなる。
【0151】
<検査情報管理装置9の検体の保管期間通知処理>
図27は、検査情報管理装置9の検体の保管期間通知処理の流れを示すフローチャートである。検体保冷ユニット11から送信された保管期間要求データは、検査情報管理装置9の通信インタフェース91gにより受信される(ステップS431)。CPU91aにおいて、保管期間要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS432の処理が呼び出される。
【0152】
CPU91aは、受信した保管期間要求データに含まれるラックIDをキーとして、分析結果データベースDB2から当該ラックIDを含むレコードを検索する(ステップS432)。次に、CPU91aは、検索されたレコードから、このラックIDに対応する保冷用ラックDLに収容されている検体の保管期間及び測定日、収容している検体の検体ID、並びに各検体の保冷用ラックDLにおける保持位置を取得し、これらの情報を含む保管期間通知データを検体保冷ユニット11へ送信し(ステップS433)、処理を終了する。
【0153】
[検体保冷ユニット11のLED状態更新動作]
次に、検体保冷ユニット11のLED通知部111aの点灯・非点灯状態を更新するLED状態更新動作について説明する。検体保冷ユニット11は、定期的(例えば毎日所定時刻)に検体保管データベースDB3を参照して、各保冷用ラックDLの保管期間及び測定日から保管期限を算出し、算出した保管期限を経過したかどうかを判断し、保管期限が切れている場合には対応するLED通知部111aを赤色点灯させ、保管期限が切れていない場合には対応するLED通知部111aを緑色点灯させることにより、LED通知部111aの点灯状態を更新する。
【0154】
図28は、検体保冷ユニット11の制御部112によるLED状態更新処理の流れを示すフローチャートである。オペレータによるタッチパネル式表示部112aの所定の操作により、検体保冷ユニット11に保管期限が切れた検体が保管されているか否かを確認する確認時刻を設定するための確認時刻設定画面(図示せず)を表示させる。確認時刻設定画面には、曜日と各曜日において設定されている確認時刻がリストで表示されている。オペレータは、タッチパネルからリスト表示された確認時刻の欄を選択することが可能となっている。リスト表示された確認時刻の欄が選択されると、ソフトウェアキーボード(図示せず)が表示される。オペレータは、ソフトウェアキーボードから確認時刻を入力することができる。確認時刻が設定されると、毎週設定された曜日の設定された時刻に、保管期限が切れた検体が検体保冷ユニット11に保管されているか否かの確認を実行させることができる。例えば、月曜日の17:00の確認時刻が設定されている場合、毎週月曜日の17:00に保管期限が切れた検体が検体保冷ユニット11に保管されているか否かの確認を実行させることができる。なお、ソフトウェアキーボードには削除キーが備えられており、削除キーが押されることで確認時刻に表示されている内容を削除することができる。確認時刻の欄に確認時刻が設定されていない場合、保管期限が切れた検体が検体保冷ユニット11に保管されているか否かの確認は実行されない。確認時刻設定画面を有することにより、オペレータの業務形態に応じた確認時刻を設定することができる。したがって、週末といった施設が休みの日に、保管期限が切れた検体が検体保冷ユニット11に保管されているか否かの確認を実行させないように設定することも可能となる。LED状態更新処理は、毎日所定時刻に自動的に実行されるように設定されている。かかる所定時刻に到達すると、制御部112は、以下のLED状態更新処理を実行する。まず、制御部112は、全てのLED通知部111aを消灯する(ステップS621)。次に、制御部112は、ラック収納部111の番号を示す変数iに1をセットし(ステップS622)、ラック収納部111内における位置を示す変数jに1をセットする(ステップS623)。
【0155】
次に、制御部112は、検体保管データベースDB3から、ラック収納部111の番号がiであり且つラック収納部111内の位置がjのレコードを検索する(ステップS624)。該当するレコードが存在する場合には(ステップS625においてYES)、制御部112は、このレコードに含まれる保管期間及び測定日から、保管期限を算出し(ステップS626)、その日の日付と算出した保管期限とを比較して、保管期限が切れているか否かを判定する(ステップS627)。制御部112は、保管期限が切れている場合には(ステップS627においてYES)、番号iのラック収納部111における位置jに対応するLED通知部111aを赤色に点灯させ(ステップS628)、処理をステップS630へ移す。また、制御部112は、保管期限が切れていない場合には(ステップS627においてNO)、番号iのラック収納部111における位置jに対応するLED通知部111aを緑色に点灯させ(ステップS629)、処理をステップS630へ移す。また、ラック収納部の番号がiであり且つラック収納部111内の位置がjのレコードが検体保管データベースDB3に存在しない場合には(ステップS625においてNO)、処理をステップS630へ移す。
【0156】
ステップS630において、制御部112は、jが5以上か否かを判定する(ステップS630)。jが5未満である場合には(ステップS630においてNO)、制御部112はjを1インクリメントし(ステップS631)、処理をステップS624へ移す。また、jが5以上の場合には(ステップS630においてYES)、制御部112は、iが9以上か否かを判定する(ステップS632)。iが9未満である場合には(ステップS632においてNO)、制御部112はiを1インクリメントし(ステップS633)、処理をステップS623へ移す。また、iが9以上の場合には(ステップS632においてYES)、制御部112は処理を終了する。
【0157】
[検体保冷ユニット11のラック取り出し動作]
オペレータは、検体保冷ユニット11の前面のLED通知部111aを確認することにより、保管期限切れの検体のみを収容している保冷用ラックDLが検体保冷ユニット11内に存在するかどうかを把握することができる。赤色に点灯しているLED通知部111aがある場合には、オペレータは、そのLED通知部111aが設けられているラック収納部111を前方に引き出して、赤色に点灯しているLED通知部111aに対応する位置の保冷用ラックDLを取り出し、この保冷用ラックDLに収容されている検体を、保冷用ラックDLごと廃棄する。このように検体保冷ユニット11から保冷用ラックDLが取り出された場合には、この保冷用ラックDLの収納位置に対応するLED通知部が消灯し、この保冷用ラックDLに関するレコードが検体保管データベースDB3から削除される。
【0158】
図29は、かかるラック取り出し動作における検体保冷ユニット11の制御部112による処理の流れを示すフローチャートである。ラック収納部111が引き出され、この中から保冷用ラックDLが取り出された場合には、この収納位置に設けられたラック検出用のセンサの出力によって、ラックが存在しないことが検出される(ステップS641)。制御部112は、かかるイベントが発生した場合には、この収納位置に対応するLED通知部111aを消灯させる(ステップS642)。また、制御部112は、このラック収納部111の番号及び保冷用ラックDLの収納位置に対応するレコードを検体保管データベースDB3から削除し(ステップS643)、処理を終了する。
【0159】
[検体保冷ユニット11の検体検索処理]
オペレータは、検体の再検査を行うために、冷却保管されている検体を検体保冷ユニット11から取り出す場合がある。以下、このときの制御部112の処理について説明する。図30は、制御部112による検体検索処理の流れを示すフローチャートである。タッチパネル式表示部112aには、いくつかの画面が表示可能である。オペレータは、タッチパネル式表示部112aに所定の操作を行うことにより、検索条件入力画面を表示させることができる。制御部112は、かかる検索条件入力画面の表示指示を受け付けるイベントが発生すると(ステップS651)、図31に示すタッチパネル式表示部112aに検索条件入力画面W1を表示させる(ステップS652)。
【0160】
図31は、検索条件入力画面W1の一例を示す図である。図に示すように、検索条件入力画面W1は、検索条件となる検体IDを入力するための入力領域A1と、検索実行を指示するための検索実行ボタンB1と、キャンセルボタンB2とを有している。入力領域A1には、図に示すようにソフトウェアキーボードSKを検索条件入力画面W1の一部に表示させることにより、検体IDを入力可能である。また、検索実行ボタンB1及びキャンセルボタンB2はそれぞれオペレータが指で触れることで選択可能であり、検索実行ボタンB1が選択されたときには、入力された検体IDを検索キーとして検体保管データベースDB3から情報が検索され、キャンセルボタンB2が選択されたときには、検索条件入力画面W1の表示が終了する。
【0161】
制御部112は、かかる検索条件入力画面W1において検体IDの入力及び検索実行の指示(検索実行ボタンB1の選択)を受け付けるイベントが発生すると(ステップS653)、入力された検体IDを含むレコードを検体保管データベースDB3から検索する(ステップS654)。制御部112は、検索された検体保管データベースDB3のレコードから、ラック収納部111の番号、ラック収納部111内の収納位置、ラックID、当該検体IDに対応する保持位置及び該当検体の測定日と保管期間から算出した保管期限を取得し、これらの情報を含む図32に示す検索結果画面W2をタッチパネル式表示部112aに表示させる(ステップS655)。その後制御部112は、処理を終了する。
【0162】
図32は、検索結果画面W2の一例を示す図である。図32に示すように、検索結果画面W2には、検体ID、ラック収納部の番号(ラック収納ボックス番号)、ラック収納部111内の収納位置(ボックス内位置)、ラックID、保冷用ラックDLにおける保持位置(検体保持位置)、及び保冷期限が過ぎ、廃棄対象の検体であるか否かを示す情報が含まれている。オペレータは、この検索結果画面W2を確認するだけで、目的とする検体の収納位置を特定することができ、この位置から容易に検体を取り出すことができる。
【0163】
以上のような構成とすることにより、オペレータは、LED通知部111aを確認するだけで、検体保冷ユニット11内に保管期限が切れた検体のみを収容している保冷用ラックDLが収納されているか否か、また、保管期限が切れた検体のみを収容している保冷用ラックDLは何処に収容されているかを知ることができる。すなわち、保管期限を超過しそうな検体または超過した検体が収容されているか否かを容易に把握することができる。
【0164】
また、検体保管データベースDB3に保管期間、検体の保管位置及び測定日の情報を記憶しているため、これらの情報を用いて何れの検体の保管期限が切れたか否かを確実に判定することができ、適切にLED通知部111aの点灯状態を更新することができる。
【0165】
また、保管期限が切れる前はLED通知部を緑色で点灯させ、保管期限が切れた後にはLED通知部を赤色に変更して点灯させているため、オペレータは、LED通知部を確認するだけで、保管期限を超過した検体が検体保冷ユニットに収容されているか否かを容易に把握することができる。
【0166】
また、検索条件入力画面W1により、検索条件の検体IDの入力を受け付け、検索実行ボタンB1の選択を受け付けることにより、入力された検体IDに対応するラック収納部111の番号、ラック収納部111内の収納位置、ラックID、及び保冷用ラックDLにおける保持位置を含む検索結果画面W2が表示されるため、オペレータは、保管期限を超過しそうな検体または超過した検体が収容されているか否かを把握した後に、この検索結果画面W2を確認するだけで、多数の検体から目的とする検体の収納位置を容易に把握することができ、この収納位置から検体を容易に取り出すことができる。
【0167】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、LED通知部111aによって検体の保管期限が経過したことを通知する構成としたが、これに限定されるものではない。タッチパネル式表示部112aに、保管期限が切れた検体を収容する保冷用ラックDLが収納されているラック収納部111の番号、このラック収納部111内の収納位置、及びラックID等を表示することにより、保管期限が経過したことを通知する構成としてもよい。また、各ラック収納部111の前面に液晶表示部を設け、ラック収納部111に収納されている保冷用ラックDLの検体の保管期限が切れた場合には、そのラック収納部111に設けられた液晶表示部に、保冷用ラックDLを特定する情報(ラック収納部111内の収納位置、ラックID等)を表示することにより、保管期限が経過したことを通知する構成としてもよい。
【0168】
また、上述した実施の形態においては、検体保管データベースDB3に、保冷用ラックDLに収容されている検体の測定日及び保管期間を記録しておき、この測定日及び保管期間から保管期限を算出し、その日の日付と保管期限とを比較することで、保管期限が切れたか否かを判定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定日ではなく、検体保冷ユニット11に検体を収納した収納日を記録しておき、保管期間と収納日とから保管期限を算出する構成としてもよい。また、測定日又は収納日と保管期間とから予め算出された保管期限を記録しておく構成としてもよい。
【0169】
また、上述した実施の形態においては、検体保冷ユニット11の制御部112内のメモリに検体保管データベースDB3を設け、制御部112が検体保管データベースDB3に記録されている情報に基づいて、検体の保管期限が切れたか否かを判定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。検査情報管理装置9に検体保管データベースDB3を設け、検査情報管理装置9のCPU91aが検体の保管期限が切れたか否かを判定し、その判定結果を検体保冷ユニット11へ提供する構成としてもよい。
【0170】
また、上述した実施の形態においては、検体保冷ユニット11の制御部112内のメモリに検体保管データベースDB3を設け、タッチパネル式表示部112aにより検体の検索条件の入力を受け付け、制御部112が検体保管データベースDB3を検索することにより、検体保冷ユニット11に収納されている検体の収納位置の情報をタッチパネル式表示部112aに表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。検査情報管理装置9に検体保管データベースDB3を設け、タッチパネル式表示部112aによって受け付けた検体の検索条件の情報を検体保冷ユニット11の制御部112が検査情報管理装置9に送信し、検査情報管理装置9のCPU91aがこの検索条件にしたがって検体保管データベースDB3の検索を行い、検索結果を検体保冷ユニット11へ送信し、検体保冷ユニット11のタッチパネル式表示部112aに検体の収納位置を表示させる構成としてもよい。また、オペレータが検査情報管理装置9を操作して検索条件を入力し、CPU91aが検体保管データベースDB3を検索し、検索条件に合致する検体の検体保冷ユニット11における収納位置の情報を画像表示部92に表示させる構成としてもよい。
【0171】
また、上述した実施の形態においては、保管期限が切れていない保冷用ラックを収容した検体保冷ユニットの前面のLED通知部を緑色点灯させ、保管期限が切れた保冷用ラックを収容した検体保冷ユニットの前面のLED通知部を赤色点灯させる構成について述べたが、これに限定されるものではない。保管期限が切れる所定期間前、例えば1日前にLED通知部の色を黄色点灯させ、保管期限が切れた場合にLED通知部の色を赤色点灯させる構成としてもよい。
【0172】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1に血球分析装置5以外の種類の検体分析装置を備えていない構成について述べたが、検体処理システム1に血液凝固測定装置、免疫分析装置、生化学分析装置、尿分析装置等の検体分析装置が検査情報管理装置9と通信可能に接続されており、これらの検体分析装置に自動的にサンプルラックLを搬送する構成としてもよい。
【0173】
また、上述した実施の形態においては、血球分析装置による分析が行われた検体は、測定日から2日間保管する構成について述べたが、オペレータが任意に保管期間を変更できる構成としてもよい。
【0174】
また、上述した実施の形態においては、保管期限が切れた保冷用ラックを収容した検体保冷ユニットの前面のLED通知部を赤色点灯させる構成について述べたが、保管期限が切れた検体が検体保冷ユニットに存在している場合、タッチパネル式表示部112aの背景を赤色で表示させる、または保管期限の切れた検体があることを通知するメッセージを表示し、保管期限が切れた検体が収容されている位置と検体IDを表示させる構成としてもよい。
【0175】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ9aによりコンピュータプログラム94aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム94aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【0176】
また、上述した実施の形態においては、検体保冷ユニット11に収容された検体は、システムの使用者によって廃棄されるように構成されているが、自動搬送車を用い、廃棄期限が超過すると自動的に廃棄するように構成してもよい。この場合、使用者はLED通知部111aが点灯すると、自動廃棄の対象となる検体が収容されていることを認識することができる。廃棄対象の検体の中に引き続き保管したい検体がある場合には、使用者は当該検体を検体保冷ユニット11から取り出し、別の冷蔵庫に保管することができる。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明の検体処理システム及び検体保管庫は、検体を処理する検体処理ユニットへ検体を搬送する検体処理システム及び前記検体処理システムに用いられる検体保管庫として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図5】検体搬送装置の第1ベルトの構成を示す正面図。
【図6】検体搬送装置の第2ベルトの構成を示す正面図。
【図7】検体分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】検体分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図10】検査情報管理装置の構成を示すブロック図。
【図11】分析結果データベースの構造を示す模式図。
【図12】検体仕分けユニットの概略構成を示す平面図。
【図13】検体保冷ユニットの全体の構成を示す斜視図。
【図14】検体保冷ユニットの保冷用ラックの搬送機構を示す斜視図。
【図15】可動テーブル部の詳細な構成を示す斜視図。
【図16】システム制御装置の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャート。
【図17A】システム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図17B】システム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図18A】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図18B】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図19A】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(前半)。
【図19B】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(後半)。
【図20】検査情報管理装置の測定オーダ提供処理の手順を示すフローチャート。
【図21】検査情報管理装置の分析結果記録処理の手順を示すフローチャート。
【図22A】検体仕分けユニットの制御部の処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図22B】検体仕分けユニットの制御部の処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図23】検査情報管理装置の検体の保管期間データ記憶処理の流れを示すフローチャート。
【図24】検体保冷ユニットの制御部の検体収納処理の流れを示すフローチャート。
【図25】検体保管データベースの構造を示す模式図。
【図26】LED通知部の点灯状態の変更を説明する図。
【図27】検査情報管理装置の検体の保管期間通知処理の流れを示すフローチャート。
【図28】検体保冷ユニットの制御部によるLED状態更新処理の流れを示すフローチャート。
【図29】ラック取り出し動作における検体保冷ユニットの制御部による処理の流れを示すフローチャート。
【図30】検体保冷ユニットの制御部による検体検索処理の流れを示すフローチャート。
【図31】検索条件入力画面の一例を示す図。
【図32】検索結果画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0179】
1 検体処理システム
2 検体投入装置
3,301 検体搬送装置
31 搬送機構
32 制御部
4 検体送出ユニット
5 血球分析装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
52a コンピュータ
521a CPU
521b ROM
521c RAM
521d ハードディスク
522 画像表示部
523 入力部
524 可搬型記録媒体
524a コンピュータプログラム
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81a CPU
81b ROM
81c RAM
81d ハードディスク
9 検査情報管理装置
9a コンピュータ
91a CPU
91b ROM
91c RAM
91d ハードディスク
10 検体仕分けユニット
105 制御部
11 検体保冷ユニット
111 ラック収納部
111a LED通知部
112 制御部
L サンプルラック
T 検体容器
W1 検索条件入力画面
W2 検索結果画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を処理する検体処理ユニットと、
前記検体処理ユニットによる処理が完了した検体を搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットによって搬送された検体を保管する検体保管庫と、
前記検体保管庫に保管されている検体の保管期限に基づいて定められる保管期限関連時刻に到達したときに、保管期限の超過に関する期限超過情報を出力する出力手段と、を具備する、検体処理システム。
【請求項2】
前記検体保管庫は、前記検体保管庫に保管されている検体を冷却する冷却手段を備える、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記検体保管庫に保管されている検体の保管期限に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記検体の保管期限に関する情報に基づいて、前記保管期限関連時刻に到達したか否かを判定する判定手段とをさらに備え、
前記出力手段は、前記判定手段によって前記保管期限関連時刻に到達したと判定されると、前記期限超過情報を出力するように構成されている、請求項1または2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記保管期限関連時刻に到達したか否かを判定する判定時刻を設定する設定手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記設定手段により設定された判定時刻に、前記保管期限関連時刻に到達したか否かを判定するように構成されている、請求項3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記保管期限関連時刻は、検体の保管期限であり、前記期限超過情報は、検体の保管期限が超過したことを示す情報であるように構成されている、請求項1乃至4の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記保管期限関連時刻は、検体の保管期限より所定期間前の時刻であり、前記期限超過情報は、検体の保管期限までの期間が該所定期間内であることを示す情報であるように構成されている、請求項1乃至4の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記出力手段は、前記期限超過情報に対応する検体の前記検体保管庫における位置を認識可能に出力するように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
表示部と、
前記検体保管庫に保管されている検体を検索するための検索条件を受け付ける検索条件受付手段と、
前記検索条件受付手段によって受け付けられた検索条件に合致する検体を検索する検体検索手段と、
前記検体検索手段によって検索された検体の前記検体保管庫における位置を前記表示部に表示する表示制御手段と、をさらに備える、請求項1乃至7の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記搬送ユニットは、複数の検体を収容可能な検体ラックを搬送可能に構成されており、
前記搬送ユニットによって搬送された検体ラックに収容された検体を、前記検体ラックから、前記検体ラックとは異なる検体ラックへ移し替える検体移し替えユニットをさらに備え、
前記検体保管庫は、前記検体移し替えユニットによって移し替えられた検体を収容する前記異なる検体ラックを保管するように構成されている、請求項1乃至8の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項10】
同一のラックに同一の保管期限を有する検体が収容されるように、前記検体移し替えユニットの移し替え動作を制御する移し替え制御手段をさらに備える、請求項9に記載の検体処理システム。
【請求項11】
検体を処理する検体処理ユニットによる処理が完了した検体を搬送する搬送ユニットと接続され、前記搬送ユニットにより搬送される検体を保管する検体保管庫であって、
前記検体保管庫に保管されている検体の保管期限に基づいて定められる保管期限関連時刻に到達したときに、保管期限の超過に関する期限超過情報を出力する出力手段を具備する検体保管庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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