説明

検体分析装置および検体ラック搬送方法

【課題】検体の円滑な測定を実現しつつ、測定ユニットに対する測定負荷の集中を回避可能な検体分析装置および検体ラック搬送方法を提供する。
【解決手段】検体容器を保持する検体ラックは、検体搬送ユニット3により、3つの測定ユニット41の何れかに振り分けて搬送される。検体投入ユニット22から検体送出ユニット23に検体ラックが送出される送出間隔が所定の送出間隔よりも大きく、且つ、検体送出ユニット23の搬送路231上に収容されている検体ラックが所定の個数よりも小さいとき、3つの測定ユニット41のうちこれまでに検体を測定した測定回数が最も少ない測定ユニット41に検体ラックが搬送される。この条件以外では、3つの測定ユニット41のうち検体ラックを受入可能な測定ユニット41に検体ラックが搬送される。これにより、円滑に検体の測定処理を進めることができると共に、各測定ユニット41の測定負荷を均一化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の測定ユニットを有する検体分析装置および複数の測定ユニットに検体ラックを振り分けて搬送するための検体ラック搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、血液や尿等の臨床検体を処理するための検体分析装置が、病院等の医療機関において用いられている。かかる検体分析装置には、処理能力を向上させるために、複数の測定ユニットと、これら複数の測定ユニットに検体ラックを振り分けて搬送するための搬送装置とから構成されたものがある。
【0003】
このような検体分析装置では、一つの測定ユニットに測定負荷が集中し易い。測定負荷が集中すると、当該測定ユニットに故障やトラブルが起こり易くなる。そこで、特許文献1では、各測定ユニットの負荷を均等化するための手法が記載されている。すなわち、特許文献1では、各測定ユニットの負荷等の現状に基づいて、検体ラックを最上流の測定ユニットに搬送するかが決定され、これにより、各測定ユニットにおける測定負荷が均一化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−88860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の手法によれば、検体測定装置に対する測定対象の検体の受け付け状況に拘らず、一律に、測定ユニットの負荷を均等化するための搬送動作が行われる。しかしながら、測定対象の検体が検体測定装置に多数受け付けられた場合や、測定が混むと予測されるような場合には、各測定ユニットの負荷を均等化するよりも、測定の迅速性が優先されるのが望ましい。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検体の円滑な測定を実現しつつ、測定ユニットに対する測定負荷の集中を回避可能な検体分析装置および検体ラック搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る検体分析装置は、検体容器に収容された検体を測定する複数の測定ユニットと、前記検体容器を保持する検体ラックを複数の前記測定ユニットに振り分けて搬送するための搬送装置と、測定対象の前記検体ラックを受け付け、受け付けた前記検体ラックを前記搬送装置の搬送路に送出するラック送出部とを備える。ここで、前記搬送装置は、複数の前記測定ユニットのうち他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な前記測定ユニットに前記検体ラックを搬送する第1の搬送モードと、複数の前記測定ユニットのうち他よりも測定負荷が低い前記測定ユニットに前記検体ラックを搬送する第2の搬送モードの何れかにより前記検体ラックを搬送する。
【0008】
本態様に係る検体分析装置によれば、複数の測定ユニットのうち他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な測定ユニットに検体ラックを搬送する第1の搬送モードが準備されているため、たとえば、受付けられた検体ラックが多いような場合には、このモードが設定されることにより、円滑に検体の測定処理を進めることができる。また、複数の測定ユニットのうち他よりも測定負荷が低い測定ユニットに検体ラックを搬送する第2の搬送モードが準備されているため、たとえば、測定対象として受け付けられた検体ラックが混んでいないような場合には、このモードが設定されることにより、各測定ユニットの測定負荷を均一化することができる。
【0009】
本態様に係る検体分析装置は、前記搬送装置を制御する制御部をさらに備える構成とされ得る。この制御部は、測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいるとき、搬送モードを前記第1の搬送モードに設定し、測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいないとき、搬送モードを前記第2の搬送モードに設定する。
【0010】
この構成によれば、測定対象として受け付けられた検体ラックが混んでいるときには、他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な測定ユニットに検体ラックが搬送される。このため、受付けられた検体が多くても円滑に検体の測定処理を進めることができる。また、測定対象として受け付けられた検体ラックが混んでいないときには、他よりも測定負荷が低い測定ユニットに検体ラックが搬送される。このため、各測定ユニットの測定負荷を均一化することができる。
【0011】
また、本態様に係る検体分析装置は、前記搬送装置を制御する制御部と、表示部とを備える構成とされ得る。ここで、前記制御部は、前記搬送装置の搬送モードを、前記第1の搬送モードに設定するか、前記第2の搬送モードに設定するかの選択を受け付ける選択画面を前記表示部に表示させ、前記選択画面を介して受け付けた選択に基づき、前記搬送装置の搬送モードを、前記第1の搬送モード又は前記第2の搬送モードに設定する。
【0012】
この構成によれば、検体ラックの現在の受付状況や、今後の受付予測等に基づいて、オペレータが、第1の搬送モードまたは第2の搬送モードの何れかに、搬送モードを任意に設定することができる。よって、受付けられた検体ラックの状況に応じて、第1の搬送モードまたは第2の搬送モードが適宜選択設定されることにより、検体の円滑な測定を実現しつつ、測定ユニットに対する測定負荷の集中を抑制することができる。
【0013】
本発明の第2の態様に係る検体分析装置は、検体容器に収容された検体を測定する複数の測定ユニットと、前記検体容器を保持する検体ラックを複数の前記測定ユニットに振り分けて搬送するための搬送装置と、測定対象の前記検体ラックを受け付け、受け付けた前記検体ラックを前記搬送装置の搬送路に送出するラック送出部と、前記搬送装置を制御する制御部とを備える。ここで、前記制御部は、制御処理として、複数の前記測定ユニットのうち他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定する第1の決定処理と、複数の前記測定ユニットのうち他よりも測定負荷が低い前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定する第2の決定処理と、測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいるとき、前記第1の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する第1の搬送処理と、測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいないとき、前記第2の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する第2の搬送処理とを含む。
【0014】
本態様に係る検体分析装置によれば、測定対象として受け付けられた検体ラックが混んでいるときには、他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な測定ユニットに検体ラックが搬送される。このため、受付けられた検体が多くても円滑に検体の測定処理を進めることができる。また、測定対象として受け付けられた検体ラックが混んでいないときには、他よりも測定負荷が低い測定ユニットに検体ラックが搬送される。このため、各測定ユニットの測定負荷を均一化することができる。
【0015】
本態様に係る検体分析装置において、前記第1の搬送処理は、前記検体分析装置に投入された前記検体ラックが前記ラック送出部に送出される送出間隔が所定の送出間隔よりも大きくないとき、前記第1の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送し、前記第2の搬送処理は、前記検体分析装置に投入された前記検体ラックが前記ラック送出部に送出される送出間隔が前記所定の送出間隔よりも大きいとき、前記第2の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送するものとされ得る。
【0016】
また、前記ラック送出部は、前記搬送路に送出する前の前記検体ラックを収容する収容部を備える構成とされ得る。この場合、前記第1の搬送処理は、前記検体分析装置に投入された前記検体ラックが前記ラック送出部に送出される送出間隔が所定の送出間隔よりも大きくないとき、および、前記検体分析装置に投入された前記検体ラックが前記ラック送出部に送出される送出間隔が所定の送出間隔よりも大きく、且つ、前記収容部に収容されている前記検体ラックの個数が所定の個数よりも小さくないとき、前記第1の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送し、前記第2の搬送処理は、前記検体分析装置に投入された前記検体ラックが前記ラック送出部に送出される送出間隔が前記所定の送出間隔よりも大きく、且つ、前記収容部に収容されている前記検体ラックの個数が所定の個数よりも小さいとき、前記第2の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送するものとされ得る。
【0017】
また、前記ラック送出部は、前記検体ラックの識別情報を検知するための検知部を備える構成とされ得る。この場合、前記検知部による検知間隔が、前記送出間隔とされ得る。
【0018】
このように、検体ラックの混み具合は、前記検体分析装置に投入された前記検体ラックが前記ラック送出部に送出される送出間隔や、前記収容部に収容されている前記検体ラックの個数や、前記検知部による前記識別情報の検知間隔に基づいて把握され得る。
【0019】
本態様に係る検体分析装置において、前記制御部は、制御処理として、前記検体ラックの混み具合が高くなる時刻帯を取得する時刻帯取得処理を含み得る。この場合、現在の時刻が前記時刻帯取得処理にて取得された時刻帯に含まれるときは、測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいないときも、前記第2の搬送処理は行わずに、前記第1の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックが搬送されるよう構成され得る。
【0020】
この構成によれば、検体ラックが混んでいないと判断されても、検体ラックの混み具合が高くなる可能性がある時刻帯では、他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な測定ユニットに検体ラックが搬送されるため、より円滑かつ効率的な検体ラックの搬送動作を実現することができる。
【0021】
本態様に係る検体分析装置において、複数の前記測定ユニットは、前記搬送装置により搬送される前記検体ラックを受け入れる受入部をそれぞれ備える構成とされ得る。この場合、前記第1の決定処理は、前記受入部に前記検体ラックが存在しない前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定するものとされ得る。この構成によれば、空き状態にある測定ユニットに検体ラックを搬送することができる。
【0022】
本態様に係る検体分析装置において、前記制御部は、制御処理として、複数の前記測定ユニットのそれぞれについて、これまでに前記検体を測定した測定回数を取得する測定回数取得処理を含み得る。この場合、前記第2の決定処理は、複数の前記測定ユニットのうち他よりも前記測定回数が少ない前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定するものとされ得る。
【0023】
また、本態様に係る検体分析装置において、前記制御部は、制御処理として、複数の前記測定ユニットのそれぞれについて、これまでに当該測定ユニットに搬送された前記検体ラック数を取得する搬送ラック数取得処理を含み得る。この場合、前記第2の決定処理は、複数の前記測定ユニットのうち他よりも前記検体ラック数が少ない前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定するものとされ得る。
【0024】
このように、測定ユニットの測定負荷は、これまでに検体を測定した測定回数や、これまでに搬送された検体ラックの数に基づいて把握され得る。この他、測定ユニットにおける試料の残存量や消費量に基づいて測定ユニットの測定負荷を把握することもできる。ただし、試料の消費量は検体の測定回数と比例関係にあるため、試料の残存量や消費量に基づく測定負荷の把握は、検体の測定回数に基づく測定負荷の把握に含まれるものである。
【0025】
本発明の第3の態様に係る検体分析装置は、検体容器に収容された検体を測定する複数の測定ユニットと、前記検体容器を保持する検体ラックを複数の前記測定ユニットに振り分けて搬送するための搬送装置と、測定対象の前記検体ラックを受け付け、受け付けた前記検体ラックを前記搬送装置の搬送路に送出するラック送出部と、前記搬送装置を制御する制御部とを備える。ここで、前記制御部は、制御処理として、複数の前記測定ユニットのうち他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定する第1の決定処理と、複数の前記測定ユニットのうち他よりも測定負荷が低い前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定する第2の決定処理と、前記検体ラックの混み具合が高くなる時刻帯を取得する時刻帯取得処理と、前記時刻帯取得処理にて取得された時刻帯に現在の時刻が含まれるとき、前記第1の決定処理にて搬送先とされた測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する第1の搬送処理と、前記時刻帯取得処理にて取得された時刻帯に現在の時刻が含まれないとき、前記第2の決定処理にて搬送先とされた測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する第2の搬送処理とを含む。
【0026】
本態様に係る検体分析装置によれば、検体ラックの混み具合が高くなる時間帯においては、他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な測定ユニットに検体ラックが搬送される。このため、搬送装置が繁忙となる時刻帯において、円滑に検体の測定処理を進めることができる。また、検体ラックの混み具合が高くなる時間帯を除く時刻では、他よりも測定負荷が低い測定ユニットに検体ラックが搬送される。このため、各測定ユニットの測定負荷を均一化することができる。
【0027】
本発明の第4の態様は、検体容器を保持する検体ラックを複数の測定ユニットに振り分けて搬送するための検体ラック搬送方法に関する。本態様に係る検体ラック搬送方法は、測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいるとき、複数の前記測定ユニットのうち他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な前記測定ユニットに前記検体ラックを搬送し、測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいないとき、複数の前記測定ユニットのうち他よりも測定負荷が低い前記測定ユニットに前記検体ラックを搬送する。
【0028】
本態様によれば、上記第2の態様と同様の効果が奏され得る。
【0029】
本発明の第5の態様は、検体容器を保持する検体ラックを複数の測定ユニットに振り分けて搬送するための検体ラック搬送方法に関する。本態様に係る検体ラック搬送方法は、前記検体ラックの混み具合が高くなる時刻帯を取得し、取得された前記時刻帯に現在の時刻が含まれるとき、複数の前記測定ユニットのうち他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送し、取得された時刻帯に現在の時刻が含まれないとき、複数の前記測定ユニットのうち他よりも測定負荷が低い前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する。
【0030】
本態様によれば、上記第3の態様と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0031】
以上のとおり、本発明によれば、検体の円滑な測定を実現しつつ、測定ユニットに対する測定負荷の集中を回避可能な検体分析装置および検体ラック搬送方法を提供することができる。
【0032】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施形態に係る検体分析システムの構成を示す図である。
【図2】検体容器と検体ラックの構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る検体投入ユニットおよび検体送出ユニットの構成を示す平面図である。
【図4】第1の実施形態に係る検体搬送ユニットの構成を示す平面図である。
【図5】第1の実施形態に係る測定ユニットの構成を示す模式図である。
【図6】第1の実施形態に係る検体投入ユニットおよび検体送出ユニットの回路構成の概要を示す図である。
【図7】第1の実施形態に係る検体搬送ユニット、測定ユニット、情報処理ユニットおよび搬送コントローラの回路構成の概要を示す図である。
【図8】第1の実施形態に係る測定ユニットの通算の測定回数を示す図および実施形態の変更例に係る測定回数の替わりに用いられる測定ユニットに搬送された検体ラックの通算の個数を示す図である。
【図9】第1の実施形態に係る検体投入ユニットの後方位置にある検体ラックが検体搬送ユニットに向けて送出されるまでの制御を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施形態に係る検体投入ユニットの後方位置にある検体ラックが検体搬送ユニットに向けて送出されるまでの制御を示すフローチャートである。
【図11】第1の実施形態に係る検体投入ユニットの後方位置にある検体ラックが検体搬送ユニットに向けて送出されるまでの制御を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態に係る検体投入ユニットの後方位置にある検体ラックが検体搬送ユニットに向けて送出されるまでの制御を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施形態に係る検体ラックの混み具合についての統計値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本実施の形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体分析システムに本発明を適用したものである。本実施の形態に係る検体分析システムは、3つの測定ユニットと、1つの塗沫標本作製装置を備えている。3つの測定ユニットでは、血液分析が並行して行われ、その分析結果に基づき塗沫標本の作製が必要である場合に、塗沫標本作製装置により塗沫標本が作製される。
【0035】
1.第1の実施形態
以下、第1の実施形態に係る検体分析システムについて、図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、検体分析システム1を上側から見た場合の構成を示す平面図である。本実施形態に係る検体分析システム1は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、3つの検体搬送ユニット3と、血球分析装置4と、検体搬送ユニット5と、塗沫標本作製装置6と、搬送コントローラ7から構成されている。また、本実施形態の検体分析システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ8と通信可能に接続されている。
【0037】
検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23は、それぞれ、複数の検体ラックが載置可能となるよう構成されている。
【0038】
図2は、検体容器Tと検体ラックLの構成を示す図である。同図(a)は、検体容器Tの外観を示す斜視図であり、同図(b)は、検体ラックLの正面図である。
【0039】
同図(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。バーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。
【0040】
同図(b)を参照して、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で並べて保持することが可能となるよう10個の保持位置が形成されている。また、検体ラックLの正面側には、図示の如く、バーコードラベルBL2が貼付されている。バーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0041】
図1に戻って、検体回収ユニット21は、分析が終了した検体ラックLを収容する。検体投入ユニット22は、オペレータが投入した検体ラックLを収容し、収容している検体ラックLを検体送出ユニット23に送出する。また、検体回収ユニット21と検体投入ユニット22は、搬送コントローラ7と通信可能に接続されている。
【0042】
検体送出ユニット23では、検体投入ユニット22から送出される検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持位置に対応付けられた検体容器Tの検体IDが読み取られる。検体送出ユニット23は、バーコードの読み取りが完了した検体ラックLを検体搬送ユニット3に送出する。また、検体送出ユニット23は、搬送コントローラ7と通信可能に接続されており、検体送出ユニット23によって読み取られたラックIDと検体IDは、搬送コントローラ7に送信される。なお、検体投入ユニット22と検体送出ユニット23の構成については、追って図3を参照して説明する。
【0043】
3つの検体搬送ユニット3は、図示の如く、それぞれ、3つの測定ユニット41の前方に配置されている。隣り合う2つの検体搬送ユニット3は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう互いに接続されている。右側の検体搬送ユニット3の右端は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう検体送出ユニット23に接続されており、左側の検体搬送ユニット3の左端は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう検体搬送ユニット5に接続されている。また、3つの検体搬送ユニット3は、それぞれ、情報処理ユニット42と搬送コントローラ7に通信可能に接続されている。
【0044】
これら3つの検体搬送ユニット3には、図示の如く、それぞれに対応する測定ユニット41において検体の測定が行われる場合と行われない場合とに分けて、検体ラックLを搬送するための2通りの搬送ラインL1、L2が設定されている。すなわち、測定ユニット41で検体の測定が行われる場合は、後方のコの字型の矢印で示された搬送ラインL1に沿って検体ラックLが搬送される。測定ユニット41で検体の測定が行われない場合は、当該測定ユニット41をスキップするよう、中段の左向きの矢印で示された搬送ラインL2に沿って検体ラックLが搬送される。
【0045】
さらに、3つの検体搬送ユニット3には、図示の如く、検体ラックLを検体回収ユニット21に搬送するための搬送ラインL3が設定されている。すなわち、測定済み、あるいは、塗沫標本作製済みの検体ラックLは、前方の右向きの矢印で示された搬送ラインL3に沿って搬送され、検体回収ユニット21に回収される。なお、検体搬送ユニット3の構成については、追って図4を参照して説明する。
【0046】
血球分析装置4は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、3つの測定ユニット41と、情報処理装置42を備えている。情報処理ユニット42は、3つの測定ユニット41と通信可能に接続されており、3つの測定ユニット41の動作を制御する。また、情報処理ユニット42は、3つの検体搬送ユニット3にも通信可能に接続されている。
【0047】
3つの測定ユニット41は、検体容器Tに収容されている血液検体を測定する。すなわち、3つの測定ユニット41は、それぞれ前方に配置された検体搬送ユニット3の搬送ラインL1上の所定の位置において、検体ラックLから検体容器Tを抜き出す。かかる検体容器Tに収容されている血液検体は、測定ユニット41内で測定される。測定ユニット41内での測定が完了すると、かかる検体容器Tは再び元の検体ラックLの保持位置に戻される。なお、測定ユニット41の構成については、追って図5を参照して説明する。
【0048】
検体搬送ユニット5は、塗沫標本作製装置6の前方に配置されている。検体搬送ユニット5には、検体搬送ユニット3と同様、搬送ラインL1、L2、L3が設定されている。また、検体搬送ユニット5は、搬送コントローラ7と通信可能に接続されている。さらに、検体搬送ユニット5は、塗沫標本作製装置6と接続されており、検体搬送ユニット5からの指示に応じて、塗沫標本作製装置6が駆動される。
【0049】
塗沫標本作製装置6では、血液検体の塗沫標本が作製される。すなわち、まず、塗沫標本作製装置6は、検体搬送ユニット5の搬送ラインL1上の所定の位置において、検体容器Tに収容されている血液検体を吸引する。続いて、吸引された血液検体が、スライドガラス上に滴下され、スライドガラス上で薄く引き延ばされ、乾燥させられる。しかる後、かかるスライドガラスに染色液が供給されることにより、スライドガラス上の血液が染色され、塗沫標本が作製される。
【0050】
なお、塗沫標本の作製の要否は、3つの測定ユニット41による分析結果に基づいて、搬送コントローラ7によって判定される。後述の如く、各測定ユニット41における分析結果は、検体搬送ユニット3を介して搬送コントローラ7に送信される。搬送コントローラ7により塗沫標本の作製が必要と判定されると、対象となる検体を収容する検体ラックLは、検体搬送ユニット5の搬送ラインL1に沿って搬送され、塗沫標本作製装置6において塗沫標本の作製が行われる。
【0051】
搬送コントローラ7は、検体回収ユニット21と、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、3つの検体搬送ユニット3と、検体搬送ユニット5と通信可能に接続されており、各ユニットの駆動を制御する。搬送コントローラ7として、たとえば、別付のパーソナルコンピュータあるいはシステムに組み込まれたコンピュータが用いられる。
【0052】
搬送コントローラ7は、検体ラックLのラックIDと、検体容器Tの検体IDと、検体容器Tの保持位置とを検体送出ユニット23から受信すると、ホストコンピュータ8へ測定オーダの問い合わせを行う。搬送コントローラ7は、ホストコンピュータ8から測定オーダを受信すると、ラックIDと、検体IDと、保持位置とに対応付けて測定オーダを記憶する。
【0053】
また、搬送コントローラ7は、検体投入ユニット22から検体送出ユニット23に検体ラックLが送出される時間間隔に基づいて、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLを、3つの測定ユニット41の何れに搬送するかを決定する。搬送コントローラ7は、搬送先として決定された測定ユニット41の前方にある検体搬送ユニット3に対して、記憶した測定オーダを送信する。搬送コントローラ7は、この検体ラックLを搬送先として決定された測定ユニット41まで搬送するよう各検体搬送ユニット3を制御する。かかる搬送先の決定については、追って図9〜11を参照して説明する。
【0054】
ホストコンピュータ8は、通信ネットワークに接続されており、搬送コントローラ7と通信することが可能となっている。ホストコンピュータ8の記憶部には、測定オーダが格納されている。ホストコンピュータ8は、搬送コントローラ7から検体IDを含む測定オーダを要求されたときには、この検体IDに対応する測定データを記憶部から読み出し、搬送コントローラ7へ送信する。
【0055】
図3は、検体投入ユニット22と検体送出ユニット23を上側からみた場合の構成を示す平面図である。なお、同図において、搬送ラインL3に沿って検体ラックLを右方向に搬送する部分については、便宜上、図示が省略されている。
【0056】
検体投入ユニット22の搬送路221上に検体ラックLが投入されると、ラック送込機構222が検体ラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、検体ラックLが搬送路221の後方位置(以下、「位置P1」という)に送られる。位置P1に検体ラックLが位置付けられると、ラック送出機構223が左方向に駆動される。これにより、検体ラックLは、位置P1からラック送出ユニット23の搬送路231の後方位置(以下、「位置P2」という)に送出される。反射型のセンサ232は、検体ラックLが位置P2に位置付けられているか否かを検出することができる。
【0057】
位置P2に位置付けられた検体ラックLは、バーコード読取部233により、検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持位置に対応付けて検体容器Tの検体IDが読み取られる。位置P2でバーコードの読み取りが完了した検体ラックLは、ラック送込機構234により、位置P2から検体ラックLの前後方向の幅だけ前方に移動した位置(以下、「位置P3」という)に送られる。これにより、位置P1に後続の検体ラックLがある場合でも、この検体ラックLを迅速に位置P2に送出することができる。
【0058】
続いて、位置P3に位置付けられた検体ラックLは、ラック送込機構235が検体ラックLの後端に係合した状態で前方に移動することにより、搬送路231の前方位置(以下、「位置P4」という)に向けて送られる。ここで、搬送路231の前方の壁には、接触型のセンサ236が配されている。位置P4から後方に既に複数の検体ラックLがある場合、ラック送込機構235によって前方に送られている検体ラックLは、これら複数の検体ラックLの最後方の検体ラックLに押しつけられる。これにより、位置P4にある検体ラックLの前方側面がセンサ236に押しつけられ、ラック送込機構235による送り込みが終了したことが分かる。なお、送り込みが終了したラック送込機構235は、送り込みが終了した位置から後方に戻される。
【0059】
位置P4に位置付けられた検体ラックLは、ラック送出機構237により、左方向(検体搬送ユニット3側)に送出される。このとき、バーコード読取部238により、この検体ラックLのバーコードラベルBL2が読み取られる。
【0060】
なお、検体投入ユニット22と検体送出ユニット23には、ラック送込機構222、234、235と、ラック送出機構223、237をそれぞれ駆動するためのステッピングモータ(図示せず)が配されている。また、検体投入ユニット22には、搬送経路221上の検体ラックLの位置を検出するためのセンサ(図示せず)が、対応する位置に配されている。
【0061】
図4は、検体搬送ユニット3を上側から見た場合の構成を示す平面図である。検体搬送ユニット3は、分析前ラック保持部310と、ラック搬送部320と、分析後ラック保持部330と、ラック搬送部340、350とを備えている。
【0062】
検体ラックLに対する測定が行われない場合、検体ラックLは、ラック搬送部340のベルト341a、341bにより、ラック搬送部340の右端から左端へと搬送ラインL2に沿って直線的に送られる。
【0063】
検体ラックLに対する測定が行われる場合、検体ラックLは、同図右下の破線で示すラック搬送部340の右端位置に送られる。すなわち、図中に示す反射型のセンサ342により、検体ラックLが同図右下の破線の位置に搬送されたことが検出される。このタイミングでベルト341aが停止される。しかる後、ラック押出し機構343が後方に移動することにより、検体ラックLが、分析前ラック保持部310の搬送路311の前端に押し出される。発光部と受光部とからなる光学式センサ312a、312bにより、搬送路311上にある検体ラックLが検出されると、ラック送込機構313が検体ラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、検体ラックLが後方に送られる。こうして、検体ラックLがラック搬送部320の右端位置まで送られると、ベルト321a、321bが駆動され、検体ラックLが左方向に送られる。
【0064】
その後、検体ラックLは、検体容器センサ322の位置へと到達する。検体容器センサ322は接触式のセンサである。検体容器センサ322の真下位置を検体ラックLに保持された検出対象の検体容器Tが通過すると、検体容器センサ322の接触片がかかる検出容器Tにより屈曲されて、検体容器Tの存在が検出される。
【0065】
検体容器センサ322による検体容器Tの検出位置から検体容器2つ分だけ左側の検体供給位置において、後述する測定ユニット41のハンド部が、検体容器Tを把持して検体ラックLから検体容器Tを取り出す。取り出された検体容器Tは、測定ユニット41において測定に用いられた後、再び検体ラックLに戻される。検体容器Tが検体ラックLへ戻されるまでの間、検体ラックLの搬送は待機される。
【0066】
こうして、検体ラックLに保持された全ての検体容器Tの検体に対する測定が終了すると、検体ラックLは、ベルト321a、321bによって、同図に破線で示すラック搬送部320の左端位置まで送られ、ベルト321a、321bの駆動が停止される。しかる後、検体ラックLは、ラック押出し機構323により、分析後ラック保持部330の搬送路331の後端に送られる。発光部と受光部とからなる光学式センサ332a、332bにより、搬送路331上にある検体ラックLが検出されると、ラック送込機構333が検体ラックLの後端に係合した状態で前方に移動し、検体ラックLが前方に送られる。このとき、分析後ラック保持部330の前方にあって、ラック搬送部340と350の間にある仕切り部360が開閉制御され、検体ラックLが、ラック搬送部340、350の何れかに位置付けられる。
【0067】
測定ユニット41による測定の結果、検体ラックLに保持されている何れかの検体容器Tについて、下流側にある塗沫標本作製装置6による塗沫標本作製の必要があると判定されると、仕切り部360により、ラック搬送部340、350が仕切られた状態で、検体ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部340の左端位置まで移動される。しかる後、かかる検体ラックLは、ラック搬送部340のベルト341bによって下流側の検体搬送ユニットに送出される。
【0068】
他方、測定ユニット41による測定の結果、検体ラックLに保持されている検体容器Tについて、いずれも下流側にある塗沫標本作製装置6による塗沫標本作製の必要がないと判定されると、仕切り部360の上面が、ラック搬送部340のベルト341bの上面と同じ高さまで下げられ、検体ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部350の左端位置まで移動される。こうして、検体ラックLが、ラック送込機構333によって、分析後ラック保持部330からラック搬送部340を横切って、同図左下に破線で示すラック搬送部350の左端位置まで移動される。しかる後、かかる検体ラックLは、ラック搬送部350のベルト351によって搬送ラインL3に沿って右方向に移動される。こうして、搬送ラインL3に沿って搬送された検体ラックLは、検体回収ユニット21に収容される。
【0069】
なお、検体搬送ユニット3には、ラック押出し機構343、323と、ラック送込機構313、333と、ベルト321a、321b、341a、341b、351と、仕切り部360をそれぞれ駆動するためのステッピングモータ(図示せず)が配されている。また、検体搬送ユニット3には、センサ342、312a、312b、332a、332bと、検体容器センサ322の他、搬送経路上の検体ラックLの位置を検出するためのセンサ(図示せず)が、対応する位置に配されている。
【0070】
図5は、測定ユニット41を上側から見た場合の構成を示す模式図である。測定ユニット41は、検体容器搬送部411と、バーコード読取部412と、検体吸引部413と、試料調整部414と、検出部415とを備える。
【0071】
検体容器搬送部411は、ハンド部411aと、検体容器セット部411bとを備えている。ハンド部411aは、検体供給位置に位置付けられた検体容器Tを把持し、検体ラックLから検体容器Tを上方へ抜き出す。抜き出された検体容器Tは、ハンド部411aにより攪拌された後、検体容器セット部411bにセットされる。検体容器セット部411bにセットされた検体容器Tは、バーコード読取位置において、バーコード読取部412によって検体容器Tに貼付されたバーコードラベルBL1が読み取られる。しかる後、検体容器Tは、検体容器セット部411bが後方へ移動されることにより、検体吸引部413の真下の検体吸引位置に位置付けられる。検体吸引部413は、検体吸引位置に位置付けられている検体容器T内の検体を吸引する。その後、検体容器Tは元の経路に沿って戻されて、元の検体ラックLの保持位置に戻される。
【0072】
試料調整部414は、複数の反応チャンバ(図示せず)を備えている。試料調整部414は、試薬容器414a〜414cに接続されており、試薬容器414aの染色試薬と、試薬容器414bの溶血剤と、試薬容器414cの希釈液とを反応チャンバに供給することができる。また、試料調整部414は、検体吸引部413とも接続されており、検体吸引部413により吸引された血液検体を反応チャンバに供給することができる。さらに、試料調整部414は、反応チャンバ内で検体と試薬とを混合攪拌し、検出部415による測定用の試料を調製する。
【0073】
検出部415は、試薬調製部414により調製された試料を測定する。かかる測定により得られた測定データは、情報処理ユニット42により解析処理が行われる。
【0074】
図6は、検体投入ユニット22と検体送出ユニット23の回路構成の概要を示す図である。
【0075】
検体投入ユニット22は、通信部220と、制御部224と、センサ部225と、駆動部226とを備える。通信部220は、搬送コントローラ7との間でデータ通信を行う。制御部224は、CPU224aと記憶部224bを備える。CPU224aは、記憶部224bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、搬送コントローラ7の制御部に従って各部を制御する。記憶部224bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0076】
センサ部225は、搬送路221上の検体ラックLの位置を検出するためのセンサを含んでいる。駆動部226は、上述のラック送込機構222と、ラック送出機構223と、これら各機構をそれぞれ駆動するステッピングモータを含んでいる。
【0077】
検体送出ユニット23は、通信部230と、バーコード読取部233、238と、制御部240と、センサ部241と、駆動部242とを備える。通信部230は、搬送コントローラ7との間でデータ通信を行う。制御部240は、CPU240aと記憶部240bを備える。CPU240aは、記憶部240bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、搬送コントローラ7の制御部に従って各部を制御する。記憶部240bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0078】
バーコード読取部233により読み取られた検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持位置に対応付けられた検体容器Tの検体IDは、制御部240を介して搬送コントローラ7に送信される。また、バーコード読取部238により読み取られた検体ラックLのラックIDも、制御部240を介して搬送コントローラ7に送信される。
【0079】
センサ部241は、上述のセンサ232、236を含んでおり、センサ部241の検出信号は制御部240に出力される。駆動部242は、上述のラック送込機構234、235と、ラック送出機構237と、これら各機構をそれぞれ駆動するステッピングモータを含んでいる。
【0080】
図7は、検体搬送ユニット3と、測定ユニット41と、情報処理ユニット42と、搬送コントローラ7の回路構成の概要を示す図である。なお、同図には、便宜上、検体搬送ユニット3と測定ユニット41がそれぞれ1つのみ示されているが、他の検体搬送ユニット3と測定ユニット41も同様に構成される。
【0081】
検体搬送ユニット3は、通信部301、305と、制御部302と、センサ部303、306と、駆動部304、307とを備える。
【0082】
なお、駆動部307は、検体ラックLが図4の分析前ラック保持部310に押し込まれてから分析後ラック保持部330に押し出すまでの区間において、検体ラックLの搬送を行う。この区間にあるセンサはセンサ部306に含まれ、これらセンサの出力は、情報処理ユニット42に供給される。また、駆動部304は、駆動部307による搬送区間以外の区間において、検体ラックLの搬送を行う。この区間にあるセンサはセンサ部303に含まれ、これらセンサの出力は、搬送コントローラ7に供給される。
【0083】
通信部301は、搬送コントローラ7と情報処理ユニット42との間で、データ通信を行う。制御部302は、CPU302aと記憶部302bを備える。CPU302aは、記憶部302bに記憶されているコンピュータプログラムを実行すると共に、搬送コントローラ7の制御部702aに従って駆動部304を制御する。記憶部302bは、ROM、RAM等の記憶手段を備える。記憶部302bは、当該検体搬送ユニット3に対応する測定ユニット41で、これまでに行われた通算の測定回数を記憶している。また、記憶部302bは、CPU302aの作業領域としても用いられる。
【0084】
ここで、記憶部302bに記憶されている通算の測定回数について説明する。
【0085】
図8(a)は、検体搬送ユニット3の記憶部302bに記憶されている測定ユニット41の通算の測定回数を示す図である。同図(a)において、検体搬送ユニット(1)〜(3)は、それぞれ、3つの検体搬送ユニット3のうち、左、中央、右の検体搬送ユニット3を表している。
【0086】
図示の如く、検体搬送ユニット(1)〜(3)の記憶部302bには、それぞれ、対応する測定ユニット41の通算の測定回数として、N1、N2、N3が記憶されている。かかる通算の測定回数は、対応する測定ユニット41によって検体の測定が終了したタイミングで更新される。すなわち、情報処理ユニット42は、測定ユニット41によって検体の測定が終了し、かかる検体の測定結果を受信すると、対応する検体搬送ユニット3に通知を行う。検体搬送ユニット3のCPU302aは、かかる通知を受信すると、記憶部302bで記憶している通算の測定回数を1つ加算する。
【0087】
図7に戻って、センサ部303は、上述のセンサ342と、332a、332bとを含んでおり、センサ部303の検出信号は、制御部302に出力される。駆動部304は、上述のラック押出し機構343と、ラック送込機構333と、ベルト341a、341b、351と、仕切り部360を昇降させる昇降機構と、これら各機構をそれぞれ駆動するステッピングモータを含んでいる。
【0088】
通信部305は、情報処理ユニット42との間で、データ通信を行う。センサ部306は、上述のセンサ312a、312b、検体容器センサ322を含んでおり、センサ部306の検出信号は、通信部305を介して、情報処理ユニット42に送信される。駆動部307は、ラック押出し機構323と、ラック送込機構313と、ベルト321a、321bと、これら各機構をそれぞれ駆動するステッピングモータを含んでいる。駆動部307の各部は、情報処理ユニット42の制御部422により直接制御される。
【0089】
なお、センサ部306のうち、センサ312a、312bの検出信号が情報処理ユニット42に送信されると、情報処理ユニット42は、対応する検体搬送ユニット3の通信部301を介して、制御部302に検出信号を送信する。これにより、搬送コントローラ7のCPU702aによって、各検体搬送ユニット3に対してセンサ312a、312bによる検出の有無の問い合わせが行われると、各検体搬送ユニット3の制御部302は、情報処理ユニット42から送信された検出信号に基づき、搬送コントローラ7にセンサ312a、312bによる検出の有無を送信する。
【0090】
測定ユニット41は、通信部410と、検体容器搬送部411と、バーコード読取部412と、検体吸引部413と、試料調整部414と、検出部415とを備える。測定ユニット41の各部は、情報処理ユニット42の制御部422により直接制御される。
【0091】
情報処理ユニット42は、通信部421と制御部422を備える。この他、情報処理ユニット42は、映像出力を行うためのインターフェースや、キーボード等からの入力を行うためのインターフェース、CDドライブまたはDVDドライブ等の読出し装置を備えるが、ここでは、その説明を省略する。
【0092】
通信部421は、検体搬送ユニット3の通信部301、305と、測定ユニット41の通信部410との間でデータ通信を行う。制御部422は、CPU422aと記憶部422bを備える。CPU422aは、記憶部422bに記憶されているコンピュータプログラムを実行する。記憶部422bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0093】
CPU422aは、測定ユニット41から受信した測定結果(粒子データ)に基づいて血液分析を行い、分析結果を、表示部(図示せず)に表示する。また、CPU422aは、検体搬送ユニット3を介して、分析結果を搬送コントローラ7に送信する。
【0094】
搬送コントローラ7は、通信部701と、制御部702とを備える。この他、搬送コントローラ7は、映像出力を行うためのインターフェースや、キーボード等からの入力を行うためのインターフェース、CDドライブまたはDVDドライブ等の読出し装置を備える。
【0095】
通信部701は、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、3つの検体搬送ユニット3との間で、データ通信を行う。制御部702は、CPU702aと、記憶部702bを備える。CPU702aは、記憶部702bに記憶されているコンピュータプログラムを実行する。記憶部702bは、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備える。
【0096】
CPU702aは、コンピュータプログラムに従って、検体投入ユニット22と、検体送出ユニット23と、3つの検体搬送ユニット3とを駆動制御する。また、CPU702aは、各測定ユニット41の通算の測定回数を、対応する検体搬送ユニット3の記憶部302bから受信する。受信した各測定ユニット41の通算の測定回数は、記憶部702bにおいて、図7(a)に示す如く測定ユニット41ごとに記憶される。
【0097】
また、CPU702aは、検体投入ユニット22のセンサ部225と検体送出ユニット23のセンサ部241からの検出信号に基づいて、検体投入ユニット22の駆動部226と検体送出ユニット23の駆動部242を制御する。CPU702aは、検体搬送ユニット3のセンサ部303からの検出信号に基づいて、検体搬送ユニット3の駆動部304を制御する。CPU702aは、検体搬送ユニット3を介して情報処理ユニット42から受信した検体の分析結果に基づいて、塗沫標本の作製の要否を判定する。
【0098】
この他、検体搬送ユニット5(図示せず)は、検体搬送ユニット3と同様の構成となっている。検体搬送ユニット5は、搬送コントローラ7の指示に従って、検体搬送ユニット5の駆動部を制御し、塗沫標本作製装置6(図示せず)は、検体搬送ユニット5の指示に応じて駆動される。
【0099】
図9〜図12は、図3の位置P1にある検体ラックLが、検体搬送ユニット3に向けて送出されるまでの制御を示すフローチャートである。
【0100】
以下の制御は、搬送コントローラ7のCPU702aによって行われる。また、以下のフローチャートで用いられるP2フラグ〜P4フラグは、それぞれ、図3の位置P2〜P4に検体ラックLがあるか否かを示す。すなわち、P2フラグ〜P4フラグの値がそれぞれ0である場合、位置P2〜P4に検体ラックLが位置付けられていないことを示し、P2フラグ〜P4フラグの値がそれぞれ1である場合、位置P2〜P4に検体ラックLが位置付けられていることを示す。なお、P2フラグ〜P4フラグの初期値は0であり、P2フラグ〜P4フラグは、搬送コントローラ7の記憶部702bに記憶されている。
【0101】
図9(a)は、位置P1にある検体ラックLが、位置P2に送出される制御を示すフローチャートである。
【0102】
位置P1に検体ラックLがあると判定され(S101:YES)、P2フラグの値が0であると判定されると(S102:YES)、搬送コントローラ7のCPU702aは、位置P1にある検体ラックLを、ラック送出機構223を駆動することにより位置P2に送出する(S103)。このとき、CPU702aは、位置P1から位置P2に向けて検体ラックLの送出を開始した時刻を取得し(S104)、記憶部702bに記憶する。
【0103】
次に、CPU702aは、1つ前の検体ラックLが位置P1から位置P2に向けて送出を開始された時刻と、S104において今回取得した時刻との差(以下、「送出間隔」という)を取得し(S105)、かかる送出間隔がTminより大きいかを判定する(S106)。ここで、Tminは、検体送出ユニット23の搬送路231上に検体ラックLがないときに、位置P1から位置P2に向けて連続的に検体ラックLが送出されたときの送出間隔である。すなわち、Tminは、送出間隔が最も小さい場合の値である。
【0104】
送出間隔がTminより大きいと判定されると(S106:YES)、送出間隔フラグに0がセットされ(S107)、送出間隔がTminより大きくない、すなわち送出間隔がTminと等しい判定されると(S106:NO)、送出間隔フラグに1がセットされる。送出間隔フラグは、搬送コントローラ7の記憶部702bに記憶されており、初期値は0である。なお、1つ前の検体ラックLが存在しないとき、すなわち、今回送出した検体ラックLが最初に送出された検体ラックLであるとき、S106ではYESと判定される。
【0105】
ここで、送出間隔がTminより大きくなる状態として、検体ラックLが検体投入ユニット22に投入される時間間隔が長い場合、または、検体送出ユニット23の搬送路231上の検体ラックLの移動が滞っており、位置P1から位置P2に向けて送出される検体ラックLに待ち時間が発生している場合、が挙げられる。
【0106】
次に、位置P2において、バーコード読取部233により、検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持位置に対応付けられた検体容器Tの検体IDが読み取られ(S109)、P2フラグに1がセットされる(S110)。S109の処理が終了すると、S101に処理が戻される。
【0107】
図9(b)は、位置P2にある検体ラックLが、位置P3に送られる制御を示すフローチャートである。
【0108】
P2フラグの値が1であると判定され(S201:YES)、P3フラグの値が0であると判定されると(S202:YES)、搬送コントローラ7のCPU702aは、位置P2にある検体ラックLを、ラック送込機構234を駆動することにより位置P3に移動させる(S203)。さらに、CPU702aは、P2フラグに0をセットし(S204)、P3フラグに1をセットする(S205)。S205の処理が終了すると、S201に処理が戻される。
【0109】
図10は、位置P3にある検体ラックLが、位置P4方向に送られる制御を示すフローチャートである。
【0110】
P3フラグが1であると判定され(S301:YES)、P4フラグの値が0であると判定されると(S302:YES)、搬送コントローラ7のCPU702aは、位置P3にある検体ラックLを、ラック送込機構235を駆動することにより位置P4方向に移動させる(S303)。このとき、P3フラグに0がセットされる(S304)。
【0111】
検体ラックLが位置P4方向に移動させられることにより、上述したように、センサ236によって、位置P4にある検体ラックLの前方側面がセンサ236に接触したことが検知されると(S305:YES)、P4フラグに1がセットされる(S306)。こうして、前方に送られた検体ラックLは、この検体ラックLと位置P4との間に検体ラックLがない場合は位置P4に、この検体ラックLと位置P4との間に1以上の検体ラックLがある場合は、最後方の検体ラックLの後方に位置付けられる。
【0112】
次に、検体ラックLの送り込みが終了したラック送込機構235は、位置P3まで戻るよう後方に移動開始される(S307)。このとき、ラック送込機構235を駆動するステッピングモータに印加されるパルス数がカウントされる(S308)。ラック送込機構235の位置P3への移動が完了したと判定されると(S309:YES)、カウントしたパルス数がPc以下であるかが判定される(S310)。なお、Pcは、位置P3と位置P4の間の所定位置から、ラック送込機構がP3まで戻るときにカウントされるパルス数に設定されている。
【0113】
ここで、カウントしたパルス数がPc以下である場合(S310:YES)は、搬送路231上において位置P4から後方に複数の検体ラックLがあり、最後方の検体ラックLが、位置P3と位置P4の間の所定位置よりも位置P3寄りの位置にあることを示している。他方、カウントしたパルス数がPcよりも大きい場合(S310:NO)は、搬送路231上において位置P4から後方に複数の検体ラックLがあるときでも、最後方の検体ラックLが、位置P3と位置P4の間の所定位置よりも位置P4寄りの位置にあることを示している。すなわち、カウントしたパルス数がPc以下であるかが判定されると、検体ラックLがどのぐらい搬送路231上に並べられているかが分かる。
【0114】
カウントしたパルス数がPc以下であると判定されると(P310:YES)、位置P4から後方に並んでいる検体ラックLの個数が所定数以上であるとして、満杯フラグに1がセットされる(S311)。他方、カウントしたパルス数がPcよりも大きいと判定されると(P310:NO)、位置P4から後方に並んでいる検体ラックLの個数が所定数より小さいとして、満杯フラグに0がセットされる(S312)。なお、満杯フラグは、搬送コントローラ7の記憶部702bに記憶されており、初期値は0である。S311またはS312の処理が終了すると、S301に処理が戻される。
【0115】
図11は、位置P4にある検体ラックLが、検体搬送ユニット3に向けて送出される制御を示すフローチャートである。
【0116】
P4フラグが1であると判定されると(S401:YES)、搬送コントローラ7のCPU702aは、送出間隔フラグが0であるかを判定する(S402)。送出間隔フラグが0であると判定されると(S402:YES)、次にCPU702aは、満杯フラグが0であるかを判定する(S403)。
【0117】
満杯フラグが0であると判定されると(S403:YES)、CPU702aは、図7(a)に示したメモリ702bに記憶されている通算の測定回数に基づき、通算の測定回数が最も少ない測定ユニット41を取得する(S404)。続いて、CPU702aは、S404で取得した通算の測定回数が最も少ない測定ユニット41が、検体ラックLを受入可能か判定する(S405)。なお、本実施形態では、測定ユニット41に対応する検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310に検体ラックLがない場合、この測定ユニット41が検体ラックLを受入可能であるとする。また、かかる確認は、上述したように、CPU702aが各検体搬送ユニット3に対してセンサ312a、312bによる検出の有無を問い合わせることにより行われる。
【0118】
測定回数が最も少ない測定ユニット41が、検体ラックLを受入不可能と判定されると(S405:NO)、この測定ユニット41が検体ラックLを受入可能と判定されるまで処理が待機される。測定回数が最も少ない測定ユニット41が、検体ラックLを受入可能と判定されると(S405:YES)、CPU702aは、かかる測定ユニット41を搬送先として決定する(S406)。なお、通算の測定回数が同じである測定ユニット41が検体ラックLを受入可能である場合、これらの測定ユニット41のうち下流側(左側)の測定ユニット41を、搬送先として決定する。
【0119】
他方、送出間隔フラグが0でないと判定され(S402:NO)、または、満杯フラグが0でないと判定されると(S403:NO)、CPU702aは、各測定ユニット41について検体ラックLの受入状況を確認する(S407)。全ての測定ユニット41が検体ラックLを受入不可能と判定されると(S408:NO)、処理がS407に戻される。何れかの測定ユニット41が検体ラックLを受入可能と判定されると(S408:YES)、CPU702aは、S407で検体ラックLを受入可能と確認された測定ユニット41を、搬送先として決定する(S409)。なお、検体ラックLを受入可能である測定ユニット41が複数存在する場合、これらの測定ユニット41のうち下流側(左側)の測定ユニット41を、搬送先として決定する。
【0120】
次に、CPU702aは、S406またはS409で搬送先として決定された測定ユニット41に対して検体ラックLを搬送する(S410)。すなわち、まず、位置P4にある検体ラックLが、ラック送出機構237により検体送出ユニット23から左方向に送出される。そして、この検体ラックLが、S406またはS409で搬送先として決定された測定ユニット41にて測定が行われるよう、かかる測定ユニット41に対応する検体搬送ユニット3の分析前ラック保持部310に、この検体ラックLが搬送される。
【0121】
続いて、CPU702aは、P4フラグに0をセットする(S411)。S411の処理が終了すると、S401に処理が戻される。
【0122】
以上、本実施形態によれば、送出間隔がTminより大きく、且つ、検体送出ユニット23の位置P4から後方にある検体ラックLが所定数より少なければ、測定対象の検体ラックLが混んでいないとして、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLは、測定負荷が低い測定ユニット41、すなわち通算の測定回数が最も少ない測定ユニット41に搬送される。これにより、3つの測定ユニット41の通算の測定回数が略同じとなるため、各測定ユニット41の測定負荷を均一化することができる。よって、各測定ユニット41の部品等の消耗が同程度とされため、各測定ユニット41のメンテナンスを同時期に行うことができ、メンテナンスにかかる作業量が低減され得る。
【0123】
また、本実施形態によれば、送出間隔がTminに一致する場合に加えて、送出間隔がTminより大きく、且つ、検体送出ユニット23の位置P4から後方に所定数以上の検体ラックLがあれば、測定対象の検体ラックLが混んでいるとして、検体送出ユニット23から送出される検体ラックLは、検体ラックLを受入可能となる測定ユニット41に搬送される。これにより、検体分析システム1に多数の検体ラックLが受付けられた場合でも、円滑に検体の測定処理を進めることができる。
【0124】
2.第2の実施形態
上記第1の実施形態では、送出間隔フラグと満杯フラグに基づいて、検体ラックLを搬送する測定ユニットが決定されたが、本実施形態では、さらに検体ラックLの混み具合についての統計値が考慮される。
【0125】
図12は、位置P4にある検体ラックLが、検体搬送ユニット3に向けて送出される制御を示すフローチャートである。なお、図12では、図11のフローチャートにS421、S422が追加されている。以下、追加した処理S421、S422についてのみ説明する。
【0126】
満杯フラグが0であると判定されると(S403:YES)、搬送コントローラ7のCPU702aは現在の日時を取得する(S421)。続いて、CPU702aは、S421で取得した現在の日時が、混み具合についての統計値に基づいて検体ラックLが混まない時刻帯であるかを判定する(S422)。現在の日時が混まない時刻帯であると判定されると(S422:YES)、処理がS404に進められ、現在の日時が混む時刻帯であると判定されると(S422:NO)、S407に処理が進められる。
【0127】
ここで、S422で用いられる混み具合についての統計値について説明する。
【0128】
図13は、検体ラックLの混み具合についての統計値を示す図である。同図において、横軸は時刻を表し、縦軸は3つの測定ユニット41により行われる1時間当たりの測定回数を表している。なお、同図には、便宜上、月曜日と水曜日の統計値のみが示されている。
【0129】
同図に示す検体ラックLの混み具合についての統計値は、以下の手順により得られる。
【0130】
まず、搬送コントローラ7は、検体分析システム1の使用時間範囲(同図では19時〜5時)において、30分毎に3つの測定ユニット41の測定回数を取得して、これにより1時間当たりの測定回数を算出する。かかる1時間当たりの測定回数は、搬送コントローラ7の記憶部702bに記憶される。なお、本実施形態において、3つの測定ユニット41による1時間当たりの測定回数の最大値(以下、「最大測定回数」という)は300である。
【0131】
搬送コントローラ7は、このような1時間当たりの測定回数の推移を曜日毎に記憶部702bに記憶し、さらに、所定の日数に亘って記憶された各曜日の推移を曜日毎に平均化する。こうして、搬送コントローラ7は、同図に示すような混み具合についての統計値を取得する。
【0132】
同図の月曜日の混み具合についての統計値を参照して、時刻が19時〜21時半の間(図中の区間A)と、時刻が23時〜5時の間(図中の区間C)では、1時間当たりの測定回数は最大測定回数よりも小さい。これにより、区間AとCでは、3つの測定ユニット41は常に測定を行っている状態(検体ラックLが混んでいる状態)でないことが分かる。他方、時刻が21時半〜23時の間(図中の区間B)では、1時間当たりの測定回数は最大測定回数となっている。これにより、区間Bでは、3つの測定ユニット41は常に測定を行っている状態(検体ラックLが混んでいる状態)であることが分かる。
【0133】
本実施形態では、例えば月曜日において、1時間当たりの測定回数が最大測定回数となる時刻帯(図中の区間B)に加えて、1時間当たりの測定回数が最大測定回数に到達するまでの時刻帯(図中の区間A)も、3つの測定ユニット41が常に測定を行っている状態(検体ラックLが混んでいる状態)となり得る時刻帯とする。月曜日に検体ラックLが混んでいる状態となり得る時刻帯として、区間Bだけでなく区間Aが含められる理由は以下による。
【0134】
区間Aでは、3つの測定ユニット41は常に測定を行っている状態ではないものの、この後、現在の時刻が区間Bに差し掛かると、3つの測定ユニット41は常に測定を行っている状態となる可能性が非常に高い。このため、検体ラックLが混んでいる時刻帯として区間Aにおいて、図12のS407〜S409で示したように、搬送先となる測定ユニット41が決定されれば、現在時刻が区間Bに差し掛かった時に、より円滑に測定が行われ得る。
【0135】
なお、水曜日においては、1時間当たりの測定回数が最大測定回数となる場合がないため、検体ラックLが混んでいる時刻帯は設定されない。
【0136】
図12に戻り、S422では、現在の曜日と時刻帯が、図13で説明したような検体ラックLが混まない時刻帯であるかが判定されている。例えば、現在の曜日を月曜日とすると、現在の時刻が区間AまたはBに含まれる場合、S422においてYESと判定され、現在の時刻が区間Cに含まれる場合、S422においてNOと判定される。また、現在の曜日を水曜日とすると、現在の時刻が何れの区間に含まれていても、S422においてYESと判定される。
【0137】
このように、本実施形態によれば、S402とS403においてYESと判定された場合でも、現在日時が、検体ラックLが混んでいる時間帯に含まれると判定されると、検体ラックLは、測定回数によらず検体ラックLを受入可能となる測定ユニット41に搬送される。これにより、より円滑かつ効率的な検体ラックLの搬送動作を実現することができる。
【0138】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0139】
たとえば、上記実施形態では、測定対象として血液を例示したが、尿についても測定対象とされ得る。すなわち、尿を検査する検体処理装置にも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体検査装置に本発明を適用することもできる。
【0140】
また、上記実施形態では、最も測定回数が少ない測定ユニット41に検体ラックLが搬送されるようにしたが、他の何れかの測定ユニット41よりも測定回数が少ない測定ユニット41に、検体ラックLが搬送されるようにしても良い。
【0141】
また、上記実施形態では、最も測定回数が少ない測定ユニット41に検体ラックLを搬送するようにしたが、測定ユニット41に搬送された検体ラックLの通算の個数が最も少ない測定ユニット41に、検体ラックLを搬送するようにしても良い。
【0142】
図8(b)は、測定ユニット41に搬送された検体ラックLの通算の個数を示す図である。かかる通算の個数は、各検体搬送ユニット3の記憶部302bと、搬送コントローラ7の記憶部702bとに記憶されている。また、この場合、測定ユニット41に搬送された検体ラックLの通算の個数が、他の何れかの測定ユニット41よりも少ない測定ユニット41に検体ラックLが搬送されるようにしても良い。
【0143】
さらに、この場合、図8(c)に示すように、測定ユニット41の通算の測定回数と、測定ユニット41に搬送された検体ラックLの通算の個数とが記憶されるようにしても良い。この場合、まず、測定ユニット41の通算の測定回数が小さい測定ユニット41に検体ラックLが搬送されるようにし、測定ユニット41の通算の測定回数が同じであれば、測定ユニット41に搬送された検体ラックLの通算の個数が小さい測定ユニット41に検体ラックLが搬送されるようにしても良い。あるいは、測定ユニット41に搬送された検体ラックLの通算の個数が小さい測定ユニット41に検体ラックLが搬送されるようにし、測定ユニット41に搬送された検体ラックLの通算の個数が同じであれば、測定ユニット41の通算の測定回数が小さい測定ユニット41に検体ラックLが搬送されるようにしても良い。あるいは、測定ユニット41の測定回数に掛ける重み付けαと、測定ユニット41に搬送された検体ラックLの通算の個数に掛ける重み付けβとが用いられるようにする。これにより、測定ユニット(1)〜(3)について、それぞれ、(αN1+βM1)、(αN2+βM2)、(αN3+βM3)のうち、最も小さい値となる測定ユニット41が搬送先として決定されるようにしても良い。
【0144】
また、上記実施形態では、送出間隔フラグと満杯フラグに基づいて、搬送先となる測定ユニット41が決定されたが、検体投入ユニット22にセンサを配置して、検体投入ユニット22に投入される検体ラックLの時間間隔に基づいて、搬送先となる測定ユニット41が決定されても良い。すなわち、検体投入ユニット22に投入される検体ラックLの時間間隔が所定値より大きい場合、3つの測定ユニット41が常に測定を行う必要がない状態すなわち検体ラックLが混んでいない状態として、S404〜S406の処理が行われるようにし、検体投入ユニット22に投入される検体ラックLの時間間隔が所定値より小さい場合、3つの測定ユニット41が常に測定を行う必要がある状態すなわち検体ラックLが混んでいる状態として、S407〜S409の処理が行われるようにしても良い。
【0145】
また、上記実施形態では、検体送出ユニット23の搬送路231上において、位置P4から後方に検体ラックLがどの程度滞っているかが、ラック送込機構235のステッピングモータに印加されたパルス数によって判定されたが、検体送出ユニット23にセンサを設置して、搬送路231上に収容されている検体ラックLの個数が検知されることにより、検体ラックLがどの程度滞っているかが判定されるようにしても良い。
【0146】
また、上記実施形態では、送出間隔として、検体投入ユニットのラック送出機構223による検体ラックLの送出間隔が用いられたが、検体送出ユニット23のラック送出機構237による検体ラックLの送出間隔が用いられても良い。また、バーコード読取部233または238による検体ラックLのバーコードラベルBL2の読取間隔が用いられても良い。
【0147】
また、上記実施形態では、S407〜S409において、複数の測定ユニット41が検体ラックLを受入可能である場合、下流側の測定ユニット41に検体ラックLが搬送されるようにしたが、最も早く検体ラックLを受入可能となる測定ユニット41に検体ラックLが搬送されるようにしても良い。
【0148】
この場合、たとえば、検体搬送ユニット3のラック搬送部320上に測定中または未測定の検体ラックLがあるかが判定され、搬送部320上に測定中または未測定の検体ラックLがなければ、より早く検体ラックLを受入可能とされる。
【0149】
さらに、ラック搬送部320上に測定中または未測定の検体ラックLがあれば、検体吸引部413によって検体ラックLに保持されている全ての検体容器Tの吸引が最も早く完了する測定ユニット41が、より早く検体ラックLを受入可能とされる。全ての検体容器Tの吸引が最も早く完了するかは、たとえば、未測定の検体容器Tの本数によって判断される。この他、ラック搬送部320上に測定が行われている検体ラックLがあれば、測定ユニット41のハンド部411aによって検体ラックLに保持されている全ての検体容器Tの取り込みが最も早く完了する測定ユニット41が、より早く検体ラックLを受入可能とされる。なお、このとき、他の何れかの測定ユニット41よりも早く検体ラックLを受入可能となる測定ユニット41に、検体ラックLが搬送されるようにしても良い。
【0150】
また、上記実施形態2では、図8の月曜日のように、1時間当たりの処理検体数が最大処理検体数となる区間Bと、その区間に至るまでの区間Aとが、検体ラックLが混んでいる時刻帯としたが、区間Bだけを検体ラックLが混んでいる時刻帯としても良い。また、区間Bと、区間Bの前後の所定時間幅とを、検体ラックLが混んでいる時刻帯としても良い。また、1時間当たりの処理検体数が最大検体数となる区間が1日のうちに複数ある場合、これら区間の間の区間も検体ラックLが混んでいる時刻帯としても良い。また、オペレータが、検体ラックLが混んでいる時間帯を設定できるようにしても良い。
【0151】
また、上記実施形態では、測定ユニット41は、測定の際に検体容器Tに収容されている検体と試薬容器441〜443に収容されている試薬とを混合させる。このため、測定ユニット41の測定回数と、当該測定ユニット41の通算の試薬消費量とは実質的に比例関係にある。よって、測定ユニット41の測定負荷の判定を、測定ユニット41の測定回数により行うことと、測定ユニット41の通算の試薬消費量により行うこととは、等価な関係にある。よって、請求項6の測定回数は、実質的に試薬の消費量と同じであると言え、試薬の消費量や測定回数と等価な関係にある他のパラメータを含むものである。
【0152】
また、上記実施形態では、搬送コントローラ7は、検体ラックLのラックIDと、検体容器Tの検体IDと、検体容器Tの保持位置とを検体送出ユニット23から受信すると、ホストコンピュータ8へ測定オーダの問い合わせを行った。しかしながら、これに限らず、検体IDに対応する測定データを搬送コントローラ7の記憶部702bに記憶させておき、搬送コントローラ7が検体送出ユニット23から上記データを受信すると、搬送コントローラ7は、受信した検体IDに対応する測定データを記憶部702bから読み出し、検体送出ユニット23へ送信するようにしても良い。
【0153】
また、上記実施形態では、検体回収ユニット21が、検体投入ユニット22の右側に配されたが、検体搬送ユニット5の左側に配されても良い。この場合、分析または塗沫標本の作製が終了した検体ラックLは、搬送ラインL2に沿って検体搬送ユニット5の左側に送出され、検体回収ユニット21に回収される。
【0154】
また、上記実施形態では、搬送コントローラ7が、送出間隔フラグと満杯フラグに基づいて、検体ラックLを、測定回数の最も少ない測定ユニット41に搬送するか、受入可能な測定ユニット41に搬送するかを決定した。しかしながら、これに限らず、搬送コントローラ7が表示部を備え、搬送コントローラ7の制御部702が、この表示部に、測定回数の最も少ない測定ユニット41に搬送するか、受入可能な測定ユニット41に搬送するかの選択を受け付ける受付画面を表示し、オペレータが、この受付画面を介して検体ラックLの搬送方法を選択できるようにしても良い。なお、受付画面は、測定ユニットに対する測定負荷の軽減を優先するモードと、検体に対する測定の迅速性を優先するモードの何れか一方を選択して設定できる画面であっても良い。
【0155】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 … 検体分析システム(検体分析装置)
3 … 検体搬送ユニット(搬送装置)
7 … 搬送コントローラ(制御部)
23 … 検体送出ユニット(ラック送出部)
231 … 搬送路(収容部)
233、238 … バーコード読取部(検知部)
41 … 測定ユニット
310 … 分析前ラック保持部(受入部)
L … 検体ラック
T … 検体容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器に収容された検体を測定する複数の測定ユニットと、
前記検体容器を保持する検体ラックを複数の前記測定ユニットに振り分けて搬送するための搬送装置と、
測定対象の前記検体ラックを受け付け、受け付けた前記検体ラックを前記搬送装置の搬送路に送出するラック送出部と、を備え、
前記搬送装置は、複数の前記測定ユニットのうち他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な前記測定ユニットに前記検体ラックを搬送する第1の搬送モードと、複数の前記測定ユニットのうち他よりも測定負荷が低い前記測定ユニットに前記検体ラックを搬送する第2の搬送モードの何れかにより前記検体ラックを搬送する、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体分析装置において、
前記搬送装置を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいるとき、搬送モードを前記第1の搬送モードに設定し、測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいないとき、搬送モードを前記第2の搬送モードに設定する、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検体分析装置において、
前記搬送装置を制御する制御部と、
表示部と、を備え、
前記制御部は、前記搬送装置の搬送モードを、前記第1の搬送モードに設定するか、前記第2の搬送モードに設定するかの選択を受け付ける選択画面を前記表示部に表示させ、
前記選択画面を介して受け付けた選択に基づき、前記搬送装置の搬送モードを、前記第1の搬送モード又は前記第2の搬送モードに設定する、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項4】
検体容器に収容された検体を測定する複数の測定ユニットと、
前記検体容器を保持する検体ラックを複数の前記測定ユニットに振り分けて搬送するための搬送装置と、
測定対象の前記検体ラックを受け付け、受け付けた前記検体ラックを前記搬送装置の搬送路に送出するラック送出部と、
前記搬送装置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、制御処理として、
複数の前記測定ユニットのうち他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定する第1の決定処理と、
複数の前記測定ユニットのうち他よりも測定負荷が低い前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定する第2の決定処理と、
測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいるとき、前記第1の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する第1の搬送処理と、
測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいないとき、前記第2の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する第2の搬送処理と、を含む、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検体分析装置において、
前記第1の搬送処理は、前記検体分析装置に投入された前記検体ラックが前記ラック送出部に送出される送出間隔が所定の送出間隔よりも大きくないとき、前記第1の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送し、
前記第2の搬送処理は、前記検体分析装置に投入された前記検体ラックが前記ラック送出部に送出される送出間隔が前記所定の送出間隔よりも大きいとき、前記第2の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検体分析装置において、
前記ラック送出部は、前記搬送路に送出する前の前記検体ラックを収容する収容部を備え、
前記第1の搬送処理は、前記検体分析装置に投入された前記検体ラックが前記ラック送出部に送出される送出間隔が所定の送出間隔よりも大きくないとき、および、前記検体分析装置に投入された前記検体ラックが前記ラック送出部に送出される送出間隔が所定の送出間隔よりも大きく、且つ、前記収容部に収容されている前記検体ラックの個数が所定の個数よりも小さくないとき、前記第1の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送し、
前記第2の搬送処理は、前記検体分析装置に投入された前記検体ラックが前記ラック送出部に送出される送出間隔が前記所定の送出間隔よりも大きく、且つ、前記収容部に収容されている前記検体ラックの個数が所定の個数よりも小さいとき、前記第2の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の検体分析装置において、
前記ラック送出部は、前記検体ラックの識別情報を検知するための検知部を備え、
前記検知部による検知間隔が、前記送出間隔とされる、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項8】
請求項4ないし7の何れか一項に記載の検体分析装置において、
前記制御部は、制御処理として、
前記検体ラックの混み具合が高くなる時刻帯を取得する時刻帯取得処理を含み、
現在の時刻が前記時刻帯取得処理にて取得された時刻帯に含まれるときは、測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいないときも、前記第2の搬送処理は行わずに、前記第1の決定処理により搬送先とされた前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックが搬送される、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項9】
請求項4ないし8の何れか一項に記載の検体分析装置において、
複数の前記測定ユニットは、前記搬送装置により搬送される前記検体ラックを受け入れる受入部をそれぞれ備え、
前記第1の決定処理は、前記受入部に前記検体ラックが存在しない前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定する、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項10】
請求項4ないし9の何れか一項に記載の検体分析装置において、
前記制御部は、制御処理として、
複数の前記測定ユニットのそれぞれについて、これまでに前記検体を測定した測定回数を取得する測定回数取得処理を含み、
前記第2の決定処理は、複数の前記測定ユニットのうち他よりも前記測定回数が少ない前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定する、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項11】
請求項4ないし9の何れか一項に記載の検体分析装置において、
前記制御部は、制御処理として、
複数の前記測定ユニットのそれぞれについて、これまでに当該測定ユニットに搬送された前記検体ラック数を取得する搬送ラック数取得処理を含み、
前記第2の決定処理は、複数の前記測定ユニットのうち他よりも前記検体ラック数が少ない前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定する、
検体分析装置。
【請求項12】
検体容器に収容された検体を測定する複数の測定ユニットと、
前記検体容器を保持する検体ラックを複数の前記測定ユニットに振り分けて搬送するための搬送装置と、
測定対象の前記検体ラックを受け付け、受け付けた前記検体ラックを前記搬送装置の搬送路に送出するラック送出部と、
前記搬送装置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、制御処理として、
複数の前記測定ユニットのうち他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定する第1の決定処理と、
複数の前記測定ユニットのうち他よりも測定負荷が低い前記測定ユニットを前記検体ラックの搬送先として決定する第2の決定処理と、
前記検体ラックの混み具合が高くなる時刻帯を取得する時刻帯取得処理と、
前記時刻帯取得処理にて取得された時刻帯に現在の時刻が含まれるとき、前記第1の決定処理にて搬送先とされた測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する第1の搬送処理と、
前記時刻帯取得処理にて取得された時刻帯に現在の時刻が含まれないとき、前記第2の決定処理にて搬送先とされた測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する第2の搬送処理と、を含む、
ことを特徴とする検体分析装置。
【請求項13】
検体容器を保持する検体ラックを複数の測定ユニットに振り分けて搬送するための検体ラック搬送方法であって、
測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいるとき、複数の前記測定ユニットのうち他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な前記測定ユニットに前記検体ラックを搬送し、
測定対象として受け付けられた前記検体ラックが混んでいないとき、複数の前記測定ユニットのうち他よりも測定負荷が低い前記測定ユニットに前記検体ラックを搬送する、
ことを特徴とする検体ラック搬送方法。
【請求項14】
検体容器を保持する検体ラックを複数の測定ユニットに振り分けて搬送するための検体ラック搬送方法であって、
前記検体ラックの混み具合が高くなる時刻帯を取得し、
取得された前記時刻帯に現在の時刻が含まれるとき、複数の前記測定ユニットのうち他よりも早く次の検体ラックを受け入れ可能な前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送し、
取得された時刻帯に現在の時刻が含まれないとき、複数の前記測定ユニットのうち他よりも測定負荷が低い前記測定ユニットに、受け付けられた前記検体ラックを搬送する、
ことを特徴とする検体ラック搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−137680(P2011−137680A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296836(P2009−296836)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】