説明

検出用に核酸を調製する方法

所定の標的核酸を検出するためにテスト・サンプルを調製する方法および装置を提供する。この方法は、ナノ粒子に付着されたオリゴヌクレオチドを含むテスト・プローブを用意する工程と、テスト・サンプルおよびテスト・プローブを含むハイブリッド形成ユニットを用意する工程を含み、前記ハイブリッド形成ユニットは、さらに、標的サンプル基板およびその基板の第1の面に結合した分配多岐管を含む。この方法は、さらに、処理流体多岐管をハイブリッド形成ユニットの分配多岐管にクランプで締めて固定し、テスト・サンプルを変性させ、ポンプで複数の処理流体を処理流体源多岐管と分配多岐管との間に供給してテスト・プローブおよび所定の標的核酸を標的サンプル基板にハイブリッド形成し、ハイブリッド形成されたサンプルを洗浄し、ハイブリッド形成されたサンプルの検出可能パラメータを増幅することにより所定の標的核酸を検出するためにテスト・サンプルを調製する工程を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、動物実験に関するものであり、また特に核酸を検出することに関する。
【背景技術】
【0002】
核酸を検出する方法は、一般に知られている。実際、特定の核酸配列を検出するために利用できる方法は多数ある。
【0003】
知られている方法は、電気泳動法、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロセス、さまざまなハイブリッド形成技術、および多数の他の技術に基づく方法を含む。これらの方法は効果的ではあるが、すべて時間のかかるものであり、また費用も高くつき、人間が無視できない誤りを犯した場合にその影響を受けやすい。
【0004】
例えば、ある製造者は、サンプルをチップにハイブリッド形成し、その後チップの染色を行うマイクロ流体システムを製造している。ハイブリッド形成プロセスは、約12時間を要する。染色が完了するまでに約1.5時間を要する。
【0005】
他の供給者は、一塩基多型(SNP)に依拠するシステムを提供する。このシステムは、アッセイを何回も実行するためにマイクロチップを使用する。プローブがカートリッジに追加され、粒子は電界内の電荷に基づいて移動する。検出システムは、サンプルDNAとのハイブリッド形成の後、カートリッジを分析するために使用することができる。
【0006】
さらに他の供給者は、PCR増幅とDNA検出の機能を1つのプロセスにまとめたLightcyclerと呼ばれるデバイスを提供する。Lightcyclerは、検出に2つのプロセスのうちの1つを使用することができる。第1のプロセスは、PCRおよびハイブリッド形成に依拠する。第2のプロセスは、PCRおよび染料および融解曲線解析に依拠する。
【特許文献1】米国特許第6,417,340号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
核酸を検出し、核酸の配列を決定する確実な方法を策定することが、遺伝病、細菌性の病気、およびウイルス性の病気の診断に欠かせない。保健医療および疾病予防が重要であるため、核酸を同定するための迅速で安価な方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
所定の標的核酸を検出するためにテスト・サンプルを調製する方法および装置を提供する。この方法は、ナノ粒子に付着されたオリゴヌクレオチドを含むテスト・プローブを用意する工程と、テスト・サンプルおよびテスト・プローブを含むハイブリッド形成ユニットを用意する工程を含み、前記ハイブリッド形成ユニットは、さらに、標的サンプル基板およびその基板の第1の面に結合された分配多岐管を含む。この方法は、さらに、処理流体多岐管をハイブリッド形成ユニットの分配多岐管に固定し、テスト・サンプルを変性させ、ポンプで複数の処理流体を処理流体源多岐管と分配多岐管との間に供給してテスト・プローブおよび所定の標的核酸を標的サンプル基板にハイブリッド形成し、ハイブリッド形成されたサンプルを洗浄し、ハイブリッド形成されたサンプルの検出可能パラメータを増幅することにより所定の標的核酸を検出するためにテスト・サンプルを調製する工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、概して本発明の例示されている一実施形態に従って示されている、核酸検出システム10の斜視図である。処理システム10は、多数の所定の標的核酸のどれかを検出するために使用することができる。実際、どのような種類の核酸でも検出することができ、これらの方法は、疾病の診断および核酸の配列決定に使用することができる。本発明の方法により検出できる核酸の例は、遺伝子(例えば、特定の疾病に関連する遺伝子)、ウイルスのRNAおよびDNA、細菌のDNA、カビのDNA、cDNA、mRNA、RNA、およびDNA断片、オリゴヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、単鎖および二本鎖核酸、天然および合成核酸などを含む。核酸を検出する方法の使用例は、ウイルス性の病気(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペス・ウイルス、サイトメガロ・ウイルス、およびエプスタイン−バー・ウイルス)、細菌性の病気(例えば、結核、ライム病、ヘリコバクター・ピロリ、大腸菌感染、レジオネラ菌感染症、マイコミコプラズマ感染症、サルモネラ感染症)、性感染症(例えば、淋病)、遺伝性疾患(例えば、嚢胞性線維症、デュシェーヌ型筋ジストロフィー、フェニールケトン尿症、鎌状赤血球貧血)、および癌(例えば、癌発症に関連する遺伝子)の診断および/またはモニタリング、科学捜査での使用、DNA塩基配列決定での使用、親子鑑定での使用、細胞株認証での使用、遺伝子治療のモニタリングでの使用、および他の多くの目的のための使用を含む。
【0010】
システム10には、サンプル処理システム12およびサンプル処理システム12により自動的に調製されたサンプルを読み取るための光学式読取装置14を含めることができる。光学式読取装置14は、イリノイ州ノースブルックのNanophere,Inc.社製のモデルVerigene ID(商標)としてよい。
【0011】
サンプル処理システム12は、コントローラ300、および処理溶液およびサンプルの保管および取り扱いに使用される多数の機能的に異なる要素を含むことができる。例えば、処理システム12は、1つまたは複数の取り外し可能なハイブリッド形成ユニット20を含むことができる。ハイブリッド形成ユニット20は、所定の(複数)標的核酸を検出するために処理容器として処理システム12により使用することができる。
【0012】
検出システム10は、検出用に核酸を調製するために多数の処理溶液を必要とする場合もある。例えば、処理システム12は、1つまたは複数のプローブ22およびハイブリッド形成緩衝流体(溶液)24を含むことができる。さらに、洗浄溶液、滅菌水、1つまたは複数の増幅液(例えば、銀部A、銀部Bなど)、および停止液を含む処理流体パッケージ18を用意できる。
【0013】
ハイブリッド形成ユニット20(図2)は、少なくとも3つの機能的に分離された部分を含むことができる。光透過性ガラスの標的サンプル基板42は、所定の核酸を処理するための基盤として用意できる。基板に接触し、基板42およびシリコーンガスケット58とともにハイブリッド形成ユニット20に処理溶液を流すことができる室と通路を定める分配多岐管44を用意できる。最後に、基板42を支える基部40が用意される。
【0014】
多岐管44は、それぞれそれと相補的な基板上の一組のペグ54と弾力的に係合する一組の開口56を含む向かい合う面にフランジ43、45を備えることができる。ペグ54の係合面にテーパーを付け、これにより、フランジをペグ54上に弾力的に広げ、開口56をペグ54に係合させることができる。シリコーンガスケット58(多岐管44の係合面に用意される)により、多岐管は、基板42と弾力的に係合し、ハイブリッド形成ユニット20の室および通路の周りをしっかり閉じることができる。
【0015】
図3は、多岐管44の簡略化された図である。図4は、シリコーンガスケット58を示す図である。
【0016】
図3および4に示されているように、それぞれのハイブリッド形成ユニット20は、4つのサンプル処理領域100、102、104、106を含むことができる。それぞれの処理領域100、102、104、106は、ハイブリッド形成ゾーン140、142、144、146、関連するサンプル・ウェル108、110、112、114、それぞれのハイブリッド形成ゾーン140、142、144、146および相互接続通路(図4のガスケット内に配置されていることが示されている)に関連付けられている3つの処理ポート116、118、120;122、124、126;128、130、132;134、136、138を含むことができる。
【0017】
図4は、サンプル処理と併せて使用できる一定範囲のガスケット深さを示している。ハイブリッド形成室140、142、144、146内のハイブリッド形成要素間の流体混合および相互作用を最大にしつつ流路内の流体抵抗を最小にするために、さまざまな深さを使用できることに留意されたい。
【0018】
特定の核酸のテストの準備をするために、第1のオリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドの第1のグループ46、48、50、52を第1の所定の遺伝子配列とともに、基板42上で各ハイブリッド形成ゾーン140、142、144、146内に配置することができる。第1のオリゴヌクレオチド46、48、50、52は、所定の標的核酸の遺伝子配列の第1の部分に相補的な遺伝子配列を持つことができる。
【0019】
プローブ22は、第2の所定の遺伝子配列の第2のオリゴヌクレオチドの1つまたは複数の鎖がナノ粒子に付着されているナノ粒子で構成することができる。本発明を実施するうえで有用なナノ粒子は、金属(例えば、金、銀、銅、および白金)、半導体(例えば、CdSe、CdS、およびZnSでコーティングされたCdSまたはCdSe)、および磁性(例えば、強磁性)コロイド状材料を含むことができる。本発明を実施するうえで有用な他のナノ粒子は、ZnS、ZnO、TiO、AgI、AgBr、HgI、PbS、PbSe、ZnTe、CdTe、In、Cd、CdAs、InAs、およびGaAsを含む。ナノ粒子のサイズは、好ましくは約5nmから約150nm(平均直径)、より好ましくは約5から50nm、最も好ましくは約10から約30nmである。
【0020】
ナノ粒子、第2のオリゴヌクレオチドまたはその両方は、オリゴヌクレオチドをナノ粒子に接続するために機能化されている。このような方法は、当業では知られている。例えば、3‘末端または5’末端のところでアルカンチオールにより機能化されているオリゴヌクレオチドは容易に金ナノ粒子に付着する。
【0021】
第2のオリゴヌクレオチドは、所定の標的核酸の遺伝子配列の第2の部分に相補的な配列を持つことができる。第1および第2のオリゴヌクレオチドの調製およびそれぞれの粒子および基板への付着は、一般に、本発明の譲受人に譲渡され参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,417,340号で説明されているように行うことができる。
【0022】
一般に、テスト・プローブおよびテスト・サンプル(所定の標的核酸を含む場合もあれば含まない場合もある)およびハイブリッド化流体は、サンプル・ウェル内で混合することができる。混合液は、変性され、ハイブリッド化室に通される。変性は、知られているプロセス(例えば、熱、化学薬品など)を使用して行うことができる。
【0023】
ハイブリッド化室内において、テスト・プローブおよび所定の核酸は、第1のオリゴヌクレオチドとハイブリッドを形成することができる。ハイブリッド形成された材料の光学特性は、増強しうる(例えば、銀溶液をハイブリッドのナノ粒子にメッキする)。増強した後、ハイブリッド形成された材料は、光学式読取装置14内で光学的に検出することができる。この場合、銀溶液をハイブリッドの金ナノ粒子にメッキすることで、ハイブリッドの光反射が増幅される。その後、光反射率を閾値と比較することにより、標的核酸の存在を確認することができる。
【0024】
それとは別に、検出可能なパラメータは抵抗であってよい。この場合、ハイブリッドの金ナノ粒子にメッキされた銀は、ハイブリッドを通る電流路を増幅する。その後、この抵抗を閾値と比較することにより、標的核酸の存在を確認することができる。
【0025】
次に、サンプル処理システム14の動作に注目し、コントローラ300およびコントローラ300とハイブリッド形成ユニット20との相互作用について説明する。この点で、図5は、コントローラ300、およびハイブリッド形成ユニット20内の処理サンプルにおけるサンプル処理システム12により使用されるさまざまな作動要素を示している。
【0026】
図5の右側にそって、「サンプル・ウェル、B、A、C」と記されている一組のポートが示されている。「サンプル・ウェル」という参照は、図3内の大きなポート108、110、112、114を指すために使用される。同様に、ポートBは、小さなポート116、126、128、138を参照するために使用され、ポートAは、ポート118、124、130、136を指すために使用され、ポートCは、ポート120、122、132、134を指すために使用されることができる。
【0027】
サンプル処理領域100、102、104、106内のサンプルの処理は、実質的に同一であると想定することができる。この点で、処理はそれぞれのサンプル処理領域100、102、104、106について実質的に同じであってよいが、検出される標的核酸は、4つの領域100、102、104、106のそれぞれの中で異なる場合があることに留意されたい。
【0028】
図5に示されているように、サンプル処理システム12は、多数のポンプ302、304、306、308、310、312、および真空源314を含むことができる。ポンプ302、304、306、308、310、312は任意の形態のものが使用できるが、以下の説明から明らかになる理由により、シリンジ・ポンプなどの容積移送式ポンプを使用することができると考えられる。
【0029】
シリンジ・ポンプは、シリンジ本体とリニア・アクチュエータを備えることができる。リニア・アクチュエータは、正確に制御された速度で充填し空にするように、コントローラ300によりプログラムすることができる。
【0030】
ポンプ302、304、306、308、310、312の間の流体の経路は、多数の複数ポート弁316、318、320、322、324、326により制御することができる。ポートはいくつでも使用できるが、図5に示されている4ポート弁316、318、320、322、324、326は、後述の目的のために特によく適合されていると考えられる。
【0031】
この点で、弁316、318、320、322、324、326は1〜4のラベルが付けられたポートを持つことができる。弁316、318、320、322、324、326内のスプールにより、2つの対向するポートを合わせて接続できる(例えば、ポート1をポート3に接続することができるか、またはポート2をポート4に接続することができる)。
【0032】
シリンジ・ポンプ302、304、306、308、310、312とともに使用した場合、複数ポート弁316、318、320、322、324、326により、処理のそれぞれの段階で正確な量の選択された流体を移送することができる。例えば、接続されている(図5に示されているように)弁322のポート1および3では、シリンジ・ポンプ308は、ポンプ・サイクルの充填部分で、水容器334から正確な量の水を引き出すことができる。その後、複数ポート弁322は、ポート2および4を接続するように作動させることができる。シリンジ・ポンプ308にすでに引き込まれている水は、弁322のポート4を通じて放出され、ハイブリッド形成ユニット20のポートAに送り込まれるようにすることができる。
【0033】
いくつかのアプリケーションでは、弁316、318、320、322、324、326および容器328、330、332、334、336、338は必要でない場合があることに留意されたい。例えば、弁および容器は、それぞれの機能に対する全流量がシリンジ・ポンプ302、304、306、308、310の容量よりも小さい場合には必要ないであろう。このような場合、シリンジ・ポンプは、それぞれのテスト手順の実行後、またはそれぞれのテスト手順を複数回実行した後、単純に置き換えることができる。
【0034】
図21は、本発明のさらに好ましい実施形態によるサンプル処理の流体流を例示している。図21の実施例では、流体制御は、指定された経路で流体を送るために入口および出口ポート上でポンプを使用することにより弁を使用することなく維持される。
【0035】
ポンプ1では流体を導入し、ポンプ2では流体を引き出すだけにすることにより、流体をハイブリッド形成室および流路Aに流すことができる。流体は、さらに、その流路用の制御ポンプ(2、3、4、または5)を作動させることにより並列に複数の経路で送ることもできる。並列流体処理は、洗浄およびすすぎの工程など高耐性ポンプ動作を必要としないときに、処理時間を短縮するために使用することができる。
【0036】
入口側の他の追加のポンプ(図21に示されていない)は、追加の流体を送る。8つの特定の流体用に8つの入口ポンプがある図21に示されているようなシステムは、さまざまな核酸テストを実行することができる。テストのタイプは、さまざまな流体を8つのポンプ室からの流路内に挿入することにより選択することができる。
【0037】
ユーザによってサンプル・ウェル内に挿入された流体にアクセスする場合も、(複数の)出口ポンプを引くだけである。サンプル・ウェルは、所望の特定の流路および出口ポンプに対する特定のサンプル・ウェルからのみ優先的に標的サンプルが流れ出るように簡単につぶれ、流れを阻止する設計となっている。
【0038】
図6〜16は、所定の核酸を検出する際に使用できるプロセス工程を示している。例えば、図6のフレーム1は、試薬カートリッジ18および廃液容器16を備える予備工程を示している。フレーム2は、カートリッジ16、18をサンプル処理システム12内にロードすることを示している。フレーム3は、ドアを閉じることを示しており、ドアを閉じると一組の接続金具が試薬および廃液容器上のシールを破るという事実を指している。それとは別に、またはそれに加えて、ドアを閉じることで、コントローラに信号が送られ、それにより、処理のため(複数の)流体を供給するポンプを係合するリニア・アクチュエータを制御する。バーコード・リーダー340を備えることにより、試薬カートリッジ上のバーコードを読み取り、正しい試薬カートリッジが挿入されていることを自動的に確認するようにすることができる。
【0039】
図7は、ハイブリッド形成ユニット20の準備を示している。フレーム1は、ユーザが4つのサンプル・ウェル108、110、112、114を覆っている一組の蓋を開ける動作を示している。その後、ユーザは、フレーム2に示されているように、ハイブリッド形成緩衝液をピペットで取り4つのウェル108、110、112、114内に入れる。次いで、ユーザは、フレーム3に示されているように、プローブ24をピペットで取り4つのウェル108、110、112、114内に入れる。第4工程として、ユーザは、フレーム4に示されているように、所定の標的核酸を含む可能性のあるサンプルをピペットで取り、ウェル108、110、112、114に入れる。最後に、ユーザは、フレーム5に示されているように、ウェル108、110、112、114上の蓋を閉じる。それとは別に、ユーザは、所定の標的核酸のみをサンプル・ウェル内に入れるか、または所定の標的核酸とハイブリッド形成緩衝液または所定の標的核酸およびプローブをサンプル・ウェル内に入れることができる。
【0040】
図8は、ハイブリッド形成ユニット20を準備し、サンプル処理システムの12内にロードすることを示している。第1工程として、図8のフレーム1に示されているように、ユーザは、バーコード・リーダー340を使用して、システム12に対してハイブリッド形成ユニット20を同定することができる。それとは別に、バーコード・リーダーをシステムのロード・ドアの内側に埋め込むことができ、バーコードを、ハイブリッド形成ユニットがシステム内にロードされているときに読み取ることができる。
【0041】
ハイブリッド形成ユニット20をロードするには、ユーザは、サンプル処理システム12のドアを開ける。処理システム12の流体多岐管72から出る流体を捕捉するバネ式リセプタクルは、図8のフレーム2に示されているように完全前進位置まで延びていることがわかる。その後、ユーザは、フレーム3に示されているように、ハイブリッド形成ユニット20をサンプル処理システム12内に押し込んでから、ドアを閉じる(フレーム4)。
【0042】
サンプル処理システム12の起動は、ドアを閉じるか、またはSTARTボタン342を作動することにより生じる。いずれの場合も、システム12が起動すると、ハイブリッド形成ユニット20は持ち上がって処理流体多岐管72と接触し、加熱/冷却ブロック60は持ち上がってハイブリッド形成ユニット20に接触する。ハイブリッド形成ユニット20および加熱/冷却ブロック60は、ドアに接続されている単純な機械的リンク機構により、または昇降機アセンブリに結合されているリニア・アクチュエータを通じて持ち上げられる。
【0043】
ハイブリッド形成ユニット20が持ち上がると、ハイブリッド形成ユニット20のポート116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138と処理流体多岐管72のそれぞれのポートの間の、および図21のポンプ1〜7と、またはそれぞれの弁316、318、320、322、324、326と、および図5のサンプル処理システム12のポンプ302、304、306、308、310、312、314との接続が生じ、流体が移動するようになる。同様に、加熱/冷却ブロック60が持ち上がると、ハイブリッド形成ユニット20と加熱/冷却ブロック60との間が接続し、熱が伝達するようになる。
【0044】
図9は、サンプル処理システム12により実行される予備的処理工程400(図16)を示している。図に示されているように、加熱/冷却ブロック60の第1の加熱要素62および第2の加熱要素70は、サンプル・ウェル108、110、112、114に接続して、それらを所定の標的核酸のサンプルを変性する温度(例えば、95℃)に加熱する。本明細書で使用されているように、変性とは、核酸の三次構造を展開することを意味する。
【0045】
第1の冷却要素64および第2の冷却要素68は、変性サンプルがサンプル・ウェル108、110、112、114からハイブリッド形成室140、142、144、146に移送されるときに変性サンプルを冷却する機能を持つ。第3の加熱要素66は、ハイブリッド形成の指定された温度(例えば、40℃)にサンプルを加熱するためにハイブリッド形成室140、142、144、146に隣接して配置される。
【0046】
図10のフレーム1は、サンプル・ウェル108、110、112、114内のサンプルを変性温度(例えば、95℃)に加熱することを示している。図10のフレーム2は、冷却ゾーンを通してサンプルをハイブリッド形成室140、142、144、146に移送することによるサンプルのロード402を示している。サンプル・ウェル108、110、112、114からのサンプルの移送は、図5に示されている位置にある廃液弁324を持つ廃液ポンプ312を作動させることにより行うことができる。冷却ゾーン上のサンプルの移送は、コントローラ300でポンプ312が流体をポートCから引き込むときに比較的遅い流体移動流量(例えば、1cc/min)を選択し、冷却ゾーン上を通るときにサンプルが適切に冷却されるようにすることにより提供できる。
【0047】
サンプルをハイブリッド形成ゾーン140、142、144、146内にロードする場合に、コントローラ300は、ポンプ312のリニア・アクチュエータを制御するためにメモリから一組の弁およびモーター制御パラメータ(命令)346を取り出して実行できることに留意されたい。パラメータ346は、モーター識別子348、方向350、速度352、時間354、および弁位置356を含むことができる。
【0048】
リニア・アクチュエータがそれ専用のコントローラを備える場合、方向350、速度352、および時間をコントローラに単にダウンロードして実行するだけである。コントローラがコントローラ300内の専用プログラムを使用することにより提供される場合、命令の実行は、コントローラ300の中から行うことができる。
【0049】
(サンプルのロード前に)ハイブリッド形成室140、142、144は、最初、空気が充填されている可能性があることに留意されたい。したがって、ポートCから引き込まれる流体は空気であろう。ポートCから空気を引き出すと、サンプルはサンプル・ウェル108、110、112、114からハイブリッド形成室140、142、144、146内に引き込まれる。
【0050】
サンプルをロードするプロセスの最後の工程として、コントローラ300は、廃液ポンプ310をリセットすることができる。廃液ポンプ310をリセットするとは、一組の命令358をメモリから取り出すことを意味することがある。命令358は、廃液弁326にポート2と4との間の接続を形成させる命令368を含むことができる。命令358は、さらに、廃液ポンプ310を完全放出位置にまで移動させるのに必要なモーター識別子360、方向362、速度364、および時間366も含むことができる。
【0051】
サンプルをロードし、廃液ポンプ310をリセットし、本明細書で説明されている他のプロセス工程を実行する命令は、図16および17に示されているプロセス制御アプリケーションにより実行できることに留意されたい。図16は、制御アプリケーションの機能全体を示すために使用することができ、図17は、図16の個別のブロック内で実行される活動を示すために使用することができる。
【0052】
制御アプリケーションの実行に関して、STARTボタン342を作動する、またはドアを閉じる動作で、ハイブリッド形成ユニット20は多岐管72および加熱/冷却ブロック60に接触する。起動により、さらに、変性プロセス400の完了を検出するコントローラ300内のタイマーを起動できる。制御アプリケーションは、変性プロセス400から、サンプル・ロード・プロセス402に進む。サンプル・ロード・プロセス402の第1工程として、アプリケーション500はサンプル・ロード・ファイル346をロードし、実行する。第2の工程として、アプリケーション500は、ポンプ・リセット・ファイル358をロードし、実行する。それぞれの場合において、アプリケーション500は、弁の位置を決め、アクチュエータ位置決めパラメータをロードし、位置決めパラメータを実行する。プロセスが完了する毎に、アプリケーション500は、次のプロセス工程に進む。
【0053】
図10のフレーム3は、ハイブリッド形成室140、142、144、146内のオリゴヌクレオチドの鎖があるサンプルおよびプローブのハイブリッド形成を示している。この場合、コントローラ300は、部分的にハイブリッド形成されたサンプルおよびプローブをハイブリッド形成室140、142、144、146上で行き来させる機能を持つ404。
【0054】
部分的にハイブリッド形成されたサンプルをハイブリッド形成室140、142、144、146上で往復させるために、アプリケーション500は、洗浄ポンプ310および廃液ポンプ312を作動させ、反対方向に移動する一組の命令370、372を取り出して、実行する。この場合、命令370、372は、洗浄弁324がポート2と4の間の接続を形成し、廃液弁326がポート1と3の間の接続を形成するようにする。往復前進命令370は、洗浄ポンプ310が事前定義された距離だけ空位置へ移動し、廃液ポンプ312が事前定義された距離だけ充填位置へ移動するようにすることができる。洗浄ポンプ310および廃液ポンプ312が事前定義された距離に到達すると、アプリケーション500は往復後退命令372を実行する。往復後退命令372は、洗浄ポンプ310が類似の距離だけ満杯位置に向けて移動し、廃液ポンプ312が類似の距離だけ空位置へ移動するようにすることができる。所定の距離に到達した場合、アプリケーション500は、再び、往復前進命令370を実行することができる。
【0055】
アプリケーション500が往復前進命令370を実行する毎に、カウンタ374は、インクリメントされる406。インクリメント毎に、カウンタ374内の値は、定義済みサイクル数の経過後に往復プロセスを終了させる往復サイクル限界値が設定されている比較器376内で比較できる408。
【0056】
ポンプ310、312は、最初は、空気を含んでいるので、ポンプ310、312の相互作用は、単に、サンプルをハイブリッド形成室140、142、144、146のいずれかの末端上の通路内に押し込んだり、そこから押し出したりするだけであり、部分的にハイブリッド形成されたサンプルがいずれかのポンプ310、312に入ることはもしあったとしても非常に少ない。ハイブリッド形成ゾーン140、142、144、146上で部分的にハイブリッド形成されたサンプルを往復させることは、サンプルの同一性およびタイプにより決定される期間(例えば、10〜60分間)続けることができる。
【0057】
ハイブリッド形成室140、142、144、146内でオリゴヌクレオチド鎖を含むサンプルおよびプローブのハイブリッド形成の後、ハイブリッド形成された物質は、図11のフレーム1および2内で示されているように洗浄することができる410。ハイブリッド形成された物質を洗浄するために、コントローラ300は、洗浄ポンプ310および廃液ポンプ312を同時に作動させることができる一組の洗浄命令378を実行することができる。第1の工程として、命令378により、洗浄弁324はポート1と3との間に接続を形成することができる。次いで、洗浄ポンプ310が作動され、洗浄容器336から水を引き込むことができる。
【0058】
シリンジ・ポンプ310がいっぱいになると、命令378により、弁324はポート2と4との間に接続を形成することができる。廃液弁326も、ポート1と3との間に接続を形成するように移動することができる。洗浄ポンプ310および廃液ポンプ312は、同時に作動し、同じ速度で動作するようにすることができる。洗浄ポンプ310は、水をポートAに押し込む機能を持ち、廃液ポンプ312は、流体をポートCから引き出す機能を持つ。
【0059】
洗浄ポンプ310のシリンジが空位置に達すると、洗浄ポンプ312はその満杯位置に到達する。この段階で、洗浄弁324は移動してポート1と3の間の接続を形成し、廃液弁326は移動してポート2と4の間の接続を形成することができる。洗浄ポンプ310および廃液ポンプ312は、再び作動できる。この場合、洗浄ポンプ310は、そこで、洗浄容器336から再充填し、廃液ポンプ312は、次いで、廃液容器338内に放出する。充填するプロセスおよび空にするプロセスは、ハイブリッド形成ユニット20から非ハイブリッド形成物質をフラッシングするために必要なサイクル数だけ繰り返すことができる。カウンタは、毎回の充填するサイクルと空にするサイクルの後にインクリメントされ、カウンタ内の値は、比較器内のサイクル限界値と比較され、それにより洗浄サイクルの完了を判定することができる。
【0060】
ハイブリッド形成された物質が洗浄された後、ハイブリッド形成された物質の検出可能なパラメータを増幅し、ハイブリッド形成を検出可能なようにする。検出可能なパラメータは、ハイブリッド形成された物質の有無を示す測定可能な数量とすることができる。例示されている実施形態では、ハイブリッド形成された物質の光学特性または導電特性を検出目的のために増幅することができる412。増幅は、この場合、ハイブリッドのナノ粒子上に銀溶液をメッキすることにより行われる。
【0061】
増幅は、銀A溶液および銀B溶液をハイブリッド形成室140、142、144、146に通すことにより実行できる。銀A溶液および銀B溶液をハイブリッド形成室に通すために、コントローラ300は、銀A弁320および銀B弁316にポート1と3との間の接続を形成させる一組の命令380を実行することができる。銀Aポンプ306および銀Bポンプ302は、その後、命令380により作動し、銀A溶液を銀A容器332から銀Aポンプ306に引き込み、銀B溶液を銀B容器328から銀Bポンプ302内に引き込むことができる。
【0062】
次いで、銀A弁320および銀B弁316がポート2と4との間に接続を形成するように命令することができる。廃液弁326がポート2と4との間に接続を形成するように命令することができる。命令380で、銀Aポンプ306および銀Bポンプ302の放出速度を指定することができ、コントローラ300は、それらの速度で放出するようにポンプ306、302を作動させることができる。銀Aポンプ306は、ポートAに放出し、銀Bポンプ302は、ポートBに放出することができる。命令380では、さらに、廃液ポンプ312の吸い込み速度を銀Aポンプ306および銀Bポンプ302の出力に等しくなるように指定することもでき、コントローラ300は、廃液ポンプ312を作動させて、ポートCから選択された速度で流体を引き込むことができる。銀Aポンプ306および銀Bポンプ302がそれらの物質をそれぞれのポートに放出し、廃液ポンプ312がポートCから引き込まれた流体で満たされた後、弁316、320、326は、再び、命令380の制御の下で移動することができる。銀A弁320および銀B弁316は、再び銀Aポンプ306および銀Bポンプ302に銀溶液を充填するように位置決めすることができる。廃液弁326は、引き込まれた物質を廃液容器338内に放出するように位置決めできる。充填する工程および空にする工程は、サイクル限界値に基づきカウンタおよび比較器の制御の下で再びハイブリッド形成された物質を十分に増幅するために必要なサイクル数だけ繰り返すことができる。
【0063】
増幅工程が完了した後、停止溶液を図13に示されているようにハイブリッド形成室140、142、144、146に通し、増幅を停止することができる414。この点で、コントローラ300により一組の停止命令が実行され、ポート1と3との間の接続により停止弁318を位置決めすることができる。停止ポンプ304を作動させて、停止溶液容器330からポンプ304を充填することができる。その後、命令382の制御の下でコントローラ300は、停止弁を移動して、ポート2と4との間に接続を形成し、廃液弁を移動して、ポート1と3との間に接続を形成することができる。その後、コントローラ300は、停止ポンプ304の放出速度を選択し、停止ポンプ304を作動させることができる。コントローラ300は、廃液ポンプ312の同じ引き込み速度を選択し、それと同時に、廃液ポンプ312を作動させ、ハイブリッド形成室140、142、144、146を通して停止溶液を引くことができる。弁318、326は、停止ポンプ304を再充填し、廃液ポンプ312を空にするように再配置することができ、プロセスを繰り返すことができる。
【0064】
さらに好ましい実施形態では、ポンプは決して再充填されない。この場合、ポンプ本体は、空になったら単純に交換される試薬カートリッジに一体化される。
【0065】
停止溶液がハイブリッド形成室140、142、144、146に通された後、ハイブリッド形成室140、142、144、146は、dd水でフラッシングされ416、吸引され、図14に示されているように残留流体が除去されるようにすることができる。
【0066】
ハイブリッド形成室140、142、144、146をフラッシングするために、フラッシュ命令384の下で動作するコントローラ300は、フラッシュ弁322を移動し、ポート1と3との間に接続を形成し、フラッシュ・ポンプ308を作動させて、給水容器334から水を充填することができる。次いで、コントローラ300は、フラッシュ・ポンプ308がポートAに放出できるようにフラッシュ弁322を再配置し、またポートCから流体を引き出せるように廃液弁326を再配置することができる。フラッシュ・ポンプ308が空になった後、弁322、326は、フラッシュ・ポンプ308を再充填し、廃液ポンプ312を空にするように再配置することができ、そのプロセスを繰り返すことができる。
【0067】
フラッシングが完了した後、命令384の制御の下で動作しているコントローラ300は、吸引314を作動させることができる。吸引314では、流体をそれぞれのサンプル・ウェル108、110、112、114を通じて引き込まれた空気で追い出すことによりハイブリッド形成ユニット20から残留流体を引き出すことができる。
【0068】
残留流体が除去された後、サンプル処理ユニット12は、図15に示されているようにロック解除し、ハイブリッド形成ユニット20を取り外すことができる。基板58をハイブリッド形成ユニット20から取り外し、光学式読取装置14内に置き、そこで、ハイブリッド形成されたサンプルの光学特性を読み取ることができる。
【0069】
本発明の他の例示されている実施形態では(図18〜20に示されている)、図2のハイブリッド形成ユニット20上に示されている分配多岐管44は、分配多岐管600(図18の完全なハイブリッド形成ユニット20として示されている)で置き換えられる。図19は、多岐管600の裏側の図である。図20は、図18および19の多岐管600とともに使用できるガスケット700を示している。
【0070】
図2の多岐管44と同様に、図18の分配多岐管600は、対向する角にサンプル・ウェル602、604、606、608を備える。この分配多岐管600は、それぞれのハイブリッド形成ゾーン708、706、704、702(図20)に関連付けられている4つの廃液ポート610、612、614、616を備える。さらに図19には、共通注入ポートが示されている。図18、19、および20の多岐管600は、図21のシステムと併用するように特にうまく適合されていると考えられる。
【0071】
図19は、図19の分配多岐管600の下側を示している。図に示されているように、図18の各ポート602、604、606、608、610、612、614、616、618は、対応するフィードスルー602、604、606、608、610、612、614、616、618を備える。また、注入ポート618は、4つのフィードスルー点622、624、626、628で終端する分配多岐管600の表面に配置されている溝620を備えることに留意されたい。
【0072】
次にガスケット700を参照すると、ガスケット700は、ハイブリッド形成室702、704、706、708および多数の接続溝を定めることがわかる。例えば、第1のハイブリッド形成室702は、サンプル・ウェル606、フィードスルー628、およびハイブリッド形成室702の第1の末端を接続する接続溝を備える。第1のハイブリッド形成室702は、さらに、ハイブリッド形成室702の第2の末端を廃液ポート616に接続する接続溝を備える。
【0073】
第2のハイブリッド形成室704は、サンプル・ウェル608、フィードスルー622、およびハイブリッド形成室704の第1の末端を接続する接続溝を備える。第2のハイブリッド形成室704は、さらに、ハイブリッド形成室704の第2の末端をプロセス・ポート614に接続する接続溝を備える。
【0074】
第3のハイブリッド形成室706は、サンプル・ウェル602、フィードスルー624、およびハイブリッド形成室706の第1の末端を接続する接続溝を備える。第3のハイブリッド形成室706は、さらに、ハイブリッド形成室706の第2の末端をプロセス・ポート612に接続する接続溝を備える。
【0075】
同様に、第4のハイブリッド形成室708は、サンプル・ウェル604、フィードスルー626、およびハイブリッド形成室708の第1の末端を接続する接続溝を備える。第2のハイブリッド形成室708は、さらに、ハイブリッド形成室708の第2の末端をプロセス・ポート610に接続する接続溝を備える。
【0076】
処理ユニット12との流体多岐管72およびポンプ接続も、分配多岐管600が収まるように変更することもできることに留意されたい。この点で、図5のポート接続部AおよびBは組み合わされ、それぞれのプロセス・ポート610、612、614、616に接続されることがわかる。図18の廃液ポート618は、図5のポートCに対応する。他の点では、分配多岐管600を使用するハイブリッド形成ユニット20は、上述のものと実質的に同じ動作をするであろう。
【0077】
本発明の他の例示されている実施形態では、多岐管72は、ハイブリッド形成緩衝液および/またはプローブ用の交換可能カートリッジとの接続を備えることができる。この実施形態では、ユーザは、標的サンプルを単純にテスト・ウェルに加え、ハイブリッド形成ユニット20をサンプル処理システム12に挿入する。システム12は、不足している要素をサンプル・ウェルに追加する。
【0078】
核酸サンプルを処理する方法および装置の特定の実施形態は、本発明が実施され使用される方法を例示することを目的として説明されている。本発明およびさまざまな態様の他の変更形態および修正形態の実装は、当業者には明らかであり、また本発明は、説明されている特定の実施形態によって限定されないことは理解されるであろう。したがって、これは、本発明および本明細書で開示され請求されている基本的な根底にある原理の真の精神および範囲に収まるあらゆる修正形態、変更形態、または均等物を包含することが企図されている。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の例示されている一実施形態による核酸テスト・システムを示す図である。
【図2】図1のシステムとともに使用できるハイブリッド形成ユニットを示す図である。
【図3】図2のハイブリッド形成ユニットとともに使用できる多岐管を示す図である。
【図4】図2のハイブリッド形成ユニットとともに使用できるガスケットを示す図である。
【図5】図1のサンプル処理ユニットを制御するために使用できるコントロール類の概略図である。
【図6】図1のサンプル処理システムとともに使用できる準備工程を示す図である。
【図7】図2のハイブリッド形成ユニットと併せて使用できる準備工程を示す図である。
【図8】図2のハイブリッド形成ユニットが図1のサンプル処理システムにロードされたときに発生しうるロード工程を示す図である。
【図9】図8の加熱/冷却ユニットの動作を示す図である。
【図10】図2のハイブリッド形成ユニット内の流体流を示す図である。
【図11】図1のサンプル処理システムとともに使用できる洗浄サイクルを示す図である。
【図12】図1のサンプル処理システムとともに使用できる増幅工程を示す図である。
【図13】図1のサンプル処理システムとともに使用できる増幅停止工程を示す図である。
【図14】図1のサンプル処理システムとともに使用できるフラッシング工程を示す図である。
【図15】ハイブリッド形成ユニットの分解および図1の光学式読取装置内の基板の読み取りを示す図である。
【図16】図1のサンプル処理システムで従うことができる方法工程の流れ図である。
【図17】プロセス制御アプリケーションの流れ図である。
【図18】本発明の他の実施形態による図1のシステムとともに使用できる分配多岐管を示す図である。
【図19】図18の分配多岐管の下側を示す図である。
【図20】図18の分配多岐管とともに使用できるガスケットを示す図である。
【図21】本発明の他の実施形態によるサンプル処理の流体流概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の標的核酸を検出することを目的としてテスト・サンプルを調製する方法であって、
ナノ粒子に付着されているオリゴヌクレオチドを含むテスト・プローブを用意する工程と、
前記テスト・サンプルおよび前記テスト・プローブを含むハイブリッド形成ユニットを用意する工程であって、前記ハイブリッド形成ユニットは、さらに、標的サンプル基板および前記基板の第1の面に結合された分配多岐管を備える、工程と、
処理流体多岐管を前記ハイブリッド形成ユニットの前記分配多岐管に固定する工程と、
前記テスト・サンプルを変性する工程と、
前記所定の標的核酸を検出するために前記テスト・サンプルを調製する工程であって、前記処理流体源多岐管と分配多岐管との間に複数の処理流体をポンプで送り込み、前記テスト・プローブおよび所定の標的核酸を前記標的サンプル基板にハイブリッド形成し、前記ハイブリッド形成されたサンプルを洗浄し、前記ハイブリッド形成されたサンプルの検出可能なパラメータを増幅することにより、調製する工程とを含む方法。
【請求項2】
さらに、ハイブリッド形成溶液を前記ハイブリッド形成ユニットのサンプル・ウェル内に配置することを含む請求項1に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項3】
さらに、前記テスト・プローブを前記サンプル・ウェル内に配置することを含む請求項2に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項4】
さらに、前記テスト・サンプルを前記サンプル・ウェル内に配置することを含む請求項1に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項5】
前記テスト・サンプルを変性する工程は、さらに、前記サンプル・ウェルを加熱する工程を含む請求項4に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項6】
さらに、前記所定の標的核酸の遺伝子配列の第1の部分に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを前記ハイブリッド形成ユニットのハイブリッド形成ゾーン内に配置することを含む請求項5に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項7】
前記オリゴヌクレオチドを前記ハイブリッド形成ユニットのハイブリッド形成ゾーン内に配置する前記工程は、さらに、前記オリゴヌクレオチドを前記標的サンプル基板に接続する工程を含む請求項6に記載の前記テスト・サンプルを調整する方法。
【請求項8】
さらに、前記ナノ粒子に付着されている前記オリゴヌクレオチドを前記所定の標的核酸の遺伝子配列の第2の部分に相補的な遺伝子配列を有するものとして定めることを含む請求項7に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項9】
さらに、前記処理流体多岐管の第1のポートを通して結合されている流体を使用して、前記サンプル・ウェルから前記サンプル・ウェルの内容物を引き出して前記ハイブリッド形成ゾーン内に入れることを含む請求項8に記載の前記テスト・サンプルを調整する方法。
【請求項10】
さらに、前記サンプル・ウェルの前記内容物を前記内容物が前記ハイブリッド形成ゾーン内に引き込まれるときに冷却することを含む請求項9に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項11】
さらに、前記ハイブリッド形成ゾーン内に前記ウェルの前記内容物を所定の回数だけ往復させることにより前記プローブおよび所定の核酸を前記標的サンプル基板に接続されている前記オリゴヌクレオチドでハイブリッド形成することを含む請求項9に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項12】
さらに、洗浄流体を第2のポートに通し、前記第1のポートを通して洗浄流体を放出することにより前記ハイブリッド形成されたプローブ、所定の核酸、および第1のオリゴヌクレオチドをフラッシングすることを含む請求項11に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項13】
さらに、メッキ溶液を第2のポートに通し、前記第1のポートを通して使用済みメッキ溶液を放出することにより前記ハイブリッド形成されたプローブ、所定の核酸、および第1のオリゴヌクレオチドの光学特性を増幅することを含む請求項12に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項14】
さらに、前記メッキ溶液を銀溶液であるとして定めることを含む請求項13に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項15】
所定の標的核酸を検出することを目的としてテスト・サンプルを調製する装置であって、
ナノ粒子に付着されているオリゴヌクレオチドを含むテスト・プローブと、
前記テスト・サンプルおよび前記テスト・プローブを含むハイブリッド形成ユニットであって、さらに標的サンプル基板および前記基板の第1の面に結合された分配多岐管を備えるハイブリッド形成ユニットと、
前記ハイブリッド形成ユニットの前記分配多岐管に固定された処理流体多岐管と、
前記テスト・サンプルを変性する手段と、
前記所定の核酸を検出するために前記テスト・サンプルを調製する手段であって、前記処理流体源多岐管と分配多岐管との間に複数の処理流体をポンプで送り込み、前記テスト・プローブおよび所定の標的核酸を前記標的サンプル基板にハイブリッド形成し、前記ハイブリッド形成されたサンプルを洗浄し、前記ハイブリッド形成されたサンプルの検出可能なパラメータを増幅することにより、調製する手段とを備える装置。
【請求項16】
さらに、前記ハイブリッド形成ユニットのサンプル・ウェル内に配置されたハイブリッド形成溶液を含む請求項15に記載の前記テスト・サンプルを調製する装置。
【請求項17】
さらに、前記サンプル・ウェル内に配置された前記テスト・プローブを含む請求項16に記載の前記テスト・サンプルを調製する装置。
【請求項18】
さらに、前記サンプル・ウェル内に配置された前記テスト・サンプルを含む請求項15に記載の前記テスト・サンプルを調製する装置。
【請求項19】
前記テスト・サンプルを変性する手段は、さらに、前記サンプル・ウェルを加熱するように適合された加熱装置を含む請求項18に記載の前記テスト・サンプルを調製する装置。
【請求項20】
さらに、前記ハイブリッド形成ユニットのハイブリッド形成ゾーン内に配置された前記所定の標的核酸の遺伝子配列の第1の部分に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む請求項19に記載の前記テスト・サンプルを調製する装置。
【請求項21】
前記ハイブリッド形成ユニットのハイブリッド形成ゾーン内に配置された前記オリゴヌクレオチドは、さらに、前記標的サンプル基板に物理的に接続された前記オリゴヌクレオチドを含む請求項20に記載の前記テスト・サンプルを調整する装置。
【請求項22】
さらに、前記ナノ粒子に付着されている前記オリゴヌクレオチドを前記所定の核酸の遺伝子配列の第2の部分に相補的な遺伝子配列を有するものとして定めることを含む請求項21に記載の前記テスト・サンプルを調製する装置。
【請求項23】
さらに、前記処理流体多岐管の第1のポートを通して結合されている流体を使用して、前記サンプル・ウェルから前記サンプル・ウェルの内容物を引き出して前記ハイブリッド形成ゾーン内に入れるように適合された第1のポンプを備える請求項22に記載の前記テスト・サンプルを調整する装置。
【請求項24】
さらに、前記サンプル・ウェルの前記内容物を前記内容物が前記ハイブリッド形成ゾーン内に引き込まれるときに冷却するように適合された冷却要素を備える請求項23に記載の前記テスト・サンプルを調製する装置。
【請求項25】
さらに、前記ハイブリッド形成ゾーン内に前記ウェルの前記内容物を所定の回数だけ往復させることにより前記プローブおよび所定の核酸を前記標的サンプル基板に接続されている前記オリゴヌクレオチドでハイブリッド形成するように適合された第2のポンプを備える請求項23に記載の前記テスト・サンプルを調製する装置。
【請求項26】
さらに、洗浄流体を第2のポートに通し、前記第1のポートを通して洗浄流体を放出することにより前記標的サンプル基板に接続されている前記ハイブリッド形成されたプローブ、所定の核酸、およびオリゴヌクレオチドをフラッシングするように適合された第3のポンプを備える請求項25に記載の前記テスト・サンプルを調製する装置。
【請求項27】
さらに、メッキ溶液を第2のポートに通し、前記第1のポートを通して使用済みメッキ溶液を放出することにより前記標的サンプル基板に接続されている前記ハイブリッド形成されたプローブ、所定の核酸、およびオリゴヌクレオチドの光学特性を増幅するように流体を導入し混合するように適合された第4および第5のポンプを備える請求項26に記載の前記テスト・サンプルを調製する装置。
【請求項28】
さらに、前記メッキ溶液を銀溶液であるとして定めることを含む請求項27に記載の前記テスト・サンプルを調製する装置。
【請求項29】
所定の標的核酸を検出することを目的として複数のテスト・サンプルを調製する方法であって、
前記複数のテスト・サンプルを含むハイブリッド形成ユニットを用意する工程であって、前記ハイブリッド形成ユニットはさらに標的サンプル基板および前記標的サンプルの前記基板の第1の面に結合された分配多岐管を備える、工程と、
処理流体多岐管を前記ハイブリッド形成ユニットの前記分配多岐管に固定する工程と、
前記複数のテスト・サンプルを変性する工程と、
前記所定の核酸を検出するために前記複数のテスト・サンプルを調製する工程であって、前記処理流体源多岐管と分配多岐管との間に複数の処理流体をポンプで送り込み、前記所定の標的核酸を前記標的サンプル基板にハイブリッド形成し、前記ハイブリッド形成されたサンプルを洗浄し、前記ハイブリッド形成されたサンプルの検出可能なパラメータを増幅することにより、調製する工程とを含む方法。
【請求項30】
さらに、前記複数のテスト・サンプルを複数のそれぞれのサンプル・ウェル内に配置することを含む請求項29に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項31】
前記テスト・サンプルを変性する工程は、さらに、前記複数のそれぞれのサンプル・ウェルの1つのサンプル・ウェルを加熱する工程を含む請求項30に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項32】
さらに、液体テスト・プローブを前記複数のサンプル・ウェルのうちの第1のウェル内に配置することを含む請求項31に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項33】
さらに、前記所定の複数の核酸のうちの1つの核酸の塩基配列の第1の部分に相補的な塩基配列を有する第1のオリゴヌクレオチドを前記ハイブリッド形成ユニットのハイブリッド形成ゾーン内に配置することを含む請求項32に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項34】
前記第1のオリゴヌクレオチドを前記ハイブリッド形成ユニットのハイブリッド形成ゾーン内に配置する前記工程は、さらに、前記オリゴヌクレオチドの1つの末端を前記標的サンプル基板に接続する工程を含む請求項33に記載の前記テスト・サンプルを調整する方法。
【請求項35】
前記テスト・プローブは、さらに、ナノ粒子および前記ナノ粒子の表面に配置された第2のオリゴヌクレオチドを含み、前記第2のオリゴヌクレオチドは前記複数の所定の核酸のうちの前記核酸の前記塩基配列の第2の部分に相補的な塩基配列を有する請求項34に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項36】
さらに、前記処理流体多岐管の第1のポートを通して結合されている流体を使用して、前記ウェルから前記複数のウェルのうちの1つのウェルの内容物を引き出して前記ハイブリッド形成ゾーン内に入れることを含む請求項35に記載の前記テスト・サンプルを調整する方法。
【請求項37】
さらに、前記複数のサンプル・ウェルのうちの前記サンプル・ウェルの前記内容物を前記内容物が前記ハイブリッド形成ゾーン内に引き込まれるときに冷却することを含む請求項36に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項38】
さらに、前記ハイブリッド形成ゾーン内に前記ウェルの前記内容物を所定の回数だけ往復させて前記プローブおよび所定の核酸を前記第1のオリゴヌクレオチドと混合することにより前記プローブおよび所定の核酸を前記第1のオリゴヌクレオチドでハイブリッド形成することを含む請求項36に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項39】
さらに、洗浄流体を第2のポートに通し、前記第1のポートを通して洗浄流体を放出することにより前記ハイブリッド形成されたプローブ、所定の核酸、および第1のオリゴヌクレオチドをフラッシングすることを含む請求項38に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項40】
さらに、メッキ溶液を第2のポートに通し、前記第1のポートを通して使用済みメッキ溶液を放出することにより前記ハイブリッド形成されたプローブ、所定の核酸、および第1のオリゴヌクレオチドの光学特性を増幅することを含む請求項39に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。
【請求項41】
さらに、前記メッキ溶液を銀溶液であるとして定めることを含む請求項40に記載の前記テスト・サンプルを調製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2007−510430(P2007−510430A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539673(P2006−539673)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/036959
【国際公開番号】WO2005/047855
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(506154915)ナノスフィア,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】