説明

検査データ処理装置及び検査システム

【課題】複数の検査により得られた検査データを容易に同期再生する技術を提供する。
【解決手段】検査システムは、検査装置1とワークステーション10を含んで構成される。検査装置1は、患者に対して検査を行って複数の検査データを取得するとともに、各検査データの検査時刻を取得する。ワークステーション10は、患者に対して実施された処置項目とその処置時刻とを関連付けるプロシージャログを生成する。ワークステーション10は、プロシージャログや検査時刻に基づいて、表示部13に時系列表示画面100を表示させる。オペレータは、操作部14を操作して、時系列表示画面100中の処置項目を指定する。ワークステーション10は、検査時刻とプロシージャログに基づいて、指定された処置項目に対応する範囲の部分データを各検査データから抽出し、抽出された部分データを同期させて表示部13に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医療分野の検査にて取得されたデータを処理する検査データ処理装置、及び、医療分野の検査を行う検査システムに関する。特に、この発明は、複数の検査を並行して実施する場合に用いられる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野では、複数の検査を並行して実施することがある。たとえば、心臓血管検査においては、X線造影撮影、IVUS(interventional ultrasonic:血管内超音波検査)、ポリグラフ検査(血行動態検査)、心電図検査などを並行して行うことがある。また、手術中には、患者の画像撮影、心電図検査、血圧検査などを並行して行うことがある。
【0003】
従来、複数の検査により取得されたデータ(検査データ)は、それぞれ個別に処理されていた(たとえば特許文献1参照)。また、複数の検査データは、相互に関連付けられることなく独立に表示されていた。また、複数の検査データを並べて表示させることもできるが、各検査データを独立に表示させることしかできなかった。なお、例外として、心電同期撮影を行った場合においては、心臓の時相に関連付けて撮影画像を表示させることは可能であった。
【0004】
【特許文献1】国際公開2003/001421号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来では、心電同期撮影のような例外を除き、複数の検査を並行して行った場合に、これら複数の検査による検査データを同期させて表示することができず、複数の検査データを個別に観察することしかできなかった。そのため、異なる検査データ間の関係を容易に把握できなかった。
【0006】
また、従来の技術では、同時に取得された複数の検査データを観察するには、各検査データを時間的に調整しなければならず、操作が煩雑であり時間も掛かっていた。たとえば、上記の心臓血管検査においては、X線造影撮影による撮影時刻と、IVUS検査による撮影時刻と、ポリグラフ検査の検査時刻と、心電図検査の検査時刻とを、所望の時刻にそれぞれ一致させる必要があった。
【0007】
また、従来の技術では、動画撮影やポリグラフ検査のように連続的な検査を実施した場合に、その検査結果を時系列に沿って表示することしかできなかったため、所望のタイミングにおける検査データを選択的に表示させることは困難であった。たとえば心臓血管検査においては、投薬やバルーンやステントによる血管狭窄部の拡張治療など、所望のイベントの実施タイミングにおける検査データを重点的に観察することがあるが、従来の技術では、所望のタイミングにおける各種の検査データを表示させるためには大きな手間を要していた。
【0008】
この発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、複数の検査により得られた検査データを容易に同期再生することが可能な検査データ処理装置及び検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、二以上の検査装置により取得された患者の複数の検査データと、前記複数の検査データのそれぞれが取得された時刻を表す検査時刻とを記憶する記憶手段と、前記検査装置による検査に関連して前記患者に対して実施された処置項目とその処置時刻とを関連付ける関連情報を生成する生成手段と、表示手段と、前記検査時刻と前記関連情報とに基づいて、前記複数の検査データのそれぞれから、一の処置項目に対応する範囲の部分データを抽出し、前記抽出された複数の部分データを同期させて前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする検査データ処理装置である。
【0010】
また、請求項13に記載の発明は、患者に対する検査により複数の検査データを取得するとともに、前記複数の検査データのそれぞれが取得された時刻を表す検査時刻を取得する検査装置と、前記検査装置による検査に関連して前記患者に対して実施された処置項目とその処置時刻とを関連付ける関連情報を生成する生成手段と、表示手段と、前記検査時刻と前記関連情報とに基づいて、前記複数の検査データのそれぞれから、一の処置項目に対応する範囲の部分データを抽出し、前記抽出された複数の部分データを同期させて前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする検査システムである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、複数の検査データ及び検査時刻と関連情報とが得られたときに、検査時刻と関連情報に基づいて、一の処置項目に対応する範囲の部分データを各検査データから抽出し、抽出された部分データを同期させて表示手段に表示させることができるので、オペレータは、検査データを同期させる作業を行う必要がない。したがって、複数の検査データを容易に同期再生することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明に係る検査データ処理装置及び検査システムの実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
[構成]
まず、図1及び図2を参照しつつ、この実施形態に係る検査システムの構成を説明する。この検査システムは心臓血管検査に用いられる。
【0014】
この検査システムは、たとえば、デジタル医用画像に関する標準規格であるDICOM(Digital Imaging andCommunications in Medicine)に準拠した構成とされている。
【0015】
この検査システムは、検査装置1、タイムサーバ2、検査データサーバ3、検査データベース4及びワークステーション10を含んで構成される。これらの装置は、LAN(Local Area Network)や専用線などの通信回線により接続されている。
【0016】
なお、この発明に係る検査データ処理装置は、この検査システムから少なくとも検査装置1を除いて構成することができる。たとえば、この発明に係る検査データ処理装置は次のように構成することができる:(1)ワークステーション10のみ;(2)ワークステーション10及びタイムサーバ2;(3)ワークステーション10、検査データサーバ3及び検査データベース4;(4)ワークステーション10、タイムサーバ2、検査データサーバ3及び検査データベース4。
【0017】
〔検査装置〕
この検査システムには、図1に示すように、心臓血管検査に用いられる複数の検査装置1A〜1Dが設けられている。検査装置1A〜1Dは、それぞれ独立に使用される。したがって、患者に対して二以上の検査を並行的に実施することができる。なお、図2においては、これらの検査装置1A〜1Dをまとめて「検査装置1」と記載している。
【0018】
(X線診断装置)
検査装置1AはX線診断装置である。X線診断装置1Aは、患者の体内のX線透視画像を撮影する装置である。X線診断装置1Aは、従来と同様に、静止画像を撮影することもできるし、動画像を撮影することもできる。また、X線診断装置1Aは、撮影画像中の注目部位のサイズ等の計測にも用いられる。ここで、サイズとは、長さ、面積、体積、周囲長、重量など、注目部位の形態を反映した物理量を意味する。
【0019】
X線診断装置1Aは、現在時刻を計時する手段を備えている。この手段は、たとえば、計時機能を有する一般的なマイクロプロセッサにより構成される。X線診断装置1Aは、撮影した画像の画像データ(デジタルデータ)に対し、その撮影時刻を付与する。撮影時刻は、たとえばDICOM規格における付帯情報として記録される。なお、この明細書では、「画像データ」と「画像」とを同一視することがある。
【0020】
動画像を撮影する場合には、この動画像を構成する各静止画像毎に撮影時刻を付与してもよい。たとえば動画像のフレームレートが30f/sであるときには、1/30秒毎に取得されるフレーム(静止画像)のそれぞれに対して撮影時刻を付与する。
【0021】
なお、動画像を構成する各静止画像に撮影時刻を付与する代わりに、一つの静止画像に対して撮影時刻を付与するとともに、そのフレームレートを記録するようにしてもよい。たとえば最初の静止画像に撮影時刻を付与した場合、第N番目の静止画像の撮影時刻は、フレームレートの逆数(フレーム間隔)とN−1との積を、当該撮影時刻に加算することにより算出することができる。この実施形態では、動画像を構成する各静止画像の撮影時刻を求めることが可能な任意の情報を適用できる。このような情報は、この発明の「検査時刻」の一例に相当する。
【0022】
X線診断装置1Aは、取得した画像に対して識別情報(画像ID)を付与する。この画像IDは、たとえばDICOMの付帯情報に記録される。動画像については、各静止画像に対して画像IDを付与することができる。
【0023】
X線診断装置1Aは、撮影された画像(検査データ)を、画像ID及び撮影時刻(付帯情報)とともにを検査データサーバ3に送信する。なお、検査データは、注目部位の計測結果などであってもよい。また、X線診断装置1Aは、画像ID及び撮影時刻(付帯情報)をタイムサーバ2に送信する。このとき、X線診断装置1Aは、データの送信時刻もタイムサーバ2に送信する。この送信時刻についても、DICOMの付帯情報に記録することができる。
【0024】
(心電計)
検査装置1Bは心電計である。心電計1Bは、心臓の電気現象の時間的変化を記録したグラフ(心電図)を取得するための装置である。
【0025】
心電計1Bは、現在時刻を計時する手段を備えている。心電計1Bは、心臓の電気現象を所定の時間間隔で検出し、その検出結果と検出時刻とを対応付けたデジタルデータ(検査データ)を生成する。この検査データは、検出値の時間的変化を表す心電図のグラフデータを構成する。
【0026】
なお、各検出タイミング毎に検出時刻を付与してもよいし、検出タイミングの一つにおける検出時刻と検出時間間隔とを付与するようにしてもよい。検出時刻を表すこれらの情報は、この発明の「検査時刻」の一例に相当する。
【0027】
心電計1Bは、検査データに対して識別情報(検査ID)を付与する。検査IDは、各検査データに対して付与してもよいし、各検出時刻毎に付与してもよい。
【0028】
心電計1Bは、検査データ、検査ID及び検出時刻を検査データサーバ3に送信する。また、心電計1Bは、検査ID及び検出時刻をタイムサーバ2に送信する。このとき、心電計1Bは、データの送信時刻もタイムサーバ2に送信する。
【0029】
(血行動態検査システム)
検査装置1Cは血行動態検査システムである。血行動態検査システム1Cは、ポリグラフ検査(血行動態検査)に用いられる。ポリグラフ検査は、心腔内の様々な位置における圧力の時間変化を測定することにより血行動態を検査するものである。
【0030】
血行動態検査システム1Cは、現在時刻を計時する手段を備えている。血行動態検査システム1Cは、各測定位置における圧力を所定の時間間隔で測定し、その測定結果と測定時刻とを対応付けたデジタルデータ(検査データ)を生成する。この検査データは、各測定位置毎の圧力の時間的変化を表すポリグラフのグラフデータを構成する。
【0031】
なお、各測定タイミング毎に測定時刻を付与してもよいし、測定タイミングの一つにおける測定時刻と測定時間間隔とを付与するようにしてもよい。測定時刻を表すこれらの情報は、この発明の「検査時刻」の一例に相当する。
【0032】
血行動態検査システム1Cは、検査データに対して識別情報(検査ID)を付与する。検査IDは、各検査データに対して付与してもよいし、各測定時刻毎に付与してもよい。
【0033】
血行動態検査システム1Cは、検査データ、検査ID及び測定時刻を検査データサーバ3に送信する。また、血行動態検査システム1Cは、検査ID及び測定時刻をタイムサーバ2に送信する。このとき、血行動態検査システム1Cは、データの送信時刻もタイムサーバ2に送信する。
【0034】
(IVUS装置)
検査装置1DはIVUS装置である。IVUS装置1Dは、血管内超音波検査を実施するための装置である。IVUS装置1Dは、カテーテルの先端に設けられた超音波プローブを有し、これを血管内に挿入して血管の断層画像を撮影する装置である。IVUS装置1Dは、静止画像を撮影することもできるし、動画像を撮影することもできる。また、IVUS装置1Dは、撮影画像中の注目部位のサイズの計測にも使用される。
【0035】
IVUS装置1Dは、現在時刻を計時する手段を備えている。IVUS装置1Dは、撮影した画像の画像データ(デジタルデータ)に対し、その撮影時刻を付与する。なお、動画像に対しては、それを構成する各静止画像に対して撮影時刻を付与してもよいし、一つの静止画像の撮影時刻とフレームレートとを付与するようにしてもよい。このような情報は、この発明の「検査時刻」の一例に相当する。
【0036】
IVUS装置1Dは、取得した画像に対して識別情報(画像ID)を付与する。動画像については、各静止画像に対して画像IDを付与することができる。画像IDや撮影時刻は、たとえばDICOMの付帯情報に記録される。
【0037】
IVUS装置1Dは、撮影された画像(検査データ)を、画像ID及び撮影時刻(付帯情報)とともにを検査データサーバ3に送信する。なお、検査データは、注目部位の計測結果などであってもよい。また、IVUS装置1Dは、画像ID及び撮影時刻(付帯情報)をタイムサーバ2に送信する。このとき、IVUS装置1Dは、データの送信時刻もタイムサーバ2に送信する。この送信時刻についても、DICOMの付帯情報に記録することができる。
【0038】
なお、各検査装置1A〜1Dが計時する現在時刻は、互いに同期されている必要はない。すなわち、各検査装置1A〜1Dが生成する検査時刻は同期されていない。したがって、たとえ同時に検査を実施したとしても、各検査装置1A〜1Dが付与する検査時刻は一致していなくてもよい。
【0039】
また、一つの心臓血管検査において検査装置1A〜1Dにより取得された検査データには、この心臓血管検査の識別情報(心臓血管検査ID)や、患者の識別情報(患者ID)が関連付けられる。それにより、一つの心臓血管検査において取得された各種の検査データを一元的に管理することができる。このような一元管理用のIDは、上記のデータとともにタイムサーバ2や検査データサーバ3に送信される。
【0040】
〔タイムサーバ〕
タイムサーバ2は、当該検査システムにおいて参照される時刻に関わる情報を管理するコンピュータである。特に、タイムサーバ2は、各検査装置1A〜1Dから送られた検査時刻を同期させるための処理を行う。タイムサーバ2は、制御部21、計時部22及び時差演算部23を備えている。
【0041】
(制御部)
制御部21は、タイムサーバ2の各部の制御を行う。制御部21は、CPU等のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブなどを含んでいる。更に制御部21は、LANカード等の通信装置を備えている。
【0042】
制御部21は、各検査装置1A〜1Dから送信されたデータを受信し、時差演算部23に入力する。また、制御部21は、計時部22が計時する時刻を適宜に取得し、時差演算部23や他の装置に送る。
【0043】
(計時部)
計時部22は、この検査システムにおいて基準となる時刻を計時する。この時刻を基準時刻と呼ぶことにする。計時部22は、たとえば、計時機能を有する一般的なマイクロプロセッサにより構成される。
【0044】
計時部22は、外部から正確な時刻を取得して時刻を自動修正する機能を備えていてもよい。正確な時刻は、たとえば、インターネット上の時刻サーバや、標準時刻電波を発信する電波親時計により提供される。
【0045】
計時部22を有するタイムサーバ2は、この発明の「第1のサーバ」として機能するものである。
【0046】
(時差演算部)
前述のように、タイムサーバ2は、各検査装置1A〜1Dから送られた検査時刻を同期させるための処理を行う。時差演算部23は、この処理を実行するものである。以下、この処理について説明する。
【0047】
X線診断装置1Aが取得した動画像について、この動画像を構成する複数の静止画像の画像IDを「Gk」とし、各静止画像の撮影時刻を「tA(k)」とする(k=1、2、・・・、K:取得順)。また、X線診断装置1Aからの送信時刻をtAとする。
【0048】
心電計1Bが取得した検査データについて、この検査データを構成する複数の検出値の検査IDを「El」とし、各検出値の検出時刻を「tB(l)」とする(l=1、2、・・・、L:取得順)。また、心電計1Bからの送信時刻をtBとする。
【0049】
血行動態検査システムが取得した検査データについて、この検査データを構成する複数の測定値の検査IDを「Pm」とし、各測定値の測定時刻を「tC(m)」とする(m=1、2、・・・、M:取得順)。また、血行動態検査システム1Cからの送信時刻をtCとする。
【0050】
IVUS装置1Dが取得した動画像について、この動画像を構成する複数の静止画像の画像IDを「Un」とし、各静止画像の撮影時刻を「tD(n)」とする(n=1、2、・・・、N:取得順)。また、IVUS装置1Dからの送信時刻をtDとする。
【0051】
制御部21は、X線診断装置1Aからのデータを受信すると、その受信時刻TAを計時部22から取得する。このとき、データの伝送速度が十分に速いと仮定すると、X線診断装置1Aがデータを送信すると同時にタイムサーバ2がデータを受信するとみなすことができる。よって、タイムサーバ2が計時する基準時刻とX線診断装置1Aによる計時時刻とが一致している場合には、送信時刻tAと受信時刻TAとは等しいとみなすことができる。
【0052】
しかし、これらの装置間の計時時刻は一般に一致されていない。その場合には、送信時刻tAと受信時刻TAとは一般に異なっている。このとき、上記仮定を考慮すると、送信時刻tAと受信時刻TAとの時差ΔtA=tA−TAは、基準時刻に対するX線診断装置1Aによる計時時刻の時差に相当する。
【0053】
以上の背景に鑑み、時差演算部23は、基準時刻に対するX線診断装置1Aによる計時時刻の時差ΔtAを算出する。同様に、時差演算部23は、基準時刻に対する心電計1Bによる計時時刻の時差ΔtB、血行動態検査システム1Cによる計時時刻の時差ΔtC、及び、IVUS装置1Dによる計時時刻の時差ΔtDをそれぞれ算出する。
【0054】
制御部21は、算出された時差ΔtA、ΔtB、ΔtC、ΔtDを検査データサーバ3に送信する。このとき、各時差に関連付けて画像IDや検査IDを送信する。それにより、どの時差がどの検査データに対応するか特定可能となる。
【0055】
なお、上記においては、検査装置1からタイムサーバ2への伝送時間をゼロとしているが、伝送時間を無視できない場合などには、たとえば伝送時間の実測値や理論値を考慮して時差を算出することが可能である。
【0056】
また、基準時刻に対する検査装置1による計時時刻の時差が、短時間で大きく変化しない場合などには、画像IDや検査IDをタイムサーバ2に送信する必要はない。一方、時差の算出精度を重視する場合には、画像IDや検査IDを送信し、当該撮影時や当該検査時における時差を算出することが望ましい。
【0057】
時差演算部23は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブなどを含んで構成される。時差演算部23は、この発明の「時差演算手段」の一例として機能するものである。
【0058】
〔検査データサーバ、検査データベース〕
検査データサーバ3は、各検査装置1により取得された検査データを管理するコンピュータである。検査データサーバ3は、この発明の「第2のサーバ」の一例として機能するものである。検査データサーバ3には、検査データベース4が併設されている。
【0059】
検査データベース4は、検査データを検索可能に格納する記憶装置を含んで構成される。この記憶装置は、たとえばハードディスクドライブ等の大容量の記憶装置である。
【0060】
検査データサーバ3及び検査データベース4は、たとえばPACS(Picture Archiving and Communication System)等の画像保管システムとして機能する。画像保管システムは、X線診断装置1AやIVUS装置1Dにより撮影された画像を保管する。
【0061】
また、検査データサーバ3及び検査データベース4は、心電図やポリグラフ等のグラフデータを含む各種の検査結果を保管するシステムとしても機能する。
【0062】
検査データサーバ3は、検査データベース4に格納された検査データを管理する。一つの心臓血管検査において取得された各種の検査データ等の情報は、前述の心臓血管検査IDや患者ID等により一元的に管理される。検査データサーバ3には、制御部31と時差調整部32が設けられている。
【0063】
(制御部)
制御部31は、検査データサーバ3の各部の制御を行う。制御部31は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブなどを含んでいる。更に制御部31は、LANカード等の通信装置を備えている。
【0064】
制御部31は、各検査装置1A〜1Dから送信されたデータを受信し、検査データベース4に格納する。また、制御部31は、たとえばワークステーション10からの要求に応じ、検査データベース4に格納されたデータを読み出し、その要求元に送信する。
【0065】
また、制御部31は、タイムサーバ2から送信された時差ΔtA、ΔtB、ΔtC、ΔtDを受信し、検査データベース4に格納する。なお、自身のハードディスクドライブに時差を格納するように構成してもよい。
【0066】
(時差調整部)
時差調整部32は、検査データの時刻合わせを行うものである。より具体的に説明すると、時差調整部32は、各検査データの検査時刻を基準時刻に変換する処理を行う。また、この処理を各検査データに対して行うことにより、異なる種類の検査データ間における検査時刻を同期させる。以下、この処理の具体例を説明する。
【0067】
まず、制御部31は、タイムサーバ2からの時差ΔtA、ΔtB、ΔtC、ΔtDと、検査装置1A〜1Dからの検査データ等を時差調整部32に入力する。
【0068】
時差調整部32は、X線診断装置1Aにより撮影された各静止画像(画像ID「Gk」)について、時差ΔtAに基づいて、その撮影時刻tA(k)を基準時刻に変換する:tA(k)′=tA(k)−ΔtA。tA(k)′は、第k番目の画像が撮影されたときの基準時刻に相当する。
【0069】
時差調整部32は、同様に、心電計1Bにより取得された検査データの各検出値(検査ID「El」)について、時差ΔtBに基づいて、その検出時刻tB(l)を基準時刻に変換する:tB(l)′=tB(l)−ΔtB。また、時差調整部32は、血行動態検査システム1Cにより取得された検査データの各測定値(検査ID「Pm」)について、時差ΔtCに基づいて、その測定時刻tC(m)を基準時刻に変換する:tC(m)′=tC(m)−ΔtC。また、時差調整部32は、IVUS装置1Dにより取得された各静止画像(画像ID「Un」)について、時差ΔtDに基づいて、その撮影時刻tD(n)を基準時刻に変換する:tD(n)′=tD(n)−ΔtD。
【0070】
それにより、各検査データの検査時刻が基準時刻に合わされるとともに、異なる検査データ間が基準時刻を媒介して同期される。時差調整部32による演算結果は、対応する検査データに関連付けられて検査データベース4に格納される。この演算結果は、たとえば、対応する検査データの付帯情報として記録される。
【0071】
以上のように動作する時差調整部32は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブなどを含んで構成される。時差調整部32は、この発明の「時刻変換手段」の一例として機能するものである。
【0072】
〔ワークステーション〕
ワークステーション10は、この発明の「コンピュータ」の一例として機能する。ワークステーション10は、検査装置1により取得された検査データを観察するために用いられる。また、ワークステーション10は、プロシージャログ(procedure log)の入力に用いられる。
【0073】
プロシージャログは、心臓血管検査の実施において患者に対して施された処置項目(イベント)と、その処置時刻とを記録した情報である。イベントの例としては、造影剤や強心剤等の薬剤の注入、ステントやバルーンによる血管の拡張などがある。
【0074】
プロシージャログは、心臓血管検査の実施中又は実施後にワークステーション10に入力される。前者の場合、ワークステーション10は検査室内に設置される。また、検査室内をビデオ撮影する場合などには、そのビデオ画像を観察可能な任意の場所にワークステーション10を設置することができる。一方、後者の場合、ワークステーション10は、任意の場所に設置することが可能である。なお、後者の場合、検査中に手書き等で記録を作成し、この記録を参照してワークステーション10に情報を入力する。
【0075】
ワークステーション10には、制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、検索部15、抽出部16及び同期部17が設けられている。
【0076】
(制御部)
制御部11は、ワークステーション10の各部の制御を行う。制御部11は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブなどを含んでいる。更に制御部11は、LANカード等の通信装置を備えている。
【0077】
制御部11は、プロシージャログに関する各種の処理を行う。検査中にプロシージャログを入力する場合における動作の一例を説明する。なお、その他の動作例については後述する。
【0078】
図1及び図2に示すように、ワークステーション10は、タイムサーバ2に接続されている。イベントが入力されると、制御部11は、その入力タイミングにおける基準時刻を取得し、入力されたイベントに関連付けてプロシージャログを作成する。作成されたプロシージャログは、記憶部12に記憶される。
【0079】
基準時刻の取得態様は、たとえば次の二種類がある。第1の態様としては、タイムサーバ2から基準時刻を常時受信し、イベントが入力されたタイミングで受信された基準時刻を用いるように構成できる。第2の態様としては、イベントが入力されたときにタイムサーバ2に向けて信号を送信し、この信号を受信したタイムサーバ2が基準時刻を提供するように構成できる。
【0080】
(記憶部)
記憶部12は、検査データやプロシージャログなどの各種のデータを記憶する。記憶部12は、ハードディスクドライブ等の記憶装置を含んで構成される。記憶部12に対するデータの格納処理や、記憶部12に格納されたデータの読み出し処理は、制御部11が行う。
【0081】
(表示部)
表示部13は、制御部11により制御されて、検査データなどの各種のデータを表示する。表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどの任意の表示装置により構成される。
【0082】
(操作部)
操作部14は、ワークステーション10に各種の処理を実行させるために、オペレータにより操作される。操作部14は、キーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティックなどの任意の操作デバイスや入力デバイスにより構成される。
【0083】
オペレータに操作された操作部14は、その操作内容に応じた操作信号を制御部11に入力する。制御部11は、この操作信号に基づいてワークステーション10の各部を制御し、オペレータが要求した動作を実行させる。
【0084】
操作部14は、特に、心臓血管検査ID、患者ID、プロシージャログに記録されたイベントなどを指定するために操作される。
【0085】
(検索部)
検索部15は、検査データサーバ3が管理している検査データを検索する。検索部15は、マイクロプロセッサや通信装置などを含んで構成される。
【0086】
検索部15は、特に、オペレータが心臓血管検査IDや患者IDを指定したときに、その指定内容に該当する検査データ及び付帯情報を検査データサーバ3から取得する。この処理についてより具体的に説明する。
【0087】
オペレータがIDを指定すると、検索部15は、指定されたIDを、ワークステーション10のネットワークアドレス等とともに検査データサーバ3に送信する。
【0088】
検査データサーバ3は、このIDに関連付けられた検査データ及び付帯情報を検査データベース4から検索する。そして、受信したネットワークアドレスに基づいて、検索結果をワークステーション10に送信する。
【0089】
検索部15は、この検索結果を受信して制御部11に入力する。制御部11は、この検索結果を記憶部12に格納する。
【0090】
(抽出部)
抽出部16は、プロシージャログに記録されたイベントがオペレータにより指定されたときに、このイベントに対応する部分を各検査データから抽出する。この処理についてより具体的に説明する。
【0091】
記憶部12には、検査データ及び付帯情報とプロシージャログとが記憶されている。検査データ及び付帯情報は、検索部15により検索されたものである。プロシージャログは、制御部11により作成されたものである。ここで、付帯情報に記録された検査時刻は、基準時刻に変換されている。プロシージャログに記録された処置時刻も、基準時刻に変換されている。また、プロシージャログは、イベントとその処置時刻とを関連付けている。
【0092】
プロシージャログに記録される各イベントには、観察対象となる期間(観察期間)があらかじめ設定されている。観察期間は、デフォルトで設定してもよいし、オペレータが適宜に設定してもよい。
【0093】
観察期間は、たとえばイベントの種類や実施時間などに応じて設定される。観察期間は、イベントの種類等に応じ、処置時刻以前の期間及び以後の期間の少なくとも一方を含んでいる。すなわち、観察期間としては、処置時刻以前のみに設定されたもの、処置時刻以後に設定されたもの、及び、処置時刻以前及び以後の双方に亘って設定されたものがある。
【0094】
さて、オペレータがイベントを指定すると、抽出部16は、まず、このイベントに対応する観察期間を特定する。また、抽出部16は、プロシージャログを参照し、このイベントに関連付けられた処置時刻を特定する。
【0095】
次に、抽出部16は、特定された観察期間及び処置時刻に基づいて、各検査データから、観察対象となる部分(部分データ)を抽出する。この処理の具体例を説明する。特定された観察期間が「処置時刻後1分間」であり、処置時刻が「10時05分35秒」であるとする。このとき、観察対象となる期間は、10時05分35秒から1分間、つまり、10時05分35秒〜10時06分35秒となる。
【0096】
各検査データの付帯情報には検査時刻が記録されている。たとえばX線診断装置1Aにより撮影された動画像を構成するK枚の静止画像(画像ID「Gk」;k=1〜K)には、それぞれ撮影時刻tA(k)が付されている。抽出部16は、観察対象となる期間「10時05分35秒〜10時06分35秒」に撮影時刻tA(k)が含まれるような静止画像(部分データ)を特定する。特定された静止画像の画像IDを「G(k1)」〜「G(k2)」とする。
【0097】
更に、抽出部16は、各検査データについて、特定された部分データを抽出する。上記の例では、画像IDが「G(k1)」〜「G(k2)」の範囲の静止画像が抽出されることになる。観察対象となる期間と検査時刻とが重複しない検査データについては、部分データは抽出されない。
【0098】
(同期部)
同期部17は、抽出部16により各検査データから抽出された部分データを同期させる。この処理は、複数の検査データから部分データが抽出された場合に実行される。以下に具体例を説明する。
【0099】
X線診断装置1Aにより撮影された動画像と、血行動態検査システム1Cにより取得されたポリグラフから部分データが抽出されたとする。動画像からは、画像ID「G(k1)」〜「G(k2)」の範囲の静止画像が抽出されたとする。また、ポリグラフからは、検査ID「P(m1)」〜「P(m2)」の範囲の測定値が抽出されたとする。
【0100】
同期部17は、抽出された複数の静止画像と複数の測定値を、同じ時間軸上に配列させる。たとえば、画像ID「G(k1)」の静止画像と検査ID「P(m1)」の測定値とを時間0に関連付ける。更に、画像ID「G(k1+1)」以降の静止画像については、各々の撮影時刻に基づく時間を関連付ける。検査ID「P(m1+1)」の測定値についても同様である。なお、動画像のフレームレートや、測定値の測定間隔に基づいて、検査データを時間軸上に配列させてもよい。
【0101】
[使用形態]
この実施形態に係る検査システムの使用形態の一例を説明する。以下、検査データ等の取得における使用形態と、検査データの観察における使用形態とに分けて説明する。
【0102】
〔検査データ等の取得における使用形態〕
まず、検査データ等の取得における使用形態の一例について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、心臓血管検査の実施中にプロシージャログをワークステーション10に入力するケースについて説明する。
【0103】
心臓血管検査を開始する(S1)。ワークステーション10の表示部13には、プロシージャログを入力するための入力画面が表示されている。
【0104】
患者に対して処置が施されると、看護師等は、操作部14を操作して、その処置項目を入力する(S2)。制御部11は、入力された処置項目と、タイムサーバ2から提供される基準時刻とを関連付けて、プロシージャログを作成する(S3)。プロシージャログの作成処理は、患者に対して処置が施される度毎に実行される。
【0105】
また、医師や放射線技師等は、患者に対して検査装置1による検査を適宜に実施する(S4)。検査装置1は、取得された検査データに検査時刻を関連付ける(S5)。検査時刻は、たとえば検査データの付帯情報として記録される。
【0106】
なお、プロシージャログの作成と、検査装置1による検査は、心臓血管検査の実施中に適宜のタイミングで行われる。したがって、これらを実施する順序や回数は任意であり、図3のフローチャートに示す内容には限定されない。
【0107】
心臓血管検査が終了すると(S6)、ワークステーション10の制御部11は、作成されたプロシージャログを、心臓血管検査IDや患者IDとともに記憶部12に格納する(S7)。
【0108】
また、各検査装置1は、検査データ及び付帯情報を検査データサーバ3に送信する。検査データサーバ3は、各検査装置1からの検査データ及び付帯情報を受信し、検査データベース4に格納する(S8)。この付帯情報には、検査の種類に応じ、検査時刻、検査ID、心臓血管検査ID、患者IDなどが記録されている。
【0109】
また、各検査装置1は、時差演算用の情報、すなわち検査ID、検査時刻及び送信時刻をタイムサーバ2に送信する。時差演算部23は、各検査時刻について、基準時刻に対する時差を演算する(S9)。
【0110】
制御部21は、各検査時刻の時差を検査ID等とともに検査データサーバ3に送信する。時差調整部32は、検査データベース4に格納された各検査データについて、その検査時刻を基準時刻に変換する(S10)。この変換結果は、たとえば付帯情報に記録されて検査データベース4に格納される。以上で、検査データ等の取得における使用形態の説明を終了する。
【0111】
〔検査データの観察における使用形態〕
次に、検査データの観察における使用形態の一例について、図4、図5及び図6を参照しながら説明する。図4は、この使用形態の一例を表すフローチャートである。図5及び図6は、検査データを観察するための表示画面の一例を表す。
【0112】
まず、ワークステーション10のオペレータは、操作部14を操作して、患者IDや心臓血管検査IDを入力する(S21)。検索部15は、入力されたIDに該当する検査データ及び付帯情報を検査データサーバ3から取得する(S22)。制御部11は、取得された検査データ及び付帯情報を記憶部12に記憶させる。
【0113】
制御部11は、ステップ21で入力されたIDに関連付けられたプロシージャログ及び付帯情報を記憶部12から読み出す。更に、制御部11は、読み出されたデータに基づいて、図5に示す時系列表示画面100を表示部13に表示させる(S23)。
【0114】
時系列表示画面100について説明する。時系列表示画面100は、心臓血管検査において実施されたイベントや検査を時系列に応じて一覧表示した画面である。以下、時系列表示画面100の構成及び作成方法を説明する。
【0115】
時系列表示画面100には、時刻欄、イベント欄、観察範囲欄及び検査時間欄が設けられている。検査時間欄には、当該心臓血管検査において実施された各検査の種類を示す情報が列挙される。図5においては、X線造影検査を表す「XA」、心電図検査を表す「ECG」、血行動態検査を表す「ポリグラフ」、及び、IVUS検査を表す「IVUS」が表示されている。各欄の表示内容は、同一の時間軸に沿って表示位置が決定されている。
【0116】
時刻欄には、各イベントが実施された時刻(処置時刻)が時系列に沿って表示される。イベント欄には、心臓血管検査の開始(Start)及び終了(End)とともに、検査中に実施された各イベントの種類(処置項目)が時系列に沿って表示される。イベント欄に表示された文字列「ev−1」等は、それぞれイベントの処置項目を表している。また、イベント欄には、時系列上における処置時刻の位置を表す処置時刻マーク101〜104が表示されている。各処置時刻マーク101〜104は、逆三角形の形状の画像である。
【0117】
観察範囲には、各イベント毎に設定された観察期間に基づく、上記時間軸における範囲が表示されている。
【0118】
検査時間欄には、各検査毎の検査時間が表示されている。図5の「XA」については、3つの検査時間121〜123が表示されている。検査時間121は、処置項目「ev−a」の前に開始され、処置項目「ev−b」の後に終了されたX線造影検査を表している。また、検査時間122は、検査時間121の間に撮影された画像に基づく計測を表している。また、検査時間123は、この計測の後に実施されたX線造影検査を表している。
【0119】
「ECG」についての検査時間131、「ポリグラフ」についての検査時間141、及び、「IVUS」についての検査時間151、152についても同様である。
【0120】
時系列表示画面100の作成方法の一例を説明する。制御部11は、まず、プロシージャログに記録された処置項目と処置時刻との関連付けに基づいて、時刻欄とイベント欄を作成する。時系列表示画面100には、所定方向(図5では右方向)に向かう時間軸が設定されている。時刻欄内における処置時刻の表示位置と、イベント欄内における処置項目の表示位置は、この時間軸に応じて決定される。
【0121】
なお、この時間軸は、単位時間が等間隔で並んだものである必要はない。たとえば、心臓血管検査中の或る期間に多数のイベントが実施された場合、この期間に相当する範囲における単位時間の距離を長くして全ての処置項目を表示させることが望ましい。このように、時系列表示画面100においては、どのタイミングでどの検査が実施されたかを分かり易く表現することの方が、時間経過よりも重要である。
【0122】
観察範囲欄に表示される観察範囲は、プロシージャログに記録された各イベントの処置時刻と、事前に設定された観察期間とに基づいて演算される。演算された観察範囲は、上記の時間軸に応じた位置に表示される。
【0123】
検査時間欄に表示される検査時間は、検査データの付帯情報に記録された検査時刻に基づいて決定される。たとえば、検査時間の開始時刻としては、検査データ中の最初のデータの検査時刻を用いることができ、検査時間の終了時刻としては、最後のデータの検査時刻を用いることができる。決定された検査時間は、上記の時間軸に応じた位置に表示される。以上で、時系列表示画面100についての説明を終了する。
【0124】
さて、時系列表示画面100が表示されたら、オペレータは、操作部14を操作して所望のイベントを指定する(S24)。イベントの指定は、たとえば、所望の処置時刻マーク101〜104をマウスでクリックすることにより行う。また、所望の観察範囲111〜114をクリックしてイベントを選択するようにしてもよい。
【0125】
抽出部16は、指定されたイベントに対応する観察期間と処置時刻を特定し、特定された観察期間と処置時刻に基づいて、観察対象となる部分データを各検査データから抽出する(S25)。
【0126】
同期部17は、各検査データから抽出された部分データを同期させる(S26)。そして、制御部11は、同期された部分データを表示部13に表示させる(S27)。オペレータは、表示された部分データを観察し、レポートの作成などを行う(S28)。以上で、検査データの観察における使用形態を終了する。
【0127】
〔データの表示態様について〕
ステップ27で表示されるデータの表示態様について説明する。ここでは、図6及び図7を参照し、二つの表示態様を説明する。
【0128】
(第1の表示態様)
図6は、図5の処置項目「ev−c」のイベントが指定された場合における、部分データの表示態様の一例を表している。図5に示すように、このイベントの実施時には、XA、ECG、ポリグラフ及びIVUSがそれぞれ実施されている。
【0129】
図6に示すデータ再生画面200には、指定されたイベントを呈示するイベント呈示部201が設けられている。それにより、オペレータは、指定されたイベントを確認することができる。
【0130】
イベント呈示部201の下方には、部分データを呈示するデータ呈示部211〜214が設けられている。データ呈示部211には、X線診断装置1Aにより撮影された動画像の一部が呈示される。データ呈示部212には、心電計1Bにより取得された心電図の一部が呈示される。データ呈示部213には、IVUS装置1Dにより撮影された動画像の一部が呈示される。データ呈示部214には、血行動態検査システム1Cにより取得されたポリグラフの一部が呈示される。呈示される各部分データは、その検査データのうち、観察範囲113に対応する部分である。
【0131】
データ呈示部211〜214の下方には、呈示操作部220が設けられている。呈示操作部220は、データ呈示部211〜214に呈示されるデータに関する操作に供される。
【0132】
呈示操作部220には、指定されたイベントの観察範囲を表す観察範囲画像221が設けられている。観察範囲画像221は、図5の観察範囲113を表すもので、左右方向を長手方向とする画像である。
【0133】
観察範囲画像221の左端には、処置時刻マーク222が設けられている。処置時刻マーク222は、観察範囲画像221が示す観察範囲におけるイベントの処置時刻の位置を表している。なお、他のイベントが指定された場合には、そのイベントに応じた位置に処置時刻マークが呈示される。たとえば、処置項目「ev−b」のイベントが指定された場合には、観察範囲画像の中央付近の位置に処置時刻マークが呈示されることになる。
【0134】
更に、観察範囲画像221上には、スライダ223が設けられている。スライダ223は、たとえばマウスのドラッグ操作によって左右方向(つまり観察範囲画像221の長手方向)に移動される。
【0135】
制御部11は、観察範囲画像221におけるスライダ223の位置に対応する時刻のデータをデータ呈示部211〜214にそれぞれ呈示させる。すなわち、オペレータは、スライダ223を所望の位置に移動させることにより、その位置に応じた時刻における四つのデータを観察することができる。なお、四つのデータは、同期部17により相互に同期されているので、このような同期表示を容易に行うことができる。
【0136】
なお、X線診断装置1AやIVUS装置1Dによる撮影画像については、スライダ223の位置に対応する時刻の画像を選択して呈示すればよいが、心電図やポリグラフについては、その時刻を含む所定の期間における波形(グラフ)を呈示するようになっている。
【0137】
また、観察範囲113の期間におけるデータを連続的に呈示させることも可能である。その場合、データ呈示部211、213には、当該期間における動画像がそれぞれ呈示され、データ呈示部212、214には、当該期間における波形の時間変化がそれぞれ呈示される。この場合にも、四つのデータは同期表示される。すなわち、各時点において各データ呈示部211〜214に呈示されるデータは、同じ時刻に取得されたものである。
【0138】
(第2の表示態様)
上述のデータ再生画面200は、一つのイベントが指定されたときに、このイベントに対応する検査データを同期表示するものである。以下に説明する第2の表示態様は、複数のイベントが指定されたときに表示される画面である。図7は、複数のイベントが指定されたときの表示画面の一例を表している。
【0139】
図7に示すデータ比較画面300は、二つのイベントが指定されたときに表示される。ここでは、図5における処置項目「ev−b」、「ev−d」の二つのイベントが指定された場合について説明する。
【0140】
データ比較画面300には、二つのイベントを呈示するイベント呈示部301が設けられている。イベント呈示部301には、一方のイベント(ここでは処置項目「ev−b」のイベント)の処置時刻が呈示されている。なお、双方のイベントの処置時刻を呈示するようにしてもよい。また、イベント呈示部301には、二つのイベントを表す文字列「Event−b to d」が呈示されている。このような呈示内容により、オペレータは、比較対象となるイベントを確認することができる。
【0141】
イベント呈示部301の下方には、処置項目「ev−b」のイベントについての部分データを呈示するデータ呈示部311A〜313Aと、処置項目「ev−d」のイベントについての部分データを呈示するデータ呈示部311B〜313Bとが設けられている。
【0142】
データ呈示部311A、311Bは、左右方向に並んで配置されている。データ呈示部311A、311Bには、それぞれ、X線診断装置1Aにより撮影された動画像の一部が呈示される。データ呈示部312A、312Bは、左右方向に並んで配置されている。データ呈示部312A、312Bには、それぞれ、血行動態検査システム1Cにより取得されたポリグラフの一部が呈示される。データ呈示部313A、313Bは、左右方向に並んで配置されている。データ呈示部313A、313Bには、それぞれ、心電計1Bにより取得された心電図の一部が呈示される。
【0143】
データ呈示部313A、313Bに呈示される心電図は、互いの時相が同期されている。また、データ呈示部311A、312Aに呈示されるデータは、それぞれ、データ呈示部313Aの心電図に同期されている。同様に、データ呈示部311B、312Bに呈示されるデータは、それぞれ、データ呈示部313Bの心電図に同期されている。したがって、データ呈示部311A〜313A、311B〜313Bに呈示されたデータは、全てが同期されている。これらのデータは、同期部17によって同期される。制御部11は、これらのデータを同期させてデータ呈示部311A〜313A、311B〜313Bに呈示させる。
【0144】
データ呈示部313A、313Bに呈示された心電図上には、データ呈示部311A、312A、311B、312Bも呈示されるデータの時相を表す時相指示画像313a、313bがそれぞれ表示される。すなわち、データ呈示部311Aには、時相指示画像313aが指示する時相における画像が呈示される。また、データ呈示部311Bには、時相指示画像313bが指示する時相における画像が呈示される。同様に、データ呈示部312Aには、時相指示画像313aが指示する時相を含むポリグラフが呈示され、データ呈示部312Bには、時相指示画像313bが指示する時相を含むポリグラフが呈示される。それにより、オペレータは、どの時相のデータが呈示されているかを容易に把握することができる。
【0145】
データ呈示部311A〜313A、311B〜313Bの下方には、呈示操作部320が設けられている。呈示操作部320には、データ再生画面200と同様に、観察範囲画像321及びスライダ322が設けられている。
【0146】
スライダ322を移動させると、データ呈示部313A、313Bに呈示された時相指示画像313a、313bが、心電図の時間軸に沿って移動する(つまり、時相が変更される)。このとき、制御部11は、時相指示画像313a、313bが指示する時相におけるデータを、データ呈示部311A、312A、311B、312Bにそれぞれ呈示させる。それにより、オペレータは、所望の時相におけるデータを容易に指定して観察することができる。
【0147】
また、データ比較画面300では、データを連続的に呈示させることも可能である。その場合、データ呈示部311A、311Bには動画像がそれぞれ呈示され、データ呈示部312A、312Bにはポリグラフの時間変化がそれぞれ呈示される。このとき、時相指示画像313a、313bも、心電図上を時間軸方向に移動する。このような表示態様により、オペレータは、データの時間変化を容易に比較できるとともに、どの時相における変化を観察しているかを容易に把握することができる。
【0148】
[作用・効果]
この実施形態に係る検査システムの作用及び効果を説明する。なお、この発明に係る検査データ処理装置は、前述のように、この検査システムから少なくとも検査装置1を除いて構成できるので、この検査システムと同様の作用及び効果を奏するものである。
【0149】
この検査システムは、検査装置1とワークステーション10を含んで構成されている。検査装置1は、患者に対する検査により複数の検査データを取得し、更に、各検査データの検査時刻を取得する。また、ワークステーション10は、患者に対して実施された処置項目とその処置時刻とを関連付けるプロシージャログ(関連情報)を生成する。これは、この発明の「生成手段」しての作用である。更に、ワークステーション10は、検査時刻とプロシージャログとに基づいて、一の処置項目に対応する範囲の部分データを各検査データから抽出し、抽出された部分データを同期させて表示部13に表示させる。これは、この発明の「制御手段」としての作用である。なお、表示部13は、この発明の「表示手段」の一例として機能する。
【0150】
また、この検査システムは、基準時刻を計時するタイムサーバ2(計時部22)を備えている。タイムサーバ2は、この発明の「計時手段」の一例として機能する。また、ワークステーション10は、タイムサーバ2から基準時刻の提供を受け、この基準時刻における処置時刻を処置項目に関連付けてプロシージャログを生成する。また、時差演算部23と時差調整部32は、検査時刻を基準時刻に対応する時刻に変換する処理を行う。これは、この発明の「変換手段」としての作用である。更に、ワークステーション10は、各々が基準時刻に対応する関連情報及び検査時刻に基づいて部分データの抽出を行うように作用する。
【0151】
なお、変換手段は、検査システムの任意の位置に設けることが可能である。また、この実施形態では、時差演算部23と時差調整部32の二つにより変換手段を構成しているが、これら二つの処理を一つの装置が実行するように構成してもよい。
【0152】
また、検査装置1は、複数の静止画像データを含む動画像データを取得することができる。この動画像データとしては、X線診断装置1Aにより取得されるX線動画像データや、IVUS装置1Dにより取得される血管内超音波動画像データなどがある。ワークステーション10は、上記の部分データとして、一の処置項目に対応する範囲の静止画像データを各動画像データから抽出し、更に、抽出された静止画像データに基づく動画像を表示部13に表示させるように作用する。この処理は、各静止画像データの撮影時刻とプロシージャログとに基づいて実行される。
【0153】
また、検査装置1は、患者の状態の時間変化を表すグラフデータを取得することができる。このグラフデータとしては、心電計1Bにより取得される心電図データや、血行動態検査システムK1Cにより取得されるポリグラフデータなどがある。このようなグラフデータは、所定時間間隔で患者の状態を取得することにより形成される。ワークステーション10は、上記部分データとして、一の処置項目に対応する範囲のデータ(部分グラフデータ)をグラフデータから抽出し、更に、抽出された部分グラフデータに基づくグラフを表示部13に表示させるように作用する。この処理は、グラフデータを形成するデータの取得時刻(データ取得時刻)とプロシージャログとに基づいて実行される。
【0154】
また、この検査システムは、操作部14を備えている。操作部14は、この発明の「操作手段」の一例として用いられる。ワークステーション10は、検査時刻とプロシージャログとに基づいて時系列表示画面100を表示部13に表示させる。時系列表示画面100は、処置項目を時系列に沿って呈示する画面である。オペレータは、操作部14を操作して時系列表示画面100上の処置項目を指定する。ワークステーション10は、指定された処置項目に対応する範囲の部分データを抽出し、これらの部分データを同期させて表示させる。
【0155】
また、時系列表示画面100に呈示された二つ以上の処置項目が指定された場合、ワークステーション10は、これらの処置項目に対応する範囲の部分データを各検査毎に並べて表示させるデータ比較画面300を表示部13に表示させる。
【0156】
このように作用する検査システムによれば、複数の検査により得られた検査データを自動的に同期させて表示することができるので、複数の検査データの同期再生を容易に行うことが可能である。
【0157】
また、時系列表示画面100により、オペレータは、観察したいイベントや検査を容易に選択することができる。また、データ再生画面200により、オペレータは、或るイベントの実施時に取得された検査データを観察することができる。また、データ比較画面300により、異なる時刻に取得された検査データの比較観察を容易に行うことができる。
【0158】
[変形例]
以上に説明した構成は、この発明を実施するための一具体例に過ぎない。すなわち、この発明を実施する際には、その要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。以下、そのような変形の一例を説明する。
【0159】
〔変形例1〕
図5に示す時系列表示画面100において、検査時間欄に呈示された所望の検査を指定可能とし、指定された検査の検査データのみを選択的に表示するように構成することができる。
【0160】
たとえば、処置項目「ev−c」のイベントを指定し、更に、検査欄の「XA」及び「ポリグラフ」をマウスでクリックすることにより、当該イベントに対応するX線画像及びポリグラフのみを表示させることができる。なお、検査の指定方法は、これに限定されるものではなく、たとえば検査時間121等を指定するように構成したり、複数の検査を指定可能に呈示するプルダウンメニュー等を用いるように構成することができる。
【0161】
このように、時系列表示画面100は、各検査装置1による検査内容を処置項目とともに呈示するものである。そして、操作部14により検査内容が指定されると、ワークステーション10は、指定された検査内容についてのみ部分データを表示するように作用する。それにより、オペレータは、簡便な操作により所望の検査を選択して表示させることができる。
【0162】
なお、「検査内容」は、時系列表示画面100に呈示される検査に関する任意の情報であってよい。具体的には、検査や検査装置の種類を表す情報(図5中の「XA」、「ECG」等)や、各検査の検査時刻(図5中の検査時間121等)が「検査内容」としてオペレータにより指定される。
【0163】
〔変形例2〕
この変形例では、上記の実施形態と異なるシステム構成の検査システムについて説明する。図8及び図9は、この変形例に係る検査システムの構成を表している。なお、図8及び図9においては、図1や図2と同様の構成部分に対しては同じ符号を付してある。
【0164】
この変形例の検査システムは、上記の実施形態と同様に、検査装置1(1A〜1D)、タイムサーバ2、検査データサーバ3、検査データベース4及びワークステーション10を含んで構成される。
【0165】
この変形例においては、各検査装置1とタイムサーバ2が通信回線で接続されている必要はない。また、この変形例では、各検査装置1は、ワークステーション10と通信可能に接続されている。
【0166】
更に、この変形例のタイムサーバ2は、時差演算部23を備えている必要はない。また、この変形例の検査データサーバ3は、時差調整部32を備えている必要はない。
【0167】
この変形例のワークステーション10は、時刻対応部18を備えている。ワークステーション10は、タイムサーバ2から基準時刻の提供を受ける。また、ワークステーション10には、各検査装置1により取得された検査時刻(及び送信時刻)が入力される。時刻対応部18は、検査装置1から入力される検査時刻に対し、その入力タイミングにおける基準時刻を対応付ける。時刻対応部18は、この発明の「時刻対応手段」の一例として機能するものである。
【0168】
このように、ワークステーション10によれば、タイムサーバ2により提供される基準時刻を用いて、プロシージャログにおける処置時刻と、検査装置1による検査時刻とを一元的に管理することができる。それにより、抽出部16は、基準時刻を参照して検査データの部分データを抽出することができる。また、同期部17は、基準時刻を参照して部分データを同期させることができる。
【0169】
この変形例に係る検査システムの使用形態の一例を説明する。以下、検査データ等の取得における使用形態と、検査データの観察における使用形態とに分けて説明する。
【0170】
図10のフローチャートを参照しつつ、検査データ等の取得における使用形態の一例を説明する。
【0171】
心臓血管検査を開始する(S41)。患者に対して処置が施されると、看護師等は、その処置項目をワークステーション10に入力する(S42)。制御部11は、入力された処置項目と、タイムサーバ2から提供される基準時刻とを関連付けて、プロシージャログを作成する(S43)。
【0172】
また、医師等は、患者に対して検査装置1による検査を実施する(S44)。検査装置1は、取得された検査データに検査時刻を関連付ける(S45)。検査時刻は、たとえば検査データの付帯情報として記録される。なお、プロシージャログの作成と、検査装置1による検査は、心臓血管検査の実施中に適宜のタイミングで、これらを実施する順序や回数は任意である。
【0173】
心臓血管検査が終了すると(S46)、ワークステーション10の制御部11は、作成されたプロシージャログを、心臓血管検査IDや患者IDとともに記憶部12に格納する(S7)。
【0174】
また、各検査装置1は、検査データ及び付帯情報を検査データサーバ3に送信する。検査データサーバ3は、各検査装置1からの検査データ及び付帯情報を検査データベース4に格納する(S48)。
【0175】
また、各検査装置1は、検査ID、検査時刻及び送信時刻をワークステーション10に送信する。時刻対応部18は、各検査時刻に対して基準時刻を対応付ける(S49)。この処理は、たとえば検査時刻と基準時刻とを対応付けるリスト情報を作成することにより行う。
【0176】
制御部11は、各検査時刻についての上記リスト情報を記憶部12に格納する(S50)。各リスト情報は、たとえば、対応する検査IDに関連付けられ、検査IDにより検索可能とされる。以上で、検査データ等の取得における使用形態の説明を終了する。
【0177】
次に、検査データの観察における使用形態の一例を説明する。この使用形態は、上記の実施形態とほぼ同様であるので、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0178】
まず、ワークステーション10のオペレータは、患者IDや心臓血管検査IDを入力する(S21)。検索部15は、入力されたIDに該当する検査データ及び付帯情報を検査データサーバ3から取得する(S22)。
【0179】
制御部11は、ステップ21で入力されたIDに関連付けられたプロシージャログ及び付帯情報を記憶部12から読み出す。更に、制御部11は、読み出されたデータに基づいて、上記の実施形態と同様に、時系列表示画面100を表示させる(S23)。
【0180】
オペレータは、所望のイベントを指定する(S24)。抽出部16は、指定されたイベントに対応する観察期間と処置時刻を特定する。このとき、前述のように各時刻は基準時刻により一元的に管理されているので、特定される処置時刻は基準時刻で表されている。更に、抽出部16は、特定された観察期間及び処置時刻に基づいて、観察対象となる部分データを各検査データから抽出する(S25)。
【0181】
同期部17は、各検査データから抽出された部分データを同期させる(S26)。制御部11は、同期された部分データを表示部13に表示させる(S27)。オペレータは、表示された部分データを観察し、レポートの作成などを行う(S28)。検査データの観察における使用形態を終了する。
【0182】
このような検査システムによれば、複数の検査により得られた検査データを自動的に同期させて表示するように機能するので、検査データの同期再生を容易に行うことが可能である。
【0183】
〔変形例3〕
検査や手術において、プロシージャログを手書きで作成し、その後にコンピュータに入力する場合がある。この場合においても、たとえば上記実施形態や変形例2と同様の構成により、複数の検査データを同期再生することが可能である。
【0184】
以下、上記実施形態の構成(図1及び図2)を参照し、その具体例を説明する。
【0185】
まず、図11を参照しつつ、検査データ等の取得における使用形態の一例を説明する。心臓血管検査を開始する(S61)。患者に対して処置が施されると、看護師等は、その処置項目及び処置時刻を所定の用紙などに手書きで記録する(S62)。なお、処置時刻は、たとえば検査室に設けられた時計を参照するなどして記録する。
【0186】
また、医師等は、検査装置1による検査を適宜に実施する(S63)。検査装置1は、取得された検査データに検査時刻を関連付ける(S64)。検査時刻は、たとえば検査データの付帯情報として記録される。なお、処置項目等の記録と検査装置1による検査は、それぞれ適宜のタイミングで行われる。
【0187】
心臓血管検査が終了すると(S65)、各検査装置1は、検査データ及び付帯情報を検査データサーバ3に送信する。検査データサーバ3は、これらの検査データ及び付帯情報を検査データベース4に格納する(S66)。
【0188】
また、各検査装置1は、検査ID、検査時刻及び送信時刻をタイムサーバ2に送信する。時差演算部23は、各検査時刻について、基準時刻に対する時差を演算する(S67)。制御部21は、各検査時刻の時差を検査ID等とともに検査データサーバ3に送信する。時差調整部32は、各検査データの検査時刻を基準時刻に変換する(S68)。この変換結果は、付帯情報に記録されて検査データベース4に格納される。
【0189】
ワークステーション10のオペレータは、ステップ62で記録した処置項目及び処置時刻を入力する(S69)。制御部11は、入力された処置項目と処置時刻とを関連付けてプロシージャログを作成する(S70)。制御部11は、作成されたプロシージャログを心臓血管検査IDや患者IDとともに記憶部12に格納する(S71)。以上で、検査データ等の取得における使用形態の説明を終了する。
【0190】
次に、上記実施形態の図4を参照しつつ、検査データの観察における使用形態の一例を説明する。ワークステーション10のオペレータが、患者IDや心臓血管検査IDを入力すると(S21)、検索部15は、検査データ及び付帯情報を検査データサーバ3から取得する(S22)。取得された検査データ等は、記憶部12に格納される。制御部11は、ステップ21で入力されたIDに関連付けられたプロシージャログ及び付帯情報を記憶部12から読み出し、時系列表示画面100(図5参照)を作成して表示部13に表示させる(S23)。
【0191】
なお、時系列表示画面100の作成前の段階においては、プロシージャログに記録された処置時刻は未だ基準時刻に変換されていない。一方、付帯情報に記録された検査時刻は既に基準時刻に変換されている。したがって、時系列表示画面100を作成するときには、これら二つの時刻の時間軸を一致させる必要がある。ここでは、処置時刻を基準時刻に変換する場合を説明する。なお、逆の場合も同様に実行することができる。
【0192】
ところで、二つの時刻の時間軸を一致させるには、或る現象の発生時刻を(ほぼ)同時に取得する必要がある。たとえば検査時刻と基準時刻については、データの伝送という現象を、送信側の検査装置1及び受信側のタイムサーバ2がそれぞれ取得することにより、時間軸を一致させている。しかし、この変形例では、プロシージャログを手書きで記録していることから、このような時刻合わせを行うことができない。したがって、この変形例においては、処置時刻の時間軸と他の時刻の時間軸とを精度良く一致させることは困難である。そこで、この変形例では、記録された処置時刻を基準時刻の時間軸における時刻とみなして時系列表示画面100を作成する。
【0193】
さて、時系列表示画面100が表示されたら、オペレータは所望のイベントを指定する(S24)。抽出部16は、指定されたイベントに対応する部分データを各検査データから抽出する(S25)。同期部17は、各検査データから抽出された部分データを同期させる(S26)。制御部11は、同期された部分データを表示部13に表示させる(S27)。オペレータは、表示された部分データを観察してレポートの作成などを行う(S28)。以上で、検査データの観察における使用形態を終了する。
【0194】
このような検査システムによれば、手書きで記録したプロシージャログを後から入力する場合であっても、複数の検査により得られた検査データを自動的に同期させて表示することができる。
【0195】
〔その他の変形例〕
上記の実施形態では、心臓血管検査に適用される検査システムについて説明したが、この発明は、この用途に限定されるものではなく、複数の検査データを取得するような任意の検査や手術に適用することが可能である。その場合、当該検査システムの適用対象に応じた検査装置を設ける必要がある。
【0196】
上記の実施形態に係る検査システムは、検査装置1、タイムサーバ2、検査データサー3、検査データベース4及びワークステーション10を含んで構成されているが、検査システムのシステム構成はこれに限定されるものではない。たとえば基準時刻を提供する機能や時差を演算する機能をタイムサーバ2以外の装置に具備させることができる。この場合、タイムサーバ2を有さないシステム構成を採用することが可能である。また、時差を調整する機能についても、検査サーバ3以外の装置が具備していてもよい。
【0197】
ワークステーション10は、読影用やレポート作成用のコンピュータ以外にも、検査データの観察に用いられる任意のコンピュータであってよい。更に、このコンピュータは、通信回線に接続されてない、いわゆるスタンドアローンのコンピュータであってもよい。この場合、CD−RやDVD−R等の記録媒体に検査データ等の情報を記録することができる。コンピュータは、この記録媒体に記録された情報をドライブ装置で読み取って入力することができる。
【0198】
以上において説明した実施形態及び変形例は、この発明に係る検査データ処理装置に対しても同様に適用することが可能である。
【0199】
また、上記の実施形態や変形例で説明した検査データは、画像やグラフ等の視覚的な情報であったが、この発明の検査データはこれに限定されるものではない。たとえば、検査データは、心音などの聴覚的な情報であってもよい。
【0200】
[検査データ処理装置]
上記の実施形態において詳述したが、この発明に係る検査データ処理装置について、以下に簡単にまとめる。
【0201】
この発明に係る検査データ処理装置は、検査装置により取得された検査データ及び検査時刻を記憶する記憶手段とともに、上記の実施形態で説明した生成手段、表示手段及び制御手段を含んで構成される。記憶手段は、たとえばPACSや電子カルテシステムのように、検査データ等を記憶する任意の装置を含んで構成される。上記の実施形態においては、検査データサーバ3や検査データベース4が記憶手段として機能する。
【0202】
更に、この発明に係る検査データ処理装置は、上記の実施形態で説明したように、計時手段や変換手段や操作手段を具備していてもよい。各手段の機能や、検査データ処理装置の動作は、上記の実施形態における検査システムと同様である。
【0203】
なお、検査データ処理装置は、単一の装置により構成されていてもよいし、二以上の装置を含んで構成されていてもよい。前者の例としては、上記の実施形態のワークステーション10単独で検査データ処理装置を構成することができる。後者の例としては、タイムサーバ2、検査データサーバ3及び検査データベース4のうちの少なくとも一つと、ワークステーション10とにより検査データ処理装置を構成することができる。なお、二以上の装置により構成する場合には、装置間を接続する通信回線も含めて検査データ処理装置として作用する。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】この発明に係る検査システムの実施形態の全体構成の一例を表す概略図である。
【図2】この発明に係る検査システムの実施形態の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図3】この発明に係る検査システムの実施形態の使用形態の一例を表すフローチャートである。
【図4】この発明に係る検査システムの実施形態の使用形態の一例を表すフローチャートである。
【図5】この発明に係る検査システムの実施形態による表示画面の一例を表す概略図である。
【図6】この発明に係る検査システムの実施形態による表示画面の一例を表す概略図である。
【図7】この発明に係る検査システムの実施形態による表示画面の一例を表す概略図である。
【図8】この発明に係る検査システムの変形例の全体構成の一例を表す概略図である。
【図9】この発明に係る検査システムの変形例の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図10】この発明に係る検査システムの変形例の使用形態の一例を表すフローチャートである。
【図11】この発明に係る検査システムの変形例の使用形態の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0205】
1 検査装置
1A X線診断装置
1B 心電計
1C 血行動態検査システム
1D IVUS装置
2 タイムサーバ
21 制御部
22 計時部
23 時差演算部
3 検査データサーバ
31 制御部
32 時差調整部
4 検査データベース
10 ワークステーション
11 制御部
12 記憶部
13 表示部
14 操作部
15 検索部
16 抽出部
17 同期部
18 時刻対応部
100 時系列表示画面
200 データ再生画面
300 データ比較画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査装置により取得された患者の複数の検査データと、前記複数の検査データのそれぞれが取得された時刻を表す検査時刻とを記憶する記憶手段と、
前記検査装置による検査に関連して前記患者に対して実施された処置項目とその処置時刻とを関連付ける関連情報を生成する生成手段と、
表示手段と、
前記検査時刻と前記関連情報とに基づいて、前記複数の検査データのそれぞれから、一の処置項目に対応する範囲の部分データを抽出し、前記抽出された複数の部分データを同期させて前記表示手段に表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする検査データ処理装置。
【請求項2】
操作手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検査時刻と前記関連情報とに基づいて、前記処置項目を時系列に沿って呈示する時系列表示画面を前記表示手段に表示させ、前記呈示された処置項目が前記操作手段により指定されたときに、前記指定された処置項目に対応する範囲の部分データを抽出し、該抽出された部分データを同期させて前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査データ処理装置。
【請求項3】
前記時系列表示画面は、前記複数の検査装置のそれぞれによる検査内容を前記処置項目とともに呈示し、
前記制御手段は、前記呈示された検査内容が前記操作手段により指定されたときに、該指定された検査内容についてのみ前記部分データの表示を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の検査データ処置装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記操作手段により二つ以上の処置項目が指定されたときに、該二つ以上の処置項目に対応する範囲の部分データを各検査毎に並べて表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の検査データ処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記関連情報により前記一の処置項目に関連付けられた処置時刻と、あらかじめ設定された観察期間とに基づいて、前記一の処置項目に対応する範囲を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査データ処理装置。
【請求項6】
基準時刻を計時する計時手段を更に備え、
前記生成手段は、前記基準時刻に対応する前記処置時刻を前記処置項目に関連付ける前記関連情報を生成し、
前記制御手段は、前記検査時刻を前記基準時刻に対応する時刻に変換する変換手段を含み、前記基準時刻にそれぞれ対応する関連情報及び検査時刻に基づいて前記部分データの抽出を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査データ処理装置。
【請求項7】
前記複数の検査データのうちの少なくとも一つは、複数の静止画像データを含む動画像データであり、
前記制御手段は、前記一の処置項目に対応する範囲の静止画像データを前記部分データとして前記複数の静止画像データから抽出し、該抽出された静止画像データに基づく動画像を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査データ処理装置。
【請求項8】
前記記憶手段は、前記複数の静止画像データのそれぞれの撮影時刻を前記検査時刻として記憶し、
前記制御手段は、前記撮影時刻と前記関連情報とに基づいて、前記一の処置項目に対応する範囲の静止画像データを抽出し、該抽出された静止画像データに基づく動画像を表示させる、
ことを特徴とする請求項7に記載の検査データ処理装置。
【請求項9】
前記動画像データは、X線動画像データ又は血管内超音波動画像データである、
ことを特徴とする請求項7に記載の検査データ処理装置。
【請求項10】
前記複数の検査データのうちの少なくとも一つは、前記患者の状態の時間変化を表すグラフデータであり、
前記制御手段は、前記一の処置項目に対応する範囲の部分グラフデータを前記部分データとして前記グラフデータから抽出し、該抽出された部分グラフデータに基づくグラフを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査データ処理装置。
【請求項11】
前記グラフデータは、所定時間間隔で前記患者の状態を取得することにより形成され、
前記記憶手段は、前記所定時間間隔毎のデータ取得時刻を前記検査時刻として記憶し、
前記制御手段は、前記データ取得時刻と前記関連情報とに基づいて前記部分グラフデータを抽出し、該抽出された部分グラフデータに基づく動画像を表示させる、
ことを特徴とする請求項10に記載の検査データ処理装置。
【請求項12】
前記グラフデータは、心電図データ又はポリグラフデータである、
ことを特徴とする請求項10に記載の検査データ処理装置。
【請求項13】
患者に対する検査により複数の検査データを取得するとともに、前記複数の検査データのそれぞれが取得された時刻を表す検査時刻を取得する検査装置と、
前記検査装置による検査に関連して前記患者に対して実施された処置項目とその処置時刻とを関連付ける関連情報を生成する生成手段と、
表示手段と、
前記検査時刻と前記関連情報とに基づいて、前記複数の検査データのそれぞれから、一の処置項目に対応する範囲の部分データを抽出し、前記抽出された複数の部分データを同期させて前記表示手段に表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする検査システム。
【請求項14】
基準時刻を計時する第1のサーバと、前記検査装置により取得された複数の検査データ及び検査時刻を管理する第2のサーバと、前記患者に対して実施された処置項目の入力を受け付けるコンピュータとを含み、
前記第1のサーバ及び前記第2のサーバは、前記検査装置と通信回線を介して接続され、
前記第1のサーバ、前記第2のサーバ及び前記コンピュータは、互いに通信回線を介して接続され、
前記第1のサーバは、前記検査装置から検査時刻の入力を受け、前記基準時刻に対する該検査時刻の時差を演算する時差演算手段を備え、
前記第2のサーバは、前記演算された時差に基づいて、前記管理されている検査時刻を前記基準時刻に対応する時刻に変換する時刻変換手段を備え、
前記コンピュータは、
前記生成手段として、前記第1のサーバから基準時刻の提供を受け、前記受け付けた処置項目と前記提供された基準時刻とを関連付けて前記関連情報を生成し、
前記制御手段として、前記第2のサーバから前記複数の検査データ及び前記変換された検査時刻の提供を受け、該検査時刻と該生成された関連情報とに基づいて前記部分データを抽出し、該抽出された部分データを同期させて前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項13に記載の検査システム。
【請求項15】
基準時刻を計時する第1のサーバと、前記検査装置により取得された複数の検査データ及び検査時刻を管理する第2のサーバと、前記患者に対して実施された処置項目の入力を受け付けるコンピュータとを含み、
前記第2のサーバは、前記検査装置と通信回線を介して接続され、
前記コンピュータは、前記検査装置、前記第1のサーバ及び前記第2のサーバのそれぞれと通信回線を介して接続され、
前記コンピュータは、
前記検査装置から前記検査時刻の入力を受けるととともに前記第1のサーバから基準時刻の提供を受け、該入力された検査時刻と前記基準時刻とを対応付ける時刻対応手段を備え、
前記生成手段として、前記第1のサーバから基準時刻の提供を受け、前記受け付けた処置項目と前記基準時刻とを関連付けて前記関連情報を生成し、
前記制御手段として、前記第2のサーバから前記複数の検査データ及び前記検査時刻の提供を受け、前記時刻対応手段による対応付けの結果と該提供された検査時刻と該生成された関連情報とに基づいて前記部分データを抽出し、該抽出された部分データを同期させて前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項13に記載の検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−301984(P2008−301984A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151247(P2007−151247)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】