説明

検査条件決定方法

【課題】カメラの撮影時の解像度を変更しながら部品の撮影を行なう外観検査機において、解像度の切り替えタイミングおよびカメラの移動経路を最適化する。
【解決手段】複数の解像度で基板上の部品を撮影し、前記部品の実装状態を検査する外観検査機における検査条件を決定する検査条件決定方法であって、前記部品の撮影時に要求される解像度は予め定められており、前記複数の解像度の各々について、当該解像度で撮影されるべき部品を含むように少なくとも1つの撮影領域を決定する撮影領域決定ステップ(S2、S4)と、前記撮影領域決定ステップで決定された撮影領域を巡回する最短の経路を決定する経路決定ステップ(S10)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影時の解像度の異なる複数台のカメラを用いて基板上の部品の実装状態およびはんだの印刷状態を検査する外観検査機における検査条件を決定する方法であり、特に、外観検査を行なう際のカメラの移動経路および使用するカメラを決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外観検査機は、部品実装機により基板上に実装された部品をカメラで撮影し、得られた画像を画像処理することにより、部品の実装位置や実装状態、およびはんだの印刷状態を検査する装置である。
【0003】
外観検査では、部品の撮影を正確に行なう必要があるが、サイズが小さな部品や、リード(電極)の間隔が小さい部品などが増加しており、このような部品は高解像度での撮影が必要となる。しかし、通常の仕様のカメラで高解像度の撮影を行なおうとすると、ズーム撮影が必要になる。このため、撮影領域が狭くなってしまう。一方、サイズが大きい部品などは、広い撮影領域、かつ低解像度で撮影を行なっても検査が可能である。
【0004】
このため、カメラの視野を変更することにより、撮影時の解像度を変更しながら部品の撮影を行ない、外観検査を行なう必要がある。または、撮影時の解像度が異なる複数のカメラを用いて、カメラを切り替えることにより撮影時の解像度(視野)を変更しながら外観検査を行なう必要がある。
【0005】
一方、外観検査に必要な時間を短縮するためには、カメラの移動経路を適切に選択することが重要である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−308349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、カメラの移動経路を探索する方法について提案がされているものの、カメラの撮影時の解像度を切り替えることは前提としていない。
【0007】
このため、カメラの撮影時解像度を変更しながら部品の撮影を行なう外観検査機において、解像度の切り替えタイミングおよびカメラの移動経路を最適化することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、カメラの撮影時の解像度(視野)を変更しながら部品の撮影を行なう外観検査機において、解像度の切り替えタイミングおよびカメラの移動経路を最適化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る検査条件決定方法は、複数の解像度で基板上の部品を撮影し、前記部品の実装状態を検査する外観検査機における検査条件を決定する検査条件決定方法であって、前記部品の撮影時に要求される解像度は予め定められており、前記複数の解像度の各々について、当該解像度で撮影されるべき部品を含むように少なくとも1つの撮影領域を決定する撮影領域決定ステップと、前記撮影領域決定ステップで決定された撮影領域を巡回する最短の経路を決定する経路決定ステップとを含む。
【0010】
この方法によると、撮影領域決定ステップで解像度毎に撮影領域を決定し、経路決定ステップですべての撮影領域を巡回する最短の経路を求めている。このため、撮影時の解像度を適切に切り替えながら、最短の移動時間でカメラを移動させることができる。よって、撮影時解像度の切り替えタイミングおよびカメラの移動経路を最適化することができる。
【0011】
好ましくは、上述の検査条件決定方法は、さらに、前記撮影領域決定ステップで決定された撮影領域の各々について、当該撮影領域に含まれるすべての部品が、当該撮影領域での撮影解像度よりも高い解像度で部品を撮影可能な他の撮影領域に含まれる場合には、当該撮影領域を削除することにより当該撮影領域を前記他の撮影領域に統合する統合ステップを含み、前記経路決定ステップでは、前記統合ステップで統合された後の撮影領域を巡回する最短の経路を決定する。
【0012】
低解像度で撮影可能な部品は高解像度でも撮影可能である。このため、低解像度で撮影可能な部品が高解像度での撮影領域に含まれる場合には、高解像度での撮影を行なうようにすることができる。これにより、同じ部品を複数回撮影することがなくなり、撮影回数を減らすことができる。
【0013】
さらに好ましくは、上述の検査条件決定方法は、さらに、前記経路決定ステップでの経路決定対象となる撮影領域の各々について、当該撮影領域に含まれる部品を維持したまま、当該撮影領域をできるだけ前記基板の中央に移動させる経路決定前処理ステップを含む。
【0014】
できるだけ撮影領域を基板の中央に寄せることにより、撮影領域間の距離を短くすることができる。これにより、最短の時間でカメラを移動させることができる。
【0015】
さらに好ましくは、上述の検査条件決定方法は、さらに、前記経路決定ステップでの経路決定対象となる撮影領域の各々について、当該撮影領域に含まれる部品を維持したまま、隣接する撮影領域の縦方向または横方向の位置ができるだけ揃うように当該撮影領域を移動させる経路決定前処理ステップを含む。
【0016】
できるだけ撮影領域の横方向または縦方向の位置を揃えることにより、撮影領域間の距離を短くすることができる。これにより、最短の時間でカメラを移動させることができる。また、オペレータが入力装置を操作しカメラを移動させ、撮影領域内の部品をチェックする際にも、カメラを上下左右に動かすという複雑な動きをさせることなく、カメラを一定の方向(縦方向または横方向)に移動させるだけでよい。このため、オペレータの操作負荷を軽減させることができる。
【0017】
なお、本発明は、このような特徴的なステップを含む検査条件決定方法として実現することができるだけでなく、検査条件決定方法に含まれる特徴的なステップを手段とする検査条件決定装置として実現したり、検査条件決定方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0018】
カメラの解像度を変更しながら部品の撮影を行なう外観検査機において、解像度の切り替えタイミングおよびカメラの移動経路を最適化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る外観検査機について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る外観検査機の外観図である。
【0020】
外観検査機100は、基板をカメラで撮影することにより、部品の実装状態やはんだの印刷状態を検査する装置である。外観検査機100の左方向より外観検査機100内部に基板20が搬送され、基板20の外観検査が行なわれる。
【0021】
外観検査機100には、CRT(Cathode-Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などの表示部102が設けられており、表示部102には検査結果等が表示される。
【0022】
図2は、基板上の部品を撮影するカメラ装置の構成を示す図である。
カメラ装置104は、外観検査機100に設けられ、XYロボットにより、基板20上を移動することにより、基板20上の部品を撮影する。
【0023】
カメラ装置104は、基台110と、基台110に取り付けられた高解像度カメラ106および低解像度カメラ108と、高解像度カメラ106および低解像度カメラ108の先端に取り付けられたリング照明109とを含む。
【0024】
高解像度カメラ106と低解像度カメラ108とは、視野サイズおよび撮影時の解像度(撮影された画像データの解像度)が異なる。高解像度カメラ106と低解像度カメラ108とは同じ画素数を有するカメラであるとする。このため、高解像度カメラ106は、低解像度カメラ108に比べて、視野サイズが狭いものの、解像度は高い。一方、低解像度カメラ108は、高解像度カメラ106に比べて視野サイズが広いものの、解像度は低い。一例として、高解像度カメラ106の視野サイズは、25mm×16mmであり、低解像度カメラ108の視野サイズは、50mm×32mmである。なお、高解像度カメラ106と低解像度カメラ108との画素数が異なっていても良い。
【0025】
図3は、カメラ装置104を右側方から見た図である。低解像度カメラ108の下方には、リング状に配置されたLED(Light Emitting Diode)よりなるリング照明109が設けられている。リング照明109を基板20上の部品22に照射した状態で、低解像度カメラ108は、部品22を撮影する。なお、リング照明109の光量は、切り替えが可能である。このため、部品22の部材等に基づきリング照明109の光量を切り替えながら部品22の撮影が行なわれる。
【0026】
図4は、部品が実装された基板20の一例を示す図である。
基板20には、チップ部品や、QFP(Quad Flat Package)などのパッケージ部品などが複数配置されている。外観検査機100は、高解像度カメラ106および低解像度カメラ108を移動させながら、各撮影領域24において部品22を撮影することにより、すべての部品22の検査を行なう。
【0027】
なお、撮影領域24の端部では部品がうまく撮影できない場合がある。このため、図5に示すように、部品22を撮影する際には、少なくとも撮影領域24の端部から所定の幅(例えば、2mm)内側に部品が来る位置において、部品22の撮影を行なう。
【0028】
ただし、撮影領域24のサイズは固定である。このため、ある部品22が撮影領域24に納まったとしても、他の部品が撮影領域24よりはみ出してしまう場合がある。また、撮影領域24の一辺よりも部品22の長さの方が長いような場合には、どのように撮影領域24を設定しようとも、部品22は撮影領域24からはみ出してしまう。このような場合には、図6に示すように、撮影領域24を所定の幅(例えば、2mm)だけ重なり合いを持たせるようにしてカメラ装置104を移動させならが、部品22の一部をそれぞれ撮影する。外観検査機100は、撮影された複数の画像を統合することにより、部品22の画像を生成することができる。
【0029】
また、部品には、高解像度での撮影が必要とされる部品と、低解像度での撮影が可能な部品とが存在する。このとき、高解像度での撮影が必要とされる部品については、高解像度カメラ106による撮影しか許可しないが、低解像度での撮影が可能な部品については、低解像度カメラ108による撮影の他、高解像度カメラ106による撮影も許可するものとする。例えば、図7(a)に示すように、高解像度での撮影が必要とされる部品22aと、低解像度での撮影が可能な部品22bとが並んで基板20上に配置されているものとする。このような場合には、図7(b)に示すように、部品22aを高解像度カメラ106のカメラで撮影し、部品22bを低解像度カメラ108で撮影するようにしてもよいし、図7(c)に示すように、部品22aおよび22bを高解像度カメラ106で撮影するようにしてもよい。なお、撮影領域24aは、高解像度カメラ106による撮影領域を示しており、撮影領域24bは、低解像度カメラ108による撮影領域を示している。
【0030】
図8は、外観検査機100の構成を示す機能ブロック図である。
外観検査機100は、機構部120と、機構制御部111と、表示部102と、入力部103と、記憶部114と、通信I/F(インタフェース)部115と、検査条件決定部116とを備える。
【0031】
機構部120は、基板を外観検査機100内に搬送するための搬送路、カメラ装置104及びこれらを駆動するモータやコントローラ等を含む機構部品の集合である。
【0032】
機構制御部111は、検査条件決定部116により決定される検査条件に従い、機構部120を制御する。この制御により、基板20上の部品の実装状態やはんだの印刷状態が検査される。機構制御部111は、請求の範囲にいう検査手段に対応する。
【0033】
表示部102は、上述したようにCRTやLCDである。入力部103は、キーボードやマウス等である。これらは、外観検査機100とオペレータとが対話する等のために用いられる。
【0034】
記憶部114は、ハードディスクやメモリ等であり、実装データ114a等を記憶する。
【0035】
実装データ114aは、図9に示すように、実装点毎に、実装される部品の部品種と、実装点座標と、部品サイズと、撮影時に要求される画像の解像度とを記憶するデータである。例えば、1番目の実装点には部品種Aの部品が実装され、実装点の座標は(10,20)であり、部品サイズ(xサイズ、yサイズ)は、(30,45)であり、当該部品を撮影するときに要求される解像度は高解像度であることが示されている。高解像度が要求される部品は、高解像度カメラ106により撮影され、低解像度での撮影が可能な部品は、高解像度カメラ106または低解像度カメラ108により撮影される。実装点の座標は、部品の中心座標であってもよいし、部品の端部(例えば、左上隅)の座標であってもよい。
【0036】
通信I/F部115は、LAN(Local Area Network)アダプタ等であり、外観検査機100と他の装置との通信等に用いられる。
【0037】
検査条件決定部116は、部品検査時のカメラ装置104の移動経路や使用するカメラ等の検査条件を決定する処理部である。検査条件決定部116は、請求の範囲にいう撮影領域決定手段および経路決定手段に対応する。
【0038】
図10は、外観検査機100の検査条件決定部116が実行する処理のフローチャートである。なお、以下に説明する例では、すべての部品を同じ大きさとしているが、部品の大きさが異なる場合であっても同様の処理が行なわれる。
【0039】
検査条件決定部116は、高解像度カメラ106により部品を撮影する際の撮影領域を決定する(S2)。例を用いて説明を行なうと、図11(a)に示すように基板20上には、高解像度での撮影(高解像度カメラ106による撮影)が要求される部品(以下、「高解像度部品」という。)と、低解像度での撮影(低解像度カメラ108による撮影)が可能な部品(以下「低解像度部品」という。)とが装着されている。同図では、高解像度部品をハッチングが施された四角形で表し、低解像度部品をハッチングが施されていない四角形で表している。高解像度カメラ106の撮影領域24c(24d)のサイズはあらかじめ固定されている。検査条件決定部116は、撮影領域内に高解像度部品をできるだけ多く含むような撮影領域の配置位置を決定する。その際、上述したように、撮影領域の端部から部品までは所定の距離離すこととする。高解像度部品をできるだけ多く含む撮影領域の配置位置決定方法は、ナップザック問題として定式化することができる。検査条件決定部116は、定式化されたナップザック問題を解くことにより、撮影領域の配置位置を決定する。同図の例では、撮影領域24cおよび24dが配置される。この処理により、すべての高解像度部品がいずれかの撮影領域に含まれることとなる。
【0040】
次に、検査条件決定部116は、低解像度カメラ108により部品を撮影する際の撮影領域を決定する(S4)。例えば、図11(b)に示すように、低解像度カメラ108の撮影領域24e(24f、24g)のサイズはあらかじめ固定されている。検査条件決定部116は、撮影領域内に低解像度部品をできるだけ多く含むような位置に撮影領域を設定する。この場合も、撮影領域の端部から部品までは所定の距離離すこととする。低解像度部品をできるだけ多く含む撮影領域の配置位置決定方法は、S2の処理と同様に、ナップザック問題として定式化することができる。検査条件決定部116は、定式されたナップザック問題を解くことにより、撮影領域の配置位置を決定する。同図の例では、撮影領域24e、24fおよび24gが配置される。この処理により、すべての低解像度部品がいずれかの撮影領域に含まれることとなる。
【0041】
検査条件決定部116は、S2の処理で配置が決定された撮影領域とS4の処理で配置が決定された撮影領域との統合を行なう(S6)。つまり、検査条件決定部116は、低解像度カメラ108による1回の撮影で撮影対象とされる部品が、高解像度カメラ106による1回の撮影で撮影対象とされる部品に包含されるか否かをチェックし、包含される場合には、2つのカメラによる撮影領域を高解像度カメラ106による撮影領域に統合する。例えば、図11(b)に示される撮影領域24eに含まれる2つの部品は、図11(a)に示される撮影領域24cにすべて含まれている。このため、検査条件決定部116は、撮影領域24cと撮影領域24eとを、図11(c)に示すように撮影領域24cに統合する。また、図11(b)に示される撮影領域24fに含まれる4つの部品は、図11(a)に示される撮影領域24dにすべて含まれる。このため、検査条件決定部116は、撮影領域24dと撮影領域24fとを、図11(c)に示されるように撮影領域24dに統合する。統合の結果、図11(c)に示されるように、高解像度カメラ106の2つの撮像領域と、低解像度カメラ108の1つの撮像領域とが決定される。これにより、高解像度カメラ106による2回の撮影と、低解像度カメラ108による1回の撮影により、基板20上に装着されたすべての部品が撮影され、検査が行なわれることになる。なお、同図に示すように、高解像度カメラ106による撮影領域24cと低解像度カメラ108による撮影領域24gとの双方に含まれる部品22cについては、高解像度カメラ106による撮影画像を用いて検査を行うようにしてもよい。
【0042】
次に、S6までの処理で決定された撮影領域について、当該撮影領域を探索する経路を決定する処理を行なう(S8、S10)。
【0043】
まず、検査条件決定部116は、探索する経路間の距離が短くなるように前処理を行なう(S8)。具体的には、検査条件決定部116は、図12(a)に示すように、各撮影領域をできるだけY軸方向の中心に近い位置に移動させる。次に、検査条件決定部116は、図12(b)に示すように、各撮影領域をできるだけX軸方向の中心に近い位置に移動させる。なお、低解像度カメラ108の撮影領域24gと高解像度カメラ106の撮影領域24cとの双方に含まれる部品22dおよび22eは、撮影領域24cで高解像度カメラ106により撮影される。このため、撮影領域24gの移動時には無視される。よって、部品22dのように、撮影領域24gからはみ出る場合が起こり得る。以上の処理を行なうことにより、すべての撮影領域を、できるだけ基板20の中心に配置することができる。この処理により、各撮影領域間の距離をできるだけ短くすることができる。
【0044】
次に、検査条件決定部116は、前処理が施された撮影領域を探索する経路を決定する(S10)。具体的には、図13に示すように、左上隅の撮影領域を始点とし、貪欲法により、距離が最も近い撮影領域を順次選択することにより、撮影領域の探索経路を求める。なお、撮影領域の座標は、その中心位置の座標で代表させるものとする。次に、検査条件決定部116は、貪欲法で決定された撮影領域の探索経路に対して、巡回セールスマン問題の2−OPT法を適用させることにより、移動距離がより短い探索経路を求める。
【0045】
例えば、最終的な撮影領域の探索経路が、図13に示すように求められた場合には、高解像度カメラ106が撮影領域24cの位置で部品を撮像し、次に、低解像度カメラ108が撮影領域24gの位置で部品を撮像し、最後に、高解像度カメラ106が撮影領域24dの位置で部品を撮像するという、視野の切り替えタイミングおよびカメラ装置104の移動経路が検査条件とされる。
【0046】
外観検査機100は、カメラ装置104を決定された経路で移動させながら、決定された撮影領域においてカメラを切り替えながら部品を撮影する。
【0047】
本実施の形態によると、高解像度カメラ106と低解像度カメラ108とを切り替えながら部品の撮影を行なう外観検査機100において、高解像度カメラ106および低解像度カメラ108の移動経路が短くなるように最適化を行なうことができる。このため、短時間で部品の実装状態等の検査を行なうことができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態に係る外観検査機について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0049】
例えば、上述の実施の形態では、経路決定前処理(図10のS8)において、撮影領域をできるだけ基板20の中心に移動させたが、撮影領域のX座標またはY座標ができるだけ一致するように撮影領域を移動させてもよい。例えば、図14(a)に示されるように複数の撮影領域24hが配置されている場合には、図14(b)に示すように、上段の3つの撮影領域については、y座標がY2になるように移動させ、下段の3つの撮影領域については、座標がY1になるように移動させるようにしてもよい。このように、X座標またはY座標ができるだけ一致するように撮影領域を移動させることにより、X座標またはY座標が一致していない場合に比べ撮影領域間の距離を短くすることができる。また、オペレータが入力部103を操作してカメラ装置104を移動させ、撮影領域内の部品をチェックする際にも、カメラ装置104を上下左右に動かすという複雑な動きをさせることなく、カメラ装置104を一定の方向(図14(b)の例では、上段または下段の3つの撮影領域内の部品チェック時にはx軸方向)に移動させるだけでよい。このため、オペレータの操作負荷を軽減させることができる。なお、図14に示した例では、すべての撮影領域のサイズを同じにしているが、高解像度カメラ106による撮影領域と低解像度カメラ108による撮影領域とが混在する場合であっても、上記と同様にできるだけX座標またはY座標が一致するように撮影領域を移動させればよい。
【0050】
また、部品毎に、撮影時の照明の強度が予め定められていてもよい。このような場合には、高解像度カメラ106および低解像度カメラ108は、リング照明109の強度を変えながら部品を撮影する。また、カメラの移動経路は以下のように決定してもよい。例えば、図15(a)に示すように、部品が配置されているものとする。ここで、図中の数字は、照明強度を表しており、レベル1またはレベル2の2種類の照明強度が存在するものとする。このような場合には、各レベル強度の部品について、撮影領域を決定する。すなわち、図15(b)に示すように、まず、レベル1の部品のみに着目し、図10に示したS2〜S6の処理を実行し、レベル1の部品の撮影領域を決定する。次に、図15(c)に示すように、レベル2の部品のみに着目し、同様に図10に示したS2〜S6の処理を実行し、レベル2の部品の撮影領域を決定する。次に、決定されたレベル1およびレベル2のすべての撮影領域を対象として、図10のS8およびS10の処理を実行することにより、撮影領域を探索する経路を決定する。
【0051】
図16は、決定された撮影領域の一部の探索経路の一例を示す図である。この例では、図16(a)および図16(b)の順に撮影領域が移動する。すなわち、図16(a)に示す撮影領域24iにおいて、高解像度カメラ106がレベル1の照明で部品の撮影を行なった後、同じ位置において照明をレベル2に変更し、再度部品の撮影を行なう。次に、高解像度カメラ106を図16(b)に示す撮影領域24kまで移動させ、同様に、高解像度カメラ106は、レベル1およびレベル2の照明で部品の撮影を行なう。ただし、図16(a)に示す撮影領域24iにおいてレベル1の照明で部品の撮影を行なった後は、部品22iを再度撮影する必要性はない。このような場合には、レベル1の照明での部品撮影後に、次の撮影領域24kに高解像度カメラ106を移動させるようにしてもよい。つまり、図17に示すように撮影領域を移動させてもよい。図17(a)に示す撮像領域24iにおいて、高解像度カメラ106がレベル1の照明で部品の撮影を行なった後、高解像度カメラ106を図17(b)に示す撮影領域24jまで移動させる。次に、高解像度カメラ106が、レベル2の照明で、撮影領域24j内の部品の撮影を行なう。その後、高解像度カメラ106を図17(c)に示す撮影領域24kの位置に移動させ、高解像度カメラ106がレベル1およびレベル2の照明で、撮影領域24k内の部品を撮影する。なお、1つの部品であっても、照明を切り替えて撮影しなければならない部品が存在する。例えば、IC(Integrated Circuit)部品のように、ボディーの部分が黒く、ピンの部分が金属でできているような場合である。このような部品については、基板上の同位置にレベル1の照明の部品とレベル2の照明の部品との2種類の部品が仮想的に存在するものとして、撮影領域の探索経路を求める。
【0052】
なお、図15〜図17では、すべての部品を高解像度部品としたが、高解像度部品と低解像度部品とが混在していてもよい。このような場合には、照明の切り替えとともに、カメラの切り替えも行なうことになる。
【0053】
また、上述の外観検査機100の機構部120および機構制御部111以外の構成部については、コンピュータを用いて実現することが可能である。この場合には、記憶部114がコンピュータのハードディスクまたはメモリに相当し、検査条件決定部116は図10に示した処理プログラムをCPU上で実行することにより実現される。
【0054】
また、上述の外観検査機100では、カメラ装置104が2台のカメラを備える場合について説明を行なったが、1台のカメラのみを備え、ズーム処理により、撮影時の解像度を変えながら部品を撮影するものであっても良い。
【0055】
また、上述の実施の形態では、外観検査機100において検査条件の決定を行なっていたが、外観検査機100に接続されているコンピュータが検査条件を決定するようにしてもよい。つまり、図10に示した外観検査決定処理のプログラムをコンピュータ上で実行することにより、コンピュータを検査条件決定装置として機能させるものであっても良い。なお、コンピュータにより決定された検査条件は、外観検査機100にダウンロードされることにより、外観検査機100は、ダウンロードした検査条件に基づいて検査を行なう。
【0056】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、部品の実装状態やはんだの印刷状態を検査する外観検査機等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係る外観検査機の外観図である。
【図2】基板上の部品を撮影するカメラ装置の構成を示す図である。
【図3】カメラ装置を右側方から見た図である。
【図4】部品が実装された基板の一例を示す図である。
【図5】部品の撮影領域を説明するための図である。
【図6】部品の撮影領域を説明するための図である。
【図7】高解像度での撮影が要求される部品と低解像度での撮影が要求される部品とが近傍に配置されている場合の撮影領域について説明するための図である。
【図8】外観検査機の構成を示す機能ブロック図である。
【図9】実装データの一例を示す図である。
【図10】外観検査機の検査条件決定部が実行する処理のフローチャートである。
【図11】図10のS2〜S6の処理を説明するための図である。
【図12】図10のS8の処理を説明するための図である。
【図13】図10のS10の処理を説明するための図である。
【図14】経路決定前処理(図10のS8)の他の方法を説明するための図である。
【図15】撮影時の照明強度が異なる部品が混在する場合の撮影領域の経路決定処理を説明するための図である。
【図16】撮影時の照明強度が異なる部品が混在する場合の撮影領域の経路決定処理を説明するための図である。
【図17】撮影時の照明強度が異なる部品が混在する場合の撮影領域の経路決定処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
20 基板
22、22a〜22d、22i 部品
24、24a〜24k 撮影領域
100 外観検査機
102 表示部
103 入力部
104 カメラ装置
106 高解像度カメラ
108 低解像度カメラ
109 リング照明
110 基台
111 機構制御部
114 記憶部
114a 実装データ
115 通信I/F部
116 検査条件決定部
120 機構部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の解像度で基板上の部品を撮影し、前記部品の実装状態を検査する外観検査機における検査条件を決定する検査条件決定方法であって、
前記部品の撮影時に要求される解像度は予め定められており、
前記複数の解像度の各々について、当該解像度で撮影されるべき部品を含むように少なくとも1つの撮影領域を決定する撮影領域決定ステップと、
前記撮影領域決定ステップで決定された撮影領域を巡回する最短の経路を決定する経路決定ステップと
を含む検査条件決定方法。
【請求項2】
さらに、前記撮影領域決定ステップで決定された撮影領域の各々について、当該撮影領域に含まれるすべての部品が、当該撮影領域での撮影解像度よりも高い解像度で部品を撮影可能な他の撮影領域に含まれる場合には、当該撮影領域を削除することにより当該撮影領域を前記他の撮影領域に統合する統合ステップを含み、
前記経路決定ステップでは、前記統合ステップで統合された後の撮影領域を巡回する最短の経路を決定する
請求項1に記載の検査条件決定方法。
【請求項3】
さらに、前記経路決定ステップでの経路決定対象となる撮影領域の各々について、当該撮影領域に含まれる部品を維持したまま、当該撮影領域をできるだけ前記基板の中央に移動させる経路決定前処理ステップを含む
請求項1または2に記載の検査条件決定方法。
【請求項4】
さらに、前記経路決定ステップでの経路決定対象となる撮影領域の各々について、当該撮影領域に含まれる部品を維持したまま、隣接する撮影領域の縦方向または横方向の位置ができるだけ揃うように当該撮影領域を移動させる経路決定前処理ステップを含む
請求項1または2に記載の検査条件決定方法。
【請求項5】
前記撮影領域決定ステップでは、前記複数の解像度の各々について、当該解像度で撮影される部品をできるだけ多く含む撮影領域を前記基板上に順次設定することにより、前記少なくとも1つの撮影領域を決定する
請求項1〜4のいずれか1項に記載の検査条件決定方法。
【請求項6】
前記経路決定ステップでは、決定された撮影領域を巡回する最短の経路を、巡回セールスマン問題を解くことにより決定する
請求項1〜5のいずれか1項に記載の検査条件決定方法。
【請求項7】
複数の解像度で基板上の部品を撮影し、前記部品の実装状態を検査する検査方法であって、
前記部品の撮影時に要求される解像度は予め定められており、
前記複数の解像度の各々について、当該解像度で撮影されるべき部品を含むように少なくとも1つの撮影領域を決定する撮影領域決定ステップと、
前記撮影領域決定ステップで決定された撮影領域を巡回する最短の経路を決定する経路決定ステップと
カメラを前記経路決定ステップで決定された経路で移動させながら、前記撮影領域決定ステップで決定された撮影領域内の部品を撮影することにより部品の実装状態を検査する検査ステップと
を含む検査方法。
【請求項8】
複数の解像度で基板上の部品を撮影し、前記部品の実装状態を検査する外観検査機における検査条件を決定する検査条件決定装置であって、
前記部品の撮影時に要求される解像度は予め定められており、
前記複数の解像度の各々について、当該解像度で撮影されるべき部品を含むように少なくとも1つの撮影領域を決定する撮影領域決定手段と、
前記撮影領域決定手段で決定された撮影領域を巡回する最短の経路を決定する経路決定手段と
を含む検査条件決定装置。
【請求項9】
複数の解像度で基板上の部品を撮影し、前記部品の実装状態を検査する外観検査機であって、
前記部品の撮影時に要求される解像度は予め定められており、
前記複数の解像度の各々について、当該解像度で撮影されるべき部品を含むように少なくとも1つの撮影領域を決定する撮影領域決定手段と、
前記撮影領域決定手段で決定された撮影領域を巡回する最短の経路を決定する経路決定手段と
カメラと、
前記カメラを前記経路決定手段で決定された経路で移動させながら、当該カメラで前記撮影領域決定手段で決定された撮影領域内の部品を撮影することにより部品の実装状態を検査する検査手段と
を含む外観検査機。
【請求項10】
複数の解像度で基板上の部品を撮影し、前記部品の実装状態を検査する外観検査機における検査条件を決定するプログラムであって、
前記部品の撮影時に要求される解像度は予め定められており、
前記複数の解像度の各々について、当該解像度で撮影されるべき部品を含むように少なくとも1つの撮影領域を決定する撮影領域決定ステップと、
前記撮影領域決定ステップで決定された撮影領域を巡回する最短の経路を決定する経路決定ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−298693(P2008−298693A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147406(P2007−147406)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】