説明

検査装置及び検査方法

【課題】 精度よく且つ効率よい検査が可能な検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】 透明部材もしくは半透明部材を含む検査対象物の法線方向からずれた観察位置に対して、検査対象物の後方に配置された第1単色体と、検査対象物を照明するとともに、検査対象物の前方において観察位置で観察される検査対象物に自身の像が映りこまない位置に配置された光源と、検査対象物の前方において観察位置で観察される検査対象物に自身の像が映り込む位置に配置された第2単色体と、を備えたことを特徴とする検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省スペース・省電力等の対環境性の観点より、ディスプレイデバイスとして液晶モニターや液晶テレビ、携帯電話、スマートフォン、電子ブック、ノート型パーソナルコンピュータに代表されるように、液晶パネルや有機エレクトロルミネッセンスパネルを採用した商品が増加している。特に、スマートフォン、電子ブック、携帯電話などの各種電子機器には、液晶パネルやタッチパネルを構成する基板、携帯電話のカバー部材などに透明部材もしくは半透明部材が使用されている。
【0003】
これらの透明部材もしくは半透明部材に傷、汚れ、異物などが付着していると、電子機器自体の品質低下につながる。また、透明部材もしくは半透明部材には、薄膜(例えば、デザイン上の外観塗装や、ロゴなどが含まれる)がパターニングされている場合もあるが、このような薄膜の欠陥を検査できずに電子機器に組み込んでしまうと、電子機器自体の品質低下はもちろん、リペアした際には他の部材も使えなくなり、多大な材料損失につながるおそれがある。
【0004】
このような電子機器に適用される部材を検査する検査装置及び検査方法は各種提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−153515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施形態の目的は、精度よく且つ効率よい検査が可能な検査装置及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態によれば、
透明部材もしくは半透明部材を含む検査対象物の法線方向からずれた観察位置に対して、検査対象物の後方に配置された第1単色体と、検査対象物を照明するとともに、検査対象物の前方において観察位置で観察される検査対象物に自身の像が映りこまない位置に配置された光源と、検査対象物の前方において観察位置で観察される検査対象物に自身の像が映り込む位置に配置された第2単色体と、を備えたことを特徴とする検査装置が提供される。
【0008】
本実施形態によれば、
透明部材もしくは半透明部材を含む検査対象物の後方に配置された第1単色体と、検査対象物を照明するとともに検査対象物の前方に配置された光源と、検査対象物の前方に配置された第2単色体と、を備え、検査対象物を観察する観察位置は、検査対象物の前方において検査対象物の法線方向からずれた位置であって、検査対象物に映り込んだ前記光源の像が正反射される位置からずれ、且つ、検査対象物に映り込んだ前記第2単色体の像が正反射される位置に形成されたことを特徴とする検査装置が提供される。
【0009】
本実施形態によれば、
第1単色体の前方に、透明部材もしくは半透明部材を含む検査対象物を配置し、検査対象物の前方に配置された光源により検査対象物を照明し、検査対象物の法線方向からずれた観察位置であって、検査対象物の前方に配置された第2単色体の像が検査対象物に映り込み且つ前記光源の像が検査対象物に映り込まない観察位置に向かう前記光源からの光を遮り、前記観察位置において検査対象物を検査する、ことを特徴とする検査方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施形態で説明する検査装置及び検査方法の検査対象物を具備する電子機器の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図2は、本実施形態における検査装置の第1構成例を概略的に示す図である。
【図3】図3は、本実施形態における検査装置の観察位置で観察された検査対象物を模式的に示す正面図である。
【図4】図4は、本実施形態における検査装置の第2構成例を概略的に示す図である。
【図5】図5は、本実施形態における検査装置の第3構成例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本実施形態で説明する検査装置及び検査方法の検査対象物を具備する電子機器1の構成を概略的に示す平面図である。
【0013】
すなわち、電子機器1は、表示パネル10を備えている。この表示パネル10は、例えば、液晶表示パネルであり、第1基板11と、第1基板11に対向して配置された第2基板12と、これらの第1基板11と第2基板12との間に保持された図示しない液晶層と、を備えて構成されている。第1基板11の外面には、偏光板などを含む第1光学素子13が配置されている。第2基板12の外面には、偏光板などを含む第2光学素子14が配置されている。また、第1基板11には、駆動ICチップ15及びフレキシブル配線基板16などが実装されている。なお、電子機器1が備える表示パネル10は、有機エレクトロルミネッセンスパネルであっても良い。
【0014】
また、電子機器1は、表示パネル10の表示面あるいは観察面となる前面に配置されたカバー部材20を備えている。カバー部材20は、第2基板12の上方に配置されている。図示した例では、表示パネル10とカバー部材20との間に空間が形成されているが、表示パネル10とカバー部材20との間に透明部材が介在していても良いし、表示パネル10とカバー部材20とが接触していても良い。
【0015】
このカバー部材20は、背面基板21、前面基板22、背面基板21と前面基板22との間に配置されたタッチパネル要素23、前面基板22の内面(すなわち、表示パネル10に対向する背面側の面)に形成された薄膜24などを含んでいる。なお、カバー部材20とは別体のタッチパネル要素23が、カバー部材20に付加される場合もあるし、表示パネル10に付加される場合もある。
【0016】
このような電子機器1において、第1基板11、第2基板12、背面基板21、及び、前面基板22は、ガラス基板やプラスチック基板などの透明部材もしくは半透明部材を用いて形成されている。また、タッチパネル要素23は、透明電極などの透明部材を用いて形成されている。薄膜24は、例えば、装飾などとして外観塗装された薄膜や、ロゴなどとして印刷形成された薄膜などを含んでいる。
【0017】
本実施形態において、検査対象物とは、透明部材もしくは半透明部材そのものや、透明部材もしくは半透明部材にタッチパネル要素23や薄膜24などの各種構成要素が形成された部材が相当する(完成品、半完成品を問わない)。このような検査対象物は、透過部Tと、非透過部NTと、を含んでいる。例えば、検査対象物が上記のカバー部材20である場合、不透明な薄膜24が形成された部分は光をほとんど透過しない非透過部NTに相当し、薄膜24が形成されていない部分は光を透過する透過部Tに相当する。これらの透過部T及び非透過部NTは、その表面あるいは各種構成要素間の界面などで外光の少なくとも一部を反射する。
【0018】
図2は、本実施形態における検査装置30の第1構成例を概略的に示す図である。
【0019】
すなわち、検査装置30は、第1単色体31、光源部32、第2単色体33などを備えて構成されている。また、検査装置30は、検査対象物40を保持する保持機構34Aを備えていても良い。なお、この保持機構34Aに代えて、オペレータが検査対象物40を保持しても良い。また、検査装置30は、保持機構34Aによる検査対象物の保持角度を調整可能な調整機構34Bを備えていても良い。なお、この調整機構34Bに代えて、オペレータが検査対象物40の保持角度を調整しても良い。また、検査装置30は、検査対象物40を観察する観察位置Pに撮像装置35を設置しても良い。なお、この撮像装置35に代えて、観察位置Pにおいてオペレータが目視により検査対象物40を検査しても良い。
【0020】
図示した例では、第1単色体31、光源部32、第2単色体33、保持機構34A、及び、調整機構34Bは、暗箱などの容器36の内部に収容されている。容器36には、観察位置Pに対応して開口APが形成されている。オペレータは容器36の外部から開口APを介して検査対象物40を観察することで検査を行う。また、オペレータに代えて撮像装置35を設置する場合には、撮像装置35は、容器36の内部に収容され観察位置Pから検査対象物40を撮像しても良いし、容器36の外部に設置され開口APを介して検査対象物40を撮像しても良い。
【0021】
第1単色体31は、観察位置Pに対して、検査対象物40の後方に配置されている。この第1単色体31は、例えば、シート状部材であるが、容器36の内面に塗装された膜などであっても良い。このような第1単色体31は、観察位置Pから検査対象物40を観察した際に、検査対象物40の透過部Tを介して観察可能であるとともに、検査対象物40の周囲においても観察可能である。つまり、第1単色体31は、検査対象物40の背景を形成する。
【0022】
この第1単色体31の寸法や、第1単色体31と検査対象物40との間の距離、観察位置Pから第1単色体31までの距離などは、観察位置Pから検査対象物40を観察した際に第1単色体31が検査対象物40の全体の背景を形成するように設定されることが望ましい。
【0023】
また、第1単色体31は、防眩(AG)処理及び反射防止(AR)処理の少なくとも一方が施されていることが望ましい。また、この第1単色体31は、例えば、灰色や青色といった比較的暗い色に着色された着色体であることが望ましく、黒色体であることがより望ましい。
【0024】
光源部32は、検査対象物40の手前側(前方)に配置されている。この光源部32は、観察位置Pの近傍に配置されることがより望ましい。光源部32は、光源32Aと、光源32Aの周囲の一部を囲む光源カバー32Bと、を含んでいる。
【0025】
光源32Aは、特に制限はないが、例えば、白色蛍光灯などである。この光源32Aは、検査対象物40を照明する。このような光源32Aは、観察位置Pから観察される検査対象物40に光源32A自身の像が直接映り込まない位置に配置されている。つまり、光源32Aは、その像が検査対象物40で正反射された際に、観察位置Pとは異なる位置で観察されるような位置に配置されている。このため、光源32Aは、観察位置Pでは観察されない。
【0026】
換言すると、観察位置Pは、検査対象物40の前方において検査対象物40の法線方向からずれた位置に形成されている。このような観察位置Pは、検査対象物40に映りこんだ光源32Aの像が正反射される位置からずれた位置に形成されている。
【0027】
光源カバー32Bは、光源32Aから観察位置Pに向かう光を遮るように配置されている。このため、光源32Aから照射された光が観察位置Pのオペレータもしくは撮像装置35には直接当たることはない。これにより、検査環境(例えば、容器36の内面など)もしくは検査対象物40に間接的に当たった光のうち、一部の減衰した反射成分のみしか観察位置Pに照射されなくなる。このため、観察位置Pで観察しているオペレータ(特に、観察位置Pから覗き込む顔)もしくは観察位置Pに設置された撮像装置35の像が検査対象物40に映り込むことを防止できる。また、光源32Aの像が検査対象物40に映り込むことを防止できる。
【0028】
また、この光源カバー32Bは、観察位置Pで観察される検査対象物40に光源カバー32B自身の像が映り込まない位置に配置されている。つまり、光源カバー32Bは、その像が検査対象物40で正反射された際に、観察位置Pとは異なる位置で観察されるような位置に配置されている。このため、光源カバー32Bは、観察位置Pでは観察されない。換言すると、観察位置Pは、検査対象物40に映りこんだ光源カバー32Bの像が正反射される位置からずれた位置に形成されている。
【0029】
なお、光源カバー32Bは、その表面が単色であって、比較的暗い色に着色された着色体(より望ましくは黒色体)によって形成されている場合には、検査対象物40に映り込む位置に配置されても良い。
【0030】
第2単色体33は、検査対象物40の手前側であって、観察位置Pから検査対象物40を観察した際に、検査対象物40に第2単色体33自身が直接映り込む位置に配置されている。この第2単色体33は、例えば、シート状部材である。より具体的には、第2単色体33は、検査対象物40に映り込んだ第2単色体33の像が観察位置Pに正反射されるような位置に配置されている。このため、第2単色体33は、観察位置Pで観察される。換言すると、観察位置Pは、検査対象物40に映り込んだ第2単色体33の像が正反射される位置に形成されている。
【0031】
例えば、第2単色体33は、光源部32の光源カバー32B近傍に配置されている。このような第2単色体33は、観察位置Pから検査対象物40を観察した際に、検査対象物40の透過部T及び非透過部NTで反射され、観察可能である。
【0032】
この第2単色体33の寸法や、第2単色体33と検査対象物40との間の距離、観察位置Pから第2単色体33までの距離などは、観察位置Pから検査対象物40を観察した際に第2単色体33が検査対象物40のほぼ全体に映り込むように設定されることが望ましい。
【0033】
また、第2単色体33は、第1単色体31と同様に、防眩(AG)処理及び反射防止(AR)処理の少なくとも一方が施されていることが望ましい。また、この第2単色体33は、第1単色体31と同様に、例えば、灰色や青色といった比較的暗い色に着色された着色体であることが望ましく、黒色体であることがより望ましい。
【0034】
保持機構34Aは、検査対象物40の周縁部分、あるいは、非透過部NTを保持し、透過部Tと第1単色体31との間には介在しない。調整機構34Bは、保持機構34Aにより保持した検査対象物40の保持角度θ1を調整する。より具体的には、調整機構34Bは、検査対象物40に映り込んだ第2単色体33の像が観察位置Pに正反射され、且つ、検査対象物40に映り込んだ光源32Aの像が観察位置Pとは異なる位置に正反射される(つまり、光源32Aの像が観察位置Pには正反射されない)ように保持角度θ1を調整する。なお、保持角度θ1は、検査対象物40の法線方向Dが観察位置Pからずれるように設定される。
【0035】
撮像装置35は、観察位置Pにおいて検査対象物40を撮像する。この撮像装置35は、例えば、CCDカメラ、及び、CCDカメラによって取り込んだ画像に基づいて検査対象物40の不具合の有無を検査するソフトウエアを含むコンピュータなどを備えて構成されている。ここでの検査対象物40の不具合とは、透明部材もしくは半透明部材のキズ、汚れや異物の付着、薄膜24のキズ、汚れ、異物の付着やパターン欠陥などである。
【0036】
次に、上記の検査装置30における検査方法について説明する。
【0037】
まず、第1単色体31の手前側に検査対象物40を配置する。このとき、検査対象物40は、オペレータに保持されていても良いし、保持機構34Aによって保持されていても良い。そして、検査対象物40の手前側に配置された光源32Aにより検査対象物40を照明する。このとき、検査対象物40の法線方向Dからずれた観察位置Pに向かう光源32Aからの光は、光源カバー32B及び第2単色体33によって遮られる。そして、検査対象物40の前方に配置された第2単色体33の像が検査対象物40に直接映り込み且つ光源32Aの像が検査対象物40に直接映り込まない状態で検査対象物40を観察位置Pから観察して、検査対象物40における不具合の有無を検査する。
【0038】
観察位置Pで検査対象物40を観察した場合には、第1単色体31が検査対象物40の背景を形成している。また、第2単色体33の像が検査対象物40に映り込んでいるものの、光源32Aや観察位置Pのオペレータあるいは撮像装置35のそれぞれの像は検査対象物40に映り込んでいない。このような状態の検査対象物40をオペレータが目視することによって検査対象物40における不具合の有無が検査されても良いし、このような状態の検査対象物40を撮像装置35により撮像し、撮像された画像に基づいて検査対象物40における不具合の有無が検査されても良い。
【0039】
このような検査対象物40を検査する際には、第2単色体33が検査対象物40のほぼ全体に映り込むことが望ましい。
【0040】
また、検査対象物40が保持機構34Aに保持されている場合には、検査対象物40を検査する際に、調整機構34Bは、検査対象物40に映り込んだ第2単色体33の像が観察位置Pに正反射され且つ検査対象物40に映り込んだ光源32Aの像が観察位置Pに正反射されないように検査対象物40の保持角度θ1を調整することが望ましい。このとき、保持角度θ1は、検査対象物40の法線方向Dが観察位置Pからずれるように設定される。これにより、観察位置Pのオペレータあるいは撮像装置35は、検査対象物40と正対することはなく、それぞれの像が検査対象物40に直接映り込むことはない。また、観察位置Pで観察される検査対象物40に光源32Aの像が直接映り込むこともない。
【0041】
本実施形態においては、上記の検査装置30並びに検査方法により、第1単色体31を背景として検査対象物40における透過部Tを介して透過観察することによって検査対象物40の外観を検査するとともに、第2単色体33の像を意図的に検査対象物40に映り込ませて反射観察することによって検査対象物40の外観を検査している。
【0042】
このとき、検査対象物40の背景に局所的に明るすぎる明エリアが含まれていたり、光源32Aの像が検査対象物40に直接映り込むなどして検査対象物40の映り込みに局所的に明るすぎる明エリアが含まれていたりした場合には、観察位置Pで観察しているオペレータの意識がその明エリアに向かってしまう。あるいは、観察位置Pに設置された撮像装置35によって検査対象物40を撮像する場合には、撮像された画像にノイズを発生してしまい、検査効率の低下を招くおそれがある。
【0043】
また、検査対象物40の背景の模様がそのまま透過観察されてしまったり、検査対象物40に検査環境などの不所望な映り込みが反射観察されてしまったり、オペレータの顔あるいは撮像装置35そのものが検査対象物40に映り込んで反射観察されてしまったりすることで、検査効率の低下を引き起こすおそれがある。
【0044】
図3は、本実施形態における検査装置30の観察位置Pで観察された検査対象物40を模式的に示す正面図である。
【0045】
本実施形態によれば、観察位置Pから検査対象物40を観察した際に、第1単色体31が検査対象物40の背景を形成するとともに、第2単色体33の像が検査対象物40に映り込んでいる。第2単色体33は暗エリアDAを形成し、光源32Aは明エリアBAを形成している。図示した例では、検査対象物40のほぼ全体に第2単色体33の像が映り込み、暗エリアDAが形成されている。明エリアBAは、検査対象物40から外れている。
【0046】
これにより、検査対象物40の背景における局所的な明エリアの発生、あるいは、検査対象物40に写り込んだ像による局所的な明エリアの発生を抑制することができる。また、検査対象物40に映り込む第2単色体33の像によって、検査対象物40のほぼ全体に暗エリアを形成することができる。さらには、検査対象物40の背景の模様の透過や、検査対象物40への不所望な映り込みを抑制することができる。また、観察位置Pは、検査対象物40の法線方向Dからずれているため、観察位置Pにおけるオペレータあるいは撮像装置35そのものの像が検査対象物40に映り込むといった不具合を解消することができる。また、光源32Aの像が観察位置Pで観察される検査対象物40に直接映り込むといった不具合を解消することができる。さらには、光源32Aから直接観察位置Pに向かう光を光源カバー32Bによって遮ることができる。
【0047】
したがって、オペレータによる検査対象物40の検査においては、オペレータの視認性を向上することができるとともに、検査負荷を軽減することができ、検査作業を精度良く且つ効率良く実施することが可能となる。また、撮像装置35による検査対象物40の検査においては、ノイズの影響が低減され、精度良く且つ効率よい検査が可能となる。
【0048】
また、本実施形態において、第1単色体31に対して、防眩処理及び反射防止処理の少なくとも一方が施されている場合には、検査環境における第1単色体31の表面での光の反射及び散乱が抑制され、これらの反射光や散乱光の影響による検査対象物40への不所望な映り込みや、検査対象物40の背景における局所的な明エリアの発生を抑制することが可能となる。
【0049】
加えて、この第1単色体31が黒色体などの比較的暗い色に着色された着色体である場合には、検査環境における第1単色体31の表面での光の反射及び散乱をさらに抑制することが可能となる。また、検査対象物40の透過部Tの背景を均一化する(つまり、背景模様がない状態にする)ことが可能となる。
【0050】
このため、観察位置Pにおいて、オペレータが検査対象物40を透過観察した際の視認性を向上することができる。あるいは、観察位置Pにおいて、撮像装置35によって検査対象物40を撮像した際のノイズを低減することができる。
【0051】
また、本実施形態において、第2単色体33に対して、防眩処理及び反射防止処理の少なくとも一方が施されている場合には、検査対象物40に映り込んだ第2単色体33の像による不所望な光の反射及び散乱が抑制され、検査対象物40への映り込みにおける局所的な明エリアの発生を抑制することが可能となる。
【0052】
加えて、この第2単色体33が黒色体などの比較的暗い色に着色された着色体である場合には、検査しやすい暗エリアを確保することができるとともに、検査対象物40に映り込んだ像の明るさを均一化することが可能となる。
【0053】
このため、観察位置Pにおいて、オペレータが検査対象物40を反射観察した際の視認性を向上することができる。あるいは、観察位置Pにおいて、撮像装置35によって検査対象物40を撮像した際のノイズを低減することができる。なお、第1単色体31と第2単色体33とが同一色の膜である場合には、更なる視認性の向上、あるいは、ノイズ低減が可能となる。
【0054】
また、本実施形態において、第2単色体33の像が検査対象物40のほぼ全体に映り込む場合には、検査対象物40のほぼ全体が検査しやすい暗エリアとなり、観察位置Pにおいて、検査対象物40の保持角度θ1を変更することなく、検査対象物40を検査することができる。このため、検査効率をさらに向上することが可能となる。
【0055】
なお、第2単色体33の像が検査対象物40に対して小さく、第2単色体33の像が検査対象物40の一部に映り込む場合には、検査対象物40の一部が暗エリアとなる。このような場合、検査対象物40の保持角度θ1を徐々に変化させ、検査対象物40に形成される暗エリアの位置をシフトさせながら検査することも可能である。
【0056】
また、本実施形態における検査装置30において、保持機構34A、調整機構34B、及び、撮像装置35を適用することにより、検査の自動化が可能となる。
【0057】
上記した検査装置30ならびにこの検査装置30を用いた検査方法は、容器36の内部で行うため、検査環境内に光源32A以外の光が進入することが抑制され、もしくは、光源32Aからの光の反射及び散乱が抑制される。なお、容器36を用いた手法に限らず、光源32Aからの光の反射及び散乱を防ぐための暗室環境を作り、この暗室環境内で検査を行っても良い。
【0058】
次に、本実施形態の他の構成例について説明する。なお、上記の第1構成例と同一構成については同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
図4は、本実施形態における検査装置30の第2構成例を概略的に示す図である。
【0060】
この第2構成例の検査装置30は、図2に示した第1構成例の検査装置と比較して、第2単色体33が光源32Aから観察位置に向かう光を遮る光源カバー32Bである点で相違している。つまり、第1構成例では、光源カバー32Bの他に、第2単色体33を配置したが、第2構成例では、これらを1つの部材で兼用している。
【0061】
この第2構成例では、第2単色体33は、例えば、灰色や青色といった比較的暗い色に着色された着色体であることが望ましく、黒色体であることがより望ましい。第2単色体33は、光源カバー32Bの光源32Aを向く内面に貼り付けた単色膜であっても良い。
【0062】
このような第2単色体33は、検査対象物40に映り込んだ第2単色体33の像が観察位置Pに正反射されるような位置に配置されている。
【0063】
このような第2構成でも上記の第1構成例と同様の効果が得られる。しかも、検査装置に適用される部材の点数を低減することができる。
【0064】
図5は、本実施形態における検査装置30の他の構成を概略的に示す図である。
【0065】
この第3構成例の検査装置30は、図2に示した第1構成例の検査装置と比較して、第1単色体31の表面31Aに光源32Aからの光がなるべく当たらないようにした点で相違している。すなわち、第1単色体31は、その光源32Aに近い上端31Xが光源32Aに向かって倒れた状態で配置されている。このような第1単色体31は、図示しない固定部材によって固定されている。第1単色体31と水平面Hとのなす角度θ2は、光源32Aからの光が表面31Aに直接照射されにくく、且つ、観察位置Pから検査対象物40を観察した際に第1単色体31が背景を形成するように設定される。
【0066】
例えば、光源32Aから出射される光の指向性が高い場合には、角度θ2は、光の出射方向EMと、第1単色体31の表面31Aとがほぼ平行になるように設定される。また、光源32Aから出射される光の拡散性が高い場合には、角度θ2は、光源カバー32Bや第2単色体33によって囲まれた光源32Aから第1単色体31に向かう光の出射方向EMと、第1単色体31の表面31Aとがほぼ平行となるように設定される。
【0067】
これにより、第1単色体31の表面31Aへの光源32Aなどの映り込みを抑制することができ、さらに検査作業を精度良く且つ効率良く実施することが可能となる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば、精度よく且つ効率よい検査が可能な検査装置及び検査方法を提供することができる。
【0069】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
30…検査装置
31…第1単色膜
32…光源部 32A…光源 32B…光源カバー
33…第2単色膜
34…保持機構
35…撮像装置
36…暗箱
40…検査対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明部材もしくは半透明部材を含む検査対象物の法線方向からずれた観察位置に対して、検査対象物の後方に配置された第1単色体と、
検査対象物を照明するとともに、検査対象物の前方において観察位置で観察される検査対象物に自身の像が映りこまない位置に配置された光源と、
検査対象物の前方において観察位置で観察される検査対象物に自身の像が映り込む位置に配置された第2単色体と、
を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記第2単色体は、前記光源から観察位置に向かう光を遮る光源カバーであることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
さらに、前記光源から観察位置に向かう光を遮る光源カバーを備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記光源カバーは、観察位置で観察される検査対象物に自身の像が映りこまない位置に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
観察位置は、検査対象物に映り込んだ前記光源の像が正反射される位置からずれていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
観察位置は、検査対象物に映り込んだ前記第2単色体の像が正反射される位置であることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項7】
前記第2単色体は、検査対象物の略全体に映り込むことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項8】
さらに、検査対象物を保持する保持機構と、前記保持機構による検査対象物の保持角度を調整可能な調整機構と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項9】
透明部材もしくは半透明部材を含む検査対象物の後方に配置された第1単色体と、
検査対象物を照明するとともに検査対象物の前方に配置された光源と、
検査対象物の前方に配置された第2単色体と、
を備え、
検査対象物を観察する観察位置は、検査対象物の前方において検査対象物の法線方向からずれた位置であって、検査対象物に映り込んだ前記光源の像が正反射される位置からずれ、且つ、検査対象物に映り込んだ前記第2単色体の像が正反射される位置に形成されたことを特徴とする検査装置。
【請求項10】
前記第2単色体は、前記光源から観察位置に向かう光を遮る光源カバーであることを特徴とする請求項9に記載の検査装置。
【請求項11】
さらに、前記光源から観察位置に向かう光を遮る光源カバーを備えたことを特徴とする請求項9に記載の検査装置。
【請求項12】
さらに、検査対象物を保持する保持機構と、前記保持機構による検査対象物の保持角度を調整可能な調整機構を備えたことを特徴とする請求項9に記載の検査装置。
【請求項13】
第1単色体の前方に、透明部材もしくは半透明部材を含む検査対象物を配置し、
検査対象物の前方に配置された光源により検査対象物を照明し、
検査対象物の法線方向からずれた観察位置であって、検査対象物の前方に配置された第2単色体の像が検査対象物に映り込み且つ前記光源の像が検査対象物に映り込まない観察位置に向かう前記光源からの光を遮り、
前記観察位置において検査対象物を検査する、
ことを特徴とする検査方法。
【請求項14】
前記検査において、
保持機構が検査対象物を保持し、
調整機構が前記保持機構による検査対象物の保持角度を、検査対象物に映り込んだ前記光源の像が前記観察位置とは異なる位置に正反射され、且つ、検査対象物に映り込んだ前記第2単色体の像が前記観察位置に正反射されるように調整する、ことを特徴とする請求項13に記載の検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−47729(P2012−47729A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150150(P2011−150150)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】