説明

検査装置

【課題】従来の検査装置では、光透過性の基板の表裏面の区別と、付着物と傷との区別が困難であるという課題がある。
【解決手段】照明装置13からの光を第2屈折部材16および第1屈折部材15で屈折させて照明装置13の法線方向の光量を激減させた光を作成し、この光を基板12に照射および透過させた後に撮像装置14で撮像することで、光透過性の基板12の表裏面の区別と、付着物と傷との区別を行うことが可能な検査を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性の被検査物を検査する検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光透過性基板の表面の検査を行う際は、光学的な検査が多く利用されている。
【0003】
図7は、従来の基板検査装置の概略図である。背景技術の説明において、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0004】
図7において、照明1から検査対象物2に照射された光は、検査対象物2を透過して撮像機器3にて撮像される。ここで、検査対象物2の表面の状態によって撮像された画像に明暗が生じ、この明暗の程度によって検査対象物2の表面の状態が検査される。
【0005】
しかしながら、このような従来の検査対象物の表面の検査では、照明1からの光の照射角度や拡散度合い、観察する角度、また反射、透過によって撮像機器3での撮像画像が異なるため、正確な検査を行うことが困難である。
【0006】
そこで、前述の問題を解決するための従来の方法として、照明からの光を拡散させる検査方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
図8は、特許文献1の基板の検査装置の概略図である。
【0008】
図8において、レンズシート4と照明5との間に、照明5の側にプリズムの峰が形成されたプリズムシート6を設置している。このプリズムシート6によって照明5からの光を拡散させて撮像機器7で撮像することで、レンズシート4の表面(撮像機器7側)に存在する欠陥のコントラストを高めることができる。
【0009】
また、前述の問題を解決するための他の方法として、照射角度を調整した検査方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0010】
図9は、特許文献2の基板の検査装置の概略図である。
【0011】
図9において、通常の照明8とは別に、検査対象物9と平行に近い角度で光を照射する水平照明10を設けることで、撮像機器11での検査対象物9の裏面(照明8側)の汚れの影響を小さくしている。
【特許文献1】特開2006−017487号公報
【特許文献2】特開2002−214158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の検査装置では、光透過性基板の裏面(照明側)についた傷や付着物が透過照明の光をさえぎるため、撮像機器で撮像した像において、撮像機器側の表面の傷や付着物と裏面の傷や付着物とが同様な暗い画像として入力されてしまうという課題や、検査対象物表面の傷と付着物とが同一コントラストで撮像されてしまうという課題が発生している。
【0013】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、光透過性基板の表面の傷や付着物を、裏面と切り分けて高精度に検査することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するための検査装置であり、被検査物を載置するステージと、前記ステージを挟んでそれぞれ配置された前記被検査物に光を照射する照明装置および前記被検査物からの光を撮像する撮像装置と、前記ステージと前記照明装置との間に配置され、かつ、相対向する面がそれぞれ凸面を有する第1および第2屈折部材からなる一対の屈折部材と、前記撮像装置の撮像結果に基づいて検査を行う処理装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、光透過性基板の表面の傷や付着物を、従来に比べて40〜50%以上の精度で、高精度に検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の実施の形態において、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の検査装置の概略構成図である。
【0018】
図1において、基板12は、照明装置13と撮像機器14(撮像装置)との間に配置されたステージ(図示せず)によって保持される。すなわち、照明装置13と撮像機器14は、基板12を挟んで配置されている。ここで、基板12と照明装置13との間に、その凸面が撮像機器14側に向いた第1屈折部材15と、その凸面が照明装置13側に向いた第2屈折部材16とを配置する。なお、第1屈折部材15と第2屈折部材16は、その配列方向が等しくなるように配置する必要がある。
【0019】
また、撮像機器14の中に、第1屈折部材15と第2屈折部材16の配列方向と等しい配列方向を有する一次元撮像素子17を配置する。
【0020】
照明装置13は、ロッド照明18(ライン型照明)、ファイバーライトガイド19、メタルハイドライドランプ20とから構成されており、メタルハイドライドランプ20からファイバーライトガイド19を通してロッド照明18から光を照射する構造となっている。メタルハイドライドランプ20は、250Wで照度が270,000LX以上となるものを用いる。
【0021】
また、第1屈折部材15、第2屈折部材16としては、三角柱を一方の面に敷き詰めたプリズムシートを用いる。このプリズムシートの部材としては、屈折率1.49のメタクリル酸メチル樹脂(以下、PMMAとする。)を用いる。
【0022】
ここで、本実施の形態では、被検査物である基板12の裏面の傷に対応させるために、第1屈折部材15、第2屈折部材16の頂角が共に90度程度で、その峰のピッチがランダムに50〜200μm程度となっているプリズムシートを用いる。なお、プリズムシートの頂角は60〜120度が好ましい。また、プリズムシートの屈折率は、1.4〜1.6程度が好ましい。なお、必要な光学条件を満たすことができれば、第1屈折部材15、第2屈折部材16として、三角錐や円錐形の屈折部材を一方の面に敷き詰めたシートを用いることも可能である。
【0023】
図2は、実施の形態1の検査装置の概略断面図であり、図2において、本実施の形態の配置構成を説明する。
【0024】
まず、照明装置13と第2屈折部材16との距離aは5mmであり、第1屈折部材15と基板12との距離cは180mmであり、基板12と撮像機器14との距離dは400mmである。ここで、第1屈折部材15と第2屈折部材16とは、ほぼ密着する配置構成となっているが、それぞれの屈折部材のプリズムシートのピッチがランダムであるため、完全には密着せず、それぞれの頂角が接する程度の配置関係となっている。
【0025】
このように構成された検査装置において、照明装置13から出射された光線は、第2屈折部材16、第1屈折部材15でそれぞれ屈折された後、基板12を透過し、撮像機器14で撮像される。この撮像機器14での撮像結果に基づいて、処理装置(図示せず)で基板12の検査を行う。
【0026】
図3は、実施の形態1の検査装置における光線ベクトルを示す図である。
【0027】
照明装置13から照射される光線21は、図3に示すような角度ばらつきを有している。
【0028】
照明装置13から第2屈折部材16に照射された光線21は、第2屈折部材16で屈折して光線22となる。この光線22は、照明装置13の法線23の方向の光量が増加し、法線23の斜め方向の光量が減少している。例えば、本実施の形態のように第2屈折部材16に屈折率1.49、材料がPMMAで頂角90度のプリズムシートを用いた場合は、法線23方向の光量が約1.5倍に増加し、法線23を中心とした約90度の範囲に光線22のばらつきが制限される。
【0029】
さらに、光線22は第1屈折部材15で屈折して光線24となる。この光線24は、法線23方向の光量が激減し、法線23の斜め方向の光量が大幅に増加する。例えば、本実施の形態のように第1屈折部材15に屈折率1.49、材料がPMMAで頂角90度のプリズムシートを用いた場合において、法線23に対する光線24の中心角25は、第1屈折部材15のプリズム配列方向に約25度の傾きを持って出射される効果が得られる。
【0030】
このようにして照射された光線を用いて基板の検査を行うことで、基板12の表面と裏面とを区別した状態で検査を行うことが可能となる。
【0031】
ここで、プリズムシートでの屈折について説明する。
【0032】
図4は、プリズムシートで屈折する光線の模式図である。
【0033】
図4において、プリズムシート26の頂角27をθtとし、プリズムシート26から出射される光線28の出射角度29をθxとする。
【0034】
図5は、プリズムシートの頂角θtと光線の出射角度θxの関係を示す図である。
【0035】
実施の形態1のように、屈折率1.49で材料がPMMAのプリズムシートを用いた場合における、プリズムシートの頂角θtと光線の出射角度θxの関係のグラフは、図5に示すようになる。図5に示すように、頂角が90度の場合は屈折角が約25度となる。
【0036】
検査条件に応じて図5に示す性質を利用して光線の出射角度を調整することで、より精度の高い検査を行うことができる。
【0037】
図6は、実施の形態1の撮像機器での階調を示す図である。
【0038】
図6において、基板表面の付着物がある箇所を撮像した位置(A)での階調は約10階調となり、基板を透過して付着物や傷のない箇所を撮像した位置(B)での階調は約200階調となり、基板裏面の傷のある箇所を撮像した位置(C)での階調は約30階調となる。これらの撮像結果を用いて、基板の表面と裏面の区別、および付着物と傷の区別を行うことで、より高精度な検査を行うことができる。本実施の形態では、0〜20階調となった位置を基板表面に付着物が付着した状態だと判断し、20〜100階調となった位置を基板裏面に傷がある状態だと判断し、100〜200階調となった位置を表裏面に付着物や傷のない基板の状態とする。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の検査装置は、基板の表裏面で異なる基準で検査を行う装置などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施の形態1の検査装置の概略構成図
【図2】実施の形態1の検査装置の概略断面図
【図3】実施の形態1の検査装置における光線ベクトルを示す図
【図4】プリズムシートで屈折する光線の模式図
【図5】プリズムシートの頂角θtと光線の出射角度θxの関係を示す図
【図6】実施の形態1の撮像機器での階調を示す図
【図7】従来の基板検査装置の概略図
【図8】特許文献1の基板の検査装置の概略図
【図9】特許文献2の基板の検査装置の概略図
【符号の説明】
【0041】
13 照明装置
14 撮像装置
15 第1屈折部材
16 第2屈折部材
17 一次元撮像素子
18 ロッド照明
19 ファイバーライトガイド
20 メタルハイドライドランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を載置するステージと、
前記ステージを挟んでそれぞれ配置された前記被検査物に光を照射する照明装置および前記被検査物からの光を撮像する撮像装置と、
前記ステージと前記照明装置との間に配置され、かつ、相対向する面がそれぞれ凸面を有する第1および第2屈折部材からなる一対の屈折部材と、
前記撮像装置の撮像結果に基づいて前記被検査物の検査を行う処理装置と、を備えること
を特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記第1屈折部材の凸面の配列方向と前記第2屈折部材の凸面の配列方向が平行であること
を特徴とする請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記第1屈折部材と前記第2屈折部材は、共に60〜120度の頂角を有するプリズムシートであること
を特徴とする請求項1または2記載の検査装置。
【請求項4】
前記第1屈折部材と前記第2屈折部材の頂角は、ほぼ接する程度に密着していること
を特徴とする請求項3記載の検査装置。
【請求項5】
前記撮像装置が、前記第1屈折部材および前記第2屈折部材の凸面の配列方向と垂直な方向に配列された撮像素子により構成されていること
を特徴とする請求項1から4いずれか記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−85691(P2009−85691A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254013(P2007−254013)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】