説明

検査装置

【課題】環状部材に保持されたテープに貼り付けられた検査対象物を、透過照明を用いて効率良く適切に検査することのできる検査装置を提供する。
【解決手段】観察光学系(11)と、反射照明機構12と、透過照明機構14と、検査対象物(44)が貼付されるテープ42を保持する環状部材43の内側で透過照明機構14側からテープ42を保持可能な筒状の保持ステージ34と、を備える検査装置10である。透過照明機構14は、光源(51)から導光された透過光を保持ステージ34の外方から観察面Fpへ向けて出射する出射部53を有し、保持ステージ34には、観察光学系側に観察面Fpに沿う平面を規定する平坦面(35a)が設けられた板状を呈しかつ出射部53から出射された透過光の透過を許す透過部材35と、保持ステージ34に対して観察光軸Oa方向に関する位置調整可能に透過部材35を保持する位置調整機構(37、38)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を検査対象物として検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDチップ等の半導体素子に、種々の照明光を照射しつつその半導体素子を観察光学系で観察することにより、当該半導体素子を検査対象物として検査する検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この検査装置では、種々の照明光の1つとして、検査対象物から見て観察光学系とは反対側から当該検査対象物を照明する透過照明機構からの透過照明を用いている。
【0003】
ここで、半導体素子は、テープ(フィルム)に貼り付けられままウェハから切り出され、そのテープが環状部材に保持されている状態で取り扱われることが多く見られる。このため、検査装置では、当該状態を維持したまま検査を行うために、観察光学系とは反対側から、環状部材の内側でテープを保持する筒状の保持ステージを設けることが考えられている。
【0004】
また、テープが保持ステージで保持された状態では、テープの材質や検査対象物の重量等に応じて、テープに撓みが生じてしまうことがあり、観察光学系による適切な観察が困難となってしまうことがある。このため、従来の検査装置では、透過照明機構に長尺な棒状を呈し平坦な先端面を出射面とした出射部を設け、その出射部の出射面で保持ステージにより保持されたテープを押し上げることにより、検査対象物を観察光学系による適切な観察位置(観察面)に位置させて検査を行うことが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−107254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、透過照明機構としての出射部では、透過光を出射させるための光学素子と、その光学素子を保護しつつ保持する外枠部と、を有する構成とする必要があることから、その外枠部と保持ステージの内壁との干渉により、保持ステージで保持されたテープを透過光で適切に照射できる照射領域すなわち透過照明を用いた有効な検査領域が、保持ステージの内方の領域よりも小さなものとなってしまう。換言すると、保持ステージの内方を有効検査領域として最大限に利用することができず、テープを保持する保持ステージにより、検査の作業効率の低下を招いてしまう。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的は、環状部材に保持されたテープに貼り付けられた検査対象物を、透過照明を用いて効率良く適切に検査することのできる検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、観察光軸上の所定の位置を観察面とする観察光学系と、該観察光学系側から前記観察面を照明する反射照明機構と、前記観察光学系とは反対側から前記観察面を照明する透過照明機構と、検査対象物が貼付されるテープを保持する環状部材の内側で前記透過照明機構側から前記テープを保持可能な筒状の保持ステージと、を備える検査装置であって、前記透過照明機構は、光源から導光された透過光を前記保持ステージの外方から前記観察面へ向けて出射する出射部を有し、前記保持ステージは、前記観察光学系側に前記観察面に沿う平面を規定する平坦面が設けられた板状を呈しかつ前記出射部から出射された透過光の透過を許す透過部材と、前記保持ステージに対して観察光軸方向に関する位置調整可能に前記透過部材を保持する位置調整機構と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検査装置であって、観察光軸方向に関する位置調整とは、観察光軸方向での位置および観察光軸方向に対する傾斜であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の検査装置であって、前記位置調整機構は、観察光軸方向で見て、前記平坦面を前記保持ステージにおける前記テープの保持位置よりも前記観察光学系側とするように前記透過部材を位置させることが可能とされていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の検査装置であって、さらに、前記透過部材の外方位置において前記テープを観察光軸方向の前記出射部側に押圧する押圧機構を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の検査装置であって、前記押圧機構は、前記保持ステージの外方位置で前記環状部材を押圧することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の検査装置であって、前記押圧機構は、前記保持ステージにおいて、前記透過部材を取り巻くように該透過部材と前記テープを保持する箇所との間を吸引することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の検査装置であって、前記出射部は、前記透過部材へと所定のスポット領域で透過光を入射させるべく、導光した透過光の拡散を低減する集光光学部材を有することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の検査装置であって、前記集光光学部材は、透過光軸に直交する断面で見た光量分布を均一化する機能も有するロッドインテグレータ光学部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の検査装置によれば、透過照明機構の出射部が、保持ステージの外方から観察面を照射する構成であることから、出射部と保持ステージとが干渉することを確実に防止することができる。このため、保持ステージの内方の全領域に透過光を照射することができることから、保持ステージの内方を全域に渡って有効な検査領域とすることができ、有効検査領域を最大限に確保することができる。
【0017】
また、検査装置では、保持ステージに設けられた透過部材の平坦面により、保持ステージに保持されたテープを平坦な状態として、そこに貼付された検査対象物を観察面上に位置させることができるので、透過照明機構の出射部が、保持ステージの外方から観察面を照射する構成としても、観察光学系により適切な観察を行うことができる。
【0018】
さらに、検査装置では、透過部材が、位置調整機構により保持ステージに対して観察光軸に関する位置調整が可能とされていることから、テープの撓み変形の量および状態に応じて、テープに貼り付けられた検査対象物をより適切に観察面上に位置させることができる。
【0019】
上記した構成に加えて、観察光軸方向に関する位置調整とは、観察光軸方向での位置および観察光軸方向に対する傾斜であることとすると、テープの撓み変形の量および状態に、適切に対応して、テープに貼り付けられた検査対象物を観察面上に位置させることができる。
【0020】
上記した構成に加えて、前記位置調整機構は、観察光軸方向で見て、前記平坦面を前記保持ステージにおける前記テープの保持位置よりも前記観察光学系側とするように前記透過部材を位置させることが可能とされていることとすると、テープに貼り付けられた検査対象物をより適切に観察面上に位置させることができる。
【0021】
上記した構成に加えて、さらに、前記透過部材の外方位置において前記テープを観察光軸方向の前記出射部側に押圧する押圧機構を備えることとすると、押圧機構での押圧により、透過部材の平坦面に倣ってテープを平坦化させつつ固定することができる。このため、テープに貼付された検査対象物を適切に検査することができる。
【0022】
上記した構成に加えて、前記押圧機構は、前記保持ステージの外方位置で前記環状部材を押圧することとすると、押圧機構での押圧により、確実に透過部材の平坦面に倣ってテープを平坦化させつつ固定することができる。
【0023】
上記した構成に加えて、前記押圧機構は、前記保持ステージにおいて、前記透過部材を取り巻くように該透過部材と前記テープを保持する箇所との間を吸引することとすると、テープにおける撓み変形による余剰分を引き込むことができるので、テープに貼付された検査対象物を適切に観察面上に位置させることができる。
【0024】
上記した構成に加えて、前記出射部は、前記透過部材へと所定のスポット領域で透過光を入射させるべく、導光した透過光の拡散を低減する集光光学部材を有することとすると、観察面上における観察光学系に対する適切な領域を照射することができるので、より効率的に観察光学系による適切な観察を可能とすることができる。
【0025】
上記した構成に加えて、前記集光光学部材は、透過光軸に直交する断面で見た光量分布を均一化する機能も有するロッドインテグレータ光学部材であることとすると、観察光学系によるより適切な観察を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明に係る実施例1の検査装置10の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】検査装置10の機能構成を示すブロック図である。
【図3】検査装置10の保持ステージ34を模式的に示す斜視図である。
【図4】検査対象ワーク40の種類を説明するための説明図であり、(a)は各半導体素子44がテープ42に貼り付けられたまま各境界面で切断された状態を示し、(b)はテープ42が引き伸ばされて各半導体素子44が各個に分断された状態を示している。
【図5】検査装置10の保持機構13および透過照明機構14を模式的に示す斜視図である。
【図6】図5に示すI−I線に沿う箇所を部分的な断面で示す説明図である。
【図7】技術の課題を説明するための比較例としての検査装置10´の保持機構13´および透過照明機構14´の構成を模式的に示す説明図である。
【図8】検査装置10´において検査対象物を観察面Fp上に位置させる様子を説明するための説明図である。
【図9】検査装置10´において、有効検査領域Sa´が狭まることを説明するための説明図であり、上方に観察光学系側から保持ステージ34´を見た様子を示し、下方に上方のII−II線に沿って得られた断面を示している。
【図10】検査装置10において、有効検査領域Saが拡げられたことを説明するための説明図であり、上方に観察光学系側から保持ステージ34を見た様子を示し、下方に上方のIII−III線に沿って得られた断面を示している。
【図11】実施例2の検査装置10Aの構成を模式的に示す説明図である。
【図12】実施例3の検査装置10Bの保持機構13Bの構成を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本願発明に係る検査装置の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0028】
先ず、本願発明に係る実施例1の検査装置10の概略的な構成について説明する。図1は、本願発明に係る検査装置の一例としての検査装置10の構成を模式的に示す説明図である。図2は、検査装置10の機能構成を示すブロック図である。なお、図5では、理解容易のために、検査対象ワーク40におけるウェハ41およびテープ42を省略して示している。
【0029】
検査装置10は、図1および図2に示すように、観察機構11と、反射照明機構12と、保持機構13と、透過照明機構14と、制御機構15と、から大略構成されている。この検査装置10は、図1に示すように、本体部21を有する。この本体部21には、図示は略すが、リレーレンズやレボルバー式のターレット部が設けられており、そのターレット部には複数個の対物レンズ鏡筒22が設けられている。この各対物レンズ鏡筒22には、対物レンズ23が設けられている。この本体部21の上部に、撮像カメラ24が取り付けられている。この撮像カメラ24は、設定された対物レンズ23により定まる倍率にしたがって、当該対物レンズ23および本体部21(リレーレンズ)を経て、その光軸(観察光軸Oa)上の所定の位置の画像データを取得することができる。このため、撮像カメラ24、本体部21、各対物レンズ鏡筒22およびその対物レンズ23は、観察機構11における観察光学系として機能し、その光軸が観察光軸Oaとなる。また、観察光軸Oa上における撮像カメラ24が適切な画像を取得可能な位置すなわち観察光学系における焦点位置を含み当該観察光軸Oaに直交する平面(物体側の結像面)が観察面Fpとなる。以下では、観察光軸Oaの方向をZ軸方向とし、そこに直交する面をX−Y平面とする。この撮像カメラ24により取得された画像データは、後述する画像制御部61により、適宜解析されるとともにモニタ39に表示可能とされている(図2参照)。
【0030】
その本体部21の内部には、観察光軸Oa上にハーフミラーまたはプリズムで構成された反射部材25が設けられている。本体部21では、反射部材25による観察光軸Oaからの反射方向に、コネクタ部26を介して導光ファイバ27が取り付けられている。この導光ファイバ27は、同軸用光源28から出射された照射光を反射部材25へと導光することが可能とされている。その同軸用光源28は、図2に示すように、ハロゲンランプ28aとストロボ28bとの双方を選択的に発光させることが可能とされており、いずれが発光されても導光ファイバ27へと出射させることが可能とされている。この同軸用光源28から出射された照射光は、図1に示すように、導光ファイバ27および反射部材25を経て観察光軸Oa上を進行し、各対物レンズ鏡筒22の対物レンズ23を経て観察光軸Oa上で観察面Fpを照明することができる。このため、同軸用光源28、導光ファイバ27および反射部材25は、各対物レンズ鏡筒22の対物レンズ23との協働により、観察光学系に対して、後述する検査対象物(44)からの同軸方向での反射光を生成するための反射照明機構12、すなわち同軸落射照明機構29として機能する。
【0031】
この本体部21は、後述するZ軸駆動機構66(図2参照)により、観察光軸Oa方向(Z軸方向)に移動可能とされている。このため、観察機構11における観察光学系と、同軸落射照明機構29とは、一体的に観察光軸Oa方向(Z軸方向)に移動可能とされている。
【0032】
また、本体部21には、図1に示すように、対物レンズ鏡筒22の外周を包囲するようにして照明光導出用リング盤30が設けられている。この照明光導出用リング盤30は、図示は略すが観察光軸Oaと所定の間隔を置いて当該観察光軸Oaを取り囲むように複数の発光部が設けられており、各発光部は観察光軸Oaに対して傾斜する方向から観察面Fpへ向けて照射可能とされている。照明光導出用リング盤30には、導光ファイバ31が取り付けられている。この導光ファイバ31は、リング用光源32から出射された照射光を照明光導出用リング盤30の各発光部(図示せず)へと導光することが可能とされている。そのリング用光源32は、図2に示すように、ハロゲンランプ32aとストロボ32bとの双方を選択的に発光させることが可能とされており、いずれが発光されても導光ファイバ31へと出射させることが可能とされている。このリング用光源32から出射された照射光は、図1に示すように、導光ファイバ31を経て、照明光導出用リング盤30の各発光部(図示せず)から観察光軸Oaに対して傾斜する方向で観察面Fpを照明することができる。このため、リング用光源32、導光ファイバ31および照明光導出用リング盤30(その各発光部)は、観察光学系に対して、後述する検査対象物(44)からの観察光軸Oaに傾斜する方向での反射光を生成するための反射照明機構12、すなわち斜光照明機構33として機能する。この照明光導出用リング盤30は、後述するZ軸駆動機構66(図2参照)により、観察光軸Oa方向(Z軸方向)に移動可能とされている。この観察光軸Oa方向への移動は、本体部21と一体的なものであってもよく、互いに独立するものであってもよい。
【0033】
この本体部21および照明光導出用リング盤30の下方に、保持機構13が設けられている。この保持機構13は、保持ステージ34を有する。この保持ステージ34は、図3に示すように、段付きの円筒形状を呈し、その環状の先端部34aで後述する検査対象物(44)の保持部を構成している。この先端部34aでは、円環状の環状溝34bが設けられるとともに、その溝内に真空引きのための吸引孔34cが設けられている。このため、保持ステージ34では、後述するように載置されたテープ42(図4等参照)を、先端部34aで吸着保持することが可能とされている。この保持ステージ34では、その内方に透過ステージ35が設けられている。
【0034】
透過ステージ35は、図1、図3、図5および図6に示すように、円板形状を呈し、上側(観察光学系側)の上端面35aが平坦面とされており、下側(透過照明機構14の後述する照射機構部16側)の下端面35bが散乱面とされている。この上端面35aは、実施例1では、研磨された平坦面とされており、下端面35bは、後述するような散乱効果を得る観点から拡散率等を適宜考慮して設定される。この透過ステージ35は、少なくとも透過照明機構14の後述する照射機構部16(その出射部53)から出射された透過光の透過を許す透明な部材(透過部材)で形成されており、実施例1では、ガラスで形成されている。透過ステージ35は、その周縁部の下端が、支持枠36(図6参照)を介して下方から支持されている。この支持枠36は、図6に示すように、円環状を呈し、複数のZ軸螺合部材37(図6では1つのみ図示している)により下方から支持されているとともに、複数の直交軸螺合部材38(図6では1つのみ図示している)によりZ軸方向上側(観察光学系側)への移動が制限されている。各Z軸螺合部材37は、保持ステージ34をZ軸方向に貫通して設けられており、ナット37aによりZ軸方向での位置決めが可能とされている。このZ軸螺合部材37は、Z軸を中心とする回転方向で見て所定の間隔をおくように、少なくとも3点以上設けられている。各直交軸螺合部材38は、先端が円錐形状とされており、支持枠36の上端位置の傾斜面との係合が可能とされている。このため、保持ステージ34では、各Z軸螺合部材37による支持位置を適宜変更することにより、Z軸方向すなわち観察光軸Oa方向で見た透過ステージ35の位置(高さ位置)と、当該観察光軸Oaに対する透過ステージ35(上端面35a)の傾斜と、の双方を調節可能に、当該透過ステージ35が設けられている。このことから、各Z軸螺合部材37と各直交軸螺合部材38とは、保持ステージ34に対して、透過ステージ35を観察光軸Oaに関する位置調整を可能に保持する位置調整機構として機能する。
【0035】
この透過ステージ35は、厚さ寸法すなわち上端面35aと下端面35bとの間隔が、透過ステージ35における光学的な特性および硬度特性を勘案しつつ、以下の3点を考慮して設定されている。実施例1では、透過ステージ35の厚さ寸法は、5cm〜15cmの範囲であって、全体に均等なものとされている。
【0036】
1点目は、透過照明機構14の後述する照射機構部16から出射されて下端面35bへと入射し上端面35aから出射した透過光において、所定の光量を確保することができることである。これは、透過ステージ35では、観察光学系を経て撮像カメラ24で取得した画像で見て、後述する検査対象物(44)が適切に照明されている必要があることによる。この点は、主に透過ステージ35の厚さ寸法の上限値に影響する。
【0037】
2点目は、周縁部の下端が下方から支持されていることに起因して、中央位置において、落ち込むような撓み変形の変形量が所定の範囲以内であることである。これは、透過ステージ35では、後述するように、上端面35aが、後述する検査対象物(44)を観察光学系における適切な位置である観察面Fp上に位置させる機能を有していることから、上端面35aを全面に渡って観察面Fpに沿うものとする必要があることによる。このため、上述した変形量における所定の範囲とは、最大で観察光学系における被写界深度となる。この点は、主に透過ステージ35の厚さ寸法の下限値に影響する。
【0038】
3点目は、散乱面とされた下端面35bによる散乱効果が、上端面35aから出射される透過光において十分に得られていることである。詳細には、観察面Fp上のテープ42を照射する透過光、すなわち上端面35aから出射される透過光を、所定の散乱状態とすることを可能とするように、下端面35bにおける散乱面の度合い(粗面度)を勘案して設定されている。ここで、所定の散乱状態とは、撮像カメラ24からの画像データにおいてテープ42における複数の影の部分が生じることを防止すること、すなわち透過照明機構14からの透過光が照射された観察面Fp上のテープ42を、観察光学系を経て撮像カメラ24で取得した際、その画像データにおいてテープ42が一様に明るい状態となること、を言う。
【0039】
この透過ステージ35を保持する保持ステージ34は、図1に示すように、後述するXY駆動機構64(図2参照)により、観察光軸Oa(観察光学系)に対して、そこに直交するX−Y平面上で移動可能とされている。また、保持ステージ34は、後述する回転駆動機構65(図2参照)により、Z軸回りに回転可能とされている。この保持ステージ34には、検査対象ワーク40が吸着保持される。
【0040】
検査対象ワーク40は、図4に示すように、ウェハ41(ガラス基板等も含むものとする)が貼り付けられたテープ(フィルム)42を、環状部材43の内方で保持して構成されている。この検査対象ワーク40では、(a)に示すように、ウェハ41から形成される複数の半導体素子44が、テープ42に貼り付けられたまま各境界面で切断(ダイシング)された状態であるものと、(b)に示すように、テープ42に貼り付けられて切断された後にテープ42が引き伸ばされて各個に分断(エキスパンド)された状態であるものとがある。ここで、環状部材43は、状態の差異(検査対象ワーク40の種類)に拘らず、保持ステージ34の先端部34a(図1参照)よりも大きな径寸法とされている。検査装置10では、それらのいずれの状態であっても、各半導体素子44が適切に形成されているか否かを検査するために用いられる。このため、各半導体素子44を検査対象物として、検査対象ワーク40の状態を維持したまま当該検査対象物の検査を行うことができる。この検査対象ワーク40では、図1、図5および図6に示すように、環状部材43の内方に保持ステージ34が位置され、その先端部34aにテープ42が載置された状態において、環状溝34bおよび吸引孔34cの作用により、テープ42が先端部34aに吸着保持される。このとき、保持ステージ34において、透過ステージ35の上端面35aが先端部34a(吸着保持位置)よりも上方(観察光学系側)に位置するものとされると、テープ42における吸着保持された箇所よりも内方に位置する領域が、透過ステージ35の上端面35aにより引っ張られるので、当該上端面35aに貼り付くように平坦化される(図1参照)。このため、透過ステージ35を観察光軸Oaに関して位置調整することにより、テープ42に貼り付けられた検査対象物(各半導体素子44)を適切な状態で観察面Fp上に位置させることができる。この保持ステージ34の下方に透過照明機構14としての照射機構部16が設けられている(図1参照)。
【0041】
透過照明機構14は、図1に示すように、保持ステージ34により吸着保持された検査対象物(各半導体素子44)に対して、観察光学系(観察機構11)とは反対側から透過光を照射するものである。この透過照明機構14は、照射機構部16を有する。その照射機構部16は、後述する導光部52を経て透過用光源51から出射された透過光を後述する出射部53へと導光することが可能とされている。その透過用光源51は、図2に示すように、ハロゲンランプ51aとストロボ51bとの双方を選択的に発光させることが可能とされており、いずれが発光されても導光部52へと出射させることが可能とされている。
【0042】
この照射機構部16は、上述した透過用光源51(図2参照)に加えて、図5および図6に示すように、導光部52と出射部53と支持部54とを有する。導光部52は、図示は略すが一端側に設けられた入射面が透過用光源51(図2参照)のハロゲンランプ51aおよびストロボ51bから発光された光(透過光)を入射可能とすべくそれぞれに対向されて設けられており、当該入射面から入射された透過用光源51(図2参照)からの透過光を他端側に設けられた出射面52a(図6参照)へと導く。この導光部52は、実施例1では、光ファイバで形成されている。導光部52の出射面52aに出射部53が接続されている(図6参照)。
【0043】
その出射部53は、筒状の筐体53aに少なくとも1つ以上の光学素子53bが収容されて構成されている。この光学素子53bは、導光部52の出射面52aに対向する入射面53cと、そこから入射された透過光を出射する出射面53dと、を構成している。光学素子53bは、入射面53cから入射された透過光を所望の状態として出射面53dから出射すべく、所定の光学的特性を有するものとされている。この光学素子53bの中心軸位置となる回転対称軸を、照射機構部16(透過照明機構14(透過照明系))の透過光軸Pa(図1参照)とする。この照射機構部16では、導光部52から出射部53へと透過光が入射されると、出射部53から透過光軸Paに沿う透過光を出射する。光学素子53bにおける所定の光学的特性とは、進行方向となる透過光軸Paに直交する断面で見た光量分布が均一化されていることと、照射領域の拡がり(拡散)が抑制されていることと、を言う。この光学素子53bは、上述した所定の光学的特性(インテグレータ機能および拡散防止(集光)機能)を有する光学素子で構成されており、実施例1では、光学素子53bは、ロッドインテグレータ光学部材で構成されている。
【0044】
また、実施例1では、筐体53aにおいて光学素子53bの入射面53cよりも下方に位置する下端部53eが筒状とされており、導光部52の他端部(出射面52aが設けられている側の端部)を内方に嵌入可能とされている。このため、出射部53と導光部52とは、導光部52の他端部を出射部53の下端部53eに嵌入することにより、導光部52の出射面52aと出射部53の入射面53cとが突き合わされて連結(接続)される。この状態において、導光部52と出射部53とが、支持部54により固定的に支持されている。
【0045】
このため、照射機構部16では、透過用光源51から出射した透過光を、導光部52を経て出射部53へと進行させ、均一な光量分布の略平行光として出射部53から透過光軸Pa(図1参照)方向へ向けて出射させて、透過ステージ35の下端面35bを照射することができる。この透過光は、散乱面とされた下端面35bにより、散乱光とされて観察面Fpを裏面側から照射する。この透過光は、少なくとも保持ステージ34に吸着保持された検査対象ワーク40のテープ42を透過して、観察光学系(撮像カメラ24)により観察可能とされている(図1参照)。このため、照射機構部16(透過用光源51、導光部52および出射部53)は、散乱面とされた透過ステージ35の下端面35bと協働として、観察光学系とは反対側から観察面Fp(検査対象物(半導体素子44))を照射する透過光を生成する透過照明機構14として機能する。実施例1では、透過光軸PaがZ軸方向に平行に設定されており、透過光軸Paと観察光軸Oaとが一致するように、観察光学系に対する照射機構部16の位置が設定されている。また、透過照明機構14は、ロッドインテグレータ光学部材で構成された照射機構部16の光学素子53bにより、観察面Fp上で見た透過光の照射領域で、観察光学系(撮像カメラ24)により観察可能な観察領域を充足することを可能とするように設定されている。
【0046】
この検査装置10では、上述したように構成された観察機構11、反射照明機構12、保持機構13および透過照明機構14が、制御機構15(図2参照)の制御下で統括的に制御される。この制御機構15は、図2に示すように、画像制御部61と、照明制御部62と、駆動制御部63とを有している。
【0047】
画像制御部61は、撮像カメラ24により取得された画像データを適宜解析する。この解析とは、テープ42に貼り付けられた複数の検査対象物(半導体素子44)の輪郭線を認識することや、観察点におけるフォーカス状態を判断することや、各検査対象物における欠陥を認識することや、各検査対象物に設けられた電極や配線等の不備を認識することや、ウェハ41からの各検査対象物(半導体素子44)の切り出し不良を認識すること等があげられる。また、画像制御部61は、撮像カメラ24により取得された画像データに基づく映像をモニタ39に表示させる。
【0048】
照明制御部62は、同軸用光源28とリング用光源32と透過用光源51とを適宜点消灯制御を行う。すなわち、照明制御部62は、同軸用光源28、リング用光源32および透過用光源51において、ハロゲンランプ(28a、32a、51a)もしくはストロボ(28b、32b、51b)を選択的に適宜点消灯させるとともに、同軸用光源28、リング用光源32および透過用光源51を、同時にまたは個別に点灯および消灯させる。このハロゲンランプ(28a、32a、51a)は、観察用照明として用いるものであり、ストロボ(28b、32b、51b)は検査用照明として用いるものである。また、照明制御部62は、各光源(28、32、51)において、検査用照明としてのストロボ(28b、32b、51b)の明るさ調整が可能とされている。この明るさ調整は、例えば、複数のNDフィルタのいずれかを適宜選択することで、実現することができる。
【0049】
駆動制御部63は、XY駆動機構64、回転駆動機構65およびZ軸駆動機構66を適宜駆動制御する。すなわち、駆動制御部63は、Z軸駆動機構66を駆動制御することにより、観察機構11における観察光学系および同軸落射照明機構29を観察光軸Oa方向(Z軸方向)に適宜移動させることができるとともに、斜光照明機構33を観察光軸Oa方向(Z軸方向)に適宜移動させることができる。これにより、保持ステージ34に吸着保持された検査対象ワーク40の検査対象物(各半導体素子44)を、適切な照明の下で、適切に観察することを可能とする。また、駆動制御部63は、XY駆動機構64および回転駆動機構65を駆動制御することにより、保持ステージ34すなわちそこに吸着保持された検査対象ワーク40を、観察光軸Oa(観察光学系)および透過光軸Pa(照射機構部16)に対して、そこに直交するX−Y平面上で適宜移動させることができるとともに、観察光軸Oa(透過光軸Pa(Z軸方向))回りに適宜回転させることができる。これにより、保持ステージ34に吸着保持された検査対象ワーク40における任意の位置の検査対象物(半導体素子44)を検査することが可能となる。
【0050】
制御機構15では、この他にも、上述した保持ステージ34における吸着動作の制御等が可能とされているとともに、検査のための画像データの比較等が可能とされている。
【0051】
この検査装置10では、先ず、検査対象とする検査対象物が貼付された検査対象ワーク40に応じて、透過ステージ35の観察光軸Oaに関する位置調整を行う。これは、以下のことによる。検査装置10では、保持ステージ34の先端部34aで環状部材43の内方位置のテープ42を吸着保持するものであることから、テープ42の周縁部が下方から支持されていることに起因して、中央位置が落ち込むように撓み変形することがある。すると、この撓み変形によりテープ42上の各半導体素子44が観察面Fpからずれてしまい、観察光学系(撮像カメラ24)による適切な観察が出来なくなる虞がある。このテープ42の撓み変形の量および状態は、テープ42の材質や貼付された各半導体素子44の位置および個数等に応じて異なるものであることから、検査対象ワーク40の種類に応じて異なるものとなる。このため、対象とする検査対象ワーク40を保持ステージ34で吸着保持した状態において、テープ42上の各半導体素子44を観察面Fp上に位置させるように、テープ42の撓み変形の量および状態に応じて、透過ステージ35のZ軸すなわち観察光軸Oa方向で見た位置(高さ位置)と、当該観察光軸Oaに対する透過ステージ35(上端面35a)の傾斜と、の双方を調節する。
【0052】
このとき、テープ42の撓み変形が大きいほど、透過ステージ35の上端面35aを保持ステージ34の先端部34a(吸着保持位置)よりも上方(観察光学系側)に位置させる。これは、以下のことによる。透過ステージ35の上端面35aを保持ステージ34の先端部34aよりも上方に位置させると、テープ42における吸着保持された箇所よりも内方に位置する領域が、透過ステージ35の上端面35aにより上方に引っ張られるので、当該上端面35aにテープ42が貼り付くように平坦化される。このため、テープ42の撓み変形に応じて、透過ステージ35の上端面35aを上方に位置させることにより、テープ42に貼り付けられた検査対象物(各半導体素子44)をより適切な状態で観察面Fp上に位置させることができる。このとき、透過ステージ35の上端面35aに高さ位置に応じて、観察機構11、反射照明機構12および透過照明機構14の照射機構部16をZ軸方向に適宜移動させることは言うまでもない。このテープ42の撓み変形の量および状態は、例えば、撮像カメラ24からの画像データを画像制御部61で解析することにより、取得することができる。
【0053】
検査装置10では、次に、保持ステージ34で検査対象ワーク40を吸着保持して、チップスキャンを行う。このチップスキャンでは、保持ステージ34の先端部34aの内方位置すなわち検査対象ワーク40(テープ42)において吸着保持された箇所よりも内方位置を全面に渡って走査するように、駆動制御部63により、観察光軸Oaに対して保持ステージ34を移動させる。この走査では、透過照明機構14からの透過光を照射しつつ撮像カメラ24による画像の取得を行う。
【0054】
次に、チップマップの作成を行う。このチップマップとは、検査対象ワーク40(テープ42)における各検査対象物(半導体素子44)の位置、および姿勢を示すものである。制御機構15では、チップスキャンによる撮像カメラ24からの画像データを画像制御部61で解析することにより、輪郭線を認識することでテープ42に貼り付けられた複数の検査対象物(半導体素子44)を判別するとともに、駆動制御部63による移動位置情報を加味することで、各検査対象物(半導体素子44)の位置および姿勢を取得する。
【0055】
次に、検査対象物(半導体素子44)の判定を行う。この判定では、作成したチップマップに基づいて、観察光学系による観察位置を決定し、その決定に応じて駆動制御部63により保持ステージ34を移動させる。その後、その観察位置にある検査対象物(半導体素子44)を、その検査対象物の良品のデータと比較し、当該検査対象物(半導体素子44)の良否の判断を行う。この良否の判断は、撮像カメラ24からの画像データを画像制御部61で解析することにより行う。
【0056】
この検査対象物(半導体素子44)の判定を、作成したチップマップに基づいて、検査対象ワーク40(テープ42)上のすべての検査対象物(半導体素子44)に対して順次行うことにより、当該検査対象ワーク40に対する検査が終了する。なお、この検査は、画像制御部61の制御下でモニタ39に表示された、撮像カメラ24により取得された画像データに基づく映像を目視することにより、行うこともできる。
(技術の課題)
次に、技術の課題について、図7ないし図9を用いて説明する。図7は、技術の課題を説明するための検査装置10´の保持機構13´および透過照明機構14´の構成を示す説明図である。この検査装置10´は、実施例1の検査装置10に対して、保持ステージ34´に透過ステージ35が設けられておらず、かつ透過照明機構14´(その照射機構部16´)の用い方およびその機能が異なるものとされた例である。検査装置10´は、基本的な構成は上記した検査装置10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0057】
先ず、一般的に、検査対象物となる半導体素子では、ウェハ41が貼り付けられたテープ(フィルム)42を環状部材43の内方で保持している状態である検査対象ワーク40(図4参照)のままで取り扱われることが多く見られることから、複数の半導体素子44の検査も検査対象ワーク40(図4参照)のままで取り扱うことが望ましい。このため、検査装置10´では、上述したように、保持ステージ34´の先端部34aで、環状部材43の内方位置のテープ42を吸着保持して、観察機構11、反射照明機構12(図1参照)および透過照明機構14´を用いて、そのテープ42に貼付された各半導体素子44の検査を行うものとしている。
【0058】
このとき、検査対象物である各半導体素子44を観察機構11(観察光学系(撮像カメラ24(図1参照)))における適切な位置である観察面Fp上に位置させるために、その各半導体素子44が貼付されたテープ42を平坦な状態としつつ保持する必要がある。これは、保持ステージ34´の先端部34aで環状部材43の内方位置のテープ42を吸着保持するものであることから、テープ42の周縁部が下方から支持されていることに起因して、中央位置が落ち込むように撓み変形することがあり、この撓み変形によりテープ42上の各半導体素子44が観察面Fpからずれてしまうことがあることによる。ところが、検査装置10´では、保持ステージ34´に透過ステージ35が設けられていない。そのため、透過照明機構14´(その照射機構部16´)の用い方およびその機能が、検査装置10とは異なるものとされている。
【0059】
詳細には、検査装置10´では、図7に示すように、透過照明機構14´の照射機構部16´の出射部53´の光学素子53b´の上側(観察光学系側)の出射面53d´が平坦面とされている。この検査装置10´では、保持ステージ34´の先端部34aで環状部材43の内方位置のテープ42を吸着保持した際、図7および図8に示すように、照射機構部16´の出射部53´の出射面53d´を、テープ42の裏面(照射機構部16´側の面)に押し当ててその当接箇所を持ち上げることで、検査対象物を観察光学系(撮像カメラ24(図1参照))における適切な位置である観察面Fp上に位置させる。このように、検査装置10´では、透過照明機構14´としての照射機構部16´の出射部53´の出射面53d´が、検査対象物を観察光学系(撮像カメラ24)における適切な位置である観察面Fp上に位置させる機能を有している。
【0060】
ところが、照射機構部16´の出射部53´では、筒状の筐体53a´に光学素子53b´が収容されて構成されていることから、照射可能な領域が光学素子53b´の出射面53d´(その面積)に略等しいものとなる。これに対して、透過光軸Pa(Z軸方向)に直交する方向で見て、保持ステージ34´の内方における照射機構部16´の相対的に移動可能な領域は、その筐体53a´と保持ステージ34´の内周壁面との干渉により制限されてしまう(図9参照)。このため、照射機構部16´(透過照明機構14´)では、図9に示すように、保持ステージ34´の内方において、その内周壁面に筐体53a´を当接させた状態(正確には、当接する寸前の位置)における光学素子53b´の位置を最外位置とする領域が有効に透過光を照射できる領域(有効検査領域Sa´)となり、保持ステージ34´においてテープ42を吸着保持する先端部34aの内方の全領域に透過光を照射することができない。換言すると、保持ステージ34´の先端部34aの内方を検査領域として最大限に利用することができず、テープ42を保持する保持ステージ34´により、検査の作業効率の低下を招いてしまう虞がある。
(透過照明機構14および透過ステージ35による作用)
検査装置10では、透過照明機構14における照射機構部16(その出射部53)が、保持ステージ34から離れた位置(保持ステージ34の外方)から当該保持ステージ34に吸着保持された検査対象物(各半導体素子44)を照射する構成としている(図5等参照)。このため、保持ステージ34と照射機構部16(その出射部53)とを、透過光軸Paに直交する方向に相対的に移動させても、保持ステージ34と照射機構部16(その出射部53)とが干渉することはない(図10参照)。このため、図10に示すように、照射機構部16の出射部53に筐体53aが設けられていることに拘らず、光学素子53bから出射された透過光で、透過光軸Paに直交する方向で見て保持ステージ34の内周壁面に至る位置まで照射することができるので、保持ステージ34においてテープ42を吸着保持する先端部34aの内方の全領域(符号Sa参照)に透過光を照射することができる。このため、保持ステージ34の内方を全域に渡って有効検査領域Saとすることができ、当該内方領域を最大限に利用することができる。
【0061】
このとき、保持ステージ34に設けられた透過ステージ35の上端面35aが、保持ステージ34に吸着保持されたテープ42(検査対象ワーク40)を平坦な状態とするとともに、そこに貼付された検査対象物(各半導体素子44)を観察面Fp上に位置させている(図1および図6等参照)。このため、観察機構11(観察光学系(撮像カメラ24))により、検査対象物(各半導体素子44)を適切に観察することができる。
【0062】
このように、本発明に係る検査装置10では、透過照明機構14の照射機構部16(その出射部53)が、保持ステージ34から離れた位置(保持ステージ34の外方)から当該保持ステージ34に吸着保持された検査対象物(各半導体素子44)を照射する構成であることから、照射機構部16(その出射部53)と保持ステージ34とが干渉することを確実に防止することができる。このため、照射機構部16の出射部53に筐体53aが設けられていることに拘らず、光学素子53bから出射された透過光で、透過光軸Paに直交する方向で見て、保持ステージ34の内周壁面に至る位置まで照射することができるので、保持ステージ34においてテープ42を吸着保持する先端部34aの内方の全領域に透過光を照射することができる。これにより、保持ステージ34の内方を全域に渡って有効検査領域Saとすることができ、有効な検査領域を最大限に確保することができる。
【0063】
また、検査装置10では、保持ステージ34に設けられた透過ステージ35の上端面35aにより、保持ステージ34に吸着保持されたテープ42(検査対象ワーク40)を平坦な状態として、そこに貼付された検査対象物(各半導体素子44)を観察面Fp上に位置させることができるので、透過照明機構14の照射機構部16(その出射部53)が、保持ステージ34から離れた位置から検査対象物(各半導体素子44)を照射する構成としても、観察機構11(観察光学系(撮像カメラ24))により適切な観察を行うことができる。
【0064】
さらに、検査装置10では、検査対象ワーク40(そのテープ42)を保持ステージ34で吸着保持する際、透過ステージ35の上端面35aを保持ステージ34の先端部34a(吸着保持位置)よりも上方(観察光学系側)に位置するものとすることができるので、テープ42に貼り付けられた検査対象物(各半導体素子44)をより適切に観察面Fp上に位置させることができる。
【0065】
検査装置10では、透過ステージ35が、位置調整機構により保持ステージ34に対して観察光軸Oaに関する位置調整が可能とされていることから、テープ42の撓み変形の量および状態に応じて、テープ42に貼り付けられた検査対象物(各半導体素子44)をより適切に観察面Fp上に位置させることができる。
【0066】
検査装置10では、透過照明機構14の照射機構部16(その出射部53)が、照射領域の拡がり(拡散)を抑制する光学性能(インテグレータ機能)を有していることから、観察面Fp上における観察光学系(撮像カメラ24)に対する適切な領域を照射することができるので、より効率的に観察光学系(撮像カメラ24)による適切な観察を可能とすることができる。
【0067】
検査装置10では、透過照明機構14の照射機構部16(その出射部53)が、進行方向となる透過光軸Paに直交する断面で見た光量分布を均一化する光学性能(拡散防止(集光)機能)を有していることから、観察光学系(撮像カメラ24)によるより適切な観察を可能とすることができる。
【0068】
検査装置10では、透過ステージ35の下端面35bが散乱面とされていることから、観察光学系(撮像カメラ24)からの画像データにおいて、透過照明機構14からの透過光(照射機構部16から出射されて散乱面を経た透過光)が照射されたテープ42における複数の影の部分が生じることを防止することができるので、透過照明機構14を用いて、テープ42に貼付された検査対象物(実施例1では各半導体素子44)の情報を正確に得ることができる。これは、以下のことによる。テープ42では、透過照明が照射された状態を観察光学系(撮像カメラ24)からの画像データで観察すると、何らの部材が貼り付けられていない状態であっても、一様に明るい状態ではなく線状や点状の部分的に暗い箇所(上述した影の部分)が存在してしまう。この影の部分は、テープ42には、塵埃等が付着していたり接着剤の斑が生じていたりすることに起因するものと考えられる。このような影の部分は、透過照明機構14を用いてテープ42に貼付された検査対象物(各半導体素子44)を検査する際、ノイズ成分として作用してしまい、当該検査対象物の検査精度の低下を招いてしまう虞がある。これに対し、検査装置10では、透過照明機構14において、照射機構部16(その出射部53)からの透過光が、散乱面である透過ステージ35の下端面35bを経ることにより散乱光とされているので、透過照明機構14からの透過光が照射された観察面Fp上のテープ42を、観察光学系を経て撮像カメラ24で取得した際、その画像データにおいてテープ42における複数の影の部分を殆ど認識できなくすることができる。これは、テープ42の付着した塵埃等や接着剤の斑に対して、様々な角度方向で透過光を照射することに起因するものと考えられる。このように、観察光学系(撮像カメラ24)からの画像データにおけるノイズ成分を除去することができるので、透過照明機構14を用いて、テープ42に貼付された検査対象物(各半導体素子44)の情報を正確に得ることができる。
【0069】
検査装置10では、散乱面とされた下端面35bが、透過光軸Pa方向で見て、観察面Fpを規定する透過ステージ35の上端面35aから所定の間隔を置いて設けられていることから、散乱面とされたことによる散乱効果を確実に得ることができるので、観察光学系(撮像カメラ24)からの画像データにおいて、透過照明機構14からの透過光が照射されたテープ42における複数の影の部分が生じることを確実に防止することができる。なお、ガラスで形成された透過ステージ35の上端面35aを観察面Fpとしかつ下端面35bを散乱面として実験したところ、観察面Fpと散乱面との間隔を3cm以上とすることにより、所望の散乱効果を得ることができた。
【0070】
検査装置10では、検査対象物を観察面Fp上に位置させる上端面35aが設けられた透過ステージ35の下端面35bで、透過照明機構14としての散乱面を構成していることから、観察光学系(観察機構11)において適切な観察地点である観察面Fp(上端面35a)に対する透過光軸Pa方向で見た散乱面(下端面35b)の位置、すなわち透過光軸Pa方向で見た観察面Fpと散乱面との間隔を容易にかつ確実に設定することができる。
【0071】
検査装置10では、上端面35aが設けられた透過ステージ35の下端面35bで透過照明機構14としての散乱面を構成していることから、検査対象物を観察面Fp上に位置させる機能および画像データ上におけるノイズ成分を除去する機能を、透過ステージ35を設けるだけで実現することができるので、簡易な構成とすることができる。
【0072】
検査装置10では、透過光軸Pa方向で見た上端面35aと下端面35bとの間隔(透過ステージ35の厚さ寸法)が、照射機構部16(その出射部53)から出射されて透過ステージ35を経た透過光における光量も考慮して設定されていることから、所定の光量で観察面Fp上の検査対象物に透過光を照射することができるので、透過照明機構14を用いて検査対象物(実施例1では各半導体素子44)の情報をより正確に得ることができる。
【0073】
検査装置10では、透過光軸Pa方向で見た上端面35aと下端面35bとの間隔(透過ステージ35の厚さ寸法)が、透過ステージ35の撓み変形の変形量が所定の範囲以内とする点も設定されていることから、観察光学系(撮像カメラ24)により適切に観察することができる。
【0074】
したがって、本発明に係る検査装置10では、環状部材43に保持されたテープ42に貼り付けられた検査対象物(各半導体素子44)を、透過照明を用いて効率良く適切に検査することができる。
【実施例2】
【0075】
次に、本発明の実施例2に係る検査装置10Aについて、図11を用いて説明する。この実施例2は、実施例1の検査装置10に対して、保持ステージ34A(保持機構13A)における位置調整機構の構成が異なる例である。この実施例2の検査装置10Aは、基本的な構成は上記した実施例1の検査装置10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
検査装置10Aでは、図11に示すように、保持機構13Aの保持ステージ34Aにおける位置調整機構として、各Z軸螺合部材37の代わりに、複数のZ軸調整機構71が設けられている。このZ軸調整機構71は、Z軸螺合部材37と同様に、少なくとも3点以上設けられている(図11では2つのみ図示している)。各Z軸調整機構71は、駆動モータ72と、その回転軸72aに取り付けられたカム部材73と、それにより変動されるZ軸支持部74と、を有する。駆動モータ72は、Z軸調整機構71における駆動源であり、回転軸72aで回転駆動力を出力する。その回転軸72aにカム部材73が接続されている。そのカム部材73は、円板状を呈し、軸線から偏心した位置で回転軸72aに接続されている。カム部材73は、外側面でZ軸支持部74に当接可能とされている。そのZ軸支持部74は、棒状を呈し、Z軸方向で見てカム部材73の上側(透過ステージ35側)で保持ステージ34AをZ軸方向に貫通して設けられており、Z軸方向に移動自在とされている。Z軸支持部74は、上側(観察光学系側)の一端が支持枠36を下方から支持しており、下側の他端がカム部材73の外側面に当接されている。
【0077】
このZ軸調整機構71では、駆動モータ72を適宜駆動制御することにより、カム部材73の回転軸72a回りの回転姿勢に応じて、Z軸支持部74をZ軸方向に移動させることができる。このため、保持ステージ34Aでは、各Z軸調整機構71を適宜駆動させて、各Z軸支持部74による支持位置を適宜変更することにより、Z軸方向すなわち観察光軸Oa方向で見た透過ステージ35の位置(高さ位置)と、当該観察光軸Oaに対する透過ステージ35(上端面35a)の傾斜と、の双方を調節可能に、当該透過ステージ35が設けられている。このことから、各Z軸螺合部材37は、保持ステージ34Aに対して、透過ステージ35を観察光軸Oaに関する位置調整を可能に保持する位置調整機構として機能する。検査装置10Aでは、制御機構15の駆動制御部63が、各Z軸調整機構71すなわちその駆動モータ72を適宜駆動制御することが可能とされている。
【0078】
この検査装置10Aでは、対象とする検査対象ワーク40を保持ステージ34Aで吸着保持した状態において、撮像カメラ24からの画像データを制御機構15の画像制御部61で解析することにより、テープ42の撓み変形の量および状態を取得する。次に、そのテープ42の撓み変形の量および状態に応じて、制御機構15の駆動制御部63が、テープ42上の各半導体素子44を観察面Fp上に位置させるように、各Z軸調整機構71の駆動モータ72を適宜駆動制御することにより、Z軸方向すなわち観察光軸Oa方向で見た透過ステージ35の位置(高さ位置)と、当該観察光軸Oaに対する透過ステージ35(上端面35a)の傾斜と、の双方を調節する。次に、その観察光軸Oaに関する位置が調整された透過ステージ35の上端面35a上のテープ42に貼り付けられた検査対象物(各半導体素子44)を、観察面Fp上に位置させるべく、制御機構15の駆動制御部63が、観察機構11、反射照明機構12および透過照明機構14(その照射機構部16)をZ軸方向に適宜移動させる。これにより、テープ42に貼り付けられた検査対象物(各半導体素子44)が、適切な状態で観察面Fp上に位置される。このため、検査装置10Aでは、実施例1の検査装置10と同様に、当該検査対象物(各半導体素子44)を検査することができる。
【0079】
実施例2の検査装置10Aでは、基本的に実施例1の検査装置10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0080】
それに加えて、実施例2の検査装置10Aでは、対象とする検査対象ワーク40のテープ42上の検査対象物(実施例2では各半導体素子44)を、自動で観察面Fp上に位置させることができるので、迅速かつ適切に検査対象物(実施例2では各半導体素子44)を検査することができる。
【0081】
したがって、本発明に係る検査装置10Aでは、環状部材43に保持されたテープ42に貼り付けられた検査対象物(各半導体素子44)を、透過照明を用いて効率良く適切に検査することができる。
【0082】
なお、実施例2では、各Z軸調整機構71が、駆動モータ72(回転軸72a)と、カム部材73と、Z軸支持部74と、により構成されていたが、制御機構15の駆動制御部63による駆動制御により、保持ステージ34Aに対して観察光軸Oaに関する透過ステージ35の位置を調整することができるものであればよく、実施例2の構成に限定されるものではない。
【実施例3】
【0083】
次に、本発明の実施例3に係る検査装置10Bについて、図12を用いて説明する。この実施例3は、実施例2に係る検査装置10Aに対して、保持機構13Bの構成が異なる例である。この実施例3の検査装置10Bは、基本的な構成は上記した実施例2の検査装置10Aと同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0084】
検査装置10Bでは、図12に示すように、保持機構13Bにおいて、押圧機構81が設けられている。この押圧機構81は、保持ステージ34Aの透過ステージ35(上端面35a)上に載置された検査対象ワーク40の保持を可能とするものである。詳細には、押圧機構81は、透過ステージ35の上端面35aが保持ステージ34Aの先端部34a(吸着保持位置)よりも上方(観察光学系側)に位置するように、保持ステージ34Aに対する透過ステージ35のZ軸方向での位置が調整された際、その透過ステージ35(その上端面35a)との協働により、テープ42に貼付された検査対象物(各半導体素子44)を適切に観察面Fp上に位置させつつ当該検査対象ワーク40を保持することを可能とする。
【0085】
この押圧機構81は、実施例3では、Z軸に直交する方向で見て、保持ステージ34Aの外方位置に設けられたスライド支持部82と、そのスライド支持部82によりZ軸方向に移動自在に保持された押圧腕部83とを有する。この押圧機構81は、少なくとも2点以上設けられている(図12では2つ図示している)。各押圧腕部83は、スライド支持部82から内方へ向けて延出されており、保持ステージ34Aの周辺で検査対象ワーク40の環状部材43を上方(観察光学系側)から押圧することが可能とされている。換言すると、各押圧腕部83は、Z軸方向で見て、少なくとも先端部分が、検査対象ワーク40の環状部材43と重なるように設けられている。
【0086】
検査装置10Bでは、基本的には、保持ステージ34Aの先端部34aで、検査対象ワーク40のテープ42を吸着保持する。ここで、透過ステージ35の上端面35aが保持ステージ34Aの先端部34a(吸着保持位置)よりも上方(観察光学系側)に位置するように、保持ステージ34Aに対して透過ステージ35のZ軸方向での位置が調整された際、その上端面35aに載置されたテープ42を保持ステージ34Aの先端部34aでは吸着保持することができなくなる場合がある。これは、テープ42の撓み変形には、限界があることに起因するものであり、Z軸方向で見た上端面35aの位置と先端部34aの位置との差が大きくなることにより生じる。このとき、検査装置10Bでは、各押圧機構81において、各スライド支持部82に設けられた押圧腕部83を押し下げて(照射機構部16側(図11等参照)へ移動させて)、その各押圧腕部83で検査対象ワーク40の環状部材43を上方(観察光学系側(図11等参照))から下方へと押圧する。すると、検査対象ワーク40は、そのテープ42の中央が透過ステージ35の上端面35aにより押し上げられていることから、その上端面35aにテープ42が貼り付くように平坦化された状態で固定される。このことから、各押圧腕部83における押圧位置(高さ位置)は、透過ステージ35(その上端面35a)の観察光軸Oaに対する傾斜に応じて個別に設定する。なお、各押圧腕部83における押圧位置は、同一の高さ位置(Z軸方向で見た透過ステージ35に対する位置)であってもよい。このため、検査対象物(各半導体素子44)は、観察光学系における適切な位置である観察面Fp上に適切に位置されることとなる。この各スライド支持部82上での押圧腕部83の位置の移動は、制御機構15(その駆動制御部63)の制御下で行われる。なお、各スライド支持部82上での押圧腕部83の位置の移動は、手動により行うものであってもよい。この各押圧機構81では、検査対象ワーク40の環状部材43を押圧していない場面では、検査対象ワーク40の保持ステージ34A(透過ステージ35)上への載置の妨げとならないように、押圧腕部83がスライド支持部82により上方位置へと退避される。なお、押圧腕部83は、この退避のために、延出方向に伸縮自在な構成とされていてもよく、スライド支持部82回りに回動可能な構成とされていてもよい。
【0087】
実施例3の検査装置10Bでは、基本的に実施例2の検査装置10Aと同様の構成であることから、基本的に実施例2と同様の効果を得ることができる。
【0088】
それに加えて、実施例3の検査装置10Bでは、テープ42に貼付された検査対象物(各半導体素子44)を適切に観察面Fp上に位置させるべく保持ステージ34Aに対して透過ステージ35をZ軸方向に位置調整することに起因して、保持ステージ34Aの先端部34aでは吸着保持することができなくなった検査対象ワーク40であっても、押圧機構81での押圧により、その透過ステージ35の上端面35aに倣ってテープ42を平坦化させつつ固定することができるので、当該テープ42に貼付された検査対象物(各半導体素子44)を適切に検査することができる。
【0089】
また、検査装置10Bでは、押圧機構81が検査対象ワーク40の環状部材43を押圧するものであることから、当該検査対象ワーク40のテープ42やそこに貼付された検査対象物(各半導体素子44)への負荷を抑制しつつ、そのテープ42(検査対象物(各半導体素子44))を透過ステージ35の上端面35aに押し当てることができる。
【0090】
したがって、本発明に係る検査装置10Bでは、環状部材43に保持されたテープ42に貼り付けられた検査対象物(各半導体素子44)を、透過照明を用いて効率良く適切に検査することができる。
【0091】
なお、実施例3では、実施例2の検査装置10Aに押圧機構81を設けた検査装置10Bを示していたが、この押圧機構81を実施例1の検査装置10に適用してもよく、上記した実施例3の構成に限定されるものではない。
【0092】
また、実施例3では、押圧機構81がスライド支持部82と押圧腕部83とを有する構成とされていたが、保持ステージ(34A)の透過ステージ35(上端面35a)上に載置された検査対象ワーク40を、そのテープ42に貼付された検査対象物(各半導体素子44)を適切に観察面Fp上に位置させつつ保持することを可能とするものであればよく、上記した実施例3の構成に限定されるものではない。例えば、押圧機構は、保持ステージ(34A)において、先端部(34a)の内方位置と透過部材(35)と支持枠(36)との間を封止するとともに、先端部(34a)の内方位置と透過部材(35)と支持枠(36)とにより形成される環状の溝部を真空引きすることができる構成とすることにより、実現することができる。このような構成の場合、透過部材(35)の上端面(35a)に載置された検査対象ワーク40のテープ42を、その上端面(35a)を取り囲む位置で全周に渡って吸着することができる。このため、保持ステージ34Aの先端部34aによりテープ42を吸着保持することができるか否かに拘らず、テープ42における撓み変形による余剰分を環状の溝部に引き込むことができるので、テープ42に貼付された検査対象物(各半導体素子44)を適切に観察面Fp上に位置させることができる
さらに、実施例3では、押圧機構81の押圧腕部83が、検査対象ワーク40の環状部材43を上方(観察光学系側)から押圧する構成とされていたが、テープ42を押圧するものであってもよく、上記した実施例3の構成に限定されるものではない。
【0093】
なお、上記した各実施例では、本発明に係る検査装置の各例について説明したが、観察光軸上の所定の位置を観察面とする観察光学系と、該観察光学系側から前記観察面を照明する反射照明機構と、前記観察光学系とは反対側から前記観察面を照明する透過照明機構と、検査対象物が貼付されるテープを保持する環状部材の内側で前記透過照明機構側から前記テープを保持可能な筒状の保持ステージと、を備える検査装置であって、前記透過照明機構は、光源から導光された透過光を前記保持ステージの外方から前記観察面へ向けて出射する出射部を有し、前記保持ステージは、前記観察光学系側に前記観察面に沿う平面を規定する平坦面が設けられた板状を呈しかつ前記出射部から出射された透過光の透過を許す透過部材と、前記保持ステージに対して観察光軸方向に関する位置調整可能に前記透過部材を保持する位置調整機構と、を有することを特徴とする検査装置であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0094】
また、上記した各実施例では、透過照明機構において拡散部(拡散面)が設けられていたが、この拡散部は設けられていなくてもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0095】
さらに、上記した各実施例では、保持ステージ(34等)が先端部34aでテープ42を吸着保持する構成とされていたが、各半導体素子44を検査対象物とすべく検査対象ワーク40の状態を維持したまま当該検査対象ワーク40を保持するものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0096】
以上、本発明の検査装置を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの各例および各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0097】
10、10A、10B 検査装置
11 (観察光学系としての)観察機構
12 反射照明機構
14 透過照明機構
24 (観察光学系としての)撮像カメラ
34、34A 保持ステージ
34a (テープの保持位置となる)先端部
35 (透過部材としての)透過ステージ
35a (平坦面としての)上端面
37 (位置調整機構としての)Z軸螺合部材
38 (位置調整機構としての)直交軸螺合部材
42 テープ
43 環状部材
44 (検査対象物としての)半導体素子
51 透過用光源
53 出射部
71 (位置調整機構としての)Z軸調整機構
81 押圧機構
Fp 観察面
Oa 観察光軸
Pa 透過光軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察光軸上の所定の位置を観察面とする観察光学系と、該観察光学系側から前記観察面を照明する反射照明機構と、前記観察光学系とは反対側から前記観察面を照明する透過照明機構と、検査対象物が貼付されるテープを保持する環状部材の内側で前記透過照明機構側から前記テープを保持可能な筒状の保持ステージと、を備える検査装置であって、
前記透過照明機構は、光源から導光された透過光を前記保持ステージの外方から前記観察面へ向けて出射する出射部を有し、
前記保持ステージは、前記観察光学系側に前記観察面に沿う平面を規定する平坦面が設けられた板状を呈しかつ前記出射部から出射された透過光の透過を許す透過部材と、前記保持ステージに対して観察光軸方向に関する位置調整可能に前記透過部材を保持する位置調整機構と、を有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
観察光軸方向に関する位置調整とは、観察光軸方向での位置および観察光軸方向に対する傾斜であることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記位置調整機構は、観察光軸方向で見て、前記平坦面を前記保持ステージにおける前記テープの保持位置よりも前記観察光学系側とするように前記透過部材を位置させることが可能とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の検査装置であって、
さらに、前記透過部材の外方位置において前記テープを観察光軸方向の前記出射部側に押圧する押圧機構を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項5】
前記押圧機構は、前記保持ステージの外方位置で前記環状部材を押圧することを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記押圧機構は、前記保持ステージにおいて、前記透過部材を取り巻くように該透過部材と前記テープを保持する箇所との間を吸引することを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項7】
前記出射部は、前記透過部材へと所定のスポット領域で透過光を入射させるべく、導光した透過光の拡散を低減する集光光学部材を有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項8】
前記集光光学部材は、透過光軸に直交する断面で見た光量分布を均一化する機能も有するロッドインテグレータ光学部材であることを特徴とする請求項7に記載の検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−52991(P2012−52991A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197543(P2010−197543)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】