説明

検知システム及び検知装置

【課題】低コストで設置場所を問わず、簡易的な計測や簡易的な設置が可能な省エネルギー型の検知システム及び検知装置を提供する。
【解決手段】検知器2と、検知器2で検知した信号を記憶する記憶媒体4又は検知器2で検知した信号を送信する送信装置5と、検知器2、記憶媒体4及び送信装置5のうち電力が必要なところに電力を供給する二次電池6と、二次電池6を充電する太陽電池7とを備えるように構成して上記課題を解決する。検知器2が、生物検知センサ、タッチセンサ、及び、ボタン式スイッチから選ばれることが好ましく、記憶媒体4又は送信装置5は、検出器2で検知した信号を時刻とともに記憶又は送信することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物検知センサ等の検知器で人又は動物を検知し、その電力を太陽電池と二次電池で供給する省エネルギー型の検知システム及び検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、顧客が商品を購入しなくてもどういった商品を手に取ったり、戻したりしたかというデータを取得するためのデータ取得装置が提案されている。この装置は、商品に人が近付いたことを検知する人感センサと、人感センサにより人を検知したタイミングで所定のエリア内の商品を特定するデータを読み取るデータ読取手段と、データ読取手段により読み取ったデータを保存するデータ保存テーブルと、データ保存テーブルに保存されたデータと、データ読取手段により新たに読み取ったデータとを比較するデータ比較手段と、データ比較手段による比較結果に基づいて商品の状態を保存する商品状態保存手段とで構成されている。
【0003】
また、特許文献2には、人数計測機能付の広告表示装置が提案されている。この装置は、店頭宣伝用表示装置の映像再生部のCPUが広告宣伝映像を再生しながら人感センサから入力される信号をカウントし、カウントした人数を時間・日毎にメモリ部分に記録していくことで、1つのCPUで映像再生と人数カウントの2つの処理を行うことができるとされている。
【0004】
また、特許文献3には、外部電源による補充電を行う保守作業が不要となると共に、設置場所の制限や移動の制限を受けない電子ポスターシステムが提案されている。このシステムは、サーバ装置と、複数の表示装置とから構成され、そのサーバ装置は、駅舎などに設置され、表示用データを無線通信により送信するものであり、表示装置は、駅全域の掲示板や外壁などの従来の紙のポスターを用いた広告と同様の位置に自由に設置されるものであり、また、事故情報などの緊急表示などは、駅施設内で自由に追加設置できると共に移動も可能なものである。そして、表示装置は、サーバ装置に無線接続され、同サーバ装置から送信された表示用データを受信して画面表示する機能を有し、太陽電池の起電力により動作するというものである。
【0005】
このように、特許文献1,2では、人感センサで感知した信号を取得し、その信号を保存するとともにその信号を利用し又は表示する技術が提案されており、特許文献3では、電子ポスターシステムが備える表示装置への電力を太陽電池から供給できることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−259800号公報
【特許文献2】特開2010−97154号公報
【特許文献3】特開2009−210948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2の装置のように、人感センサを用いて商品に反応した人の動作を検知したり、店頭広告に反応した人の数を検知したりする等の技術が提案されているが、こうした装置は非常に大掛かりなシステムとなっていた。また、その装置に供給する電力は、コンセント等から確保しており、設置場所が限られていた。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、低コストで設置場所を問わず、簡易的な計測や簡易的な設置が可能な省エネルギー型の検知システム及び検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る検知システムは、検知器と、前記検知器で検知した信号を記憶する記憶媒体又は前記検知器で検知した信号を送信する送信装置と、前記検知器、前記記憶媒体及び前記送信装置のうち電力が必要なところに電力を供給する二次電池と、前記二次電池を充電する太陽電池と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、太陽電池と二次電池を備えるので、固定電源から電源を確保する必要がなく、設置場所を問わない省エネルギー型の検知システムを提供できる。また、検知した信号の記憶媒体又は送信装置を備え、その信号から得られた情報の解析装置等の複雑な装置を備えないでの、装置全体を小型化できる低コストで簡易的な検知システムを提供できる。
【0011】
本発明に係る検知システムにおいて、前記検知器が、生物検知センサ、タッチセンサ及びボタン式スイッチから選ばれる検知器であるように構成する。
【0012】
この発明によれば、生物検知センサ、タッチセンサ及びボタン式スイッチから選ばれる検知器を用いるので、計測目的及び計測対象に応じた簡易型の検知システムを低コストで提供することができる。
【0013】
本発明に係る検知システムにおいて、前記記憶媒体又は前記送信装置は、前記検出器で検知した信号を時刻とともに記憶又は送信するように構成する。
【0014】
この発明によれば、例えば、検知器で検知した検知信号を時刻とともにできるので、どのような時間帯にどの程度の計測対象を検知したかを統計情報として取得することができる。その結果、この検知システムから得られた情報から、その後の対応にフィードバックすることができる。
【0015】
本発明に係る検知システムにおいて、前記記憶媒体がフラッシュメモリであるように構成する。
【0016】
この発明によれば、記憶媒体として不揮発性の半導体メモリであるフラッシュメモリを備えるので、取得した情報をそのフラッシュメモリに記憶し、その後に取りだし又は送信を行うことができる。
【0017】
本発明に係る検知システムにおいて、前記太陽電池が色素増感型太陽電池であるように構成する。
【0018】
この発明によれば、各種の太陽電池を適用できるが、特に色素増感型太陽電池は低照度での利用が可能であるので好ましく適用できる。
【0019】
上記課題を解決するため本発明に係る検知装置は、検知器と、前記検知器で検知した信号を記憶する記憶媒体又は前記検知器で検知した信号を送信する送信装置と、前記検知器、前記記憶媒体及び前記送信装置のうち電力が必要なところに電力を供給する二次電池と、前記二次電池を充電する太陽電池とを有し、それらがモジュール化してなることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、太陽電池と二次電池を備えた検知装置がモジュール化されているので、固定電源から電源を確保する必要がなく、設置場所を問わないモジュール化した省エネルギー型の検知装置を提供できる。また、検知した信号の記憶媒体又は送信装置を備え、その信号から得られた情報の解析装置等の複雑な装置を備えないでの、装置全体を小型化できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、生物検知センサ等の検知器で検知した検知信号を時刻等とともに記憶又は送信するとともに、電力を太陽電池と二次電池で供給する設置場所を問わない検知システム及び検知装置を、低コストで、簡易的な計測や簡易的な設置が可能な省エネルギー型の検知システム及び検知装置として提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る検知システムの基本構成を示す模式的な構成図である。
【図2】本発明に係る検知システムの他の基本構成を示す模式的な構成図である。
【図3】本発明に係る検知システムの第1実施形態を示す模式的な構成図である。
【図4】本発明に係る検知システムの第2実施形態を示す模式的な構成図である。
【図5】本発明に係る検知システムの第3実施形態を示す模式的な構成図である。
【図6】本発明に係る検知システムの第4実施形態を示す模式的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る検知システム及び検知装置について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の範囲は、以下の各実施形態に限定されるものではなく、その特徴を有する他の変形形態も含まれる。
【0024】
[基本構成]
本発明に係る検知システム1は、図1及び図2に示すように、検知器2と、検知器2で検知した信号を記憶する記憶媒体4又は検知器2で検知した信号を送信する送信装置5と、検知器2、記憶媒体4及び送信装置5のうち電力が必要なところに電力を供給する二次電池6と、二次電池6を充電する太陽電池7と、を基本的な構成とすることに特徴がある。また、本発明に係る検知装置11は、図5に示すように、上記した基本的な構成を一体化させてモジュール化してなることに特徴がある。なお、図1及び図2に示す検知システム1は、必要に応じて、検知器2で検知した信号を変換して記憶媒体4又は送信装置5に出力するデータ変換装置3を有していてもよい。以下、各構成について説明する。
【0025】
(検知器)
検知器2は、計測目的や計測対象に応じて各種の検知器から選択することができる。検知器2としては、例えば、生物検知センサ、タッチセンサ、及び、ボタン式スイッチから選ばれる検知器を選択できるが、計測目的や計測対象に応じて選択されるものであれば必ずしもこれらに限定されるものではない。検出器2は、時刻を発生させるリアルタイムクロックモジュールを備えていてもよい。リアルタイムクロックモジュールで発生した時刻信号は、検知信号とともに必要に応じて設けられたデータ変換装置3等に送られ、その後記録又は送信される。検知信号を時刻とともに集計して統計化すれば、時間、日、曜日、月等のスパンで統計データに基づいた各種の対応、対策等を講じることができる。
【0026】
生物検知センサは、例えば赤外線の量の変化を検出するセンサであり、その赤外線は体温のある動物又は人等、測定環境の温度よりも温度の高い生命体又は物体から検出できる。なお、人を対象とする生物検知センサは人感センサと呼ばれる。このとき検知する赤外線の波長は、通常、1.5μm以上、14μm以下の範囲とされている。生物検知センサとしては、入手可能なものであれば市販品、非売品を問わず利用可能である。こうした生物検知センサは、センサの検知領域に近づいた人又は動物を検知できるので、その検知信号を時刻とともに集計して統計化すれば、時間、日、曜日、月等のスパンで統計データを取得できる。
【0027】
生物検知センサ2は、その感度設定によって敏感にセンシングされるので、例えば単独の人又は動物が生物検知センサ2の前を通過した場合であっても複数の信号が発生して複数の人又は動物が通過したかのような場合がある。このような場合には、その複数の信号が誤信号となるので、そうした誤信号を防ぐために、タイマーICによって一定時間(例えば1秒等)を設定して、その設定時間内に発生した2回目以降の信号をキャンセルすることができる。こうした手段によって、例えば生物検知センサ2の前をゆっくり横切る等した人や動物に基づいた複数の信号に因る誤検出することを防ぐことができる。
【0028】
タッチセンサは、触れることによって検知信号を発生できるセンサである。タッチセンサとしては、省力化及び簡易化の観点からは、表示機能を持たずタッチ機能だけのポインティングデバイス(入力装置)が好ましく用いられる。こうしたタッチセンサとしては、指先で触れるタッチパッドや、磁気誘導を利用する専用のペンを用いるペンタブレット等を代表例として挙げることができる。なお、スマートホン等の表示面のタッチパッドであってもよいが、この場合は、液晶パネル等の表示装置とタッチパッド等の入力装置とを組み合わせて構成される。こうしたタッチセンサは、上記した生物検知センサとは異なり、人が積極的に操作して検知されるものであり、例えばアンケート調査や人気投票等のように複数の選択肢から任意に選択して得たデータを取得する場合に適用される。
【0029】
ボタン式スイッチは、上記したタッチセンサと用途が同じで機能が異なるものである。ボタン式スイッチでは機械的に信号を得ることができるので、タッチセンサよりも電力消費が少なく、低コスト化の点で有利である。
【0030】
なお、これらの検知器2は、いずれも電力を消費するものであるが、それらの電力は、太陽電池7が発生した起電力を蓄えた二次電池6から供給される。本発明の検知システム1の用途にもよるが、可能な限り省電力化を実現できるものであることが好ましい。
【0031】
(データ変換装置)
データ変換装置3は、任意の装置であり、検知器2で検知した信号を必要に応じて変換して記憶媒体4又は送信装置5に出力するための装置である。このデータ変換装置3は、どのような検出器がどのような信号を取得し、その取得した信号をどのような記憶媒体4又は送信装置5に出力するかによって、その種類や構成が任意に選択される。具体的には、例えば上記した生物検知センサ、タッチセンサ、ボタン式スイッチ等の種類に応じて選択される。なお、データ変換装置3が検知器2内に予め設けられているものもあり、この場合には、データ変換機能を備えた検出器2ということができる。
【0032】
このデータ変換装置3も通常は電力を消費する装置であり、データ変換装置3への電力も二次電池6から供給される。本発明の検知システム1の用途にもよるが、可能な限り省電力化を実現できるものであることが好ましい。
【0033】
(記憶媒体)
記憶媒体4は、検出器2で検知した信号を記憶する媒体であり、通常、時刻とともに記憶するように構成される。この記憶媒体4により、時刻とともに記憶した信号を集計して統計化すれば、その統計データに基づいた各種の対応、対策等を講じることができる。
【0034】
記憶媒体4としては、各種のものを適用できるが、不揮発性の半導体メモリであるフラッシュメモリを好ましく挙げることができる。フラッシュメモリは、待機状態時にはそれ自体で電力を消費しない不揮発メモリであるので、HDDのような回転駆動を要する二次記憶媒体に比べて、低コストで設置場所を問わず、簡易的な計測や簡易的な設置が可能な省エネルギー型の検知システムの構成に特に有利である。
【0035】
記憶媒体4は、通常、検知システム1に予め装着されていている。記憶媒体4の記憶容量は任意であり、検知信号として記憶させるデータ容量によって任意に選択できる。こうすることにより、HDDのような回転駆動を要する二次記憶媒体に比べて、低コストで設置場所を問わない簡易的な計測や簡易的な設置が可能な省エネルギー型の検知システムを提供することができる。なお、記憶媒体4は、後述する送信装置5が設けられている場合には不要とすることもできるが、送信装置5とともに設けることもできる。
【0036】
検知システム1には、情報を記憶又は取り出すため、USB端子やメモリーカード端子等を設けることが好ましい。そうした端子に接続可能なメモリとしては、例えばUSBメモリ、メモリーカード、SDメモリーカード、メモリースティック、スマートメディア、xDピクチャーカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)等を挙げることができる。
【0037】
(送信装置)
送信装置5は、検出器2で検知した信号を送信する装置であり、通常、時刻とともに送信するように構成される。本発明の検知システム1は、低コストで設置場所を問わないものであることから、送信装置5としては、無線送信装置であることが好ましい。無線送信装置は各種の無線送信装置を適用できるが、定電圧で作動する省電力型の無線送信装置を選択して適用することが好ましい。この送信装置5により、信号を時刻とともに送信するので、その送信された信号を離れた位置に設置された受信装置で受信し、集計して統計化すれば、その統計データに基づいた各種の対応、対策等を講じることができる。
【0038】
この送信装置5により、検知器2で検知した検知信号と時刻信号とを少なくとも含む情報を送信できるので、その情報を受信して解析することにより、どのような時間帯にどの程度の計測対象を検知したかを統計情報としてまとめることができる。その結果、この検知システム1から得られた情報から、その後の対応にフィードバックすることができる。なお、この送信装置5も電力を消費するが、その電力も太陽電池7が発生した起電力を蓄えた二次電池6から供給される。本発明の検知システム1の用途にもよるが、可能な限り省電力化を実現できるものであることが好ましい。
【0039】
(二次電池)
二次電池6は、本発明に係る検知システム1を構成する機器又は装置のうち、電力が必要なものに電力を供給するように作用する。例えば、検知器2、データ変換装置3、記憶媒体4、送信装置5等の中で電力を必要とするものに蓄電した電力を供給するように作用する。なお、図1及び図2では、二次電池6から破線で各装置2〜5に繋げている。
【0040】
二次電池6は充放電可能な電池であり、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル鉄蓄電池、ニッケル亜鉛蓄電池、酸化銀亜鉛蓄電池等を挙げることができるが、中でも鉛蓄電池又はリチウムイオン二次電池を好ましく用いることができる。この二次電池6からの放電は、例えば、検知器2、データ変換装置3、記憶媒体4、送信装置5等の中で電力を必要とするものに電力を供給することによって行われ、この二次電池6への充電は、太陽電池7からの電力を蓄積することにより行われる。
【0041】
(太陽電池)
太陽電池7は、光起電力効果を利用して光エネルギーを直接電力に変換する装置であり、本発明では二次電池6を充電するように作用する。適用可能な太陽電池は特に限定されず、使用環境や用途に応じて適した太陽電池を選択して用いることが好ましい。太陽電池7の例としては、シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、有機化合物系太陽電池のいずれであってもよいが、特に有機化合物系太陽電池のうち色素増感型太陽電池は例えば5000ルクス以下の低照度での利用も可能なので好ましく適用できる。なお、色素増感型太陽電池は、色素の種類により吸収波長を選択できるので、所定の吸収波長に対応したものとすることも可能である。
【0042】
太陽電池7は、複数枚のセル状の太陽電池を直列及び並列に接続して必要な電圧と電流を得られるように構成し、全体としてパネル状にしたソーラーパネル又はソーラーモジュールとして構成したものを好ましく用いることができる。また、太陽電池7は、検知システム又は検知装置と一体に設けられていてもよいし、別体で設けられていてもよい。別体で設けられている場合は、二次電池6まで電力を供給する配線を介して離れた位置に設けられる。好ましくは、太陽光を受けやすい高い位置又は南向きの位置に設けられていることが好ましい。
【0043】
以上、本発明に係る検知システム及び検知装置は、こうした構成を基本構成として備えることにより、低コストで、設置場所を問わず、簡易的な計測や簡易的な設置が可能な省エネルギー型の検知システムとなる。具体的には、太陽電池7と二次電池6を備えるので、固定電源から電源を確保する必要がなく、設置場所を問わないという利点がある。また、検知した信号の記憶媒体4又は送信装置5を備え、その信号から得られた情報を評価し、解析する複雑な装置を備えないでの、低コストで簡易的な検知システムとなる。
【実施例】
【0044】
以下では、具体的な例について、図3〜図6に示す各種の実施形態に基づいて説明する。
【0045】
各実施形態に係る検知システム1は、図1及び図2の基本構成のように、検出器2である生物検知センサ(以下、符号2を用いる。)、必要に応じて設けられるデータ変換装置3、記憶媒体4又は送信装置5、二次電池6、太陽電池7で少なくとも構成されている。この形態では、生物検知センサ2で検知した信号をデータ変換装置3でデータ変換し、その変換データを記憶媒体4で蓄積させる。蓄積させたデータは、USBコネクタ等の端子から、USBメモリやメモリーカード等で取り出すことができる。そのUSBメモリやメモリーカード等をパソコンに差し込み、パソコンでその情報を解析することができる。
【0046】
生物検知センサ2やデータ変換装置3等を駆動させるための電力は、二次電池6から消費し、電力消費された二次電池6への電力供給は太陽電池7から行う。これにより、電源の確保や電池交換なしに、一定期間毎でのデータ取得が可能となる。こうした検知システム1を備えた一体型の検知装置11(図5を参照)をパネル状にすれば、その検知システム1を壁や棚等に接着又は嵌め込む等の簡易的な設置により、人や調査したい場所での簡易的な調査が実現する。なお、接着には、接着剤や粘着剤をパネル状の検知装置11の背面に設けて行うことができる。
【0047】
なお、本発明に係る検知システム1は、一体とした検知装置11として用いてもよいし、それぞれ別々に分割したシステムとして配置して用いるものであってもよい。例えば、図3に示すように、ポスター状やパネル状の検知システム1の場合には、太陽電池7を含めた全ての構成を一体のものとする。また、図4に示すように、生物検知センサ2を人や動物を検知できる位置に設け、太陽電池7を日差しが当たる高い位置に設ける場合には、少なくとも太陽電池7は上方の高い位置に設置し、それ以外は生物検知センサ2とともに一体化した装置8としてもよい。また、図5に示すように、それ自体独立で使用することができる一体的に小型モジュール化した検知装置11としてもよい。また、図6に示すように、検知器2をタッチセンサ又はボタン式スイッチ等とした態様のパネルに設けたものであってもよい。
【0048】
図3に示す実施形態は、ポスターやパネルにモジュール化した検知装置11を貼り合わせた例であり、太陽電池7を含めた全ての構成を一体のものとしたものである。この形態では、後述する図5に示す一体化した一体型モジュールをポスターの任意の位置に接着剤や画鋲等の取付手段で装着して構成している。なお、モジュール化した検知装置11は、図示の例では下側に設けられているが、より日差しが当たりやすい上側に設けてもよいし、左右いずれかの側に設けてもよい。こうして構成したポスター又はパネルは、その検知装置11でポスターやパネルの前に立ち止まる人の数を時系列で統計化できるので、注目度を評価する注目度測定ツールとして利用したり、そのポスターやパネルの前を通過する人の数を時系列で統計化できるので、人の流れや通行量を調査する動線調査ツールとすることができる。なお、図3に示す形態では、送信装置5で検知器2からの信号をパソコンに送信する例を示している。
【0049】
図4に示す実施形態は、太陽電池7を配線9で延長して別の位置に設け、太陽電池7で発電した電力を本体装置8に送電する形態である。本体装置8には、生物検知センサ2が赤外線を検知するための穴が空けられ、その穴を介して検知した赤外線によって、人又は動物が近づいたのを検知信号として取得する。なお、その穴の大きさ等によって、検知領域10を設定でき、生物検知センサ2と穴との距離を長くすれば検知できる領域10が狭くなって指向性が高まり、近づければ検知できる領域10が広くなって指向性は低下するが、広く検知できるようになる。
【0050】
なお、本体装置8の中又は外壁には、太陽電池7からの電力配線9を繋げることができるコネクタ(図示しない)が設けられていること好ましい。また、本体装置8の中には、USBメモリやメモリーカード等を差し込める接続端子が設けられていることが好ましい。
【0051】
太陽電池7は、図5に示すように、太陽光が当たりやすい高い位置に設けることが好ましく、さらに南向きに設けることが好ましい。このようにすることにより、日の当たりにくい場所に検知器2を設けたい場合であっても、太陽電池7を別の所に設置できるので、二次電池6に充電できる電力を供給できる。例えば、ビルの谷間やオフィス内のように、日照が不十分な場合に利用できる。また、動物(例えば、タヌキ、イノシシ、シカ等)の生態調査のために、日照が不十分な林の中に設置する場合にも、太陽電池7を日の当たる場所に設置することにより、二次電池6に電力を供給することができる。なお、色素増感型太陽電池は、色素の種類により吸収波長を選択できるので、所定の吸収波長に対応したものとすることが可能であり、用途に応じて好ましく適用できる。さらに、色素増感型太陽電池は、低照度(5000ルクス以下)での起電力の発生も可能なので、例えば500〜1000ルクス程度の森や林に中に検知システム1を設置する場合にも他の種類の太陽電池よりも有利である。
【0052】
図5に示す実施形態は、それ自体独立で使用することができる小型モジュール化した検知装置11である。この検知装置11は、それ自体で生物検知センサ2、必要に応じて設けられるデータ変換装置3、記憶媒体4及び/又は送信装置5、二次電池6、太陽電池7等を備えている。このような太陽電池付き一体モジュールでは、その裏面に接着層を積層し、例えば図3に示すように、ポスターの適当な位置に設置することができる。また、オフィスの人通りを調査したい場合には、それ自体を廊下の壁に設置することもできる。設置位置は、上面に近い方が太陽電池に光が当たりやすいので、電力確保としては有効であるが、センシング位置を重視して設置する必要がある。センシング位置は、対象物が人であれば人の身長を考慮して、感知しやすい位置に設置することができる。なお、図5中の符号12はUSB端子であり、USBメモリが差し込まれる例を示している。また、符号2は生物検知センサであり、その下の位置にデータ変換装置3、記憶媒体4、送信装置5、二次電池6等が任意に組み込まれた構成とすることができる。
【0053】
図6に示す実施形態に示すように、検知器2をタッチセンサ又はボタン式スイッチ等とした態様のパネル形態の検知システム1としてもよい。この形態の検知システム1は、検知器2、データ変換装置3、記憶媒体4及び/又は送信装置5、二次電池6、太陽電池7で構成されたものであり、その検出器2をタッチセンサ又はボタン式スイッチ等として、例えばアンケート集計システムとして用いることができる。こうしたアンケート集計システムは、電源確保が不要で取り付けや設置が容易となり、しかも省エネルギー型であり、そのデータを集計することでアンケート集計を行うことができる。なお、従来、ポスター等の街頭アンケート集計ツールとしては、ポスター上のアンケートに回答してシールを貼り、最終的にその数を人手でカウントするというものが一般的であり、最近は携帯電話等からアンケート結果を回答する等の方法があるが、本発明に係る検知システムに比べて、簡易な回答方法ではない。
【符号の説明】
【0054】
1 検知システム
2 検知器(センサ等)
3 データ変換装置
4 記憶媒体
5 送信装置
6 二次電池
7 太陽電池
8 送電線
9 ボックス型装置
11 検知装置
12 USBコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知器と、前記検知器で検知した信号を記憶する記憶媒体又は前記検知器で検知した信号を送信する送信装置と、前記検知器、前記記憶媒体及び前記送信装置のうち電力が必要なところに電力を供給する二次電池と、前記二次電池を充電する太陽電池と、を備えることを特徴とする検知システム。
【請求項2】
前記検知器が、生物検知センサ、タッチセンサ、及び、ボタン式スイッチから選ばれる検知器である、請求項1に記載の検知システム。
【請求項3】
前記記憶媒体又は前記送信装置は、前記検出器で検知した信号を時刻とともに記憶又は送信する、請求項1又は2に記載の検知システム。
【請求項4】
前記記憶媒体がフラッシュメモリである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項5】
前記太陽電池が色素増感型太陽電池である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項6】
検知器と、前記検知器で検知した信号を記憶する記憶媒体又は前記検知器で検知した信号を送信する送信装置と、前記検知器、前記記憶媒体及び前記送信装置のうち電力が必要なところに電力を供給する二次電池と、前記二次電池を充電する太陽電池とを有し、それらがモジュール化してなることを特徴とする検知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−79882(P2013−79882A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220429(P2011−220429)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】