説明

検知装置、情報判定システム、被検知体、識別体および電子機器

【課題】簡易かつ安価に真正品と偽造品の真贋を判定することができる検知装置、情報判定システム、被検知体、識別体および電子機器を提供する。
【解決手段】検知装置10は、被検知体20には、少なくとも3つの異なる波長においてそれぞれ異なる反射特性を有するインキが付された識別体22と、不可逆性の熱変色部24とが設けられ、識別体22に対して、光を発光する複数の発光部14a,14b,14cと、発光部14a,14b,14cから発光された光のうち識別体22によって反射された光を受光する受光部16とを有する。複数の発光部14a,14b,14cは、それぞれ、インキにおける選択された反射特性に対応する波長の光を発光する。検知装置10は、熱変色部24の色を認識する色認識部30を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真正品と偽造品の真贋などの情報を判定することができる検知装置、真贋判定システム、被検知体、識別体および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、模倣品による被害が益々大きくなっており、真正品と偽造品の真贋を容易かつ安価に判定できる技術がより求められている。従来、物品に目視では識別不可能な特殊インキ部を有するセキュリティマークを施し、このセキュリティマークを識別可能なセンサーにて読みとることで真正品と偽造品とを判別する技術が提案されている。このセキュリティマークは、近赤外線域にて吸収のある墨インキの色合わせインキ部と近赤外線域に吸収のない墨インキの特殊インキ部を組み合わせたセキュリティマークからなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−11131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡易かつ安価に真正品と偽造品の真贋などの情報を判定することができる検知装置、情報判定システム、被検知体、識別体および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.検知装置
本発明の検知装置は、
被検知体の情報を検知する検知装置であって、
前記被検知体には、少なくとも3つの異なる波長においてそれぞれ異なる反射特性を有するインキが付された識別体と、不可逆性の熱変色部とが設けられ、
前記識別体に対して、光を発光する複数の発光部と、前記発光部から発光された光のうち識別体によって反射された光を受光する受光部とを有し、
前記複数の発光部は、それぞれ、前記インキにおける選択された反射特性に対応する波長の光を発光し、
前記熱変色部の色を認識する色認識部を含む。
【0006】
本発明の検知装置は、インキが少なくとも3つの異なる波長において、それぞれ異なる反射特性を有するインキを検知するためのものである。この検知装置は、インキにおけるその異なる反射特性に対応する波長の光を識別体に向けて発光し、識別体で反射された光を受光する受光部を含む。したがって、本発明の検知装置によれば、インキの異なる波長の反射特性を調べることができる。また、この反射特性パターンを認識し、本来のインキの反射特性パターンと対比することにより、インキが所定のインキかどうかを検知することを通じて、識別体が所定のもの(真正品)かどうかを確認することができる。これによれば、簡易かつ安価に真贋を判定することができる。
【0007】
本発明においては、不可逆性の熱変色部が被検知体に設けられている。これにより、当該被検知体が所定の温度に達していたかどうかを確認することができる。所定の温度に達していたかどうか確認することができることで、熱履歴を特定することができる。つまり、所定の熱をかける必要がある製造工程において所定の温度まで達していたかどうかを知ることができたり、または、被検知体が機械類の場合において故障したときに所定の温度に達したことによる故障かどうかを知ることができる。
【0008】
本発明において、
前記インキは、当該インキにおける光の反射率とその光の波長とのプロファイルにおいて、波長の短い順に、光の反射率が10%以下の第1の波長領域と、光の反射率が43〜73%の第2の波長領域と、光の反射率が13〜43%の第3の波長領域とを有する。
【0009】
本発明の検知装置は、このようなインキの特性を有するものに好適である。
【0010】
本発明の検知装置は、所定の情報を一次元または二次元のコードに変換したものの情報を読み取る読み取り部をさらに含むことができる。
【0011】
2.情報判定システム
本発明の情報判定システムは、本発明の検知装置を用いて、識別体が付された被検知体の情報を判定するものである。
【0012】
本発明の情報判定システムにおいて、前記検知装置は、前記被検知体に付された識別体が、前記インキが付された識別体かどうかを判断し、前記インキが付された識別体と判断した場合には、前記被検知体が真なるものとして判定することができる。
【0013】
本発明においては、不可逆性の熱変色部が被検知体に設けられている。これにより、当該被検知体が所定の温度に達していたかどうかを確認することができる。所定の温度に達していたかどうか確認することができることで、熱履歴を特定することができる。つまり、所定の熱をかける必要がある製造工程において所定の温度まで達していたかどうかを知ることができたり、または、被検知体が機械類の場合において故障したときに所定の温度に達したことによる故障かどうかを知ることができる。また、被検知体の不法改造がなされたかを知ることができる。
【0014】
これにより、識別体に付与できる情報量を向上させることができる。
【0015】
本発明の情報判定システムは、本発明の検知装置を用いて、識別体が付された被検知体の情報を判定する判定システムであって、
前記識別体は、前記インキが付された部分と、前記インキではないインキが付された部分とを含み、
前記インキが付された部分と前記インキではないインキが付された部分との配列又は組み合わせにより前記被検知体の情報を判定することができる。
【0016】
これにより、識別体に付与できる情報量を向上させることができる。
【0017】
3.被検知体
本発明の被検知体は、
少なくとも3つの異なる波長において、それぞれ異なる反射特性を有するインキが付された識別体と、不可逆性の熱変色部とが設けられ、
前記識別体に情報が付与され、
本発明の検知装置によって情報が判定され得る。
【0018】
本発明の被検知体は、識別体が付されているため、検知装置によって被検知体の情報(たとえば真正情報)を判定することができる。
【0019】
本発明においては、不可逆性の熱変色部が被検知体に設けられている。これにより、当該被検知体が所定の温度に達していたかどうかを確認することができる。所定の温度に達していたかどうか確認することができることで、熱履歴を特定することができる。つまり、所定の熱をかける必要がある製造工程において所定の温度まで達していたかどうかを知ることができたり、または、被検知体が機械類の場合において故障したときに所定の温度に達したことによる故障かどうかを知ることができる。また、被検知体の不法改造がなされたかを知ることができる。
【0020】
4.識別体
本発明の識別体は、
本発明の被検知体に付される識別体であって、
前記識別体は、前記インキが付された部分と、前記インキではないインキが付された部分とを含む。
【0021】
本発明の識別体は、
本発明の被検知体に付される識別体であって、
前記識別体は、前記インキを含んで構成される第1の識別部分と、所定の情報を一次元または二次元のコードに変換した第2の識別部分とを含むことができる。
【0022】
5.電子機器
本発明の電子機器は、本発明の検知装置を含む。本発明の電子機器によれば、検知装置を含むことで、被検知体を検知することができる。これにより、たとえば、検知装置で真正品と判断されたもののみ、電子機器を駆動できるようにすることもできる。
【0023】
本発明においては、不可逆性の熱変色部が被検知体に設けられている。これにより、当該被検知体が所定の温度に達していたかどうかを確認することができる。所定の温度に達していたかどうか確認することができることで、熱履歴を特定することができる。つまり、所定の熱をかける必要がある製造工程において所定の温度まで達していたかどうかを知ることができたり、または、被検知体が機械類の場合において故障したときに所定の温度に達したことによる故障かどうかを知ることができる。また、被検知体の不法改造がなされたかを知ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の検知装置、情報判定システム、被検知体、識別体および電子機器は、簡易かつ安価に真正品と偽造品の真贋などの情報を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態に係る情報判定システムの構成図である。
【図2】検知装置を模式的に示す図である。
【図3】インキの特性を説明するための図である。
【図4】(A)は、検知装置および識別体の一例を示す図であり、(B)は識別体の一例を示す図である。
【図5】熱変色部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
1.情報判定システム
図1は、実施の形態に係る情報判定システムの構成図である。
【0028】
情報判定システム100は、検知装置10を含み、識別体22が付された被検知体20の情報判定を検知装置を用いて行うものである。
【0029】
2.検知装置
図2は、検知装置を模式的に示す図である。
【0030】
検知装置10は、受発光部12を含む。受発光部12は、複数の発光部14a,14b,14cと受光部16とを含む。発光部14a,14b,14cは、たとえばLEDなどにより構成される。受光部16は、発光部14a,14b,14cから発光された光を受光するもので、たとえばフォトダイオードなどにより構成される。複数の発光部14a,14b,14cは、それぞれ異なる波長の光を発し、識別体22の反射特性に応じてその波長が選択されることとなる。なお、発光部は4つ以上設けてもよい。受光部16は、発光部ごとに対応する受光素子を設けて構成してもよいし、または、1つの受光素子ですべての発光部の光を受光してもよい。検知装置10がこのような構成を有することで、後述のように、識別体22に付されたインキが所定のインキかどうかを判定することができる。
【0031】
検知装置10は、識別体22が付された被検知体20を収容するところが設けられたものでも、又は、ペン型のもので識別体22をなぞることで情報を判定(たとえば真贋を検知)するものであってもよい。
【0032】
検知装置10は、図4に示すように、所定の情報を一次元または二次元のコードに変換したものの情報を読み取る読み取り部18をさらに含んでもよい。所定の情報を一次元のコードに変換したものとしては、たとえば線の太さによって数値や文字をコード化したバーコードを挙げることができる。所定の情報を二次元のコードに変換したものとしては、たとえばドットを縦横に配列したコード(QRコード(登録商標)など)を挙げることができる。読み取り部18は、たとえば、バーコードスキャナなど公知の読み取り手段を適用することができる。検知装置10に読み取り部18が設けられている場合には、後述のように識別体22が所定の情報を一次元または二次元のコードに変換した部分をさらに含む際に、特に有用である。
【0033】
検知装置10において、光が出入する部分を光ファイバーを通じて行ってもよい。これにより、光を特定の領域に収束させて出射することができると共に、反射光をより確実に捕捉することができる。
【0034】
また、検知装置10は、人にとって固有の情報(たとえば指紋、虹彩、静脈の形態)を認識する認識手段があってもよい。これによれば、検知装置10が特定の者のみ扱うことが許可されている場合において、その者かどうかを判断することができる。また、識別体22が付されている物に何らかの処理(たとえば当該被検知体の分解、修理)をできる者かどうかを判断させてもよい。
【0035】
検知装置10には、色認識部30が設けられている。色認識部30は、被検知体20に設けられた不可逆性の熱変色部24の色を検知するためのものである。色認識部30は、たとえば、CCDカメラなどにより構成することができる。
【0036】
不可逆性の熱変色部24は、たとえば、所定の温度以上になった場合に、変色する熱変色材料が付されている。熱変色材料としては、たとえば、特開平10−119435号公報、特開2000−326410号公報に開示されている材料を適用することができる。熱変色部24は、たとえば、熱変色材料を塗布、印刷又は熱変色材料が付されたラベルを貼付することで構成することができる。具体的には、熱変色部24は、受発光部12が実装されている実装面(半田面)に熱変色材料を印刷するか、その実装面(半田面)に熱変色材料が付されたラベルを貼付して設けてもよい。
【0037】
熱変色材料の熱変色の温度は材料成分を調整することで所望の温度に設定することができるが、たとえば、半田の溶融温度に設定することができる。半田の溶融温度に設定することで、熱変色部24を半田付けするところに設けることで、半田処理を行う際にその溶融温度まで半田の温度が上昇したかどうかを確認することができる。
【0038】
回路基板などの電気回路を含む被検知体20に熱変色部24を設けておくことで、その被検知体20が故障もしくは改造されたときに、その被検知体20が過度の温度あるいは半田溶融温度以上まで上昇したかどうかを確認することができる。これにより、次の効果がある。被検知体20がその管理者の知らぬところで、半田溶融温度以上の熱を回路基板にかけて半田を溶かし回路素子を交換し、被検知体20の機能を不法に変更する問題が指摘されている。しかし、このような場合でも被検知体20の回路基板が半田溶融温度以上になれば、熱変色部24が変色するため、被検知体20が半田溶融温度まで上昇したかがわかる。その結果、管理者が知らないところで、回路素子が交換されたか又は交換が試みられたかを知ることができる。したがって、不法改造を知ることができ、セキュリティーの向上につながる。
【0039】
熱変色部24を回路基板などの電気回路を含む被検知体22に設けておくことで、被検知体22の回路基板の素子を半田付けして取り付ける場合に、その素子の取り付けに当たって適切な温度にて半田処理がなされたかどうかを確認することができる。つまり、熱をかける工程(たとえばリフロー工程など)を含む製造方法により製造される物において、その熱をかける工程で所定の温度まで熱がかけられたかどうかを確認することができる。
【0040】
また、熱変色部24を過度に熱がかかると故障するもの(たとえば、電子機器などの精密機械類)に適用された場合に、そのものが故障したときに、所定の温度以上に達して故障したかどうかを確認することができる。
【0041】
3.識別体
識別体22について説明する。識別体22には、基体にインキが付されて構成される。インキは識別体22の基体にたとえば印刷や塗布により付される。インキは特願2008−193283号に開示された技術等を適用することができる。インキは、少なくとも3つの異なる波長域において異なる反射特性を有する。インキは、特に、図3に示すように、波長の短い順に、第1の波長領域(たとえば光の反射率が10%以下の波長領域)A1と、第2の波長領域(たとえば光の反射率が43〜73%、好ましくは55〜65%の波長領域)A2と、第3の波長領域(たとえば光の反射率が13〜43%、好ましくは23〜33%の波長領域)とを有するものが好適である。ここで、第3の波長領域の反射率は、第2の波長領域の反射率より30〜70%の範囲にあることが好適である。特願2008−193283号に開示された技術によれば、近赤外領域または赤外領域にこのような波長領域を作ることができる。第1の波長領域A1から第3の波長領域A3は連続していても、連続していなくてもよい。
【0042】
なお、この場合に、第1の発光部14aは第1の波長領域A1にある波長の光を発光するものとし、第2の発光部14bは第2の波長領域A2にある波長の光を発光するものとし、第3の発光部14cは、第3の波長領域A3にある波長の光を発光するものとすることができる。
【0043】
識別体22の形状は特に限定されないが、ラベル状のものとすることで取扱いが容易となる。識別体22の基体は、たとえば紙、樹脂フィルム、金属シート、繊維、皮革、ガラスなどからなることができる。
【0044】
また、図4(A)に示すように、識別体22は、上記のインキを含んで構成される第1の識別部分と、所定の情報を一次元または二次元のコードに変換した第2の識別部分とを含むものであってもよい。所定の情報を一次元のコードに変換したものとしては、たとえば線の太さによって数値や文字をコード化したバーコードを挙げることができる。所定の情報を二次元のコードに変換したものとしては、たとえばドットを縦横に配列したコード(QRコード(登録商標)など)を挙げることができる。これにより、たとえば、第1の識別部分22aを真贋判定のための情報を付与した部分とし、第2の識別部分22bに所定の情報(履歴情報、製造情報、特性情報、価格情報(価格、値下げ率)、配送情報など)を付与した部分とすることができ、識別体22自体の情報の記憶量を向上させることができる。
【0045】
さらに、識別体22は、図4(B)に示すように、上記のインキが付された部分と、上記のインキではないインキが付された部分とを含むことができる。これらの部分は、たとえば、ライン状のものや、ドット状に付してもよい。これらの部分の配列や組み合わせに何らかの情報(履歴情報、製造情報、特性情報、価格情報(価格、値下げ率)、配送情報など)を付与することができる。
【0046】
具体的には、3本のインキが付された部分がある場合において、上記のインキの部分、上記のインキでない部分および上記のインキの部分の並びの組み合わせであれば、日本製であることを意味し、上記のインキの部分、上記のインキでない部分および上記のインキでない部分の並びの組み合わせであれば、欧州製であることを意味させるなどすることができる。この意味づけは、適宜、使用をする者が決めることができる。また、順序も考慮することで、より多くの情報を付与することができる。さらに、この組み合わせに基づき、所定の組み合わせであれば真と判定し、そうでなければ偽と判定するような真贋判定としてもよい。これにより、セキュリティー性をより向上させることができる。
【0047】
また、識別体22にRFID(Radio Frequency Identification)を組み込むことで、より情報量を記憶させることができる。
識別体22に上記の熱変色部を設けてもよい。
【0048】
4.情報判定の動作
情報判定の動作例として、真贋判定を例にとり、その動作例を説明する。
【0049】
識別体22のインキが第1〜第3の異なる3つの反射特性(たとえば反射率)を有する場合の例を説明する。ここで、第1の発光部14aは、識別体のインキの第1の反射特性に対応した波長の光を発光し、第2の発光部14bはその第2の反射特性に対応した波長の光を発光し、第3の発光部14cはその第3の反射特性に対応した波長の光を発光する例とする。
【0050】
まず、第1の発光部14aを識別体22に向けて発光させ、識別体22で反射したその光を受光部16で受光し、第1の発光部14aの光の波長域における識別体22の反射特性を導出する。受光部16がフォトダイオードの場合には、反射光を受光したときのフォトダイオードの出力電圧に基づいて反射特性(反射光の強度)を導出することができる。次に、第2の発光部14bを識別体22に向けて発光させ、識別体22で反射したその光を受光部16で受光し、第2の発光部14bの光の波長域における識別体22の反射特性を導出する。次に、第3の発光部14cを識別体22に向けて発光させ、識別体22で反射したその光を受光部16で受光し、第3の発光部14cの光の波長域における識別体22の反射特性を導出する。これら3つの波長域における識別体22の反射特性に基づき、所定の特性を有するインキかどうかを判定し、その識別体22が付されたものの真贋を判定する。つまり、検知した反射特性のパターンが所定の反射特性のパターンであれば、真と判断し、所定の反射特性のパターンでなければ偽と判定する。また、いずれかの発光部による光の反射率を特定して、その反射率とその他の発光部による光の反射率との相対値に基づき判定してもよい。
【0051】
なお、反射特性は、その受光部16が受光した光を電圧に変換し、その出力電圧に基づき反射の度合いを導出することができる。
【0052】
真贋判定は、各出力電圧の比率をみることでより正確かつ精度よく行うことができる。なお、真贋判定は、マイクロコンピュータなどのよる公知の演算装置等を実現することができる。
【0053】
この第1の発光部14aから第3の発光部14cの発光のサイクルは1回でもよいし、複数回でもよい。また、上記の例では、第1の発光部14a、第2発光部14b、第3の発光部14cの順で発光させる例を示したが、各発光部14a,14b,14cを発光させる順序はこれに限定されず、とり得る発光の順序のすべてが適用可能である。
【0054】
また、検知装置10と被検知体20との間において、光導波路を設けて、光を識別体22に導くとともに、反射光を光導波路を通じて受光部に導いてもよい。
【0055】
なお、真贋判定の結果を表示する表示部を設けてもよい。表示部は、公知の表示装置(たとえば液晶表示装置、LEDなどの可視域の発光体)を適用することができ、たとえば、真の場合にのみ、発光体(たとえば可視域のLED)を発光させてもよい。また、真の場合と偽の場合とで、異なる光を発光させてもよい。
【0056】
5.適用例
検知装置10は単独で構成させてもよいが、たとえば、次のように適用することもできる。
(1)電子機器のバッテリーに識別体22を設け、電子機器のバッテリーの収容部に検知装置10を取り付けることができる。電子機器の具体例としては、たとえば、携帯電話、パーソナルコンピュータ、プリンタ、電子計算機、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯情報端末(POS端末、検針員や運送員、サービス提供者が職務遂行時に有する端末などを含む)などを挙げることができる。このように検知装置10を取り付けることで、電子機器に収容される識別体22が付された電子機器の構成要素の真贋を判定することができる。この場合に、その構成要素が真正品と判定された場合にのみ電子機器を起動させることができるようにすることができる。
(2)プリンタのインキカートリッジに識別体22を付して、プリンタのインキカートリッジの収容部に検知装置10を取り付けてもよい。
【0057】
6.情報判定システムの応用例
(1)FA(Factory Automation)機器自体の部品に識別体22を付して、その部品をその機器に取り付ける際に真贋判定などの情報判定を検知装置10で行う適用例がある。
(2)車の部品に識別体22を付して、その部品を車に取り付ける際に真贋判定などの情報判定を検知装置10で行う適用例がある。
(3)紙幣、チケット、パスポート等に識別体22を付して、その紙幣等の真贋判定などの情報判定を検知装置10で検知する適用例がある。また、これ以外に種々の物(ブランド品、高級用品など)に識別体22を付して、その真贋判定などの情報判定を検知装置10で行ってもよい。
(4)コンテナに識別体22を付して、その識別体22に履歴情報を付与することで、コンテナの履歴情報の確認を行うことができる。
【0058】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の検知装置、情報判定システム、被検知体、識別体および電子機器は、簡易かつ安価に真正品と偽造品の真贋などの情報を判定することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 検知装置
12 受発光部
14a,14b,14c 第1〜第3の発光部
16 受光部
18 読み取り部
20 被検知体
22 識別体
24 熱変色部
30 色認識部
100 情報判定システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知体の情報を検知する検知装置であって、
前記被検知体には、少なくとも3つの異なる波長においてそれぞれ異なる反射特性を有するインキが付された識別体と、不可逆性の熱変色部とが設けられ、
前記識別体に対して、光を発光する複数の発光部と、前記発光部から発光された光のうち識別体によって反射された光を受光する受光部とを有し、
前記複数の発光部は、それぞれ、前記インキにおける選択された反射特性に対応する波長の光を発光し、
前記熱変色部の色を認識する色認識部を含む、検知装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記インキは、当該インキにおける光の反射率とその光の波長とのプロファイルにおいて、波長の短い順に、光の反射率が10%以下の第1の波長領域と、光の反射率が43〜73%の第2の波長領域と、光の反射率が13〜43%の第3の波長領域とを有する検知装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかにおいて、
前記検知装置は、所定の情報を一次元または二次元のコードに変換したものの情報を読み取る読み取り部をさらに含む検知装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の検知装置を用いて、識別体が付された被検知体の情報を判定する情報判定システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記検知装置は、前記被検知体に付された識別体が、前記インキが付された識別体かどうかを判断し、前記インキが付された識別体と判断した場合には、前記被検知体が真なるものとして判定する、情報判定システム。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の検知装置を用いて、識別体が付された被検知体の情報を判定する判定システムであって、
前記識別体は、前記インキが付された部分と、前記インキではないインキが付された部分とを含み、
前記インキが付された部分と前記インキではないインキが付された部分との配列又は組み合わせにより前記被検知体の情報を判定する情報判定システム。
【請求項7】
少なくとも3つの異なる波長において、それぞれ異なる反射特性を有するインキが付された識別体と、不可逆性の熱変色部とが設けられ、
前記識別体に情報が付与され、
請求項1〜3のいずれかに記載の検知装置によって情報が判定され得る被検知体。
【請求項8】
請求項7に記載の被検知体に付される識別体であって、
前記識別体は、前記インキが付された部分と、前記インキではないインキが付された部分とを含む識別体。
【請求項9】
請求項7に記載の被検知体に付される識別体であって、
前記識別体は、前記インキを含んで構成される第1の識別部分と、所定の情報を一次元または二次元のコードに変換した第2の識別部分とを含む識別体。
【請求項10】
請求項1または3に記載の検知装置を含む電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−238076(P2011−238076A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109722(P2010−109722)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(594121408)オクト産業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】