説明

業務用リクライニング椅子

【課題】 美容院のシャンプーチェアーやエステティックベッド,歯科治療用椅子等の業務用リクライニング椅子であって、背もたれ部2と前垂れ部3とが水平方向に倒伏し、その上に人が仰向けで寝ることができるものにおいて、妊婦や腰痛者,高齢者であっても腰や腹部に痛みを感じることのない椅子の提供。
【解決手段】 前垂れ部3に一以上の足先支持部4を設け、背もたれ部2および前垂れ部3を水平方向に倒伏したとき、足先を足先支持部4が支持して、膝が鋭角に曲がるようにしたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容院におけるシャンプーチェアーや,エステティックベッド,歯科治療用椅子の如く、業務用のリクライニング椅子であって、座部と背もたれ部と前垂れ部とを有し、その背もたれ部と前垂れ部が起倒自在に形成された椅子に関し、妊婦や腰痛者や高齢者等に配慮したものに関する。
【背景技術】
【0002】
美容院におけるシャンプーチェアーや,エステティックベッド,歯科治療用椅子は、座部の後端に背もたれ部が設けられ、座部の前端に前垂れ部が設けられ、その背もたれ部および前垂れ部が起倒自在形成されている。
このような業務用リクライニング椅子は、椅子上で仰向けに寝て、洗髪をしたり、フェイシャルエステをしたり、歯科治療を行ったりすることが容易な業務用の椅子である。その背もたれ部と前垂れ部とは、電動等により水平方向に倒伏する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
妊婦や、ギックリ腰等の腰痛者,高齢者は、背もたれ部と前垂れ部とを水平方向に倒伏して、その上に仰向けに寝たとき、腰および腹の筋肉が伸ばされ痛みを感じ、比較的短い時間であってもその姿勢を保つのが困難となる。
ところが、本発明者の実験によれば、足を縮め膝を鋭角にするように足先を補助者が支えてやると、その痛みを全く感じないことが判った。これは、膝を鋭角に維持すると、腰の筋肉や腹筋が伸びるのを防止できるからである。
そこで、本発明者は上記の知見に基づき実験・研究の結果、妊婦等にやさしい本発明の椅子を完成する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の本発明は、座部(1)の後端に背もたれ部(2)が設けられ、座部(1)の前端に前垂れ部(3)が設けられ、その背もたれ部(2)および前垂れ部(3)が起倒自在に形成された業務用リクライニング椅子において、
その前垂れ部(3)に一以上の足先支持部(4)が設けられ、その足先支持部(4)は、背もたれ部(2)および前垂れ部(3)を水平方向に倒伏したとき、足先を支持して、膝が鋭角に曲がる位置に配置されていることを特徴とする業務用リクライニング椅子である。
【0005】
請求項2に記載の本発明は、請求項1において、
前記足先支持部(4)が、前記前垂れ部(3)の同一高さ位置に一対の上端開放の袋状に形成された業務用リクライニング椅子である。
請求項3に記載の本発明は 請求項2において、
足先支持部(4)の先端部が通気性メッシュ(5)に形成された業務用リクライニング椅子である。
【0006】
請求項4に記載の本発明は、請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記足先支持部(4)が、前記前垂れ部(3)の高さ方向に複数段形成された業務用リクライニング椅子である。
請求項5に記載の本発明は、請求項2〜請求項4のいずれかにおいて、
前記足先支持部(4)の色彩が、前記前垂れ部(3)のそれと同一に形成された業務用リクライニング椅子である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の業務用リクライニング椅子は、前垂れ部3に一以上の足先支持部4が設けられ、背もたれ部2および前垂れ部3を水平方向に倒伏したとき、その足先支持部4が足先13を支持して、膝が鋭角に曲がるように配置されているから、人が椅子の上で仰向けに寝たとき、その腰および腹筋が伸びることを防ぎ、それらに痛みを感じることなく、腰痛の人,妊婦,高齢者が楽な状態で、洗髪やフェイシャルエステ,歯科治療等を行うことができる。即ち、膝を伸ばして仰向けに寝たとき、腹部や腰に痛みを感ずる人に対し、その痛みを感じさせない椅子を提供できる。
【0008】
上記構成において、前垂れ部3の同一高さ位置に一対の上端開放の袋状に形成した足先支持部4を設けることができる。この場合には、両足先を袋状の各足先支持部4に挿入することにより、安定して楽に膝を鋭角に折った状態に維持することができる。
上記構成において、足先支持部4の先端部を通気性メッシュ5で形成することができる。その場合には、長時間仰向けに寝ていても足先が蒸れることがない。
【0009】
上記構成において、前垂れ部3の高さ方向に複数段の足先支持部4を形成することができる。この場合には、人の身長等に応じて最適な足先支持部4の位置を選択して、痛みの生じない仰向け状態を維持することができる。
【0010】
上記構成において、足先支持部4の色彩と前垂れ部3のそれとを同一にすることができる。この場合には、足先支持部4が目立つことがなく、健常者が使用しても違和感のない椅子を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の業務用リクライニング椅子の斜視図であり、図2はその使用状態を示す側面図である。この業務用リクライニング椅子は、美容院におけるシャンプーチェアーとしての例である。同様のものは、エステティックベッドや歯科治療用椅子としても使用できる。
【0012】
この椅子は、基部8に昇降装置10を介して座部1が設けられ、座部1の後端に背もたれ部2が設けられると共に、座部1の前端に前垂れ部3が延在する。座部1の上昇および背もたれ部2,前垂れ部3の起倒動作は、コントローラ7により電動で行われる。この例では、背もたれ部2と前垂れ部3の水平方向の倒伏は連動して行われる。
なお、本発明はこれらを手動で行うものでもよい。
【0013】
座部1の両側には一対の肘掛け6が設けられ、前垂れ部3には複数対(この例では2対)の足先支持部4が設けられている。この足先支持部4は、上端開放の袋状に形成され、その上部材は前垂れ部3の被覆材と同一材料および同一色のもので、縫製等によりその縁部と被覆材との間が固定され、その下部も同様に同一色の通気性メッシュ5で形成され、その縁が被覆材に縫製等により固定されている。各対の足先支持部4は、同一高さに位置し、上下に離間して複数対設けられている。
【0014】
図2に示すごとく、このシャンプーチェアーは、洗髪容器9に接近して配置され、図2の如く、背もたれ部2,前垂れ部3を水平方向に倒伏した状態で(正確には、背もたれ部2と座部1とは上向きのわずかに断面くの字状となり、座部1と前垂れ部3とは下向きのわずかに断面くの字状となる)、人12が仰向きに寝て、その人12の足先13を足先支持部4内に挿入する。するとつま先が通気性メッシュ5内に保持され、人12の膝11が鋭角に折れ曲がるようになる。この状態にすると、その人12の腰および腹部が伸ばされず、その人12が妊婦、腰痛者、或いは高齢者であっても、それを伸ばしたとき生じる痛みを解消できる。そして比較的長時間この状態を維持して、洗髪や歯科治療或いはフェイシャルエステを行うことが可能である。なお、歯科治療用椅子、フェイシャルエステ用のベットの場合には、背もたれ部2の後端に枕部が突設される。
【0015】
次に、図3は本発明の第2の実施の形態を示し、この例の足先支持部4はバンド状に形成され、その長手方向両端が前垂れ部3の表面材に縫着等の手段により固定されたものである。そしてこの足先支持部4内に足先13等を支持し、図2と同様の状態に座部1上の人12の姿勢を保つことができる。
また、図3の例では足先支持部4が前垂れ部3の高さ方向に離間して3対設けられている。このようにすることにより、人12の身長に応じて最適位置の一対の足先支持部4を選択し、図2の姿勢を誰でも保つことができる。なお、図3の例では前垂れ部3の表装材と足先支持部4の素材とは全く同一で同一色を用いることが好ましい。
【0016】
(変形例)
上記の例で足先支持部4は、同一レベルに1対設けられているが、本発明はそれに限れず、細長く一つのみの足先支持部4とし、そこに両足先を同時に挿入できるようにしても良い。
また、人12の膝11を鋭角に曲げてその状態を支持できるものであれば、足先支持部4の形状は問わない。
なお、上記の例では足先支持部4は不使用時において、その内面側が前垂れ部3に接触するように取り付けることが好ましい。そのようにすることにより、健常者がその椅子に座ったとき、足先支持部4が存在しても違和感を覚えないものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す業務用リクライニング椅子の斜視図。
【図2】同椅子の使用状態を示す側面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す業務用リクライニング椅子の斜視図。
【符号の説明】
【0018】
1 座部
2 背もたれ部
3 前垂れ部
4 足先支持部
5 通気性メッシュ
6 肘掛け
【0019】
7 コントローラ
8 基部
9 洗髪容器
10 昇降装置
11 膝
12 人
13 足先

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部(1)の後端に背もたれ部(2)が設けられ、座部(1)の前端に前垂れ部(3)が設けられ、その背もたれ部(2)および前垂れ部(3)が起倒自在に形成された業務用リクライニング椅子において、
その前垂れ部(3)に一以上の足先支持部(4)が設けられ、その足先支持部(4)は、背もたれ部(2)および前垂れ部(3)を水平方向に倒伏したとき、足先を支持して、膝が鋭角に曲がる位置に配置されていることを特徴とする業務用リクライニング椅子。
【請求項2】
請求項1において、
前記足先支持部(4)が、前記前垂れ部(3)の同一高さ位置に一対の上端開放の袋状に形成された業務用リクライニング椅子。
【請求項3】
請求項2において、
足先支持部(4)の先端部が通気性メッシュ(5)に形成された業務用リクライニング椅子。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記足先支持部(4)が、前記前垂れ部(3)の高さ方向に複数段形成された業務用リクライニング椅子。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれかにおいて、
前記足先支持部(4)の色彩が、前記前垂れ部(3)のそれと同一に形成された業務用リクライニング椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−278994(P2008−278994A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124330(P2007−124330)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(507151825)
【Fターム(参考)】