説明

業務計算機割当て方法及び装置

【課題】
従来では、利用者が複数の仮想計算機に接続して利用する際、接続先の仮想計算機の管理および周辺のデバイスの設定が面倒であった。
【解決手段】
複数の種類からなる仮想計算機と、その仮想計算機に接続するシンクラ端末および、シンクラ端末で使用するネットワークデバイスをデフォルトデバイスとして設定するスクリプトとの対応関係、さらに、シンクラ端末の接続が許可される仮想計算機の種類を管理する端末管理DBを有する管理サーバを設置すると共に、シンクラ端末に固有の端末識別子を付与する。シンクラ端末が端末識別子と許可される業務内容を提示すると、管理サーバは、業務内容に対応する仮想計算機を起動し、仮想計算機に対してコマンドを実行させ、そしてデフォルトデバイス設定等が行われた仮想計算機へ接続するための情報をシンクラ端末に返答する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,シンクライアント端末と業務計算機の割付けを管理する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シンクライアント端末(以下,シンクラ端末)を用いて業務計算機のデスクトップ環境を表示することにより,組織の異なる拠点からや,自宅等の異なった場所から同一の業務計算機にアクセスする環境を実現することが可能である。シンクラ端末の接続先である業務計算機と,同業務計算機を利用する利用者との対応関係を管理する端末管理DBを有し,シンクラ端末を介して利用者IDが提示された際に,その利用者が利用可能な業務計算機の識別子を返答する業務計算機割当て装置が実用化されている。
【0003】
また,シンクラ端末には業務計算機を操作する機能を与えるが,データを保存することを許可しないことにより,情報漏えいの恐れを低減することが可能である。
【0004】
シンクラ端末の接続先である業務計算機は,作成・保守・管理が容易な仮想計算機の形で作成され,セキュリティ性の高いデータセンタに格納されることも多い。
【0005】
業務計算機割当て装置を用いて接続した業務計算機で,シンクラ端末の周辺に設置された周辺機器,例えばネットワークプリンタを使用するためには,そのネットワークプリンタの識別子を業務計算機に設定する必要がある。従来技術でこの設定を行う方法として,特許文献1に示す方法がある。特許文献1では,クライアントPCのオフィスにクライアントを認証するPC認証装置を設置する。業務計算機は,オフィスに設置されているプリンタに印刷ジョブを送信することができるが,通常はどのプリンタでも印刷できないように設定しておく。各装置は以下の順で動作する。(1)PC認証装置は,クライアントPCと相互認証を行い,その識別子IDaを取得する。(2)PC認証装置は,サーバに,クライアントPCの識別子IDaとPC認証装置の識別子IDbを通知する。(3)サーバは,識別子IDaのクライアントPCが利用できるプリンタとして,識別子IDbのPC認証装置が設置されているオフィスにあるプリンタを登録する。上記フローにより,クライアントPCがサーバに接続したとき,クライアントPCがあるオフィスのプリンタが使用可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0186278号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の業務計算機割当て装置は,利用者が別のオフィスに移動し,別のシンクラ端末から業務計算機にアクセスする際に,同一の業務計算機に接続するように制御することが可能である。さらに,特許文献1に示された方法を用いることにより,シンクラ端末が設置されたオフィスのネットワークプリンタ,ネットワークスキャナなど,ネットワーク経由で計算機とデータをやり取りする機能を備えた周辺機器を使用することができる。
【0008】
しかし,従来の業務計算機割当て装置ではシンクラ端末を区別しないため,シンクラ端末ごとに利用可能な業務計算機を決めることができない。このため,シンクラ端末の設置場所や時間帯などによりシンクラ端末で利用できる業務内容が決まる必要があるシステムにおいては利用できない。
【0009】
しかしながら,例えば,銀行営業店において,特定の場所(席)に設置されたシンクラ端末は,特定の業務用計算機にしか接続できないような設定が求められる場合がある。或いは,時間帯によって用途が替わり,接続できる計算機も替わることが求められる場合がある。
【0010】
このような設定は,従来の業務計算機割当て装置ではできない。その解決策として,シンクラ端末に接続できる業務計算機情報を格納することが考えられるが,上述の通り,セキュリティを高めるため,シンクラ端末にデータを保存することを許可しない場合には,シンクラ端末ごとに接続先の業務計算機に関する情報を格納することは困難である。
【0011】
また,オフィスに同種のネットワーク機器が複数ある場合,シンクラ端末により近いネットワーク機器をデフォルト機器として使用可能にすることが,業務効率向上に有効であるが,従来技術では,利用者による設定が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示されるシステムは,管理サーバが,各シンクラ端末で行える業務内容を管理する端末管理DBを有し,シンクラ端末ごとに利用可能な業務計算機を決定可能にする特徴を備える。
【0013】
開示されるシステムは,より具体的には,各シンクラ端末に固有の端末識別子が付与され,シンクラ端末が管理サーバに端末識別子を提示すると,管理サーバがシンクラ端末にシンクラ端末の識別子に結びつく業務内容のリストを返信し,業務内容リストの中から行いたい業務内容を,シンクラ端末の利用者に選択可能にさせることを特徴とする。
【0014】
また,シンクラ端末が接続したい業務計算機の種類を管理サーバに提示すると,管理サーバは,提示した種類の業務計算機を一台選択して,選択した業務計算機に対してデフォルトネットワーク機器設定等を行い,そして,選択した業務計算機の識別子をシンクラ端末に返答するという特徴も備える。
【0015】
開示によれば,シンクラ端末でできる業務内容は管理サーバで管理されるため,システム管理者が業務内容のリストを編集することで,特定のシンクラ端末でできる業務内容を設定したり,変更したりできる。このため,システム管理者がシンクラ端末に情報を格納することなく,設置場所によりシンクラ端末のできる業務内容を決めることが可能となる。
【0016】
また,シンクラ端末が管理サーバに端末識別子を提示すると,管理サーバは最新の業務内容のリストを返信するため,システム管理者が管理サーバの業務内容のリストを更新したり,時間によってシンクラ端末で利用する業務内容が変わったりするシステムも実現できる。
【0017】
また,シンクラ端末からの端末識別子の提示に対し,管理サーバが業務計算機の識別子をシンクラ端末へ返送するまでの間に,業務計算機でデフォルトネットワーク機器の設定を行う。このため,シンクラ端末利用者が業務計算機でデフォルトネットワーク機器を設定する作業を省くことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば,端末と計算機との対応付けを,業務内容に応じて制限することが可能な,シンクライアントシステムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のシステム構成全体を表す図である。
【図2】実施例における管理サーバの内部構成を例示する図である。
【図3】実施例における仮想化サーバの内部構成を例示する図である。
【図4】実施例におけるシンクラ端末の内部構成を例示する図である。
【図5】実施例における端末管理DBの構成を例示する図である。
【図6】実施例におけるランチャー表示画面の構成を例示する図である。
【図7】実施例におけるシステム全体の動作シーケンスを例示するフローチャートである。
【図8】実施例における仮想化基盤の起動シーケンスを例示するフローチャートである。
【図9】実施例における仮想化基盤の終了シーケンスを例示するフローチャートである。
【図10】実施例における仮想計算機利用のシーケンスを例示するフローチャートである。
【図11】実施例におけるランチャー初期設定のシーケンスを例示するフローチャートである。
【図12】実施例における機番登録のシーケンスを例示するフローチャートである。
【図13】実施例における接続設定のシーケンスを例示するフローチャートである。
【図14】実施例における切断処理のシーケンスを例示するフローチャートである。
【図15】実施例における代理端末接続のシーケンスを例示するフローチャートである。
【図16】実施例における仮想計算機障害の対応のシーケンスを例示するフローチャートである。
【図17】実施例におけるシンクラ端末障害の対応のシーケンスを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態では,シンクラ端末の接続先である業務計算機として,仮想計算機を使う。
【0021】
図1は,本発明のシステム構成全体を表す図である。本システムは,いわゆる画面転送型と呼ばれるシンクライアントシステムを使用することを想定しており,アプリケーションプログラムを実行する計算機が,生成したデスクトップ画面情報を,ネットワークを介してシンクラ端末に送信し,シンクラ端末は,送信されたデスクトップ画面情報を自端末のディスプレイ上に表示すると共に,シンクラ端末のキーボードおよびマウスを介して入力された文字や座標情報を,ネットワークを介して計算機に送信することにより,マン・マシン・インタフェースを構成する。
【0022】
仮想化サーバ112では,ハイパーバイザ141と,ハイパーバイザ141上で稼動する仮想計算機である勘定系VMα133と勘定系VMβ134と情報系VMα135と情報系VMβ136が動作する。
【0023】
管理サーバ111には,管理プログラム131と,管理プログラム131が使用する端末管理DB132が格納されている。管理プログラム131は,シンクラ端末A121,シンクラ端末B124等が,勘定系VMα133と勘定系VMβ134と情報系VMα135と情報系VMβ136と接続する際に,接続制御を行う。
【0024】
勘定系VMα133と勘定系VMβ134と情報系VMα135と情報系VMβ136には,業務サーバ113上で稼動するサーバプログラムに接続する機能を有するクライアントプログラムが動作する。業務サーバ113上で稼動するサーバプログラムは,さらにホスト114上で稼動するホストプログラムとの通信を行っていてもよい。上述のクライアントプログラムとサーバプログラムとホストプログラムを含んで,業務システムが構成される。管理サーバ111と,仮想化サーバ112と,業務サーバ113と,ホスト114は,データセンタ内に設置され,LAN101に接続されており,WAN102を介して,遠隔拠点のLAN103に接続されている。
【0025】
遠隔拠点のLAN103に接続されたシンクラ端末A121は,例えばUSBインタフェースを用いて筐体に接続された端末接続デバイスA122と,シンクラ端末A121に物理的に隣接した位置に設置されLAN103に接続されたネットワーク接続デバイスA123と,を操作して業務システムを実行する。また同様に,シンクラ端末B124は,端末接続デバイスB125と,ネットワーク接続デバイスB126と,を用いて業務システムを実行する。
【0026】
業務システムとして,例えば銀行営業店の窓口端末システムを想定し,端末に隣接する通帳プリンタや現金機がネットワーク接続デバイスであると想定した場合,営業店内の別の通帳プリンタや現金機を誤って操作できないようにすることが望ましい。
【0027】
図2は管理サーバ111の内部構成を示すものである。端末101はプロセッサ201,通信ハードウェア202,メモリ203および固定ディスク204を含んで構成される。プロセッサ201はデータを処理するための計算機能を持つハードウェアである。通信ハードウェア131はNIC(ネットワークインタフェースカード)など,ネットワーク通信のためのデバイスである。固定ディスク212はデータやデータ処理ソフトウェア(プログラム)を格納する不揮発性記憶媒体(例えば磁気ディスクなど)である。メモリ203はプログラムを実行する際にプロセッサ201が利用する記憶媒体であり,揮発性であっても良い。
【0028】
固定ディスク204には,OS(オペレーティングシステム)211と管理プログラム131と端末管理DB(データベース)132,が格納されている。OS211は通信ハードウェア202の制御やメモリ203の管理をし,管理プログラム131を実行する機能を備える。
【0029】
サーバ管理プログラム131はシンクラ端末A121およびシンクラ端末B124からの接続を受付,シンクラ端末A121およびシンクラ端末B124に仮想計算機の情報を返すための機能を備える。端末管理DB132は管理プログラム131が利用するデータを格納する機能を備える。管理プログラム131は,DB管理部221とランチャー応答部222と仮想計算機制御部223を含んで構成される。
【0030】
DB管理部221はシステム管理者が端末管理DBの初期設定や変更などを行うための機能を備える。ランチャー応答部222はシンクラ端末A121およびシンクラ端末B124からの接続を受け付けて,シンクラ端末A121およびシンクラ端末B124に返信する機能を備える。仮想計算機制御部223は仮想化サーバ112の起動,終了や接続応答状態監視を行う機能を備える。また,仮想計算機制御部223は仮想化サーバ112上の各仮想計算機の動作または停止状態を監視する機能を備える。
【0031】
図3は仮想化サーバ112の内部構成を示すものである。仮想化サーバ112はプロセッサ301,通信ハードウェア302,固定ディスク304,メモリ303を含んで構成される。プロセッサ301はデータを処理するための計算機能を持つハードウェアである。通信ハードウェア302はNICなど,ネットワーク通信のためのデバイスである。固定ディスク304はデータやデータ処理ソフトウェア(プログラム)を格納する記憶媒体(例えば磁気ディスクなど)である。メモリ303はプログラムを実行する際にプロセッサ301が利用する記憶媒体である。なお,図1では仮想化サーバ112一台しか示していないが,本システムでは仮想化サーバ112が複数台あってもよい。
【0032】
固定ディスク304には,ハイパーバイザ141とハイパーバイザ141が利用する仮想計算機であるVMグループ137が格納されている。VMグループ137には,勘定系のソフトウェアが導入する勘定系VMα133と勘定系VMβ134と,情報系のソフトウェアが導入する情報系VMα135と情報系VMβ136が含まれる。VMグループ137には勘定系と情報系以外の業務ソフトウェアが導入する仮想計算機のグループが格納されてもよい。またひとつの業務内容の仮想計算機の数は2以上でもよい。ハイパーバイザ141はVMグループ137の中の仮想計算機をメモリ303上で展開し,あたかも1台の独立した計算機のように動作させる機能を備える。ハイパーバイザ141は管理サーバ111から起動や終了の命令を受付実行する機能を備えている。また,ハイパーバイザ141はVMグループ137の仮想計算機を起動,終了する機能を備えている。
【0033】
勘定系VMα133はOS321とリモートUSBサーバ322とデバイス設定ソフト323と勘定系ソフトウェア324が格納される。OS321は仮想計算機の中で動作するオペレーティングシステムである。リモートUSBサーバ322はOS321の上で動作するソフトウェアであり,シンクラ端末A121,シンクラ端末B124などシンクラ端末のデバイスを制御するための機能を備える。デバイス設定ソフト323は勘定系VMα133が利用するネットワークデバイスのデフォルト設定を行うソフトウェアである。勘定系ソフトウェア324は仮想計算機α133の利用者が業務を実行するための機能を備える。なお,勘定系VMβ134と情報系VMα135と情報系VMβ136の内部構成は勘定系VMα133と同じである。ただし,情報系VMα135と情報系VMβ136には勘定系ソフトウェア324の変わりに情報系ソフトウェアが格納されている。
【0034】
図4は,本発明が使用するシンクラ端末A121の内部構成を示すものである。シンクラ端末B124の内部構成も同じである。シンクラ端末A121はプロセッサ401,通信ハードウェア402,メモリ403,記憶装置404,I/Oハードウェア405,端末固有IDチップ406,デバイスインタフェース407を含んで構成される。プロセッサ401はデータを処理するための計算機能を持つハードウェアである。通信ハードウェア402はNICなど,ネットワーク通信のためのデバイスである。メモリ403はプログラムを実行する際にプロセッサ401が利用する記憶媒体である。記憶装置404はデータやデータ処理ソフトウェア(プログラム)を格納する記憶媒体である。記憶装置404の媒体は着脱可能な外部記憶媒体でもよい。また,一般利用者が書き込み不可と設定してもよい。記憶装置404には,OS413とランチャー412とリモートUSBクライアント411が格納されている。OS413はシンクラ端末A121のハードウェアを制御する最小限機能を備える。ランチャー412はシンクラ端末A121と仮想計算機の接続を管理する機能を備える。リモートUSBクライアント411はリモートUSBサーバ322へ接続し,USBデバイスのデータを仮想計算機へ送信する機能を備える。I/Oハードウェア405はモニタ,キーボードやマウスなど,利用者が端末を操作するためのデバイスである。端末固有IDチップ406はシンクラ端末に対してユニークに割り当てられた識別子が格納される記憶装置である。端末固有IDチップ406は例えば,Trusted Platform Module(TPM),ハードウェア耐タンパー性をもつセキュリティチップでもよい。デバイスインタフェース407はUSBデバイスなどシンクラ端末A121に直接につなぐデバイスを利用するためのデータやり取り機能を備える。
【0035】
図5は,端末管理DB132の構成要素を示すものである。端末管理DB212は,デバイス設定情報を格納するテーブル501と業務タイプを格納するテーブル502と仮想計算機情報を格納するテーブル503と接続状況の情報を格納するテーブル504とデバイス設定スクリプトを格納するテーブル505を含んで構成される。
【0036】
テーブル501は,シンクラ端末の営業店および営業点内の番号を示す機器番号フィールド511と,このシンクラ端末で利用する仮想計算機内のアプリケーションがデフォルトで利用する各種ネットワークデバイスリストで構成される。
【0037】
デフォルトで利用するネットワークデバイスは,設置場所上の都合,または店舗内の規則により,管理者が決めるものである。ネットワーク器機のリストは,具体的に,シンクラ端末の利用者がデフォルトで利用するプリンタ名を示すデフォルトプリンタフィールド512と,シンクラ端末の利用者がデフォルトで利用する通帳プリンタのIPアドレスを示すデフォルト通帳プリンタフィールド513と,シンクラ端末の利用者がデフォルトで利用する現金機のIPアドレスを示すデフォルト現金機フィールド514を含んで構成される。
【0038】
テーブル502は,勘定系,情報系,認証,外為など,仮想計算機の用途を示す業務タイプフィールド521と上記業務用途に対して必要となるデバイスを示す利用デバイスフィールド522と仮想計算機に実行させるスクリプトの名称を格納するスクリプト名フィールド523を含んで構成される。
【0039】
テーブル503は,仮想計算機の識別を示すIDフィールドと仮想計算機のIPアドレスを示すIPアドレスフィールド532と,仮想計算機の用途を示すタイプフィールド533と仮想計算機に対して,後述する代理端末接続を行うことが許可されるかを示す代理端末接続フィールド534と,仮想計算機のリモートデスクトップが接続可能か否かを示す接続可否フィールド535と仮想計算機がシンクラ端末により利用されているかどうかを示す利用状況フィールド536を含んで構成される。
【0040】
テーブル504は,シンクラ端末に対してユニークに割り当てられた識別子を格納する固有IDフィールド541と,シンクラ端末がどの営業店の何番目の端末であるかを示す機器番号を格納する機番フィールド542とシンクラ端末で利用される勘定系の仮想計算機の識別を示す勘定系フィールド543と,シンクラ端末で利用される情報系の仮想計算機の識別を示す情報系フィールド544と,シンクラ端末で利用される認証の仮想計算機の識別を示す認証系フィールド545と,シンクラ端末で利用される外為の仮想計算機の識別を示す外為フィールド546と,シンクラ端末で利用されるデフォルトのタイプを示すデフォルトフィールド547を含んで構成される。デフォルトのタイプとは,利用者がもっとも最近にシンクラ端末を利用した際に接続した業務タイプのことである。次回利用者がシンクラ端末を利用する際に,業務タイプを選択しなくてもランチャー412内で決められた一定の時間が経つとランチャー412がデフォルトの業務タイプの仮想計算機へ自動的に接続を行い,利用者の入力の手間を省くことが可能である。
【0041】
なお,シンクラ端末が勘定系の業務内容を利用できない場合はシステム管理者がシンクラ端末の543フィールドを“利用不可”と設定する。同じく,情報系や認証や外為が利用不可の場合はそれぞれ544,545,546フィールドに“利用不可”と設定される。
【0042】
テーブル505は,仮想計算機でデフォルトのデバイスを設定するためのスクリプト名を示すスクリプト名フィールド551と,スクリプト名に対応するスクリプトを示すスクリプト内容フィールド552を含んで構成される。
【0043】
図6は,ランチャー412の表示画面を示すものである。
【0044】
起動画面601はランチャー412が起動するときに示すものである。終了ボタン602はランチャー412の終了と,ランチャー412が稼動するシンクラ端末Aの電源オフの機能を備える。
【0045】
機番入力画面611はランチャー412がシンクラ端末Aの機番を入力させるときに示す画面である。機番入力画面611は終了ボタン612と機番入力ボックス613を含んで構成される。終了ボタン612は,ランチャー412の終了と,ランチャー412が稼動するシンクラ端末Aの電源オフの機能を備える。機番入力ボックス613は機番の入力を受け付ける機能を備える。
【0046】
業務選択画面621はランチャー412がシンクラ端末A121の利用者に業務内容選択させるときに示す画面である。業務選択画面621は代理端末接続ボタン622,業務選択ボタン623,業務選択ボタン624,終了ボタン625,機番表示ボックス626を含んで構成される。代理端末接続ボタン622は後述する代理端末接続画面631を表示する機能を備える。業務選択ボタン623,624はRDPクライアントなど,仮想計算機に接続するためのプロセスを起動する機能を備える。利用者が業務選択ボタン623を押すとき,機番626に対応する勘定系の仮想計算機に接続することができる。同じく,利用者が業務選択ボタン624を押すとき,機番626に対応する情報系の仮想計算機に接続することができる。終了ボタン625はランチャー412の終了と,ランチャー412が稼動するシンクラ端末Aの電源オフの機能を備える。機番表示ボックス626はシンクラ端末A121に対応する機番を表示する領域である。
【0047】
代理端末接続画面631は利用者が代理端末接続ボタン622を押したときに表示する画面である。代理端末接続画面631は戻りボタン632と業務タイプ選択ボックス633を含んで構成される。終了ボタン632は代理端末接続画面631を非表示にする機能を備える。業務タイプ選択ボックス633はシンクラ端末A121が代理端末接続可能な仮想計算機の一覧を表示する機能を備える。代理端末接続については後述する。なお,業務タイプ選択ボックス633より利用者がひとつの仮想計算機を選んで代理端末接続を行うことが可能である。
【0048】
図7は本発明のシステム全体の動作を示すフローチャットである。ステップ701では,システムの起動として業務サーバ113,ホスト114および管理サーバ111が起動する。管理サーバ111は,起動完了後,管理プログラム131を起動する。ステップ702は管理サーバ111の事前準備となる。ステップ701では,システムの管理者が端末管理DB132のデバイス設定情報テーブル501と業務タイプ情報テーブル502と接続状況情報テーブル504とデバイス設定スクリプトテーブル505にデータを格納する。
【0049】
また,システムの管理者は仮想計算機情報テーブル503のIDフィールド531,IPアドレスフィールド532,業務タイプ533にもデータを入力する。システムの事前準備完了状態で,管理者がステップ703で終了命令を出すか,ステップ705で仮想化基盤を起動して利用する。システム終了の命令が来る場合,ステップ708で業務サーバ113,ホスト114および管理サーバ111が終了し,システムが停止状態708に入る。管理者の終了命令がない場合,当システムがステップ705に進む。ステップ705では仮想化機番が起動し,VMグループ137が利用できるようになる。ステップ706では,システム利用者が当システムを利用する。システム利用者が当システムを利用した後,当システムはステップ707でVMグループ137を終了し,システム管理者の命令待ち状態に戻る。以下,それぞれのステップにおいての詳細動作について説明する。
【0050】
図8は,仮想化基盤の起動の手順を示すシーケンス図である。まず,ステップ800で,管理者が管理サーバ111に対して仮想化基盤利用開始命令を送信する。仮想化基盤利用開始命令は例えば,当システムを利用する営業店の営業開始30分前に自動的に管理サーバ111がハイパーバイザ141へ送るように管理者が設定してもよい。
【0051】
管理サーバ111はまずステップ801において,ハイパーバイザ141に対して起動命令を送信する。例えばWake On Lan の機能を利用することも可能である。ステップ802ではハイパーバイザ141が起動する。ステップ803ではハイパーバイザ141がVMグループ137内のすべての仮想計算機を起動する。VMグループ137内のすべての仮想計算機はステップ804および805において起動および接続待ち状態に入る。一方VMグループ137内のすべての仮想計算機が立ち上がるまで,管理サーバはステップ806において一定時間を待つ。この時間は5分程度でもよい。
【0052】
そして,ステップ807において,管理サーバ111は仮想計算機グループ137内のすべての仮想計算機の立ち上がりを確認するためのリクエストを送信し,ステップ808で状態の報告を受け取る。仮想計算機の立ち上がりの確認は例えばPingの送信および返答による方法でもよい。仮想計算機グループ137内の仮想計算機が立ち上がったことを確認できた場合,管理サーバ111はステップ809において端末管理DB132を更新する。
【0053】
具体的に,テーブル503において,起動完了した仮想計算機に対応するレコードの接続可否フィールド535を“可”とし,レコードの利用状況フィールド536を“待機中”とする。すべての仮想計算機の状態確認を終えた後に,管理サーバ111はステップ813において待機状態に入る。
【0054】
図9は,仮想化基盤が終了する手順を示すシーケンス図である。まず,ステップ901で管理者が管理サーバ111に対して仮想化基盤の利用終了命令を送信する。仮想化基盤の利用終了命令は,例えば,当システムを利用する営業店の営業終了後に自動的に送られるように管理者が設定しておいてもよい。ステップ902では管理サーバ111が仮想化サーバ112のハイパーバイザ141に終了命令を送信する。管理サーバ111は仮想化サーバ112へ終了命令を送信する後にステップ908において待機状態に入る。一方,ハイパーバイザ141はステップ903において仮想化サーバ112上のVMグループ137のすべての仮想計算機に終了命令を送信した後にステップ907において終了する。一方,VMグループ137のすべての仮想計算機は終了命令を受信するとステップ904で終了する。
【0055】
図10は,ステップ706における仮想計算機利用の手順を示すシーケンス図である。行員などシステムの利用者がシンクラ端末を利用する業務を行う場面を想定する。
【0056】
まず,ステップ1001において,利用者がシンクラ端末A121の電源をONにする。
これにより,シンクラ端末Aがステップ1002で起動し,ステップ1003で管理サーバ111と通信し,ランチャー412の初期設定を行う。ステップ1003の詳細については後述する。
【0057】
そして,ステップ1004において,シンクラ端末A121はランチャー業務選択画面621を表示し,利用者を業務選択画面621より選択させる。利用者がステップ1005において勘定系を選択するとする。ステップ1006において,シンクラ端末A121および管理サーバ111および勘定系VMα133が接続設定を行う。ステップ1006の詳細に関しては後述する。
【0058】
そして,ステップ1007において,シンクラ端末A121では勘定系VMα133のログイン画面が表示される。そこで,利用者がログインし,勘定系VMα133の中のアプリケーションを操作できるようになる。続けて,利用者がシンクラ端末A121のランチャー412の業務選択画面621より情報系を選択すると,ステップ1009ではシンクラ端末A121および管理サーバ111および情報系VMα135が接続設定を行う。1009の詳細については後述する。
【0059】
ステップ1010ではシンクラ端末A121の利用者が情報系VMα135のログイン画面でログインし,情報系VMα135のアプリケーションを利用する。
【0060】
ステップ1011において,利用者がシンクラ端末A121を利用して,同時に二つの勘定系VM133と情報系VMα135の画面を操作し,業務を行う。
【0061】
利用者が仕事を終了するとき,まずステップ1012において勘定系VMの画面を消し,ステップ1014で情報系VM画面を消し,ステップ1016においてシンクラ端末の電源をオフにする。切断設定1013および1015に関しては後述する。シンクラ端末A121はステップ1017終了する。
【0062】
図10に示すように,当システムの利用者はシンクラ端末A121のランチャー412が表示する業務選択画面621より,勘定系,情報系など,複数の業務内容の画面を一つのシンクラ端末上に開き,操作対象を切り替えながら操作することが可能である。
【0063】
図11は,ステップ1003におけるランチャー初期設定手順を示すシーケンス図である。
【0064】
まず,ステップ1101において,シンクラ端末A121はランチャー412を起動する。起動中,ランチャー412は画面601を示す。ランチャー412はシンクラ端末A121のスタートメニューに登録して,シンクラ端末A121が起動する際にランチャーを呼び出すように設定してもよい。次に,ステップ1102で,ランチャーが端末固有IDチップ406にアクセスし,チップ内の端末固有IDを読み出す。ステップ1103において,ランチャー412が端末固有IDを管理サーバに送信する。送信方法はHTTPなどのプロトコルを利用してもよい。
【0065】
ステップ1104で,管理サーバ111がシンクラ端末A121から受信した端末固有ID情報はテーブル504に登録済みかどうかを確認する。シンクラ端末A121の固有IDがテーブル504に登録済みではない場合,シンクラ端末A121に未登録というメッセージを返信する。未登録のシンクラ端末は管理サーバ111から未登録というメッセージを受信できるだけで,業務用端末へ接続することができない。
【0066】
一方,シンクラ端末A121の固有IDがテーブル504に登録済みの場合,管理サーバ111は次のステップ1105へ進む。ステップ1105では,利用者が機番登録を行う。機番はシンクラ端末の設置場所を表すための情報(たとえば番号)である。管理サーバ111は機番情報を接続状況テーブル504に保存する。
【0067】
ステップ1006では,管理サーバ111がテーブル504よりシンクラ端末A121が利用する仮想計算機のリストを取得し,業務選択画面621の内容を作成する。業務選択画面621の作成方法については後述する。ステップ1007では,管理サーバ111が業務選択画面621の内容をシンクラ端末A121へ送信する。
【0068】
管理サーバ111は業務選択画面621をテーブル504から次のように作成する。まず,シンクラ端末A121から受信した端末固有ID情報に対応する機番フィールド543の値を機番表示ボックス626に入れる。次に,シンクラ端末A121から受信した端末固有ID情報に対応する勘定系フィールド543の値が“利用不可”ではない場合,勘定系という業務選択ボタン623を作成し,利用者がこのボタンを押すとき,勘定系フィールド543の値に対応する勘定系の業務計算機に接続できるように設定する。情報系フィールド544に対しても,“利用不可”ではない場合,情報系フィールド544の値が示す情報系の業務計算機に接続するための業務選択ボタン624を作成する。同じ作業を認証フィールド545,外為546に対しても行う。
【0069】
ランチャー412は起動するたびにステップ1103を行って業務選択画面621をダウンロードするが,ランチャー412は起動するとき以外にも,5分間隔など定期的にステップ1103を行って業務選択画面621を更新することも可能である。また,シンクラ端末A121の利用者がF5のボタンを押す時など,利用者からの更新要求があるたびにランチャー412はステップ1103を行って業務選択画面621を更新することも可能である。
【0070】
図12は,ステップ1105の機番登録の手順を示すシーケンス図である。管理サーバ111がステップ1201において機番入力を要求する。シンクラ端末A121はステップ1202で,機番入力画面611を表示する。利用者がステップ1203でシンクラ端末Aに対応する機番を入力する。ステップ1204で,シンクラ端末A121は機番情報を管理サーバへ送信し,機番入力画面611を非表示にする。ステップ1205で,管理サーバ111はシンクラ端末A121から受信した機番を用いて,以下の作業により,シンクラ端末A121の端末管理DB132へ登録する。
【0071】
(1)シンクラ端末A121から受信した機番を,テーブル504に保存する。
【0072】
(2)また,シンクラ端末A121が利用する勘定系,情報系,認証系,外為の仮想計算機をそれぞれひとつ選択し,テーブル504の勘定系フィールド543,情報系フィールド544,認証系フィールド545,外為フィールド546に選択した仮想計算機のIDを保存する。
【0073】
ただし,シンクラ端末A121に関する情報が既にテーブル504に存在する場合,管理サーバ111がステップ1105を省略してもよい。
【0074】
シンクラ端末A121はチップ内の端末固有ID(TPM情報など)を管理サーバ111で認証することにより,外部の端末のシステムへの侵入を防ぐことができる。また,端末固有IDによる認証作業はランチャーというソフトウェアが行うため,利用者の入力の手間が省ける。
【0075】
シンクラ端末で利用者が選択可能な業務内容(業務選択画面621の内容)は管理サーバ111のテーブル504で一元管理するため,シンクラ端末での業務内容変更は管理者がテーブル504を編集することにより容易にできる。そのため,特定のシンクラ端末でできる業務内容の調整が可能となる。例えば,銀行営業店において,研修用席のシンクラ端末は研修用の業務計算機へしか接続できず,ハイカウンタ,ローカウンタに置かれているシンクラ端末は勘定系業務計算機へしか接続できないという設定ができるようになる。また,シンクラ端末が起動する度にステップ1103で固有IDを管理サーバ111送信し,テーブル504により作成された業務内容選択業務選択画面621をステップ1107で受信する仕組みを採用することで,テーブル504が変更された場合,シンクラ端末は一回の再起動で業務選択画面621を更新できるため,時間によってシンクラ端末の利用できる業務内容が頻繁に変化するシステムを実現できる。
【0076】
例えば,定時後や週末に行われる研修のため,営業店内のすべてのシンクラ端末が一時的に研修用の業務計算機にしか接続できない状態に設定することもできるようになる。
【0077】
シンクラ端末で利用者が選択可能な業務内容(業務選択画面621の内容)を変更するために,テーブル504の内容を変更する必要がある。テーブル504の内容変更には,システム管理者がテーブル504を直接に編集することも可能である。また,システム管理者がcronなど,ジョブ(スクリプト)を自動実行するためのデーモンプロセスを利用し,あらかじめ決められた時間にテーブル504の各フィールド543,544,545,546を変更するタスクを利用することも可能である。例えば,定時後の勘定系業務の研修のために,定時ちょうどにすべての端末のフィールド544,545,546を“利用不可”と設定し,フィールド543内の“利用不可”を消すタスクを実行し,研修終了時刻にテーブル504を定時前の状態に戻すタスクを実行することで,定時後の勘定系業務研修の環境を作ることができる。
【0078】
図13は,ステップ1006における仮想計算機設定の処理手順を示すシーケンス図である。
【0079】
ステップ1301で,シンクラ端末A121が,勘定系タイプの仮想計算機発行要求を管理サーバ111の仮想計算機制御部223へ送信する。
【0080】
ステップ1302で,管理サーバ111の仮想計算機制御部223はテーブル504を参照し,シンクラ端末Aに対応する勘定系タイプ仮想計算機のIDを取得する。この例ではステップ1302で管理サーバ111の仮想計算機制御部223が取得したIDは勘定系VMα133のIDとする。
【0081】
ステップ1303において,管理サーバがVMに設定スクリプトを送信する。具体的には,管理サーバ111が情報テーブル502から勘定系に対応するスクリプト名を取得し,取得したスクリプト名を用いてデバイス設定スクリプトテーブル505を参照し,スクリプトの内容を取得する。管理サーバ111は取得したスクリプトの内容を勘定系VMα133に送信し,実行する。
【0082】
ステップ1303の結果として,ステップ13311では,勘定系VMα133の中のアプリケーションは,テーブル501でシンクラ端末Aに対応するネットワークデバイスをデフォルトとして利用できるようになる。
【0083】
ステップ1305において,管理サーバ111は,仮想計算機情報テーブル503の,勘定系VMα133の利用状況フィールド536を“利用中”に変更し,接続状況テーブル504にシンクラ端末A121の固有IDに対応した勘定系フィールド543に勘定系VMα133のIDを記述する。
【0084】
ステップ1306において,勘定系VMα133のIPアドレスをシンクラ端末Aへ返す。
【0085】
シンクラ端末A121はステップ1307において,勘定系VMα133に対してデバイス接続を行う。デバイス接続は,具体的に,シンクラ端末A121内のリモートUSBクライアント411が勘定系VMα133内のリモートUSBサーバ322へ接続する。勘定系VMα133のリモートUSBサーバ322はステップ1308において接続の受付を行う。
【0086】
これで,リモートUSBクライアント411とリモートUSBサーバ322はシンクラ端末A121に接続するデバイスからのデータを勘定系VMα133へ転送し,勘定系VMα133からのデータをシンクラ端末A121に接続するデバイスへ転送することにより,シンクラ端末Aに接続するデバイスが勘定系VMα133から利用できるようになる。
【0087】
ステップ1309において,シンクラ端末A121が勘定系VMα133にRDPなどの画面転送クライアントで接続を行い,ステップ1310において勘定系VMα133の画面を受信する。
【0088】
ステップ1009の処理手順はステップ1006と同じである。ただし,ステップ1009においてシンクラ端末Aの接続先の仮想計算機は情報系VMα135となる。
【0089】
ステップ1303において,管理サーバ111が,勘定系VMα133の情報をシンクラ端末A121へ送信する前に,勘定系VMα133のデバイス設定を遠隔で行うことにより,勘定系VMα133の中の業務アプリケーションにとってのデフォルトのネットワークデバイスがテーブル501の中のシンクラ端末Aに対応したデバイスをデフォルトで利用するようになり,利用者によるデバイス設定が一切不要となる。
【0090】
シンクラ端末Aがステップ1307をステップ1310より先に行うことにより,
勘定系VMα133の画面転送が開始されるときに,勘定系VMα133のデバイスに関する設定がすべて完了する。これにより,別の場所にあるプリンタへ印刷をしてしまうなど,デバイス設定未完成のためのトラブルを防止可能になる。
【0091】
図14は,ステップ1013における接続切断処理を示すシーケンス図である。まず,ステップ1401でシンクラ端末A121が勘定系VMα133への画面転送接続を切断する。画面転送切断は,画面転送用RDPクライアントの終了により行ってもよい。次に,ステップ1402では,画面転送のための接続が切断ことを検知し,勘定系VMα133は端末接続デバイスA122を利用するための接続を切断する。上述の接続はステップ1308において勘定系VMα133が確立したものである。ステップ1403では,シンクラ端末A121が勘定系VMα133からのデバイスA利用のための接続が切断することを検知する。ステップ1044で,シンクラ端末A121が勘定系VMα133の利用が終了したことを管理サーバ111に通知する。ステップ1405で,管理サーバは仮想計算機情報テーブル503の利用状況フィールド536の勘定系VMα133を“利用中”から“待機中”に変更する。
【0092】
ステップ1015の処理手順はステップ1013と同じである。ただし,ステップ1015においてシンクラ端末Aの接続先の仮想計算機は情報系VMα135となる。
【0093】
図15は,シンクラ端末A121が接続中の勘定系VMα133に対して,シンクラ端末B124を,シンクラ端末A121の代理端末(または代替端末)として接続する,いわゆる代理端末接続の手順を示すシーケンス図である。代理端末接続とはあるシンクラ端末の代わりに,別のシンクラ端末から仮想計算機へ接続することである。
【0094】
まず,利用者がステップ1500においてシンクラ端末A121を用いて勘定系VMα133の画面を操作し業務を実行しているとする。ステップ1521では,利用者がシンクラ端末A121から離れて,シンクラ端末B124の設置場所に移動する。
【0095】
ステップ1501では,利用者がシンクラ端末B124を起動する。
【0096】
ステップ1502では,シンクラ端末Bのランチャーが立ち上がり,管理サーバ111へ接続し,初期設定を行う。ステップ1502の処理内容は,ステップ1003と同じである。
【0097】
次に,シンクラ端末B124はステップ1503において管理サーバ111から受信した業務選択画面621を表示する。
【0098】
ステップ1504では,利用者が業務選択画面621の中の代理端末接続ボタン622を押す。
【0099】
ステップ1505では,代理ボタン622が押されると,シンクラ端末Bが管理サーバに対して,代理端末接続を許可する仮想計算機のリストを要求する。
【0100】
ステップ1506では,管理サーバが代理端末接続を許可するVMのリスト633をシンクラ端末B124へ送信する。代理端末接続を許可するVMとは,テーブル503において代理端末接続フィールド534が“可”となっているVMである。
【0101】
ステップ1507では,リスト633を受信したシンクラ端末B124が代理端末接続画面631を表示する。
【0102】
ステップ1508では,利用者が代理端末接続画面631の中のVMリスト633の中から勘定系VMα133を選択する。
【0103】
ステップ1509では,シンクラ端末B124が管理サーバ111に対して,勘定系VMα133への代理端末接続要求を送信する。
【0104】
ステップ1510では,管理サーバ111はシンクラ端末A121の接続を切断する。ステップ1510での処理は,ステップ1013と同じである。
【0105】
次に,ステップ1511では,管理サーバ111はシンクラ端末B124を勘定系VMα133へ接続される。ステップ1511での処理は,ステップ1006と同じである。
【0106】
ステップ1512では,利用者が勘定系VMα133へログインし,ステップ1513で利用者が勘定系VMαの中のアプリケーションを利用する。一方,シンクラ端末Aでは,ステップ1510において勘定系VMα133との接続を切断後,ステップ1514でランチャー業務選択画面の表示をし,業務内容選択待ちの状態に入る。
【0107】
なお,特定の仮想計算機に対してログインできる利用者は,システム管理者が決めるため,ある利用者がシステム管理者の許可なくほかの利用者の仮想計算機を横取ることができない。特定の仮想計算機に対してログインできる利用者を決めるにはディレクトリ・サービスを利用してもよい。
【0108】
代理端末接続の機能により,利用者が利用中のシンクラ端末から離れて別のシンクラ端末から利用中の仮想計算機に接続し,業務を継続することが可能である。また,ステップ1511において,仮想計算機で利用するデバイスも代理端末接続のシンクラ端末に切り替えるため,利用者が手動でデバイスの設定を行う手間を省略できる。
【0109】
営業店の行員がシンクラ端末A121を操作し,顧客に対応している最中にシンクラ端末A121が故障した場合,シンクラ端末Aの修理または入れ替えを待つ間に,従来のシステムでは顧客の対応を続行できない。そこで,代理端末接続の機能により,行員はシンクラ端末B124が設置される隣のカウンタへ顧客を誘導し,シンクラ端末B124で利用中の業務画面を呼び出して顧客対応をスムーズに続けることが可能となる。
【0110】
図16は,シンクラ端末A121が情報系VMα135に接続している最中に,情報系VMα135が故障または緊急なシステム変更などで停止した場合のシステムの処理の流れを示す。
【0111】
まず,ステップ1601では,利用者がシンクラ端末A121で情報系VMα135を利用しているとする。また,情報系VMβ136は起動済みで,ステップ1602において待機状態にはいっているとする。そこで,ステップ1604において,動作中の情報系VMα135が故障または管理者の操作により停止する。ステップ1604で,シンクラ端末A121では,画面転送のための接続が切断し,情報系VMα135の画面が停止する。ステップ1605では利用者の業務が中断する。一方,管理サーバ111の仮想計算機制御部223はVMの監視機能により情報系VMα135の接続不可をステップ1606で発見する。VMの監視は例えばPingコマンドでVMの応答を定期的に確認する仕組みを利用してもよい。ステップ1607でシンクラ端末Aのための情報系VMβ136を準備する。ステップ1607の処理手順は,ステップ1006と同じである。
【0112】
ステップ1608で,情報系VMα135への接続が切断したシンクラ端末A121が再び管理サーバ111へ情報系VMの要求をする。ステップ1609で,管理サーバ111がシンクラ端末A121を情報系VMβ136に接続させる。ステップ1609の処理手順は,ステップ1006と同じである。ステップ1610で情報系VMβ136に接続したシンクラ端末A121は情報系VMβ136の画面を利用者に展開し,利用者が情報系VMβ136へログインする。ステップ1611では,利用者が情報系VMβ136の画面で業務を再開する。
【0113】
管理サーバ111は利用中の仮想計算機の停止を発見すると,ステップ1607で停止した仮想計算機と同じ業務の仮想計算機を準備し,シンクラ端末の接続先を新しく準備した仮想計算機に切り替えることにより,短時間で,システム利用者および管理者による設定が必要なく,利用者の業務を続行させることが可能となる。
【0114】
図17は利用者が利用中のシンクラ端末を入れ替える場合の処理手順を示す。
【0115】
ステップ1701では利用者がシンクラ端末A121を利用し,勘定系VMα133の画面を操作し業務を行っている。ステップ1702では,シンクラ端末A121が故障または利用者による終了で停止する。ステップ1703ではシンクラ端末A121から勘定系VMα133への接続が切断する。ステップ1704で,シンクラ端末Aからの接続が切断した勘定系VMα133は待機状態に入る。
【0116】
一方,ステップ1705でシンクラ端末A121の故障に気づいた,またはシンクラ端末A121を終了した利用者が,ステップ1706でシンクラ端末Aをシンクラ端末Bで置き換え,シンクラ端末Bを起動する。ステップ1707でシンクラ端末Bが起動し,ステップ1708で管理サーバ111へTPM情報を送信する。ステップ1709で利用者がシンクラ端末Aの機番を登録する。ステップ1709の処理内容は,ステップ1104と同じである。
【0117】
ステップ1710では,シンクラ端末A121の機番を受信した管理サーバ111はシンクラ端末A121の業務選択画面621をシンクラ端末B124へ送信する。ステップ1711で利用者がシンクラ端末Bで業務内容を選択し,勘定系VMα133へ接続し,シンクラ端末121を置き換える直前の画面を再度操作する。
【0118】
シンクラ端末を置き換える際に,利用者がステップ1709において機番の入力を行うだけで,新しいシンクラ端末で置き換える前の業務環境を復旧することができる。当システムでは,業務選択画面621をシンクラ端末に保存せず,管理サーバ111で一元管理するためシンクラ端末を置き換えても短時間で業務環境が復旧可能である。
【0119】
以上のように,本実施形態においては,シンクラ端末の利用者がシンクラ端末の提示する業務内容を選択するだけで選択した業務ができる仮想計算機の接続ができる。複数の業務内容選んで,複数の画面で同時に業務を行うことも可能である。
【0120】
また,シンクラ端末内部にそれぞれ識別認識の情報が入って,シンクラ端末起動時にソフトウェアにより認証を行うため,未登録のシンクラ端末が当システムへ侵入を防止できる。
【0121】
また,シンクラ端末の業務選択画面621を管理サーバで一元管理するため,管理者が容易に変更できる。
【0122】
さらに,利用者による設定を必要とせず,仮想計算機がデフォルトで利用するIPネットワーク対応デバイスは接続元であるシンクラ端末の場所に最適になる。
【0123】
また,仮想計算機が変更した場合でも管理サーバでデバイスの再設定が行われるため,利用者による設定が発生しない。
【0124】
また,本実施形態の代理端末接続機能によれば,利用者が利用中のシンクラ端末から離れた場所に設置するシンクラ端末から利用中の業務画面を引き継ぐことが可能となる。
【0125】
また,シンクラ端末の接続中の仮想計算機の故障が発生時,管理サーバがシンクラ端末を別の仮想計算機へ切り替えるため,利用者の業務中断時間が短く,利用者による設定も必要としない。
【0126】
さらに,シンクラ端末が故障または機器変更で交換する必要がある場合,シンクラ端末を交換した後,シンクラ端末の設置場所を表す機番という番号を入力するだけで交換前の業務画面に接続することができる。
【0127】
本実施形態はシンクラ端末の接続先を仮想計算機としたが,接続先は仮想計算機に限定されない。例えば,端末の接続先が汎用計算機や,複数ユーザが共有できるターミナルサーバであれば,仮想化基盤の起動および終了の機能以外について,本実施形態を適用すればよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被操作側計算機と前記被操作側計算機へ接続し,前記被操作側計算機を操作する操作側計算機と,前記被操作側計算機と前記操作側計算機との接続を管理する管理サーバを備えた計算機システムであって,
前記管理サーバは,
前記操作側計算機を識別する識別情報と,前記操作側計算機で操作可能な業務内容と,前記業務内容を処理する前記被操作側計算機と,の対応を管理する管理DBを備え,
前記管理DBを参照し,
前記操作側計算機から取得する前記識別情報に対して,前記操作側計算機が操作可能な業務内容を提示し,
前記操作側計算機が選択した業務内容に応じて,前記操作側計算機を接続させる被操作側計算機を決定し,
決定した前記被操作側計算機に前記操作側計算機を接続させる
ことを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計算機システムであって,
前記管理サーバは,
一つの前記操作側計算機から複数の被操作側計算機に並行して接続させ,
前記操作側計算機は,複数の前記被操作側計算機から各々の当該被操作側計算機での処理結果の画面を受信し,表示する
ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の計算機システムであって,
前記操作側計算機は,
固有の端末識別子を備え,
前記固有の端末識別子は前記管理サーバに前記操作側計算機の利用開始前に登録し,前記操作側計算機は前記固有の端末識別子を前記管理サーバに提示することで前記計算機へ接続許可を得る
ことを特徴とする計算機システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の計算機システムであって,
前記管理サーバは,前記操作側計算機が操作可能な一つ以上の業務内容のリストを前記管理サーバで管理し,
前記管理サーバから前記リストを,前記操作側計算機が起動する際に,前記操作側計算機が要求するときに,または定期的に,ダウンロードする
ことを特徴とする計算機システム。
【請求項5】
請求項4に記載の計算機システムであって,
前記管理サーバが前記操作側計算機を前記被操作側計算機に接続させる前に,前記操作側計算機に対して管理者があらかじめ決めたネットワーク接続デバイスを,前記被操作側計算機でデフォルトとして利用できるように設定を行うこと
を特徴とする計算機システム。
【請求項6】
請求項5に記載の計算機システムであって,
前記操作側計算機が,前記被操作側計算機から画面転送する前に,前記操作側計算機の端末接続デバイスを前記被操作側計算機からあたかも前記被操作側計算機に直接に接続するデバイスのように利用できるように設定する
ことを特徴とする計算機システム。
【請求項7】
請求項6に記載の計算機システムであって,
代替操作側計算機を備えて,前記操作側計算機が前記被操作側計算機に接続している最中に,前記操作側計算機が前記操作側計算機の代わりに前記被操作側計算機に接続できる
ことを特徴とする計算機システム。
【請求項8】
請求項7に記載の計算機システムであって,
前記操作側計算機が前記被操作側計算機に接続している最中に,前記操作側計算機が停止した場合,
前記管理サーバが前記計算機と同じ業務を提供する代替被操作側計算機を用意し,前記操作側計算機を前記代替被操作側計算機に接続させる
ことを特徴とする計算機システム。
【請求項9】
請求項7または8に記載の計算機システムであって,
前記操作側計算機が前記被操作側計算機に接続している最中に,故障または機器変更で前記操作側計算機を予備端末で置き換える必要がある場合,前記予備端末で前記操作側計算機の設置場所の情報を入力するだけで前記予備端末から前記被操作側計算機に接続できる
ことを特徴とする計算機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−248419(P2011−248419A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117931(P2010−117931)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】