極低温の流体組成物
極低温の流体組成物および、高圧性、潤滑性、冷却性を有するこの組成物の形成方法は、固相二酸化炭素、不活性希釈気体および添加剤の、様々な比率による選択的混合を含む。極低温の本機械加工液は、一つ以上の機械加工潤滑添加剤を含むか同伴する固体二酸化炭素クーラントと、様々な濃度の不活性かつ比較的不凝縮の気体相である希釈剤相とを混ぜ合わせて得ることができる。極低温の本流体組成物は、洗浄、機械加工、または製造のプロセスにおいて、基材を冷却したり、潤滑にしたり、または除去するために用いることができる。極低温の本流体組成物は、レーザのレイジングの質を損なうことなくレーザ処理または加工のプロセスと併せて用いることもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2004年12月13日に出願された、発明の名称「METHOD,PROCESS,CHEMISTRY AND APPARATUS FOR SELECTIVE THERMAL CONTROL,LUBRICATION AND POST−CLEANING A SUBSTRATE」の、米国仮特許出願番号60/635,399の利益を主張する。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は全般的には機械加工プロセスに関する。特に本発明は、旋盤加工、ボード切断、ウェーハダイシングおよびアクティブ電子部品の温度サイクルの間に選択的な温度管理および/または潤滑を要する機械加工プロセスに関する。本発明は、ターニング、フライス加工、フェイシング、ネジ切り、ボーリングおよびグルービングのような操作のための金属加工および機械加工流体として使用しうるものであり、特に高速でインサート時間が長い金属加工操作のための方法および装置に、特にフラッドクーラント/潤滑剤システムの、または従来の超低温液体スプレーの直接的代替品として使用しうるものである。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
大半の機械加工操作は、ホルダと、一つ以上の切削エッジに終端する表面を各々が有する一つ以上の切削インサートとを含む切削ツールにより行われる。ツールホルダは、内部の適当な位置に切削インサートを固定したソケットを伴って形成される。インサートの切削エッジは、ワークピースに接触し、そこから素材を、典型的には切削片の形で取り除く。切削片は、薄い略長方形の形状の素材セクションを含み、インサートによってワークピースから分離される際にはそれらのセクション同士が、せん断面に沿って互いに摺動する。切削片形成時のこうした薄い素材セクション同士の連動したせん断ムーブメントによってかなりの熱が発生し、それは、インサートの切削エッジとワークピースとの接触により生まれる熱と合わさると、華氏1500度から華氏2000度にもなりうる。
【0004】
従来技術による機械加工で利用されるツールホルダの切削インサートの不具合の原因の中には、切削インサートとワークピースとの間の磨滅、およびクレータリングとして知られる問題がある。クレータリングは、切削片形成時に発生する激しい熱および切削片と切削インサートとの摩擦接触の結果おこる。切削片を形成する素材はワークピースからせん断される際に、インサートの上部露出面の少なくとも一部に沿って移動する。このような摩擦接触があり、切削片形成時に激しい熱が発生するため、「クレータ」を生じながら、インサートの上部に沿って素材が除去される。これらのクレータが十分に深いと、ワークピースとの接触時にインサート全体がその切削エッジ沿いおよびインサートのサイド沿いで、クラッキングおよび不具合をおこしやすくなる。クレータリングは、硬質合金スチール、高強度プラスチック、およびエポキシのような剛性マトリクス素材でコーティングされた高張力ファイバにより形成される複合材料の開発および大量使用を背景として、近年特に問題となっている。
【0005】
ワークピースとの摩擦によるクレータリングおよびインサートの摩耗を回避しようとしているが、ツール寿命および性能はわずかに改善されたにすぎなかった。一方法では、タングステンカーバイドのような高強力素材でインサートを製造している。しかし、タングステンカーバイドのインサートは、非常に硬い一方で、もろくチップしやすいため、早い時期に不具合が起きる。インサートの潤滑性を高めるため、切削インサートの製造に硬化または合金セラミクスのような素材が使用されている。加えて、切削インサートとワークピースとの間の摩擦を減らすために、切削インサートに多様な低摩擦コーティングが使用されている。さらに、切削ゾーンまたはインサートの切削エッジ周辺領域、インサート−ワークピース接触面、および素材がせん断されて切削片が形成されるワークピース領域の温度を下げることにより、ツール寿命を延ばす試みもなされている。
【0006】
先行技術において実施された冷却方法の一つは、クーラントの低圧流を切削ゾーンに向かってスプレーすることを組み込んだフラッド冷却である。典型的には、切削ツールおよびワークピースの数インチ上方に配置されたノズルが、ワークピース、ツールホルダ、切削インサートおよび生成される切削片の上に向かってクーラントの低圧流を導く。フラッド冷却の主要な問題は、実際には切削領域まで到達せず効果が無いことである。ツールホルダ上方から切削片の上面に導かれるクーラントの低圧流では切削インサートの上部露出面と接触する切削片の底面、インサートの切削エッジおよび素材がワークピースからせん断される領域が冷却されない。これは、切削ゾーンの熱があまりに激しいために熱バリアが生まれ、それによって、クーラントがインサートの切削エッジ付近に流達するよりずっと先に蒸発してしまうからである。
【0007】
先行技術において、上述のフラッド冷却の技術を向上させるためのいくつかの試みがなされている。たとえば、クーラントをよりダイレクトに切削領域に噴出するために、クーラントを運ぶノズルの噴口が、インサートおよびワークピースに近づけて配置されたり、またはツールホルダと一体の部分として製造された。ノズルをインサートおよびワークピースに近づけて配置することに加えて、切削領域に生じる熱バリアを破るため、典型的なフラッド冷却の使用よりも高圧でクーラントを噴出するようにもした。
【0008】
インサートの露出上面を通り、ワークピースと接触する切削エッジに向かうようクーラントを導くクーラント送達路を組み込んだ、様々なタイプの切削操作のための他のツールホルダが設計されている。かかる設計においては、クーラントを切削領域に向けてスプレーするための別体の導管またはノズルがなくなり、切削ツールがよりコンパクトになった。最後に、クーラント流をインサートの露出上面を通りワークピースと接触している切削エッジに向かうよう導くマシンツールの通路を通じた極低温クーラントの送達を組み込むか、あるいは、液体二酸化炭素および液体窒素のような極低温流体、および水を含む極低温混合物をワークピース上に直接スプレーして切削片を冷却・除去することを組み込んだ切削操作用マシンツールが設計されている。
【0009】
上記装置にも問題があり、油−水または合成混合物の形をとるクーラントは、大気温度においてインサート上面を通って切削領域に向けて導かれるが、切削領域周囲の熱バリアを貫通するに足る速度を欠いている。その結果、クーラントは、切削インサートとワークピースおよび/または切削片が形成されるワークピース上の領域との間の境界層または接触面に到達する前に蒸発してしまう。これらの状況下では、切削領域から熱が放散されないため、クレータリングが起こる。加えて、このように切削領域から熱を除去することができないため、熱いままのインサートの切削エッジと、クーラントにより冷却されたインサートの後部との間に大きな温度差が生じ、インサートの熱破損が起こる。
【0010】
今日の機械加工操作におけるもう一つの深刻な問題は、切削インサート、ツールホルダおよびワークピースとツールホルダを搭載するチャックの領域からの切削片の切断および除去に関するものである。切削片は連続して形成されるとツールホルダまたはチャックを包み込む傾向があり、その結果ほぼ必ずツールの不具合が生じるか、さもなければ少なくとも機械加工操作を定期的に中断して、切削片が過密になっているか溜まっている作業領域をきれいにする必要がある。これは、機械加工操作全体の完全自動化を図ろうとするフレキシブル生産システムでは著しく不都合である。フレキシブル生産システムは、人間の助けなしで操作を行うためのものであり、仮に労働者が、過密のまたは溜まった切削片を定期的に除去しなければならないとすると、効率が大幅に制限されてしまう。
【0011】
その上、環境衛生および作業の安全性の問題への関心も高まってきている。アメリカ合衆国内ではおよそ700,000人から100万人の労働者が切削液にさらされているとされる。切削液は組成が複雑であるため、各成分そのものよりも毒性が高いことがありうるし、原材料が安全であったとしても刺激性やアレルギー性を有することもありうる。さらに、バクテリアも菌類も切削液に効果的にコロニーを形成し、微生物毒素の源となりうる。切削液の使用には、環境、健康および安全への影響の点での重大な負の影響が伴う。
【0012】
これらの問題のいくつかに対処するため、油−水マイクロエマルジョンの使用が広まっている。金属加工におけるエマルジョンの目的は、水によって最大限の冷却を提供すると同時に、油によって潤滑性を与えることで移動する切削片と任意の切削ツールの接触面との間の摩擦を減じることにある。しかし結果的に、被加工部は、無機汚染物質たる水および有機汚染物質たる油を含む作業面を有することとなる。これにより後処理行程が大変困難となる。
【0013】
典型的には、溶剤洗浄操作がプロセス間または最終プロセスの後に行われ、かかる工程では製造ツールからの除去が必要である。たとえば、従来のある方法は、マシニングセンタから被加工物品を除去した上で、アルコールを用いて水を除去し、有機溶剤を用いて油を除去する。別の従来の後処理操作では、n−プロピルブロマイド(nPB)のような新しい有機溶剤の使用を伴う。しかし、nPBのような溶剤は高価であり、それ自体大気毒性があり、身をさらす労働者にとっては問題である。さらに、nPBのような有機洗浄溶剤の使用にかかる再利用システムおよび他の関連コストは非常に高い。
【0014】
金属加工産業において一般的なもう一つの後処理方法は、水ベースの洗浄剤および水洗浄の使用である。有機溶剤に対して使用が概して安価かつ安全であるものの、これらの薬剤自体が重金属および他の汚染物質により汚染されることとなり、廃棄に前もった処理が必要である。
【0015】
従来技術におけるもう一つの欠点は、レーザ加工操作の切削ゾーン内において選択的機械力および冷却を提供するための乾冷極低温スプレーの使用に関するものである。液体二酸化炭素を被加工基材上に直接スプレーして低温の気−固エアロゾルを形成するなど、機械加工プロセス中に極低温スプレーを基材に適用する従来の方法を、レーザ加工表面に同様に適用しうるが、これらは方法的にも化学的にもいくつかの欠点を有する。たとえば、従来の極低温スプレーをレーザ加工の熱および破片を除去するために使用しうるが、これら従来の処理法ではスプレーの温度を管理できないため、機械加工操作中にレーザ切削ゾーンの内外に大量の大気水蒸気が液体水および固体水として凝結される。切削面に存在する液体および固体水は紫外線および赤外線スペクトル領域内で吸収または強反射し、それがレージングパワーおよび基材表面上へのビーム照射を妨げるため、切削の質に問題が生じる。もう一つの限界は、スプレーの圧力を効果的に管理してレーザ切削の効率と流体力、温度および圧力とのバランスをとることができないことである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の概要)
本発明は、クーラント、潤滑剤、輸送剤およびそのいずれかの組み合わせの用途の極低温複合流体を含む。本発明は、特定の機械加工で必要とされる特殊な冷却能力、潤滑性、スプレー圧および温度、密度、粘度、および他の有益な物理化学的性質を示す機械加工用スプレー組成物を作るために使用されるものである。かかる極低温複合流体は、クーラント相、希釈剤相および任意の添加剤相を含むことが好ましい。クーラント相は、潤滑剤、輸送剤および熱除去剤としての役割をはたす昇華性の固体炭酸を含むことが好ましい。希釈剤相は、固体クーラントおよび添加剤を切削ゾーンに選択的に送達する物理的推進力および輸送流体としての役割と、他の組成物成分の効果を選択的に希釈する希釈剤としての役割、および温度調整剤としての役割を果たす多様な有機および無機の液体、固体および気体から得られることが好ましい。添加剤相は、有機液体、有機気体および固体を各種混合したものを含み、それがクーラントおよび希釈剤相を選択的に是正し、粘度調整、塗膜コンシステンシの変更、腐食抑制および潤滑性の修正等のクーラントおよび潤滑剤の機能強化を提供する。
【0017】
湿り度、乾き度、冷たさ、熱さ、圧力、流速、潤滑性、表面張力、質量、スプレー塗膜コンシステンシおよび濃度等の多様な物理化学的性質を示す多数の単一成分、二成分または三成分のクーラント−潤滑剤スプレー組成物を作ることができる。本発明による極低温流体は、レーザ加工またはレーザ処理操作を含む、選択的洗浄、冷却、潤滑または磨滅を要する機械加工または処理プロセスに適用しうる。本発明による極低温流体組成物は、冷却および潤滑を提供しながら、同時に汚れ、すす、油および切削片を洗い流すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(詳細な説明)
本発明による機械加工複合流体またはスプレーは、図1中の30に大まかに表示されているとおり、クーラント相Fc、希釈剤相Fdおよび添加剤相Faの分画濃度を混合して形成される。複合機械加工流体30の分画位相成分が次の等式により定義されるように、各相Fc、FdおよびFaが混合される:
Σ(Fc+Fd+Fa)=100%
結果として得られる機械加工流体30は、質量、密度、湿り度、乾き度、冷たさ、熱さ、潤滑性の選択的特性および他の機械加工流体の性質、例えば理想的衝突時速度、流速、圧力およびスプレーコンシステンシを示す。
【0019】
本発明において使用されるクーラント相Fcは事実上の潤滑剤、輸送剤、および熱除去剤として機能することを含めていくつかの役割を有する。形成時には、クーラント相Fcは従来の液体およびエアロゾルスプレーに比較して、より大きな質量および密度約1.6グラム/mlを通常有する。より高い密度を有するクーラント相の固体炭酸は、推進剤と混合されると、高速切削ゾーンを抜けてそのクーラント成分(昇華熱)と添加剤成分の両方を境界層の深くまで送達できる。さらに、沸騰した液体二酸化炭素クーラント−潤滑剤(気加熱(ΔHv)−62BTU/lb)の使用に比較して、昇華するクーラント相(昇華熱(ΔHs)−250BTU/lb)では気化熱により、より多くの熱が除去され、送達がうまく制御される。さらに、本発明で使用されるとおり、希釈剤の圧力がちょうど550kPa(80psi)の下では、固体二酸化炭素は固相の一部が液化するに足りる速度で表面に衝突するため、液体二酸化炭素および添加剤によって空間、亀裂および他の表面のむらが埋められる。液相の二酸化炭素を切削ゾーン内にスプレーする場合にこれを達成するには、最高6.9Mpa(1000psi)の、ずっと高い圧力が必要である。
【0020】
本発明における使用に適したクーラント相Fcは、好ましくは一部固相の二酸化炭素を含み、濃度0%から100%の間、流速0から45グラム/秒(0.1ポンド/秒)の間で使用される。好ましくは圧力2.1MPa(300psi)から13.8MPa(2000psi)の間、温度273Kから373Kの間の二酸化炭素ガス、液体二酸化炭素または超臨界二酸化炭素を使用して、好ましくは以下の三つの凝縮方法を用いて固相の二酸化炭素を得る:一つ以上の機械加工潤滑気体添加剤を含むか取り込むとよい気相二酸化炭素の温度を低下させ、および/または圧力を上昇させて凝縮してまず液相を形成し、段付キャピラリ装置を用いてさらに温度および/または圧力を低下させて固体または半固体/気体/液体クーラント組成物を形成する;一つ以上の機械加工潤滑添加剤を含むか取り込むとよい液相二酸化炭素を、段付キャピラリ装置を用いて温度および/または圧力を低下させて凝縮して固体または半固体/気体/液体クーラント組成物を形成する;または一つ以上の機械加工潤滑添加剤を含むか取り込むとよい超臨界相二酸化炭素を、段付キャピラリ装置を用いて温度および/または圧力を低下させて凝縮して、固体または半固体/気体/液体クーラント組成物を形成するか、あるいは機械加工ツール接触面に直接適用すればよい。
【0021】
本発明において使用される希釈剤相Fdは、固体のクーラントおよび添加剤を切削ゾーンに選択的に送達する物理的推進剤および輸送流体としての役割、他の複合成分の冷却能力および添加剤の効果を選択的に希釈する希釈剤としての役割、および温度調整剤としての役割を含め、いくつかの異なる役割を担う。希釈剤相Fdは、クーラント相および添加剤相の濃度を選択的に管理する能力も有し、このため複合スプレー30において多様な物理化学性が得られる。希釈剤相Fdは、極低温流体組成物30内で使用される多様な添加剤相の表面張力および粘度を有益に変更する二酸化炭素ガスを含む不活性ガスから得ることが好ましい。さらに、本発明では希釈剤相として二酸化炭素ガスを採用すれば、固有の潤滑性が得られる。二酸化炭素ガスを適切な添加剤とともに用いてもよく、選ばれた機械加工用途において高温および高潤滑性の両特徴を得ることができる。本発明における使用に適した希釈剤相Fdは、濃度0から100%の間、圧力34kPa(5psi)から34MPa(5000psi)の間、温度294K(華氏70度)から477K(華氏400度)の間、および流速14.6リットル/分(0.5立法フィート/分(cfm))から1400リットル/分(50cfm)の間で使用される、窒素、アルゴン、クリーンな乾性空気、圧縮空気および二酸化炭素を含むがこれに限られることのない、任意の種類の不活性ガスを一般に含む。
【0022】
本発明において使用される添加剤相Faもまた複数の役割を果たす。添加剤相Faは、希釈またはクーラント相のいずれか(または両方)を変更して、エアロゾルと呼ばれる気液固系のスプレー、本明細書中で「クリオゾル」と呼ばれる極低温のエアロゾル、本明細書中で「クリオゲル」と呼ばれる極低温の固気スプレー、およびハイブリッド複合極低温または加熱二酸化炭素スプレーを選択的に形成するために使用される。本発明で使用される添加剤は、粘度調整、塗膜コンシステンシの変更、腐食抑制および潤滑性の変更等、クーラント−潤滑剤の強化を、他の有益な効果とともに提供する。添加剤相は多様な有機および無機の液体、固体および気体から得られる。本発明における使用に適した添加剤相Faは、濃度0%から100%の間で使用され、有機液体、有機気体および固体の任意の種類または混合物を含む。有機液体の非網羅的な例は、菜種、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)および乳酸エチル等のバイオベースの油類、アルコール類およびエステル類、大豆メチルエステル、石油、イソプロパノール(IPA)およびエタノール等のアルコール類、アセトンおよびMEK等のケトン類、ポリグリコール類、リン酸エステル類、リン酸エーテル類、合成炭化水素類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DGME)、ならびにシリコーン類を含む。有機気体の非網羅的な例には、二酸化炭素ならびに、ハイドロフルオロカーボン134a、冷媒ガスおよびブタンのような凝縮性炭化水素の添加剤を含む。固体の非網羅的な例は、酸化、腐食およびさび防止剤、塩化パラフィン系オイル等の極圧添加剤類、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、窒化ホウ素、流動点添加剤類、洗浄剤類、分散剤類、発泡防止剤類、過酸化水素、過炭酸、水、ならびにナノ潤滑剤等のナノスケールの固体粒子を含む。前述の添加剤相のための化合物の各例は、エマルジョンおよび炭酸の混合物を含む。添加剤相Faは、まず添加剤をエアロゾル中間組成物として希釈剤相Fd内に同伴および混入し、さらにエアロゾルの一部を固体二酸化炭素相Fcに同伴または凝縮してクリオゾルまたはクリオゲルのフラクションを形成することにより、クーラント相Fcに間接的に添加されるものとする。あるいは、二酸化炭素気相Fc、液相Fcまたは超臨界相Fcへの注入によって添加剤相Faを直接添加し、凝縮して固相二酸化炭素クーラントFcを形成してもよい。
【0023】
本発明の観点で特徴的なのは、切削ゾーン内の衝撃応力を原因として、過渡の液相Fcが固相Fcから選択的に再形成されることである。たとえば、圧力がちょうど550kPa(80psi)の希釈剤相Fdを使用する場合、溶解または混入添加剤を含む固体二酸化炭素の粒子は、50MPa(7,200psi)またはそれを上回る適当な衝撃応力で被加工表面に接触し、固体クーラント相の一部を液化して、ここでは潤滑剤としての役割を果たす液相二酸化炭素、および任意の添加剤の両方によって空間、亀裂および他の表面のむらを埋める。
【0024】
本発明の機械加工流体組成物の使用においては、固相クーラントFcの80%ほどが切削ゾーンに衝突してから、完全に昇華し、体積当たり著しく多くの熱を吸収し、添加剤成分が存在する場合にはそれが堆積する。また、機械加工面と接触する混入した添加剤は、自由に流入して、固相および再形成された液相の二酸化炭素により空間、亀裂および他の表面のむらを埋める。
【0025】
図1を再び参照すると、本発明において、クーラント相Fc、希釈剤相Fdおよび添加剤相Faの分画濃度を組み合わせることにより、機械加工液30が得られ使用されている。このように、本発明の組成物30は、単相の組成物、二相の組成物または三相の組成物を含むことができる。例示的な流体またはスプレー組成物のグラフの頂点は完全に単一成分の要素を表し、それはドライ極低温加工32(Fc=100%)、ドライガス加工34(Fd=100%)およびウェット加工36(Fa=100%)を含む選択的機械加工の用途に広く用いることができる。図1の流体またはスプレー組成物30のグラフのいずれの二辺も、クーラント−添加剤スプレー組成物(Fc+Fa)、クーラント−希釈剤スプレー組成物(Fc+Fd)または希釈剤−添加剤スプレー組成物(Fd+Fa)のいずれかの二成分混合物を含む。スプレー組成物グラフの内側には、クーラント−希釈剤−添加剤(Fc+Fd+Fa)の三成分混合物があり、それは、広範な物理化学的性質を有する流体またはスプレー組成物の組み合わせである。たとえば、少量のクーラント相Fcおよび添加剤相Faと、より多量の希釈剤相Fdとが混合されてクール、ドライまたはウェットスプレー38を形成する;少量の希釈剤相Fdおよび添加剤相Faと、より多量のクーラント相Fcとが混合されて極低温、ドライまたはウェットスプレー40を形成する;少量のクーラント相Fcおよび希釈剤相Fdと、より多量の添加剤相Faとが混合されてより高温のウェットスプレー42を形成する;一定量の希釈剤相Fd、添加剤相Faおよびクーラント相Fcが混合されて極低温ウェットスプレー44または低温ウェットスプレー46を形成する。図1に示されるとおり、特定の機械加工用途の要請に応えるエアロゾル、クリオゾルおよびクリオゲルを含む流体またはスプレー組成物がいくつでも形成できる。
【0026】
図2は、固体二酸化炭素クーラント相Fc、クリーンな乾性空気の希釈剤相Fdおよび大豆メチルエステルの添加剤相FaをFc:Fd:Fa比率60:30:10で混合して、インコネル合金、クロムおよび鉄を加えたニッケルベースの合金を機械加工するための流体またはスプレー組成物を形成した、例示的な三成分の流体またはスプレー組成物48を示している。希釈剤の圧力は550kPa(80psi)、組成物のスプレー温度は約227K(華氏−50度)である。スプレー温度は大豆メチルエステル添加剤の融点を下回るため、流体またはスプレー混合物はゲル状または半固体のコンシステンシを生じる。複合流体またはスプレー48は、融点温度に達していない液体添加剤スプレーに比べて、被適用表面に貼り付きやすい。
【0027】
図3は、固体二酸化炭素クーラント相Fcおよび圧縮空気の希釈剤相FdをFc:Fd:Fa比率30:70:0で混合したプラスチック加工用の例示的な二成分の流体またはスプレー組成物50を示している。希釈剤相Fdの圧力は550kPa(80psi)、組成物のスプレー温度は約239K(華氏−30度)である。スプレー温度が大豆メチルエステル添加剤の融点を下回るため、スプレー混合物はゲル状または半固体のコンシステンシを生じる。複合スプレー50は、融点温度に達していない液体添加剤スプレーに比べて、被適用表面に貼り付きやすい。
【0028】
図4は、固体二酸化炭素クーラント相Fcおよび窒素ガスの希釈剤相Fd、および液体イソプロピルアルコール(IPA)の添加剤をFc:Fd:Fa比率18:80:2で混合してガラス加工用に形成した例示的な三成分の流体またはスプレー組成物52を示している。希釈剤の圧力は550kPa(80psi)、組成物のスプレー温度は約244K(華氏−20度)である。複合スプレーは被加工表面から迅速に蒸発しやすい。
【0029】
図5は、固体二酸化炭素クーラント相Fc、圧縮空気の希釈剤相Fd、ならびに5%V/VのPTFEおよび窒化ホウ素粒子の懸濁液をそれ自体が含む液体DGMEの添加剤Faを、Fc:Fd:Fa比率80:10:10で混合してチタン処理用に形成した例示的な三成分の流体またはスプレー組成物54を示している。希釈剤の圧力は550kPa(80psi)、組成物のスプレー温度は約222K(華氏−60度)である。複合スプレー54は被加工表面から迅速に蒸発しやすい。
【0030】
図6は、二酸化炭素ガスの希釈剤相Fdと液体大豆メチルエステルの添加剤相Faを、Fc:Fd:Fa比率95:5で混合してマグネシウム加工用に形成した例示的な二成分流体またはスプレー組成物56を示している。結果として得られた炭酸を含む大豆メチルエステルスプレーの希釈剤相の圧力は1MPa(150psi)、組成物のスプレー温度は約294K(華氏70度)である。この高い方のガススプレー混合物は、上記条件下で炭酸を含まない大豆メチルエステルよりも低粘度および高い湿潤力のウェットな炭酸液を形成する。本発明において使用される有機添加剤の性能向上は、得られる機械加工液の粘度および表面張力を大きく下げる大豆メチルエステル等の有機液体添加剤に対する二酸化炭素の凝集エネルギおよび可塑化効果が原因であると本願発明者は考えるが、これは科学文献の中でも支持されるところである。この効果は本明細書図14において詳述される。
【0031】
図6中ではまた、圧力690kPa(100psi)および温度373K(華氏212度)の二酸化炭素の加熱した希釈剤相Fdを含む単相流体またはスプレー58が示されている。かかる流体またはスプレーを用いて、セラミック加工プロセス中に乾式潤滑および切削片除去を提供することができる。
【0032】
図7を参照すると、極低温機械加工流体またはスプレー30を生成するための複合流体またはスプレー生成システム60は概して、希釈剤相生成サブシステム62、クーラント生成サブシステム64、同軸機械加工ツール66、および流体またはスプレーアプリケータ68を含む。さらに、希釈剤相生成サブシステム62およびクーラント相生成サブシステム64はそれぞれ個別に添加剤相供給部70と統合される。高圧二酸化炭素ガス72は共通のサプライであり、その好ましい圧力幅は2.1MPa(300psi)から6.2MPa(900psi)の間である。
【0033】
クーラント相生成サブシステム64に関しては、サプライシリンダ72に入った二酸化炭素ガスがコネクションパイプ74を通じてチューブインチューブ方式の熱交換器76へと供給される。共通のサプライである高圧二酸化炭素ガス72は、圧力幅2.1MPa(300psi)から6.2MPa(900psi)を有することが好ましい。二酸化炭素ガスが熱交換器76に入ると、コンプレッサ冷却ユニット78が冷却された冷媒80を熱交換器76内の二酸化炭素ガスに逆流して再循環させ、二酸化炭素ガスを液体二酸化炭素クーラントストックに液化する。液体二酸化炭素のクーラントストックは熱交換器からマイクロメータリングバルブ82を通り、一つ以上のベースストック供給パルスバルブ84、86を通り、一つ以上の段付キャピラリコンデンサユニット88、90へと流れ込む。図8を参照すると、一つ以上のキャピラリコンデンサユニット88、90は、まず直径が小さめのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)チューブのセグメント92、例えば直径が外側0.8/内側1.6mm(0.030/0.0625インチ)のチューブの60cm(24インチ)セグメントを、直径が大きめのPEEKチューブの第二のセグメント94、例えば直径が外側1.52/内側3.18cm(0.060/0・125インチ)のチューブの91cm(36インチ)のセグメントに結合したものを使用して段付キャピラリ装置を作り、液体二酸化炭素を様々な大きさの固体二酸化炭素粒子に凝縮、結晶化させるのが好ましい。段付キャピラリコンデンサ88、90は、圧力勾配の下で液体二酸化炭素のベースストックを効率的に沸騰させて、大部分が固相である二酸化炭素のクーラント相Fcを大量に生み出す。段付キャピラリコンデンサ88、90は、Armstrong World Industries, Inc. of Lancaster, Pennsylvaniaから供給されているもののように、自己粘着性の発泡ポリウレタンの断熱テープ96で包まれていることが好ましい。
【0034】
クーラントストック供給バルブ84、86は、一つ以上の電子パルスタイマ98を用いて1パルス/秒(>1Hetz)を上回るパルスレートで、まず開いた状態、次に閉じた状態にパルスされればよい。さらに、クーラントストック供給バルブ84、86は、クーラントストックを選択的かつ交互に各キャピラリコンデンサ88、90へ異なる時間およびレートで送り込むために、電子振動子98を用いて断続的に振動させればよい。あるいは、固体粒子の生成および流れを断つことなく固体粒子流内に相当の速度勾配(エネルギ波)を持たせるには、高頻度のパルスが好ましい。クーラント流を別の流体またはスプレーアプリケータ68を通じて選択的に導入するか、あるいは機械加工ツールアプリケータ66内で交代させるには、振動が好ましいであろう。切削ゾーン内でスプレーを交代させることは、流体またはスプレー組成物30を切削部の選択された部分に選択的に導き、冷却および潤滑を最大限にするとともに切削片排出を助ける上で有益である。
【0035】
添加剤供給部70から出され、インラインスタティックミキサ102を用いて液体二酸化炭素クーラントストックに、さらに、凝縮の前にキャピラリコンデンサ88、90を用いてクーラント−添加剤の二成分組成物に、直接注入、混入される任意の添加剤相を注入するために添加剤注入ポンプ100が組み込まれてもよい。
【0036】
希釈剤相サブシステム62に関しては、二酸化炭素ガスのサプライ72がコネクションパイプ104を経由して減圧レギュレータ106へと供給され、二酸化炭素ガスの圧力が70kPaから1030kPa(10から150psi)の間またはそれを上回るように調整される。調整された二酸化炭素ガスは、サーモカップル110および温度コントローラ112により温度が293Kから473Kの間またはそれを上回るように管理された電気抵抗ヒータ108へと供給される。これに続いて、温度管理された二酸化炭素推進剤ガスはエアロゾルジェネレータ吸気弁114を経由してエアロゾルジェネレータ116内へと供給されればよい。エアロゾルジェネレータ116は添加剤供給部70に接続され、この供給部が所定量の上記添加剤Faを0から0.02リットル/分またはそれを上回る値で、温度管理された二酸化炭素推進剤ガスに混入する。このようにして温度管理された二酸化炭素希釈剤相Fd(エアロゾル)が形成され、希釈剤相供給チューブ118内へと供給される。あるいは、温度管理された二酸化炭素推進剤ガスはエアロゾルジェネレータバイパスバルブ120を経由し、エアロゾルジェネレータ116を回避して直接希釈剤相供給チューブ118へ接続してもよい。なお、上述の圧力管理された二酸化炭素ガスの代わりに、圧力管理された圧縮空気または窒素ガス、または他の不活性ガスを使用して特定の機械加工用途の希釈剤相サプライを作ることもできる。
【0037】
任意の添加剤相成分を必要に応じて含むクーラント相Fc、および任意の添加剤相成分を必要に応じて含む希釈剤相Fdを上述のごとく形成したら、FcおよびFdの両成分が統合され、マシンツール66および/またはスプレーアプリケータ68へと、同軸スプレー送達ライン122を用いて送達される。図9に図示されるとおり、同軸送達ライン122は、希釈剤相および添加剤相を収容し送達するための外側の希釈剤相送達チューブ124と、クーラント相および任意の添加剤を収容し送達するための内側のPEEKチューブ126を含む。送達ライン122はクーラント/添加剤相および希釈/添加剤相をマシンツール66およびスプレーアプリケータ68へと送達するのに必要な全長を有することが好ましい。同軸マシンツール66は、希釈剤を送達するための貫通孔と、貫通孔内に位置するクーラント相を送達するためのキャピラリチューブとを含む同軸のマシンツールであることが好ましい。流体またはスプレーアプリケータは、本願発明者により教示され、参照によってここに組み込まれる米国特許第5,725,154号明細書内に全面的に開示される通り、同軸の高密度流体スプレーアプリケータであることが好ましい。流体またはスプレーアプリケータは、荷台セクションおよびフロントノズルセクションの二つのセクションを含む三軸タイプの送達デバイスであることがさらに好ましい。この二つのセクションはねじで接続され、前向きの流れを配向する通路と、この流れ配向通路と連絡する放射状に伸びた定量通路とが規定されている。定量通路のサイズは、流れ配向通路の断面の寸法を変えることなく、ノズルセクションをボディーセクション上のねじ調節の任意に選択されたポジションまでねじ込むことにより選択的に調節すればよい。あるいは、同二セクションは、調節なしで堅く結合されて、固定または一定の増幅推進剤ガスの流れを提供してもよい。上記ノズルセクションの中心部分内に含まれる横断同軸チューブには、キャピラリチューブ内の極低温の粒子が流れる。複数同軸キャピラリチューブの使用を含め、多様なフローストリームの配向を生みだす装置および方法が開示されている。しかし、複合流体またはスプレーを適用しうるなら、いかなる種類のマシンツール66またはスプレーアプリケータ68でも、本発明の範囲内に十分はいることに注意されたい。
【0038】
さらに、任意の添加剤を加えたクーラント相組成物は、超臨界相二酸化炭素のサプライから得ればよい。場合によっては、添加剤成分は、液体二酸化炭素に比較して超臨界相二酸化炭素において、凝集エネルギ差のためにより可溶化しやすいであろう。図7を再び参照すると、バンドヒータ130を有する圧力反応器128に、二酸化炭素生成サブシステム64から液体二酸化炭素クーラントストックが供給される。液体二酸化炭素のストックは、計測ポンプ100を用いて添加剤供給ライン132からの選択された添加剤(類)と混合されればよい。混合された反応器128内の圧力および温度は混合物の臨界点を超えて上昇し、超臨界流体クーラントベースストックが形成される。任意のクーラント混合物の正確な臨界パラメータを測定するには実験が必要であろう。一旦形成されると、均質化された超臨界流体クーラントストックは、定量バルブ134およびパルスバルブアセンブリ102を用いて、選択されたキャピラリコンデンサ88、90に直接定量供給され、本明細書に記載のクーラント相Fcを形成すればよい。あるいは、超臨界流体ベースクーラント添加剤相は、ボールバルブ136を通ってマシンツール66またはスプレーアプリケータ68のいずれかまたは両方へ送られ、被加工面に直接適用されてもよい。しかし、図7は例示を目的としたものにすぎず、あらゆる可能なバルブ構造を含むものではないことに注意しなければならない。
【0039】
クーラント−潤滑剤スプレーのコンシステンシ(ミスト状、液状、ジェル状)は、特定の機械加工用途において強く望まれる特性であろう。本発明を用いて、切削片を冷却および排出する加熱ガスまたは複数のガス、即時に被適用表面を膜で覆い蒸発する加熱または非加熱液体ガススプレー(エアロゾル/クリオゾル)、被適用表面に粘着しやすいゲル状の粘性低温固気スプレー(クリオゲル)、および上記範囲内の任意のハイブリッド型からスプレーコンシステンシを多様に調節できる。これは添加剤相の濃度、添加剤注入/混合ポイント、クーラント粒径および濃度、および希釈剤相流、圧力および温度を調節することにより達成される。図10を参照すると、添加剤相138を希釈剤相140に加えてエアロゾル(中間組成物)を形成し、同エアロゾルをクーラント相142に選択的に混合すると、気−液、気−固または気−固−液のコンシステンシを有する多様なクリオゾルスプレー144が作られる。これに対して、大豆メチルエステルのような添加剤相146をクーラント相148に選択的に添加すると、クリオゲル中間組成物が形成される。同クリオゲルを形成し、希釈剤相150に混合すると、低温の気−液から気−固のコンシステンシを有する多様なクリオゲルスプレー組成物152が作られる。上述したこれらの異なる混合および送達技術を用いて、スプレー混合物の粘度154は非常に低粘度から非常に高粘度まで変えることができ、このことは特定の機械加工流体の使用を最適化する上で非常に有益である。
【0040】
固体二酸化炭素を含み、潤滑および選択的な機械加工の熱除去要素を提供する本発明のクーラント相Fcは、0から45グラム/秒(0.1ポンド/秒)あるいはそれを上回る注入量幅で使用されればよい。さらに、粒子成分を変更して大粒子または小粒子を提供してもよく、それは後述のとおり、被加工表面への衝撃応力および浸透度を調節する上で有益である。さらに、流出速度の増大や、より乱流の境界層などの有益な物理的エネルギを提供するために、本発明で使用するクーラントスプレーのパルシングまたは振動を利用すればよい。また、急速な速度変化を通して生まれる圧力スパイクまたは熱音響波により、連続流速と比較してずっと高い、500メータ/秒にもなりうる最高速度が生じ、維持される。振動流は、表面流出速度を増加させることにより境界層が厚くなるのを防ぎ、その結果雪粒子の表面衝撃が大きくなり、固相−液相転移がより効率的になる。これによって、衝突する流体またはスプレー粒子をより広い表面へ、より短い接触時間で送達できることとなる。このようにして、ヘルツスプレーは、基材表面の複雑な凹凸をより効果的に取り除き、境界層の厚さおよび粘度が減少し、表面浸透度が上がり、エネルギ交換が向上する。
【0041】
不活性ガスである希釈剤相Fdは、圧力0から34.5MPa(5000psi)、流量0から1.4立法メートル/分、および温度294Kから478K(華氏70から400度)で使用されればよい。本発明で使用する希釈剤相Fdは、流体またはスプレーの物理的管理、すなわちクーラント−添加剤の希釈、温度管理および流体またはスプレーの推進を提供する。
【0042】
固体でも、液体でも気体でもよい添加剤相Faは、クーラントまたは希釈剤相のいずれかを変更して、粘度、潤滑性向上、およびウェットネスのような物理化学的性質を与えるために使用される。添加剤相Faは、体積で0から100%の濃度でクーラントおよび希釈剤相に添加されればよい。添加剤相は、液相でクーラント相に凝縮されてウェットな液固クーラント相を形成する相変化要素のような気体成分を含めばよい。従来のフラッド液体クーラントおよび潤滑剤や、先行技術で説明される高圧液体二酸化炭素スプレーに比較して、本発明による極低温機械加工スプレーはたとえば、可変および高密度、60%も高いバルク流体密度(固体二酸化炭素−1.6g/ml対液体クーラント−1.0g/ml)、可変粘度、5ダイン/cmの低表面張力、4.7Kw(16,000BTU/時間)の熱除去から2.5Kw(8,500BTU/時間)の可変熱容量、および最大500m/秒の高い浸透速度など、いくつかの機能上の利点をもたらす。
【0043】
図11を参照すると、本発明では可変の衝撃応力を生み出せる直径幅0.5から500ミクロン(微細から粗い)を有する固体二酸化炭素粒子を作ることができる。微粒子スプレー156は、希釈剤相圧力0から1MPa(150psi)の間で、<0.1MPaから約15MPaの範囲の衝撃応力を生み出せる。粗粒子スプレー158は、希釈剤相圧力0から1MPa(150psi)の間で、<0.1MPaから約50MPaの範囲の衝撃応力を生み出せる。希釈剤相圧力が高めでは、高めの衝撃応力が、希釈剤相圧力が低めでは、低めの衝撃応力を付与できる。希釈剤スプレー圧力および温度を選択的に使用して、基材表面へと向かう希釈剤相内に混入した固相二酸化炭素Fc粒子の一部を、希釈剤相Fdから固体二酸化炭素相Fdへの熱伝導を通じて選択的に昇華させることにより、衝撃応力および衝突粒子密度の両方を変更することができる。さらに、FujiFilm USA製のPrescale Series接触圧計測フィルムを用いて行ったスプレー衝撃圧力実験から、スプレー衝撃圧力を、本発明の中で説明される多様なクーラント、添加および希釈剤相の組成物を調整することにより選択的に調整しうることが分かる。粒径およびコンシステンシの管理は、多様な長さおよび直径のキャピラリコンデンサを用いて大量の昇華性粒子を作り出し、かかる粒子ストリームを希釈剤相と組み合わせて達成される。
【0044】
図12を参照すると、送達ラインは嵌合同軸アダプタ(図示されていない)で終端し、流体またはスプレー組成物がマシンツール66または流体またはスプレーアプリケータ内の同軸ポート160へと供給される。製造され同軸マシンツール66および/またはスプレーアプリケータのいずれかを通って送達される複合スプレーは、切削ゾーン162および/またはワークピース基材164へと選択的に導かれ、境界層の冷却および潤滑、選択的ビルドアップエッジ(BUE)除去166を提供する。機械加工の過程で、複合流体またはスプレー粒子は切削ゾーン162、ツール−ワークピースおよびツール−切削片の接触面に浸透し、同接触面をウェッティングまたはウィッキングし、生成された衝撃応力のもとで、昇華、過冷却および液化する。切削ゾーン162内への浸透と同時に、固体二酸化炭素粒子は相変化し、気体および液体二酸化炭素フィルムを形成し、接触面において炭酸を含む薄い潤滑(添加剤)および冷却フィルム168を提供する。液体二酸化炭素および炭酸フィルム168は、1x10−4パスカル秒(0.1cP)から0.01パスカル秒(10cP)の間の非常に低い粘度と、5x10−6J/cm2(5ダイン/cm)から1x10−5J/cm2(10ダイン/cm)の表面張力を有し、そのために混入された添加剤のような流体またはスプレー成分が微細な表面のくぼみやひび(図示されていない)に浸透し、存在時に添加剤相の薄いフィルムを堆積させることができる。希釈剤相の圧力は、組成物粒子および添加剤が高速の回転速度170により生み出される遠心力を克服し、マシンツール−ワークピース接触面172に浸透できるように必要に応じて調節される。潤滑流体またはスプレーまたはドライスプレーの特性、および加熱または冷却スプレー特性を有する連続パルス流体またはスプレー、および振動スプレーを含む数種の流体またはスプレー構造が本発明の使用において可能である。
【0045】
図13を参照すると、前述の流体またはスプレー構造を構成し、選択的に送達して、様々な熱容量を生み出すことができる;一つの同軸複合流体またはスプレーが4.7Kw(16,000BTU/時間)の熱除去から2.5Kw(8,500BTU/時間)の熱インプット174および、197K(華氏−105度)から422K(華氏300度)またはそれを上回る多様な温度を機械加工操作間に提供できる。切削ゾーンの温度を上回る温度を有する加熱スプレー178は、基材表面を加熱する。切削ゾーンの温度を下回る温度を有する冷却スプレー180は、基材表面から熱を除去する。加熱および冷却スプレーを組み合わせて使用し、任意の種類の被加工基材の熱サイクルを作り出すことができる。たとえばある例示的な熱サイクルは、まず358K(華氏185度)を上回る温度を有する加熱流体またはスプレー178の、次いで244K(華氏−20度)を下回る温度を有する冷却流体またはスプレー182の使用を示す。別の例示的な温度プロファイルは、まず冷却流体またはスプレー180を使用して基材温度を244K(華氏−20度)を下回るまで下げ、次いで加熱流体またはスプレー184を使用して基材を大気温度に戻すことを示す。もう一つの例示的プロファイルは、197K(華氏−105度)に近い温度188、固体二酸化炭素の昇華温度を有する基材を作り出す、冷却流体またはスプレー186の使用を示している。加えて、クーラント相のヘルツパルセーション190、複数同軸振動192または連続流194を使用してもよい。これらの多様な流体またはスプレーの物理的エネルギ増幅により、機械加工操作中のスプレー粒子および基材表面間の熱伝達が高まり、また機械切り屑の排出も向上する。
【0046】
二酸化炭素は、圧縮空気、窒素またはアルゴンのような他の希釈剤相流体と異なり、その分子凝集エネルギがずっと大きいため、化学的に添加剤作用を増強することができる。図14を参照すると、大気圧下において二酸化炭素で飽和させた粘度196および表面張力198の典型的な潤滑添加剤相(大豆メチルエステル)は、粘度および表面張力の両方において30%から40%の減少200を示し、この化学的増強効果を実証している。二酸化炭素が有機添加剤を膨脹させまたは柔らかくし、それが内部摩擦を減少させる。この化学的増強効果が、推進力および運動量移動を含む本発明の物理的エネルギの側面と合わさって、高スピード、高フォースの機械加工において存在するような境界領域への非常に効果的な浸透になる。この二酸化炭素の化学作用増強は、添加剤相を希釈剤相中で使用される二酸化炭素ガスに添加し、および/またはクーラント相に添加剤相を混合することにより導入し、管理しうる。
【0047】
本発明のもう一つの側面は、レーザ加工操作における機械加工複合流体またはスプレーの使用である。図15を参照すると、レーザ202が基材204に向けられており、そこにおいてレーザが基材を切削または切断する。ポリマーまたは金属素材をレーザ加工する際に熱影響部206を含むために、スプレーアプリケータ208が本発明の機械加工複合流体またはスプレー210を切断領域に向かって導く。機械加工複合流体またはスプレー210はレーザ202から放出されるビーム212を通過して、余分な燃焼を消し、それが切断領域内のプラズマ形成、煙霧およびすすの発生(ポリマー)を最小化または削減する。この結果として、レーザパワーが基材表面に届き、より正確な熱分解のレーザ切断プロセスを行う上で減衰することはほとんどまたは全くなく、さらにレーザ光表面の積層および光遮へいが抑制されることとなる。さらに、本発明の複合流体またはスプレーを使用する際には、レーザを当てた基材表面は切断操作中低温かつ乾燥したままであり、完了時の基材の洗浄操作は必要ない。このようにして、本発明の極低温複合流体またはスプレーは、最も一般的な機械加工用レーザで生成される波長で基材表面に接触するレーザ光をクーラント自体が弱めることなくレーザ加工することを独自に可能とする。
【0048】
表1および2には、本発明とともに使用するための赤外線(IR)および紫外線(UV)レーザの非網羅的な例が列挙されている。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
図16はグラフを使って基材、本発明による複合スプレー、および表1および2に列挙された一般的に使用されるレーザの全般的な光吸収プロファイルの対比を示している。図16はまた、一般にレーザ加工プロセスの障害と考えられる水の全般的な吸収プロファイルも重ねている。図16からはまた、ポリマーおよび金属基材214は通常、高エネルギUV領域216内の高い吸収率から、低エネルギのIR光領域218内のより低い吸収率へと、移行する中で下落することが分かる。表1に列挙された例示的な赤外線レーザは、700nmから1540nmの範囲に離散した帯域に下落し、表2に列挙された例示的なUVレーザは、284nmから364nmの範囲に離散した帯域に下落する。これらの例示的な基材およびレーザスペクトルに重ねられているのが、二酸化炭素吸収スペクトル220であり、それは一般的なIRおよびUVレーザ加工帯域内において吸収をほとんど示さないか、全く示さない。本発明の複合クーラントスプレー自体がレーザ加工プロセスの光減衰障害にならないため、このことは有益である。また、水222が、UVおよびIRレーザ帯域の両方の中で上昇しやすい全般的光吸収プロファイルを示し、基材表面−レーザ接触ポイントでレーザ光を弱め、反射することも分かる。ゆえに本発明の機械加工複合流体およびスプレーは、レーザ切断または加工の過程で、凝縮され固化または液化した水がレーザ切削ゾーン入り込むのを最小化または抑制するドライ−コールド複合スプレーを提供する。
【実施例】
【0051】
本発明の相対的性能を典型的な従来の冷却および潤滑技術と比較対照するために、いくつかの実験を計画、実施した。以下に記載する実験においては、当分野の技術者は、スプレー距離、流体またはスプレー組成、スプレーアングル、スプレー送達手段、および所与の機械加工操作におけるスプレー送達装置の最適な数といった、流体またはスプレー組成物の最適なパラメータが最適化されなかったことに留意しなければならない。実験の目的は、本明細書の複合スプレーの性能を、ほぼ類似の使用条件および模擬の機械加工操作の下で評価することであった。
【0052】
(高速精密研削)
被加工面の質を検査し、従来のフラッドクーラントと比較するために機械加工テストを実施した。実施した機械加工プロセスは、ステアタイトの部分224、エポキシの部分226および鉄/ニッケル合金(合金52)の部分228を有するステンレススチール−ステアタイト−エポキシ物品の粗研削および仕上げ研削である。機械加工プロセスは、20,000rpmで作動したTsugamiモデルMA3 HMCのダイヤモンド研削ツールを用いて行った。本発明から得られた極低温機械加工流体は、固体二酸化炭素をクーラントFcとして、圧縮空気を希釈剤Fdとして、さらにイソプロピルアルコールを添加剤Faとして、Fc:Fd:Fa比率18:80:2で含む複合スプレー組成物であり、それを希釈剤の圧力620kpa(90psi)で使用し、複合スプレー温度を約240K(華氏−30度)とした。複合スプレーを、下に示されるアングル45度の同軸スプレーノズルを用いて、切削ゾーン内のダイヤモンド研削ツールと被加工物品の内側表面との間の接触ポイントに導いた。
【0053】
図17a、17bおよび18a、18bに示されるとおり、機械加工の実験結果から、本発明の複合スプレーを使用すると、従来のフラッドクーラントシステムと比較して高品質の仕上げが得られることが分かる。図17aおよび18aを参照すると、従来のアプローチでは、高速のグラインディングゾーン内における切削片除去、冷却および/またはルブリケーションの不足が原因と疑われる、ソフト合金のスミアリングおよびグラインディングバイトによる深溝が起こっている。これに対して、本発明では図17bおよび18bに示されるとおり、ステアタイト、エポキシおよび金属帯が完璧に分離され、非常にクリーンでブライトな仕上げが生み出される。
【0054】
(ステンレススチールの低速ドリリング)
カーバイドドリルバイトでドリルしたステンレススチールシートの表面品質を調べるために機械加工テストを行った。0.64cm(0.25インチ)のステンレススチール基材を、Ryobi製ボール盤型番DP100を用いて、3600rmpのドリルスピードでドリルした。三種のスプレー組成物を生成した。従来技術を代表する第一のスプレー組成物は希釈剤としての冷却・圧縮空気のみからなり、クーラントまたは添加剤相なしで、Fc:Fd:Fa比率は0:0:100であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および57リットル/分(2cfm)で使用し、複合スプレー温度は約283K(華氏50度)となった。第二のスプレー組成物は、固体二酸化炭素をクーラントとして、圧縮空気を希釈剤として含み、さらに添加剤相は含まず、Fc:Fd:Fa比率は大体30:70:0であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)、温度373K(華氏212度)で使用し、複合スプレー温度は約240K(華氏−30度)となった。第三のスプレー組成物は、固体二酸化炭素クーラント、希釈剤として圧縮空気、添加剤として大豆メチルエステルを含み、Fc:Fd:Fa比率が大体29:70:1であり、それを希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度373K(華氏212度)で使用し、複合スプレー温度が約240K(華氏−30度)となった。
【0055】
各テスト用スプレーを、約45度のスプレーアングルを用いて、ドリリングツールと被加工物品の接触表面との間の接触ポイントに向けた。図19aは第一のスプレーで処理した加工孔を示し、図19bは第二のスプレーで処理した加工孔を示し、図19cは第三のスプレーで処理した加工孔を示している。下に示される結果から、冷却空気の機械加工から本発明の極低温複合スプレーへの、機械加工表面品質の漸進的な向上が示されている。
【0056】
(ブチルゴムのIRレーザフライス加工)
電源60ワットの、波長約940nmで稼働したIRダイオードレーザを用いてフライス加工したブチルゴムの表面品質を、ガスアシスト冷却を用いた場合と比較して調べるために機械加工テストを行った。0.64cm(0.25インチ)のブチルラバーの基材を、IRレーザ出力調整装置と光ファイバ出力レーザモジュール型番OPC−OPC−02を備えたOpto Power社製レーザシステム型番H01 D060 MMM FCMSを用いてフライスした。Janome直交座標ロボット型番JR2203を用いて自動の長方形スキャンパターンを実施した。レーザ焦点は約2.54cmの距離であり、プランジの深さ(レーザ焦点距離)は約0.5mmであり、ロボットスキャンの速度は10mm/秒に設定した。ビーム直径は約1mm、レーザパワーは25ワットに調整した。1.0cmx0.5cmほどの長方形のパターンが各スプレーをテストした各サンプル表面にフライスされた。
【0057】
二種のスプレー組成物を生成した。先行技術を代表する第一のスプレー組成物は、二酸化炭素のみから成り、添加剤またはクーラント相は含まず、Fc:Fd:Fa比率は0:100:0であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度294K(華氏70度)で使用し、複合スプレーの温度は約294K(華氏70度)となった。第二のスプレー組成物は、固体二酸化炭素をクーラントとして、圧縮空気を希釈剤として含み、添加剤相は含まず、Fc:Fd:Fa比率は大体20:80:0であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度373K(華氏212度)で使用し、複合スプレー温度は約244K(華氏−20度)となった。
【0058】
図20aは先行技術による第一のスプレーで処理した基材を示し、図20bは本発明による第二のスプレーで処理した基材を示す。結果から、ガスアシストのレーザフライス加工に比較して、本発明のスプレー組成物によるレーザフライス加工の方が溝がクリーンに、側壁の溶解が最小限になることが分かる。被加工表面をより詳しく見ると、IRレーザ加工に伴って本発明の複合スプレーを使用すると、側壁の輪郭が改善され、トレンチの深さがより深く、溝の断面がよりクリーンになることが分かる。
【0059】
レーザ加工の過程で見られたことで興味深いのは、本発明の複合スプレーによると、黒焦げおよび機械加工後の残留物がずっと少なかったことである。ガスアシストのテストでは表面が非常に汚れ、プロセス後の空中のすすも多かった。
【0060】
(フルオロシリコーンゴムのIRレーザフライス加工)
電源60ワットの、波長約940nmで稼働したIRダイオードレーザを用いてフライス加工したフルオロシリコーンゴムの表面品質を調べるための機械加工テストを行った。0.64cm(0.24インチ)のフルオロシリコーンゴムの基材を、IRレーザ出力調整装置と光ファイバ出力レーザモジュール型番OPC−OPC−02を備えたOpto Power社製レーザシステム型番H01 D060 MMM FCMSを用いてフライスした。Janome直交座標ロボット型番JR2203を用いて自動の長方形スキャンパターンを実施した。レーザ焦点は約2.54cmの距離であり、プランジの深さ(レーザ焦点距離)は約0.5mmであり、ロボットスキャンの速度は10mm/秒に設定した。ビーム直径は約1mm、レーザパワーは25ワットに調整された。1.0cmx0.5cmほどの長方形のパターンが各スプレーをテストした各サンプル表面にフライスされた。
【0061】
二種のスプレー組成物を生成した。先行技術を代表する第一のスプレー組成物は、希釈剤としての二酸化炭素ガスのみからなり、添加剤またはクーラント相は含まず、Fc:Fd:Fa比率は0:100:0であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度294K(華氏70度)で使用され、複合スプレーの温度は約294K(華氏70度)となった。本発明を代表する第二のスプレー組成物は、固体二酸化炭素をクーラントとして、圧縮空気を希釈剤として含み、添加剤相は含まず、Fc:Fd:Fa比率は大体20:80:0であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度373K(華氏212度)で使用され、複合スプレー温度は約244K(華氏−20度)となった。
【0062】
図21aは先行技術による第一のスプレーで処理した基材を示し、図21bは本発明による第二のスプレーで処理した基材を示す。結果から、ガスアシストのレーザフライス加工に比較して、本発明のスプレー組成物によるレーザフライス加工では、下に示される通り溝がクリーンに、側壁の溶解が最小限になることが分かる。また、図21a中のガスアシストの実験データから、溶込みおよびプルームが最小限であることが分かるが、それはすなわち表面の過熱および不均一な溶解を意味する。これに対して、複合スプレーテストのレーザプランジのデータは、おおよそレーザビームの直径に等しい完全な円形の均一性と、はるかに大きな溶込み深さが得られる。図22aおよび22bを参照すると、拡大図からカーフ幅、溝の深さ、および相対的な滑らかさにおいて大きな違いがあることが分かる。拡大図でよりよく調べると、カーフ幅、溝の深さ、および相対的な滑らかさにおいて大きな違いがあることが分かる。
【0063】
フルオロシリコーン基材のレーザ加工の間に、ガスアシストのスプレーではレーザフライス加工操作中の切削ゾーンの可視的な燃焼を消すことができないことが観察された。フライス加工後の基材表面は明らかに黒焦げになり、被加工表面を明らかにするために顕微鏡写真を撮る前に、スプレークリーニングが必要だった。これに対して、複合スプレーのテストではIRレーザ加工作業が非常にクリーンで不可視的となり、このことは熱分解によるアブレーションがはるかに向上したことを意味する。
【0064】
本発明には、レーザ加工を阻害し、表面に届くレーザ光エネルギを減衰させる、大量のすすの発生およびレーザ光学系上の積層がないという利点が内在することが分かった。
【0065】
(アクリルプラスチックの高速スピンドルフライス加工)
40,000rpmで稼働した高速ロボットスピンドルを用いてフライス加工したアクリルプラスチックの表面品質を調べるための機械加工テストを行った。0.64cm(0.25インチ)のアクリルプラスチックの基材を、エアタービンスピンドル・モデル600を用いてフライスした。Janome直交座標ロボット型番JR2203を用いて自動の長方形スキャンパターンを実施した。1/8インチルータビットを使用し、プランジの深さは約0.5mm未満であり、ロボットスキャンの速度は10mm/秒に設定した。スピンドルの速度は調整不可であり、40,000rpmで稼働された。1cmx1cmほどの長方形のパターンが各スプレーをテストした各サンプル表面にフライスされた。
【0066】
固体二酸化炭素をクーラントとして、圧縮空気を希釈剤として含み、添加剤相は含まず、Fc:Fd:Fa比率を大体20:80:0とするスプレー組成物を生成し、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度373K(華氏212度)で使用し、複合スプレー温度は約244K(華氏−20度)となった。
【0067】
結果から、本発明のスプレー組成物でのスピンドルフライス加工では、図23に示される通り、溝がクリーンに、表面チッピングが最小限になることが分かる。
【0068】
本発明は高速および低速金属加工、微小デバイス加工、銅ウェーハダイシング、およびレーザドリリングのような高度製造技術操作における冷却および潤滑の問題に対処するために開発された。しかし、本発明の使用または適用は、特定の市場または用途に限定されるものではない。たとえば本発明は、腫瘍や疣等、生体組織を選択的に凝固凍結するために、火傷による痛みを軽減する手段に、さらに極低温エアロゾルを用いた除去プロセスを通じて肌の染みを除去する方法に、さらに方向性凝固の手段に、使用しうる。本発明は、冷却、潤滑および洗浄処理を提供する、固有かつ非常に有用なハイブリッド技術を提供し、それは、元の製造会社(OEM)のツールに統合することもできるし、ドライおよびセミドライの温度管理、冷却および/または潤滑のこの組み合わせを必要とする製造会社のために単独のツールとしても役立つ。
【0069】
好ましい実施形態に照らして本発明を記載してきたが、当分野の技術者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく形式および詳細の変更をなしうることを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、本発明の極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図2】図2は、本発明の選択的極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図3】図3は、本発明の選択的極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図4】図4は、本発明の選択的極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図5】図5は、本発明の選択的極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図6】図6は、本発明の複数の選択的極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図7】図7は、本発明の極低温スプレーを作るためのシステムを示す流れ図である。
【図8】図8は、本発明の極低温スプレー組成物を作るために使用される段付キャピラリの一部断面図である。
【図9】図9は、本発明の極低温スプレー組成物を輸送するために使用される送達ラインの一部断面図である。
【図10】図10は、クリオゾルおよびクリオゲルに、選択された添加剤を添加することによるスプレー粘度のへの効果を示す図である。
【図11】図11は、本発明の極低温スプレー組成物の、選択された粒径での、せん断による衝撃圧力を説明するグラフである。
【図12】図12は、機械加工操作中に使用される本発明のスプレー組成物の側面図である。
【図13】図13は、本発明の選択的極低温スプレーの例示的なスプレー温度および熱容量のデータを示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の極低温スプレー組成物で使用される潤滑添加剤の一定の物理的性質を示すグラフである。
【図15】図15は、レーザ加工操作中に使用される本発明の極低温スプレー組成物の側面図である。
【図16】図16は、赤外線および紫外線レーザの物理的性質を示すグラフである。
【図17a】図17aは、先行技術のスプレーにより処理された基材の顕微鏡写真である。
【図17b】図17bは、本発明の選択的極低温スプレー組成物により処理された基材の顕微鏡写真である。
【図18a】図18aは、先行技術のスプレーにより処理された基材の顕微鏡写真である。
【図18b】図18bは、本発明の選択的極低温スプレー組成物により処理された基材の顕微鏡写真である。
【図19a】図19aは、先行技術のスプレー処理を使用して機械加工された基材の顕微鏡写真である。
【図19b】図19bは、一番目に選択された本発明の極低温スプレー組成物を使用して機械加工された基材の顕微鏡写真である。
【図19c】図19cは、二番目に選択された本発明の極低温スプレー組成物を使用して機械加工された基材の顕微鏡写真である。
【図20a】図20aは、先行技術のスプレーで処理された基材の顕微鏡写真である。
【図20b】図20bは、本発明の選択的極低温スプレー組成物で処理された基材の顕微鏡写真である。
【図21a】図21aは、先行技術のスプレーで処理された基材の顕微鏡写真である。
【図21b】図21bは、本発明の選択的極低温スプレー組成物で処理された基材の顕微鏡写真である。
【図22a】図22aは、先行技術のスプレーで処理された基材の顕微鏡写真である。
【図22b】図22bは、本発明の選択的極低温スプレー組成物で処理された基材の顕微鏡写真である。
【図23】図23は、本発明の選択的極低温スプレー組成物で処理された基材の顕微鏡写真である。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2004年12月13日に出願された、発明の名称「METHOD,PROCESS,CHEMISTRY AND APPARATUS FOR SELECTIVE THERMAL CONTROL,LUBRICATION AND POST−CLEANING A SUBSTRATE」の、米国仮特許出願番号60/635,399の利益を主張する。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は全般的には機械加工プロセスに関する。特に本発明は、旋盤加工、ボード切断、ウェーハダイシングおよびアクティブ電子部品の温度サイクルの間に選択的な温度管理および/または潤滑を要する機械加工プロセスに関する。本発明は、ターニング、フライス加工、フェイシング、ネジ切り、ボーリングおよびグルービングのような操作のための金属加工および機械加工流体として使用しうるものであり、特に高速でインサート時間が長い金属加工操作のための方法および装置に、特にフラッドクーラント/潤滑剤システムの、または従来の超低温液体スプレーの直接的代替品として使用しうるものである。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
大半の機械加工操作は、ホルダと、一つ以上の切削エッジに終端する表面を各々が有する一つ以上の切削インサートとを含む切削ツールにより行われる。ツールホルダは、内部の適当な位置に切削インサートを固定したソケットを伴って形成される。インサートの切削エッジは、ワークピースに接触し、そこから素材を、典型的には切削片の形で取り除く。切削片は、薄い略長方形の形状の素材セクションを含み、インサートによってワークピースから分離される際にはそれらのセクション同士が、せん断面に沿って互いに摺動する。切削片形成時のこうした薄い素材セクション同士の連動したせん断ムーブメントによってかなりの熱が発生し、それは、インサートの切削エッジとワークピースとの接触により生まれる熱と合わさると、華氏1500度から華氏2000度にもなりうる。
【0004】
従来技術による機械加工で利用されるツールホルダの切削インサートの不具合の原因の中には、切削インサートとワークピースとの間の磨滅、およびクレータリングとして知られる問題がある。クレータリングは、切削片形成時に発生する激しい熱および切削片と切削インサートとの摩擦接触の結果おこる。切削片を形成する素材はワークピースからせん断される際に、インサートの上部露出面の少なくとも一部に沿って移動する。このような摩擦接触があり、切削片形成時に激しい熱が発生するため、「クレータ」を生じながら、インサートの上部に沿って素材が除去される。これらのクレータが十分に深いと、ワークピースとの接触時にインサート全体がその切削エッジ沿いおよびインサートのサイド沿いで、クラッキングおよび不具合をおこしやすくなる。クレータリングは、硬質合金スチール、高強度プラスチック、およびエポキシのような剛性マトリクス素材でコーティングされた高張力ファイバにより形成される複合材料の開発および大量使用を背景として、近年特に問題となっている。
【0005】
ワークピースとの摩擦によるクレータリングおよびインサートの摩耗を回避しようとしているが、ツール寿命および性能はわずかに改善されたにすぎなかった。一方法では、タングステンカーバイドのような高強力素材でインサートを製造している。しかし、タングステンカーバイドのインサートは、非常に硬い一方で、もろくチップしやすいため、早い時期に不具合が起きる。インサートの潤滑性を高めるため、切削インサートの製造に硬化または合金セラミクスのような素材が使用されている。加えて、切削インサートとワークピースとの間の摩擦を減らすために、切削インサートに多様な低摩擦コーティングが使用されている。さらに、切削ゾーンまたはインサートの切削エッジ周辺領域、インサート−ワークピース接触面、および素材がせん断されて切削片が形成されるワークピース領域の温度を下げることにより、ツール寿命を延ばす試みもなされている。
【0006】
先行技術において実施された冷却方法の一つは、クーラントの低圧流を切削ゾーンに向かってスプレーすることを組み込んだフラッド冷却である。典型的には、切削ツールおよびワークピースの数インチ上方に配置されたノズルが、ワークピース、ツールホルダ、切削インサートおよび生成される切削片の上に向かってクーラントの低圧流を導く。フラッド冷却の主要な問題は、実際には切削領域まで到達せず効果が無いことである。ツールホルダ上方から切削片の上面に導かれるクーラントの低圧流では切削インサートの上部露出面と接触する切削片の底面、インサートの切削エッジおよび素材がワークピースからせん断される領域が冷却されない。これは、切削ゾーンの熱があまりに激しいために熱バリアが生まれ、それによって、クーラントがインサートの切削エッジ付近に流達するよりずっと先に蒸発してしまうからである。
【0007】
先行技術において、上述のフラッド冷却の技術を向上させるためのいくつかの試みがなされている。たとえば、クーラントをよりダイレクトに切削領域に噴出するために、クーラントを運ぶノズルの噴口が、インサートおよびワークピースに近づけて配置されたり、またはツールホルダと一体の部分として製造された。ノズルをインサートおよびワークピースに近づけて配置することに加えて、切削領域に生じる熱バリアを破るため、典型的なフラッド冷却の使用よりも高圧でクーラントを噴出するようにもした。
【0008】
インサートの露出上面を通り、ワークピースと接触する切削エッジに向かうようクーラントを導くクーラント送達路を組み込んだ、様々なタイプの切削操作のための他のツールホルダが設計されている。かかる設計においては、クーラントを切削領域に向けてスプレーするための別体の導管またはノズルがなくなり、切削ツールがよりコンパクトになった。最後に、クーラント流をインサートの露出上面を通りワークピースと接触している切削エッジに向かうよう導くマシンツールの通路を通じた極低温クーラントの送達を組み込むか、あるいは、液体二酸化炭素および液体窒素のような極低温流体、および水を含む極低温混合物をワークピース上に直接スプレーして切削片を冷却・除去することを組み込んだ切削操作用マシンツールが設計されている。
【0009】
上記装置にも問題があり、油−水または合成混合物の形をとるクーラントは、大気温度においてインサート上面を通って切削領域に向けて導かれるが、切削領域周囲の熱バリアを貫通するに足る速度を欠いている。その結果、クーラントは、切削インサートとワークピースおよび/または切削片が形成されるワークピース上の領域との間の境界層または接触面に到達する前に蒸発してしまう。これらの状況下では、切削領域から熱が放散されないため、クレータリングが起こる。加えて、このように切削領域から熱を除去することができないため、熱いままのインサートの切削エッジと、クーラントにより冷却されたインサートの後部との間に大きな温度差が生じ、インサートの熱破損が起こる。
【0010】
今日の機械加工操作におけるもう一つの深刻な問題は、切削インサート、ツールホルダおよびワークピースとツールホルダを搭載するチャックの領域からの切削片の切断および除去に関するものである。切削片は連続して形成されるとツールホルダまたはチャックを包み込む傾向があり、その結果ほぼ必ずツールの不具合が生じるか、さもなければ少なくとも機械加工操作を定期的に中断して、切削片が過密になっているか溜まっている作業領域をきれいにする必要がある。これは、機械加工操作全体の完全自動化を図ろうとするフレキシブル生産システムでは著しく不都合である。フレキシブル生産システムは、人間の助けなしで操作を行うためのものであり、仮に労働者が、過密のまたは溜まった切削片を定期的に除去しなければならないとすると、効率が大幅に制限されてしまう。
【0011】
その上、環境衛生および作業の安全性の問題への関心も高まってきている。アメリカ合衆国内ではおよそ700,000人から100万人の労働者が切削液にさらされているとされる。切削液は組成が複雑であるため、各成分そのものよりも毒性が高いことがありうるし、原材料が安全であったとしても刺激性やアレルギー性を有することもありうる。さらに、バクテリアも菌類も切削液に効果的にコロニーを形成し、微生物毒素の源となりうる。切削液の使用には、環境、健康および安全への影響の点での重大な負の影響が伴う。
【0012】
これらの問題のいくつかに対処するため、油−水マイクロエマルジョンの使用が広まっている。金属加工におけるエマルジョンの目的は、水によって最大限の冷却を提供すると同時に、油によって潤滑性を与えることで移動する切削片と任意の切削ツールの接触面との間の摩擦を減じることにある。しかし結果的に、被加工部は、無機汚染物質たる水および有機汚染物質たる油を含む作業面を有することとなる。これにより後処理行程が大変困難となる。
【0013】
典型的には、溶剤洗浄操作がプロセス間または最終プロセスの後に行われ、かかる工程では製造ツールからの除去が必要である。たとえば、従来のある方法は、マシニングセンタから被加工物品を除去した上で、アルコールを用いて水を除去し、有機溶剤を用いて油を除去する。別の従来の後処理操作では、n−プロピルブロマイド(nPB)のような新しい有機溶剤の使用を伴う。しかし、nPBのような溶剤は高価であり、それ自体大気毒性があり、身をさらす労働者にとっては問題である。さらに、nPBのような有機洗浄溶剤の使用にかかる再利用システムおよび他の関連コストは非常に高い。
【0014】
金属加工産業において一般的なもう一つの後処理方法は、水ベースの洗浄剤および水洗浄の使用である。有機溶剤に対して使用が概して安価かつ安全であるものの、これらの薬剤自体が重金属および他の汚染物質により汚染されることとなり、廃棄に前もった処理が必要である。
【0015】
従来技術におけるもう一つの欠点は、レーザ加工操作の切削ゾーン内において選択的機械力および冷却を提供するための乾冷極低温スプレーの使用に関するものである。液体二酸化炭素を被加工基材上に直接スプレーして低温の気−固エアロゾルを形成するなど、機械加工プロセス中に極低温スプレーを基材に適用する従来の方法を、レーザ加工表面に同様に適用しうるが、これらは方法的にも化学的にもいくつかの欠点を有する。たとえば、従来の極低温スプレーをレーザ加工の熱および破片を除去するために使用しうるが、これら従来の処理法ではスプレーの温度を管理できないため、機械加工操作中にレーザ切削ゾーンの内外に大量の大気水蒸気が液体水および固体水として凝結される。切削面に存在する液体および固体水は紫外線および赤外線スペクトル領域内で吸収または強反射し、それがレージングパワーおよび基材表面上へのビーム照射を妨げるため、切削の質に問題が生じる。もう一つの限界は、スプレーの圧力を効果的に管理してレーザ切削の効率と流体力、温度および圧力とのバランスをとることができないことである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の概要)
本発明は、クーラント、潤滑剤、輸送剤およびそのいずれかの組み合わせの用途の極低温複合流体を含む。本発明は、特定の機械加工で必要とされる特殊な冷却能力、潤滑性、スプレー圧および温度、密度、粘度、および他の有益な物理化学的性質を示す機械加工用スプレー組成物を作るために使用されるものである。かかる極低温複合流体は、クーラント相、希釈剤相および任意の添加剤相を含むことが好ましい。クーラント相は、潤滑剤、輸送剤および熱除去剤としての役割をはたす昇華性の固体炭酸を含むことが好ましい。希釈剤相は、固体クーラントおよび添加剤を切削ゾーンに選択的に送達する物理的推進力および輸送流体としての役割と、他の組成物成分の効果を選択的に希釈する希釈剤としての役割、および温度調整剤としての役割を果たす多様な有機および無機の液体、固体および気体から得られることが好ましい。添加剤相は、有機液体、有機気体および固体を各種混合したものを含み、それがクーラントおよび希釈剤相を選択的に是正し、粘度調整、塗膜コンシステンシの変更、腐食抑制および潤滑性の修正等のクーラントおよび潤滑剤の機能強化を提供する。
【0017】
湿り度、乾き度、冷たさ、熱さ、圧力、流速、潤滑性、表面張力、質量、スプレー塗膜コンシステンシおよび濃度等の多様な物理化学的性質を示す多数の単一成分、二成分または三成分のクーラント−潤滑剤スプレー組成物を作ることができる。本発明による極低温流体は、レーザ加工またはレーザ処理操作を含む、選択的洗浄、冷却、潤滑または磨滅を要する機械加工または処理プロセスに適用しうる。本発明による極低温流体組成物は、冷却および潤滑を提供しながら、同時に汚れ、すす、油および切削片を洗い流すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(詳細な説明)
本発明による機械加工複合流体またはスプレーは、図1中の30に大まかに表示されているとおり、クーラント相Fc、希釈剤相Fdおよび添加剤相Faの分画濃度を混合して形成される。複合機械加工流体30の分画位相成分が次の等式により定義されるように、各相Fc、FdおよびFaが混合される:
Σ(Fc+Fd+Fa)=100%
結果として得られる機械加工流体30は、質量、密度、湿り度、乾き度、冷たさ、熱さ、潤滑性の選択的特性および他の機械加工流体の性質、例えば理想的衝突時速度、流速、圧力およびスプレーコンシステンシを示す。
【0019】
本発明において使用されるクーラント相Fcは事実上の潤滑剤、輸送剤、および熱除去剤として機能することを含めていくつかの役割を有する。形成時には、クーラント相Fcは従来の液体およびエアロゾルスプレーに比較して、より大きな質量および密度約1.6グラム/mlを通常有する。より高い密度を有するクーラント相の固体炭酸は、推進剤と混合されると、高速切削ゾーンを抜けてそのクーラント成分(昇華熱)と添加剤成分の両方を境界層の深くまで送達できる。さらに、沸騰した液体二酸化炭素クーラント−潤滑剤(気加熱(ΔHv)−62BTU/lb)の使用に比較して、昇華するクーラント相(昇華熱(ΔHs)−250BTU/lb)では気化熱により、より多くの熱が除去され、送達がうまく制御される。さらに、本発明で使用されるとおり、希釈剤の圧力がちょうど550kPa(80psi)の下では、固体二酸化炭素は固相の一部が液化するに足りる速度で表面に衝突するため、液体二酸化炭素および添加剤によって空間、亀裂および他の表面のむらが埋められる。液相の二酸化炭素を切削ゾーン内にスプレーする場合にこれを達成するには、最高6.9Mpa(1000psi)の、ずっと高い圧力が必要である。
【0020】
本発明における使用に適したクーラント相Fcは、好ましくは一部固相の二酸化炭素を含み、濃度0%から100%の間、流速0から45グラム/秒(0.1ポンド/秒)の間で使用される。好ましくは圧力2.1MPa(300psi)から13.8MPa(2000psi)の間、温度273Kから373Kの間の二酸化炭素ガス、液体二酸化炭素または超臨界二酸化炭素を使用して、好ましくは以下の三つの凝縮方法を用いて固相の二酸化炭素を得る:一つ以上の機械加工潤滑気体添加剤を含むか取り込むとよい気相二酸化炭素の温度を低下させ、および/または圧力を上昇させて凝縮してまず液相を形成し、段付キャピラリ装置を用いてさらに温度および/または圧力を低下させて固体または半固体/気体/液体クーラント組成物を形成する;一つ以上の機械加工潤滑添加剤を含むか取り込むとよい液相二酸化炭素を、段付キャピラリ装置を用いて温度および/または圧力を低下させて凝縮して固体または半固体/気体/液体クーラント組成物を形成する;または一つ以上の機械加工潤滑添加剤を含むか取り込むとよい超臨界相二酸化炭素を、段付キャピラリ装置を用いて温度および/または圧力を低下させて凝縮して、固体または半固体/気体/液体クーラント組成物を形成するか、あるいは機械加工ツール接触面に直接適用すればよい。
【0021】
本発明において使用される希釈剤相Fdは、固体のクーラントおよび添加剤を切削ゾーンに選択的に送達する物理的推進剤および輸送流体としての役割、他の複合成分の冷却能力および添加剤の効果を選択的に希釈する希釈剤としての役割、および温度調整剤としての役割を含め、いくつかの異なる役割を担う。希釈剤相Fdは、クーラント相および添加剤相の濃度を選択的に管理する能力も有し、このため複合スプレー30において多様な物理化学性が得られる。希釈剤相Fdは、極低温流体組成物30内で使用される多様な添加剤相の表面張力および粘度を有益に変更する二酸化炭素ガスを含む不活性ガスから得ることが好ましい。さらに、本発明では希釈剤相として二酸化炭素ガスを採用すれば、固有の潤滑性が得られる。二酸化炭素ガスを適切な添加剤とともに用いてもよく、選ばれた機械加工用途において高温および高潤滑性の両特徴を得ることができる。本発明における使用に適した希釈剤相Fdは、濃度0から100%の間、圧力34kPa(5psi)から34MPa(5000psi)の間、温度294K(華氏70度)から477K(華氏400度)の間、および流速14.6リットル/分(0.5立法フィート/分(cfm))から1400リットル/分(50cfm)の間で使用される、窒素、アルゴン、クリーンな乾性空気、圧縮空気および二酸化炭素を含むがこれに限られることのない、任意の種類の不活性ガスを一般に含む。
【0022】
本発明において使用される添加剤相Faもまた複数の役割を果たす。添加剤相Faは、希釈またはクーラント相のいずれか(または両方)を変更して、エアロゾルと呼ばれる気液固系のスプレー、本明細書中で「クリオゾル」と呼ばれる極低温のエアロゾル、本明細書中で「クリオゲル」と呼ばれる極低温の固気スプレー、およびハイブリッド複合極低温または加熱二酸化炭素スプレーを選択的に形成するために使用される。本発明で使用される添加剤は、粘度調整、塗膜コンシステンシの変更、腐食抑制および潤滑性の変更等、クーラント−潤滑剤の強化を、他の有益な効果とともに提供する。添加剤相は多様な有機および無機の液体、固体および気体から得られる。本発明における使用に適した添加剤相Faは、濃度0%から100%の間で使用され、有機液体、有機気体および固体の任意の種類または混合物を含む。有機液体の非網羅的な例は、菜種、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)および乳酸エチル等のバイオベースの油類、アルコール類およびエステル類、大豆メチルエステル、石油、イソプロパノール(IPA)およびエタノール等のアルコール類、アセトンおよびMEK等のケトン類、ポリグリコール類、リン酸エステル類、リン酸エーテル類、合成炭化水素類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DGME)、ならびにシリコーン類を含む。有機気体の非網羅的な例には、二酸化炭素ならびに、ハイドロフルオロカーボン134a、冷媒ガスおよびブタンのような凝縮性炭化水素の添加剤を含む。固体の非網羅的な例は、酸化、腐食およびさび防止剤、塩化パラフィン系オイル等の極圧添加剤類、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、窒化ホウ素、流動点添加剤類、洗浄剤類、分散剤類、発泡防止剤類、過酸化水素、過炭酸、水、ならびにナノ潤滑剤等のナノスケールの固体粒子を含む。前述の添加剤相のための化合物の各例は、エマルジョンおよび炭酸の混合物を含む。添加剤相Faは、まず添加剤をエアロゾル中間組成物として希釈剤相Fd内に同伴および混入し、さらにエアロゾルの一部を固体二酸化炭素相Fcに同伴または凝縮してクリオゾルまたはクリオゲルのフラクションを形成することにより、クーラント相Fcに間接的に添加されるものとする。あるいは、二酸化炭素気相Fc、液相Fcまたは超臨界相Fcへの注入によって添加剤相Faを直接添加し、凝縮して固相二酸化炭素クーラントFcを形成してもよい。
【0023】
本発明の観点で特徴的なのは、切削ゾーン内の衝撃応力を原因として、過渡の液相Fcが固相Fcから選択的に再形成されることである。たとえば、圧力がちょうど550kPa(80psi)の希釈剤相Fdを使用する場合、溶解または混入添加剤を含む固体二酸化炭素の粒子は、50MPa(7,200psi)またはそれを上回る適当な衝撃応力で被加工表面に接触し、固体クーラント相の一部を液化して、ここでは潤滑剤としての役割を果たす液相二酸化炭素、および任意の添加剤の両方によって空間、亀裂および他の表面のむらを埋める。
【0024】
本発明の機械加工流体組成物の使用においては、固相クーラントFcの80%ほどが切削ゾーンに衝突してから、完全に昇華し、体積当たり著しく多くの熱を吸収し、添加剤成分が存在する場合にはそれが堆積する。また、機械加工面と接触する混入した添加剤は、自由に流入して、固相および再形成された液相の二酸化炭素により空間、亀裂および他の表面のむらを埋める。
【0025】
図1を再び参照すると、本発明において、クーラント相Fc、希釈剤相Fdおよび添加剤相Faの分画濃度を組み合わせることにより、機械加工液30が得られ使用されている。このように、本発明の組成物30は、単相の組成物、二相の組成物または三相の組成物を含むことができる。例示的な流体またはスプレー組成物のグラフの頂点は完全に単一成分の要素を表し、それはドライ極低温加工32(Fc=100%)、ドライガス加工34(Fd=100%)およびウェット加工36(Fa=100%)を含む選択的機械加工の用途に広く用いることができる。図1の流体またはスプレー組成物30のグラフのいずれの二辺も、クーラント−添加剤スプレー組成物(Fc+Fa)、クーラント−希釈剤スプレー組成物(Fc+Fd)または希釈剤−添加剤スプレー組成物(Fd+Fa)のいずれかの二成分混合物を含む。スプレー組成物グラフの内側には、クーラント−希釈剤−添加剤(Fc+Fd+Fa)の三成分混合物があり、それは、広範な物理化学的性質を有する流体またはスプレー組成物の組み合わせである。たとえば、少量のクーラント相Fcおよび添加剤相Faと、より多量の希釈剤相Fdとが混合されてクール、ドライまたはウェットスプレー38を形成する;少量の希釈剤相Fdおよび添加剤相Faと、より多量のクーラント相Fcとが混合されて極低温、ドライまたはウェットスプレー40を形成する;少量のクーラント相Fcおよび希釈剤相Fdと、より多量の添加剤相Faとが混合されてより高温のウェットスプレー42を形成する;一定量の希釈剤相Fd、添加剤相Faおよびクーラント相Fcが混合されて極低温ウェットスプレー44または低温ウェットスプレー46を形成する。図1に示されるとおり、特定の機械加工用途の要請に応えるエアロゾル、クリオゾルおよびクリオゲルを含む流体またはスプレー組成物がいくつでも形成できる。
【0026】
図2は、固体二酸化炭素クーラント相Fc、クリーンな乾性空気の希釈剤相Fdおよび大豆メチルエステルの添加剤相FaをFc:Fd:Fa比率60:30:10で混合して、インコネル合金、クロムおよび鉄を加えたニッケルベースの合金を機械加工するための流体またはスプレー組成物を形成した、例示的な三成分の流体またはスプレー組成物48を示している。希釈剤の圧力は550kPa(80psi)、組成物のスプレー温度は約227K(華氏−50度)である。スプレー温度は大豆メチルエステル添加剤の融点を下回るため、流体またはスプレー混合物はゲル状または半固体のコンシステンシを生じる。複合流体またはスプレー48は、融点温度に達していない液体添加剤スプレーに比べて、被適用表面に貼り付きやすい。
【0027】
図3は、固体二酸化炭素クーラント相Fcおよび圧縮空気の希釈剤相FdをFc:Fd:Fa比率30:70:0で混合したプラスチック加工用の例示的な二成分の流体またはスプレー組成物50を示している。希釈剤相Fdの圧力は550kPa(80psi)、組成物のスプレー温度は約239K(華氏−30度)である。スプレー温度が大豆メチルエステル添加剤の融点を下回るため、スプレー混合物はゲル状または半固体のコンシステンシを生じる。複合スプレー50は、融点温度に達していない液体添加剤スプレーに比べて、被適用表面に貼り付きやすい。
【0028】
図4は、固体二酸化炭素クーラント相Fcおよび窒素ガスの希釈剤相Fd、および液体イソプロピルアルコール(IPA)の添加剤をFc:Fd:Fa比率18:80:2で混合してガラス加工用に形成した例示的な三成分の流体またはスプレー組成物52を示している。希釈剤の圧力は550kPa(80psi)、組成物のスプレー温度は約244K(華氏−20度)である。複合スプレーは被加工表面から迅速に蒸発しやすい。
【0029】
図5は、固体二酸化炭素クーラント相Fc、圧縮空気の希釈剤相Fd、ならびに5%V/VのPTFEおよび窒化ホウ素粒子の懸濁液をそれ自体が含む液体DGMEの添加剤Faを、Fc:Fd:Fa比率80:10:10で混合してチタン処理用に形成した例示的な三成分の流体またはスプレー組成物54を示している。希釈剤の圧力は550kPa(80psi)、組成物のスプレー温度は約222K(華氏−60度)である。複合スプレー54は被加工表面から迅速に蒸発しやすい。
【0030】
図6は、二酸化炭素ガスの希釈剤相Fdと液体大豆メチルエステルの添加剤相Faを、Fc:Fd:Fa比率95:5で混合してマグネシウム加工用に形成した例示的な二成分流体またはスプレー組成物56を示している。結果として得られた炭酸を含む大豆メチルエステルスプレーの希釈剤相の圧力は1MPa(150psi)、組成物のスプレー温度は約294K(華氏70度)である。この高い方のガススプレー混合物は、上記条件下で炭酸を含まない大豆メチルエステルよりも低粘度および高い湿潤力のウェットな炭酸液を形成する。本発明において使用される有機添加剤の性能向上は、得られる機械加工液の粘度および表面張力を大きく下げる大豆メチルエステル等の有機液体添加剤に対する二酸化炭素の凝集エネルギおよび可塑化効果が原因であると本願発明者は考えるが、これは科学文献の中でも支持されるところである。この効果は本明細書図14において詳述される。
【0031】
図6中ではまた、圧力690kPa(100psi)および温度373K(華氏212度)の二酸化炭素の加熱した希釈剤相Fdを含む単相流体またはスプレー58が示されている。かかる流体またはスプレーを用いて、セラミック加工プロセス中に乾式潤滑および切削片除去を提供することができる。
【0032】
図7を参照すると、極低温機械加工流体またはスプレー30を生成するための複合流体またはスプレー生成システム60は概して、希釈剤相生成サブシステム62、クーラント生成サブシステム64、同軸機械加工ツール66、および流体またはスプレーアプリケータ68を含む。さらに、希釈剤相生成サブシステム62およびクーラント相生成サブシステム64はそれぞれ個別に添加剤相供給部70と統合される。高圧二酸化炭素ガス72は共通のサプライであり、その好ましい圧力幅は2.1MPa(300psi)から6.2MPa(900psi)の間である。
【0033】
クーラント相生成サブシステム64に関しては、サプライシリンダ72に入った二酸化炭素ガスがコネクションパイプ74を通じてチューブインチューブ方式の熱交換器76へと供給される。共通のサプライである高圧二酸化炭素ガス72は、圧力幅2.1MPa(300psi)から6.2MPa(900psi)を有することが好ましい。二酸化炭素ガスが熱交換器76に入ると、コンプレッサ冷却ユニット78が冷却された冷媒80を熱交換器76内の二酸化炭素ガスに逆流して再循環させ、二酸化炭素ガスを液体二酸化炭素クーラントストックに液化する。液体二酸化炭素のクーラントストックは熱交換器からマイクロメータリングバルブ82を通り、一つ以上のベースストック供給パルスバルブ84、86を通り、一つ以上の段付キャピラリコンデンサユニット88、90へと流れ込む。図8を参照すると、一つ以上のキャピラリコンデンサユニット88、90は、まず直径が小さめのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)チューブのセグメント92、例えば直径が外側0.8/内側1.6mm(0.030/0.0625インチ)のチューブの60cm(24インチ)セグメントを、直径が大きめのPEEKチューブの第二のセグメント94、例えば直径が外側1.52/内側3.18cm(0.060/0・125インチ)のチューブの91cm(36インチ)のセグメントに結合したものを使用して段付キャピラリ装置を作り、液体二酸化炭素を様々な大きさの固体二酸化炭素粒子に凝縮、結晶化させるのが好ましい。段付キャピラリコンデンサ88、90は、圧力勾配の下で液体二酸化炭素のベースストックを効率的に沸騰させて、大部分が固相である二酸化炭素のクーラント相Fcを大量に生み出す。段付キャピラリコンデンサ88、90は、Armstrong World Industries, Inc. of Lancaster, Pennsylvaniaから供給されているもののように、自己粘着性の発泡ポリウレタンの断熱テープ96で包まれていることが好ましい。
【0034】
クーラントストック供給バルブ84、86は、一つ以上の電子パルスタイマ98を用いて1パルス/秒(>1Hetz)を上回るパルスレートで、まず開いた状態、次に閉じた状態にパルスされればよい。さらに、クーラントストック供給バルブ84、86は、クーラントストックを選択的かつ交互に各キャピラリコンデンサ88、90へ異なる時間およびレートで送り込むために、電子振動子98を用いて断続的に振動させればよい。あるいは、固体粒子の生成および流れを断つことなく固体粒子流内に相当の速度勾配(エネルギ波)を持たせるには、高頻度のパルスが好ましい。クーラント流を別の流体またはスプレーアプリケータ68を通じて選択的に導入するか、あるいは機械加工ツールアプリケータ66内で交代させるには、振動が好ましいであろう。切削ゾーン内でスプレーを交代させることは、流体またはスプレー組成物30を切削部の選択された部分に選択的に導き、冷却および潤滑を最大限にするとともに切削片排出を助ける上で有益である。
【0035】
添加剤供給部70から出され、インラインスタティックミキサ102を用いて液体二酸化炭素クーラントストックに、さらに、凝縮の前にキャピラリコンデンサ88、90を用いてクーラント−添加剤の二成分組成物に、直接注入、混入される任意の添加剤相を注入するために添加剤注入ポンプ100が組み込まれてもよい。
【0036】
希釈剤相サブシステム62に関しては、二酸化炭素ガスのサプライ72がコネクションパイプ104を経由して減圧レギュレータ106へと供給され、二酸化炭素ガスの圧力が70kPaから1030kPa(10から150psi)の間またはそれを上回るように調整される。調整された二酸化炭素ガスは、サーモカップル110および温度コントローラ112により温度が293Kから473Kの間またはそれを上回るように管理された電気抵抗ヒータ108へと供給される。これに続いて、温度管理された二酸化炭素推進剤ガスはエアロゾルジェネレータ吸気弁114を経由してエアロゾルジェネレータ116内へと供給されればよい。エアロゾルジェネレータ116は添加剤供給部70に接続され、この供給部が所定量の上記添加剤Faを0から0.02リットル/分またはそれを上回る値で、温度管理された二酸化炭素推進剤ガスに混入する。このようにして温度管理された二酸化炭素希釈剤相Fd(エアロゾル)が形成され、希釈剤相供給チューブ118内へと供給される。あるいは、温度管理された二酸化炭素推進剤ガスはエアロゾルジェネレータバイパスバルブ120を経由し、エアロゾルジェネレータ116を回避して直接希釈剤相供給チューブ118へ接続してもよい。なお、上述の圧力管理された二酸化炭素ガスの代わりに、圧力管理された圧縮空気または窒素ガス、または他の不活性ガスを使用して特定の機械加工用途の希釈剤相サプライを作ることもできる。
【0037】
任意の添加剤相成分を必要に応じて含むクーラント相Fc、および任意の添加剤相成分を必要に応じて含む希釈剤相Fdを上述のごとく形成したら、FcおよびFdの両成分が統合され、マシンツール66および/またはスプレーアプリケータ68へと、同軸スプレー送達ライン122を用いて送達される。図9に図示されるとおり、同軸送達ライン122は、希釈剤相および添加剤相を収容し送達するための外側の希釈剤相送達チューブ124と、クーラント相および任意の添加剤を収容し送達するための内側のPEEKチューブ126を含む。送達ライン122はクーラント/添加剤相および希釈/添加剤相をマシンツール66およびスプレーアプリケータ68へと送達するのに必要な全長を有することが好ましい。同軸マシンツール66は、希釈剤を送達するための貫通孔と、貫通孔内に位置するクーラント相を送達するためのキャピラリチューブとを含む同軸のマシンツールであることが好ましい。流体またはスプレーアプリケータは、本願発明者により教示され、参照によってここに組み込まれる米国特許第5,725,154号明細書内に全面的に開示される通り、同軸の高密度流体スプレーアプリケータであることが好ましい。流体またはスプレーアプリケータは、荷台セクションおよびフロントノズルセクションの二つのセクションを含む三軸タイプの送達デバイスであることがさらに好ましい。この二つのセクションはねじで接続され、前向きの流れを配向する通路と、この流れ配向通路と連絡する放射状に伸びた定量通路とが規定されている。定量通路のサイズは、流れ配向通路の断面の寸法を変えることなく、ノズルセクションをボディーセクション上のねじ調節の任意に選択されたポジションまでねじ込むことにより選択的に調節すればよい。あるいは、同二セクションは、調節なしで堅く結合されて、固定または一定の増幅推進剤ガスの流れを提供してもよい。上記ノズルセクションの中心部分内に含まれる横断同軸チューブには、キャピラリチューブ内の極低温の粒子が流れる。複数同軸キャピラリチューブの使用を含め、多様なフローストリームの配向を生みだす装置および方法が開示されている。しかし、複合流体またはスプレーを適用しうるなら、いかなる種類のマシンツール66またはスプレーアプリケータ68でも、本発明の範囲内に十分はいることに注意されたい。
【0038】
さらに、任意の添加剤を加えたクーラント相組成物は、超臨界相二酸化炭素のサプライから得ればよい。場合によっては、添加剤成分は、液体二酸化炭素に比較して超臨界相二酸化炭素において、凝集エネルギ差のためにより可溶化しやすいであろう。図7を再び参照すると、バンドヒータ130を有する圧力反応器128に、二酸化炭素生成サブシステム64から液体二酸化炭素クーラントストックが供給される。液体二酸化炭素のストックは、計測ポンプ100を用いて添加剤供給ライン132からの選択された添加剤(類)と混合されればよい。混合された反応器128内の圧力および温度は混合物の臨界点を超えて上昇し、超臨界流体クーラントベースストックが形成される。任意のクーラント混合物の正確な臨界パラメータを測定するには実験が必要であろう。一旦形成されると、均質化された超臨界流体クーラントストックは、定量バルブ134およびパルスバルブアセンブリ102を用いて、選択されたキャピラリコンデンサ88、90に直接定量供給され、本明細書に記載のクーラント相Fcを形成すればよい。あるいは、超臨界流体ベースクーラント添加剤相は、ボールバルブ136を通ってマシンツール66またはスプレーアプリケータ68のいずれかまたは両方へ送られ、被加工面に直接適用されてもよい。しかし、図7は例示を目的としたものにすぎず、あらゆる可能なバルブ構造を含むものではないことに注意しなければならない。
【0039】
クーラント−潤滑剤スプレーのコンシステンシ(ミスト状、液状、ジェル状)は、特定の機械加工用途において強く望まれる特性であろう。本発明を用いて、切削片を冷却および排出する加熱ガスまたは複数のガス、即時に被適用表面を膜で覆い蒸発する加熱または非加熱液体ガススプレー(エアロゾル/クリオゾル)、被適用表面に粘着しやすいゲル状の粘性低温固気スプレー(クリオゲル)、および上記範囲内の任意のハイブリッド型からスプレーコンシステンシを多様に調節できる。これは添加剤相の濃度、添加剤注入/混合ポイント、クーラント粒径および濃度、および希釈剤相流、圧力および温度を調節することにより達成される。図10を参照すると、添加剤相138を希釈剤相140に加えてエアロゾル(中間組成物)を形成し、同エアロゾルをクーラント相142に選択的に混合すると、気−液、気−固または気−固−液のコンシステンシを有する多様なクリオゾルスプレー144が作られる。これに対して、大豆メチルエステルのような添加剤相146をクーラント相148に選択的に添加すると、クリオゲル中間組成物が形成される。同クリオゲルを形成し、希釈剤相150に混合すると、低温の気−液から気−固のコンシステンシを有する多様なクリオゲルスプレー組成物152が作られる。上述したこれらの異なる混合および送達技術を用いて、スプレー混合物の粘度154は非常に低粘度から非常に高粘度まで変えることができ、このことは特定の機械加工流体の使用を最適化する上で非常に有益である。
【0040】
固体二酸化炭素を含み、潤滑および選択的な機械加工の熱除去要素を提供する本発明のクーラント相Fcは、0から45グラム/秒(0.1ポンド/秒)あるいはそれを上回る注入量幅で使用されればよい。さらに、粒子成分を変更して大粒子または小粒子を提供してもよく、それは後述のとおり、被加工表面への衝撃応力および浸透度を調節する上で有益である。さらに、流出速度の増大や、より乱流の境界層などの有益な物理的エネルギを提供するために、本発明で使用するクーラントスプレーのパルシングまたは振動を利用すればよい。また、急速な速度変化を通して生まれる圧力スパイクまたは熱音響波により、連続流速と比較してずっと高い、500メータ/秒にもなりうる最高速度が生じ、維持される。振動流は、表面流出速度を増加させることにより境界層が厚くなるのを防ぎ、その結果雪粒子の表面衝撃が大きくなり、固相−液相転移がより効率的になる。これによって、衝突する流体またはスプレー粒子をより広い表面へ、より短い接触時間で送達できることとなる。このようにして、ヘルツスプレーは、基材表面の複雑な凹凸をより効果的に取り除き、境界層の厚さおよび粘度が減少し、表面浸透度が上がり、エネルギ交換が向上する。
【0041】
不活性ガスである希釈剤相Fdは、圧力0から34.5MPa(5000psi)、流量0から1.4立法メートル/分、および温度294Kから478K(華氏70から400度)で使用されればよい。本発明で使用する希釈剤相Fdは、流体またはスプレーの物理的管理、すなわちクーラント−添加剤の希釈、温度管理および流体またはスプレーの推進を提供する。
【0042】
固体でも、液体でも気体でもよい添加剤相Faは、クーラントまたは希釈剤相のいずれかを変更して、粘度、潤滑性向上、およびウェットネスのような物理化学的性質を与えるために使用される。添加剤相Faは、体積で0から100%の濃度でクーラントおよび希釈剤相に添加されればよい。添加剤相は、液相でクーラント相に凝縮されてウェットな液固クーラント相を形成する相変化要素のような気体成分を含めばよい。従来のフラッド液体クーラントおよび潤滑剤や、先行技術で説明される高圧液体二酸化炭素スプレーに比較して、本発明による極低温機械加工スプレーはたとえば、可変および高密度、60%も高いバルク流体密度(固体二酸化炭素−1.6g/ml対液体クーラント−1.0g/ml)、可変粘度、5ダイン/cmの低表面張力、4.7Kw(16,000BTU/時間)の熱除去から2.5Kw(8,500BTU/時間)の可変熱容量、および最大500m/秒の高い浸透速度など、いくつかの機能上の利点をもたらす。
【0043】
図11を参照すると、本発明では可変の衝撃応力を生み出せる直径幅0.5から500ミクロン(微細から粗い)を有する固体二酸化炭素粒子を作ることができる。微粒子スプレー156は、希釈剤相圧力0から1MPa(150psi)の間で、<0.1MPaから約15MPaの範囲の衝撃応力を生み出せる。粗粒子スプレー158は、希釈剤相圧力0から1MPa(150psi)の間で、<0.1MPaから約50MPaの範囲の衝撃応力を生み出せる。希釈剤相圧力が高めでは、高めの衝撃応力が、希釈剤相圧力が低めでは、低めの衝撃応力を付与できる。希釈剤スプレー圧力および温度を選択的に使用して、基材表面へと向かう希釈剤相内に混入した固相二酸化炭素Fc粒子の一部を、希釈剤相Fdから固体二酸化炭素相Fdへの熱伝導を通じて選択的に昇華させることにより、衝撃応力および衝突粒子密度の両方を変更することができる。さらに、FujiFilm USA製のPrescale Series接触圧計測フィルムを用いて行ったスプレー衝撃圧力実験から、スプレー衝撃圧力を、本発明の中で説明される多様なクーラント、添加および希釈剤相の組成物を調整することにより選択的に調整しうることが分かる。粒径およびコンシステンシの管理は、多様な長さおよび直径のキャピラリコンデンサを用いて大量の昇華性粒子を作り出し、かかる粒子ストリームを希釈剤相と組み合わせて達成される。
【0044】
図12を参照すると、送達ラインは嵌合同軸アダプタ(図示されていない)で終端し、流体またはスプレー組成物がマシンツール66または流体またはスプレーアプリケータ内の同軸ポート160へと供給される。製造され同軸マシンツール66および/またはスプレーアプリケータのいずれかを通って送達される複合スプレーは、切削ゾーン162および/またはワークピース基材164へと選択的に導かれ、境界層の冷却および潤滑、選択的ビルドアップエッジ(BUE)除去166を提供する。機械加工の過程で、複合流体またはスプレー粒子は切削ゾーン162、ツール−ワークピースおよびツール−切削片の接触面に浸透し、同接触面をウェッティングまたはウィッキングし、生成された衝撃応力のもとで、昇華、過冷却および液化する。切削ゾーン162内への浸透と同時に、固体二酸化炭素粒子は相変化し、気体および液体二酸化炭素フィルムを形成し、接触面において炭酸を含む薄い潤滑(添加剤)および冷却フィルム168を提供する。液体二酸化炭素および炭酸フィルム168は、1x10−4パスカル秒(0.1cP)から0.01パスカル秒(10cP)の間の非常に低い粘度と、5x10−6J/cm2(5ダイン/cm)から1x10−5J/cm2(10ダイン/cm)の表面張力を有し、そのために混入された添加剤のような流体またはスプレー成分が微細な表面のくぼみやひび(図示されていない)に浸透し、存在時に添加剤相の薄いフィルムを堆積させることができる。希釈剤相の圧力は、組成物粒子および添加剤が高速の回転速度170により生み出される遠心力を克服し、マシンツール−ワークピース接触面172に浸透できるように必要に応じて調節される。潤滑流体またはスプレーまたはドライスプレーの特性、および加熱または冷却スプレー特性を有する連続パルス流体またはスプレー、および振動スプレーを含む数種の流体またはスプレー構造が本発明の使用において可能である。
【0045】
図13を参照すると、前述の流体またはスプレー構造を構成し、選択的に送達して、様々な熱容量を生み出すことができる;一つの同軸複合流体またはスプレーが4.7Kw(16,000BTU/時間)の熱除去から2.5Kw(8,500BTU/時間)の熱インプット174および、197K(華氏−105度)から422K(華氏300度)またはそれを上回る多様な温度を機械加工操作間に提供できる。切削ゾーンの温度を上回る温度を有する加熱スプレー178は、基材表面を加熱する。切削ゾーンの温度を下回る温度を有する冷却スプレー180は、基材表面から熱を除去する。加熱および冷却スプレーを組み合わせて使用し、任意の種類の被加工基材の熱サイクルを作り出すことができる。たとえばある例示的な熱サイクルは、まず358K(華氏185度)を上回る温度を有する加熱流体またはスプレー178の、次いで244K(華氏−20度)を下回る温度を有する冷却流体またはスプレー182の使用を示す。別の例示的な温度プロファイルは、まず冷却流体またはスプレー180を使用して基材温度を244K(華氏−20度)を下回るまで下げ、次いで加熱流体またはスプレー184を使用して基材を大気温度に戻すことを示す。もう一つの例示的プロファイルは、197K(華氏−105度)に近い温度188、固体二酸化炭素の昇華温度を有する基材を作り出す、冷却流体またはスプレー186の使用を示している。加えて、クーラント相のヘルツパルセーション190、複数同軸振動192または連続流194を使用してもよい。これらの多様な流体またはスプレーの物理的エネルギ増幅により、機械加工操作中のスプレー粒子および基材表面間の熱伝達が高まり、また機械切り屑の排出も向上する。
【0046】
二酸化炭素は、圧縮空気、窒素またはアルゴンのような他の希釈剤相流体と異なり、その分子凝集エネルギがずっと大きいため、化学的に添加剤作用を増強することができる。図14を参照すると、大気圧下において二酸化炭素で飽和させた粘度196および表面張力198の典型的な潤滑添加剤相(大豆メチルエステル)は、粘度および表面張力の両方において30%から40%の減少200を示し、この化学的増強効果を実証している。二酸化炭素が有機添加剤を膨脹させまたは柔らかくし、それが内部摩擦を減少させる。この化学的増強効果が、推進力および運動量移動を含む本発明の物理的エネルギの側面と合わさって、高スピード、高フォースの機械加工において存在するような境界領域への非常に効果的な浸透になる。この二酸化炭素の化学作用増強は、添加剤相を希釈剤相中で使用される二酸化炭素ガスに添加し、および/またはクーラント相に添加剤相を混合することにより導入し、管理しうる。
【0047】
本発明のもう一つの側面は、レーザ加工操作における機械加工複合流体またはスプレーの使用である。図15を参照すると、レーザ202が基材204に向けられており、そこにおいてレーザが基材を切削または切断する。ポリマーまたは金属素材をレーザ加工する際に熱影響部206を含むために、スプレーアプリケータ208が本発明の機械加工複合流体またはスプレー210を切断領域に向かって導く。機械加工複合流体またはスプレー210はレーザ202から放出されるビーム212を通過して、余分な燃焼を消し、それが切断領域内のプラズマ形成、煙霧およびすすの発生(ポリマー)を最小化または削減する。この結果として、レーザパワーが基材表面に届き、より正確な熱分解のレーザ切断プロセスを行う上で減衰することはほとんどまたは全くなく、さらにレーザ光表面の積層および光遮へいが抑制されることとなる。さらに、本発明の複合流体またはスプレーを使用する際には、レーザを当てた基材表面は切断操作中低温かつ乾燥したままであり、完了時の基材の洗浄操作は必要ない。このようにして、本発明の極低温複合流体またはスプレーは、最も一般的な機械加工用レーザで生成される波長で基材表面に接触するレーザ光をクーラント自体が弱めることなくレーザ加工することを独自に可能とする。
【0048】
表1および2には、本発明とともに使用するための赤外線(IR)および紫外線(UV)レーザの非網羅的な例が列挙されている。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
図16はグラフを使って基材、本発明による複合スプレー、および表1および2に列挙された一般的に使用されるレーザの全般的な光吸収プロファイルの対比を示している。図16はまた、一般にレーザ加工プロセスの障害と考えられる水の全般的な吸収プロファイルも重ねている。図16からはまた、ポリマーおよび金属基材214は通常、高エネルギUV領域216内の高い吸収率から、低エネルギのIR光領域218内のより低い吸収率へと、移行する中で下落することが分かる。表1に列挙された例示的な赤外線レーザは、700nmから1540nmの範囲に離散した帯域に下落し、表2に列挙された例示的なUVレーザは、284nmから364nmの範囲に離散した帯域に下落する。これらの例示的な基材およびレーザスペクトルに重ねられているのが、二酸化炭素吸収スペクトル220であり、それは一般的なIRおよびUVレーザ加工帯域内において吸収をほとんど示さないか、全く示さない。本発明の複合クーラントスプレー自体がレーザ加工プロセスの光減衰障害にならないため、このことは有益である。また、水222が、UVおよびIRレーザ帯域の両方の中で上昇しやすい全般的光吸収プロファイルを示し、基材表面−レーザ接触ポイントでレーザ光を弱め、反射することも分かる。ゆえに本発明の機械加工複合流体およびスプレーは、レーザ切断または加工の過程で、凝縮され固化または液化した水がレーザ切削ゾーン入り込むのを最小化または抑制するドライ−コールド複合スプレーを提供する。
【実施例】
【0051】
本発明の相対的性能を典型的な従来の冷却および潤滑技術と比較対照するために、いくつかの実験を計画、実施した。以下に記載する実験においては、当分野の技術者は、スプレー距離、流体またはスプレー組成、スプレーアングル、スプレー送達手段、および所与の機械加工操作におけるスプレー送達装置の最適な数といった、流体またはスプレー組成物の最適なパラメータが最適化されなかったことに留意しなければならない。実験の目的は、本明細書の複合スプレーの性能を、ほぼ類似の使用条件および模擬の機械加工操作の下で評価することであった。
【0052】
(高速精密研削)
被加工面の質を検査し、従来のフラッドクーラントと比較するために機械加工テストを実施した。実施した機械加工プロセスは、ステアタイトの部分224、エポキシの部分226および鉄/ニッケル合金(合金52)の部分228を有するステンレススチール−ステアタイト−エポキシ物品の粗研削および仕上げ研削である。機械加工プロセスは、20,000rpmで作動したTsugamiモデルMA3 HMCのダイヤモンド研削ツールを用いて行った。本発明から得られた極低温機械加工流体は、固体二酸化炭素をクーラントFcとして、圧縮空気を希釈剤Fdとして、さらにイソプロピルアルコールを添加剤Faとして、Fc:Fd:Fa比率18:80:2で含む複合スプレー組成物であり、それを希釈剤の圧力620kpa(90psi)で使用し、複合スプレー温度を約240K(華氏−30度)とした。複合スプレーを、下に示されるアングル45度の同軸スプレーノズルを用いて、切削ゾーン内のダイヤモンド研削ツールと被加工物品の内側表面との間の接触ポイントに導いた。
【0053】
図17a、17bおよび18a、18bに示されるとおり、機械加工の実験結果から、本発明の複合スプレーを使用すると、従来のフラッドクーラントシステムと比較して高品質の仕上げが得られることが分かる。図17aおよび18aを参照すると、従来のアプローチでは、高速のグラインディングゾーン内における切削片除去、冷却および/またはルブリケーションの不足が原因と疑われる、ソフト合金のスミアリングおよびグラインディングバイトによる深溝が起こっている。これに対して、本発明では図17bおよび18bに示されるとおり、ステアタイト、エポキシおよび金属帯が完璧に分離され、非常にクリーンでブライトな仕上げが生み出される。
【0054】
(ステンレススチールの低速ドリリング)
カーバイドドリルバイトでドリルしたステンレススチールシートの表面品質を調べるために機械加工テストを行った。0.64cm(0.25インチ)のステンレススチール基材を、Ryobi製ボール盤型番DP100を用いて、3600rmpのドリルスピードでドリルした。三種のスプレー組成物を生成した。従来技術を代表する第一のスプレー組成物は希釈剤としての冷却・圧縮空気のみからなり、クーラントまたは添加剤相なしで、Fc:Fd:Fa比率は0:0:100であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および57リットル/分(2cfm)で使用し、複合スプレー温度は約283K(華氏50度)となった。第二のスプレー組成物は、固体二酸化炭素をクーラントとして、圧縮空気を希釈剤として含み、さらに添加剤相は含まず、Fc:Fd:Fa比率は大体30:70:0であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)、温度373K(華氏212度)で使用し、複合スプレー温度は約240K(華氏−30度)となった。第三のスプレー組成物は、固体二酸化炭素クーラント、希釈剤として圧縮空気、添加剤として大豆メチルエステルを含み、Fc:Fd:Fa比率が大体29:70:1であり、それを希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度373K(華氏212度)で使用し、複合スプレー温度が約240K(華氏−30度)となった。
【0055】
各テスト用スプレーを、約45度のスプレーアングルを用いて、ドリリングツールと被加工物品の接触表面との間の接触ポイントに向けた。図19aは第一のスプレーで処理した加工孔を示し、図19bは第二のスプレーで処理した加工孔を示し、図19cは第三のスプレーで処理した加工孔を示している。下に示される結果から、冷却空気の機械加工から本発明の極低温複合スプレーへの、機械加工表面品質の漸進的な向上が示されている。
【0056】
(ブチルゴムのIRレーザフライス加工)
電源60ワットの、波長約940nmで稼働したIRダイオードレーザを用いてフライス加工したブチルゴムの表面品質を、ガスアシスト冷却を用いた場合と比較して調べるために機械加工テストを行った。0.64cm(0.25インチ)のブチルラバーの基材を、IRレーザ出力調整装置と光ファイバ出力レーザモジュール型番OPC−OPC−02を備えたOpto Power社製レーザシステム型番H01 D060 MMM FCMSを用いてフライスした。Janome直交座標ロボット型番JR2203を用いて自動の長方形スキャンパターンを実施した。レーザ焦点は約2.54cmの距離であり、プランジの深さ(レーザ焦点距離)は約0.5mmであり、ロボットスキャンの速度は10mm/秒に設定した。ビーム直径は約1mm、レーザパワーは25ワットに調整した。1.0cmx0.5cmほどの長方形のパターンが各スプレーをテストした各サンプル表面にフライスされた。
【0057】
二種のスプレー組成物を生成した。先行技術を代表する第一のスプレー組成物は、二酸化炭素のみから成り、添加剤またはクーラント相は含まず、Fc:Fd:Fa比率は0:100:0であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度294K(華氏70度)で使用し、複合スプレーの温度は約294K(華氏70度)となった。第二のスプレー組成物は、固体二酸化炭素をクーラントとして、圧縮空気を希釈剤として含み、添加剤相は含まず、Fc:Fd:Fa比率は大体20:80:0であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度373K(華氏212度)で使用し、複合スプレー温度は約244K(華氏−20度)となった。
【0058】
図20aは先行技術による第一のスプレーで処理した基材を示し、図20bは本発明による第二のスプレーで処理した基材を示す。結果から、ガスアシストのレーザフライス加工に比較して、本発明のスプレー組成物によるレーザフライス加工の方が溝がクリーンに、側壁の溶解が最小限になることが分かる。被加工表面をより詳しく見ると、IRレーザ加工に伴って本発明の複合スプレーを使用すると、側壁の輪郭が改善され、トレンチの深さがより深く、溝の断面がよりクリーンになることが分かる。
【0059】
レーザ加工の過程で見られたことで興味深いのは、本発明の複合スプレーによると、黒焦げおよび機械加工後の残留物がずっと少なかったことである。ガスアシストのテストでは表面が非常に汚れ、プロセス後の空中のすすも多かった。
【0060】
(フルオロシリコーンゴムのIRレーザフライス加工)
電源60ワットの、波長約940nmで稼働したIRダイオードレーザを用いてフライス加工したフルオロシリコーンゴムの表面品質を調べるための機械加工テストを行った。0.64cm(0.24インチ)のフルオロシリコーンゴムの基材を、IRレーザ出力調整装置と光ファイバ出力レーザモジュール型番OPC−OPC−02を備えたOpto Power社製レーザシステム型番H01 D060 MMM FCMSを用いてフライスした。Janome直交座標ロボット型番JR2203を用いて自動の長方形スキャンパターンを実施した。レーザ焦点は約2.54cmの距離であり、プランジの深さ(レーザ焦点距離)は約0.5mmであり、ロボットスキャンの速度は10mm/秒に設定した。ビーム直径は約1mm、レーザパワーは25ワットに調整された。1.0cmx0.5cmほどの長方形のパターンが各スプレーをテストした各サンプル表面にフライスされた。
【0061】
二種のスプレー組成物を生成した。先行技術を代表する第一のスプレー組成物は、希釈剤としての二酸化炭素ガスのみからなり、添加剤またはクーラント相は含まず、Fc:Fd:Fa比率は0:100:0であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度294K(華氏70度)で使用され、複合スプレーの温度は約294K(華氏70度)となった。本発明を代表する第二のスプレー組成物は、固体二酸化炭素をクーラントとして、圧縮空気を希釈剤として含み、添加剤相は含まず、Fc:Fd:Fa比率は大体20:80:0であり、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度373K(華氏212度)で使用され、複合スプレー温度は約244K(華氏−20度)となった。
【0062】
図21aは先行技術による第一のスプレーで処理した基材を示し、図21bは本発明による第二のスプレーで処理した基材を示す。結果から、ガスアシストのレーザフライス加工に比較して、本発明のスプレー組成物によるレーザフライス加工では、下に示される通り溝がクリーンに、側壁の溶解が最小限になることが分かる。また、図21a中のガスアシストの実験データから、溶込みおよびプルームが最小限であることが分かるが、それはすなわち表面の過熱および不均一な溶解を意味する。これに対して、複合スプレーテストのレーザプランジのデータは、おおよそレーザビームの直径に等しい完全な円形の均一性と、はるかに大きな溶込み深さが得られる。図22aおよび22bを参照すると、拡大図からカーフ幅、溝の深さ、および相対的な滑らかさにおいて大きな違いがあることが分かる。拡大図でよりよく調べると、カーフ幅、溝の深さ、および相対的な滑らかさにおいて大きな違いがあることが分かる。
【0063】
フルオロシリコーン基材のレーザ加工の間に、ガスアシストのスプレーではレーザフライス加工操作中の切削ゾーンの可視的な燃焼を消すことができないことが観察された。フライス加工後の基材表面は明らかに黒焦げになり、被加工表面を明らかにするために顕微鏡写真を撮る前に、スプレークリーニングが必要だった。これに対して、複合スプレーのテストではIRレーザ加工作業が非常にクリーンで不可視的となり、このことは熱分解によるアブレーションがはるかに向上したことを意味する。
【0064】
本発明には、レーザ加工を阻害し、表面に届くレーザ光エネルギを減衰させる、大量のすすの発生およびレーザ光学系上の積層がないという利点が内在することが分かった。
【0065】
(アクリルプラスチックの高速スピンドルフライス加工)
40,000rpmで稼働した高速ロボットスピンドルを用いてフライス加工したアクリルプラスチックの表面品質を調べるための機械加工テストを行った。0.64cm(0.25インチ)のアクリルプラスチックの基材を、エアタービンスピンドル・モデル600を用いてフライスした。Janome直交座標ロボット型番JR2203を用いて自動の長方形スキャンパターンを実施した。1/8インチルータビットを使用し、プランジの深さは約0.5mm未満であり、ロボットスキャンの速度は10mm/秒に設定した。スピンドルの速度は調整不可であり、40,000rpmで稼働された。1cmx1cmほどの長方形のパターンが各スプレーをテストした各サンプル表面にフライスされた。
【0066】
固体二酸化炭素をクーラントとして、圧縮空気を希釈剤として含み、添加剤相は含まず、Fc:Fd:Fa比率を大体20:80:0とするスプレー組成物を生成し、希釈剤の圧力550kPa(80psi)および温度373K(華氏212度)で使用し、複合スプレー温度は約244K(華氏−20度)となった。
【0067】
結果から、本発明のスプレー組成物でのスピンドルフライス加工では、図23に示される通り、溝がクリーンに、表面チッピングが最小限になることが分かる。
【0068】
本発明は高速および低速金属加工、微小デバイス加工、銅ウェーハダイシング、およびレーザドリリングのような高度製造技術操作における冷却および潤滑の問題に対処するために開発された。しかし、本発明の使用または適用は、特定の市場または用途に限定されるものではない。たとえば本発明は、腫瘍や疣等、生体組織を選択的に凝固凍結するために、火傷による痛みを軽減する手段に、さらに極低温エアロゾルを用いた除去プロセスを通じて肌の染みを除去する方法に、さらに方向性凝固の手段に、使用しうる。本発明は、冷却、潤滑および洗浄処理を提供する、固有かつ非常に有用なハイブリッド技術を提供し、それは、元の製造会社(OEM)のツールに統合することもできるし、ドライおよびセミドライの温度管理、冷却および/または潤滑のこの組み合わせを必要とする製造会社のために単独のツールとしても役立つ。
【0069】
好ましい実施形態に照らして本発明を記載してきたが、当分野の技術者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく形式および詳細の変更をなしうることを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、本発明の極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図2】図2は、本発明の選択的極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図3】図3は、本発明の選択的極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図4】図4は、本発明の選択的極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図5】図5は、本発明の選択的極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図6】図6は、本発明の複数の選択的極低温スプレーの位相成分を示す図である。
【図7】図7は、本発明の極低温スプレーを作るためのシステムを示す流れ図である。
【図8】図8は、本発明の極低温スプレー組成物を作るために使用される段付キャピラリの一部断面図である。
【図9】図9は、本発明の極低温スプレー組成物を輸送するために使用される送達ラインの一部断面図である。
【図10】図10は、クリオゾルおよびクリオゲルに、選択された添加剤を添加することによるスプレー粘度のへの効果を示す図である。
【図11】図11は、本発明の極低温スプレー組成物の、選択された粒径での、せん断による衝撃圧力を説明するグラフである。
【図12】図12は、機械加工操作中に使用される本発明のスプレー組成物の側面図である。
【図13】図13は、本発明の選択的極低温スプレーの例示的なスプレー温度および熱容量のデータを示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の極低温スプレー組成物で使用される潤滑添加剤の一定の物理的性質を示すグラフである。
【図15】図15は、レーザ加工操作中に使用される本発明の極低温スプレー組成物の側面図である。
【図16】図16は、赤外線および紫外線レーザの物理的性質を示すグラフである。
【図17a】図17aは、先行技術のスプレーにより処理された基材の顕微鏡写真である。
【図17b】図17bは、本発明の選択的極低温スプレー組成物により処理された基材の顕微鏡写真である。
【図18a】図18aは、先行技術のスプレーにより処理された基材の顕微鏡写真である。
【図18b】図18bは、本発明の選択的極低温スプレー組成物により処理された基材の顕微鏡写真である。
【図19a】図19aは、先行技術のスプレー処理を使用して機械加工された基材の顕微鏡写真である。
【図19b】図19bは、一番目に選択された本発明の極低温スプレー組成物を使用して機械加工された基材の顕微鏡写真である。
【図19c】図19cは、二番目に選択された本発明の極低温スプレー組成物を使用して機械加工された基材の顕微鏡写真である。
【図20a】図20aは、先行技術のスプレーで処理された基材の顕微鏡写真である。
【図20b】図20bは、本発明の選択的極低温スプレー組成物で処理された基材の顕微鏡写真である。
【図21a】図21aは、先行技術のスプレーで処理された基材の顕微鏡写真である。
【図21b】図21bは、本発明の選択的極低温スプレー組成物で処理された基材の顕微鏡写真である。
【図22a】図22aは、先行技術のスプレーで処理された基材の顕微鏡写真である。
【図22b】図22bは、本発明の選択的極低温スプレー組成物で処理された基材の顕微鏡写真である。
【図23】図23は、本発明の選択的極低温スプレー組成物で処理された基材の顕微鏡写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工プロセス中に基材を処理するための極低温複合流体であり、前記極低温複合流体は、
固体二酸化炭素の粒子を含む昇華性クーラント相と、
不活性ガスから誘導される希釈剤相と
を含み、各相を混合して得られる前記極低温の複合流体は、機械加工プロセス中に冷却目的、加熱目的、潤滑目的またはそのいずれかの組み合わせの目的のために使用されうる、極低温複合流体。
【請求項2】
前記クーラント相が粒径およそ0.2ミクロンから500ミクロンの間の固体二酸化炭素の粒子を含む、請求項1に記載の極低温複合流体。
【請求項3】
0.01MPaから100MPaの間の衝撃応力を提供することができる、請求項1に記載の極低温複合流体。
【請求項4】
前記クーラント相が二酸化炭素ガス、液体二酸化炭素または超臨界二酸化炭素から誘導される、請求項1に記載の極低温複合流体。
【請求項5】
有機または無機の固体、液体または気体の化合物を含み、前記クーラント相または前記希釈剤相のいずれにも混合しうる添加剤相をさらに含む、請求項1に記載の極低温複合流体。
【請求項6】
前記添加剤相が油類、グリース類、ドライ潤滑剤類、アルコール類、エーテル類、エステル類、または合成炭化水素類を含む、請求項5に記載の極低温複合流体。
【請求項7】
前記添加剤相が植物ベースの油類、大豆油、ヒマシ油、綿実油、菜種油またはカノーラ油を含む、請求項5に記載の極低温複合流体。
【請求項8】
前記添加剤相が有機炭化水素ガスを含む、請求項5に記載の極低温複合流体。
【請求項9】
前記添加剤相がHFC 134aまたはブタンを含む、請求項8に記載の極低温複合流体。
【請求項10】
前記添加剤相がポリテトラフルオロエチレン、グラファイト、二硫化モリブデンまたは窒化ホウ素を含む、請求項5に記載の極低温複合流体。
【請求項11】
前記添加剤相がジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはブチルジグリコールを含む、請求項5に記載の極低温複合流体。
【請求項12】
請求項1に記載の極低温複合流体をレーザ加工プロセスにおいて使用する方法であって、前記極低温複合流体がレーザビームを通過しても前記レーザビームを減衰させない方法。
【請求項13】
請求項5に記載の極低温複合流体をレーザ加工プロセスにおいて使用する方法であって、前記極低温複合流体がレーザビームを通過しても前記レーザビーム減衰させない方法。
【請求項1】
機械加工プロセス中に基材を処理するための極低温複合流体であり、前記極低温複合流体は、
固体二酸化炭素の粒子を含む昇華性クーラント相と、
不活性ガスから誘導される希釈剤相と
を含み、各相を混合して得られる前記極低温の複合流体は、機械加工プロセス中に冷却目的、加熱目的、潤滑目的またはそのいずれかの組み合わせの目的のために使用されうる、極低温複合流体。
【請求項2】
前記クーラント相が粒径およそ0.2ミクロンから500ミクロンの間の固体二酸化炭素の粒子を含む、請求項1に記載の極低温複合流体。
【請求項3】
0.01MPaから100MPaの間の衝撃応力を提供することができる、請求項1に記載の極低温複合流体。
【請求項4】
前記クーラント相が二酸化炭素ガス、液体二酸化炭素または超臨界二酸化炭素から誘導される、請求項1に記載の極低温複合流体。
【請求項5】
有機または無機の固体、液体または気体の化合物を含み、前記クーラント相または前記希釈剤相のいずれにも混合しうる添加剤相をさらに含む、請求項1に記載の極低温複合流体。
【請求項6】
前記添加剤相が油類、グリース類、ドライ潤滑剤類、アルコール類、エーテル類、エステル類、または合成炭化水素類を含む、請求項5に記載の極低温複合流体。
【請求項7】
前記添加剤相が植物ベースの油類、大豆油、ヒマシ油、綿実油、菜種油またはカノーラ油を含む、請求項5に記載の極低温複合流体。
【請求項8】
前記添加剤相が有機炭化水素ガスを含む、請求項5に記載の極低温複合流体。
【請求項9】
前記添加剤相がHFC 134aまたはブタンを含む、請求項8に記載の極低温複合流体。
【請求項10】
前記添加剤相がポリテトラフルオロエチレン、グラファイト、二硫化モリブデンまたは窒化ホウ素を含む、請求項5に記載の極低温複合流体。
【請求項11】
前記添加剤相がジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはブチルジグリコールを含む、請求項5に記載の極低温複合流体。
【請求項12】
請求項1に記載の極低温複合流体をレーザ加工プロセスにおいて使用する方法であって、前記極低温複合流体がレーザビームを通過しても前記レーザビームを減衰させない方法。
【請求項13】
請求項5に記載の極低温複合流体をレーザ加工プロセスにおいて使用する方法であって、前記極低温複合流体がレーザビームを通過しても前記レーザビーム減衰させない方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図18a】
【図18b】
【図19a】
【図19b】
【図19c】
【図20a】
【図20b】
【図21a】
【図21b】
【図22a】
【図22b】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図18a】
【図18b】
【図19a】
【図19b】
【図19c】
【図20a】
【図20b】
【図21a】
【図21b】
【図22a】
【図22b】
【図23】
【公表番号】特表2008−535934(P2008−535934A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545729(P2007−545729)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/045180
【国際公開番号】WO2006/065869
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507191108)クール クリーン テクノロジーズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/045180
【国際公開番号】WO2006/065869
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507191108)クール クリーン テクノロジーズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]