説明

極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイ及びこれを用いるヘッドオンリー磁気共鳴イメージング(MRI)システム

全身MRIスキャナ又は専用のヘッドオンリーMRIシステムに使用できる極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイ。頭部専用MRIシステム用の超伝導主磁石システムもまた提供され、ヘッドオンリーMRIシステムは、かかる超伝導主磁石及び極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイを有するのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、磁気共鳴イメージング及びスペクトロスコピーに関し、特に、超伝導体コンポーネントを採用した磁気共鳴イメージング(画像化)及びスペクトロスコピー機器並びにかかる機器を製造する方法に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は,2009年4月20日に出願された米国特許仮出願第61/171,074号の権益主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、かかる参照による引用が許可され又は禁じられてはいない各PCT加盟国及び領域の目的上、この記載内容を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
磁気共鳴イメージング又は画像化(Magnetic Resonance Imaging:MRI)技術は、世界全体にわたって大規模医療機関において今日一般的に用いられており、かかる技術により、医療の実務において多大且つ特有の利益が得られている。MRIは、構造及び解剖学的特徴を画像化する確固たる診断ツールとして開発されたが、かかるMRIは、機能的活動及び他の生物理学的及び生化学的特徴又はプロセス(例えば、血液の流れ、代謝産物/代謝、拡散)を画像化するためにも開発され、これら磁気共鳴(magnetic resonance:MR)イメージング技術の中には、機能MRI(functional MRI)、分光MRI又は磁気共鳴分光イメージング(Magnetic Resonance Spectroscopic Imaging:MRSI)、拡散強調イメージング(diffusion weighted imaging:DWI)及び拡散テンソルイメージング(diffusion tensor imaging:DTI)と呼ばれるものが知られている。これら磁気共鳴イメージング技術は、病理学的特徴を突き止めてこれを評価すると共に検査対象の組織の健康状態を判定するためのこれらの医学的診断価値に加えて、広い臨床的及び研究的用途を有している。
【0004】
典型的なMRI検査中、患者の体(又は試料物体)は、検査領域内に配置され、MRIスキャナの患者支持体によって支持され、MRIスキャナでは、実質的に一定且つ一様な一次(主)磁場が一次(主)磁石によって提供される。磁場は、体の中の歳差運動を行っている原子、例えば水素(プロトン)の核磁化を整列させる。磁石内のグラジエントコイル組立体が所与の場所で磁場の僅かな変化を生じさせ、かくして、画像化領域中に共振周波数の符号化をもたらす。高周波(radio frequency:RF)コイルは、コンピュータ制御下において、パルスシーケンスに従って選択的に駆動されて患者の体内に一時的振動横方向磁化信号を生じさせ、この磁化信号は、RFコイルによって検出され、コンピュータ処理によって、患者の空間位置確認された領域にマップ可能であり、かくして検査中の関心領域(region-of-interest)の画像が得られる。
【0005】
よく見受けられるMRI形態では、静的主磁場は、典型的には、ソレノイド磁石装置によって作られ、患者プラットホームは、ソレノイド巻線によって画定された円筒形空間(即ち、主磁石ボア)内に配置される。主磁場の巻線は、典型的には、低温半導体(low temperature superconductor:LTS)物質として具体化され、抵抗を減少させるためにかくして、発生する熱の量及び主磁場を作ってこれを維持するのに必要な電力の大きさを最小限に抑えるために液体ヘリウムで過冷却される。既存のLTS超伝導MRI磁石の大部分は、ニオブ‐チタン(NbTi)及び/又はNb3Sn材料で作られ、これは、クライオスタットにより4.2Kの温度まで冷却される。
【0006】
当業者には知られているように、磁場グラジエントコイルは、一般に、空間中の3本の主要なデカルト軸の各々に沿って線形磁場グラジエントを選択的に提供するよう構成されており、その結果、磁場の大きさは、検査領域内の場所で変化し、関心のある領域内の互いに異なる場所からの磁気共鳴信号の特性、例えば信号の周波数及び位相は、この領域内の位置に従って符号化されるようになっている(かくして、空間位置確認が可能になっている)。典型的には、傾斜(グラジエント)磁場は、電流がコイル状サドル(鞍)又はソレノイド巻線を通って流れることにより作られ、ソレノイド巻線は、主磁場の巻線を収容した大径筒体と同心に且つこの中に嵌め込まれた筒体に取り付けられている。主磁場とは異なり、グラジエント磁場を作るために用いられるコイルは、典型的には、共通の室温銅巻線である。グラジエント強度及び磁場の直線性は、得られる画像の細部の精度と組織化学的性質に関する情報の両方にとって基本的に重要なものである(例えば、MRSIにおいて)。
【0007】
MRIの利用開始以来、例えば高い空間分解能、高いスペクトル分解能(例えば、MRSIに関して)、高いコントラスト及び迅速な収集速度を提供することによりMRI品質及び能力を向上させる絶え間ない技術的追求が行われている。例えば、画像化(収集)速度の増大は、画像収集中の画像化領域の一時的変化、例えば患者の動き、自然な解剖学的運動及び/又は機能的運動(例えば、心拍動、呼吸、血液の流れ)に起因する変化及び/又は自然な生化学的変化(例えば、MRSI中、代謝によって引き起こされる)により生じる画像化ぶれ又はぼけを最小限に抑える上で望ましい。同様に、例えば分光MRIにおいては、データを収集するパルスシーケンスが空間情報に加えてスペクトル情報を符号化するので、所望のスペクトル分解能及び空間位置確認を提供するのに十分なスペクトル情報及び空間情報を収集するために必要な時間を最小限に抑えることは、分光MRIの臨床的実用性及び有用性を向上させる上で特に重要である。
【0008】
高コントラスト、高分解能及び高収集速度の観点において良好なMRI画像品質には幾つかの要因が寄与する。画像品質及び収集速度に影響を及ぼす重要なパラメータは、信号対雑音比(signal-to-ratio:SNR)である。MRIシステムの前置増幅器前の信号を増大させることによりSNRを向上させることは、画像品質を向上させる観点で重要である。SNRを向上させる一手法は、SNRが磁場の大きさに比例するので、磁石の磁場強度を増大させることである。しかしながら、臨床用途では、MRIには、磁石の磁場強度に関して上限がある(米国食品医薬品局の現行の上限は、3T(テスラ))。SNRを向上させる他の手法では、可能な場合には、視野を減少させ(可能な場合)、試料とRFコイルとの間の距離を減少させると共に/或いはRFコイルノイズを減少させることによって試料ノイズを減少させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
MRIを改良する絶え間ない技術的努力及び多くの技術的進歩にもかかわらず、例えばコントラストの向上、SNRの向上、収集速度の高速化、空間及び一時的分解能の向上及び/又はスペクトル分解能の向上を可能にするMRIにおける更にこれまで以上の改良が要望され続けている。
【0010】
加うるに、MRI技術のそれ以上の使用に悪影響を及ぼす大きな要因は、購入と保守の両方に関して高価な磁場システムと関連した高いコストにある。かくして、妥当なコストで製造されると共に/或いは維持可能であり、MRI技術をより広く用いることができるようにする高品質MRIイメージングシステムを提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の種々の実施形態は、全身MRIスキャナ及び/又は専用のヘッドオンリーMRIシステム(本明細書において、「頭部専用MRIシステム」、「ヘッドオンリーMRIシステム」等ともいう)に使用できる極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイを提供する。本発明の幾つかの実施形態は、頭部専用MRIシステム及び特に頭部専用MRIシステム用の超伝導主磁石を提供し、この頭部専用MRIシステムは、幾つかの実施形態においては、本発明の実施形態としての極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイを更に有する。
【0012】
幾つかの実施形態によれば、頭部磁気共鳴イメージングのためのシステムは、共通の長手方向軸線に対して同軸であるように構成された、高温超伝導コイルの第1及び第2のコイル組を有し、第1のコイル組は、内側半径を有すると共に人体の頭部及び頸部を覆うように共通長手方向軸線に沿って所与の長さの第1の領域に設けられた少なくとも2つのコイルを含み、第2のコイル組は、内側半径を有すると共に人間の胴体の一部分を覆うように共通長手方向軸線に沿って所与の長さの第2の領域に設けられた少なくとも1つのコイルを含み、第2のコイル組の内側半径は、第1のコイル組の内側半径よりも大きく、第1及び第2のコイルは、第1の領域内に位置決めされたときに個人の頭部の関心のある領域を画像化することができるよう第1の領域中に一様な磁界を生じさせるよう構成されている。
【0013】
各コイルの長手方向位置及び広がり、ターンの数及び電流方向は、頭部画像化のために第1の領域内に1〜10ppmの一様な磁界を生じさせるよう設計されるのがよい。第1のコイル組は、25〜30cmの内側半径を有すると共に共通長手方向軸線に沿って40〜60cmの長さの第1の領域に設けられた少なくとも2つのコイルを含むのがよく、第2のコイル組は、30〜40cmの内側半径を有すると共に人間の胴体の一部分を覆うように共通長手方向軸線に沿って15〜25cmの長さの第2の領域に設けられた少なくとも1つのコイルを含むのがよく、人間の胴体の一部分は、肩を含むのがよい。
【0014】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つのコイルは、コイルの残部に対して逆方向に電流を流すよう巻かれているのがよい。本システムは、共通長手方向軸線を包囲すると共に第1及び第2のコイルと同軸の遮蔽コイルを更に有するのがよく、遮蔽コイルは、第1及び第2の領域の長さにわたって延びるのがよい。
【0015】
本システムは、共通長手方向軸線に対して同軸に設けられると共に個人の頭部が画像化のために位置決めされている第1の領域内に生じた高周波信号を少なくとも受け取るよう構成された超伝導高周波ヘッドコイルアレイモジュールを更に有するのがよい。かかる高周波ヘッドコイルアレイは、共通長手方向軸線の周りに方位的に設けられた複数個の高温超伝導コイルを含むのがよい。
【0016】
幾つかの実施形態では、極低温冷却可能に構成された超伝導高周波コイルアレイモジュールであって、二重壁気密封止ジャケットを備えた真空断熱ハウジングを有し、ジャケットは、(i)真空条件下で気密封止内部空間を包囲すると共に(ii)気密封止内部空間から独立していると共に真空条件に合わせて排気されるよう構成された内部チャンバ領域を実質的に包囲し、内部チャンバ領域内に設けられた複数個の超伝導体高周波コイルを有し、各高周波コイルは、磁気共鳴イメージング及び磁気共鳴スペクトロスコピーのうちの少なくとも一方のために高周波信号の発生及び受信のうちの少なくとも一方を行うよう構成され、内部チャンバ領域内に超伝導高周波コイルと熱的接触関係をなして設けられた少なくとも1つのサーマルシンク部材を有し、少なくともサーマルシンク部材を極低温冷却するよう構成されたポートを有することを特徴とするモジュールが提供される。ポートは、少なくとも1つのサーマルシンク部材に熱的に結合された冷凍機に結合されるのがよい。
【0017】
幾つかの実施形態では、各高周波コイルは、各々が冷凍機と熱的接触状態にあるサーマルシンク部材のうちの別のものと直接的な熱接触状態にあるサーマルシンク部材の各々とそれぞれ直接的な熱的接触状態にある。
【0018】
高周波コイルは、共通長手方向軸線に沿って実質的に共通の変位量のところで共通長手方向軸線の周りに方位的にずらして設けられた少なくとも8つの高周波コイルを含むのがよく、高周波コイルは、高周波コイルにより包囲された領域を画像化するよう構成されている。高周波コイルの各々は、高周波信号を受け取るが、該高周波信号を伝送することがないよう構成されるのがよい。
【0019】
真空断熱ハウジング及び高周波コイルは、頭部を画像化するが、全身を画像化することがないよう寸法決めされると共に形作られるのがよい。幾つかの実施形態では、高周波コイルアレイモジュールは、主電磁石システムを含むヘッドオンリー磁気共鳴イメージングシステムに用いられるよう寸法決めされると共に形作られ、主電磁石システムは、共通長手方向軸線に対して同軸であるように構成された第1及び第2の組み合わす高温超伝導コイルを有し、第1のコイル組は、内側半径を有すると共に人体の頭部及び頸部を覆うように共通長手方向軸線に沿って所与の長さの第1の領域に設けられた少なくとも2つのコイルを含み、第2のコイル組は、内側半径を有すると共に人間の胴体の一部分を覆うように共通長手方向軸線に沿って所与の長さの第2の領域に設けられた少なくとも1つのコイルを含み、第1及び第2のコイルは、第1の領域内に位置決めされたときに個人の頭部の関心のある領域を画像化することができるよう第1の領域中に一様な磁界を生じさせるよう構成されている。
【0020】
当業者であれば理解されるように。上記概要説明及び以下の詳細な説明は、本発明の例示的な説明であり、本発明を制限するものでも本発明によって達成可能な利点を制限するものでもない。加うるに、本発明の上記概要説明は、本発明の幾つかの実施形態を表しており、本発明の範囲に含まれる全ての内容及び実施形態を表すものでもなく網羅的に示しているわけでもない。かくして、本明細書において参照され、本明細書の一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示しており、詳細な説明と一緒になって、本発明の原理を説明するのに役立つ。構造と作用の両方に関する本発明の実施形態の観点、特徴及び利点は、本発明を添付の図面と関連して行われる以下の説明に照らして考慮すると理解されると共に容易に明らかになろう。なお、種々の図全体にわたり、同一の参照符号は、同一又は類似の部分を示している。
【0021】
構造と作用の両方に関する本発明の実施形態の観点、特徴及び利点は、本発明を添付の図面と関連して行われる以下の説明に照らして考慮すると理解されると共に容易に明らかになろう。なお、種々の図全体にわたり、同一の参照符号は、同一又は類似の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】本発明の幾つかの実施形態としての例示の極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイの概略直交座標図である。
【図1B】本発明の幾つかの実施形態としての例示の極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイの概略直交座標図である。
【図2】本発明の幾つかの実施形態に従って二重壁ガラスデューアとして具体化されている図1Aの真空チャンバの壁を概略的に示す図である。
【図3】図1A及び図1Bに示された実施形態に対応した超伝導RFヘッドコイルアレイの長手方向軸線に沿った概略断面図であり、真空チャンバが本発明の幾つかの実施形態に従って図2に示されている種々の実施形態としてのデューア1を有している状態を示す図である。
【図4A】本発明の幾つかの実施形態としての超伝導RFヘッドコイルアレイ(モジュール)の例示の別の具体的構成例を示す図である。
【図4B】本発明の幾つかの実施形態としての超伝導RFヘッドコイルアレイ(モジュール)の例示の別の具体的構成例を示す図である。
【図5】本発明の幾つかの実施形態による例示のMRIシステムの概略直交座標図である。
【図6】本発明の幾つかの実施形態に従って熱放射線遮蔽手段を有する例示のRFヘッドコイルアレイを概略的に示す図である。
【図7】本発明の幾つかの実施形態としてのヘッドオンリーMRIシステムの超伝導主磁石の概略直交座標図である。
【図8】本発明の幾つかの実施形態としての超伝導主磁石システムのコイルの構成をz‐r平面に関して示す図である。
【図9】本発明の幾つかの実施形態に従って図7の例示の実施形態に一致した主磁石コイル構成に関する標準化された電流分布状態を示す図である。
【図10】本発明の種々の実施形態に従って3Tヘッド磁気共鳴イメージングスキャナの例示のコイルパターンを示す図(単位がメートル法に合わせて標準化されたz‐r平面で示す図)である。
【図11】本発明の幾つかの実施形態に従って図10に示された例示の実施形態に関する磁場分布状態を示すプロット図である。
【図12】本発明の例示の実施形態に従って図11の磁場分布状態に関する1ガウス(1G)、3ガウス(3G)及び5ガウス(5G)線のフリンジフィールドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明は、(i)全身MRIスキャナ及び/又は専用ヘッドオンリーMRIシステム(「頭部専用MRIシステム」、「ヘッドオンリーMRIシステム」等ともいう)に使用できる極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイの種々の実施形態及び(ii)頭部専用MRIシステムの種々の実施形態、特に、頭部専用MRIシステム用の超伝導主磁石の種々の実施形態を開示し、この頭部専用MRIシステムは、幾つかの実施形態では、本発明の実施形態としての極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイを更に有する。
【0024】
具体的に説明すると、以下の説明を読む当業者によって更に理解されるように、本発明の種々の実施形態としての極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイコイルは、多様な磁気共鳴イメージング及びスペクトロスコピーシステム、例えば従来型銅グラジエントコイルを採用したシステム、超伝導グラジエントコイル(例えば、2009年4月1日に出願された米国特許出願第12/416,606号明細書及び2009年4月17日に出願された米国特許仮出願第61/170,135号に開示されている超伝導グラジエントコイル、なお、これら特許文献の各々を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする)を採用したシステム、全身システム、専用ヘッドオンリーシステム、垂直又は水平に差し向けられた主磁場を有するシステム、開システム又は閉システム等に使用できる。同様に、以下の説明を読む当業者には更に理解されるように、本発明の種々の実施形態としての超伝導主磁石を採用した頭部専用MRIシステムは、多様な磁気共鳴イメージング及びスペクトロスコピーシステム、例えば従来型銅グラジエントコイルを採用したシステム、超伝導グラジエントコイル(例えば、2009年4月1日に出願された米国特許出願第12/416,606号明細書及び2009年4月17日に出願された米国特許仮出願第61/170,135号に開示されている超伝導グラジエントコイル、なお、これら特許文献の各々を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする)を採用したシステム、従来型(例えば、銅で作られた)ヘッドコイル又はコイルアレイを採用したシステム及び/又は超伝導RFヘッドコイルアレイを採用したシステム(例えば、本明細書において説明する超伝導RFヘッドコイル実施形態による)等に使用できる。同様に、以下の説明の種々の部分は、患者の構造的検査に使用できるMRIシステムとの関連で説明されているが、本発明の種々の実施形態は、他のモダリティ向きに稼働されると共に/或いは構成された磁気共鳴(MR)システム、例えば、機能MRI、拡散強調及び/又は拡散テンソルMRI、MRスペクトロスコピー及び/又は分光イメージング等と関連して利用できる。加うるに、本明細書において用いられるMRIという用語は、磁気共鳴分光イメージング、拡散テンソルイメージング(DTI)並びに核磁気共鳴を利用した任意他のイメージングモダリティを包含する。
【0025】
図1A及び図1Bは、本発明の幾つかの実施形態としての例示の極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイ10の概略直交座標図である。(便宜上且つ参照しやすくするため、しかも更に説明を分かりやすくするため、直交x,y,z座標が、基準系として示されている。)具体的に説明すると、図1Aは、図1Bの基準線1A‐1A′で示されたx‐y平面の断面図であり、8つの頂点とRFコイル3a〜3h(本明細書においてひとまとめに超伝導RFコイル3又はRFコイルアレイ3ともいう)の構成例を示しており、各RFコイルは、8つの熱導体5a〜5h(例えば、非金属製の熱伝導率の高い材料、例えば熱伝導率の高いセラミック、例えばサファイア又はアルミナ)の各々とそれぞれ熱的接触状態にあり、RFコイル3a〜3h及び熱導体5a〜5hは、真空チャンバ壁2を備えた密閉真空チャンバ内に配置されている。
【0026】
図1Bは、図1Aの符号1Bによって示された方向から見た長手方向軸線(即ち、z軸)沿いの側面図であり、図1Bは、超伝導RFヘッドコイルアレイ10の冷却システム、熱導体5a〜5hの各々と熱的接触状態にある熱導体15(例えば、非金属製の熱伝導率の高い材料、例えば熱伝導率の高いセラミック、例えばサファイア又はアルミナ)を含む冷却システム、熱導体(シンク)15と熱的接触状態にある低温ヘッド9及び低温ヘッド9を所望の極低温に維持するよう構成された冷凍機7を含むコンポーネントを示している。しかしながら、説明を分かりやすくするため、図1Bは、(i)真空チャンバ壁2を有する真空チャンバ、(ii)コイル3b,3d及び(iii)熱導体5b,5dを示していない(以下の説明(例えば、図3と関連している)から更に理解されるように、図1Bは、冷凍機7が収納される真空チャンバ部分をも示していない)。
【0027】
したがって、図1A及び図1Bに示されている超伝導RFヘッドコイルアレイ10の構成では、コイル3a〜3hは、真空中にあり、熱導体5a,5bによって冷却され、これら熱導体は、コイルから熱を奪ってこれを極低温クーラ又は冷凍機7に熱的に結合された熱導体/シンク15に伝える。当業者であれば理解されるように、幾つかの実施形態(例えば、低い、例えば3T未満又は1.5T未満等の主磁場具体的構成例)では、熱導体/シンク15及び/又は場合によっては熱導体5a〜5hに少量の金属、例えば銅が用いられるのがよい。幾つかの実施形態では、熱導体5a〜5hは、熱導体/シンク15と一体に形成されるのがよく、幾つかの実施形態では、熱導体5a〜5hのうちの1つ又は2つ以上は、機械的に熱導体/シンク15に接合されて(例えば、エポキシ等を用いて)熱導体/シンク15との間に良好な熱伝導関係を生じさせる別々の部材である。種々の実施形態では、コイル3a〜3hは、約4K〜100Kの温度まで、特に超伝導体の臨界温度よりも低い温度(例えば、幾つかの実施形態では、RFコイル3a〜3hに用いられる材料としての高温超伝導体(high temperature superconductor:HTS)の臨界温度よりも低い温度)まで冷却されるのがよい。
【0028】
具体的に説明すると、本発明の種々の実施形態によれば、RFコイル要素3a〜3hの各々は、高温超伝導体(HTS)、例えばYBCO及び/又はBSCCO等として具体化される(例えば、HTS薄膜又はHTSテープを用いて)。ただし、低温超伝導体(LTS)を種々の実施形態において用いることができる。例えば、幾つかの実施形態では、RFコイル3a〜3hの各々は、基材、例えばサファイア又はアルミン酸ランタン上に施されたHTS薄膜螺旋コイル及び/又はHTS薄膜螺旋交差指型コイルである。かかるコイルの設計及び製作は、例えば、マ,他(Ma et al.),「スーパーコンダクティングRFコイルズ・フォア・クリニカルMRイメージング・アット・ロー・フィールド(Superconducting RF Coils for Clinical MR Imaging at Low Field)」アカデミック・ラジオロジー(Academic Radiology),2003年9月,第10巻,第9号,p.978‐987、ガオ,他(Gao et al.),「シミュレーション・オブ・ザ・センシティビティ・オブ・HTSコイル・アンド・コイル・アレイ・フォア・ヘッド・イメージング(Simulation of the Sensitivity of HTS Coil and Coil Array for Head Imaging)」,ISMRM,2003年,第1412号、ファン,他(Fang et al.),「デザイン・オブ・スーパーコンダクティングMRIサーフェス・コイル・バイ・ユージング・メソッド・オブ・モーメント(Design of Superconducting MRI Surface Coil by Using Method of Moment)」,IEEEトランス・オン・アプライド・スーパーコンダクティビティ(IEEE Trans, on Applied Superconductivity),2002年,第12巻,第2号,p.1823‐1827、ミラー、他(Miller et al.),「パフォーマンス・オブ・ア・ハイ・テンプリチャー・スーパーコンダクティング・プローブ・フォア・イン・ビボ・マイクロスコピー・アット2.0T(Performance of a High Temperature Superconducting Probe for In Vivo Microscopy at 2.0 T)」,マグネティック・レゾナンス・イン・メディスン(Magnetic Resonance in Medicine),1999年,第41号,p.72‐79に更に記載されていると共に/或いはこれらの記載内容を考慮して更に理解できる。なお、これら非特許文献の各々を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。したがって、幾つかの実施形態では、超伝導RFヘッドコイルアレイ10は、HTS薄膜RFヘッドコイルアレイとして具体化される。
【0029】
図2に示されているように、本発明の幾つかの実施形態によれば、壁2を有する真空チャンバは、ガラス及び/又は他の非導電性の機械的に強固な材料、例えばG10、RF4、プラスチック及び/又はセラミックで作られた二重壁デューア(「ジュワー」ともいう)1を有するのがよい。具体的に説明すると、図2は、本発明の幾つかの実施形態に従って二重壁ガラスデューア1として具体化された図1の真空チャンバの壁2を概略的に示している。理解されるように、極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイモジュールの寸法形状は、本発明の種々の具体的構成例に従って設計変更可能である。幾つかの具体的構成例によれば、図2は、例えば頭部画像化専用の磁気共鳴イメージングシステムに使用できる極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイモジュールのガラスデューア部分1を示しており、ガラスデューアコンポーネントは、一例として提供されていると共に更に説明を分かりやすくするために以下の適当な寸法を有するのがよく、即ち、筒体60の内径、外径、軸方向距離は、それぞれ、230mm、236mm、254mmであり、筒体62の内径、外径、軸方向距離は、それぞれ、246mm、252mm、254mmであり、筒体64の内径、外径、軸方向距離は、それぞれ、280mm、286mm、312mmであり、筒体66の内径、外径、軸方向距離は、それぞれ、296mm、302mm、330mmであり、内側底板(円形/円筒形)74の直径は、236mmであり、その厚さは、12.7mmであり、外側底板(円形/円筒形)76の直径は、252mmであり、その厚さは、12.7mmであり、リング(環状)66の内径、外径、厚さ(軸方向厚さ)は、それぞれ、246mm、286mm、12.7mmであり、リング(環状)68の内径、外径、厚さ(軸方向厚さ)は、それぞれ、230mm、302mm、12.7mmであり、リング(環状)72の内径、外径、厚さ(軸方向厚さ)は、それぞれ、280mm、302mm、12.7mmである。また、8つの小型スペーサディスク78のうちの2つが示されており、かかるスペーサディスクは、5mmのおおよその直径を有すると共に内側底板74と外側底板76との間に約5mmの隙間を生じさせる高さを有する。この例示の実施形態では、プラグ70がリング68に設けられた標準型真空ポートを封止し、デューア内キャビティは、かかるポートを介して排気される。
【0030】
理解されるように、二重壁デューア1は、種々の仕方で、内部チャンバ(又はキャビティ)4を包囲した連続気密封止ガラスハウジングとして構成されるのがよく、少なくとも低真空条件、幾つかの実施形態によれば、好ましくは、少なくとも高真空条件(例えば、約10-6Torr又はこれ以下の圧力)が内部チャンバ4内に維持される。例えば、幾つかの実施形態によれば、二重壁デューア1は、次のように製作でき、即ち、(i)各々が全体としてU字形の壁断面を有する2つの全体として円筒形の(例えば、しかしながら長手方向/円筒形接近方向に対して横方向の断面が六角形である)二重壁構造体を形成し、第1の構造体は、連続ガラス壁部分1a(筒体60,66、リング68及びプレート74を有する)に対応し、第2の構造体は、連続壁部分1b(筒体62,64、リング66及びプレート76を有する)に対応し、(ii)全体として円筒形の連続ガラス壁部分1bを場合によっては全体として円筒形の連続ガラス壁部分1aとの間に場合によってはガラススペーサ(例えば、図2にディスク78として示されている)を用いてかかる壁部分1aの環状空間内にはめ込み、(iii)壁部分1a,1b相互間の開口端部(即ち、後でステンレス鋼チャンバ8に封止可能に取り付けられる端部、これについては図3と関連して以下に更に説明する)をガラス結合し、融着し又は違ったやり方で封止して(例えば、リング72を開口端部に結合し、融着し又は違ったやり方で密着させることによって)キャビティ4を高真空下に気密封止し、(iv)図示の標準型真空ポートを介してキャビティ4を高真空状態に排気し、この標準型真空ポートは、所望の真空圧力まで排気後に気密封止される(例えば、キャップ70を用いて)。真空封止ステップを無数の仕方で実施することができることが理解できよう。例えば、壁部分1a,1bを真空チャンバ内で互いに接合して密着させるのがよく、或いは、上述したように、壁部分1a,1bの端部を真空排気ポートとして用いられると共にこのポートを介してキャビティを高真空状態に排気した後に封止される狭い領域を除き、互いに融着させてもよい。種々の実施形態では、二重壁デューア1は、2008年9月17日に出願された米国特許出願第12/212,122号明細書及び2008年9月17日に出願された米国特許出願第12/212,147号明細書に記載されている気密封止二重壁構造体(及び真空断熱ハウジング)に従って又はこれに類似した仕方で具体化できる。なお、これら米国特許出願の各々を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0031】
図3は、図1A及び図1Bに示された実施形態に対応した超伝導体(例えばHTS)を含むRFヘッドコイルアレイの長手方向軸線に沿った概略断面図であり、真空チャンバは、図2に示されている種々の実施形態としてのデューア1を有している。図示のように、デューア1は、二重壁ステンレス鋼チャンバ8に封止可能に接合され、このチャンバ8は、冷凍機7が封止可能に取り付けられるフランジを有する。種々の実施形態では、二重壁ステンレス鋼チャンバ8は、内部チャンバ(又はキャビティ)12を包囲した状態で気密封止され、少なくとも低真空条件及び幾つかの実施形態によれば好ましくは少なくとも高真空条件(例えば、約10-6Torr又はこれ以下の圧力)がこの内部チャンバ12内に維持される。一例を挙げると、気密封止二重壁デューア1(例えば、ガラス)とステンレス鋼チャンバとの間の接合部は、エポキシ結合、溶接又は他の気密封止フランジ連結方式によって形成されるのがよく、それにより超伝導RFコイル3並びに熱導体5(即ち、5a〜5h)及び熱導体15を収容した内部チャンバ部分6内に少なくとも低真空条件(例えば、約10-2〜約10-5Torr)を維持するのに十分なシールが構成される。また、一例を挙げると、冷凍機7とステンレス鋼チャンバ8のフランジとの間の真空シールは、Oリング又は他の封止機構体(例えば、金属ガスケット/ナイフエッジ連結法)によって構成可能であり、それにより同様に少なくとも低真空条件がRFコイル3及び熱導体5,15を収容した内部チャンバ部分6内に維持される。しかしながら、当業者であれば理解されるように、チャンバ8は、ステンレス鋼以外の材料、例えばアルミニウム又は他の金属若しくは他の非金属材料、例えばガラス、セラミック、プラスチック又はこれら材料の組み合わせで構成でき、かかる他の材料は、デューア1及び冷凍機7に適切に接合可能である。
【0032】
種々の実施形態では、冷凍機7は、種々の単一段又は多段冷凍機、例えば、ギフォード・マクマホン(Gifford McMahon:GM)型冷凍機、パルスチューブ(PT)型冷却機、ジュール‐トムソン(JT)型冷却機、スターリング(Stirling)型冷却機又は他の冷却機のうちの任意のものとして具体化可能である。種々の変形実施形態では、超伝導RFヘッドコイルアレイ10は、コイル3がクライオジェン(極低温液体)、例えば液体ヘリウム及び液体窒素によって冷却されるよう冷却可能に構成されてもよい。
【0033】
図示していないが、本発明の種々の実施形態としての極低温冷却型超伝導RFコイルアレイ(例えば、アレイ10)は、電気信号をアレイに入力したり出力したりするよう(例えば、RFコイルのため、モジュール内に設けることができるセンサ(例えば、圧力センサ及び/又は温度センサ等)の制御及び/又はモニタのために)少なくとも1つの電気的フィードスルー(例えば、スルーチャンバ8)を有することは理解されよう。加うるに、RFコイルの各々のための受信機及び/又は該当する場合には送信機回路(例えば、増幅器及び/又はフィルタ及び/又は適当な整合及び/又は減結合回路)のうちの少なくとも一部分が真空チャンバ内に設けられるのがよいことが理解され、例えば、この一部分は、熱導体5a〜5h上にこれと熱的接触関係をなして設けられるのがよく、かかる冷却は、耐ノイズ性を向上させると共に/或いはかかる回路の少なくとも一部分のために超伝導コンポーネントを用いることができるようにする。
【0034】
上述の説明を考慮して理解されるように、本発明の種々の実施形態によれば、超伝導RFヘッドコイルアレイ10は、受信専用アレイとして具体化され、RF送信機は、別個のRFコイル(図示せず)として具体化され、別個のRFコイルは、種々の実施形態では、従来型(例えば、非超伝導、例えば従来型銅RFコイル)RF送信機コイル又は超伝導RF送信コイルであるのがよい。かかる別個の送信機コイルは、壁2を有する真空チャンバの外部に(例えば、デューア1の外部に)又は幾つかの実施形態では壁2を有する真空チャンバ内に(例えば、デューア1内に)構成されるのがよい。例えば、RF送信コイルがRF受信コイルとは別体である1つ又は2つ以上の超伝導RF送信コイル(例えば、高温超伝導体(HTS)RF送信機)として具体化される場合、幾つかの実施形態では、かかる1つ又は2つ以上の超伝導RF送信コイルは、熱導体5a〜5hのうちの1つ又は2つ以上と熱的接触関係をなして配置されるのがよい。
【0035】
幾つかの実施形態では、超伝導RFヘッドコイルアレイ10は、送信及び受信コイルアレイ(トランシーバアレイ)として具体化されるのがよく、超伝導RFコイル3a〜3hのうちの1つ又は2つ以上の各々は、RF信号の送信と受信の両方に用いられる。
【0036】
本発明の種々の実施形態によれば、超伝導RFコイル要素3a〜3hのうちの1つ又は2つ以上は、多重共鳴RFコイル要素(例えば、所与の磁場(例えば、3テスラ(T)にある)でナトリウム及び水素の共鳴を検出するために互いに異なる共鳴周波数を有する2つ又は3つ以上の受信コイルを含む)として具体化されるのがよい。幾つかの実施形態では、超伝導RFコイル要素3a〜3hの2つ又は3つ以上の要素は、互いに異なる共鳴周波数を有するよう設計されるのがよく、例えば、RFコイル要素3a,3c,3e,3gは、第1の共鳴周波数(例えば、3Tでの水素核の共鳴周波数)に同調可能であり、RFコイル要素3b,3d,3f,3hは、第2の共鳴周波数(例えば、3Tでのナトリウム核の共鳴周波数)に同調されるのがよい。したがって、本発明の種々の実施形態としての超伝導RFヘッドコイルアレイは、同時又は時分割多重化方式で種々の核から磁気共鳴信号を収集するために使用できる。
【0037】
更に理解されるように、上述の図は、8つのRF受信チャネル(例えば、8つの受信機コイル)を有する超伝導RFヘッドコイルアレイの例示の実施形態を示しているが、本発明の変形実施形態は、8つよりも少ない又はこれよりも多い数の超伝導RF受信チャネル(例えば、7つ以下又は9つ以上のRF受信機)を有する超伝導RFヘッドコイルアレイから成っていてもよい。
【0038】
加うるに、上述したように、本発明の幾つかの実施形態によれば、本発明の種々の実施形態としての極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイは、例えば2009年4月1日に出願された米国特許出願第12/416,606号明細書及び2009年4月17日に出願された米国特許仮出願第61/170,135号明細書に開示されている超伝導グラジエントコイルを採用した磁気共鳴イメージングシステムに具体化でき、これら特許文献の各々を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。幾つかの実施形態では、超伝導グラジエントコイルのうちの1つ又は2つ以上は、超伝導RFコイルと同一の真空チャンバ内に配置されるのがよい(例えば、グラジエントコイルは、コイル3a〜3hと接触状態にある表面とは反対側の熱導体5a〜5hの表面と熱的接触状態にあるのがよい)。
【0039】
次に図4A及び図4Bを参照すると、本発明の幾つかの実施形態としての超伝導RFヘッドコイルアレイ(モジュール)の例示の変形具体的構成例が示されている。具体的に説明すると、図4Aは、図3の実施形態に関して図示した断面図と類似した長手方向軸線を含む平面で見た断面図を概略的に示す図であり、(例えば、図1A、図1B、図2及び図3の実施形態のための座標系とほぼ同様に差し向けられた座標系を用いてx‐z平面断面で見て)、図4Bは、図4Aの左側から見た平面図又は端面図を全体的に示す図であるが、チャンバ8内の冷凍機7の部分を露出させるようステンレス鋼チャンバ8の破断図又は断面図を示している。理解できるように、図4A及び図4Bに示されている実施形態は、図1A、図1B、図2及び図3の実施形態とほぼ同じなので、便宜上且つ参照を容易にするために、対応の又は類似の要素を示すために同一の参照符号が用いられている。また、理解できるように、図1B、図2及び図3に示されている実施形態と図4A及び図4Bに示されている実施形態の差を挙げると、前者の実施形態は、冷凍機の近くに配置された端部が閉鎖されるように構成され、後者の実施形態のデューア1及びチャンバ8(例えばエポキシ結合部/封止部16を介して封止可能に連結されている)は、冷凍機の近くに配置された端部が開放状態であるように構成されている。同様に、図4A及び図4Bの開口端設計と関連して、熱伝導性リング25(円筒形リング)は、各熱導体5a〜5h(5a及び5eが図4Aに示されている)及び冷凍機7に熱的に結合されており、冷凍機7は、チャンバ8に封止可能に取り付けられている(例えば、Oリング密封フランジ19を介して)。
【0040】
当業者であれば理解されるように、例えば上述の実施形態で示されている全体として円筒形の形をしたRFヘッドコイルアレイモジュールは、例えば実質的に一様な水平磁場を発生させる円筒形のソレノイド主磁石構造体を用いたMRIシステムに用いるのに好適である場合がある。例えば、かかるMRIシステムは、図5に縦断面図で概略的に示されており、このMRIシステムは、図4A及び図4Bの超伝導RFヘッドコイルアレイ(モジュール)に対応した超伝導RFヘッドコイルアレイ(モジュール)10を収納すると共にグラジエントコイル13を更に収納したボアを有する円筒形主磁石17を有している。しかしながら、理解されるように、極低温冷却型超伝導RFヘッドコイルアレイ10は、水平磁場を生じさせる円筒形ソレノイド磁石以外の主磁石構成を備えた状態で具体化できると共に/或いは例えば開放磁石構成、例えば垂直磁石又は二重ドーナツ形磁石を備えた状態で具体化できる。また、理解されるように、種々の実施形態によれば、主磁石17は、全身スキャナの主磁石であってもよく、または専用(例えば、ヘッドオンリー)システムの主磁石(例えば、図7〜図12と関連して以下に説明する主磁石)であってもよい。
【0041】
図6は、本発明の幾つかの実施形態に従って熱放射線遮蔽手段を有する例示のRFヘッドコイルアレイを概略的に示す図である。具体的に説明すると、図6は、図4Aに示されたコイルの上半分を示しており、更に、RFコイル3a及び非金属製熱導体5aの低温状態を二重壁ガラスデューアの外壁及びデューアの外部の環境からの放射線による熱から一段と保護するようオプションとして使用される熱放射線スクリーン17を示している。熱放射線スクリーン17は、1種類又は2種類以上の材料、例えばフォーム、二次加工品、綿又は他の非金属製の良好な熱不導体又はこれらの組み合わせから構成されるのがよい。
【0042】
上述したように、上述の実施形態としての超伝導RFヘッドコイルアレイは、全身MRIスキャナと関連して具体化できるが、かかるRFヘッドコイルアレイは、変形例として、専用ヘッドオンリーMRIスキャナに使用できる。本発明の幾つかの実施形態によれば、専用ヘッドオンリースキャナは、以下の図に示されると共に以下の図と関連して説明される実施形態に従って超伝導主磁石を具体化することができる。しかしながら、理解されるように、以下の実施形態に従って超伝導主磁石を採用するMRIスキャナは、種々のRFコイル形態(例えば、アレイ、非アレイ型、超伝導、非超伝導等)を採用することができる。ただし、幾つかの実施形態では、上述の実施形態に従って具体化された超伝導RFヘッドコイルアレイを用いてもよい。
【0043】
図7は、ヘッドオンリーMRIシステムの超伝導主磁石の概略直交座標図であり、超伝導主磁石は、二重壁ハウジング41及びソレノイド/螺旋コイル42を有し、図示の被験者が超伝導主磁石内に寝かされ、被験者の頭部は、主磁石の直径敏感性容積部43内に配置されている。図示のように、二重壁ハウジング41は、少なくとも低真空条件下にあるが、好ましくは高真空(例えば、10-6〜10-12Torr)にある気密封止領域47を包囲すると共に超伝導コイル42が収納されると共に少なくとも低真空条件(例えば、10-3〜10-6Torr)下にある内部チャンバ領域45を包囲している。
【0044】
具体的に説明すると、幾つかの実施形態によれば、超伝導主磁石は、ヒートパイプ(図示せず)を介して超伝導コイル42を冷却することができる極低温システム(図示せず)と一体化された真空断熱ハウジング41(例えば、デューア)及び超伝導コイルと熱的接触状態にあるヒートシンク組立体(図示せず)を有している。超伝導コイルは、高温超伝導体(HTS)コイルとして具体化されるのがよく、幾つかの実施形態では、以下の超伝導物質、即ち、YBaCuO、BiSrCaCuO、TlBiCaCuO及びMgB2のうちの少なくとも1つを含むのがよい。一例を挙げると、コイルが収納される内部チャンバ領域内の温度は、約77K〜80Kであるのがよい。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、図示のように、コイルは、(i)個人の頭部を覆い若しくは包囲し又はこれに隣接して配置されるよう第1の領域に設けられた第1のコイル組、(ii)第1のコイル組と同軸であり且つ個人の肩又は胴体上部を覆い若しくは包囲し又はこれに隣接して配置されるよう第2の領域に設けられた第2のコイル組として構成され、第1のコイル組の内側半径は、第2のコイル組の内側半径よりも小さく、これらコイルは、個人の頭部の領域中に一様な磁界を生じさせるよう構成される。本明細書の開示内容を考慮すると、当業者によって理解されるように、種々の実施形態では、1組当たりのコイルの数、コイル半径、ターンの数、長手方向位置及び長さ、各コイル中の電流の大きさ及び方向は、所望の磁界強度の分布状態をもたらすよう様々であって良い。本発明の幾つかの実施形態によれば、各コイルの長手方向位置及び広がり、ターンの数及び電流方向は、頭部画像化のために第1の領域内に1〜10ppmの一様な磁界を生じさせるよう設計される。
【0046】
一例を挙げると、第1のコイル組は、25〜30cmの内側半径を有すると共に共通長手方向軸線に沿って40〜60cmの長さの第1の領域に設けられた少なくとも2つのコイルを含み、第2のコイル組は、30〜40cmの内側半径を有すると共に人間の胴体の一部分を覆うように共通長手方向軸線に沿って15〜25cmの長さの第2の領域に設けられた少なくとも1つのコイルを含む。種々の変形実施形態では、第1及び第2の領域の長さは、例えば、それぞれ、約20〜70cm及び10〜40cmであるのがよく、第1及び第2のコイルの内側半径は、それぞれ、約10〜40cm及び20〜50cmであるのがよい。幾つかの実施形態では、第1及び第2の領域の長さは、それぞれ、約10〜20cm及び20〜30cmであるのがよい。加うるに、幾つかの実施形態では、第1及び第2のコイルの内側半径は、それぞれ、約10〜20cm及び20〜30cmであるのがよい。
【0047】
一例を挙げると、図8は、本発明の幾つかの実施形態としての例示の実施例に従って、z‐r平面に関し、寸法の単位がメートル(m)で、内側半径が0.28メートルである第1の組をなすコイル(例えば、図7に示されている4つの最も左側のコイル組に対応する)の長手方向広がりL2、内側半径が0.38メートルである第2の組をなすコイル(例えば、図7に示されている最も右側のコイル組に対応する)の長手方向広がりL1及び約0.1メートルであり且つz軸に沿って第1の組をなすコイルから第2の組をなすコイルまで(L2からL1まで)移行部から約0.05メートルだけオフセットしたDSV43を示している。
【0048】
図9は、図7及び図8の例示の実施形態に対応した主磁石コイル構成に関する標準化された電流分布状態を示す図である。図示のように、幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つのコイルが他のコイルに対して逆方向に電流を流すよう巻かれている。
【0049】
図10は、本発明の種々の実施形態に従って3T頭部磁気共鳴イメージングスキャナの例示のコイルパターン(z‐r平面で示され、単位は、メートル法に合わせて標準化されている)を示す図である。具体的に説明すると、アクティブな遮蔽コイル51が外側に配置され、主磁石コイル52が8つのコイル組を有し、一様な磁場の直径感応体積(diameter-sensitive volume:DSV)53の直径は、約200mmである(即ち、半径が約0.1メートルである)。遮蔽コイル51は、例えば約60〜70cmの半径を有するのがよい。ただし、特定の具体的構成に応じて他の半径の採用が可能である。非限定的な一例を挙げると、以下の表は、図10の実施形態に従って構成されたコイルに関する寸法及び電流の向きを示しており、第1のコイル組は、コイル番号1〜6から成り、第2のコイル組は、コイル番号7及び8から成り、遮蔽コイルは、コイル番号9として示され、R1は、内側半径であり、R2は、外側半径であり、Z1は、第1の長手方向位置であり、Z2は、第2の長手方向位置であり、電流の方向Jは、正(+)又は負(−)として示されている。
【0050】
【表1】

【0051】
図11は、上記表による例示の寸法及び電流の向きを備えた図10に示されている例示の実施形態に関する磁場分布状態を示すプロット図である。図示のように、3T一様磁界は200mmDSVを提供する。
【0052】
図12は、本発明の例示の実施形態に従って図11の磁場分布状態に関する1ガウス(1G)、3ガウス(3G)及び5ガウス(5G)線のフリンジフィールドを示す図である。
【0053】
したがって、理解できるように、図10は、本発明の実施形態の非限定的な実施例を示している。この実施例では、上述したように、外側層は、アクティブな遮蔽コイル51であり、図示の内側層は、非対称構造を提供する8つのコイル組を有する主磁石コイル52から成り、右側(増大するzに向かう側)のコイルは、患者の肩を収容するために大きな直径を有している。この図示の非限定的な実施形態では、磁石の全長は、0.86mであり、ピーク磁場は、J=1.2×108A/m2の電流密度では5.04テスラであり、DSV53の直径は、200mmである。これらのパラメータによれば、図11は、z=−0.1±0.1m、r=0.2mの円筒座標で磁場分布状態をプロットしている。z=−0.1±0.1m、r=0.15mの円筒座標では、1ガウス、3ガウス及び5ガウス線のフリンジフィールドが図12に示されており、200mmDSVは、予想されると共に所望されるように1ガウス線の内側に位置する。
【0054】
したがって、また、上述の内容を考慮すると理解できるように、本発明の実施形態としてのヘッドオンリー磁気共鳴イメージングスキャナに関し、一様な磁場のDSV43を包囲したボアは、好ましくは、患者の頭にフィットするのに必要な直径よりもそれほど大きくない直径のものであり、主磁石ボアは、図7に示されているように肩を収容するのに適した大きさの直径を備えるよう設計された一部分を更に有する。全身MRIとは対照的に、本発明の幾つかの実施形態としてのヘッドオンリー主磁石は、小さなDSVを有し、従って、超電導磁石のサイズを減少させることができ、小型のデューア及び小型の磁気システムを達成することができ、かくして、コストもまた減少させることができる。
【0055】
本発明をその特定の実施形態に関して図示すると共に説明したが、これら実施形態は、本発明の原理の単なる例示であり、網羅的ではなく又は本発明を限定する実施形態でもない。したがって、本発明の例示の実施形態並びにこれらの種々の例示の改造例及び特徴に関する上述の説明は、多くの特徴をもたらすが、これら実施可能要件に関する詳細は、本発明の範囲を限定するものと解されてはならず、当業者には容易に理解されるように、本発明の範囲から逸脱することなく且つその付随する利点を減少しないで、本発明は多くの改造例、設計変更例、変形例、省略例、追加例及び均等例で実施することができる。例えば、プロセスそれ自体に必要な又は固有の程度までを除き、図を含む本明細書に記載した方法又はプロセスのステップ又は段階の特定の順序が示唆されていない。多くの場合、プロセスステップの順序は様々であってよく、本明細書において説明した方法の目的、作用効果又は意味を変えないで、種々の例示のステップを組み合わせ、変更し又は省くことができる。さらに、用語及び表現は、本発明を限定する用語ではなく、説明のための用語として用いられていることが注目される。図示すると共に説明した特徴の均等例又はその部分を排除するためにこれら用語又は表現を用いる意図はない。加うるに、本発明は、本明細書に記載され又は本明細書の開示内容を考慮して理解されると共に/或いはその幾つかの実施形態において実現できる利点のうちの1つ又は2つ以上を必ずしも提供しないで実施できる。したがって、本発明は、開示した実施形態には限定されず、以下の特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部磁気共鳴イメージングのためのシステムであって、
共通長手方向軸線に対して同軸であるように構成された、高温超伝導コイルの第1及び第2のコイル組を備え、
前記第1のコイル組は、内側半径を有すると共に人体の頭部及び頸部を覆うように前記共通長手方向軸線に沿って所与の長さの第1の領域に設けられた少なくとも2つのコイルを含み、前記第2のコイル組は、内側半径を有すると共に人間の胴体の一部分を覆うように前記共通長手方向軸線に沿って所与の長さの第2の領域に設けられた少なくとも1つのコイルを含み、前記第2のコイル組の前記内側半径は、前記第1のコイル組の前記内側半径よりも大きく、
前記第1及び前記第2のコイルは、前記第1の領域内に位置決めされたときに個人の頭部の関心のある領域を画像化することができるよう前記第1の領域中に一様な磁界を生じさせるよう構成されている、システム。
【請求項2】
各コイルの長手方向位置及び広がり、ターンの数及び電流方向は、頭部画像化のために前記第1の領域内に1〜10ppmの一様な磁界を生じさせるよう設計されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のコイル組は、25〜30cmの内側半径を有すると共に前記共通長手方向軸線に沿って40〜60cmの長さの第1の領域に設けられた少なくとも2つのコイルを含み、前記第2のコイル組は、30〜40cmの内側半径を有すると共に人間の胴体の一部分を覆うように前記共通長手方向軸線に沿って15〜25cmの長さの第2の領域に設けられた少なくとも1つのコイルを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記人間の胴体の前記一部分は、肩を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
約10-6〜10-12Torrの圧力状態にある二重壁気密封止高真空ジャケットを有する真空断熱ハウジングを更に有し、前記ジャケットは、10-3〜10-6Torrの圧力状態にある低真空空間を包囲し、前記高温超伝導コイルは、前記低真空空間内に設けられている、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記低真空空間内の温度は、約77K〜80Kである、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記高温超伝導コイルは、YBaCuO、BiSrCaCuO、TlBiCaCuO及びMgB2から成る群から選択された少なくとも1つの超伝導材料を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つのコイルは、コイルの残部に対して逆方向に電流を流すよう巻かれている、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記共通長手方向軸線を包囲すると共に前記第1及び前記第2のコイルと同軸の遮蔽コイルを更に有する、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記遮蔽コイルは、前記第1及び前記第2の領域の長さにわたって延びている、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記遮蔽コイルの半径は、60〜70cmである、請求項9記載のシステム。
【請求項12】
前記磁界の強度は、約3.0〜5.0Tである、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の領域の長さ及び前記第2の領域の長さは、それぞれ、10〜20cm及び20〜30cmである、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のコイル組及び前記第2のコイル組の前記内側半径は、それぞれ、10〜20cm及び20〜30cmである、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
遮蔽コイルを更に有し、前記第1のコイル組は、6つのコイルから成り、前記第2のコイル組は、2つのコイルから成り、前記第1のコイル、前記第2のコイル及び前記遮蔽コイルの寸法及び電流方向は次の表に記載されている通りであり、前記第1の組をなすコイルは、コイル番号1〜6として特定され、前記第2の組をなすコイルは、コイル番号7及び8として特定され、前記遮蔽コイルは、コイル番号9として特定され、R1は、内側半径を表し、R2は、外側半径を表し、Z1は、第1の長手方向位置を表し、Z2は、第2の長手方向位置を表し、Jは、電流方向を正(+)又は負(−)として特定している、請求項1記載のシステム。

【請求項16】
前記共通長手方向軸線に対して同軸に設けられると共に個人の頭部が画像化のために位置決めされている前記第1の領域内に生じた高周波信号を少なくとも受け取るよう構成された超伝導高周波ヘッドコイルアレイモジュールを更に有する、請求項1記載のシステム。
【請求項17】
前記ヘッドコイルアレイは、前記共通長手方向軸線の周りに方位的に設けられた複数個の高温超伝導コイルを含む、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
極低温冷却可能に構成された超伝導高周波コイルアレイモジュールであって、
二重壁気密封止ジャケットを備えた真空断熱ハウジングを有し、前記ジャケットは、(i)真空条件下で気密封止内部空間を包囲すると共に(ii)前記気密封止内部空間から独立していると共に真空条件に合わせて排気されるよう構成された内部チャンバ領域を実質的に包囲し、
前記内部チャンバ領域内に設けられた複数個の超伝導体高周波コイルを有し、各高周波コイルは、磁気共鳴イメージング及び磁気共鳴スペクトロスコピーのうちの少なくとも一方のために高周波信号の発生及び受信のうちの少なくとも一方を行うよう構成され、前記内部チャンバ領域内に前記超伝導高周波コイルと熱的接触関係をなして設けられた少なくとも1つのサーマルシンク部材を有し、少なくとも前記サーマルシンク部材を極低温冷却するよう構成されたポートを有する、モジュール。
【請求項19】
前記ポートは、前記少なくとも1つのサーマルシンク部材に熱的に結合された冷凍機に結合されている、請求項18記載のモジュール。
【請求項20】
前記ポートへの前記冷凍機の前記結合は、前記内部チャンバ領域が真空条件下にあるように前記内部チャンバ領域の封止を可能にする、請求項19記載のモジュール。
【請求項21】
前記気密封止ジャケットは、前記内部チャンバ領域と同一の広がりを有すると共に前記内部チャンバ領域と実質的に同一の真空条件に合わせて排気されるよう構成された内部空間を有するチャンバに密封的に接合され、前記ポートは、前記チャンバ内に設けられている、請求項18記載のモジュール。
【請求項22】
前記チャンバは、真空下にある気密封止壁内キャビティを包囲した二重壁チャンバとして構成されている、請求項21記載のモジュール。
【請求項23】
前記ポートは、前記少なくとも1つのサーマルシンク部材に熱的に結合された冷凍機に結合されている、請求項21記載のモジュール。
【請求項24】
前記ポートへの前記冷凍機の前記結合は、前記内部チャンバ領域が真空条件下にあるように前記内部チャンバ領域の封止を可能にする、請求項23記載のモジュール。
【請求項25】
前記チャンバは、二重壁ステンレス鋼チャンバである、請求項21記載のモジュール。
【請求項26】
前記気密封止内部空間は、約10-6〜約10-12Torrの真空圧力を有する真空条件下にあり、前記内部チャンバ領域は、約10-2〜約10-6Torrの真空圧力を有する真空条件下にある、請求項21記載のモジュール。
【請求項27】
前記チャンバは、約10-6〜約10-12Torrの真空圧力を有する真空条件下にある気密封止壁内キャビティを包囲した二重壁チャンバとして構成されている、請求項26記載のモジュール。
【請求項28】
前記気密封止内部空間は、約10-6〜約10-12Torrの真空圧力を有する真空条件下にあり、前記内部チャンバ領域は、約10-2〜約10-6Torrの真空圧力を有する真空条件下にある、請求項18記載のモジュール。
【請求項29】
各高周波コイルは、各々が前記冷凍機と熱的接触状態にある前記サーマルシンク部材のうちの別のものと直接的な熱接触状態にある前記サーマルシンク部材の各々とそれぞれ直接的な熱的接触状態にある、請求項18記載のモジュール。
【請求項30】
前記高周波コイルは、共通長手方向軸線に沿って実質的に共通の変位量のところで前記共通長手方向軸線の周りに方位的にずらして設けられた少なくとも8つの高周波コイルから成り、前記高周波コイルは、前記高周波コイルにより包囲された領域を画像化するよう構成されている、請求項18記載のモジュール。
【請求項31】
前記高周波コイルの各々は、高周波信号を受け取るが、該高周波信号を伝送することがないよう構成されている、請求項18記載のモジュール。
【請求項32】
前記超伝導体は、HTS材料を含む、請求項18記載のモジュール。
【請求項33】
前記真空断熱ハウジング及び前記高周波コイルは、頭部を画像化するが、全身を画像化することがないよう寸法決めされると共に形作られている、請求項18記載のモジュール。
【請求項34】
前記高周波コイルは、共通長手方向軸線に沿って実質的に共通の変位量のところで前記共通長手方向軸線の周りに方位的にずらして設けられた少なくとも8つの高周波コイルから成り、前記高周波コイルは、前記高周波コイルにより包囲された領域を画像化するよう構成されている、請求項33記載のモジュール。
【請求項35】
前記高周波コイルアレイモジュールは、主電磁石システムを含むヘッドオンリー磁気共鳴イメージングシステムに用いられるよう寸法決めされると共に形作られ、前記主電磁石システムは、
共通長手方向軸線に対して同軸であるように構成された第1及び第2の組み合わす高温超伝導コイルを有し、
前記第1のコイル組は、内側半径を有すると共に人体の頭部及び頸部を覆うように前記共通長手方向軸線に沿って所与の長さの第1の領域に設けられた少なくとも2つのコイルを含み、前記第2のコイル組は、内側半径を有すると共に人間の胴体の一部分を覆うように前記共通長手方向軸線に沿って所与の長さの第2の領域に設けられた少なくとも1つのコイルを含み、
前記第1及び前記第2のコイルは、前記第1の領域内に位置決めされたときに個人の頭部の関心のある領域を画像化することができるよう前記第1の領域中に一様な磁界を生じさせるよう構成されている、請求項18記載のモジュール。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−523946(P2012−523946A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507331(P2012−507331)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/031805
【国際公開番号】WO2010/123939
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511220784)タイム メディカル ホールディングス カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】