説明

極端紫外光光源装置

【課題】極端紫外光光源装置の光出射口から露光機側に汚染物質が流出するのを防ぐこと。
【解決手段】高温プラズマPから放射されたEUV光は、EUV集光鏡6により集光点fに集められ、EUV光出射口7から出射し、露光機30に入射する。集光鏡6と光出射口7の間に、モータ9によりEUV光の光軸と交差するように回転する回転翼(プロペラ)8が配置され、その回転軸9aは極端紫外光の光路外に配置される。極端紫外光が発光していないとき、回転翼8を集光鏡6と光出射口7の間を通過させる。極端紫外光が発光していないとき光出射口7が回転翼によって実質的に遮蔽され、また、光出射口に向かって進んできた汚染物質が回転翼と衝突し、その進行方向が曲げられることによって汚染物質の流出が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極端紫外光を放射する極端紫外光光源装置に関し、さらに詳細には、極端紫外光光源装置から光出射口を介して接続される露光機への汚染物質の流出を防ぐことができる極端紫外光光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、露光用光源の短波長化が進められ、次世代の半導体露光用光源として、特に波長13.5nmの極端紫外光(以下、EUV(Extreme Ultra Violet)光ともいう)を放射する極端紫外光光源装置(以下、EUV光源装置ともいう)の開発が進められている。
図9は、特許文献1に記載されたEUV光源装置を簡易的に説明するための図である。
EUV光源装置は、容器であるチャンバ1を有する。チャンバ1内には、プラズマ発生部を構成する一対の円板状の放電電極2a,2bなどが収容される放電部1aと、ホイルトラップ5や集光光学手段であるEUV集光鏡6などが収容されるEUV集光部1bとを備えている。
3は、放電部1a、EUV集光部1bを排気して、チャンバ1内を真空状態にするためのガス排気ユニットである。
2a,2bは円盤状の電極である。電極2a,2bは所定間隔だけ互いに離間しており、それぞれ回転モータ16a,16bが回転することにより、16c,16dを回転軸として回転する。
14は、波長13.5nmのEUV光を放射する高温プラズマ原料である。高温プラズマ原料14は、加熱された溶融金属(melted metal)例えば液体状のスズであり、コンテナ15に収容される。
【0003】
上記電極2a,2bは、その一部が高温プラズマ原料14を収容するコンテナ15の中に浸されるように配置される。電極2a,2bの表面上に乗った液体状の高温プラズマ原料14は、電極2a,2bが回転することにより、放電空間に輸送される。上放電空間に輸送された高温プラズマ原料14に対してレーザ源17aよりレーザ光17が照射される。レーザ光17が照射された高温プラズマ原料14は気化する。
高温プラズマ原料14がレーザ光17の照射により気化された状態で、電極2a,2bに、電力供給手段4からパルス電力が印加されることにより、両電極2a,2b間にパルス放電が開始し、高温プラズマ原料14によるプラズマPが形成される。放電時に流れる大電流によりプラズマが加熱励起され高温化すると、この高温プラズマPからEUVが放射される。
高温プラズマPから放射されたEUV光は、EUV集光鏡6により集光鏡6の集光点(中間集光点とも言う)fに集められ、EUV光出射口7から出射し、EUV光源装置にEUV光出射口7を介して接続された点線で示した露光機30に入射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−505460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EUV光源装置のチャンバ内には、水やハイドロカーボン(炭化水素)など露光機内を汚染する物質が漂っている。そのため、EUV光源装置と露光機を接続する光出射口から、上記汚染物質が露光機側に流出する可能性がある。
EUV光を透過する硝材(ガラス)はないので、汚染物質の流出をふさぐために光出射口に蓋を設けることができない。すなわち、EUV光源装置においては、汚染物質の露光機側への流出を防ぐことは重要な課題である。
本発明は上記に基づきなされたものであって、極端紫外光光源装置の光出射口から露光機側に汚染物質が流出することを防ぐことができる装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明においては、極端紫外光光源装置の集光鏡と光出射口の間に回転翼(プロペラ)を配置し、その回転軸を極端紫外光の光路外に配置する。そして、回転翼を回転させ、極端紫外光が発光していないとき、回転翼を集光鏡と光出射口の間を通過させる。回転翼が光出射口の前を通過する間は、光出射口が回転翼によって実質的に遮蔽される。また、回転翼はEUV光の光軸と交差するように回転しているので、光出射口に向かって進んできた汚染物質が回転翼と衝突し、その進行方向が曲げられることによって汚染物質の流出が抑制される。
ここで、回転翼は、集光鏡により集光される極端紫外光の光路を横切ることにもなる。そのため、極端紫外光が光出射口を通過することを妨げないように、極端紫外光を放射するプラズマの発生のタイミングと、回転翼の回転周期を同期させ、回転翼はプラズマが発生していない時に、光出射口の光入射の前を通過するようにする。
すなわち、本発明は次のようにして前記課題を解決する。
(1)容器内に、プラズマ発生部と、該プラズマ発生部において発生したプラズマから放射する極端紫外光を集光する集光鏡とを備え、上記容器には、上記集光鏡により集光された極端紫外光が出射するとともに、第2の容器(露光機)に接続された光出射口が形成されている極端紫外光光源装置において、上記集光鏡と上記光出射口との間であって上記光出射口の光入射側に、極端紫外光の光軸と交差する平面内を回転する回転翼を配置し、該回転翼を回転させる回転手段の回転軸を、上記集光鏡が集光する極端紫外光の光路外に配置する。
(2)上記(1)において、上記の極端紫外光光源装置に上記回転手段を制御する回転制御部を設け、該回転制御部は、上記プラズマ発生部におけるプラズマの発生の周期と、上記回転翼の回転周期とを同期させ、上記プラズマが発生していない時に、上記回転翼が上記集光鏡と光出射口の間を通過するように回転翼の回転を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、集光鏡と上記光出射口との間であって上記光出射口の光入射側に、上記集光鏡の光軸と交差する平面内を回転する回転翼を配置したので、回転翼が光出射口の前を通過する間、光出射口を実質的に遮蔽することができ、汚染物質の流出を抑制することができる。また、光出射口に向かって進んできた汚染物質は、回転翼と衝突し、その進行方向が曲げられる。これによっても汚染物質の流出を抑制することができる。
また、プラズマが発生していない時に、上記回転翼が上記集光鏡と光出射口の間を通過するように回転翼の回転を制御することにより、回転翼が極端紫外光を遮らないので照度が低下することはない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のEUV光源装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例の回転翼の概念図である。
【図3】回転翼と光出射口付近の拡大図である。
【図4】EUV光発生のタイミングと回転翼の動作の関係を説明する図である。
【図5】回転軸中心と光路スポットの位置関係を示す図である。
【図6】回転翼の回転位置を示す図である。
【図7】回転翼回転周波数f2と最小回転翼半径Rの関係を示す図である。
【図8】放電電極を備えないEUV光源装置に本発明を適用した場合の概略構成を示す図である。
【図9】EUV光源装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、本発明のEUV光源装置の構成の概略を示す。
EUV光源装置の構成は、図9に示したものと同様である。
前記したように、EUV光源装置のチャンバ1内には、一対の円板状の放電電極2a,2bなどが収容される放電部1aと、ホイルトラップ5や集光光学手段であるEUV集光鏡6などが収容されるEUV集光部1bとを備えている。チャンバ1には、チャンバ1内を真空状態にするためのガス排気ユニット3が設けられる。
円盤状の電極2a,2bは所定間隔だけ互いに離間しており、それぞれ回転モータ16a,16bが回転することにより、16c,16dを回転軸として回転する。
高温プラズマ原料14は、加熱された溶融金属(melted metal)、例えば液体状のスズであり、コンテナ15に収容され、上記電極2a,2bは、その一部が高温プラズマ原料14を収容するコンテナ15の中に浸されるように配置される。
液体状の高温プラズマ原料14は、電極2a,2bが回転することにより、放電空間に輸送され、この高温プラズマ原料14に対してレーザ源17aよりレーザ光17が照射され、高温プラズマ原料14は気化する。
【0010】
高温プラズマ原料14がレーザ光17の照射により気化された状態で、電極2a,2bに、電力供給手段4からパルス電力が印加されることにより、両電極2a,2b間にパルス放電が開始し、高温プラズマ原料14によるプラズマPが形成される。放電時に流れる大電流によりプラズマが加熱励起され高温化すると、この高温プラズマPからEUVが放射される。
高温プラズマPから放射されたEUV光は、ホイルトラップ5を介してEUV集光鏡6に入射し、EUV集光鏡6により集光鏡6の集光点(中間集光点)fに集められ、EUV光出射口7から出射し、EUV光源装置にEUV光出射口7を介して接続された点線で示した露光機30に入射する。
EUV集光鏡6は、高温プラズマPから放射された波長13.5nmのEUV光を反射するための光反射面6aが形成されている。
EUV集光鏡6は、互いに接触することなく入れ子状に配置された複数の光反射面6aにより構成されている。
各光反射面6aは、Ni(ニッケル)などからなる平滑面を有する基体材料の反射面側に、Ru(ルテニウム)、Mo(モリブデン)、Rh(ロジウム)などの金属を緻密にコーティングすることにより、0〜25°の入射角度の極端紫外光を良好に反射するように形成されている。各光反射面6aは、集光点fが一致するように構成される。
【0011】
EUV集光鏡6とEUV光出射口7との間であって上記光出射口7の光入射側に、EUV光の光軸と交差する平面内を回転する回転翼(プロペラ)8が配置される。
回転翼8はモータ(回転手段)9の回転軸9aに取り付けられている。モータ9が動作し、回転軸9aが回転することにより、回転翼8は光出射口7の光入射側を横切る。
モータ(回転手段)9とその回転軸9aは、集光鏡6により集光されEUV光出射口7を通過するEUV光を遮らないように、EUV光の光路外に配置される。
図2に本発明の実施例の回転翼の概念図を示す。同図は回転翼をEUV集光鏡側から見た図であり、同図(a)は回転翼の斜視図、(b)(c)はプラズマの発生と回転翼の回転位置の関係を説明する図である。
【0012】
水やハイドロカーボン(炭化水素)などの露光機内の光学素子を汚染する物質は、チャンバ1内にガス(気体)として存在し、チャンバ1内を四方八方に飛び回っている。そしてその一部が、EUV光出射口7から露光機30に進入する。
回転翼8はEUV光出射口7の光入射側に配置され、回転することにより、汚染物質が露光機30に進入するのを防ぐ。
【0013】
ここで、回転翼8は、EUV光の発光中は、その光路を遮らないようにしなければならない。上記したように、EUV光源装置において、EUV光を放射するプラズマPは、電力供給手段4からパルス電力が印加されることにより形成される。したがってEUV光の放射も、プラズマPの発生に応じてパルス状に行われる。
このため、図2(b)(c)に示すように、プラズマPが形成されEUV光が放射されている時には、回転翼8がEUV光出射口7をふさがないように(図2(c))、プラズマPが生じておらずEUV光が放射されていない時に、回転翼8がEUV光出射口7をふさぐように(図2(b))回転翼8を回転させる。
【0014】
即ち、EUV光源装置の制御部10は、電力供給手段4やレーザ源17aの動作を制御することにより、プラズマPの形成、即ちEUV光の発生のタイミング(周期)を制御するが、この、プラズマPの形成(EUV光の発生のタイミング(周期))にあわせて、回転制御部11によりモータ9の動作、即ち回転翼8の回転周期を、プラズマPが形成されEUV光が放射されている時には、回転翼8がEUV光出射口7をふさがないように制御する。
上記回転制御部11は、制御部10に設けられた同期制御部10aにより制御される。上記同期制御部10aは、上記プラズマ発生部におけるプラズマの発生の周期と、上記回転翼の回転周期とを同期させるため、上記回転制御部11に同期信号を出力する。回転制御部11は、この同期信号により、上記プラズマが発生していない時(EUV光が発生していないとき)に、回転翼8が上記集光鏡6と光出射口7の間を通過するように回転翼8の回転を制御する。
具体的には、例えば、モータ9にエンコーダを取り付け、モータ9の回転信号を回転制御部11にフィードバックする等して、モータ9が上記同期信号に同期して回転するように制御したり、また、センサ等を設けてEUV光の発光を検出し、EUV光の発光に同期させてモータを回転させる。
【0015】
以下、上記回転翼の具体的な構成例について説明する。
図3に回転翼と光出射口付近の拡大図を示す。同図(a)は光出射口付近をEUV光の光軸とモータ9の回転軸に沿う平面で切った断面図、同図(b)は回転翼をEUV集光鏡6側から見た図である。
同図に示すように、回転翼8は複数枚あり、モータ9の回転軸9aに取り付けられている。
図3(a)に示すように集光鏡6からのEUV光は光軸と角度αをなして光出射口7へ集められる。光出射口7には開口径aのアパーチャが設置されている。回転翼8とアパーチャとの隙間をt、回転翼8の軸方向長さをdとすると、回転翼8が横切る光路スポットLsの半径rは、r=a/2+(d+t)×tanαとなる。
本実施例ではα=15°、a=4.4mm、t=1mm、d=15mmとした。したがってrは約6.5mmである。
【0016】
図4はEUV光発生のタイミングと回転翼の動作の関係を説明する図であり、同図(a)〜(c)は回転翼8の回転状態を示し、(d)はEUV光の発生タイミングを示す。
図4(d)に示すように、EUV光は、1パルスの動作で時間t1だけ発生し、次のパルスの発光までの時間t2は無発光状態となる。
EUV発光中は回転翼8が光路スポットLsにかからないようにし、EUV無発光中に回転翼8が光路スポットLsを横切るようにする。回転翼8の回転周波数をf2とし、光路スポットの直径をrとし、航路回転翼8の半径をR、回転翼8の幅をwとする(図4(a)参照)。
図4(a)は発光開始時刻T1における回転翼8の状態を示し、EUV発光中に回転翼8が進む角度θ1(図4(b)参照)はθ1=2×π×f2×t1、EUV無発光中に回転翼が進む角度θ2(図4(c)参照)はθ2=2×π×f2×t2である。
【0017】
回転翼8の形状を決めるための条件について図5、図6を参照しながら述べる。なお、図5は、回転翼8の回転軸中心と光路スポットLsの位置関係を示し、図6は回転翼の回転位置を示す。
まず、無発光中に回転翼8が光路スポットLsを完全に横切ってしまうためにはθ2−θ4≧2×βでなければならない。ここで、θ4は光路スポットLsにおいて回転翼8の幅wが回転翼(軸)中心に対して張る角度である。また、βは図5に示す角度であり、β=sin−1(r/Δ)である。
光軸と回転軸9aの距離(軸オフセット)をΔとするとθ4=w/Δ(ラジアン)である。この条件から、ある回転周波数f2に対して許容される最小の軸オフセット値Δが決まる。この最小軸オフセットをΔ1とすると、回転翼の限界最小半径R1=Δ1+rである(条件1)。
【0018】
さらに、発光中に回転翼が光路スポットを横切らないためにはθ5≧2×βでなければならない。ここでθ5は図6に示す角度であり、回転翼の間隔角度θ3からEUV発光中に回転翼が進む角度θ1と回転翼の幅角度θ4を差し引いた角度である。すなわち、θ5=θ3−θ1−θ4である。
回転翼の枚数をNとすればθ3=2π/N(ラジアン)である。これらの条件からある回転周波数f2に対して許容される最小の軸オフセット値Δが決まる。この最小軸オフセットをΔ2とすると、回転翼の限界最小半径R2=Δ2+rである(条件2)。
軸オフセットΔはΔ1およびΔ2より大きくなければならない。軸オフセットΔが決まれば、回転翼半径Rの最小値は上記のようにΔ+rとなる。
【0019】
回転翼回転周波数f2と最小回転翼半径Rの関係を図7に示す。ただし、1パルス動作でのEUV発光時間t1を1μs、EUV発光の繰り返し周波数f1を20kHz、回転翼枚数Nを20枚、回転翼の幅w=10mmとした。図7において、限界最小半径線R1および限界最小半径線R2は、それぞれ、最小軸オフセットΔ1(条件1)および最小軸オフセットΔ2(条件2)に対応する。回転翼半径Rがとり得るのは図7の斜線部の領域となる。
【0020】
EUV発光の繰り返し周波数をf1とすると、回転翼が常に無発光時に光路スポットを横切るように同期をとるためにはf1とf2×Nが公約数をもっていなければならない。本実施例ではf1=20kHz、N=20であるので、f2がとり得る値は2000Hz、1000Hz、500Hz、200Hzなどの離散値となる。図7からわかるように、回転周波数f2が1000Hzより小さいと回転翼半径Rを大きくしなければならず、装置が大型化してしまう。本実施例では回転周波数f2=1000Hz、回転翼半径R=100mmとした。
【0021】
回転翼8が無発光中に光出射口7を横切る間は、光出射口7が回転翼8によって実質的に遮蔽されることとなるので、その間、光源側から露光装置側への汚染物質の流出が抑制される。回転翼8が光出射口7を遮蔽する時間比率(遮蔽率)が大きいほど汚染物質の流出抑制効果は高いといえる。遮蔽率はθ4/θ3で表され、本実施例ではその値は34%である。
また、回転翼8は光軸と交差するように回転しているので、光出射口7に向かって進んできた汚染物質が回転翼8と衝突し、その進行方向が曲げられることによって汚染物質の流出が抑制されるという効果もある。本実施例では、回転翼8が光出射口7を横切る時間は約7.5μsであり、回転翼の光軸方向長さd=15mmであるので、約2000m/s以下の速さで飛来してくる汚染物質は回転翼8と衝突し、光出射口7から外へは流出しない。光出射口付近では、汚染物質の大部分はこの速度範囲内であると考えられ、露光装置側への流出はかなり抑制される。
【0022】
上記実施例においては、放電電極間に生じる放電によりEUV光を放射するEUV光源装置を例にして説明を行ったが、EUV光源装置には放電電極を備えないものもあり、そのような装置にも、本発明を適用することができる。
図8に、放電電極を備えないEUV光源装置に本発明を適用した構成の概略を示す。
EUV光源装置は、集光光学手段である集光反射鏡21を収容するチャンバ1を備える。集光反射鏡21は、高温プラズマから放射された波長13.5nmのEUV光を反射し、その光を集光点fに集光するための光反射面21aが形成されている。
チャンバ1には、チャンバ1内を真空状態にするためのガス排気ユニット3が設けられている。
【0023】
EUV光源装置は、集光反射鏡21の光反射面21a側に、高温プラズマ生成用の液体または固体の原料Mを落下(滴下)して供給する原料供給手段22を備える。原料Mは、例えば、スズ(Sn)、リチウム(Li)である。
EUV光源装置は、原料供給手段22により供給された原料Mに対して、非常に高いエネルギーのレーザビームを照射する高出力のレーザ装置23を備える。
原料供給手段22により、集光反射鏡21の光反射面21a側に供給された高温プラズマ用の原料Mに対し、高出力のレーザ装置23からレーザ入射窓23aを介して非常に高いエネルギーを有するレーザビームが照射される。これによって、原料Mが高温プラズマとなり、波長13.5nmのEUV光を放射する。高温プラズマから放射されたEUV光は、集光反射鏡21の光反射面21aにより反射され、集光点fに集光する。この集光するEUV光はEUV光出射口7から出射し、EUV光出射口7を介して接続された露光機30に入射する。
【0024】
そして、集光反射鏡21とEUV光出射口7との間であって、光出射口7側に、上記実施例において説明した回転翼(プロペラ)8を設ける。制御部10の同期制御部10aは、原料供給手段22からの原料Mの滴下とレーザ装置23のレーザ照射のタイミングと、回転翼8の回転数とを同期させるための同期信号を回転制御部11に送出し、回転制御部11は、前記図2に示したように、EUV光が放射されている時には、回転翼8がEUV光出射口7をふさがないように、EUV光が放射されていない時に、回転翼8がEUV光出射口7をふさぐように回転翼8を回転させる。
【符号の説明】
【0025】
1 チャンバ
1a 放電部
1b EUV集光部
2a,2b 放電電極
3 ガス排気ユニット
4 電力供給手段
5 ホイルトラップ
6 EUV集光鏡
6a 光反射面
7 EUV光出射口
8 回転翼(プロペラ)
9 モータ(回転手段)
9a 回転軸
10 制御部
10a 同期制御部
11 回転制御部
14 高温プラズマ原料
15 コンテナ
16a,16b 回転モータ
16c,16d 回転軸
17 レーザ光
17a レーザ源
21 集光反射鏡
21a 光反射面
22 原料供給手段
23 レーザ装置
30 露光機
M 原料
P プラズマ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に、プラズマ発生部と、該プラズマ発生部において発生したプラズマから放射する極端紫外光を集光する集光鏡とを備え、上記容器には、上記集光鏡により集光された極端紫外光が出射するとともに、第2の容器に接続される光出射口が形成されている極端紫外光光源装置において、
上記集光鏡と上記光出射口との間であって上記光出射口の光入射側には、極端紫外光の光軸と交差する平面内を回転する回転翼が配置され、
上記回転翼を回転させる回転手段の回転軸は、上記集光鏡が集光する極端紫外光の光路外に配置される
ことを特徴とする極端紫外光光源装置。
【請求項2】
上記の極端紫外光光源装置は、上記回転手段を制御する回転制御部をさらに備え、
該回転制御部は、上記プラズマ発生部におけるプラズマの発生の周期と、上記回転翼の回転周期とを同期させ、上記プラズマが発生していない時に、上記回転翼が上記集光鏡と光出射口の間を通過するように回転翼の回転を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の極端紫外光光源装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−209182(P2012−209182A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75101(P2011−75101)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト/次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト(石特会計/EUV光源高信頼化技術開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】